説明

熱収縮性積層フイルム及び包装軽量ペットボトル

【課題】特に軽量化ペットボトルに関し、それに装着されるラベルに設けられているミシン目の破断問題を解決するための手段の提供。
【解決手段】樹脂組成物Aによるフイルムを中間層(A)とし、樹脂組成物Bによるフイルムを両外面層(B)とする熱収縮性積層フイルム。<樹脂組成物A>メタロセン触媒による直鎖状低密度ポリエチレン樹脂45〜65質量%、低密度ポリエチレン樹脂5〜25質量%、環状オレフィン系樹脂5〜15質量%及び石油樹脂5〜25質量%。<樹脂組成物B>環状オレフィン系樹脂70〜90質量%及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂10〜30質量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂、中でも特定のポリエチレン系樹脂を主体として構成される熱収縮性積層フイルム及び該フイルムによるラベル包装された軽量ペットボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル等を包装(個装)するフイルムには、例えば熱収縮性ポリエチレンテレフタレ−ト系フイルム(以下PETフイルムと呼ぶ。)、熱収縮性ポリスチレン系フイルム(以下PSフイルムと呼ぶ。)、熱収縮性ポリオレフィン系フイルム(以下POフイルムと呼ぶ。)が知られている。
これ等のフイルムを使って、ペットボトル等を包装するまでの工程は、一般には次ぎの通りである。
まず横方向を主体に所定量延伸された熱収縮性フイルム(一般に積層フラット状フイルム)が製造される。そして該フイルムの内面に印刷を行い、ミシン目を穿設し、両端面を重ね合わせ(重合)接着してチュ−ブ状(長尺)に成形される。そしてペットボトル1本分のチュ−ブ状ラベルにカットされて、これがペットボトルに挿入され熱収縮して締着・包装されると言うものである。
【0003】
ところで、ペットボトル業界(特に製造者側)での最近の取り組みとしてペットボトルの軽量化がある。これは国策の1つとして進められている石油の省資源化の一貫からのものでもある。このペットボトルの軽量化と並んで、この周辺部材の軽量化も行われようとしている。その1つが熱収縮性チュ−ブラベルでもある。
これ等の軽量化は、いずれもより肉厚を薄く(使用原料の減量)することにあるが、例えば500mlのペットボトルでは約20%、1.5Lのペットボトルでは約7%の減量が目標とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ペットボトルの軽量化に関しては、特に該ボトルに使用する既存のラベル(チュ−ブ状)側に問題が発生してきている。この問題点を挙げると、主として次ぎの3点に集約される。
その1点目が、飲料充填のペットボトルを誤って落下した場合、ミシン目が破断し易く、装着ラベルの脱落に繋がると言うものである。この原因は、該ボトルの肉厚が薄くなったことで、例えば落下した場合、その衝撃で内圧が該ボトルの胴部分に集中し、その結果、一瞬該胴部分が膨らみ、その膨らみにミシン目が耐えきれずに破断に繋がる(以下この点を落下によるミシン目破断と呼び、その耐性を耐落下ミシン目破断性と呼ぶ。)。この破断は、既存ラベル中、ポリスチレン系ラベルに最も多く、ポリオレフィン系ラベルにも散見される現象である。
その2点目が、特に水系又はスポ−ツ飲料を充填したペットボトルを冷却(例えば−5℃)して凍結(販売)する場合である。つまり、この凍結でも内容物が膨張するので、該ボトルの胴部分が膨らむ。その結果上記1点目と同じように、ミシン目が耐えきれずに破断に繋がる(以下この点を凍結によるミシン目破断と呼び、その耐性を耐凍結ミシン目破断性と呼ぶ。)。この破断は、既存ラベル中、ポリスチレン系ラベルに最も多く、ポリオレフィン系ラベルにも散見される現象である。
その3点目が、(使用後にまず行われる)ミシン目を破っての装着ラベルとペットボトルとの分離である。このミシン目破りは手動で行われるが、手動であるが故に、より容易に破れるものであることが求められる。(以下、この容易に破れるラベルの特性をミシン目の破り性と呼ぶ。)。しかしながら、一方では、このミシン目の破り易さは、前記のような場合にとっては良くないことである。つまり二律背反的関係にある。破れ易いが、破れ難いと言う両者がバランスするラベルがあれば、この問題はないが、前記既存のラベルにはないのが実情である
【0005】
本発明は、前記1、2点目の問題点と共に、3点目の問題点がバランスをもって解決できるように鋭意検討した結果、遂に見出されたものである。
【0006】
尚、前記3点を主たる課題として解決を計ろうとした関連先行技術は見出せないが、ラベルの筒状加工が溶剤シ−ルによってできること、PETボトルと筒状ラベルとの分離が水によってできることを課題とした特許出願は見られる。
