説明

無人車両の走行システムおよびその走行制御方法

【課題】両側積込みで無人車両に走行指令を与えるに際して、左右の判断や左右指示ボタンによる操作を不要とし、作業性を向上させる。また、両側積込みで積込み点の位置を設定するに際して、左右の判断や左右指示ボタンによる操作を不要とし、作業性を向上させる。
【解決手段】両側積込みで無人車両に走行指令を与えるに際して、走行指令が指示されたときの作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する。また、両側積込みで積込み点の位置を設定するに際して、積込み点の位置設定が指示されたときの作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人車両の走行システムおよびその走行制御方法に関し、特に、無人車両を、積込機が存在する積込み点まで走行経路に沿って走行させる無人車両の走行システムおよびその走行制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
採石現場、鉱山などの広域の作業現場では、土砂運搬作業を行なうに際して、オフロードダンプトラックを運転する作業者の疲労による事故の回避、省人化、作業時間の延長による生産性の向上を図ることが求められる。そこで、有人の車両、たとえば有人のオフロードダンプトラックの代わりに無人のオフロードダンプトラックを稼動させるための無人車両の走行システムが導入されている。オフロードダンプトラックは、ディーゼルエンジンを動力として車輪を駆動し走行するものや、ディーゼルエンジンを駆動して発電機を作動させ、発電した電力によって電動モータを駆動し、電動モータの駆動力を車輪に伝達させて走行するものがある。
【0003】
オフロードダンプトラックが走行する作業現場には、積込場、排土場などの各エリアがある。これら各エリアが、ホールロードと呼ばれる整備された搬送路やアクセスロードと呼ばれるホールロードから各エリアへの引込み線や交差点により接続されている。
【0004】
エリアの一つである積込場は、オフロードダンプトラック(本発明では、無人車両という)へ土砂を積み込む作業を行う場所であり、ショベル(例えば油圧ショベル)、バックホー、ホイールローダといった作業車両(本発明では、積込機という)による掘削作業および無人車両への土砂等の積荷の積み込み作業が行なわれる。
【0005】
(片側積込み)
図12は、積込場1において、片側積込みを行う場合を示している。片側積込みとは、同図12に示すように、積込場1の入口点11から積込機30が存在する積込み点12まで無人車両20を走行させるための走行経路10が生成され、生成された走行経路10に沿って無人車両20が走行制御され、積込み点12において、積荷が積込機30によって積み込まれる積込み作業である。つまり、片側積込みとは、積込機30に対して左右いずれかの片側に無人車両20が走行してきて、積込み作業中は積込み点12で停車する積込み作業である。ここで、走行経路10は、入口点11から待機点14までの経路および待機点14から積込み点12までの経路である最終アプローチ16を含む。積込み点12から出口点15までの経路を出口コース17(17L、17R)と称するものとする。
【0006】
積込機30は、例えば油圧ショベルであって、履帯を有した下部走行体30Aと左右に旋回可能な上部旋回体30Bを有している。上部旋回体30Bには、ブーム、アーム、バケットを備えた作業機30Cが結合されており、作業機30Cを動作させることで土砂等をすくい上げ、無人車両20に積込み作業を行う。つまり、積込み点12とは、無人車両20に備えられたベッセル(積荷を積載するもの)と積込機30のバケットとの位置を示す。なお、片側積込みの形態として、積込機30の前方に無人車両20が走行してきて、積込み作業を行う形態も、片側積込みの一形態である。
【0007】
この場合、無人車両20は、入口点11から積込み点12の近傍の待機点14、スイッチバック点13を経由して積込み点12に至る。待機点14とは、無人車両20が積込機30からの指示を受けるまで停止して待機する場所である。また、待機点14は、無人車両20が、前進走行で走行してきた後に積込み機30の積込み点12へ後進走行でアプローチ(進入)するためにスイッチバック動作を行う、スイッチバック点13にもなりえる点である。ただし、積込みの形態によっては、必ずしもスイッチバックは必要ではない。たとえば、入口点11から積込機30に向かって円弧を描いて積込み点12に至る場合もある。また、上記のようにスイッチバック点13が待機点14に一致することもある。
【0008】
積込機30は、上部旋回体30Bに取り付けられた作業機30Cによって、積込場1の切羽1aを掘削する。切羽1aは、鉱山などの作業現場の崖などが想定される。そして、積込機30のオペレータが図示しない操作レバーを操作することにより、下部走行体30Aに対して上部旋回体30Bを旋回させて作業機30Cを積込み点12に位置させ、積荷を無人車両20に積み込む。
【0009】
積込み作業が完了すると、無人車両20は、走行指令に応じて積込み点12から離れ、積込場1の出口点15に向かって走行する。
【0010】
こうした一連の作業を行う際に、積込機30のオペレータは、無人車両20に対して以下のような指示を与える。なお、無人車両走行システムでは、オペレータの指示内容は、図示しない管制装置に無線通信により送信され、管制装置から無人車両20に対して無線通信を介して走行指令が与えられる。オペレータの指示は、積込機30の運転室内部に設けられたスイッチやボタンをオペレータが操作することにより、操作に応じた指示(電気信号)が無線通信可能な無線信号に変換されて、積込機30に備えられた通信装置を用いて管制装置に無線通信可能である。
【0011】
a)積込み点12の位置設定の指示
積込機30が走行し移動することにより、あるいは作業機30Cの旋回停止位置が変わることにより、積込み点12は逐次変動する。
【0012】
積込み点12の位置設定の指示は、オペレータの操作によって、作業機30Cのに取り付けられたバケットを所望する地点に位置させ、オペレータが作業機30Cの運転室内部に設けられた「スポットボタン」を押すことにより行われる。積込み点12の位置設定が指示されると、作業機30Cのバケット位置を積込み点12の位置として、管制装置で、無人車両20が積込み点12に至る走行経路10が生成される。
【0013】
b)積込み点12への進入の指示
無人車両20は、上記のように待機点14に停止している間、積込み点12への進入の指示がなければ待機点14から積込み点12までの区間を走行することができない。なお、待機点14から積込み点12までの走行経路を「最終アプローチ16」という。積込み点12への無人車両20の進入の指示は、オペレータが積込機30の運転室に設けられた「カムインボタン」を押すことにより行われる。「カムインボタン」が押されることにより発生する電気信号をもとに積込機30に搭載された通信装置が無線信号(進入の指示を示す信号)を無人車両20へ送信し、無人車両20は、その無線信号を無人車両20に搭載された通信装置で受信する。このように、無人車両20が積込み点12への進入の指示を受けると、無人車両20は、待機点14から最終アプローチ16に沿って積込み点12まで走行する。
【0014】
c)積込み点12から退避の指示
積込み作業が完了すると、次に積込場1に進入してくる無人車両20への積荷の積込み作業を行なうべく、現在、積込み点12にいる無人車両20を積込み点12から退避させる必要がある。積込み点12からの退避の指示は、オペレータが積込機30の運転室内部に設けられた「ゴーボタン」を押すことにより行われる。無人車両20は、積込み点12からの退避の指示を受けると、無人車両20は、積込み点12から離れ、積込場1の出口点15に向けて走行する。この無人車両20の退避の指示も、上記の進入の指示と同様に、積込機30と無人車両20との無線通信により実行される。
【0015】
以下、同様に、次に積込場1に進入してくる無人車両20に対して、処理が行われる。積込機30の移動などにより積込み点12が変動せず走行経路10が変動しない限りは、積込機30のオペレータは「スポットボタン」の操作が不要であり、「カムインボタン」、「ゴーボタン」のボタン操作を繰り返すだけで、連続して各無人車両20に対する積込み作業を行うことができる。
【0016】
しかしながら、片側積込みでは、次に積込み点12に向う無人車両20の待ち時間が増加し、生産性が低くなるという問題がある。そこで、積込み点12に向う無人車両20の待ち時間が小さく、生産性の向上が期待できる「両側積込み」が広く採用されている。
【0017】
(両側積込み)
図1は、積込場1において、両側積込みを行う場合を示している。両側積込みでは、積込み点12について、左積込み点12L(左積)、右積込み点12R(右積)が設定される。両側積込みの場合の走行経路10は、片側積込みの場合の走行経路10と同様に定義される。ただし、説明の便宜上、走行経路10、積込み点12、最終アプローチ16、出口コース17について「左」、「右」を区別するときは、符号に「L」、「R」を付することにする。
【0018】
左積込み点12Lは、積込機30に対する無人車両20の進入方向が左方向となる積込み点のことであり、右積込み点12Rは、積込機30に対する無人車両20の進入方向が右方向となる積込み点のことである。両側積込みとは、積込機30に対して左右に無人車両20を進入させて、より連続的に積込み作業を行うことで無人車両20の待ち時間を減少させ生産性を高める積込み作業である。
【0019】
両側積込みでは、積込機30のオペレータは、無人車両20に対して以下のような指示を与える。オペレータの指示内容は、無線信号によって図示しない管制装置に送信され、管制装置から無人車両20に対して無線信号により走行指令として与えられる。
【0020】
a)左積込み点12L、右積込み点12Rの位置設定の指示
