無線通信端末装置、無線通信方法及びプログラム
【課題】相手が複数の通信先を有する場合に、相手の1つの通信先からその相手の他の通信先へ通信を転送することなく、相手との通信を早期に確立する。
【解決手段】無線通信端末10は、互いに異なる無線通信方式による呼制御を実施する方式別通信処理部(101a,101b,…)を複数有する無線通信処理部101と、ユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェース部104と、連絡相手の名前と連絡相手の複数の通信先の電話番号とを関連付けて管理する情報保存部103と、を備える。連絡相手の名前がユーザインタフェース部104に入力されると、情報保存部103から連絡相手の名前に関連付けられた複数の電話番号が読み出され、読み出された複数の電話番号に対して、無線通信処理部101の各方式別通信処理部が並列して複数発信処理を実行する。
【解決手段】無線通信端末10は、互いに異なる無線通信方式による呼制御を実施する方式別通信処理部(101a,101b,…)を複数有する無線通信処理部101と、ユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェース部104と、連絡相手の名前と連絡相手の複数の通信先の電話番号とを関連付けて管理する情報保存部103と、を備える。連絡相手の名前がユーザインタフェース部104に入力されると、情報保存部103から連絡相手の名前に関連付けられた複数の電話番号が読み出され、読み出された複数の電話番号に対して、無線通信処理部101の各方式別通信処理部が並列して複数発信処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末装置、無線通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末装置としての携帯電話を利用して、外出先から家族に連絡を取りたい場合には、まず家の固定電話に電話をして、誰も出ない場合に、家族の携帯電話にかけたり、またその逆に、まず家族の携帯電話に電話をして、繋がらなかった場合に、家の固定電話にかけ直したりなどする。この場合、複数回、複数地点に電話をかけることになり、連絡を取るまでに時間がかかる場合がある。
【0003】
このような問題の対策として、家庭、事業所、屋外のどこでも使える1台の携帯電話端末に電話をかける場合に、その携帯電話端末が家庭、事業所、屋外のどこにいても、1回の発信操作で済むようにする仕組みがある(例えば、特許文献1参照)。この仕組みでは、着信側の携帯電話端末が、電話番号がそれぞれ異なる家庭用、事業所用、屋外用と通信モードを切り替えると、切り替えた通信モードを公衆網に接続された携帯電話システム制御装置に通知して登録する。そして、登録されていない通信モード用の電話番号への呼び出しが行なわれた際には、携帯電話システム制御装置が、登録されている通信モード用の電話番号に転送して、着信側の携帯電話端末は切り替えた通信モードで着信する。
【特許文献1】特開平8−237742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急性の高い情報のやり取りをする場合には、電話をかける側も、受ける側も、早く通話を開始できることが重要となる。この際、連絡相手が複数の通信先の電話番号を持っている場合には、相手のいる場所は容易には把握できないため、相手のどの電話番号にかけるのが、最も効率良く通話を開始できるのかを考えることは、手間と余計な時間がかかってしまう。さらに、その予想が外れて、電話が繋がらなかった場合には、再度別の電話番号にかけ直さなければならなくなり、早急な連絡を取るのに遅延が生じてしまう。
【0005】
また、特許文献1では、複数の通信モードを持った携帯電話端末以外に、現在のモードによって電話の転送動作をする携帯電話システム制御装置が必要であり、その設置などに費用がかかる。さらに、携帯電話端末を利用する場所に応じて端末のモードを切り替え、その度に公衆網を通じて携帯電話システム制御装置に、モードを切り替えたことを通知しなければならず、手間がかかる。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、相手が複数の通信先を有する場合に、相手の1つの通信先からその相手の他の通信先へ通信を転送することなく、相手との通信を早期に確立することができる無線通信端末装置、無線通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る無線通信端末装置は、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信手段と、
前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信手段と、
通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶手段と、
前記通信相手と通信するときに、前記通信先記憶手段から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出手段と、
前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御手段と、
を備える。
【0008】
また、前記無線通信端末装置において、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記通信先記憶手段は、通信相手毎に、通信相手識別情報と、該通信相手の複数の通信先の電話番号と、を関連付けて記憶し、
前記通信先読出手段は、前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、該通信相手識別情報に関連付けられて前記通信先記憶手段に記憶されている複数の電話番号の中から、所定の第1の電話番号と、該第1の電話番号とは異なる第2の電話番号と、を読み出し、
前記通信制御手段は、前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の電話番号への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の電話番号への発信をさせる、
ようにしても良い。
【0009】
また、前記無線通信端末装置において、
前記入力手段に入力された通信相手識別情報と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の通信状況と、を関連付けて表示する表示手段を備える、
ようにしても良い。
【0010】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信先記憶手段は、通信先の電話番号に関連付けて通信先識別情報を記憶し、
前記表示手段は、
前記通信先記憶手段から、前記第1の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第1の通信手段の通信状況を表示し、
前記通信先記憶手段から、前記第2の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第2の通信手段の通信状況を表示する、
ようにしても良い。
【0011】
また、前記無線通信端末装置において、
前記表示手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段が発信処理を行なっているときに、発信中であることを示す情報を表示し、
前記第1の通信手段又は前記第2の通信手段が通話処理を行なっているときに、通話中であることを示す情報を表示する、
ようにしても良い。
【0012】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、並列した発信に使用する電話番号であるか否かを示す発信設定情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、並列した発信に使用する電話番号であることを示す発信設定情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ようにしても良い。
【0013】
また、前記無線通信端末装置において、
時刻を示す計時手段を備え、
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、該電話番号で通信相手が電話を受ける受信時間情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、前記計時手段が示す時刻を取得し、
該取得した時刻を含む受信時間情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ようにしても良い。
【0014】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信制御手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて少なくとも1つの通信先が応答したか否かを判別する応答判別手段と、
前記応答判別手段により通信先が応答したと判別されたときに、通信先が応答していない通信手段による発信を中止させる発信中止手段と、を有する、
ようにしても良い。
【0015】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信制御手段は、
前記発信中止手段が通信手段による発信を中止させたときに、該通信手段が発信していた通信先に、伝言情報を送信する伝言情報送信手段を有する、
ようにしても良い。
【0016】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記第1の通信手段が出力する第1の通信先からの音声信号と、前記第2の通信手段が出力する第2の通信先からの音声信号と、を合成する音声合成手段と、
前記音声合成手段が合成した音声信号に基づく音声を出力する音声出力手段と、を備える、
ようにしても良い。
【0017】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信先記憶手段は、通信先毎に通信先識別情報を記憶し、
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記通信先記憶手段から、前記第1の通信先及び前記第2の通信先のそれぞれに関連付けられている通信先識別情報を読み出し、表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する通信先識別情報の中からユーザにより選択された通信先識別情報の入力を受け付ける入力手段と、を備え、
前記通信制御手段は、
前記入力手段に入力された通信先識別情報に関連付けられている通信先が応答している通信手段による通信を切断させる通信切断手段を有する、
ようにしても良い。
【0018】
また、本発明の第2の観点に係る無線通信方法は、
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップと、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップと、
を備える。
【0019】
また、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップ、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップ、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップ、
を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、相手が複数の通信先を有する場合に、相手の1つの通信先からその相手の他の通信先へ通信を転送することなく、相手との通信を早期に確立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図11を参照して説明する。
本実施の形態においては、本発明に係る無線通信端末装置の例として、複数通信の同時発信を実施する無線通信端末について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末を用いたシステムの構成例を示す図である。
無線通信端末10は、電話をかける者である発信者が有する携帯電話などの無線通信端末であり、複数の通信機能を持っている。具体的には、無線通信端末10は、複数の無線通信方式で通信する機能を有し、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式や無線LAN(Local Area Network)方式で通信することができる。
【0023】
着信端末20は、電話を受ける者である着信者が有する携帯電話などの無線通信端末である。着信端末20は、例えばCDMA方式で無線通信を行なうことができる。
電話機30は、家屋40に設置してある電話機である。
例えば、着信端末20を有する着信者は、在宅中は電話機30で電話を受け、外出中は、着信端末20で電話を受ける。
【0024】
CDMA基地局50は、CDMA方式で無線通信端末と電波の送受信を行なう基地局である。
無線LANアクセスポイント60は、無線LAN方式での無線通信における中継器である。
通信ネットワーク70は、電話回線網などの通信網である。CDMA基地局50、無線LANアクセスポイント60、電話機30は、この通信ネットワーク70に接続されている。
【0025】
発信者の有する無線通信端末10は、CDMA方式で通信するときには、CDMA基地局50及び通信ネットワーク70を介して、着信端末20又は電話機30と通信する。また、無線LAN方式で通信するときには、無線LANアクセスポイント60及び通信ネットワーク70を介して、着信端末20又は電話機30と通信する。
【0026】
発信者は、緊急性の高い情報のやり取りをする際、1回の操作で相手になるべく早く接続したいものである。
そこで、本実施の形態に係る無線通信端末10は、発信者による1回の発信操作で、複数の通信機能を利用して複数の電話番号に同時に電話発信をし、着信者との通信を早期に確立する。
【0027】
具体的には、発信者が、無線通信端末10を用いて、連絡相手(通信相手)への発信操作を行なうと、無線通信端末10は、連絡相手が複数の電話番号を有する者であるか否かを判別し、複数の電話番号を有する者である場合には、複数の電話番号に同時発信を行なう。
【0028】
例えば、連絡相手が着信端末20又は電話機30で電話を受ける着信者である場合には、無線通信端末10は、CDMA基地局50への発信と無線LANアクセスポイント60への発信とを同時に並列して行なう。そして、CDMA基地局50は、電話番号登録情報に基づき、例えば着信端末20への呼び出し処理を行なう。一方、無線LANアクセスポイント60は、電話番号登録情報に基づき、例えば電話機30の呼び出し処理を行なう。これにより、1回の発信操作で複数の電話番号の発信先が同時に呼び出されることとなり、連絡相手は、例えば外出中には着信端末20で、在宅中には電話機30で電話を受ける。
【0029】
従って、本実施の形態に係る無線通信端末10によれば、連絡相手がどこにいるか判らなくても、電話を転送することなく、連絡相手との通信を早期に確立することができる。
【0030】
次に、無線通信端末10の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末10の構成例を示すブロック図である。
図示するように、無線通信端末10は、中央制御部100、無線通信処理部101、アンテナ102、情報保存部103、ユーザインタフェース部104、音声処理部105、スピーカ106、マイクロフォン107、表示処理部108、表示部109、計時部110、電池111を備え、本実施の形態に必要となる機能を搭載している。
【0031】
中央制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、データの演算処理を行なうと共に、無線通信端末10の全体を制御する。中央制御部100における演算処理及び制御処理は、具体的には、CPUが、RAMを作業領域として使用して各種データを一時的に記憶させながら、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより行なわれる。
【0032】
この中央制御部100が、ROMや後述する情報保存部103などに記憶されているプログラムに従って、無線通信処理部101、情報保存部103、ユーザインタフェース部104、音声処理部105、表示処理部108、計時部110などの無線通信端末10の各部を制御することにより、無線通信端末10において、連絡相手との通信を早期に確立するための処理などが行なわれる。
【0033】
無線通信処理部101は、CDMA、無線LAN、EV−DO(Evolution Data Only)などの複数の通信制御方式を搭載し、各通信制御(呼制御)を行なう。このため、無線通信処理部101は、CDMA方式の無線通信処理を行なうCDMA通信処理部101a、無線LANを用いた無線通信処理を行なう無線LAN通信処理部101bなどの方式別通信処理部を備える。これにより、無線通信処理部101は、複数の無線通信方式による呼制御を並列して同時処理することができる。
【0034】
アンテナ102は、複数の無線通信方式における電波の送受信を行なう。アンテナ102は、無線通信方式毎に備えられており、それぞれ、CDMA通信処理部101a、無線LAN通信処理部101bなどの方式別通信処理部に接続されている。
【0035】
アンテナ102は、電波受信時には、受信した電波を受信信号に変換して、対応する方式別通信処理部に供給する。方式別通信処理部は、供給された受信信号を音声信号の符号化信号に変換する。
また、電波送信時には、方式別通信処理部は、音声信号の符号化信号を、無線通信方式に応じた送信信号に変換して、アンテナ102に供給する。アンテナ102は、方式別通信処理部から供給される送信信号を電波に変換して放射する。
【0036】
情報保存部103は、いわゆる携帯電話で一般的に使用されているアドレス帳のデータなどを保持するメモリ空間である。例えば、情報保存部103は、フラッシュメモリなどで構成され、無線通信端末10の所有者の電話番号などを記憶する所有者情報テーブル201と、連絡相手の連絡先(通信先)の電話番号などを記憶する連絡先情報テーブル202と、を保存する。
【0037】
図3は、情報保存部103に保存されている情報テーブルの例を示す図である。
図3(a)は、無線通信端末10の所有者の情報を記憶する所有者情報テーブル201の例である。図示するように、所有者情報テーブル201は、所有者の名前と、所有者が無線通信端末10内に有している複数の電話番号と、を関連付けて記憶する。例えば、図3(a)に例示した所有者情報テーブル201に基づけば、無線通信端末10の所有者“山田太郎”は、3つの電話番号を用いて無線通信端末10から電話をかけることができ、さらに無線通信端末10で電話を受けることができる。
【0038】
また、所有者情報テーブル201は、電話番号毎に、種別、無線方式などを関連付けて記憶する。種別(通信種別)は、電話番号の分類区分を示す識別情報であり、例えば、携帯電話としての電話番号であることを示す“携帯”、自宅としての電話番号であることを示す“自宅”、会社としての電話番号であることを示す“会社”などがある。
【0039】
無線方式は、電話番号が使用する無線通信方式であり、図3(a)に例示した所有者情報テーブル201においては、例えば、電話番号“090―****―1111”はCDMA通信方式を利用して、“050―****―1112”は無線LANを利用して、“03―****―1113”はEV−DOを利用して、呼制御などを行なう設定となっている。この設定により、CDMA通信処理部101aは、所有者の電話番号“090−****−1111”を発信元の電話番号として無線通信処理を行ない、無線LAN通信処理部101bは、所有者の電話番号“050−****−1112”を発信元の電話番号として無線通信処理を行なう。
【0040】
図3(b)は、連絡相手毎の連絡先の情報を記憶する連絡先情報テーブル202の例である。図示するように、連絡先情報テーブル202は、連絡相手の名前(通信相手識別情報)毎に、その連絡相手の連絡先である電話番号を関連付けて記憶する。この連絡先情報テーブル202に基づき、無線通信端末10は、複数の連絡先への同時発信を行なう。例えば、無線通信端末10の所有者が、連絡相手“花子”と早急に連絡を取りたい場合には、無線通信端末10は、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202に基づき、電話番号“090―****―2221”と“03―****―2222”とに同時発信を行なう。
【0041】
なお、連絡先情報テーブル202には、連絡相手として、個人だけでなく、グループなどを登録することもできる。例えば、連絡相手の名前欄に、グループの名称として“家族”と登録し、電話番号欄に、家族の構成員のそれぞれの電話番号を登録しても良い。
【0042】
また、連絡先情報テーブル202は、電話番号毎に、種別、無線方式、発信設定、受信時間などを関連付けて記憶する。
種別(通信種別)は、連絡先の電話番号の分類区分を示す識別情報(通信先識別情報)であり、例えば、“携帯”、“自宅”、“会社”などがある。
無線方式は、連絡先の電話番号が使用する無線通信方式であり、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202においては、例えば、“花子”の連絡先である電話番号“090―****―2221”はCDMA通信方式を利用して、“03―****―2222”は無線LANを利用して、受信などを行なうことが示されている。
【0043】
発信設定は、電話番号が同時発信対象であるか否かを示す設定情報であり、所有者などによってあらかじめ設定される。例えば、同時発信に使用される電話番号には“1”が設定され、同時発信に使用されない電話番号には“0”が設定される。
受信時間は、電話番号毎の受信可能な時間であり、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202においては、例えば、“家族”の連絡先である電話番号“090―****―3331”には受信時間は設定されておらず、“050―****―3332”は21時から6時まで電話を受信し、“03―****―3333”は9時から20時まで電話を受信することが示されている。
【0044】