例えば該出願は、使用樹脂成分として中間層にポリエチレン系共重合樹脂(例えばLLDPE樹脂単独又はこれにTg50〜70℃の環状オレフィン系共重合樹脂30重量%以下)(更には30重量%以下の石油樹脂、更には20重量%以下のLDPE樹脂がブレンドされても良い。)を、そして両表面層にTg50〜75℃の環状オレフィン系共重合樹脂(該樹脂単独であるが、5重量%以下であればLLDPE樹脂をブレンドしても良い。)を各々選び、これを少なくとも3層に積層した熱収縮性ポリオレフィン系フイルムとするものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平2001―315260号公報
【課題を解決するための手段】
【0008】
つまり本発明は、下記樹脂組成物Aによるフイルムを中間層(A)とし、樹脂組成物Bによるフイルムを両外面層(B)とする熱収縮性積層フイルムを特徴とする。
<樹脂組成物A>、
メタロセン触媒による直鎖状低密度ポリエチレン樹脂45〜65質量%、低密度ポリエチレン樹脂5〜25質量%、環状オレフィン系樹脂5〜15質量%及び石油樹脂5〜25質量%。
<樹脂組成物B>、
環状オレフィン系樹脂70〜90質量%及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂10〜30質量%。
【0009】
又、前記熱収縮性積層フイルムのミシン目入りチュ−ブ状ラベルが軽量ペットボトルに熱収縮締着されてなる包装軽量ペットボトルであることも特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、前記の通り構成されているので、次ぎのような効果を奏する。
【0011】
特にペットボトルの軽量化に対して、優れた耐落下ミシン目破断性、耐凍結ミシン目破断性と共に、ミシン目の破り性をバランス良く有している熱収縮性フイルムである。
【0012】
勿論他に必要な特性、例えば適正なフイルム硬さ(適正な腰の強さ)、透明性、チュ−ブ状ラベルの加工性(例えば該チュ−ブ状成形が有機溶剤によってもできるとか、印刷が容易であるとか)、耐自然収縮性等にも優れた熱収縮性フイルムである。
【0013】
前記特性が付与されたことで、より薄肉のペットボトルのミシン目入りチュ−ブ状ラベルとしての使用ができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず中間層(A)から説明する。
該層を形成する樹脂組成物Aは、特に選ばれたメタロセン触媒による直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下m−LLDPE樹脂と呼ぶ。)と低密度ポリエチレン樹脂(以下LDPE樹脂と呼ぶ。)と環状オレフィン系樹脂(以下CO樹脂と呼ぶ。)及び石油樹脂の4成分の組合せを必須としてなり、且つm−LLDPE樹脂45〜65質量%、好ましくは50〜60質量%、LDPE樹脂5〜25質量%、好ましくは10〜20質量%、CO樹脂5〜15質量%、好ましくは7〜12質量%、石油樹脂5〜25質量%、好ましくは7〜15質量%の配合比をもって、均一ブレンドされたブレンド樹脂でなければならない。ここでこの配合比は、4成分混合を100質量%とした場合の各成分の占める割合である。
この4成分とその配合比とによって新たに創出されるブレンド樹脂が中間層(A)として存在することで、特に前記耐落下ミシン目破断性、耐凍結ミシン目破断性及びミシン目の破れ性(以下この等を総称して3特性と呼ぶ。)の発現に対して中枢的作用をするものとなる。
従って、この4成分の一種が欠けるとか、他の成分に置換えられることは勿論、配合比がこれ等の特定範囲外であれば、この3特性は勿論、他に必要な特性をバランス良く発現することができなくなる。
尚、この新たに創出されたブレンド樹脂は、フイルム成形性、フイルム透明性、表裏層(B)との密着性、耐自然収縮性、適正な腰の強さ等に対しても、それを損なうことなくバランス良く発現できる特性も合わせ有している。
【0015】
中間層(A)は、前記の通り前記3特性発現の中枢的作用をする層であるが、これを使用成分から見ると、特にm−LLDPE樹脂がその中心的役目となって作用をする。他の3成分は、該樹脂による作用をより円滑に助勢しながら、他に必要な特性の付与に作用する。この他に必要な特性は、例えばより高い透明性、、両外面層(B)との熱収縮速度(特に初期での)のバランス発現(このバランスがとれないと、該両外面層に微細な皺が入り、透明性の低下にも繋がる)、層間密着力のアップ、自然収縮の抑制、フイルムの腰の適正硬さ(硬くもなく、柔らかくもない取り扱い易い硬さ)の発現、より高い熱収縮率の発現等である。
【0016】
m−LLDPE樹脂は、具体的には、次ぎのようなものである。
