説明

無線通信システム

【課題】
会員番号を登録した顧客に対し効率よく配車情報を送信でき、平等で、効率の良い配車ができ、また、乗務員の業務効率を向上させるAVMシステムの実現が望まれている。
【解決手段】
基地局と上記基地局に複数の各移動局の情報をポーリングにより収集する方式の無線通信システムにおいて、上記基地局は、中央処理装置および上記中央処理装置に結合される会員登録データベースを有し、上記中央処理装置は、上記移動局から送信される顧客番号に基づいて上記会員登録データベースの会員情報を検索する機能および上記検索された会員情報を上記移動局に送信する機能を有し、上記各移動局は、表示部を有し、上記中央処理装置は、上記基地局から送信される顧客番号の確認後に上記検索された会員情報を上記移動局に送信するように構成される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、ポーリング方式を用いたタクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムにおける無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の発展とともに電波を利用した測位技術は大幅に発展し、今日では人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)測位システムにより、全世界においてGPS受信機単体で誤差10m程度の精度で位置情報を得ることができるようになった。このGPS測位システムは、主にカーナビゲーションや船舶、航空機の航法あるいは測量などに利用されている。また、近年の移動通信システムの発展により、手軽に広域エリアを対象とした移動体データ通信を行うことが可能となっている。このようなGPS測位システムと移動通信システムとが融合して、移動体の位置管理システムや文字伝送システムが実用化され、公衆用無線や業務用無線を通じて宅配車両やタクシーなどの配車効率向上などの目的に利用されている。
【0003】
図5は、GPSを利用したタクシー配車用AVMシステムのブロック図を示す。図5において、501−1、501−2、・・・501−Mは、基地局である。なお、基地局を代表する場合は、基地局501と称する。502は、管理センタであり、複数の基地局501と伝送路503で結ばれている。504−1、504−2、・・・504−Nは、移動局(タクシー)である。なお、移動局を代表する場合は、移動局504と称する。505は、基地局501−1が通信できる通信エリア、所謂、通信ゾーンであり、この通信エリア505内に位置する移動局504と基地局501−1とが通信できることを示している。506は、GPS衛星を示し、各移動局504は、GPS衛星506からの位置情報507を受けて、自車の位置情報(経度、緯度)を入手することができる。なお、管理センタ502からの指示で、各基地局501は、ポーリング信号PO1を各移動局504に送信し、各移動局は、このポーリング信号PO1に応答してポーリング応答信号SR1、SR2、・・・SRnを基地局に送信する。即ち、このシステムにおいては、管理センタ502は、各基地局501からの移動局車両番号指定により通信エリア505内の移動局504を車両番号の順番に車両動態情報を収集する方式である。なお、管理センタ502は、基地局501と一体に構成することもできる。
【0004】
次に、図5で示されるタクシー配車用AVMシステムのポーリング方式について図3に基づいて説明する。図3に示すポーリング方式は、例えば、300台の移動局で構成されるタクシー配車用AVMシステムの無線通信システムにおいて、効率良く移動局504の動態情報を収集する場合を示している。例えば、デジタルSCPC(Single Channel Per Carrier)方式の無線機を用い、データ伝送速度が、例えば、9,600bpsとすると、図3(a)では、ポーリング信号長40msで、300台の移動局に対してポーリングを実施した場合、ポーリング周期Tは、休止期間(0.4秒)を含めて12.4秒となる。300台の移動局であるので、12.4秒に1回の割合で、車両検索ができることになる。なお、この例では、300台の移動局をポーリング信号PO1でポーリングする方法を説明しているが、移動局をいくつかのグループに区分してグループごとにポーリングを行うこともできることは言うまでもない。更に、基地局からのポーリング信号と、移動局からのポーリング応答信号とをそれぞれ別のチャネルで伝送する2チャネル方式のものも実用化されており、この方式を用いることもできることは言うまでもない。
【0005】
さて、このポーリング信号PO1に対して各移動局504−1、504−2、・・・504−N(図3では、N=300台である。)からのポーリング応答信号は、図3(b)に示すように、各移動局からポーリング応答信号SR1、SR2、・・・SR300が所定のタイミングで基地局501に送信される。
【0006】
