説明

無限移相器アレイ

【課題】構造簡単な装置で、±nθの位相を有した余弦波、正弦波関数を発生させること。
【解決手段】第n段搬送波生成器は、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] 、sin[ωt-(n-1)θ] 、cos[ωt+(n-1)θ] 、sin[ωt+(n-1)θ] と、cos(θ) 、sin(θ) とから、cos[ωt-(n-1)θ] cos(θ) 、sin[ωt-(n-1)θ] sin(θ) 、cos[ωt+(n-1)θ]cos(θ) 、sin[ωt+(n-1)θ] sin(θ) を得る。これらの信号の任意の 2つの組合せの和、差により、cos(ωt-nθ) 、cos(ωt+nθ) 、sin(ωt+nθ) 、sin(ωt-nθ) の搬送波、直交搬送波を出力する。この構成の第n段搬送波発生器が、第n−1段搬送波生成器に対して縦続接続されて、多段に構成されている。この結果、±nθの位相を有した余弦波、正弦波関数を発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、cos(ωt-nθ) 、sin(ωt-nθ) 、cos(ωt+nθ) 、sin(ωt+nθ) などの、位相がnθで、搬送波間の位相差がθである余弦波、正弦波の集合を生成できる無限移相器アレイに関する。本発明は、電波の放射方向や受信方向を走査できるアレイアンテナを用いたレーダに応用することができる。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1による技術は、フェーズドアレイアンテナにおいて、受信回路に移相器を設けると、移相器による損失が大きくなるという課題を解決するものである。特許文献1の技術は、cos(ωt+θ) と、cos(ωt-θ) の波を、第1及び第2の2本のアンテナから、それぞれ、送出して、第2アンテナにより受信した信号を、第1アンテナの送信信号cos(ωt+θ) で復調し、第1アンテナで受信した信号を、第2アンテナの送信信号cos(ωt-θ) で復調して、合成するものである。この合成信号は、受信角2θでの電波を最大振幅とするものである。これにより、受信信号の損失を防止している。
【0003】
一方、無限移相器としては、下記特許文献2に記載のように、バランスドミキサ、90度移相器、合成器により構成された無限移相器が知られている。この無限移相器では、入力信号cos(ωt)と第1制御信号cos(θ) を用いてそれらの積信号を出力し、入力信号の位相を90度シフトさせたsin(ωt)と、第2制御信号sin(θ) とを用いてそれらの積信号を出力して、それらの積信号の和により、cos(ωt-θ) の信号を生成するものである。
【特許文献1】特許第4011230
【特許文献2】特開2003−243959
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、77GHz帯の車載用ミリ波レーダを用いて、近距離から遠距離までの広距離範囲で且つ広角度範囲の物体を、高感度且つ高分解能で検出する要望が高まっている。この目的のためには、フェーズドアレイ方式が有効である。この方式を実現するには、3以上のn本のアンテナを有するアレイアンテナに対する送信信号として、n本の隣接信号間での位相差θを有する搬送波が必要である。すなわち、第n番目のアンテには、cos(ωt-nθ)の送信搬送波が必要である。また、復調時には、各ブランチ毎に、復調後の受信信号をA/D変換するディジタルビームフォーミング(DBF)においては、漏れ波をキャンセルするために、送信搬送波に直交するsin(ωt-nθ)の復調搬送波が必要であり、各ブランチの受信信号を合成して、出力を大きくする送受信フェーズトアレイ方式の場合には、cos(ωt+nθ)の復調搬送波が必要となる。
【0005】
ところが、これらの信号を生成する場合に、特許文献2に記載の無限移相器を、多段に縦続接続することが考えられるが、この場合には、各段毎に、入力信号cos(ωt-nθ) から、sin(ωt-nθ) を生成する必要があり、各段毎に90度移相器を必要とした。このため、装置が大型になり、ICの実現を妨げている。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その目的は、各段に、90度移相器を用いることなく、多段のcos(ωt-nθ) 、sin(ωt-nθ) 、cos(ωt+nθ) 、sin(ωt+nθ) 信号を生成することである。