説明

無線テレメータシステム

【課題】通信の信頼性を確保した無線テレメータシステムを提供する
【解決手段】無線テレメータシステム1は、センター側網制御装置11と無線通信可能に接続された端末側網制御装置14と、端末側網制御装置に接続された親機15と、親機15と無線通信可能に接続された子機16と、子機16に接続されたマイコンメータ17とを備える。親機15と子機16とのうちの少なくとも一方は、電波環境状況に応じて無線通信の設定を行なう。その機能として、親機15と子機16との間の無線通信のための無線チャネルの周波数を設定するため機能、無線通信のための空中線電力を設定するための機能、無線通信の通信速度を設定するための機能、およびこれら機能で設定された無線通信の環境下で受信したデータがノイズであるか否かを検知する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線テレメータシステムに関し、特に、通信回線を介してセンター側網制御装置に接続されている端末側網制御装置と、端末側網制御装置に有線接続されている親機と、親機に無線接続され、かつ、各々にマイコンメータが接続されている子機とを含む特定小電力無線テレメータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開平10−198881号公報(以下、特許文献1)など、従来、ガス、水道等のメータ用に開発された無線テレメータシステムにおいて、他の通信の影響を受けることなく無線通信を行なえるようにしたシステムが提案されている。特許文献1などに開示されている従来の方法としては、システムの識別情報を無線機にて特定する手段を有し、その手段にて送信側は連続的に識別情報を送信し、そして、受信側はその無線電波を検出し、送信された識別情報を検出したときにその識別情報が自分の識別情報に該当する場合に、無線通信を相互に行なうものである。
【0003】
ところで、従来の無線テレメータシステムでは、無線端末親機または無線端末子機は、電池で動作するようになっているため、電池の消耗を低減するために、間欠的に受信動作を行なうことで、相手無線端末(親機または子機)からの無線電波の有無を判別するキャリアセンス動作を間欠的に行なっている。
【0004】
間欠キャリアセンスでの動作で、無線電波の有無を判別できるのは、相手無線端末だけでなく、他の無線端末システムからの電波や、家電機器などが発する電波等も含まれ、結果的に誤って電波を受信することがある。その結果、無線端末親機または無線端末子機は、電池を無駄に消耗してしまうという問題があった。
【0005】
その問題を解決する手段として、無線端末の識別情報の短縮情報を用いて相手無線端末(受信端末)を呼び出し、受信無線端末側は、呼び出し元端末(送信端末)からの短縮情報が自身の識別情報の短縮情報と一致するか否かを判別することで電池の消耗を低減する方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、このシステムにおいても、送信端末が相手端末へ送信する際に他の端末等の通信と重なった場合は、送信することができないか、または受信できない、という問題があった。
【0007】
この問題を解消するため、本願出願人は特開2008−160680号公報(以下、特許文献2)で、無線テレメータシステムにおいて、無線親機または無線子機は、複数の無線チャネルの時系列ごとの空きチャネルの情報をもとに、時間ごとの空きチャネルを使用する無線チャネルとして選択し、時間ごとに選択した無線チャネルを複数の無線子機に通知し、複数の無線子機へ通知した以降は、その通知を受けた無線チャネルへ変更し、その無線チャネルで通信する方法を開示している。つまり、通信の信頼性を保つために、使用されていない無線の空きチャネルを利用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−198881号公報
【特許文献2】特開2008−160680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、無線チャネルは、「標準規格ARIB(Association of Radio Industries and Businesses:電波産業会)STD−T96」において規定されている。この標準規格では、無線の空中線電力が1mW以下では1〜33チャネルが使用可能である。一方、空中線電力が1mWを超え10mW以下では、17〜33チャネルが使用可能である。つまり空中線電力が1mWを超え10mW以下である場合は、空中線電力が1mW以下の場合に比べて選択できる使用チャネルが少ない。そのため、他の無線端末システムからの電波や、家電機器などが発する電波等の影響により、空中線電力が1mWを超え10mW以下においてのチャネルでは、使用できる無線チャネルがない場合がある。また、空中線電力が1mW以下の場合は、選択できる無線チャネルが多いが、送信する電力が小さいため、無線の到達距離が空中線電力の1mWを超え10mW以下の場合に比べて短い。
