説明

熱可塑性成形プロセス及び装置

方法は、熱可塑性材料を加熱して、繊維と配合するための溶融した熱可塑性材料を作ることを含む。溶融した熱可塑性材料を繊維と配合して、重量濃度の繊維を有する溶融した複合材料を作る。次いで、別々に制御された材料を供給する動的ダイを通して溶融した複合材料を押し出し、下部モールドの上に重力降下させる。下部モールドは、下部モールド及び上部モールドのモールドキャビティに合う所定量の溶融した複合材料を下部モールド上に堆積させるために、複合材料の流れを受け取りながら空間的及び時間的に移動させることができる。上部モールドを所定量の溶融した複合材料に押し付けて下部モールドの上に閉じ、物品を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料成形プロセス及び装置に関し、特に、押出ダイを通過するときに成形される押出材料の厚さを変えるための調節可能なゲートを有する独自の動的ゲートダイを用いる熱可塑性材料成形プロセス及び装置に関する。
(関連出願)
本出願は、2004年3月31日に出願された米国特許出願連続番号第10/815,310号の利益を主張するものであり、該出願は、2002年11月13日に出願された米国特許出願連続番号第10/293,005号の一部継続出願であり、該出願は、2002年3月25日に出願され、現在は米国特許第6,719,551号となった米国特許出願連続番号第10/104,394号の一部継続出願であり、該出願は、1997年12月18日に出願され、現在は放棄された米国特許出願連続番号第08/993,516号の分割出願である。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
過去においては、一般に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性複合部品の成形を含む様々な成形システムが提供されてきた。真空成形においては、加熱された熱可塑性材料のスラブ(一定の厚さのシート)を真空モールドに配置し、モールドと加熱されたプラスチック材料との間を真空に引いてプラスチック材料をモールドに引き寄せる。同様に、圧縮成形においては、予め加熱された材料の塊又はスラブを、材料を圧縮して所望の部品又は形状にする2つの成形モールドの間でプレスする。
【0003】
関連特許
材料の熱成形を用いる先行米国特許は、Winsteadの4つの特許、米国特許第4,420,300号、米国特許第4,421,712号、米国特許第4,413,964号、及び米国特許第3,789,095号によって理解することができる。Winsteadの´712特許及び´300特許は、押出機、延伸手段、及び、雌モールドと、ホイール表面の実質的な弧の周りにシート材料を係合するプラグアシスト部材を有する軌道周回装置を形成するように相互連結された複数のプラグアシスト手段とを有するホイールを含む、シート材料の連続熱成形のための装置に関するものである。Winsteadの´964特許は、熱可塑性材料のウェブから成形製品を連続的に押し出して形成すると同時に、該製品をウェブから連続的に切り離し、該製品を積み重ねて処理し、ウェブの縁を再利用してさらに押し出しに用いるための装置を教示する。この装置は、多角形回転モールドと二軸配向装置とを接続するフォロアローラによって二軸配向ウェブが連続的に位置決めされる外周面上の回転多角形形状を有する複数のモールドキャビティを用いる。Winsteadの米国特許第3,789,095号は、低密度の発泡熱可塑性材料を連続的に押し出して、そこから三次元の定形部材を製造する、統合された方法である。
【0004】
Howellの米国特許第3,868,209号は、加熱ステーションから成形ステーションのモールド機構まで共通の水平面を連続的に移動する、熱によって溶融する1対の熱可塑性シートから中空のプラスチック製品を製造するための二重シート熱形成機である。Held Jr.の米国特許第3,868,209号は、2枚の熱可塑性材料を、空間の空いた関係にある加熱領域を通し、2つの半モールドの間を通過させることによって、該2枚の熱可塑性材料から中空部材を真空成形するための装置である。2つの半モールドは、中空部材を成形するために各々のシートをそれぞれのモールドの形状に適合させるように真空が各々のシートを引くときに接合される。Budzynskiらの米国特許第5,551,860号は、1度に1つのモールドを該モールドを装着するための押出ダイハンドルと位置合わせさせながら連続的に回転する回転モールドを有する、瓶を作るためのブロー成形装置である。Hujikの米国特許第3,915,608号は、靴底を連続的に成形するために複数の工程ステーションを通して複数のモールドを回転させる回転テーブルを含む、多層靴底のための射出成形機である。Ludwigの米国特許第3,302,243号は、プラスチックの靴を射出成形するための別の装置である。Lamerisらの米国特許第3,224,043号は、プラスチック射出ノズルと位置合わせさせるように回転させることができる少なくとも2つのモールドを有する射出成形機を教示する。Vismaraの米国特許第4,698,001号は、成形プラスチック製のオートバイ用ヘルメットを製造するための機械であり、1対の半モールドが複数の位置の間を移動する圧縮タイプのモールドを用いるものである。Krummの米国特許第4,304,622号は、各々が半スラブ条体をそれぞれのローラ組立体に押し出す1対の押出機を含む、熱可塑性合成樹脂の厚いスラブを生産するための装置である。ローラ組立体は、間で圧密ニップを形成する最終ローラを有し、そこで2つの半スラブが互いに接合される。
