無線通信装置
【課題】スループットを低下させることなく、隠れ端末問題を解消すること。
【解決手段】無線通信装置1は、無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部13と、前記送信フレームを送信するために、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードによって前記第1のフィールドを送信した後に、前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードによって前記第2のフィールドを送信する送受信部12とを具備する。
【解決手段】無線通信装置1は、無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部13と、前記送信フレームを送信するために、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードによって前記第1のフィールドを送信した後に、前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードによって前記第2のフィールドを送信する送受信部12とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電波の直進性が強いミリ波無線システムで、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えながら送信を行う指向性反復伝送技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。この指向性反復伝送技術を用いれば、チャネルを予約するための無線信号を異なる方向にビーム指向性制御しながら繰り返し送信することができるため、広範囲の無線端末にチャネル予約の情報を通知することができる。つまり、指向性反復伝送技術を用いることにより、広範囲の無線端末がチャネル予約の情報を受信することができ、隠れ端末問題の解消が期待できる。その一方で、無線信号を繰り返し送信することによるオ−バヘッドの増大、その結果、スループットの低下が問題となっている。たとえば、繰り返し送信数を4回にする場合は、スループットは1/4になってしまう。
【0003】
また、指向性反復伝送で送信されたチャネル予約のための無線信号の受信に失敗した場合は、そのあと、実際にはペイロードを載せた無線信号が送信されているにも関わらず、送信されていないと誤った判断をする可能性もある。ペイロードを載せた無線信号も指向性反復伝送すれば、上述の誤判断を軽減することができるが、オ−バヘッドは増大し、スループットが劣化してしまう。つまり、キャリアセンスに必要な情報を通知する際の信頼性が低かった。
【0004】
また、指向性反復伝送された無線信号を全て受信するまでは、次にすべき処理を実行できないため、受信処理の低消費電力化の効果が十分に得られなかった。
【特許文献1】特開平11−136735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の指向性反復伝送技術においては、スループットの低下、指向性ビーム制御の効率劣化、情報伝送の信頼性が低い、低消費電力化が十分でない、という問題があった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、スループットを低下させることなく、隠れ端末問題を解消することができる無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の一態様は、無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、前記送信フレームを送信するために、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードによって前記第1のフィールドを送信した後に、前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードによって前記第2のフィールドを送信する送信部とを具備する無線通信装置を提供する。
【0008】
また、この発明の他の態様は、無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、前記第1のフィールド及び第2のフィールドのそれぞれに対して、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードと前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードとを選択的に用いて前記送信フレームを送信する送信部とを具備する無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
したがってこの発明によれば、スループットを低下させることなく、隠れ端末問題を解消することができる無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。無線通信装置1は、アンテナ部11と、送受信部12と、送信フレーム生成部13と、受信フレーム解析部14とを備える。送受信部12は、RFユニット121と、ビーム形成部122、制御部123とを有する。
【0011】
アンテナ部11は、複数のアンテナ素子を備えるアダプティブ・アレイ・アンテナで構成される。送受信部12は、送信フレーム生成部13で生成された送信フレームをビーム形成部122及びRFユニット121を介してRF信号に変換してアンテナ部11から送信する。また、送受信部12は、アンテナ部11に到来したRF信号をRFユニット121及びビーム形成部122を介して受信信号に変換し、受信信号に含まれるフレームデータを受信フレーム解析部14に供給する。
【0012】
ビーム形成部122は、制御部123による指向性制御にしたがって、アンテナ部11により方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する。図2に、この無線通信装置1が形成する指向性ビームの一例を示す。図2の例では、4方向の指向性ビーム1〜4を切り替えて送信しているため、指向性ビーム1〜4の通信エリアの和が、この無線通信装置1の通信エリアになる。以下、このようなビーム制御方式を指向性反復伝送(第1のモード)と称する。これに対し、ある特定の方向のみ、例えば、通信相手先の方向にのみ指向性ビームを形成する伝送方式を非反復伝送(第2のモード)と称する。
【0013】
図3は、送信フレーム生成部13が生成する送信フレームのフォーマットの一例である。図3の例では、送信フレームは、信号同期用のプリアンブルと、物理ヘッダと、物理ヘッダのフレームチェックシーケンス(FCS1)と、MACヘッダと、ペイロードと、MACヘッダ及びペイロードのフレームチェックシーケンス(FCS2)とから構成される。FCS1は、ヘッダに対するチェックシ−ケンスであることから、Header Error Check(HEC)と呼ぶこともある。
【0014】
図4に、従来の物理ヘッダのフォーマットの一例を示す。物理ヘッダには、パケット長と、後続するMACヘッダ、ペイロード、FCS2が伝送される伝送レートに係わる情報が含まれている。パケット長は、ビット長で表記しても、時間長で表記することもできる。伝送レートの情報を利用すれば、ビット長を時間長に変換できるし、時間長をビット長に変換することができる。
【0015】
一般的に、物理ヘッダよりペイロードの方がデータ長が大きいため、FCS1よりも、FCS2の方が誤り検出性能の高い符号が必要とされる。そのため、FCS1よりFCS2の方が多くのビット数が必要となる。また、物理ヘッダにおいて誤りの誤検出や検出見逃しがあっても、それはスループットや効率といった通信特性に対する影響であるが、MACヘッダやペイロードの検出見逃しは誤動作につながりかねない。そのため、FCS1よりもFCS2の方が誤り検出能力の高い符号が使われる。
【0016】
また、プリアンブルは同期をとるための信号を含むとしているが、それ以外にも、無線チャネルの状態を推定するためのチャネル推定フィールドや、あとに続く物理ヘッダの伝送レート情報を設ける方法なども考えられる。物理ヘッダの伝送レートが予め固定の場合は、必ずしもプリアンブルに伝送レート情報を含める必要はない。
【0017】
以下、図3に示したように、プリアンブル、物理ヘッダ、物理ヘッダのフレームチェックシーケンスを第1のフィールドと定義し、MACヘッダ、ペイロード、MACヘッダ及びペイロードのフレームチェックシーケンス(FCS2)を第2のフィールドと定義する。
【0018】
図5に、無線通信装置1が構成するネットワーク構成例を示す。図5では、無線通信装置1が、基地局(アクセス・ポイント)や端末局(ステーション)としてそれぞれ動作することにより構成されるネットワーク例を示している。端末局STA1、STA2は、基地局APを介して、ネットワークと接続する。
【0019】
図6は、従来の指向性反復伝送した例を示したものである。図6の例では、4種類の指向性ビームを用いた送信が必要な場合は、送信フレームを無線送信する際のある単位の無線信号を定義し、その無線信号の単位を、順次指向性ビームを切り替えながら、4回繰り返して送信する。OFDM伝送の場合に、1シンボルを単位とすれば、同じシンボルを指向性ビームを切り替えながら4回ずつ繰り返し送信することである。例えば、プリアンブルが8つのシンボルから構成される場合は、1つ目のシンボルを4回送信し、その後、2つ目のシンボルを4回送信する処理を行っていく。同じシンボルをビームの指向性を切り替えながら、繰り返し送信しているため、広範囲の無線通信装置がこのフレームを受信できるようになる。ただし、繰り返し送信した数だけ伝送効率は劣化してしまうという問題があった。
【0020】
図7Aに、IEEE802.11無線LANで定義されている代表的なフレーム交換(RTS−CTS−Data−Ack)を示す。送信しようとする端末局は、宛先に向けてRTS(Request to Send:送信要求)を送信し、このRTSに応じて宛先から送信されるCTS(Clear to Send:受信準備完了)を受信した後に、データを送信するものである。図7Bには、このフレーム交換に図6に示した指向性反復伝送を適用した場合の例を示す。図7Bでは、各フレームの送信時間長は4倍になってしまうため、図7A,7Bからも明らかなように、指向性反復伝送を用いると、伝送効率が大幅に低下していることがわかる。
【0021】
一方、上記図2に示したように、指向性反復伝送の場合、この無線通信装置の通信エリアは指向性ビーム1〜4の通信エリアの和となる。また、通信相手が、指向性ビーム1〜4のいずれかに位置している場合は、他の通信エリアに位置する端末に対しては、通信中であることを示すことができるため、隠れ端末問題による無駄な無線信号の衝突を回避することができる。隠れ端末問題を回避するためには、図7Bに示したように無線信号を各通信エリアに常に送信して、チャネルがbusyであることを示す方法もあれば、無線信号の中に、チャネルを使用する期間情報(チャネル予定期間)を含め、その期間情報を用いてチャネルを予約する方法もある。
【0022】
このチャネルを予約する方法を用いると、例えば図8A,8Bのように、RTS及びCTSフレームのみ指向性反復伝送で送信し、あとに続くフレーム(Data,Ack)は通常の伝送方式(非反復伝送)で送信することもできる。この方法は、RTS及びCTSフレームを用いて周囲の無線通信装置に、これからチャネルを使用することを通知し、その後のDataとAckの送信は、通信相手が位置する通信エリアのみをカバーする指向性ビームを用いて送信する方法である。この方法を用いると、図7Bよりも伝送効率を向上させることができる。同様に、図8C,8Dに示すように基地局が送信するRTS又はCTSフレームのみ、指向性反復伝送方式を用いて、基地局の通信エリアに位置する無線通信装置にチャネルの予約情報を通知する方法もある。図8C,8Dの方法を用いれば、図8A,8Bよりは、通信効率を向上させることができるが、RTSやCTSを指向性反復伝送で伝送することにより、伝送効率が低下していることには変わらない。
【0023】
この第1の実施形態では、伝送効率をさらに向上することが可能な手法を説明する。
図9に、第1の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図9は、上記図4の物理ヘッダに、チャネルの予約期間(PHY duration(NAV:Network Allocation Vector、通信予定期間))を付加したものである。このPHY Durationは、このパケット自体のパケット長(length)ではなく、これ以降に続く予定のフレーム交換期間に関する情報である。
【0024】
図10は、送信フレーム生成処理の手順を示すフローチャートである。
先ず、送信フレーム生成部13は、信号同期用のプリアンブルを生成する(ステップS1a)。次に、物理ヘッダに付加するためのチャネル予定期間を算出する(ステップS2a)。チャネル予定期間の算出方法は後述する。送信フレーム生成部13は、上記算出されたチャネル予定期間を付加した物理ヘッダを生成し(ステップS3a)、物理ヘッダ用のフレームチェックシーケンス(FCS1)を生成する(ステップS4a)。こうして、プリアンブル、物理ヘッダ、物理ヘッダ用のフレームチェックシーケンス(FCS1)を含む第1のフィールドが生成される。そして、送信フレーム生成部13は、第1のフィールドに後続する、MACアドレス及びペイロードを生成し(ステップS5a)、MACアドレス及びペイロード用のフレームチェックシーケンス(FCS2)を生成する(ステップS6a)。こうして、MACアドレス、ペイロード、MACアドレス及びペイロード用のフレームチェックシーケンス(FCS2)を含む第2のフィールドが生成される。
【0025】
図11に、上記生成された送信フレームを送信する時のビーム制御方法を示す。