このように、情報保存部103は、所有者情報テーブル201及び連絡先情報テーブル202を保存することにより、無線通信端末10の所有者の電話番号情報や無線方式情報を有し、また、発信相手先の情報をアドレス帳の情報形式(名称(名前)、通信先番号(電話番号)など)で持つ。さらに、情報保存部103は、同時発信をするかどうかの発信設定や、発信する際の無線方式などの設定などの設定情報を有する特徴をもつ。
また、情報保存部103は、上述した情報以外にも、データ、プログラムなどの様々な情報を保存する。
【0045】
ユーザインタフェース部104は、数字や文字を入力するための英数字キー、十字カーソルキー、機能などを指定するためのボタンなどから構成され、無線通信端末10の所有者(ユーザ)によって操作される。ユーザインタフェース部104は、通信における発信動作や切断処理などのユーザからの動作指示の入力を受け付け、また、発信先の電話番号や電子メールアドレスなどのユーザからの情報の入力を受け付ける。
【0046】
なお、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からの入力情報に応じて、情報保存部103に記憶されているデータの入力・更新・削除などをする。また、無線通信処理部101は、ユーザインタフェース部104にユーザからの発信要求が入力されると、情報保存部103に記憶されている情報を元に、通信を行なう。また、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からの入力情報に基づき、情報保存部103に記憶されている情報を検索し、情報の照合を行なうこともできる。
【0047】
音声処理部105は、無線通信処理部101で音声通話が確立された場合に、復号化処理、符号化処理、ダイナミックレンジ調整、デジタル・アナログ変換などを行ない、オーディオ信号と符号化信号とを接続する経路となる。
具体的には、音声処理部105は、無線通信処理部101から供給される符号化信号を、復号化、アナログ信号へ変換などして、オーディオ信号に変換し、スピーカ106に供給する。また、音声処理部105は、マイクロフォン107から供給されるオーディオ信号を、デジタル信号へ変換、符号化などして、符号化信号に変換し、無線通信処理部101に供給する。
【0048】
スピーカ106は、音声処理部105から供給されるオーディオ信号に基づき、音声通話における着話音声や着信音などを出力する。マイクロフォン107は、音声通話時のユーザの発話音声を入力し、オーディオ信号として音声処理部105に供給する。スピーカ106やマイクロフォン107を介してユーザは音声通話をすることができる。
【0049】
表示処理部108は、通信時には、無線通信処理部101から供給される情報に基づき、通信状況を表示部109に表示させための表示処理を行なう。例えば、表示処理部108は、無線通信処理部101が発信処理を行なっているときには“発信中”と、通話処理を行なっているときには“通話中”と、切断処理を行なっているときには“切断中”と、表示部109に表示させる。
また、表示処理部108は、情報保存部103に保存されているアドレス帳の情報をユーザが閲覧するための表示処理、ユーザが発信時に電話番号を確認しながら入力する場合の表示処理、電池残存量の確認のための表示処理などを制御する。
【0050】
表示部109は、表示処理部108で制御された表示情報の表示を行なうデバイスである。表示部109は、例えば、携帯電話で利用されている、液晶ディスプレイや有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイなどの表示装置である。
【0051】
計時部110は、日付や時刻を刻むものであり、時計回路などを備える。
電池111は、ユーザが無線通信端末10を持って移動する場合に、無線通信端末10を駆動するのに必要となる電力を供給する。
【0052】
ユーザは、上記で構成された無線通信端末10において、ユーザインタフェース部104を介して、複数の連絡相手(名称(名前))の連絡先情報(電話番号など)をあらかじめ入力しておく。入力された情報は、情報保存部103の連絡先情報テーブル202に保持される。
【0053】
ユーザが1つの電話番号を特定して電話をする場合には、情報保存部103の連絡先情報テーブル202に保存されている連絡先情報の中から1つの電話番号を選択するか、または、ユーザインタフェース部104から直接電話番号を入力することにより、電話発信をする。
無線通信端末10における通信状況の表示は、表示処理部108により制御され、表示部109に表示される。音声通話が確立した場合には、音声処理部105において、音声情報に符号化、ダイナミックレンジ調整などの処理が施されることにより、スピーカ106やマイクロフォン107を介して音声通話が可能となる。
【0054】
本実施の形態に係る無線通信端末10の無線通信処理部101は、前述したように、複数の無線通信方式を同時に利用することができる構成となっている。
そこで、無線通信端末10における、連絡相手との通信を早期に確立するための通信処理の動作を説明する。
【0055】
図4は、本実施の形態に係る無線通信端末10における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
このフローチャートは、ユーザにより発信要求の操作が行なわれると、開始される。
【0056】
そのため、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からの発信要求を受け付け、発信要求があったか否かを判別する(ステップS101)。具体的には、中央制御部100は、連絡を取りたい相手の名前とその相手への発信を要求する旨の情報とが、ユーザインタフェース部104に入力されたか否かを判別する。これらの入力は、例えば、中央制御部100が、連絡先情報テーブル202に記憶されている連絡相手の名前の一覧を表示部109に表示させ、ユーザが、その中から連絡を取りたい相手の名前を選択し、発信を要求するための発信ボタンなどを押すことにより行なう。
発信要求がない場合には(ステップS101;No)、中央制御部100は、発信要求があるまで待つ。
【0057】
発信要求があった場合には(ステップS101;Yes)、中央制御部100は、複数の通信先に対して同時発信を行なうか否かを判別する(ステップS102)。具体的には、中央制御部100は、ステップS101での発信要求に含まれる連絡相手の名称(名前)と情報保存部103内の連絡先情報テーブル202の情報とを照合し、連絡相手に発信先(連絡先)情報が複数存在するか、複数存在した場合に、同時に発信することを示す設定情報があるかどうかなどを確認することにより、発信対象となる連絡先(電話番号)が複数存在するか否かを判別する。そして、発信対象の電話番号が複数ある場合には、中央制御部100は、同時発信を行なうと判別し、発信対象の電話番号が1つしかない場合には、同時発信を行なわないと判別する。
【0058】
ここで、ステップS102で実行される同時発信判別処理について説明する。
図5は、同時発信判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、中央制御部100は、連絡相手の連絡先が複数あるか否かを判別する(ステップS201)。具体的には、中央制御部100は、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202において、図4のステップS101での発信要求に含まれる連絡相手の名称(名前)に、複数の連絡先の電話番号が関連付けられているか否かを判別する。
【0059】
連絡相手の連絡先が複数ある場合には(ステップS201;Yes)、中央制御部100は、その複数の連絡先の中に、発信設定が有効になっている連絡先が複数あるか否かを判別する(ステップS202)。具体的には、中央制御部100は、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202を参照して、複数の連絡先の電話番号の中に、発信設定が有効であることを示す“1”に設定されている電話番号が複数存在するか否かを判別する。
【0060】
発信設定が有効になっている連絡先が複数ある場合には、(ステップS202;Yes)、中央制御部100は、その発信設定が有効になっている複数の連絡先の中に、現在の時間が受信時間内である連絡先が複数あるか否かを判別する(ステップS203)。具体的には、中央制御部100は、計時部110から現在の時間を取得する。そして、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202を参照して、発信設定が有効になっている複数の連絡先の電話番号の中に、受信時間の設定がされている電話番号がある場合には、現在の時間が受信時間内であるか否かを判別する。なお、受信時間が設定されていない電話番号は、いつでも受信できるものとし、受信時間内であると判別する。このようにして、中央制御部100は、発信設定が有効になっている複数の電話番号の中に、現在の時間が受信時間内である電話番号が複数あるか否かを判別する。
【0061】
現在の時間が受信時間内である連絡先が複数ある場合には(ステップS203;Yes)、中央制御部100は、同時発信すると判別し(ステップS204)、この同時発信判別処理を終了する。つまり、中央制御部100は、連絡相手の連絡先の電話番号の中に、発信設定が有効で且つ受信時間内である電話番号が複数ある場合には、これらの電話番号を同時発信対象とする。
【0062】
一方、ステップS201で連絡相手の連絡先が複数存在しないと判別された場合(ステップS201;No)、または、ステップS202で発信設定が有効になっている連絡先が複数存在しないと判別された場合(ステップS202;No)、または、ステップS203で現在の時間が受信時間内である連絡先が複数存在しないと判別された場合には(ステップS203;No)、中央制御部100は、同時発信しないと判別し(ステップS205)、この同時発信判別処理を終了する。
【0063】
このように、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からユーザによる発信要求を受信した際に、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202の設定を参照し、同時発信をする複数の電話番号があるか否かを判別する。そして、ある場合には、その複数の電話番号に同時に電話発信を行なう。
【0064】
図4に戻り、ステップS102で同時発信を行なうと判別した場合には(ステップS102;Yes)、中央制御部100は、同時発信対象の複数の電話番号を取得する(ステップS103)。具体的には、中央制御部100は、前述の同時発信判別処理において同時発信対象とされた連絡相手の複数の電話番号を、情報保存部103の連絡先情報テーブル202から読み出して、取得する。
【0065】
次に、中央制御部100は、無線通信処理部101を制御して、同時発信対象の複数の電話番号に対して、各方式別通信処理部101a,101b,・・・を用いて、同時発信処理を行なう(ステップS104)。
【0066】
例えば、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202に記憶されている連絡相手“花子”にユーザが連絡を取りたい場合であって、発信対象の電話番号が、“090―****―2221”と“03―****―2222”とである場合には、中央制御部100は、例えば、CDMA通信処理部101aに電話番号“090―****―2221”への発信をさせ、無線LAN通信処理部101bに電話番号“03―****―2222”への発信をさせる。
【0067】
なお、この同時発信処理に際して、発信対象の電話番号の数が、方式別通信処理部の数より少ない場合に、無線通信処理部101のどの通信制御方式を選択するかの手法は、複数ある。例えば、順番に方式別通信処理部を選択する手法や、各方式別通信処理部101a,101b,・・・の電波強度を比較して電波強度の高い順に方式別通信処理部を選択する手法や、利用可能な方式別通信処理部の中でユーザの利用頻度が高い方式別通信処理部を優先的に選択する手法や、ランダム関数を利用して選択する手法などがある。
【0068】
また、この同時発信処理に際して、発信対象の電話番号の数が、方式別通信処理部の数より多い場合には、方式別通信処理部の数と同数の電話番号を、例えば連絡先情報テーブル202からの読み出し順に抽出し、同時発信処理を行なう。また、連絡先情報テーブル202を参照して、電話番号に関連付けられた無線方式情報を取得し、方式別通信処理部に、同じ無線通信方式の電話番号を優先的に割り当てて、複数の電話番号への同時発信処理を行なうようにしても良い。
【0069】
次に、中央処理部100は、表示部109に発信中状況を表示させる(ステップS105)。具体的には、中央処理部100は、発信中の状況、発信中の発信先(連絡先)情報や発信中のユーザの電話番号などを表示処理部108に通知して、表示部109に表示させる。
さらに、中央処理部100は、音声処理部105に対して呼び出し音通知を行ない、スピーカ106から呼び出し音を発生させる(ステップS106)。
【0070】
次に、中央制御部100は、同時発信している各方式別通信処理部101a,101b,・・・において、1つの接続が成功したかどうかを判定する(ステップS107)。
ステップS107にて1つの接続が成功した場合には(ステップS107;Yes)、中央制御部100は、接続が成功した方式別通信処理部での通信を確立し、ユーザと連絡相手との間で音声通話が行なわれる(ステップS108)。具体的には、接続が成功した方式別通信処理部と音声処理部105との間で音声データの送受信が行なわれ、通話が接続される。
【0071】
このように、中央制御部100は、無線通信処理部101において、最初に接続できた電話番号との通話を開始する。ここで、通話が接続または確立されるとは、発信者からの発信に対し、基地局やアクセスポイントが、発信相手先に対し呼び出し通知を行ない、この呼び出しに相手が応答して、発信者と着信者の間で会話が始まったことを示す。
従って、通信発信者は、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信操作で、通信を早期に確立することができる。
【0072】
そして、複数の地点に同時に発信して、どちらかが先に接続された場合には、中央制御部100は、先に接続された通信方式に適合する符復号化を選択する。これにより、早期に接続された呼を優先して通話させることができる。
【0073】
次に、中央制御部100は、まだ接続が完了していない発信を中止させる処理を無線通信処理部101において行なう(ステップS109)。これにより、不要な発信処理による消費電力を低減でき、着信者への不要な呼び出しを軽減できる。また、ユーザは、早く接続された電話番号で連絡相手と連絡がとることができ、連絡相手は、他の電話番号での呼び出しに応じる手間を軽減することができる。
【0074】
次に、中央制御部100は、表示部109に通話中状況を表示させる(ステップS110)。具体的には、中央処理部100は、通話中の状況、通話中の通話先(連絡先)情報や通話中のユーザの電話番号などを表示処理部108に通知して、表示部109に表示させる。
【0075】
ステップS107にて接続が1つも成功していない場合には(ステップS107;No)、ステップS105に戻り、中央制御部100は発信中状況の表示などを継続し、接続が成功するまで待つ。
なお、ここで、連絡先が話し中であったり、連絡先の無線通信端末が電波の受信圏外であったりした場合には、各方式別通信処理部101a,101b,・・・において、リトライ処理または通信切断処理を実施し、その状況を表示処理部108へ通知して、表示部109に表示させるようにしても良い。
【0076】
ユーザと通信相手との間で音声通話が開始されて、ステップS110で通話中状況が表示されると、中央制御部100は、通信切断指示があるか否かを判別する(ステップS111)。具体的には、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104に、ユーザによる通信切断の指示が入力されたか否かを判別する。例えば、ユーザは、ユーザインタフェース部104における通話終了ボタンなどを押すことにより、通信切断の指示を入力する。
【0077】
通信切断指示がない場合には(ステップS111;No)、ステップS110に戻り、中央制御部100は通話中状況の表示を継続し、通信切断指示があるまで待つ。
【0078】
通信切断指示があると(ステップS111;Yes)、中央制御部100は、無線通信処理部101を制御して、連絡先と接続している方式別通信処理部における通信を切断し(ステップS112)、表示部109に切断中状況を表示させ(ステップS113)、この通信処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS102にて、同時発信を行なわないと判別した場合には(ステップS102;No)、中央制御部100は、発信対象である1つの電話番号を取得する(ステップS114)。
【0080】
続いて、中央制御部100は、無線通信処理部101を制御して、取得した1つの電話番号に対して、いずれか1つの方式別通信処理部を用いて、発信処理を行なう(ステップS115)。
無線通信処理部101のどの通信制御方式を選択するかの手法としては、例えば、情報保存部103に、同時発信を行なわない場合の通信制御方式をあらかじめ設定しておく手法などがある。
【0081】
次に、中央制御部100は、表示部109に発信中状況を表示させる(ステップS116)。具体的には、中央制御部100は、発信中の状況、発信中の発信先情報や発信中のユーザの電話番号などを表示処理部108に通知して、表示部109に表示させる。
さらに、中央処理部100は、音声処理部105に対して呼び出し音通知を行ない、スピーカ106から呼び出し音を発生させる(ステップS117)。
【0082】
次に、中央制御部100は、発信処理を行なっている方式別通信処理部において、接続が成功したかどうかを判定する(ステップS118)。そして、接続が成功しなかった場合には(ステップS118;No)、ステップS116に戻り、中央制御部100は発信中状況の表示などを継続し、接続が成功するまで待つ。
【0083】
ステップS118にて接続が成功した場合には(ステップS118;Yes)、中央制御部100は、発信処理を行なった方式別通信処理部での通信を確立し、ユーザと連絡相手との間で音声通話が行なわれる(ステップS119)。
続いて、ステップS110に進み、通話中状況の表示が行なわれる。
【0084】
以上説明した通信処理のシーケンスにより、本実施の形態に係る無線通信端末10は、情報保存部103を参照し、同時発信設定がされている連絡相手の名称(名前)に関連付けられている複数の電話番号に対して、複数の無線通信制御を用いて、同時に発信することができる。また、発信状況や通話状況が表示処理部108へ通知されることにより、発信者は、表示により通信の状況を認識することができる。これにより、通信発信者が、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信要求を行なうだけで、無線通信端末10は、ユーザの設定に従った同時発信処理を行なうことができ、また、同時発信をすることで、通信を早期に確立することができる。
【0085】
次に、図4のステップS105において表示部109に表示される発信中状況について、説明する。
図6は、発信中状況の表示例を示す図である。
中央制御部100は、無線通信処理部101にて同時発信がされている際に、表示処理部108を制御して、表示部109に発信中状況を表示させる。
【0086】
例えば、ユーザが、情報保存部103に保存されている連絡先情報テーブル202から名前“一郎”を選択し、発信操作を行った場合には、実際には無線通信処理部101において複数の電話番号への発信が行なわれている。
図6(a)は、単に、“一郎”に対して発信中であることを表示し、複数の電話番号に発信されていることを表示しない例である。この場合には、連絡相手の名前と、発信中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような発信中表示は、ユーザがどの通信方式を利用しているかを気にしない場合に、ユーザにとって判り易い表示であり、利便性向上の効果がある。
【0087】
図6(b)は、同時に発信している連絡先の電話番号の種別を表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、発信中の種別名に関連付けられた発信中である旨の情報と、が表示部109に表示される。
また、図6(c)は、“一郎”の全ての連絡先の種別を表示し、その中で、どの連絡先に同時に発信しているかを表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、連絡相手の全ての連絡先の種別名と、が表示部109に表示され、さらに、発信中の種別名と発信中でない種別名とが区別して表示される。
【0088】
図6では、ハッチング部分が点滅する様子を示している。そのため、図6(c)では、“携帯”及び“自宅”の文字が点滅して、“一郎”の連絡先の種別“携帯”及び“自宅”の電話番号に同時発信されていることが示されると共に、種別“会社”の電話番号には発信されていないことが示されている。
図6(b)や図6(c)のような発信中表示により、ユーザは、どの連絡先の電話番号に発信されているのかが判り、発信者(ユーザ)が発信先を意識できる効果がある。
【0089】
次に、図4のステップS110において表示部109に表示される通話中状況について、説明する。
図7は、通話中状況の表示例を示す図である。
中央制御部100は、無線通信処理部101にて通話が確立している際に、表示処理部108を制御して、表示部109に通話中状況を表示させる。
【0090】
例えば、“一郎”の複数の電話番号への同時発信により、図4のステップS107で1つの発信に対する接続が成功すると、ステップS108で通話が確立し、ステップS109で他の発信中の発信は中止される。
図7(a)は、単に、“一郎”と通話中であることを表示し、どの電話番号で接続ができたかなどを区別せずに、ユーザに接続先(発信先)の電話番号や通信種別を表示しない例である。この場合には、連絡相手の名前と、通話中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような通話中表示は、通話にどの電話番号が利用されているかをユーザが気にしない場合に、ユーザにとって判り易い表示であり、利便性向上の効果がある。
【0091】
図7(b)は、どの電話番号で接続されたか区別して、接続された電話番号の通信種別を表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、通話中の種別名に関連付けられた通話中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような通話中表示により、ユーザは、どの電話番号で通話しているのかが判り、発信者(ユーザ)が発信先を意識できる効果がある。
