説明

無線通信システム、リピータ装置及びその制御方法

【課題】コストの掛かる基地局の設置数を減らす。さらに、設置基地局数の減少に伴い、各基地局の稼働率を稼ぐ。
【解決手段】複数の基地局と、リピータ装置と、を備える無線通信システムにおいて、前記リピータ装置は、前記複数の基地局の少なくとも一つから受信した無線信号を増幅して送信し、前記各基地局のトラフィック量に基づいて、前記無線信号を送信する範囲を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、リピータ装置及びリピータ制御装置を構成要素として含む無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最初に、無線移動通信システムの背景について説明する。
【0003】
無線通信システムにおいて、バックボーンネットワークに接続されている基地局装置と、無線I/Fのみを有する端末装置とが無線でデータ信号(音声信号も含む)を伝送する。
【0004】
この無線部分のインターフェース規格として、例えばUMB(Ultra Mobile Broadband)が挙げられる。UMBはいわゆる第3.9世代の移動通信方式に属する。規格文書内では、データ信号、制御信号などの送信方法の約束事が基地局、端末毎に規定されている。
【0005】
UMBは、データ信号及び制御信号を伝送するために、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式、及びCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用しているが、CDMA信号はDFT(Discrete Fourier Transform)を実施後にOFDMAのリソースブロックにマッピングされるため、OFDMAベースのシステムと考えて差し支えない。UMBと同世代の通信方式であるLTE(Long Term Evolution)でもOFDMA方式を採用しており、OFDMA方式は第3.9世代以降の主流となっている。
【0006】
2008年現在、第4世代と位置づけられるIMT−Advancedに関する規格の標準化活動が本格化し始めた。第3.9世代を第4世代へのマイグレーション世代と捉えると、通信方式はOFDMAになる可能性が高い。
【0007】
標準化活動に先立ち、2007年にWRC07(World Radiocommunication Conference 2007)で第4世代移動通信向けの周波数帯域割り当てが決定した。目玉は、上り下り双方で100MHzの帯域幅を確保できる3.5GHz帯である。
【0008】
第3.9世代も含めた従来の移動通信方式においては、800MHz帯と2GHz帯の利用が主流であった。これに対し、3.5GHz帯は高い周波数帯であり、電波の伝搬距離が短くなると懸念される。つまり、従来通りの移動通信システムのカバーエリアを確保するためには、基地局を従来の数倍設置する必要がある。
【0009】
次に、リピータ装置の背景について説明する。
【0010】
基地局装置を敷き詰めたセルラシステムにおいて、しばしば電波の到達が困難なエリア(不感地帯)が生じる。地下街、屋内、ビル街において不感地帯は発生しやすい。この問題を解消するために、基地局との電波を中継するリピータ装置が設置される。
【0011】
リピータ装置の実現方法として、原理的には、ディジタル信号処理を実施することによって不要な干渉を取り除く方法、又は、一旦パケットをデコードして送信信号を再構成して送信することによってリピータ装置の性能を高める方法は可能である。しかし、信号のバッファリングや繰り返し処理によって処理時間が長くなるため、基地局と端末が直接通信する信号に対し、数フレームから数十フレーム遅延する。この遅延によって、例えばHybrid ARQの再送要求が間に合わなくなり、移動通信の無線インターフェース規格(UMBなど)の要求を達成できなくなる。よって、リピータ装置としては、RF信号を増幅する方式が一般的である。
【0012】
特許文献1では、指向性アンテナを具備したリピータ装置が開示されている。リピータ装置に対して、中継増幅すべき所望信号と、増幅すべきでない干渉信号とが到来するが、指向性アンテナによって不要な干渉を抑圧して中継増幅することができる。
【0013】
非特許文献1には、セル間の干渉を低減する技術が記載されている。
【0014】
非特許文献2には、セクタ間の干渉を制御する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−252938号公報
【非特許文献1】3GPP2, C30-20060327-023R2, Naga Bhushan, "QUALCOMM Proposal for 3GPP2 Air Interface Evolution Phase 2, Rev. 2", pp.125, 2006/3
【非特許文献2】3GPP2, C.S0084-001-0, Version 2.0, "Physical Layer for Ultra Mobile Broadband (UMB) Air Interface Specification", pp.4-41, 2007/8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の最大の目的は、コストの掛かる基地局の設置数を減らすことである。
【0016】
基地局の設置数を減らすことで生じる問題は、(1)カバーエリアの減少、(2)端末当たりのスループット低下、の2点である。(1)の問題は、リピータ装置を設置することで解消できる。(2)の問題は、さらに2つの問題、すなわち、(A)基地局数の絶対数不足によるスループット低下、(B)基地局の端末接続数増加に伴うスループット低下、に分類できる。
【0017】
本発明において(A)の問題解消は範疇外である。(A)の問題を解消するには基地局を増設すればよい。(B)の問題は、工夫によって解消することができ、本発明が解決しようとする課題である。
【0018】
(B)の問題をもう少し詳しく説明する。端末当たりのスループットは、端末が基地局の全通信リソースを占有した場合のスループットを占有率で按分した結果である。占有率は基地局に接続する端末数に反比例する。つまり、基地局に接続する端末数が増加するほど端末当たりのスループットは低下する。
【0019】
基地局に接続する端末数は基地局間で不均一なので、基地局間で端末数を均一にすれば、元々接続端末数が多かった基地局に接続していた端末のスループットが向上する。その結果、少数の端末はスループットが低下するが、多数の端末はスループットが改善する。
【0020】
また、基地局に接続する端末数は時間と共に変動するため、接続環境に適応して均一化するよう制御する必要がある。
【0021】
まとめると、本発明で解決しようとする課題は以下の3点である。
【0022】
・設置基地局数の減少をカバーするためのリピータ装置活用
・基地局間で接続端末数を均一化すること
・時間変化する接続端末数に適応した均一化の制御を実施すること
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願で開示する代表的な発明は、複数の基地局と、リピータ装置と、を備える無線通信システムにおいて、前記リピータ装置は、前記複数の基地局の少なくとも一つから受信した無線信号を増幅して送信し、前記各基地局のトラフィック量に基づいて、前記無線信号を送信する範囲を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態の無線通信システム及びリピータ装置によれば、基地局間の接続端末数を動的に均一化することができる。その結果、少数の端末のスループット低下は招くものの、多数の端末のスループットを改善できる。また、基地局間で負荷が均一化されるため、無稼動又はそれに近い遊休基地局を減らすことができ、基地局設置費用に対する効果を高めることができる。さらに、リピータ装置の導入によって設置基地局数を減らすことができ、システム構築に要する費用を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
無線通信システムでリピータを用いることで、基地局のカバーエリア増大及び基地局間の負荷分散を実現する方法を提供する。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの一例を示す説明図である。
【0027】
基地局(BS)101はセル102のエリア(図1の例では、太線で囲まれた領域)をカバーし、セル102内は複数のセクタ103(図1の例では、基地局101の周囲の三つの六角形の領域)に分割されている。基地局101は基地局制御装置(BSC)104及びPDSN(Packet Data Serving Node)105を経由して他の基地局又は他の通信システムとデータをやり取りする。基地局101は、IPネットワーク106を介して他の通信システムとデータを交換する。
【0028】
図2Aは、従来の無線通信システムの第1の問題点を示す説明図である。
【0029】
端末(MS)107は、基地局101−2(所望基地局)とデータ通信を実施している。端末107は、所望基地局がカバーするセクタ103−2の端に位置しているため、下り通信において他の基地局101−1及び101−3からの干渉を、所望基地局からの無線信号とほぼ等電力で受信することになる。その結果、所望電力対干渉電力比(DUR:Desired signal to Undesired signal power ratio)が低下し、伝搬減衰による劣化のほかに、干渉によって通信品質が劣化するという問題が生じる。
【0030】
無線通信システムでは、端末間の通信容量の平等性を考慮する必要があるが、DURの低い端末も含めて平等性を確保するために、システム全体の通信容量を犠牲にする必要がある。これは、システムの効率を考えると好ましくない。
【0031】
なお、この問題は基地局近傍に位置する端末においては問題とならない。あくまでセクタの境界に位置する端末に関する問題である。この問題を解消するためには、セクタ間又は基地局間の干渉を低減する必要がある。
【0032】
図2Bは、従来の無線通信システムの第2の問題点を示す説明図である。
【0033】
端末107−1は、セクタ103−2をSS(Serving Sector)として基地局101−2と通信する。同様に、3台の端末107−2、107−3及び107−4はセクタ103−1をSSとして基地局101−1と通信し、4台の端末107−5、107−6、107−7及び107−8はセクタ103−3をSSとして基地局101−3と通信している。つまり、図2Bは、基地局毎に通信する端末数が異なる例を示している。
【0034】
