説明

照明装置及び画像表示装置

【課題】特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することが可能な照明装置等を提供すること。
【解決手段】光を供給する光源部101と、光源部101からの光を第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とに分離する偏光分離部110と、偏光分離部110を透過した第1の振動方向の偏光光が進行する位置、又は偏光分離部110で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、光源部101からの光束の強度分布を略均一にする導光部105と、導光部105の、偏光分離部110が設けられる側とは反対側に設けられた導光部用ミラー107と、を有し、偏光分離部110は、導光部用ミラー107で反射し導光部105から偏光分離部110へ入射した光を照明方向Lへ進行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び画像表示装置、特に、液晶型空間光変調装置と組み合わせて用いられる照明装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置であるプロジェクタの照明装置には、光源からの光を略均一にする導光部として、例えばロッドインテグレータが用いられる。ロッドインテグレータは、内部で光を反射させながら光を伝播することにより、光源からの光を均一化する。光源からの光を均一化して空間光変調装置へ入射させることにより、明るさムラが低減された画像を表示することが可能となる。また、液晶型空間光変調装置を備えるプロジェクタには、光源からの光を特定の振動方向の偏光光に変換する偏光変換部として、例えば偏光ビームスプリッタが用いられる。液晶型空間光変調装置は、入射光の偏光状態を変換することで変調を行う。光源からの光を液晶型空間光変調装置で変調可能な特定の振動方向の偏光光に変換することで、明るい投写像を得ることが可能になる。ロッドインテグレータと偏光ビームスプリッタとを組み合わせて用いる技術は、例えば、特許文献1に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−214532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に提案される技術では、光源からの光は、偏光ビームスプリッタを用いて特定の振動方向の偏光光に変換された後ロッドレンズで均一化される。かかる構成の場合、偏光ビームスプリッタにより光源からの光を特定の振動方向の偏光光に変換しても、ロッドレンズで反射を繰り返すことによって光の偏光状態が変化してしまう場合がある。ロッドレンズにて光の偏光状態が変化することとなると、光源からの光を高い効率で利用することが困難となる。また、光源からの光を十分に均一化するためには、ロッドレンズの長さを十分に確保する必要がある。このため十分に均一化された光を供給しようとすると、長いロッドレンズを用いる必要があるために照明装置が大型化してしまう。このように、従来の技術では、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給すること、及びコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することが困難であるという問題がある。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することが可能な照明装置、及びその照明装置を用いて、コンパクトな構成で、明るく明るさムラが低減された画像を表示可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、光を供給する光源部と、光源部からの光のうち第1の振動方向の偏光光を透過し、第1の振動方向に略直交する第2の振動方向の偏光光を反射することにより、光源部からの光を第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とに分離する偏光分離部と、偏光分離部を透過した第1の振動方向の偏光光が進行する位置、又は偏光分離部で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、光源部からの光束の強度分布を略均一にする導光部と、導光部の、偏光分離部が設けられる側とは反対側に設けられた導光部用ミラーと、を有し、偏光分離部は、導光部用ミラーで反射し導光部から偏光分離部へ入射した光を照明方向へ進行させることを特徴とする照明装置を提供することができる。
【0006】
光源部からの光は、偏光分離部を経た後導光部へ入射する。導光部の内部を伝播した光は、導光部用ミラーで反射した後導光部の内部を逆方向へ進行する。このように、光源部からの光を導光部で往復させることにより、短い導光部を用いる場合であっても光源部からの光を十分に均一化することができる。導光部用ミラーで反射した光は、導光部の内部を偏光分離部の方向へ進行し、再び偏光分離部へ入射する。偏光分離部に入射した光のうち、第1の振動方向の偏光光、及び第2の振動方向の偏光光のいずれか一方は照明方向へ進行する。導光部において光を往復させる構成とすることで、導光部で均一化された光を再び偏光分離部で分離させることが可能となる。導光部で均一化された光を再び偏光分離部で分離した後照明方向へ進行させることにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給することができる。これにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することが可能な照明装置を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、偏光分離部と導光部用ミラーとの間に設けられた位相板を有することが望ましい。例えば、位相板としてλ/4位相板を用いると、λ/4位相板に入射した直線偏光は、λ/4位相板で円偏光に変換される。λ/4位相板で円偏光に変換された光は、例えば反射部で反射した後再びλ/4位相板に入射することで、振動方向が変換される。λ/4位相板に2回光を通過させることによって、光の振動方向を90度回転させることができる。λ/4位相板を2回通過させることにより、第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とを互いに変換することができる。