説明

炭化水素の接触部分酸化法

【課題】炭化水素と水素と酸素が共存する反応組成のガスを用いて通常より低い反応温度でケトン、アルデヒド、酸化オレフィン、アルコール、芳香族炭化水素、などを直接生成する炭化水素の接触部分酸化法を提供する。
【解決手段】水素および炭化水素と酸素および不活性ガスとの混合物を室温ないし300℃程度の比較的低温度で常圧にて耐火性触媒担体に支持された、貴金属または卑金属から選択された1種以上の金属からなる触媒と接触させることを特徴とする炭化水素の接触部分酸化法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素、酸素、および不飽和炭化水素を不均一系触媒により酸化することによってケトン、アルデヒド、酸化オレフィン、アルコールなどの含酸素化合物やベンゼンなどの芳香族化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケトン、アルデヒド、酸化オレフィン、アルコールなど酸素を含む化合物は化学反応原料、溶剤、燃料などに広く使用される重要なモノマーである。また、芳香族化合物も各種化成品の原料や溶剤、燃料などとして広く使用されている。
【0003】
酸素を含む化合物は、炭化水素や、種々の官能基を有する炭化水素から、均一系触媒を用いる液相反応または不均一系触媒による気相部分酸化によって製造されることは公知である。
【0004】
基本的に酸化反応は、被酸化物と酸化剤(酸素、過酸化水素、有機過酸など)を均一系あるいは不均一系の触媒により部分酸化して得ている。
一般的な含酸素化合物の製造方法はたとえば非特許文献1に見られるようにすでに公知である。
【0005】
芳香族化合物の合成法についても多くの文献に見られるように、原油中の芳香族を多く含む留分から分離精製して得る方法、直鎖あるいは分岐した炭化水素をオリゴメリゼーション、環化、脱水素などによって合成する方法などが知られている。
【0006】
一方、水素と酸素の混合ガスは酸水素爆鳴気と呼ばれ、ラジカルの発生源があると爆発的に酸化反応が進行し水が生成する。
【0007】
既往の研究で、酸素と水素の反応では反応中にH,HO,HOOなどの多様なラジカルが発生することが知られている。
また、炭化水素と酸素との反応、すなわち炭化水素の燃焼反応でも上記のラジカルに加えて、炭化水素に酸素が付加したラジカルの存在が報告されている。
【非特許文献1】触媒学会編「触媒講座第8巻(工業触媒反応編2)」工業触媒反応I、講談社(1985)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、酸化反応では多量の熱の発生によって高温となり、反応速度は極度に上昇し、部分酸化生成物は痕跡程度しか得ることができなかった。
【0009】
しかし、原理的には酸素と水素の反応系に炭化水素などを共存させると、H,HO,HOOなどのラジカルと炭化水素の反応により、工業的に有用な部分酸化生成物が得られる可能性があった。
しかし、学術文献、特許などにおいて、痕跡程度ではなく、工業的に意味ある反応速度または選択率で合成できたという報告は見られなかった。
このような背景から発明者らは種々の条件で鋭意触媒開発を進めた結果、貴金属を担持した触媒を用いてオレフィンの酸化反応を行うと、反応条件によっては対応するケトンやアルコールなどがかなりの選択率で生成することを見出した。
本発明はこの新事実に基いてなされたものであり、水素、酸素、および不飽和炭化水素を不均一系触媒により酸化することによって、部分酸化生成物としてケトン、アルコールなどの含酸素化合物やベンゼンなどの芳香族化合物を高い選択率で生成する炭化水素の接触部分酸化法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明の特徴とする技術構成は、次の(1)〜(5)のとおりである。
(1)、水素および炭化水素と酸素および不活性ガスとの混合物を、室温ないし300℃程度の比較的低温度で常圧にて、耐火性触媒担体に支持された貴金属または卑金属から選択された1種以上の金属からなる触媒と接触させることを特徴とする前記(1)に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
(2)、炭化水素を飽和および不飽和炭化水素とすることを特徴とする前記(1)に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
(3)、触媒に支持する貴金属として、パラジウム、白金、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウムを、卑金属としてクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、すず、鉛、ビスマスを何れか1種以上用いたことを特徴とする前記(1)に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