【0005】
複合材料及び他のプロセス
複合材料は、個々の材料より優れた特性又は性質を有する材料を作る2つ又はそれ以上の成分の混合物から形成される材料である。ほとんどの複合材料は、2つの部分、すなわち、基体成分及び強化成分からなる。基体成分は、複合材料を互いに結合する材料であり、通常は強化成分ほど固くない。これらの材料は、高温で圧力をかけて形成される。基体は、強化材を所定の位置に閉じ込め、荷重を強化材に分散させる。強化材は、通常は、基体材料より固いため、複合材料内部の主な荷重支持成分である。強化材は、複合材料を形成する基体内に埋め込まれる、繊維から、織物、粒子、又は棒状体までの範囲の、多くの異なる形態をとることができる。
【0006】
複合材料構造体は、自然界においては何百万年もの間存在している。木材の微細構造又は貝殻のバイオセラミクスの調査によって、自然界に見出される複合材料の発生が明らかにされ、現代の複合材料が本質的に自然界に見出される構造を模倣するように発展してきたことが示される。複合材料の最適な例が、コンクリートである。異なる形態のコンクリートによって、強化材がどのように作用するかに関する示唆が与えられる。セメントは、要素同士をまとめて保持する基体として働き、一方、砂、砂利、及び鋼鉄は、強化成分として働く。砂とセメントのみで作ったコンクリートは、セメント、砂、及び石から作ったコンクリートと比べると極めて弱く、後者は、鋼鉄、砂、及び石で強化されたコンクリートほど強度がない。コンクリートの基体材料及び強化材料は、混和され、注入され、典型的には形成構造体として成形される。他の複合材料でできた部品を生産する場合には、複合構造体又は部品の形は、複合構造体を形成するのに用いられるモールド、ダイ、又は他の金型の形又は形状によって決定される。
【0007】
プラスチック複合材料を含む多くの異なる種類の複合材料が存在する。各々のプラスチック樹脂は、その固有の特性を有し、それが、異なる強化材と組み合わされたときに異なる機械的特性及び物理的特性を有する複合材料を作る。今日存在するプラスチックポリマの数を考慮し、その数字に利用可能な強化剤の数を掛けると、可能な複合材料の数は膨大なものになる。プラスチック複合材料は、2つの主なカテゴリー、すなわち、熱硬化性複合材料と熱可塑性複合材料に分類される。
【0008】
熱硬化性複合材料の場合には、熱と圧力を加えた後に、熱硬化性樹脂が、材料の分子構造を架橋する化学変化を受ける。一旦硬化すると、熱硬化性部品は再び成形することはできない。熱硬化性プラスチックは、内部に見られる強固な架橋構造のため、高温耐性があり、ほとんどの熱可塑性材料より高い寸法安定性を備える。熱可塑性基体成分は、熱硬化性材料ほど制約されず、再利用し、形状を変えて、新しい部品を作ることができる。
【0009】
熱可塑性複合材料のための一般的な基体成分は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びナイロンを含む。高強度高弾性率の繊維で強化して熱可塑性複合材料を形成する熱可塑性材料は、強度及び剛性、並びに、靱性及び寸法安定性が飛躍的に増大する。
【0010】
複合材料は、広範な産業にわたって数々の用途に用いられる。典型的には、複合材料は、ファスナ又は他のコネクタを用いて組み立てられる合金構造体又は多成分金属構造体で作られる製品の代わりに用いられる。複合材料は、十分な強度を有するが、重量が軽くなる。このことは、自動車及び航空宇宙などの産業において特に重要であり、複合材料の使用によって、より軽く、より早く、より低燃費で、環境面で健全な航空機及び自動車が得られる。複合材料はまた、木材、ガラス繊維、及び他のより伝統的な材料を代替するように設計することができる。以下の産業、すなわち、航空宇宙、自動車、建設、家電、造船、運搬、医療、軍事、電気通信、運輸、及び廃棄物処理は、熱可塑性複合材料から作られる大型部品を使用する用途を有する産業の一部を列挙したものである。
【0011】
一般に、他の属性の中でも、熱可塑性複合材料は、腐食に対する耐性を示し、多くの製造業にとってこれらの材料を特に魅力的なものにする長い疲労寿命をもたらす。疲労寿命は、材料摩耗又は深刻な応力を呈する前に、部品が仕様どおりに機能する能力を損なう時点まで持続する期間を指す。典型的には、複合材料は、特定の部分の重量を減少させる一方で、既存の部分の強度及び他の望ましい特性をもたらす必要がある用途に利用される。極めて高価な熱硬化性複合材料で作られる多数の部品が存在する。これらの種類の部品は、典型的には、先端複合材料と呼ばれ、軍事産業及び航空宇宙産業において最もよく利用される。
【0012】
製品開発技術者及び生産技術者は、熱可塑性材料が現代の技術開発においてますます重要な役割を果たすものと考えている。新しい熱可塑性樹脂が恒常的に開発され、複合材料でできた部品の製造に関連する費用を低減するために、より革新的な製造方法が導入され始めている。熱可塑性複合材料でできた部品を製造するための費用が低減するにつれて、熱可塑性複合材料を用いることが、多くの商業上及び産業上の用途にとってより有望な解決策になっている。
【0013】
現時点で熱可塑性複合材料に利用可能な成形方法