端末のスループットは、セクタに所属する端末数の逆数と比例する。つまり、端末数が増加するほど端末当たりのスループットは低下する。その結果、接続するセクタによって端末が受けられるサービス(保証帯域)に分散が生じる問題がある。
【0035】
また、各端末の保証帯域を同一とすると、セクタ間で稼働率に差が生じる。つまり、保証帯域一定の条件下では、セクタに所属する端末数が少ないほどセクタに空き通信リソースが多数生じることになる。空き通信リソースが多いほど稼働率が低下するため、基地局設置コストに対する稼働率(パフォーマンス)が低下する問題がある。
【0036】
図2A及び図2Bで挙げた問題を解消するために、本発明は、セル間干渉の問題を解消し、かつコストパフォーマンスが高い無線通信システムを提供する。
【0037】
図3Aは、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの説明図である。
【0038】
リピータ108は、セクタ103−1、103−2及び103−3の境界に設置される。リピータ108は、基地局101−2からの送信信号を指向性アンテナで受信し、基地局101−1及び101−3からの信号をその指向性アンテナでゲインを下げて受信(すなわち遮断)し、基地局101−2からの信号のみを増幅して、リピータ108が形成するエリア109に放射する。
【0039】
その結果、リピータのカバーエリア109でセクタ103−2と同一の信号が放射されている状態となる。つまり、セクタ103−2の面積を広げることができる。厳密には、リピータ108を経由することで、伝搬路長が延長し、さらに、リピータ内部での処理による遅延が発生する。このため、基地局101−2から送信されて端末に直接届く信号に対して、リピータ108を経由する信号の端末での受信時刻は遅延する。この遅延時間が、ある条件の下で問題にならないことは、図5の説明で後述する。
【0040】
また、リピータ108がセクタ103−2の信号を増幅した結果、元々セクタ境界であった位置でのセル間干渉問題は解消するが、セクタ103−2と他セクタ103−1及び103−3との境界が移動しただけで、本質的に図2Aで掲げたセクタ間干渉の問題が解消されていない、と捉えることができる。ただし、リピータ108がない場合と比較してセクタ境界におけるSNR(Signal to Noise Ratio)が向上する。言い換えると、より伝搬減衰が少ない位置がセクタ境界となるため、セル間干渉低減技術がより効果を発揮することができる。従来のセル間干渉低減技術としては、FFR(Fractional Frequency Reuse、背景技術として引用した非特許文献1参照)がよく知られている。
【0041】
図3Bは、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの負荷分散改善の例を示す説明図である。
【0042】
図3Aのようにリピータ108を用いてセクタ103−2のカバーエリア増大を実施することで、図2Bの各端末107−1、107−2、107−3、107−4、107−5、107−6、107−7及び107−8は、図3Bに示すように接続先セクタ(SS)を変更する。
【0043】
具体的には、3台の端末107−1、107−4及び107−5がセクタ103−2を経由して基地局101−2と通信し、2台の端末107−2及び107−3がセクタ103−1を経由して基地局101−1と通信し、3台の端末107−6、107−7及び107,8がセクタ103−3を経由して基地局101−3と通信する。
その結果、基地局101−1、101−2及び101−3に接続する端末数は、図2Bの例で1:3:4であったのに対し、図3Bの例では3:2:3となり、基地局間の負荷分散が為されていることがわかる。
【0044】
この負荷分散を実現するためには、比較的トラフィックが少ないセクタのカバーエリアを他のセクタと比較して相対的に増大する必要がある。
【0045】
図4Aは、本発明の第1の実施形態によるリピータの対基地局指向性ビームの出力例を示す説明図である。
【0046】
リピータ108は、指向性ビーム110を用いて基地局からの下り信号を受信する。この指向性ビーム110によって、基地局101−1及び101−3からの下り信号を遮断し、基地局101−2の信号を相対的に強調する。その結果、リピータ108のカバーエリア109内に不要な干渉を増幅することなく、所望の下り信号のみを増幅することができる。
【0047】
さらに、リピータ108は、上記の指向性ビーム110を用いて端末からの上り信号を基地局101−2へのみ送信する。その結果、基地局101−1及び101−3に対する余計な干渉を及ぼすことはない。
【0048】
図4Bは、本発明の第1の実施形態によるリピータの対端末指向性ビームの出力例を示す説明図である。
【0049】
リピータ108は、指向性ビーム111を用いて基地局からの下り信号を送信する。この指向性ビーム111によって、リピータ108のカバーエリア109全体に、増幅された下り信号が送信される。ここで送信される下り信号は、図4Aで示されているように対基地局の指向性ビーム110に依存する。すなわち、指向性ビーム110を用いて受信された信号が、リピータ108によって増幅され、指向性ビーム111を用いて送信される
一方、上り通信において、リピータ108は、指向性ビーム111でリピータ108から見た全方位の上り信号を受信し、受信した信号を増幅し、増幅した信号を例えば図4Aの指向性ビーム110で基地局101−2に対し送信する。
【0050】
この方法では、上り通信において、例えば基地局101−1宛に送信した上り信号がリピータ108で増幅されて基地局101−2で受信される現象が発生し得る。つまり、上り通信における基地局間干渉又はセクタ間干渉発生が懸念される。この問題は、セクタ間干渉を制御するための信号(F−IOTCH、Forward Interference Over Thermal Channel、背景技術として引用した非特許文献2参照)を用いることで、リピータ108を介さない通常の基地局・セクタ間干渉と同様に解消される。
【0051】
以上、図4A及び図4Bに示す方法によって、上り通信及び下り通信において、特定基地局及びセクタに関する信号の選択増幅が可能となる。
【0052】
図5Aは、本発明の第1の実施形態における無線通信路の一例を示す説明図である。
【0053】
基地局101が送信した信号は、直接端末107によって受信される第1の信号と、リピータ108を経由して端末107によって受信される第2の信号と、を含む。この例は下り通信の例だが、上り通信では、図5Aの基地局101と端末107とが入れ替わる点が相違するのみで、上記と同じ現象が発生する。
【0054】
第1及び第2の信号の受信側(下り通信では端末107、上り通信では基地局101)への到達時刻は、無線信号の伝搬路長及びリピータ108内の処理遅延によって差が生じる。一般的に第1の信号が先に受信される。
【0055】
図5Bは、本発明の第1の実施形態における2種類の受信信号の受信タイミング差について説明する図である。
【0056】
上記第1の信号が上段のタイミングで受信され、上記第2の信号が下段のタイミングで受信される場合を例として説明する。OFDM(Orthgonal Frequency Division Multiplexing)方式では、各サブキャリアはOFDMシンボル長が当該サブキャリアの周期の整数倍となるよう多重され、サブキャリア間の直交性を確保している。そのため、各々のOFDMシンボルの後半一部をOFDMシンボルの先頭に付与することで、上記周期性を損なうことなく、遅延時間差により生じるOFDMシンボル間干渉を防いでいる。ここで付与される折り返し信号はCP(Cyclic Prefix)と呼ばれている。
【0057】
図5Bの例の通り、上記第1の信号と第2の信号との受信タイミング差がCPの長さ以内であれば、上記第1の信号と第2の信号は互いに干渉にならず、むしろ信号の受信電力を加算することができる。別の角度で考えると、リピータ108における内部遅延による第2の信号の受信タイミングと第1の信号の受信タイミングとの差がCPを超えないよう、リピータ108内での処理をシンプルにする必要がある。
【0058】
なお、CDMA(Code Division Multiple Access)方式では、上記第1の信号と第2の信号に対し、それぞれの受信タイミングに同期した受信機を用意し、信号間の遅延時間を揃えて合成することで2つの信号を合成受信することができる。この方法はRAKE受信と呼ばれる。
【0059】
図6A及び図6Bは、本発明の第1の実施形態の効果を示す説明図である。具体的には、図6A及び図6Bは、リピータ導入によって基地局のカバーエリアが増大することを示したシミュレーション結果である。
【0060】
図6Aは、図示の通りに基地局101−1、101−2及び101−3が、互いの距離がおおむね等しくなるように配置され、基地局101−1を所望基地局としたときのDURを図示したものである。薄い色がDUR 0dB以上で、濃い色がDUR 0dB未満であることを示す。縦軸と横軸は端末位置及び基地局位置を表す平面座標(メートル単位)を示す。
【0061】
図6Bの例では、リピータ108を図示の通りに設置し、リピータ108の対基地局指向性利得は、基地局101−1に対して0dB、基地局101−2及び101−3に対して−20dBとした。リピータ108の対端末指向性利得は全方位0dBとした。また、リピータ108による電力増幅の上限は基地局と同一とした。その他、図6Bの形式は図6Aと同様である。
【0062】
図6Aと図6Bとの比較によって、リピータ108の導入によって所望基地局101−1のカバーエリアが増大していることが分かる。
【0063】
図7は、本発明の第1の実施形態によるカバーエリア増大の定量評価結果の例を示す説明図である。
【0064】
図7では、(1)リピータがない場合、(2)リピータを設置し、電力増幅の上限を基地局と同一とした場合、(3)リピータを設置し、電力増幅の上限を基地局の1/10とした場合、の3通りについてDURの累積密度関数(CDF:Cummulative Density Function)を示している。DUR=0[dB]を達成できる場所率(図6A及び図6Bの1000[m]×2000[m]のエリアに対する)を比較すると、(1)は約25%、(2)は約45%、(3)は約35%であることがグラフから読み取れる。つまり、リピータ108の設置によって所望基地局のカバーエリアを拡大することができる。
【0065】
以上で、無線通信システムの課題および本発明による課題解消効果を確認した。以下では本発明の実現方法について説明する。
【0066】
図8は、本発明の第1の実施形態のネットワーク構成を示す説明図である。
【0067】