つまり従来から知られる、チ−グラ−ナッタ触媒により重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンとは異なり、メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンである。シャ−プな分子量分布と少量共重合されるα−オレフィン(例えばプロピレン、ブテン1、ヘキセン1、オクテン1等)の分布も均一であり、優れた耐衝撃強度、耐引裂強度、透明度等を有している。これ等の優れた特性が前記3特性発現のベ−スとして作用をしているものと考えられる。
【0017】
又、m−LLDPE樹脂は、分子量、少量共重合するα−オレフィン(例えばプロピレン、ブテン1、ヘキセン1、オクテン1)の種類とその量とによって、その密度、メルトフロ−レ−ト(MFR)(JISK K7210)(g/10分)が異なる。この中で適宜選択されるが、好ましいものを例示すると、次ぎの通りである。
密度(g/cm)は、約0.900〜0.935、好ましくは0.915〜0.930、MFRは1.0〜3.0、好ましくは1.5〜2.5である。
ここで該密度であるが、これは0.900未満になると、特にフイルム強度と腰の強さの点でより弱くする方向に作用をし、逆に0.935を越えると、特に透明性を悪くする方向に作用することによる。一方MFRであるが、これは1.0未満では、より円滑な成形がし難くなり、逆に3.0を越えると、前記3特性中、特に耐落下ミシン目破断性及び耐凍結ミシン目破断性の発現に好ましく作用しなくなる。
【0018】
そしてm−LLDPE樹脂であっても、その配合比を45〜65質量%にしない限り、前記3特性を最も効果的に発現しうる新たなブレンド樹脂は創出されない。つまり45質量%未満では、特に耐ミシン目落下破断性を悪くする方向になり、逆に65質量%を越えると、特にミシン目の破れ性を悪くする方向になる。
【0019】
次ぎに、他成分であるLDPE樹脂、CO樹脂及び石油樹脂について説明する。
まずLDPE樹脂であるが、これは前記他に必要な特性中、主としてより高い透明性と両外面層(B)との熱収縮速度のバランスの発現を助勢する。
その該樹脂は、具体的には、一般に知られている高圧法LDPEであり、その密度(g/cm)は約0.900〜0.925の範囲にある。
該樹脂自身は、中低圧法高密度ポリエチレンと異なり軟質で、衝撃強度、引裂強度にも優れている。この3つの特性がバランス良く得られるのはMFR(JIS K6750)(g/10分)が0.3〜2.5の範囲でもある。
【0020】
そして、前記LDPE樹脂であっても、その配合比を5〜25質量%にする必要がある。これは5質量%未満では、特に透明性を悪くする方向と両外面層(B)に対する低温域での初期熱収縮速度(例えば60〜70℃で5秒以内)のアンバランス(両外面層と中間層の収縮速度差が広がり、中間層が速くなる)を引き起こす方向になり、25質量を越えると、これも透明性を悪くする方向と共に、特に中間層(A)全体のフイルム強度を下げる方向になるからである。
【0021】
そしてCO樹脂であるが、これは前記他に必要な特性中、主として層間密着力のアップ、自然収縮の抑制及びフイルムの腰の適正硬さ発現を助勢する。
その該樹脂は、具体的には、次ぎのものである。
環状オレフィン(例えばノルボルネン)の開環ポリマを水添飽和した樹脂、エチレン又はプロピレン等のα−オレフィンと環状オレフィン(例えばノルボルネン及びその誘導体やテトラシクロドデセン及びその誘導体など)とのランダム共重合樹脂、該環状オレフィンの開環重合体とα−オレフィンとの共重合体を水素添加した樹脂、これ等樹脂に不飽和カルボン酸及びその誘導体の少量をグラフトして変性した樹脂が挙げられる。
【0022】
前記CO樹脂がα−オレフィンとの共重合ポリマにあっては、該α−オレフィンの共重合比によってTg(2次点移転温度)と共にフイルム成形性を始め各種物性が変わる。ここではTgでもって好ましいものを選択するのが良く、それは約60〜90℃、好ましくは65〜80℃である。このTg範囲のものは、特に自然収縮の抑制に対しても有効である。
【0023】
そして、前記CO樹脂であっても、その配合比を5〜15質量%にする必要がある。これは5質量%未満では、特に自然熱収縮率が大きくなる方向になり、15質量を越えると、特に前記m−LLDPEの中枢的作用の抑制と透明性を悪くする方向になる。
【0024】
そして石油樹脂であるが、これは前記他に必要な特性中、より高い熱収縮率の発現とフイルムの腰の適正硬さの発現を助勢する。更に前記中枢的作用中の特に、ミシン目の破り性において、より高いレベルに改良するのに有効に作用もする。ここで該腰の適正硬さに関し、前記CO樹脂では、最も有効な硬さの調整はできないので、これをこの石油樹脂が有効に助勢もする。
該樹脂としては、具体的には、一般に知られている脂肪族系、芳香族系、脂環族系及びテルペン系の石油樹脂等で不飽和基を有していないものでもある(水添による飽和)。いずれでも良いが、軟化点で115〜145℃有するものの選択が好ましい。
【0025】
