無線検針システム
【課題】親機に位置情報検出手段と記憶手段を持たせ、実際の子機との通信結果を親機の位置情報とともに記憶することにより、子機ごとに検針可能な位置を確実に把握でき、良好な検針作業が可能な無線検針システムを提供する。
【解決手段】無線検針システムは、計量器と、この計量機に接続された子機と、この子機と通信可能な親機1とからなっており、親機は、自身の位置を検出するための位置情報検出手段8と記憶手段9と表示手段7を備えている。検針員が親機を携帯して子機に対して検針データを要求した際に、親機は、子機に対する通信結果を自身の位置情報とともに記憶手段に記憶していく。また、子機との距離を算出表示したり、地図等に通信結果をマッピングしたりすることによって、効率的な検針を可能にしている。
【解決手段】無線検針システムは、計量器と、この計量機に接続された子機と、この子機と通信可能な親機1とからなっており、親機は、自身の位置を検出するための位置情報検出手段8と記憶手段9と表示手段7を備えている。検針員が親機を携帯して子機に対して検針データを要求した際に、親機は、子機に対する通信結果を自身の位置情報とともに記憶手段に記憶していく。また、子機との距離を算出表示したり、地図等に通信結果をマッピングしたりすることによって、効率的な検針を可能にしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線検針システムに関し、より詳細には、ガスメータや水道メータあるいは電力メータの計量値を無線通信にて遠隔検針する無線検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスメータや水道メータあるいは電力メータは、検針員が1ヶ月または2ヶ月毎に各住宅や施設に設置してあるメータの指針値を読み取って、携帯するハンディターミナル(HT)などの検針端末に入力する検針作業を行なっている。
この検針作業にあたり、メータ付近に物が置いてあったり、犬がいたり、メータが建物内にあったり、積雪によりメータが埋まってしまっていたりなどして、検針が難しい場合がある。更に水道メータであれば重い鉄製の蓋を開けなければメータの指針を確認できない箇所などがあり、危険な場合もある。
そこで、親機と無線にて通信可能な子機を各戸に設置し、ガスメータや水道メータあるいは電力メータに子機を接続し、メータから離れた場所で検針員が親機を操作し、無線通信にて子機を介して計量器の指針値を遠隔検針するための無線検針システムが開発されている。
【0003】
この種類の無線検針システムには、430MHz帯のテレメータテレコントロール用特定小電力無線局が良く使用されているが、送信可能な出力は10mW以下と比較的小さく、通信可能な距離は見通しの良い所で100m程度であるため、実際には建物などの障害物による減衰や反射、回析などによって10mから30m程度となってしまう。
また、建物などの障害物の状況は様々であることから、通信可能距離は現場毎に違ってくる。
そのため、それぞれのメータにおいて、どの程度の距離、どの辺りの場所で良好に通信できるかは、検針員の経験に頼っていることが多く、検針員が交代したときなどは検針可能な位置が分からずに、通信エラーを多発して時間を無駄にしたり、検針ができなかったりするという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1にあるように、親機にGPS(Global Positioning System)受信装置を搭載して自身の現在位置を特定し、予め記憶している子機の位置情報とから距離を計算し、所定の閾値距離以内に位置する子機、すなわち親機を中心とした検針可能距離の円内にある子機を特定して通信を行うものがある。
【特許文献1】特開2000−286989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、親機が通信可能な子機を自動的に検索するようにしているが、距離の閾値は一定であるので、現場ごとに通信可能距離が違うことには対応しきれず、上記課題を解決するには至っていない。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、親機に位置情報検出手段と記憶手段を持たせ、実際の子機との通信結果を親機の位置情報とともに記憶することにより、子機ごとに検針可能な位置を確実に把握でき、良好な検針作業が可能な無線検針システムを提供すること目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、計量器と、該計量器に接続された子機と、該子機との間で無線通信が可能でかつ移動可能な親機とから構成され、前記親機と子機との間で無線通信を行ない前記計量器の情報を親機側にて収集する無線検針システムであって、前記親機は位置情報検出手段と記憶手段と表示手段を有し、前記子機との通信時に自身の位置情報を通信結果とともに前期記憶手段に記憶することを特徴としたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報と地図情報が記憶されており、前記親機は、前記表示手段へ地図情報を表示するとともに、表示した地図上に、前記子機の位置と現在の親機の位置とを表示することを特徴としたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記親機は、前記子機と通信を行った時の地図上の親機位置に前記通信結果を表示することを特徴としたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、過去の通信結果を合わせて表示することを特徴としたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2から4までのいずれかの発明において、前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、無線通信における障害物を、他の表示と区別して表示することを特徴とする特徴としたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2から5までのいずれかの発明において、前記親機は、子機との通信時において、子機からの送信電波の電界強度を測定するとともに、予め設定された電界強度区分に応じて、前記表示手段に表示する通信結果の表示を変えることを特徴としたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項2から6までのいずれかの発明において、前記親機は、前記子機の位置情報あるいは子機周辺の通信障害物の情報に変更があった場合には、変更前後の通信結果の表示を区別して表示することを特徴とする請求項2から6までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報が記憶されており、前記親機は、前記位置情報検出手段にて検出した自身の位置情報と前記子機の位置情報とから親機と子機間の距離を算出し、該距離を前記表示手段に表示することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線検針システムでは、親機は位置情報検出手段と記憶手段を持ち、子機との通信時に親機自身の位置情報を検出し、通信結果と共に記憶手段に記憶しているため、これを読み出して、別途に求めた子機の位置情報とから、子機ごとに検針可能な親機の位置や子機との距離が分かり、地図等に順次マッピング蓄積していくことで、良好に検針が可能となる検針位置を決める補助となり検針がスムーズに行える。