基地局101−1、101−2及び101−3は、基地局制御装置104及びPDSN(Packet Data Serving Node)105を経由して他の基地局又は他の通信システムとデータをやり取りする。基地局101−1、101−2及び101−3は、IPネットワーク106を介して他の通信システムとデータを交換する。トラフィックデータを通信するルートは、図8の細線によって示される。
【0068】
リピータ制御装置(RCF)201は、基地局101−1、101−2及び101−3からリピータ108を制御するのに必要な情報を収集し、リピータ108との間でリピータを制御するための情報を交換する。リピータ108の制御に使用するルートは、図8の太線によって示される。
【0069】
なお、リピータ制御装置201は、基地局101−1、101−2、101−3及びリピータ108と有線又は無線の通信路が確保できる場所であればどこに配置されてもよい。例えば、リピータ制御装置201が基地局101−1、101−2、101−3又は基地局制御装置104に併設されてもよいし、リピータ108に併設されてもよいし、あるいはリピータ制御装置201が単独で別の場所に設定されてもよい。いずれの場合でも本発明の効果は変わらない。
【0070】
図9は、本発明の第1の実施形態による制御シーケンスを示す説明図である。
【0071】
まずリピータ制御装置201は、リピータ108に対し、リピータ状態の報告を要求する(ステップ901)。この要求を受信したリピータ108は、リピータ状態情報をリピータ制御装置201に送信する(ステップ902)。具体的には、リピータ状態情報は、リピータ固有の識別子(ID)、リピータのセクタ数、及び各リピータセクタで最も強く受信される基地局セクタのIDを含む。送信されるリピータ状態情報のフォーマット例を図10Aに示す。報告された結果は図10Bに示す形式で記録される(ステップ905)。
【0072】
なお、リピータセクタとは、リピータ108からの指向性ビーム110及び111によって実現されるセクタである。以下の説明において、リピータセクタをリピータセクタ110又はリピータセクタ111とも記載する。
【0073】
リピータセクタは、リピータ108と基地局101との間の通信に使用される基地局側セクタ、及び、リピータ108と端末107との間の通信に使用される端末側セクタを含む。図4A及び図4Bの例では、指向性ビーム110によって基地局側セクタが、指向性ビーム111によって端末側セクタが実現される。
【0074】
一方、基地局101が有するセクタは、基地局セクタ103(例えば、図4Aの基地局セクタ103−1)と記載される。
【0075】
また、リピータ制御装置201は、基地局101にトラフィック情報の送信を要求する(ステップ903)。この要求を受信した基地局101は、トラフィック情報をリピータ制御装置201に送信する(ステップ904)。具体的には、トラフィック情報は、セクタ固有のIDと、セクタ総スループット又はセクタの稼働率(すなわちリソースの使用率)を含む。送信されるトラフィック情報のフォーマット例を図11A及び図11Bに示す。
【0076】
基地局101は、複数のセクタを管理している場合、セクタ毎のトラフィック情報を送信する。報告するデータサイズ確定のため、セクタIDのフィールドの前にセクタ数が挿入されてもよい。セクタIDのフィールド前にセクタ数を挿入した場合のトラフィック情報のフォーマット例を図27に示す。リピータ制御装置201は、図11A又は図11Bに示すフォーマットによって報告されたトラフィック情報を、図12A又は図12Bの形式で記録する(ステップ905)。
【0077】
リピータ制御装置201は、以上のステップで記録した各基地局のトラフィック情報及び各リピータの状態情報に基づいて、各リピータに送信する制御情報を生成し(ステップ906)、各リピータに制御情報を送信する(ステップ907)。
【0078】
基地局101は、リピータ制御装置201にトラフィック情報を送信した後、データ通信を実行するバックグラウンドでトラフィック情報を集計する(ステップ908)。具体的には、セクタスループット又はリソース利用率を更新するための情報が収集される。
【0079】
リピータ108は、リピータ制御装置201に状態情報を送信した後、状態を更新する処理を実行する(ステップ909)。具体的には、リピータ108は、各リピータセクタで最も強く受信される基地局セクタのIDを更新する。
【0080】
リピータ108は、ステップ907において送信された制御情報を受信すると、その制御情報に従って送受信を制御する(ステップ910)。この制御の詳細については後述する(図15のステップ407等参照)。
【0081】
次に、リピータ108は、制御が完了したことを示す通知をリピータ制御装置201に送信する(ステップ911)。
【0082】
リピータ制御装置201は、ステップ911において送信された通知を受信した後、所定のタイミングで(例えば、後述する図13のステップ301の待機時間経過後)、再びトラフィック情報要求を送信する(ステップ912)。このステップは、既に説明したステップ903と同様である。その後、ステップ904〜ステップ911と同様の処理が繰り返される。
【0083】
図10Aは、本発明の第1の実施形態において送信されるリピータ状態情報のフォーマットの例を示す説明図である。
【0084】
図10Aは、リピータID「1000」によって識別されるリピータ108が送信するリピータ状態情報を例として示す。このリピータ情報は、リピータID「1000」によって識別されるリピータ108が有するリピータセクタの数「3」、各リピータセクタで最も強く受信される基地局セクタのID「500」、「384」及び「64」を含む。
【0085】
図27は、本発明の第1の実施形態において送信されるリピータ状態情報のフォーマットの別の例を示す説明図である。
【0086】
具体的には、図27は、セクタIDのフィールドの前にセクタ数が挿入されたフォーマットの例を示す。図10Aの例も同様だが、このようにセクタ数を挿入することで、当該情報の受信側であるリピータ制御装置はセクタ数以下に続くデータ量を計算できるため、複数種類のセクタ数を有する基地局が混在したシステムでも本発明を実現することができる。
【0087】
図10Bは、本発明の第1の実施形態において記録されるリピータ状態情報のフォーマットの例を示す説明図である。
【0088】
図10Bに示すように、リピータ状態情報を送信したリピータ108を識別するリピータIDと、そのリピータ状態情報に含まれる基地局セクタのIDとが対応付けて記録される。
【0089】
例えば、リピータ制御装置201が図10Aに示すリピータ状態情報を受信した場合、そのリピータ状態情報に含まれるリピータID「1000」及び各リピータセクタで最も強く受信される基地局セクタのID「500」、「384」及び「64」が対応付けて記録される。
【0090】
同様に、リピータ制御装置201が他のリピータ(例えばリピータID「1001」によって識別されるリピータ、及び、リピータID「1002」によって識別されるリピータ)からリピータ状態情報を受信した場合、受信したリピータ状態情報の内容が記録される。
【0091】
図11Aは、本発明の第1の実施形態において送信されるトラフィック情報のフォーマットの第1の例を示す説明図である。
【0092】
具体的には、図11Aは、トラフィック情報としてスループットが送信される場合の一例を示す。図11Aの例は、基地局セクタID「500」によって識別される基地局セクタにおいて計測された下りスループット及び上りスループットが、それぞれ、「20」(Mbps)及び「15」(Mbps)である場合を示す。
【0093】
図11Bは、本発明の第1の実施形態において送信されるトラフィック情報のフォーマットの第2の例を示す説明図である。
【0094】
具体的には、図11Bは、トラフィック情報としてリソース利用率が送信される場合の一例を示す。図11Bの例は、基地局セクタID「500」によって識別される基地局セクタにおいて計測された下りリソース利用率及び上りリソース利用率が、それぞれ、「30」(%)及び「20」(%)である場合を示す。
【0095】
図12Aは、本発明の第1の実施形態において記録されるトラフィック情報のフォーマットの第1の例を示す説明図である。
【0096】
図12Aに示すように、トラフィック情報を送信した基地局101の基地局セクタを識別する基地局セクタIDと、その基地局セクタにおいて計測されたトラフィック情報とが対応付けて記録される。
【0097】
図12Aは、トラフィック情報としてスループットが送信された場合の例を示す。例えば、リピータ制御装置201が図11Aに示すトラフィック情報を受信した場合、受信した情報に含まれる基地局セクタID「500」、及び、そのIDによって識別される基地局セクタにおいて計測された下りスループット「20」(Mbps)及び上りスループット「15」(Mbps)が対応付けて記録される。
【0098】
同様に、リピータ制御装置201が他の基地局セクタ(例えば、基地局セクタID「652」によって識別される基地局セクタ、及び、基地局セクタID「896」によって識別される基地局セクタ)において計測されたトラフィック情報を受信した場合、受信したトラフィック情報の内容が記録される。
【0099】
図12Bは、本発明の第1の実施形態において記録されるトラフィック情報のフォーマットの第2の例を示す説明図である。
【0100】
図12Bは、トラフィック情報としてスループットではなくリソース利用率が送信された場合の例を示す。それ以外の点において、図12Bは図12Aと同様である。例えば、リピータ制御装置201が図11Bに示すトラフィック情報を受信した場合、受信した情報に含まれる基地局セクタID「500」、及び、そのIDによって識別される基地局セクタにおいて計測された下りリソース利用率「30」(%)及び上りリソース利用率「20」(%)が対応付けて記録される。
【0101】
図13は、本発明の第1の実施形態によるリピータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0102】
リピータ制御装置201は、一定周期で動作するため、リピータ制御装置内部のクロックカウンタが一定値になるまで待機する(ステップ301)。上記の一定周期は任意に設定可能だが、典型的にはマクロなトラフィック変動に追従するため、1分から1時間程度の周期が適切と考えられる。
【0103】
ステップ302において、リピータ制御装置201は、各リピータ108に状態情報送信を要求し、各リピータ108から状態情報を収集し、収集した状態情報をリピータ制御装置201内に記録する。この段階で、リピータ108に対する制御によってカバーエリア増減の影響を受ける基地局セクタのIDが、図10Bのように特定される。
【0104】