(4)、触媒の耐火性触媒担体として、シリカ、アルミナ、チタニアなどの酸化物、炭化ケイ素、チッ化ケイ素などの炭化物やケイ化物およびゼオライトや天然の無機化合物などを1種以上用いたことを特徴とする前記(1)に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
(5)、ケトン、アルデヒド、酸化オレフィン、アルコールなどの含酸素化合物やベンゼンなどの芳香族化合物を製造することを特徴とする前記(1)に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、炭化水素ガスを原料として付加価値の高い部分酸化物質例えばケトン、アルデヒド、酸化オレフィン、アルコールなどの含酸素化合物やベンゼンなどの芳香族化合物などを高い選択率で直接製造することが可能であり、炭化水素ガスの精製産業、化学薬品製造産業等で広く活用される画期的な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に至った研究開発経緯における実験例を以下に紹介する。
<実験例1>
【0013】
図1に示す実験の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPd-Auを触媒(Pdの担持量は1.20重量%,Auの担持量は0.50重量%,500℃,3h, 空気焼成)として、プロピレン濃度が20mol%,酸素および水素がそれぞれ20mol%、残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3毎分で供給すると、酸化反応が進行しCO2が28マイクロモル/minで生成した。他にアセトンが0.50マイクロモル/min,COが1.52マイクロモル/min,ベンゼンが0.74マイクロモル/min,プロパンが0.42マイクロモル/minで生成した.
反応管の温度は反応熱により上昇し、65℃となった。アセトンおよびベンゼンの選択率はそれぞれ1.54%および、2.33%と計算された。プロピレンが水素化されたプロパンの生成速度は0.42マイクロモル/minであった。このとき導入した水素はすべて消費されていた。見かけ上、プロパンの生成以外に水素は消費されないので、水素のほとんどは水へと酸化されたことになる。
図1の実験の反応装置図において、(a):N2ガス、(b):O2ガス、(c):H2ガス、(d):炭化水素ガス、(e):開閉バルブ、(f):流量制御器、(g):ガス混合器、(h):触媒、(i):ガスサンプリング口、(j):液状生成物捕集器、(k):排気、を各々示す。
【0014】
比較例として、反応ガスの水素を窒素ガスに置き換えること以外はまったく同じ条件で反応を行ったところ、プロピレンの反応はまったく進行しなかった。したがって、この酸化反応は水素の共存によって引き起こされたものであることがわかる。
【0015】
比較例として、反応ガスのプロピレンをプロパンに置き換えること以外はまったく同じ条件で反応を行ったところ、CO2のみが103.8マイクロモル/minで生成した。
【0016】
比較例として、反応ガスの水素を窒素ガスに置き換え、プロピレンをプロパンに置き換えること以外はまったく同じ条件で反応を行ったところ、プロパンの反応はまったく進行しなかった。
したがって、プロパンのCO2への酸化反応は水素の共存によって引き起こされたものであることがわかる。
またアセトン、ベンゼンがまったく生成しなかったことより、これらの生成物がプロパンを経由していないことが示唆される。
【0017】
水素と酸素と窒素の混合ガスを該触媒に通じるとすべて酸化されることより、酸素と水素の反応により生じたラジカル種がプロピレンを攻撃してアセトン、ベンゼンが生成したものと考えられる。
【0018】
プロピレンの不均一触媒酸化反応ではプロピレンのメチル基が脱水素され、アリルラジカル中間体が生成し、この中間体に酸素が付加してアクロレインが、アリル中間体が2量化して1,5-ヘキサジエンが生成する反応がアリル型酸化反応としてよく知られている。しかしながら、プロピレンおよびプロパンの酸化反応において、アセトンとベンゼン以外の部分酸化性生物、すなわち1,5-ヘキサジエンやプロピレンの外部炭素(1位と3位)に酸素が結合した生成物の生成がまったく見られないことから、アリル型中間体を経由するか否かについては現段階では明らかではない。
<実験例2>
【0019】
次に、イソブテンの酸化反応の結果を図2に示す。
反応条件は、イソブテン,水素,酸素,窒素の濃度をそれぞれ20mol%,10 mol%,20 mol%,50 mol%とした。触媒重量は0.50gとし、反応ガスの総流速は30cm3/minとした。その結果、CO2が主生成物であったが、アセトン、2−メチルー2−プロパノール,ベンゼンがそれぞれ、0.50マイクロモル/min,3.7マイクロモル/min,0.1マイクロモル/minで生成した。これらの生成物の選択率はそれぞれ2.1%,15.3%,0.83%であった。反応管の温度は66℃であった。次に電気炉で過熱して反応管温度を150℃に設定して1時間経過後、生成物を分析した。その結果、CO2の生成は激しく減少したが、2−メチルー2−プロパノールの生成速度は4.7マイクロモル/minに増大し、選択率は72.3%に上昇した。このときイソブタンとCO2の選択率はそれぞれ、16.9%と9.2%であった。このときも供給した水素は全量が消費され、それにほぼ見合った酸素が消費された。生成した2−メチルー2−プロパノールと消費した水素のモル比は0.0385となった。