積込機30の運転室内部には、左積込み点12L(左積)、右積込み点12R(右積)を指示する「左右指示ボタン」が設けられている。「左右指示ボタン」は、左指示用あるいは右指示用として別個に設けてもよいし、一つのトグルスイッチで左右の指示が行えるようなものであっても良い。オペレータは、作業機30Cのバケットを所望する変更積込み点に位置させるように操作レバーを操作して、上部旋回体30Bや作業機30Cを動作させる。その後、オペレータは、「左右指示ボタン」を押して、無人車両20の積込み点12を設定したい側(走行経路10を生成したい側)を選択する。さらに作業機30Cのバケットを積込み点の位置として指定すべく、オペレータは「スポットボタン」を押し、積込み点12の位置設定を指示する。たとえば、「左右指示ボタン」によって「左積」が指示されたものとすると、「スポットボタン」が押されたときの作業機30Cのバケット位置が左積込み点12Lの位置として設定される。そして、設定された左積込み点12Lに至る新たな走行経路10Lが管制装置によって生成される。
【0021】
b)左積込み点12L、右積込み点12Rへの進入の指示
オペレータは、「左右指示ボタン」を押して、進入すべき側の積込み点12を選択する。さらに「カムインボタン」を押して、その選択された側の積込み点12への進入を指示する。たとえば、「左右指示ボタン」によって「左積」が指示されたものとすると、「左積込み点12L」に至る走行経路10Lに存在する無人車両20に対して走行指令が与えられ、無人車両20は、待機点14から最終アプローチ16Lを経て左積込み点12Lまで走行する。
【0022】
c)左積込み点12L、右積込み点12Rから退避の指示
積込機30のオペレータは、「左右指示ボタン」押して、無人車両20が退避すべき側の積込み点12を選択する。さらに「ゴーボタン」を押して、その選択された側の積込み点12からの無人車両20の退避を指示する。たとえば、「左積」が指示されたものとすると、「左積込み点12L」に存在する無人車両20に対して走行指令が与えられ、無人車両20は、左積込み点12Lから離れ、出口コース17Lを経て積込場1の出口点15に向けて走行する。
【0023】
なお、特許文献1には、積込機が移動する毎に積込み点の位置を自動的に求めて、無人車両が、その積込み点に至ることができる走行経路を生成するという発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平8−263138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
鉱山等における積込機30による無人車両20への積荷の積込み作業の形態である両側積込みは、片側積込みと比較して生産性の向上が期待できる。
【0026】
しかし、両側積込みでは、
a)積込機30のオペレータは、無人車両20に走行指令(進入指令、退避指令)を与える際に常に積込機30に対して「左」、「右」の別を判断し、「左」、「右」の別を指示しなければならず、その左右の判断や左右指示ボタンによる操作が煩雑なものとなっている。すなわち、積込機30のオペレータは無人車両20に対して走行指令を与える際に、走行指令を与えようとしている無人車両20の積込機30に対する積み込み位置が、左であるか右であるかを判断して、「左右指示ボタン」を押さなければならず、オペレータの作業性が低下する要因となっている。旋回動作する上部旋回体を備えた積込機30のような場合、オペレータは旋回動作による、「左」、「右」の判断を運転席外部の景色から判別しなければならない。
【0027】
b)積込機30のオペレータは、積込み点12の位置を設定する毎に常に「左」、「右」の別を判断し、「左」、「右」の別を指示しなければならず、その左右の判断や左右指示ボタンによる操作が煩雑なものとなっている。すなわち、オペレータは積込み点12の位置を設定する毎に左であるか右であるかを判断して、「左右指示ボタン」を押さなければならず、オペレータの作業性が低下する要因となっている。やはり、旋回動作する上部旋回体を備えた積込機30のような場合、オペレータは旋回動作による、「左」、「右」の判断を運転席外部の景色から判別しなければならない。
【0028】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、両側積込みで無人車両に走行指令を与えるに際して、左右の判断や左右指示ボタンによる操作を不要とし、オペレータ作業性を向上させることを第1の解決課題とするものである。
【0029】
また、本発明は、両側積込みで積込み点の位置を設定するに際して、左右の判断や左右指示ボタンによる操作を不要とし、作業性を向上させることを第2の解決課題とするものである。
【0030】
なお、特許文献1は、両側積込みを前提とするものではなく、また両側積込みで問題となる上記の点については何ら言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0031】
第1発明は、
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
左右積込み点への無人車両の進入方向の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きと、境界線の方向とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
走行指令を指示する走行指令指示手段と、
走行指令指示手段によって走行指令が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点で積込みを行うべき無人車両に対して、走行指令を与える走行制御手段と
が備えられていることを特徴とする。
【0032】
第2発明は、
積込場の積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
積込場の形状と積込機の位置の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
走行指令を指示する走行指令指示手段と、
走行指令指示手段によって走行指令が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点で積込みを行うべき無人車両に対して、走行指令を与える走行制御手段と
が備えられていることを特徴とする。
【0033】
第3発明は、
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムに適用される走行制御方法において、
積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成ステップと、
走行指令を指示する走行指令指示ステップと、
走行指令が指示されたときの作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別ステップと、
判別された側の積込み点で積込みを行うべき無人車両に対して、走行指令を与える走行制御ステップと
を含むことを特徴とする。
【0034】
第4発明は、第1発明、第2発明、第3発明において、
走行指令は、無人車両を積込み点に進入させる走行指令または無人車両を積込点から退避させる走行指令であることを特徴とする。
【0035】
第5発明は、
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
左右積込み点への進入方向の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
積込み点の位置を指定して積込み点の位置設定を指示する積込み点位置設定指示手段と、
積込み点位置設定指示手段によって積込み点の位置設定が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点の位置を、指定した位置に設定し、設定した積込み点までの走行経路を生成する走行指令生成手段と
が備えられていることを特徴とする。
【0036】
第6発明は、
積込場の積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
積込場の形状の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
積込み点の位置を指定して積込み点の位置設定を指示する積込み点位置設定指示手段と、
積込み点位置設定指示手段によって積込み点の位置設定が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点の位置を、指定した位置に設定し、設定した積込み点までの走行経路を生成する走行指令生成手段と
が備えられていることを特徴とする。
【0037】
第7発明は、第5発明または第6発明において、
積込み点の位置が変更される毎に、境界線を生成し直すことを特徴とする。
【0038】
第8発明は、
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への進入方向が、積込機の作業機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムに適用される走行制御方法において、
積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成ステップと、
積込み点の位置を指定して積込み点の位置設定を指示する積込み点位置設定指示ステップと、
積込み点の位置設定が指示されたときの作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別ステップと、
判別された側の積込み点の位置を、指定された位置に設定し、設定した積込み点までの走行経路を生成する走行指令生成ステップと
を含むことを特徴とする。
【0039】
第9発明は、第8発明において、
積込み点が変更される毎に、境界線を生成し直すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
第1発明〜第4発明は、第1の解決課題を解決する発明であり、両側積込みで無人車両に走行指令を与えるに際して、無人車両に走行指令が指示されたときの積込機の作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するようにしたので、オペレータによる左右の判断や左右指示ボタンによる操作が不要となり、作業性が飛躍的に向上する。
【0041】
