説明

無線デバイス、その製造方法、その検査方法及び検査装置並びに無線装置及びその製造方法

【課題】 耐久性、通信性能及び外観性が優れ、多機能化が容易で、低コストで製造できる無線デバイス、その製造方法、その検査方法及び検査装置並びに無線装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス等からなる絶縁性基板1上に、信号処理回路2とアンテナ3とを一体的に形成する。このとき、信号処理回路2は、CMOSプロセスにより形成する。これにより、実装に関する接続部分がなくなり、熱応力、曲げ応力、振動及び衝撃等への耐性を向上させることができる。また、実装工程が不要となり製造コストを低減できる。更に、基板として絶縁性基板1を使用することにより、ノイズの発生及びアンテナ3の指向性を無くすことができると共に、アンテナ3の大面積化が容易となり、通信性能が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及び信号処理回路を備え、荷札情報、センサー情報、セキュリティー情報等を扱う無線デバイス、その製造方法及びその検査方法並びに無線装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、RF(Radio Frequency:無線)タグ又は非接触式ICカード等の無線デバイスが急速に実用化されつつある。RFタグはアンテナ、メモリ及び信号処理を行うための回路等から構成されており、メモリ内に記憶された荷札情報等を専用のリーダ/ライタとの間で交信し、商品管理又はセキュリティー対策等に活用されている。
【0003】
図24は従来のRFタグを示す斜視図である。図24に示すように、基板301上にアンテナ302が設けられており、アンテナ302にICチップが電気的に接続されるように実装されている。基板301の材料には、通常PET(Poly-Ethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)等の低コストな絶縁性プラスチックが用いられる。アンテナ302はアルミニウム等の比較的抵抗が小さい材料を用いて印刷等によって形成される。ICチップ303はACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)等によってアンテナに熱圧着されている。
【0004】
図24に示すRFタグにおいては、アンテナ302が形成された基板301に、ICチップ303が直接実装されているが、その他にICチップを一度別基板(以下、インレットという)に実装して、このインレットをアンテナが設けられた基板に接合するものもある。ICチップはインレットに設けられた配線にACFによって熱圧着されている。インレットは前記基板に熱圧着又はかしめ圧着等によって接合されており、これにより、インレットに設けられた配線は、アンテナに接続されている。
【0005】
次に、従来のRFタグの動作原理について説明する。図25は従来のRFタグ及びリーダ/ライタの構成を示すブロック図である。図25に示すように、リーダ/ライタ311は制御部312、送受信部313及びアンテナ314を備え、制御部312で生成された信号を送受信部313に送りアンテナ314から電波として出力する。RFタグ315は、アンテナ316及びICチップ317を備え、ICチップ317は送受信部318及びメモリ319を備えている。リーダ/ライタ311のアンテナ314から出力された電波をRFタグ315のアンテナ316が感知し、その信号情報をICチップ317内の送受信部318に送り、メモリ319の情報の読み書きを行う。読み出された信号は再び送受信部318に送られアンテナ316から電波として出力され、リーダ/ライタ311に返送される。リーダ/ライタ311は返送された情報をコンピュータ(図示せず)に送り、商品管理又はセキュリティー対策等に活用する。なお、RFタグは通常バッテリーを搭載しておらず、アンテナ316で受信した電波から起電力を得ている。
【0006】
非接触式のICカードの動作原理はRFタグと略同様であり、使用方法の違いによって分類されている。即ち、RFタグは荷札として使用されるのに対し、非接触式のICカードはIDカード等の認証ツール又はプリペイドICカード等のキャッシュ媒体として使用される。
【0007】
図26は従来の非接触式ICカードを示す斜視図である。図26に示すように、ICカード321は、カードとしての携帯性を担保するために、デバイス322及び補助材324を挟んで2枚の基板323を貼り合わせて構成されている。補助材324の中央部には開口部が形成されており、その開口部にデバイス322が収納されている。デバイス322においては、表面にアンテナが設けられた薄いPETフィルム上にICチップが実装されている。このため、デバイス322だけでは強度が低く、カードとしての使用に耐えない。そこで、ポリカーボネート又はABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene copolymer:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の樹脂で形成された2枚の基板323を、ICカード321の全体の厚さが1mm程度になるようにデバイス322に貼り合わせて、デバイス322を保護している。これにより、ICカード321携帯時のデバイス322の破損を防止できる。このような、ICカードは、例えば特許文献1(特開2002−279383号公報)及び特許文献2(特開2000−251037号公報)に開示されている。
【0008】
また、デバイス322はICチップが搭載された部分が、ICチップの厚さの分だけ凸状になっているため、デバイス322を単に基板323で挟み込んだだけでは、その接合が不十分なものとなってしまう。そこで、スペーサとして補助材324を設けることにより、ICカード321の表面を平坦化している。これにより、ICカード321の表面に、その商品価値を高めるための模様等を鮮明に印刷することができる。また、補助材324は、ICカード321の強度を向上させることもできる。
【0009】
また、RFタグの別の形態として、送受信部及びメモリ等の回路とアンテナとが1つのICチップ内に一体形成されたものがある。例えば、非特許文献1(“ICタグ用コイル”、[online]、[平成16年5月27日検索]、インターネット<URL:http://ef2.e-kyuma.com/ic_coil.html>)には、縦及び横の長さが夫々2.5mmである(以下、2.5mm角という)シリコンチップ上に信号処理用の回路、メモリ及びアンテナが設けられたRFタグ(日立マクセル社製・ME−Y1002)が開示されている。このRFタグにおいては、回路及びメモリは通常のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)シリコンプロセスで形成されており、アンテナは回路が形成された後、銅めっきにより形成されている。アンテナの形状は、ピッチが10μm強の螺旋状であり、2.5mm角のシリコンチップの最外周部まで使って形成されている。このRFタグの動作性能は、アンテナが2.5mm角の微小なICチップ内に収められているため、通信距離が2.5mm以下と短い。
【0010】
また、例えば、特許文献3(特開平8−77317号公報)及び特許文献4(特開平10−162112号公報)には、シリコンチップ上に微小アンテナと信号処理回路を一体形成する技術が開示されている。これらの文献には、これにより、ICカードが小型化できると共に実装コストを削減できると記載されている。
【0011】
上述のように、RFタグ等の無線デバイスには、回路とアンテナとが別々の基板に形成されたもの(以下、別体型という)と、一体形成されたもの(以下、一体型という)との2種類がある。なお、必要とされる起電力に基づいてアンテナの使用を決定する方法は、例えば、非特許文献2(PHILIPS 「I・CODE Coil Design Guide」 2002年9月)及び非特許文献3(Steve C.Q.Chen et.al.、「OPTIMIZATION OF INDUCTIVE RFID TECHNOLOGY」 2001 IEEE p.82−87)に開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開2002−279383号公報
【特許文献2】特開2000−251037号公報
【特許文献3】特開平8−77317号公報
【特許文献4】特開平10−162112号公報
【非特許文献1】“ICタグ用コイル”、[online]、[平成16年5月27日検索]、インターネット<URL:http://ef2.e-kyuma.com/ic_coil.html>
【非特許文献2】PHILIPS 「I・CODE Coil Design Guide」 2002年9月
【非特許文献3】Steve C.Q.Chen et.al.、「OPTIMIZATION OF INDUCTIVE RFID TECHNOLOGY」 2001 IEEE p.82−87
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の従来のRFタグ等の無線デバイスには、以下に示すような問題点がある。
【0014】
別体型の無線デバイスにおいては、耐久性が低いという問題がある。即ち、別体型の無線デバイスはアンテナが形成された基板上にICチップを実装するという形態をとっているため、接続部分の信頼性が低い。例えばICチップの端子とアンテナがACFによって接合されている場合、無線デバイスが高温になった場合の熱膨張、又は低温になった場合の熱収縮の割合が部材によって異なるため、大きな熱応力が生じる。例えば、RFタグは物品に添付されて様々な環境下に置かれるため、例えば、飛行機のコンテナ内で低温にさらされる場合、又は工場ラインのパレット上で高温にさらされる場合がある。このため、RFタグに熱応力が発生しやすく、接続部の断線が発生する虞がある。また、RFタグは、添付された物品の輸送中の振動若しくは衝撃、又は洋服若しくは紙類に添付された場合の曲げ応力等によっても、RFタグの接続部に断線が発生してしまう。実際、従来の別体型のRFタグの導入試験において、10%近い故障率が報告されている。
【0015】
また、別体型の無線デバイスは、製造コストが高くなってしまう。RFタグは、将来、現在のバーコードに取って代わることが期待されており、そのために生産コストを1個当たり数円程度に抑えることが望ましい。無線デバイスに用いるICチップは所謂半導体プロセスにより製造されるので、チップサイズの微細化及び製造工程の短縮等により、これまでのDRAMの発展に見られたように、ICチップ自体のある程度のコスト削減が見込まれる。しかしながら、ICチップの微細化が進むと、その実装コストが上昇してしまう虞がある。例えば0.3mm角のICチップ(日立製作所製・μチップ)をアンテナ上に実装する場合、極めて高いハンドリング性能をもった生産設備が必要となり、その歩留り等を考慮すると製造コストの低減はかなりハードルの高い課題といえる。
【0016】
更に、別体型の無線デバイスは、ICカード等に製品化した場合、外観性が劣るという問題点がある。また、その外観を向上させようとすると、そのためのコストが生じてしまう。即ち、図26に示すように、無線デバイスにおいては、ICチップに起因する凸部があるため、この無線デバイスをICカードに内蔵させた場合に、ICカードの表面に凹凸が生じ、見た目が優れないばかりか、高精細な印刷が困難になる。また、前記凹凸を抑制するために、ある程度の厚さを持った補助材が必要となり、部品点数が増加し、コストが増大する
【0017】
一方、一体型のRFタグにおいては、通信性能が低いという問題がある。RFタグは非接触で信号の送受信ができることに大きなメリットがあり、その通信距離が長いほど利便性が高いといえる。しかしながら、従来の一体型のRFタグにおいては、シリコン基板の表面に回路及びアンテナ等が形成されており、シリコン基板が導体であるため、アンテナから出力された電波はシリコン基板に遮断されてしまう。即ち、アンテナが形成された面からしか電波を送受信できない。また、シリコン基板内に発生する誘導電流によって、ノイズが増大し、通信感度が著しく低下してしまう。
【0018】
また、従来、シリコン基板は高価であるために、できるだけ素子を小さく作ることにより1枚のウエハからより多くの素子が得られるように設計される。従って、一体型のRFタグにおいても、単価を低く抑えるためにアンテナの面積を小さくする必要がある。例えば、前述の非特許文献1に記載のRFタグにおいては、2.5mm角の領域にアンテナが収められている。また、特許文献3においても、アンテナは「微小アンテナ」との名称になっており、極めて小さいアンテナであることが前提となっている。
【0019】
一方、アンテナの通信性能は、アンテナのサイズに大きく影響を受ける。アンテナのサイズを大きくすることで、アンテナの感度を向上できる。また、RFタグの駆動電源として受信した電波から生成した起電力を用いている場合には、アンテナのサイズを大きくすることでアンテナ内を通過する磁束を大きくでき、大きな起電力を得ることができる。これにより、アンテナから出力される電波の強度を高めることができる。このように、通信距離の拡大には、アンテナのサイズは最も効果の高いパラメータとなっている。しかしながら、前述のように、シリコン基板を用いたICチップにおいては、コスト上の制約からアンテナのサイズを大きくできず、通信性能が著しく低下してしまう。前述の如く、非特許文献1に記載のRFタグにおいては、チップサイズが2.5mm角と小さく、通信距離は2.5mm以下である。これは、別体型のRFタグの通信距離が数十cmであることと比較すると、極めて短い距離である。
【0020】
ちなみに、別体型の無線デバイスでは、低コストなPET基板等の表面にアンテナを形成するため、コストの観点からはアンテナの小型化にそれほどこだわる必要はなく、十分な通信性能を得るために、例えばカードの外形の制約内で自由に設計を行うことができる。具体的には、別体型の無線デバイスのアンテナは、例えば、縦が7cmであり横が5cmである矩形の領域内に形成することができる。
【0021】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、耐久性、通信性能及び外観性が優れ、多機能化が容易で、低コストで製造できる無線デバイス、その製造方法、その検査方法及び検査装置並びに無線装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る無線デバイスは、絶縁性基板と、この絶縁性基板上に形成された信号処理回路と、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路と一体的に形成され前記信号処理回路に接続された無線通信用のアンテナと、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明においては、信号処理に必要な信号処理回路と無線通信に必要なアンテナとを絶縁基板上に一体的に形成し、実装に関する接続部分をなくすことにより、熱応力、曲げ応力、振動及び衝撃等への耐性を向上させることができる。また、低コストな絶縁基板上に信号処理回路とアンテナとを一体形成することにより、実装工程が不要となり製造コストを低減できる。更に、アンテナを絶縁性基板に形成することにより、ノイズの発生及びアンテナの指向性を無くすことができると共に、アンテナの大面積化が容易となり、通信性能が向上する。更にまた、表面に大きな凹凸が形成されないため、外観性が優れている。
【0024】
また、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成されたメモリを有していてもよく、前記メモリがROM、EEPROM、FeRAM、DRAM及びSRAMからなる群から選択された1のメモリであってもよい。
【0025】
又は、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成された表示装置を有していてもよく、前記表示装置が液晶表示装置、有機EL表示装置及び無機EL表示装置からなる群から選択された1の表示装置であってもよい。
【0026】
又は、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成された電源装置を有していてもよく、前記電源装置が太陽電池又はリチウムイオン二次電池であってもよい。
【0027】
又は、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成されたセンサーを有していてもよく、前記センサーが圧力センサー、加速度センサー、温度センサー、湿度センサー、においセンサー及び指紋センサーからなる群から選択された1のセンサーであってもよい。
【0028】
又は、前記絶縁性基板上に形成された機械式入出力装置を有していてもよく、前記機械式入出力装置がディップスイッチ、タッチパネル、マイクロホン及びスピーカーからなる群から選択された1の装置であってもよい。
【0029】
又は、前記絶縁性基板上に形成された他のアンテナを有していてもよい。この場合、前記他のアンテナが、前記アンテナが対応している通信周波数とは異なる通信周波数に対応していることが好ましく、前記他のアンテナが、ブースターアンテナであってもよい。
【0030】
このように、絶縁性基板上に、信号処理回路及びアンテナと一体的にメモリ、表示装置、電源装置、センサー、機械式入出力装置又は他のアンテナ等を設けることにより、容易に無線デバイスの多機能化を図り、付加価値を高めることができる。
【0031】
更に、前記絶縁性基板の厚さが200μm以下であってもよい。これにより、無線デバイスにフレキシブル性を持たせることができる。このとき、前記情報処理回路及び前記アンテナを覆うように設けられた保護フィルムを有していてもよい。
【0032】
更にまた、前記アンテナがコイルアンテナであり、このアンテナの最外周を結んだ線で囲まれた領域の面積が1cm以上であることが好ましい。又は、前記アンテナがダイポールアンテナであり、このアンテナの長さが3cm以上であることが好ましい。これにより、良好な通信性能を確保することができる。
【0033】
本発明に係る無線装置は、相互に積層された複数の無線デバイスを有し、この無線デバイスが請求項1乃至21のいずれか1項に記載された無線デバイスであることを特徴とする。
【0034】
また、少なくとも2つの前記無線デバイス間の通信を無線通信によって行うことが好ましい。これにより、無線デバイス同士を固定するときに、厳密な位置合わせをする必要がなくなり、製造が容易になると共に、接続部が損傷する虞がなくなる。
【0035】
このとき、少なくとも3つの前記無線デバイス間の通信を無線通信によって行い、一の対をなす前記無線デバイス間の無線通信は、他の対をなす前記無線デバイス間の無線通信とは異なる通信周波数で行うことが好ましい。又は、一の対をなす前記無線デバイス間の無線通信は、他の対をなす前記無線デバイス間の無線通信とは異なる変調方式で行うことが好ましい。これにより、無線デバイス間の混線を防止することができる。
【0036】
本発明に係る無線デバイスの製造方法は、絶縁性基板上にTFT形成プロセスにより信号処理回路を形成する工程と、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路に接続されるアンテナを形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0037】
本発明に係る無線装置の製造方法は、無線デバイスを作製する工程と、複数の前記無線デバイスを相互に積層して相互に固定する工程と、を有し、前記無線デバイスを作製する工程は、請求項28乃至43のいずれか1項に記載の無線デバイスの製造方法により実施されることを特徴とする。
【0038】
本発明に係る無線デバイスの検査方法は、絶縁性基板上に信号処理回路及びアンテナを備えた無線デバイスが複数個形成された無線デバイスシートに対して、導電材料からなり1個又は相互に離隔して形成された複数個の前記無線デバイスに相当する領域に夫々開口部が形成された導電板の位置を調整し、前記開口部を前記1個又は複数個の無線デバイスに整合する位置に位置させる工程と、前記1個又は複数個の無線デバイスに無線により検査用信号を入出力させて前記1個又は複数個の無線デバイスを検査する工程と、を有することを特徴とする。
【0039】
本発明においては、検査対象となる無線デバイスのみに検査用信号を入出力し、他の無線デバイスに対しては検査用信号を遮蔽することができる。これにより、混線を防止でき、無線デバイスシートのまま、個々の無線デバイスを効率よく検査することができる。
【0040】
本発明に係る無線デバイスの検査装置は、絶縁性基板上に信号処理回路及びアンテナを備えた無線デバイスが複数個形成された無線デバイスシートを構成する各前記無線デバイスを検査する検査装置において、導電材料からなり1個又は相互に離隔して形成された複数個の前記無線デバイスに相当する領域に夫々開口部が形成されており、この開口部が検査対象となる前記1個又は複数個の無線デバイスに整合する位置に位置される導電板と、前記無線デバイスに対して無線により検査用信号を入出力させるリーダ/ライタと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、信号処理回路及びアンテナを絶縁性基板上に一体形成し、実装に関する接続部分をなくすことにより、熱応力、曲げ応力、振動及び衝撃等への耐性を向上させることができる。また、実装工程が不要となり製造コストを低減できる。更に、アンテナを絶縁性基板に形成することで、ノイズの発生及びアンテナの指向性を無くすことができると共に、アンテナの大面積化が容易となり、通信性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本第1実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。また、図2は本第1実施形態に係る無線デバイスの回路構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る無線デバイスにおいては、絶縁性基板1が設けられており、この絶縁性基板1上に矩形の信号処理回路2及び渦巻き状のアンテナ3が一体的に形成されている。絶縁性基板1には、例えばガラス基板又はプラスチック基板を使用し、例えばガラス基板を使用する。アンテナ3は1本の配線が矩形渦巻き状のパターンで形成されている。一般的に13.56MHz帯を用いる無線方式では、電波からRFタグが起電力を得るために電磁誘導の原理を用いるため、アンテナ3としてコイルアンテナが使われる。アンテナ3の両端は、絶縁性基板1の表面の中央部上に設けられた矩形の信号処理回路2の一辺に接続されている。また、アンテナ3の最外周のパターンは絶縁性基板1の外周に沿って設けられている。アンテナ3は、例えばAu、Cu、Al、Ni、Ag、はんだ、導電性高分子又はこれらの積層膜等により形成される。アンテナ3の面積、即ち、アンテナ3の最外周を結んだ線に囲まれる領域の面積は、例えば1cm以上である。
【0043】
以下、これらのアンテナ3の面積、即ちアンテナ仕様の決定方法を説明する。先ず、アンテナ仕様から、アンテナにより生成される起電力を計算する方法を説明する。この計算方法は公知の方法を使用すればよく、例えば前述の非特許文献2及び3に記載された方法を使用すればよい。起電力を計算する方法の流れは、概略以下の通りである。
(1)通信周波数に共振するように渦巻き状(コイル)アンテナ3のインダクタンスを決定する。
(2)そのインダクタンスを得るためのアンテナ形状を求める。
(3)リーダ/ライタ側の仕様を決め、アンテナ3との相互インダクタンスを求める。
(4)電磁誘導の原理から無線デバイス側に発生する起電力を求める。
信号処理回路2の動作に必要な起電力は、例えば2Vであり、この起電力が得られるようアンテナ仕様を決定する。
【0044】
(1)コイルアンテナのインダクタンスの決定
コイルアンテナのインダクタンス決定においては、通信周波数Fを13.56MHz、即ち、1.356×10Hzとする。また、無線デバイス全体の容量は下記数式1で求められる。
【0045】
【数1】