そして、前記石油樹脂であっても、その配合比を5〜25質量%にする必要がある。これは5質量%未満では、特にm−LLDPEの有する必要以上の伸性を抑制して適正な伸性にすることが困難になり、逆に25質量を越えると、特に前記3特性の中の耐落下と耐凍結の各ミシン目破断性に悪影響を及ぼすようになる。
【0026】
次ぎに両外面層(B)を説明する。
該層を形成する樹脂組成物Bは、特に選ばれた環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との2成分を必須とし、且つ該環状オレフィン系樹脂を70〜90質量%、好ましくは75〜85質量%とし、該直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%の配合比としなければならない。
ここで環状オレフィン系樹脂は、前記に例示するCO系樹脂と同じであり、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、前記に例示するm−LLDPE樹脂又はチ−グラ−ナッタ触媒によるLLDPE樹脂(以下t−LLDPE樹脂と呼ぶ。)である。この中から前記中間層(A)とのバランスを考え適宜選択される。好ましいのは該CO系樹脂は、中間層(A)として使用するものと同じ樹脂であるのが良いが、この両外面層にあっては、いずれのLLDPE樹脂でも良い。
尚、該成分の質量%は、両者混合を100質量%とした場合の割合いである。
【0027】
前記2種の成分と配合比をもってなる両外面層(B)が、前記中間層(A)の両面に積層されてのみ前記本発明は達成されることになるが、この該層(B)の作用効果は、主として該層(A)では得難い有機溶剤によるセンタ−シ−ル性の発現である。このセンタシ−ル性とは、フラット状の熱収縮フイルムの両端面をセンタ−で重合し、その重合部分に有機溶剤を連続塗布し、単に圧着するだけで強固に接着できる特性のことである。センタ−シ−ルは、他の例えば接着剤、熱融着等による方法もあるが、これ等はまず高速化に限度があること、接着ムラがで易いこと、設備的に複雑にもなり易い。
【0028】
前記有機溶剤としては、重合フイルム面が適正な速度で溶解又は膨潤し、蒸発もし易いものが求められる。この適正な速度とは、例えば、100〜200m/分の速度で重合接着する場合、該速度に追従して該フイルムの表層部分が溶解又は膨潤する速度である。従って、この速度より速い速度で溶解又は膨潤する該溶剤は、該フイルム内部まで侵蝕することになり、白化に至る。逆に遅いと接着できなくなる。この溶解又は膨潤速度のコントロ−ルは、この重合接着の速度自身でも可能でもあるが、好ましい溶解又は膨潤能力の異なる該溶媒の2〜3種の混合でもって行うのが好ましい。その1例を挙げると、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素とn−ヘキサン等の飽和炭化水素とアセトン等の脂肪ケトン又はテトラヒドロフラン等の環状ケトンとの混合溶媒である。
【0029】
前記有機溶剤による(接着)シ−ル作用は、2成分中のCO系樹脂成分によって発現する。しかしこの成分のみでは、例えば取り扱い中に、フイルム面に指等が接触した場合に、その部分に指紋が着き易い。付着した指紋部分は白っぽくなり(手油の侵蝕によると考えられる)、外観不良は勿論、光沢の低下を招く。またこの成分のみでは、中間層(A)により発現した適正なフイルム腰の硬さが、硬い方にシフトされ易い。
これ等の問題を解消するために見出された手段が、特にLLDPE樹脂のCO系樹脂へのブレンドである。適正なフイルム腰の硬さを維持し、該指紋等による白化も解消され、優れたセンタ−シ−ル性を有する両外面層が得られる。
勿論、この2成分ブレンド樹脂は、層成形性にも、中間層(A)との密着性にも極めて優れ、接着剤層の介在等の必要もない。
【0030】
そして、前記2成分のブレンドによる新たな樹脂ではあるが、その配合比をCO系樹脂は70〜90質量%にし、LLDPE樹脂を10〜30質量%に抑える必要もある。これはCO系樹脂70質量%未満では、前記センタ−シ−ル性が最も有効に得られず、これが逆に90質量%を越えると指紋等による白化の完全解消にならないと共に、最も適正なフイルム腰の硬さの維持ができなくなる(硬く使いずらい方向にシフトする)。
尚、ブロキング防止剤として、例えばシリカの微量添加はあっても良い。
【0031】
前記3層によるフイルムの熱収縮性は、中間層(A)と両外面層(B)との間に、熱収縮速度の差はなく、どの方向(縦、横方向)に熱収縮するか、熱収縮率はいくらかのことを言うが、どの方向に、幾らの熱収縮率が必要かは、該フイルムの使用目的によって決められる。これを本発明が好ましい1つの用途として挙げる、ペットボトルの管状ラベルについて例示すると次ぎの通りである。