第5発明〜第9発明は、第2の解決課題を解決する発明であり、両側積込みで積込み点の位置を設定するに際して、積込み点の位置設定が指示されたときの積込機の作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するようにしたので、オペレータによる左右の判断や左右指示ボタンによる操作が不要となり、作業性が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、積込場の上面図である。
【図2】図2は、実施形態の車両走行システムのブロック図である。
【図3】図3は、積込機の入力装置の構成の詳細を示した図である。
【図4】図4(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の走行制御システムで行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、境界線の生成処理を説明する図である。
【図6】図6は、無人車両を積込み点に進入させる走行指令を指示する場合の処理を説明する図である。
【図7】図7は、無人車両を積込み点から退避させる走行指令を指示する場合の処理を説明する図である。
【図8】図8は、反対側の無人車両を積込み点に進入させる走行指令を指示する場合の処理を説明する図である。
【図9】図9は、積込み点の位置設定を指示する場合の処理を説明する図である。
【図10】図10は、積込場の形状の情報に基づいて、境界線を生成する処置を説明する図である。
【図11】図11は、積込み点の位置を設定する場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、片側積込みを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1の実施例)
以下、図面を参照して本発明に係る無人車両の走行システムおよびその走行制御方法の実施の形態について説明する。なお、本実施形態では、車両として無人のオフロードダンプトラック(本明細書では、無人車両という)を想定している。また、積込機として、有人のショベル(例えば油圧ショベル)を想定している。なお、ショベルのみならず、バックホー、エクスカベータ、ホイールローダなどの他の種類の積込機にも当然本発明を適用することができる。
【0044】
図1は、積込場1を上面からみた図である。
【0045】
採石現場、鉱山などの広域の作業現場には、積込場、排土場、給油所、駐機所といった各エリアがある。これら各エリアは、ホールロードと呼ばれる整備された搬送路やアクセスロードと呼ばれるホールロードから各エリアへの引込み線や交差点により、相互に接続されている。
【0046】
各エリアの一つである積込場は、無人車両へ土砂を積み込む作業を行う場所である。積込み場で、ホイールローダ、バックホー、ショベルといった積込機による掘削作業が行われ、無人車両への土砂の積み込み作業が行なわれる。
【0047】
例えば、ショベルとして構成された積込機30は、下部走行体30Aに対して上部旋回体30Bが旋回自在となっている。下部走行体30Aは、無限軌道である履帯を駆動させて積込機30を走行させるものや、タイヤを駆動させて積込機30を走行させるものである。積込機30は、上部旋回体30Bに取り付けられた作業機30Cによって、積込場1の切羽1aを掘削する。作業機30Cはブーム、アーム、バケットを備えたものであって、図示しない油圧シリンダを用いてブーム、アーム、バケットを動作させるものである。なお、作業機30Cの形態は、油圧シリンダの伸縮に応じてブーム、アーム、バケットを動作させるのではなく、ワイヤーケーブルを巻き上げあるいは巻き戻してブーム、アーム、バケットを動作させるものであってもよい。また、作業機30Cにアームを備えずに、ブームの先端からクラムシェルバケットをワイヤでつるようなものであってもよい。上部旋回体30Bには、運転席が設けられ、運転席内部に備えられた、操作レバーをオペレータが操作することによって、下部走行体30Aに対して上部旋回体30Bを旋回させることができるとともに作業機30Cのブームの上下動やアームの上下動、バケットの上下動を行うことができる。したがって、オペレータの操作によって、作業機30Cを積込み点12(左積込み点12L、右積込み点12R)に位置させ、積荷を無人車両20に積み込むことができる。
【0048】
無人車両20は、車体前方に運転室(キャブ)が設けられ、車体後方に積荷が積み込まれる荷台(ベッセル、ボディ)が設けられ、前輪と後輪が備えられた前輪ステアリングの車両である。なお、無人車両は、このような構造のものに限定されず、運転室が無いものや前輪と後輪がタイヤではなく、無限軌道である履帯で構成されたものでもよい。さらに、無人車両は、アーティキュレートダンプと呼ばれる、車両前部と荷台を備えた車両後部とが機械的に連結された車両であってもよい。
【0049】
無人車両20は、走行経路10に沿って誘導走行されて積込場1内を入口点11から有人の積込機30が存在する積込み点12(左積込み点12L、右積込み点12R)まで走行する。なお、本明細書では、左右積込点12L、12Rを区別しないときには、「積込み点12」と総称するものとする。
【0050】
入口点11とは、予め設定された点であって、無人車両20が走行する、図示しないホールロードと積込場1とが交差する点のことである。また、走行経路10上に、無人車両20が積込機30から進入の許可を得るまで待機すべき点として、待機点14が設定される。例えば、スイッチバック点13が待機点14に定められる。スイッチバック点13とは、無人車両20が、前進走行で走行してきた後に積込み機30の積込み点12へ後進走行でアプローチ(進入)するためにスイッチバック動作を行う点である。
【0051】
本明細書では、説明の便宜上、スイッチバック点13を待機点14としているが、待機点14は、必ずしもスイッチバック点13に限定されるわけではない。
【0052】
例えば、ショベルが積込機30の場合、積込み点12から一定距離(設定値)離れた走行経路10上の点を待機点14に設定することが多い。ただし、積込み点12に、より近い地点にスイッチバック点13があるときにはスイッチバック点13が待機点14とされる。
【0053】
また、ホイールローダが積込機30の場合、積込み点12の位置と、ホイールローダの設定された大きさに基づきホイールローダの想定作業エリアを作成し、入口点11から積込み点12間において、走行経路10とこの想定作業エリアとが最初に干渉する位置を、待機点14に設定することが多い。ホイールローダは、積み込み作業を行うために前後あるいは左右に移動するため、無人車両20とホイールローダとの干渉を考慮する必要があるからである。ただし、上記の干渉する位置よりも入口点11側にスイッチバック点13がある場合には、スイッチバック点13が待機点14とされる。なお、ホイールローダが積込機30の場合、スイッチバックを行わない走行経路を生成することがある。
【0054】
走行経路10とは、無人車両20が、入口点11から積込み点12の近傍の待機点14を経由して積込み点12に至るまでの走行経路のことである。なお、走行経路10のうち、待機点14から積込み点12に至る走行経路を特に「最終アプローチ」16と定義する。
【0055】
ショベルなどの積込機30は、新しい掘削場所へ移動等するために、その積込み点12が逐次変動する。なお、「移動等」としたのは、積込機30自体は移動せず、作業機30Cを旋回させることで、作業機30Cのバケット位置である積込み点12(無人車両へ積荷を積み込む位置)が変更されることもあるからである。
【0056】
積込機30の積込み点12は、下部走行体30Aに対して作業機30Cを左右に旋回させた左右各位置それぞれに存在し、それぞれ左積込み点12L、右積込み点12Rという。左積込み点12Lは、作業機30Cに対する無人車両20の進入方向が左方向となる積込み点のことであり、右積込み点12Rは、作業機30Cに対する無人車両20の進入方向が右方向となる積込み点のことである。左右積込み点12L、12Rは作業機30Cのバケットの位置に相当する。作業機30Cに取り付けられるバケットは、積込機30の車格や積荷の種類などによって、大きさや形状が選択されて取り付けられている。したがって、バケットの位置とは、取り付けられたバケットの積荷を入れる内部の中心位置相当をあらかじめ定められたものである。なお、バケットの形状などによっては、必ずしも中心位置相当をバケット位置と定めず、積込み作業が行いやすい位置を任意にバケット位置として定めてもよい。また、作業機30Cを構成するブームやアームの姿勢によって、バケットの位置は空間上の位置が異なる。そこで、積荷を無人車両30に積み込む際の作業機30Cの姿勢をとった場合に、その作業機30Cに取り付けられている作業機30Cのブームやアームの長さを考慮し、上部旋回体30Bの任意の位置からバケットの積荷を入れる内部の中心位置相当までの距離から左積込み点12Lあるいは右積込み点12Rの位置が演算される。ブームやアームの長さやバケットの中心位置は、あらかじめ積込機30の記憶装置34に記憶されており、作業機30Cの姿勢を変位センサ等で検出し、処理装置32で演算を行い、左積込み点12Lあるいは右積込み点12Rの位置(X座標位置、Y座標位置等)が求められる。なお、作業機30Cの姿勢を変位センサで検出するのではなく、簡便にするために固定値を記憶装置34に記憶させておき、その固定値を用いて積込み点を求める演算を行ってもよい。
【0057】
両側積込の形態では、原則として2台の無人車両20が、積込機30の左右の位置に交互に積込作業のためにアプローチ(進入)して、左積込み点12L、右積込み点12Rに至る。従って、積込機30は、左右毎に別々の走行経路10(10L、10R)を同時に保持し、例えば右側積み込み点12Rの位置の変更をしたときには、新たな右積込み点12Rに至る新たな走行経路10(10R)が生成され、左積込み点12Lに至る走行経路10(10L)については変更がなく影響を受けない。
【0058】
走行経路10は、積込み点12の位置情報と入口点11の位置情報に基づき、後述する管制装置40で生成される。なお、複数の走行経路10が生成される場合には、走行経路同士を区別するために、適宜、符号「10」に「ダッシュ」を付することとする。
【0059】