熱可塑性複合材料について商業的に利用可能な製造技術のほとんどは、熱硬化性複合材料を処理するための方法から応用された。これらの方法は、より低粘度で長い硬化時間を有する樹脂系について設計されているため、熱可塑性材料製造プロセスは、ある種の非効率性及び困難性を抱えている。現在使用されている、熱可塑性複合材料を用いた幾つかの製造方法が存在する。最も一般的なプロセスの幾つかは、圧縮成形、射出成形、及びオートクレーブ処理を含み、これらのすべては、「ニアネットシェイプ(near−net shape)」部品、すなわち、成形後に所望の又は設計された形状と実質的に一致する部品の製造に用いることができる。熱可塑性複合材料を処理するための、それほど一般的ではない方法として、引き抜き成形、真空成形、ダイヤフラム成形、及び加熱プレス技術が挙げられる。
【0014】
圧縮成形
圧縮成形は、熱可塑性複合材料の構造部品を商業的に製造するために用いられる、現在圧倒的に最も広く知られている方法である。典型的には、圧縮成形は、連続した又は細断された不規則な配向のグラスファイバと配合されたポリプロピレン又は同様の基体からなるガラスマット熱可塑性(GMT)複合材料を利用するものである。GMTは、サードパーティの材料化合物製造者によって生産され成形される、標準的なサイズ又は特注サイズの平らなブランクとして販売されている。この予め含浸された複合材料(又は、その熱硬化性の同等物を用いるときにより一般的に呼ばれる、プリプレグ)を用いて、GMTの塊を、オーブン内で加熱し、次いで成形モールドの上に置く。成形モールドの2つの半モールドを、大きな圧力下で閉じ、樹脂及び繊維によってモールドキャビティ全体を満たす。部品が冷却されると、該部品は、取り出し機構を用いてモールドから取り除かれる。
【0015】
一般に、GMT成形に用いられるマッチド成形モールドは、劣化することなく高い成形圧力の連続的な印加に耐えるように、高強度鋼から加工される。これらのモールドは、サイクル時間を早めて、表面仕上げの質を向上させるために、活発に加熱され、冷却されることが多い。GMT成形は、30秒から90秒の範囲のサイクル時間を有する、最も生産的な複合材料製造プロセスの1つであると考えられる。しかしながら、圧縮成形は、高い能力のプレス機(2000〜3000トンの圧力)と高圧モールドとを購入するための大きな設備投資を必要とし、したがって、生産量が多い場合にのみ効率的である。少量の小型部品は、既存のプレス機上でアルミニウムモールドを用いて製造し、ある程度のコストを節減することができる。このプロセスの他の欠点は、粘度の問題に起因する低繊維割合(20%から30%)と、中級程度の質の表面仕上げしか得られない能力である。
【0016】
射出成形
射出成形は、非強化熱可塑性部品のための最も普及している製造方法であり、短繊維強化熱可塑性複合材料に用いられる最も一般的な方法になりつつある。この方法を用いる場合には、熱可塑性ペレットに短繊維を含浸させ、該熱可塑性ペレットを、通常は15,000〜30,000psiの範囲の射出圧力で、2つの部分からなる閉じた硬化鋼モールドの中に押し出す。モールドを加熱して高流量を達成し、次いで直ちにモールドを冷却して歪みを最小化する。流体力学分析を用いて、特定の配向を有する繊維を様々な位置に与えるモールドを設計することができるが、一般的に、射出成形部品は等方的である。最終的な部品内の繊維は、典型的には、わずか1/8インチの長さであり、最大の繊維含有量は、約40%である。この方法を若干変更したものは、樹脂注入成形(RTM)として知られている。RTM製造法は、高圧下において樹脂で満たされるモールドの中に配置されたマット繊維を利用するものである。この方法は、繊維を手作業で配向すること、及び、より繊維長の長いものを使用することができるという利点を有する。
【0017】
射出成形は、熱可塑性プロセスの中で最も高速であり、したがって、一般には、自動車及び消費財などの大量生産用途に用いられる。サイクル時間は、20秒から60秒の範囲である。射出成形はまた、高度に再現可能なニアネットシェイプ部品を生産する。挿入部、穴、及び心材の周囲を成形する能力は、別の利点である。最後に、射出成形及びRTMは、一般に、あらゆるプロセスの中で最良の表面仕上げを提供する。
【0018】
上述のプロセスは、所要のモールドの大きさ及び射出成形機の能力により、射出成形によって生産することができる部品の大きさ及び重量に関して実質的な制限を受ける。したがって、この方法は、小型から中型の部品に限定されてきた。構造強化の点から最も問題となるのは、射出成形プロセスにおいて用いることができる強化繊維の長さに関する制限である。
【0019】
オートクレーブ処理
オートクレーブ処理は、産業によって用いられるさらに別の熱可塑性複合材料製造プロセスである。単一方向の繊維を有する熱可塑性プリプレグ又は織布を、片面のモールドの上に置く。表面仕上げのために、粘着を防止するために、及び、オートクレーブ内に配置された時点で真空に引くことができるように、プリプレグ集合体を数層のバギング材料で覆う。オートクレーブ内部で、複合材料を加熱し、圧力をかけて、材料の層を固化及び架橋させる。圧縮成形及び射出成形とは異なり、モールドは、オープンモールドであり、必要な圧力がはるかに小さいためアルミニウム又は鋼鉄のいずれかで作ることができる。
【0020】
オートクレーブ・プロセスは、時間がかかり、労働集約的であるため、高い精度が要求される極めて大型の少量の部品について利用され、製造ラインには適さない。この方法の重要な利点として、繊維の体積率が高いこと、及び、特定の材料特性を可能にするための繊維配向の制御が挙げられる。このプロセスは、金型が比較的安価であるため、試作品製造に特に有用である。
【0021】
【特許文献1】米国特許第4,420,300号
【特許文献2】米国特許第4,421,712号
【特許文献3】米国特許第4,413,964号