これにより、装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1の発明は、位相nθ(nは自然数)を有した余弦波と正弦波とを生成する無限移相器アレイにおいて、cos(ωt)、sin(ωt)の直交波形を生成する直交波形生成器と、cos(θ) 、sin(θ) を生成する関数値生成器と、cos(ωt-nθ) 又は、cos(ωt+nθ) の第n搬送波と、sin(ωt-nθ) 又は、sin(ωt+nθ) の第n直交搬送波を生成する第n段搬送波生成器とを有し、n=1に対する第1段搬送波生成器は、直交波形生成器の出力と、関数値生成器の出力との出力から、第1乗算出力cos(ωt)cos(θ) を得る第1乗算器と、第2乗算出力sin(ωt)sin(θ) を得る第2乗算器と、第3乗算出力cos(ωt)sin(θ) を得る第3乗算器と、第4乗算出力sin(ωt)cos(θ) を得る第4乗算器と、第1乗算器及び第2乗算器の出力から、cos(ωt-θ) 又は、cos(ωt+θ) の第1搬送波を出力する第1搬送波生成器と、第3乗算器及び第4乗算器の出力から、sin(ωt-θ) 又は、sin(ωt+θ) の第1直交搬送波を出力する第1直交搬送波生成器と、を有し、2以上のnに対する第n段搬送波発生器は、第n−1段搬送波生成器に対して縦続接続され、cos(ωt)に代えて、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] 又は、cos[ωt+(n-1)θ] の第n−1搬送波と、sin(ωt)に代えて、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt-(n-1)θ] 又は、sin[ωt+(n-1)θ] の第n−1直交搬送波とを用いて、第1段搬送波生成器と同一構成により、第n搬送波cos(ωt-nθ) 又は、cos(ωt+nθ) と、第n直交搬送波sin(ωt-nθ) 又は、sin(ωt+nθ) を出力するものであることを特徴とする。
【0008】
上記の発明において、cos(θ) 、sin(θ) の関数値発生器は、たとえば、θを数値で設定して、これをD/A変換する装置で構成できる。本発明は、cos(ωt ±nθ)、sin(ωt ±nθ)の、位相差がθの直交関数を生成する装置である。本発明は、送信をフェーズドアレイ、受信をDBFで行うアレイアンテナを用いたレーダに用いることができる。なお、上記のθ、ωtは、任意点を基準とする変数であるので、上記の関数は、上記の関数のθに、−θ、θ−π/2、θ±πを代入して得られる関数、上記の関数のωtに、−ωt、ωt−π/2を代入して得られる関数、上記の関数のθに、−θ、θ−π/2、θ±πの何れかを代入した関数における変数ωtに、−ωt、ωt−π/2を代入して得られる関数も、意味するものである。
【0009】
第2の発明は、位相nθ(nは自然数)を有した余弦波と正弦波とを生成する無限移相器アレイにおいて、cos(ωt)、sin(ωt)の直交波形を生成する直交波形生成器と、cos(θ) 、sin(θ) を生成する関数値生成器と、cos(ωt-nθ) の第n段第1搬送波、cos(ωt+nθ) の第n段第2搬送波、sin(ωt-nθ) の第n段第1直交搬送波、及び、sin(ωt+nθ) の第n段第2直交搬送波を生成する第n段搬送波生成器と、とを有し、n=1における、第1段搬送波生成器に対しては、直交波形生成器の出力するcos(ωt)と関数値生成器との出力とからcos(ωt)cos(θ) を得る第1段第1乗算器と、直交波形生成器の出力するsin(ωt)と関数値生成器との出力とからsin(ωt)sin(θ) を得る第1段第2乗算器と、直交波形生成器の出力するcos(ωt)と関数値生成器との出力とからcos(ωt)sin(θ) を得る第1段第3乗算器と、直交波形生成器の出力するsin(ωt)と関数値生成器との出力とからsin(ωt)cos(θ) を得る第1段第4乗算器と、第1段第1乗算器と第1段第2乗算器の出力からcos(ωt-θ) の第1段第1搬送波を生成する第1段第1加算器と、第1段第1乗算器と第1段第2乗算器の出力からcos(ωt+θ) の第1段第2搬送波を生成する第1段第1減算器と、第1段第3乗算器と第1段第4乗算器の出力からsin(ωt+θ) の第1段第2直交搬送波を生成する第1段第2加算器と、第1段第3乗算器と第1段第4乗算器の出力からsin(ωt-θ) の第1段第1直交搬送波を生成する第1段第2減算器と、を有し、2以上のnに対する第n段搬送波発生器は、第n−1段搬送波生成器に対して縦続接続され、第n段搬送波生成器は、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1搬送波と関数値生成器の出力とからcos[ωt-(n-1)θ] cos(θ) を得る第n段第1乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1直交搬送波と関数値生成器の出力とからsin[ωt-(n-1)θ] sin(θ) を得る第n段第2乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2搬送波と関数値生成器の出力とからcos[ωt+(n-1)θ]cos(θ) を得る第n段第3乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2直交搬送波と関数値生成器の出力とからsin[ωt+(n-1)θ] sin(θ) を得る第n段第4乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2搬送波と関数値生成器の出力とからcos[ωt+(n-1)θ]sin(θ) を得る第n段第5乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2直交搬送波と関数値生成器の出力とからsin[ωt+(n-1)θ]cos(θ) を得る第n段第6乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1搬送波と関数値生成器の出力とからcos[ωt-(n-1)θ]sin(θ) を得る第n段第7乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1直交搬送波と関数値生成器の出力とからsin[ωt-(n-1)θ]cos(θ) を得る第n段第8乗算器と、第n段第1乗算器と第n段第2乗算器の出力からcos(ωt-nθ) の第n段第1搬送波を生成する第n段第1加算器と、第n段第3乗算器と第n段第4乗算器の出力からcos(ωt+nθ) の第n段第2搬送波を生成する第n段第1減算器と、第n段第5乗算器と第n段第6乗算器の出力からsin(ωt+nθ) の第n段第2直交搬送波を生成する第n段第2加算器と、第n段第7乗算器と第n段第8乗算器の出力からsin(ωt-nθ) の第n段第1直交搬送波を生成する第n段第2減算器と、を有することを特徴とする無限移相器アレイである。
【0010】
本発明は、cos(ωt −nθ) 及びcos(ωt +nθ) 、又は、sin(ωt −nθ) 及びsin(ωt +nθ) の信号を生成する装置である。本発明は、送受信共にフェーズドアレイとするレーダに用いることができる。なお、本発明においても、上記のθ、ωtは、任意点を原点とする変数であるので、上記の関数は、上記の関数のθに、−θ、θ−π/2、θ±πを代入して得られる関数、上記の関数のωtに、−ωt、ωt−π/2を代入して得られる関数、上記の関数のθに、−θ、θ−π/2、θ±πの何れかを代入した関数における変数ωtに、−ωt、ωt−π/2を代入して得られる関数も、意味するものである。また、減算器は、異符号の2信号を加算する加算器、加算器は、異符号の2信号を減算する減算器と、等価であるので、両者は、実質的に同一である。
【0011】
第3の発明は、各乗算器のうちの第1出力と第2出力との2出力の和と差とにより、搬送波、直交搬送波を生成する場合において、第n段搬送波発生器は、第1出力とその反転出力による第1差動増幅器回と、第2出力とその反転出力による第2差動増幅回路との並列接続による差動出力で和出力を得て、第1出力が入力される第1差動増幅器の回路と第2出力の反転出力が入力される第2差動増幅器の回路との並列接続、第1出力の反転出力が入力される第1差動増幅器の回路と第2出力が入力される第2差動増幅器の回路との並列接続とによる差動出力で差出力を得る構成であることを特徴とする。
【0012】
上記の全発明において、本発明は、モノパルス方式、FMCW方式の何れにも用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、cos(ωt)、sin(ωt)の直交波形を生成するのは、初段においてのみである。したがって、90度移相器は、1つだけあれば良く、各段毎に必要とはしない。また、各段間にも、位相差θを与える移相器を必要としない。このために、装置を小型化でき、ICの製造に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施例を図を参照しながら説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の具体的な一実施例に係る無限移相器アレイの回路図である。図には、3段だけの従続接続回路が表示されているが、実際は、n段の従続接続回路で構成されている。第1段搬送波生成器A1は、信号cos(ωt)を生成する信号生成器110と、その信号を増幅する増幅器113、増幅器113の出力信号を90度遅延させて信号sin(ωt)を生成する90度移相器112を有している。信号生成器110、増幅器113、90度移相器112とで、直交波形生成器が構成されている。cos(θ) を生成する関数値生成器121、sin(θ) を生成する関数値生成器122、−sin(θ) を生成する関数値生成器123が設けられている。これらは、数値θを設定して、その値をD/A変換する装置である。
【0016】
第1乗算器141は、関数値生成器121の出力するcos(θ) と、信号生成器110の出力するcos(ωt)との積cos(ωt)cos(θ) を生成するミキサーである。また、第2乗算器142は、関数値生成器122の出力するsin(θ) と、移相器112の出力するsin(ωt)との積sin(ωt)sin(θ) を生成するミキサーである。第3乗算器143は、関数値生成器123の出力する−sin(θ) と、信号生成器110の出力するcos(ωt)との積−cos(ωt)sin(θ) を生成するミキサーである。第4乗算器144は、関数値生成器121の出力するcos(θ) と、移相器112の出力するsin(ωt)との積sin(ωt)cos(θ) を生成するミ キサーである。
【0017】
