説明

熱処理炉及び熱処理炉用支持体

【課題】抵抗発熱体の熱膨張収縮に伴う径方向の移動を許容しつつ抵抗発熱体が下方に移動するのを防止でき、抵抗発熱体の耐久性の向上が図れる熱処理炉及び熱処理炉用支持体を提供する。
【解決手段】被処理体を収容して熱処理するための処理容器3を囲繞する筒状の断熱材と、断熱材の内周面に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体と、断熱材の内周面に軸方向に所定のピッチで設けられ、抵抗発熱体を径方向に熱膨張収縮可能に支持する支持体13とを備えた熱処理炉において、支持体13は、先端が断熱材に埋設され、上面で抵抗発熱体を摺動可能に支持する水平部13aを有すると共に、水平部13aの後端から立ち上がった垂直部13bとを有し、水平部13aの下面には、支持体13の熱容量を小さくするための溝18が長手方向に沿って形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉及び熱処理炉用支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、被処理体である半導体ウエハに酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの処理を施すために、各種の熱処理装置が用いられている。そして、その一般的な熱処理装置は、半導体ウエハを収容して熱処理するための処理容器(反応管)と、この処理容器の周囲に設けられた抵抗発熱体と、この抵抗発熱体の周囲に設けられた断熱材とで熱処理炉を構成し、その断熱材の内壁面に抵抗発熱体が支持体を介して配置されている。
【0003】
上記抵抗発熱体としては、例えばバッチ処理が可能な熱処理装置の場合でいうと、円筒状の断熱材の内壁面に沿って配置される螺旋状のヒータ線が用いられ、炉内を例えば800〜1000℃程度に高温に加熱することができる。また、上記断熱材としては、例えばセラミックファイバ等からなる断熱材料を円筒状に焼成してなるものが用いられ、輻射熱および伝導熱として奪われる熱量を減少させて効率のよい加熱を助長することができる。上記支持体としては、例えばセラミック製のものが用いられ、上記ヒータ線を熱膨張および熱収縮可能に所定のピッチで支持するようになっている。
【0004】
ところで、上記熱処理炉においては、上記ヒータ線が螺旋状に形成されていると共に熱膨張および熱収縮可能なように断熱材との間にクリアランスをとって支持されている。しかし、ヒータ線は高温下で使用されることによりクリープ歪を生じ、その線長は時間とともに徐々に伸びて行く。また、加熱時においても、ヒータ線は熱膨張を起こす。さらに、降温時には、ヒータ線に空気を吹付けて急速冷却を行うタイプのものもある。このように昇降温を繰り返すことによりヒータ線が変形し、隣接するヒータ線とショートして断線が発生する場合がある。
【0005】
特に、縦型の熱処理炉の場合、昇降温による熱膨張と熱収縮の繰り返しによりヒータ線が支持体内で移動する際に重力により僅かずつヒータ線が下方に移動し、最下ターンに移動分が蓄積していき、ヒータ線の移動の蓄積により巻き径が大きくなり、断熱材の内面まで達して外側に膨張できなくなったヒータ線が上下に変形し、隣接するヒータ線とショートするとその時に発生するスパークの熱でヒータ線が断線する。
【0006】
なお、このような問題を解消するためにヒータ線のクリープや熱膨張等による伸びの一端側への累積を防止するために、抵抗発熱体の外側部に炉の半径方向外方に突出した軸状等の固定部材を溶接で取付け、この固定部材の先端を断熱材中に埋め込んで固定するようにしたものも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−233277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述のように抵抗発熱体の外側部に固定部材を接合してこの固定部材を断熱材中に埋設することにより抵抗発熱体を固定しているため、抵抗発熱体の熱膨張収縮に伴う径方向への移動を拘束してしまい、抵抗発熱体における固定部材の接合部に応力が集中し易く、耐久性の低下(短寿命化)を招くことが考えられる。