【0010】
センター側網制御装置に公衆網の回線を介して接続された端末側網制御装置と、前記端末側網制御装置に接続された無線親機と、前記無線親機と無線接続される複数の無線子機と、前記複数の無線子機にそれぞれ接続された複数のマイコンメータによって構成される無線テレメータシステムにおいて、無線親機または無線子機が、通信するための無線チャネルの周波数を設定する手段と、無線の通信速度を設定する手段と、空中線電力を設定する手段と、電波環境状況を検知する手段を有し、電波環境状況に従い、送信電力と通信速度を共に変更する手段を有する。また電波環境状況に従い、送信電力と通信速度を変更する際に、通信速度は段階的に可変する。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、通信の信頼性を確保した無線テレメータシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、無線テレメータシステムは、センター側網制御装置と無線通信可能に接続された端末側網制御装置と、端末側網制御装置に接続された親機と、親機と無線通信可能に接続された子機と、子機に接続されたマイコンメータとを備える。親機と子機とのうちの少なくとも一方は、電波環境状況に応じて無線通信の設定を行なうための制御手段を含み、制御手段は、親機と子機との間の無線通信のための無線チャネルの周波数を設定するための第1の設定手段と、無線通信のための空中線電力を設定するための第2の設定手段と、無線通信の通信速度を設定するための第3の設定手段と、第1の設定手段、第2の設定手段、および第3の設定手段で設定された無線通信の環境下で受信したデータがノイズであるか否かを検知することによって、電波環境状況を検知するための検知手段とを有する。第1の設定手段および第2の設定手段は、検知手段での検知結果に応じてその設定を行ない、第3の設定手段は、第2の設定手段での空中線電力の設定に伴って通信速度を設定する。
【0013】
好ましくは、第3の設定手段は、第2の設定手段での空中線電力の設定に伴って通信速度を段階的に変化させて設定する。
【0014】
好ましくは、第2の設定手段は、空中線電力を1mWより大きくかつ10mW以下に設定したときに、第1の設定手段で設定された当該空中線電力で使用可能なすべてのチャンネルについて検知手段でノイズが検知された場合、空中線電力を1mW以下に設定する。
【0015】
より好ましくは、第3の設定手段は、第2の設定手段が空中線電力を1mW以下に設定したときに、通信速度を、第2の設定手段が空中線電力を1mWより大きくかつ10mW以下に設定したときに設定されていた通信速度よりも遅い通信速度に設定する。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、電波環境状況にしたがって空中線電力と通信速度とを可変することで、通信の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態にかかる無線テレメータシステムの構成の具体例を示す図である。
【図2】本実施の形態にかかる無線テレメータシステムに含まれる親機の内部構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態にかかる無線テレメータシステムに含まれる子機の内部構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態にかかる無線テレメータシステムでの、センター側網制御装置からメータ/センサへのセンターポーリング通信の動作を説明する図である。
【図5】本実施の形態にかかる無線テレメータシステムでの、端末側であるメータ/センサからの発呼があった際の通信動作を説明する図である。
【図6】間欠キャリアセンス動作のための親機または子機の機能構成の具体例を表わすブロック図である。
【図7】親機と子機との間での間欠キャリアセンス動作の流れを表わしたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0019】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる無線テレメータシステム1の構成の具体例を示す図である。
【0020】