送受信部1は、送信フレームのうち、プリアンブル、物理ヘッダ及び物理ヘッダ用のフレームチェックシーケンス(FCS1)を含む第1のフィールドを指向性反復伝送で送信する。すなわち、制御部123はビーム形成部122により方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えながら、第1のフィールド内の各シンボルを4回ずつ繰り返し送信する。
【0026】
一方、第1のフィールドに後続するMACアドレス、ペイロード、MACアドレス及びペイロード用のフレームチェックシーケンス(FCS2)を含む第2のフィールドは、非反復伝送で送信される。制御部123は、ビーム形成部122によりMACアドレスに含まれる宛先の方向に指向性ビームを形成して第2のフィールドを送信する。
【0027】
このように送信することで、スループットを低減することなく、広範囲の無線局に対して、チャネル予定期間を通知することが可能になる。
【0028】
図12は、図9に示した物理ヘッダを含むフレームを受信した場合の受信動作の手順を示すフローチャートである。
受信フレーム解析部14は、第1のフィールドを受信すると(ステップS1b)、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を取得する(ステップS2b)。さらに第2のフィールドを受信した場合は(ステップS3b)、受信した第2のフィールドからMACヘッダを取得する(ステップS4b)。取得したMACヘッダに含まれる宛先アドレスが自局宛てである場合は(ステップS5b)、送受信部12はその後の送受信処理を行う(ステップS6b)。一方、ステップS3bにおいて第2のフィールドが受信できなかった場合、又は、ステップS5bにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合は、受信フレーム解析部14は制御部123に通知することで、送受信部12はチャネル予定期間の送信を禁止する(ステップS7b)。
【0029】
ここで、図13A,13Bを参照して、チャネル予定期間について説明する。物理ヘッダに付加するチャネル予定期間の開始は、第1のフィールドの送信終了直後とする。すなわち、第2のフィールドの送信が開始される予定時刻とする。また、MACヘッダにもチャネル予定期間を付加する場合は、第2のフィールドの送信完了時刻をチャネル予定期間の開始時刻とする。つまり、物理ヘッダの付加するチャネル予定期間の開始時刻と、MACヘッダに付加するチャネル予定期間の開始時刻は、異なるものとする。但し、チャネル予定期間の終了時刻は同じで、フレーム交換の終了時刻とする。
【0030】
例えば、図13AのRTSの物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を500[us]とし、RTSの第2のフィールドのフレーム長を30[us]とする。この時、RTSのMACヘッダに含まれるチャネル予定期間は、470(=500−30)[us]とする。これにより、図13Aのフレーム交換を受信した第3者の無線通信装置において、RTSは受信できたがCTSを受信できなかった無線局と、RTSは受信できなかったがCTSを受信できた無線局とが認識するチャネル予定期間を同じ値にすることができる。また、Data送信時の物理ヘッダに記載するチャネル予定期間を算出する際に、受信したCTSのMACフレームに含まれるチャネル予定期間に基づいて算出することができる。
【0031】
また、図13BのようなCTS−Data−Ackのフレーム交換の場合も同様にチャネル予定期間を算出して設定するようにする。
【0032】
図14A,14Bに第1の実施形態におけるフレーム交換の一例を示す。図14Aは、基地局側のRTSフレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送し、RTSの第2フィールド以降は宛先の方向の指向性ビームを用いて非反復伝送するものである。これにより、前述の図8Cと同様の効果を得つつ、さらに通信効率を向上させることができる。図14Bは、基地局側のCTSフレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送し、CTS第2フィールド以降は宛先の方向の指向性ビームを用いて非反復伝送するものである。このようにすると、前述の図8Dと同様の効果を得つつ、さらに通信効率を向上させることができる。
【0033】
また、図15A〜15Dに第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す。図15A,15Bは、RTS及びCTSフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送し、RTS及びCTSフレームの第2フィールド以降は宛先の方向の指向性ビームを用いて非反復伝送するものである。これにより、前述の図8A,8Bと同様の効果を得つつ、通信効率を向上させることができる。
【0034】
また、上記指向性反復伝送方式では、チャネルが使用されているか否かを確認するために必要な情報のみを繰り返し送信しているため、通信効率が良い。そこで、図15C,15Dに示すように、RTS/CTS交換に続く、Data及びAckフレームの第1フィールドも指向性反復伝送方式で伝送するようにしてもよい。これにより、RTS又はCTSフレームに含まれる物理ヘッダの受信に失敗した場合であっても、Data又はAckフレームの物理ヘッダを受信することができれば、チャネル予定期間が把握できるため、隠れ端末問題解消の信頼性を向上させることができる。特に、Data及びAckフレームを連続してバースト伝送するような場合に効果的である。
【0035】
さらに、図16A〜16Cにフレーム交換の他の例を示す。図15Aから15Dの応用として、図16A,16Cのように、基地局が送信するフレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送しても良い。これにより、基地局の通信エリア内にいる端末局に対してチャネル予定期間に関する情報などを効率よく通知することができる。
【0036】
図16Dに、このような場合における制御部123の送信制御処理の手順を示すフローチャートを示す。
制御部123は、装置種別を表す情報(基地局/端末局)に応じて第1のフィールドの送信方式を選択する(ステップS1)。例えば、装置種別が基地局の場合は指向性反復伝送方式を選択し、装置種別が端末局の場合は非反復伝送方式を選択するものとする。制御部123は、ステップS1で指向性反復伝送方式と選択すると(ステップS2)、第1のフィールドを指向性反復伝送方式で送信し(ステップS3)、第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS4)。一方、制御部123は、ステップS1で非反復伝送方式を選択すると、第1のフィールド及び第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS4、S5)。
【0037】
また、図16Bのように、端末局が、チャネルを獲得するために最初に送信するRTSの1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で送信してもよい。これにより、RTSを送信する端末局の周辺に位置する他の端末局に対して、いち早く、チャネル予定期間に関する情報を通知することができる。
【0038】
なお、通常のRTS/CTS手順では、無線通信装置1は自局宛てのRTS信号を受信したことをトリガにCTS信号を送信するが、自局宛てのRTSを受けなくても送信できるCTS信号を定義してもよい。すなわち自局宛てのCTS信号であることから、「CTS−to−self」とも呼ぶ。
【0039】
図17A,17BにCTS−to−selfの場合のフレーム交換の一例を示す。図17Aは、CTS−to−selfで基地局から端末局へ送信する場合、図17BはCTS−to−selfで端末局から基地局へ送信する場合を示す。図17Aは、基地局から送信するCTSフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。図17Bは、端末局から送信するCTSフレームのプ第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0040】
図18A,18BにCTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す。図18Aは、CTS−to−selfで基地局から端末局へ送信する場合、図18BはCTS−to−selfで端末局から基地局へ送信する場合を示す。図18A,Bは、CTS,Data,Ackの各フレームの第1フィールドを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0041】
また、図19A,19B,19Cは、CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示したものである。図19Aは、基地局から送信するフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送する場合であり、図19Bは、基地局から送信するフレームの第1フィールドと、端末局が送信する最初のCTSフレームの第1フィールドを指向性反復伝送方式で伝送するものである。図19Cは、基地局から最初に送信するフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0042】
図20A〜20Dは、RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換例を示したものである。図20A,20Bは、基地局から端末局へデータ送信する場合で、図20C,20Dは、端末局から基地局へデータ送信する場合を示す。図20A,20Cは、基地局及び端末局の双方からの送信フレームの第1のフィールドを指向性反復伝送方式で伝送し、図20B,20Dは、基地局からの送信フレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0043】
図21A〜21Dに、データをバースト伝送する場合のフレーム交換例を示す。図21A,Cは、基地局から端末局へデータをバースト伝送する場合で、図21B,Dは、端末局から基地局へデータをバースト伝送する場合を示している。図21A、21Bは、基地局及び端末局の双方からの送信フレームの第1のフィールドを指向性反復伝送方式で伝送し、図21C、21Dは、基地局からの送信フレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。なお、図21A〜21Dには、RTS/CTSや、CTS−to−self等を送信せずにDataのみをバースト伝送する場合のフレーム交換例を示したが、Dataバーストの前に、RTS/CTS交換やCTS−to−selfを送信する方法を用いても良い。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、送信フレームのタイプ等に応じて指向性反復伝送方式と非反復伝送方式とを切り替えて送信する手法について説明する。第2の実施形態の構成は、上記図1の構成と同様のため、図1を用いて説明を行う。なお、第2の実施形態は、物理ヘッダの構成と、制御部123の動作が異なるものである。
【0045】
図22に、第2の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図22は、上記図9の物理ヘッダに、ビーム制御識別子に係わる情報を付加したものである。このビーム制御識別子は、第2フィールドをどのように送信するかを示すための識別子である。この識別子を使うことにより、第2フィールドを、1つの指向性ビームを用いて非反復伝送方式で送信する、もしくは、第1フィールドと同様に指向性反復伝送方式で送信するかを相手先に通知することができる。例えば、宛先アドレスがブロードキャストである場合は、自局と通信可能なすべての端末が受信できるように、MACヘッダ以降も指向性反復伝送方式で送信し、宛先アドレスが特定の端末局である場合は、その端末局が受信できる方向の指向性ビームを用いて送信する。このように宛先アドレスがブロードキャストかユニキャストかによって、このビーム制御識別子に適切な値をセットする。なお、宛先アドレスがブロードキャストアドレスの場合は、常に指向性反復伝送方式で送信することを、予め決めておけば、ビーム制御識別子は無くてもよい。
【0046】
次に、制御部123の動作について説明する。図23は、制御部123の送信制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
制御部123は、送信フレーム生成部13から送信フレームのフレームタイプ情報が通知されると、このフレームタイプ情報に応じて第1のフィールドの送信方式を選択する(ステップS1c)。例えば、フレームタイプ情報がRTSフレームの場合は、指向性反復伝送方式を選択する等とする。制御部123は、ステップS1cで指向性反復伝送方式と選択すると(ステップS2c)、第1のフィールドを指向性反復伝送方式で送信する(ステップS3c)。
【0048】
次に、宛先アドレスがブロードキャストである場合(ステップS4c)は、第2のフィールドを指向性反復伝送方式で送信する(ステップS4c)。また、制御部123は、ステップS4cにおいて、宛先アドレスがユニキャストである場合には、第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS7c)。一方、制御部123は、ステップS1cで非反復伝送方式を選択すると、第1のフィールド及び第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS6c、S7c)。
【0049】