【0020】
次に比較例として反応ガスのイソブテンをイソブタンに置き換えること以外はまったく同じ条件で反応を行ったところ、CO2のみが80.4マイクロモル/minで生成した。イソブタンの酸化では反応温度を66℃から150℃に上昇させてもCO2のみが生成し、生成速度はほとんど変化しなかった。
<実験例3>
【0021】
次に図3にアエロジルのチタニアP-25に各種の貴金属を担持した触媒でのプロピレンの反応結果を示す。
Pd/TiO2触媒では水素化反応が進行した。150℃でアセトンとCO2も生成した。150℃におけるアセトンとCO2の選択率はそれぞれ10.8%と9.0%であった。
Rh/TiO2触媒では150℃で痕跡程度のアセトンが生成したが,Au/TiO2ではプロパンだけが生成し、Ir/TiO2触媒の活性はきわめて低かった。以上の結果から、TiO2担持触媒の中ではPd触媒だけがアセトンなの部分酸化に活性であることがわかる。
【0022】
同様にAl2O3に担持した貴金属触媒についてプロピレンとの反応を行った。その結果を図4に示す。Pd/Al2O3触媒では50℃から主に水素化反応が進行した。100℃ではアセトンが0.50マイクロモル/minの速度で生成した。選択率は2.3%であった。150℃ではアセトンとCO2も生成するようになった。アセトンの生成速度は2.21マイクロモル/minで選択率は12.8%であった。Ir/Al2O3触媒とRh/Al2O3触媒の活性は低かった。主に水素化反応が進行したが、Rh/Al2O3触媒では150℃で非常に少量のアセトンの生成が見られた。以上のように、Al2O3担持の触媒でもPd触媒がアセトンの生成活性が高いことがわかる。
【0023】
Pd-Au/TiO2触媒を0.10g用いたときの実験例を図5に示す。反応開始10分後には触媒層温度は164℃に達し、主にCO2への深度酸化が進行した。このとき、アセトンとベンゼンが2.0%の選択率で生成した。プロパンへの選択率は3.4%であった。反応開始後30分では触媒層温度は143℃であった。生成物分布は10分後とほとんど変わらなかった。アセトンとベンゼンへの選択率はそれぞれ1.5%と2.1%であった。反応開始後60分では触媒層温度は143℃であった。生成物分布は30分後とほとんど変わらなかったが、アセトンとベンゼンへの選択率はそれぞれ1.3%と1.9%であった。
【0024】
続いて反応気の温度を156℃に上昇させると、反応の様相は一変した。CO2への深度酸化は大きく抑制され、プロパンへの水素化反応が主反応となった。これと同時に、ベンゼンの生成はほとんどなくなり、アセトンの生成速度は増大した。アセトンの選択率は3.9%となった。150℃で2時間が経過しても生成物分布はほとんど変化しなかった。
【0025】
そこで200℃に昇温したところ、プロピレンの反応速度がやや低下した。アセトンと,CO2の生成速度が増大し、プロパンの生成速度が低下した。アセトンの選択率は6.5%であった。200℃で1時間反応を続けると、プロパンの生成速度だけが12%ほど増大した。
【0026】
200℃で反応を行った後、再び150℃にすると、CO2の生成速度がやや低下し、プロパンの生成速度が増大した。アセトンの選択率は3.8%であった。
図5のCとDの温度は13℃しか違っていないが、Cは外部の電気炉は加熱しておらず、Dは外部加熱を行っている。外部加熱の有無で反応器内の温度分布が異なっていることは容易に推察できる。この変化の原因については更なる解析が必要である。
【0027】
図6にPd-Au/TiO2触媒を0.05g用いたときの実験結果を示す。
外部加熱なしに反応ガスを流通させるとおもにCo2への深度酸化が進行して、触媒層は260℃になった。この実験では使用した触媒量が少ないために、燃焼反応による熱が触媒上で発生するため、触媒層温度が上昇したものと思われる。主生成物はCO2で選択率は91.7%であった。アセトンとベンゼンが0.39および0.76マイクロモル/minの速度で生成した。選択率は1.4%と2.7%であった。プロパンの生成速度は0.49マイクロモル/minと小さかった。
【0028】
反応を続けると触媒層温度は次第に低下し、1時間後には220℃となった。生成物分布はほとんど変化しなかった。アセトンとベンゼンの選択率は2.3%と2.4%であった。
【0029】
Dは外部加熱して270℃になったときの反応結果でCO2の生成速度が上昇したが、アセトンやベンゼンの生成速度への影響はほとんど見られなかった。Gは電気炉を調整して触媒層温度を200℃にしたときの結果で、CO2生成はほとんど見られなくなり、プロパンへの水素化反応が促進された。またベンゼン生成は見られなくなったが、アセトンの生成速度は1.33マイクロモル/minに上昇し、選択率は5.8%であった。
【0030】
この触媒で再び270℃に昇温させるとCO2の生成が復活した。CO2の生成速度は30マイクロモル/minで、水素化反応が9マイクロモル/minであった。