該ラベルは、まず縦方向の収縮は極力抑え、主として横方向へ収縮できるものであることが必要であり、そしてその収縮率は、横方向へ20〜40%、好ましくは28〜38%、縦方向へは5.0%以下、好ましくは1.0〜3.0%とする。ここで横方向の最大を40%としているのは、これを越えるとあまりにも強い収縮力で収縮するので、特に軽量ペットボトル(肉厚をより薄くした該ボトル)に装着された場合、該ボトルが変形に至る危険性があるからである。下限の20%は、これより小さいと該ボトルへのラベルの締着が弱く、また収縮(残存余力)が少ないので、装着されたラベルに隙間が発生し易くなることからである。
縦方向は、極力抑えるのが良いとは言っても、1%未満では良くない。これは該ラベルの締着をより完全に行うために好ましくないからである。上限の5.0%は、これより大きくなると、皺の発生と印刷画像の乱れを起こし易くなるからである。これ等の熱収縮性は、後述する延伸手段にを採ることで得られる。
尚、上記収縮率は、得られた3層延伸フイルムを80℃の熱水に10秒間浸漬した場合の横と縦の方向の収縮度合いを%で示した場合である。従って、熱媒、温度、時間が変わればそれに相応して収縮率は変わる。
【0032】
前記3層による熱収縮性フイルムの厚さ構成は、これも該フイルムの使用目的によって異なるが、少なくとも中間層(A)は、前記中枢的機能発現をより大きくするために、両外面層(B)よりも厚く設定するようにするのが良い。
これを本発明が好ましい1つの用途として挙げる、ペットボトルの管状ラベルの場合を例示すると次ぎの通りである。
まず全厚としては、40〜70μmとし、この中での中間層(A)は30〜50μm、残る10〜20μmを両外面層(B)(ト−タル)とするが、各外面層は同じ厚さにするのがカ−ル変形等の危険性がないので良い。
【0033】
次ぎに前記3層熱収縮性フイルム(フラット状)の製造手段について説明する。
該フイルムの製造手段には、丸ダイとTダイによる3層共押出成形があるが、Tダイによるのが好ましいので、以下Tダイによる方法を説明する。
まず前記各成分と配合比とが決まれば、それ等は単にドライブレンド又は溶融混練により十分分散混合して、新たな樹脂としての樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを得る。
そして該樹脂組成物Aは、1台の溶融押出機へ、樹脂組成物Bは、他の2台の溶融押出機に供給する。各組成物は、所定の温度に調整されたこれ等押出機から所定温度に調整された3層Tダイに向かって、該樹脂組成物Aは中間に、樹脂組成物Bは両面に配置されるように同時に押出される。該ダイ内で一体となって3層に積層され、冷却ロ−ルにて冷却固化される。該ロ−ルでの冷却までは実質的に延伸は行わない。
【0034】
次ぎに前記得られた実質的無延伸の3層フイルムは、延伸装置に送り込んで延伸される。この延伸装置は、縦方向ヘの延伸のための少なくとも2本のロ−ルと横方向ヘの延伸のためのテンタ−とが加熱手段の併設をもって流れ方向に配列されなっている。使用目的により縦方向及び/又は横方向への延伸が行われる。
例えば、前記好ましく挙げる、ペットボトルの管状ラベル用である場合は、前記収縮率取得に対応して、まず縦方向へ1.8倍以下、好ましくは1.1〜1.5倍に、温度75〜90℃程度でロ−ル延伸し、引き続き横方向へ3.0〜7.5倍、好ましくは4.5〜7.0倍に、温度85〜100℃程度でテンタ−延伸する。次いでテンター内にて弛緩熱処理を行う。該熱弛緩は弛緩率約5〜8%で、温度は約70〜80℃で処理する。
【0035】
前記得られた延伸3層フイルムは、更に次ぎの処理を行う。それはコロナ放電処理とエ−ジング処理である。
ここでコロナ放電処理は、印刷インキの乗り及びインキ密着をより強くし、エ−ジング処理は、内部歪の除去である。
該コロナ放電処理は、空気中で、出力10W/m/分以上で行い、エ−ジング処理は約30〜40℃で10〜29時間エージング室内に放置することで行う。
【0036】
次ぎに前記3層熱収縮性フイルムがペットボトルのチュ−ブ状ラベルとして使用される場合の一連の工程を説明する。
まず前記コロナ放電処理された面に、グラビヤによるカラ−印刷が行われる。印刷インキは、一般にオレフィン系フイルムに使用される水性又は油性のグラビヤ用インキである。この印刷は、多丁付けで行われる。この印刷が終了したら、1丁分に相当する横幅で縦にスリットされてロ−ルに巻き取られる。この1丁分を図1を参照して説明する。該図で1(斜線)が実印刷部分(ペットボトルの胴回り全周)、2が縦方向に設けられた非印刷部分、3が1枚のラベルにした場合の上下端に設けられた非印刷部分、つまり1丁分は、1の実印刷部分と2の縦方向非印刷部分と3の上下端非印刷部分からなっている。この1丁分を1単位レイアウトとして、これが横方向に多丁付けされて、グラビヤ印刷が行われる。この多丁付け印刷が終了したら、左右4a〜4で示す横幅で、各4aと4の位置を縦方向にスリットされ、多丁付けした数だけのロ−ル巻き印刷フイルムが得られる。
【0037】