偏光分離部を一度経た光を、偏光状態を変換した後再び偏光分離部に入射させることにより、特定の振動方向の偏光光を被照射面の方向へ効率良く進行させることが可能となる。これにより、特定の振動方向の偏光光を効率良く供給することができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、光源部からの光のうち偏光分離部を透過した第1の振動方向の偏光光が進行する位置、及び偏光分離部で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置のうち、導光部が設けられる位置以外の位置に設けられた偏光分離部用ミラーと、偏光分離部用ミラーから光源部の方向へ進行する光を、偏光分離部の方向へ反射する反射部と、を有することが望ましい。偏光分離部用ミラーを設けることにより、光源部、偏光分離部を経て導光部が設けられる位置以外の位置へ進行する光を、再び偏光分離部を経て光源部の方向へ戻すことができる。偏光分離部用ミラーから偏光分離部を経て光源部の方向へ戻った光は、反射部で反射することにより、再び偏光分離部の方向へ進行する。偏光分離部用ミラー及び反射部を設けることにより、光源部、偏光分離部を経て導光部の方向以外の方向へ進行した光を再利用することができる。これにより、光源部からの光を効率良く利用することができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部と偏光分離部との間に設けられた位相板を有することが望ましい。例えば、位相板としてλ/4位相板を用いると、λ/4位相板を2回通過させることにより、第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とを互いに変換することができる。偏光分離部用ミラーで反射した後光源部の方向へ戻る光は、反射部で反射し再び偏光分離部に入射するまでに偏光状態を変換することにより、偏光分離部から導光部の方向へ進行することが可能となる。これにより、光源部、偏光分離部を経て導光部の方向以外の方向へ進行した光を効率良く再利用することができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部からの光のうち第1の振動方向の偏光光を透過し、第1の振動方向に略直交する第2の振動方向の偏光光を反射することにより、光源部からの光を第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とに分離する第1の偏光分離部と、第1の偏光分離部で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、光源部からの光束の強度分布を略均一にする第1の導光部と、第1の導光部の、第1の偏光分離部が設けられる側とは反対側に設けられた第1の導光部用ミラーと、第1の偏光分離部からの光のうち、第1の振動方向の偏光光を透過し、第2の振動方向の偏光光を反射することにより、第1の偏光分離部からの光を第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とに分離する第2の偏光分離部と、第2の偏光分離部で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、光源部からの光束の強度分布を略均一にする第2の導光部と、第2の導光部の、第2の偏光分離部が設けられる側とは反対側に設けられる第2の導光部用ミラーと、を有し、第1の偏光分離部は、第1の導光部用ミラーで反射し第1の導光部から第1の偏光分離部へ入射した光を照明方向へ進行させ、第2の偏光分離部は、第2の導光部用ミラーで反射し第2の導光部から第2の偏光分離部へ入射した光を照明方向へ進行させることが望ましい。
【0011】
光源部からの光のうち第1の偏光分離部で反射した光は、第1の導光部の内部を進行した後、第1の導光部用ミラーで反射し、再び第1の偏光分離部に入射する。第1の導光部から第1の偏光分離部に入射した光のうち第1の振動方向の偏光光は、第1の偏光分離部を透過した後、照明方向へ進行する。光源部からの光のうち第1の偏光分離部を透過した光は、第2の偏光分離部に入射する。第2の偏光分離部に入射した光のうち第2の振動方向の偏光光は、第2の偏光分離部で反射した後、第2の導光部に入射する。第2の導光部の内部を進行した光は、第2の導光部用ミラーで反射した後再び第2の偏光分離部に入射する。第2の導光部から第2の偏光分離部へ入射した光のうち第1の振動方向の偏光光は、第2の偏光分離部を透過した後、照明方向へ進行する。これにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給することができる。本態様の構成では、第1の偏光分離部を透過した光を光源部へ戻さず第2の偏光分離部の方向へ進行させる構成とする。このため、光源部が低反射率の反射部を備える場合であっても、高い効率で光を供給することが可能である。高反射率の反射部を備える場合には、第1の偏光分離部や第2の偏光分離部から光源部の方向へ戻る光がある場合であっても、光源部の方向へ戻る光を反射部から第1の偏光分離部の方向へ反射することが可能である。光源部の方向へ戻る光を再利用することにより、光の損失を極めて少なくすることができる。また、第1の偏光分離部と第2の偏光分離部との間に位相板、例えばλ/2位相板を設けることにより、第1の偏光分離部からの光を偏光変換した後第2の偏光分離部へ入射させる構成にできる。これにより、第1の偏光分離部を透過した光を第2の偏光分離部から第2の導光部へ進行させ、特定の振動方向の偏光光を照明方向へ供給可能な構成とすることができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、偏光分離部の照明方向側に、偏光分離部からの光束の強度分布を略均一にする導光部が設けられることが望ましい。さらに導光部を設けることで、光束の強度分布をさらに均一にすることができる。また、偏光分離部の照明方向側に導光部を設けることで、光源部から照明方向へ斜めに進行した光を照明方向へ導き、光の有効利用を図るとともに不要光の発生を低減することも可能である。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、照明方向の被照射面に光を入射させる複数の偏光分離部を有し、偏光分離部の出射面を合わせた領域が、被照射面に略相似する形状であることが望ましい。