【0031】
触媒量を0.50gとしたときは生成物はCO2のみで生成速度は32マイクロモル/minであった。0.10gとすると、プロピレンの総反応速度は焼く28マイクロモル/minで0.05gとしたときは焼く27マイクロモル/minであった。触媒量が少なくなると反応速度はやや低下したが、反応の進行度は存在する水素が全消費するところで決まっているように見える。アセトン、ベンゼンなどの部分酸化生成物は触媒量が少ない方が適していることがわかる。
【0032】
反応結果を概観するとCO2が主反応である場合と水素化反応が主反応である場合とに大別できる。アセトンはどちらの場合のも生成しているが、水素化反応が主反応として進行している場合のほうが生成速度は大きい特徴が見られる。
【0033】
図7に実験例としてAu-Pd/TiO2触媒によるプロピレンの酸化反応に及ぼす水素濃度の影響の結果を示した。水素を供給しないと反応はまったく進行しない。水素濃度が3.3%のときは水素化反応によるプロパンの生成が主反応であった。アセトンアセトンとCO2も生成した。アセトンの生成速度は1.09マイクロモル/minで選択率は7.2%であった。ベンゼン、アセトアルデヒドは生成しなかった。
【0034】
水素濃度が5mol%のときは水素化反応によるプロパンの生成が主反応であった。アセトンアセトンとCO2も生成した。アセトンの生成速度は1.69マイクロモル/minで選択率は7.4%であった。アセトアルデヒド、CO2、ベンゼンは0.01、0.6、0.17マイクロモル/minで生成した。
【0035】
水素濃度が7mol%のときはCO2が主生成物であった。アセトアルデヒド、アセトン、CO, プロパンが0.14、0.26、1.32、1.52マイクロモル/minで生成した。べンゼンが7.47マイクロモル/min(選択率16.6%)で生成した。
【0036】
水素濃度が10mol%のときはCO2とプロパンが主生成物であった。アセトアルデヒド、アセトン、CO, ベンゼンも生成した。べンゼンは5.08マイクロモル/min(選択率7.1%)で生成した。
【0037】
反応例として150℃におけるプロピレンの酸化に及ぼす酸素濃度の影響の結果について図8示す。H2濃度は10 mol%,プロピレン濃度は20mol%で一定とし、窒素でバランスした。
酸素濃度がOのときプロピレンの水素化反応だけが進行した。
【0038】
酸素濃度が3.3mol%のときもほぼ水素化反応だけが進行した。プロピレンの反応速度は酸素非存在下の1/3程度に低下した。水素の単純酸化が進行したため、水素化反応速度が低下したものと考えられる。アセトン,CO2、ベンゼンが少量生成した。
【0039】
酸素濃度が6.7mol%のときはプロピレンの反応速度は3.3%のときよりも低下し、酸素非共存下の反応の約9%までプロピレンの反応速度は低下した。CO2とプロパンがほぼ等量生成した。アセトンの生成速度は0.81マイクロモル/minで選択率は7.3%であった。
【0040】
酸素濃度が10mol%のときはプロピレンの反応速度は増大し、25マイクロモル/minとなった。CO2、プロパン、ベンゼンがほぼ等量生成した。アセトンの生成速度は0.71マイクロモル/minで選択率は2.8%であった。ベンゼンの選択率は24.5%であった。
【0041】
酸素濃度が20mol%のときはプロピレンの反応速度は72マイクロモル/minまで増大した。
ベンゼンの生成速度は変化せず、CO2とプロパンの生成速度が上昇した。アセトンの生成速度は低下した。
酸素濃度は低いときは水素化反応が進行し、酸素濃度が増加するに従い深度酸化が進行した。
アセトンは酸素濃度の低い領域で生成し、選択率は7.3%mol%が最大であった。
ベンゼンは酸素濃度の高い領域で生成が促進、酸素濃度10%で選択率の最高値24.5%を示した。
【0042】
図9にAu-Pd/TiO2触媒による1−ブテンの酸化反応の結果を示した。
図10に9Au-Pd/TiO2触媒0.001gによるプロピレン酸化に及ぼすプロピレン濃度の影響を示す。
【0043】
<実験例4>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が10mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、20分後には酸化プロピレンが0.26マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが1.77マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ12.8%および、87.2%と計算された。
【0044】
<実験例5>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、30分後には酸化プロピレンが0.98マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが1.71マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ36.4%および、63.6%と計算された。
