説明

無線通信システム及び無線通信機器

【課題】 無線通信事業者から発行された単一の契約者情報を、該単一の契約者情報に基づいて同時に無線通信を行う不都合を防止したうえで、複数の無線通信機器で共有可能とする。
【解決手段】 各無線通信機器に対して、無線通信事業者から発行された同一の契約者情報、及びこの契約者情報の有効/無効を示す有効/無効情報を記憶しておき、無線通信事業者が提供するサービスを享受する側の無線通信機器の上記有効/無効情報を「有効」とすると共に、無線通信事業者が提供するサービスを享受させない側の無線通信機器の上記有効/無効情報を「無効」とする(=一方の機器の契約者情報を「有効」とした場合には、他方の機器の契約者情報は「無効」とする。)。これにより、同一の契約者情報に基づいて複数の機器で同時にサービスが享受される不都合を防止したうえで、複数の無線通信機器で、単一の契約者情報に基づく通信サービスを享受可能とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信事業者から発行された同一の契約者情報を複数の無線通信機器で共有して無線通信を行うことを可能とした無線通信システム及び無線通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2002−42192号公報(特許文献1)に、ETC用のICカードを携帯する煩わしさを解消したETCシステムが開示されている。このETCシステムは、ユーザが所有する携帯電話に、ETC用車載器で通信される個人情報(ETC情報)を記憶しておく。そして、ETC用車載器の使用時に、ケーブルを介して携帯電話とETC用車載器とを接続し、携帯電話に記憶されている上記ETC情報をETC用車載器側で取り込み、ETC用の通信に用いる。
【0003】
これにより、携帯電話を携帯しているだけでETCシステムを利用することが可能となるため、ETC用のICカードの携帯を不要とすることができる。
【0004】
ここで、近年においては、無線通信モジュールが設けられたカーナビゲーション装置が普及しつつある。このカーナビゲーション装置の場合、無線通信モジュールを介して所定のWebサイトから地図情報や現在位置周辺の地域の店舗情報等をダウンロードすることで、常に最新の情報を取り込むことが可能となっている。
【0005】
ここで、近年、無線通信機能は、携帯電話機やPHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)のみならず、ノート型のパーソナルコンピュータ装置や、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、或いは車載用のナビゲーション装置等の電子機器に広く設けられるようになっている。
【0006】
このうち、携帯電話機やPHS電話機等のように、通信を行うに際して無線通信事業者との契約を必要とする無線通信機器の場合、電話番号等を含む課金システムに直結する契約者情報を、SIMカード(SIM :Subscriber Identity Module)等の着脱自在なメディアに記録させ、このSIMカードを、当該SIMカードに対応している無線通信機器に装着して無線通信事業者のサービスを利用するか、或いは上記契約者情報を、機器内部に設けられた不揮発性メモリ等の記憶デバイスに記録させ、この記憶デバイスに記憶させた契約者情報に基づいて、無線通信事業者のサービスを利用するようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−42192号公報(第3頁〜第4頁:図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記SIMカードに対応している無線通信機器の場合、該SIMカードを取り外して、他の無線通信機器に装着すれば、同一の契約者情報を用いて物理的に異なる無線通信機器を使用可能となる。
【0009】
しかし、SIMカードに非対応の無線通信機器の場合は、同一の契約情報を、物理的に異なる無線通信機器に記憶させることは困難となるため、使用する無線通信機器の数だけ、個別に、無線通信事業者と契約を結ぶ必要があった。
【0010】
なお、上記SIMカードに対応している無線通信機器の場合、該SIMカードを取り外して、他の無線通信機器に装着すれば、同一の契約者情報を用いて物理的に異なる無線通信機器で無線通信を行うことが可能となるのであるが、この場合には、上記SIMカードを取り外し、このSIMカードを、これから使用する無線通信機器に装着し直す面倒な作業が必要となる。
【0011】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、無線通信事業者との契約者情報を記録したSIMカード等のメディアの着脱作業や、無線通信事業者と複数の個別契約を必要とすることなく、複数の無線通信機器により単一の契約者情報に基づく通信サービスを享受することが可能な無線通信システム及び無線通信機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
少なくとも無線通信事業者から発行された契約者情報、及び該契約者情報の有効/無効を示す有効性識別情報が記憶された記憶手段と、
上記記憶手段に記憶されている契約者情報に基づいて無線通信を行う無線通信手段と、
上記記憶手段に記憶される有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報、或いは上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換える有効性書き換え手段と、
上記記憶手段に、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報が記憶されている場合のみ、該契約者情報に基づいて無線通信を行うように上記無線通信手段を通信制御する通信制御手段と
をそれぞれ備えた複数の無線通信機器を有する。
【0013】
そして、上記各無線通信機器の上記各記憶手段には、上記無線通信事業者から発行された同一の契約者情報がそれぞれ記憶されており、