第1乗算器141の出力と第2乗算器142の出力は、第1加算器151に入力している。また、第3乗算器143の出力と第4乗算器144の出力は、第2加算器152に入力している。第1加算器151の出力は、cos(ωt)cos(θ) +sin(ωt)sin(θ) であるので、cos(ωt −θ) となる。第2加算器152の出力は、−cos(ωt)sin(θ) +sin(ωt)cos(θ) であるので、sin(ωt −θ) となる。第1加算器151が第1搬送波生成器、第2加算器152が第1直交搬送波生成器を構成している。そして、増幅器153、154から、第1搬送波cos(ωt −θ) と、これと同位相の第1直交搬送波sin(ωt −θ) が出力される。
【0018】
第2段搬送波生成器A2は、次のように構成されている。
第1乗算器241は、関数値生成器121の出力するcos(θ) と、第1段搬送波生成器A1の増幅器153の出力(第1搬送生成器151の出力)である第1搬送波cos(ωt−θ)との積cos(ωt−θ)cos(θ) を生成するミキサーである。また、第2乗算器242は、関数値生成器122の出力するsin(θ) と、第1段搬送波生成器A1の増幅器154の出力(第1直交搬送波生成器152の出力)である第1直交搬送波sin(ωt−θ)との積sin(ωt−θ)sin(θ) を生成するミキサーである。第3乗算器243は、関数値生成器123の出力する−sin(θ) と、第1段搬送波生成器A1の増幅器153の出力(第1搬送生成器151の出力)である第1搬送波cos(ωt−θ)との積−cos(ωt−θ)sin(θ) を生成するミキサーである。第4乗算器244は、関数値生成器121の出力するcos(θ) と、第1段搬送波生成器A1の増幅器154の出力(第1直交搬送波生成器152の出力)である第1直交搬送波sin(ωt−θ)との積sin(ωt−θ)cos(θ) を生成するミキサーである。
【0019】
第1乗算器241の出力と第2乗算器242の出力は、第1加算器251に入力している。また、第3乗算器243の出力と第4乗算器244の出力は、第2加算器252に入力している。第1加算器251の出力は、cos(ωt−θ)cos(θ) +sin(ωt−θ)sin(θ) であるので、cos(ωt −2θ) となる。第2加算器252の出力は、−cos(ωt−θ)sin(θ) +sin(ωt−θ)cos(θ) であるので、sin(ωt −2θ) となる。第1加算器251が第2搬送波生成器、第2加算器252が第2直交搬送波生成器となる。そして、増幅器253、254から、第2搬送波cos(ωt −2θ) と、これと同位相の第2直交搬送波sin(ωt −2θ) が出力される。
【0020】
第3段搬送波生成器A3は、入力が、第2段搬送波生成器A2の出力である第2搬送波cos(ωt −2θ) と第2直交搬送波sin(ωt −2θ) である点のみが異なり、他の構成は、第2段搬送波生成器A2の構成と同一である。同一機能を有する素子には、百位を3として、十位、一位の数字を同一とする符号で表されている。
【0021】
このようにして、n段の搬送波生成器を設けることで、n個の搬送波cos(ωt −nθ) と、n個の直交搬送波sin(ωt −nθ) を生成することができる。このようにして、直交波形生成器として、第1段搬送波生成器A1にのみ90度遅延移相器112を設けるだけ、他の段の搬送波生成器には、90度移相器を必要としなし、段間で移相をθだけ遅延させる移相器が不要となる。したがって、装置を小型化することができ、本無限移相器アレイのICの製造が可能となる。もちろん、θを−θとして、すなわち、関数値発生器122の出力を−sin(θ) として、関数値発生器123の出力をsin(θ) とすることで、第n搬送波をcos(ωt +nθ) 、第n直交搬送をsin(ωt +nθ) としても良い。
【0022】
上記実施例において、関数値発生器123は、関数値発生器122の出力を反転させたものでも良い。また、関数値発生器123を設けずに、−sin(θ) の代わりに、関数値発生器122の出力sin(θ) を用いて、第2加算器152を、減算器で構成しても良い。他の段も同様である。信号生成器110は、当然のことながら、信号sin(ωt)を生成するものであっても良い。すなわち、ωtをωt−π/2としても良い。
【実施例2】
【0023】
図2は、実施例2に係る無限移相器アレイの回路図である。図には、2段だけの従続接続回路が表示されているが、実際は、n段の従続接続回路で構成されている。第1段搬送波生成器A1は、信号cos(ωt)を生成する信号生成器114と、信号sin(ωt)を生成する信号生成器116とを有している。これらの構成は、実施例1と同一である。信号生成器器114、116とで、直交波形生成器が構成されている。cos(θ) を生成する関数値生成器131、sin(θ) を生成する関数値生成器132が設けられている。これらは、数値θを設定して、その値をD/A変換する装置である。
【0024】
第1段第1乗算器145は、関数値生成器131の出力するcos(θ) と、信号生成器114の出力するcos(ωt)との積cos(ωt)cos(θ) を生成するミキサーである。また、第1段第2乗算器147は、関数値生成器132の出力するsin(θ) と、信号生成器116のの出力するsin(ωt)との積sin(ωt)sin(θ) を生成するミキサーである。第1段第3乗算器149は、関数値生成器132の出力するsin(θ) と、信号生成器114の出力するcos(ωt)との積cos(ωt)sin(θ) を生成するミキサーである。第1段第4乗算器151は、関数値生成器131の出力するcos(θ) と、信号生成器116の出力するsin(ωt)との積sin(ωt)cos(θ) を生成するミキサーである。