また、端末局が移動するような場合は、指向性反復伝送を用いて全方向に対して送信する必要はないものの、移動する可能性のある方向を含めて複数の指向性ビームで送信した方が良い。そのため、例えば8種類の指向性を有するビームがある場合、第1のフィールドは、8回繰り返しの指向性反復伝送方式で送信し、第2のフィールドは、8種類の指向性ビームのうちの3つを用いて、3回繰り返しの指向性反復伝送方式で送信する。指向性反復伝送方式を用いる場合は、受信側は、その繰り返し回数を把握する必要があるが、本実施形態を用いれば、その繰り返し回数を、宛先アドレスや、通信相手の移動方向などを考慮して、適宜必要な回数を選択することが可能となる。
【0050】
上記第1の実施形態では、第2のフィールドの送信方法を1つの指向性ビームを用いて伝送する例を用いて説明したが、ビーム制御識別子を用いれば、必要に応じて繰り返し回数を動的に適用することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
図24A,24Bに、上記図9A、9Bに示した指向性反復伝送を用いたフレーム交換において、Data送信時のビームの指向性が適切でない場合の例を示す。図24Aのように、基地局APは、端末局STA宛て送信に適した指向性ビームを用いてDataを送信するが、無線通信環境の変化があると、指向性ビームが適切でなくなり、その結果、宛先の端末局STAに対してDataが正しく伝送できないことがある。このような場合、基地局APは、指向性反復伝送方式などを用いて、Dataの再送処理を行うが、この方法は、実際にData送信をしてみないと、指向性ビームが正しいか否かの判断ができない。また、Data送信を高効率な多値変調方式で送信した場合は、指向性ビームが適切でないことによるSINR不足か、指向性ビームは適切であるにも関わらず、SINRが不足しているかの判断が難しい。前者の場合は、再送時には指向性ビームを変更することが望ましく、後者の場合は、再送時には指向性ビームを変更せずに、変調方式、符号化方式をよりロバストな方式(たとえば、多値数を減らす、誤り訂正を強化する等)に変更することが望ましい。しかしながら、誤りの原因が特定できないため、従来の再送方式は非効率になりがちであった。また、Dataフレーム長が長い場合は、特に効率が低下していた。図24Bのように、端末局STAが、基地局AP宛てに送信したDataが誤った場合も同様である。
【0052】
そこで、第3の実施形態は、この問題を解決するための手法を提案する。図25A、25Bは、第3の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。図25Aは、上記図1の構成にチャネル推定信号生成部15を設けたものである。図25Bは、上記図1の構成にビーム選択信号生成部16を設けたものである。なお、図1の構成に、チャネル推定信号生成部15とビーム選択信号生成部16との両方を設けても良い。図25Aにおいて、チャネル推定信号生成部15は、送信元が適切なチャネルを推定するために用いるサウンディング信号(チャネル推定信号)を生成する。図25Bにおいて、ビーム選択信号生成部16は、送信元が最適な指向性ビームを選択できるようにするための情報(ビーム選択信号)を生成する。
【0053】
図26に、第3の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図26は、上記図6Aの物理ヘッダに、宛先アドレス情報を付加したものである。この宛先アドレスは、通常MACヘッダに付加されるべき情報であるが、ここでは、物理ヘッダにも付加することとする。MACヘッダには、宛先アドレスを付加しても良いし、付加しなくても良い。
【0054】
図27は、第3の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャートである。
受信フレーム解析部14は、第1のフィールドを受信すると(ステップS1d)、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を取得する(ステップS2d)と共に、物理ヘッダに含まれる宛先アドレスを取得する(ステップS3d)。受信フレーム解析部14は、取得された宛先アドレスが自局宛てである場合は(ステップS4d)、第2のフィールドの受信を試みる(ステップS5d)。ステップS5dにおいて、第2のフィールドが受信された場合は、送受信部12はその後の送受信処理を行う(ステップS6d)。一方、ステップS4dにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合は、送受信部12はチャネル予定期間の送信を停止する(ステップS7d)。また、図27のステップS5dにおいて第2のフィールドが受信できなかった場合は、チャネル推定信号生成部15ではチャネル推定信号の生成処理、または、ビーム選択信号生成部16ではビーム選択信号の生成処理を行う(ステップS8d)。
【0055】
さらに、ステップS4dにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合には、受信処理を停止するようにしても良い。図28に示すように、端末局STA2が、端末局STA1宛ての無線フレームを受信した場合は、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間の間は、基地局APと端末局STA1間の通信が行われていると判断して、その間の受信処理を停止(電源供給をとめたり、クロック供給を止めたり)する。なお、基地局APや端末局STA1が送信する第2のフィールドは、宛先方向に向けた指向性ビームを用いて送信されるため、端末局STA2は電力検出をできないこともあるが、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間の間は、基地局APと端末局STA1間の通信が行われていると判断する。これにより、無駄な電力を浪費することを削減できるため、低消費電力化につながる。
【0056】
ステップS8dにおいて、ビームの指向性が適切でないために第2のフィールドが受信できなかった場合に、チャネル推定信号を送信する場合の動作について説明する。
図29A,29Bでは、自局宛の宛先アドレスが付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合を示す。図29Aでは、指向性反復伝送で送信された第1のフィールドを受信できるものの、それ以降に続く、第2のフィールド以降の情報を正しく受信できなかった場合(フレームチェックシーケンスでエラ−)に、端末局STAの受信フレーム解析部14は、基地局APが自局宛てに形成したビームが適切でないと判断することができる。特に、第1のフィールド伝送に用いた変調方式、誤り訂正方式と、第2のフィールド伝送に用いた変調方式、誤り訂正方式が同じである場合や、第2のフィールド伝送に用いた変調方式、誤り訂正方式の方がよりロバストな方式の場合に、その判断はより適切となる。また、図29Bのように、第2フィールド以降の受信レベルが急激に劣化し、ほとんど受信できない場合も、端末局STAは、基地局APが自局宛てに形成したビームが適切でないと判断することができる。また、第1のフィールドの受信電力と第2のフィールドの受信電力を比較し、その差が予め定めたスレッショルド以上になった場合には、ビームが適切でないと判断することもできる。
【0057】
このような場合、端末局STAのチャネル推定信号生成部15は、RTSの受信が完了して所定の時間が経過した後に、基地局APに対して、基地局APがチャネル推定するために必要なチャネル推定信号を送信する。また、図29Bのように、RTSの第2のフィールド以降が全く受信できなかった場合であっても、RTSの物理ヘッダには、RTSフレーム長に関する情報が付加されているため、端末局STAは、RTSフレームの終了時刻を把握することができるため、チャネル推定信号を送信すべきタイミングを認識することができる。
【0058】
また、ステップS8dにおいて、ビームの指向性が適切でないために第2のフィールドが受信できなかった場合に、ビーム制御信号を送信する場合の動作について説明する。
図30A,30Bでは、自局宛の宛先アドレスが付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合を示す。図30A,30Bにおいて、指向性反復伝送される第1のフィールドの信号から、使用されているビームの識別子を認識できる場合には、端末局STAは、基地局APが使用するビームの中で最適なビームを選択することができる。このような場合に、端末局STAのビーム選択信号生成部16は、RTSフレームを正しく受信しなかった場合や、RTSの第2フィールドを受信できなかった場合には、RTSの受信が完了して所定の時間が経過した後に、基地局APに対して、最適なビームを通知するためのビーム選択信号を送信する。
【0059】
このようにすることで、基地局APは、図24A,24Bのような方法に比べ、速やかに最適なビームを決定できて、効率良く再送処理を実行することができる。また、RTSフレームを正しく受信したにも関わらず、Dataフレームを正しく受信できなかった場合には、ビーム指向性は正しいものの、選択している変調方式が不適切であると判断し、ビーム指向性は維持したまま、よりロバストな変調方式、符号化方式に変更することが可能となる。
【0060】
また、図26に示した物理ヘッダを付加した無線信号を送信することで、広範囲の無線局に対して、チャネル予定期間を通知し、かつ、その無線フレームが、どの無線局宛てであるかを通知することができる。したがって、宛先に指定されていない無線局は、物理ヘッダを解析した後は、そのフレームの第2フィールド以降のデータを受信する必要がないため、受信処理を停止し、省電力化を図ることができる。また、チャネル予定期間は、受信処理を停止して良いことも把握することができる。
【0061】
なお、物理ヘッダに付加する宛先アドレスは、オ−バヘッドを削減するためにハッシュ関数等の可逆な圧縮方法で、情報量を圧縮してもよい。もしくは、非可逆な圧縮方法で圧縮しても良い。非可逆な圧縮方法としては、単純に、MACアドレスの下位数ビットを物理ヘッダに付加する宛先アドレスとして用いることもできる。非可逆な圧縮方法で圧縮した場合は、MACヘッダにも宛先アドレス情報を付加しておき、物理ヘッダに含まれる宛先アドレスに係わる情報を解析することにより、その無線パケットが自局宛てである可能性があるか、ないかの判断をする。自局宛てである可能性がある場合は引き続き受信処理を行い、MACヘッダに付加された宛先アドレスを見て、最終的に、自局宛てであるか否かの判断をしても良い。
【0062】
(第4の実施形態)
図31に、第4の実施形態に係る無線通信装置が構成するネットワーク構成例を示す。図31において、端末局STA1−1〜1−2は、基地局AP1に接続しており、端末局STA2−1〜2−2は、基地局2に接続しているものとする。また、端末局STA2−2は、基地局AP1と基地局AP2の双方の通信エリアに位置している。したがって、端末局STA2−2は、基地局AP2が送信した無線信号だけでなく、基地局AP1が送信した無線信号も受信することができる。そうすると、基地局AP1は、基地局2に接続する端末局STA2−2に対してもチャネル予約をしてしまい、空間多重によるチャネル効率改善効果が低下してしまう恐れがある。
【0063】
そこで、第4の実施形態では、このような問題を解決するための手法を提案する。
第4の実施形態の構成は、上記図1の構成と同様のため、図1を用いて説明を行う。なお、第4の実施形態は、物理ヘッダの構成と、制御部123の動作が異なるものである。図32に、第4の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図32は、上記図6Aの物理ヘッダに、無線チャネルを識別するネットワーク識別子(無線回線を識別する情報)を付加したものである。
【0064】
図33は、第4の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャートである。
受信フレーム解析部14は、第1のフィールドを受信すると(ステップS1e)、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を取得する(ステップS2e)と共に、物理ヘッダに含まれるネットワーク識別子を取得する(ステップS3e)。受信フレーム解析部14は、自局が所属しているネットワークのネットワーク識別子と取得したネットワーク識別子と同一であるか否かを判定し(ステップS4e)、自局が所属しているネットワーク識別子と異なる場合は、物理ヘッダに含まれるチャネル予約情報を無視する。つまり、チャネルが予約されていると判断しないことにする。
【0065】
一方、ステップS4eの判定において、自局が所属しているネットワークのネットワーク識別子と取得したネットワーク識別子と同一である場合に、さらに第2のフィールドを受信した場合は(ステップS5e)、受信した第2のフィールドからMACヘッダを取得する(ステップS6e)。取得したMACヘッダに含まれる宛先アドレスが自局宛てである場合は(ステップS7e)、送受信部12はその後の送受信処理を行う(ステップS8e)。一方、ステップS5eにおいて第2のフィールドが受信できなかった場合は、チャネル予定期間の送信を停止する(ステップS9e)。また、ステップS7eにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合は、送受信部12はチャネル予定期間の送受信を停止する(ステップS10e)。
【0066】
例えば、図34Aに示すように、基地局AP1が端末局STA1−1宛てに送信した無線信号を端末局STA1−1、STA1−2、及びSTA2−2が受信したとする。端末局STA1−1は、自局宛ての無線信号であるため、その後も基地局AP1との通信を行う。
【0067】
端末局STA1−2は、RTSフレームの第1のフィールドを受信し、物理ヘッダに付加されたネットワーク識別子により、自局が所属するネットワークの信号であると判断すると、その後も受信を続けるが、RTSの第2のフィールドを受信した際に、そのフレームが自局宛てでないと判断する。そこで、基地局AP1と端末局STA1−1との通信が行われている期間、すなわち、チャネル予定期間の間、送受信処理を停止する。
【0068】