上記各無線通信機器の各有効性書き換え手段は、いずれか一つの無線通信機器のみ、上記契約者情報が有効であることを示すように、上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報をそれぞれ書き換える。
【0014】
また、本発明は、
上記各無線通信機器は、非接触無線通信手段をそれぞれ有し、
一方の無線通信機器に設けられている上記非接触無線通信手段と、他方の無線通信機器に設けられている上記非接触無線通信手段との間で非接触無線通信が行われ、上記一方の無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報の有効性を、上記他方の無線通信機器に移行させる指示がなされた際に、上記一方の無線通信機器の有効性書き換え手段は、当該一方の無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換えると共に、上記他方の無線通信機器の有効性書き換え手段は、当該他方の無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換える。
【0015】
また、本発明は、
上記各無線通信機器は、それぞれ有する近距離無線通信手段を介して相互に近距離無線通信を行い、
上記各無線通信機器間で上記近距離無線通信を相互に行うことが困難となった際に、上記各有効性書き換え手段のうち、所定の無線通信機器に設けられている有効性書き換え手段のみ、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換え、他の無線通信機器に設けられている各有効性書き換え手段は、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換える。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、各無線通信機器の記憶手段に対して、同一の契約者情報を記憶させると共に、この契約者情報の有効/無効を示す有効性識別情報を記憶させておき、いずれか一つの無線通信機器の記憶手段に記憶された有効性識別情報のみ、契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換えることにより、同一の契約者情報を有する複数の無線通信機器のうち、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報を有する無線通信機器のみ、該契約者情報を用いた無線通信を可能とする。
【0017】
これにより、複数の無線通信機器で、単一の契約者情報に基づく通信サービスを享受可能とすることができる。このため、複数の無線通信機器で通信サービスを享受するために、各機器毎に個別に必要となる無線通信事業者との間の契約を不要とすることができる。
【0018】
また、契約者情報が有効とされた一つの無線通信機器でのみ、無線通信事業者が提供するサービスを享受可能とすることができるため、同一の契約者情報に基づいて複数の無線通信機器で同時にサービスが享受される不都合を防止することができる。
【0019】
また、各無線通信機器には、予め同一の契約者情報が記憶されているため、無線通信事業者との契約者情報を記録したSIMカード等のメディアの着脱作業を不要とすることができる。
【0020】
また、各無線通信機器に設けられている近距離無線通信手段間で近距離無線通信を相互に行うことが困難となった際に、所定の無線通信機器に設けられている有効性書き換え手段のみが、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換え、他の無線通信機器に設けられている各有効性書き換え手段は、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換える。
【0021】
これにより、例えば各無線通信機器の間の距離が所定の距離以上離れた場合等のように、各近距離無線通信手段間で近距離無線通信を相互に行うことが困難となった場合には、上記所定の無線通信機器に対して、自動的に契約者情報の有効性を持たせることができる。このため、この所定の無線通信機器を、ユーザの使用頻度の高い携帯電話端末等とすることにより、この携帯電話端末の契約者情報が無効となっている場合でも、上記所定の距離以上離れた場合には、当該携帯電話端末の契約者情報を自動的に有効な契約者情報とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[システムの構成]
本発明の実施の形態となる無線通信システムは、図1に示すように複数の無線通信手段が設けられた携帯電話端末1と、自動車に載置され、上記携帯電話端末1と同様に複数の無線通信手段が設けられた無線通信機器2とを有している。
【0023】
〔携帯電話端末の構成〕
図2は、携帯電話端末1のブロック図である。この図2において、携帯電話端末1は、携帯電話送受信部11を有しており、制御部14が、この携帯電話送受信部11を制御することで、表示部15、スピーカ/マイクロホン部16(SP/MIC)及びキー入力部17等を介して、音声通信やパケットデータ通信などの通信サービスを享受するようになっている。
【0024】
また、携帯電話端末1は、非接触ICカード部12を有している。この非接触ICカード部12は、外部のリーダライタ部との間の通信距離が数センチ以内であれば、接触させること無くデータの送受信が可能となっている。
【0025】
また、携帯電話端末1は、SIMカード部18(SIM :Subscriber Identity Module)を有している。このSIMカード部18には、電話番号などの課金に直結した携帯電話事業者との契約者情報が予め記録された着脱自在なSIMカードが装着されるようになっている。制御部14は、SIMカードに記憶されている契約者情報に基づいて携帯電話送受信部11等を制御することで、この携帯電話端末1において、当該契約者情報に対応するサービスを無線通信事業者を介して享受できるようになっている。
【0026】