【0016】
また、親機の記憶手段に予め子機の位置情報が記憶させておき、位置情報検出手段にて検出した自身の位置情報とから親機と子機間の距離を算出し、表示手段にて検針員へ知らせるようにしたので、通信前に通信可能距離であるか否かを確認したり、通信を行った結果から、この現場での通信距離を把握することができ、良好に検針が可能となる検針位置を決める補助となり検針がスムーズに行えるとともに、表示手段も大画面の表示パネル等は不要であり、通常に検針業務に使用する構成のまま対応でき、特別な投資がなくても実現できる。
【0017】
また、親機に地図情報を持たせておき、通信を行った際の親機の地図上の位置に、子機との通信結果を順次表示していくようにしたので、通信が可能な位置と不可能な位置を視覚的に知ることができ、検針位置を決める補助となり、より検針がスムーズに行える。
また、親機の地図表示においては、建物等、無線通信における障害物を強調表示するなど他のものと区別して表示するようにしたので、親機と子機との間に通信を遮る物があるかどうかを視覚的に確認することができ、検針位置を決める際の補助となり検針がスムーズに行える。
【0018】
また、親機は、子機との通信時において、子機からの送信電波の電界強度を測定し、地図上の親機の位置に通信結果を表示する際に、予め設定された電界強度の強さに応じて、表示マークを変えるなど表示を区別するようにしたので、十分な電界強度が得られる位置が地図上のどの辺りかを簡単に知ることが出来るようになるので、検針位置を決める際の補助となり検針がスムーズに行える。
【0019】
さらに、親機の地図の表示は、子機の位置情報及び子機周辺の建造物の情報に変更があった場合には、変更前の通信結果表示を薄くしたり、表示しなかったりして変更後の通信結果表示と区別するようにしているので、検針位置を決める際に間違った通信結果表示情報を利用することがなくなり、検針がスムーズに行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図である。
図1において、無線検針システムは、ガスメータや水道メータあるいは電力メータ等の計量器3と、計量器3に接続された子機2と、計量器3の情報を収集する親機1とで構成され、親機1は、子機2との間で無線通信を行ない、計量器3や子機2の情報を収集する。
図2は、本発明の他の実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図であり、図1の親機1を制御機器4、例えばハンディターミナルやPDAと、無線送受信部5とに分離した形態である。
図1と図2とでは、無線検針システムの構成が異なるが、制御機器4と無線送受信部5の組み合わせで、親機1と同じ動作とみなせるので、以降、親機1を代表として説明する。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係る無線検針システムの親機1の構成を示すブロック図である。
親機1は、各戸に設置された子機2から検針値を収集するために、検針員が携帯して移動するものであり、子機2と無線通信を行ったり受信電波の電界強度を検出したりする無線通信手段6と、検針業務のメニューや検針等の結果、地図情報などを表示する表示手段7と、GPS受信装置である位置情報検出手段8と、検針員が検針する地域の地図情報、検針対象となる各戸の子機2のID番号や位置情報、検針値などを記憶しておくための記憶手段9と、これらの通信制御や情報処理などを行うための制御手段10とから構成される。
【0022】
<第1の実施形態>
図1のシステム及び図3の親機1の構成による第1の実施形態の動作を以下に説明する。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、検針員は親機1を図示しないキー等により操作すると、親機1は子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりすることで、検針作業が行われる。
【0023】
ここで親機1の制御手段10は、検針員が親機1の図示しないキー操作により検針の要求を行なったことを検知したら、位置情報検出手段8にて現在の親機1の位置情報を取得するとともに、子機2へ無線通信手段6を介して検針要求通信を行う。そして、子機2より検針応答通信を受信したら、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと、先に取得した親機1の位置情報と、通信が可能であった旨の情報とを記憶手段9へ記憶する。
ここで、親機1と子機2との距離が離れていたり、通信経路上に障害物があったりして通信が不成立、例えば、所定の時間内に該当する子機2からの検針応答信号が受信できないような場合、すなわちエラーであった場合には、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の位置情報とを記憶手段9へ記憶する。
ここで、記憶手段9への記憶は、テーブルを作成したりデータベースを利用することができる。
【0024】
そして、子機2との通信ができなかった場合には、検針員は場所を変えて、再度、当該子機2に対して検針データの要求を行う。このように、再度、子機2と通信を行った場合には、前記記憶した情報は上書きや消去はせずに、順次蓄積してゆく。
ただし、記憶手段9の記憶容量には限界があるので、容量を越える場合には最古のデータを消去し、代わりに最新のデータを保存するなどして、常に最新データに更新してゆく。
また、容量が一杯になったら以降の記憶を行なわないようにしても良いし、これらの対応方法を設定で選択するようにしても良い。
【0025】
そして、検針員は担当分の検針が完了したら、検針センターやガス販売店などへ親機1を持ち帰り、親機1の記憶手段9に記憶された、それぞれの子機2に対する通信結果と、その時の親機1の位置情報を読み出し、子機2の位置がプロットされた地図にプロットする。
ある子機2に対し何回か検針した結果をプロットした地図の例を図4に示す。
「☆」は子機2の位置であり、「●」は正常に通信出来た時の親機1の位置を示し、「×」は通信出来なかった時の親機1の位置が示されている。
この地図情報から、検針可能なエリアと検針不可のエリアを知ることが出来る。
なお、第1の実施形態では、子機2との通信に成功した場合に、通信が可能であった旨の情報を記憶するようにしたが、検針データを取得できた場合は通信が可能であったことから、検針データの有無によって通信が可能であったかどうかの判断を行ってもよい。