而して、上述の従来のタクシー配車用AVMシステムでは、移動局の現在位置をGPS衛星により移動局自身が検出して記憶している。そして、基地局からの定期的なポーリング信号に基づいて各移動局は、基地局との間で各移動局の動態位置情報を移動局番号毎に割り当てられた専用の送信スロット(ポーリング応答信号)で返送する。基地局では、全移動局について順にポーリングを行い、全ての移動局の動態位置情報を把握する。なお、基地局は、少なくとも1つあって管理センタに接続されており、管理センタでは、顧客からの配車要求に従い、移動局の動態位置情報から配車に最適な移動局、例えば、顧客に最も近い移動局の検索を行ってタクシー車両の配車を行う。配車を指定された移動局は、顧客の所まで移動し、顧客を乗せるが、この時、顧客は、指定場所を乗務員へ告げ、乗務員は、移動局を運転し、行き先へ向かうのが普通である。
【0007】
このようなタクシー配車用AVMシステムでは、顧客が管理センタへ自分の現在位置を伝え、移動局の配車を要望する。管理センタは、無線操作により移動局を検索し、顧客の現在位置まで移動局を配車する運用を行う。この場合、会員登録をした顧客に対しも、顧客の住所等を無線を用いて、音声で配車管理センタに問い合わせを行うという煩雑さがあり、また、音声での問い合わせ中は、データ伝送等が一時的に止まってしまうという問題がある。また、配車に対しては、会員情報にて対応できるが、会員登録した会員が会員の登録した場所以外から乗車したような場合には、送り先について会員に確認したり、配車管理センタに問い合わせたりする手間が生じるという問題があった。
【0008】
また、従来のこの種システムでは、配車と同時に配車情報、例えば、会員情報等が送信されるため、乗務員(タクシー運転手)が有利になる会員を選ぶため、乗務員に不平等であるばかりか、配車効率も悪くなる等の問題もある。従って、乗務員に手間をかけない、しかも平等で、効率の良い配車ができるAVMシステムを用いた無線通信システムが望まれている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−217092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように従来の技術では、会員番号を登録した会員に対し、音声で無線にて配車管理センタに会員の住所等を問い合わせを行っているため、データ伝送が一時的にとまってしまう。また、従来のシステムでは、配車と同時に会員情報が送信されるため、乗務員が有利になる会員を選ぶため、乗務員に不平等であり、配車効率も悪くなる。したがって、平等で、効率の良い配車ができるAVMシステムを用いた無線通信システムが望まれている。
【0011】
本発明の目的は、配車効率の良い無線通信システムを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、会員登録した会員については、会員情報を移動局に送信できる無線通信システムを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、配車の了解をした移動局に会員情報を送信する無線通信システムを提供することである。
【0014】
本発明の更に他の目的は、乗務員の業務効率を向上させる無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基地局と上記基地局に複数の各移動局の情報をポーリングにより収集する方式の無線通信システムにおいて、上記基地局は、中央処理装置および上記中央処理装置に結合される会員登録データベースを有し、上記中央処理装置は、上記移動局から送信される顧客番号に基づいて上記会員登録データベースの会員情報を検索する機能および上記検索された会員情報を上記移動局に送信する機能を有し、上記各移動局は、表示部を有し、上記中央処理装置は、上記基地局から送信される顧客番号の確認後に上記検索された会員情報を上記移動局に送信するように構成される。
【0016】
また、本発明の無線通信システムにおいて、上記移動局は、更に、地図データベースを有するカーナビ装置を有し、上記会員情報と上記地図データベースに基づいて上記移動局の表示部に会員の行き先ルートを表示するように構成される。
【0017】
また、本発明は、基地局と上記基地局に複数の各移動局の情報をポーリングにより収集する方式の無線通信システムにおいて、上記基地局は、中央処理装置および上記中央処理装置に結合される会員登録データベースを有し、上記中央処理装置は、会員からの配車要求に基づいて上記会員登録データベースの会員情報を検索する機能、上記会員からの配車要求に基づいて所定の範囲に位置する上記移動局を検索する機能、上記移動局の検索により検索された所定台数の移動局に配車要求を送信する機能および上記会員情報を上記移動局に送信する機能を有し、上記基地局から配車要求を受けた上記移動局の内、配車了解ボタンを押下した上記移動局の内、1台の上記移動局に上記会員情報を送信するように構成される。
【0018】
また、本発明の無線通信システムにおいて、上記了解ボタンを押下した上記移動局の内、最も早く押した移動局に上記会員情報を送信するように構成される。
【0019】