【特許文献4】米国特許第3,789,095号
【特許文献5】米国特許第3,868,209号
【特許文献6】米国特許第3,695,799号
【特許文献7】米国特許第5,551,860号
【特許文献8】米国特許第3,915,608号
【特許文献9】米国特許第3,302,243号
【特許文献10】米国特許第3,224,043号
【特許文献11】米国特許第4,698,001号
【特許文献12】米国特許第4,304,622号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
「長い」繊維を必要とする熱可塑性複合材料のための成形方法
上述のプロセスのいずれも、成形プロセスの間に大部分が壊れずに残る(例えば、約2分の1インチより長い)長繊維で強化された熱可塑性複合材料を生産することができず、このことは、大型でより複雑な部品の生産に特に当てはまる。従来は、3ステッププロセス、すなわち、(1)プリプレグ複合配合物の第三者による化合、(2)プリプレグ材料のオーブン内での加熱、(3)所望の部品を形成するために溶融した材料のモールドへの挿入、を利用してこうした部品を成形した。このプロセスは、構造的に十分に強化された大型で複雑な部品を生産する場合に、産業の多用性を制限する幾つかの欠点を有する。
【0023】
1つの欠点は、シート成形プロセスは、厚さを変えた部品、又は、熱可塑性複合材料の「深絞り(deep−draw)」を必要とする部品を生産できないことである。押し出されたシートが厚くなるにつれて、最終的な部品の構造形成に関する問題を避けるためにシートをその厚さ全体を通して均一に再溶融させることが困難になる。例えば、パレットの足の形成は、「垂直面」における材料の深絞りを必要とし、したがって、押出シートの水平面全体にわたって均一ではないため、上面から垂直に押し出される足を有するパレットは、より厚い押出シートを用いて成形することができない、パレットの深絞り部分である。均一な厚さを有する押出シートの幾何学的制限に関する他の欠点は明らかであり、本発明の説明と併せて以下により詳細に説明されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、真空成形又は圧縮成形のいずれかを用いて熱可塑性複合材料部品の熱可塑性樹脂を生産するための成形システムであって、部品が押出ダイからモールドに直接送られる一方、熱可塑性スラブには、押出ダイを通して材料のシートを形成するために樹脂を流体状態に加熱するのに用いられた熱が依然として残る、成形システムに関するものである。本発明は、熱可塑性材料成形プロセス及び装置に向けられており、特に、押出ダイを通過するときに成形される押出材料の厚さを変えるための調節可能なゲートを有する熱可塑性材料押出ダイを用いる熱可塑性材料成形プロセス及び装置に関するものである。
【0025】
本発明は、さらに、熱可塑性材料のスラブを、材料のスラブを形成する押出機からステーション間で回転させることができるモールドの上に直接送る連続熱成形システムに関するものである。熱可塑性材料は、一定の厚さのプラスチックスラブから表面全体の厚さが一定ではないプラスチックスラブに変化させるために、調節可能な押出ダイを通して押し出される。一定ではない厚さは、特定の成形運転ごとに調節するか、又は、必要に応じて連続的に変えることができる。これにより、成形部品が必要に応じてその全体にわたって厚い場所と薄い場所を持つことができるように、押出スラブ全体にわたって及び成形された部品の至る所で、異なる厚さを有する熱可塑性材料の連続成形が可能になる。本発明は、押出成形プロセスによって製造される所望の部品の、大きさ、形状、組成、重量、又は強度に関して限定するものではない。
【0026】
熱可塑性材料成形システムは、押出スラブの異なる部分において押出材料の厚さを変えるための調節可能なダイゲート部材すなわち動的なダイ設定によって外形が規定される熱可塑性スラブの押出のための熱可塑性材料押出ダイを含む。熱可塑性材料押出ダイは、熱可塑性材料押出ダイから押し出された熱可塑性スラブを切断するためのトリマを有する。真空モールド又は圧縮モールドのいずれかとすることができる複数の熱可塑性材料モールドの各々は、一度に1つのモールドを、熱可塑性材料押出ダイから切り取られる熱可塑性スラブを受け取る位置に移動させるための、回転プラットフォームなどの移動可能なプラットフォームに取り付けられる。成形される部品は、加熱状態のままで押出ダイから送り出される加熱された熱可塑性材料のスラブから、一定ではない厚さで形成される。複数のモールドをプラットフォームに取り付けて、1つのモールドを押出ダイから熱可塑性スラブを受け取るための積み込み位置に送り、第2のモールドを、形成された部品をモールドから取り出すための解放位置に送る。プラットフォームは、往復プラットフォーム又は回転プラットフォームとすることができ、別のモールドが熱可塑性スラブを受けている間に、各々のモールドを冷却することを可能にする。押出スラブの異なる部分において押出ダイを通過する押出材料の厚さを変えるために、熱可塑性材料押出ダイを調節する装置に従って熱可塑性材料押出ダイの設定を選択するステップを有する熱可塑性材料成形プロセスが提供される。熱可塑性材料は、流体状態まで加熱されて、押出スラブの異なる部分において押出材料の厚さを変化させ、厚さが一定ではない押出熱可塑性スラブを所定の大きさに切り取り、加熱された熱可塑性材料の切り取ったスラブの各々を熱成形モールド上に導くように調節された、選択された熱可塑性材料押出ダイを通して押し出され、材料の押し出しの際に加熱された材料のスラブから一定ではない厚さで成形部品が形成されるようにモールド内の所定の部品を成形する。