偏光分離部の出射面を合わせた領域を被照射面に略相似する形状とすることにより、光源部からの光束を被照射面に略相似する形状に整形することができる。被照射面に相似する形状に整形された光束により、被照射面の領域を効率良く照明できる。これにより、光源部からの光を効率良く被照射面へ導くことができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、上記の照明装置と、照明装置からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有することを特徴とする画像表示装置を提供することができる。上記の照明装置を用いることにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することができる。その照明装置を用いることにより、コンパクトな構成で、明るく明るさムラが低減された画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る照明装置100の概略構成を示す。照明装置100は、光源部であるLED101を有する。LED101は、主にチップの表面から光を放出する面発光光源である。LED101は、偏光ビームスプリッタ110の方向に光を供給する。LED101は、反射部102を有する。反射部102は、高反射性の金属部材で形成された金属電極である。反射部102は、後述の偏光分離部用ミラー108から、光源部であるLED101の方向へ進行する光を、偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110の方向へ反射する。LED101と偏光ビームスプリッタ110との間の光路には、コリメータレンズ103及びλ/4位相板104が設けられている。コリメータレンズ103は、LED101からの光を略平行にする。λ/4位相板104は、光源部であるLED101と偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110との間に設けられた位相板である。
【0017】
偏光ビームスプリッタ110は、2つのプリズムを貼り合わせて構成された直方体形状の構造物である。偏光ビームスプリッタ110の2つのプリズム同士の間には、偏光膜111が形成されている。偏光膜111は、LED101からの光のうち第1の振動方向の偏光光を透過し、第2の振動方向の偏光光を反射することにより、LED101からの光を第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とに分離する偏光分離部である。第1の振動方向の偏光光は、例えばp偏光光である。第2の振動方向の偏光光は、第1の振動方向と略直交する振動方向の偏光光であって、例えばs偏光光である。
【0018】
偏光ビームスプリッタ110の、LED101が設けられている側とは反対側には、偏光分離部用ミラー108が設けられている。偏光分離部用ミラー108は、ロッドインテグレータ105が設けられる位置以外の位置であって、LED101からの光のうち偏光ビームスプリッタ110を透過した第1の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられている。偏光分離部用ミラー108は、偏光膜111を透過し、偏光膜111から照明方向Lとは異なる方向へ進行した光を偏光ビームスプリッタ110の方向へ反射する。
【0019】
LED101及び偏光分離部用ミラー108は、光軸AXに略直交する軸BXを中心として配置されている。偏光ビームスプリッタ110は、偏光膜111が光軸AX及び軸BXのいずれに対しても略45度傾くように配置されている。また、偏光ビームスプリッタ110は、偏光膜111が光軸AX及び軸BXが交わる位置を略中心として設けられている。
【0020】
光軸AX上であって、偏光ビームスプリッタ110から見て照明方向L側とは反対側には、ロッドインテグレータ105が設けられている。ロッドインテグレータ105は、光源部であるLED101からの光束の強度分布を略均一にする導光部である。また、ロッドインテグレータ105は、偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられている。
【0021】
ロッドインテグレータ105は、直方体形状の透明な硝子部材からなる。ロッドインテグレータ105に入射した光は、硝子部材と空気との界面において全反射を繰り返しながらロッドインテグレータ105の内部を進行する。これにより、ロッドインテグレータ105は、LED101からの光束の強度分布を略均一にする。ロッドインテグレータ105としては、硝子部材で構成するものに限らず、内面を反射面で構成する中空構造のものを用いても良い。内面を反射面とするロッドインテグレータの場合、ロッドインテグレータに入射した光は、反射面において反射を繰り返しながらロッドインテグレータの内部を進行する。また、ロッドインテグレータは、硝子部材と反射面とを組み合わせる構成としても良い。
【0022】
ロッドインテグレータ105の、偏光ビームスプリッタ110が設けられる側とは反対側には、導光部用ミラー107が設けられている。導光部用ミラー107は、偏光ビームスプリッタ110から入射しロッドインテグレータ105内部を伝播した光を、偏光ビームスプリッタ110の方向へ反射する。ロッドインテグレータ105及び導光部用ミラー107は、光軸AXを中心として配置されている。ロッドインテグレータ105と導光部用ミラー107との間には、位相板であるλ/4位相板106が設けられている。
【0023】
なお、λ/4位相板106は、偏光ビームスプリッタ110と導光部用ミラー107との間に設けられていれば良く、ロッドインテグレータ105と導光部用ミラー107との間に設ける構成に限られない。また、偏光分離部としては、偏光ビームスプリッタに限らず、反射型偏光板であるワイヤグリッド型偏光板を用いることとしても良い。照明装置100は、偏光ビームスプリッタ110からの光を被照射面にそのまま入射させる構成に限らず、レンズ系を用いて偏光ビームスプリッタ110からの光を被照射面に入射させる構成としても良い。
【0024】
LED101は、p偏光光及びs偏光光を含む光を供給する。LED101からの光は、コリメータレンズ103及びλ/4位相板104を通過した後偏光ビームスプリッタ110に入射する。コリメータレンズ103は、コリメータレンズ103から出射する光の主光線が軸BXに対して略平行となるようにして、偏光ビームスプリッタ110をテレセントリックに照明する。コリメータレンズ103を用いることで、LED101からの光を偏光ビームスプリッタ110へ効率良く導くことができる。