また、この携帯電話端末1は、例えばブルートゥース(bluetooth)等の近距離無線通信送受信部13を有しており、この近距離無線通信送受信部13により、数メートル〜数十メートル範囲に存在する他の同一方式の近距離無線送受信部を有する機器と通信可能となっている。
【0027】
(非接触ICカード部)
図3は、非接触ICカード部12のブロック図である。この図3において、非接触ICカード部12は、インターフェイス部24を介して、図2に示した当該携帯電話端末1の制御部14と接続されており、このインターフェイス部24を介して制御部14との間でデータの送受信を行うようになっている。また、非接触ICカード部12は、非接触送受信部21を介して、外部のリーダライタ部との間でデータの送受信を行うようになっている。
【0028】
認証等の秘匿性のあるデータは、非接触ICカード部12内に設けられているメモリ23内で管理されており、インターフェイス部24から非接触ICカード部12の外部には、読み出せないようになっている。ここでは、メモリ23には、端末固有のIDや非接触無線通信機能を使って享受できるサービスに付随したデータが記録されているものとする。
【0029】
(SIMカード)
図4は、SIMカード部18に装着されるSIMカードのブロック図である。この図4に示すように、SIMカード19は、いわゆるICカードの構成を有しており、制御・処理部25が、インターフェイス部26を介して、携帯電話端末1の制御部14との間でデータの送受信を行う。このとき、認証データや契約者情報は、メモリ27に記憶され、一般に、認証データは、インターフェイス部26からは、直接的に読み出せないように保護されている。
【0030】
〔無線通信機器の構成〕
図5は、上記自動車に設置されている無線通信機器2のブロック図である。なお、この無線通信機器2は、カーステレオ装置、カーテレビジョン受像機やカーナビゲーション装置等と一体的に自動車に設けられることが想定されるが、ここでは、無線通信機器2の通信機能に限定して説明を進めることとする。
【0031】
図5において、無線通信機器2は、携帯電話端末1と同様に、携帯電話送受信部31を有しており、制御部34が、この携帯電話送受信部31を制御することで、表示部35、スピーカ/マイクロホン部36(SP/MIC)及びキー入力部37等を介して、音声通信やパケットデータ通信などの通信サービスを享受するようになっている。
【0032】
また、この無線通信機器2は、図3に示した非接触ICカード部12と同様の構成を有する非接触ICカードリーダライタ部32を有しており、非接触ICカードと、数センチ以内であれば、接触させる事無く、データの送受信が可能となっている。
【0033】
また、この無線通信機器2は、SIMカード部38を有している。このSIMカード部38には、電話番号などの課金に直結した携帯電話事業者との契約者情報が予め記録された着脱自在なSIMカードが装着されるようになっている。このSIMカードは、図4に示したSIMカード19と同様の構成を有している。制御部34は、このSIMカード19に記憶されている契約者情報に基づいて携帯電話送受信部31等を制御することで、この無線通信機器2において、当該契約者情報に対応するサービスを無線通信事業者を介して享受できるようになっている。
【0034】
また、この無線通信機器2は、携帯電話端末1と同様に、例えばブルートゥース(bluetooth)等の近距離無線通信送受信部33を有しており、この近距離無線通信送受信部33により、数メートル〜数十メートル範囲に存在する他の同一方式近距離無線送受信部を有する機器と通信可能となっている。
【0035】
[システムの動作]
次に、当該実施の形態の無線通信システムのシステム動作を説明する。この実施の形態の無線通信システムの場合、携帯電話端末1のSIMカード部18に装着されているSIMカード19、及び無線通信機器2のSIMカード部38に装着されているSIMカード19には、それぞれ同一の契約者情報が記憶されている。これら各SIMカード19に記憶されている契約者情報は、無線通信事業者が、単一契約のもとで、ユーザーに対して発行した契約者情報である。
【0036】
ただし、この携帯電話端末1側のSIMカード19及び無線通信機器2側のSIMカード19のうち、有効とされる契約者情報は、いずれか一方のSIMカード19に記憶された契約者情報のみであり、他方のSIMカード19に記憶された契約者情報は無効とされる。
【0037】
すなわち、各SIMカード19内のメモリ27には、契約者情報の有効/無効を示す情報(有効/無効情報)が不揮発的に記憶されるようになっており、この有効/無効情報に基づいて契約者情報の有効/無効が判別され、有効な契約者情報が記憶されたSIMカード19を有する機器に対してのみ、該契約者情報に基づいて無線通信事業者からのサービスが提供され、無効な契約者情報が記憶されたSIMカード19を有する機器に対しては、当該契約者情報に基づく無線通信事業者からのサービスは提供されないようになっている。
【0038】
例えば、携帯電話端末1のSIMカード部18に、契約時に有効とされるSIMカード19が装着されており、無線通信機器2に装着されているSIMカード19には無効とされるSIMカード19が装着されていた場合、各機器1,2共、同一の契約者情報が記憶されたSIMカード19が装着されているのであるが、携帯電話端末1は、無線通信事業者からのサービスを享受することができ、無線通信機器2は、無線通信事業者からのサービスを享受することができない。
【0039】
(契約者情報の有効/無効に基づく動作)
まず、図6は、前述の有効/無効情報に基づいて各機器1,2において行われるサービス享受の可否の判別動作を示すフローチャートである。携帯電話端末1及び無線通信機器2の各制御部14、34は、いずれもこの図6に示すフローチャートに従って動作する。
【0040】
代表させて、携帯電話端末1側の制御部14の動作を説明すると、まず、当該携帯電話端末1のメイン電源の投入を検出すると、制御部14は、この図6に示すフローチャートをスタートさせ、ステップS1において、SIMカード部18に装着されているSIMカード19の制御・処理部25を介して、メモリ27に記憶されている有効/無効情報を読み出し制御する。そして、この読み出した有効/無効情報に基づいて、当該携帯電話端末1側に「有効」とされる契約者情報が記憶されているか否かを判別する。