【0046】
コイルアンテナ容量Cを2.00×10−11F、接続容量Cconを2.00×10−12F、信号処理回路容量Cicを3.00×10−11Fとして、これらを上記数式1に代入し、無線デバイス全体の容量Cplは5.20×10−11Fとなる。
【0047】
コイルアンテナのインダクタンスは、信号処理回路2とアンテナ3とを組み合わせた回路が通信周波数と共振するように設定する。このときのインダクタンスLは、下記数式2により求められる。
【0048】
【数2】

【0049】
上記数式2により、Lは2.65×10−6Hと求まる。この値をアンテナ仕様を決定するための目標インダクタンスとする。
【0050】
(2)アンテナ形状の決定
次に、この目標インダクタンスLを得るためのアンテナ形状を決定する。アンテナ使仕様を基にインダクタンスLcalを算出し、目標インダクタンスLを略一致するようにアンテナ仕様を決定する。インダクタンスLcalは下記数式3乃至7により求められる。
【0051】
【数3】

【0052】
【数4】

【0053】
【数5】

【0054】
【数6】

【0055】
【数7】

【0056】
以下、目標インダクタンスLが得られたときのアンテナ仕様を示す。コイル巻き数:N=5、コイル配線幅:w=1.00×10−3m、コイル配線間スペース:g=6.00×10−4、コイル配線厚:t=3.00×10−5、コイル最外形の横幅:a=7.60×10−2m、コイル最外形の縦幅:b=4.50×10−2m、ターンEXP:p=1.75、誘磁率:μ=1.2566×10−6H/m、コイル外形の横幅の平均:aavg=a−N×(w+g)−g=6.86×10−2m、コイル外形の縦幅の平均:bavg=b−N×(w+g)−g=3.76×10−2m、等価半径:d=2×(t+w)/π=6.56×10−4mであり、これらを上記数式3乃至7に代入して、Lcalが2.69×10−6Hと求まり、この値は目標インダクタンスLの値2.65×10−6Hと略等しい。
【0057】
(3)相互インダクタンスの算出
リーダ/ライタとの間の相互インダクタンスは、下記数式8により求められる。
【0058】
【数8】