【0092】
また、この通話中表示を、図6に示した発信中表示と適宜組み合わせるようにしても良い。例えば、発信中は、発信先の電話番号を区別せずに、図6(a)に例示したように連絡相手の名前に対して発信中という表示を行ない、通信が確立した後は、図7(b)に例示したように通信先(連絡先)の種別を区別した表示をしても良い。このような表示は、ユーザが、発信中はどこに発信していても気にしないが、実際に通信接続が成功した場合にはその通信種別を知りたいという場合に、ユーザの要求を満たす効果がある。
【0093】
図7(c)は、複数の電話番号に同時発信をした結果、先に接続した通話を通話中として、まだ接続できていない発信に関しては、切断処理をしている旨を表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、通話中の種別名に関連付けられた通話中である旨の情報と、切断中の種別名に関連付けられた切断中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような通話中表示は、どの電話番号に接続できていて、どの電話番号への発信を止めたという状況を、ユーザが認識できる効果がある。
【0094】
次に、図3に示した所有者情報テーブル201及び連絡先情報テーブル202について、詳しく説明する。
図3(a)に示した所有者情報テーブル201には、所有者の名称(名前)と所有者が有する発信電話番号とが関連付けられており、電話番号の種別や、電話番号から発信をする場合の無線通信方式などが設定されている。中央制御部100が、この所有者情報テーブル201を参照して、所有者情報テーブル201に記録されている複数の発信電話番号を発信元として、無線通信処理部101に同時発信させることにより、発信者は簡単な操作で同時に複数の連絡先の電話番号に発信することができる。
【0095】
この所有者情報テーブル201における発信電話番号と無線通信方式との関連付けは、ユーザインタフェース部104を用いて使用者が入力、更新、削除することができる。これにより、使用者の都合に応じて、発信電話番号と無線通信方式を使い分けることができる。なお、電話番号は、IPアドレスのような番号で管理されても良い。
【0096】
また、同時発信に使用する発信電話番号の優先度を、使用者がユーザインタフェース部104を用いて設定しても良い。また、情報保存部103に保存されている所有者情報テーブル201の情報は、無線通信端末10の電波強度状況に合わせて、書き換えられても良い。例えば、発信者が設定した優先度の高い発信電話番号に、電波強度の強い無線通信方式を関連付けて、所有者情報テーブル201に記録し、情報保存部103に保存しておく。これにより、発信者が設定した電話番号での接続率が向上する効果がある。
【0097】
また、所有者情報テーブル201において、発信電話番号毎に、発信者が発信に使用する時刻(時間)を設定するようにしても良い。これにより、使用者の都合に応じた時刻(時間)で、発信電話番号を使い分けることができる。
【0098】
図3(b)に示した連絡先情報テーブル202は、発信者が登録した、発信先のリストであり、ユーザインタフェース部104を用いて、書き換え、更新、削除などが可能である。
この連絡先情報テーブル202により、発信者は、連絡相手への発信という1回の操作を実行することで、その連絡相手の名称(氏名)に関連付けられた電話番号への複数同時発信を行なうことができ、接続率向上と接続までの時間短縮の効果がある。
【0099】
また、この連絡先情報テーブル202では、各電話番号に無線通信方式が関連付けられている。そこで、電話番号と無線通信方式とを連動させて、無線通信端末10が同時発信を行なうようにしても良い。例えば、ユーザが家族の誰かと早急に連絡を取りたい時には、連絡先情報テーブル202における“家族”の名称を選択する。この時、連絡先情報テーブル202において、“家族”に関連付けられた電話番号“090−****−3331”にはCDMA通信方式、電話番号“050−****−3332”には無線LAN通信方式が設定されている。そこで、発信者が“家族”を選択して発信すると、無線通信処理部101では、CDMA通信方式による呼制御を実行して“090―****―3331”への発信をし、同時に、無線LAN通信方式による呼制御を実行して“050−****−3332”へ発信をする。なお、電話番号“03−****−3333”には、発信設定として“0”が設定されており、同時発信対象ではないことを示しているため、“家族”が選択されても同時発信はしない。
【0100】
これにより、発信者は“家族”への発信という1回の操作を実行することで、それに関連付けられた電話番号への複数同時発信を無線通信方式に連動させて行なうことができる。
また、発信設定の情報により、名称に関連付けられた電話番号の全てに発信するのではなく、ユーザがあらかじめ選択した電話番号で発信することができ、利便性向上に効果がある。
【0101】
また、同時に発信する際に、同じ無線方式が選択された場合には、無線通信端末10は、重ならない方式別通信処理部を選択する。これにより、一つの方式別通信処理部に複数の発信が重なって、複数の電話番号に発信できない場合には、他の利用可能な方式別通信処理部を利用するため、同時発信を実施でき、接続率を向上できる効果がある。
【0102】
また、発信側の無線通信端末10は、複数の方式別通信処理部毎に、発信者電話番号を有しているため、連絡先情報テーブル202を用いて、発信する相手にどの電話番号を教えてあるかの情報を管理するようにしても良い。これは、相手に教えていない自分の電話番号から、発信元の電話番号が表示される通信端末に発信した場合に、着信者が誰からの電話かを認識できずに、電話を取らない場合があるためである。このため、あらかじめ、連絡先情報テーブル202に、連絡先の電話番号と、その連絡先に教えてある発信者電話番号と、を関連付けて記憶させておき、複数の電話番号への同時発信時に、各電話番号に関連付けられている発信者電話番号から発信する。これにより、相手に教えてある電話番号で発信することができ、通話を早期に可能にする効果や、発信する相手によって自分の電話番号を使い分けられる効果があり、利便性が向上する。
【0103】
また、特に緊急を要する通信の場合には、無線通信端末10は、連絡先情報テーブル202における無線方式、発信設定、受信時間などの設定情報を無視して、発信できうる全ての発信を試みても良い。例えば、ユーザインタフェース部104に、連絡相手の氏名と共に特に緊急を要する旨の情報が入力された場合には、無線通信端末10は、入力された氏名に関連付けられている全ての電話番号を、連絡先情報テーブル202から読み出し、読み出した電話番号への同時発信を行なう。これは、相手の都合よりも緊急性を優先した通話を求める場合に効果がある。
【0104】
また、連絡先情報テーブル202において、名称(名前)と電話番号に関連付けられる項目に、電子メールアドレス、端末のアドレス、PCのIPアドレスなどを含めても良い。この場合、例えば、無線通信端末10は、音声通話が繋がらなかった時に、連絡先情報テーブル202において電話番号に関連付けられている電子メールアドレスなどに、早急に連絡を欲しい旨のメールを送信する。また、電話での発信とメールでの発信とを同時に行なうようにしても良い。これにより、連絡相手の自宅のPCなどに直接メッセージを送ることや、音声発信と同時にデータの発信を行なうことができ、連絡を早期にとれる可能性が高まる効果がある。
【0105】
また、相手が電話に出なかった場合に、その電話番号に関連付けられた電子メールアドレスなどに対し、発信の理由を通知することができ、利便性向上に効果がある。
【0106】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202においては、名前“家族”に、家族の構成員のそれぞれの電話番号が関連付けて記憶されている。
このため、無線通信端末10の所有者が、例えば、緊急に家族と連絡を取りたい場合には、家族の構成員の複数の電話番号に同時発信され、家族の構成員がそれぞれ電話を取る可能性がある。そして、その場合には、複数の通話を確立させることで、無線通信端末10の所有者は、電話を取った家族に、例えば同一の用件を伝えることができる。
【0107】
そこで、無線通信端末10において、複数の電話番号への同時発信に対して、1つの接続が成功しても、接続が成功していない他の発信を中止しない場合について、説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信端末10における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。この図8では、説明を簡単にするために、始めから同時発信が要求される場合について説明する。
【0108】
ユーザにより同時発信が要求されると、この通信処理が開始され、中央制御部100は、同時発信対象の複数の電話番号を取得する(ステップS301)。例えば、ユーザインタフェース部104に連絡相手の名前が入力されると、中央制御部100は、連絡先情報テーブル202を参照し、連絡相手の名前に関連付けられている電話番号の中から、発信設定や受信時間の条件を満たす電話番号を抽出し、同時発信対象として取得する。
なお、連絡先情報テーブル202を参照せずに、例えば、ユーザインタフェース部104に入力される複数の電話番号を、同時発信対象としても良い。
【0109】
次に、中央制御部100は、図4のステップS104〜S106と同様に、各方式別通信処理部101a,101b,・・・を用いて複数の電話番号に同時発信を行ない(ステップS302)、表示部109に発信中状況を表示させ(ステップS303)、呼び出し音を発生させる(ステップS304)。
【0110】
続いて、中央制御部100は、方式別通信処理部1〜N毎に、通信の接続から切断までの処理を並列して実行する。ここでは、無線通信処理部101が、N個の方式別通信処理部1〜Nを有しているものとし、代表して、方式別通信処理部1での通信処理について説明する。
まず、中央制御部100は、方式別通信処理部1での接続が成功したか否かを判別し(ステップS305)、成功していない場合には(ステップS305;No)、ステップS303に戻って発信中状況の表示を継続する。
【0111】
方式別通信処理部1での接続が成功した場合には(ステップS305;Yes)、中央制御部100は、図4のステップS108と同様の処理により、方式別通信処理部1での通信を確立して音声通話を行う(ステップS306)。
次に、中央制御部100は、図4のステップS110と同様の処理により、表示部109に方式別通信処理部1での通話中状況を表示させる(ステップS307)。
【0112】
そして、中央制御部100は、方式別通信処理部1での通信に対する切断指示があるか否かを判別し(ステップS308)、通信切断指示がない場合には(ステップS308;No)、ステップS307に戻って通話中状況の表示を継続する。
【0113】
方式別通信処理部1での通信に対する切断指示があった場合には(ステップS308;Yes)、中央制御部100は、方式別通信処理部1での通信を切断し(ステップS309)、表示部109に切断中状況を表示させて(ステップS310)、方式別通信処理部1での通信処理を終了する。
【0114】
無線通信端末10においては、このステップS305〜S310の処理が、方式別通信処理部1〜Nのそれぞれにおいて、並列して実行される。
無線通信処理部101において、複数の通信が確立された場合には、音声処理部105において、複数の音声をミキシング等により合成して同時に複数の地点と通話できるようにする。これにより、例えば“家族”でグループ化されたメンバに対して、同じ情報を伝える時や、緊急連絡をする場合に、同時に複数の相手に情報を伝えることができる。
【0115】
このように、本実施の形態に係る無線通信端末10は、複数の連絡先との通信を同時に確立することができ、ユーザは複数の相手と同時に通話することができる。
このため、本実施の形態によれば、複数の相手との通信を早期に確立することができると共に、ユーザは、複数の相手に連絡の用件を早期に伝えることができる。
【0116】
また、本実施の形態に係る無線通信端末10においては、複数の電話番号に同時発信をして、複数の接続先と接続できた場合に、接続先毎に通信を切断するかどうかをユーザに問い合わせる。そして、ユーザは、どれを切断するかを、ユーザインタフェース部104を介して選択する。
【0117】
図9は、そのような選択を行うための通話中状況の表示例を示す図である。
図示するように、例えば、“家族”への同時発信により、種別“携帯”及び“自宅”の電話番号との接続が成功した場合には、表示部109に、種別毎の通話中状況が表示されると共に、“切断する通話を選択”と表示される。ユーザが、種別毎の通話中表示の中から、ユーザインタフェース部104におけるキー入力で、切断する通話を選択すると、中央制御部100は、選択された通話を切断する。
【0118】
このような通話中表示により、例えば、複数の連絡先に用件を伝え終わって同時に複数の人と話す必要がなくなった場合に、ユーザ主導で切断する通話を選択することができるため、通話したい相手との通話音以外を除去でき、より通話をし易くすることができる。また、通話の切断により接続数が減り、電力消費を低減できる効果がある。
【0119】
また、本実施の形態においては、複数の発信が同時に接続した場合に、その状況が表示部109に表示され、ユーザは、ユーザインタフェース部104において、どの通話を優先させるかを選択することができる。また、ユーザは、ユーザインタフェース部104を用いて、優先させなかった通話を保留にするか、切断するかを選択することができる。これらにより、通信発信者は、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信操作で、通信を早期に確立することができると共に、通話を選択することができる。
【0120】
次に、本実施の形態における音声処理について説明する。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信端末10における音声処理部105の構成の一例を示す図である。
図10(a)は、各方式別通信処理部から音声信号が入力される場合の音声処理部105の構成例であり、図10(b)は、各方式別通信処理部へ音声信号を出力する場合の音声処理部105の構成例である。
【0121】
図10(a)に示す音声処理部105において、復号化器部301は、複数の復号化器を備え、無線通信処理部101から入力される符号化信号を復号化する。各復号化器は、各方式別通信処理部(CDMA通信処理部101a、無線LAN通信処理部101b、…)での符号化方式に対応しており、方式別通信処理部のそれぞれから送信されてくるデジタル符号化された音声情報を、復号化した音声信号に変換する。
【0122】
多重化器302は、復号化器部301の各復号化器から出力される音声信号を多重化により合成する。
レンジ調整部303は、各方式別通信処理部から入力される音声情報のダイナミックレンジを調整し、多重化器302における多重化の際に、音声レベルを平準化する。
D/A変換部304は、多重化器302で多重化されたデジタル信号をオーディオ信号にアナログ変換して、スピーカ106に出力する。
【0123】
これにより、スピーカ106から音声が出力され、ユーザは、各方式別通信処理部でやり取りされる音声情報を1つのスピーカから同時に聞くことができる。
【0124】
図10(b)に示す音声処理部105において、A/D変換部311は、マイクロフォン107から入力されるアナログ音声をデジタル信号に変換する。
分離器312は、A/D変換部311から入力されるデジタル信号を複数に分離して、符号化器部313に送信する。
符号化器部313は、複数の符号化器を備え、分離器312から送信されるデジタル信号を符号化する。各符号化器は、分離器312からの情報を利用して、各方式別通信処理部に合った符号化を行ない、対応する方式別通信処理部に出力する。
【0125】
これにより、マイクロフォン107から入力された音声は、各方式別通信処理部で利用される音声コーデックに合った規則で符号化され、発信者の音声を同時に接続された相手に伝えることができる。
【0126】
また、復号化器/符号化器は複数個利用しても良いし、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する構成でも良い。複数個の復号化器/符号化器を使用した場合は、複数の音声コーデックを並行して高速処理が可能となり、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する場合は、復号化器/符号化器の数を減らすことができ回路規模を小さくできる。
【0127】
なお、これらは、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアで構成しても良い。ハードウェアで構成した場合は、性能に合わせた並列高速処理を行なうことができ、ソフトウェアで構成した場合は、新しいコーデックに対応する際に機能拡張がし易くなる。
【0128】
次に、音声処理部105の変形例について説明する。
ここでは、無線通信処理部101の各方式別通信処理部からの音声情報がシリアル情報として時分割やCALL_IDなどで分離されて送信されてくる場合に対応する音声処理部105の構成例を説明する。
なお、CALL_IDとは、各方式別通信処理部で処理される呼制御に割り当てられた番号であり、例えば、CDMAで通信される呼をCALL_ID=1として、無線LANで通信される呼をCALL_ID=2として、通信を分離することができる。
【0129】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信端末10における音声処理部105の構成の変形例を示す図である。
図11(a)は、各方式別通信処理部から音声信号が入力される場合の音声処理部105の構成例であり、図11(b)は、各方式別通信処理部へ音声信号を出力する場合の音声処理部105の構成例である。
【0130】
図11(a)に示す音声処理部105において、復号化器部401は、図10(a)の復号化器部301と同様の処理を行なう復号化器部であり、複数の復号化器を備える。各復号化器は、各方式別通信処理部での符号化方式に対応している。
【0131】
スイッチ402は、無線通信処理部101から時分割で送信されてくる符号化された音声情報を、時分割またはIDで識別して、対応する復号化器に切り替えて入力させるための切り替えスイッチである。
スイッチ403は、復号化器部401の各復号化器で復号化されたデジタル信号を、切り替えて出力するための切り替えスイッチである。
【0132】
同期制御部404は、同期クロックにより、スイッチ402と同期を取って、スイッチ403を切り替える。スイッチ402とスイッチ403とが同時に切り替わることにより、無線通信処理部101から送信されてくる情報に合った復号化のパスを通すことができる。
【0133】
D/A変換部405は、スイッチ403を介して復号化器部401から出力されるデジタル信号をオーディオ信号にアナログ変換して、スピーカ106に出力する。
これにより、スピーカ106から時分割で合成された音声が出力され、同時に通信している相手からの音声を聞くことができる。
【0134】
また、図11(a)に示す音声処理部105は、CALL_IDで分離された音声情報を無線通信処理部101から入力し、スイッチ402で各CALL_IDに合った復号化器を選択して、復号化する。これにより、ユーザは、各方式別通信処理部でやり取りされる音声情報を1つのスピーカから同時に聞くことができる。
【0135】
図11(b)に示す音声処理部105において、A/D変換部411は、マイクロフォン107から入力されるアナログ音声をデジタル信号に変換する。
分離器412は、A/D変換部411から入力されるデジタル信号を複数に分離して、符号化器部413に送信する。
符号化器部413は、図10(b)の符号化器部313と同様の処理を行なう符号化器部であり、複数の符号化器を備える。各符号化器は、各方式別通信処理部に合った符号化を行なう。
【0136】
スイッチ414は、無線通信処理部101へ符号化された音声情報を送信する際に、符号化器からの出力を切り替えるスイッチである。
同期制御部415は、同期クロックによりスイッチ414を切り替える。
スイッチ414は、同期クロックにより、無線通信処理部101と同期したタイミングで切り替わり、その切り替えタイミングで、各符号化器で異なる符号化をされた音声情報が、シリアル情報として無線通信処理部101へ送信される。そして、無線通信処理部101が、これらの情報を時分割で処理することにより、各通信先に発信者の声を伝送することができる。
【0137】
なお、各符号化器でCALL_IDを付加するようにしても良い。その場合は、無線通信処理部101において、CALL_IDを監視することにより、CALL_ID毎に発信者の声を選択して通話をすることができる。
【0138】
このような音声処理部105により、マイクロフォン107から入力された音声は、各方式別通信処理部で利用される音声コーデックに合った規則で符号化され、発信者の音声を同時に接続された相手に伝えることができる。
【0139】
また、復号化器/符号化器は複数個利用しても良いし、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する構成でも良い。複数個の復号化器/符号化器を使用した場合は、複数の音声コーデックを並行して高速処理が可能となり、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する場合は、復号化器/符号化器の数を減らすことができ回路規模を小さくできる。
【0140】
なお、これらは、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアで構成しても良い。ハードウェアで構成した場合は、性能に合わせた並列高速処理を行なうことができ、ソフトウェアで構成した場合は、新しいコーデックに対応する際に機能拡張がし易くなる。
【0141】
また、本実施の形態に係る無線通信端末10は、同時に複数の通話を行なうことができるので、例えば、特に緊急を要する通信の場合に、特別な発信操作により、選択した相手に発信するのと同時に、警察や消防の電話番号にも発信するようにしても良い。この場合、例えば、情報保存部103に、警察や消防の電話番号を保存しておく。そして、ユーザインタフェース部104に、連絡相手の氏名と共に特に緊急を要する旨の情報が入力されるなどの特別な発信操作が行なわれたときに、連絡相手と、警察や消防への同時発信を行なう。これにより、緊急性の高い情報を、例えば家族に伝えつつ、警察や消防にも伝えることができる効果がある。