図1を参照して、無線テレメータシステム1は、センター側網制御装置11に移動体無線網12を介して接続された端末装置13と、1つまたは複数の子機16a,16b,…とを含む。子機16a,16b,…を代表させて子機16と称する。
【0021】
端末装置13は、センター側網制御装置11と移動体無線網12を介して接続された端末側網制御装置14と、端末側網制御装置14と有線または無線で接続された親機15とを含む。
【0022】
親機15は子機16と接続される。この接続には、好適には特定小電力無線が用いられる。子機16a,16b,…は、それぞれ、ガス、水道等のマイコンメータ(以下、メータ/センサと称す)17a,17b,…に有線または無線で接続される。メータ/センサ17a,17b,…を代表させてメータ/センサ17と称する。
【0023】
<装置構成>
図2は、親機15の内部構成の具体例を示すブロック図である。
【0024】
図2を参照して、親機15は、端末側網制御装置14と通信を行なうためのI/F(インターフェース)21、メータ/センサ17を識別する情報や検針値に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ22、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)23、アンテナ24、無線通信ユニット25、ROM(Read Only Memory)26、RAM(Random Access Memory)27、および電池28を含む。
【0025】
CPU23は、ROM26に記憶されているプログラムを読み出してRAM27を作業領域として実行することで、後述する通信動作を実行する。
【0026】
図3は、子機16の内部構成の具体例を示すブロック図である。
図3を参照して、子機16は、メータ/センサ17と通信を行なうためのメータI/F(インターフェース)31、メータ/センサ17に関する情報であるメータ情報などを記憶するための不揮発性メモリ32、CPU33、親機15に電波を出力し、親機15からの電波を受付けるためのアンテナ34、親機15との間の通信用の信号を変換するための無線通信ユニット35、CPU33で実行されるプログラムを記憶するためのROM36、CPU33が情報を処理するためのデータを一時的に記憶するためのRAM37、およびCPU33などに対して電力を供給するための電池38を含む。
【0027】
CPU33は、ROM36に記憶されているプログラムを読み出してRAM37を作業領域として実行することで、後述する通信動作を実行する。一例として、無線通信ユニット35から伝えられた信号が自身のIDに宛てた信号であるか否かを判別する。
【0028】
無線通信ユニット35は、間欠的に受信動作を行なうことで、相手端末からの無線電波の有無を判別するキャリアセンス動作を間欠的に行なう。
【0029】
<無線テレメータシステムでの通信動作>
本実施の形態にかかる無線テレメータシステムでは、センター側網制御装置11からメータ/センサ17への通信、およびメータ/センサ17からセンター側網制御装置11への通信が行なわれる。
【0030】
図4は、無線テレメータシステム1での、センター側網制御装置11からメータ/センサ17へのセンターポーリング通信の動作を説明する図である。
【0031】
図4を参照して、はじめに、センター側網制御装置11から発された接続要求は、移動体無線網12を介して端末側網制御装置14で受信される(ステップS11)。これに応じて、端末側網制御装置14が起動する。
【0032】
端末側網制御装置14は起動すると、親機15に対して起動の信号を送出する(ステップS12)。親機15がその起動の信号を受信して起動する。
【0033】
親機15は起動すると、子機16に対して起動の信号を送信する(ステップS13)。子機16がその起動の信号を受信して起動する。
【0034】
子機16は起動すると、メータ/センサ17に対して起動の信号を送出する(ステップS14)。メータ/センサ17がその起動信号を受信して起動する。
【0035】
センター側網制御装置11からメータ/センサ17までの接続が成立すると、メータ/センサ17から子機16、親機15、および端末側網制御装置14を経てセンター側網制御装置11まで、メータ/センサ17での検針値データが送信される(ステップS15〜S18)。これにより、センター側網制御装置11はメータ/センサ17の検針値データを取得する。
【0036】
図5は、無線テレメータシステム1での、端末側であるメータ/センサ17からの発呼があった際の通信動作を説明する図である。端末側であるメータ/センサ17から発呼要因があるケースとして、メータ/センサ17が検針値データをセンターに通報するケースが挙げられる。