ステップ303において、リピータ制御装置201は、各基地局101にトラフィック情報送信を要求し、各基地局101からトラフィック情報を収集し、収集したトラフィック情報をリピータ制御装置201内に記録する。システム内全ての基地局101からトラフィック情報を収集しても良いが、収集されるデータ量が膨大となるため、ステップ302で収集したリピータ状態情報(図10B)に基づいて、リピータ状態情報が記録された基地局セクタIDを管理する基地局のみにトラフィック情報送信を要求してもよい。
【0105】
ステップ304において、リピータ制御装置201は、全てのリピータ108を制御するため、リピータカウンタを初期化する。
【0106】
ステップ305において、リピータ制御装置201は、リピータ毎のリピータ状態情報に記録されている複数の基地局セクタ間で、トラフィックを比較する。評価指標の一例として次の式が挙げられる。
【0107】
【数1】

【0108】
この数式(1)で、rはリピータのインデックス、Sはターゲットとなるリピータセクタのインデックス、Tr(r,x)はリピータrのリピータセクタxのトラフィック量(図12A、図12B参照)、Nsはリピータrのリピータセクタ数を示す。
【0109】
この数式(1)によって、リピータrのリピータセクタSが最も強く受信する基地局セクタのトラフィックの、リピータrのリピータセクタS以外がそれぞれ最も強く受信する基地局セクタのトラフィック平均に対する比が計算される。つまり、この数式(1)によって計算された値は、リピータセクタSが最も強く受信する基地局セクタのトラフィックが、リピータ周囲の他の基地局セクタのトラフィックに対しどの程度大きいか、又は小さいかを表す指標となる。
【0110】
ステップ305において、リピータ制御装置201は、例えば、数式(1)によって計算された値が所定のしきい値(0から1の任意の値)より大きいかを判定する。
【0111】
数式(1)によって計算された値がしきい値よりも小さい場合(すなわち、図13のステップ305において「Yes」と判定された場合)、リピータセクタSが最も強く受信する基地局セクタのトラフィックが、その他のリピータセクタが最も強く受信する基地局セクタのトラフィックと比較して、相対的に小さい。この場合、リピータ制御装置201は、当該基地局セクタの収容トラフィックを増やすために、当該リピータセクタの出力を増やすようリピータ108への制御情報を生成する(ステップ306)。
【0112】
なお、当該リピータセクタの出力を増やすことは、当該リピータセクタが受信した基地局セクタからの信号を増幅して送信する範囲を拡大することによって実現される。これによって、相対的にトラフィックが小さいと判定された基地局セクタのカバーエリアが送信範囲を拡大したリピータの助けによって拡大され、トラフィックの不均衡が解消される。
【0113】
次に、ステップ307において、リピータ制御装置201は、1つのリピータについて処理が完了しているため、次のリピータを処理するためにリピータカウンタへ1を加算する。
【0114】
なお、数式(1)によって計算された値がしきい値以上である場合、リピータ制御装置201は、ステップ306を実行せずにステップ307を実行する。
【0115】
ステップ308において、リピータ制御装置201は、全てのリピータ108の処理が完了したか否かを判定し、完了していなければステップ305に戻り次のリピータの処理を実行し、完了していればステップ309で各リピータ108に対して制御情報を送信する。
【0116】
図14A及び図14Bは、本発明の第1の実施形態によるリピータ108への制御情報送信フォーマット例を示す説明図である。
【0117】
図14Aは、リピータ固有のIDと、出力を上げるべきリピータセクタの番号と、を通知するためのフォーマットを示す。カバーエリアを拡大すべきリピータセクタとは、図13のステップ305で計算された評価指標が最も低いリピータセクタである。そのリピータセクタのカバーエリアを拡大するために、そのリピータセクタの出力を上げる必要がある。
【0118】
図14Aの例では、出力を上げるべきリピータセクタとして、リピータID「1000」によって識別されるリピータ108の、番号「1」によって識別されるリピータセクタ(以下、リピータセクタ#1と記載する)が通知される。
【0119】
例えば、図13のステップ305において、基地局セクタID「500」によって識別される基地局セクタのトラフィックが閾値より小さいと判定されたと仮定する。その基地局セクタからの信号を受信するリピータセクタは、リピータID「1000」によって識別されるリピータ108のリピータセクタ#1である(図10A及び図10B参照)。この場合、そのリピータセクタ#1が、出力を上げるべきリピータセクタとして通知される(図14A参照)。
【0120】
図14Bは、リピータ固有のID、制御情報のデータ個数を確定するためのリピータセクタ数、及び、リピータセクタ毎の出力制御(出力増大、出力維持、出力減少)を通知するためのフォーマットを示す。例えば、図13のステップ305で計算された評価指標が1.5より大きければ出力減少、0.5から1.5であれば出力維持、0.5未満であれば出力増大と判定される。ここで出力減少とは、出力減少を必達とすることが目的ではなく、出力を下げてもよいことを示している。つまり、他のリピータセクタに出力増大がない場合、当該リピータセクタ(すなわち出力減少と判定されたリピータセクタ)の出力を下げる必要はない(しかし下げてもよい)が、他のリピータセクタに出力増大がある場合、当該リピータセクタの出力が最優先で下げられる。
【0121】
図14Bの例では、リピータID「1000」によって識別されるリピータ108は、三つのリピータセクタを有する。それらのリピータセクタのうち、リピータセクタ#1は出力増大と判定され、リピータセクタ#2は出力維持と判定されている。すなわち、リピータセクタ#1の出力は上げられ、リピータセクタ#2の出力は維持される。一方、リピータセクタ#3は出力減少と判定されている。この例において、他のリピータセクタ(すなわちリピータセクタ#1)が出力増大と判定されている。リピータセクタ#1の出力範囲を拡大するためにリピータセクタ#3の出力を下げる必要があればリピータセクタ#3の出力は最優先で(出力維持と判断されたリピータセクタ#2よりも優先して)下げられるが、その必要が無ければリピータセクタ#3の出力を下げなくてもよい。
【0122】
図14Aの例と同様、図13のステップ305において、基地局セクタID「500」によって識別される基地局セクタのトラフィックが閾値より小さいと判定された場合、リピータセクタ#1の出力が上げられるべきであることが通知される。
【0123】
なお、上記の制御情報に基づいて実際にリピータセクタの出力を増減する処理は、後述する図15のステップ406において実行される。
【0124】
図15は、本発明の第1の実施形態のリピータ108の動作示すフローチャートである。
【0125】
まず、リピータ108は、起動直後に、ステップ401でリピータ108の状態を更新する。具体的には、リピータ108は、各リピータセクタで最も強く受信される基地局セクタの信号を特定し、リピータセクタ毎にその基地局セクタIDを決定する。
【0126】
ステップ402において、リピータ108は、リピータ制御装置201からの状態情報送信要求を受信するまで待機する。
【0127】
ステップ403において、リピータ108は、ステップ401又は前回のループにおけるステップ404(後述)で実行した状態更新結果を、図10Aのフォーマットに従ってリピータ制御装置201へ送信する。
【0128】
ステップ404は、ステップ401と同じ処理である。
【0129】
ステップ405において、リピータ108は、リピータ制御装置201から送信される制御情報を受信するまで待機する。
【0130】
ステップ406において、リピータ108は、リピータ制御装置201から送信された制御情報(図14A又は図14B)に基づいて、リピータ108の入力及び出力を制御する。この制御の詳細については後述する(図20参照)。
【0131】
ステップ407において、リピータ108は、ステップ406が完了したことをリピータ制御装置201へ通知する。
【0132】
図16は、本発明の第1の実施形態におけるリピータ108の装置構成を示すブロック図である。
【0133】
ネットワークI/F501は、リピータ制御装置201と制御情報を通信するためのインターフェースであり、有線又は無線のインターフェースデバイスで実現される。
【0134】
入出力制御装置502は、リピータ制御装置201と制御メッセージを交換する機能、及び、リピータ制御装置201からの制御情報を元にリピータ108の入出力を制御する機能を有する。入出力制御装置502は、入出力制御のため、下りスイッチ507、下りパワーアンプ508、上りスイッチ512及び上りパワーアンプ513を制御する。入出力制御装置502は、演算装置であるため、CPU又はDSPによって実現できる。
【0135】
対基地局アンテナ503は、基地局101との間の上り及び下り無線通信をするためのアンテナであり、リピータセクタ毎に1又は複数のアンテナを具備する。リピータセクタ毎に複数のアンテナを具備することで、リピータセクタ内のマルチアンテナ通信にも対応することができる。
【0136】
デュプレクサ504及び509は、上り通信と下り通信とでアンテナを共用化するため、上りの無線信号と下りの無線信号をフィルタによって分配する機能を有する。
【0137】
低ノイズアンプ505及び511は、印加雑音が小さい受信側初段で用いる増幅器である。
【0138】
状態測定装置506は、ベースバンド処理でリピータセクタ毎に最も強く受信される基地局セクタをサーチするセルサーチを実行する機能を有する。具体的には、状態測定装置506は、A/D変換器と、同期及びセルサーチを実行する論理回路又は演算装置(CPU又はDSP)と、を具備する。
【0139】
下りスイッチ507は、スイッチ及びマルチプレクサで構成され、基地局側の受信セクタと端末側の送信セクタとの接続を切り替え、スイッチ出力を合成する役割を持つ。スイッチは入出力制御装置502によって制御される。
【0140】
パワーアンプ508及び513は、送信信号を増幅する機能を持つ。入出力制御装置502がパワーアンプ508を制御することによって、セクタ毎の送信電力が制御される。
【0141】
対端末アンテナ510は、端末107との間の上り及び下り無線通信を実施するためのアンテナであり、リピータセクタ毎にアンテナを具備する。リピータセクタ毎に複数のアンテナを具備することで、リピータセクタ内のマルチアンテナ通信にも対応することができる。
【0142】
上りスイッチ512は、スイッチ及びマルチプレクサで構成され、端末側の受信セクタと基地局側の送信セクタとの接続を切り替え、スイッチ出力を合成する役割を持つ。上りスイッチ512の構成は下りスイッチ507と同じであり、入出力制御装置502によって制御される。
【0143】