【0059】
このとき、リーダ/ライタの仕様は、前述の非特許文献2に記載されている製品(SLRM900)を参考にして以下のように求める。即ち、リーダ/ライタのコイル巻き数:N=1、コイル半径a=0.18m、通信距離:r=0.5m、電流I=0.28A(50Ω、4W)である。これらを上記数式8に代入して、相互インダクタンスM=1.75×10−9H/mが求められる。
【0060】
(4)発生起電力の算出
無線デバイスに発生する起電力の計算過程を以下に示す。アンテナ3は、例えばAlで形成されている。アンテナ3のコイル抵抗率:ρ=2.655×10−8Ω・mであり、そのコイル抵抗Rscは下記数式9により求められる。
【0061】
【数9】

【0062】
コイル抵抗Rscは9.40×10−1Ωとなる。次に、コイルのQ値は下記数式10により求められる。
【0063】
【数10】

【0064】
上記数式10によりコイルのQ値は244となる。次に、コイルの並列等価回路抵抗Rpcは下記数式11により求められる。
【0065】
【数11】

【0066】
上記数式11により、コイルの並列等価回路抵抗Rpcは、5.59×10−4Ωとなる。また、コイルの並列等価回路インダクタンスLpcは、下記数式12により求められる。
【0067】
【数12】

【0068】
上記数式12によりコイルの並列等価回路インダクタンスLpcは2.69×10−6Hとなる。また、信号処理回路2の等価回路抵抗Ric=2・50×10−4Ωとし、回路全体の並列等価回路抵抗Rplは下記数式13により求められる。
【0069】
【数13】

【0070】
上記数式13により、回路全体の並列等価回路抵抗Rplは1.73×10−4Ωとなる。また、共振周波数Fは下記数式14により求められる。
【0071】
【数14】

【0072】
上記数式14により、共振周波数Fは1.346×10−7Hzとなる。次に、下記数式15により、無線デバイスのコイル(アンテナ3)に発生する起電力を計算する。
【0073】
【数15】