前記得られたロ−ル巻き印刷フイルムは、次ぎのようにして管状に成形される。
まず該フイルムはセンターシール機のフォーマー部分に向かって巻き出されていく。この時にミシン目6が穿設される。ミシン目6は、縦1列の場合もあれば2列の場合もある。ミシン目が穿設された該フィルムの両端はセンタ−位置で、つまり図1で言えば、右側の2で示す非印刷部分が上面に、左側の4aでカットした実印刷部分の端部が下面になるように重合される。この重合されたフイルムは、その重合部分の間にノズルを差し込んで、ここから前記する有機溶剤の適正量を吐出する。直ちにその上下接合の層面は溶解又は膨潤するので、これをニップロ−ルで連続圧着する。重合面は強固に接着シ−ルされて、チュ−ブ状に成形されるので、(フラット状で)巻き取る。
【0038】
そして前記巻き取られたチュ−ブ状フイルムは、1枚(ペットボトル1本分)のラベルにカットされるが、このカット位置は、図1の3で示す非印刷部分の中間位置5である。横方向にカットされた1枚のラベルは、その上下端に非印刷部分を有している。以上における非印刷部分の2及び3の幅は、適宜であるが、一般には非印刷部分2は3〜5mm、非印刷部分3は2〜4mmである。
【0039】
そして前記得られたラベルは開口され、ペットボトルが嵌入される。
この嵌入も自動的に連続して行われるので、まず該ボトルはその胴部分を中心に容易に挿入できることが必要である。この為には所定の隙間(この隙間は、該ボトルの外径よりも該ラベルの内径を大きくすることで得られる。)が必要であるが、そのフイルムの有する収縮率との関係から、あまり隙間が大きいと締着が十分でなくなる。この締着もある程度の残留収縮力をもって行われることが望ましい。この嵌入隙間と締着とが良くバランスする隙間を例示すると、約5〜8mmである。
挿入された該ボトルは、約75〜95℃の蒸気トンネル内を5〜15秒間要して通過する。残留収縮力を維持してしっかりと締着される。
【実施例】
【0040】
以下に比較例と共に実施例を挙げて更に詳述する。
尚、本例で言う腰(硬さ)の強さ、熱収縮率、指紋による白化(指紋白化と呼ぶ。)、低温初期熱収縮による白化(以下初期収縮白化と呼ぶ。)、シ−ル強度、耐落下ミシン目破断性、耐凍結ミシン目破断性及びミシン目の破れ性は、次ぎの条件で測定して得たものである。
【0041】
●フィルム腰硬さ、
得られた熱収縮フイルムを株式会社東洋精機製作所製 LOOP STIFFNESS TESTERを用いて縦方向を測定し(10点平均値)、その値をmNで示した。22〜30mNが適正である。
尚、この腰硬さに関し、特に縦方向が測定されるのは、チュ−ブラベルとしての使用では、開口状態がしっかりと維持される必要があるからである。
【0042】
●熱収縮率、
得られた熱収縮フイルムから100mm(縦方向)×100mm(横方向)のサンプル10枚を切り取る。そしてこのサンプルの1枚を80℃温水に10秒間浸漬させたら、直ちに取り出して冷水に漬ける。これの横方向の長さL(mm)と縦方向の長さLaを測定する。そして各々100−L、100−Laを算出し、熱収縮率%とする。
【0043】
●指紋白化、
人差し指の指紋面にオレイン酸を薄く塗り、得られた熱収縮フイルムの面に接触した後、緊張状態で80℃の熱風に10秒曝す。白い指紋となってはっきりと付く場合を×、実質的に指紋が目視できない場合を〇とする。
【0044】
●初期収縮白化(擦りガラス状に見られる白さ)、
得られた熱収縮フイルムを70℃の湯中に3秒間浸漬する。10ポイントの明朝文字で印刷した白紙の上に乾燥した該フイルムを載せて上から透視する。該文字が明白に目視でき判読できる場合を〇、目視はできるが、ぼやけてしまう場合を×とする。
【0045】
シ−ル強度、
有機溶剤によりセンタ−シ−ルされたチュ−ブフイルムをシール部分以外から開き、該シ−ル部分を新東科学株式会社製PEELING TESTER HEIDON−17型測定機を使って、180度剥離を行う。得られる強度をN/cmで示す。3N/cm以上が有効。
【0046】
●耐落下ミシン目破断性、
得られたラベル締着包装のペットボトルに水を充填し、これを垂直(底面が下)に1mの高さからコンクリ−ト面に落下させる。該ボトルのミシン目の破断の有無を目視確認する。ミシン目のいずれの位置でも少なくとも一ヶ所の破断があれば×、無しは〇とする。
【0047】
●耐凍結ミシン目破断性、
得られたラベル締着包装のペットボトルに水を充填し、−5℃で24時間冷凍保存する。氷結されたことを確認し、ミシン目部分を目視し破断の有無を確認する。破断があれば×、無しは〇とする。
【0048】
●ミシン目の破れ性、
前記耐凍結ミシン目破断性テストを合格したペットボトルのミシン目の破れ性を女性(家庭の主婦/無作為)に依頼しテストする。破り動作は、ミシン目の上一端に手の爪先を入れて、該女性がミシン目に沿って破る。この動作において、手の爪先を入れてラベルを引き起して破る動作に入った時、その部分が伸びて、ミシン目の破れ動作に繋がらない場合は勿論、(その部分の伸びなく)ミシン目に沿って破れだすが、途中でミシン目ラインからそれて、ミシン目でない部分が破れてしまう場合も×とし、いずれの場合もなく円滑に破れる場合を〇とする。