【0025】
コリメータレンズ103及びλ/4位相板104を通過して偏光ビームスプリッタ110に入射した光のうちs偏光光は、偏光膜111で反射した後、ロッドインテグレータ105の方向へ進行する。ロッドインテグレータ105の方向へ進行したs偏光光は、ロッドインテグレータ105の内部において照明方向Lとは逆方向へ伝播した後、λ/4位相板106で円偏光に変換される。円偏光に変換された光は、導光部用ミラー107で反射した後、再びλ/4位相板106に入射する。
【0026】
λ/4位相板106は、円偏光をp偏光光に変換してロッドインテグレータ105に入射させる。このように、λ/4位相板106に2回光を通過させることによって、光の振動方向を90度回転させることができる。ロッドインテグレータ105へ入射したp偏光光は、ロッドインテグレータ105の内部において照明方向Lへ伝播した後、偏光ビームスプリッタ110に入射する。偏光ビームスプリッタ110に入射したp偏光光は、偏光膜111を透過した後、照明方向Lへ出射する。
【0027】
コリメータレンズ103及びλ/4位相板104を通過して偏光ビームスプリッタ110に入射した光のうちp偏光光は、偏光膜111を透過した後、偏光分離部用ミラー108の方向へ進行する。偏光分離部用ミラー108の方向へ進行したp偏光光は、偏光分離部用ミラー108で反射した後、偏光ビームスプリッタ110に入射する。偏光ビームスプリッタ110に入射したp偏光光は、偏光膜111を透過した後、λ/4位相板104で円偏光に変換される。円偏光に変換された光は、コリメータレンズ103を透過した後、LED101に入射する。
【0028】
偏光ビームスプリッタ110からLED101の方向へ進行する光は、コリメータレンズ103を透過することにより、LED101から偏光ビームスプリッタ110の方向へ進行するときと略同一の光路を進行する。偏光ビームスプリッタ110からLED101の方向へ進行する光は、LED101から偏光ビームスプリッタ110の方向へ進行するときと略同一の光路を進行することにより、効率良くLED101に入射する。偏光ビームスプリッタ110からLED101に入射した光は、反射部102で反射した後再び偏光ビームスプリッタ110の方向へ進行する。コリメータレンズ103を用いることで、効率良く光を再利用し、LED101からの光を効率良く利用することができる。
【0029】
LED101に入射した円偏光は、反射部102で反射した後再びλ/4位相板104に入射する。λ/4位相板104は、円偏光をs偏光光に変換して偏光ビームスプリッタ110に入射させる。偏光ビームスプリッタ110に入射したs偏光光は、偏光膜111で反射した後、ロッドインテグレータ105の方向へ進行する。ロッドインテグレータ105の方向へ進行したs偏光光は、ロッドインテグレータ105の内部において照明方向Lとは逆方向へ伝播する。照明方向Lとは逆方向へ進行した光は、導光部用ミラー107で反射した後照明方向Lへ進行する。
【0030】
ロッドインテグレータ105を伝播するs偏光光は、導光部用ミラー107で反射して偏光ビームスプリッタ110に入射するまでにλ/4位相板106を2回通過することにより、p偏光光に変換される。偏光ビームスプリッタ110に入射したp偏光光は、偏光膜111を透過した後、照明方向Lへ出射する。偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110は、導光部用ミラー107で反射しロッドインテグレータ105から偏光ビームスプリッタ110に入射した光を照明方向Lへ進行させる。照明装置100は、以上のようにして、特定の振動方向の偏光光であるp偏光光を供給する。
【0031】
なお、ロッドインテグレータ105から偏光ビームスプリッタ110に入射する光のうちの一部は、ロッドインテグレータ105の界面における反射によって、光の偏光状態が変化する場合がある。偏光状態の変化によりp偏光光以外の光となって偏光ビームスプリッタ110に入射した光は、偏光膜111で反射した後LED101の方向へ進行し、上述の循環を繰り返す。このようにして、ロッドインテグレータ105の界面での反射によって偏光状態が変化した光を再利用することができる。
【0032】
本発明の照明装置100において、ロッドインテグレータ105の内部を伝播した光は、導光部用ミラー107で反射した後ロッドインテグレータ105の内部を逆方向へ進行する。このように、LED101からの光をロッドインテグレータ105で往復させることにより、短いロッドインテグレータ105を用いる場合であってもLED101からの光を十分に均一化することができる。また、ロッドインテグレータ105において光を往復させる構成とすることで、ロッドインテグレータ105で均一化された光を再び偏光ビームスプリッタ110で分離させることが可能となる。
【0033】
ロッドインテグレータ105で均一化された光を再び偏光ビームスプリッタ110で分離した後照明方向Lへ進行させることにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給することができる。これにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することができるという効果を奏する。例えば、画像表示装置の液晶型空間光変調装置と組み合わせて照明装置100を用いることにより、液晶型空間光変調装置に特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、明るい画像を得ることができる。
【0034】
なお、偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110は、偏光膜111にてs偏光光を透過しp偏光光を反射することとしても良い。この場合、第1の振動方向の偏光光はs偏光光、第2の振動方向の偏光光はp偏光光である。この場合、照明装置100は、特定の振動方向の偏光光であるs偏光光を照明方向Lへ供給することができる。
【0035】