【0026】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図1のシステム図及び、図3の親機1の構成を用いて説明する。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、検針員は親機1を図示しないキー等により操作すると、親機1は子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりすることで、検針作業が行われる。
【0027】
ここで、親機1の記憶手段9には、子機2それぞれの位置情報が予め記憶されている。
親機1の制御手段10は、検針員が親機1の図示しないキー操作により検針作業を選択したら、表示手段7にて検針開始要求の表示を行うとともに、位置情報検出手段8にて現在の親機1の位置情報を取得し、記憶手段9に記憶している該当子機2の位置情報とから、親機1と子機2との距離を算出して、表示手段7へ表示する。
【0028】
図5は、この時の親機1の表示例であり、「検針開始」ボタンと「キャンセル」ボタンとともに、メータ、正確には子機2までの距離(ここでは30m)を表示している。
「検針開始」ボタンが押されると、親機1の制御手段10は無線通信手段6を介して子機2に対して検針要求通信を行う。そして、子機2より検針応答通信を受信したら、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと、先に取得した親機1の位置情報と、通信が可能であった旨の情報とを記憶手段9へ記憶する。
また、通信エラーであった場合にも、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の位置情報とを記憶手段9へ記憶する。
【0029】
この実施形態では、子機2と無線通信を行う前に距離確認を行なうようにしているが、別の実施形態として、親機1の制御手段10は、検針員が図示しないキー操作により検針の要求を行なったことを検知したら、位置情報検出手段8にて現在の親機1の位置情報を取得してから、子機2と無線通信手段6を介して検針要求通信を行い計量器3や子機2の検針データ等を収集してもよい。
ここで、親機1の制御手段10は、先に取得した親機1の位置情報と、記憶手段9に記憶されている該当子機2の位置情報とから距離計算を行なって、図6に示すように検針結果とともに親機1と子機2間の距離を表示するなど、通信前でなく通信後に距離確認をするようにしても良い。
また、親機1の位置は、常時または定期的に、キー等の入力があった時などに位置情報を検出して、子機2との無線通信に関わらずに表示するようにも出来る。
【0030】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図1のシステム図及び、図3の親機1の構成を用いて説明する。
親機1の記憶手段8には、各子機2の位置情報と地図情報、現在までに蓄積した各子機2に対する通信結果情報が予め記憶されている。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
【0031】
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、まず検針員は親機1を図示しないキー等を操作して検針対象の子機2を選択すると、親機1は位置情報検出手段8により現在位置情報を取得し、表示手段7へ子機2周辺の地図を表示するとともに、過去の子機との通信結果と、現在の親機1の位置をそれぞれ図7のようにマークにて表示する。
この例では、親機1のキー操作で検針対象の子機2を選択したときに子機2の周辺地図を表示するようにしたが、親機1を中心とした地図でも良いし、常時または間欠的に、親機1の位置情報を検出しながら表示手段7に表示した地図上に現在の親機1の位置をマーク表示するようにしたり、更には、目的の子機2までの案内機能を持たせたりしても良い。
【0032】
検針員は、地図上に表示された過去の通信結果を確認して、通信がより多く成功している場所へ移動する。親機1は常時又は間欠的に現在位置情報を検出し地図上のマークを更新しているので、検針員の移動に伴い地図上の現在位置を示すマークも移動するようになっている。
また、親機1の消費電力を抑えるために、親機に例えば「更新」キーなどを設けておき、キーが押されたときに、現在位置情報の検出と地図上のマーク位置の更新を行うようにしても良い。
【0033】
親機1の制御手段10は、親機1の図示しない検針開始等のキー操作を検知したら、無線通信手段6を介して子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりする。
【0034】
親機1の制御手段10は、子機2より検針応答通信を受信したら、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと親機1の現在位置情報とを記憶手段9へ記憶し、図8に示す通り、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に、今回の通信結果、通信可能であったので「●」、をプロットする。
【0035】
ここで、親機1と子機2との距離が離れていたり、通信経路上に障害物があったりして通信が不成立、すなわちエラーであった場合には、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の現在位置情報とを記憶手段9へ記憶し、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に今回の通信結果、通信エラーであったので「×」、をプロットする。
再度、子機2と通信を行った場合には、前記記憶した情報は上書きや消去はせずに、順次蓄積してゆく。
ただし、記憶手段9の記憶容量には限界があるので、容量を越える場合には最古のデータを消去し、代わりに最新のデータを保存するなどして、常に最新データに更新してゆく。
また、容量が一杯になったら以降の記憶を行なわないようにしても良いし、これら対応方法を設定で選択するようにしても良い。
【0036】
図9は、前記実施形態にて、図7の地図表示において無線通信の障害となる建物等の障害物を強調表示させた地図表示例である。
これにより親機1と子機2との通信経路上に障害物があるかどうか、またどの位置まで親機1が移動すれば障害物を避けられるかが視覚的に分かりやすくなる。また、通信がエラーとなった場合に、障害物の影響かどうかが地図表示を見て確認したり判断することが可能となる。
【0037】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、図1のシステム図及び、図3の親機1の構成を用いて説明する。
親機1の記憶手段9には、各子機2の位置情報と地図情報、現在までに蓄積した各子機2に対する通信結果情報と、電界強度判定区分が予め記憶されている。
ここでは一例として、電界強度区分を2区分とし、閾値として25dBuV/m以上を電界強度区分「強」、閾値未満を電界強度区分「弱」とする。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