【0041】
上記有効/無効情報に基づいて当該携帯電話端末1側に「有効」とされる契約者情報が記憶されていると判別した場合、制御部14は、ステップS2に処理を進め、このステップS2において、契約者情報が「有効」とされていることを認識し、ステップS3において、この有効とされる契約者情報に基づいて、無線通信事業者からのサービスの享受を開始する。
【0042】
これに対して、上記有効/無効情報に基づいて当該携帯電話端末1側に「無効」とされる契約者情報が記憶されていると判別した場合、制御部14は、ステップS4に処理を進め、このステップS4において、契約者情報が「無効」とされていることを認識し、ステップS5において、この無効とされる契約者情報に基づいて、無線通信事業者からのサービスを享受しないように各部を制御する。
【0043】
なお、無線通信機器2の制御部34も、この携帯電話端末1の制御部14と同様に、メイン電源が投入された際に、この有効/無効情報に基づくサービス享受の可否の判別動作を行う。
【0044】
(有効性の譲渡)
次に、「無効」とされている無線通信機器2で無線通信事業者からのサービスを享受する場合、携帯電話端末1から契約者情報の有効性の譲渡を受けて、当該無線通信機器2側の契約者情報を「有効」とする必要がある。図7のフローチャートに、携帯電話端末1から無線通信機器2に対して契約者情報の有効性が譲渡されるまでの流れを示す。
【0045】
この場合、ユーザは、現在、契約者情報が「有効」となっている携帯電話端末1を持って自動車に乗り込み、携帯電話端末1の非接触ICカード部12を、自動車に載置されている無線通信機器2の非接触ICカードリーダライタ部32に近接させる。
【0046】
非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32が数センチ以内に近接すると、該非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32間で通信が開始され、図7のフローチャートがスタートとなる。
【0047】
この図7のフローチャートがスタートとなると、ステップS11において、非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32の各制御部22が、お互いに非接触通信が可能であるか否かをそれぞれ判別する。この判別は、非接触ICカード部12のメモリ23に記憶されている携帯電話端末1の端末識別情報(端末ID)と、非接触ICカードリーダライタ部32に設けられているメモリに保持されている無線通信機器2の機器識別情報(機器ID)を相互に交換及び比較することにより行なわれる。
【0048】
非接触通信ができない状態である場合、ステップS16において、携帯電話端末1の制御部14が、非接触通信ができない状態である旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、非接触通信ができない状態である旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0049】
これに対して、非接触通信が可能である場合、ステップS12において、携帯電話端末1側の制御部14が、当該携帯電話端末1と無線通信機器2との間における契約者情報の有効性の譲渡が可能であるか否かを判別する。
【0050】
具体的には、携帯電話端末1の制御部14は、
1.当該携帯電話端末1及び無線通信機器2の双方のSIMカード19のメモリに記憶されている契約者情報が一致すること、
2.契約者情報の有効性の譲渡が許されていること、
3.いずれか一方のみが有効性を保持していることが確認されたこと
等の条件を満たしているか否かを判別することで、当該携帯電話端末1と無線通信機器2との間における契約者情報の有効性の譲渡が可能であるか否かを判別する。
【0051】
上記全ての条件を満たさない場合、ステップS15において、携帯電話端末1の制御部14が、契約者情報の有効性の譲渡ができない旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、契約者情報の有効性の譲渡ができない旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0052】
これに対して、上記全ての条件を満たす場合、ステップS13において、携帯電話端末1の制御部14は、SIMカード19のメモリ27に、現在、「有効」として記憶されている契約者情報を、「無効」の契約者情報に書き換えるようにSIMカード部18を制御し、無線通信機器2の制御部34は、SIMカード19のメモリ27に、現在、「無効」として記憶されている契約者情報を、「有効」の契約者情報に書き換えるようにSIMカード部38を制御する。
【0053】
このような契約者情報の有効性の譲渡が完了すると、ステップS14において、携帯電話端末1の制御部14が、契約者情報の有効性の譲渡が完了した旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、契約者情報の有効性の譲渡が完了した旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0054】
これにより、契約者情報の有効性が、携帯電話端末1から無線通信機器2に譲渡されたこととなり、「無効」の契約者情報の記憶されたSIMカード19が装着された携帯電話端末1側では、無線通信事業者が提供しているサービスを享受できなくなるのに対し、「有効」の契約者情報の記憶されたSIMカード19が装着された無線通信機器2側では、無線通信事業者が提供しているサービスを享受可能となる。
【0055】
(有効性の返却)
次に、無線通信事業者から提供されているサービスを携帯電話端末1で享受する場合、無線通信機器2に譲渡された契約者情報の有効性を、携帯電話端末1に返却させる必要がある。図8のフローチャートに、無線通信機器2から携帯電話端末1に対して契約者情報の有効性が返却されるまでの流れを示す。