一方、端末局STA2−2は、RTSフレームの第1のフィールドを受信したところ、物理ヘッダに付加されたネットワーク識別子により、自局が所属するネットワークとは異なるネットワークの信号であることを検出する。そして、端末局STA2−2は、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間をキャンセルし、それ以降も受信処理を継続する。必要に応じて送信処理も行うことができる。これは、図31で示したように、ネットワークが異なる場合は、一般的に端末局STA2−2が基地局AP2宛てに送信する信号が、基地局AP1に所属する端末局STA1−1の通信に及ぼす影響が小さいと考えられるため、送信を抑止するよりは、通常の送受信を継続した方が、空間的な通信効率が向上すると考えられるためである。
【0069】
但し、図34Aの方式は、端末局STA1−2が、RTSフレームの第1のフィールドを受信するものの、その後の第2のフィールドの受信に誤った場合に、それが自局宛てであるか否か判断できないため、その時点で送受信処理を停止することができないという課題が残る。
【0070】
そこで、図35に示すように、図9に示す物理ヘッダに、宛先アドレスとネットワーク識別子の双方を付加するようにする。このようにすると、図34Bに示すように、端末局STA1−2は、RTSフレームの第1のフィールドを受信した時点で、物理ヘッダに含まれる宛先アドレスから、そのフレームが自局宛てでないことを判断できるため、図34Aの方式に比べて、送受信処理の停止を早くすることができ、より一層の低消費電力化に効果がある。
【0071】
上記第4の実施形態によれば、ネットワーク識別子を付加した物理ヘッダを用いることで、端末局は、チャネル予定期間の情報だけでなく、ネットワーク識別子情報を把握できるため、他の基地局に所属する端末局まで必要以上に送信抑制をしてしまうことがなくなる。つまり、異なるネットワーク機器同士での同時送信が可能となり、空間利用効率を向上させることができる。なお、ネットワーク識別子は、宛先アドレスと同様に、可逆圧縮や非可逆圧縮をして情報量削減をしても良い。
【0072】
また、上記実施形態では、図1の無線通信装置の構成例に基づいて説明したが、セクタアンテナを用いた図36の無線通信装置の構成例にも適用することができる。すなわち、複数の指向性を有するセクタアンテナを順次切り替えながらRF信号を送信することにより、指向性反復伝送を実現してもよい。そして、この構成をベースに図25Aで示したようなチャネル推定信号生成部15、または、図25Bでビーム選択信号生成部16を設けても良い。
【0073】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図。
【図2】図1の無線通信装置が形成する指向性ビームの一例を示す図。
【図3】送信フレームのフォーマットの一例を示す図。
【図4】従来の物理ヘッダのフォーマットの一例を示す図。
【図5】図1の無線通信装置が構成するネットワーク構成例を示す図。
【図6】従来の指向性反復伝送の一例を示す図。
【図7A】無線LANで定義されている代表的なフレーム交換例を示す図。
【図7B】図7Aのフレーム交換において指向性反復伝送を適用した例を示す図。
【図8A】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図8B】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図8C】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図8D】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図9】第1の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図10】送信フレーム生成処理の手順を示すフローチャート。
【図11】送信フレームを送信する時のビーム制御方法を示す図。
【図12】図9に示した物理ヘッダを含むフレームを受信した場合の受信動作の手順を示すフローチャート。
【図13A】チャネル予定期間について説明する図。
【図13B】チャネル予定期間について説明する図。
【図14A】第1の実施形態におけるフレーム交換の一例を示す図。
【図14B】第1の実施形態におけるフレーム交換の一例を示す図。
【図15A】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図15B】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図15C】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図15D】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16A】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16B】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16C】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16D】図16A、図16Cのフレーム交換における送信制御処理の手順を示すフローチャート。
【図17A】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図17B】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図18A】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図18B】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図19A】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図19B】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図19C】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図20A】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図20B】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図20C】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図20D】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21A】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21B】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21C】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21D】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図22】第2の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図23】第2の実施形態に係る無線通信装置の送信制御処理の手順を示すフローチャート。
【図24A】Data送信時のビームの指向性が適切でない場合の例を示す図。
【図24B】Data送信時のビームの指向性が適切でない場合の例を示す図。
【図25A】第3の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図。
【図25B】第3の実施形態に係る無線通信装置の他の構成例を示すブロック図。
【図26】第3の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図27】第3の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャートである。
【図28】宛先アドレスが自局宛てでない場合の処理を示す図。
【図29A】チャネル推定信号を送信する動作を示す図。
【図29B】チャネル推定信号を送信する動作を示す図。
【図30A】ビーム制御信号を送信する動作を示す図。
【図30B】ビーム制御信号を送信する動作を示す図。
【図31】第4の実施形態に係る無線通信装置が構成するネットワーク構成例を示す図。
【図32】第4の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図33】第4の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャート。
【図34A】第4の実施形態に係る無線通信装置のフレーム交換の一例を示す図。
【図34B】第4の実施形態に係る無線通信装置のフレーム交換の一例を示す図。
【図35】物理ヘッダの構成の他の例を示す図。
【図36】無線通信装置の他の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0075】
1…無線通信装置、11…アンテナ部、12送受信部、13送信フレーム生成部、14…受信フレーム解析部、121…RFユニット、122…ビーム形成部、123…制御部、1A…無線通信装置、15…チャネル推定信号生成部、16…ビーム選択信号生成部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電波の直進性が強いミリ波無線システムで、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えながら送信を行う指向性反復伝送技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。この指向性反復伝送技術を用いれば、チャネルを予約するための無線信号を異なる方向にビーム指向性制御しながら繰り返し送信することができるため、広範囲の無線端末にチャネル予約の情報を通知することができる。つまり、指向性反復伝送技術を用いることにより、広範囲の無線端末がチャネル予約の情報を受信することができ、隠れ端末問題の解消が期待できる。その一方で、無線信号を繰り返し送信することによるオ−バヘッドの増大、その結果、スループットの低下が問題となっている。たとえば、繰り返し送信数を4回にする場合は、スループットは1/4になってしまう。
【0003】
また、指向性反復伝送で送信されたチャネル予約のための無線信号の受信に失敗した場合は、そのあと、実際にはペイロードを載せた無線信号が送信されているにも関わらず、送信されていないと誤った判断をする可能性もある。ペイロードを載せた無線信号も指向性反復伝送すれば、上述の誤判断を軽減することができるが、オ−バヘッドは増大し、スループットが劣化してしまう。つまり、キャリアセンスに必要な情報を通知する際の信頼性が低かった。
【0004】
また、指向性反復伝送された無線信号を全て受信するまでは、次にすべき処理を実行できないため、受信処理の低消費電力化の効果が十分に得られなかった。
【特許文献1】特開平11−136735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の指向性反復伝送技術においては、スループットの低下、指向性ビーム制御の効率劣化、情報伝送の信頼性が低い、低消費電力化が十分でない、という問題があった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、スループットを低下させることなく、隠れ端末問題を解消することができる無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の一態様は、無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、前記送信フレームを送信するために、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードによって前記第1のフィールドを送信した後に、前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードによって前記第2のフィールドを送信する送信部とを具備する無線通信装置を提供する。
【0008】
また、この発明の他の態様は、無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、前記第1のフィールド及び第2のフィールドのそれぞれに対して、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードと前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードとを選択的に用いて前記送信フレームを送信する送信部とを具備する無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
したがってこの発明によれば、スループットを低下させることなく、隠れ端末問題を解消することができる無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。無線通信装置1は、アンテナ部11と、送受信部12と、送信フレーム生成部13と、受信フレーム解析部14とを備える。送受信部12は、RFユニット121と、ビーム形成部122、制御部123とを有する。
【0011】
アンテナ部11は、複数のアンテナ素子を備えるアダプティブ・アレイ・アンテナで構成される。送受信部12は、送信フレーム生成部13で生成された送信フレームをビーム形成部122及びRFユニット121を介してRF信号に変換してアンテナ部11から送信する。また、送受信部12は、アンテナ部11に到来したRF信号をRFユニット121及びビーム形成部122を介して受信信号に変換し、受信信号に含まれるフレームデータを受信フレーム解析部14に供給する。