図17は、本発明の第1の実施形態における状態測定装置506の構成を示す図である。
【0144】
状態測定装置506は、基地局101からの下り受信信号に対するリピータセクタ毎の低ノイズアンプ505出力に対し、各々ADC514によってアナログデジタル変換を実行した後、同期装置515によるマッチドフィルタを用いたフレーム同期処理を実行し、フレーム同期を確立した受信信号をセルサーチ装置516に入力する。
【0145】
CDMA受信機の場合、セルサーチ装置516は、基地局セクタ固有の拡散符号を変えながらマッチドフィルタによる相関演算を実行し、最も計算値が大きかった基地局セクタのIDをメモリ517に記録する。OFDM受信機の場合、セルサーチ装置516は、FFT演算によって周波数領域に変換した後、基地局101が送信する基地局セクタ内への報知信号から基地局セクタ固有のIDを読み出し、メモリ517に記録する。以上のマッチドフィルタ及びFFT演算は、論理回路、CPU又はDSPなどで実現できる。
【0146】
メモリ517への記録の際、例えば図10Bのようにリピータセクタ毎に基地局セクタIDが記録される。
【0147】
図18は、本発明の第1の実施形態におけるリピータ108内部のスイッチ周辺の構成を示す説明図である。
【0148】
具体的には、図18は、下りスイッチ507及び上りスイッチ512周辺の構成を示す。
【0149】
低ノイズアンプ505又は511の出力は、各リピータセクタでの受信信号である。
【0150】
スイッチ518は、受信側リピータセクタと送信側リピータセクタとの接続を切り替える。具体的には、各スイッチ518は、各受信側リピータセクタと各送信リピータセクタとの間で通信される信号の通過又は遮断を制御する。各スイッチ518は、「ON」又は「OFF」のいずれか一方の状態である。「ON」状態のスイッチ518は信号を通過させるが、「OFF」状態のスイッチ518は信号を遮断する。
【0151】
マルチプレクサ519は、複数のスイッチ518の出力を合成する。マルチプレクサ519各々の出力は、送信側リピータセクタの出力に相当し、リピータセクタ毎のパワーアンプ508又は513を通して各リピータセクタの送信アンテナから送信される。
【0152】
図19A及び図19Bは、本発明の第1の実施形態のリピータ108におけるスイッチ518の切替例を示した表である。
【0153】
図4A及び図4Bで示した例において、下り通信をする場合の例が図19A、上り通信をする場合の例が図19Bである。
【0154】
下り通信の場合、複数のリピータセクタにおける受信信号のうち、増幅出力したい受信信号(基地局送信信号に相当)は1つであるため、図19Aに示す通り、不要な受信リピータセクタに関するスイッチをOFFとしている。図19Aの通りにスイッチを制御することで、リピータ108は、受信側(すなわち基地局側)リピータセクタ#1で受信した信号を、送信側(すなわち端末側)リピータセクタ全てに分配することによって、全方位に送信することができる。
【0155】
上り通信の場合、図19Bに示す通りにスイッチを制御することで、リピータ108は、受信側(すなわち端末側)の全てのリピータセクタで受信した信号をマルチプレクサで合成し、送信側(すなわち基地局側)リピータセクタ#1から送信する。これによって、送信側リピータセクタ#2及び#3の方位に位置する基地局に対する不要な干渉放射を防ぐことができる。
【0156】
なお、上り通信と下り通信の2通りについて、スイッチの接続方法及びパワーアンプ出力の制御方法を以下で述べる。上り通信と下り通信の主な違いは、前者が出力側である1つの基地局側セクタに対して入力側である複数の端末側セクタが接続する場合があるのに対し、後者は出力側である1つの端末側セクタに対して入力側である基地局側セクタが1つしかない点である。つまり、出力に対する入力の接続数が、上り通信では複数あり得るのに対し、下り通信では1のみである。
【0157】
図20は、本発明の第1の実施形態におけるリピータ入出力制御を示すフローチャートである。
【0158】
まず、ステップ601において、入出力制御装置502は、リピータ制御装置201から制御情報を受信するのを待つ。
【0159】
次に、ステップ602において、入出力制御装置502は、受信した制御情報から図14A又は図14Bに示されているフォーマットに従い、カバーエリア拡大の対象となる基地局側のリピータセクタAを選択する。図14Aの例では、制御情報に示された番号によって識別されるリピータセクタが、そのままリピータセクタAとして選択される。図14Bの例では、出力増大と明示されたセクタの番号によって識別されるリピータセクタが、リピータセクタAとして選択される。
【0160】
例えば、図14Aに示すようにリピータセクタ#1がリピータセクタAとして選択される場合、リピータセクタ#1が最も強く受信する基地局セクタ(図10Aの例によれば、ID「500」によって識別される基地局セクタ)のカバーエリアが拡大される。具体的には、下り通信において、その基地局セクタからリピータセクタ#1が受信した信号を、リピータ108が増幅して送信する範囲が、拡大される。さらに具体的には、そのように送信範囲が拡大されるように、リピータ内のスイッチ507が、切り替えられる(ステップ604〜ステップ609)。さらに、上記の下り通信と対称の上りの通信が実現されるように、リピータ108内のスイッチ512が切り替えられる(ステップ610〜ステップ615)。
【0161】
ステップ603において、入出力制御装置502は、ステップ602で決定したリピータセクタAと新たに接続する端末側のリピータセクタBを選択する。選択方法については、図21Aから図21Dに関する説明で後述する。
【0162】
ステップ604からステップ609において、入出力制御装置502は、下り通信を制御する。本実施形態の入出力制御装置502から見て、入力が基地局側リピータセクタ、出力が端末側リピータセクタである。
【0163】
ステップ604において、入出力制御装置502は、上記のリピータセクタBのパワーアンプ出力を下げることができるか否かを判定する。具体的には、次の2点の条件が共に満たされる場合、出力を下げることができると判定される。
【0164】
(a) パワーアンプ出力が最小値より大きい
(b) リピータセクタBがリピータセクタAとの間で未接続
【0165】
ステップ604の結果がYesの場合(すなわちパワーアンプ出力を下げることができる場合)、ステップ605において、入出力制御装置502は、リピータセクタBのパワーアンプ出力を下げる。ここで、パワーアンプ出力を一度に最大値から最小値に下げると、システムとして破綻することは無いが、リピータを頼りに基地局と接続していた端末が急に接続先の基地局をロストするため、回線が切断される可能性がある。つまり、サービスの品質が低下するため、そのように出力を一度に下げることは好ましくない。一方、徐々に出力を下げて(例えば1秒間に1dB)自然に端末のハンドオフを誘うのが望ましい実施形態である。
【0166】
なお、ステップ604の結果がNoの場合、入出力制御装置502は、ステップ605を実行しない。
【0167】
ステップ606において、入出力制御装置502は、リピータセクタBの出力を下げる余地があるか否かを判定する。判定内容自体はステップ604と同じだが、ステップ605の結果が反映される点が異なる。具体的には、リピータセクタBのパワーアンプ出力が最小である場合、それ以上リピータセクタBの出力を下げる余地がないと判定される。
【0168】
ステップ606において、リピータセクタBの出力を下げる余地がないと判定された場合、ステップ607において、入出力制御装置502は、リピータセクタBに入力されるスイッチ507を、リピータセクタAとのみ接続するよう切り替える。
【0169】
なお、ステップ606においてリピータセクタBの出力を下げる余地があると判定された場合、入出力制御装置502は、ステップ607を実行しない。
【0170】
ステップ608において、入出力制御装置502は、リピータセクタBのパワーアンプ508の出力を上げることができるか否かを判定する。具体的には、次の2点の条件が共に満たされる場合、出力を上げることができると判定される。
【0171】
(c) パワーアンプ出力が最大値より小さい
(d) リピータセクタBがリピータセクタAと接続中
【0172】
ステップ608の結果がYesの場合、ステップ609において、入出力制御装置502は、リピータセクタBのパワーアンプ508の出力を上げる。ここで、パワーアンプ出力を一度に最小値から最大値に上げると、リピータ装置周囲の端末にとって急激に干渉が増加して見えるため、急増した干渉に適応するまで通信が不通になる恐れがあり好ましくない。ステップ605と同様、徐々に出力を上げて(例えば1秒間に1dB)自然に端末のハンドオフを誘うのが望ましい実施形態である。
【0173】
なお、ステップ608の結果がNoの場合、入出力制御装置502は、ステップ609を実行しない。
【0174】
ステップ610からステップ615において、入出力制御装置502は、上り通信を制御する。本実施形態の入出力制御装置502から見て、入力が端末側リピータセクタ、出力が基地局側リピータセクタである。
【0175】
ステップ610において、入出力制御装置502は、上記のリピータセクタAのパワーアンプ513の出力を下げることができるか否かを判定する。具体的には、次の3点の条件が全て満たされる場合、出力を下げることができると判定される。
【0176】
(e) パワーアンプ出力が最小値より大きい
(f) リピータセクタAがリピータセクタBと未接続
(g) リピータセクタAがリピータセクタB以外の端末側リピータセクタと未接続
【0177】
条件(f)及び(g)は、リピータセクタAが端末側のリピータセクタと一切接続されていない場合にのみパワーアンプ出力を下げられることを意味する。条件(g)が満たされない状態でパワーアンプ出力を下げると、制御対象(すなわちリピータセクタA、リピータセクタB、及びリピータセクタBが元々接続している基地局側リピータセクタC)以外のリピータセクタを介した通信を必要以上に不安定にするため望ましくない。
【0178】
仮に条件(g)を除外すると、リピータセクタAの出力電力制御によって、リピータセクタB以外の端末側リピータセクタからリピータセクタA経由で基地局に到達する伝送路の伝搬減衰が徐々に大きくなるのと等価の状態となる。その結果、リピータセクタB以外の端末側リピータセクタを用いて上り通信をしていた端末が一斉にハンドオフをするため、ハンドオフ時間の遅延時間増又は回線切断の可能性が高くなる。よって、条件(g)を除外することは好ましくない。
【0179】