【0038】
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、まず検針員は親機1を図示しないキー等を操作して検針対象の子機2を選択すると、親機1は位置情報検出手段8により現在位置情報を取得し、図10のように、表示手段7に表示した子機2周辺の地図に、過去の通信結果として、通信可能であり電界強度が十分に強かった親機1の検針位置に「●」を、同じく検針可能であるが電界強度が弱った位置を「○」、通信が出来なかった位置を「×」のマーク表示を行い、更に、現在の親機1の位置を「△」、子機2の位置を「☆」にて表示するようにしている。
検針員は、この表示を確認することで、十分な電界強度が得られ安定した無線通信が可能な場所はどの辺りであるかを見極めやすく、安定した無線通信による検針作業を行うことが出来る。
【0039】
親機1の制御手段10は、親機1の図示しない検針開始等のキー操作を検知したら、無線通信手段6を介して子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりする。
親機1の制御手段10は、無線通信手段6にて子機2からの検針応答通信を受信したら、受信電波の電界強度を測定するとともに記憶手段9に記憶している電界強度判定区分と比較し、区分、ここでは「強」か「弱」を決定する。例として今回は「弱」区分であったとする。
制御手段10は、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと、通信可否と、電界強度測定値と区分、そして親機1の現在位置情報を記憶手段9へ記憶し、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に今回の通信結果、通信可能で電界強度区分は「弱」であったので「○」、をプロットする。
【0040】
また、ここで、親機1と子機2との距離が離れていたり、通信経路上に障害物があったりして通信が不成立、すなわちエラーであった場合には、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の現在位置情報とを記憶手段9へ記憶し、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に今回の通信結果、通信エラーであったので「×」、をプロットする。
【0041】
<第5の実施形態>
更に、子機2の周囲環境が変化すること、例えば増改築などが日常的に考えられる。
一例として、子機2の周囲に新たに障害物、ここでは敷地内の庭に倉庫が建ったとした場合、親機1の記憶手段8に記憶されている地図情報に倉庫を追加する更新を行うとともに、環境が変化した記録として、例えば変更フラグや変更フラグと変更日を記憶させておく。
ここで、敷地内に倉庫が建ったことは、新旧の地図情報をパターン認識することで把握することができる。
そして、親機1の制御手段10は、記憶手段8の変更フラグにより、環境が変わったことを認識し、地図に過去の通信結果マークを表示させるときに、図11に示す通り、変更以前の結果は薄く表示するように制御する。
また、薄くする代わりに、違うマークとしても良いし、表示しないようにしても良い。
これにより、薄く表示されたマークは倉庫が建つ前のデータであると認識することができ、検針員はこれらを検針位置を決める際の参考値として考えることが可能となる。
さらに、子機2の位置情報が変更された場合にも、新たな通信の障害物が発生した場合と同ように、変更以前の結果を薄く表示するように制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線検針システムの親機1の構成を示すブロック図である。
【図4】ある子機に対し何回か検針した結果をプロットした地図の表示例である。
【図5】親機の表示例を示す図である。
【図6】親機の他の表示例を示す図である。
【図7】ある子機について、過去の通信結果と、現在の親機の位置をプロットした地図の表示例である。
【図8】図7の地図の表示例において、今回の通信結果の例をプロットした表示例である。
【図9】図7の地図の表示例において、無線通信の障害となる建物等の障害物を強調表示させた表示例である。
【図10】ある子機について、過去の通信結果として、電界強度区分が分かるようにした地図の表示例である。
【図11】ある子機について、過去の検索結果を薄く表示した地図の表示例である。
【符号の説明】
【0043】
1…親機、2…子機、3…計量器、4…制御機器、5…無線送受信部、6…無線通信手段、7…表示手段、8…位置情報検出手段、9…記憶手段、10…制御手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線検針システムに関し、より詳細には、ガスメータや水道メータあるいは電力メータの計量値を無線通信にて遠隔検針する無線検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスメータや水道メータあるいは電力メータは、検針員が1ヶ月または2ヶ月毎に各住宅や施設に設置してあるメータの指針値を読み取って、携帯するハンディターミナル(HT)などの検針端末に入力する検針作業を行なっている。
この検針作業にあたり、メータ付近に物が置いてあったり、犬がいたり、メータが建物内にあったり、積雪によりメータが埋まってしまっていたりなどして、検針が難しい場合がある。更に水道メータであれば重い鉄製の蓋を開けなければメータの指針を確認できない箇所などがあり、危険な場合もある。
そこで、親機と無線にて通信可能な子機を各戸に設置し、ガスメータや水道メータあるいは電力メータに子機を接続し、メータから離れた場所で検針員が親機を操作し、無線通信にて子機を介して計量器の指針値を遠隔検針するための無線検針システムが開発されている。
【0003】
この種類の無線検針システムには、430MHz帯のテレメータテレコントロール用特定小電力無線局が良く使用されているが、送信可能な出力は10mW以下と比較的小さく、通信可能な距離は見通しの良い所で100m程度であるため、実際には建物などの障害物による減衰や反射、回析などによって10mから30m程度となってしまう。
また、建物などの障害物の状況は様々であることから、通信可能距離は現場毎に違ってくる。
そのため、それぞれのメータにおいて、どの程度の距離、どの辺りの場所で良好に通信できるかは、検針員の経験に頼っていることが多く、検針員が交代したときなどは検針可能な位置が分からずに、通信エラーを多発して時間を無駄にしたり、検針ができなかったりするという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1にあるように、親機にGPS(Global Positioning System)受信装置を搭載して自身の現在位置を特定し、予め記憶している子機の位置情報とから距離を計算し、所定の閾値距離以内に位置する子機、すなわち親機を中心とした検針可能距離の円内にある子機を特定して通信を行うものがある。