また、固定部材が棒軸状であるため断熱材から抜け易く保持性に劣り、抵抗発熱体の固定性能を維持することが難しく、耐久性の低下を招くことが考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、抵抗発熱体の熱膨張収縮に伴う径方向の移動を許容しつつ抵抗発熱体が下方に移動するのを防止でき、抵抗発熱体の耐久性の向上が図れる熱処理炉及び熱処理炉用支持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱処理炉は、被処理体を収容して熱処理するための処理容器を囲繞する筒状の断熱材と、該断熱材の内周面に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体と、断熱材の内周面に軸方向に所定のピッチで設けられ、抵抗発熱体を径方向に熱膨張収縮可能に支持する支持体とを備えた熱処理炉において、前記支持体は、先端が上記断熱材に埋設され、上面で前記抵抗発熱体を摺動可能に支持する水平部を有すると共に、該水平部の後端から立ち上がった垂直部とを有し、前記水平部の下面には、前記支持体の熱容量を小さくするための溝が長手方向に沿って形成されることを特徴とする。
【0011】
水平部の先端には、前記断熱材からの抜け止めのための突出部が設けられていることが好ましく、また支持体は、断熱材の内周面の軸方向に所定ピッチで設けられたとき、前記垂直部の上端部と下端部には、その上下の支持体の垂直部が互いに係合する凹部と凸部が形成されていることが好ましく、さらに水平部の少なくとも上面及び前記垂直部の前面が曲面状に形成されていることが好ましい。
【0012】
また本発明の熱処理炉用支持体は、被処理体を収容して熱処理するための処理容器を囲繞する筒状の断熱材の内周面に軸方向に所定のピッチで設けられ、該断熱材の内周面に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体を径方向に熱膨張収縮可能に支持するための熱処理炉用支持体であって、先端が上記断熱材に埋設され、上面で前記抵抗発熱体を摺動可能に支持する水平部を有すると共に、該水平部の後端から立ち上がった垂直部とを有し、前記水平部の下面には、前記支持体の熱容量を小さくするための溝が長手方向に沿って形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筒状の断熱材の内周面に螺旋状の抵抗発熱体を径方向に熱膨張収縮可能に支持する支持体を軸方向に所定のピッチで設け、その支持体を、先端が断熱材に埋設し、上面で前記発熱体を摺動可能に支持する水平部と、水平部の後端から立ち上がった垂直部とで形成し、水平部の下面に、支持体の熱容量を小さくするための溝を長手方向に沿って形成することで、抵抗発熱体を含む熱処理炉の耐久性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の熱処理炉の実施の形態を概略的に示す縦断面図である。
【図2】同熱処理炉の一部を示す斜視図である。
【図3】同熱処理炉の部分的横断面図である。
【図4】同熱処理炉の部分的縦断面図である。
【図5】抵抗発熱体における端子部材の取付構造を部分的に示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】支持体を示す斜視図である。
【図7】支持体と移動阻止部材の関係を示す図である。
【図8】移動阻止部材の斜視図である。
【図9】抵抗発熱体の側面図である。
【図10】移動阻止部材の他の配置例を説明する説明図である。
【図11】移動阻止部材の他の形状例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を基に詳述する。図1は本発明の熱処理炉の実施の形態を概略的に示す縦断面図、図2は同熱処理炉の一部を示す斜視図、図3は同熱処理炉の部分的横断面図、図4は同熱処理炉の部分的縦断面図である。
【0016】
図1において、1は半導体製造装置の一つである縦型の熱処理装置であり、この熱処理装置1は、被処理体である例えば半導体ウエハwを一度に多数枚収容して酸化、拡散、減圧CVD等の熱処理を施すことができる縦型の熱処理炉2を備えている。この熱処理炉2は、ウエハwを多段に収容して所定の熱処理を行うための処理容器(反応管ともいう)3と、該処理容器3を囲繞する筒状の断熱材4と、該断熱材4の内周面に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体(ヒータ線ともいう)5とを主に備えている。断熱材4と抵抗発熱体5によりヒータ(加熱装置)6が構成されている。
【0017】
上記熱処理装置1は、ヒータ6を設置するためのベースプレート7を備えている。このベースプレート7には処理容器3を下方から上方に挿入するための開口部8が形成されており、この開口部8にはベースプレート7と処理容器3との間の隙間を覆うように図示しない断熱材が設けられている。
【0018】