ステップ610の結果がYesの場合(すなわち、リピータセクタAのパワーアンプ513の出力を下げることができると判定された場合)、ステップ611において、入出力制御装置502は、リピータセクタAのパワーアンプ出力を下げる。ここで、パワーアンプ出力を一度に最大値から最小値に下げると、ステップ605と同様、リピータを頼りに基地局と接続していた端末の回線が切断される可能性がある。つまり、サービスの品質が低下するため好ましくない。一方、徐々に出力を下げて(例えば1秒間に1dB)自然に端末のハンドオフを誘うのが望ましい実施形態である。
【0180】
なお、ステップ610の結果がNoの場合、入出力制御装置502は、ステップ611を実行しない。
【0181】
ステップ612において、入出力制御装置502は、リピータセクタAの出力を下げる余地があるか否かを判定する。判定内容自体はステップ610と同じだが、ステップ611の結果が反映される点が異なる。具体的には、リピータセクタAのパワーアンプ出力が最小である場合、それ以上リピータセクタAの出力を下げる余地がないと判定される。
【0182】
ステップ612においてリピータセクタAの出力を下げる余地がないと判定された場合、ステップ613において、入出力制御装置502は、リピータセクタAに入力されるリピータセクタBのスイッチ512を未接続(すなわちOFF)から接続(すなわちON)へ切り替える。
【0183】
なお、ステップ612においてリピータセクタAの出力を下げる余地があると判定された場合、入出力制御装置502は、ステップ613を実行しない。
【0184】
ステップ614において、入出力制御装置502は、リピータセクタAのパワーアンプ513の出力を上げることができるか否かを判定する。具体的には、次の2点の条件が共に満たされる場合、出力を上げることができると判定される。
【0185】
(h) パワーアンプ出力が最大値より小さい
(j) リピータセクタAがリピータセクタBと接続中
【0186】
ステップ614の結果がYesである場合(すなわち、出力を上げることができると判定された場合)、ステップ615において、入出力制御装置502は、リピータセクタAのパワーアンプ513の出力を上げる。ここで、パワーアンプ出力を一度に最小値から最大値に上げると、基地局にとって急激に干渉が増加して見えるため、増加した干渉に適応するまで通信が不通になる恐れがあり好ましくない。ステップ611と同様、徐々に出力を上げて(例えば1秒間に1dB)自然に端末のハンドオフを誘うのが望ましい実施形態である。
【0187】
ステップ615が終了すると、処理はステップ601に戻る。
【0188】
なお、ステップ614の判定の結果がNoである場合、入出力制御装置502は、ステップ615を実行せずにステップ601に戻る。
【0189】
図21Aから図21Dは、本発明の第1の実施形態におけるリピータ108の下り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【0190】
図21Aは、リピータ108の各セクタ(リピータセクタ)が、どの基地局セクタからの信号を最も強く受信しているかを示す表であり、すなわち、状態測定装置506による測定結果である。
【0191】
図21Aの例では、基地局側セクタ#1(すなわち、下り通信の際に基地局101からの信号を受信するリピータセクタ#1)が、ID「500」によって識別される基地局セクタからの信号を最も強く受信する。基地局側セクタ#2及び#3は、それぞれ、ID「384」及び「64」によって識別される基地局セクタからの信号を最も強く受信する。
【0192】
図21Bは、下り通信の際の、リピータ108内の各端末側セクタの出力電力、及び、各端末側セクタと各基地局側セクタとの接続状況を示した表である。この図の例では、全ての端末側セクタの出力電力は100[mW]であり、かつ、全ての端末側セクタが基地局側セクタ#1(基地局セクタID=500)と接続されていることを示す。具体的には、図4A及び図4Bに示すように、リピータ108は、1基地局から送信された信号を基地局側セクタ#1において受信し、その信号を増幅し、増幅された信号を全端末側セクタから全方向に送信する。
【0193】
なお、図21Bに記載されたスイッチ518の状態は、図19Aに記載されたものと一致する。
【0194】
図21Cは、基地局側セクタ#2に関するリピータ出力を増やす場合の制御例を示している。まず、入出力制御装置502は、端末側セクタのうち、基地局側セクタ#2との接続がOFFとなっている端末側セクタを制御候補として選択する。候補が複数ある場合、入出力制御装置502は、次の基準に従って端末側セクタを1つに絞り込む。
【0195】
・ターゲットとなる基地局側セクタAと同一方向を向いている端末側セクタ
・PA(パワーアンプ)出力が、複数の候補の中で最小の端末側セクタ
・図14Bに示す出力制御値が減少を示している基地局セクタIDの送信信号を最大電力で受信できる基地局側リピータセクタ(図10A)と接続されている端末側セクタ
・以上で候補が絞りきれなかった場合はランダムに選択
【0196】
第1項は、基地局セクタとリピータセクタAとが端末を挟み込む状態を実現する。これによって、当該基地局セクタ内における当該基地局セクタの端末での受信電力が向上する。リピータ周辺の基地局セクタ間のトラフィックのバランスが取れている場合、各基地局セクタのセクタ間干渉への耐性が高まるため、本発明における一つの安定形態が実現される(図22の説明で後述)。
【0197】
第2項は、スイッチ切替によるシステムへのインパクトが最も小さいと推定される端末側セクタを制御対象とすることを意味する。下りスイッチ507を切り替える際、図20のフローで示している通り、制御対象のリピータセクタの送信出力を一旦下げるため、元々送信出力が小さいリピータセクタを選択することで、影響を受ける端末の数を最小にする。
【0198】
第3項は、リピータ制御装置201が、図14Bに示すように出力を減らしてもよい基地局セクタに関する端末側リピータセクタを選択することを意味する。出力を減らしてもよい基地局セクタは、入出力制御装置502によって図10Aに示す通り基地局側リピータセクタと関連付けられる。「ON」状態の下りスイッチ507によって当該基地局側リピータセクタと接続されている端末側リピータセクタが制御対象となる。
【0199】
ここで選択された端末側セクタに関して、入出力制御装置502は、以下の手順で入出力を制御する。
【0200】
(i)当該端末側セクタのPA出力を最小にする
(ii)当該端末側セクタと接続中の基地局側セクタとの接続をOFFにする
(iii)当該端末側セクタと新たに接続する基地局側セクタとの接続をONにする
(iv)当該端末側セクタのPA出力を最大にする。
【0201】
以上の制御のうち、(i)から(iii)までが実行された結果が図21Cに、(iv)までが実行された結果が図21Dに示されている。図21Aと図21Dを併せて考えると、端末側セクタ#1と#3は基地局セクタID=500のリピータとして、端末側セクタ#2は基地局セクタID=384のリピータとして動作することになる。
【0202】
図22は、本発明の第1の実施形態におけるリピータ108の安定形態の一例を示す説明図である。
【0203】
リピータ108は、各リピータセクタ110−1、110−2及び110−3において、対向する基地局セクタ(すなわち、基地局セクタ103−1、103−2及び103−3)に関する無線信号を各々増幅する。リピータ108で受信される、又は送信される信号は、指向性アンテナによって相互干渉を抑圧しているため、各基地局セクタ又は各基地局セクタと通信している各端末において、他基地局セクタからの干渉を抑えることができる。基地局セクタ間でトラフィックバランスが取れている場合は、図22の状態とすることが望ましい。
【0204】
図23Aから図23Dは、本発明の第1の実施形態におけるリピータ108の上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【0205】
図23Aは、図21Aと同じものであり、リピータの各セクタ(リピータセクタ)が、どの基地局セクタからの信号を最も強く受信しているかを示す表(すなわち、状態測定装置506での測定結果)である。
【0206】
図23Bは、リピータ内の各基地局側セクタの出力電力と、端末側セクタとの接続状況を示した表である。この図の例では、全ての端末側セクタが基地局側セクタ#1に接続され、基地局側セクタ#1の出力電力は100[mW]で、他の基地局側セクタの出力は0[mW]であることを示す。具体的には、図23Bの例は、図4A及び図4Bで示している下り方向の例で、通信方向を示す矢印を全て反転させた場合に相当する。すなわち、図23Bは、リピータ108が全方向から受信される端末送信信号をリピータ内部で多重化し、1つの基地局へのみ増幅送信する状態を表している。
【0207】
なお、図23Bに記載されたスイッチ518の状態は、図19Bに記載されたものと一致する。
【0208】
図23Cは、基地局側セクタ#2に関するリピータ出力を増やす場合の制御例を示している。まず、端末側セクタのうち、基地局側セクタ#2との接続がOFFとなっている端末側セクタを制御候補として選択する。ここでの選択は、上り下りの通信対称性から、図21Cの下り通信側で実施した結果をそのまま採用する。
【0209】
ここで選択された端末側セクタに関係する基地局側セクタについて、以下の手順で入出力を制御する。
【0210】
(I)当該端末側セクタと接続中の基地局側セクタのPA出力を最小にする
(II)当該端末側セクタと接続中の基地局側セクタとの接続をOFFにする
(III)当該端末側セクタと新たに接続する基地局側セクタとの接続をONにする
(IV)新規接続した基地局側セクタのPA出力を最大にする。
【0211】
以上の制御のうち、(I)から(III)までが実行された結果が図23Cに、(IV)までが実行された結果が図23Dに示されている。図23Aと図23Dを併せて考えると、端末側セクタ#1と#3は基地局側セクタ#1を介して基地局セクタID=500のリピータとして、端末側セクタ#2は基地局側セクタ#2を介して基地局セクタID=384のリピータとして動作することになる。
【0212】
なお、上記(I)の手順において、当該端末側セクタ以外とも上記基地局側セクタが接続している場合、図20のステップ610で説明した通り、PA出力を最小化できない場合がある。その状態で上記(II)の手順を実施すると、当該端末側セクタを介して通信していた端末が基地局を急にロストするため、回線切断による品質低下が懸念される。
【0213】
次に、この懸念を回避するための第2の実施形態について説明する。
【0214】
以下に説明する相違点を除いて、第2の実施形態は、第1の実施形態と同じである。
【0215】
図24は、本発明の第2の実施形態におけるリピータ内部のスイッチ周辺の構成を示す説明図である。
【0216】