【0142】
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。
上述した図4のステップS109で、接続前に方式別通信処理部による発信が中止され、通信が切断された着信者は、切断された理由が判らずに発信者へリダイヤルすることがある。この対策として、無線通信端末10は、着信者に切断理由通知を付加して送信することによって、着信者の端末に切断理由を表示させる。
【0143】
このため、無線通信端末10は、例えば、切断処理の前に無線通信処理部101で処理されるトラフィックチャネル上のインフォメーションメッセージに切断理由情報ビットを用意し、その情報ビットによって、“他の通信先に接続が完了した”、“リダイヤル不要”などの切断理由通知情報(伝言情報)を相手に通知する。これによって、通信が切断された後に、着信者の端末に、切断理由情報ビットに関連付けられた切断理由が表示され、相手は切断理由を知ることができ、不要なリダイヤルを防止することができる。
【0144】
また、この切断理由通知は、切断後に、切断した理由を相手に電子メールで通知するようにしても良い。この場合、例えば、中央制御部100は、切断理由通知を発行し、無線通信処理部101を制御して、電話番号に送信できるショートメッセージなどに切断理由通知を添付して、切断した発信先電話番号に送信する。また、例えば、情報保存部103の連絡先情報テーブル202に、あらかじめ、連絡先の電話番号に関連付けて電子メールアドレスを保存しておき、中央制御部100は、切断した発信先電話番号に関連付けられているメールアドレスに対し、切断理由通知を送信する。
【0145】
これらにより、無線通信端末10は、着信者への切断理由通知ができ、着信者の利便性を向上できる効果がある。
なお、同時発信したが、どの連絡先とも接続できなかった場合に、この切断理由通知を行なうようにしても良い。その場合は、例えば、“誰とも接続できなかった”などの切断理由通知情報を相手に通知する。
また、図8のステップS309で通信先毎に通信を切断するときに、この切断理由通知を行なうようにしても良い。
【0146】
また、切断理由通知を行なうメール送信アプリケーションは、無線通信端末10の後段に接続されても良い。これは、アプリケーションの作り込みにより、画像や音声で理由を通知できるなど、利便性を向上でき、サービス拡大に効果がある。
【0147】
また、上述した図4のステップS104の同時発信処理の説明において、連絡相手の発信対象となる電話番号の数が、方式別通信処理部の数より少ない場合の方式別通信処理部の選択手法を複数示した。しかし、この他の選択手法であっても良い。
【0148】
例えば、各方式別通信処理部101a,101b,・・・には、情報保存部103内の所有者情報テーブル201に示されるように無線通信方式毎に発信者の電話番号が割り当てられている。このため、発信者が、同時発信に使用する発信者の電話番号を、あらかじめユーザインタフェース部104を用いて、所有者情報テーブル201の中から選択しておき、情報保存部103に保存しておくことにより、その発信者の電話番号に割り当てられている方式別通信処理部を選択するようにしても良い。また、例えば、同時発信する際に、発信者が、同時発信に使用する発信者の電話番号を選択するようにしても良い。
【0149】
また、例えば、無線通信処理部101において、発信者側の受信電波強度指標を参照し、受信電波強度が強い通信方式、または、現状の有効な通信方式を優先的に選択して、情報保存部103内の所有者情報テーブル201においてその通信方式に関連付けられた電話番号で発信しても良い。
【0150】
受信電波強度が強い通信方式とは、無線通信処理部101内の各方式別通信処理部において、電波強度を示す指標、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、C/I(Carrier-to-Interference Ratio)、Pilot強度を示すEc/Ioなどの値が、高い通信方式である。この場合、例えば、CDMA通信方式や無線LAN通信方式などの異なる無線通信方式毎に、電波強度指標の値と接続率との対応関係を実験的に求め、各無線通信方式の電波強度指標の値と接続率とを関連付けた接続率テーブルを作成し、あらかじめ情報保存部103に保存しておく。そして、同時発信時に、各無線通信方式の電波強度指標の値を測定し、この接続率テーブルを参照して各無線通信方式の接続率を比較することにより、接続率の高い無線通信方式を優先的に選択する。これにより、異なる通信方式でも、接続のし易さの指標で受信電波強度を比較することができ、接続がし易い通信方式を優先して選択することができる。
【0151】
また、現状の有効な通信方式とは、通信が困難な状況にない通信方式である。例えば、通信混雑のため基地局から規制がかかっている場合や電波強度指標が安定しない場合などは、通信が困難な状況にあるため、そのような状況にある方式別通信処理部での発信は回避すべきである。そこで、現状の有効な通信を選択することにより、現状使用できる無線通信方式の方式別通信処理部を選択して、発信する。
【0152】
これにより、発信者が、無線通信端末10内に所有している複数の自分の電話番号の中から、同時発信に使用する電話番号を選択できる効果がある。また、無線通信処理部101において、電波強度の優良な通信方式で発信することにより、接続率、接続までの時間短縮が向上できる効果がある。
【0153】
また、着信者の通信端末が複数の通信方式を搭載している場合には、発信者が着信端末の複数の各方式別通信処理部に対して、複数同時に発信するようにしても良い。これにより、着信者の通信端末において、電波強度が強い方式別通信処理部が先に繋がる可能性があり、早期の接続向上に効果がある。
【0154】
また、本実施の形態に係る無線通信端末10を、電話をする場合だけでなく、相手にデータを通知する場合に適用しても良い。この場合、データ送信先のアドレスが入力又は選択されることで、無線通信端末10は複数箇所に同時にデータを通知する。これにより、無線通信端末10は、音声通話のみでなく、文字情報や映像のみのデータによる発信もすることができ、利便性を向上させることができる。また、これにより、通信発信者は、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信操作で、メッセージを早期に通知することができる。
【0155】
また、電波強度が弱いなどの理由で、発信が途中で失敗した方式別通信処理部においては、その時点で切断するか、または、リトライし再発信するか、を選択して実行させるようにしても良い。この場合、例えば、どちらを選択させるかの情報をあらかじめ設定しておき、情報保存部103において保持しておく。また、ユーザがユーザインタフェース部104を介して選択するようにしても良い。無線LANアクセスポイント60やCDMA基地局50との認証失敗による発信失敗時などの場合や、通信圏外の場合には、再発信してもすぐには接続できない可能性が高いため、発信処理を中断して切断処理を行なうことで、消費電力を軽減できる効果がある。また、電波強度が弱電界で発信失敗した場合には、まだ接続ができる可能性が高いため、リトライ再発信することで、接続率を向上させる効果がある。
【0156】
また、発信を確認するために発信者に聞こえる発信中の呼び出し音に関しては、複数の発信のいずれか一つのみを選択して聞こえるようにしても良いし、複数発信している全ての呼び出し音を聞こえるようにしても良い。全ての呼び出し音をユーザに聞こえるようにする場合には、音声を合成すれば良い。例えば、図10(a)に示した音声処理部105でミキシングすれば良く、または、図11(a)に示した音声処理部105で交互に通話の切り替えを行なえば良い。
【0157】
いずれか一つの呼び出し音を選択して聞こえるようにした場合は、ユーザは、発信中で接続できていないということを、音で認識することができる。また、全ての呼び出し音をミキシングなどして、スピーカから聞こえるようにした場合は、ユーザは、同時に発信している状況を認識することができる。
【0158】
全ての呼び出し音を聞こえるようにした場合、発信先毎に呼び出し音の音色や音量を変えても良い。呼び出し音の音色や音量の変更は、無線通信処理部101で行なっても良いし、音声処理部105で行なっても良い。無線通信処理部101で行なう場合には、例えば、各方式別通信処理部に、仕様化された呼び出し音に利用される周波数を設定しておく。また、音声処理部105で行なう場合には、例えば、CALL_IDを識別して、レンジ調整部303で音量を調整する。
これにより、複数の地点に同時に発信していることをユーザが認識することができる。
【0159】
また、この呼び出し音に関しては、同時発信しているどれかの通信が確立した場合に、他の同時発信している方式別通信処理部からの全ての呼び出し音を止めても良いし、また、一部または全てを鳴らし続けても良い。どちらにするかの選択は、例えば、あらかじめ設定しておき、その設定情報を情報保存部103に保存しておく。
また、ユーザが、同時発信している方式別通信処理部の中から、呼び出し音を止めたい方式別通信処理部をユーザインタフェース部104を介して選択し、リアルタイムに切り替えるようにしても良い。この場合、選択された方式別通信処理部は、呼び出し音情報を音声処理部105に送信しない。
【0160】
これにより、どれかの通話が確立した際に、全ての呼び出し音を止める場合は、ユーザにとってどれかが接続されれば他の電話番号に繋がらなくても良い状況において、呼び出し音が音声通話の雑音にならない効果がある。また、通話が確立した際に、一部もしくは全部の呼び出し音を鳴らし続ける場合には、ユーザが、接続された相手に加えて、さらに他の発信番号で繋がる可能性のある相手と同時接続したい状況において、発信状況を音で把握することができる。
【0161】
上述した本発明の各実施の形態に係る無線通信端末によれば、以下に述べるような効果が達成される。
複数の通信機能を持った端末において、1回の発信操作で、複数の通信機能を利用して複数の電話番号に同時に電話発信をすることにより、接続率、接続までの時間短縮が向上でき、着信者との通信を早期に確立できる効果がある。
【0162】
また、同時発信時に、先に接続した通信方式に適合する符復号化処理を選択することにより、早期に接続された呼を優先して通話させることができる効果がある。
また、同時発信して、複数の呼が同時に接続された場合に、各方式別通信処理部からの音声をミキシングして、スピーカから聞こえるようにすることにより、同時に複数の相手からの情報を聞くことができる効果がある。
【0163】
また、同時発信時に、発信先情報や発信状況、通信種別を表示することにより、発信者は表示により認識でき、利便性向上に効果がある。
また、同時発信時に、発信先の情報を明示しないことにより、発信者にどの電話番号を利用しているかは気にさせないことができ、判り易い表示であり、利便性向上に効果がある。
また、同時に複数の人と話す必要がない場合に、ユーザ主導で切断する通話を選択できることで、選択した通話への雑音を除去でき、不必要な呼を切断することにより電力消費を低減できる効果がある。
【0164】
また、名前、電話番号などの発信先情報と、それに関連付けられた同時発信設定を管理するテーブルを参照することにより、発信者は簡単な操作で同時に複数の電話番号に発信することができる効果がある。
また、情報保存部に、発信者が使用する時刻を設定しておくことにより、使用者の都合に応じた時刻で電話番号を使い分けられる効果がある。
【0165】
また、同時発信時に、先に接続した通信方式以外の発信を中止することにより、不必要な発信を中止でき電力消費を低減でき、着信者への不要な呼び出しを軽減できる効果がある。
また、同時発信時に、発信を中止した呼に対して、発信着信者へ切断理由通知をすることにより、着信者にとっての利便性を向上できる効果がある。
【0166】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した本発明の各実施の形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施できる。
【0167】
例えば、上記情報保存部103のために用意されたメモリ空間は、無線通信端末10に着脱可能なメモリでも良い。情報保存部103のメモリを着脱可能とすることで、例えば、無線通信端末10を買い換えた場合でも、買い換えた端末にメモリを装着することにより、使用者が今まで蓄積した情報保存部103のデータを継承することができる。
【0168】
また、例えば、上述した動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体を提供するようにしても良い。
【0169】
具体的には、上記の実施形態では、無線通信端末10において、動作プログラムがメモリなどにあらかじめ記憶されているものとして説明した。しかし、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムを既存の無線通信端末にインストールすることにより、上述の処理動作を実行をする無線通信端末を構成しても良い。
【0170】
また、プログラムをインターネットなどの通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置などに格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、無線通信端末にダウンロードなどするようにしても良い。さらに、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0171】
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合などには、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布しても良く、また、無線通信端末にダウンロードなどしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末を用いたシステムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の情報保存部に保存されている情報テーブルの例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】同時発信判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における発信中状況の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における通話中状況の表示例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における通話中状況の表示例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における音声処理部の構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における音声処理部の構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0173】
10…無線通信端末
20…着信端末
30…電話機
40…家屋
50…CDMA基地局
60…無線LANアクセスポイント
70…通信ネットワーク
100…中央制御部
101…無線通信処理部
101a…CDMA通信処理部
101b…無線LAN通信処理部
102…アンテナ
103…情報保存部
104…ユーザインタフェース部
105…音声処理部
106…スピーカ
107…マイクロフォン
108…表示処理部
109…表示部
110…計時部
111…電池
201…所有者情報テーブル
202…連絡先情報テーブル
301,401…復号化器部
302…多重化器
303…レンジ調整部
304,405…D/A変換部
311,411…A/D変換部
312,412…分離器
313,413…符号化器部
402,403,414…スイッチ
404,415…同期制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末装置、無線通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末装置としての携帯電話を利用して、外出先から家族に連絡を取りたい場合には、まず家の固定電話に電話をして、誰も出ない場合に、家族の携帯電話にかけたり、またその逆に、まず家族の携帯電話に電話をして、繋がらなかった場合に、家の固定電話にかけ直したりなどする。この場合、複数回、複数地点に電話をかけることになり、連絡を取るまでに時間がかかる場合がある。
【0003】
このような問題の対策として、家庭、事業所、屋外のどこでも使える1台の携帯電話端末に電話をかける場合に、その携帯電話端末が家庭、事業所、屋外のどこにいても、1回の発信操作で済むようにする仕組みがある(例えば、特許文献1参照)。この仕組みでは、着信側の携帯電話端末が、電話番号がそれぞれ異なる家庭用、事業所用、屋外用と通信モードを切り替えると、切り替えた通信モードを公衆網に接続された携帯電話システム制御装置に通知して登録する。そして、登録されていない通信モード用の電話番号への呼び出しが行なわれた際には、携帯電話システム制御装置が、登録されている通信モード用の電話番号に転送して、着信側の携帯電話端末は切り替えた通信モードで着信する。
【特許文献1】特開平8−237742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急性の高い情報のやり取りをする場合には、電話をかける側も、受ける側も、早く通話を開始できることが重要となる。この際、連絡相手が複数の通信先の電話番号を持っている場合には、相手のいる場所は容易には把握できないため、相手のどの電話番号にかけるのが、最も効率良く通話を開始できるのかを考えることは、手間と余計な時間がかかってしまう。さらに、その予想が外れて、電話が繋がらなかった場合には、再度別の電話番号にかけ直さなければならなくなり、早急な連絡を取るのに遅延が生じてしまう。
【0005】
また、特許文献1では、複数の通信モードを持った携帯電話端末以外に、現在のモードによって電話の転送動作をする携帯電話システム制御装置が必要であり、その設置などに費用がかかる。さらに、携帯電話端末を利用する場所に応じて端末のモードを切り替え、その度に公衆網を通じて携帯電話システム制御装置に、モードを切り替えたことを通知しなければならず、手間がかかる。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、相手が複数の通信先を有する場合に、相手の1つの通信先からその相手の他の通信先へ通信を転送することなく、相手との通信を早期に確立することができる無線通信端末装置、無線通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る無線通信端末装置は、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信手段と、
前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信手段と、
通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶手段と、
前記通信相手と通信するときに、前記通信先記憶手段から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出手段と、
前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御手段と、
を備える。
【0008】
また、前記無線通信端末装置において、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記通信先記憶手段は、通信相手毎に、通信相手識別情報と、該通信相手の複数の通信先の電話番号と、を関連付けて記憶し、
前記通信先読出手段は、前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、該通信相手識別情報に関連付けられて前記通信先記憶手段に記憶されている複数の電話番号の中から、所定の第1の電話番号と、該第1の電話番号とは異なる第2の電話番号と、を読み出し、
前記通信制御手段は、前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の電話番号への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の電話番号への発信をさせる、
ようにしても良い。
【0009】
また、前記無線通信端末装置において、
前記入力手段に入力された通信相手識別情報と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の通信状況と、を関連付けて表示する表示手段を備える、
ようにしても良い。
【0010】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信先記憶手段は、通信先の電話番号に関連付けて通信先識別情報を記憶し、
前記表示手段は、
前記通信先記憶手段から、前記第1の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第1の通信手段の通信状況を表示し、
前記通信先記憶手段から、前記第2の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第2の通信手段の通信状況を表示する、
ようにしても良い。
【0011】
また、前記無線通信端末装置において、
前記表示手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段が発信処理を行なっているときに、発信中であることを示す情報を表示し、
前記第1の通信手段又は前記第2の通信手段が通話処理を行なっているときに、通話中であることを示す情報を表示する、
ようにしても良い。
【0012】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、並列した発信に使用する電話番号であるか否かを示す発信設定情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、並列した発信に使用する電話番号であることを示す発信設定情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ようにしても良い。
【0013】
