説明

炉幅測定装置およびそれを備えた押出ラム

【課題】測定範囲および測定時間のいずれにも制限を受けることがなく、連続して炉幅を測定することができる炉幅測定装置を提供する。
【解決手段】発光素子と受光素子を外装内に収納したレーザ式変位センサ16,17と、外装を取り囲むとともに、吸熱面側をその外装に向けて配置される複数のプレート状ペルチェ素子20a〜20dと、上記外装とペルチェ素子の吸熱面との隙間を埋めるアルミブロック18,19と、ペルチェ素子の放熱面側に配置される冷却フィン群21a〜21dと、を一体化してセンサユニットSUとし、このセンサユニットを、冷却用空気の導入部と、冷却に供せられたその冷却用空気を排出する排出部と、レーザ光を通過させる計測窓26,28とを備えた筺体13内に収納したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の炉内で炉幅を測定するのに好適な炉幅測定装置およびそれを備えた押出ラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コークス炉は炭化室と燃焼室が炉団方向に交互に配置されている構造からなり、コークス炉の炉上を炉団方向に走行する石炭装入車から炭化室内に石炭が装入され、燃焼室の熱をその炭化室に伝えることにより装入された石炭を乾留しコークスを製造するようになっている。
【0003】
この種のコークス炉の多くは築炉から30年を経過し老朽化しており、炭化室の側壁(以下、炉壁と呼ぶ)を構築している耐火煉瓦については、炉壁損傷部分に付着したカーボンがコークス押出し或いは石炭装入によって剥離し、炉壁がさらに損傷するといったサイクルが繰り返されているため、炉壁が変形する等、操業を阻害する要因が顕在化しつつある。
【0004】
このような事情から、炉壁の状態を把握することは安定操業を得るために極めて重要な検査項目になっている。
【0005】
コークス炉の炭化室では炉壁が狭い幅で対向しており、炉壁が損耗すれば両壁面間の距離が大きくなることから、炉幅を測定すれば炉壁の損耗状態を推測することができる。
【0006】
そこで炉幅を測定する装置として、炭化室の各炉壁に指向する一対の非接触式距離計をコークス押出機のラムビームに設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この炉幅測定装置は、1000℃以上となる炭化室内で測定することができるように、非接触式距離計を水冷ジャケット内に収納している。したがって、その水冷ジャケットに対して冷却水を供給し、冷却に供せられて昇温した水を水冷ジャケットから戻すための冷却用配管を敷設しなければならず、炉幅測定装置に伴う冷却装置が大型化することが避けられない。
【0008】
さらに、ポンプの吐出能力等によって冷却水を供給できる距離に制限があるため、各炭化室を移動しながら炉幅測定を連続的に実施することができないという不都合がある。
【0009】
また、冷却用配管を持たない炉幅測定装置として、炉幅距離計と電源装置を吸熱箱内に収納し、炉幅測定データをその吸熱箱内に設けられた送信装置によってワイヤレスで送信する構成の炉幅測定装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。上記吸収箱は、液体を充填したジャケットで構成されており吸収箱の外側は断熱材で覆われている。このような炉幅測定装置によれば、冷却用配管を必要としないため測定範囲に制限を受けることがない。
【特許文献1】特開昭62−293112号公報
【特許文献2】特開2002−213922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献2の炉幅測定装置では、水冷ジャケット内の液体が炉幅測定装置の使用限界温度に到達した時点で測定を続行することができなくなり、時間的制限を受ける。
【0011】
本発明は以上のような従来の炉幅測定装置における課題を考慮してなされたものであり、測定範囲および測定時間のいずれにも制限を受けることがなく、連続且つ安定して炉幅を測定することができる炉幅測定装置およびそれを備えた押出ラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、発光素子と受光素子を外装内に収納したレーザ式変位センサと、上記外装を取り囲むとともに、吸熱面側をその外装に向けて配置される複数のプレート状熱電冷却素子と、外装と熱電冷却素子の吸熱面との隙間を埋める熱伝導体と、熱電冷却素子の放熱面側に配置される冷却フィンと、を一体化してセンサユニットとし、このセンサユニットを、