図2は、本実施例の変形例に係る照明装置200の概略構成を示す。本変形例の照明装置200は、導光部であるロッドインテグレータ105が配置されている位置が、上記の照明装置100とは異なる。照明装置200は、LED101、ロッドインテグレータ105、及び導光部用ミラー107が、軸BXを中心として配置されている。ロッドインテグレータ105は、偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110を透過した第1の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられている。偏光分離部用ミラー108は、光軸AXを中心として配置されている。偏光分離部用ミラー108は、ロッドインテグレータ105が設けられる位置以外の位置であって、LED101からの光のうち偏光ビームスプリッタ110で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられている。
【0036】
LED101から偏光ビームスプリッタ110に入射した光のうちp偏光光は、偏光膜111を透過した後、ロッドインテグレータ105の方向へ進行する。ロッドインテグレータ105の方向へ進行したp偏光光は、ロッドインテグレータ105の内部において、軸BXに沿った方向であって、偏光ビームスプリッタ110とは逆の方向へ伝播する。偏光ビームスプリッタ110とは逆の方向へ進行した光は、導光部用ミラー107で反射した後、偏光ビームスプリッタ110の方向へ進行する。ロッドインテグレータ105を伝播するp偏光光は、導光部用ミラー107で反射して偏光ビームスプリッタ110に入射するまでにλ/4位相板106を2回通過することにより、s偏光光に変換される。偏光ビームスプリッタ110に入射したs偏光光は、偏光膜111で反射した後、照明方向Lへ進行する。
【0037】
LED101から偏光ビームスプリッタ110に入射した光のうちs偏光光は、偏光膜111で反射した後、偏光分離部用ミラー108の方向へ進行する。偏光分離部用ミラー108の方向へ進行したs偏光光は、偏光分離部用ミラー108で反射した後、偏光ビームスプリッタ110に入射する。偏光ビームスプリッタ110に入射したs偏光光は、偏光膜111で再び反射し、LED101の方向へ進行する。LED101の方向へ進行したs偏光光は、反射部102で反射して偏光ビームスプリッタ110に入射するまでにλ/4位相板104を2回通過することにより、p偏光光に変換される。
【0038】
偏光ビームスプリッタ110に入射したp偏光光は、その後、LED101からの光のうち偏光ビームスプリッタ110へ直接入射したp偏光光と同様に振る舞う。照明装置200は、以上のようにして、特定の振動方向の偏光光であるs偏光光を供給する。これにより、上記の照明装置100と同様に、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することができる。
【実施例2】
【0039】
図3は、本発明の実施例2に係る照明装置300の概略構成を示す。上記実施例1の照明装置100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の照明装置300は、2つの偏光ビームスプリッタ110、310を有することを特徴とする。偏光ビームスプリッタ110は、LED101からの光を第1の振動方向の偏光光であるp偏光光と、第2の振動方向の偏光光であるs偏光光とに分離する第1の偏光分離部である。
【0040】
ロッドインテグレータ105は、第1の偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられた第1の導光部である。導光部用ミラー107は、第1の導光部であるロッドインテグレータ105の、偏光ビームスプリッタ110が設けられる側とは反対側に設けられた第1の導光部用ミラーである。ロッドインテグレータ105及び導光部用ミラー107は、照明装置300の光軸に略平行な軸AX1を中心として配置されている。偏光ビームスプリッタ110は、偏光膜111が軸AX1及び軸BXが交わる位置を略中心として設けられている。
【0041】
偏光ビームスプリッタ110から見てLED101が設けられる側とは反対側に、さらに偏光ビームスプリッタ310が設けられている。偏光ビームスプリッタ310は、第1の偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110からの光を第1の振動方向の偏光光と第2の振動方向の偏光光とに分離する第2の偏光分離部である。偏光ビームスプリッタ310の偏光膜311は、偏光ビームスプリッタ110からの光のうち、第1の振動方向の偏光光であるp偏光光を透過し、第2の振動方向の偏光光であるs偏光光を反射する。偏光ビームスプリッタ310は、偏光膜311が光軸AX2及び軸BXのいずれに対しても略45度傾くように配置されている。また、偏光ビームスプリッタ310は、偏光膜311が軸AX2及び軸BXが交わる位置を略中心として設けられている。
【0042】
偏光ビームスプリッタ110と偏光ビームスプリッタ310との間の光路中には、位相板であるλ/2位相板309が設けられている。λ/2位相板309は、光の振動方向を90度回転させることにより、第1の振動方向の偏光光を第2の振動方向の偏光光に、第2の振動方向の偏光光を第1の振動方向の偏光光に変換する。光軸AX2上であって、偏光ビームスプリッタ310から見て照明方向L側とは反対側には、ロッドインテグレータ305が設けられている。ロッドインテグレータ305は、光源部であるLED101からの光束の強度分布を略均一にする第2の導光部である。また、ロッドインテグレータ305は、第2の偏光分離部である偏光ビームスプリッタ310で反射した第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられている。
【0043】
ロッドインテグレータ305の、偏光ビームスプリッタ310が設けられる側とは反対側には、導光部用ミラー307が設けられている。導光部用ミラー307は、偏光ビームスプリッタ310から入射しロッドインテグレータ305内部を伝播した光を、偏光ビームスプリッタ310の方向へ反射する第2の導光部用ミラーである。ロッドインテグレータ305及び導光部用ミラー307は、光軸AX2を中心として配置されている。ロッドインテグレータ305と導光部用ミラー307との間には、位相板であるλ/4位相板306が設けられている。
【0044】
