説明

無線タグリーダを用いた物品管理装置

【課題】安価でセキュリティーが高く、かつ持ち出された物品の所在を明確に管理することができる物品管理装置を提供すること
【解決手段】物品管理サーバ装置10は、保管庫内に存在するタグ情報を受信し、持ち出し中の物品があるかどうか検出する持出中物品検出手段21と、保管庫のある部屋または建物の入退出ドア脇に存在するタグ情報を受信するユーザ情報受信手段23と、前記持出中物品検出手段21とユーザ情報受信手段23の情報からドアの開錠を決定する開錠指示手段24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとリーダを用いて、書類や貴重品などの物品を安全に管理できる物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを用いることで物品管理や入退室管理が容易にできるようになり、物品の在庫管理やセキュリティの向上のために使用されている。物品の在庫管理においては、無線タグをつけた商品の管理ができるスマートシェルフが開発され、デパートでは倉庫と売場の統合的商品管理や、図書館においては書籍の貸出システムに応用されている。
【0003】
また、セキュリティに関しては物品を持ち出す人の無線タグ情報から入退出を許可し、電子錠を開閉するシステムなどが開発されている。さらに進んだ形態として、物品と入退出を同時に管理することも知られている。このような従来技術として以下のようなものがある。
【0004】
例えば、電子鍵開閉システムとして、部屋のドア等に固定的に付けた無線タグを読取装置(たとえば携帯電話)で読み取り、読取装置が、無線タグのID(識別子)と、タグ読み取り装置のIDとの対を承認情報提供サーバに送信し、承認情報サーバが前記の2つのIDに基づいて認証を行い、電子鍵の開閉などの可否判断を行う技術が示されている(特許文献1)。
【0005】
また、家具連携型入退室管理システムとして、家具に収納物品の有無を識別する物品識別手段を設け、その物品識別手段が収納物品なしと判断しているときに部屋のドアの開錠操作を行おうとすると、不正持ち出しであると判断して警告を発する技術などが示されている(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された技術においては、ユーザの入退室の管理は可能であるが、ユーザが持ち出そうとした物品の管理ができないという欠点がある。また、特許文献2で開示された技術では、部屋からの退出においてユーザの認証のみを行うため、管理対象の物品が家具から持ち出された後、部屋の中に放置された状態であるのか、部屋から持ち出された状態であるかを判定することが難しく、物品の所在を正確に把握することができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-7992 号公報
【特許文献2】特開2007-226454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は、上記課題を解決するために、安価でセキュリティが高くかつ持ち出された物品の所在をより明確に管理することができる物品管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
無線タグが付けられた物品を保管する保管庫に備え付けられた第1の無線タグリーダから読み取り結果を受信し、その結果に基づいてタグ情報の付けられた物品が保管庫から持ち出されたことを検出する持出中物品検出手段と、
前記保管庫が設置された部屋または建物の通常は施錠されているドアの近くに設置された第2の無線タグリーダから、物品を持ち出そうとするユーザが所持するユーザに固有のタグ情報と、持ち出される物品に付けられたタグ情報との両方を、読み取り結果として受信するユーザ情報受信手段と、
前記持出中物品検出手段によって持ち出されたと判断された物品のタグ情報と、前記ユーザ情報受信手段において受信された、持ち出される物品に付けられたタグ情報とが一致し、さらに前記ユーザに固有のタグ情報が正当な権限を持つユーザのものである場合に限り、前記ドアの開錠を指示する開錠指示手段とを備えたことを特徴とする無線タグを用いた物品管理装置が提供される。
【0010】
さらに、無線タグが付けられた物品を保管する保管庫に備え付けられた第1の無線タグリーダから読み取り結果を受信し、その結果に基づいてタグ情報の付けられた物品が、前記保管庫から持ち出されたと判断する持出中物品検出手段と、
