説明

点状対象物の3次元位置決め用の顕微鏡装置および顕微鏡法

【課題】点状対象物の3次元位置決め用の顕微鏡装置と顕微鏡法を提供する。
【解決手段】顕微鏡装置には、点状対象物を、焦点配光40、40’の形態で2つの別個の画像空間に結像する2つの結像光学系26、26’と、且つそれぞれの画像空間で配置された検出面27、27’の検出点にて、分析可能な光点を捕捉する2つの検出ユニット28、28’と、2つの検出面27、27’の検出点を相互にペアで対応させ、且つ2つの光点を分析することによって点状対象物の横方向x−y位置および軸方向z位置を確認する評価ユニットと、が含まれる。2つの結像光学系には、それぞれの検出ユニットの検出面に垂直な検出軸に対して、それぞれの焦点配光を斜めに向ける光学手段が含まれる。2つの焦点配光の傾斜が相互に反対であることにより、点状対象物のz位置の変化に応じて2つの光点が、反対方向にシフトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点状対象物の3次元位置決め用の顕微鏡装置であって、2つの結像光学系、すなわち、対象物空間に位置する同一の点状対象物を、それぞれ焦点配光(focused light distribution、2つの検出ユニット、すなわち、それぞれが、2つの結像光学系の1つに割り当てられ、且つそれぞれの焦点配光を通して、平面断面を表すそれぞれの画像空間に配置された検出面の検出点において分析可能な光点を捕捉する2つの検出ユニットと、評価ユニット、すなわち、2つの検出面の検出点を相互にペアで対応させ、且つこの画像点対応を考慮して2つの交点を分析することによって、対象物空間に存在する対象物平面内における点状対象物の横方向x−y位置、および対象物平面に垂直に配置された光軸の方向における点状対象物の軸方向z位置を確認する評価ユニットと、を有する顕微鏡装置に関する。本発明はまた、点状対象物の3次元位置決め用の顕微鏡法に関する。
【背景技術】
【0002】
個別マーカ、特に蛍光分子の連続した確率的な位置決めを用いることによって、従来の光顕微鏡における回折に誘起された解像限界より小さな試料構造の結像を可能にする光顕微鏡結像方法が、近年開発された。かかる方法は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、非特許文献1および非特許文献2に説明されている。顕微鏡法のこの新しい部門はまた、位置決め顕微鏡法とも呼ばれる。適用される方法は、例えば、(F)PALM((蛍光)光活性化位置推定顕微鏡法)、PALMIRA(取得が独立して実行されるPALM)、GSD(IM)(基底状態抑制(個別分子回帰)顕微鏡法)または(F)STORM((蛍光)確率的光学再構成顕微鏡法)の名称によって文献で知られている。
【0003】
新しい方式は、結像される試料構造の準備が、2つの識別可能な状態、すなわち「明」状態および「暗」状態を有する、一般にマーカと呼ばれる点状対象物の使用を含むことに共通点がある。例えば、蛍光染料がマーカとして使用される場合に、明状態は、マーカが蛍光発光できる状態であり、暗状態は、マーカが蛍光発光できない状態である。
【0004】
好ましい特定の実施形態において、例えば、特許文献6および特許文献1において、光切り替え可能または光活性化可能な蛍光分子が用いられる。代替として、独国審査済明細書の特許文献2におけるように、標準蛍光分子の固有の暗状態が用いられる。
【0005】
結像光学系の従来の解像限界より高い解像度で試料構造を結像するために、マーカの小さなサブセットが、明状態へ繰り返し移される。これには、明状態における、およびしたがって光顕微鏡法によって結像できる状態における隣接マーカ間の平均距離が、結像光学系の解像限界より大きいことを保証する、この活性サブセットを形成するマーカ密度を選択することを必要とする。活性サブセットを形成するマーカは、空間分解光検出器、例えばCCDカメラ上に結像され、その結果、光学系の解像限界によってサイズが決定される光点の形態をした配光は、各点状マーカから記録される。
【0006】
それによって、多数の個別生データ画像が捕捉されるが、そのそれぞれにおいて別の活性サブセットが結像される。次に、各個別生データ画像において、明状態における点状マーカを表す配光の重心位置は、画像分析プロセスにおいて決定される。次に、個別生データ画像から確認された配光の重心位置は、集合画像データ記録の形態をした全体的な表現において一緒にされる。この全体的な表現からもたらされる高度に解像された集合画像は、マーカの分配を反映する。
【0007】
結像される試料構造を典型的に再現するには、十分な数のマーカ信号が検出されることを必要とする。しかしながら、特定の活性サブセットにおけるマーカの数が、明状態における2つのマーカ間の必要な最小平均相互距離によって制限されるので、試料構造を完全に結像できるようにするために、多数の個別生データ画像を記録しなければならない。個別生データ画像の数は、典型的には10,000〜100,000に及ぶ。
【0008】
上記の位置決め顕微鏡法において、光検出器上に生成された個別光点の重心位置は、典型的には単に2次元で決定され、その結果、重心位置の全てから再構成された試料構造の高解像画像も、同様に単に2次元画像である。しかしながら、試料構造を3次元で再構成するのが好ましいであろう。
【0009】