【0027】
この「押出−成形」プロセスはまた、押出機が、動的ダイを通して溶融した熱可塑性複合材料を分配し、該材料を動的ダイの位置に対して移動可能な下部モールドの上に直接重力降下させるため、(約2分の1インチより長い)長繊維によって強化された熱可塑性複合材料構造体の形成を容易にする。本明細書において用いられるときには、「下部モールド」という用語は、熱可塑性材料が導かれるマッチドモールドの下半分を指す。同様に、「上部モールド」という用語は、上部及び下部の半モールドが組み合わされたとき、すなわち閉じられたときに、内部で所望の熱可塑性部品が形成されるマッチドモールドの上半分を指す。下部モールドは、モールドキャビティを様々な量の熱可塑性複合材料で充填するように、台車によって移動させることができる。例えば、ある水平範囲にわたって、下部モールド及び上部モールドによって定められるキャビティがより大きい場合には、その範囲においてより多くの溶融した熱可塑性複合材料を受け取るように、下部モールドを減速させることができる。動的ダイは流量制御要素を使用し、該流量制御要素は、該流量制御要素の各々から異なる量の材料を供給し、該材料を下部モールドが移動する方向と垂直な方向に該下部モールドの幅全体にわたって選択的に堆積させるように、溶融した押出熱可塑性複合材料の流量を変えるか又は調整する。熱可塑性複合材料は、少なくとも10重量パーセントから最大で50〜60重量パーセントの濃度を有する(約2分の1インチより長い)長繊維を伴い、繊維破損割合が低い状態で成形することができる。溶融した押出熱可塑性複合材料が下部モールドの上に重力降下した後に、台車は、上部モールドを下部モールドの上に閉じて複合材料部品を形成するプレス内に自動的に移送される。
【0028】
本発明の原理による1つの実施形態は、熱可塑性材料及び繊維から物品を形成するためのシステム及び方法を含む。本方法は、熱可塑性材料を加熱して、繊維と配合しながら溶融した熱可塑性材料を作ることを含む。溶融した熱可塑性材料を繊維と配合して、所望の重量濃度及び/又は体積濃度の繊維を有する溶融した複合材料を作る。次いで、所定の複合材料の流量になるように、動的ダイを通して溶融した複合材料を押し出し、物品を形成するための下部モールドの上に重力降下させる。下部モールドは、下部モールドのモールドキャビティに必要な材料の量と正確に一致する所定量の溶融した複合材料を下部モールドの上に堆積させるために、複合材料の流れを受け取りながら様々な速度で空間的及び時間的に不連続に移動させることができる。上部モールドを所定量の溶融した複合材料に押し付けて下部モールドの上に閉じ、物品を形成することができる。
【0029】
本発明の別の実施形態においては、成形熱可塑性物品が提供される。この物品は、熱可塑性樹脂基体に埋め込まれた繊維性材料を含み、低剪断プロセスによって作られる。成形前の繊維の長さは約0.5〜3インチであり、成形物品の繊維の長さは成形前の長さの約60%より長い。繊維性材料は、化合された混合物の全重量の5〜55%を構成する。成形熱可塑性物品における繊維性材料の繊維の約20%未満は、同じ向きに配向され、成形物品のx面、y面、及びz面における機械的特性は、互いに他の20%以内である。物品の機械的特性は、実質的に非等方的である。
【0030】
本発明の別の態様においては、成形熱可塑性物品を作るためのプロセスが提供される。成形熱可塑性物品を作るためのプロセスは、一般に、
a)熱可塑性樹脂と繊維性材料といずれかの任意の添加剤との混合物を、低剪断単軸スクリュを用いて溶融化合し、
b)低剪断押出を用いて、該混合物をシート押出ダイを通して押し出し、
c)押し出された混合物を、概ね物品全体の形状を有する水平に移動可能なマッチドモールドの第1の半モールドの中に堆積させ、
d)熱可塑性物品の圧密及び成形を完了するために100〜1,000psiの範囲の圧力と溶融した混合物の極めてわずかな移動とを必要とするように、堆積させた混合物をマッチドモールドの第2の半モールドを用いて圧縮成形する、
ステップを含む。したがって、本発明は、真空成形プロセス及びシート成形プロセスを超える優れたものとすることができる。
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、記載された説明及び図面から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
何年もの間、複合材料製造産業においては、圧縮成形又は射出成形の速度及び作業効率と、オートクレーブ成形の精度及び低い圧力で、大型の熱可塑性複合材料構造体又は部品を大量生産するプロセスを提供できないという隙間が存在していた。本発明の原理は、この隙間を埋めて、こうした熱可塑性複合材料部品を生産するプロセスを提供するものである。本プロセスは、中程度の量から大量の部品生産に適しており、高い強化繊維濃度及び低い成形圧力で、大型の部品及び構造体を生産することができる。
【0032】