上記処理容器3は、プロセスチューブとも称し、石英製で、上端が閉塞され、下端が開口された縦長の円筒状に形成されている。処理容器3の開口端には外向きのフランジ3aが形成され、該フランジ3aが図示しないフランジ押えを介して上記ベースプレート7に支持されている。図示例の処理容器3は、下側部に処理ガスや不活性ガス等を処理容器3内に導入する導入ポート(導入口)9及び処理容器2内のガスを排気するための図示しない排気ポート(排気口)が設けられている。導入ポート9にはガス供給源が接続され、排気ポートには例えば10〜10-8Torr(1.3〜1.3×10-9kPa)程度に減圧制御が可能な真空ポンプを備えた排気系が接続されている。
【0019】
処理容器3の下方には、処理容器3の下端開口部(炉口)を閉塞する上下方向に開閉可能な蓋体10が図示しない昇降機構により昇降移動可能に設けられている。この蓋体10の上部には、炉口の保温手段である例えば保温筒11が載置され、該保温筒11の上部には例えば直径が300mmのウエハwを多数枚例えば100〜150枚程度上下方向に所定の間隔で搭載する保持具である石英製のボート12が載置されている。蓋体10には、ボート12をその軸心回りに回転する回転機構55が設けられている。ボート12は、蓋体10の下降移動により処理容器3内から下方のローディングエリア内に搬出(アンロード)され、ウエハwの移替え後、蓋体10の上昇移動により処理容器3内に搬入(ロード)される。
【0020】
図5は抵抗発熱体における端子部材の取付構造を部分的に示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、図6は支持体を示す斜視図、図7は支持体と移動阻止部材の関係を示す図、図8は移動阻止部材の斜視図、図9は抵抗発熱体の側面図である。
【0021】
上記ヒータ6は、図2〜図5に示すように、上記断熱材4と、該断熱材4の内周に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体5と、上記断熱材4の内周面に軸方向に所定のピッチで設けられ、上記抵抗発熱体5を支持する支持体13と、抵抗発熱体5の外側に軸方向に適宜間隔で配置され断熱材4を径方向に貫通して外部に延出された複数の端子板14と、抵抗発熱体5に所定のターンごと(例えば1.5ターンごと)に設けられ、上記支持体13の一側面に当接して抵抗発熱体5の下方への移動を阻止する移動阻止部材(ストッパー)15とを備えている。
【0022】
抵抗発熱体5は、例えば鉄(Fe)、クロム(Cr)およびアルミニウム(Al)の合金線であるカンタル線(カンタルは登録商標)からなっている。この抵抗発熱体5の太さは、熱処理炉2の仕様によっても異なるが、例えば直径が4mm程度のものが用いられる。
【0023】
上記抵抗発熱体5は、上記断熱材4の内壁面に沿って、断熱材4と接触しない所定の巻径および所定のピッチで螺旋状に形成されている。断熱材の内径は例えば600mmとされる。抵抗発熱体5は、耐熱性および電気絶縁性を有する材料例えばセラミックからなる支持体13を介して円筒状の断熱材4の内側に所定熱量を確保できる所定の配列ピッチ例えば10mmおよび断熱材4の内壁面から所定の隙間s例えばs=10mmを隔てた状態で、熱膨張および熱収縮可能(螺旋の半径方向および周方向へ移動可能)に支持されている。
【0024】
上記支持体13は、図3、図6ないし図7に示すように先端が上記断熱材4に埋設された水平部13aと、この水平部13aの後端から立ち上がった垂直部13bとを有している。この場合、抵抗発熱体5が熱膨張収縮により摺動する際の摩擦抵抗を減らすために、上記水平部13aの少なくとも上面及び上記垂直部13bの前面すなわち抵抗発熱体5と接触し得る部分が曲面状に形成されていることが好ましい。図示例では、水平部13aの上面には上部R部16が形成され、垂直部13bの前面には炉心方向R部17が形成されている。支持体13の熱容量を小さくするために、水平部13aの下面には長手方向に沿って溝18が設けられている。
【0025】
また、水平部13aの下面における溝18の両側部には下部R部19が形成されており、万が一、抵抗発熱体5が水平部13aの下面に接触したとしてもその摩擦抵抗を低減できるようになっている。水平部13aの先端には、断熱材4からの抜け止めのために、両側に突出した突出部20が設けられている。上記支持体13の垂直部13bの上端部と下端部には、互いに係合し得る凹部21と凸部22が形成されており、図7に示すように凹部21と凸部22を係合させて上下に支持体13の垂直部13bを重ねて配置することにより、支持体13が断熱材4の軸方向に所定のピッチで直列に配置されている。支持体13は、断熱材4の内周面に周方向に所定の間隔例えば30度の間隔で配置されている。断熱材4の内壁面と支持体13の垂直部13bの前面との間隔tは例えば10mmとされ、上下の支持体13の水平部13a間に形成される溝部23の隙間hは例えば5mmとされる。