【0012】
ビーム形成部122は、制御部123による指向性制御にしたがって、アンテナ部11により方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する。図2に、この無線通信装置1が形成する指向性ビームの一例を示す。図2の例では、4方向の指向性ビーム1〜4を切り替えて送信しているため、指向性ビーム1〜4の通信エリアの和が、この無線通信装置1の通信エリアになる。以下、このようなビーム制御方式を指向性反復伝送(第1のモード)と称する。これに対し、ある特定の方向のみ、例えば、通信相手先の方向にのみ指向性ビームを形成する伝送方式を非反復伝送(第2のモード)と称する。
【0013】
図3は、送信フレーム生成部13が生成する送信フレームのフォーマットの一例である。図3の例では、送信フレームは、信号同期用のプリアンブルと、物理ヘッダと、物理ヘッダのフレームチェックシーケンス(FCS1)と、MACヘッダと、ペイロードと、MACヘッダ及びペイロードのフレームチェックシーケンス(FCS2)とから構成される。FCS1は、ヘッダに対するチェックシ−ケンスであることから、Header Error Check(HEC)と呼ぶこともある。
【0014】
図4に、従来の物理ヘッダのフォーマットの一例を示す。物理ヘッダには、パケット長と、後続するMACヘッダ、ペイロード、FCS2が伝送される伝送レートに係わる情報が含まれている。パケット長は、ビット長で表記しても、時間長で表記することもできる。伝送レートの情報を利用すれば、ビット長を時間長に変換できるし、時間長をビット長に変換することができる。
【0015】
一般的に、物理ヘッダよりペイロードの方がデータ長が大きいため、FCS1よりも、FCS2の方が誤り検出性能の高い符号が必要とされる。そのため、FCS1よりFCS2の方が多くのビット数が必要となる。また、物理ヘッダにおいて誤りの誤検出や検出見逃しがあっても、それはスループットや効率といった通信特性に対する影響であるが、MACヘッダやペイロードの検出見逃しは誤動作につながりかねない。そのため、FCS1よりもFCS2の方が誤り検出能力の高い符号が使われる。
【0016】
また、プリアンブルは同期をとるための信号を含むとしているが、それ以外にも、無線チャネルの状態を推定するためのチャネル推定フィールドや、あとに続く物理ヘッダの伝送レート情報を設ける方法なども考えられる。物理ヘッダの伝送レートが予め固定の場合は、必ずしもプリアンブルに伝送レート情報を含める必要はない。
【0017】
以下、図3に示したように、プリアンブル、物理ヘッダ、物理ヘッダのフレームチェックシーケンスを第1のフィールドと定義し、MACヘッダ、ペイロード、MACヘッダ及びペイロードのフレームチェックシーケンス(FCS2)を第2のフィールドと定義する。
【0018】
図5に、無線通信装置1が構成するネットワーク構成例を示す。図5では、無線通信装置1が、基地局(アクセス・ポイント)や端末局(ステーション)としてそれぞれ動作することにより構成されるネットワーク例を示している。端末局STA1、STA2は、基地局APを介して、ネットワークと接続する。
【0019】
図6は、従来の指向性反復伝送した例を示したものである。図6の例では、4種類の指向性ビームを用いた送信が必要な場合は、送信フレームを無線送信する際のある単位の無線信号を定義し、その無線信号の単位を、順次指向性ビームを切り替えながら、4回繰り返して送信する。OFDM伝送の場合に、1シンボルを単位とすれば、同じシンボルを指向性ビームを切り替えながら4回ずつ繰り返し送信することである。例えば、プリアンブルが8つのシンボルから構成される場合は、1つ目のシンボルを4回送信し、その後、2つ目のシンボルを4回送信する処理を行っていく。同じシンボルをビームの指向性を切り替えながら、繰り返し送信しているため、広範囲の無線通信装置がこのフレームを受信できるようになる。ただし、繰り返し送信した数だけ伝送効率は劣化してしまうという問題があった。
【0020】
図7Aに、IEEE802.11無線LANで定義されている代表的なフレーム交換(RTS−CTS−Data−Ack)を示す。送信しようとする端末局は、宛先に向けてRTS(Request to Send:送信要求)を送信し、このRTSに応じて宛先から送信されるCTS(Clear to Send:受信準備完了)を受信した後に、データを送信するものである。図7Bには、このフレーム交換に図6に示した指向性反復伝送を適用した場合の例を示す。図7Bでは、各フレームの送信時間長は4倍になってしまうため、図7A,7Bからも明らかなように、指向性反復伝送を用いると、伝送効率が大幅に低下していることがわかる。
【0021】
一方、上記図2に示したように、指向性反復伝送の場合、この無線通信装置の通信エリアは指向性ビーム1〜4の通信エリアの和となる。また、通信相手が、指向性ビーム1〜4のいずれかに位置している場合は、他の通信エリアに位置する端末に対しては、通信中であることを示すことができるため、隠れ端末問題による無駄な無線信号の衝突を回避することができる。隠れ端末問題を回避するためには、図7Bに示したように無線信号を各通信エリアに常に送信して、チャネルがbusyであることを示す方法もあれば、無線信号の中に、チャネルを使用する期間情報(チャネル予定期間)を含め、その期間情報を用いてチャネルを予約する方法もある。
【0022】
このチャネルを予約する方法を用いると、例えば図8A,8Bのように、RTS及びCTSフレームのみ指向性反復伝送で送信し、あとに続くフレーム(Data,Ack)は通常の伝送方式(非反復伝送)で送信することもできる。この方法は、RTS及びCTSフレームを用いて周囲の無線通信装置に、これからチャネルを使用することを通知し、その後のDataとAckの送信は、通信相手が位置する通信エリアのみをカバーする指向性ビームを用いて送信する方法である。この方法を用いると、図7Bよりも伝送効率を向上させることができる。同様に、図8C,8Dに示すように基地局が送信するRTS又はCTSフレームのみ、指向性反復伝送方式を用いて、基地局の通信エリアに位置する無線通信装置にチャネルの予約情報を通知する方法もある。図8C,8Dの方法を用いれば、図8A,8Bよりは、通信効率を向上させることができるが、RTSやCTSを指向性反復伝送で伝送することにより、伝送効率が低下していることには変わらない。
【0023】
この第1の実施形態では、伝送効率をさらに向上することが可能な手法を説明する。
図9に、第1の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図9は、上記図4の物理ヘッダに、チャネルの予約期間(PHY duration(NAV:Network Allocation Vector、通信予定期間))を付加したものである。このPHY Durationは、このパケット自体のパケット長(length)ではなく、これ以降に続く予定のフレーム交換期間に関する情報である。
【0024】
図10は、送信フレーム生成処理の手順を示すフローチャートである。
先ず、送信フレーム生成部13は、信号同期用のプリアンブルを生成する(ステップS1a)。次に、物理ヘッダに付加するためのチャネル予定期間を算出する(ステップS2a)。チャネル予定期間の算出方法は後述する。送信フレーム生成部13は、上記算出されたチャネル予定期間を付加した物理ヘッダを生成し(ステップS3a)、物理ヘッダ用のフレームチェックシーケンス(FCS1)を生成する(ステップS4a)。こうして、プリアンブル、物理ヘッダ、物理ヘッダ用のフレームチェックシーケンス(FCS1)を含む第1のフィールドが生成される。そして、送信フレーム生成部13は、第1のフィールドに後続する、MACアドレス及びペイロードを生成し(ステップS5a)、MACアドレス及びペイロード用のフレームチェックシーケンス(FCS2)を生成する(ステップS6a)。こうして、MACアドレス、ペイロード、MACアドレス及びペイロード用のフレームチェックシーケンス(FCS2)を含む第2のフィールドが生成される。
【0025】
図11に、上記生成された送信フレームを送信する時のビーム制御方法を示す。
送受信部1は、送信フレームのうち、プリアンブル、物理ヘッダ及び物理ヘッダ用のフレームチェックシーケンス(FCS1)を含む第1のフィールドを指向性反復伝送で送信する。すなわち、制御部123はビーム形成部122により方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えながら、第1のフィールド内の各シンボルを4回ずつ繰り返し送信する。
【0026】
一方、第1のフィールドに後続するMACアドレス、ペイロード、MACアドレス及びペイロード用のフレームチェックシーケンス(FCS2)を含む第2のフィールドは、非反復伝送で送信される。制御部123は、ビーム形成部122によりMACアドレスに含まれる宛先の方向に指向性ビームを形成して第2のフィールドを送信する。
【0027】
このように送信することで、スループットを低減することなく、広範囲の無線局に対して、チャネル予定期間を通知することが可能になる。
【0028】
図12は、図9に示した物理ヘッダを含むフレームを受信した場合の受信動作の手順を示すフローチャートである。
受信フレーム解析部14は、第1のフィールドを受信すると(ステップS1b)、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を取得する(ステップS2b)。さらに第2のフィールドを受信した場合は(ステップS3b)、受信した第2のフィールドからMACヘッダを取得する(ステップS4b)。取得したMACヘッダに含まれる宛先アドレスが自局宛てである場合は(ステップS5b)、送受信部12はその後の送受信処理を行う(ステップS6b)。一方、ステップS3bにおいて第2のフィールドが受信できなかった場合、又は、ステップS5bにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合は、受信フレーム解析部14は制御部123に通知することで、送受信部12はチャネル予定期間の送信を禁止する(ステップS7b)。
【0029】
ここで、図13A,13Bを参照して、チャネル予定期間について説明する。物理ヘッダに付加するチャネル予定期間の開始は、第1のフィールドの送信終了直後とする。すなわち、第2のフィールドの送信が開始される予定時刻とする。また、MACヘッダにもチャネル予定期間を付加する場合は、第2のフィールドの送信完了時刻をチャネル予定期間の開始時刻とする。つまり、物理ヘッダの付加するチャネル予定期間の開始時刻と、MACヘッダに付加するチャネル予定期間の開始時刻は、異なるものとする。但し、チャネル予定期間の終了時刻は同じで、フレーム交換の終了時刻とする。
【0030】
例えば、図13AのRTSの物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を500[us]とし、RTSの第2のフィールドのフレーム長を30[us]とする。この時、RTSのMACヘッダに含まれるチャネル予定期間は、470(=500−30)[us]とする。これにより、図13Aのフレーム交換を受信した第3者の無線通信装置において、RTSは受信できたがCTSを受信できなかった無線局と、RTSは受信できなかったがCTSを受信できた無線局とが認識するチャネル予定期間を同じ値にすることができる。また、Data送信時の物理ヘッダに記載するチャネル予定期間を算出する際に、受信したCTSのMACフレームに含まれるチャネル予定期間に基づいて算出することができる。
【0031】
また、図13BのようなCTS−Data−Ackのフレーム交換の場合も同様にチャネル予定期間を算出して設定するようにする。
【0032】
図14A,14Bに第1の実施形態におけるフレーム交換の一例を示す。図14Aは、基地局側のRTSフレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送し、RTSの第2フィールド以降は宛先の方向の指向性ビームを用いて非反復伝送するものである。これにより、前述の図8Cと同様の効果を得つつ、さらに通信効率を向上させることができる。図14Bは、基地局側のCTSフレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送し、CTS第2フィールド以降は宛先の方向の指向性ビームを用いて非反復伝送するものである。このようにすると、前述の図8Dと同様の効果を得つつ、さらに通信効率を向上させることができる。
【0033】
また、図15A〜15Dに第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す。図15A,15Bは、RTS及びCTSフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送し、RTS及びCTSフレームの第2フィールド以降は宛先の方向の指向性ビームを用いて非反復伝送するものである。これにより、前述の図8A,8Bと同様の効果を得つつ、通信効率を向上させることができる。
【0034】
また、上記指向性反復伝送方式では、チャネルが使用されているか否かを確認するために必要な情報のみを繰り返し送信しているため、通信効率が良い。そこで、図15C,15Dに示すように、RTS/CTS交換に続く、Data及びAckフレームの第1フィールドも指向性反復伝送方式で伝送するようにしてもよい。これにより、RTS又はCTSフレームに含まれる物理ヘッダの受信に失敗した場合であっても、Data又はAckフレームの物理ヘッダを受信することができれば、チャネル予定期間が把握できるため、隠れ端末問題解消の信頼性を向上させることができる。特に、Data及びAckフレームを連続してバースト伝送するような場合に効果的である。
【0035】