試料において個別点状対象物の3次元位置決定を可能にする関連技術の方法がまた知られている。これに関連して、特許文献7および特許文献8と同様に、非特許文献3および非特許文献4が、例として参照される。特許文献8に説明されている方法は、異なる画像平面における少なくとも2つの画像センサ上の脱焦された画像パターンの分析に基づいている。特許文献7による方法において、光パターンの楕円率は、特別の光学系を用いて分析される。
【0010】
関連技術の方法は、重心決定およびパターン認識用の複雑な画像分析、またはこれらの方法に従って機能する顕微鏡装置の一般的な有用性を制限する特別な光学系を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2006/127692 A2
【特許文献2】DE 10 2006 021 317 B3
【特許文献3】WO 2007/128434 A1
【特許文献4】US 2009/0134342 A1
【特許文献5】DE 10 2008 024 568 A1
【特許文献6】WO 2008/091296 A2
【特許文献7】WO 2009/085218 A1
【特許文献8】US 7,772,569 B2
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“Sub-diffraction-limit imaging by stochastic optical reconstruction microscopy (STORM),” Nature Methods 3,793-796(2006),M. J. Rust,M. Bates,X. Zhuang
【非特許文献2】“Resolution of Lambda/10 in fluorescence microscopy using fast single molecule photo-switching,” Geisler C. et al,Appl. Phys. A,88,223-226(2007)
【非特許文献3】“Three-dimensional tracking of fluorescent nanoparticles with subnanometer precision by use of off-focus imaging,” Optics Letters,2003,vol.28(no.2), Michael Speidel et al
【非特許文献4】“Three-dimensional Particle Tracking via Bifocal Imaging,” Nano Letters,2007,vol.7(no.7), pages 2043-2045,Erdal Toprak,et al
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、点状対象物の簡単な3次元位置決めを可能にする一方で、最小の技術的費用しか必要としない装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、請求項1に記載の顕微鏡装置用のこの目的を、次の点において達成する。すなわち、2つの結像光学系のそれぞれが、それぞれの検出ユニットの検出面に垂直な、それぞれの結像光学系に設けられた検出軸に対して、それぞれの焦点配光を斜めに向ける光学手段を含む点と、光学手段によって生成された2つの焦点配光の傾斜は、画像点対応を考慮し、2つの光点が、そのそれぞれの検出面の点状対象物におけるz位置の変化に応じて反対方向にシフトするような方法で、相互に反対側である点と、評価ユニットが、2つの光点の相対的位置に基づいて点状対象物の軸方向z位置を確認する点と、において達成する。
【0015】
本発明によれば、結像光学系の制限された解像力を考慮して、焦点配光が、(理想化された)点状対象物を結像することによって得られる3次元配光として理解される。本技術分野において、かかる焦点配光は、点広がり関数、一言でいえばPSFとして一般に知られているものの観点から説明されることが多い。
【0016】
したがって、本発明は、3次元焦点配光、すなわち、結像光学系によって生成され、且つその配光を通して点状対象物、例えば蛍光発光分子が2つの検出ユニット上に結像される3次元焦点配光が、それぞれの検出ユニットの検出軸に対して斜めに角度をつけられて、いわば、焦点配光の対称性における破れを達成するようにすることを規定するが、それは、点状対象物を位置決めするために非常に簡単且つ容易に利用可能である。したがって、それぞれの焦点配光の傾斜の結果、それぞれの検出ユニットの検出軸に沿った焦点配光のオフセットは、対応する検出ユニット上で焦点配光によって生成される光点における横方向シフトにつながる。2つの焦点配光の傾斜が相互に反対側なので、対応する光点における前述の横方向シフトは、2つの検出ユニット上で反対側に向けられている。したがって(横方向x−y位置に加えて)、対象物空間における点状対象物の軸方向z位置は、光点のこの反対側に向けられた横方向シフトから決定可能である。それによって、対象物の簡単な3次元位置決めが可能になる。
【0017】
検出ユニット上の2つの光点における上記の反対側に向けられたシフトから点状対象物の3次元位置を推測することができるように、一検出面の検出点と、他の検出面の検出点とのペアの空間的関連が提供される。この関連により、点状対象物の3次元位置を決定するために、2つの光点の位置を相互に比較できるようにする、2つの検出面における検出点の一意の対応が提供される。したがって、本発明による検出点対応はまた、位置決めを可能にする画像の重ね合わせとして理解してもよい。