また、本発明の無線通信システムにおいて、上記基地局の上記中央処理装置は、記憶部を有し、上記記憶部に上記移動局の乗務員の成績データテーブルを有し、上記成績データテーブルに少なくとも上記移動局の乗務員の上記配車了解ボタンの押下回数を登録すると共に、上記成績データテーブルを適宜更新するように構成される。
【発明の効果】
【0020】
以上、詳述したように本発明によれば、会員登録した顧客に対し、配車管理センタから会員情報が送信されるので、乗務員には極めて便利であり、また、データ伝送等が一時的に止まることもないので、配車効率の良い無線通信システムが実現できる。また、配車の了解をした乗務員に会員情報を送信するので、乗務員が有利になる会員を選ぶというようなこともない。また、乗務員の業務効率を向上させる無線通信システムを実現できる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。なお、本発明で使用する無線通信システム、例えば、タクシー配車用AVMシステムの構成は、図5のシステムと同様であるので、詳細な説明は省略する。図1において、まず、基地局501の送信用無線機を図1(a)を用いて説明する。101は、中央処理装置、102は、記憶部、103は、ポーリング信号生成部、104は、データ送信要求信号発生部、105は、無線機および106は、アンテナである。なお、本実施例では、基地局501−1と管理センター502とは、一体に構成された場合について説明する。また、移動局504の構成を図1(b)を用いて説明する。図1(b)において、107は、アンテナ、108は、無線機、109は、ポーリング信号受信部、110は、データ送信要求信号受信部、111は、スロット設定部、112は、記憶部、113は、料金メータ、114は、データ生成部、115は、カーナビ装置、116は、操作表示部、117は、GPSアンテナを示す。カーナビ装置115は、GPSアンテナ117からの位置情報を検出する位置検出部118および地図データベース119から構成されている。
【0022】
次に、この動作について説明する。まず、基地局501の送信用無線機は、例えば、移動局504からの各種情報を得るための動作を実行する。そのため中央処理装置101の記憶部102では、移動局番号を記憶し、ポーリング信号生成部103で生成された先頭スロットに応答送信させる移動局番号の指定情報を含むポーリング信号と、データ送信要求信号発生部104で生成された移動局へのデータ送信要求信号とを無線機105からアンテナ106を経由して各移動局504へ送信する。
【0023】
この送信用無線機から送信された電波は、移動局504側のアンテナ107を介して無線機108で受信され、このうちポーリング信号は、ポーリング信号受信部109で受信され、スロットの先頭の車輌番号から各移動局の車輌番号が検出される。
【0024】
一方、データ送信要求信号受信部110で基地局501からのデータ送信要求信号を検出する。ポーリング信号受信部109及びデータ送信要求受信部110で検出された信号は、スロット設定部111へ送られる。スロット設定部111は、自局のデータ送信スロットの送信スロット のタイミングを設定する。また、スロット設定部111は、データ送信要求信号受信部110からの信号を継続して監視しており、自局のデータ送信スロットに達した時点でデータ送信要求信号が検出されている場合、データ生成部114を起動して送信すべきデータを無線機108、アンテナ107を経由して基地局501に送信する。
【0025】
なお、データ生成部114は、料金メータ113からの信号によって、例えば、空車/実車を検出してデータを生成する。また、スロット設定部111は、データ送信要求信号受信部110の検出信号がなくなるとリセットされる。カーナビ装置115の位置検出部118は、例えば、GPSシステムにより自車の位置、例えば、経度および緯度を検出する。地図データベース119は、地図データを記憶しており、例えば、位置検出部118で検出された自車の位置、即ち、経度および緯度の情報から地図上に自車の現在地を表示するものである。また、移動局の行き先を地図データベースから検索し、同様に地図上に表示することもできる。なお、カーナビ装置115は、既に良く知られているので、その構成および動作についての詳細な説明は省略する。操作表示部116は、移動局の動作や、必要なデータ入力あるいは基地局からの情報の表示、カーナビ表示等が行われる機能を有する。なお、操作表示部116は、カーナビ装置115と一体に構成することもできる。
【0026】