さらに、図16A〜16Cにフレーム交換の他の例を示す。図15Aから15Dの応用として、図16A,16Cのように、基地局が送信するフレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送しても良い。これにより、基地局の通信エリア内にいる端末局に対してチャネル予定期間に関する情報などを効率よく通知することができる。
【0036】
図16Dに、このような場合における制御部123の送信制御処理の手順を示すフローチャートを示す。
制御部123は、装置種別を表す情報(基地局/端末局)に応じて第1のフィールドの送信方式を選択する(ステップS1)。例えば、装置種別が基地局の場合は指向性反復伝送方式を選択し、装置種別が端末局の場合は非反復伝送方式を選択するものとする。制御部123は、ステップS1で指向性反復伝送方式と選択すると(ステップS2)、第1のフィールドを指向性反復伝送方式で送信し(ステップS3)、第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS4)。一方、制御部123は、ステップS1で非反復伝送方式を選択すると、第1のフィールド及び第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS4、S5)。
【0037】
また、図16Bのように、端末局が、チャネルを獲得するために最初に送信するRTSの1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で送信してもよい。これにより、RTSを送信する端末局の周辺に位置する他の端末局に対して、いち早く、チャネル予定期間に関する情報を通知することができる。
【0038】
なお、通常のRTS/CTS手順では、無線通信装置1は自局宛てのRTS信号を受信したことをトリガにCTS信号を送信するが、自局宛てのRTSを受けなくても送信できるCTS信号を定義してもよい。すなわち自局宛てのCTS信号であることから、「CTS−to−self」とも呼ぶ。
【0039】
図17A,17BにCTS−to−selfの場合のフレーム交換の一例を示す。図17Aは、CTS−to−selfで基地局から端末局へ送信する場合、図17BはCTS−to−selfで端末局から基地局へ送信する場合を示す。図17Aは、基地局から送信するCTSフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。図17Bは、端末局から送信するCTSフレームのプ第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0040】
図18A,18BにCTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す。図18Aは、CTS−to−selfで基地局から端末局へ送信する場合、図18BはCTS−to−selfで端末局から基地局へ送信する場合を示す。図18A,Bは、CTS,Data,Ackの各フレームの第1フィールドを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0041】
また、図19A,19B,19Cは、CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示したものである。図19Aは、基地局から送信するフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送する場合であり、図19Bは、基地局から送信するフレームの第1フィールドと、端末局が送信する最初のCTSフレームの第1フィールドを指向性反復伝送方式で伝送するものである。図19Cは、基地局から最初に送信するフレームの第1フィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0042】
図20A〜20Dは、RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換例を示したものである。図20A,20Bは、基地局から端末局へデータ送信する場合で、図20C,20Dは、端末局から基地局へデータ送信する場合を示す。図20A,20Cは、基地局及び端末局の双方からの送信フレームの第1のフィールドを指向性反復伝送方式で伝送し、図20B,20Dは、基地局からの送信フレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。
【0043】
図21A〜21Dに、データをバースト伝送する場合のフレーム交換例を示す。図21A,Cは、基地局から端末局へデータをバースト伝送する場合で、図21B,Dは、端末局から基地局へデータをバースト伝送する場合を示している。図21A、21Bは、基地局及び端末局の双方からの送信フレームの第1のフィールドを指向性反復伝送方式で伝送し、図21C、21Dは、基地局からの送信フレームの第1のフィールドのみを指向性反復伝送方式で伝送するものである。なお、図21A〜21Dには、RTS/CTSや、CTS−to−self等を送信せずにDataのみをバースト伝送する場合のフレーム交換例を示したが、Dataバーストの前に、RTS/CTS交換やCTS−to−selfを送信する方法を用いても良い。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、送信フレームのタイプ等に応じて指向性反復伝送方式と非反復伝送方式とを切り替えて送信する手法について説明する。第2の実施形態の構成は、上記図1の構成と同様のため、図1を用いて説明を行う。なお、第2の実施形態は、物理ヘッダの構成と、制御部123の動作が異なるものである。
【0045】
図22に、第2の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図22は、上記図9の物理ヘッダに、ビーム制御識別子に係わる情報を付加したものである。このビーム制御識別子は、第2フィールドをどのように送信するかを示すための識別子である。この識別子を使うことにより、第2フィールドを、1つの指向性ビームを用いて非反復伝送方式で送信する、もしくは、第1フィールドと同様に指向性反復伝送方式で送信するかを相手先に通知することができる。例えば、宛先アドレスがブロードキャストである場合は、自局と通信可能なすべての端末が受信できるように、MACヘッダ以降も指向性反復伝送方式で送信し、宛先アドレスが特定の端末局である場合は、その端末局が受信できる方向の指向性ビームを用いて送信する。このように宛先アドレスがブロードキャストかユニキャストかによって、このビーム制御識別子に適切な値をセットする。なお、宛先アドレスがブロードキャストアドレスの場合は、常に指向性反復伝送方式で送信することを、予め決めておけば、ビーム制御識別子は無くてもよい。
【0046】
次に、制御部123の動作について説明する。図23は、制御部123の送信制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
制御部123は、送信フレーム生成部13から送信フレームのフレームタイプ情報が通知されると、このフレームタイプ情報に応じて第1のフィールドの送信方式を選択する(ステップS1c)。例えば、フレームタイプ情報がRTSフレームの場合は、指向性反復伝送方式を選択する等とする。制御部123は、ステップS1cで指向性反復伝送方式と選択すると(ステップS2c)、第1のフィールドを指向性反復伝送方式で送信する(ステップS3c)。
【0048】
次に、宛先アドレスがブロードキャストである場合(ステップS4c)は、第2のフィールドを指向性反復伝送方式で送信する(ステップS4c)。また、制御部123は、ステップS4cにおいて、宛先アドレスがユニキャストである場合には、第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS7c)。一方、制御部123は、ステップS1cで非反復伝送方式を選択すると、第1のフィールド及び第2のフィールドを非反復伝送方式で送信する(ステップS6c、S7c)。
【0049】
また、端末局が移動するような場合は、指向性反復伝送を用いて全方向に対して送信する必要はないものの、移動する可能性のある方向を含めて複数の指向性ビームで送信した方が良い。そのため、例えば8種類の指向性を有するビームがある場合、第1のフィールドは、8回繰り返しの指向性反復伝送方式で送信し、第2のフィールドは、8種類の指向性ビームのうちの3つを用いて、3回繰り返しの指向性反復伝送方式で送信する。指向性反復伝送方式を用いる場合は、受信側は、その繰り返し回数を把握する必要があるが、本実施形態を用いれば、その繰り返し回数を、宛先アドレスや、通信相手の移動方向などを考慮して、適宜必要な回数を選択することが可能となる。
【0050】
上記第1の実施形態では、第2のフィールドの送信方法を1つの指向性ビームを用いて伝送する例を用いて説明したが、ビーム制御識別子を用いれば、必要に応じて繰り返し回数を動的に適用することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
図24A,24Bに、上記図9A、9Bに示した指向性反復伝送を用いたフレーム交換において、Data送信時のビームの指向性が適切でない場合の例を示す。図24Aのように、基地局APは、端末局STA宛て送信に適した指向性ビームを用いてDataを送信するが、無線通信環境の変化があると、指向性ビームが適切でなくなり、その結果、宛先の端末局STAに対してDataが正しく伝送できないことがある。このような場合、基地局APは、指向性反復伝送方式などを用いて、Dataの再送処理を行うが、この方法は、実際にData送信をしてみないと、指向性ビームが正しいか否かの判断ができない。また、Data送信を高効率な多値変調方式で送信した場合は、指向性ビームが適切でないことによるSINR不足か、指向性ビームは適切であるにも関わらず、SINRが不足しているかの判断が難しい。前者の場合は、再送時には指向性ビームを変更することが望ましく、後者の場合は、再送時には指向性ビームを変更せずに、変調方式、符号化方式をよりロバストな方式(たとえば、多値数を減らす、誤り訂正を強化する等)に変更することが望ましい。しかしながら、誤りの原因が特定できないため、従来の再送方式は非効率になりがちであった。また、Dataフレーム長が長い場合は、特に効率が低下していた。図24Bのように、端末局STAが、基地局AP宛てに送信したDataが誤った場合も同様である。
【0052】
そこで、第3の実施形態は、この問題を解決するための手法を提案する。図25A、25Bは、第3の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。図25Aは、上記図1の構成にチャネル推定信号生成部15を設けたものである。図25Bは、上記図1の構成にビーム選択信号生成部16を設けたものである。なお、図1の構成に、チャネル推定信号生成部15とビーム選択信号生成部16との両方を設けても良い。図25Aにおいて、チャネル推定信号生成部15は、送信元が適切なチャネルを推定するために用いるサウンディング信号(チャネル推定信号)を生成する。図25Bにおいて、ビーム選択信号生成部16は、送信元が最適な指向性ビームを選択できるようにするための情報(ビーム選択信号)を生成する。
【0053】
図26に、第3の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図26は、上記図6Aの物理ヘッダに、宛先アドレス情報を付加したものである。この宛先アドレスは、通常MACヘッダに付加されるべき情報であるが、ここでは、物理ヘッダにも付加することとする。MACヘッダには、宛先アドレスを付加しても良いし、付加しなくても良い。
【0054】
図27は、第3の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャートである。
受信フレーム解析部14は、第1のフィールドを受信すると(ステップS1d)、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を取得する(ステップS2d)と共に、物理ヘッダに含まれる宛先アドレスを取得する(ステップS3d)。受信フレーム解析部14は、取得された宛先アドレスが自局宛てである場合は(ステップS4d)、第2のフィールドの受信を試みる(ステップS5d)。ステップS5dにおいて、第2のフィールドが受信された場合は、送受信部12はその後の送受信処理を行う(ステップS6d)。一方、ステップS4dにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合は、送受信部12はチャネル予定期間の送信を停止する(ステップS7d)。また、図27のステップS5dにおいて第2のフィールドが受信できなかった場合は、チャネル推定信号生成部15ではチャネル推定信号の生成処理、または、ビーム選択信号生成部16ではビーム選択信号の生成処理を行う(ステップS8d)。
【0055】
さらに、ステップS4dにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合には、受信処理を停止するようにしても良い。図28に示すように、端末局STA2が、端末局STA1宛ての無線フレームを受信した場合は、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間の間は、基地局APと端末局STA1間の通信が行われていると判断して、その間の受信処理を停止(電源供給をとめたり、クロック供給を止めたり)する。なお、基地局APや端末局STA1が送信する第2のフィールドは、宛先方向に向けた指向性ビームを用いて送信されるため、端末局STA2は電力検出をできないこともあるが、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間の間は、基地局APと端末局STA1間の通信が行われていると判断する。これにより、無駄な電力を浪費することを削減できるため、低消費電力化につながる。
【0056】
ステップS8dにおいて、ビームの指向性が適切でないために第2のフィールドが受信できなかった場合に、チャネル推定信号を送信する場合の動作について説明する。