尚、上記3点のミシン目に関する測定におけるミシン目は、0.5mm:2.0mm(孔の長さ0.5mm、孔と孔の間隔2.0mm)のピッチで行った。
【0049】
(実施例1〜4)
尚、以下各例で言うMFRは、200℃、荷重49.03Nでの10分間の吐出量gを示している(JIS K7210)。
<樹脂組成物A>、
実施例1〜4で使用した樹脂は、次ぎの4成分であり、各成分の配合比は表1に示した。
尚、この4成分の混合は、チップ状の各成分をドライブレンドによった。
◎m−LLDPE樹脂・・ヘキセン1共重合のMFR2.0、密度0.926の樹脂。
◎LDPE樹脂・・MFR0.5、密度0.922の樹脂。
◎CO樹脂・・(実施例1〜3)Tg70℃のエチレンとテトラシクロドデセンとのランダム共重合樹脂。
・・(実施例4)Tg70℃のエチレンユニットとシクロペンタンユニットとからなるランダム共重合樹脂。
◎石油樹脂・・軟化点137℃の脂環族系樹脂(シクロペンタジエン)の水添化物。
<樹脂組成物B>、
尚、この3成分の混合は、チップ状の各成分をドライブレンドによった。
◎CO樹脂・・(実施例1〜3)Tg70℃のエチレンとテトラシクロドデセンとのランダム共重合樹脂。
・・(実施例4)Tg70℃のエチレンユニットとシクロペンタンユニットとからなるランダム共重合樹脂。
◎LLDPE樹脂・・(実施例1)ヘキセン1共重合のMFR2.3、密度0.914のt−LLDPE樹脂。
・・(実施例2〜4))ヘキセン1共重合のMFR2.0、密度0.926のm−LLDPE樹脂。
◎ブロッキング防止剤・・合成シリカ(三井化学株式会社製 EAZ−10)。
【0050】
そして、前記各例における樹脂組成物A、Bを使って、各例共同じの次ぎの条件にて、3層Tダイにより共押出しを行った。
まず該組成物Aは1台の溶融押出機に、該組成物Bは2台の溶融押出機に分けて供給し、該組成物Aは中間に、該組成物Bは両面になるようにし、200℃の3層Tダイから同時に溶融共押出しを行い、これを25℃の冷却ロール上に引き取りながら冷却固化し3層フイルムを得た。
そして該フイルムをロ−ル延伸機に通して縦方向に85℃で1.2倍の延伸し、次いでテンタ−延伸機に通して横方向に90℃で6.7倍に延伸を行った。次ぎに該テンタ−延伸機を使って75℃に加熱して、主として横方向に7%弛緩しながら熱固定し、常温に冷却したら、今度は弛緩該フィルムの片面を12.5W/m/分の処理強度でコロナ放電処理(空気中)してロ−ル状に巻取った。最後にこの巻取ったフイルムを35℃で16時間放置してエ−ジングした。
得られた熱収縮性フィルムの全厚は、各例共に50.0μm、就中、中間層(A)33.4μm、両外面層(B)は8.3μmであり、そして各フィルム腰硬さ、熱収縮率、指紋白化、初期収縮白化を測定し、結果を表2に示した。
【0051】
次ぎに、前記各例で得た各熱収縮性フイルムに、次ぎの1丁分を1単位デザインとして、そのコロナ放電処理面に、多丁付けで3色グラビヤ印刷を行った。
図1において、実印刷部分1は(縦)146mm×(横)235mm、2(縦方向)の非印刷部分の幅5mm、3(ラベル上下端に相当)の非印刷部分の幅3mmからなる。印刷は油性ウレタン系グラビヤインキ使用。該4例のいずれも問題なく美麗に印刷でき、ロ−ルで巻き取った。
【0052】
そして、前記各例で印刷された熱収縮性フイルムを(図1で示す)4aと4の位置で縦方向にスリットし、横幅240mmの長尺ロ−ル巻きを得た。次ぎにこの長尺ロ−ル巻きフイルムを速度150m/分で送りながら、次ぎの条件でまずミシン目の穿設、次ぎにセンタ−で両端重合(重合は前記2の非印刷部分を上面に幅5mm幅で行う。)、引き続き、その重合部分の有機溶剤による接着を行って、チュ−ブ状熱収縮性フイルムに成形しフラット状で巻き取った。
●ミシン目の穿設・・実印刷部分の両端10mmの位置に孔長0.5mm.ピッチ2mm間隔で、回転ミシン目刃にて孔を開ける。
●有機溶剤による接着・・シクロヘキサンとn−ヘキサンとアセトンからなる混合溶媒(ほぼ同量混合)を用い、その重合部分にノズルを挿入して、ここから吐出しニップロ−ラで圧着(常温)する。
尚、該混合溶媒のノズルからの吐出は、該速度に追従し、且つその吐出も主としてその重合部分の中央位置で行い、その量も濡れる程度に調整し行う(必要以上に多いと、重合部分以外に洩れて行くので良くない)。
得られた各例での該フイルムの1部を切り出して、その重合接着部分のシ−ル強度を測定し、結果を表2に示した。
【0053】