第2の実施形態の基本的な構成は図18に示す第1の例と似ているが、第2の実施形態のリピータ108は、スイッチ518の代わりに可変減衰器(アッテネータ)520を備える。アッテネータ520は、スイッチ518が接続をONからOFF(又はOFFからON)に切り替えるのに対して、減衰量を連続的に(又は段階的に)変化させることによって、受信側リピータセクタと送信側リピータセクタとの接続を切り替える。これによって、端末107による突然の基地局ロストが防止されるため、上記の回線切断による品質低下の懸念は回避される。
【0217】
図25は、本発明の第2の実施形態のリピータ入出力制御を示すフローチャートである。
【0218】
第1の実施形態の制御(図20)との違いは、上り通信側のステップ613の代わりにステップ616が実行される点である。つまり、上り通信側はアッテネータの構成(図24)、下り通信側はスイッチの構成(図18)が採用される。
【0219】
ステップ616において、入出力制御装置502は、ステップ603で選択された端末側セクタBと、それに接続されている基地局側セクタと、を接続しているアッテネータ520の減衰量を最大化し、ステップ602で選択された基地局側セクタAと上記端末側セクタBとを接続するアッテネータ520の減衰量を最小化する。これによって、端末側セクタBは、接続先となる基地局側セクタを切り替える。ここで、減衰量の急激な切替は、既に述べている通り急激な干渉増加または基地局ロストを招くため望ましくない。徐々に減衰量を変化させて(例えば1秒間に1dB)自然に端末のハンドオフを誘うのが望ましい実施形態である。
【0220】
図26Aから図26Dは、本発明の第2の実施形態のリピータ108の上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【0221】
図26Aは、図23Aと同じもので、リピータの各セクタ(リピータセクタ)が、どの基地局セクタからの信号を最も強く受信しているかを示す表であり、状態測定装置506での測定結果である。
【0222】
図26Bは、リピータ内の各基地局側セクタの出力電力、及び、各基地局側セクタと各端末側セクタとの接続状況を示した表である。この図の例は、全ての端末側セクタが基地局側セクタ#1に接続され、基地局側セクタ#1の出力電力は100[mW]で、他の基地局側セクタの出力は0[mW]であることを示す。
【0223】
図26Cは、基地局側セクタ#2に関するリピータ出力を増やす場合の制御例を示している。まず、端末側セクタのうち、基地局側セクタ#2との接続がアッテネータ520の減衰量が最大となっている端末側セクタを制御候補として選択する。ここでの選択は、上り下りの通信対称性から、図21Cの下り通信側で実施した結果をそのまま採用する。
【0224】
ここで選択された端末側セクタに関係する基地局側セクタについて、以下の手順で入出力を制御する。この(II),(III)の制御例については、上記(I)から(IV)のタイムラインと併せて図28に示す。
【0225】
(I)当該端末側セクタと接続中の基地局側セクタのPA出力を最小にする
(II)当該端末側セクタと接続中の基地局側セクタとの接続アッテネータの減衰量を最大にする
(III)当該端末側セクタと新たに接続する基地局側セクタとの接続アッテネータの減衰量を最小にする
(IV)新規接続した基地局側セクタのPA出力を最大にする。
【0226】
以上の制御のうち、(II)及び(III)が実行された結果が図26Cに、さらに(IV)が実行された結果が図26Dに示されている。結果として、第1の実施例(図23D)と同じ結果が得られている。
【0227】
図28は、本発明の第2の実施形態におけるアッテネータの制御の説明図である。
【0228】
具体的には、図28は、図25のステップ616及びその前後におけるアッテネータ520の減衰量の変化を示す。入出力制御装置502は、減衰量が図28に示すとおりに変化するように、各アッテネータ520を制御する。
【0229】
ステップ616が開始される前、端末側セクタ#2と基地局側セクタ#1とを接続するアッテネータ520の減衰量は0dBである。一方、端末側セクタ#2と基地局側セクタ#2とを接続するアッテネータ520の減衰量は、100dBである。この状態は、上記の(I)が実行された結果に相当する。
【0230】
ステップ616が開始されると、入出力制御装置502は、端末側セクタ#2と基地局側セクタ#1とを接続するアッテネータ520の減衰量を、所定の変化率で(例えば、1秒間に1dBずつ)増加させる。この処理は、上記の(II)に相当する。
【0231】
端末側セクタ#2と基地局側セクタ#1とを接続するアッテネータ520の減衰量が100dBに達すると、入出力制御装置502は、その減衰量を維持しつつ、さらに、端末側セクタ#2と基地局側セクタ#2とを接続するアッテネータ520の減衰量を、所定の変化率で(例えば、1秒間に1dBずつ)減少させる。この処理は、上記の(III)に相当する。
【0232】
端末側セクタ#2と基地局側セクタ#2とを接続するアッテネータ520の減衰量が0dBに達した時点で、ステップ616が終了する。その後、入出力制御装置502は、各アッテネータ520の減衰量を維持する。この状態は、上記の(IV)が実行された結果に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明を、無線通信システム、特にセルラシステムに利用することによって、少ない基地局配置でサービスの面展開が可能になる。さらに、基地局間のロードバランスを図ることで、端末装置間のサービス満足度を均等化し、かつ基地局設置の投資費用対効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本発明の第1の実施形態の無線通信システムの一例を示す説明図である。
【図2A】従来の無線通信システムの第1の問題点を示す説明図である。
【図2B】従来の無線通信システムの第2の問題点を示す説明図である。
【図3A】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの説明図である。
【図3B】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの負荷分散改善の例を示す説明図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態によるリピータの対基地局指向性ビームの出力例を示す説明図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態によるリピータの対端末指向性ビームの出力例を示す説明図である。
【図5A】本発明の第1の実施形態における無線通信路の一例を示す説明図である。
【図5B】本発明の第1の実施形態における2種類の受信信号の受信タイミング差について説明する図である。
【図6A】本発明の第1の実施形態の効果を示す説明図である。
【図6B】本発明の第1の実施形態の効果を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるカバーエリア増大の定量評価結果の例を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のネットワーク構成を示す説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による制御シーケンスを示す説明図である。
【図10A】本発明の第1の実施形態において送信されるリピータ状態情報のフォーマットの例を示す説明図である。
【図10B】本発明の第1の実施形態において記録されるリピータ状態情報のフォーマットの例を示す説明図である。
【図11A】本発明の第1の実施形態において送信されるトラフィック情報のフォーマットの第1の例を示す説明図である。
【図11B】本発明の第1の実施形態において送信されるトラフィック情報のフォーマットの第2の例を示す説明図である。
【図12A】本発明の第1の実施形態において記録されるトラフィック情報のフォーマットの第1の例を示す説明図である。
【図12B】本発明の第1の実施形態において記録されるトラフィック情報のフォーマットの第2の例を示す説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態によるリピータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図14A】本発明の第1の実施形態によるリピータへの制御情報送信フォーマット例を示す説明図である。
【図14B】本発明の第1の実施形態によるリピータへの制御情報送信フォーマット例を示す説明図である。
【図15】本発明の第1の実施形態のリピータの動作示すフローチャートである。
【図16】本発明の第1の実施形態におけるリピータの装置構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第1の実施形態における状態測定装置の構成を示す図である。
【図18】本発明の第1の実施形態におけるリピータ内部のスイッチ周辺の構成を示す説明図である。
【図19A】本発明の第1の実施形態のリピータにおけるスイッチの切替例を示した表である。
【図19B】本発明の第1の実施形態のリピータにおけるスイッチの切替例を示した表である。
【図20】本発明の第1の実施形態におけるリピータ入出力制御を示すフローチャートである。
【図21A】本発明の第1の実施形態におけるリピータの下り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図21B】本発明の第1の実施形態におけるリピータの下り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図21C】本発明の第1の実施形態におけるリピータの下り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図21D】本発明の第1の実施形態におけるリピータの下り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図22】本発明の第1の実施形態におけるリピータの安定形態の一例を示す説明図である。
【図23A】本発明の第1の実施形態におけるリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図23B】本発明の第1の実施形態におけるリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図23C】本発明の第1の実施形態におけるリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図23D】本発明の第1の実施形態におけるリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図24】本発明の第2の実施形態におけるリピータ内部のスイッチ周辺の構成を示す説明図である。