【0018】
本発明による装置によって、複雑な画像分析の必要もパターン認識の必要もなしに、検出ユニット上に生成された光点を簡単に評価することが可能になる。それによって、技術的に複雑かまたはコスト集約的な特別な光学系を必要とせずに、迅速で理想的にリアルタイム能力のある3次元対象物位置決めが可能になる。
【0019】
この装置は、今まで単に2次元位置決めが一般に可能だった、最初に説明した高解像度位置決め顕微鏡法において用いてもよい。しかしながら、それは、かかる使用に限定されない。したがって、装置はまた、例えば時間の関数としての移動拡散粒子を追跡するために用いられる、例えば、「粒子追跡」と呼ばれる方法において用いてもよい。定義された点状対象物の3次元の位置決定を提供することが目的であるどんな使用も考えられる。単一分子顕微鏡法の言及がまた、ここで例示的になされる。本文脈において、点状対象物は、結像光学系の従来の(回折限界)解像度より空間範囲が小さい全ての対象物として理解されるべきである。
【0020】
評価ユニットは、それぞれの光点の重心位置を取得し、且つ2つの光点の取得された重心位置に基づいて、横方向x−y位置と同様に軸方向z位置を決定するのが好ましい。重心位置は、位置決め顕微鏡法から一般に周知の方法で取得してもよい。重心位置が決定される精度は、光点が検出ユニットによって捕捉される際の信号対ノイズ比に、したがって例えば、点状対象物を形成する蛍光発光分子の検出された光子数に実質的に依存する。位置決め精度は、背景またはノイズ信号を区別および/または除去する適切な画像処理の使用を通して向上させてもよい。とにかく、それぞれの重心位置を決定するプロセスは、特定の光点が単一の点状対象物によって生成されるという知識に基づいている。これによって、結像光学系の解像限界よりはるかに優れた空間精度で対象物の位置を決定することが可能になる。
【0021】
有利な一実施形態において、評価ユニットは、2つの光点の重心位置の中間に基づいて点状対象物の横方向x−y位置を決定する。これによって、並はずれた精度で、対象物空間における対象物の横位置を決定することが可能になる。
【0022】
好ましくは、評価ユニットは、2つの光点の重心位置間の距離に基づいて、点状対象物の軸方向z位置を確認するのが好ましい。2つの検出ユニットの検出面が、光学的に相互に共役である場合、すなわち、同じ対象物平面を結像する場合に、(上記でさらに説明した検出点対応を考慮すると)2つの配光の重心位置間の距離は、対象物平面上の正確な集束を与えられたとすると、ほぼゼロに等しい。検出点対応が、画像の重ね合わせとして理解される場合、重心位置は、この場合には一致する。他方で、脱焦の増加と共に、距離は、2つの焦点配光の反対側の傾斜、すなわち、この脱焦が行われている方向もまた明確に区別できるようにする配光の反対側の傾斜、つまり、2つの検出面が、位置決めされる対象物を含む対象物平面に光学的に共役である画像空間に配置された平面の前または後ろに存在するかどうかによる絶対値の点で増加する。これによって、対象物の軸方向z位置の一意で正確な決定が可能になる。
【0023】
2つの検出ユニットの検出面は、対象物空間の同じ対象物平面に光学的に共役であることが好ましい。これによって、2つの光点の特に簡単な評価が可能になるが、それぞれの検出面における光点の位置は、位置決めされる対象物を含む対象物平面に対する、検出面の焦点状態の関数である。
【0024】
好ましい特定の一実施形態において、本発明による装置は、両方の結像光学系によって共有される記録レンズであって、点状対象物から発する光を、好ましくは平行な光線束へと変換する記録レンズを特徴とし、且つ記録レンズによって生成された光線束を、それぞれの検出ユニット上に2つの光点の1つをそれぞれが生成する2つの部分光線束へと分割するビームスプリッタを特徴とする。ビームスプリッタは、例えば、点状対象物から発する光を、半分は一方の検出ユニットへ、もう半分をもう一方の検出ユニットへ向けるように構成してもよい。この特定の実施形態において、共有記録レンズは、一方の結像光学系の一部としてと同様に、もう一方の結像光学系の一部として見なしてもよい。記録レンズが、対象物から発する光を平行光線束に変換する場合に、記録レンズの下流の結像光学系は、それに割り当てられたビーム経路において非常に柔軟に配置可能である。
【0025】
結像光学系のそれぞれは、それぞれの部分光線束をそれぞれの検出ユニット上に集束するチューブレンズを特徴とするのが好ましい。この場合に、チューブレンズをそれぞれの結像光学系で用い、本発明の方法に従って、斜めに配光に角度をつけてもよい。これは、例えば、次の点で達成可能である。すなわち、チューブレンズが、結像光学系の光軸から横方向にオフセットされ、その結果、焦点配光を生成する部分光線束が、偏心してチューブレンズに当たるという点で達成可能である。かかる偏心した入射の場合に、チューブレンズは、焦点配光の所望の傾斜を生成する。結像ビーム経路の光軸に対する、チューブレンズの横方向オフセットが、可変的に設定可能な場合に、焦点配光の傾斜は、希望通りに変更可能である。この場合に、対応する検出ユニットが、同様に、焦点配光の位置における変化に依存して、検出ユニットを制御できるように空間的に調整可能であるのが有利である。
【0026】