冷却用空気の導入部と、冷却に供せられたその冷却用空気を排出する排出部と、レーザ光を通過させる計測窓とを備えた筺体内に収納した炉幅測定装置である。
【0013】
上記炉幅測定装置において、上記センサユニットを筒状の断熱部を介して筺体内に収納すれば、この断熱部外壁と筺体内壁との間に冷却用空気を流すための冷却通路を形成することができる。
【0014】
また、上記筺体内壁には断熱材を貼着することが好ましい。
【0015】
また、上記冷却フィンの外周部を筒状の断熱部によって閉塞すれば、各冷却フィンの隙間を、冷却空気を流すための第二の冷却通路として構成することができる。
【0016】
本発明は、上記構成を有する炉幅測定装置を、コークス炉に配置される押出ラムのラムビームに設置した炉幅測定装置付き押出ラムである。
【0017】
上記炉幅測定装置付き押出ラムにおいて、ラムビームに敷設された断熱配管内に、冷却用空気を炉幅測定装置に供給するホースと、レーザ式変位センサおよび熱電冷却素子に電源を供給するとともに炉幅測定データを出力するためのケーブルと、熱電冷却素子の温度制御を行うための制御信号を送信するケーブルを収納することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の炉幅測定装置およびそれを備えた押出ラムによれば、測定範囲および測定時間のいずれにも制限を受けることがなく、連続且つ安定して炉幅を測定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る炉幅測定装置をコークス押出し機のラムビームに設置した場合の構成を示したものである。
【0021】
同図においてコークス押出機は、ラムヘッド1と、このラムヘッド1を水平方向に往復移動させるためのラムビーム2とから主として構成される押出ラム3を備えており、コークス炉炭化室内で乾留された赤熱コークスをラムヘッド1によって炉外に押し出すようになっている。
【0022】
ラムビーム2上で且つラムヘッド1寄りには支持スタンド4が立設されており、この支持スタンド4に炉幅測定装置5が設置されている。
【0023】
なお、図中、Aは押出ラム3の押し出し方向を示している。
【0024】
炉幅測定装置5の信号系統は、巻取装置6のドラム一方側から巻き解かれた信号/電源ケーブル7を介して図示しない押出機運転室内のコントローラ(後述する)と接続されている。
【0025】
上記信号系統とは、具体的には、レーザ式変位センサおよび熱電冷却素子としてのペルチェ素子(後述する)に電源を供給する電源ライン、レーザ式変位センサによって測定された炉幅データを出力する出力ライン、ペルチェ素子を温度制御するための制御信号ライン等が含まれる。
【0026】
炉幅測定装置5を冷却するための冷却系統は、同じ巻取装置6のドラム他方側から巻き解かれたホース8を介して冷却用空気を貯留するタンク9と接続されており、このタンク9には冷却用空気を所定圧(配管等の圧力損失で失われる圧力を供給できる圧力、例えば0.4〜0.7MPa)に保持するためのコンプレッサ10が接続されている。なお、上記巻取装置6、タンク9およびコンプレッサ10は、押出機に搭載されている。
【0027】
11は炉幅測定装置5内のレーザ式変位センサから出力される炉幅信号を増幅するためのアンプユニット、レーザ式変位センサおよびペルチェ素子用の電源供給装置を含む変換器であり、高温状態にある炭化室からの熱の影響を受けにくいラムビーム2の後端側に配置されている。
【0028】
また、信号/電源ケーブル7およびホース8は、ラムビーム2後端部よりラムビーム2内に敷設された断熱配管12内を通り、ラムビーム2先端側に設置された炉幅測定装置5に接続されている。なお、信号/電源ケーブル7は耐熱ケーブルを使用している。
【0029】
図2は上記炉幅測定装置5を拡大し、平面から示した断面図である。
【0030】
同図において炉幅測定装置5は、断熱された箱形の筺体13を有し、この筺体13内にレーザ式変位センサ、ペルチェ素子、温度管理用の熱電対等、必要最小限の装置を収納している。