次に、上述した本発明の一実施例で使用されるポーリング方式は、例えば、図3に示されるポーリング方式と同じである。即ち、図3に示すポーリング方式は、多数台、例えば、数百台の移動局で構成されるタクシー配車用AVMシステム等の無線通信システム、例えば、300台の移動局で構成される無線通信システムにおいて、効率良く移動局504の動態情報を収集する場合を示している。例えば、デジタルSCPC(Single Channel Per Carrier)方式の無線機を用い、データ伝送速度が、例えば、9,600bpsとすると、図3(a)では、ポーリング信号長40msで、300台の移動局に対してポーリングを実施した場合、ポーリング周期Tは、休止期間(0.4秒)を含めて12.4秒となる。300台の移動局であるので、12.4秒に1回の割合で、車両検索ができることになる。なお、この例では、300台の移動局をポーリング信号PO1でポーリングする方法を説明しているが、移動局をいくつかのグループに区分してグループごとにポーリングを行う方法や、基地局からのポーリング信号と、移動局からのポーリング応答信号とをそれぞれ別のチャネルで伝送する2チャネル方式のものも実用化されており、いずれの方法も用いることができる。
【0027】
図4(A)は、ポーリング信号PO1の内容を示したものである。ポーリング信号PO1は、基地局501から移動局504への信号であり、信号種別送信エリア401、ポーリング車番指定送信エリア402および送信要求、配車情報、顧客情報を送信するエリア403で構成され、データ長(ポーリング信号長)は、40msである。
【0028】
次に、このポーリング信号PO1に対して各移動局504からのポーリング応答信号は、図4(B)に示すように、各移動局からポーリング応答信号SR1、SR2、・・・SR300(ポーリング応答信号長40ms)が所定のタイミングで基地局501に送信される。このポーリング応答信号SRは、信号種別送信エリア404、車番情報送信エリア405および会員ID、乗車(降車)時刻、位置等(これらを総称して動態情報という)送信エリア406で構成され、データ長(ポーリング応答信号長)は、40msで構成されている。
【0029】
次に、本発明の動作について図2および図6を用いて説明する。本発明では、予め会員の情報を登録しておくことにより会員からの配車要求に基づいて乗務員に行き先情報まで知らせる無線通信システムを実現するものである。即ち、会員番号確認後に会員情報を乗務員に知らせる実施例である。これについて以下に詳細に説明する。図2は、本発明に用いられる基地局の一実施例を示すブロック図である。図2において、201は、地図データベース、202は、会員登録データベース、203は、表示部および204は、操作部である。なお、図1と同じものには、同じ符号が付されている。図2において、会員登録データベース202は、例えば、タクシー配車用AVMシステムにおいて、会員として登録された顧客の、例えば、自宅位置、会員がよく出かける場所(店、会社等)あるいはゴルフ場の位置等(顧客の行きつけの場所位置等)をテーブルとして記憶している。例えば、表1は、会員として登録された顧客のデータベースをテーブルとして示している。
【0030】
【表1】

【0031】
表1において、A、B、・・・Nは、会員番号(またはID)、(X1、Y2)、・・(Xn、Yn)は、顧客の自宅位置の経度、緯度情報、行き先名は、自宅の住所である。また、(M2、N2)、・・(Mn、Nn)は、顧客の行きつけの場所位置等の経度、緯度情報、行き先名は、会社名、デパート名等で、それぞれ地図データベース上で地図表示できるように(緯度、経度)情報として記憶されている。また、顧客の行きつけの場所位置等は、タクシー会社等で、適宜、顧客サービスの目的からニーズに応じて変更、追加を行うことができる。なお、これらの会員情報は、セキュリテイの観点から使用される無線通信システム内においてのみ使用が許されるように管理されていることは言うまでもない。
【0032】
このような状態で、まず、移動局504、例えば、移動局504−1に会員が乗車したとすると、移動局504−1の乗務員は、会員から会員番号を聞き、移動局504−1の操作表示部116を操作して基地局501−1に会員番号検索要求を送信する(ステップ601)。なお、会員番号は、カード化し、会員のカードからカード読み取り機で読み取ることもできる。会員番号検索要求を受信した基地局501−1(管理センタとして機能している。)の中央処理装置101は、会員番号を受付、会員番号を確認するとともに移動局504−1の車両位置を確認し、確認した移動局504−1に応答信号を送信する(ステップ602)。なお、このとき中央処理装置101では、表示部203に会員情報や位置を表示部203に表示することもできるが、この時点では、まだ、会員情報は、移動局504−1には送信されない。
【0033】
基地局501−1から応答信号を受信した移動局504−1は、会員番号検索受付画面を操作表示部116に表示し、基地局501−1に返信する(ステップ603)。この返信を受信した基地局501−1は、会員情報を送信する(ステップ604)。会員情報を受信した移動局504−1は、基地局501−1から送られた会員情報に基づいて操作表示部116の会員番号検索受付画面に会員情報を表示する(ステップ605)。このように構成すると各移動局504では、会員から会員情報を聞き出す手間が省けるし、会員は、自分の情報を乗務員に知らせる必要もなく、乗務員は迅速に行き先を知ることが可能になる。特に、見知らぬ場所への顧客の移動には便利である。
【0034】