例えば、それぞれの焦点配光に斜めに角度をつけるための光学手段は、それぞれの結像光学系に設けられた光学素子の偏心照明、好ましくは偏心低照明に備えている。したがって、チューブレンズに関連して上記で説明した偏心照明は、焦点配光の所望の傾斜を達成するために、それぞれの結像光学系における任意の他の所望の光学素子用に提供してもよい。低照明は、ここでは、光学素子の入射瞳が、光によって完全には横断されず、どちらかと言えば単に部分的にのみ横断される光入射として理解される。焦点配光の大きさは、かかる低照明によって増加させることができる。可変低照明が特に好ましい。なぜなら、それによって、広範な範囲内で、焦点配光のサイズの調整が可能になるからである。
【0027】
焦点配光における所望の反対側の傾斜はまた、任意の他の所望の方法で実現してもよい。それぞれのビーム経路の光軸から横方向にオフセットされたレンズまたはレンズ群に加えて、例えば、焦点配光の所望の傾斜を生成する非球面のレンズ面を有するレンズもまた用いてもよい。本発明による光学手段はまた、焦点配光の所望の傾斜を達成するために、入射光の波面に影響を及ぼす空間光変調器であってもよい。
【0028】
2つの検出ユニットは、必ずしも別々に実現されたコンポーネントではない。それらはまた、例えば、CCDカメラモジュールにおける2つのサブエリアの形態をした1つのモジュール上に一緒に構成してもよい。これによって、所望の方法で2つの検出ユニットを相互に位置決めするために、それらを調整する必要が除去される。
【0029】
本発明の別の態様は、請求項12に従って点状対象物の3次元位置決め用の顕微鏡法を規定する。
【0030】
本発明による方法は、最初は説明した位置決め顕微鏡法において非常に有益に使用可能である。この場合に、複数の点状対象物が、3次元位置決め用に、それぞれの検出ユニット上に同時に結像される。対象物空間において、点状対象物は、それぞれの検出面において点状対象物を結像する光点を互いに空間的に別々に捕捉できるようにするほど十分に大きい横方向の距離によって離間される。したがって、多数の点状マーカが、単一生データ画像を記録することによって、3次元的に位置決め可能である。複雑な3次元構造もまた、集合画像における一連の個別画像用の確認された重心位置を後で一緒にすることによって、簡単且つ迅速に再構成可能である。
【0031】
図に関連して、本発明を下記で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】検出ユニット上への点状対象物の従来の結像を示すための光顕微鏡の概略図である。
【図2】検出ユニット上への、点状対象物の本発明による結像を示すための図1に対応する光顕微鏡の図である。
【図3】図2による光顕微鏡の検出器側ビーム経路の概略図であり、斜めに角度をつけられた焦点配光の生成を示す。
【図4】異なる焦点状態用の2つの検出ユニットの、本発明による使用を示す概略図である。
【図5】異なる焦点状態用の両方の検出ユニット上における、同じものによって生成された2つの焦点配光および光点を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に従って点状対象物の3次元位置決めを実行できる広視野顕微鏡10が、図2〜4に示されている。特許請求される関連主題の理解に不可欠な顕微鏡コンポーネントだけが、図2〜4のそれぞれに示されている。
【0034】
本発明による位置決めの原理を明確にするために、図2に示す光顕微鏡10は、図1に示す顕微鏡、すなわち、設計において図2による光顕微鏡とかなりの程度まで同一であるが、しかし本発明の方法に従っては機能しない図1に示す顕微鏡と、最初に比較されることになる。図1および2において、同等または相互に対応する顕微鏡コンポーネントは、同じ参照数字によって示されている。
【0035】
図1による従来の方法で動作する広視野光顕微鏡10には、2つの点状対象物14および16から発する光を受信する記録レンズ12が含まれる。点状対象物14および16は、例えば、試料18に存在する蛍光発光分子である。
【0036】
下記は、点状対象物14および16が、どのように試料18内で位置決めされるかを説明する。この位置決めは、軸x、y、zによって図1に示された座標系に関連して行われることになる。横方向x−y位置が、対象物平面、すなわち、試料18によって形成された対象物空間に存在し、且つ図1に示された座標系に関連してx−y平面と平行に配置された対象物平面内の点状対象物14および16用に決定されることが特に意図されている。さらに、それぞれの対象物14、16の軸方向z位置が、前述の対象物平面に垂直な光軸O1の方向において確認されることになる。
【0037】
点状対象物14から発する光は、記録レンズ12によって光線束20に変換される。したがって、記録レンズ12は、点状対象物16から発する光から平行光線束22を形成する。図1に示す例において、点状対象物14が光軸O1上に存在し、その結果、対象物14に関連する光線束20が、光軸O1と平行に伝播すると仮定される。他方において、点状対象物16が、光軸O1から横方向にオフセットされ、その結果、対象物16に関連する光線束22が、光軸O1に対して斜めに伝播すると仮定される。
【0038】
2つの光線束20および22は、ミラー24によってチューブレンズ26上に反射される。チューブレンズ26によって、両方の光線束22および24は、検出ユニット28の検出面27上に集束することが可能になる。2つの点状対象物14および16は、このように、レンズ12およびチューブレンズ26で構成された結像光学系を介して、検出ユニット28の検出面27上に結像される。