無人車両20は、管制装置40から無線通信で受信した走行経路10に従って、無人車両20が自律制御によってエンジンの出力制御、ステアリング制御、ブレーキ制御を行いながら、走行速度や走行方向を調整し、積込場1に入口点11から入り、待機点14(スイッチバック点13)に向かい、待機点14(スイッチバック点13)でスイッチバックを行い、積込み点12で停止して、積込機30の作業機30Cによって土砂等の積荷が荷台に積み込まれる。積込み作業が終了すると、無人車両20は、やはり自律制御によって積込み点12から退避して出口点15に向かって走行する。
【0060】
待機点14(スイッチバック点13)の前後では、無人車両20の進行方向は、前進方向から後進方向に変化する。無人車両20は、積込み点12に向けて、後進状態で進入する。なお、積込場1の地形の状態などによっては、無人車両20はスイッチバックを行わず、前進方向で積込み点12に向けて進入するような走行経路10の形態をとってもよい。積込み点12が位置変更されると、入口点11から変更された位置の積込み点12に至る新しい走行経路10が生成される。
【0061】
なお、位置の変更前後の左積込み点12L、右積込み点12Rを区別するために、位置の変更後の積込み点については、適宜、符号「12L」、「12R」に「ダッシュ」を付することとする。
【0062】
図2は、実施形態の車両走行システムのブロック図を示している。なお、複数台の車両20が積込場1を走行する場合には、適宜、車両同士を区別するために符号「20」に「ダッシュ」を付することとする。
【0063】
作業現場には、多数の無人車両20、20´…を管理、監視する管制装置40が設けられている。管制装置40には、通信装置41と処理装置42と入力装置43と記憶装置44と表示装置45とが設けられている。通信装置41は、例えば無線LANなどの通信機器(アンテナ、受信機、送信機等)で構成されるものである。処理装置42は、数値演算プロセッサなどのCPUで構成されるものである。入力装置43は、数値や文字などを入力することができる、キーボードやGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)などのタッチパネルなどで構成される。記憶装置44は、ハードディスクやROM、RAM、メモリーカードなど、各種情報を記憶するもので構成される。表示装置45は、液晶ディスプレイなどで構成され各種情報を表示するものである。
【0064】
一方、無人車両20、20´には、通信装置21と処理装置22と位置計測装置23とと制御装置24と記憶装置25が設けられている。通信装置21は、例えば無線LANなどの通信機器(アンテナ、受信機、送信機等)で構成されるものである。処理装置22は、数値演算プロセッサなどのCPUで構成されるものである。位置計測装置23は、例えばGPS(グローバルポジショニングシステム)センサなどで構成されるシステムであって、GPS衛星からの電波を受けて、無人車両20の位置(経度・緯度・高度)を計測できるものである。制御装置24は、無人車両20のエンジンの出力制御やステアリング制御、ブレーキ制御などを行い、無人車両20の加減速度や停止、走行方向の制御を行うための電子コントローラである。記憶装置25は、ハードディスクやROM、RAM、メモリーカードなど、各種情報を記憶するもので構成される。
【0065】
積込機30には、通信装置31と処理装置32と入力装置33と記憶装置34と位置計測装置35と作業機位置計測装置35aと表示装置36とが設けられている。通信装置31は、例えば無線LANなどの通信機器(アンテナ、受信機、送信機等)で構成されるものである。処理装置22は、数値演算プロセッサなどのCPUで構成されるものである。入力装置33は、数値や文字などを入力することができる、キーボードやGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)などのタッチパネル、各種指令信号を発信するための押しボタンスイッチなどで構成される。記憶装置34は、ハードディスクやROM、RAM、メモリーカードなど、各種情報を記憶するもので構成される。作業機位置計測装置35aは、積込機30の所定の位置(例えば積込機30の重心位置)から、オペレータによる操作レバーの操作によって位置を決められた、作業機30Cのバケットの位置を計測するものである。具体的には、作業機30Cを構成する、ブームあるいはアーム、バケットを動作させるための各油圧シリンダのシリンダーストロークを変位センサで検出し、検出された各変位と積込機30の重心位置とを用いて、バケットの位置の空間座標(位置座標)を計測する。作業機30Cに取り付けられるバケットは、積込機30の車格や積荷の種類などによって、大きさや形状が選択されて取り付けられている。したがって、バケットの位置とは、取り付けられたバケットの積荷を入れる内部の中心位置相当をあらかじめ定めておき、その中心位置と各油圧シリンダの伸縮状態、言い換えればブーム、アーム、バケットの姿勢から、積込み点12となる位置座標を演算して求める。以下、バケットの位置情報とは、積込み点12となる位置座標のことを意味する。なお、ブーム、アーム、バケットにワイヤーケーブルを結合し、ワイヤーケーブルの巻上げや巻き戻しによって作業機30Cの姿勢を定めるものである場合も、ワイヤーケーブルの巻き上げ機に取り付けられた回転センサ(例えば、ロータリーエンコーダー等)により検出された変位を用いれば、同様に作業機位置(積込み点12)を演算、計測することが可能である。表示装置45は、積込機30の運転席の内部に設けられ、液晶ディスプレイなどで構成され各種情報を表示するものである。液晶ディスプレイは、抵抗膜式のタッチパネルでもよいし、操作ボタンを別に設けて表示だけを行うものでもよい。
【0066】
図3は、積込機30の入力装置33の構成の詳細を示している。
【0067】
同図3に示すように、入力装置33は、積込機30の運転室内部に設けられ、タッチパネルで構成されている。積込機30のオペレータが、タッチパネルを押圧することができるような位置に入力装置33は配置されている。入力装置33は、左右指示ボタン33a、スポットボタン33b、カムインボタン33c、ゴーボタン33d、スイッチサイドボタン33eを含んで構成されている。また、積込機30の表示装置36には、境界線90、走行経路10、無人車両20が表示されており、オペレータは、表示装置36の画面を見ながら、入力装置33の左右指示ボタン33a、スポットボタン33b、カムインボタン33c、ゴーボタン33d、スイッチサイドボタン33eの各種操作を行うことができる。
【0068】
各ボタンは、図3に示すように文字とともにタッチパネルの所定の場所に設けても良いし、各スイッチボタンをアイコンなどの図柄を用いてタッチパネルに表示し、オペレータがいずれのボタンが何の機能を果たすものであるのかを識別できるようにしてもよい。
【0069】
積込機30のオペレータからの指示は、オペレータが入力装置33の各スイッチボタンを押すことにより行われる。各スイッチボタンに対応した電気信号が処理装置32で無線信号に変換され、無線信号は通信装置31を経由して管制装置40に送られる。その後、管制装置40から無人車両20に走行経路10の情報または走行指令が無線信号によって与えられる。このような無線信号のやりとりについての詳細は後述する。左右指示ボタン33a、スポットボタン33b、カムインボタン33c、ゴーボタン33d、スイッチサイドボタン33eについて説明する。
【0070】
・左右指示ボタン33a
左右指示ボタン33aは、左積込み点12L(左積)であるか、また右積込み点12R(右積)であるかを指示するボタンである。左右指示ボタン33aで「左積」、「右積」のいずれかを選択すると、「左積」であるか「右積」であるかを示す左右指示信号が生成され、管制装置40に送られる。図3に示すように左右指示ボタン33aは、一つのボタンで構成し、一回押すと左積、連続して二回押すと右積という操作方法を設定しておいてもよいし、左右指示ボタン33aを2つ設けて、一方を左積の指示、他方を右積の指示と振り分けてもよい。
【0071】
・スポットボタン33b
スポットボタン33bは、積込み点12の初期位置または変更位置を指示するボタンである。積込機30のオペレータが、運転席内部に設けられた操作レバーを操作し、上部旋回体30Bあるいは下部走行体30Aを動作させ、さらに上部旋回体30Bに結合された作業機30Cを動作させ、作業機30Cに取り付けられているバケットを、所望とする積込み点に位置させ、オペレータが、入力装置33のスポットボタン33bを押すと、位置指示信号が生成される。積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を示す信号と位置指示信号が無線信号として、通信装置31から管制装置40に送られる。
【0072】
・カムインボタン33c
カムインボタン33cは、無人車両20を積込み点12へ進入させる走行指令を指示するボタンである。積込機30のオペレータが、入力装置33のカムインボタン33cを押すと、進入指示信号が生成される。積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を示す信号と進入指示信号が無線信号として、通信装置31から管制装置40に送られる。
【0073】
・ゴーボタン33d
ゴーボタン33dは、無人車両20を積込み点12から退避させる走行指令を指示するボタンである。積込機30のオペレータが、入力装置33のゴーボタン33dを押すと、退避指示信号が生成される。積込機30の位置情報および作業機30Cのバケット先端の位置情報を示す信号ととともに、退避指示信号が通信装置31から管制装置40に送られる。
【0074】
・スイッチサイドボタン33e
スイッチサイドボタン33eは、後述する境界線によって判断された側とは反対側の無人車両20に対して走行指令を指示するボタンである。積込機30のオペレータが、入力装置33のスイッチサイドボタン33eを押すと、現在の積込機30の作業機30Cが、境界線に対して位置している側とは反対側に位置する無人車両20に対して走行指令を指示する、スイッチサイド指示信号が生成され、スイッチサイド指示信号は、無線信号として通信装置31から管制装置40に送られる。
【0075】