また、前記無線通信端末装置において、
時刻を示す計時手段を備え、
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、該電話番号で通信相手が電話を受ける受信時間情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、前記計時手段が示す時刻を取得し、
該取得した時刻を含む受信時間情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ようにしても良い。
【0014】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信制御手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて少なくとも1つの通信先が応答したか否かを判別する応答判別手段と、
前記応答判別手段により通信先が応答したと判別されたときに、通信先が応答していない通信手段による発信を中止させる発信中止手段と、を有する、
ようにしても良い。
【0015】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信制御手段は、
前記発信中止手段が通信手段による発信を中止させたときに、該通信手段が発信していた通信先に、伝言情報を送信する伝言情報送信手段を有する、
ようにしても良い。
【0016】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記第1の通信手段が出力する第1の通信先からの音声信号と、前記第2の通信手段が出力する第2の通信先からの音声信号と、を合成する音声合成手段と、
前記音声合成手段が合成した音声信号に基づく音声を出力する音声出力手段と、を備える、
ようにしても良い。
【0017】
また、前記無線通信端末装置において、
前記通信先記憶手段は、通信先毎に通信先識別情報を記憶し、
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記通信先記憶手段から、前記第1の通信先及び前記第2の通信先のそれぞれに関連付けられている通信先識別情報を読み出し、表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する通信先識別情報の中からユーザにより選択された通信先識別情報の入力を受け付ける入力手段と、を備え、
前記通信制御手段は、
前記入力手段に入力された通信先識別情報に関連付けられている通信先が応答している通信手段による通信を切断させる通信切断手段を有する、
ようにしても良い。
【0018】
また、本発明の第2の観点に係る無線通信方法は、
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップと、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップと、
を備える。
【0019】
また、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップ、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップ、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップ、
を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、相手が複数の通信先を有する場合に、相手の1つの通信先からその相手の他の通信先へ通信を転送することなく、相手との通信を早期に確立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図11を参照して説明する。
本実施の形態においては、本発明に係る無線通信端末装置の例として、複数通信の同時発信を実施する無線通信端末について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末を用いたシステムの構成例を示す図である。
無線通信端末10は、電話をかける者である発信者が有する携帯電話などの無線通信端末であり、複数の通信機能を持っている。具体的には、無線通信端末10は、複数の無線通信方式で通信する機能を有し、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式や無線LAN(Local Area Network)方式で通信することができる。
【0023】
着信端末20は、電話を受ける者である着信者が有する携帯電話などの無線通信端末である。着信端末20は、例えばCDMA方式で無線通信を行なうことができる。
電話機30は、家屋40に設置してある電話機である。
例えば、着信端末20を有する着信者は、在宅中は電話機30で電話を受け、外出中は、着信端末20で電話を受ける。
【0024】
CDMA基地局50は、CDMA方式で無線通信端末と電波の送受信を行なう基地局である。
無線LANアクセスポイント60は、無線LAN方式での無線通信における中継器である。
通信ネットワーク70は、電話回線網などの通信網である。CDMA基地局50、無線LANアクセスポイント60、電話機30は、この通信ネットワーク70に接続されている。
【0025】
発信者の有する無線通信端末10は、CDMA方式で通信するときには、CDMA基地局50及び通信ネットワーク70を介して、着信端末20又は電話機30と通信する。また、無線LAN方式で通信するときには、無線LANアクセスポイント60及び通信ネットワーク70を介して、着信端末20又は電話機30と通信する。
【0026】
発信者は、緊急性の高い情報のやり取りをする際、1回の操作で相手になるべく早く接続したいものである。
そこで、本実施の形態に係る無線通信端末10は、発信者による1回の発信操作で、複数の通信機能を利用して複数の電話番号に同時に電話発信をし、着信者との通信を早期に確立する。
【0027】
具体的には、発信者が、無線通信端末10を用いて、連絡相手(通信相手)への発信操作を行なうと、無線通信端末10は、連絡相手が複数の電話番号を有する者であるか否かを判別し、複数の電話番号を有する者である場合には、複数の電話番号に同時発信を行なう。
【0028】
例えば、連絡相手が着信端末20又は電話機30で電話を受ける着信者である場合には、無線通信端末10は、CDMA基地局50への発信と無線LANアクセスポイント60への発信とを同時に並列して行なう。そして、CDMA基地局50は、電話番号登録情報に基づき、例えば着信端末20への呼び出し処理を行なう。一方、無線LANアクセスポイント60は、電話番号登録情報に基づき、例えば電話機30の呼び出し処理を行なう。これにより、1回の発信操作で複数の電話番号の発信先が同時に呼び出されることとなり、連絡相手は、例えば外出中には着信端末20で、在宅中には電話機30で電話を受ける。
【0029】
従って、本実施の形態に係る無線通信端末10によれば、連絡相手がどこにいるか判らなくても、電話を転送することなく、連絡相手との通信を早期に確立することができる。
【0030】
次に、無線通信端末10の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末10の構成例を示すブロック図である。
図示するように、無線通信端末10は、中央制御部100、無線通信処理部101、アンテナ102、情報保存部103、ユーザインタフェース部104、音声処理部105、スピーカ106、マイクロフォン107、表示処理部108、表示部109、計時部110、電池111を備え、本実施の形態に必要となる機能を搭載している。
【0031】
中央制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、データの演算処理を行なうと共に、無線通信端末10の全体を制御する。中央制御部100における演算処理及び制御処理は、具体的には、CPUが、RAMを作業領域として使用して各種データを一時的に記憶させながら、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより行なわれる。
【0032】
この中央制御部100が、ROMや後述する情報保存部103などに記憶されているプログラムに従って、無線通信処理部101、情報保存部103、ユーザインタフェース部104、音声処理部105、表示処理部108、計時部110などの無線通信端末10の各部を制御することにより、無線通信端末10において、連絡相手との通信を早期に確立するための処理などが行なわれる。
【0033】
無線通信処理部101は、CDMA、無線LAN、EV−DO(Evolution Data Only)などの複数の通信制御方式を搭載し、各通信制御(呼制御)を行なう。このため、無線通信処理部101は、CDMA方式の無線通信処理を行なうCDMA通信処理部101a、無線LANを用いた無線通信処理を行なう無線LAN通信処理部101bなどの方式別通信処理部を備える。これにより、無線通信処理部101は、複数の無線通信方式による呼制御を並列して同時処理することができる。
【0034】
アンテナ102は、複数の無線通信方式における電波の送受信を行なう。アンテナ102は、無線通信方式毎に備えられており、それぞれ、CDMA通信処理部101a、無線LAN通信処理部101bなどの方式別通信処理部に接続されている。
【0035】
アンテナ102は、電波受信時には、受信した電波を受信信号に変換して、対応する方式別通信処理部に供給する。方式別通信処理部は、供給された受信信号を音声信号の符号化信号に変換する。
また、電波送信時には、方式別通信処理部は、音声信号の符号化信号を、無線通信方式に応じた送信信号に変換して、アンテナ102に供給する。アンテナ102は、方式別通信処理部から供給される送信信号を電波に変換して放射する。
【0036】
情報保存部103は、いわゆる携帯電話で一般的に使用されているアドレス帳のデータなどを保持するメモリ空間である。例えば、情報保存部103は、フラッシュメモリなどで構成され、無線通信端末10の所有者の電話番号などを記憶する所有者情報テーブル201と、連絡相手の連絡先(通信先)の電話番号などを記憶する連絡先情報テーブル202と、を保存する。
【0037】
図3は、情報保存部103に保存されている情報テーブルの例を示す図である。
図3(a)は、無線通信端末10の所有者の情報を記憶する所有者情報テーブル201の例である。図示するように、所有者情報テーブル201は、所有者の名前と、所有者が無線通信端末10内に有している複数の電話番号と、を関連付けて記憶する。例えば、図3(a)に例示した所有者情報テーブル201に基づけば、無線通信端末10の所有者“山田太郎”は、3つの電話番号を用いて無線通信端末10から電話をかけることができ、さらに無線通信端末10で電話を受けることができる。
【0038】
また、所有者情報テーブル201は、電話番号毎に、種別、無線方式などを関連付けて記憶する。種別(通信種別)は、電話番号の分類区分を示す識別情報であり、例えば、携帯電話としての電話番号であることを示す“携帯”、自宅としての電話番号であることを示す“自宅”、会社としての電話番号であることを示す“会社”などがある。
【0039】
無線方式は、電話番号が使用する無線通信方式であり、図3(a)に例示した所有者情報テーブル201においては、例えば、電話番号“090―****―1111”はCDMA通信方式を利用して、“050―****―1112”は無線LANを利用して、“03―****―1113”はEV−DOを利用して、呼制御などを行なう設定となっている。この設定により、CDMA通信処理部101aは、所有者の電話番号“090−****−1111”を発信元の電話番号として無線通信処理を行ない、無線LAN通信処理部101bは、所有者の電話番号“050−****−1112”を発信元の電話番号として無線通信処理を行なう。
【0040】
図3(b)は、連絡相手毎の連絡先の情報を記憶する連絡先情報テーブル202の例である。図示するように、連絡先情報テーブル202は、連絡相手の名前(通信相手識別情報)毎に、その連絡相手の連絡先である電話番号を関連付けて記憶する。この連絡先情報テーブル202に基づき、無線通信端末10は、複数の連絡先への同時発信を行なう。例えば、無線通信端末10の所有者が、連絡相手“花子”と早急に連絡を取りたい場合には、無線通信端末10は、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202に基づき、電話番号“090―****―2221”と“03―****―2222”とに同時発信を行なう。
【0041】
なお、連絡先情報テーブル202には、連絡相手として、個人だけでなく、グループなどを登録することもできる。例えば、連絡相手の名前欄に、グループの名称として“家族”と登録し、電話番号欄に、家族の構成員のそれぞれの電話番号を登録しても良い。
【0042】
また、連絡先情報テーブル202は、電話番号毎に、種別、無線方式、発信設定、受信時間などを関連付けて記憶する。
種別(通信種別)は、連絡先の電話番号の分類区分を示す識別情報(通信先識別情報)であり、例えば、“携帯”、“自宅”、“会社”などがある。
無線方式は、連絡先の電話番号が使用する無線通信方式であり、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202においては、例えば、“花子”の連絡先である電話番号“090―****―2221”はCDMA通信方式を利用して、“03―****―2222”は無線LANを利用して、受信などを行なうことが示されている。
【0043】
発信設定は、電話番号が同時発信対象であるか否かを示す設定情報であり、所有者などによってあらかじめ設定される。例えば、同時発信に使用される電話番号には“1”が設定され、同時発信に使用されない電話番号には“0”が設定される。
受信時間は、電話番号毎の受信可能な時間であり、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202においては、例えば、“家族”の連絡先である電話番号“090―****―3331”には受信時間は設定されておらず、“050―****―3332”は21時から6時まで電話を受信し、“03―****―3333”は9時から20時まで電話を受信することが示されている。
【0044】
このように、情報保存部103は、所有者情報テーブル201及び連絡先情報テーブル202を保存することにより、無線通信端末10の所有者の電話番号情報や無線方式情報を有し、また、発信相手先の情報をアドレス帳の情報形式(名称(名前)、通信先番号(電話番号)など)で持つ。さらに、情報保存部103は、同時発信をするかどうかの発信設定や、発信する際の無線方式などの設定などの設定情報を有する特徴をもつ。
また、情報保存部103は、上述した情報以外にも、データ、プログラムなどの様々な情報を保存する。
【0045】
ユーザインタフェース部104は、数字や文字を入力するための英数字キー、十字カーソルキー、機能などを指定するためのボタンなどから構成され、無線通信端末10の所有者(ユーザ)によって操作される。ユーザインタフェース部104は、通信における発信動作や切断処理などのユーザからの動作指示の入力を受け付け、また、発信先の電話番号や電子メールアドレスなどのユーザからの情報の入力を受け付ける。
【0046】
なお、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からの入力情報に応じて、情報保存部103に記憶されているデータの入力・更新・削除などをする。また、無線通信処理部101は、ユーザインタフェース部104にユーザからの発信要求が入力されると、情報保存部103に記憶されている情報を元に、通信を行なう。また、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からの入力情報に基づき、情報保存部103に記憶されている情報を検索し、情報の照合を行なうこともできる。
【0047】
音声処理部105は、無線通信処理部101で音声通話が確立された場合に、復号化処理、符号化処理、ダイナミックレンジ調整、デジタル・アナログ変換などを行ない、オーディオ信号と符号化信号とを接続する経路となる。
具体的には、音声処理部105は、無線通信処理部101から供給される符号化信号を、復号化、アナログ信号へ変換などして、オーディオ信号に変換し、スピーカ106に供給する。また、音声処理部105は、マイクロフォン107から供給されるオーディオ信号を、デジタル信号へ変換、符号化などして、符号化信号に変換し、無線通信処理部101に供給する。
【0048】
スピーカ106は、音声処理部105から供給されるオーディオ信号に基づき、音声通話における着話音声や着信音などを出力する。マイクロフォン107は、音声通話時のユーザの発話音声を入力し、オーディオ信号として音声処理部105に供給する。スピーカ106やマイクロフォン107を介してユーザは音声通話をすることができる。
【0049】
表示処理部108は、通信時には、無線通信処理部101から供給される情報に基づき、通信状況を表示部109に表示させための表示処理を行なう。例えば、表示処理部108は、無線通信処理部101が発信処理を行なっているときには“発信中”と、通話処理を行なっているときには“通話中”と、切断処理を行なっているときには“切断中”と、表示部109に表示させる。
また、表示処理部108は、情報保存部103に保存されているアドレス帳の情報をユーザが閲覧するための表示処理、ユーザが発信時に電話番号を確認しながら入力する場合の表示処理、電池残存量の確認のための表示処理などを制御する。
【0050】
表示部109は、表示処理部108で制御された表示情報の表示を行なうデバイスである。表示部109は、例えば、携帯電話で利用されている、液晶ディスプレイや有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイなどの表示装置である。
【0051】
計時部110は、日付や時刻を刻むものであり、時計回路などを備える。
電池111は、ユーザが無線通信端末10を持って移動する場合に、無線通信端末10を駆動するのに必要となる電力を供給する。
【0052】
ユーザは、上記で構成された無線通信端末10において、ユーザインタフェース部104を介して、複数の連絡相手(名称(名前))の連絡先情報(電話番号など)をあらかじめ入力しておく。入力された情報は、情報保存部103の連絡先情報テーブル202に保持される。
【0053】
ユーザが1つの電話番号を特定して電話をする場合には、情報保存部103の連絡先情報テーブル202に保存されている連絡先情報の中から1つの電話番号を選択するか、または、ユーザインタフェース部104から直接電話番号を入力することにより、電話発信をする。
無線通信端末10における通信状況の表示は、表示処理部108により制御され、表示部109に表示される。音声通話が確立した場合には、音声処理部105において、音声情報に符号化、ダイナミックレンジ調整などの処理が施されることにより、スピーカ106やマイクロフォン107を介して音声通話が可能となる。
【0054】
本実施の形態に係る無線通信端末10の無線通信処理部101は、前述したように、複数の無線通信方式を同時に利用することができる構成となっている。
そこで、無線通信端末10における、連絡相手との通信を早期に確立するための通信処理の動作を説明する。
【0055】
図4は、本実施の形態に係る無線通信端末10における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
このフローチャートは、ユーザにより発信要求の操作が行なわれると、開始される。
【0056】
そのため、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からの発信要求を受け付け、発信要求があったか否かを判別する(ステップS101)。具体的には、中央制御部100は、連絡を取りたい相手の名前とその相手への発信を要求する旨の情報とが、ユーザインタフェース部104に入力されたか否かを判別する。これらの入力は、例えば、中央制御部100が、連絡先情報テーブル202に記憶されている連絡相手の名前の一覧を表示部109に表示させ、ユーザが、その中から連絡を取りたい相手の名前を選択し、発信を要求するための発信ボタンなどを押すことにより行なう。
発信要求がない場合には(ステップS101;No)、中央制御部100は、発信要求があるまで待つ。
【0057】
発信要求があった場合には(ステップS101;Yes)、中央制御部100は、複数の通信先に対して同時発信を行なうか否かを判別する(ステップS102)。具体的には、中央制御部100は、ステップS101での発信要求に含まれる連絡相手の名称(名前)と情報保存部103内の連絡先情報テーブル202の情報とを照合し、連絡相手に発信先(連絡先)情報が複数存在するか、複数存在した場合に、同時に発信することを示す設定情報があるかどうかなどを確認することにより、発信対象となる連絡先(電話番号)が複数存在するか否かを判別する。そして、発信対象の電話番号が複数ある場合には、中央制御部100は、同時発信を行なうと判別し、発信対象の電話番号が1つしかない場合には、同時発信を行なわないと判別する。
【0058】
ここで、ステップS102で実行される同時発信判別処理について説明する。
図5は、同時発信判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、中央制御部100は、連絡相手の連絡先が複数あるか否かを判別する(ステップS201)。具体的には、中央制御部100は、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202において、図4のステップS101での発信要求に含まれる連絡相手の名称(名前)に、複数の連絡先の電話番号が関連付けられているか否かを判別する。
【0059】
連絡相手の連絡先が複数ある場合には(ステップS201;Yes)、中央制御部100は、その複数の連絡先の中に、発信設定が有効になっている連絡先が複数あるか否かを判別する(ステップS202)。具体的には、中央制御部100は、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202を参照して、複数の連絡先の電話番号の中に、発信設定が有効であることを示す“1”に設定されている電話番号が複数存在するか否かを判別する。
【0060】