LED101から偏光ビームスプリッタ110に入射した光のうちs偏光光は、上記実施例1の照明装置100の場合と同様にして、ロッドインテグレータ105の内部を伝播した後、照明方向Lへ出射する。第1の偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110は、導光部用ミラー107で反射しロッドインテグレータ105から偏光ビームスプリッタ110へ入射した光を照明方向Lへ進行させる。
【0045】
これに対して、LED101から偏光ビームスプリッタ110に入射した光のうちp偏光光は、λ/2位相板309でs偏光光に変換される。λ/2位相板309から偏光ビームスプリッタ310へ入射したs偏光光は、偏光膜311で反射した後、ロッドインテグレータ305の方向へ進行する。ロッドインテグレータ305の方向へ進行したs偏光光は、ロッドインテグレータ305の内部において照明方向Lとは逆方向へ伝播する。照明方向Lとは逆方向へ進行した光は、導光部用ミラー307で反射した後照明方向Lへ進行する。
【0046】
ロッドインテグレータ305を伝播するs偏光光は、導光部用ミラー307で反射して偏光ビームスプリッタ310に入射するまでにλ/4位相板306を2回通過することにより、p偏光光に変換される。偏光ビームスプリッタ310に入射したp偏光光は、偏光膜311を透過した後、照明方向Lへ出射する。第2の偏光分離部である偏光ビームスプリッタ310は、導光部用ミラー307で反射しロッドインテグレータ305から偏光ビームスプリッタ310へ入射した光を照明方向Lへ進行させる。照明装置300は、以上のようにして、特定の振動方向の偏光光であるp偏光光を供給する。これにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給することができる。なお、偏光ビームスプリッタ110から偏光ビームスプリッタ310へ入射する光のうち偏光膜311を透過する光が生じる場合、偏光膜311を透過する光を偏光ビームスプリッタ310の方向へ戻すためのミラーを設けることとしても良い。
【0047】
本実施例では、偏光ビームスプリッタ110を透過した光をLED101へ戻さず偏光ビームスプリッタ310の方向へ進行させる。このため、LED101が低反射率の反射部102を備える場合であっても、高い効率で光を供給することが可能である。高反射率の反射部102を備える場合には、偏光ビームスプリッタ110や偏光ビームスプリッタ310からLED101の方向へ戻る光がある場合であっても、LED101の方向へ戻る光を反射部102から偏光ビームスプリッタ110の方向へ反射することが可能である。LED101の方向へ戻る光を再利用することにより、光の損失を極めて少なくすることができる。また、λ/2位相板309を設けることにより、偏光ビームスプリッタ110を透過した光を偏光ビームスプリッタ310からロッドインテグレータ305へ進行させ、特定の振動方向の偏光光を照明方向Lへ供給可能な構成とすることができる。
【0048】
λ/2位相板309は、偏光ビームスプリッタ110と偏光ビームスプリッタ310との間の光路中に設ける構成に限られない。例えば、λ/2位相板309は、偏光ビームスプリッタ310の照明方向L側に設けることとしても良い。この場合、偏光ビームスプリッタ310の偏光膜には、第2の振動方向の偏光光であるs偏光光を透過し、第1の振動方向の偏光光であるp偏光光を反射するものを用いる。偏光ビームスプリッタ310で反射したp偏光光は、λ/4位相板306を2回透過することでs偏光光に変換された後、λ/2位相板309にてp偏光光に変換される。この場合も、照明装置300は、特定の振動方向の偏光光を供給することができる。
【0049】
図4は、本実施例の変形例に係る照明装置400の概略構成を示す。本変形例の照明装置400は、偏光ビームスプリッタ110、310の照明方向L側に、さらにロッドインテグレータ420、421が設けられることを特徴とする。ロッドインテグレータ420、421は、偏光分離部である偏光ビームスプリッタ110、310からの光束の強度分布を略均一にする導光部である。
【0050】
ロッドインテグレータ420は、偏光ビームスプリッタ110の照明方向L側に設けられている。偏光ビームスプリッタ110からの光は、ロッドインテグレータ420の内部を伝播した後、照明方向Lへ進行する。ロッドインテグレータ421は、偏光ビームスプリッタ310の照明方向L側に設けられている。偏光ビームスプリッタ310からの光は、ロッドインテグレータ421の内部を伝播した後、照明方向Lへ進行する。ロッドインテグレータ420、421を設けることにより、光束の強度分布をさらに均一にすることができる。
【0051】
また、例えばロッドインテグレータ420には、LED101から斜めに進行し、ロッドインテグレータ420へ直接進行する光L1や、偏光ビームスプリッタ310から斜めに進行する光L2等も入射することが考えられる。偏光ビームスプリッタ110、310の照明方向L側にロッドインテグレータ420、421を設けることで、LED101から照明方向Lへ斜めに進行した光を照明方向Lへ導き、光の有効利用を図るとともに不要光の発生を低減することが可能である。なお、上記実施例1の照明装置100においても、偏光ビームスプリッタ110の照明方向L側にロッドインテグレータを設ける構成としても良い。
【0052】
また、図5に示す照明装置500のように、LED101からの光を照明方向L側からロッドインテグレータ105の方向へ斜めに進行させる構成としても良い。LED101及びコリメータレンズ103は、偏光ビームスプリッタ110、310を配置する軸BXに対して傾きをなす軸BX’上に配置されている。LED101からの光を照明方向L側からロッドインテグレータ105の方向へ斜めに進行させることで、LED101から直接照明方向Lへ進行する光を低減し、LED101からの光を効率良くロッドインテグレータ105に導くことができる。上記実施例1の照明装置100においても、LED101からの光を照明方向L側からロッドインテグレータ105の方向へ斜めに進行させる構成とすることができる。
【0053】
さらに、本発明の照明装置は、上記の各照明装置のいずれかと同様の構成を複数用いる構成としても良い。図6に示す照明装置600は、上記の照明装置と同様の構成を複数用いる構成の例であって、実施例2の照明装置300と同様の構成を3つ用いる構成をなしている。照明装置300と同様の構成を3つ用いる構成とすることで、照明装置600は、照明装置300と比較して略3倍の照明光を得られる。
【0054】