【0026】
抵抗発熱体5には、図4ないし図9に示すように上記断熱材4を貫通して外部に延出された電極接続用の端子板14が断熱材4の軸方向に適宜間隔で設けられており、熱処理炉2内である処理容器3内を上下方向に複数のゾーンに分けて温度制御ができるように構成されている。この端子板14は抵抗発熱体5と同じ材質からなり、溶断防止と放熱量の抑制の観点から所要断面積の板状に形成されている。
【0027】
端子板14を取付けるために、上記抵抗発熱体5は、図5に示すように中間位置において端子板14の取付部分で切断され、その切断された両端部5aが断熱材4の半径方向外方に折り曲げられ、その折り曲げられた両端部5aが端子板14の両面に溶接で固定されている。特に、溶接接合部への応力集中を緩和するために、上記抵抗発熱体5の切断された両端部5aの折り曲げ部24はR曲げ加工とされている。
【0028】
鉛直方向に配置された螺旋状の抵抗発熱体5は、ゾーン毎に端子板14を介して断熱材4に固定されているものの、支持体13を介して熱膨張および熱収縮可能に支持されているため、この状態のままでは、クリープや熱膨張等による伸びを生じた場合、その伸びが重力によって各ゾーンの下側へ累積する傾向がある。そこで、抵抗発熱体5のクリープや熱膨張等による伸びの重力による各ゾーン下側への累積を防止するために、図7ないし図9に示すように上記抵抗発熱体5には、上記支持体13の一側面(図7では抵抗発熱体が右方に下り傾斜となっているため左側面)に当接して抵抗発熱体5の下方への移動を阻止する移動阻止部材15が所定のターンごとに設けられている。
【0029】
移動阻止部材15を抵抗発熱体5の1ターン毎に配置する場合、移動阻止部材15が上下に隣接することにより互いに接触してショートする虞があるため、例えば図10の(a)又は(b)に示すように移動阻止部材15を上下に隣接しないように周方向に支持体13の1ピッチずつとか数ピッチずつ位置をずらして配置することが好ましい。これにより、移動阻止部材15同士が接触してショートするのを防止することができる。
【0030】
この移動阻止部材15は、抵抗発熱体5と同じ材質で形成されている。図8に示すように移動阻止部材15は、抵抗発熱体5よりも断熱材側(半径方向外方)に出っ張らず且つ上下方向に張り出す形状で抵抗発熱体5に溶接25で固定されている。図示例では、移動阻止部材15は、抵抗発熱体5の外周に嵌合し得るリングを半分に切断した形状(半リング状ないし略C字状)であり、抵抗発熱体の内周側に移動阻止部材15の凹溝15aを係合させた状態で上下2箇所の溶接25で固定されていることが好ましい。このように設けることにより、移動阻止部材15が断熱材4に接触するのを防止して抵抗発熱体5の径方向の自由な移動を確保できると共に、移動阻止時に抵抗発熱体5にモーメントや応力集中が発生するのを防止できる。
【0031】
図11は移動阻止部材の他の形状例を示している。移動阻止部材15としては、図11(a)に示すように上下に長い直方体状でその上下方向中間部に凹溝15aを形成した形状であっても良く、或いは図11(b)に示すように丸棒軸状のものを抵抗発熱体5の上下に固定したり、或いは図11(c)に示すように角軸状のものを抵抗発熱体5の上下に固定した形状であっても良い。
【0032】
断熱材4の形状を保持すると共に断熱材4を補強するために、図1に示すように、断熱材4の外周は金属製例えばステンレス製の外皮(アウターシェル)26で覆われている。また、ヒータ外部への熱影響を抑制するために、外皮26の外周は水冷ジャケット27で覆われている。断熱材4の頂部にはこれを覆う上部断熱材28が設けられ、この上部断熱材28の上部には外皮26の頂部(上端部)を覆うステンレス製の天板29が設けられている。
【0033】
熱処理後にウエハを急速降温させて処理の迅速化ないしスループットの向上を図るために、ヒータ6にはヒータ6と処理容器3との間の空間30内の雰囲気を外部に排出する排熱系31と、上記空間30内に冷却流体(例えば空気)を導入して強制的に冷却する冷却手段32とが設けられている。上記排熱系31は、例えばヒータ6の上部に設けられた排気口33と、該排気口33と図示しない工場排気系とを結ぶ図示しない排熱管とから主に構成されている。排熱管には図示しない排気ブロワ及び熱交換器が設けられている。
【0034】