無人車両20の位置計測装置23では、自己の車両位置が計測される。位置計測の手段としては、たとえば無人車両20に設けられたタイヤ回転数センサとジャイロが使用される。これらタイヤ回転数センサの出力信号とジャイロの出力信号とに基づいて、車両位置が計測される。また、先に述べたようにGPS衛星から送信される信号をGPSアンテナで受信し、GPSセンサで信号を検出することにより無人車両20の位置を計測してもよい。さらには、タイヤ回転数センサとジャイロとGPSセンサとを連携させて融合させたシステムで無人車両20の位置を計測してもよい。無人車両20で計測された位置情報は、処理装置22で処理され通信装置21を介して管制装置40に送信される。記憶装置25は、管制装置40から送信された走行経路10の座標情報や入口点11や出口点15、待機点14の位置座標を示す位置情報などが記憶されている。また、記憶装置25には、走行経路10のカーブの大きさに応じたエンジン制御やステアリング制御、ブレーキ制御に関連する各種パラメータ(燃料噴射量のパラメータ、ステアリング角度のパラメータ、ブレーキの油圧回路の油圧のパラメータ等)が記憶されている。
【0076】
管制装置40の通信装置41は、複数の無人車両20、20´…から送信された位置情報を無線通信により受信する。受信した位置情報は、複数の無人車両20、20´の管理、監視のために利用される。
【0077】
積込機30のオペレータが、入力装置33の左右指示ボタン33aを押すと、左右指示信号が生成され、処理装置32に入力される。処理装置32は、左右指示信号を通信装置31に送信する。通信装置31は、左右指示信号を無線通信可能な無線信号に変換し、管制装置40に送信する。
【0078】
積込機30の位置計測装置35では、自己の積込機30の位置(積込機30の中心として位置する中心位置)が計測される。積込機30の位置は、無人車両と同様なGPSセンサを用い、GPSセンサの位置が計測され、位置計測装置35は、GPSセンサの設置位置と積込機30の大きさから求められる積込機30の中心位置を位置情報(積込場1の中での地理的な位置情報)として演算する。作業機位置計測装置35aでは、作業機30Cのバケットの位置が計測される。作業機位置計測装置35aは、作業機30Cの何れかの場所に取り付けられたGPSセンサの計測結果から、作業機30Cのブームやアーム、バケットの大きさ・長さや姿勢を考慮し、バケット位置を位置情報(積込場1の中での地理的な位置情報)として演算する。
【0079】
積込機30のオペレータが、運転室内の操作レバーを操作することにより、作業機30Cのバケットを所望する積込み点に位置させ、入力装置33のスポットボタン33bを押すと、位置指示信号が生成され、処理装置32に入力される。処理装置32は、その時点で位置計測装置35および作業機位置計測装置35で計測されている、積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を取り込み、位置指示信号とともに通信装置31に送信する。通信装置31は、位置指示信号を、積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を示す信号ととともに、無線通信可能な無線信号に変換し無線通信で管制装置40に送信する。
【0080】
積込機30のオペレータが、入力装置33のカムインボタン33cを押すと、進入指示信号が生成され、処理装置32に入力される。処理装置32は、その時点で位置計測装置35および作業機位置計測装置35で計測されている、積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を取り込み、進入指示信号とともに通信装置31に送信する。通信装置31は、進入指示信号を、積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を示す信号ととともに、無線通信可能な無線信号に変換し無線通信で管制装置40に送信する。
【0081】
積込機30のオペレータが、入力装置33のゴーボタン33dを押すと、退避指示信号が生成され、処理装置32に入力される。処理装置32は、その時点で位置計測装置35および作業機位置計測装置35で計測されている、積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を取り込み、退避指示信号とともに通信装置31に送信する。通信装置31は、退避指示信号を、積込機30および作業機30Cのバケットの位置情報を示す信号ととともに、無線通信可能な無線信号に変換し無線通信で管制装置40に送信する。
【0082】
積込機30のオペレータが、入力装置33のスイッチサイドボタン33eを押すと、スイッチサイド指示信号が生成され、処理装置32に入力される。処理装置32は、スイッチサイド指示信号を通信装置31に送信する。通信装置31は、スイッチサイド指示信号を無線通信可能な無線信号に変換し無線通信で管制装置40に送信する。
【0083】
管制装置40の通信装置41は、積込機30から送信された各種の信号(無線信号)を受信する。
【0084】
管制装置40の入力装置43には、積込機30が掘削すべき積込場1の入口点11の位置および方向などの積込場1の既知の地理的な情報が入力される。
【0085】
管制装置40の処理装置42は、通信装置41で受信した信号および入力装置43より入力された情報を取り込み、後述する境界線の生成処理、走行経路10の生成処理、走行指令の生成処理を実行する。
【0086】
生成された境界線、走行経路10の情報および無人車両20の位置の情報は、管制装置40の通信装置41を介して積込機30に送信される。また、走行経路10、走行指令の情報は、管制装置40の通信装置41を介して無人車両20に送信される。
【0087】
積込機30の通信装置31は、境界線、走行経路10の情報および無人車両20の位置の情報を管制装置40から受信する。積込機30の処理装置32は、境界線、走行経路10の情報および無人車両20の位置の情報を取り込み、積込機30の表示装置36に、
積込場1の地理的図形とともに、境界線、走行経路10、無人車両20および積込機30自身の位置をグラフィック表示する。
【0088】
無人車両20の通信装置21は、管制装置40から送信された走行経路10、走行指令の情報を受信する。記憶装置25は、管制装置40から送信される走行経路10および走行指令の情報を記憶する。
【0089】
無人車両20の処理装置22は、走行経路10および走行指令の情報に基づいて自己の無人車両20を走行させ操舵するための制御指令を生成する。この制御指令は、制御装置24に出力される。この結果、制御装置24は、自己の無人車両20の走行速度およびステアリング角度(操舵)あるいはブレーキを制御し、無人車両20は、走行経路10に沿って走行する。
【0090】
以下、図4に示すフローチャートを併せ参照して説明する。
【0091】
図4(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の走行システムあるいは走行制御方法で行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【0092】
境界線の生成処理の流れを図4(a)、(b)に示し、境界線の生成処理の詳細について図5を併せ説明する。
【0093】
まず積込機30のオペレータは、自己の積込機30の一方側、例えば左側に積込み点12Lの位置を指定して左積込み点12Lの位置設定を指示する。すなわち、オペレータは、左側を意識して、運転室内部の操作レバーを操作して、上部旋回体30Bを旋回させ作業機30Cのブームやアーム、バケットを動作させて、所望とする左積込み点12Lにバケットを位置決めさせる。その後、オペレータは、入力装置33の左右指示ボタン33aを押して「左積」を選択指示する(ステップ101)とともに、スポットボタン33bを押す(ステップ102)。積込機30は、通信装置31を介して、「左積」を示す左指示信号と、その位置を示す位置指示信号を管制装置40に送信する。
【0094】
管制装置40の処理装置42は、通信装置41を介して、積込機30から送られてきた左指示信号と位置指示信号を取り込む。そして、処理装置42は左指示信号と位置指示信号とを関連付けて「左積込み点12L」の位置の設定が指示されたと判断する。そして、処理装置42は、積込機30から送られてきた作業機(バケット)位置Q(図5参照)を「左積込み点12L」の位置として設定する(ステップ103)。
【0095】
つぎに、処理装置42は、この設定された左積込み点12Lに無人車両20が至るための走行経路10Lを生成する。積込機30の位置、無人車両20の位置、他の走行経路10Rを考慮して、無人車両20同士の干渉や無人車両20と積込30機との干渉が起きない最適な走行経路10Lが生成される。走行経路10Lが生成されることにより、無人車両20が左積込み点12Lへ進入する方向を示すベクトルv1が得られる。ただし、ベクトルv1の向きは、無人車両20が後進で進入する方向とは真逆の向きとなる(ステップ104)。
【0096】
つぎに、積込機30のオペレータは、ステップ101の旋回位置(図5に示すように作業機30CのバケットがQの位置)とは反対側である積込み点12Rを指示するための操作を行う。つまり、自己の積込機30の右側に積込み点12Rの位置を指定して積込み点12Rの位置設定を指示する。オペレータは、右側を意識して、運転室内部の操作レバーを操作して、作業機30Cのブームやアーム、バケットを動作させて、所望とする右積込み点12Rにバケットを位置決めさせる。その後、オペレータは、入力装置33のスポットボタン33bを押す(ステップ105)。
【0097】
管制装置40の処理装置42は、積込機30から送られてきた位置指示信号を取り込む。既に「左積込み点12L」の位置設定がなされているため、右積込み点12Rにおいてオペレータのスポットボタン33bの操作によって、2回目の位置指示信号が送信されたことになる。よって、処理装置42は、2回目の位置指示信号を受信したことを判断材料として、「左積込み点12L」とは反対側の「右積込み点12R」の位置の設定が指示されたと判断する。そして、処理装置42は、積込機30から送信された作業機(バケット)位置Q´を「右積込み点12R」の位置として設定する(ステップ106)。なお、図5に示すように、積込機30の片側(左側)のみの走行経路10が既に生成されている場合、そのベクトルv1に対して平行なベクトルであって積込機42の中心位置Pを通るベクトルvcが積込機30の処理装置42によって求められる。処理装置42は、上記の2回目の位置指示信号が示す積込み点が、最初の位置指示信号によって設定された積込み点に対して、本当に逆側に位置するものかの判断を行う。判断は、ベクトルvcの向きと、2回目の位置指示信号が示す積込み点の位置情報を用いて行う。ベクトルvcが示す方向を0度(基準)として、図5に斜線で示す反時計回りに180度の領域内に2回目の位置指示信号が示す積込み点の位置情報が存在すれば、2回目の位置指示信号が示す積込み点が最初の位置指示信号によって設定された積込み点の逆側(右側)であると判断する。加えて言えば、ベクトルvcが示す方向を0度(基準)として、時計回り180度の領域内に2回目の位置指示信号が示す積込み点の位置情報があれば、それは最初の位置指示信号によって設定された積込み点の逆側(右側)ではないと判断する。