【0037】
図5を参照して、メータ/センサ17から起動の信号が送出される(ステップS21)。子機16がその起動の信号を受信して起動する。
【0038】
子機16は起動すると、親機15に対して起動の信号を送信する(ステップS22)。親機15がその起動の信号を受信して起動する。
【0039】
親機15は起動すると、端末側網制御装置14に対して起動の信号を送出する(ステップS23)。端末側網制御装置14がその起動信号を受信して起動する。
【0040】
端末側網制御装置14は起動すると、移動体無線網12を介してセンター側網制御装置11へ接続要求を送信して(ステップS24)、センター側網制御装置11との接続を確立する。
【0041】
センター側網制御装置11からメータ/センサ17までの接続が成立すると、センター側網制御装置11は、端末側網制御装置14、親機15、および子機16を経てメータ/センサ17に対して、検針値データが要求される(ステップS25〜S28)。この要求に応じて、メータ/センサ17から子機16、親機15、および端末側網制御装置14を経てセンター側網制御装置11まで、メータ/センサ17での検針値データが送信される(ステップS29〜S32)。これにより、センター側網制御装置11はメータ/センサ17の検針値データを取得する。
【0042】
<親機と子機との無線通信>
以上の、センター側網制御装置11がメータ/センサ17の検針値データを取得するための通信を実現するための、親機15と子機16との無線通信についてさらに説明する。
【0043】
親機15の無線通信ユニット25と子機16の無線通信ユニット35とは、上記起動信号やメータ値を要求する信号などのやり取りがないタイミングで間欠的にデータを送受信する動作を行なって相手端末からの無線通信が可能なチャネルを検知し、設定している。この動作を、間欠キャリアセンスという。間欠キャリアセンス動作により検知された無線通信が可能なチャネルは、親機15のCPU23と子機16のCPU33とに伝えられる。
【0044】
詳しくは、上記タイミングで親機15と子機16とは、間欠キャリアセンス動作を実行するモードとなって以下の動作を実行する。このとき、親機15と子機16とのうちのいずれか一方が送信側装置となり、他方が受信側装置となる。
【0045】
送信側装置と受信側装置とは、必ずしも固定されなくてもよい。すなわち、あるタイミングでは親機15が送信側装置となって子機16が受信側装置となり、また他のタイミングでは子機16が送信側装置となって親機15が受信側装置となる、のように、その機能が入れ替わってもよい。
【0046】
送信側装置は、上記タイミングで、受信側装置における受信間隔より長い期間、連続的にデータを送信する。たとえば、受信側装置における受信間隔が18秒であれば、送信側装置は19秒間、連続してデータを送信する。このとき、送信側装置は、自装置の識別符号(ID)と受信側装置の識別符号(ID)とをデータとして送信する。
【0047】
受信側装置は、受信したデータが自装置ID(または識別符号)が付された、自装置宛ての無線通信要求か否かを判別する。受信したデータが自装置宛ての無線通信要求である場合には当該無線データを受信し、適切な処理を行なった後、送信側装置に対して無線応答する。
【0048】
なお、相手の端末IDと送受信チャネル番号とは、たとえば親機15と子機16とを設置場所に設置したタイミングに入力するなどして、予め親機15の不揮発性メモリ22と子機16の不揮発性メモリ32とに記憶されているものとする。そこで、この情報を用いることで他の端末と混信することなく相手装置と通信をすることができる。または、設置場所に応じて複数の無線チャネルの内から無線チャネル番号が1つもしくは2つ程度自動的に設定され、設定された無線チャネル番号が親機15の不揮発性メモリ22と子機16の不揮発性メモリ32とに記憶されていてもよい。
【0049】
<機能構成>
図6は、間欠キャリアセンス動作を実行するための、親機15と子機16とのうちの受信側装置となる装置側の機能構成の具体例を表わすブロック図である。図6に表わされた機能は、受信側装置が親機15である場合には、CPU23がROM26に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって主にCPU23に実現されるものである。または、受信側装置が子機16である場合には、CPU33がROM36に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって主にCPU33に実現されるものである。なお、少なくとも一部が図2または図3に表わされたハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0050】