上記冷却手段32は、上記断熱材28と外皮26の間に高さ方向に複数形成された環状流路34と、各環状流路34から上記空間30に冷却流体を吹き出すために断熱材4に設けられた吹出し孔35とを有している。
【0035】
上記外皮26の外面には、各環状流路34に冷却流体を分配供給するための共通の1本の図示しない供給ダクトが高さ方向に沿って設けられ、外皮26には供給ダクト内と各環状流路34とを連通する連通口が形成されている。供給ダクトにはクリーンルーム内の空気を冷却流体として吸引し、圧送供給する図示しない冷却流体供給源(例えば送風機)が開閉バルブを介して接続されている。
【0036】
以上のように構成された熱処理炉2によれば、筒状の断熱材4の内周面に螺旋状の抵抗発熱体5を径方向に熱膨張収縮可能に支持する支持体13を軸方向に所定のピッチで設けると共に、抵抗発熱体5に支持体13の一側面に当接して抵抗発熱体5の下方への移動を阻止する移動阻止部材15を所定のターンごとに設けているため、抵抗発熱体5のクリープや熱膨張等による伸びが一端側へ累積する現象を防止することが可能となる。従って、抵抗発熱体5の一端側の巻径が増大して断熱材4の内周面と接触することがなくなるため、抵抗発熱体5の座屈等の変形やショートによる破断が発生することがなくなり、抵抗発熱体5の耐久性の向上が図れる。また、従来の固定部材のように抵抗発熱体自体を固定するのではなく、抵抗発熱体5の径方向の熱膨張収縮移動を許容できるため、抵抗発熱体5にモーメントや応力集中を発生させるおそれがなく、抵抗発熱体5ひいては熱処理炉2の耐久性の向上(長寿命化)が図れる。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の設計変更が可能である。例えば、処理容器としては、導入管部及び排気管部を有する耐熱金属例えばステンレス鋼製の円筒状のマニホールドを下端部に接続してなるものであってもよく、また、二重管構造であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
w 半導体ウエハ(被処理体)
2 熱処理炉
3 処理容器
4 断熱材
5 抵抗発熱体
13 支持体
13a 水平部
13b 垂直部
14 端子板
15 移動阻止部材
18 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収容して熱処理するための処理容器を囲繞する筒状の断熱材と、該断熱材の内周面に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体と、断熱材の内周面に軸方向に所定のピッチで設けられ、抵抗発熱体を径方向に熱膨張収縮可能に支持する支持体とを備えた熱処理炉において、前記支持体は、先端が上記断熱材に埋設され、上面で前記抵抗発熱体を摺動可能に支持する水平部を有すると共に、該水平部の後端から立ち上がった垂直部とを有し、前記水平部の下面には、前記支持体の熱容量を小さくするための溝が長手方向に沿って形成されることを特徴とする熱処理炉。
【請求項2】
前記水平部の先端には、前記断熱材からの抜け止めのための突出部が設けられている請求項1記載の熱処理炉。
【請求項3】
前記支持体は、断熱材の内周面の軸方向に所定ピッチで設けられたとき、前記垂直部の上端部と下端部には、その上下の支持体の垂直部が互いに係合する凹部と凸部が形成されている請求項1記載の熱処理炉。
【請求項4】
前記水平部の少なくとも上面及び前記垂直部の前面が曲面状に形成されている請求項1記載の熱処理炉。
【請求項5】
被処理体を収容して熱処理するための処理容器を囲繞する筒状の断熱材の内周面に軸方向に所定のピッチで設けられ、該断熱材の内周面に沿って配置される螺旋状の抵抗発熱体を径方向に熱膨張収縮可能に支持するための熱処理炉用支持体であって、先端が上記断熱材に埋設され、上面で前記抵抗発熱体を摺動可能に支持する水平部を有すると共に、該水平部の後端から立ち上がった垂直部とを有し、前記水平部の下面には、前記支持体の熱容量を小さくするための溝が長手方向に沿って形成されることを特徴とする熱処理炉用支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16502(P2013−16502A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189027(P2012−189027)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2008−21231(P2008−21231)の分割
【原出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】