【0098】
つぎに、処理装置42は、この設定された右積込み点12Rに無人車両20が至るための走行経路10Rを生成する。積込機30の位置、無人車両20の位置、他の走行経路10Lを考慮して、無人車両20同士の干渉や無人車両20と積込30機との干渉が起きない最適な走行経路10Rが生成される。走行経路10Rが生成されることにより、無人車両20が右積込み点12Rへ進入する方向を示すベクトルv2が得られる。ただし、ベクトルv2の向きは、無人車両20が後進で進入する方向とは真逆の向きとなる(ステップ107)。ここでの走行経路10L、10Rは、待機点14から左右積込み点12L、12Rまでの走行経路である。
【0099】
つぎに、管制装置40の処理装置42は、無人車両20の左右積込み点12L、12Rへの進入方向の情報、つまり、ベクトルv1、v2に基づいて、境界線90を生成する処理を行う。境界線90とは、積込機30の作業機30Cが左積込み点12L側に位置されたか、あるいは右積込み点12R側に位置されたかを判別するためのベクトル線のことである。
【0100】
具体的には、次式、
v3=(v1+v2)/2 …(1)
のごとく、無人車両20が左右積込み点12L、12Rへ進入する方向を示すベクトルv1、v2の和の半分を、境界線90の方向を示すベクトルv3とする。境界線90は、積込機30の位置(中心位置P)を通り、ベクトルv3で表される方向の線分として得られる(ステップ108)。中心位置Pは、積込機30の上部旋回体30Bの旋回中心の位置情報である。なお、中心位置Pは、次のように求められるものであってもよい。中心位置Pは、積込機30の大きさ(幅・全長)から求められるもので、積込機30の大きさは、管制装置40の記憶装置44にあらかじめ記憶されている。そして、管制装置40の処理装置は、積込み機30の位置計測装置35により計測された地理的な位置情報を用いて、ベクトルv3の始点である中心位置Pの地理的な位置情報が求められる。
【0101】
無人車両20に走行指令を与える処理の流れを図4(c)に示し、図6を併せて説明する。
【0102】
(無人車両を積込み点に進入させる走行指令の指示)
積込機30のオペレータが積込み作業を開始すべく、無人車両20の積込み点12への進入を許可する場合には、オペレータは、運転室内部の操作レバーを操作して積込み作業を開始したい側に上部旋回体30Bを旋回させる。この場合、特に「左側」、「右側」の意識は不要であり、左右指示ボタン33aによる「左積」、「右積」の指示も不要である。そして、オペレータは、積込み作業を行いたい側に作業機30Cを位置させた状態で、入力装置33のカムインボタン33cを押す(ステップ109)。
【0103】
(左右積込み点の判別)
管制装置40の処理装置42は、積込機30から送信された進入指示信号を通信装置41を介して受信する。これにより、管制装置40は無人車両20の積込み点12への進入が指示されたと判断する。
【0104】
つぎに、左右いずれの積込み点12L、12Rへの進入が指示されたかについての判別が行われる。
【0105】
まず、管制装置40の処理装置42は、進入指示信号とともに送られてきた積込機30の位置Pと作業機30Cのバケットの位置Qの地理的な位置情報から作業機30Cの向きを示すベクトルv4を演算する。ベクトルv4は、積込機30の車体中心位置Pから作業機30Cのバケットの位置Qに向かう向きを示すベクトルである。
【0106】
つぎに、管制装置40の処理装置42は、上記のごとく得られた作業機30Cの向きを示すベクトルv4と、境界線90の方向を示すベクトルv3とを対比して、積込機30の作業機30Cが左積込み点12L側に位置されたか、あるいは右積込み点12R側に位置されたかを判別する。
【0107】
具体的には、ベクトルv3とベクトルv4の外積v3×v4のz成分が、
正のとき:積込機30の作業機30Cが右積込み点12R側に位置された
負のとき:積込機30の作業機30Cが左積込み点12L側に位置された
と判別される。つまり、外積の計算結果はベクトルであるから、その計算結果のベクトルのz成分の正負をみることで、ベクトルv3とベクトルv4の位置関係(向き)を知ることができる。よって、作業機30Cが、左積込み点12Lに位置されたのか、右積込み点12Rに位置されたのかがわかる。
【0108】
なお、作業機30Cの位置(積込機中心位置Pから作業機30Cのバケット位置Qまでの線分PQのバケット位置Qの位置座標)と境界線90の位置(積込機30の中心位置Pを通り、ベクトルv3で表される方向の線分が示す位置座標)を対比して、積込機30の作業機30Cが左積込み点12L側に位置されたか、あるいは右積込み点12R側に位置されたかを判別してもよい。図6では、ベクトルv3とベクトルv4の外積v3×v4のz成分が、正となるため、管制装置40の処理装置42は、積込機30の作業機30Cが右積込み点12Rの側に位置されたと判別し、右積込み点12Rに無人車両20を進入させる走行指令の指示がなされたと判断する(ステップ110)。
【0109】
(走行制御)
管制装置40の処理装置42では、ステップ110で判別された側の積込み点12、例えば、無人車両20が右積込み点12Rに至るための走行経路10Rの待機点14に待機している無人車両20に対して、右積込み点12Rへ進入させる走行指令(最終アプローチ16Rの走行経路)を生成する。生成された走行指令(最終アプローチ16Rの走行経路)は、管制装置40の通信装置41から走行経路10の情報とともに無人車両20に送信される。
【0110】
無人車両20は、走行指令および走行経路10Rの情報を通信装置21で受信すると、処理装置22で制御装置24に対する制御信号の生成を行う。制御装置24は、走行速度制御やステアリング角度制御、ブレーキ制御を行いながら、無人車両20を待機点14から最終アプローチ16Rに沿って右積込み点12Rまで走行制御させる(ステップ111)。
【0111】
以上のステップ109〜111の説明では、無人車両30を積込み点12に進入させる走行指令を指示する場合を想定したが、無人車両30を積込み点12から退避させる走行指令を指示する場合についても同様な無線通信、信号処理、走行制御が行われる。
【0112】
(無人車両を積込み点から退避させる走行指令の指示)
図7を用いて無人車両を積込み点から退避させる走行指令の指示について説明する。
【0113】
積込機30によって、積荷を無人車両20に積込む作業を終え、無人車両20が積込み点12から退避することを許可する場合には、オペレータは、積込み作業を終えた際の積込み側に作業機30Cを位置させた状態で入力装置33のゴーボタン33dを押す。この場合、オペレータは、特に「左側」、「右側」の意識は不要であり、左右指示ボタン33aによる「左積」、「右積」の指示も不要である(ステップ109)。
【0114】
(左右積込み点の判別)
管制装置40の処理装置42は、積込機30から送られてきた退避指示信号を通信装置41を介して受信する。処理装置42は、無人車両20を積込み点12から退避させる指示があったと判断する。
【0115】
つぎに、処理装置42は、退避指示信号とともに送られてきた積込機30の位置Pと作業機30Cのバケットの位置Qに基づき、作業機30Cの方向(ベクトルv4の方向)を求め、この作業機30Cの方向(ベクトルv4の方向)を境界線90の方向(ベクトルv3の方向)と対比することにより、作業機30Cは左右いずれの積込み点12L、12Rに位置するのかの判別を行う。
【0116】
図7に示す場合は、ベクトルv3とベクトルv4の外積v3×v4のz成分が、正となるので、処理装置42は、積込機30の作業機30Cが右積込み点12R側に位置されたと判別し、右積込み点12Rから無人車両20を退避させる走行指令の指示がなされたと判断する(ステップ110)。
【0117】
(走行制御)
管制装置40の処理装置42は、ステップ110で判別された側の積込み点12、たとえば右積込み点12Rに存在する無人車両20に対して、右積込み点12Rから退避させるための走行指令(信号)を生成する。生成された走行指令は、走行経路10Rに対応する出口コース17Rの情報とともに通信装置41を介して無人車両20に送信される。なお、既に走行経路10Rに対応する出口コース17Rの情報が無人車両20に送られており、走行経路10Rに対応する出口コース17Rの変更がなければ新たに走行経路10Rに対応する出口コース17Rの情報を送信するに及ばない。
【0118】
無人車両20は、通信装置31を介して走行指令および走行経路10Rに対応する出口コース17Rの情報を受信すると、右積込み点12Lから退避して出口コース17Rに沿って出口点15に向かって走行するように、上記に述べたような走行制御を行い走行する(ステップ111)。
【0119】
以上のステップ109〜111の説明では、境界線90との対比によって判別された側の無人車両20に対して走行指令を指示する場合を想定したが、スイッチサイドボタン33eの操作によって、境界線90との対比によって、判別された側とは反対側の無人車両20に対して走行指令を指示する実施も可能である。
【0120】
(反対側の無人車両を積込み点に進入させる走行指令の指示)
図8を用いて、反対側の無人車両を積込み点に進入させる走行指令の指示について説明する。
【0121】
積込機30が、片側の積込み点12で無人車両20に積込み作業を行っているときに、反対側の積込み点12へ他の無人車両20´の進入を許可して生産性の向上を図りたい場合がある。この場合、積込機30のオペレータは、現在、作業機30Cが位置している側と反対側の無人車両20´に積込み点12への進入の許可を与えるために入力装置33のスイッチサイドボタン33cを操作する。たとえば、積込機30が、右積込み点12Rで積込み作業を行っているときには、作業機30Cを右積込み点12Rに位置させた状態でオペレータは、入力装置33のスイッチサイドボタン33eを押すとともに、カムインボタン33cを押す。この場合も、オペレータは、特に「左側」、「右側」の意識は不要であり、左右指示ボタン33aによる「左積」、「右積」の指示も不要である(ステップ109)。