【0045】
<実験例6>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が40mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、20分後には酸化プロピレンが1.45マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが1.62マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ47.2%および、52.8%と計算された。
【0046】
<実験例7>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が5mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、30分後には酸化プロピレンが0.97マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが1.45マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ40.1%および、59.9%と計算された。
【0047】
<実験例8>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、45分後には酸化プロピレンが0.83マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが0.93マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ47.2%および、52.8%と計算された。
【0048】
<実験例9>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が20mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、20分後には酸化プロピレンが0.33マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが3.52マイクロモル/minで、アセトアルデヒドが0.02マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ8.5%および、91.0%と計算された。
【0049】
<実験例10>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が5mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、45分後には酸化プロピレンが0.11マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが0.39マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ22.0%および、78.0%と計算された。
【0050】
<実験例11>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、45分後には酸化プロピレンが0.89マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが1.33マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ47.2%および、52.8%と計算された。
【0051】
<実験例12>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が40mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、45分後には酸化プロピレンが1.19マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが0.95マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ55.6%および、44.4%と計算された。
【0052】
<実験例13>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元,さらに室温にて酸素ガスに1分間さらしたもの)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行し、10分後には酸化プロピレンが1.52マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが3.67マイクロモル/minで生成した.酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ29.3%および、70.6%と計算された。
45分後には酸化プロピレンが1.41マイクロモル/minで生成した。他にプロパンが2.11マイクロモル/minで生成した.