【0025】
第1段第1乗算器145の出力と第1段第2乗算器147の出力は、第1段第1加算器161に入力している。また、第1段第3乗算器149の出力と第1段第4乗算器151の出力は、第1段第2加算器162に入力している。第1段第1加算器161の出力は、cos(ωt)cos(θ) +sin(ωt)sin(θ) であるので、第1段第1搬送波であるcos(ωt −θ) となる。第1段第2加算器162の出力は、cos(ωt)sin(θ) +sin(ωt)cos(θ) であるので、第1段第2直交搬送波であるsin(ωt +θ) となる。
【0026】
第1段第1乗算器145の出力と第1段第2乗算器147の出力は、第1段第1減算器163に入力している。また、第1段第3乗算器149の出力と第1段第4乗算器151の出力は、第1段第2減算器164に入力している。第1段第1減算器163の出力は、cos(ωt)cos(θ) −sin(ωt)sin(θ) であるので、第1段第2搬送波であるcos(ωt +θ) となる。第1段第2減算器164の出力は、−cos(ωt)sin(θ) +sin(ωt)cos(θ) であるので、第1段第1直交搬送波であるsin(ωt −θ) となる。
【0027】
第2段搬送波生成器A2は、次のように構成されている。
第2段第1乗算器245は、関数値生成器131の出力するcos(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第1搬送波cos(ωt−θ)との積cos(ωt−θ)cos(θ) を生成するミキサーである。また、第1段第2乗算器246は、関数値生成器132の出力するsin(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第1直交搬送波sin(ωt−θ)との積sin(ωt−θ)sin(θ) を生成するミキサーである。第2段第3乗算器247は、関数値生成器131の出力するcos(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第2搬送波cos(ωt+θ)との積cos(ωt+θ)cos(θ) を生成するミキサーである。第2段第4乗算器248は、関数値生成器132の出力するsin(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第2直交搬送波sin(ωt+θ)との積sin(ωt+θ)sin(θ) を生成するミキサーである。
【0028】
第2段第5乗算器249は、関数値生成器132の出力するsin(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第2搬送波cos(ωt+θ)との積cos(ωt+θ)sin(θ) を生成するミキサーである。また、第1段第6乗算器250は、関数値生成器131の出力するcos(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第2直交搬送波sin(ωt+θ)との積sin(ωt+θ)cos(θ) を生成するミキサーである。第2段第7乗算器251は、関数値生成器132の出力するsin(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第1搬送波cos(ωt−θ)との積cos(ωt−θ)sin(θ) を生成するミキサーである。第2段第8乗算器252は、関数値生成器131の出力するcos(θ) と、第1段搬送波生成器A1の出力である第1段第1直交搬送波sin(ωt−θ)との積sin(ωt−θ)css(θ) を生成するミキサーである。
【0029】
第2段第1乗算器245の出力と第2段第2乗算器246の出力は、第2段第1加算器261に入力している。また、第2段第5乗算器249の出力と第2段第6乗算器250の出力は、第2段第2加算器262に入力している。第2段第1加算器261の出力は、cos(ωt−θ)cos(θ) +sin(ωt−θ)sin(θ) であるので、第2段第1搬送波であるcos(ωt −2θ) となる。第2段第2加算器262の出力は、cos(ωt+θ)sin(θ) +sin(ωt+θ)cos(θ) であるので、第2段第2直交搬送波であるsin(ωt +2θ) となる。
【0030】
第2段第3乗算器247の出力と第2段第4乗算器248の出力は、第2段第1減算器263に入力している。また、第2段第7乗算器251の出力と第2段第8乗算器252の出力は、第2段第2減算器264に入力している。第2段第1減算器263の出力は、cos(ωt+θ)cos(θ) −sin(ωt+θ)sin(θ) であるので、第2段第2搬送波であるcos(ωt+2θ) となる。第2段第2減算器264の出力は、−cos(ωt−θ)sin(θ) +sin(ωt−θ)cos(θ) であるので、第2段第1直交搬送波であるsin(ωt−2θ) となる。
【0031】