照明装置600は、偏光分離部である6つの偏光ビームスプリッタから被照射面Iの方向へ光を進行させる。6つの偏光ビームスプリッタは、垂直方向に2つ、水平方向に3つのマトリクス状に配置されている。照明装置600は、偏光ビームスプリッタの出射面を合わせた領域Sが、被照射面Iと略相似する形状をなしている。領域Sを被照射面Iに略相似する形状とするように偏光ビームスプリッタを配置することにより、LED101からの光束を被照射面Iに略相似する形状に整形することができる。被照射面Iに相似する形状に整形された光束により、被照射面Iの領域を効率良く照明できる。これにより、LED101からの光を効率良く被照射面Iへ導くことができる。なお、照明装置600には、実施例2の照明装置300以外の他の照明装置と同様の構成を複数用いる構成としても良い。また、照明装置600を構成する上記各実施例の照明装置の構成の数は、必要とする照明光の光量に応じて、さらに領域Sを被照射面Iに略相似する形状とするために適宜設定することができる。
【実施例3】
【0055】
図7は、本発明の実施例3に係る画像表示装置であるプロジェクタ700の概略構成を示す。プロジェクタ700は、3つの液晶型空間光変調装置172R、172G、172Bを備える、いわゆる3板式のプロジェクタである。プロジェクタ700は、R光用照明装置170Rと、G光用照明装置170Gと、B光用照明装置170Bとを有する。各照明装置170R、170G、170Bは、いずれも上記実施例1の照明装置100と同様の構成を有する。
【0056】
R光用照明装置170Rは、R光用LED171Rを有する。R光用LED171Rは、R光を供給する。R光用照明装置170Rは、R光用LED171RからのR光を、特定の振動方向の偏光光、例えばp偏光光に変換して、照明方向である液晶型空間光変調装置172Rの方向へ進行させる。液晶型空間光変調装置172Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。液晶型空間光変調装置172Rに入射したp偏光光は、変調によりs偏光光に変換される。液晶型空間光変調装置172Rでs偏光光に変換されたR光は、クロスダイクロイックプリズム173に入射する。
【0057】
G光用照明装置170Gは、G光用LED171Gを有する。G光用LED171Gは、G光を供給する。G光用照明装置170Gは、G光用LED171GからのG光を、特定の振動方向の偏光光、例えばp偏光光に変換して、照明方向である液晶型空間光変調装置172Gの方向へ進行させる。液晶型空間光変調装置172Gは、G光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。液晶型空間光変調装置172Gに入射したp偏光光は、変調によりs偏光光に変換される。液晶型空間光変調装置172Gでs偏光光に変換されたG光は、R光が入射する面とは異なる面からクロスダイクロイックプリズム173に入射する。
【0058】
B光用照明装置170Bは、B光用LED171Bを有する。B光用LED171Bは、B光を供給する。B光用照明装置170Bは、B光用LED171BからのB光を、特定の振動方向の偏光光、例えばp偏光光に変換して、照明方向である液晶型空間光変調装置172Bの方向へ進行させる。液晶型空間光変調装置172Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。液晶型空間光変調装置172Bに入射したp偏光光は、変調によりs偏光光に変換される。液晶型空間光変調装置172Bでs偏光光に変換されたB光は、R光が入射する面及びG光が入射する面とは異なる面からクロスダイクロイックプリズム173に入射する。
【0059】
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム173は、2つのダイクロイック膜173a、173bを有する。ダイクロイック膜173a、173bは、X字型に直交して配置される。ダイクロイック膜173aは、R光を反射し、G光を透過する。ダイクロイック膜173bは、B光を反射し、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム173は、液晶型空間光変調装置172R、172G、172Bでそれぞれ変調されたR光、G光及びB光を合成する。投写光学系174は、クロスダイクロイックプリズム173で合成された光をスクリーン175に投写する。
【0060】
ダイクロイック膜173a、173bは、通常、s偏光光の反射特性に優れる。このため、ダイクロイック膜173a、173bでそれぞれ反射させるべきR光及びB光は、s偏光光となってクロスダイクロイックプリズム173に入射することが望ましい。また、ダイクロイック膜173a、173bを透過させるべきG光は、p偏光光となってクロスダイクロイックプリズム173に入射することが望ましい。s偏光光に変換されたG光をクロスダイクロイックプリズム173に入射させるために、例えば、液晶型空間光変調装置172Gとクロスダイクロイックプリズム173との間にλ/2位相板を設けることとしても良い。
【0061】
各色光用照明装置170R、170G、170Bを用いることにより、特定の振動方向の偏光光を高い効率で供給でき、かつコンパクトな構成によって十分に均一化された光を供給することができる。これにより、コンパクトな構成で、明るく明るさムラが低減された画像を表示することができる。なお、各色光用照明装置170R、170G、170Bは、実施例1の照明装置100と同様の構成とするほか、上記の他の照明装置と同様の構成としても良い。
【0062】
なお、上記各実施例の照明装置は、光源部としてLEDを用いているが、これに限られない。LEDに代えて、例えばEL素子や半導体レーザ等の他の固体発光素子を用いても良い。光源部としては固体発光素子に限らず、超高圧水銀ランプ等のランプを用いても良い。光源部として超高圧水銀ランプ等のランプを用いる場合、偏光分離部用ミラーから光源部の方向へ進行する光を偏光分離部の方向へ反射する反射部として、リフレクタを用いることができる。リフレクタを備えるランプを光源部として用いることにより、LEDを用いる場合と同様に、効率良く光を供給することができる。また、プロジェクタ700に用いる空間光変調装置は、透過型の液晶表示装置に限らず、反射型の液晶表示装置を用いても良い。さらに、照明装置を設ける画像表示装置はプロジェクタに限らず、例えば空間光変調装置で変調された光を直視するディスプレイであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明に係る照明装置は、プロジェクタに用いる場合に有用であり、特に、特定の振動方向の偏光光を変調するプロジェクタに適している。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1に係る照明装置の概略構成を示す図。