【0031】
詳しくは、筺体13は角筒部13aと、この角筒部13aの後側端面(炉蓋方向Bに向いて後側となる)を閉塞する後面板13bと、前側に配置される前面板13cとから構成されている。角筒部13aの内面および後面板13bの内面にはそれぞれセラミック製の断熱材14が貼着されている。
【0032】
また、後面板13bには上記断熱配管12を接続するための接続部15が備えられており、断熱配管12を通じて冷却用空気caが筺体13内に導入されるようになっている。また、信号/電源ケーブル7内の電源ケーブルを通じて一対のレーザ式変位センサ16および17に電源が供給され、測定された炉幅信号が信号ケーブルを通じて出力され、また、制御ケーブルを通じてペルチェ素子20,21を温度制御するための制御信号が送信されるようになっている。なお、上記接続部15における断熱配管12は冷却用空気caの導入部として機能する。
【0033】
レーザ式変位センサ16,17は、半導体レーザからなる発光素子と受光素子をアルミダイキャストからなる外装(ケース)内に収納した公知のものであり、レーザ光を投光レンズを通して集光させ、炉壁に照射させ、炉壁から反射した光線の一部を受光レンズを通して受光素子上で検出するように構成されている。上記レーザ式変位センサ16,17としては、例えば測定範囲が320mm±150mmの超ロングレンジタイプのものを使用することが好ましい。
【0034】
このレーザ式変位センサ16,17は、ラムビーム2の移動方向に沿って平行に配置されており、それらの投光部は矢印B方向と反対方向に向けて配置されている。
【0035】
図3はレーザ式変位センサ16,17に冷却構造を付加して一体化させたセンサユニットSUの構成を示したものであり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。なお、図3(a)においては各構成が理解しやすいように、レーザ式変位センサ16,17前方の蓋部24(図2参照)を取り外し、各部を一部切欠いた状態で示している。
【0036】
センサユニットSUは、左右に並べて配置されたレーザ式変位センサ16,17と、これらのレーザ式変位センサ16,17の周囲を囲むようにして角筒状に配置される熱伝導体としてのアルミニウム製内枠部18と、この内枠部18の外周面に密着して配置される4枚のペルチェ素子20a〜20dと、これらのペルチェ素子20a〜20dの外面に密着した状態で角筒状に配置されるアルミニウム製外枠部19と、この外枠部19の外周各面に一体に形成される冷却フィン群21a〜21dとから主として構成されている。
【0037】
なお、上記内枠部18はメンテナンスが容易に行なえるよう二つ割構造になっている。
【0038】
また、各ペルチェ素子20a〜20dは、プレート状のペルチェ素子を二層配置することによって構成されており、その吸熱面側をレーザ変位センサ16,17に向け、放熱面側を冷却フィン群21a〜21dに向けて配置している。
【0039】
また、レーザ式変位センサ16,17の隙間Sには各センサ16,17に接続されるコードが配線されている。
【0040】
また、図3(b)において、16a,17aは投光部を、16b,17bは受光部をそれぞれ示している。
【0041】
このように構成することにより、レーザ式変位センサ16,17の表面温度は、内枠部18を通じペルチェ素子20a〜20dによって制御されることになり、ペルチェ素子20a〜20dで生じた発熱は外枠部19に形成されている冷却フィン群21a〜21dによって放散されるようになっている。
【0042】
図2に戻って説明する。
【0043】
レーザ式変位センサ16,17の投光部側は断熱材からなる蓋部24で塞がれており、冷却用空気caが冷却フィン群21a〜21d以外に流れないようになっている。なお、レーザ式変位センサ16,17からのレーザ光は、上記蓋部24の一部に形成された貫通孔24a,24bを通じて投光されるようになっている。
【0044】
レーザ式変位センサ16の投光側にはアルミニウムを蒸着した反射鏡25が配置されており、レーザ式変位センサ16から投光されたレーザ光の光路をその反射鏡25にて90°変更させ(図中矢印C方向)、角筒部13aに形成された計測窓26を通して炉壁にレーザ光を照射し、炉壁からの反射光を受光するようになっている。