【図25】本発明の第2の実施形態のリピータ入出力制御を示すフローチャートである。
【図26A】本発明の第2の実施形態のリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図26B】本発明の第2の実施形態のリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図26C】本発明の第2の実施形態のリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図26D】本発明の第2の実施形態のリピータの上り通信側の入出力制御の例を示す説明図である。
【図27】本発明の第1の実施形態において送信されるリピータ状態情報のフォーマットの別の例を示す説明図である。
【図28】本発明の第2の実施形態におけるアッテネータの制御の説明図である。
【符号の説明】
【0235】
101 基地局
102 セル
103 基地局のセクタ
104 基地局制御装置
105 PDSN(Packet Data Serving Node)
106 IPネットワーク
107 端末
108 リピータ
109 リピータのカバーエリア
110 リピータのセクタ(基地局側)
111 リピータのセクタ(端末側)
201 リピータ制御装置
301−309 リピータ制御装置の動作フローにおけるステップ
401−407 リピータ装置の動作フローにおけるステップ
501 リピータ装置内のネットワークI/F
502 リピータ装置内の入出力制御装置
503 リピータ装置内の基地局側セクタアンテナ群
504 リピータ装置内の基地局側デュプレクサ
505 リピータ装置内の下り通信用低ノイズアンプ
506 リピータ装置内の状態測定装置
507 リピータ装置内の下り通信用スイッチ部
508 リピータ装置内の下り通信用パワーアンプ
509 リピータ装置内の端末側デュプレクサ
510 リピータ装置内の端末側セクタアンテナ群
511 リピータ装置内の上り通信用低ノイズアンプ
512 リピータ装置内の上り通信用スイッチ部
513 リピータ装置内の上り通信用パワーアンプ
514 状態測定装置506内のADコンバータ
515 状態測定装置506内のフレーム同期装置
516 状態測定装置506内のセルサーチ装置
517 状態測定装置506内のメモリ
518 リピータ装置内の上り/下り通信用スイッチ
519 リピータ装置内の上り/下り通信用マルチプレクサ
520 リピータ装置内の上り/下り通信用可変減衰器
601−616 入出力制御装置502の動作フローにおけるステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局と、リピータ装置と、を備える無線通信システムにおいて、
前記リピータ装置は、
前記複数の基地局の少なくとも一つから受信した無線信号を増幅して送信し、
前記各基地局のトラフィック量に基づいて、前記無線信号を送信する範囲を制御することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記リピータ装置は、
複数のリピータセクタアンテナを備え、
前記各基地局のトラフィック量に基づいて、前記無線信号を受信した前記各リピータセクタアンテナと、前記受信した無線信号を送信する前記各リピータセクタアンテナとの間の接続を制御することによって、前記無線信号を送信する範囲を制御することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信システムは、さらに、前記複数の基地局及び前記リピータ装置と通信するリピータ制御部を備え、
前記リピータ制御部は、
前記各基地局のトラフィック量を示す情報を前記各基地局から取得し、
前記取得したトラフィック量に基づいて、前記送信する無線信号の強度及び前記リピータセクタアンテナ間の接続の少なくとも一方を制御する制御信号を生成し、
前記生成した制御信号を前記リピータ装置に送信し、
前記リピータ装置は、前記リピータ制御部から受信した制御信号に基づいて、前記送信する無線信号の強度及び前記リピータセクタアンテナ間の接続の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記各基地局は、複数の基地局セクタを有し、
前記リピータ装置は、
前記各リピータセクタアンテナが最も強く受信する無線信号の送信元である前記基地局セクタを特定し、
前記特定された基地局セクタを識別する情報を前記リピータ制御部に送信し、
前記リピータ制御部は、前記特定された基地局セクタを識別する情報及び前記取得したトラフィック量に基づいて、前記制御信号を生成することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記リピータ制御部は、
前記取得したトラフィック量に基づいて、前記複数の基地局の一つを特定し、
前記特定された基地局から受信した無線信号を送信する範囲を拡大または縮小させるように制御する信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記リピータ制御部は、前記複数の基地局のうち、前記取得したトラフィック量が相対的に小さい基地局を特定することを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記複数の基地局は、少なくとも第1基地局と、それ以外の複数の基地局と、を含み、
前記リピータ制御部は、前記第1基地局以外の複数の基地局のトラフィック量の平均値に対する前記第1基地局のトラフィック量の比率が所定の閾値より小さい場合、前記第1基地局を、前記取得したトラフィック量が相対的に小さい基地局として特定することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
複数のアンテナを備え、少なくとも一つの基地局と少なくとも一つの端末との間の無線信号による通信を中継するリピータ装置であって、
前記複数のアンテナのうち少なくとも一つは、前記少なくとも一つの基地局との間で無線信号を送受信する基地局側リピータセクタアンテナであり、前記複数のアンテナのうち少なくとも一つは、前記少なくとも一つの端末との間で無線信号を送受信する端末側リピータセクタアンテナであり、
前記リピータ装置は、前記無線信号を受信するアンテナと前記アンテナが受信した信号を送信するアンテナとの間の接続を切り替える一つ以上の切替器と、前記アンテナから送信される信号を増幅する一つ以上の増幅器と、前記切替器及び前記増幅器を制御する入出力制御部と、を備えることを特徴とするリピータ装置。
【請求項9】
前記リピータ装置は、さらに、状態測定部を備え、
前記状態測定部は、
前記各アンテナが最も強く受信する無線信号を送信した前記基地局の基地局セクタを特定し、
前記特定された基地局セクタを識別する情報を出力することを特徴とする請求項8に記載のリピータ装置。
【請求項10】
前記状態測定部は、前記アンテナが受信した信号をディジタルデータに変換するAD変換器と、フレーム同期をとるための同期部と、前記受信した信号を送信した基地局セクタを特定するセルサーチ部と、を備えることを特徴とする請求項9に記載のリピータ装置。
【請求項11】
前記リピータ装置は、前記基地局から前記端末への下り通信の信号のための一つ以上の前記スイッチ及び一つ以上の前記増幅器と、前記端末から前記基地局への上り通信の信号のための一つ以上の前記切替器及び一つ以上の前記増幅器と、を備え、
前記入出力制御部は、前記下り通信のための切替器及び増幅器、並びに、前記上り通信のための切替器及び増幅器を制御することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一つに記載のリピータ装置。
【請求項12】
前記リピータ装置は、カバーエリアを拡大すべき前記基地局セクタを特定する情報を受信すると、その情報に基づいて、前記複数のアンテナのうち、前記特定された基地局セクタからの無線信号を最も強く受信する基地局側リピータセクタアンテナと、前記基地局側リピータセクタ受信アンテナが受信した信号を送信すべき端末側リピータセクタアンテナと、を特定することを特徴とする請求項11に記載のリピータ装置。
【請求項13】
前記リピータ装置は、
前記特定された端末側リピータセクタアンテナが送信する信号を増幅する前記増幅器の出力を減少させ、
前記特定された基地局側リピータセクタアンテナが受信した信号が前記特定された端末側リピータセクタアンテナから送信されるように前記切替器による接続を制御し、
その後、前記特定された端末側リピータセクタアンテナが送信する信号を増幅する前記増幅器の出力を増加させることを特徴とする請求項12に記載のリピータ装置。
【請求項14】
前記リピータ装置は、
前記特定された基地局側リピータセクタアンテナが送信する信号を増幅する前記増幅器の出力を減少させ、
前記特定された端末側リピータセクタアンテナが受信した信号が前記特定された基地局側リピータセクタアンテナから送信されるように前記切替器による接続を制御し、
その後、前記特定された基地局側リピータセクタアンテナが送信する信号を増幅する前記増幅器の出力を増加させることを特徴とする請求項12に記載のリピータ装置。
【請求項15】
前記切替器は、前記アンテナの間でやり取りされる信号の通過及び遮断を制御することによって前記接続を実行することを特徴とする請求項8乃至14のいずれか一つに記載のリピータ装置。
【請求項16】
前記切替器は、前記アンテナの間でやり取りされる信号の減衰量を制御することによって前記接続を実行することを特徴とする請求項8乃至14のいずれか一つに記載のリピータ装置。
【請求項17】
複数の基地局と、リピータ装置と、を備える無線通信システムにおいて前記リピータ装置を制御する方法であって、
前記方法は、
前記リピータ装置が、前記複数の基地局の少なくとも一つから受信した無線信号を増幅して送信する手順と、
前記各基地局のトラフィック量に基づいて、前記無線信号を送信する範囲又は強度の少なくとも一方を制御する手順と、を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図5A】
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【図5B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−41685(P2010−41685A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205760(P2008−205760)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】