【0122】
(左右積込み点の判別)
管制装置40の処理装置42は、通信装置41を介して積込機30から送信された進入指示信号を受信する。これにより、処理装置42は、無人車両20が積込み点12への進入を指示されたと判断する。また、管制装置40の処理装置42は、積込機30から送信されたスイッチサイド指示信号を通信装置41を介して受信する。処理装置42は、境界線90との対比によって、判別された側とは反対側の積込み点12に無人車両20´を進入させる走行指令の指示がなされたと判断する。
【0123】
つぎに、処理装置42は、通信装置41を介して進入指示信号とともに受信した積込機30の位置Pと作業機30Cのバケットの位置Qに基づき作業機30Cの方向(ベクトルv4の方向)を求め、この作業機30Cの方向(ベクトルv4の方向)を境界線90の方向(ベクトルv3の方向)と対比することにより、作業機30Cは左右いずれの積込み点12L、12Rに位置するのか判別を行う。
【0124】
図8では、ベクトルv3とベクトルv4の外積v3×v4のz成分が、正となるので、処理装置42は、積込機30の作業機30Cが右積込み点12R側に位置されたと判別する。ここで、処理装置42には、通信装置41を介してスイッチサイド指示信号が送信されてきているので、処理装置42は、右積込み点12Rとは反対側の左積込み点12Lに無人車両20´を進入させる走行指令の指示がなされたと判断する(ステップ110)。
【0125】
(走行制御)
管制装置40の処理装置42は、ステップ110で判断された側の積込み点12、たとえば左積込み点12Lに至る走行経路10L上の待機点14に位置する無人車両20´に対して、左積込み点12Lへ進入させるための走行指令を生成する。生成された走行指令は、通信装置41を介して走行経路10Lの情報とともに無人車両20´に送信される。
【0126】
無人車両20´は、通信装置31を介して走行指令および走行経路10Lの情報を受信すると、上記のような走行制御を行い待機点14から最終アプローチ16Lを経て左積込み点12Lまで走行する(ステップ111)。
【0127】
反対側の無人車両20´に対して積込み点12から退避させる走行指令を指示する場合も上記に述べたような処理が行われる。例えば、作業機30Cを右積込み点12Rに位置させた状態で、オペレータが入力装置33のスイッチサイドボタン33eを押すとともに、ゴーボタン33dを押すと、反対側の積込み点12である左積込み点12Lから退避させる走行指令が、左積込み点12Lに存在する無人車両20´に対して与えられ、無人車両20´を左積込み点12Lから出口コース17Lに沿って出口点15に向かって走行させることができる。
【0128】
つぎに、積込み点12の位置を変更して設定する場合の処理について図4(d)のフローチャートを参照して説明する。図9に示す、積込み点の位置設定を指示する場合の処理と併せ参照しながら説明する。
【0129】
(積込み点の位置設定の指示)
時間の経過とともに積込機30による掘削位置あるいは切羽1aの形状あるいは積込場1の地形は、変化する。このため、一度設定した積込み点12の位置を変更する必要がある。積込機30のオペレータは、積込み点12の位置を変更したい場合には、積込み点12の位置を指定して積込み点12の位置設定を指示する。すなわち、オペレータは、上部旋回体30Bを、運転席内の操作レバーの操作により積込み点12の位置を変更したい側(たとえば左積込み点12L側)に旋回させる。この場合、特に「左側」、「右側」の意識は不要であり、入力装置33の左右指示ボタン33aによる「左積」、「右積」の指示も不要である。そして、オペレータは運転席内の操作レバーの操作により積込み点12の位置を、作業機30Cを変更させたい側に位置させた状態で、入力装置33のスポットボタン33bを押す(ステップ112)。
【0130】
(左右積込み点の判別)
管制装置40の処理装置42では、積込機30から送信された位置指示信号が通信装置41を介して受信される。処理装置42は、位置指示信号を受信することより積込み点12の位置の設定の指示がなされたと判断する。
【0131】
つぎに、積込機30の処理装置32は、位置指示信号とともに送られてきた積込機30の位置Pと作業機30Cのバケットの位置Qに基づき作業機30Cの方向(ベクトルv4で表される方向)を求め、この作業機30Cの方向(ベクトルv4で表される方向)を境界線90の方向(ベクトルv3で表される方向)と対比することにより左右いずれの積込み点12L、12Rの設定の指示であるかの判別を行う。
図9に示す例では、ベクトルv3とベクトルv4の外積v3×v4のz成分が、負となるので、積込機30の作業機30Cが左積込み点12L側に位置されたと判別され、新たな「左積込み点12L´」へ左積込み点12Lの位置変更の設定が指示されたと判断される(ステップ113)。
【0132】
(走行経路の生成)
以上のようにして、処理装置42は、たとえば「左積込み点12L´」へ左積込み点12Lの位置変更の設定が指示されたと判断されると、積込機30から送られてきた作業機30Cのバケットの位置Qを「左積込み点12L´」の位置として設定する。そして、処理装置42は、入口点11から待機点14を経て、この設定された左積込み点12L´に、無人車両20が至ることができる新たな走行経路10´Lを生成する。処理装置42によって、積込機30の位置、無人車両20の位置、他の走行経路10Rを考慮して、無人車両20と積込機30とが干渉のないように最適な新たな走行経路10´Lが生成される。新たな走行経路10´Lが生成されることにより、新たな左積込み点12L´への無人車両20の進入方向を示す新たなベクトルv1´が得られる。ただし、ベクトルv1´の向きは、無人車両20が後進で進入する方向とは真逆の向きとなる(ステップ114)。
【0133】
(境界線の再計算)
次に、処理装置42は、境界線90を再計算する。図9の例では、左積込み点12Lへの進入方向を示すベクトルv1が、新たな左積込み点12L´への進入方向を示すベクトルv1´に変更されたため、この新たなベクトルv1´と、右積込み点12Rへの進入方向を示すベクトルv2に基づいて、前述の(1)式と同様の演算(v3´=(v1´+v2)/2)を行い、境界線90を再計算する。新たな境界線90´は、積込機30の位置(中心位置P)を通り、ベクトルv3´で表される方向の線分として得られる。このようにして積込み点12の位置が変更される毎に、新たな走行経路10´Lが生成され、新たに境界線90´が生成し直される(ステップ115)。
【0134】
(同じ側の古い積込み点、走行経路の削除)
以上のようにして、たとえば左積込み点12L´が新たに設定されると、同じ側(左側)の古い積込み点12Lのデータ、および、この古い積込み点12Lに至る古い走行経路10Lのデータは記憶内容から削除される(ステップ116)。境界線90の生成は、積込機30から必要な情報を管制装置40に送信して管制装置40が生成してもよく、積込機30で境界線90を生成して、境界線90のベクトルの情報を管制装置40に送信するようにしてもよい。
【0135】
(第2の実施例)
第1の実施例では、左右積込み点12L、12Rへの進入方向の情報(ベクトルv1、v
2)に基づいて、境界線90(ベクトルv3)を生成する場合を例にとり説明した。
【0136】
しかし、積込場1の形状を認識し、積込場1の形状の情報に基づいて、境界線90を生成する実施も可能である。
【0137】
図10は、積込場1の形状の情報に基づいて、境界線90を生成する方法を説明する図である。この場合、積込機30には、積込場形状認識手段37が設けられる(図2の破線参照)。
【0138】
積込場形状認識手段37は、たとえばレーザ光測距手段で構成され、積込機30の前面の切羽1aにレーザ光を走査して、切羽1aの形状を認識する
切羽1aの形状認識は、つぎのような手順で行われる。
【0139】
1)まず、積込場形状認識手段37によって切羽1aの形状を認識する。
【0140】
2)つぎに、切羽1aのうち積込機30が掘削しようとする地点、つまり積込機30から最も近い切羽1aの地点に向けて、積込機30の中心位置Pから線Sを下ろす。
【0141】
3)線Sが切羽1aに交差する地点Rを求め、地点Rから切羽1aの形状に沿って左右それぞれ等距離の地点SL、SRを算出する。
【0142】
4)地点Rから地点SLに向うベクトルv5と、地点Rから地点SRに向うベクトルv6との和となるベクトルv3を算出する。
【0143】
5)上記4)で得られたベクトルv3が、積込機30の中心位置Pを通るように移動させ、その移動後の線分を境界線90として算出する。
【0144】
つぎに、積込み点12の位置を設定する場合について図11(a)、(b)に示すフローチャートを参照して説明する。
【0145】
積込機30が、掘削位置を変える毎に、境界線90が生成され、境界線90の左右に積込み点12L、12Rが設定される。境界線90の生成は、積込機30から必要な情報を管制装置40に送信して管制装置40が生成してもよく、積込機30で境界線90を生成して、境界線90のベクトルの情報を管制装置40に送信するようにしてもよい。
【0146】
(境界線の生成)
最初に、境界線90が前述した手順1)〜4)により生成される(ステップ201)。
【0147】
(一方の積込み点の位置設定の指示)
つぎに、オペレータは、左右のうち一方の積込み点12の位置を指定して一方の積込み点12の位置設定を指示する。すなわち、オペレータは、上部旋回体30Bを片側(たとえば右積込み点12R側)に旋回させる。この場合、特に「左側」、「右側」の意識は不要であり、左右指示ボタン33aによる「左積」、「右積」の指示も不要である。そして、オペレータは、作業機30Cを片側に位置させた状態で入力装置33のスポットボタン33bを押す(ステップ202)。
【0148】
(左右積込み点の判別)
管制装置40の処理装置42は、積込機30から送信された位置指示信号を通信装置41を介して受信する。処理装置42は、積込み点12の位置の設定の指示がなされたと判断する。