タグ情報の読み取り機能を持つ携帯電話から、前記保管庫が設置された部屋または建物の通常は施錠されているドアの近くに固定された無線タグのタグ情報、持ち出される物品に付けられたタグ情報、および前記携帯電話の識別子とを受信するユーザ情報受信手段と、
前記持出中物品検出手段により持ち出されたと判断された物品のタグ情報と、前記ユーザ情報受信手段に受信された持ち出される物品に付けられた無線タグ情報とが一致し、さらに前記携帯電話の識別子からその携帯電話のユーザが正当な権限を持つと判断した場合に限り、ドアの開錠を指示する開錠指示手段とを備えることを特徴とする無線タグを用いた物品管理装置が提供される。
【0011】
さらに、正当なユーザ情報に応じて保管庫の扉の開錠を行う開錠装置から、開錠操作を行ったユーザ情報を受け取る保管庫開錠情報受信手段をさらに設け、前記開錠指示手段の可否判断に、前記保管庫開錠情報受信手段で取得したユーザ情報と前記ユーザ情報受信手段で取得したユーザ情報を用いることを特徴とする無線タグを用いた物品管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品の管理とそれを持ち出した人の管理を同時に行うので、物品の所在が正確で、安価でセキュリティの高いシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線タグリーダを用いた物品管理装置の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態および第2の実施形態に係る物品管理サーバ装置の内部構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る無線タグリーダを用いた物品管理装置の構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る無線タグリーダを用いた物品管理装置の構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る物品管理サーバ装置の内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線タグリーダを用いた物品管理装置の構成図であり、図2は、物品管理サーバ装置の内部構成を示した図である。
【0016】
物品管理サーバ装置10と、無線タグリーダ11が取り付けられた保管庫12と、保管庫12が設置された部屋または建物の、通常は施錠されているドア13の近くに設置された無線タグリーダ14とが、LAN(Local Area Network)等のネットワーク15に接続されている。ドア13脇の無線タグリーダ14は、ユーザが持ち出そうとする物品16とユーザの所持する従業員証や携帯電話17のID(識別子)を読み取ることができる。
【0017】
また、物品管理サーバ装置10は、本発明を実現するようなアプリケーションが動作するサーバで構成されている。
【0018】
保管庫12内に存在する、すべての物品16はタグが付けられていて、物品管理サーバ装置10は、その物品のタグ情報(保管庫タグ情報20)を受信し、現在持ち出し中の物品があるかどうかを検出する持出中物品検出手段21と、保管庫12が設置された部屋または建物の入退出するドア13脇の無線タグリーダ14によって読まれたID(ドア脇タグ情報22)を受信するユーザ情報受信手段23と、前記持出中物品検出手段21とユーザ情報受信手段23との情報からドア13の開錠を決定する開錠指示手段24とを備えている。なお、ドア13脇の無線タグリーダ14によって読まれる情報としては、物品16に取り付けられたタグIDのほかにも、ユーザの所持する従業員証や携帯電話17のIDであってもよい。
【0019】
保管庫12に設置された無線タグリーダ11は、定期的に周囲をサーチして物品16のそれぞれに付けられたタグを検出している。無線タグリーダ11はそのタグのIDを物品管理サーバ装置10に送る。以前に検出されていたが、最近のサーチでは検出されなくなったタグがあった場合、持出中物品検出手段21によって、その検出されなかったIDをつけた物品16を持出中と判断し記憶する。
【0020】