【0039】
検出面27は、検出面27の方向に集束する光線束20および22と同様に、拡大図で図1に再び示されて、点状対象物14および16が、試料18内におけるその空間位置に従って、3次元画像空間34の異なる領域30および32に結像されることを明白に示す。したがって、検出ユニット28の検出面27内において、z方向における点状対象物14および16の空間位置に依存して、検出面27上で多かれ少なかれ軸方向に集束された点状対象物14および16の画像が形成される。説明を単純化するために、検出器側でも同様に、試料18に関連する、自身の軸x、y、zを含む座標系が、ここおよびまた下記において参照される。
【0040】
検出面27における光線束20および22の不鮮明さから、点状対象物14および16は、検出面27が光学的に共役である対象物平面の内側または外側に存在するかどうかを推定することが可能である。しかしながら、図1に示す光学的結像の場合に、光線束20および22が、検出面27上に垂直に、すなわち検出面27に垂直に配置された検出軸36の方向で当たるので、点状対象物14および16が、対象物に共役な平面の前または後ろでz方向に存在するかどうかを結論つけることは不可能である。図1による表現から理解可能なように、光線束20および22の脱焦は、すなわち、検出面27の前または後ろにおけるシフトに対して対称的に振る舞う。
【0041】
上記の説明から、次のような結果になる。すなわち、図1に示す結像の場合に、横方向位置決定は、実際に、x−y平面と平行な対象物平面において可能であるが、しかしながら位置決定は、光線束20および22によって生成された焦点配光がz方向において対称的であるので、z方向では可能でないという結果になる。z方向における決定を含む3次元の位置決定用に、いわば、図2による例示的な実施形態に関連して下記で明確にする、焦点配光の対称性の破れが必要とされる。
【0042】
図2による発明的な光顕微鏡10は、図1に示す顕微鏡と同じコンポーネントを本質的に特徴とする。しかしながら、光顕微鏡10が、図2に示す検出ユニット28を含むだけではなく、例えば、以下でさらに明確にされる、図4に由来するような、設計においてほぼ同一の別の検出ユニットもまた含むことがここで注目される。したがって、図2による表現は、図1による従来の構成との差を際立たせるために単純化されている。
【0043】
図2に示すアプローチの重要な特徴は、点状対象物14および16から発する光線束20および22が、検出ユニット28の検出軸36に対して斜めに角度をつけられた焦点配光40、42を画像空間34にそれぞれ生成する点に存在する。図2による表現から推測可能なように、焦点配光40および42は、同様に対角線として特徴づけることができる、検出軸36に対する経路を示す。焦点配光40および42のこの対角線形状は、チューブレンズ26が、チューブレンズ26の方向へミラー24によって偏向される光軸O1から横方向にオフセットされる点において、図2による例示的な実施形態で達成される。チューブレンズ26のこの横方向オフセットの結果、チューブレンズ26は、光線束20、22によって偏心して横断される。
【0044】
これは、図1に示す実例と比較して、光軸O1上に位置する対象物14から発して光軸O1と平行に伝播する光線束20によって最もよく認識され得る。図1に示す従来の構成において、光線束20は、チューブレンズ26の光軸と軸方向に対称的に配置される。図2によるアプローチにおいて、チューブレンズ26に対するビーム20の軸対称は、破られている。この実際の状況は、図3による表現で再び示されている。図3は、a)の下で、光線束20が、どのようにチューブレンズ26を通して検出面27上に集束されるかを示し、一方でb)の下で、光線束20から発する焦点配光40をx−z平面において示し、且つc)の下で、チューブレンズ26の入射瞳44の偏心低照明をx−y平面において示す。
【0045】
図3のc)から推測可能なように、チューブレンズ26の入射瞳44は、ビーム20によって完全には照明されない。むしろ、光線束20が、入射瞳44の中央からx方向にオフセットされた、入射瞳44の部分領域だけを通過するような方法で、低照明が提供される。その結果は、b)の下で示すように、画像空間34においてx−z平面に対角線的に延びる焦点配光40の形状である。
【0046】
上記でさらに説明したように、記録レンズ12とチューブレンズ26との間を伝播する2つの光線束20および22は、平行光ビームを形成する。しかしながら、結像ビーム経路のこのエリアにおいて、光線束20、22は、必ずしも平行光ビームではない。例えば、チューブレンズ26の瞳平面が、記録レンズ12の瞳平面の共役平面であるような方法で、光学的結像を構成することが同様に考えられる。
【0047】
したがって、図2に示す構成において、チューブレンズ26は、上記の方法で非対称的に、不十分に照明される。そのために、チューブレンズ26は、光軸O1から横方向にオフセットされる。しかしながら、チューブレンズ26の非対称な不十分な照明を実現するために、ビーム20および22の案内自体を同様にオフセットしてもよい。そのために、例えば、傾斜ミラーなどの特別のビーム案内コンポーネントをビーム経路に挿入してもよい。
【0048】