図面の図1及び図2を参照すると、押出機11とモールド交換ステーション12と圧縮成形ステーション13とを有する、熱可塑性樹脂又は熱可塑性複合材料から部品を熱成形するための熱成形装置10が示されている。押出機は、ヒータが熱可塑性材料を加熱して流体材料にするオーガ15に熱可塑性樹脂又は複合材料を供給するための、上部に取り付けられたホッパ14を有し、オーガ15は、押出機の経路の長さに沿って該経路の最後にある押出ダイ16に流体材料を供給している。押出機を通り、押出ダイの外に送り出される材料は、ダイ16の端部に取り付けられたトリマ17を用いて切断される。材料は、概ね平板スラブ(図示せず)の状態で押し出され、押出ダイ16から出るときにトリマ17によって所定の箇所で切り取られる。支持プラットフォーム18は、熱可塑性材料のスラブを受け取るために、押出ダイ16の下で、移動する半モールド19を直接支持する。移動する半モールド19は、(半モールド19´として示されるように)該半モールド19を、プラットフォーム18から、図1において両矢印21´によって示されるように回転させるための中心回転シャフト22に取り付けられた回転プラットフォーム21上に移動させることができるようにする車輪20を有する。回転プラットフォーム21の上には、(半モールド23´として示されるように)半モールド19がプラットフォーム18上にある間に圧縮成形ステーション13に送ることができる第2の半モールド23が載っている。半モールド23´は、圧縮成形ステーションにおいて、成形工程が行われる移動プラテン26に取り付けられた、停止状態にある共通の固定された半モールド25の真下で、固定プラットフォーム24の上に直接支持することができる。このように、半モールド19及び23は、一方のモールドが熱可塑性スラブを取り込んでいる間に、他方の半モールドが部品を成形することができるように、行ったり来たりさせることができる。移動する半モールド19、23の各々は、半モールドを回転プラットフォーム21からプラットフォーム18又は固定プラットフォーム24の上に駆動するための電気モータ27を有する。移動する半モールドの速度を制御するために、線形変換器28をプラットフォーム18に取り付けることができる。
【0033】
この時点で、押出機11は、依然として熱エネルギーを含んでいる加熱された押出スラブを、該スラブを圧縮成形ステーション13に送り、熱可塑性材料のシートを再加熱する必要なく部品に成形する移動半モールド上に、生産することに留意されたい。また、図4及び図5に関連して後述されるように、熱可塑性スラブは、モールドから作られる熱成形部品を強化するために、その幅全体にわたって厚さが一定ではないものとすることもできる。
【0034】
図3A〜図3Eを参照すると、本発明によるプレス工程において一連の位置にある半モールド19、19´及び23、23´を有する熱可塑性材料成形装置10が示されている。各々の図には、押し出す前に熱可塑性樹脂又は複合材料を加熱するオーガ15に、熱可塑性樹脂又は複合材料を供給するホッパ14を有する押出機11が描かれている。図3Aにおいて、半モールド23´は空であり、半モールド19は、押出機11から直接ホットメルトが充填されている。図3Bにおいて、モールド搬送装置が、半モールド19及び23´を回転するターンテーブル21の上に移動させる。図3Cにおいて、回転するターンテーブル21は、スラブを一方の半モールドの上に積み込むためのステーションと、スラブを積んだ半モールド19´を圧縮又は真空成形機13の中に入れるためのステーションとの間を、中心軸シャフト22(図示せず)上で回転する。図3Dにおいて、半モールド19´は、プレス13内に移動し、一方、空の半モールド23は、熱可塑性材料のスラブを積み込むために押出ダイ16の下に移動する。図3Eにおいて、半モールド19´を冷却加圧して部品を取り出し、一方、半モールド23´は、搬送装置によって押出ダイ16の下に移動したときに、完全に充填されるまでホットメルトが充填される。
【0035】
図4及び図5を参照すると、図1及び図2のオーガ15を用いて流体状の熱可塑性材料を供給するためのチャネル32を持ち、押出チャネル33を通して口34から押出熱可塑性材料のシート又はスラブを生成するダイ本体31を有する押出ダイ30が示されている。ダイ30は、ゲート・アクチュエータ・モータ37によって駆動されるねじ込みシャフト36に各々が接続された複数のゲート板35を有し、ゲート・アクチュエータ・モータ37は、油圧モータ又は空気モータとすることができるが、図示されるように、遠隔制御装置40に繋がる制御線38を有する電気ステッピングモータであり、遠隔制御装置40は、板35を出し入れしてチャネル部41を通過する熱可塑性スラブの厚さを変えるように、モータ37を段階的に回転させることができる。図5においては、複数の板を駆動する複数のモータ37が示されており、各々の板は隣の板と接して取り付けられ、押出スラブの幅にわたって変えることができる厚さを有する出力部分34からスラブを生成するために、各々の板を別個に制御し、それにより、チャネル41内の板35を様々なパターン変化させる。ゲート35は、押出ダイのいずれかの部分の厚さを調節するように各々のゲートを個々にねじ込んで出し入れすることによって手動で制御することができ、代替的に、必要に応じて遠隔制御によって押出スラブのいずれかの部分の厚さを変えるように、コンピュータプログラムとすることができる制御装置40によって制御できることも明らかである。
【0036】
熱可塑性スラブの押し出しのために熱可塑性材料押出ダイ16又は30を選択することを含む熱可塑性材料成形プロセスが提供され、押出ダイは、押出スラブの異なる部分において押出材料の厚さを変えるための調節可能なダイゲート部材を有する。本プロセスは、押出スラブの異なる部分において熱可塑性材料押出ダイを通過する押出材料の厚さを変えるために熱可塑性材料押出ダイを調節し、次いで、熱可塑性材料を加熱して流体にし、流体状の熱可塑性材料のスラブを、選択され調節された熱可塑性材料押出ダイを通して押し出すことを含む。次いで、熱可塑性スラブは、切り取られ、熱成形モールド19又は23内の加熱された熱可塑性材料の上に導かれ、成形装置13内で成形されて、厚さが一定ではない部品を形成する。