発信設定が有効になっている連絡先が複数ある場合には、(ステップS202;Yes)、中央制御部100は、その発信設定が有効になっている複数の連絡先の中に、現在の時間が受信時間内である連絡先が複数あるか否かを判別する(ステップS203)。具体的には、中央制御部100は、計時部110から現在の時間を取得する。そして、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202を参照して、発信設定が有効になっている複数の連絡先の電話番号の中に、受信時間の設定がされている電話番号がある場合には、現在の時間が受信時間内であるか否かを判別する。なお、受信時間が設定されていない電話番号は、いつでも受信できるものとし、受信時間内であると判別する。このようにして、中央制御部100は、発信設定が有効になっている複数の電話番号の中に、現在の時間が受信時間内である電話番号が複数あるか否かを判別する。
【0061】
現在の時間が受信時間内である連絡先が複数ある場合には(ステップS203;Yes)、中央制御部100は、同時発信すると判別し(ステップS204)、この同時発信判別処理を終了する。つまり、中央制御部100は、連絡相手の連絡先の電話番号の中に、発信設定が有効で且つ受信時間内である電話番号が複数ある場合には、これらの電話番号を同時発信対象とする。
【0062】
一方、ステップS201で連絡相手の連絡先が複数存在しないと判別された場合(ステップS201;No)、または、ステップS202で発信設定が有効になっている連絡先が複数存在しないと判別された場合(ステップS202;No)、または、ステップS203で現在の時間が受信時間内である連絡先が複数存在しないと判別された場合には(ステップS203;No)、中央制御部100は、同時発信しないと判別し(ステップS205)、この同時発信判別処理を終了する。
【0063】
このように、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104からユーザによる発信要求を受信した際に、情報保存部103内の連絡先情報テーブル202の設定を参照し、同時発信をする複数の電話番号があるか否かを判別する。そして、ある場合には、その複数の電話番号に同時に電話発信を行なう。
【0064】
図4に戻り、ステップS102で同時発信を行なうと判別した場合には(ステップS102;Yes)、中央制御部100は、同時発信対象の複数の電話番号を取得する(ステップS103)。具体的には、中央制御部100は、前述の同時発信判別処理において同時発信対象とされた連絡相手の複数の電話番号を、情報保存部103の連絡先情報テーブル202から読み出して、取得する。
【0065】
次に、中央制御部100は、無線通信処理部101を制御して、同時発信対象の複数の電話番号に対して、各方式別通信処理部101a,101b,・・・を用いて、同時発信処理を行なう(ステップS104)。
【0066】
例えば、図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202に記憶されている連絡相手“花子”にユーザが連絡を取りたい場合であって、発信対象の電話番号が、“090―****―2221”と“03―****―2222”とである場合には、中央制御部100は、例えば、CDMA通信処理部101aに電話番号“090―****―2221”への発信をさせ、無線LAN通信処理部101bに電話番号“03―****―2222”への発信をさせる。
【0067】
なお、この同時発信処理に際して、発信対象の電話番号の数が、方式別通信処理部の数より少ない場合に、無線通信処理部101のどの通信制御方式を選択するかの手法は、複数ある。例えば、順番に方式別通信処理部を選択する手法や、各方式別通信処理部101a,101b,・・・の電波強度を比較して電波強度の高い順に方式別通信処理部を選択する手法や、利用可能な方式別通信処理部の中でユーザの利用頻度が高い方式別通信処理部を優先的に選択する手法や、ランダム関数を利用して選択する手法などがある。
【0068】
また、この同時発信処理に際して、発信対象の電話番号の数が、方式別通信処理部の数より多い場合には、方式別通信処理部の数と同数の電話番号を、例えば連絡先情報テーブル202からの読み出し順に抽出し、同時発信処理を行なう。また、連絡先情報テーブル202を参照して、電話番号に関連付けられた無線方式情報を取得し、方式別通信処理部に、同じ無線通信方式の電話番号を優先的に割り当てて、複数の電話番号への同時発信処理を行なうようにしても良い。
【0069】
次に、中央処理部100は、表示部109に発信中状況を表示させる(ステップS105)。具体的には、中央処理部100は、発信中の状況、発信中の発信先(連絡先)情報や発信中のユーザの電話番号などを表示処理部108に通知して、表示部109に表示させる。
さらに、中央処理部100は、音声処理部105に対して呼び出し音通知を行ない、スピーカ106から呼び出し音を発生させる(ステップS106)。
【0070】
次に、中央制御部100は、同時発信している各方式別通信処理部101a,101b,・・・において、1つの接続が成功したかどうかを判定する(ステップS107)。
ステップS107にて1つの接続が成功した場合には(ステップS107;Yes)、中央制御部100は、接続が成功した方式別通信処理部での通信を確立し、ユーザと連絡相手との間で音声通話が行なわれる(ステップS108)。具体的には、接続が成功した方式別通信処理部と音声処理部105との間で音声データの送受信が行なわれ、通話が接続される。
【0071】
このように、中央制御部100は、無線通信処理部101において、最初に接続できた電話番号との通話を開始する。ここで、通話が接続または確立されるとは、発信者からの発信に対し、基地局やアクセスポイントが、発信相手先に対し呼び出し通知を行ない、この呼び出しに相手が応答して、発信者と着信者の間で会話が始まったことを示す。
従って、通信発信者は、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信操作で、通信を早期に確立することができる。
【0072】
そして、複数の地点に同時に発信して、どちらかが先に接続された場合には、中央制御部100は、先に接続された通信方式に適合する符復号化を選択する。これにより、早期に接続された呼を優先して通話させることができる。
【0073】
次に、中央制御部100は、まだ接続が完了していない発信を中止させる処理を無線通信処理部101において行なう(ステップS109)。これにより、不要な発信処理による消費電力を低減でき、着信者への不要な呼び出しを軽減できる。また、ユーザは、早く接続された電話番号で連絡相手と連絡がとることができ、連絡相手は、他の電話番号での呼び出しに応じる手間を軽減することができる。
【0074】
次に、中央制御部100は、表示部109に通話中状況を表示させる(ステップS110)。具体的には、中央処理部100は、通話中の状況、通話中の通話先(連絡先)情報や通話中のユーザの電話番号などを表示処理部108に通知して、表示部109に表示させる。
【0075】
ステップS107にて接続が1つも成功していない場合には(ステップS107;No)、ステップS105に戻り、中央制御部100は発信中状況の表示などを継続し、接続が成功するまで待つ。
なお、ここで、連絡先が話し中であったり、連絡先の無線通信端末が電波の受信圏外であったりした場合には、各方式別通信処理部101a,101b,・・・において、リトライ処理または通信切断処理を実施し、その状況を表示処理部108へ通知して、表示部109に表示させるようにしても良い。
【0076】
ユーザと通信相手との間で音声通話が開始されて、ステップS110で通話中状況が表示されると、中央制御部100は、通信切断指示があるか否かを判別する(ステップS111)。具体的には、中央制御部100は、ユーザインタフェース部104に、ユーザによる通信切断の指示が入力されたか否かを判別する。例えば、ユーザは、ユーザインタフェース部104における通話終了ボタンなどを押すことにより、通信切断の指示を入力する。
【0077】
通信切断指示がない場合には(ステップS111;No)、ステップS110に戻り、中央制御部100は通話中状況の表示を継続し、通信切断指示があるまで待つ。
【0078】
通信切断指示があると(ステップS111;Yes)、中央制御部100は、無線通信処理部101を制御して、連絡先と接続している方式別通信処理部における通信を切断し(ステップS112)、表示部109に切断中状況を表示させ(ステップS113)、この通信処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS102にて、同時発信を行なわないと判別した場合には(ステップS102;No)、中央制御部100は、発信対象である1つの電話番号を取得する(ステップS114)。
【0080】
続いて、中央制御部100は、無線通信処理部101を制御して、取得した1つの電話番号に対して、いずれか1つの方式別通信処理部を用いて、発信処理を行なう(ステップS115)。
無線通信処理部101のどの通信制御方式を選択するかの手法としては、例えば、情報保存部103に、同時発信を行なわない場合の通信制御方式をあらかじめ設定しておく手法などがある。
【0081】
次に、中央制御部100は、表示部109に発信中状況を表示させる(ステップS116)。具体的には、中央制御部100は、発信中の状況、発信中の発信先情報や発信中のユーザの電話番号などを表示処理部108に通知して、表示部109に表示させる。
さらに、中央処理部100は、音声処理部105に対して呼び出し音通知を行ない、スピーカ106から呼び出し音を発生させる(ステップS117)。
【0082】
次に、中央制御部100は、発信処理を行なっている方式別通信処理部において、接続が成功したかどうかを判定する(ステップS118)。そして、接続が成功しなかった場合には(ステップS118;No)、ステップS116に戻り、中央制御部100は発信中状況の表示などを継続し、接続が成功するまで待つ。
【0083】
ステップS118にて接続が成功した場合には(ステップS118;Yes)、中央制御部100は、発信処理を行なった方式別通信処理部での通信を確立し、ユーザと連絡相手との間で音声通話が行なわれる(ステップS119)。
続いて、ステップS110に進み、通話中状況の表示が行なわれる。
【0084】
以上説明した通信処理のシーケンスにより、本実施の形態に係る無線通信端末10は、情報保存部103を参照し、同時発信設定がされている連絡相手の名称(名前)に関連付けられている複数の電話番号に対して、複数の無線通信制御を用いて、同時に発信することができる。また、発信状況や通話状況が表示処理部108へ通知されることにより、発信者は、表示により通信の状況を認識することができる。これにより、通信発信者が、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信要求を行なうだけで、無線通信端末10は、ユーザの設定に従った同時発信処理を行なうことができ、また、同時発信をすることで、通信を早期に確立することができる。
【0085】
次に、図4のステップS105において表示部109に表示される発信中状況について、説明する。
図6は、発信中状況の表示例を示す図である。
中央制御部100は、無線通信処理部101にて同時発信がされている際に、表示処理部108を制御して、表示部109に発信中状況を表示させる。
【0086】
例えば、ユーザが、情報保存部103に保存されている連絡先情報テーブル202から名前“一郎”を選択し、発信操作を行った場合には、実際には無線通信処理部101において複数の電話番号への発信が行なわれている。
図6(a)は、単に、“一郎”に対して発信中であることを表示し、複数の電話番号に発信されていることを表示しない例である。この場合には、連絡相手の名前と、発信中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような発信中表示は、ユーザがどの通信方式を利用しているかを気にしない場合に、ユーザにとって判り易い表示であり、利便性向上の効果がある。
【0087】
図6(b)は、同時に発信している連絡先の電話番号の種別を表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、発信中の種別名に関連付けられた発信中である旨の情報と、が表示部109に表示される。
また、図6(c)は、“一郎”の全ての連絡先の種別を表示し、その中で、どの連絡先に同時に発信しているかを表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、連絡相手の全ての連絡先の種別名と、が表示部109に表示され、さらに、発信中の種別名と発信中でない種別名とが区別して表示される。
【0088】
図6では、ハッチング部分が点滅する様子を示している。そのため、図6(c)では、“携帯”及び“自宅”の文字が点滅して、“一郎”の連絡先の種別“携帯”及び“自宅”の電話番号に同時発信されていることが示されると共に、種別“会社”の電話番号には発信されていないことが示されている。
図6(b)や図6(c)のような発信中表示により、ユーザは、どの連絡先の電話番号に発信されているのかが判り、発信者(ユーザ)が発信先を意識できる効果がある。
【0089】
次に、図4のステップS110において表示部109に表示される通話中状況について、説明する。
図7は、通話中状況の表示例を示す図である。
中央制御部100は、無線通信処理部101にて通話が確立している際に、表示処理部108を制御して、表示部109に通話中状況を表示させる。
【0090】
例えば、“一郎”の複数の電話番号への同時発信により、図4のステップS107で1つの発信に対する接続が成功すると、ステップS108で通話が確立し、ステップS109で他の発信中の発信は中止される。
図7(a)は、単に、“一郎”と通話中であることを表示し、どの電話番号で接続ができたかなどを区別せずに、ユーザに接続先(発信先)の電話番号や通信種別を表示しない例である。この場合には、連絡相手の名前と、通話中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような通話中表示は、通話にどの電話番号が利用されているかをユーザが気にしない場合に、ユーザにとって判り易い表示であり、利便性向上の効果がある。
【0091】
図7(b)は、どの電話番号で接続されたか区別して、接続された電話番号の通信種別を表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、通話中の種別名に関連付けられた通話中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような通話中表示により、ユーザは、どの電話番号で通話しているのかが判り、発信者(ユーザ)が発信先を意識できる効果がある。
【0092】
また、この通話中表示を、図6に示した発信中表示と適宜組み合わせるようにしても良い。例えば、発信中は、発信先の電話番号を区別せずに、図6(a)に例示したように連絡相手の名前に対して発信中という表示を行ない、通信が確立した後は、図7(b)に例示したように通信先(連絡先)の種別を区別した表示をしても良い。このような表示は、ユーザが、発信中はどこに発信していても気にしないが、実際に通信接続が成功した場合にはその通信種別を知りたいという場合に、ユーザの要求を満たす効果がある。
【0093】
図7(c)は、複数の電話番号に同時発信をした結果、先に接続した通話を通話中として、まだ接続できていない発信に関しては、切断処理をしている旨を表示する例である。この場合には、連絡相手の名前と、通話中の種別名に関連付けられた通話中である旨の情報と、切断中の種別名に関連付けられた切断中である旨の情報と、が表示部109に表示される。このような通話中表示は、どの電話番号に接続できていて、どの電話番号への発信を止めたという状況を、ユーザが認識できる効果がある。
【0094】
次に、図3に示した所有者情報テーブル201及び連絡先情報テーブル202について、詳しく説明する。
図3(a)に示した所有者情報テーブル201には、所有者の名称(名前)と所有者が有する発信電話番号とが関連付けられており、電話番号の種別や、電話番号から発信をする場合の無線通信方式などが設定されている。中央制御部100が、この所有者情報テーブル201を参照して、所有者情報テーブル201に記録されている複数の発信電話番号を発信元として、無線通信処理部101に同時発信させることにより、発信者は簡単な操作で同時に複数の連絡先の電話番号に発信することができる。
【0095】
この所有者情報テーブル201における発信電話番号と無線通信方式との関連付けは、ユーザインタフェース部104を用いて使用者が入力、更新、削除することができる。これにより、使用者の都合に応じて、発信電話番号と無線通信方式を使い分けることができる。なお、電話番号は、IPアドレスのような番号で管理されても良い。
【0096】
また、同時発信に使用する発信電話番号の優先度を、使用者がユーザインタフェース部104を用いて設定しても良い。また、情報保存部103に保存されている所有者情報テーブル201の情報は、無線通信端末10の電波強度状況に合わせて、書き換えられても良い。例えば、発信者が設定した優先度の高い発信電話番号に、電波強度の強い無線通信方式を関連付けて、所有者情報テーブル201に記録し、情報保存部103に保存しておく。これにより、発信者が設定した電話番号での接続率が向上する効果がある。
【0097】
また、所有者情報テーブル201において、発信電話番号毎に、発信者が発信に使用する時刻(時間)を設定するようにしても良い。これにより、使用者の都合に応じた時刻(時間)で、発信電話番号を使い分けることができる。
【0098】
図3(b)に示した連絡先情報テーブル202は、発信者が登録した、発信先のリストであり、ユーザインタフェース部104を用いて、書き換え、更新、削除などが可能である。
この連絡先情報テーブル202により、発信者は、連絡相手への発信という1回の操作を実行することで、その連絡相手の名称(氏名)に関連付けられた電話番号への複数同時発信を行なうことができ、接続率向上と接続までの時間短縮の効果がある。
【0099】
また、この連絡先情報テーブル202では、各電話番号に無線通信方式が関連付けられている。そこで、電話番号と無線通信方式とを連動させて、無線通信端末10が同時発信を行なうようにしても良い。例えば、ユーザが家族の誰かと早急に連絡を取りたい時には、連絡先情報テーブル202における“家族”の名称を選択する。この時、連絡先情報テーブル202において、“家族”に関連付けられた電話番号“090−****−3331”にはCDMA通信方式、電話番号“050−****−3332”には無線LAN通信方式が設定されている。そこで、発信者が“家族”を選択して発信すると、無線通信処理部101では、CDMA通信方式による呼制御を実行して“090―****―3331”への発信をし、同時に、無線LAN通信方式による呼制御を実行して“050−****−3332”へ発信をする。なお、電話番号“03−****−3333”には、発信設定として“0”が設定されており、同時発信対象ではないことを示しているため、“家族”が選択されても同時発信はしない。
【0100】
これにより、発信者は“家族”への発信という1回の操作を実行することで、それに関連付けられた電話番号への複数同時発信を無線通信方式に連動させて行なうことができる。
また、発信設定の情報により、名称に関連付けられた電話番号の全てに発信するのではなく、ユーザがあらかじめ選択した電話番号で発信することができ、利便性向上に効果がある。
【0101】
また、同時に発信する際に、同じ無線方式が選択された場合には、無線通信端末10は、重ならない方式別通信処理部を選択する。これにより、一つの方式別通信処理部に複数の発信が重なって、複数の電話番号に発信できない場合には、他の利用可能な方式別通信処理部を利用するため、同時発信を実施でき、接続率を向上できる効果がある。
【0102】
また、発信側の無線通信端末10は、複数の方式別通信処理部毎に、発信者電話番号を有しているため、連絡先情報テーブル202を用いて、発信する相手にどの電話番号を教えてあるかの情報を管理するようにしても良い。これは、相手に教えていない自分の電話番号から、発信元の電話番号が表示される通信端末に発信した場合に、着信者が誰からの電話かを認識できずに、電話を取らない場合があるためである。このため、あらかじめ、連絡先情報テーブル202に、連絡先の電話番号と、その連絡先に教えてある発信者電話番号と、を関連付けて記憶させておき、複数の電話番号への同時発信時に、各電話番号に関連付けられている発信者電話番号から発信する。これにより、相手に教えてある電話番号で発信することができ、通話を早期に可能にする効果や、発信する相手によって自分の電話番号を使い分けられる効果があり、利便性が向上する。
【0103】
また、特に緊急を要する通信の場合には、無線通信端末10は、連絡先情報テーブル202における無線方式、発信設定、受信時間などの設定情報を無視して、発信できうる全ての発信を試みても良い。例えば、ユーザインタフェース部104に、連絡相手の氏名と共に特に緊急を要する旨の情報が入力された場合には、無線通信端末10は、入力された氏名に関連付けられている全ての電話番号を、連絡先情報テーブル202から読み出し、読み出した電話番号への同時発信を行なう。これは、相手の都合よりも緊急性を優先した通話を求める場合に効果がある。
【0104】
また、連絡先情報テーブル202において、名称(名前)と電話番号に関連付けられる項目に、電子メールアドレス、端末のアドレス、PCのIPアドレスなどを含めても良い。この場合、例えば、無線通信端末10は、音声通話が繋がらなかった時に、連絡先情報テーブル202において電話番号に関連付けられている電子メールアドレスなどに、早急に連絡を欲しい旨のメールを送信する。また、電話での発信とメールでの発信とを同時に行なうようにしても良い。これにより、連絡相手の自宅のPCなどに直接メッセージを送ることや、音声発信と同時にデータの発信を行なうことができ、連絡を早期にとれる可能性が高まる効果がある。
【0105】
また、相手が電話に出なかった場合に、その電話番号に関連付けられた電子メールアドレスなどに対し、発信の理由を通知することができ、利便性向上に効果がある。
【0106】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3(b)に例示した連絡先情報テーブル202においては、名前“家族”に、家族の構成員のそれぞれの電話番号が関連付けて記憶されている。
このため、無線通信端末10の所有者が、例えば、緊急に家族と連絡を取りたい場合には、家族の構成員の複数の電話番号に同時発信され、家族の構成員がそれぞれ電話を取る可能性がある。そして、その場合には、複数の通話を確立させることで、無線通信端末10の所有者は、電話を取った家族に、例えば同一の用件を伝えることができる。
【0107】