【0056】
この場合、ユーザは、現在、契約者情報が「無効」となっている携帯電話端末1を持って自動車に乗り込み、携帯電話端末1の非接触ICカード部12を、自動車に載置されている無線通信機器2の非接触ICカードリーダライタ部32に近接させる。
【0057】
非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32が数センチ以内に近接すると、該非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32間で通信が開始され、図8のフローチャートがスタートとなる。
【0058】
この図8のフローチャートがスタートとなると、ステップS21において、非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32の各制御部22が、お互いに非接触通信が可能であるか否かをそれぞれ判別する。この判別は、非接触ICカード部12のメモリ23に記憶されている携帯電話端末1の端末識別情報(端末ID)と、非接触ICカードリーダライタ部32に設けられているメモリに保持されている無線通信機器2の機器識別情報(機器ID)を相互に交換及び比較することにより行なわれる。
【0059】
非接触通信ができない状態である場合、ステップS27において、携帯電話端末1の制御部14が、非接触通信ができない状態である旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、非接触通信ができない状態である旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0060】
これに対して、非接触通信が可能である場合、ステップS22において、携帯電話端末1側の制御部14が、当該携帯電話端末1と無線通信機器2との間における契約者情報の有効性の返却が可能であるか否かを判別する。
【0061】
具体的には、携帯電話端末1の制御部14は、前述と同様に
1.当該携帯電話端末1及び無線通信機器2の双方のSIMカード19のメモリに記憶されている契約者情報が一致すること、
2.契約者情報の有効性の移動が許されていること、
3.いずれか一方のみが有効性を保持していることが確認されたこと
等の条件を満たしているか否かを判別することで、当該携帯電話端末1と無線通信機器2との間における契約者情報の有効性の譲渡が可能であるか否かを判別する。
【0062】
上記全ての条件を満たさない場合、ステップS26において、携帯電話端末1の制御部14が、契約者情報の有効性の返却ができない旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、契約者情報の有効性の返却ができない旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0063】
これに対して、上記全ての条件を満たす場合、ステップS23において、現在、「有効」の契約者情報を有している無線通信機器2側の制御部34が、当該無線通信機器2側で、無線通信事業者が提供するサービスを享受中であるか否か等を判別することで、契約者情報の有効性を返却可能であるか否かを判別する。
【0064】
無線通信機器2側の制御部34において、上記無線通信事業者が提供するサービスを享受中等の理由により、有効性の返却ができないものと判別された場合、ステップS26において、携帯電話端末1の制御部14が、契約者情報の有効性の返却ができない旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、契約者情報の有効性の返却ができない旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0065】
これに対して、無線通信機器2側の制御部34において有効性の返却が可能であると判別された場合、ステップS24において、無線通信機器2の制御部34が、SIMカード19のメモリ27に、現在、「有効」として記憶されている契約者情報を「無効」の契約者情報に書き換えるようにSIMカード部38を制御し、携帯電話端末1の制御部14が、SIMカード19のメモリ27に、現在、「無効」として記憶されている契約者情報を「有効」の契約者情報に書き換えるようにSIMカード部18を制御する。
【0066】
このような契約者情報の有効性の返却が完了すると、ステップS25において、携帯電話端末1の制御部14が、契約者情報の有効性の返却が完了した旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、契約者情報の有効性の返却が完了した旨のメッセージを表示部35に表示制御する。
【0067】
これにより、契約者情報の有効性が、無線通信機器2から携帯電話端末1に返却されたこととなり、「有効」の契約者情報の記憶されたSIMカード19が装着された携帯電話端末1側において、無線通信事業者が提供しているサービスを享受可能となるのに対し、「無効」の契約者情報の記憶されたSIMカード19が装着された無線通信機器2側では、無線通信事業者が提供しているサービスを享受できないようになる。
【0068】
(有効性の自動返却)
このように、当該実施の形態の無線通信システムでは、契約者情報の有効性の譲渡及び返却を行うことで、いずれか一方の機器のみ、無線通信事業者が提供しているサービスを享受可能となるのであるが、ユーザが、この譲渡した有効性の返却作業を忘れるケースが想定される。
【0069】
例えば、ユーザが、「有効」な契約者情報を有する携帯電話端末1を持って自動車に乗り込み、契約者情報の有効性を車載の無線通信機器2に譲渡することで、該無線通信機器2を介して無線通信事業者が提供するサービスを享受したのであるが、自動車から下車する際に、当該無線通信機器2から携帯電話端末1に契約者情報の返却作業をし忘れることが想定される。この場合、ユーザは、有効性を持たない携帯電話端末1(=無線通信事業者の提供するサービスを享受することができない携帯電話端末1)を持ちつづけることになってしまう。