【0074】
上記数式15により、起電力は2.04Vと求められる。このようにして、アンテナ仕様に基づいて、発生起電力を計算することができる
【0075】
次に、これらの計算方法に基づいて、アンテナコイルの外形寸法と発生起電力との関係を検討する。図3(a)乃至(d)及び図4(a)乃至(c)は、横軸にコイルの幅をとり、縦軸に起電力をとって、コイル配線幅が生成起電力に及ぼす影響をコイルの巻き数及びコイルの外径寸法毎に示したグラフ図である。図中のNはコイルの巻き数を示している。図3(a)乃至(d)はアンテナ3の通信距離が50cmの場合であり、図3(a)はコイル外形寸法が7cm角、図3(b)は5cm角、図3(c)は3cm角、図3(d)は1cm角の場合である。また、図4(a)乃至(c)はアンテナ3の通信距離が5cmの場合であり、図4(a)はコイル外形寸法が3cm角、図4(b)は1cm角、図4(c)は0.5cm角の場合である。リーダ/ライタの仕様、回路の抵抗、容量は一般的な値として前述の起電力の計算に用いた値を使用する。また、アンテナを形成する配線の厚さは、30μmに固定する。また、各図においては、最大の起電力が得られるターン数を中心として、プラスマイナス2ターン分のデータを示している。
【0076】
図3(a)乃至(d)及び図4(a)乃至(c)に示すように、各コイル巻き数において、コイル配線幅を変えていくと、あるコイル配線幅で起電力がピーク値をとることがわかる。これは、コイルのインピーダンスが配線幅により変化し、最もマッチングがいい配線幅、即ち、共振周波数が通信周波数と一致する配線幅で起電力がピークになることを示している。
【0077】
また、コイルの外形寸法毎に、あるコイル巻き数において起電力が最大となることがわかる。コイル巻き数の増加によって起電力も増加するが、コイルの外形寸法が決まっているのでコイル巻き数の増加によりアンテナの有効面積(aavg×bavg)が小さくなる。その結果、ある巻き数で起電力は極大点を持つことになる。
【0078】
本第1実施形態に係る無線デバイスにおいて、信号処理回路2を動作させるのに必要な起電力は、例えば2Vである。図3(a)乃至(d)に示すように、通信距離が50cmの場合には、コイルの外形寸法が3cm角以上の場合に、2Vの起電力が得られることがわかる。そのため、50cmの通信距離を実現するためには、アンテナの外形を3cm角以上とする必要がある。また、図4(a)乃至(c)に示すように、通信距離が5cm以上の場合には、コイルの外形寸法が1cm以上である必要があることがわかる。従って、1cm以上のアンテナ面積を確保することで、無線デバイスの通信距離を5cm以上とすることができる。なお、RFタグの使用状況に鑑みれば、通信距離は50cm以上であることが望ましいが、5cm以上の通信距離を実現できれば、非接触の通信手段としてのメリットは享受できる。このため、アンテナの外形寸法は1cm角以上であることが好ましい。即ち、アンテナの面積は1cm以上であることが好ましい。
【0079】
図2に示すように、信号処理回路2は、高周波インターフェイス回路11、ロジック回路12及びメモリ13から構成されている。アンテナ3は高周波インターフェイス回路11と接続されている。
【0080】
高周波インターフェイス11は、整流回路15、クロック生成部16、復調回路17、変調回路18及び昇圧回路19から構成されている。整流回路15は、受信波を整流しロジック回路に直流電圧を供給する。クロック生成部16は、受信した電波をもとにロジック回路が動作するために必要なクロック信号を発生する。例えば、数MHzの受信周波数から数十乃至数百kHzのクロック信号を発振する。復調回路17は、受信した電波(搬送波)からデータを復調する。変調回路18は、送信しようとするデータを搬送波に乗せるための変調を行う。昇圧回路19は、整流回路15において生成された起電力を更に高い電圧に昇圧する。昇圧回路19による起電力の昇圧は、メモリ13として高い動作電圧を必要とする不揮発性のEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)又はFeRAM(Feroelectric Random Access Memory:強誘電体ランダムアクセスメモリ)を使用する場合に必要となる。
【0081】
ロジック回路12は、復号化回路20、符号化回路21、シリアルI/O(Input/Output:入出力)22、コマンド処理回路23及びメモリ制御回路24から構成されている。復号化回路20は、受信データをPPM(Pulse Position Modulation:パルス位置変調)方式等により復号化し、符号化回路では送信データをマンチェスタ方式等により符号化する。シリアルI/O22は、データ列のシリアル/パラレル変換を行う。コマンド処理回路23は、これらの信号の流れを制御する役割を果たす。メモリ制御回路24は、受信したデータのメモリ13への書き込み、又は送信しようとするデータのメモリ13からの読み出しを行う。この他、RFタグの信頼性を向上する目的でデータのパリティーチェックをする回路、複数のタグが存在した場合に各々を識別しあうためのアンチコリジョン回路等が付加されることもある。また、メモリ13には、RFタグの用途に応じて、読出し専用のROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、追記が可能で不揮発性をもつEEPROM若しくはFeRAMを使用する。又は、DRAM(Dynamic Random Access Memory:ダイナミックランダムアクセスメモリ)若しくはSRAM(Static Random Access Memory)等の不揮発性メモリを使用してもよい。
【0082】
次に、上述の如く構成された本第1実施形態に係る無線デバイスの動作及び効果について説明する。図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る無線デバイスにおいては、絶縁性基板上1に、高周波インターフェイス11、ロジック回路12及びメモリ13等を備えた信号処理回路2並びにアンテナ3が一体的に形成されている。従って、アンテナが形成された基板に信号処理回路が形成されたチップを実装する工程が不要になるため、製造コストを低減することができる。また、熱応力、曲げ応力、振動及び衝撃等により破壊し易い実装に関する接続部が存在しないため、耐久性が優れている。更に、アンテナを絶縁性基板上に形成しているため、電波が基板によって電磁遮蔽されることがなく、通信性能が優れている。また、基板内を誘電電流が流れることがなく、ノイズが低い。これに対して、シリコン基板上に形成された無線デバイスにおいては、シリコン基板が導体であるため電波が遮断され、また渦電流によるノイズが発生するためガラス基板を用いたときのような通信品質を得ることは不可能である。よって、信号処理回路及びアンテナを一体で形成した無線デバイスにおいて、十分な通信距離を実現するためには、ガラス基板等の絶縁基板を用いることが必要である。
【0083】
更にまた、基板としてガラス等の低コストな絶縁性基板を使用することにより、シリコン基板等の高価な基板を使用する場合と比較してコストを低減できる。また、アンテナの大面積化が容易となり、通信性能が向上する。即ち、従来のシリコン基板上に形成する無線デバイスにおいては、1cm各という大きさは基板コストが高くなるため現実的ではない。仮に、基板として直径が8インチのシリコンウエハを用いたとすると、1枚のウエハ当たり300個弱の無線デバイスしか形成できない。これに対して、基板としてガラス基板を用いれば、1辺が1m程度の大きな基板上に複数の無線デバイスを同時に形成することができ、各無線デバイスのサイズを1cm角としても、1枚のガラス基板から10000個の無線デバイスを作製することができる。このように、ガラス基板上に無線デバイスを形成すれば、シリコンウエハ上に形成した場合と比較して、基板コスト及び1無線デバイス当たりのプロセスコストが圧倒的に低いため、1cm角の大きさの無線デバイスの形成も現実的なものとなる。
【0084】
更にまた、表面にICチップを実装しないため、無線デバイスの表面にICチップに起因する凹凸が形成されることがなく、高精細な印刷を施すことができる。また、無線デバイスの表面を平坦化するための補助材が不要となり、部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【0085】
なお、本第1実施形態においては、アンテナ3として渦巻き構造のコイルアンテナを設ける例を示したが、ダイポールアンテナ又はパッチアンテナ等、他の構造のアンテナを設けてもよい。通信電波として900MHz帯又は2.45GHz帯のマイクロ波を使用するアンテナは、1/2波長又は1/4波長のダイポールアンテナを使用する。このときに必要なアンテナ長は、900MHz帯の1/2波長なら16.7cmであり、1/4波長なら8.3cmである。また、2.45GHz帯の1/2波長なら6.1cmであり、1/4波長なら3.1cmである。従って、ダーポールアンテナを使用する場合には、アンテナ長は3cm以上であることが望ましい。即ち、本実施形態に係る無線デバイスのアンテナは、外形サイズが1cm角以上、又は長さが3cm以上であることが好ましい。なお、3cmという長さもチップサイズとしては大きい値であり、シリコン基板上のデバイスとしては現実的ではない。
【0086】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第1の実施形態に係る無線デバイスの製造方法である。図5(a)乃至(c)は、本第2実施形態をその工程順に示す断面図であり、図5(d)は本第2実施形態により製造された無線デバイスを示す斜視図である。また、図6(a)乃至(f)は本第2実施形態に係る無線デバイスに使用する信号処理回路等を構成するCMOSトランジスタの製造方法をその工程順に示す断面図である。更に、図7(a)乃至(c)は、本第2実施形態に係る無線デバイスに使用するアンテナの製造方法をその工程順に示す断面図である。即ち、図5(a)乃至(c)は本実施形態に係る無線デバイスの製造方法の概略を示す図であり、図6(a)乃至(f)は図5(b)に示す工程を詳細に示す図であり、図7(a)乃至(c)は図5(c)に示す工程を詳細に示す図である。
【0087】
図5(a)、(b)及び(d)に示すように、絶縁性基板1上の中央部に、薄膜トランジスタ(TFT)形成技術を使用して、矩形の信号処理回路2を形成し、信号処理回路上の一辺に、一辺に沿うように2つの端子26を形成する。絶縁性基板1には、例えばガラス基板を使用し、例えば一般の液晶ディスプレイ用のガラス基板を使用する。次に、図5(c)及び(d)に示すように、絶縁性基板1上に、導電性材料のめっき又は印刷等の技術を使用して、渦巻き状のアンテナ3を形成する。アンテナ3は1本の配線が矩形渦巻き状のパターンとなるよう形成し、アンテナ3の両端は、信号処理回路2上の端子26に接続するように形成する。また、アンテナ3の最外周のパターンが絶縁性基板1の外周に沿うように形成する。
【0088】
次に、図5(b)に示す信号処理回路2の形成工程について詳細に説明する。信号処理回路2の構成の基礎をなすものは、TFT工程により形成されるCMOSトランジスタである。そこで、本実施形態においては、ガラス基板上にCMOS−TFTを形成する工程の一例を説明する。
【0089】
図6(a)に示すように、ガラスからなる絶縁性基板1上に、例えばスパッタリング法によりバリア膜31を形成し、その表面に非晶質シリコン膜32を形成する。この非晶質シリコン膜32は、例えば、CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相成長法)又はスパッタリング法により30乃至200nmの膜厚で形成する。次に、図6(b)に示すように、図中に矢印33により示すレーザ照射を行って非晶質シリコン膜32をアニールし、多結晶シリコン膜34に改質する。レーザーには、例えば、エキシマレーザー又は固体レーザー等を使用する。次に、図6(c)に示すように、バリア膜31上の多結晶シリコン膜34を、フォトリソグラフィー技術により2つの相互に離隔したパターンとなるようにパターニングした後、バリア膜32及び2つの多結晶シリコン膜34を覆うようにゲート絶縁膜35を形成する。ゲート絶縁膜35は、例えば、CVD法又はスパッタリング法により10乃至200nmの膜厚で形成する。
【0090】
次に、図6(d)に示すように、ゲート絶縁膜35上に、2つのゲート電極36を夫々、2つの多結晶シリコン膜34の直上域を含む領域に形成する。次に、フォトレジスト37を、nチャネルTFTを形成する予定の領域、即ち、一方の多結晶シリコン膜34の直上域を含む領域に、一方のゲート電極36及びゲート絶縁膜35を覆うように形成する。そして、矢印38によって示すように、上方からボロンを注入することによって、pチャネルTFTを形成する予定の領域における他方の多結晶シリコン膜34の両端部にp型化された領域39を形成する。ボロン注入には、例えばイオンドーピング法を使用する。なお、nチャネルTFT形成予定領域には、フォトレジスト37がマスクとなってボロンが注入されない。また、pチャネルTFT形成予定領域においても、ゲート電極36がマスクとなって、他方の多結晶シリコン膜34の中心部にはボロンが注入されない。
【0091】
次に、図6(e)に示すように、フォトレジスト37を、pチャネルTFT形成予定領域、即ち、p型化された領域39が設けられた多結晶シリコン膜34の直上域を含む領域に、ゲート電極36及びゲート絶縁膜35を覆うように形成する。そして、図中に矢印44で示すように、上方からリンを注入し、nチャネルTFT形成予定領域における多結晶シリコン膜34の両端部にn型化された領域41を形成する。リン注入には、例えばイオンドーピング法を使用する。なお、pチャネルTFT形成予定領域には、フォトレジスト37がマスクとなってリンが注入されない。また、nチャネルTFT形成予定領域においても、ゲート電極35がマスクとなって、多結晶シリコン膜34の中心部にはリンが注入されない。次に、図6(f)に示すように、層間絶縁膜42及び金属電極43を形成してCMOS回路が完成する。CMOS回路製造の全工程において、CVD又はスパッタ等の成膜工程のプロセス温度は、ガラス基板等の耐熱性を考慮して、例えば400℃以下とする。
【0092】
アンテナ3の製造方法においては、電解めっき法を使用する。図7(a)に示すように、絶縁性基板1上に、電解めっきの給電層として使用する導電膜51を形成する。次に、図7(b)に示すように、導電膜51上にフォトリソグラフィー法によりアンテナ3のパターンが開口されたフォトレジスト52を形成し、フォトレジスト52の開口部の導電膜51上に電解めっきによりめっき膜53を形成する。次に、図7(c)に示すように、フォトレジスト52を剥離し、表面がめっき膜53で覆われていない導電膜51の不要部分をエッチングにより除去する。アンテナ3を形成する導電膜51及びめっき膜53は、例えばAu又はCu等により形成する。
【0093】
なお、1枚の絶縁性基板1上に複数の無線デバイスを同時に作製してもよい。この場合は、前述の方法により、1枚の絶縁性基板1上に複数の信号処理回路2を形成し、続けて複数のアンテナ3を形成し、各1個の信号処理回路2及びアンテナ3からなる組を複数個形成する。そして、絶縁性基板1を前記組毎に切り分けることにより、複数個の無線デバイスを同時に作製する。このとき、絶縁性基板1として、シート状の基板を使用してもよく、このシート状の基板をロールからロールに送出しながら、信号処理回路2及びアンテナ3を形成してもよい。
【0094】