【図2】実施例1の変形例に係る照明装置の概略構成を示す図。
【図3】本発明の実施例2に係る照明装置の概略構成を示す図。
【図4】実施例2の変形例に係る照明装置の概略構成を示す図。
【図5】LEDからの光を斜めに進行させる構成を説明する図。
【図6】他の照明装置と同様の構成を複数用いる構成の照明装置を説明する図。
【図7】本発明の実施例3に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0065】
100 照明装置、101 LED、102 反射部、103 コリメータレンズ、104 λ/4位相板、105 ロッドインテグレータ、106 λ/4位相板、107 導光部用ミラー、108 偏光分離部用ミラー、110 偏光ビームスプリッタ、111 偏光膜、AX 光軸、BX 軸、L 照明方向、200 照明装置、300 照明装置、305 ロッドインテグレータ、306 λ/4位相板、307 導光部用ミラー、309 λ/2位相板、310 偏光ビームスプリッタ、311 偏光膜、AX1、AX2 軸、400 照明装置、420 ロッドインテグレータ、421 ロッドインテグレータ、500 照明装置、BX’ 軸、600 照明装置、S 領域、700 プロジェクタ、170R R光用照明装置、170G G光用照明装置、170B B光用照明装置、171R R光用LED、171G G光用LED、171B B光用LED、172R、172G、172B 液晶型空間光変調装置、173 クロスダイクロイックプリズム、173a、173b ダイクロイック膜、174 投写光学系、175 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を供給する光源部と、
前記光源部からの光のうち第1の振動方向の偏光光を透過し、前記第1の振動方向に略直交する第2の振動方向の偏光光を反射することにより、前記光源部からの光を前記第1の振動方向の偏光光と前記第2の振動方向の偏光光とに分離する偏光分離部と、
前記偏光分離部を透過した前記第1の振動方向の偏光光が進行する位置、又は前記偏光分離部で反射した前記第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、前記光源部からの光束の強度分布を略均一にする導光部と、
前記導光部の、前記偏光分離部が設けられる側とは反対側に設けられた導光部用ミラーと、を有し、
前記偏光分離部は、前記導光部用ミラーで反射し前記導光部から前記偏光分離部へ入射した光を照明方向へ進行させることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記偏光分離部と前記導光部用ミラーとの間に設けられた位相板を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源部からの光のうち前記偏光分離部を透過した前記第1の振動方向の偏光光が進行する位置、及び前記偏光分離部で反射した前記第2の振動方向の偏光光が進行する位置のうち、前記導光部が設けられる位置以外の位置に設けられた偏光分離部用ミラーと、
前記偏光分離部用ミラーから前記光源部の方向へ進行する光を、前記偏光分離部の方向へ反射する反射部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源部と前記偏光分離部との間に設けられた位相板を有することを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源部からの光のうち第1の振動方向の偏光光を透過し、前記第1の振動方向に略直交する第2の振動方向の偏光光を反射することにより、前記光源部からの光を前記第1の振動方向の偏光光と前記第2の振動方向の偏光光とに分離する第1の偏光分離部と、
前記第1の偏光分離部で反射した前記第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、前記光源部からの光束の強度分布を略均一にする第1の導光部と、
前記第1の導光部の、前記第1の偏光分離部が設けられる側とは反対側に設けられた第1の導光部用ミラーと、
前記第1の偏光分離部からの光のうち、前記第1の振動方向の偏光光を透過し、前記第2の振動方向の偏光光を反射することにより、前記第1の偏光分離部からの光を前記第1の振動方向の偏光光と前記第2の振動方向の偏光光とに分離する第2の偏光分離部と、
前記第2の偏光分離部で反射した前記第2の振動方向の偏光光が進行する位置に設けられ、前記光源部からの光束の強度分布を略均一にする第2の導光部と、
前記第2の導光部の、前記第2の偏光分離部が設けられる側とは反対側に設けられる第2の導光部用ミラーと、を有し、
前記第1の偏光分離部は、前記第1の導光部用ミラーで反射し前記第1の導光部から前記第1の偏光分離部へ入射した光を前記照明方向へ進行させ、
前記第2の偏光分離部は、前記第2の導光部用ミラーで反射し前記第2の導光部から前記第2の偏光分離部へ入射した光を前記照明方向へ進行させることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1の偏光分離部と前記第2の偏光分離部との間に設けられた位相板を有することを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記偏光分離部の前記照明方向側に、前記偏光分離部からの光束の強度分布を略均一にする導光部が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記照明方向の被照射面に光を入射させる複数の前記偏光分離部を有し、前記偏光分離部の出射面を合わせた領域が、前記被照射面に略相似する形状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−243433(P2006−243433A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60043(P2005−60043)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】