酸化プロピレンおよびプロパンの選択率はそれぞれ40.1%および、59.9%と計算された。
【0053】
<実験例14>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロパン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、ガス供給後数分間は生成物が見られなかった。これはプロパンからの脱水素と水素の付加反応が同時に活発に進行しているが、動的平衡になっているものと思われる。
10分後には酸化プロピレンは生成せず、アセトンとCO2が主に生成した。時間経過と反応温度を上昇させた後の時間経過を図11に示した。ほかに含酸素化合物としてはアセトアルデヒド、アクロレインが生成した。メタンとエチレンも少量生成した。
【0054】
<実験例15>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、イソブテン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行した。反応結果を図12に示した。イソブテンの反応では反応初期には水素化されたイソブタンが生成したが、10分後には酸化イソブテンがかなりの生成速度で生成した。酸化イソブテンの生成速度は次第に低下した。反応温度を上昇させるとアセトンとイソブタンの生成が促進された。50℃でも酸化イソブテンの生成が認められた。
【0055】
<実験例16>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、イソブタン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行した。反応結果を図13に示した。アセトンとCO2の生成が多かった。室温では酸化イソブテンの生成が見られたが、30分後には見られなくなり、三級ブタノールの生成が見られた。イソブタンの3級炭素から水素が引き抜かれ、それと、水素と酸素から生じた活性種が反応して3級アルコールが生成したものと考えられる。酸化イソブテンはイソブテンが酸化されたとすると考えやすいが、生成ガス中のイソブテンの生成量は非常に少なかった。したがって生成機構ははっきりしない。
【0056】
<実験例17>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、1-ブテン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行した。反応結果を図14に示した。反応初期には生成物は見られなかったが、60分後には主に1,2-エポキシブタンが生成した。50℃に反応温度を上昇させると1,2-エポキシブタンの生成速度は増大した。100℃に昇温すると生成物は一変し、MEK,CO2,アセトアルデヒドなどが生成した。また酢酸ビニルの生成も見られた。エチレンや酢酸の生成は見られなかったので酢酸ビニルはMEKの中央の炭素―炭素結合に酸素活性種が付加して生成したのかもしれない。
【0057】
<実験例18>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、エチレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3/分で供給すると、酸化反応が進行した。反応結果を図15に示した。エチレンの場合は二重結合を有するが、プロピレンやブテン類と異なり、酸化エチレンの生成は実験した反応条件では認められなかった。
【0058】
<実験例19>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(Pdの担持量は0.000022重量%,500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、ノルマルブタン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3毎分で供給すると、酸化反応が進行した。反応結果を図16に示した。ノルマルブタンの場合は飽和炭化水素に共通に見られるように、反応初期には生成物は認められなかった。しかし10分後にはメチルエチルケトン(MEK)が45%もの選択率で生成した。MEKはセカンダリーブチルアルコール(SBA)の酸化的脱水素によっても得られるが、生成物中にSBAの生成はほとんど見られないことから、SBA経由で生成しているとは考えにくい。セカンダリーブチルラジカルと酸素+水素から生成した反応活性種が反応したものと思われる。
反応温度を変化させても反応速度、選択率ともに変化は少なかった。
【0059】