【特許文献1】特開2000−286989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、親機が通信可能な子機を自動的に検索するようにしているが、距離の閾値は一定であるので、現場ごとに通信可能距離が違うことには対応しきれず、上記課題を解決するには至っていない。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、親機に位置情報検出手段と記憶手段を持たせ、実際の子機との通信結果を親機の位置情報とともに記憶することにより、子機ごとに検針可能な位置を確実に把握でき、良好な検針作業が可能な無線検針システムを提供すること目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、計量器と、該計量器に接続された子機と、該子機との間で無線通信が可能でかつ移動可能な親機とから構成され、前記親機と子機との間で無線通信を行ない前記計量器の情報を親機側にて収集する無線検針システムであって、前記親機は位置情報検出手段と記憶手段と表示手段を有し、前記子機との通信時に自身の位置情報を通信結果とともに前期記憶手段に記憶することを特徴としたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報と地図情報が記憶されており、前記親機は、前記表示手段へ地図情報を表示するとともに、表示した地図上に、前記子機の位置と現在の親機の位置とを表示することを特徴としたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記親機は、前記子機と通信を行った時の地図上の親機位置に前記通信結果を表示することを特徴としたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、過去の通信結果を合わせて表示することを特徴としたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2から4までのいずれかの発明において、前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、無線通信における障害物を、他の表示と区別して表示することを特徴とする特徴としたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2から5までのいずれかの発明において、前記親機は、子機との通信時において、子機からの送信電波の電界強度を測定するとともに、予め設定された電界強度区分に応じて、前記表示手段に表示する通信結果の表示を変えることを特徴としたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項2から6までのいずれかの発明において、前記親機は、前記子機の位置情報あるいは子機周辺の通信障害物の情報に変更があった場合には、変更前後の通信結果の表示を区別して表示することを特徴とする請求項2から6までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報が記憶されており、前記親機は、前記位置情報検出手段にて検出した自身の位置情報と前記子機の位置情報とから親機と子機間の距離を算出し、該距離を前記表示手段に表示することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線検針システムでは、親機は位置情報検出手段と記憶手段を持ち、子機との通信時に親機自身の位置情報を検出し、通信結果と共に記憶手段に記憶しているため、これを読み出して、別途に求めた子機の位置情報とから、子機ごとに検針可能な親機の位置や子機との距離が分かり、地図等に順次マッピング蓄積していくことで、良好に検針が可能となる検針位置を決める補助となり検針がスムーズに行える。
【0016】
また、親機の記憶手段に予め子機の位置情報が記憶させておき、位置情報検出手段にて検出した自身の位置情報とから親機と子機間の距離を算出し、表示手段にて検針員へ知らせるようにしたので、通信前に通信可能距離であるか否かを確認したり、通信を行った結果から、この現場での通信距離を把握することができ、良好に検針が可能となる検針位置を決める補助となり検針がスムーズに行えるとともに、表示手段も大画面の表示パネル等は不要であり、通常に検針業務に使用する構成のまま対応でき、特別な投資がなくても実現できる。
【0017】
また、親機に地図情報を持たせておき、通信を行った際の親機の地図上の位置に、子機との通信結果を順次表示していくようにしたので、通信が可能な位置と不可能な位置を視覚的に知ることができ、検針位置を決める補助となり、より検針がスムーズに行える。
また、親機の地図表示においては、建物等、無線通信における障害物を強調表示するなど他のものと区別して表示するようにしたので、親機と子機との間に通信を遮る物があるかどうかを視覚的に確認することができ、検針位置を決める際の補助となり検針がスムーズに行える。
【0018】
また、親機は、子機との通信時において、子機からの送信電波の電界強度を測定し、地図上の親機の位置に通信結果を表示する際に、予め設定された電界強度の強さに応じて、表示マークを変えるなど表示を区別するようにしたので、十分な電界強度が得られる位置が地図上のどの辺りかを簡単に知ることが出来るようになるので、検針位置を決める際の補助となり検針がスムーズに行える。
【0019】
さらに、親機の地図の表示は、子機の位置情報及び子機周辺の建造物の情報に変更があった場合には、変更前の通信結果表示を薄くしたり、表示しなかったりして変更後の通信結果表示と区別するようにしているので、検針位置を決める際に間違った通信結果表示情報を利用することがなくなり、検針がスムーズに行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図である。
図1において、無線検針システムは、ガスメータや水道メータあるいは電力メータ等の計量器3と、計量器3に接続された子機2と、計量器3の情報を収集する親機1とで構成され、親機1は、子機2との間で無線通信を行ない、計量器3や子機2の情報を収集する。
図2は、本発明の他の実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図であり、図1の親機1を制御機器4、例えばハンディターミナルやPDAと、無線送受信部5とに分離した形態である。
図1と図2とでは、無線検針システムの構成が異なるが、制御機器4と無線送受信部5の組み合わせで、親機1と同じ動作とみなせるので、以降、親機1を代表として説明する。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係る無線検針システムの親機1の構成を示すブロック図である。