【0037】
この時点で、成形過程にある押出スラブの異なる部分の厚さを変えるように連続的に制御できる押出ダイを用いて、厚さが一定ではない部品を熱成形することが可能な熱可塑性材料成形プロセス及び装置が提供されていること、及び、成形は達成されたが、熱可塑性スラブは、押出プロセスからの熱エネルギーを利用するように依然として加熱されていることを明確にすべきである。しかしながら、本発明は、示される形態に限定されるものではなく、限定的なものよりもむしろ例示的なものであることも明確にすべきである。例えば、押出材料は、概ね平板スラブとして説明されることがあるが、以下のようなものとして、すなわち、(1)再加熱を避けるために、圧縮成形ステーション13に送られたときに熱エネルギーを含むもの、(2)幅全体にわたって厚さが一定ではないもの、(3)押出機11から半モールド19に充填されるときにホットメルトであるもの、(4)押出材料の幅全体にわたって、及び押出材料の異なる部分において、厚さを変えるために、複数のゲート板35を用いるもの、及び最後に、(5)形成される部品において一定ではない厚さを達成するために、選択され調節された押出ダイを通して溶融した熱可塑性材料を押し出すもの、としても説明される。このように、押出機は、一般に、垂直面において、及びモールド上の両水平方向にわたって、一定ではない厚さで半モールドすなわち下部モールドの上に重力降下する、熱可塑性複合材料の溶融流を、動的ダイを通して提供する。
【0038】
上述の「押出成形」プロセスは、数例を挙げるとガラス、炭素、金属、又は有機繊維で強化された、中型から大型の熱可塑性複合材料構造体を製造するには理想的なものである。押出成形プロセスは、材料配合又は基体成分と強化成分との化合を統合し自動化して、材料を受け取る際に動きが制御されるマッチドモールドの下半分に重力降下する所定の量の溶融した複合材料を分配する、コンピュータ制御された押出システムと、モールドの上半分を下半分に押し付けて所望の構造体又は部品を形成するためにモールドの下半分を受け取る圧縮成形ステーションとを含む。マッチドモールドの下半分は、低速でより厚く、及び、高速でより薄く、材料を堆積させることができるように、様々な速度で空間的及び時間的に不連続に移動する。上述の熱可塑性装置10は、押出成形プロセスを実施するための1つの実施形態である。(粉砕再生材料若しくはペレット状熱可塑性材料、又は必要に応じて、熱硬化性エポキシのいずれかの形態とすることができる)未加工の樹脂は、長さが約2分の1インチより長い強化繊維と共に、押出機のフィーダ又はホッパに供給される基体成分である。複合材料は、押出機11によって配合及び/又は化合され、図6A及び図6Bに示される実施形態を用いて後述されるように、ゲート35を用いて押出機11の出力を制御し、押出機11の位置に対する下部半モールド19の動きを制御することによって、下部半モールド19上に「知的に」堆積させることができる。これらの実施形態においては、マッチドモールドの下部は、動的ダイの下で不連続に移動する台車に固定される。マッチドモールドの下部は、正確な量の押出複合材料を受け取り、次いで、圧縮成形ステーション内に移動する。
【0039】
複合材料を形成するために押出成形プロセスにおいて使用することができる熱可塑性基体材料は、当該技術分野において理解されているように、熱可塑性樹脂を含む。本発明の原理に従って使用することができる熱可塑性樹脂は、押出機11によって溶融及び配合することができるいずれかの熱可塑性樹脂を含む。こうした熱可塑性樹脂の例は、この例が完全なリストであることを意図するものではなく、押出成形システムを利用して構造的な部品を作る際に、他の熱可塑性樹脂及び材料を使用することができるという了解の下で、表1に与えられている。さらに、表1の熱可塑性樹脂は、単独で、又はこれらのいずれかの組み合わせで、用いることができる。
【0040】
【表1】

【0041】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメチル、ポリメタクリレート、アクリル、ポリウレタン、及びこれらの混合物を含む特定の熱可塑性材料が、押出成形プロセスに特に適していた。
【0042】
熱可塑性複合材料のための強化成分として働く繊維は、一般に、熱可塑性樹脂を強化するのに使用することができる材料を含む。本発明の原理に従って用いるのに適した繊維材料は、ガラス、炭素、金属、及び、天然材料(例えば、亜麻、綿)を単独で又は組み合わせたものを含むが、これらに限定されるものではない。当該技術分野において理解されるように、列挙されていない他の繊維を使用することもできる。繊維の直径は、一般に、限定されないが、より大型の構造体部品を成形するための繊維の直径は、一般に、1μmから20μmまでの範囲である。しかしながら、繊維の直径は、所望の構造体部品の強度、所望の繊維の密度、構造体部品の大きさなどを含む多くの要因に応じて、より大きくできることを理解されたい。特に、機械的特性を向上させる効果は、約1μmから約9μmの直径を有する繊維を用いた場合に著しい。
【0043】