第3段搬送波生成器A3は、第2段搬送波生成器A2と同一に構成されており、入力搬送波波が、第2段搬送波生成器A2の出力であるcos(ωt−2θ) 、cos(ωt+2θ) 、sin(ωt−2θ) 、sin(ωt+2θ) である点においてのみ異なる。
【0032】
このようにして、n段の搬送波生成器を設けることで、n個の第1搬送波cos(ωt−nθ) 及びn個の第2搬送波cos(ωt+nθ) と、n個の第1直交搬送波sin(ωt−nθ) 及びn個の第2直交搬送波sin(ωt+nθ) を生成することができる。このようにして、、cos(ωt)とsin(ωt)を発生する直交波形生成器と、cos(θ) とsin(θ) を生成する関数値生成器とを設けるだけで、上記のように、±nθの位相を有した、余弦波、正弦波を生成することができる。したがって、段間において、移相をθだけ遅延させる移相器を必要としないので、装置を小型化することができ、本無限移相器アレイのICの製造が可能となる。
【0033】
なお、第1段搬送波生成器A1は、cos(ωt−nθ) 、cos(ωt+nθ) におけるn=0の場合に相当して、入力搬送波がcos(ω)に、sin(ωt−nθ) 、sin(ωt+nθ) におけるn=0の場合に相当して、入力直交搬送波がsin(ωt)に宿約されている点のみ、第2段搬送波生成器A2と異なる。したがって、乗算器の数が第2段搬送波生成器A2に比べて1/2となるが、もちろん、第2段搬送波生成器と、完全に同一構成にして、乗算器を8個用いるようにしても良い。
【0034】
このような実施例2の構成を採用すると、送受信フェーズトアレイ方式のレーダにおいて、まず、各アンテナ(1〜n)に、cos[ωt−(n−1)θ]の搬送波を供給する。そして、送信回路から受信回路に回り込んだ信号cos[ωt−(n−1)θ−φn] をsin[ωt−(n−1)θ]で復調して、下側帯波だけ抽出する。φn は、第nアンテナ系統の送信回路と受信回路による伝播遅延時間に相当する位相である。すると、復調結果は、直流のsin(φn ) となる。この値を、各アンテナ系統毎にオフセット値として記憶しておく。すなわち、回路の遅延位相を知ることができる。
【0035】
次に、レーダにより距離を測定する場合には、実施例2の本無限位相器アレイにより、n個の第1搬送波cos(ωt−nθ) とn個の第2搬送波cos(ωt+nθ) とを生成することができる。これにより、各アンテナ(1〜n)の送信変調搬送波をcos(ωt−nθ) 、受信復調搬送波をcos(ωt+nθ) として、復調後のn本の信号を合成する。この時、各受信系統の受信信号には、位相φnによる遅延が含まれている。この位相が各アンテナ毎に異なると、合成した場合に最大電力が得られないので、この位相φnにより、各受信復調搬送波の位相を進めた、搬送波で復調する。これにより、各アンテナ系統の回路の伝播遅延時間差によるバラツキを補正することができる。
【0036】
加算器161、162、261、262と減算器163、164、263、264は、図3の差動増幅回路で構成することができる。各加算器は同一構成であるので、代表して、加算器161について説明する。加算器161は、トランジスタTr1とTr2から成る差動増幅回路と、トランジスタTr3とTr4とから成る差動増幅回路との並列接続回路で構成されている。すなわち、負荷抵抗R1を共通にして、トランジスタTr1とTr3とが並列接続され、負荷抵抗R2を共通にして、トランジスタTr2とTr4とが並列接続されている。ただし、負荷抵抗R1と、負荷抵抗R2の抵抗値は等しくRとする。トランジスタTr1のベースには、信号S1が印加され、トランジスタTr2のベースには、信号−S1が印加され、トランジスタTr3のベースには、信号S2が印加され、トランジスタTr4のベースには信号−S2が印加されている。したがって、抵抗R1を流れる電流I1は、I0+G・(S1+S2)となり、抵抗R2を流れる電流I2は、I0−G・(S1+S2)となる。ただし、2I0は、それぞれの電流源の電流である。したがって、正端子出力端12の電圧は、Vcc−R・[I0−G・(S1+S2)]となり、負端子出力11の電圧は、Vcc−R・[I0+G・(S1+S2)]となる。したがって、差動出力Out1は、2G・R・(S2+S1)となる。信号S1は、cos(ωt)cos(θ) であり、信号S2は、sin(ωt)sin(θ) であるので、差動出力Out1は、2G・R・cos(ωt −θ) となる。
【0037】
また、各減算器は同一構成であるので、代表して、減算器163について説明する。減算器163は、トランジスタTr5とTr6から成る差動増幅回路と、トランジスタTr7とTr8とから成る差動増幅回路とを、Tr7とTr8をクロスさせた並列接続回路で構成されている。すなわち、負荷抵抗R3を共通にして、トランジスタTr5とTr8とが並列接続され、負荷抵抗R4を共通にして、トランジスタTr6とTr7とが並列接続されている。ただし、負荷抵抗R3と、負荷抵抗R4の抵抗値は等しくRとする。トランジスタTr5のベースには、信号S1が印加され、トランジスタTr6のベースには、信号−S1が印加され、トランジスタTr7のベースには、信号S2が印加され、トランジスタTr8のベースには信号−S2が印加されている。
【0038】