【0045】
また、レーザ式変位センサ17の投光側にも、上記反射鏡25と同じ構成からなる反射鏡27が左右対象に配置されており、この反射鏡27にてレーザ光の光路を90°変更させ(矢印D方向)、角筒部13aに形成された計測窓28を通して炉壁に照射し、反射光を受光するようになっている。
【0046】
なお、上記計測窓26,28はその開口面積が小さいため、窓を通過している炉壁からの輻射熱は冷却用空気caで置換することができるが、それらの計測窓26,28に対し、石英ガラスに熱線カットフィルタをコーティングしたガラスプレートを配置すれば、冷却用空気caの供給量を抑制することができる。
【0047】
一方、筺体13内の前側には、筺体13の角筒部13a各内壁から所定の隙間を空けた状態で一回り小さい角筒状の仕切部材(筒状の断熱部)30が収納されている。この仕切部材30はステンレス製の薄板とセラミックとから構成されている。
【0048】
上記隙間は冷却用空気caの一部を筺体内壁に沿って流すための冷却通路Paとなっている。なお、仕切部材30と筺体内壁とは筺体長手方向に沿って配置された複数の棒状部材によって部分的に接続されている。
【0049】
この仕切部材30内に上記センサユニットSUが収納されている。
【0050】
このセンサユニットSUが収納された状態で冷却フィン群21a〜21dのフィン外周端と仕切部材30の内壁とが接続され、冷却フィン群21a〜21dの各冷却フィンの隙間にも冷却用空気caが流れるようになる。これらの冷却フィンの各隙間に連通する通路は第二の冷却通路Pbを構成する。
【0051】
なお、レーザ式変位センサ16,17と前面板13cとの間には断熱材31が設けられ、外部から前面板13cを介して筺体13内に侵入しようとする熱を遮断するようになっている。
【0052】
ところで、冷却用空気caをラムビーム2の先端側に設置された炉幅測定装置5に供給する場合、冷却用空気caを供給するホースを断熱配管12内に収納したとしても、炉幅測定装置5に到達した時点で供給した冷却用空気caの温度は100℃程度に昇温してしまう。
【0053】
このように昇温した冷却用空気caが筺体13内に導入されると、レーザ式変位センサ16,17の表面温度を上昇させることになる。ところが、レーザ式変位センサ16,17の動作温度範囲は通常、0〜+50℃であるため、100℃に昇温した冷却用空気caの温度を50℃程度降下させる必要がある。
【0054】
従来、電子機器として例えばCCDカメラを搭載して炉内を観察する装置には冷却手段として装置内にペルチェ素子を複数配設したものもあるが、単にペルチェ素子を配置したものは、まず、電子機器が配置されている装置内の空間を冷却し、冷却された雰囲気によって間接的に電子機器を冷却するものであるから、50℃程度に降下させることは不可能である。
【0055】
これに対し、本発明の炉幅測定装置5では、レーザ式変位センサ16,17を熱伝導に優れたアルミニウム製の内枠部18に収納し、その内枠部18にペルチェ素子20a〜20dの吸熱側を密着させ、そのペルチェ素子20a〜20dの放熱側に、アルミニウム製の外枠部19を介して冷却フィン群21a〜21dを取り付けて一体化することでレーザ式変位センサ16,17を高効率で冷却できるようにしている。
【0056】
具体的には、レーザ式変位センサ16,17の表面温度を熱電対で監視し、50℃を超える場合にはペルチェ素子20a〜20dをON動作させる。ペルチェ素子20a〜20dをON動作させると、放熱側温度は冷却用空気caの温度と略同じ温度であるからペルチェ素子20a〜20dは安定してレーザ式変位センサ16,17を冷却することができる。それにより、レーザ式変位センサ16,17の表面温度を50℃以下に保つことが可能になり、レーザ式変位センサ16,17を安定動作させることが可能になる。
【0057】
また、筺体13外部から炉幅測定装置5内に侵入する熱については、まず筺体13内壁に貼着されている断熱材14によって遮断し、熱の一部がその断熱材14を通過したとしても冷却通路Paを流れる冷却用空気caによってそのほとんどが奪われる。そのため、第二の冷却通路Pbに配置されている冷却フィン群21a〜21dを通過する冷却用空気caに与える影響は少ない。