次ぎに、前記各例で得られた(フラット状)チュ−ブ状熱収縮性フイルムが1枚のラベルとして切り出されるように、非印刷部分3mmの位置(図1で示すと5の位置)で水平にカットした。得られたラベルの大きさは、折り径114mm、縦152mm(実印刷部分の縦長146mmと上下端各3mmの非印刷部分の合計)であった。そしてこのラベルを次ぎの条件で軽量ペットボトルに挿入し、スチ−ムトンネル中を通して熱収縮させて、締着包装した。
●軽量ペットボトル・・500mlで重量25g(従来は30g)、胴径65mm(ラベルの直径70mm)、
●スチ−ム温度と加熱時間・・80℃で7秒間。
各例共に、問題なく美麗にラベル包装された軽量ペットボトルを得ることができた。
【0054】
最後に前記得られたラベル包装の軽量ペットボトルに水を充填・キャップして各々耐落下ミシン目破断性、耐凍結ミシン目破断性及びミシン目の破れ性を測定した。結果は表2に示した。
【0055】
(比較例1〜5)(配合比の違いによるもの)
<樹脂組成物A>、
比較例1〜5で使用した樹脂は、次ぎの4成分で各成分の配合比は表1に示した。
尚、各成分の混合は、実施例と同じドライブレンドによった。
◎m−LLDPE樹脂・・前記実施例に同じ。
◎LDPE樹脂・・前記実施例に同じ。
◎CO樹脂・・Tg70℃のエチレンとテトラシクロドデセンとのランダム共重合樹脂、
◎石油樹脂・・前記実施例に同じ。
<樹脂組成物B>、
尚、この3成分の混合は、チップ状の各成分をドライブレンドによった。
◎CO樹脂・・前記実施例に同じ。
◎LLDPE樹脂・・ヘキセン1共重合のMFR2.0、密度0.926のm−LLDPE樹脂。
◎ブロッキング防止剤・・前記実施例に同じ。
【0056】
そして前記樹脂組成物A、Bを使って、実施例1と同じ条件で3層Tダイにより共押出し、延伸、弛緩熱固定、コロナ放電処理及びエ−ジングを行った。
得られた熱収縮性フィルムの全厚は、各例共に同じで、50.0μm、就中、中間層(A)33.4μm、両外面層(B)は8.3μmであり、そして各フィルム腰硬さ、熱収縮率、指紋白化、初期収縮白化を測定し表2に示した。
【0057】
そして前記得た各例の熱収縮性フィルムを用いて、前記実施例と同じ条件で、印刷から1枚のラベルに至る工程を得、最後にこの各例でのラベルを軽量ペットボトルに熱収縮して締着包装した。そして該ボトルも実施例1と同様に水を充填・キャップし、同様にミシン目に対するテストした。
同様に重合接着部分のシ−ル強度、耐落下ミシン目破断性、耐凍結ミシン目破断性及びミシン目の破れ性を測定し、結果を表2に示した。
【0058】
(比較例6)(中間層Aにt−LLDPE樹脂使用の場合)
実施例1において、樹脂組成物Aに使用したm−LLDPE樹脂に変えて、ヘキセン1共重合のMFR2.3、密度0.914のt−LLDPE樹脂を使用する以外は、全て同一条件で熱収縮フイルムを得た。該フイルムの厚さ構成は、実施例と同じであり、フィルム腰硬さ、熱収縮率、指紋白化、初期収縮白化を測定し表2に示した。
【0059】
そして、前記熱収縮フイルムについても、実施例と同じ条件で、印刷から1枚のラベルに至る工程を得、最後にこのラベルを軽量ペットボトルに熱収縮して締着包装した。そして該ボトルも実施例1と同様に水を充填・キャップし、同様にミシン目に対するテストを行った。
同様に重合接着部分のシ−ル強度、耐落下ミシン目破断性、耐凍結ミシン目破断性及びミシン目の破れ性を測定し、結果を表2に示した。
【0060】


【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】は、(印刷)1丁分のレイアウト図(平面)である。
【符号の説明】
【0062】
1・・実印刷部分
2、3・・非印刷部分
4a、4、5・・カット位置
6・・ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記樹脂組成物Aによるフイルムを中間層(A)とし、樹脂組成物Bによるフイルムを両外面層(B)とすることを特徴とする熱収縮性積層フイルム。
<樹脂組成物A>
メタロセン触媒による直鎖状低密度ポリエチレン樹脂45〜65質量%、低密度ポリエチレン樹脂5〜25質量%、環状オレフィン系樹脂5〜15質量%及び石油樹脂5〜25質量%。
<樹脂組成物B>
環状オレフィン系樹脂70〜90質量%及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂10〜30質量%。
【請求項2】
前記熱収縮性積層フイルムによるミシン目入りチュ−ブ状フイルムがラベルとして軽量ペットボトルに熱収縮締着された包装軽量ペットボトル。

【図1】
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【公開番号】特開2006−27052(P2006−27052A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208645(P2004−208645)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】