親機1は、各戸に設置された子機2から検針値を収集するために、検針員が携帯して移動するものであり、子機2と無線通信を行ったり受信電波の電界強度を検出したりする無線通信手段6と、検針業務のメニューや検針等の結果、地図情報などを表示する表示手段7と、GPS受信装置である位置情報検出手段8と、検針員が検針する地域の地図情報、検針対象となる各戸の子機2のID番号や位置情報、検針値などを記憶しておくための記憶手段9と、これらの通信制御や情報処理などを行うための制御手段10とから構成される。
【0022】
<第1の実施形態>
図1のシステム及び図3の親機1の構成による第1の実施形態の動作を以下に説明する。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、検針員は親機1を図示しないキー等により操作すると、親機1は子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりすることで、検針作業が行われる。
【0023】
ここで親機1の制御手段10は、検針員が親機1の図示しないキー操作により検針の要求を行なったことを検知したら、位置情報検出手段8にて現在の親機1の位置情報を取得するとともに、子機2へ無線通信手段6を介して検針要求通信を行う。そして、子機2より検針応答通信を受信したら、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと、先に取得した親機1の位置情報と、通信が可能であった旨の情報とを記憶手段9へ記憶する。
ここで、親機1と子機2との距離が離れていたり、通信経路上に障害物があったりして通信が不成立、例えば、所定の時間内に該当する子機2からの検針応答信号が受信できないような場合、すなわちエラーであった場合には、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の位置情報とを記憶手段9へ記憶する。
ここで、記憶手段9への記憶は、テーブルを作成したりデータベースを利用することができる。
【0024】
そして、子機2との通信ができなかった場合には、検針員は場所を変えて、再度、当該子機2に対して検針データの要求を行う。このように、再度、子機2と通信を行った場合には、前記記憶した情報は上書きや消去はせずに、順次蓄積してゆく。
ただし、記憶手段9の記憶容量には限界があるので、容量を越える場合には最古のデータを消去し、代わりに最新のデータを保存するなどして、常に最新データに更新してゆく。
また、容量が一杯になったら以降の記憶を行なわないようにしても良いし、これらの対応方法を設定で選択するようにしても良い。
【0025】
そして、検針員は担当分の検針が完了したら、検針センターやガス販売店などへ親機1を持ち帰り、親機1の記憶手段9に記憶された、それぞれの子機2に対する通信結果と、その時の親機1の位置情報を読み出し、子機2の位置がプロットされた地図にプロットする。
ある子機2に対し何回か検針した結果をプロットした地図の例を図4に示す。
「☆」は子機2の位置であり、「●」は正常に通信出来た時の親機1の位置を示し、「×」は通信出来なかった時の親機1の位置が示されている。
この地図情報から、検針可能なエリアと検針不可のエリアを知ることが出来る。
なお、第1の実施形態では、子機2との通信に成功した場合に、通信が可能であった旨の情報を記憶するようにしたが、検針データを取得できた場合は通信が可能であったことから、検針データの有無によって通信が可能であったかどうかの判断を行ってもよい。
【0026】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図1のシステム図及び、図3の親機1の構成を用いて説明する。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、検針員は親機1を図示しないキー等により操作すると、親機1は子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりすることで、検針作業が行われる。
【0027】
ここで、親機1の記憶手段9には、子機2それぞれの位置情報が予め記憶されている。
親機1の制御手段10は、検針員が親機1の図示しないキー操作により検針作業を選択したら、表示手段7にて検針開始要求の表示を行うとともに、位置情報検出手段8にて現在の親機1の位置情報を取得し、記憶手段9に記憶している該当子機2の位置情報とから、親機1と子機2との距離を算出して、表示手段7へ表示する。
【0028】
図5は、この時の親機1の表示例であり、「検針開始」ボタンと「キャンセル」ボタンとともに、メータ、正確には子機2までの距離(ここでは30m)を表示している。
「検針開始」ボタンが押されると、親機1の制御手段10は無線通信手段6を介して子機2に対して検針要求通信を行う。そして、子機2より検針応答通信を受信したら、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと、先に取得した親機1の位置情報と、通信が可能であった旨の情報とを記憶手段9へ記憶する。
また、通信エラーであった場合にも、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の位置情報とを記憶手段9へ記憶する。
【0029】
この実施形態では、子機2と無線通信を行う前に距離確認を行なうようにしているが、別の実施形態として、親機1の制御手段10は、検針員が図示しないキー操作により検針の要求を行なったことを検知したら、位置情報検出手段8にて現在の親機1の位置情報を取得してから、子機2と無線通信手段6を介して検針要求通信を行い計量器3や子機2の検針データ等を収集してもよい。
ここで、親機1の制御手段10は、先に取得した親機1の位置情報と、記憶手段9に記憶されている該当子機2の位置情報とから距離計算を行なって、図6に示すように検針結果とともに親機1と子機2間の距離を表示するなど、通信前でなく通信後に距離確認をするようにしても良い。
また、親機1の位置は、常時または定期的に、キー等の入力があった時などに位置情報を検出して、子機2との無線通信に関わらずに表示するようにも出来る。
【0030】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図1のシステム図及び、図3の親機1の構成を用いて説明する。
親機1の記憶手段8には、各子機2の位置情報と地図情報、現在までに蓄積した各子機2に対する通信結果情報が予め記憶されている。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
【0031】
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、まず検針員は親機1を図示しないキー等を操作して検針対象の子機2を選択すると、親機1は位置情報検出手段8により現在位置情報を取得し、表示手段7へ子機2周辺の地図を表示するとともに、過去の子機との通信結果と、現在の親機1の位置をそれぞれ図7のようにマークにて表示する。