<実験例20>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(500℃, 3h, 空気焼成後、300℃で2時間水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3毎分で供給したときの反応結果を図17に示した。Pdの担持濃度が高いときはCO2生成が主反応で、アセトンが少量生成した。反応温度が上昇するとプロパンへの水素化反応が促進された。高温部でベンゼンの生成も認められた。
Pd の担持量をきわめて低くすると酸化プロピレンが生成するようになった。外部過熱して反応温度を高めると酸化プロピレンの生成は見られなくなり、アセトンが生成した。Pdの担持率を0.005Pd原子/nm2と低くすると水素化反応がわずかに進行し、反応温度を高めると水素化反応が促進され、アセトンも少量生成した。このときの水素の反応速度を図18に示した。酸化プロピレンが生成している時、水素の単純酸化速度はそう大きくない特徴がみられた。
【0060】
<実験例21>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPdを触媒(500℃, 3h, 空気焼成)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3毎分で供給したときの反応結果を図19に示した。還元無しの触媒では水素化が少量進行しただけで、反応温度を上昇させても酸化プロピレンの生成は見られなかった。比較例として水素還元を行った触媒の結果もあわせて示した。
この結果より触媒の水素還元は酸化プロピレン合成には必須であることがわかる。
【0061】
<実験例22>
固定床流通式の反応装置を用いて、アルミナおよびシリカ上に担持されたPdを触媒(500℃, 3h,空気焼成後 300℃,2h水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3毎分で供給したときの反応結果を図20に示した。アルミナ担体の場合には酸化プロピレンの生成は、この反応条件では見られなかった。塩基性担体であるMgOとCeO2にPdを担持した触媒での反応結果を図11に示した。これらの触媒ではこの反応条件では酸化プロピレンの生成は認められなかった。
しかし、シリカ担体の場合には50℃のとき、生成が認められた。これより、担体としてはTiO2が優れているが、シリカでもよく、また条件によってはアルミナも担体として利用できることがわかる。
【0062】
<実験例23>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPd-Auを触媒(500℃, 3h,空気焼成後 300℃,2h水素還元)として、プロピレン濃度が20mol%,水素濃度が10mol%,酸素濃度が20mol%,残部が窒素の混合ガスを、0.50gの触媒層に室温で30cm3毎分で供給したときの反応結果を図22と図23に示した。Pd触媒に、プロピレンの酸化反応に不活性であるAuをPdの10atomic%添加したPd-Au触媒でもプロピレンの酸化により、酸化プロピレンが生成した。Au の添加はPdの活性を促進することも、抑制することもなかった。Au を添加していない触媒での反応結果と比べると、100℃での水素化反応を抑制していることがわかる。したがって、アセトン合成触媒として用いる場合には、好ましい助触媒であることがわかった。
【0063】
<実験例24>
固定床流通式の反応装置を用いて、チタニア上に担持されたPd触媒とPd-Au触媒を500℃, 3h,空気焼成後、室温まで降温し,そのまま反応ガスを導入して酸化反応を行った場合(in situ と表記)といったん空気中に出してから反応管に充填して反応を行った場合(ex situ と表記)の反応結果を図24に示した。どちらの場合も酸化プロピレンは生成した。図12を見るとPd-Au触媒の場合は、むしろ一旦空気にさらしたほうが酸化プロピレンの生成速度は大きいことがわかった。これは触媒を空気のさらしてもかまわないことを意味しており、実用上ハンドリングがしやすい触媒であることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、炭化水素ガスを原料として付加価値の高い部分酸化物質を高い選択率で直接製造することが可能であり、炭化水素ガスの精製産業、化学薬品製造産業等で広く活用されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】反応装置例を示す。
【図2】Pd-Au/TiO2によるイソブテンの酸化反応
【図3】アエロジルのチタニアP-25に各種の貴金属を担持した触媒でのプロピレンの反応(酸化活性)結果を示す。
【図4】Al2O3に担持した貴金属触媒についてプロピレンとの反応(酸化活性)を行った結果を示す。