また、先にも説明したが、移動局504−1には、カーナビ装置に地図データベース119を具えているので、基地局501−1から送られた会員情報と地図データベース119からの地図情報に基づいて、例えば、現在地から目標の場所を地図表示することもできる(ステップ606)。図7は、操作表示部116の表示画面の一実施例を示している。図7において、P1は、移動局504−1は、会員を乗せた現在地を示し、P2は、基地局501−1から送られた会員情報(例えば、緯度、経度の情報)に基づいて地図上に表示された目的地であり、そしてRは、最適な走行経路Rを表示している。これによって移動局504−1の乗務員は、容易に目的地P2に顧客を送ることができる。なお、基地局501−1から送られた会員情報は、会員が移動局504−1に乗車中は、基地局501−1で有効であるが、会員が下車した場合、例えば、タクシー料金を支払った場合には、消去される等、会員情報のセキュリテイには、配慮するシステムとすることができる。
【0035】
なお、上記実施例では、移動局504が地図データベース119を具えたカーナビ装置115を具えた場合について説明したが、地図データベース119を設けない移動局504とすることもできる。この場合、移動局504には、基地局501の地図データベース201から地図情報が移動局504に送信され、この情報に基づいて移動局504の操作表示部116に地図表示を行うようにすることもできる。このようにすると移動局504に地図データベース119を設ける必要がなく、移動局504が低コストとなる特徴がある。勿論、この場合も位置検出部118は、移動局504に設けられ、GPS衛星506からの位置情報507を受信し、自局の位置を検出することはいうまでもない。
【0036】
次に、本発明の他の一実施例を図8を用いて説明する。ここで示す実施例は、タクシー乗務員が配車を了解した後に会員情報を送信する実施例である。図8において、まず、基地局501−1(管理センタとして機能している。)に、例えば、公衆回線を介して会員から配車依頼が来た場合、基地局501−1は、会員の配車位置(例えば、現在位置)を確認し、配車位置近傍のタクシー(移動局)を選択し、選択したタクシーに配車要求をする(ステップ801)。即ち、図3でも説明したようにポーリング方式により全タクシー(移動局)の位置が、基地局501−1で把握されているので、依頼のあった会員の配車位置を含む、例えば、半径5KM以内に位置する複数の移動局504、例えば、2台の移動局504−1、504−2が基地局501−1で把握されるので、基地局501−1のオペレータは、2台の移動局504−1、504−2に配車要求を送信する。勿論、これら2台の移動局は、空車であることが前もってポーリングによる動態情報の収集によって把握されている。
【0037】
基地局501−1からの配車要求を受けた2台の移動局504−1、504−2の内、移動局504−1が配車要求を受信し、操作表示部116を操作して了解ボタンを押下する(ステップ802)。了解ボタンを押下した移動局504−1からの応答信号を基地局501−1が受信し、基地局501−1のオペレータは、移動局504−1に配車を決定し、配車位置および会員情報を移動局504−1に送信する(ステップ803)。この場合、配車位置および会員情報は、表1に示す会員情報が基地局501−1の会員登録データベース202からの情報が読み出され、送信される。このように了解ボタンを押下した移動局504−1に、了解ボタン押下後に会員情報を送信する理由は、了解ボタン押下前に、会員情報を送信するとタクシー乗務員が有利な、あるいは、利益になる会員からの配車要求は受けるが、利益にならない会員からの配車要求は、受けないという事態が発生し、配車効率が悪いばかりか、不平等になるという弊害もある。従って、了解ボタン押下後に会員情報を送信することで乗務員自身が会員の選択をできないような配車システムの実現ができる特徴がある。また、最も早く了解ボタンを押した乗務員に配車を割当てることで、乗務員の勤務姿勢も向上する。これについては後述する。
【0038】
会員情報を受信した移動局504−1は、配車情報を取得し、図6で説明したステップ605と同様に基地局501−1から送られた会員情報に基づいて操作表示部116の会員番号検索受付画面に会員情報を表示する(ステップ804)。ステップ805では、ポーリングによる実車、降車の情報がポーリング応答信号で基地局501−1に送信される。
【0039】
ステップ806では、実車、降車の情報等を登録するが、本発明では、上述したデータを元に乗務員の成績データを作成し、乗務員の能力向上を行うことができる。例えば、基地局501−1の記憶部102に表2に示すような乗務員の成績データテーブルが記憶されている。
【0040】
【表2】

【0041】