図6を参照して、受信側装置は上記機能として、無線通信ユニット25(または35)によって所定の周波数の電波を受信することで受け取ったデータの入力を受付けるための入力部101と、当該データを解析することでノイズを検知するための検知部102と、検知部102での検知に基づいて無線通信ユニット25(または35)で受信した周波数でのノイズの有無を判断するための判断部103と、その判断結果に応じて無線通信ユニット25(または35)での通信に用いる無線チャネル、つまり送受信する電波の周波数を設定(変更)するためのチャネル設定部104と、無線通信ユニット25(または35)での通信のための空中線電力を設定するための電力設定部105と、無線通信ユニット25(または35)での無線通信の通信速度を設定するための速度設定部106とを含む。
【0051】
<動作フロー>
図7は、親機15と子機16との間での間欠キャリアセンス動作の流れを表わしたフローチャートである。図7のフローチャートで表わされる動作は、親機15と子機16とのうちの送信側装置において、上記起動信号やメータ値を要求する信号などのやり取りがないタイミングで実行される。すなわち、図7のフローチャートで表わされる動作は、送信側装置のCPUがROMに記憶されているプログラムを読み出してRAM上で実行することによって実現される。
【0052】
図7を参照して、ステップS101で送信側装置のCPUは、受信側装置に対する無線通信として、1mWより大きく、かつ、10mW以下である空中線電力を用いるものと無線通信ユニットに対して設定する。
【0053】
標準規格ARIB STD−T96では、無線の空中線電力が1mWより大きく、かつ、10mW以下である場合、17〜33チャネルが使用可能と規定されている。そこで、ステップS103で送信側装置のCPUは、17〜33チャネルのうちの使用可能なチャネルの中から1つを候補チャネルとして選択する。
【0054】
送信側装置のCPUは、選択した候補チャネルの周波数帯において定期的にキャリアセンスを行なって、当該チャネルにノイズがあるか否かを調査する。すなわち、設定された周波数の電波で送信されたデータを解析して含まれているIDが自装置の識別符号と一致する場合には受信するべきデータと判断して受信し、一致しない場合にはノイズと判断して破棄する。
【0055】
一定時間(たとえば一時間)キャリアセンスを行なった結果、該一定時間のうちの規定割合(たとえば30分以上)でノイズがあった場合(ステップS105でYES)、17〜33チャネルのうちの上記ステップS103で選択された候補チャネルとは異なる無線チャネルが使用可能である場合には(ステップS107でYES)、処理をステップS103に戻し、送信側装置のCPUは、使用可能な無線チャネルの中から他の候補チャネルを選択する。そして以降の動作を繰り返すことで定期的に当該候補チャネルについてキャリアセンスを行ない、当該候補チャネルにノイズがあるか否かを調査する。
【0056】
一方、17〜33チャネルすべてが使用不可能であった場合は(ステップS107でNO)、ステップS109で送信側装置のCPUは、受信側装置に対する無線通信として無線通信ユニットに対して空中線電力を1mW以下に設定する。
【0057】
標準規格ARIB STD−T96では、空中線電力が1mW以下の場合、1〜33チャネルが使用可能と規定されている。そこで、送信側装置のCPUは、1〜33チャネルの中から、ノイズのない使用可能な無線チャネルを調査し(ステップS111でYES)、ステップS113で1〜33チャネルのうちの上記ステップS103で選択された候補チャネルとは異なる、ノイズのない無線チャネルを選択する。そしてステップS115で送信側装置のCPUは、選択された無線チャネルの周波数に応じて通信データレートを変更する。
【0058】
たとえば、上記ステップS109で、無線の空中線電力が1mWを超え10mW以下の状況で通信データレートが100kbpsであった場合から、空中線電力を1mW以下に変更した場合は、ステップS115で送信側装置のCPUは、通信データレートを100kbps以下の50kbpsに変更する。このように通信データレートを変更することによって、無線の到達距離を長くすることができる。
【0059】
すなわち、上記ステップS109で空中線電力の出力を小さくしたことによって、無線の到達距離が短くなる。一方、通信データレートと到達距離とは相関関係にあるため、通信データレートを小さくすると到着距離が長くなる。よって、上記ステップS115で通信データレートを小さくすることで、上記ステップS109で空中線電力の出力を小さくすることによって減少した到達距離を相殺することができる。