そこで、無線通信端末10において、複数の電話番号への同時発信に対して、1つの接続が成功しても、接続が成功していない他の発信を中止しない場合について、説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信端末10における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。この図8では、説明を簡単にするために、始めから同時発信が要求される場合について説明する。
【0108】
ユーザにより同時発信が要求されると、この通信処理が開始され、中央制御部100は、同時発信対象の複数の電話番号を取得する(ステップS301)。例えば、ユーザインタフェース部104に連絡相手の名前が入力されると、中央制御部100は、連絡先情報テーブル202を参照し、連絡相手の名前に関連付けられている電話番号の中から、発信設定や受信時間の条件を満たす電話番号を抽出し、同時発信対象として取得する。
なお、連絡先情報テーブル202を参照せずに、例えば、ユーザインタフェース部104に入力される複数の電話番号を、同時発信対象としても良い。
【0109】
次に、中央制御部100は、図4のステップS104〜S106と同様に、各方式別通信処理部101a,101b,・・・を用いて複数の電話番号に同時発信を行ない(ステップS302)、表示部109に発信中状況を表示させ(ステップS303)、呼び出し音を発生させる(ステップS304)。
【0110】
続いて、中央制御部100は、方式別通信処理部1〜N毎に、通信の接続から切断までの処理を並列して実行する。ここでは、無線通信処理部101が、N個の方式別通信処理部1〜Nを有しているものとし、代表して、方式別通信処理部1での通信処理について説明する。
まず、中央制御部100は、方式別通信処理部1での接続が成功したか否かを判別し(ステップS305)、成功していない場合には(ステップS305;No)、ステップS303に戻って発信中状況の表示を継続する。
【0111】
方式別通信処理部1での接続が成功した場合には(ステップS305;Yes)、中央制御部100は、図4のステップS108と同様の処理により、方式別通信処理部1での通信を確立して音声通話を行う(ステップS306)。
次に、中央制御部100は、図4のステップS110と同様の処理により、表示部109に方式別通信処理部1での通話中状況を表示させる(ステップS307)。
【0112】
そして、中央制御部100は、方式別通信処理部1での通信に対する切断指示があるか否かを判別し(ステップS308)、通信切断指示がない場合には(ステップS308;No)、ステップS307に戻って通話中状況の表示を継続する。
【0113】
方式別通信処理部1での通信に対する切断指示があった場合には(ステップS308;Yes)、中央制御部100は、方式別通信処理部1での通信を切断し(ステップS309)、表示部109に切断中状況を表示させて(ステップS310)、方式別通信処理部1での通信処理を終了する。
【0114】
無線通信端末10においては、このステップS305〜S310の処理が、方式別通信処理部1〜Nのそれぞれにおいて、並列して実行される。
無線通信処理部101において、複数の通信が確立された場合には、音声処理部105において、複数の音声をミキシング等により合成して同時に複数の地点と通話できるようにする。これにより、例えば“家族”でグループ化されたメンバに対して、同じ情報を伝える時や、緊急連絡をする場合に、同時に複数の相手に情報を伝えることができる。
【0115】
このように、本実施の形態に係る無線通信端末10は、複数の連絡先との通信を同時に確立することができ、ユーザは複数の相手と同時に通話することができる。
このため、本実施の形態によれば、複数の相手との通信を早期に確立することができると共に、ユーザは、複数の相手に連絡の用件を早期に伝えることができる。
【0116】
また、本実施の形態に係る無線通信端末10においては、複数の電話番号に同時発信をして、複数の接続先と接続できた場合に、接続先毎に通信を切断するかどうかをユーザに問い合わせる。そして、ユーザは、どれを切断するかを、ユーザインタフェース部104を介して選択する。
【0117】
図9は、そのような選択を行うための通話中状況の表示例を示す図である。
図示するように、例えば、“家族”への同時発信により、種別“携帯”及び“自宅”の電話番号との接続が成功した場合には、表示部109に、種別毎の通話中状況が表示されると共に、“切断する通話を選択”と表示される。ユーザが、種別毎の通話中表示の中から、ユーザインタフェース部104におけるキー入力で、切断する通話を選択すると、中央制御部100は、選択された通話を切断する。
【0118】
このような通話中表示により、例えば、複数の連絡先に用件を伝え終わって同時に複数の人と話す必要がなくなった場合に、ユーザ主導で切断する通話を選択することができるため、通話したい相手との通話音以外を除去でき、より通話をし易くすることができる。また、通話の切断により接続数が減り、電力消費を低減できる効果がある。
【0119】
また、本実施の形態においては、複数の発信が同時に接続した場合に、その状況が表示部109に表示され、ユーザは、ユーザインタフェース部104において、どの通話を優先させるかを選択することができる。また、ユーザは、ユーザインタフェース部104を用いて、優先させなかった通話を保留にするか、切断するかを選択することができる。これらにより、通信発信者は、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信操作で、通信を早期に確立することができると共に、通話を選択することができる。
【0120】
次に、本実施の形態における音声処理について説明する。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信端末10における音声処理部105の構成の一例を示す図である。
図10(a)は、各方式別通信処理部から音声信号が入力される場合の音声処理部105の構成例であり、図10(b)は、各方式別通信処理部へ音声信号を出力する場合の音声処理部105の構成例である。
【0121】
図10(a)に示す音声処理部105において、復号化器部301は、複数の復号化器を備え、無線通信処理部101から入力される符号化信号を復号化する。各復号化器は、各方式別通信処理部(CDMA通信処理部101a、無線LAN通信処理部101b、…)での符号化方式に対応しており、方式別通信処理部のそれぞれから送信されてくるデジタル符号化された音声情報を、復号化した音声信号に変換する。
【0122】
多重化器302は、復号化器部301の各復号化器から出力される音声信号を多重化により合成する。
レンジ調整部303は、各方式別通信処理部から入力される音声情報のダイナミックレンジを調整し、多重化器302における多重化の際に、音声レベルを平準化する。
D/A変換部304は、多重化器302で多重化されたデジタル信号をオーディオ信号にアナログ変換して、スピーカ106に出力する。
【0123】
これにより、スピーカ106から音声が出力され、ユーザは、各方式別通信処理部でやり取りされる音声情報を1つのスピーカから同時に聞くことができる。
【0124】
図10(b)に示す音声処理部105において、A/D変換部311は、マイクロフォン107から入力されるアナログ音声をデジタル信号に変換する。
分離器312は、A/D変換部311から入力されるデジタル信号を複数に分離して、符号化器部313に送信する。
符号化器部313は、複数の符号化器を備え、分離器312から送信されるデジタル信号を符号化する。各符号化器は、分離器312からの情報を利用して、各方式別通信処理部に合った符号化を行ない、対応する方式別通信処理部に出力する。
【0125】
これにより、マイクロフォン107から入力された音声は、各方式別通信処理部で利用される音声コーデックに合った規則で符号化され、発信者の音声を同時に接続された相手に伝えることができる。
【0126】
また、復号化器/符号化器は複数個利用しても良いし、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する構成でも良い。複数個の復号化器/符号化器を使用した場合は、複数の音声コーデックを並行して高速処理が可能となり、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する場合は、復号化器/符号化器の数を減らすことができ回路規模を小さくできる。
【0127】
なお、これらは、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアで構成しても良い。ハードウェアで構成した場合は、性能に合わせた並列高速処理を行なうことができ、ソフトウェアで構成した場合は、新しいコーデックに対応する際に機能拡張がし易くなる。
【0128】
次に、音声処理部105の変形例について説明する。
ここでは、無線通信処理部101の各方式別通信処理部からの音声情報がシリアル情報として時分割やCALL_IDなどで分離されて送信されてくる場合に対応する音声処理部105の構成例を説明する。
なお、CALL_IDとは、各方式別通信処理部で処理される呼制御に割り当てられた番号であり、例えば、CDMAで通信される呼をCALL_ID=1として、無線LANで通信される呼をCALL_ID=2として、通信を分離することができる。
【0129】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信端末10における音声処理部105の構成の変形例を示す図である。
図11(a)は、各方式別通信処理部から音声信号が入力される場合の音声処理部105の構成例であり、図11(b)は、各方式別通信処理部へ音声信号を出力する場合の音声処理部105の構成例である。
【0130】
図11(a)に示す音声処理部105において、復号化器部401は、図10(a)の復号化器部301と同様の処理を行なう復号化器部であり、複数の復号化器を備える。各復号化器は、各方式別通信処理部での符号化方式に対応している。
【0131】
スイッチ402は、無線通信処理部101から時分割で送信されてくる符号化された音声情報を、時分割またはIDで識別して、対応する復号化器に切り替えて入力させるための切り替えスイッチである。
スイッチ403は、復号化器部401の各復号化器で復号化されたデジタル信号を、切り替えて出力するための切り替えスイッチである。
【0132】
同期制御部404は、同期クロックにより、スイッチ402と同期を取って、スイッチ403を切り替える。スイッチ402とスイッチ403とが同時に切り替わることにより、無線通信処理部101から送信されてくる情報に合った復号化のパスを通すことができる。
【0133】
D/A変換部405は、スイッチ403を介して復号化器部401から出力されるデジタル信号をオーディオ信号にアナログ変換して、スピーカ106に出力する。
これにより、スピーカ106から時分割で合成された音声が出力され、同時に通信している相手からの音声を聞くことができる。
【0134】
また、図11(a)に示す音声処理部105は、CALL_IDで分離された音声情報を無線通信処理部101から入力し、スイッチ402で各CALL_IDに合った復号化器を選択して、復号化する。これにより、ユーザは、各方式別通信処理部でやり取りされる音声情報を1つのスピーカから同時に聞くことができる。
【0135】
図11(b)に示す音声処理部105において、A/D変換部411は、マイクロフォン107から入力されるアナログ音声をデジタル信号に変換する。
分離器412は、A/D変換部411から入力されるデジタル信号を複数に分離して、符号化器部413に送信する。
符号化器部413は、図10(b)の符号化器部313と同様の処理を行なう符号化器部であり、複数の符号化器を備える。各符号化器は、各方式別通信処理部に合った符号化を行なう。
【0136】
スイッチ414は、無線通信処理部101へ符号化された音声情報を送信する際に、符号化器からの出力を切り替えるスイッチである。
同期制御部415は、同期クロックによりスイッチ414を切り替える。
スイッチ414は、同期クロックにより、無線通信処理部101と同期したタイミングで切り替わり、その切り替えタイミングで、各符号化器で異なる符号化をされた音声情報が、シリアル情報として無線通信処理部101へ送信される。そして、無線通信処理部101が、これらの情報を時分割で処理することにより、各通信先に発信者の声を伝送することができる。
【0137】
なお、各符号化器でCALL_IDを付加するようにしても良い。その場合は、無線通信処理部101において、CALL_IDを監視することにより、CALL_ID毎に発信者の声を選択して通話をすることができる。
【0138】
このような音声処理部105により、マイクロフォン107から入力された音声は、各方式別通信処理部で利用される音声コーデックに合った規則で符号化され、発信者の音声を同時に接続された相手に伝えることができる。
【0139】
また、復号化器/符号化器は複数個利用しても良いし、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する構成でも良い。複数個の復号化器/符号化器を使用した場合は、複数の音声コーデックを並行して高速処理が可能となり、1つの復号化/符号化器を時間で切り替えて使用する場合は、復号化器/符号化器の数を減らすことができ回路規模を小さくできる。
【0140】
なお、これらは、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアで構成しても良い。ハードウェアで構成した場合は、性能に合わせた並列高速処理を行なうことができ、ソフトウェアで構成した場合は、新しいコーデックに対応する際に機能拡張がし易くなる。
【0141】
また、本実施の形態に係る無線通信端末10は、同時に複数の通話を行なうことができるので、例えば、特に緊急を要する通信の場合に、特別な発信操作により、選択した相手に発信するのと同時に、警察や消防の電話番号にも発信するようにしても良い。この場合、例えば、情報保存部103に、警察や消防の電話番号を保存しておく。そして、ユーザインタフェース部104に、連絡相手の氏名と共に特に緊急を要する旨の情報が入力されるなどの特別な発信操作が行なわれたときに、連絡相手と、警察や消防への同時発信を行なう。これにより、緊急性の高い情報を、例えば家族に伝えつつ、警察や消防にも伝えることができる効果がある。
【0142】
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。
上述した図4のステップS109で、接続前に方式別通信処理部による発信が中止され、通信が切断された着信者は、切断された理由が判らずに発信者へリダイヤルすることがある。この対策として、無線通信端末10は、着信者に切断理由通知を付加して送信することによって、着信者の端末に切断理由を表示させる。
【0143】
このため、無線通信端末10は、例えば、切断処理の前に無線通信処理部101で処理されるトラフィックチャネル上のインフォメーションメッセージに切断理由情報ビットを用意し、その情報ビットによって、“他の通信先に接続が完了した”、“リダイヤル不要”などの切断理由通知情報(伝言情報)を相手に通知する。これによって、通信が切断された後に、着信者の端末に、切断理由情報ビットに関連付けられた切断理由が表示され、相手は切断理由を知ることができ、不要なリダイヤルを防止することができる。
【0144】
また、この切断理由通知は、切断後に、切断した理由を相手に電子メールで通知するようにしても良い。この場合、例えば、中央制御部100は、切断理由通知を発行し、無線通信処理部101を制御して、電話番号に送信できるショートメッセージなどに切断理由通知を添付して、切断した発信先電話番号に送信する。また、例えば、情報保存部103の連絡先情報テーブル202に、あらかじめ、連絡先の電話番号に関連付けて電子メールアドレスを保存しておき、中央制御部100は、切断した発信先電話番号に関連付けられているメールアドレスに対し、切断理由通知を送信する。
【0145】
これらにより、無線通信端末10は、着信者への切断理由通知ができ、着信者の利便性を向上できる効果がある。
なお、同時発信したが、どの連絡先とも接続できなかった場合に、この切断理由通知を行なうようにしても良い。その場合は、例えば、“誰とも接続できなかった”などの切断理由通知情報を相手に通知する。
また、図8のステップS309で通信先毎に通信を切断するときに、この切断理由通知を行なうようにしても良い。
【0146】
また、切断理由通知を行なうメール送信アプリケーションは、無線通信端末10の後段に接続されても良い。これは、アプリケーションの作り込みにより、画像や音声で理由を通知できるなど、利便性を向上でき、サービス拡大に効果がある。
【0147】
また、上述した図4のステップS104の同時発信処理の説明において、連絡相手の発信対象となる電話番号の数が、方式別通信処理部の数より少ない場合の方式別通信処理部の選択手法を複数示した。しかし、この他の選択手法であっても良い。
【0148】
例えば、各方式別通信処理部101a,101b,・・・には、情報保存部103内の所有者情報テーブル201に示されるように無線通信方式毎に発信者の電話番号が割り当てられている。このため、発信者が、同時発信に使用する発信者の電話番号を、あらかじめユーザインタフェース部104を用いて、所有者情報テーブル201の中から選択しておき、情報保存部103に保存しておくことにより、その発信者の電話番号に割り当てられている方式別通信処理部を選択するようにしても良い。また、例えば、同時発信する際に、発信者が、同時発信に使用する発信者の電話番号を選択するようにしても良い。
【0149】
また、例えば、無線通信処理部101において、発信者側の受信電波強度指標を参照し、受信電波強度が強い通信方式、または、現状の有効な通信方式を優先的に選択して、情報保存部103内の所有者情報テーブル201においてその通信方式に関連付けられた電話番号で発信しても良い。
【0150】
受信電波強度が強い通信方式とは、無線通信処理部101内の各方式別通信処理部において、電波強度を示す指標、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、C/I(Carrier-to-Interference Ratio)、Pilot強度を示すEc/Ioなどの値が、高い通信方式である。この場合、例えば、CDMA通信方式や無線LAN通信方式などの異なる無線通信方式毎に、電波強度指標の値と接続率との対応関係を実験的に求め、各無線通信方式の電波強度指標の値と接続率とを関連付けた接続率テーブルを作成し、あらかじめ情報保存部103に保存しておく。そして、同時発信時に、各無線通信方式の電波強度指標の値を測定し、この接続率テーブルを参照して各無線通信方式の接続率を比較することにより、接続率の高い無線通信方式を優先的に選択する。これにより、異なる通信方式でも、接続のし易さの指標で受信電波強度を比較することができ、接続がし易い通信方式を優先して選択することができる。
【0151】
また、現状の有効な通信方式とは、通信が困難な状況にない通信方式である。例えば、通信混雑のため基地局から規制がかかっている場合や電波強度指標が安定しない場合などは、通信が困難な状況にあるため、そのような状況にある方式別通信処理部での発信は回避すべきである。そこで、現状の有効な通信を選択することにより、現状使用できる無線通信方式の方式別通信処理部を選択して、発信する。
【0152】
これにより、発信者が、無線通信端末10内に所有している複数の自分の電話番号の中から、同時発信に使用する電話番号を選択できる効果がある。また、無線通信処理部101において、電波強度の優良な通信方式で発信することにより、接続率、接続までの時間短縮が向上できる効果がある。
【0153】
また、着信者の通信端末が複数の通信方式を搭載している場合には、発信者が着信端末の複数の各方式別通信処理部に対して、複数同時に発信するようにしても良い。これにより、着信者の通信端末において、電波強度が強い方式別通信処理部が先に繋がる可能性があり、早期の接続向上に効果がある。
【0154】
また、本実施の形態に係る無線通信端末10を、電話をする場合だけでなく、相手にデータを通知する場合に適用しても良い。この場合、データ送信先のアドレスが入力又は選択されることで、無線通信端末10は複数箇所に同時にデータを通知する。これにより、無線通信端末10は、音声通話のみでなく、文字情報や映像のみのデータによる発信もすることができ、利便性を向上させることができる。また、これにより、通信発信者は、複数の電話番号を所有する相手に対し、1回の発信操作で、メッセージを早期に通知することができる。
【0155】
また、電波強度が弱いなどの理由で、発信が途中で失敗した方式別通信処理部においては、その時点で切断するか、または、リトライし再発信するか、を選択して実行させるようにしても良い。この場合、例えば、どちらを選択させるかの情報をあらかじめ設定しておき、情報保存部103において保持しておく。また、ユーザがユーザインタフェース部104を介して選択するようにしても良い。無線LANアクセスポイント60やCDMA基地局50との認証失敗による発信失敗時などの場合や、通信圏外の場合には、再発信してもすぐには接続できない可能性が高いため、発信処理を中断して切断処理を行なうことで、消費電力を軽減できる効果がある。また、電波強度が弱電界で発信失敗した場合には、まだ接続ができる可能性が高いため、リトライ再発信することで、接続率を向上させる効果がある。
【0156】
また、発信を確認するために発信者に聞こえる発信中の呼び出し音に関しては、複数の発信のいずれか一つのみを選択して聞こえるようにしても良いし、複数発信している全ての呼び出し音を聞こえるようにしても良い。全ての呼び出し音をユーザに聞こえるようにする場合には、音声を合成すれば良い。例えば、図10(a)に示した音声処理部105でミキシングすれば良く、または、図11(a)に示した音声処理部105で交互に通話の切り替えを行なえば良い。
【0157】
いずれか一つの呼び出し音を選択して聞こえるようにした場合は、ユーザは、発信中で接続できていないということを、音で認識することができる。また、全ての呼び出し音をミキシングなどして、スピーカから聞こえるようにした場合は、ユーザは、同時に発信している状況を認識することができる。
【0158】
全ての呼び出し音を聞こえるようにした場合、発信先毎に呼び出し音の音色や音量を変えても良い。呼び出し音の音色や音量の変更は、無線通信処理部101で行なっても良いし、音声処理部105で行なっても良い。無線通信処理部101で行なう場合には、例えば、各方式別通信処理部に、仕様化された呼び出し音に利用される周波数を設定しておく。また、音声処理部105で行なう場合には、例えば、CALL_IDを識別して、レンジ調整部303で音量を調整する。