したがって、抵抗R3を流れる電流I1は、I0+G・(S1−S2)となり、抵抗R4を流れる電流I2は、I0+G・(−S1+S2)となる。したがって、正端子出力端14の電圧は、Vcc−R・[I0+G・(−S1+S2)]となり、負端子出力13の電圧は、Vcc−R・[I0+G・(S1−S2)]となる。したがって、差動出力Out2は、2G・R・(S1−S2)となる。信号S1は、cos(ωt)cos(θ) であり、信号S2は、sin(ωt)sin(θ) であるので、差動出力Out2は、2G・R・cos(ωt +θ) となる。
【0039】
第2段搬送波生成器A2の加算器261、262と減算器263、264についても、第1段搬送波生成器A1の加算器161と減算器163と同一構成である。ただし、第2段搬送波生成器A2においては、信号S1は、cos(ωt−θ)cos(θ) 、信号S2は、sin(ωt−θ)sin(θ) である。したがって、差動出力Out1は、2G・R・cos(ωt −2θ) となり、差動出力Out2 は、2G・R・cos(ωt +2θ) となる。
他の加算器、減算器も、入力搬送波が異なるだけで、構成及び搬送波を出力する原理は、同一である。
【0040】
なお、cos(ωt)、sin(ωt)、cos(θ) 、sin(θ) 、cos(ωt-nθ) 、cos(ωt+nθ) 、sin(ωt-nθ) 、sin(ωt+nθ) における、θ、ωtの座標系の原点は、任意である。したがって、上記の関数は、上記の関数のθに、−θ、θ−π/2、θ±πを代入して得られる関数であっても良い。また、上記の関数は、上記の関数のωtに、−ωt、ωt−π/2を代入して得られる関数であっても良い。さらに、上記の関数は、上記の関数のθに、−θ、θ−π/2、θ±πの何れかを代入した関数における変数ωtに、−ωt、ωt−π/2を代入して得られる関数であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、指向性を制御するために、フェーズドアレイアンテナ装置へ供給する変調搬送波、復調搬送波を生成する装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の具体的な実施例1に係る装置の構成を示した回路図。
【図2】本発明の具体的な実施例2に係る装置の構成を示した回路図。
【図3】実施例1及び実施例2で用いた加算回路及び減算回路の構成を示した回路図。
【符号の説明】
【0043】
121、122…関数値発生装置
110…信号生成器
151、152…加算器
161、162、261、262…加算器
163、164、263、264…減算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相nθ(nは自然数)を有した余弦波と正弦波とを生成する無限移相器アレイにおいて、
cos(ωt)、sin(ωt)の直交波形を生成する直交波形生成器と、
cos(θ) 、sin(θ) を生成する関数値生成器と、
cos(ωt-nθ) 又は、cos(ωt+nθ) の第n搬送波と、sin(ωt-nθ) 又は、sin(ωt+nθ) の第n直交搬送波を生成する第n段搬送波生成器とを有し、
n=1に対する第1段搬送波生成器は、
前記直交波形生成器の出力と、前記関数値生成器の出力とから、第1乗算出力cos(ωt)cos(θ) を得る第1乗算器と、第2乗算出力sin(ωt)sin(θ) を得る第2乗算器と、第3乗算出力cos(ωt)sin(θ) を得る第3乗算器と、第4乗算出力sin(ωt)cos(θ) を得る第4乗算器と、前記第1乗算器及び前記第2乗算器の出力から、cos(ωt-θ) 又は、cos(ωt+θ) の第1搬送波を出力する第1搬送波生成器と、前記第3乗算器及び前記第4乗算器の出力から、sin(ωt-θ) 又は、sin(ωt+θ) の第1直交搬送波を出力する第1直交搬送波生成器と、
を有し、
2以上のnに対する第n段搬送波発生器は、第n−1段搬送波生成器に対して縦続接続され、前記cos(ωt)に代えて、第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] 又は、cos[ωt+(n-1)θ] の第n−1搬送波と、前記sin(ωt)に代えて、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt-(n-1)θ] 又は、sin[ωt+(n-1)θ] の第n−1直交搬送波とを用いて、前記第1段搬送波生成器と同一構成により、第n搬送波cos(ωt-nθ) 又は、cos(ωt+nθ) と、第n直交搬送波sin(ωt-nθ) 又は、sin(ωt+nθ) を出力するものである
ことを特徴とする無限移相器アレイ。
【請求項2】
位相nθ(nは自然数)を有した余弦波と正弦波とを生成する無限移相器アレイにおいて、
cos(ωt)、sin(ωt)の直交波形を生成する直交波形生成器と、
cos(θ) 、sin(θ) を生成する関数値生成器と、
cos(ωt-nθ) の第n段第1搬送波、cos(ωt+nθ) の第n段第2搬送波、sin(ωt-nθ) の第n段第1直交搬送波、及び、sin(ωt+nθ) の第n段第2直交搬送波を生成する第n段搬送波生成器と、
とを有し、