【0058】
なお、上記実施形態ではレーザ式変位センサ16,17の投光部及び受光部を、冷却用空気caの流れと対向して配置しているが、逆向きに配置することも、もちろん可能である。
【0059】
次に、上記構成を有する炉幅測定装置5の制御動作について図4を参照しながら説明する。
【0060】
炭化室で乾留された赤熱コークスを炉外に押し出す押出作業において炉蓋が外されると、押出ラム3が炭化室内に挿入され、ラムビーム2先端のラムヘッド1によって赤熱コークスが押し出される。
【0061】
押出ラム3が炭化室内を移動していく際、押出ラム3に設置されている炉幅測定装置5は、炭化室の炉幅を押出機側からガイド車側に向けて連続的に測定する。
【0062】
このとき、炉幅測定装置5には図2に示したように、冷却用空気caが配管12を通じて常時供給されており、炉幅測定装置5に供給された冷却用空気caは、冷却通路Paと第二の冷却通路Pbとに別れて筺体13内を流れる。
【0063】
冷却通路Paを流れる冷却用空気caは、筺体13内壁に貼着された断熱材14を通過して筺体13内に侵入してくる熱を吸収し、熱交換に供せられた冷却用空気caは前面板13cに設けられた開口から筺体13外部に放出される。
【0064】
レーザ式変位センサ16,17はその周囲に配設された内枠部18を介してペルチェ素子20a〜20dの吸熱側と接触しているため、ペルチェ素子20a〜20dがコントローラ40によって温度制御されることによって冷却される。
【0065】
また、ペルチェ素子20a〜20dで生じる発熱は外枠部19を介して冷却フィン群21a〜21dに伝達され、これらの冷却フィン群21a〜21dが配置されている第二の冷却通路Pbには冷却用空気caが常時流れているため、結果としてペルチェ素子20a〜20dによって生じた発熱はその冷却空気caによって放熱される。
【0066】
また、図1に示したように、ラムビーム2にはその長手方向にラック2aが形成されており、このラック2aにピニオン2bが歯合し、このピニオン2bを図示しない押出モータで回転させることによりラムビーム2を移動させるようになっている。
【0067】
したがって、上記押出モータに備えられているロータリエンコーダによってピニオン2bの回転数を検出すれば、その回転数に基づいて押出ラム3の移動距離を求めることができる。
【0068】
上記ロータリエンコーダ41から出力される押出ラム3の位置データSaはコントローラ40の位置データ記憶部40aに記憶される。
【0069】
なお、コントローラ40は押出機電気室42内に配置されている。
【0070】
一方、炉幅測定装置5によって所定の周期で測定された炉幅データSbは変換器11内のレーザ式変位センサ用のアンプユニットを介してコントローラ40の炉幅データ記憶部40bに記憶される。なお、上記位置データと炉幅データは測定開始タイミングを一致させることによって対応づけられ各記憶部40aおよび40bに記憶される。
【0071】
上記炉幅データSbは、レーザ式変位センサ16から出力される炉幅データSbとレーザ式変位センサ17から出力される炉幅データSbを有し、炉幅データSbはレーザ式変位センサ16の投光部から一方の炉壁までの距離に相当し、炉幅データSbはレーザ式変位センサ17の投光部から他方の炉壁までの距離に相当するため、炉幅データSb,Sbの和をデータ処理部40cにおいて求めることにより炭化室の炉幅を測定することができる。ただし、本実施形態では反射鏡25,27を使用しているため、レーザ式変位センサ16,17の投光部から反射鏡25,27までの距離を減算するとともに両反射鏡25,27の離間距離を加算する補正が必要である。
【0072】
上記コントローラ40は上記対応付けられた位置データおよび炉幅データに、さらに測定年月日、測定時刻、測定対象の炭化室の窯番号をデータとして付加し、データベース43に転送し蓄積させる。
【0073】
このデータベース43にはLANを介してパーソナルコンピュータ44が接続されている。それにより、パーソナルコンピュータ44からデータベース43にアクセスして炉幅測定値の推移を調べることにより炉幅壁面の傾向を管理したり、補修時期の判断を行なうことが可能になる。
【0074】