これにより、複数の地点に同時に発信していることをユーザが認識することができる。
【0159】
また、この呼び出し音に関しては、同時発信しているどれかの通信が確立した場合に、他の同時発信している方式別通信処理部からの全ての呼び出し音を止めても良いし、また、一部または全てを鳴らし続けても良い。どちらにするかの選択は、例えば、あらかじめ設定しておき、その設定情報を情報保存部103に保存しておく。
また、ユーザが、同時発信している方式別通信処理部の中から、呼び出し音を止めたい方式別通信処理部をユーザインタフェース部104を介して選択し、リアルタイムに切り替えるようにしても良い。この場合、選択された方式別通信処理部は、呼び出し音情報を音声処理部105に送信しない。
【0160】
これにより、どれかの通話が確立した際に、全ての呼び出し音を止める場合は、ユーザにとってどれかが接続されれば他の電話番号に繋がらなくても良い状況において、呼び出し音が音声通話の雑音にならない効果がある。また、通話が確立した際に、一部もしくは全部の呼び出し音を鳴らし続ける場合には、ユーザが、接続された相手に加えて、さらに他の発信番号で繋がる可能性のある相手と同時接続したい状況において、発信状況を音で把握することができる。
【0161】
上述した本発明の各実施の形態に係る無線通信端末によれば、以下に述べるような効果が達成される。
複数の通信機能を持った端末において、1回の発信操作で、複数の通信機能を利用して複数の電話番号に同時に電話発信をすることにより、接続率、接続までの時間短縮が向上でき、着信者との通信を早期に確立できる効果がある。
【0162】
また、同時発信時に、先に接続した通信方式に適合する符復号化処理を選択することにより、早期に接続された呼を優先して通話させることができる効果がある。
また、同時発信して、複数の呼が同時に接続された場合に、各方式別通信処理部からの音声をミキシングして、スピーカから聞こえるようにすることにより、同時に複数の相手からの情報を聞くことができる効果がある。
【0163】
また、同時発信時に、発信先情報や発信状況、通信種別を表示することにより、発信者は表示により認識でき、利便性向上に効果がある。
また、同時発信時に、発信先の情報を明示しないことにより、発信者にどの電話番号を利用しているかは気にさせないことができ、判り易い表示であり、利便性向上に効果がある。
また、同時に複数の人と話す必要がない場合に、ユーザ主導で切断する通話を選択できることで、選択した通話への雑音を除去でき、不必要な呼を切断することにより電力消費を低減できる効果がある。
【0164】
また、名前、電話番号などの発信先情報と、それに関連付けられた同時発信設定を管理するテーブルを参照することにより、発信者は簡単な操作で同時に複数の電話番号に発信することができる効果がある。
また、情報保存部に、発信者が使用する時刻を設定しておくことにより、使用者の都合に応じた時刻で電話番号を使い分けられる効果がある。
【0165】
また、同時発信時に、先に接続した通信方式以外の発信を中止することにより、不必要な発信を中止でき電力消費を低減でき、着信者への不要な呼び出しを軽減できる効果がある。
また、同時発信時に、発信を中止した呼に対して、発信着信者へ切断理由通知をすることにより、着信者にとっての利便性を向上できる効果がある。
【0166】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した本発明の各実施の形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施できる。
【0167】
例えば、上記情報保存部103のために用意されたメモリ空間は、無線通信端末10に着脱可能なメモリでも良い。情報保存部103のメモリを着脱可能とすることで、例えば、無線通信端末10を買い換えた場合でも、買い換えた端末にメモリを装着することにより、使用者が今まで蓄積した情報保存部103のデータを継承することができる。
【0168】
また、例えば、上述した動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体を提供するようにしても良い。
【0169】
具体的には、上記の実施形態では、無線通信端末10において、動作プログラムがメモリなどにあらかじめ記憶されているものとして説明した。しかし、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムを既存の無線通信端末にインストールすることにより、上述の処理動作を実行をする無線通信端末を構成しても良い。
【0170】
また、プログラムをインターネットなどの通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置などに格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、無線通信端末にダウンロードなどするようにしても良い。さらに、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0171】
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合などには、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布しても良く、また、無線通信端末にダウンロードなどしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末を用いたシステムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の情報保存部に保存されている情報テーブルの例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】同時発信判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における発信中状況の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における通話中状況の表示例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における通話中状況の表示例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における音声処理部の構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における音声処理部の構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0173】
10…無線通信端末
20…着信端末
30…電話機
40…家屋
50…CDMA基地局
60…無線LANアクセスポイント
70…通信ネットワーク
100…中央制御部
101…無線通信処理部
101a…CDMA通信処理部
101b…無線LAN通信処理部
102…アンテナ
103…情報保存部
104…ユーザインタフェース部
105…音声処理部
106…スピーカ
107…マイクロフォン
108…表示処理部
109…表示部
110…計時部
111…電池
201…所有者情報テーブル
202…連絡先情報テーブル
301,401…復号化器部
302…多重化器
303…レンジ調整部
304,405…D/A変換部
311,411…A/D変換部
312,412…分離器
313,413…符号化器部
402,403,414…スイッチ
404,415…同期制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信手段と、
前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信手段と、
通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶手段と、
前記通信相手と通信するときに、前記通信先記憶手段から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出手段と、
前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御手段と、
を備える無線通信端末装置。
【請求項2】
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記通信先記憶手段は、通信相手毎に、通信相手識別情報と、該通信相手の複数の通信先の電話番号と、を関連付けて記憶し、
前記通信先読出手段は、前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、該通信相手識別情報に関連付けられて前記通信先記憶手段に記憶されている複数の電話番号の中から、所定の第1の電話番号と、該第1の電話番号とは異なる第2の電話番号と、を読み出し、
前記通信制御手段は、前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の電話番号への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の電話番号への発信をさせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項3】
前記入力手段に入力された通信相手識別情報と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の通信状況と、を関連付けて表示する表示手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項4】
前記通信先記憶手段は、通信先の電話番号に関連付けて通信先識別情報を記憶し、
前記表示手段は、
前記通信先記憶手段から、前記第1の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第1の通信手段の通信状況を表示し、
前記通信先記憶手段から、前記第2の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第2の通信手段の通信状況を表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末装置。
【請求項5】
前記表示手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段が発信処理を行なっているときに、発信中であることを示す情報を表示し、
前記第1の通信手段又は前記第2の通信手段が通話処理を行なっているときに、通話中であることを示す情報を表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末装置。
【請求項6】
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、並列した発信に使用する電話番号であるか否かを示す発信設定情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、並列した発信に使用する電話番号であることを示す発信設定情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項7】
時刻を示す計時手段を備え、
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、該電話番号で通信相手が電話を受ける受信時間情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、前記計時手段が示す時刻を取得し、
該取得した時刻を含む受信時間情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項8】
前記通信制御手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて少なくとも1つの通信先が応答したか否かを判別する応答判別手段と、
前記応答判別手段により通信先が応答したと判別されたときに、通信先が応答していない通信手段による発信を中止させる発信中止手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項9】
前記通信制御手段は、
前記発信中止手段が通信手段による発信を中止させたときに、該通信手段が発信していた通信先に、伝言情報を送信する伝言情報送信手段を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信端末装置。
【請求項10】
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記第1の通信手段が出力する第1の通信先からの音声信号と、前記第2の通信手段が出力する第2の通信先からの音声信号と、を合成する音声合成手段と、
前記音声合成手段が合成した音声信号に基づく音声を出力する音声出力手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項11】
前記通信先記憶手段は、通信先毎に通信先識別情報を記憶し、
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記通信先記憶手段から、前記第1の通信先及び前記第2の通信先のそれぞれに関連付けられている通信先識別情報を読み出し、表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する通信先識別情報の中からユーザにより選択された通信先識別情報の入力を受け付ける入力手段と、を備え、
前記通信制御手段は、
前記入力手段に入力された通信先識別情報に関連付けられている通信先が応答している通信手段による通信を切断させる通信切断手段を有する、
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信端末装置。
【請求項12】
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップと、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップと、
を備える無線通信方法。
【請求項13】
コンピュータに、
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップ、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップ、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信手段と、
前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信手段と、
通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶手段と、
前記通信相手と通信するときに、前記通信先記憶手段から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出手段と、
前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御手段と、
を備える無線通信端末装置。
【請求項2】
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記通信先記憶手段は、通信相手毎に、通信相手識別情報と、該通信相手の複数の通信先の電話番号と、を関連付けて記憶し、
前記通信先読出手段は、前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、該通信相手識別情報に関連付けられて前記通信先記憶手段に記憶されている複数の電話番号の中から、所定の第1の電話番号と、該第1の電話番号とは異なる第2の電話番号と、を読み出し、
前記通信制御手段は、前記第1の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第1の電話番号への発信をさせ、該発信と並列して、前記第2の通信手段に、前記通信先読出手段が読み出した前記第2の電話番号への発信をさせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項3】
前記入力手段に入力された通信相手識別情報と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の通信状況と、を関連付けて表示する表示手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項4】
前記通信先記憶手段は、通信先の電話番号に関連付けて通信先識別情報を記憶し、
前記表示手段は、
前記通信先記憶手段から、前記第1の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第1の通信手段の通信状況を表示し、
前記通信先記憶手段から、前記第2の電話番号に関連付けられている通信先識別情報を読み出し、該通信先識別情報に関連付けて、前記第2の通信手段の通信状況を表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末装置。
【請求項5】
前記表示手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段が発信処理を行なっているときに、発信中であることを示す情報を表示し、
前記第1の通信手段又は前記第2の通信手段が通話処理を行なっているときに、通話中であることを示す情報を表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末装置。
【請求項6】
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、並列した発信に使用する電話番号であるか否かを示す発信設定情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、並列した発信に使用する電話番号であることを示す発信設定情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項7】
時刻を示す計時手段を備え、
前記通信先記憶手段は、電話番号毎に、該電話番号で通信相手が電話を受ける受信時間情報を記憶し、
前記通信先読出手段は、
前記入力手段に通信相手識別情報が入力されたときに、前記計時手段が示す時刻を取得し、
該取得した時刻を含む受信時間情報に関連付けられている電話番号の中から、前記第1の電話番号と前記第2の電話番号とを読み出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項8】
前記通信制御手段は、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて少なくとも1つの通信先が応答したか否かを判別する応答判別手段と、
前記応答判別手段により通信先が応答したと判別されたときに、通信先が応答していない通信手段による発信を中止させる発信中止手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項9】
前記通信制御手段は、
前記発信中止手段が通信手段による発信を中止させたときに、該通信手段が発信していた通信先に、伝言情報を送信する伝言情報送信手段を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信端末装置。
【請求項10】
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記第1の通信手段が出力する第1の通信先からの音声信号と、前記第2の通信手段が出力する第2の通信先からの音声信号と、を合成する音声合成手段と、
前記音声合成手段が合成した音声信号に基づく音声を出力する音声出力手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項11】
前記通信先記憶手段は、通信先毎に通信先識別情報を記憶し、
前記通信制御手段による前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の発信に応じて、前記第1の通信先及び前記第2の通信先が応答したときに、前記通信先記憶手段から、前記第1の通信先及び前記第2の通信先のそれぞれに関連付けられている通信先識別情報を読み出し、表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する通信先識別情報の中からユーザにより選択された通信先識別情報の入力を受け付ける入力手段と、を備え、
前記通信制御手段は、
前記入力手段に入力された通信先識別情報に関連付けられている通信先が応答している通信手段による通信を切断させる通信切断手段を有する、
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信端末装置。
【請求項12】
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップと、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップと、
を備える無線通信方法。
【請求項13】
コンピュータに、
通信相手との通信開始指示を受け付ける指示受付ステップ、
前記指示受付ステップで通信開始指示を受け付けたときに、前記通信相手の複数の通信先の情報を記憶する通信先記憶部から、該通信相手の所定の第1の通信先と、該第1の通信先とは異なる該通信相手の第2の通信先と、を読み出す通信先読出ステップ、
所定の第1の無線通信方式で通信を行なう第1の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第1の通信先への発信をさせ、該発信と並列して、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で通信を行なう第2の通信部に、前記通信先読出ステップで読み出した前記第2の通信先への発信をさせる通信制御ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−306429(P2007−306429A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134441(P2006−134441)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】
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