【0149】
つぎに、処理装置42は、位置指示信号とともに送信された積込機30の位置Pと作業機30Cのバケットの位置Qに基づき作業機30Cの方向(ベクトルv4で表される方向)を求め、この作業機30Cの方向(ベクトルv4で表される方向)を境界線90の方向(ベクトルv3で表される方向)と対比することにより左右いずれの積込み点12L、12Rであるかの判別が行われる。図10に示す例(作業機30Cを実線で示す)では、ベクトルv3とベクトルv4の外積v3×v4のz成分が、正となるので、処理装置42は、積込機30の作業機30Cが右積込み点12R側に位置されたと判別され、右積込み点12Rの位置設定が指示されたと判断する(ステップ203)。
【0150】
(走行経路の生成)
以上のようにして、例えば、処理装置42は、右積込み点12Rの位置設定が指示されたと判断すると、積込機30から送られてきた作業機30Cのバケットの位置Qを右積込み点12Rの位置として設定する。そして、この設定された右積込み点12Rに無人車両20が至るまでの走行経路10Rを生成する。積込機30の位置、無人車両20の位置、他の走行経路10Lを考慮して干渉のない最適な走行経路10Rが生成される(ステップ204)。
【0151】
(反対側の積込み点の位置設定の指示)
つぎに、オペレータは、図10に作業機30Cを破線で示すごとく、ステップ202とは反対側に(たとえば左積込み点12L側)に運転席内の操作レバーの操作によって上部旋回体30Bを旋回させる。この場合、「反対側」という意識だけ必要であり、特に「左側」、「右側」の意識は不要である。また、左右指示ボタン33aによる「左積」、「右積」の指示も不要である。そして、オペレータは、その反対側に作業機30Cを位置させた状態で入力装置33のスポットボタン33bを押す(ステップ205)。
【0152】
(左右積込み点の判別)
管制装置40の処理装置42は、積込機30から送信された位置指示信号が通信装置41を介して受信する。処理装置42は、積込み点12の位置の設定の指示がなされたと判断する。
【0153】
つぎに、処理装置42は、位置指示信号とともに送信された送られてきた積込機30の位置Pと作業機30Cの位置Q´に基づき作業機30Cの方向(ベクトルv4´で表される方向)を求め、この作業機30Cの方向(ベクトルv4´で表される方向)を境界線90の方向(ベクトルv3で表される方向)と対比することにより左右いずれの積込み点12L、12Rであるかの判別が行われる。
図10に示す例(破線で作業機30Cを示す)では、ベクトルv3とベクトルv4´の外積v3×v4´のz成分が、負となるので、処理装置42は、積込機30の作業機30Cが左積込み点12L側に位置されたと判別され、左積込み点12Lの位置設定が指示されたと判断する(ステップ206)。
【0154】
(走行経路の生成)
以上のようにして、処理装置42は、左積込み点12Lの位置設定が指示されたと判断すると、積込機30から送信された作業機30Cのバケットの位置Q´を左積込み点12Lの位置として設定する。そして、処理装置42は、無人車両20(図10に示す無人車両20とは別の無人車両)が、この設定された左積込み点12Lに至ることができる走行経路10Lを生成する。処理装置42は、積込機30の位置、無人車両20の位置、他の走行経路10Rを考慮して干渉のない最適な走行経路10Lを生成する(ステップ207)。
【0155】
無人車両20に走行指令を与える場合の処理は、図4(c)に示すステップ109〜ステップ111と同様にして行われる。
【0156】
(境界線の再計算)
時間の経過とともに積込場1の地形は、変化する。このため図10において、積込機30の中心位置Pはそのままで積込み点12とその積込み点12への進入方向が変更されることがある。この場合には、第1の実施例で図9を用いて説明したのと同様の計算によって境界線90を新たな境界線90´に変更することができる。
【0157】
なお、上述した各実施例では、積込機30から情報を管制装置40に送り、管制装置40から走行指令を無人車両20に対して送るようにしているが、管制装置40の機能を積込機30に持たせ、積込機30と無人車両20との間で直接通信を行う実施も可能である。
【符号の説明】
【0158】
10(10L、10´L、10R) 走行経路、12(12L、12R) 積込み点、20、20´ 無人車両、30 積込機、40 管制装置、90 境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
左右積込み点への無人車両の進入方向の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
走行指令を指示する走行指令指示手段と、
走行指令指示手段によって走行指令が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点で積込みを行うべき無人車両に対して、走行指令を与える走行制御手段と
が備えられていることを特徴とする無人車両の走行システム。
【請求項2】
積込場の積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
積込場の形状の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
走行指令を指示する走行指令指示手段と、
走行指令指示手段によって走行指令が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点で積込みを行うべき無人車両に対して、走行指令を与える走行制御手段と
が備えられていることを特徴とする無人車両の走行システム。
【請求項3】
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムに適用される走行制御方法において、
積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成ステップと、
走行指令を指示する走行指令指示ステップと、
走行指令が指示されたときの作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別ステップと、
判別された側の積込み点で積込みを行うべき無人車両に対して、走行指令を与える走行制御ステップと
を含むことを特徴とする無人車両の走行システムにおける走行制御方法。
【請求項4】
走行指令は、無人車両を積込み点に進入させる走行指令または無人車両を積込点から退避させる走行指令であることを特徴とする請求項1、2記載の無人車両の走行システムまた請求項3記載の無人車両の走行システムにおける走行制御方法。
【請求項5】
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
左右積込み点への進入方向の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
積込み点の位置を指定して積込み点の位置設定を指示する積込み点位置設定指示手段と、
積込み点位置設定指示手段によって積込み点の位置設定が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点の位置を、指定した位置に設定し、設定した積込み点までの走行経路を生成する走行指令生成手段と
が備えられていることを特徴とする無人車両の走行システム。
【請求項6】
積込場の積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への無人車両の進入方向が、積込機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムにおいて、
積込場の形状の情報に基づいて、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成手段と、
積込機の作業機の向きまたは位置を検出する検出手段と、
検出手段によって検出された作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別手段と、
積込み点の位置を指定して積込み点の位置設定を指示する積込み点位置設定指示手段と、
積込み点位置設定指示手段によって積込み点の位置設定が指示された場合に、判別手段で判別された側の積込み点の位置を、指定した位置に設定し、設定した積込み点までの走行経路を生成する走行指令生成手段と
が備えられていることを特徴とする無人車両の走行システム。
【請求項7】
積込み点の位置が変更される毎に、境界線を生成し直すことを特徴とする請求項5または6記載の無人車両の走行システム。
【請求項8】
積込機の作業機によって無人車両への積込みが行われる積込み点への進入方向が、積込機の作業機に対して左方向、右方向であるかに応じて左積込み点、右積込み点が設定され、無人車両を走行指令にしたがって走行経路に沿って左積込み点または右積込み点まで走行させる無人車両の走行システムに適用される走行制御方法において、
積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別するための境界線を生成する境界線生成ステップと、
積込み点の位置を指定して積込み点の位置設定を指示する積込み点位置設定指示ステップと、
積込み点の位置設定が指示されたときの作業機の向きまたは位置と、境界線の方向または位置とを対比して、積込機の作業機が左積込み点側に位置されたか、あるいは右積込み点側に位置されたかを判別する判別ステップと、
判別された側の積込み点の位置を、指定された位置に設定し、設定した積込み点までの走行経路を生成する走行指令生成ステップと
を含むことを特徴とする無人車両の走行システムにおける走行制御方法。
【請求項9】
積込み点が変更される毎に、境界線を生成し直すことを特徴とする請求項8記載の無人車両の走行システムにおける走行制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−22611(P2012−22611A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161659(P2010−161659)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】