n=1における、第1段搬送波生成器に対しては、
前記直交波形生成器の出力するcos(ωt)と前記関数値生成器との出力とからcos(ωt)cos(θ) を得る第1段第1乗算器と、
前記直交波形生成器の出力するsin(ωt)と前記関数値生成器との出力とからsin(ωt)sin(θ) を得る第1段第2乗算器と、
前記直交波形生成器の出力するcos(ωt)と前記関数値生成器との出力とからcos(ωt)sin(θ) を得る第1段第3乗算器と、
前記直交波形生成器の出力するsin(ωt)と前記関数値生成器との出力とからsin(ωt)cos(θ) を得る第1段第4乗算器と、
第1段第1乗算器と第1段第2乗算器の出力からcos(ωt-θ) の第1段第1搬送波を生成する第1段第1加算器と、
第1段第1乗算器と第1段第2乗算器の出力からcos(ωt+θ) の第1段第2搬送波を生成する第1段第1減算器と、
第1段第3乗算器と第1段第4乗算器の出力からsin(ωt+θ) の第1段第2直交搬送波を生成する第1段第2加算器と、
第1段第3乗算器と第1段第4乗算器の出力からsin(ωt-θ) の第1段第1直交搬送波を生成する第1段第2減算器と、
を有し、
2以上のnに対する第n段搬送波発生器は、第n−1段搬送波生成器に対して縦続接続され、
第n段搬送波生成器は、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1搬送波と前記関数値生成器の出力とからcos[ωt-(n-1)θ] cos(θ) を得る第n段第1乗算器と、第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1直交搬送波と前記関数値生成器の出力とからsin[ωt-(n-1)θ] sin(θ) を得る第n段第2乗算器と、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2搬送波と前記関数値生成器の出力とからcos[ωt+(n-1)θ]cos(θ) を得る第n段第3乗算器と、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2直交搬送波と前記関数値生成器の出力とからsin[ωt+(n-1)θ] sin(θ) を得る第n段第4乗算器と、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2搬送波と前記関数値生成器の出力とからcos[ωt+(n-1)θ]sin(θ) を得る第n段第5乗算器と、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt+(n-1)θ] の第n−1段第2直交搬送波と前記関数値生成器の出力とからsin[ωt+(n-1)θ]cos(θ) を得る第n段第6乗算器と、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるcos[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1搬送波と前記関数値生成器の出力とからcos[ωt-(n-1)θ]sin(θ) を得る第n段第7乗算器と、
第n−1段搬送波波生成器の出力であるsin[ωt-(n-1)θ] の第n−1段第1直交搬送波と前記関数値生成器の出力とからsin[ωt-(n-1)θ]cos(θ) を得る第n段第8乗算器と、
第n段第1乗算器と第n段第2乗算器の出力からcos(ωt-nθ) の第n段第1搬送波を生成する第n段第1加算器と、
第n段第3乗算器と第n段第4乗算器の出力からcos(ωt+nθ) の第n段第2搬送波を生成する第n段第1減算器と、
第n段第5乗算器と第n段第6乗算器の出力からsin(ωt+nθ) の第n段第2直交搬送波を生成する第n段第2加算器と、
第n段第7乗算器と第n段第8乗算器の出力からsin(ωt-nθ) の第n段第1直交搬送波を生成する第n段第2減算器と、
を有することを特徴とする無限移相器アレイ。
【請求項3】
前記各乗算器のうちの第1出力と第2出力との2出力の和と差とにより、前記搬送波、前記直交搬送波を生成する場合において、第n段搬送波発生器は、前記第1出力とその反転出力による第1差動増幅器回と、前記第2出力とその反転出力による第2差動増幅回路との並列接続による差動出力で和出力を得て、
前記第1出力が入力される前記第1差動増幅器の回路と前記第2出力の反転出力が入力される前記第2差動増幅器の回路との並列接続、前記第1出力の反転出力が入力される前記第1差動増幅器の回路と前記第2出力が入力される前記第2差動増幅器の回路との並列接続とによる差動出力で差出力を得る構成である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無限移相器アレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−74430(P2010−74430A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238609(P2008−238609)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】