次に、上述の如く構成された本第2実施形態の効果について説明する。図5乃至図7に示すように、第2実施形態に係る無線デバイスの製造方法においては、信号処理回路2及びアンテナ3を、1枚の絶縁性基板1上に一体化して形成することができる。したがって、デバイスを実装する工程が不要になるため、製造コストを低減することができる。また、熱応力、曲げ応力、振動及び衝撃等により破壊し易い実装に関する接続部が存在しないため、耐久性が優れている。更に、ガラス等の安価な絶縁性基板上にデバイスとアンテナとを一体形成することにより、実装工程が不要となり製造コストを低減できる。更に、アンテナを絶縁基板に形成することで、ノイズの発生及びアンテナの指向性を無くすことができると共に、アンテナの大面積化が容易となり、通信性能が向上する。更にまた、本実施形態によれば、アンテナを電界めっき法により形成しているため、抵抗値が低く受信信号の損失が小さいアンテナを形成することができる。また、所望の形状に容易に形成することができる。更に、既に基板上に形成されている信号処理回路に損傷を与えることなくアンテナを形成することができる。これは、後述する無電解めっき法、印刷法、導電性ポリマーのパターニングによる方法及び直接描画法についても同様である。
【0095】
なお、本第2実施形態においては、本第2実施形態に係るCMOSの製造方法においては、ゲート絶縁膜35を成膜した後、多結晶シリコン膜34とゲート絶縁膜35との界面に存在する固定電荷及び界面順位を低減するために、全面にレーザーを照射してもよい。このレーザー照射のエネルギー密度は、図6(b)に矢印33で示すアニールのためのレーザー照射よりも低いエネルギー密度とする。また、本第2実施形態に係る無線デバイスの製造方法により、液晶表示装置又はEL表示装置等のディスプレイ製品のガラス基板上に無線デバイスを形成してもよい。ディスプレイを形成するガラス基板に、ディスプレイの製造プロセスの前又は後に無線デバイスを形成してもよい。この場合、対向電極側及びTFTを形成する側のどちらの基板に無線デバイスを形成してもよい。更に、本第2実施形態に係る無線デバイスの製造方法は、ガラス基板を使用できるため、ディスプレイの製造プロセスとの親和性が高く、プロセス温度又は耐薬品性等の工程上の問題が生じない。例えば、携帯電話のディスプレイに無線デバイスを搭載し、例えばID等の認証機能とアンテナとを一体形成した無線デバイスを搭載して、携帯電話の機能を高めることができる。この場合、アンテナはディスプレイの表示の妨げにならないようITO膜等の透明導電体を使用することが好ましい。
【0096】
次に、本発明の第2の実施形態の第1の変形例について説明する。図8(a)及び(b)は本第1変形例におけるアンテナの製造方法をその工程順に示す断面図である。前述の第2実施形態においては、図7(a)乃至に示すように、アンテナ3の製造方法として電解めっき法を使用する。これに対して、本第2実施形態の第1変形例においては、図8(a)及び(b)に示すように、無電解めっき法を使用する。図8(a)に示すように、絶縁性基板1上に、無電解めっき膜の選択成長のための下地となる下地膜61を形成する。下地膜61は、例えばスパッタ法によりベタ膜を形成し、フォトリソグラフィー法によりアンテナ3のパターン形状にパターニングする。下地膜61は、例えばAl又はNi等により形成する。次に、図8(b)に示すように、下地膜61上に無電解めっきによりめっき膜62を形成する。このとき、めっき膜62は、下地層61上のみに選択的に形成される。めっき膜62は、例えばNi、Cu又はAu等により形成する。本第2実施形態の第1変形例における上記以外の構成及び効果は、前述の第2実施形態と同様である。
【0097】
なお、本第2実施形態の第1変形例においては、めっき膜62として1層のめっき膜を形成する例を示したが、2層以上のめっき膜が積層されるよう形成してもよい。このとき、第1層としてNi層を成膜する場合は、NiはCu及びAuに比べて電気抵抗値が30乃至40倍程度高いため、Ni層を使用した後、第2層としてCu又はAu層を形成することにより、めっき膜62、即ちアンテナ3の抵抗値を低減できる。
【0098】
次に、本発明の第2の実施形態の第2の変形例について説明する。図9(a)及び(b)は本第2変形例におけるアンテナの製造方法をその工程順に示す断面図である。前述の第2実施形態においては、図7(a)乃至(c)に示すように、アンテナ3の製造方法として電解めっき法を使用する。これに対して、本第2実施形態の第2変形例においては、図9(a)及び(b)に示すように、印刷法を使用する。図9(a)に示すように、アンテナ3のパターン形状に開口部が設けられたマスク72上に導電性ペースト71を配置する。マスク72は、例えば、微細な繊維が格子状に織られたメッシュ上に所望のパターン形状に開口された乳化材層を備えたスクリーンマスクである。前記乳化材層の開口部においては、導電性ペースト71がメッシュを通過してマスク裏面に押し出されるようになっている。導電性ペースト71は、例えば、溶剤中にはんだ微粒子が分散されたはんだペースト又はAg微粒子が分散されたAgペーストである。抵抗値の点からはAgペーストが好ましく、焼成して溶剤が除去された後の抵抗値は、Ag単体の抵抗値とほぼ同等となる。
【0099】
次に、図9(b)に示すように、スキージ73に印圧をかけマスク72の開口部から導電性ペースト71を押し出して絶縁性基板1上に塗布する。これにより、絶縁性基板1上にアンテナ3の印刷パターン74が印刷される。次に、加熱処理により導電性ペーストに含まれる溶剤等を除去して、アンテナ3が完成する。この加熱処理は、例えばオーブンを使用して行い、加熱温度は例えば200℃である。本第2実施形態の第2変形例における上記以外の構成及び効果は、前述の第2実施形態と同様である。
【0100】
なお、本第2実施形態の第2変形例においては、マスク72としてスクリーンマスクを使用する例を示したが、金属板に所望のパターン形状の開口部が設けられたメタルマスクを使用してもよい。また、上述の電界めっき法、無電解めっき法及び印刷法の他に、高分子(ポリマー)中に金属微粒子が分散された導電性ポリマーを基板上に塗布し、これをパターニングすることによってアンテナを形成してもよい。更に、基板上に直接アンテナパターンを描画してもよい。
【0101】
次に、前述の第1の実施形態に係る無線デバイスを基本的な構成として、多機能化を図る例について説明する。以下、第3乃至第8の実施形態は、無線デバイスの多機能化の実施形態である。
【0102】
次に、本発明の第3の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図10は本第3実施形態を示す斜視図である。前述の第1実施形態においては、図1に示すように、絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2のみが設けられている。これに対して、本第3実施形態においては、図10に示すように、この絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2及びメモリ回路81が隣接して設けられている。
【0103】
メモリ回路は、例えば、予めRFタグの情報を書き込んでおくためのROM、信号処理と同時に情報の読み書きを行うDRAM又はSRAMである。ROM、DRAM及びSRAM回路は、例えば前述の第2実施形態で示したCMOSの製造方法で形成する。本第3実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0104】
本第3実施形態においては、メモリ回路を信号処理回路2及びアンテナ3と同一のガラス基板上に一体化して設けることにより、所望の機能をもつ無線デバイスの製造コストを低減することができるとともに、実装コストも低減することができる。前述の如く、従来のRFタグを使用して無線デバイスの多機能化を図ろうとすると、一体型のRFタグでも別体型のRFタグでも、別プロセスで作製したデバイスをさらにアッセンブリすることになり、製造コストが増加すると共にサイズが大型化するという問題があった。また、各デバイスを別々に設計して生産するため、デバイス間の性能マッチング等設計製作上のロスが大きくなってしまうことが予想される。これに対して、本実施形態においては、絶縁性基板上にアンテナと一体的にメモリを形成しているため、上述の問題点を解決することができる。例えばアンテナと回路(デバイス)のトータルでインピーダンスマッチングを設計することが容易になる。また、絶縁性基板の表面におけるコイル状のアンテナを形成した領域の内側には、比較的広い領域が残るため、この領域にメモリを形成することにより、多機能無線デバイスの小型化を図ることができる。本第3実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0105】
なお、本第3実施形態においては、メモリ回路として、ROM、DRAM及びSRAMが設けられている例を示したが、EEPROM又はFeRAM等の不揮発性メモリが設けられていてもよい。EEPROMは、通常のCMOS構造のゲート絶縁膜中に浮遊ゲートが設けられており、電源をオフにした後も電荷即ち情報が保持される。FeRAMは、トランジスタに強誘電体キャパシタが接続されたものであり、書き込み電圧が印加されると強誘電体が分極を起こし、分極状態が電源をオフにした後も保持される。強誘電体は、例えばゾルゲル法又はエアロゾル法により形成する。これらの方法を使用したときのプロセス温度は200乃至400℃であり、絶縁性基板であるガラス基板の耐熱温度以下である。
【0106】
次に、本発明の第4の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図11は本第4実施形態を示す斜視図である。前述の第1実施形態においては、図1に示すように、絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2のみが設けられている。これに対して、本第4実施形態においては、図11に示すように、この絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2及び表示装置91が隣接して設けられている。表示装置91は、例えば有機EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、無機EL表示装置又は液晶表示装置である。これらは従来の製造プロセスにより形成する。本第4実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0107】
本第4実施形態においては、ガラス基板を使用し、表示装置を信号処理回路2及びアンテナ3と同一の基板上に一体化して設けることにより、表示機能をもつ無線デバイスを小型化できる。これにより、例えば、無線デバイスがリーダ/ライトとの間で情報のやりとりを行った後、その結果を表示することができる。例えば通信機能をもったプリペイドカードにおいて、残金等の情報を表示させることが可能となる。また、安価なガラス基板を使用することで製造コストを低減することができると共に、実装コストも低減することができる。本第4実施形態における上記以外の効果は、前述の第3実施形態と同様である。
【0108】
次に、本発明の第5の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図12は本第5実施形態を示す斜視図である。前述の第1実施形態においては、図1に示すように、絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2のみが設けられている。これに対して、本第5実施形態においては、図12に示すように、この絶縁性基板1上の中央部に設けられている信号処理回路2に隣接して、アンテナ101及び102が設けられている。アンテナ101及び102は、対応する周波数に応じて、長さ及び大きさ等が調整して設計されている。また、アンテナ101及び102は、例えば特定の周波数帯の電波に対すて感度を向上させるブースターアンテナであってもよい。アンテナ101及び102は、信号処理回路2と配線パターンにより接続されていない。本第5施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0109】
本第5実施形態においては、アンテナ101及び102は、アンテナ3との間で容量接続又は電磁誘導接続により電気的に結合することにより、信号処理回路2との信号の授受が可能である。このように、本第5施形態においては、安価なガラス基板等の絶縁性基板上に信号処理回路2及びアンテナを一体化して設けることにより、基板面積の制約を受けずにアンテナ設計の自由度を広げることができ、高機能の無線デバイスを実現できる。
【0110】
また、現在、RFタグの企画は、125kHz近傍の低域帯、13.56MHz帯、900MHz帯、2.54GHz帯等、多様化してきている。そして、国によって主流の帯域が異なっている。しかし、アンテナの使用は帯域毎に異なるため、1つのタグで複数の帯域に対応することは難しい。このため、多国間の物流においてRFタグを使用するときに、支障をきたしてしまう。これに対して、本実施形態によれば、複数のアンテナを設けることにより複数の帯域に対応でき、上述の問題を解決できる。本第5実施形態における上記以外の効果は、前述の第3実施形態と同様である。
【0111】
次に、本発明の第6の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図13は本第6実施形態を示す斜視図である。前述の第1実施形態においては、図1に示すように、絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2のみが設けられている。これに対して、本第6実施形態においては、図13に示すように、この絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2及び電源装置111が設けられている。電源装置111は、例えば太陽電池である。この太陽電池は、P型シリコン層とN型シリコン層とを備えた基板に光を照射すると、正電荷をもつ正孔はP型シリコン層へ、負電荷をもつ電子はN型シリコン層へ集まる性質を利用するものである。この太陽電池は、例えば前述の第2実施形態で示したCMOSの製造方法で形成する。本第6施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0112】
前述の如く、一般的な無線デバイスはリーダ/ライタから入力された電波を利用して起電力を得て、機能している。しかし、リーダ/ライタから入力される電波は極めて微弱であるため、通信距離を伸ばすことは困難である。また、無線デバイスは、この電波が届いているときしか機能しないため、リーダ/ライタが停止しているときに、無線デバイスからアクティブに電波を発信することはできない。これに対して、本第6施形態においては、絶縁性基板上に信号処理回路2及び電源装置を一体化して設けることにより、動作電圧を高めることができ、出力する電波の強度を高くすると共に、通信距離を延ばすことができる。また、電源電圧を受信電波に依存しないため、電波を受信していない場合でも、無線デバイスからの電波の発信が可能である。更に、機能拡張による必要電力の増加にも対応できる。本第6実施形態における上記以外の効果は、前述の第3実施形態と同様である。
【0113】
なお、本第6実施形態においては、電源装置として太陽電池が設けられている例を示したが、シート状に形成できればよく、例えばリチウムイオン二次電池等の2次電池又は1次電池でもよい。リチウムイオン電池は、シート状の電極で絶縁性の多孔質セパレータを挟んだ3層構造の積層体を、電解液に含浸してガラス基板で挟んで密閉した構造である。このようなリチウムイオン電池の充電は、受信電波を起電力に変換して行う非接触充電である。この充電方法を使用すると、例えば山積みにされたRFタグを一括して充電することができる。