図2および3に示すチューブレンズ26の非対称低照明はまた、単に例として理解すべきである。しかしながら、図2および3に示す焦点配光40および42の対角線形状を生成する他の手段もまた考えられる。所望の焦点配光を同様に生成できる非球面レンズの使用または空間光変調器の使用が例として参照される。
【0049】
既に上記でさらに言及したように、本発明による光顕微鏡10は、図2に示す検出ユニット28だけでなく、図4に28’で示された別の検出ユニットも特徴とする。したがって、検出ユニット28’に割り当てられるさらなるチューブレンズ26’が設けられる。したがって、チューブレンズ26は、記録レンズ12と一緒に、第1の結像光学系を形成する。したがって、第2の結像光学系が、記録レンズ12およびチューブレンズ26’によって提供される。
【0050】
図4は、ビームスプリッタ50によって第1の部分光線束52および第2の部分光線束52’ に分割される光線束20を例示的に示す。第1の光線束52は、チューブレンズ26を通過し、次に焦点配光40を生成する。したがって、第2の光線束52’は、チューブレンズ26’を通過し、焦点配光40’を生成する。
【0051】
異なる2つの焦点状態が、a)およびb)の下で図4に示されている。したがって、a)の下において、焦点配光40および40’が、大部分は、それぞれの検出面27、27’の下流にそれぞれ構成されることが分かる。他方では、b)の下で示す焦点状態において、焦点配光40および40’は、大部分は、それぞれの検出面27、27’の上流にそれぞれ構成される。
【0052】
図5は、2つの焦点配光40および40’が、例示的な本実施形態において、x−z平面と平行な断面図に傾斜して配置されることをa)の下で示す。図5においてI、IIおよびIIIによって示され、且つそれぞれ対応する焦点配光40、40’に対して、検出面27、27’の所定の空間位置によってそれぞれ区別される3つの異なる焦点状態が示されている。図5は、各場合においてそれぞれ対応する検出面27、27’における、a)の下で示した3つの焦点状態I、IIおよびIII用の焦点配光40、40’を生成する光点54、54’をb)の下でそれぞれ示す。光点54および54’は、x−y平面と平行な、それぞれの焦点3次元配光40、40’を通して平面断面を表す2次元配光をそれぞれ形成する。
【0053】
検出面27および27’に生成された光点54および54’に基づく点状対象物14の軸方向z位置とともに、横方向x−y位置を決定するために、光点54および54’が記録される両方の検出面27および27’の検出点(例えば、CCD画像センサの個別画像素子)が、相互にペアとして対応するように設定される。それによって、検出面27’の検出点が、検出面27の各検出点に一意に割り当てられる。かかる検出点対応は、検出面27および27’上で生成された対象物画像の重ね合わせに実質的に対応する。
【0054】
図5のa)のもとで示す3つの焦点状態I、IIおよびIIIは、試料12内における点状対象物14の3つの異なるz位置の特徴を反映する。図5に示す例において、焦点状態Iにおける焦点配光40および40’は、大部分は、それぞれ対応する検出面27、27’の後ろに存在する。したがって、光点54および54’は、それぞれ対応する検出面27、27’におけるx方向において、それぞれ下方、上方に移動される。他方で、焦点状態IIにおいて、焦点配光40および40’は、それぞれの重心と一緒に、それぞれ対応する検出面27、27に直接位置する。したがって、光点54および54’は、それぞれ検出面27、27’の中心に位置する。最後に、焦点状態IIIにおける焦点配光40および40’は、主に、検出面27、27’の前にそれぞれ存在する。したがって、光点54は、検出面27の上方へ移動され、光点54’は、検出面27’の下方に移動される。
【0055】
本例において、焦点配光40および40’の逆相関は、光点54および54’にそれぞれ割り当てられた検出面27、27’のx軸に沿って光点54および54’の、反対側に向けられたシフトを誘起する。例えば、焦点状態Iにおける場合のように、光点54が、検出面27の負方向(図5における下方)でx軸に沿ってシフトされる場合に、光点54’は、検出面27’の正方向(図5における上方)でx軸に沿って移動される。正確には、焦点状態IIIにおいて逆も真であり、一方で焦点状態II、すなわち、結像光学系の解像限界の文脈において、点状対象物14の最適に鮮明な結像を検出面27および27’上に示すように意図されている焦点状態IIにおいて、2つの光点54および54’のそれぞれは、それぞれの検出面27、27’の中心にそれぞれ位置する。
【0056】
点状対象物14を3次元において位置決めするために、両方の光点54および54’の重心位置が、最初に確認される。次に、対象物14の横方向x−y位置を決定するために、光点54および54’の重心位置の中間が決定される。図5による例から推測可能なように、両方の光点54および54’における重心位置の中間は、3つの全ての焦点状態I〜IIIに対して同じである。したがって、この中間は、それぞれの検出面27、27’の中心に正確にそれぞれ対応する(最適な焦点状態IIにおいて、中心は、既に、両方の光点54および54’の重心位置と一致している)。したがって、最適な焦点状態IIだけでなく、他の両方の焦点状態IおよびIII、すなわち、検出面27および27’が、位置決めされる対象物が位置している対象物平面に対して正確には光学的に共役ではない焦点状態IおよびIIIにおいても、横方向x−y位置を正確に決定することが可能である。