図29A,29Bでは、自局宛の宛先アドレスが付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合を示す。図29Aでは、指向性反復伝送で送信された第1のフィールドを受信できるものの、それ以降に続く、第2のフィールド以降の情報を正しく受信できなかった場合(フレームチェックシーケンスでエラ−)に、端末局STAの受信フレーム解析部14は、基地局APが自局宛てに形成したビームが適切でないと判断することができる。特に、第1のフィールド伝送に用いた変調方式、誤り訂正方式と、第2のフィールド伝送に用いた変調方式、誤り訂正方式が同じである場合や、第2のフィールド伝送に用いた変調方式、誤り訂正方式の方がよりロバストな方式の場合に、その判断はより適切となる。また、図29Bのように、第2フィールド以降の受信レベルが急激に劣化し、ほとんど受信できない場合も、端末局STAは、基地局APが自局宛てに形成したビームが適切でないと判断することができる。また、第1のフィールドの受信電力と第2のフィールドの受信電力を比較し、その差が予め定めたスレッショルド以上になった場合には、ビームが適切でないと判断することもできる。
【0057】
このような場合、端末局STAのチャネル推定信号生成部15は、RTSの受信が完了して所定の時間が経過した後に、基地局APに対して、基地局APがチャネル推定するために必要なチャネル推定信号を送信する。また、図29Bのように、RTSの第2のフィールド以降が全く受信できなかった場合であっても、RTSの物理ヘッダには、RTSフレーム長に関する情報が付加されているため、端末局STAは、RTSフレームの終了時刻を把握することができるため、チャネル推定信号を送信すべきタイミングを認識することができる。
【0058】
また、ステップS8dにおいて、ビームの指向性が適切でないために第2のフィールドが受信できなかった場合に、ビーム制御信号を送信する場合の動作について説明する。
図30A,30Bでは、自局宛の宛先アドレスが付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合を示す。図30A,30Bにおいて、指向性反復伝送される第1のフィールドの信号から、使用されているビームの識別子を認識できる場合には、端末局STAは、基地局APが使用するビームの中で最適なビームを選択することができる。このような場合に、端末局STAのビーム選択信号生成部16は、RTSフレームを正しく受信しなかった場合や、RTSの第2フィールドを受信できなかった場合には、RTSの受信が完了して所定の時間が経過した後に、基地局APに対して、最適なビームを通知するためのビーム選択信号を送信する。
【0059】
このようにすることで、基地局APは、図24A,24Bのような方法に比べ、速やかに最適なビームを決定できて、効率良く再送処理を実行することができる。また、RTSフレームを正しく受信したにも関わらず、Dataフレームを正しく受信できなかった場合には、ビーム指向性は正しいものの、選択している変調方式が不適切であると判断し、ビーム指向性は維持したまま、よりロバストな変調方式、符号化方式に変更することが可能となる。
【0060】
また、図26に示した物理ヘッダを付加した無線信号を送信することで、広範囲の無線局に対して、チャネル予定期間を通知し、かつ、その無線フレームが、どの無線局宛てであるかを通知することができる。したがって、宛先に指定されていない無線局は、物理ヘッダを解析した後は、そのフレームの第2フィールド以降のデータを受信する必要がないため、受信処理を停止し、省電力化を図ることができる。また、チャネル予定期間は、受信処理を停止して良いことも把握することができる。
【0061】
なお、物理ヘッダに付加する宛先アドレスは、オ−バヘッドを削減するためにハッシュ関数等の可逆な圧縮方法で、情報量を圧縮してもよい。もしくは、非可逆な圧縮方法で圧縮しても良い。非可逆な圧縮方法としては、単純に、MACアドレスの下位数ビットを物理ヘッダに付加する宛先アドレスとして用いることもできる。非可逆な圧縮方法で圧縮した場合は、MACヘッダにも宛先アドレス情報を付加しておき、物理ヘッダに含まれる宛先アドレスに係わる情報を解析することにより、その無線パケットが自局宛てである可能性があるか、ないかの判断をする。自局宛てである可能性がある場合は引き続き受信処理を行い、MACヘッダに付加された宛先アドレスを見て、最終的に、自局宛てであるか否かの判断をしても良い。
【0062】
(第4の実施形態)
図31に、第4の実施形態に係る無線通信装置が構成するネットワーク構成例を示す。図31において、端末局STA1−1〜1−2は、基地局AP1に接続しており、端末局STA2−1〜2−2は、基地局2に接続しているものとする。また、端末局STA2−2は、基地局AP1と基地局AP2の双方の通信エリアに位置している。したがって、端末局STA2−2は、基地局AP2が送信した無線信号だけでなく、基地局AP1が送信した無線信号も受信することができる。そうすると、基地局AP1は、基地局2に接続する端末局STA2−2に対してもチャネル予約をしてしまい、空間多重によるチャネル効率改善効果が低下してしまう恐れがある。
【0063】
そこで、第4の実施形態では、このような問題を解決するための手法を提案する。
第4の実施形態の構成は、上記図1の構成と同様のため、図1を用いて説明を行う。なお、第4の実施形態は、物理ヘッダの構成と、制御部123の動作が異なるものである。図32に、第4の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す。図32は、上記図6Aの物理ヘッダに、無線チャネルを識別するネットワーク識別子(無線回線を識別する情報)を付加したものである。
【0064】
図33は、第4の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャートである。
受信フレーム解析部14は、第1のフィールドを受信すると(ステップS1e)、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間を取得する(ステップS2e)と共に、物理ヘッダに含まれるネットワーク識別子を取得する(ステップS3e)。受信フレーム解析部14は、自局が所属しているネットワークのネットワーク識別子と取得したネットワーク識別子と同一であるか否かを判定し(ステップS4e)、自局が所属しているネットワーク識別子と異なる場合は、物理ヘッダに含まれるチャネル予約情報を無視する。つまり、チャネルが予約されていると判断しないことにする。
【0065】
一方、ステップS4eの判定において、自局が所属しているネットワークのネットワーク識別子と取得したネットワーク識別子と同一である場合に、さらに第2のフィールドを受信した場合は(ステップS5e)、受信した第2のフィールドからMACヘッダを取得する(ステップS6e)。取得したMACヘッダに含まれる宛先アドレスが自局宛てである場合は(ステップS7e)、送受信部12はその後の送受信処理を行う(ステップS8e)。一方、ステップS5eにおいて第2のフィールドが受信できなかった場合は、チャネル予定期間の送信を停止する(ステップS9e)。また、ステップS7eにおいて宛先アドレスが自局宛てでない場合は、送受信部12はチャネル予定期間の送受信を停止する(ステップS10e)。
【0066】
例えば、図34Aに示すように、基地局AP1が端末局STA1−1宛てに送信した無線信号を端末局STA1−1、STA1−2、及びSTA2−2が受信したとする。端末局STA1−1は、自局宛ての無線信号であるため、その後も基地局AP1との通信を行う。
【0067】
端末局STA1−2は、RTSフレームの第1のフィールドを受信し、物理ヘッダに付加されたネットワーク識別子により、自局が所属するネットワークの信号であると判断すると、その後も受信を続けるが、RTSの第2のフィールドを受信した際に、そのフレームが自局宛てでないと判断する。そこで、基地局AP1と端末局STA1−1との通信が行われている期間、すなわち、チャネル予定期間の間、送受信処理を停止する。
【0068】
一方、端末局STA2−2は、RTSフレームの第1のフィールドを受信したところ、物理ヘッダに付加されたネットワーク識別子により、自局が所属するネットワークとは異なるネットワークの信号であることを検出する。そして、端末局STA2−2は、物理ヘッダに含まれるチャネル予定期間をキャンセルし、それ以降も受信処理を継続する。必要に応じて送信処理も行うことができる。これは、図31で示したように、ネットワークが異なる場合は、一般的に端末局STA2−2が基地局AP2宛てに送信する信号が、基地局AP1に所属する端末局STA1−1の通信に及ぼす影響が小さいと考えられるため、送信を抑止するよりは、通常の送受信を継続した方が、空間的な通信効率が向上すると考えられるためである。
【0069】
但し、図34Aの方式は、端末局STA1−2が、RTSフレームの第1のフィールドを受信するものの、その後の第2のフィールドの受信に誤った場合に、それが自局宛てであるか否か判断できないため、その時点で送受信処理を停止することができないという課題が残る。
【0070】
そこで、図35に示すように、図9に示す物理ヘッダに、宛先アドレスとネットワーク識別子の双方を付加するようにする。このようにすると、図34Bに示すように、端末局STA1−2は、RTSフレームの第1のフィールドを受信した時点で、物理ヘッダに含まれる宛先アドレスから、そのフレームが自局宛てでないことを判断できるため、図34Aの方式に比べて、送受信処理の停止を早くすることができ、より一層の低消費電力化に効果がある。
【0071】
上記第4の実施形態によれば、ネットワーク識別子を付加した物理ヘッダを用いることで、端末局は、チャネル予定期間の情報だけでなく、ネットワーク識別子情報を把握できるため、他の基地局に所属する端末局まで必要以上に送信抑制をしてしまうことがなくなる。つまり、異なるネットワーク機器同士での同時送信が可能となり、空間利用効率を向上させることができる。なお、ネットワーク識別子は、宛先アドレスと同様に、可逆圧縮や非可逆圧縮をして情報量削減をしても良い。
【0072】
また、上記実施形態では、図1の無線通信装置の構成例に基づいて説明したが、セクタアンテナを用いた図36の無線通信装置の構成例にも適用することができる。すなわち、複数の指向性を有するセクタアンテナを順次切り替えながらRF信号を送信することにより、指向性反復伝送を実現してもよい。そして、この構成をベースに図25Aで示したようなチャネル推定信号生成部15、または、図25Bでビーム選択信号生成部16を設けても良い。
【0073】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図。
【図2】図1の無線通信装置が形成する指向性ビームの一例を示す図。
【図3】送信フレームのフォーマットの一例を示す図。
【図4】従来の物理ヘッダのフォーマットの一例を示す図。
【図5】図1の無線通信装置が構成するネットワーク構成例を示す図。
【図6】従来の指向性反復伝送の一例を示す図。
【図7A】無線LANで定義されている代表的なフレーム交換例を示す図。
【図7B】図7Aのフレーム交換において指向性反復伝送を適用した例を示す図。
【図8A】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図8B】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図8C】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図8D】指向性反復伝送を適用した他の例を示す図。
【図9】第1の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図10】送信フレーム生成処理の手順を示すフローチャート。
【図11】送信フレームを送信する時のビーム制御方法を示す図。
【図12】図9に示した物理ヘッダを含むフレームを受信した場合の受信動作の手順を示すフローチャート。
【図13A】チャネル予定期間について説明する図。
【図13B】チャネル予定期間について説明する図。
【図14A】第1の実施形態におけるフレーム交換の一例を示す図。
【図14B】第1の実施形態におけるフレーム交換の一例を示す図。
【図15A】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図15B】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図15C】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図15D】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16A】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16B】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16C】第1の実施形態におけるフレーム交換の他の例を示す図。
【図16D】図16A、図16Cのフレーム交換における送信制御処理の手順を示すフローチャート。
【図17A】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図17B】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図18A】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図18B】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図19A】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図19B】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図19C】CTS−to−selfの場合のフレーム交換の他の例を示す図。