【図5】Pd-Au/TiO2触媒を0.10g用いたときのプロパンの酸化反応を示す。
【図6】Pd-Au/TiO2触媒を0.05g用いたときのプロパンの酸化反応を示す。
【図7】Au-Pd/TiO2触媒0.50gによるプロピレンの酸化反応に及ぼす水素濃度の影響の結果を示す。Au-Pd/TiO2触媒によるプロピレン酸化に及ぼす水素濃度の影響。
【図8】Au-Pd/TiO2触媒0.50gによる150℃におけるプロピレンの酸化に及ぼす酸素濃度の影響の結果を示す。
【図9】Au-Pd/TiO2触媒による1−ブテンの酸化反応の結果を示す。
【図10】Au-Pd/TiO2触媒0.001gによるプロピレン酸化に及ぼすプロピレン濃度の影響。
【図11】実験例14におけるプロパンの酸化反応を示すグラフである。
【図12】実験例15におけるイソブテンの酸化反応を示すグラフである。
【図13】実験例16におけるイソブタンの酸化反応を示すグラフである。
【図14】実験例17における1-ブテンの酸化反応を示すグラフである。
【図15】実験例18におけるエチレンの酸化反応を示すグラフである。
【図16】実験例19におけるノルマルブタンの酸化反応を示すグラフである。
【図17】実験例20におけるPd/TiO2触媒によるプロピレン酸化に及ぼすPd 担持濃度の影響を示すグラフである。
【図18】実験例20におけるPd/TiO2触媒によるプロピレン酸化時のH2消費に及ぼすPd 担持濃度の影響を示すグラフである。
【図19】実験例21におけるPd/TiO2触媒によるプロピレン酸化に及ぼすPd 担持濃度の影響 を示すグラフである。
【図20】実験例22におけるPd/TiO2触媒によるプロピレン酸化に及ぼす担体の影響を示すグラフである。
【図21】実験例22におけるPd/TiO2触媒によるプロピレン酸化に及ぼす担体の影響を示すグラフである。
【図22】実験例23におけるPd-Au/TiO2触媒によるプロピレンの酸化反応を示すグラフである。
【図23】実験例23におけるPd-Au/TiO2触媒によるプロピレンの酸化反応時の水素の消費を示すグラフである。
【図24】実験例24におけるin situ 還元と ex situ還元の反応に及ぼす効果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
(a):N2ガス
(b):O2ガス
(c):H2ガス
(d):炭化水素ガス
(e):開閉バルブ
(f):流量制御器
(g):ガス混合器
(h):触媒
(i):ガスサンプリング口
(j):液状生成物捕集器
(k):排気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素および炭化水素と酸素および不活性ガスとの混合物を、室温ないし300℃程度の比較的低温度で常圧にて、耐火性触媒担体に支持された貴金属または卑金属から選択された1種以上の金属からなる触媒と接触させることを特徴とする炭化水素の接触部分酸化法。
【請求項2】
炭化水素を飽和および不飽和炭化水素とすることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
【請求項3】
触媒に支持する貴金属として、パラジウム、白金、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウムを、卑金属としてクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、すず、鉛、ビスマスを何れか1種以上用いたことを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
【請求項4】
触媒の耐火性触媒担体として、シリカ、アルミナ、チタニアなどの酸化物、炭化ケイ素、チッ化ケイ素などの炭化物やケイ化物およびゼオライトや天然の無機化合物などを1種以上用いたことを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の接触部分酸化法。
【請求項5】
ケトン、アルデヒド、酸化オレフィン、アルコールなどの含酸素化合物やベンゼンなどの芳香族化合物を製造することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の接触部分酸化法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−95510(P2010−95510A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79750(P2009−79750)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】