【0057】
次に、軸方向z位置は、2つの光点54および54’の予め確認された共有中心点からの2つの光点54および54’の距離に基づいて決定される。これは、位置決めされる対象物のz位置が、特に2つの光点54および54’の相対的相互距離の相対的位置に基づいて確認されることを意味する。図5による表現から推測可能なように、3つの図示の焦点状態I、IIおよびIII用のこの相対的相互距離は、焦点状態の基となる、位置決めされる対象物の様々なz位置を反映する異なる値に帰着する。図5に示す例に関して、光学焦点状態IIにおける2つの光点54および54’間の相対的距離は、理想的に値0を生成し、一方で2つの他の焦点状態IおよびIIIに関して、それは、絶対値の点からは多かれ少なかれ同じであり得るが、しかしその演算符号によって互いに異なる可能性がある値を生成する。いずれにせよ、対象物のz位置における一意の決定が可能である。
【0058】
図2に示す光顕微鏡10が、上記で明確にした光点54および54’を評価するための評価ユニット60を特徴とすることにもまた留意されたい。この評価ユニット60は、点状対象物の位置決め用に用意された全ての演算を実行する。したがって、例えば、評価ユニット60は、検出点対応、重心位置の決定、および最後に横方向x−y位置と同様に軸方向z位置の計算を行うために、上記の画像重ね合わせを引き受ける。
【0059】
単一の対象物だけでなく多数の対象物がまた、上記の方法で同時に位置決めされることが自明である。これに関連して、単一の点状対象物からそれぞれが生じる、検出面27および27’上に生成される光点が、互いに空間的に分離可能であることに単に留意されたい。
【符号の説明】
【0060】
10 光顕微鏡
12 記録レンズ
14、16 点状対象物
18 試料
20、22 光線束
26、26’ チューブレンズ
27、27’ 検出面
28、28’ 検出ユニット
30、32 画像フレームの領域
34 画像空間
36 検出軸
40、40’、42、42’ 焦点配光
44 入射瞳
50 ビームスプリッタ
52、52’ 部分光線束
54、54’ 光点
O1 光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
点状対象物(14、16)の3次元位置決め用の顕微鏡装置(10)であって、2つの結像光学系(12、26、26’)と、2つの検出ユニット(28、28’)と、評価ユニット(60)とを備えて構成され、
前記2つの結像光学系は、対象物空間(18)に位置する同一の点状対象物(14、16)を、それぞれ焦点配光(40、40’、42、42’)の形態で2つの別個の画像空間(34)に結像するものであり、
前記2つの検出ユニットは、前記2つの結像光学系(12、26、26’)の1つにそれぞれ割り当てられ、且つ前記それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)を通して、平面断面を表す前記それぞれの画像空間(34)に配置された検出面(27、27’)の検出点に、分析可能な光点(54、54’)を捕捉するものであり、
前記評価ユニットは、前記2つの検出面(27、27’)の前記検出点を相互にペアで対応させ、且つこの画像点対応を考慮して2つの光点(54、54’)を分析することによって、前記対象物空間(18)に存在する対象物平面内の前記点状対象物(14、16)の横方向x−y位置、および前記対象物平面に垂直に配置された光軸(O1)の方向における前記点状対象物(14、16)の軸方向z位置を確認するものであり、
前記2つの結像光学系(12、26、26’)のそれぞれが、前記それぞれの結像光学系(12、26、26’)に設けられ且つ前記それぞれの検出ユニット(28、28’)の前記検出面(27、27’)に垂直に配置された検出軸(36)に対して、前記それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)を斜めに向ける光学手段(26、26’)を含み、
前記光学手段(26、26’)によって生成された前記2つの焦点配光(40、40’、42、42’)の傾斜が相互に反対であって、前記検出点対応を考慮すると、前記2つの光点(54、54’)がそれらの前記それぞれの検出面(27、27’)における前記点状対象物(14、16)のz位置の変化に応じて反対方向にシフトしており、
前記評価ユニット(60)が、前記2つの光点(54、54’)の相対的位置に基づいて、前記点状対象物(14、16)の前記軸方向z位置を確認する、顕微鏡装置(10)。
【請求項2】
前記評価ユニット(60)が、前記それぞれの光点(54、54’)の重心位置を取得し、且つ前記2つの光点(54、54’)の取得された重心位置に基づいて、横方向x−y位置と軸方向z位置を決定する、請求項1に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項3】
前記評価ユニット(60)が、前記2つの光点(54、54’)の前記重心位置の中間に基づいて前記点状対象物(14、16)の前記横方向x−y位置を決定する、請求項2に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項4】