その後ユーザは、物品16を保管庫12の棚から取り出すと部屋のドア13の前に行き、その物品16と無線タグが付けられた自己の所持する従業員証や携帯電話17を共にドア脇の無線タグリーダ14にかざして開錠を要求する。このとき、物品16のIDとユーザの持つ従業員証や携帯電話17のIDが、ドア13脇の無線タグリーダ14から物品管理サーバ装置10のユーザ情報受信手段23に送られる。
【0021】
ユーザ情報受信手段23は、前記の2つのIDを開錠指示手段24に渡し、開錠の可否判定をするように要求する。開錠指示手段24は、持出中物品検出手段21に記憶されている物品のIDと、ユーザ情報受信手段23から受け取った物品16とのIDとが一致し、さらにそのユーザに物品持ち出しの権限があると判断した場合には、ドア13に対して開錠指示を送信する。
【0022】
この結果、本実施形態では、部屋からの退出時において、退出しようとするユーザの認証と共に、部屋から持ち出そうとする物品の確認も行うので、その物品を部屋の中に放置したまま退出することを防ぐことができ、また、誰が何をいつ持ち出したかを確実に管理することが可能である。
【0023】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る無線タグリーダを用いた物品管理装置を示す。物品管理装置の内部構成は図2と共通であるから図2を引用して説明する。
【0024】
物品管理サーバ装置10と、無線タグリーダ11が取り付けられた保管庫12は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク15に接続され、ユーザの持つ携帯電話17は無線ネットワーク30等に、接続されている。この時、携帯電話17は無線タグのタグリーダ機能を有する。
【0025】
保管庫12に設置された無線タグリーダ11は、定期的に周囲をサーチして物品16のそれぞれに付けられたタグを検出している。無線タグリーダ11はそのタグのIDを物品管理サーバ装置10に送る。以前に検出されていたが、最近のサーチでは検出されなくなったタグがあった場合、持出中物品検出手段21によって、その検出されなかったIDをつけた物品16を持出中と判断し記憶する。
【0026】
その後ユーザは、物品16を保管庫12の棚から取り出すとドア13の前に行き、その物品16に付けられたタグと、ドア13またはドア13の近くの壁などに固定的に付けられたタグ31とを、自己の保持する無線タグ読み取り機能付き携帯電話17で読み取り、それらのタグのIDを物品管理サーバ装置10に向けて、携帯電話17のブラウザで、フォーム送信やメール送信などの機能を用いてユーザ情報受信手段23に送信する。このとき、物品16のタグのIDだけでなく、携帯電話17から読み取った自己のユーザIDもあわせて送信する。
【0027】
ユーザ情報受信手段23は、携帯電話17から送信された、物品16に付けられたタグのID、ドア13またはこのドア脇に付けられたタグのID、携帯電話17のユーザIDの組を受信すると、それらの情報を開錠指示手段24に渡し、開錠の可否判定をするように要求する。開錠指示手段24は、持出中物品検出手段21に記憶されている物品のIDと、ユーザ情報受信手段23から受け取った物品のIDとが一致し、さらにユーザに物品持ち出しの権限があると判断した場合には、ドア13またはドア13脇に貼られたタグのIDに対応するドア13に対して開錠指示を送信する。
【0028】
この結果、本実施形態では、部屋または建物のドアには無線タグを固定し、その無線タグをユーザの所持する携帯電話で読み取るので、タグの読み取りのために個々のドアに高価な無線タグリーダを設置する必要がなくなり、コストをより押さえることが可能である。
【0029】
また、本実施形態で述べた携帯電話は、無線タグの読み取り機能と、無線通信機能を持ち、自己を唯一識別できるIDを持つ携帯型端末であれば携帯電話に限ることはない。
【0030】
図4は本発明の第3の実施形態に係る無線タグリーダを用いた物品管理装置の構成図である。また、図5は本発明の実施例3に係る物品管理サーバ装置の内部構成図である。
【0031】
図4において、図1との違いは保管庫12内に開錠装置40を備えており、物品管理サーバ装置10は、LAN等のネットワーク15を介して保管庫12の開錠情報を受信できる。
【0032】
図5においては、この保管庫の開錠情報50を受信できるよう保管庫開錠情報受信手段51を追加したことにある。
【0033】