【0060】
より好ましくは、上記ステップS115で通信データレートを変更する際に送信側装置のCPUは、通信データレートを当初通信データレート(たとえば100kbps)から所定量(たとえば10kbps)ずつ、受信側装置と通信できるか否かを確認しながら段階的に減少させる。これにより、通信データレートの減少量を最小限とすることができ、必要以上に通信データレートを少なくすることを防止できる。
【0061】
<実施の形態の効果>
本実施の形態にかかる無線テレメータシステム1において親機15と子機16との間で上述の間欠キャリアセンス動作が実行されることによって、電波環境状況にしたがって空中線電力と通信データレートとを可変することになり、親機15と子機16との間でノイズのない信頼性の高い周波数帯で通信することが可能となる。つまり、親機15と子機16との間の通信の信頼性を確保することができる。
【0062】
また、上述の間欠キャリアセンス動作が実行されることによって、無線の空中線電力が10mWである場合における通信レートが、親機15と子機16との間の通信におけるノイズの有無に応じて段階的に更新(減少)されることになる。そのため、たとえ無線の空中線電力が1mWまで達した場合であっても、その電力において最大の通信レートを確保することができる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 無線テレメータシステム、11 センター側網制御装置、12 移動体無線網、13 端末装置、14 端末側網制御装置、15 親機、16,16a,16b 子機、17,17a,17b センサ、21 端末側網制御装置通信I/F、22,32 不揮発性メモリ、24,34 アンテナ、25,35 無線通信ユニット、26,36 ROM、27,37 RAM、28,38 電池、31 メータI/F、101 入力部、102 検知部、103 判断部、104 チャネル設定部、105 電力設定部、106 速度設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター側網制御装置と無線通信可能に接続された端末側網制御装置と、
前記端末側網制御装置に接続された親機と、
前記親機と無線通信可能に接続された子機と、
前記子機に接続されたマイコンメータとを備え、
前記親機と前記子機とのうちの少なくとも一方は、電波環境状況に応じて前記無線通信の設定を行なうための制御手段を含み、
前記制御手段は、
前記親機と前記子機との間の前記無線通信のための無線チャネルの周波数を設定するための第1の設定手段と、
前記無線通信のための空中線電力を設定するための第2の設定手段と、
前記無線通信の通信速度を設定するための第3の設定手段と、
前記第1の設定手段、前記第2の設定手段、および前記第3の設定手段で設定された前記無線通信の環境下で受信したデータがノイズであるか否かを検知することによって、前記電波環境状況を検知するための検知手段とを有し、
前記第1の設定手段および前記第2の設定手段は、前記検知手段での検知結果に応じて前記設定を行ない、
前記第3の設定手段は、前記第2の設定手段での前記空中線電力の設定に伴って前記通信速度を設定する、無線テレメータシステム。
【請求項2】
前記第3の設定手段は、前記第2の設定手段での前記空中線電力の設定に伴って前記通信速度を段階的に変化させて設定する、請求項1に記載の無線テレメータシステム。
【請求項3】
前記第2の設定手段は、前記空中線電力を1mWより大きくかつ10mW以下に設定したときに、前記第1の設定手段で設定された当該空中線電力で使用可能なすべてのチャンネルについて前記検知手段でノイズが検知された場合、前記空中線電力を1mW以下に設定する、請求項1または2に記載の無線テレメータシステム。
【請求項4】
前記第3の設定手段は、前記第2の設定手段が前記空中線電力を1mW以下に設定したときに、前記通信速度を、前記第2の設定手段が前記空中線電力を1mWより大きくかつ10mW以下に設定したときに設定されていた通信速度よりも遅い通信速度に設定する、請求項3に記載の無線テレメータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−178682(P2012−178682A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40046(P2011−40046)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】