前記評価ユニットが、前記2つの光点(54、54’)の前記重心位置間の距離に基づいて、前記点状対象物(14、16)の前記軸方向z位置を確認する、請求項2または3に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項5】
前記2つの結像光学系(26、26’)の前記検出面(27、27’)が、前記対象物空間(18)における同じ対象物平面に光学的に共役である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項6】
両方の結像光学系(12、26、26’)によって共有され、且つ前記点状対象物(14、16)から発する光を、好ましくは平行な光線束(20、22)へと変換する記録レンズ(12)と、
前記記録レンズ(12)によって生成された前記光線束(20、22)を、前記それぞれの検出面(27、27’)上に前記2つの光点(54、54’)の1つをそれぞれが生成する2つの部分光線束(52、52’)へと分割するビームスプリッタ(50)と、を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項7】
前記結像光学系(12、26、26’)のそれぞれが、前記それぞれの部分光線束(52、52’)を前記それぞれの検出面(27、27’)上に集束するチューブレンズ(26、26’)を含む、請求項6に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項8】
前記それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)に斜めに角度をつけるための前記光学手段(26、26’)が、偏心照明、好ましくは前記それぞれの結像光学系(12、26、26’)に設けられた光学素子(26、26’)の偏心低照明のために好ましくは備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項9】
前記それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)に斜めに角度をつけるための前記光学手段が、非球面レンズ面を有するレンズである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項10】
前記それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)に斜めに角度をつけるための前記光学手段が、空間光変調器である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項11】
前記2つの検出ユニット(28、28’)が、1つのモジュール上に一緒に構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(10)。
【請求項12】
点状対象物(14、16)の3次元位置決め用の顕微鏡法であって、
対象物空間(18)に位置する同一の点状対象物(14、16)が、焦点配光(40、40’、42、42’)の形態で、2つの別個の画像空間(34)に結像され、
分析可能な光点(54、54’)が、それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)を通して、平面断面を表すそれぞれの画像空間(34)に配置された検出面(27、27’)の検出点にて捕捉され、
2つの検出面(27、27’)の検出点が、相互にペアで対応させられ、
前記検出点対応を考慮して前記2つの光点(54、54’)を分析することによって、前記点状対象物(14、16)の横方向x−y位置が、前記対象物空間(18)に存在する対象物平面内で確認され、前記点状対象物(14、16)の軸方向z位置が、前記対象物平面に垂直に配置された光軸(O1)の方向において確認され、
前記それぞれの焦点配光(40、40’、42、42’)が、前記それぞれの検出面(27、27’)に垂直に配置された検出軸(36)に対して斜めに向けられ、
前記検出点対応を考慮すると、前記2つの光点(54、54’)が、それらのそれぞれの検出面(27、27’)における前記点状対象物(14、16)のz位置の変化に応じて反対方向にシフトするように、前記2つの焦点配光の傾斜が相互に反対であり、
前記点状対象物(14、16)の前記軸方向z位置が、前記2つの光点(54、54’)の相対的位置に基づいて確認される、顕微鏡法。
【請求項13】
複数の点状対象物(14、16)が、それぞれ、3次元位置決め用にそれぞれの検出面(27、27’)上に同時に結像され、且つ前記対象物空間(18)にて、前記点状対象物(14、16)が、前記それぞれの検出面(27、27’)に前記点状対象物(14、16)を結像する前記光点(54、54’)を、互いに空間的に別々に捕捉できるようにするほど十分に大きい横方向の距離によって離間される、請求項12に記載の顕微鏡法。
【請求項14】
前記点状対象物(14、16)が、明状態と暗状態との間で切り替え可能な対象物、特に蛍光発光分子である、請求項13に記載の顕微鏡法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57938(P2013−57938A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−191312(P2012−191312)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】