物品管理装置としての構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、ユーザは、物品16を取り出すに先立ってまず保管庫12の開錠装置40に自己の所持する従業員証や携帯電話17に格納された自己のユーザIDを読み取らせる。そして、開錠装置40がこのユーザIDを物品管理サーバ装置10に送信する。物品管理サーバ装置10は、保管庫12の開錠に用いたユーザIDがドア13において読み取られたユーザのIDと一致するかどうかもあわせて検査する。
【0034】
この結果、本実施形態においては、保管庫からの取り出しにおいてもユーザの身元を確認し、部屋から出ようとするユーザとの一致を検査するので、より強固なセキュリティが実現できる。
【0035】
なお、第1の実施形態に保管庫の開錠装置40を追加した場合について説明したが、これと同様に第2の実施形態に保管庫の開錠装置40を追加することも可能である。
【0036】
以上述べたように、本発明の無線タグリーダと連携した物品管理装置によれば、物品の管理とそれを持ち出した人の管理を同時に行うので、物品の所在が正確で、安価でセキュリティの高いシステムを提供することができる。
【0037】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0038】
10…物品管理サーバ装置
11、14…無線タグリーダ
12…保管庫
13…開閉錠機能つきドア
15…ローカルエリアネットワーク
16…物品
17…無線タグ付従業員証または携帯電話
20…保管庫タグ情報
21…持出中物品検出手段
22…ドア脇タグ情報
23…ユーザ情報受信手段
24…開錠指示手段
30…無線ネットワーク
31…無線タグ
40…保管庫開錠装置
50…保管庫開錠情報
51…保管庫開錠情報受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが付けられた物品を保管する保管庫に備え付けられた第1の無線タグリーダから読み取り結果を受信し、その結果に基づいてタグ情報の付けられた物品が保管庫から持ち出されたことを検出する持出中物品検出手段と、
前記保管庫が設置された部屋または建物の通常は施錠されているドアの近くに設置された第2の無線タグリーダから、物品を持ち出そうとするユーザが所持するユーザに固有のタグ情報と、持ち出される物品に付けられたタグ情報との両方を、読み取り結果として受信するユーザ情報受信手段と、
前記持出中物品検出手段によって持ち出されたと判断された物品のタグ情報と、前記ユーザ情報受信手段において受信された、持ち出される物品に付けられたタグ情報とが一致し、さらにユーザに固有のタグ情報が正当な権限を持つユーザのものである場合に限り、前記ドアの開錠を指示する開錠指示手段とを備えたことを特徴とする無線タグを用いた物品管理装置。
【請求項2】
無線タグが付けられた物品を保管する保管庫に備え付けられた第1の無線タグリーダから読み取り結果を受信し、その結果に基づいてタグ情報の付けられた物品が、前記保管庫から持ち出されたと判断する持出中物品検出手段と、
タグ情報の読み取り機能を持つ携帯電話から、前記保管庫が設置された部屋または建物の通常は施錠されているドアの近くに固定された無線タグのタグ情報と、持ち出される物品に付けられたタグ情報と前記携帯電話の識別子とを受信するユーザ情報受信手段と、
前記持出中物品検出手段により持ち出されたと判断された物品のタグ情報と、前記ユーザ情報受信手段に受信された持ち出される物品に付けられた無線タグ情報とが一致し、さらに前記携帯電話の識別子からその携帯電話のユーザが正当な権限を持つと判断した場合に限り、ドアの開錠を指示する開錠指示手段とを備えることを特徴とする無線タグを用いた物品管理装置。
【請求項3】
正当なユーザ情報に応じて保管庫の扉の開錠を行う開錠装置から、開錠操作を行ったユーザ情報を受け取る保管庫開錠情報受信手段をさらに設け、前記開錠指示手段の可否判断に、前記保管庫開錠情報受信手段で取得したユーザ情報と前記ユーザ情報受信手段で取得したユーザ情報を用いることを特徴とする請求項1または2記載の無線タグを用いた物品管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−216185(P2010−216185A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66559(P2009−66559)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】