【0114】
次に、本発明の第7の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図14(a)は本第7実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図であり、図14(b)は断面図である。前述の第1実施形態においては、図1に示すように、絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2のみが設けられている。これに対して、本第7実施形態においては、図14(a)に示すように、この絶縁性基板1上の中央部に信号処理回路2及びセンサー回路121が設けられている。センサー回路121においては、図14(b)に示すように、絶縁性基板1上に電極122が設けられており、その上に中空体123が設けられている。中空体123は、絶縁性基板1上に1対の側板が立設しており、この側板上に天板が両持梁状に設けられている。また、電極122は、前記両側板の間に配置されており、前記底板と電極122は、距離Gの間隔で離隔して配置されている。中空板123は、例えばシリコン薄膜又は金属薄膜で形成される。センサー回路121は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電子機械システム)技術により形成する。本第7施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0115】
次に、上述の如く構成された本第7実施形態における無線デバイスの動作について説明する。センサー回路121においては、中空体123が上方からの圧力又は加速度により撓むと、中空体123の天板と電極122との距離Gが変化する。そして、中空体123上部の天板と電極122で構成されるコンデンサの静電容量を測定することにより、前記距離Gの変化を検出できる。従って、中空体123上部の天板に印加された圧力又は加速度を検出できる。
【0116】
このように、本第7実施形態においては、絶縁基板上にセンサー回路121、信号処理回路2及びアンテナ3を一体化して設けていることにより、センサー回路で検出した情報を無線によって外部に送信することが可能となる。例えば、自動車のタイヤに空気圧センサーを装着し、その情報を車内で管理できる。本第7実施形態においては、同一の基板上に一体化して設けていることにより、このような厳しい車載環境における故障耐性が高い。本第7実施形態における上記以外の効果は、前述の第3実施形態と同様である。
【0117】
なお、本第7実施形態においては、センサー回路として圧力センサーの例を示したが、例えば指紋センサー、温度センサー又は湿度センサー等の環境センサー、若しくはガスセンサー又は匂いにおいセンサー等でもよい。また、前記圧力センサーは、加速度センサーとしても使用できる。指紋センサーは、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等により指先に照射し、その反射光をCCD(Charge-Coupled Device:電荷結合素子)等により受光して指紋の凹凸による反射光の変化を検出する光学式センサーと、指紋の凹凸による指先とセンサーとの間の静電容量の変化を検出する感圧式センサーとがある。光学式の指紋センサーは、前述の第2実施形態で示したCMOSの製造方法により、ガラス基板上にマトリクス状にトランジスタ及びフォトダイオードを形成して実現できる。また、感圧式の指紋センサーは、フォトダイオードの替りに静電容量検出用電極を形成すればよい。また、センサー回路の替りに、マイクロフォン、スピーカー又はタッチパネル等の機械式入出力装置を設けてもよい。マイクロフォンは、中空薄膜を形成し、これを振動させることで実現できる。
【0118】
次に、本発明の第8の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図15(a)及び(b)は本第8実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。前述の第1実施形態においては、図1に示すように、絶縁性基板1上において、アンテナ3は信号処理回路2と電気的に接続されている。これに対して、本第8実施形態においては、図15(a)に示すように、アンテナ3から信号処理回路2に接続される配線パターンの一部が切除された断絶部132が形成されており、アンテナ3と信号処理回路2は電気的に接続されておらず、非導通となっている。この無線デバイス上に着脱可能な導電性のテープ131が設けられており、このテープ131を絶縁性基板上に重ねたときに、テープ131を介してアンテナ3と信号処理回路2が電気的に接続されて導通状態となる。このテープ131が絶縁性基板から離隔されたときには、アンテナ3と信号処理回路2は電気的に切断される。これにより、この無線デバイスにおいて、外部との情報の授受が遮断され、情報の消去を防止することができる。また、タグ機能のオンオフの切り換えができる。本第8施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0119】
次に、本発明の第9の実施形態に係る無線デバイスについて説明する。図16は本第9実施形態を示す斜視図である。また、図17(a)乃至(d)は、この絶縁性基板のエッチング方法をその工程順に示す断面図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態に係る無線デバイスに対して、薄型化を図るものである。即ち、前述の第1実施形態においては、図1に示すように、1枚の絶縁性基板上に、アンテナ及び信号処理回路等が設けられている。これに対して、本第9実施形態においては、図16に示すように、絶縁性基板として、ガラス基板141とフレキシブルフィルム142を積層したものを使用する。ガラス基板141は、例えば無アルカリのホウケイ酸ガラス基板であり、酸化ホウ素及びアルミナを含有している。また、ガラス基板141の厚さは例えば200μm以下である。これにより、無線デバイスに可撓性(フレキシブル性)を付与することができる。ガラス基板141の厚さが200μmを超えると、フレキシブル性が得られない。しかしながら、ガラス基板141の厚さが0μm、即ち、ガラス基板141が存在しないと、回路及びアンテナの特性及び信頼性が損なわれてしまう。
【0120】
次に、図16に示す無線デバイスの製造方法について説明する。ガラス基板141の厚さは、ガラス基板141上に信号処理回路2及びアンテナ3を形成した後に、エッチングにより薄くすることが好ましい。図17(a)に示すように、先ず、ガラス基板141を用意する。この段階では、ガラス基板141の厚さは例えば0.7mmである。次に、前述の第1の実施形態において説明した方法により、ガラス基板141上にアンテナ(図示せず)及び信号処理回路(図示せず)からなる回路層151を形成する。次に、回路層151を覆うように、保護フィルム152を接着剤(図示せず)により貼り付ける。保護フィルム152の材料は例えばポリエチレンである。なお、保護フィルム152の材料は、ポリエチレン以外でも耐フッ酸性に優れた材料であれば何でもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PET(poly-ethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)又はPES(poly-ether sluphone:ポリエーテルサルフィン)であってもよい。また、保護フィルムの厚さは、例えば200μm以下であることが好ましい。保護フィルムの厚さが200μmを超えると剥離が困難となる。
【0121】
次に、図17(b)に示すように、このガラス基板141、回路層151及び保護フィルム152からなる積層体を、ガラス基板141を溶かすためのエッチング液153に浸漬する。このエッチング液153は、例えばフッ酸と塩酸との混合液である。塩酸の添加は、ガラス基板の材料である無アルカリのホウケイ酸ガラスに含有される酸化ホウ素及びアルミナを効率よくエッチングするのに効果的である。これにより、ガラス基板141を裏面側、即ち、回路層151が形成されていない側からエッチングして減厚する。無アルカリのホウケイ酸ガラスに対するフッ酸と塩酸との混合液のエッチングレートは、例えば5μmであるため、例えば130分間エッチングすることで、例えば0.7mmのガラス基板を50μmの厚さまでエッチングする。混合液の温度を高くするとエッチングレートを更に向上させることができるが、液温が70℃を超えると、ガラス基板141の残厚を再現性よく制御できなくなるため、液温は70℃以下とすることが好ましい。
【0122】
次に、図17(c)に示すように、ガラス基板のエッチングされた面を覆うように、フレキシブルフィルム142を貼り付ける。フレキシブルフィルム142は、例えばPETフィルムである。フレキシブルフィルム142の厚さは、例えば10μm乃至2mmである。フレキシブルフィルム142の厚さが10μmより小さい場合、強度が弱く破壊し易いという欠点がある。フレキシブルフィルム142の厚さが2mmを超えると、フレキシブル性が無くなってしまう。次に、図17(d)に示すように、保護フィルム152を機械的に剥離する。この剥離に要する工程時間は例えば数分程度である。本第9施形態における上記以外の構成及び製造方法は、前述の第1及び第2の実施形態と同様である。
【0123】
本第9施形態においては、絶縁性基板として使用したガラス基板141を薄くし、フレキシブルフィルム142と貼り合わせることにより、無線デバイスはフレキシブル性を持つようになる。従って、RFタグとして衣類若しくは紙類等の柔軟な物、又は瓶等の湾曲した表面に貼り付けても、曲げ応力によって破損することが少ない。本第9施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0124】
なお、本第9実施形態においては、ガラス基板とフレキシブルフィルムを積層した絶縁性基板の構成、動作及び効果以外は、前述の第1実施形態と同様の構成としたが、本発明はこれに限定されず、前述の第3乃至第8の実施形態と同様の構成としてもよい。
【0125】
また、保護フィルムと回路層151を貼り合わせる接着剤として熱可塑性のものを使用してもよい。これにより、加熱することによって保護フィルムをより短時間でより容易に剥離することができる。例えば、80℃以下では固体になり、80℃以上では液体になる接着剤を使用すれば、保護フィルム剥離工程において雰囲気温度を100℃とすることにより接着剤が液化し、極めて容易且つ短時間で保護フィルムを剥離することができる。更に、保護フィルムとして、回路層151上に塗布して硬化させることにより保護膜となるような樹脂材料を使用してもよい。
【0126】
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図18は、本第10実施形態に係る無線装置を示す斜視図である。また、図19(a)は無線デバイスの積層方法の比較例を示す模式図であり、(b)は本実施形態の無線デバイスの積層方法を示す模式図である。更に、図20は本実施形態に係る無線装置の製造方法を示す図であり、図21は本実施形態に係る無線装置の他の製造方法を示す図である。図18に示すように、第10実施形態に係る無線装置167は、無線デバイス165、164、163、162及び161が順次積層されて構成されている。無線デバイス165は、前述の第4実施形態に係る無線デバイスであり、絶縁性基板1上に信号処理回路2、アンテナ3及び表示装置91が設けられている。無線デバイス164は、前述の第3実施形態に係る無線デバイスであり、絶縁性基板1上に信号処理回路2、アンテナ3及びメモリ回路81が設けられている。メモリ回路81は、例えば電力が供給されている間だけデータを保持するDRAM若しくはSRAM、又は電力の供給が停止してもデータを保持し続ける不揮発性のEEPROM若しくはFeRAM等である。
【0127】
無線デバイス163においては、前述の第1実施形態における信号処理回路2の替りに、前記メモリ回路に対する記録及び再生の指示並びに前記表示装置への表示指示等を行うCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)166が設けられている。それ以外の無線デバイス163の構成は、前述の第1実施形態と同様である。無線デバイス162は、前述の第7実施形態に係る無線デバイスであり、絶縁性基板1上に信号処理回路2、アンテナ3及びセンサー回路121が設けられている。センサー回路121は、例えば圧力センサー、温度センサー又は湿度センサー等である。無線デバイス161は、前述の第6実施形態に係る無線デバイスであり、絶縁性基板1上に信号処理回路2、アンテナ3及び電源装置111が設けられている。電源装置111は、例えば太陽電池である。無線装置167の厚さは、例えば1mmである。無線デバイス161乃至165は、例えば前述の第9実施形態で説明したフレキシブル性を持った無線デバイスであり、夫々の厚さは、例えば無線装置167の厚さが1mmとなるように相互に調整された厚さである。例えば、無線デバイス161乃至165の厚さは夫々200μmである。又は、1枚の無線デバイスだけ元の厚さである0.7mmとし、他の4枚の無線デバイスの厚さを夫々50μm強程度まで薄くして、無線装置全体の厚さを約1mmとしてもよい。
【0128】
次に、本実施形態に係る無線装置の製造方法について説明する。無線装置の製造は、複数の無線デバイスを夫々作製する工程と、この複数の無線デバイスを相互に積層させて相互に固定する工程とからなる。この無線装置の製造において、最も注意すべき点は、各無線デバイスを張り合わせた後に残る反りである。図19(a)及び(b)に示すように、積層する無線デバイス161乃至165は、一定の反りを持っていることが多い。このような夫々が反りを持つ無線デバイスを積層する場合、図19(a)に示すように、各層の反りの方向が同一となるように積層すると、積層後の無線装置も各層の反りと同一の方向に反ったものとなる。即ち、無線デバイスを夫々が下に凸となる向きで重ね、そのまま貼り合せると、貼り合せた後の無線装置も下に凸となるように反ってしまう。これに対して、本第10実施形態においては、図19(b)に示すように、最上層の無線デバイスを下に凸となるよう配置した場合、その下の層は上に凸となるよう配置する。このように、各層の反りの方向が下に凸のものと上に凸のものを交互に積層することで、これらの反りを相殺して相互に矯正し、反りが無い無線装置が構成されている。
【0129】
各無線デバイス同士の固定は、例えば紫外線を吸収して硬化するUV接着剤等の室温で硬化する接着剤により行う。例えば、図20に示すように、前述の第9実施形態で説明したフレキシブル性を持った無線デバイスを使用し、ロールツーロールの生産方法により積層する。先ず、複数の無線デバイスが形成された2枚のシート182を、予め円柱状の芯181に夫々ロール状に巻いておく。それらのロールからシート182を引き出し、UV接着剤183を介して重ね合わせ、UV光184を照射してUV接着剤183を硬化させ、2枚のシート182が接着剤183を介して積層された積層体185を形成する。次に、積層体185を別の円柱状の芯181にロール状に巻き取る。これにより、複数の無線デバイスが相互に積層されて相互に固定され、無線装置が製造される。
【0130】