【0070】
このような不都合を防止するために、当該実施の形態の無線通信システムでは、 各SIMカード19内のメモリ27に、当該機器がマスター機器であるか非マスター機器(スレーブ機器)であるかを示す情報(属性情報)が記録されている。そして、契約者情報の有効性がスレーブ機器に譲渡されている場合において、マスター機器とスレーブ機器との間の距離が、所定の距離以上離れた場合、スレーブ機器に譲渡されている契約者情報の有効性をマスター機器に対して、自動的に返却するようになっている。
【0071】
図9のフローチャートに、この契約者情報の有効性の自動返却動作の流れを示す。以下、携帯電話端末1がマスター機器として定義され、無線通信機器2がスレーブ機器として定義されている場合を例として、この自動返却動作の説明をする。
【0072】
この図9のフローチャートは、マスター機器である携帯電話端末1側の制御部14が、当該携帯電話端末1側の契約者情報が「無効」とされていることを検出すると共に、スレーブ機器である無線通信機器2側の制御部34が、当該無線通信機器2側の契約者情報が「有効」とされていることを検出することでスタートとなる。
【0073】
換言すれば、各機器1,2の各制御部14,34が、契約者情報の有効性がスレーブ機器である無線通信機器2側に譲渡中であることを検出することで、この図9のフローチャートがスタートとなる。この場合、各機器1,2の各制御部14,34は、それぞれブルートゥース等の近距離無線通信送受信部13,33を通信制御して、各機器1,2間で近距離無線通信を開始する。
【0074】
ステップS31では、各機器1,2の各制御部14,34が、上記近距離無線通信送受信部13,33を介して当該各機器1,2間で近距離無線通信が可能であるか否かを判別する。各機器1,2間で近距離無線通信ができない場合、ステップS35において、携帯電話端末1の制御部14が、近距離無線通信ができない旨のメッセージと共に、当該有効性の自動返却を行うことができない旨のメッセージを表示部15に表示制御し、或いは無線通信機器2の制御部34が、上記近距離無線通信ができない旨のメッセージと共に、当該有効性の自動返却を行うことができない旨のメッセージを表示部35に表示制御する。このようなエラーメッセージが表示された場合、ユーザは、上記各非接触ICカード部12及び非接触ICカードリーダライタ部32で非接触無線通信が可能な距離に、携帯電話端末1及び無線通信機器2を近接させて、無線通信機器2から携帯電話端末1に契約者情報の有効性を返却させることとなる。
【0075】
次に、各機器1,2間で近距離無線通信が可能である場合、ステップS32において、各機器1,2の各制御部14,34が、上記近距離無線通信送受信部13,33間で所定時間置きに間欠的に通信を行うように、それぞれの近距離無線通信送受信部13,33を制御する。これにより、近距離無線通信送受信部13,33間で正常に通信が行われている場合は、この近距離無線通信が可能な範囲内に、携帯電話端末1及び無線通信機器2が存在していることを互いに認識することができる。
【0076】
ステップS32では、各機器1,2の各制御部14,34が、各近距離無線通信送受信部13,33間で正常に通信が行われているか否かを判別することで、近距離無線通信が可能な範囲内に携帯電話端末1及び無線通信機器2が存在しているか否かを判別する。
【0077】
近距離無線通信が可能な範囲内に携帯電話端末1及び無線通信機器2が存在していると判別できた場合には、各機器1,2の各制御部14,34は、ステップS33において所定時間待機状態となり、この待機時間経過した際に、再度、通信を行うように、各近距離無線通信送受信部13,33を制御する。これにより、近距離無線通信が可能な範囲内に携帯電話端末1及び無線通信機器2が存在している場合には、上記近距離無線通信送受信部13,33間で間欠的に通信が行われることとなる。なお、この例では、上記近距離無線通信送受信部13,33間の通信を間欠的に行うこととしたが、これは連続的に通信が行われるようにしてもよい。
【0078】
次に、携帯電話端末1或いは無線通信機器2が、上記近距離無線通信が可能な範囲を逸脱したと判別した場合、各機器1,2の各制御部14,34は、ステップS34において契約者情報の有効性の自動返却を実行する。
【0079】
すなわち、この例の場合、携帯電話端末1がマスター機器であり、無線通信機器2がスレーブ機器である。また、契約者情報の有効性は、スレーブ機器である無線通信機器2側に譲渡されたままである。そして、無線通信機器2側のSIMカード19のメモリ27には、現在、契約者情報を「有効」とする有効/無効情報が記憶されており、携帯電話端末1側のSIMカード19のメモリ27には、現在、契約者情報を「無効」とする有効/無効情報が記憶されている。
【0080】
このため、携帯電話端末1側の制御部14は、無線通信機器2との間で近距離無線通信が行えなくなったタイミングで、SIMカード19のメモリ27に記憶されている、契約者情報を「無効」とする有効/無効情報を、「有効」の有効/無効情報に書き換え処理する。また、これと共に、無線通信機器2側の制御部34は、携帯電話端末1との間で近距離無線通信が行えなくなったタイミングで、SIMカード19のメモリ27に記憶されている、契約者情報を「有効」とする有効/無効情報を、「無効」の有効/無効情報に書き換え処理する。
【0081】
これにより、携帯電話端末1と無線通信機器2との間の距離が所定の距離以上離れた際に、スレーブ機器である無線通信機器2側に譲渡されている契約者情報の有効性を、マスター機器である携帯電話端末1に自動的に返却することができる。このため、契約者情報が無効とされており、無線通信事業者のサービスを享受できない状態のマスター機器を持ち歩くこととなる不都合を防止することができる。
【0082】
なお、この例では、スレーブ機器からマスター機器に対して契約者情報の有効性が返却されることとしたが、これは、マスター機器、スレーブ機器に関係なく、有効性の譲渡を受けた機器が、この有効性の譲渡を行った機器に対して該有効性の返却を行うようにしてもよい(=有効性の譲渡元と譲渡先との間で返却を行うようにしてもよい。)。