【図20A】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図20B】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図20C】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図20D】RTS/CTS交換やCTS−to−self送信をしない場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21A】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21B】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21C】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図21D】データをバースト伝送する場合のフレーム交換の一例を示す図。
【図22】第2の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図23】第2の実施形態に係る無線通信装置の送信制御処理の手順を示すフローチャート。
【図24A】Data送信時のビームの指向性が適切でない場合の例を示す図。
【図24B】Data送信時のビームの指向性が適切でない場合の例を示す図。
【図25A】第3の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図。
【図25B】第3の実施形態に係る無線通信装置の他の構成例を示すブロック図。
【図26】第3の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図27】第3の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャートである。
【図28】宛先アドレスが自局宛てでない場合の処理を示す図。
【図29A】チャネル推定信号を送信する動作を示す図。
【図29B】チャネル推定信号を送信する動作を示す図。
【図30A】ビーム制御信号を送信する動作を示す図。
【図30B】ビーム制御信号を送信する動作を示す図。
【図31】第4の実施形態に係る無線通信装置が構成するネットワーク構成例を示す図。
【図32】第4の実施形態における物理ヘッダの構成例を示す図。
【図33】第4の実施形態に係る無線通信装置の受信動作を示すフローチャート。
【図34A】第4の実施形態に係る無線通信装置のフレーム交換の一例を示す図。
【図34B】第4の実施形態に係る無線通信装置のフレーム交換の一例を示す図。
【図35】物理ヘッダの構成の他の例を示す図。
【図36】無線通信装置の他の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0075】
1…無線通信装置、11…アンテナ部、12送受信部、13送信フレーム生成部、14…受信フレーム解析部、121…RFユニット、122…ビーム形成部、123…制御部、1A…無線通信装置、15…チャネル推定信号生成部、16…ビーム選択信号生成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、
前記送信フレームを送信するために、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードによって前記第1のフィールドを送信した後に、前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードによって前記第2のフィールドを送信する送信部と
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、
前記第1のフィールド及び第2のフィールドのそれぞれに対して、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードと前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードとを選択的に用いて前記送信フレームを送信する送信部と
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記第1のフィールドを送信するために、前記送信フレームのタイプに応じて、前記第1のモード及び第2のモードのいずれかを選択することをさらに特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記第2のフィールドを送信するために、前記宛先に応じて、前記第1のモード及び第2のモードのいずれかを選択することをさらに特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記宛先がブロードキャストの場合に、前記第2のフィールドを前記第1のモードで送信することをさらに特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記送信フレーム生成部は、前記物理ヘッダに前記第2のフィールドを前記第1のモード及び第2のモードのうちいずれで送信するかを表すビーム制御情報を付加することをさらに特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記送信フレーム生成部は、前記物理ヘッダに前記宛先を識別する情報を付加することをさらに特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項8】
自局と異なる宛先を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合に、前記予定期間の少なくとも送信処理を停止する受信フレーム解析部をさらに具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項9】
自局宛ての宛先を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した後に、前記第2のフィールドを受信できない場合に、送信元に対してチャネル情報を推定するための信号を生成するチャネル推定信号生成部をさらに具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項10】
自局宛ての宛先を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した後に、前記第2のフィールドを受信できない場合に、送信元に対して指向性ビームを選択するための信号を生成するビーム選択信号生成部をさらに具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記送信フレーム生成部は、前記物理ヘッダに前記無線回線を識別する情報を付加することをさらに特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項12】
自局が接続する無線回線を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合に、前記予定期間の少なくとも送信処理を停止する受信フレーム解析部をさらに具備することを特徴とする請求項11記載の無線通信装置。
【請求項13】
自局が接続する無線回線と異なる無線回線を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合は、前記予定期間の送受信処理を停止する受信フレーム解析部をさらに具備することを特徴とする請求項11記載の無線通信装置。
【請求項14】
前記予定期間の開始時刻は、前記第2のフィールドの送信が開始される予定時刻となるように算出されることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記予定期間を第1の予定期間とし、前記無線回線を宛先との間の通信に使用する第2の予定期間を示す情報を前記第2のフィールドに付加する場合に、前記第2の予定期間の開始時刻は、前記第2のフィールドの送信が終了する予定時刻となるように算出されることをさらに特徴とする請求項14記載の無線通信装置。
【請求項1】
無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、
前記送信フレームを送信するために、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードによって前記第1のフィールドを送信した後に、前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードによって前記第2のフィールドを送信する送信部と
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
無線回線を宛先との間の通信に使用する予定期間を示す情報を付加した物理ヘッダを含む第1のフィールドと、前記第1のフィールドに後続する、ペイロードを含む第2のフィールドとを含む送信フレームを生成する送信フレーム生成部と、
前記第1のフィールド及び第2のフィールドのそれぞれに対して、方向の異なる複数の指向性ビームを切り替えて形成する第1のモードと前記宛先の方向に指向性ビームを形成する第2のモードとを選択的に用いて前記送信フレームを送信する送信部と
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記第1のフィールドを送信するために、前記送信フレームのタイプに応じて、前記第1のモード及び第2のモードのいずれかを選択することをさらに特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記第2のフィールドを送信するために、前記宛先に応じて、前記第1のモード及び第2のモードのいずれかを選択することをさらに特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記宛先がブロードキャストの場合に、前記第2のフィールドを前記第1のモードで送信することをさらに特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記送信フレーム生成部は、前記物理ヘッダに前記第2のフィールドを前記第1のモード及び第2のモードのうちいずれで送信するかを表すビーム制御情報を付加することをさらに特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記送信フレーム生成部は、前記物理ヘッダに前記宛先を識別する情報を付加することをさらに特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項8】
自局と異なる宛先を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合に、前記予定期間の少なくとも送信処理を停止する受信フレーム解析部をさらに具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項9】
自局宛ての宛先を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した後に、前記第2のフィールドを受信できない場合に、送信元に対してチャネル情報を推定するための信号を生成するチャネル推定信号生成部をさらに具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項10】
自局宛ての宛先を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した後に、前記第2のフィールドを受信できない場合に、送信元に対して指向性ビームを選択するための信号を生成するビーム選択信号生成部をさらに具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記送信フレーム生成部は、前記物理ヘッダに前記無線回線を識別する情報を付加することをさらに特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項12】
自局が接続する無線回線を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合に、前記予定期間の少なくとも送信処理を停止する受信フレーム解析部をさらに具備することを特徴とする請求項11記載の無線通信装置。
【請求項13】
自局が接続する無線回線と異なる無線回線を識別する情報が付加された物理ヘッダを含む第1のフィールドを受信した場合は、前記予定期間の送受信処理を停止する受信フレーム解析部をさらに具備することを特徴とする請求項11記載の無線通信装置。
【請求項14】
前記予定期間の開始時刻は、前記第2のフィールドの送信が開始される予定時刻となるように算出されることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記予定期間を第1の予定期間とし、前記無線回線を宛先との間の通信に使用する第2の予定期間を示す情報を前記第2のフィールドに付加する場合に、前記第2の予定期間の開始時刻は、前記第2のフィールドの送信が終了する予定時刻となるように算出されることをさらに特徴とする請求項14記載の無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2010−109939(P2010−109939A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282409(P2008−282409)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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