この例では、親機1のキー操作で検針対象の子機2を選択したときに子機2の周辺地図を表示するようにしたが、親機1を中心とした地図でも良いし、常時または間欠的に、親機1の位置情報を検出しながら表示手段7に表示した地図上に現在の親機1の位置をマーク表示するようにしたり、更には、目的の子機2までの案内機能を持たせたりしても良い。
【0032】
検針員は、地図上に表示された過去の通信結果を確認して、通信がより多く成功している場所へ移動する。親機1は常時又は間欠的に現在位置情報を検出し地図上のマークを更新しているので、検針員の移動に伴い地図上の現在位置を示すマークも移動するようになっている。
また、親機1の消費電力を抑えるために、親機に例えば「更新」キーなどを設けておき、キーが押されたときに、現在位置情報の検出と地図上のマーク位置の更新を行うようにしても良い。
【0033】
親機1の制御手段10は、親機1の図示しない検針開始等のキー操作を検知したら、無線通信手段6を介して子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりする。
【0034】
親機1の制御手段10は、子機2より検針応答通信を受信したら、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと親機1の現在位置情報とを記憶手段9へ記憶し、図8に示す通り、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に、今回の通信結果、通信可能であったので「●」、をプロットする。
【0035】
ここで、親機1と子機2との距離が離れていたり、通信経路上に障害物があったりして通信が不成立、すなわちエラーであった場合には、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の現在位置情報とを記憶手段9へ記憶し、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に今回の通信結果、通信エラーであったので「×」、をプロットする。
再度、子機2と通信を行った場合には、前記記憶した情報は上書きや消去はせずに、順次蓄積してゆく。
ただし、記憶手段9の記憶容量には限界があるので、容量を越える場合には最古のデータを消去し、代わりに最新のデータを保存するなどして、常に最新データに更新してゆく。
また、容量が一杯になったら以降の記憶を行なわないようにしても良いし、これら対応方法を設定で選択するようにしても良い。
【0036】
図9は、前記実施形態にて、図7の地図表示において無線通信の障害となる建物等の障害物を強調表示させた地図表示例である。
これにより親機1と子機2との通信経路上に障害物があるかどうか、またどの位置まで親機1が移動すれば障害物を避けられるかが視覚的に分かりやすくなる。また、通信がエラーとなった場合に、障害物の影響かどうかが地図表示を見て確認したり判断することが可能となる。
【0037】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、図1のシステム図及び、図3の親機1の構成を用いて説明する。
親機1の記憶手段9には、各子機2の位置情報と地図情報、現在までに蓄積した各子機2に対する通信結果情報と、電界強度判定区分が予め記憶されている。
ここでは一例として、電界強度区分を2区分とし、閾値として25dBuV/m以上を電界強度区分「強」、閾値未満を電界強度区分「弱」とする。
図1において、子機2には識別のためにそれぞれ固有のID番号が付与されており親機1からの呼出しに備えている。
【0038】
計量器3の指針値を親機1で収集する場合、まず検針員は親機1を図示しないキー等を操作して検針対象の子機2を選択すると、親機1は位置情報検出手段8により現在位置情報を取得し、図10のように、表示手段7に表示した子機2周辺の地図に、過去の通信結果として、通信可能であり電界強度が十分に強かった親機1の検針位置に「●」を、同じく検針可能であるが電界強度が弱った位置を「○」、通信が出来なかった位置を「×」のマーク表示を行い、更に、現在の親機1の位置を「△」、子機2の位置を「☆」にて表示するようにしている。
検針員は、この表示を確認することで、十分な電界強度が得られ安定した無線通信が可能な場所はどの辺りであるかを見極めやすく、安定した無線通信による検針作業を行うことが出来る。
【0039】
親機1の制御手段10は、親機1の図示しない検針開始等のキー操作を検知したら、無線通信手段6を介して子機2のID番号と検針要求データを送信する。子機2は、送られてくるID番号を受信して自機宛であると判断したら、要求データの内容に従い計量器3から指針値等のデータを収集して親機1へ送信したり、自ら持つデータを親機1へ送信したりする。
親機1の制御手段10は、無線通信手段6にて子機2からの検針応答通信を受信したら、受信電波の電界強度を測定するとともに記憶手段9に記憶している電界強度判定区分と比較し、区分、ここでは「強」か「弱」を決定する。例として今回は「弱」区分であったとする。
制御手段10は、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、検針データと、通信可否と、電界強度測定値と区分、そして親機1の現在位置情報を記憶手段9へ記憶し、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に今回の通信結果、通信可能で電界強度区分は「弱」であったので「○」、をプロットする。
【0040】
また、ここで、親機1と子機2との距離が離れていたり、通信経路上に障害物があったりして通信が不成立、すなわちエラーであった場合には、子機2の情報として、子機2のID番号とともに、通信エラー情報と親機1の現在位置情報とを記憶手段9へ記憶し、表示手段7に表示された地図上の親機1の位置に今回の通信結果、通信エラーであったので「×」、をプロットする。
【0041】
<第5の実施形態>
更に、子機2の周囲環境が変化すること、例えば増改築などが日常的に考えられる。
一例として、子機2の周囲に新たに障害物、ここでは敷地内の庭に倉庫が建ったとした場合、親機1の記憶手段8に記憶されている地図情報に倉庫を追加する更新を行うとともに、環境が変化した記録として、例えば変更フラグや変更フラグと変更日を記憶させておく。
ここで、敷地内に倉庫が建ったことは、新旧の地図情報をパターン認識することで把握することができる。
そして、親機1の制御手段10は、記憶手段8の変更フラグにより、環境が変わったことを認識し、地図に過去の通信結果マークを表示させるときに、図11に示す通り、変更以前の結果は薄く表示するように制御する。
また、薄くする代わりに、違うマークとしても良いし、表示しないようにしても良い。
これにより、薄く表示されたマークは倉庫が建つ前のデータであると認識することができ、検針員はこれらを検針位置を決める際の参考値として考えることが可能となる。
さらに、子機2の位置情報が変更された場合にも、新たな通信の障害物が発生した場合と同ように、変更以前の結果を薄く表示するように制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る無線検針システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線検針システムの親機1の構成を示すブロック図である。