また、コントローラ40は押出機運転室45内のモニタ46上に炉幅測定値をグラフで表示するようになっている。グラフは横軸が測定位置を、縦軸が炉幅を、グラフ左側が押出機側を、グラフ右側がガイド車側をそれぞれ示している。
【0075】
なお、炉幅測定装置5によって測定された炉幅測定値が異常に大きい値を示す場合には炉壁が破孔している可能性があるため、コントローラ40はスピーカ47から警報を出力させる。
【0076】
また、上記炉幅測定装置5による測定は、上記押出ラム3によるコークス押出し操作時に限らず押出ラム3の戻り操作時に行なってもよい。
【0077】
また、上記実施形態ではコークス炉における炭化室の炉幅を測定する場合を例に取り説明したが、これに限らず、本発明の炉幅測定装置は、転炉、焼成炉、焼却ボイラー、発電用ボイラー、その他の高温炉内の炉幅を測定する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る炉幅測定装置を押出ラムに設置した状態を示す側面図である。
【図2】図1に示す炉幅測定装置の平面断面図である。
【図3】(a)はセンサユニットの構成を示す一部切欠きを有する斜視図、(b)はその正面図である。
【図4】本発明に係る炉幅測定装置の制御システムを示したブロック図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ラムヘッド
2 ラムビーム
3 押出ラム
4 支持スタンド
5 炉幅測定装置
6 巻取装置
7 信号/電源ケーブル
8 ホース
9 タンク
10 コンプレッサ
11 変換器
12 断熱配管
13 筺体
13a 角筒部
14 断熱材
15 接続部
16,17 レーザ式変位センサ
16a,17a 投光部
16b,17b 受光部
18 内枠部
19 外枠部
20a〜20d ペルチェ素子
21a〜21d 冷却フィン群
24 蓋部
24a,24b 貫通孔
25,27 反射鏡
26,28 計測窓
30 仕切部材
Pa 第一の冷却通路
Pb 第二の冷却通路
SU センサユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と受光素子を外装内に収納したレーザ式変位センサと、
上記外装を取り囲むとともに、吸熱面側をその外装に向けて配置される複数のプレート状熱電冷却素子と、
上記外装と上記熱電冷却素子の吸熱面との隙間を埋める熱伝導体と、
上記熱電冷却素子の放熱面側に配置される冷却フィンと、
を一体化してセンサユニットとし、このセンサユニットを、
冷却用空気の導入部と、冷却に供せられたその冷却用空気を排出する排出部と、レーザ光を通過させる計測窓とを備えた筺体内に収納したことを特徴とする炉幅測定装置。
【請求項2】
上記センサユニットが筒状の断熱部を介して上記筺体内に収納され、この断熱部外壁と上記筺体内壁との間に冷却用空気を流すための冷却通路が形成されている請求項1記載の炉幅測定装置。
【請求項3】
上記筺体内壁に断熱材が貼着されている請求項2記載の炉幅測定装置。
【請求項4】
上記冷却フィンの外周部が上記筒状の断熱部によって閉塞され、各冷却フィンの隙間が冷却空気を流すための第二の冷却通路を構成している請求項2または3記載の炉幅測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の炉幅測定装置を、コークス炉に配置される押出ラムのラムビームに設置したことを特徴とする炉幅測定装置付き押出ラム。
【請求項6】
上記ラムビームに敷設された断熱配管内に、冷却用空気を上記炉幅測定装置に供給するホースと、上記レーザ式変位センサおよび上記熱電冷却素子に電源を供給するとともに炉幅測定データを出力するためのケーブルと、上記熱電冷却素子の温度制御を行うための制御信号を送信するケーブルが収納されている請求項5記載の炉幅測定装置付き押出ラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−232471(P2007−232471A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52443(P2006−52443)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000156961)関西熱化学株式会社 (117)
【Fターム(参考)】