表2では、乗務員ID(または、乗務員番号)、図8で示す実施例で説明した配車時の了解ボタン押下回数、了解ボタン押下なし回数あるいは次回優先等の項目が設けられており、システムの運用に応じて逐次更新されるようになっている。例えば、乗務員Aで見ると、了解ボタン押下回数は、例えば、1日の累計として、10回、そして了解ボタン押下なし回数は、例えば、1日の累計として、0回を示している。従って、乗務員Aは、仕事が非常に熱心であり、積極的であることが分かる。そのため、例えば、次回、配車の依頼があれば、優先して配車する等の次回優先に○印をつける。一方、乗務員Bは、了解ボタン押下回数は、例えば、1日の累計として、1回、そして了解ボタン押下なし回数は、例えば、1日の累計として、12回を示している。従って、乗務員Bは、仕事に不熱心であり、積極的がないことが分かる。そのため、例えば、次回、配車の依頼があっても、優先して配車しない、即ち、次回優先に×印をつける。
【0042】
このように乗務員の成績データテーブルを基地局501−1の記憶部102に設け、また、ポーリングで得られるデータで常に更新しておく。従って、管理者が定期的にこの成績データテーブルを表示部203に表示すれば、各乗務員の勤務成績や勤務態度を把握することができ、乗務員管理に役立つ無線通信システムを構築することができる。なお、この成績データテーブルの各項目は、各乗務員の管理の仕方、管理の考え方に応じて適宜変更、修正ができることはいうまでもない。
【0043】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムの実施例に限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適応することが出来ることは、言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に使用する基地局および移動局の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の基地局の具体的構成の一実施例を示すブロック図である。
【図3】ポーリング方式のシーケンスを説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例のポーリング信号およびポーリング応答信号を説明するための図である。
【図5】従来の無線通信システムの一例を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施例の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施例の地図表示画面を示す図である。
【図8】本発明の他の一実施例の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0045】
101:中央処理装置、102、112:記憶部、103:ポーリング信号生成部、104:データ送信要求信号生成部、105、108:無線機、106、107:アンテナ、109:ポーリング信号受信部、110:データ送信要求信号受信部、111:スロット設定部、113:料金メータ、114:データ生成部、115:カーナビ装置、116:操作表示部、117:GPSアンテナ、118:位置検出部、119、201:地図データベース、202:会員登録データベース、203:表示部、204:操作部、501:基地局、502:管理センタ、503:伝送路、504:移動局、505:通信エリア、506:GPS衛星、507:位置情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と上記基地局に複数の各移動局の情報をポーリングにより収集する方式の無線通信システムにおいて、上記基地局は、中央処理装置および上記中央処理装置に結合される会員登録データベースを有し、上記中央処理装置は、上記移動局から送信される顧客番号に基づいて上記会員登録データベースの会員情報を検索する機能および上記検索された会員情報を上記移動局に送信する機能を有し、上記各移動局は、表示部を有し、上記中央処理装置は、上記基地局から送信される顧客番号の確認後に上記検索された会員情報を上記移動局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
基地局と上記基地局に複数の各移動局の情報をポーリングにより収集する方式の無線通信システムにおいて、上記基地局は、中央処理装置および上記中央処理装置に結合される会員登録データベースを有し、上記中央処理装置は、会員からの配車要求に基づいて上記会員登録データベースの会員情報を検索する機能、上記会員からの配車要求に基づいて所定の範囲に位置する上記移動局を検索する機能、上記移動局の検索により検索された所定台数の移動局に配車要求を送信する機能および上記会員情報を上記移動局に送信する機能を有し、上記基地局から配車要求を受けた上記移動局の内、配車了解ボタンを押下した上記移動局の内、1台の上記移動局に上記会員情報を送信することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−235781(P2007−235781A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57179(P2006−57179)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】