【0083】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、この実施の形態の無線通信システムは、各機器のSIMカードに対して、無線通信事業者から発行された同一の契約者情報、及びこの契約者情報の有効/無効を示す有効/無効情報を記憶しておき、無線通信事業者が提供するサービスを享受する側の機器の上記有効/無効情報を「有効」とすると共に、無線通信事業者が提供するサービスを享受させない側の機器の上記有効/無効情報を「無効」とする(=一方の機器の契約者情報を「有効」とした場合には、他方の機器の契約者情報は「無効」とする。)。
【0084】
これにより、複数の無線通信機器で、単一の契約者情報に基づく通信サービスを享受可能とすることができる。このため、複数の無線通信機器で通信サービスを享受するために、各機器毎に個別に必要となる無線通信事業者との間の契約を不要とすることができる。
【0085】
また、契約者情報が有効とされた一つの機器でのみ、無線通信事業者が提供するサービスを享受可能とすることができるため、同一の契約者情報に基づいて複数の機器で同時にサービスが享受される不都合を防止することができる。
【0086】
また、各機器には、予め同一の契約者情報が記憶されているため、無線通信事業者との契約者情報を記録したSIMカード等のメディアの着脱作業を不要とすることができる。
【0087】
また、スレーブ機器の契約者情報が有効となっている場合において、マスター機器とスレーブ機器との間の距離が所定の距離以上離れた際に、マスター機器側の契約者情報を「有効」とし、スレーブ機器側の契約者情報を「無効」とすることで(=自動的にマスター機器側に契約者情報の有効性を返却することで)、マスター機器側の契約者情報が「無効」とされたままの状態となる不都合を防止することができる。
【0088】
なお、上述の実施の形態の説明では、携帯端末装置として携帯電話端末1を用いることとしたが、これは、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System),無線通信機能を有するPDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、無線通信カード、無線通信カードが接続されたノート型のパーソナルコンピュータ装置等の他の携帯端末装置を用いてもよい。
【0089】
また、無線通信事業者との契約者情報がSIMカードに記録されていることとしたが、契約者情報は、各機器に内蔵されているメモリ等に記憶するようにしても、上述と同様の効果を得ることができる。
【0090】
最後に、上述の実施の形態は、あくまでも本発明の一例として開示したに過ぎない。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、上述の実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を適用した実施の形態の無線通信システムの概要を説明するための図である。
【図2】実施の形態の無線通信システムで用いられる携帯電話端末のブロック図である。
【図3】実施の形態の無線通信システムで用いられる携帯電話端末に設けられている非接触ICカード部のブロック図である。
【図4】実施の形態の無線通信システムで用いられる携帯電話端末に設けられているSIMカード部のブロック図である。
【図5】実施の形態の無線通信システムで用いられる無線通信機器のブロック図である。
【図6】実施の形態の無線通信システムの携帯電話端末及び無線通信機器において実行される契約者情報の有効/無効の判別動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施の形態の無線通信システムの携帯電話端末及び無線通信機器間で実行される契約者情報の有効性の譲渡動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施の形態の無線通信システムの携帯電話端末及び無線通信機器間で実行される、譲渡した契約者情報の有効性の返却動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施の形態の無線通信システムの携帯電話端末及び無線通信機器間で実行される、譲渡した契約者情報の有効性の自動返却動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 携帯電話端末、2 無線通信機器、11 携帯電話端末の携帯電話送受信部、12 携帯電話端末の非接触ICカード部、13 携帯電話端末の近距離無線通信送受信部、14 携帯電話端末の制御部、15 携帯電話端末の表示部、18 携帯電話端末のSIMカード部、31 無線通信機器の携帯電話送受信部、32 無線通信機器の非接触ICカードリーダライタ部、33 無線通信機器の近距離無線通信送受信部、34 無線通信機器の制御部、35 無線通信機器の表示部、38 無線通信機器のSIMカード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも無線通信事業者から発行された契約者情報、及び該契約者情報の有効/無効を示す有効性識別情報が記憶された記憶手段と、
上記記憶手段に記憶されている契約者情報に基づいて無線通信を行う無線通信手段と、
上記記憶手段に記憶される有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報、或いは上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換える有効性書き換え手段と、
上記記憶手段に、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報が記憶されている場合のみ、該契約者情報に基づいて無線通信を行うように上記無線通信手段を通信制御する通信制御手段と
をそれぞれ備えた複数の無線通信機器を有し、