次に、上述の如く構成された本第10実施形態に係る無線装置の動作について説明する。図18に示すように、無線デバイス161において、電源装置111により蓄電された電力は電波によって無線デバイス162乃至165に送られる。これによって、無線デバイス162乃至165の夫々の回路が動作する。なお、各無線デバイスがリーダ/ライタから出力される電波からも起電力を得て、この起電力と無線デバイス161から供給される電力とを併用するようにしてもよい。無線デバイス162においては、センサー回路が動作し、必要な情報を検知する。センサー回路によって検知された情報は、無線デバイス162のアンテナ3によって、無線デバイス163に送信される。無線デバイス163においては、CPU166がアンテナ3で無線デバイス162から送信された情報を演算処理する。
【0131】
このとき、必要に応じてメモリ回路81に情報の読み書きの指示を行う。メモリ回路には、予め無線装置のID情報又は以前にセンサー回路によって検知された情報等が記憶されている。なお、無線デバイス164のメモリ回路81に書き込む追記情報は、メモリ回路81にEEPROM又はFeRAM等の不揮発性メモリを使用して電力が供給されなくなった後も保持するようにしてもよいが、メモリ回路81にDRAM又はSRAM等を使用して、無線デバイス161の電源装置111から電力が供給されている間だけデータを保持するようにしてもよい。演算結果は、アンテナ3を介して無線デバイス165の表示装置91及び外部のリーダ/ライタ(図示せず)に送信される。表示装置91は、視覚的に情報が読み取れるようにデータ又はアラームを表示する。また、リーダ/ライタにおいては、コンピュータにこの情報を格納して管理する。
【0132】
このように、本実施形態に係る無線装置によれば、様々な機能を持った無線デバイスを積層し、無線デバイス間の信号の授受を、アンテナを介して無線により行うことができる。これにより、無線装置の多機能化が容易となり、付加価値を高めることができる。また、本実施形態においては、無線装置を構成する無線デバイス間の電力及び信号の送受信を電波によって行っているため、無線デバイス間に金属又はACF等による接続部を設ける必要が無く、実装コストを削減できると共に、接合部が熱応力及び曲げ応力等により損傷することによる接続不良等の障害が発生することがない。更に、太陽電池を備えた無線デバイス161を無線装置167の最上層に配置しているため、太陽電池に光が当たりやすく、発電効率が高い。このように、無線装置に太陽電池を備えた無線デバイスを組み込む場合は、この無線デバイスを無線装置の最表層に配置することが好ましい。
【0133】
更にまた、フレキシブル性を持った無線デバイスをロールツーロールで積層することにより、少ない工数で効率よく無線装置の多機能化を実現できる。ロールツーロール方式では、無線デバイス間で厳密な位置合わせを行うことは困難であるが、本実施形態においては、無線デバイス間の電力及び信号のやり取りを無線で行うため、無線デバイス間で直接コンタクトをとる必要がなく、厳密な位置合わせが不要である。
【0134】
更にまた、無線デバイス同士の接合をUV接着剤等の室温で接着できる接着剤により行っているため、接着剤を硬化させるために加熱する必要がない。このため、熱による変形が生じることがなく、また、接合後に室温まで冷却することがないため、冷却による反りが発生しない。なお、本実施形態においては、各無線デバイスの基板としてガラス基板を使用しているため、無線装置の中央部まで紫外線光(UV光)を照射することが可能である。
【0135】
なお、本実施形態においては、無線デバイス同士を貼り合せる際に、UV接着剤の替わりに、嫌気性の接着剤を使用してもよい。この場合、UV接着剤と比較して硬化に時間がかかり作業性が劣るが、反りが生じないという点ではUV接着剤と同様な効果が得られる。又は、両面テープ等の粘着材を使用してもよい。これにより、上述のUV接着剤及び嫌気性接着剤と同様に、反りが生じない。両面テープ等の粘着材を使用する場合は、無線デバイス間の位置合わせが困難になるが、上述の如く、本実施形態においては、無線デバイス間の電力及び信号のやり取りを無線で行うため、厳密な位置合わせが不要であり、粘着材を使用する方法も十分実用的な方法となる。
【0136】
また、無線デバイス同士の貼り合わせを、クリップ、ねじ又はかしめ等の機械的固定により行ってもよい。図21は、無線デバイスをクリップを使用して機械的に固定する方法を示す図である。図21に示すように、積層体191の端部を、クリップ192によって挟むことにより固定する。これにより、各無線デバイスの着脱が容易となり、無線装置の機能のカスタマイズ又は故障した層の交換等が可能となる。
【0137】
又は、複数の無線デバイスを、紫外線照射により粘着力を失うテープ又は熱により粘着力を失うテープ等により接着してもよい。これにより、各無線デバイスの着脱が容易となり、無線装置の機能のカスタマイズ又は故障した層の交換等が可能となる。
【0138】
更に、本第10実施形態においては、各層間の通信は全て無線によるものとしたが、一部の層間を金属又はACF等で接続して、無線通信と有線通信の混在したハイブリッド構造としてもよい。また、本第10実施形態において懸念される各層間の無線信号の混信は、各層間の通信周波数又は変調方式を適切に割り当てることにより抑制できる。更に、各層から送信される信号の先頭部分に識別信号を設けることにより、ソフトウエアによって信号を区別することもできる。更にまた、本第10実施形態においては、上に凸のそりを持つ層と下に凸の反りを持つ層を交互に積層する例を示したが、本発明はこれに限定されず、積層体の反りが最小となるように積層されていればよく、積層させる枚数及び順序は適宜調整すればよい。更にまた、複数の無線デバイスとともに、無線装置の曲げ応力に対抗するための補強板を積層してもよい。無線デバイスの厚さが夫々数十μm程度であると、仮に無線デバイスが反っていてもその反力が小さいため、比較的薄い補強板であっても十分に反りを矯正できる。更にまた、無線デバイス間にスペーサを挟んでもよい。例えば、アンテナ感度を調整するために、所定の厚さの誘電材を設けてもよい。更にまた、本第10実施形態においては、単体の無線デバイスを積層して単体の無線装置を作製する例を示したが、シート状の絶縁性基板上に複数の無線デバイスがマトリクス状に設けられているものを積層した後で、単体の無線装置に分離してもよい。
【0139】
次に、本発明の第11の実施形態に係る無線デバイスの検査方法について説明する。図22(a)及び(b)は、本第11実施形態に係る無線デバイスの検査方法をその工程順に示す図である。本実施形態は、前述の各実施形態に係る無線デバイス又は無線装置を製造する際に、良否の検査を行う実施形態である。
【0140】
先ず、図22(a)に示すように、ガラス基板221に複数の無線デバイスをマトリクス状に形成する。無線デバイスの製造方法は、前述の第2の実施形態と同様である。そして、このガラス基板221上に形成された無線デバイスが検査対象物となる。導体板に1つの無線デバイスに相当する形状及び大きさの開口部223が形成されたセレクタ222を準備する。そして、開口部223が検査対象の無線デバイスに整合するように、ガラス基板221をセレクタ222に重ね合わせる。これにより、ガラス基板221上に形成された複数の無線デバイスのうち、検査対象となる無線デバイスの裏面側には開口部223が位置し、他の無線デバイスの裏面側には導体板が位置する。次に、図22(b)に示すように、検査対象の無線デバイス素子に、リーダ/ライタのヘッド224を近接させ、無線により検査信号等の情報の授受を行う。
【0141】
無線通信においては、金属板等の導体をアンテナに近づけると、導体により電波が遮断され、略通信不能となる。本第11実施形態においては、上述のようにセレクタ222をガラス基板221に近接させることにより、検査対象となる無線デバイス以外の無線デバイスを通信不能の状態とすることができる。これにより、他の無線デバイスとの間で混信が発生せず、検査対象の無線デバイスのみを精度良く検査することができる。そして、ガラス基板221に対する開口部223の位置を相対的にずらしていくことにより、ガラス基板221上に形成された複数の無線デバイスを順次検査していく。なお、本第11実施形態に係る無線デバイスの検査方法は、初期データ書き込み等の特定の無線デバイス素子との交信にも利用することができる。
【0142】
無線デバイスは、絶縁性基板上に形成した後に無線で検査を行うことができる。また、予め入力すべきIDデータ等の初期データも無線で入力することができる。但し、1枚のガラス基板上に複数のアンテナ及び情報処理回路からなる組を形成した後、絶縁性基板を切り分けて複数の無線デバイスを同時に作製する場合に、絶縁性基板を無線デバイス毎に切り分けた後、上述の検査及び初期データの入力を行うと、ハンドリング効率が極端に低下してしまう。これに対して本実施形態においては、セレクタ222を使用して1つの無線デバイスのみに選択的に電波を入力することにより、絶縁性基板を切り分ける前に、シート又はロールの状態で検査及び初期データの入力を行うことができる。このため、ハンドリングが容易になり、効率が向上する。
【0143】
次に、本発明の第11の実施形態に係る無線デバイスの検査方法の変形例について説明する。図23は、本第11実施形態に係る無線デバイスの検査方法の変形例を説明する図である。前述の第11実施形態においては、図22(a)に示すように、検査対象が、板状のガラス基板上に設けられた無線デバイスである。これに対して、本第11実施形態の変形例においては、図23に示すように、ロールツウロールにより形成されたフレキシブル性をもつ無線デバイスを検査する。図23に示すように、検査前の無線デバイス231が形成されたシートは、円柱状の芯232にロール状に巻かれており、検査時にセレクタ222上に広げられ、検査後は円柱状の芯233にロール状に巻かれる。そして、芯231及び233を回転させることによりシートを送り出し、開口部223とヘッド224との間に複数の無線デバイスを順次位置させ、無線デバイスを連続的に検査することができる。本第11実施形態の変形例における上記以外の構成及び効果は、前述の第11実施形態と同様である。
【0144】
なお、上述の第11の実施形態及びその変形例においては、1度に1個の無線デバイスを検査する例を示したが、本発明はこれに限定されず、複数個の無線デバイスを同時に検査してもよい。但し、この場合、検査対象となる複数個の無線デバイスは、互いに干渉しないように相互に離隔して形成されている必要がある。また、セレクタ222には、この複数個の無線デバイスに相当する複数ヶ所の領域に開口部223を形成する。そして、この複数ヶ所の開口部223を検査対象となる複数個の無線デバイスに整合する位置に位置させて、検査を行う。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線デバイスの回路構成を示すブロック図である。
【図3】(a)乃至(d)は、横軸にコイルの幅をとり、縦軸に起電力をとって、コイル配線幅が生成起電力に及ぼす影響をコイルの巻き数及びコイルの外径寸法毎に示したグラフ図である。
【図4】(a)乃至(c)は、横軸にコイルの幅をとり、縦軸に起電力をとって、コイル配線幅が生成起電力に及ぼす影響をコイルの巻き数及びコイルの外径寸法毎に示したグラフ図である。
【図5】(a)乃至(c)は、本発明の第2実施形態をその工程順に示す断面図であり、(d)は本実施形態により製造された無線デバイスを示す斜視図である。
【図6】(a)乃至(f)は本第2実施形態に係る無線デバイスに使用する信号処理回路等を構成するCMOSトランジスタの製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図7】(a)乃至(c)は、本第2実施形態に係る無線デバイスに使用するアンテナの製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図8】(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の第1変形例におけるアンテナの製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図9】(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の第2変形例におけるアンテナの製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図15】本発明の第8の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図16】本発明の第9の実施形態に係る無線デバイスを示す斜視図である。
【図17】(a)乃至(d)は、本発明の第9実施形態における絶縁性基板のエッチング方法をその工程順に示す断面図である。
【図18】本発明の第10の実施形態に係る無線装置を示す斜視図である。
【図19】(a)は無線デバイスの積層方法の比較例を示す模式図であり、(b)は本実施形態の無線デバイスの積層方法を示す模式図である。
【図20】本実施形態に係る無線装置の製造方法を示す図である。
【図21】本実施形態に係る無線装置の他の製造方法を示す図である。
【図22】(a)及び(b)は、本発明の第11の実施形態に係る無線デバイスの検査方法をその工程順に示す図である。
【図23】本発明の第11の実施形態に係る無線デバイスの検査方法の変形例を示す図である。
【図24】従来のRFタグを示す斜視図である。
【図25】従来のRFタグ及びリーダ/ライタの構成を示すブロック図である。
【図26】従来の非接触式ICカードを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0146】
1;絶縁性基板
2;信号処理回路
3、101、102、302、314、316;アンテナ
11;高周波インターフェイス
12;ロジック回路
13、319;メモリ
15;整流回路
16;クロック生成部
17;復調回路
18;変調回路
19;昇圧回路
20;復号化回路
21;符号化回路
22;シリアルI/O
23;コマンド処理回路
24;メモリ制御回路
26;端子
31;バリア膜
32;非晶質シリコン膜
33;レーザー照射を示す矢印
34;多結晶シリコン膜
35;ゲート絶縁膜
36;ゲート電極
37、52;フォトレジスト
38;ボロン注入を示す矢印
39;p型化された領域
40;リン注入を示す矢印
41;n型化された領域
42;層間絶縁膜
43;金属電極
51;導電膜
53、62;めっき膜
61;下地膜
71;導電性ペースト
72;マスク
73;スキージ
74;印刷パターン
81;メモリ回路
91;表示装置
111;電源装置
121;センサー回路
122;電極
123;中空体
131;テープ
132;断絶部
141;ガラス基板
142;フレキシブルフィルム
151;回路層
152;保護フィルム
153;エッチング液
161;162;163;164;165、231:無線デバイス
166;CPU
167;無線装置
181、232、233;芯
182;シート
183;UV接着剤
184;UV光
185、191;積層体
192;クリップ
221;絶縁性基板
222;セレクタ
223;開口部
224;ヘッド
301、323;基板
303、317;ICチップ
311;リーダ/ライタ
312;制御部
313、318;送受信部
315;RFタグ
321;ICカード
322;デバイス
324;補助材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、この絶縁性基板上に形成された信号処理回路と、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路と一体的に形成され前記信号処理回路に接続された無線通信用のアンテナと、を有することを特徴とする無線デバイス。