【図4】ある子機に対し何回か検針した結果をプロットした地図の表示例である。
【図5】親機の表示例を示す図である。
【図6】親機の他の表示例を示す図である。
【図7】ある子機について、過去の通信結果と、現在の親機の位置をプロットした地図の表示例である。
【図8】図7の地図の表示例において、今回の通信結果の例をプロットした表示例である。
【図9】図7の地図の表示例において、無線通信の障害となる建物等の障害物を強調表示させた表示例である。
【図10】ある子機について、過去の通信結果として、電界強度区分が分かるようにした地図の表示例である。
【図11】ある子機について、過去の検索結果を薄く表示した地図の表示例である。
【符号の説明】
【0043】
1…親機、2…子機、3…計量器、4…制御機器、5…無線送受信部、6…無線通信手段、7…表示手段、8…位置情報検出手段、9…記憶手段、10…制御手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量器と、該計量器に接続された子機と、該子機との間で無線通信が可能でかつ移動可能な親機とから構成され、前記親機と子機との間で無線通信を行ない前記計量器の情報を親機側にて収集する無線検針システムであって、前記親機は位置情報検出手段と記憶手段と表示手段を有し、前記子機との通信時に自身の位置情報を通信結果とともに前期記憶手段に記憶することを特徴とする無線検針システム。
【請求項2】
前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報と地図情報が記憶されており、前記親機は、前記表示手段へ地図情報を表示するとともに、表示した地図上に、前記子機の位置と現在の親機の位置とを表示することを特徴とする請求項1に記載の無線検針システム。
【請求項3】
前記親機は、前記子機と通信を行った時の地図上の親機位置に前記通信結果を表示することを特徴とする請求項2に記載の無線検針システム。
【請求項4】
前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、過去の通信結果を合わせて表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の無線検針システム。
【請求項5】
前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、無線通信における障害物を、他の表示と区別して表示することを特徴とする請求項2から4までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【請求項6】
前記親機は、子機との通信時において、子機からの送信電波の電界強度を測定するとともに、予め設定された電界強度区分に応じて、前記表示手段に表示する通信結果の表示を変えることを特徴とする請求項2から5までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【請求項7】
前記親機は、前記子機の位置情報あるいは子機周辺の通信障害物の情報に変更があった場合には、変更前後の通信結果の表示を区別して表示することを特徴とする請求項2から6までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【請求項8】
前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報が記憶されており、前記親機は、前記位置情報検出手段にて検出した自身の位置情報と前記子機の位置情報とから親機と子機間の距離を算出し、該距離を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の無線検針システム。
【請求項1】
計量器と、該計量器に接続された子機と、該子機との間で無線通信が可能でかつ移動可能な親機とから構成され、前記親機と子機との間で無線通信を行ない前記計量器の情報を親機側にて収集する無線検針システムであって、前記親機は位置情報検出手段と記憶手段と表示手段を有し、前記子機との通信時に自身の位置情報を通信結果とともに前期記憶手段に記憶することを特徴とする無線検針システム。
【請求項2】
前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報と地図情報が記憶されており、前記親機は、前記表示手段へ地図情報を表示するとともに、表示した地図上に、前記子機の位置と現在の親機の位置とを表示することを特徴とする請求項1に記載の無線検針システム。
【請求項3】
前記親機は、前記子機と通信を行った時の地図上の親機位置に前記通信結果を表示することを特徴とする請求項2に記載の無線検針システム。
【請求項4】
前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、過去の通信結果を合わせて表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の無線検針システム。
【請求項5】
前記親機は、前記表示手段に表示した地図上に、無線通信における障害物を、他の表示と区別して表示することを特徴とする請求項2から4までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【請求項6】
前記親機は、子機との通信時において、子機からの送信電波の電界強度を測定するとともに、予め設定された電界強度区分に応じて、前記表示手段に表示する通信結果の表示を変えることを特徴とする請求項2から5までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【請求項7】
前記親機は、前記子機の位置情報あるいは子機周辺の通信障害物の情報に変更があった場合には、変更前後の通信結果の表示を区別して表示することを特徴とする請求項2から6までのいずれか一項に記載の無線検針システム。
【請求項8】
前記親機の記憶手段には予め子機の位置情報が記憶されており、前記親機は、前記位置情報検出手段にて検出した自身の位置情報と前記子機の位置情報とから親機と子機間の距離を算出し、該距離を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の無線検針システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−252002(P2009−252002A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100153(P2008−100153)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
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