上記各無線通信機器の上記各記憶手段には、上記無線通信事業者から発行された同一の契約者情報がそれぞれ記憶されており、
上記各無線通信機器の各有効性書き換え手段は、いずれか一つの無線通信機器のみ、上記契約者情報が有効であることを示すように、上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報をそれぞれ書き換えること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
上記各無線通信機器は、非接触無線通信手段をそれぞれ有し、
一方の無線通信機器に設けられている上記非接触無線通信手段と、他方の無線通信機器に設けられている上記非接触無線通信手段との間で非接触無線通信が行われ、上記一方の無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報の有効性を、上記他方の無線通信機器に移行させる指示がなされた際に、上記一方の無線通信機器の有効性書き換え手段は、当該一方の無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換えると共に、上記他方の無線通信機器の有効性書き換え手段は、当該他方の無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換えること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
上記各無線通信機器は、それぞれ有する近距離無線通信手段を介して相互に近距離無線通信を行い、
上記各無線通信機器間で上記近距離無線通信を相互に行うことが困難となった際に、上記各有効性書き換え手段のうち、所定の無線通信機器に設けられている有効性書き換え手段のみ、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換え、他の無線通信機器に設けられている各有効性書き換え手段は、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換えること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
無線通信事業者から発行された契約者情報であって、一つ或いは複数の他の無線通信機器に記憶されている契約者情報と同一の契約者情報が記憶されると共に、該契約者情報の有効/無効を示す有効性識別情報が少なくとも記憶された記憶手段と、
上記記憶手段に記憶されている契約者情報に基づいて無線通信を行う無線通信手段と、
上記記憶手段に記憶される有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報、或いは上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換える有効性書き換え手段と、
上記記憶手段に、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報が記憶されている場合のみ、該契約者情報に基づいて無線通信を行うように上記無線通信手段を通信制御する通信制御手段とを有し、
上記有効性書き換え手段は、上記同一の契約者情報を有する各無線通信機器間で、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報を有する無線通信機器が一つとなるように、上記各無線通信機器の有効性書き換え手段と通信を行って上記有効性識別情報の書き換えを行うこと
を特徴とする無線通信機器。
【請求項5】
請求項4に記載の無線通信機器であって、
非接触無線通信手段を有し、
上記非接触無線通信手段を介して、他方の無線通信機器に設けられている非接触無線通信手段との間で非接触無線通信を行うことで、当該無線通信機器の上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報の有効性を、上記他方の無線通信機器に移行させる指示がなされた際に、上記有効性書き換え手段は、上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換え、
上記非接触無線通信手段を介して、他方の無線通信機器に設けられている非接触無線通信手段との間で非接触無線通信を行うことで、上記他方の無線通信機器の記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報の有効性を、当該無線通信機器に移行させる指示がなされた際に、上記有効性書き換え手段は、上記記憶手段に記憶されている上記有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換えること
を特徴とする無線通信機器。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信機器であって、
各無線通信機器の間で、相互に近距離無線通信を行うための近距離無線通信手段を有し、
上記近距離無線通信手段を介して上記各無線通信機器間で近距離無線通信を相互に行うことが困難となった際に、上記有効性書き換え手段は、当該無線通信機器が予め定められた所定の無線通信機器であった場合は、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が有効であることを示す有効性識別情報に書き換え、当該無線通信機器が予め定められた所定の無線通信機器以外の無線通信機器であった場合は、上記記憶手段に記憶されている有効性識別情報を、上記契約者情報が無効であることを示す有効性識別情報に書き換えること
を特徴とする無線通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−67509(P2006−67509A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250905(P2004−250905)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】