【請求項2】
前記絶縁性基板がガラス基板であることを特徴とする請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項3】
前記絶縁性基板がプラスチック基板であることを特徴とする請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項4】
前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成されたメモリを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項5】
前記メモリがROM、EEPROM、FeRAM、DRAM及びSRAMからなる群から選択された1のメモリであることを特徴とする請求項4に記載の無線デバイス。
【請求項6】
前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成された表示装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項7】
前記表示装置が液晶表示装置、有機EL表示装置及び無機EL表示装置からなる群から選択された1の表示装置であることを特徴とする請求項6に記載の無線デバイス。
【請求項8】
前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成された電源装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項9】
前記電源装置が太陽電池又はリチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項10】
前記絶縁性基板上に前記信号処理回路及び前記アンテナと一体的に形成されたセンサーを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項11】
前記センサーが圧力センサー、加速度センサー、温度センサー、湿度センサー、においセンサー及び指紋センサーからなる群から選択された1のセンサーであることを特徴とする請求項10に記載の無線デバイス。
【請求項12】
前記絶縁性基板上に形成された機械式入出力装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項13】
前記機械式入出力装置がディップスイッチ、タッチパネル、マイクロホン及びスピーカーからなる群から選択された1の装置であることを特徴とする請求項12に記載の無線デバイス。
【請求項14】
前記絶縁性基板上に形成された他のアンテナを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項15】
前記他のアンテナが、前記アンテナが対応している通信周波数とは異なる通信周波数に対応していることを特徴とする請求項14に記載の無線デバイス。
【請求項16】
前記他のアンテナが、ブースターアンテナであることを特徴とする請求項14に記載の無線デバイス。
【請求項17】
前記絶縁性基板の厚さが200μm以下であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項18】
前記情報処理回路及び前記アンテナを覆うように設けられた保護フィルムを有することを特徴とする請求項17に記載の無線デバイス。
【請求項19】
前記アンテナがコイルアンテナであり、このアンテナの最外周を結んだ線で囲まれた領域の面積が1cm以上であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項20】
前記アンテナがダイポールアンテナであり、このアンテナの長さが3cm以上であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項21】
前記絶縁性基板が表示装置の基板であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の無線デバイス。
【請求項22】
相互に積層された複数の無線デバイスを有し、この無線デバイスが請求項1乃至21のいずれか1項に記載された無線デバイスであることを特徴とする無線装置。
【請求項23】
少なくとも2つの前記無線デバイス間の通信を無線通信によって行うことを特徴とする請求項22に記載の無線装置。
【請求項24】
少なくとも3つの前記無線デバイス間の通信を無線通信によって行い、一の対をなす前記無線デバイス間の無線通信は、他の対をなす前記無線デバイス間の無線通信とは異なる通信周波数で行うことを特徴とする請求項23に記載の無線装置。
【請求項25】
少なくとも3つの前記無線デバイス間の通信を無線通信によって行い、一の対をなす前記無線デバイス間の無線通信は、他の対をなす前記無線デバイス間の無線通信とは異なる変調方式で行うことを特徴とする請求項23に記載の無線装置。
【請求項26】
前記無線デバイス間又は最表層を構成する前記無線デバイスの外側に配置された補強部材を有することを特徴とする請求項22乃至25のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項27】
最表層を構成する前記無線デバイスが太陽電池を有することを特徴とする請求項22乃至26のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項28】
絶縁性基板上にTFT形成プロセスにより信号処理回路を形成する工程と、前記絶縁性基板上に前記信号処理回路に接続されるアンテナを形成する工程と、を有することを特徴とする無線デバイスの製造方法。
【請求項29】
前記アンテナを形成する工程は、前記信号処理回路を形成する工程の後、続けて実施されることを特徴とする請求項28に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項30】
前記絶縁性基板上にメモリを形成する工程を有することを特徴とする請求項28に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項31】
前記絶縁性基板上に表示装置を形成する工程を有することを特徴とする請求項28に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項32】
前記絶縁性基板上に電源装置を形成する工程を有することを特徴とする請求項28に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項33】
前記絶縁性基板上にセンサーを形成する工程を有することを特徴とする請求項28に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項34】
前記絶縁性基板上に機械式入出力装置を形成する工程を有することを特徴とする請求項28に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項35】
前記アンテナを形成する工程が、めっきプロセスにより配線を形成する工程を有することを特徴とする請求項28乃至34のいずれか1項に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項36】
前記アンテナを形成する工程が、導電性ペーストを印刷することにより配線を形成する工程を有することを特徴とする請求項28乃至34のいずれか1項に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項37】
前記絶縁性基板を前記信号処理回路及び前記アンテナが形成されていない側からエッチングして薄型化する工程を有することを特徴とする請求項28乃至36のいずれか1項に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項38】
前記信号処理回路を形成する工程は、1枚の前記絶縁性基板上に複数の前記信号処理回路を形成する工程であり、前記アンテナを形成する工程は、前記1枚の絶縁性基板上に前記複数の信号処理回路に対応させて複数のアンテナを形成する工程であり、各1個の前記信号処理回路及び前記アンテナからなる組毎に前記絶縁性基板を切り分ける工程を有することを特徴とする請求項28乃至37のいずれか1項に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項39】
前記アンテナを形成する工程と前記絶縁性基板を切り分ける工程との間に、前記無線デバイスの良否を検査する検査工程を有することを特徴とする請求項38に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項40】
前記検査工程が、導電材料からなり1個又は相互に離隔して形成された複数個の前記無線デバイスに相当する領域に夫々開口部が形成された導電板の位置を前記絶縁性基板に対して調整し、前記開口部を前記1個又は複数個の無線デバイスに整合する位置に位置させる工程と、前記1個又は複数個の無線デバイスに無線により検査用信号を入出力させて前記1個又は複数個の無線デバイスを検査する工程と、を有することを特徴とする請求項39に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項41】
前記1個又は複数個の無線デバイスの検査が終了した後に、前記導電板と前記絶縁性基板とを相互に相対的に移動させて前記開口部を他の1個又は複数個の前記無線デバイスに整合する位置に位置させる工程と、前記他の1個又は複数個の無線デバイスの検査を行う工程と、を有することを特徴とする請求項40に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項42】
前記導電板と前記絶縁性基板とを相互に相対的に移動させながら、複数の前記無線デバイスを順次検査することを特徴とする請求項40に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項43】
前記絶縁性基板がシート状の基板であり、前記絶縁性基板と前記導電板との間の相対的な移動は、前記絶縁性基板を一のロールから他のロールに送出することによって行うことを特徴とする請求項41又は42に記載の無線デバイスの製造方法。
【請求項44】
無線デバイスを作製する工程と、複数の前記無線デバイスを相互に積層して相互に固定する工程と、を有し、前記無線デバイスを作製する工程は、請求項28乃至43のいずれか1項に記載の無線デバイスの製造方法により実施されることを特徴とする無線装置の製造方法。
【請求項45】
前記無線デバイスを固定する工程は、室温硬化型の接着剤により前記複数の無線デバイスを相互に接着する工程であることを特徴とする請求項44に記載の無線装置の製造方法。
【請求項46】
前記室温硬化型の接着剤が、紫外線により硬化するUV接着剤又は嫌気性の接着剤であることを特徴とする請求項45に記載の無線装置の製造方法。
【請求項47】
前記無線デバイスを固定する工程は、前記複数の無線デバイスを粘着材により相互に接合する工程であることを特徴とする請求項44に記載の無線装置の製造方法。
【請求項48】
前記無線デバイスを固定する工程は、前記複数の無線デバイスを着脱可能に固定する工程であることを特徴とする請求項44に記載の無線装置の製造方法。
【請求項49】
クリップにより前記複数の無線デバイスを相互に固定することを特徴とする請求項48に記載の無線装置の製造方法。
【請求項50】
ねじにより前記複数の無線デバイスを相互に固定することを特徴とする請求項48に記載の無線装置の製造方法。
【請求項51】
紫外線照射により粘着力を失う粘着材により前記複数の無線デバイスを相互に固定することを特徴とする請求項48に記載の無線装置の製造方法。
【請求項52】
加熱により粘着力を失う粘着材により前記複数の無線デバイスを相互に固定することを特徴とする請求項48に記載の無線装置の製造方法。
【請求項53】
前記無線デバイスを固定する工程において、各前記無線デバイスの反りを相殺するように各前記無線デバイスの表裏を調整して前記複数の無線デバイスを積層することを特徴とする請求項44乃至52のいずれか1項に記載の無線装置の製造方法。
【請求項54】
前記無線デバイスを作製する工程が、シート状の絶縁性基板上に前記情報処置回路及び前記アンテナを形成する工程と、前記シート状の絶縁性基板をロールに巻き取る工程と、を有し、前記無線デバイスを固定する工程が、前記シート状の絶縁性基板をロールから引き出し、この引き出した部分同士を重ね合わせて相互に固定する工程を有することを特徴とする請求項44乃至53のいずれか1項に記載の無線装置の製造方法。
【請求項55】
前記無線デバイスを固定する工程が、前記相互に固定されたシート状の絶縁性基板を他のロールに巻き取る工程を有することを特徴とする請求項54に記載の無線装置の製造方法。
【請求項56】
前記無線デバイスを作製する工程が、前記絶縁性基板上に前記信号処置回路及び前記アンテナからなる組を複数形成する工程を有し、前記無線デバイスを固定する工程が、前記相互に固定された絶縁性基板を前記組毎に切り分ける工程を有することを特徴とする請求項44乃至55のいずれか1項に記載の無線装置の製造方法。
【請求項57】
絶縁性基板上に信号処理回路及びアンテナを備えた無線デバイスが複数個形成された無線デバイスシートに対して、導電材料からなり1個又は相互に離隔して形成された複数個の前記無線デバイスに相当する領域に夫々開口部が形成された導電板の位置を調整し、前記開口部を前記1個又は複数個の無線デバイスに整合する位置に位置させる工程と、前記1個又は複数個の無線デバイスに無線により検査用信号を入出力させて前記1個又は複数個の無線デバイスを検査する工程と、を有することを特徴とする無線デバイスの検査方法。
【請求項58】
前記1個又は複数個の無線デバイスの検査が終了した後に、前記導電板と前記無線デバイスシートとを相互に相対的に移動させて前記開口部を他の1個又は複数個の前記無線デバイスに整合する位置に位置させる工程と、前記他の1個又は複数個の無線デバイスの検査を行う工程と、を有することを特徴とする請求項57に記載の無線デバイスの検査方法。
【請求項59】
前記導電板と前記無線デバイスシートとを相互に相対的に移動させて複数の前記無線デバイスを順次検査することを特徴とする請求項57に記載の無線デバイスの検査方法。
【請求項60】
前記無線デバイスシートと前記導電板との間の相対的な移動は、前記無線デバイスシートを一のロールから他のロールに送出することによって行うことを特徴とする請求項58又は59に記載の無線デバイスの検査方法。
【請求項61】
絶縁性基板上に信号処理回路及びアンテナを備えた無線デバイスが複数個形成された無線デバイスシートを構成する各前記無線デバイスを検査する検査装置において、導電材料からなり1個又は相互に離隔して形成された複数個の前記無線デバイスに相当する領域に夫々開口部が形成されており、この開口部が検査対象となる前記1個又は複数個の無線デバイスに整合する位置に位置される導電板と、前記無線デバイスに対して無線により検査用信号を入出力させるリーダ/ライタと、を有することを特徴とする無線デバイスの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−24087(P2006−24087A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203047(P2004−203047)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】