繊維内に束ねられたフィラメントの数もまた、一般に、限定されない。しかしながら、取り扱いを考慮すると、10,000から20,000のフィラメント又はモノフィラメントの繊維束が一般に望ましい。これらの強化繊維のロービングは、シラン又は他の結合剤による表面処理の後に用いることができる。熱可塑性樹脂との界面結合を向上させるために、例えばポリエステル樹脂の場合には、熱可塑性フィルム成形ポリマ、結合剤、繊維潤滑剤などによって表面処理を行うことができる。こうした表面処理は、処理済みの強化繊維の使用に先立って行うか、又は、表面処理は、押出プロセスを実行して中断することなく溶融した熱可塑性複合材料を作るために、強化繊維が押出機に供給される直前に行うことができる。最終的な使用目的に応じていずれかの組成比を用いて熱可塑性複合材料及び成型品を作ることが可能であるため、熱可塑性樹脂と繊維の比は特に限定されない。しかしながら、構造体部品について十分な構造的支持を与えるためには、当該技術分野において理解されるように、繊維の含有量は、一般に5重量%から50重量%である。繊維の含有量は、一般には10重量%から70重量%であり、より大型の物品に生産について所望の機械的特性を達成するためには40重量%が好ましいことが分かった。
【0044】
繊維の平均的な繊維長は、約2分の1インチより長い。しかしながら、押出成形システム600aによって生産される典型的な構造体部品は、約1インチより長い繊維長を利用する。平均的な繊維長が1インチより短いときは、大型品について所望の機械的特性を得るのが難しいことに留意すべきである。熱可塑性複合材料内の繊維の分布は、一般に均一であり、溶融され圧縮されたときに繊維と熱可塑性樹脂は分離しない。繊維の分布又は分配は、繊維がシングルフィラメントのレベルからマルチフィラメント(数十の繊維の束)のレベルに分散するプロセスを含む。1つの実施形態においては、約5つの繊維の束を分散させて、効率及び構造的性能をもたらす。さらに、「コーミング度(degree of combing)」は、顕微鏡で構造体の断面を観察し、1000又はそれ以上の観察可能な強化繊維全体における10又はそれ以上の束の強化繊維の数の比率を求めることによって、評価することができる((10又はそれ以上の束の強化繊維の全数/強化繊維の全数)×100(%))。本発明の原理によって得られる典型的な値は、最高で約60%であり、一般には、35%を下回ることになる。
【0045】
図6Aは、構造体部品を形成するように作動可能な押出成形システム600aの例示的な概略図である。押出成形システム600aは、複合材料から構造体部品を形成するように統合された多数の個別構成要素からなる。構成要素は、材料受取ユニット602、ヒータ618、押出機604、動的ダイ606、台車608、圧縮プレス610、及び、制御装置612を含む。押出成形システム600aを構成するために、他の補助的な構成要素も含むことができる。
【0046】
材料受取ユニット602は、押し出されて熱可塑性複合材料を形成することになる材料M1及びM2をそれぞれ受け取るための、1つ又はそれ以上のホッパ又はフィーダ614及び615を含むものとすることができる。付加的なフィーダを使用して、異なる化合物を作るための付加的な材料又は添加剤を受け取ることができることを理解されたい。簡単な例においては、材料M1及びM2は、出発材料、すなわち、ペレット状であることが好ましい強化熱可塑性材料を表す。M1及びM2は、同じ強化熱可塑性材料とすることも、異なる強化熱可塑性材料とすることもできる。熱可塑性材料は、当該技術分野において理解されるように、ガラス又は炭素繊維などの繊維によって強化することができる。本発明の原理に従って非熱可塑性材料を使用できることを理解されたい。
【0047】
ヒータ618は、熱可塑性材料M1及びM2を予熱する。押出機604は、フィーダチャネル616に結合され、加熱された熱可塑性材料M1及びM2をオーガ620によって混合するように作動する。押出機604は、さらに、熱可塑性材料を溶融する。オーガ602は、熱可塑性材料を混合し、押出機604を通して流すように作動可能な、らせん形状又は他のいずれかの形状とすることができる。押出機の出力チャネル622は、押出機604に結合され、熱可塑性材料を動的ダイ606に搬送するために使用される。
【0048】
動的ダイ606は、複数の流量制御要素624a〜624n(まとめて624)を含む。流量制御要素624は、動的ダイ606から押出複合材料625を制御するように作動可能な個別のゲート、バルブ、又は他の機構とすることができ、ここで、押出複合材料625a〜625n(まとめて625)は、流量制御要素624にある、又はその下の、平面Pを横切る体積流量が変わる。異なる堆積流量の出力は、1時間当たり0〜約3000ポンドの範囲である。堆積流量のより好ましい範囲は、1時間当たり約2500ポンド〜約3000ポンドである。1つの実施形態においては、流量制御要素624は、調節可能な流量制御要素624からの複合材料の流れを個々に又はまとめて変化させるように作動可能な、電気モータ(例えば、ステッピングモータ)、油圧アクチュエータ、空気アクチュエータ、又は他のアクチュエータなどの別個のアクチュエータによって上昇又は下降するゲートである。流量制御要素624は、個々の隣接する要素が連続した流量制御要素624となるように、隣接して構成することができる。代替的に、流量制御要素624は、隣接する流量制御要素624から流れる複合材料がモールドの上に広がるまで分離したままとなるように、離して構成することができる。流量制御要素624は、トリマ17として作動させるのに適していることを理解されたい。本発明の実施形態においては、溶融した複合材料を押出機604と動的ダイ606との間に配置したアキュムレータに送り、そこから、プランジャ又は他の作動機構を用いて、複合材料を下部モールドに送ることができる。
【0049】
台車608は、押出複合材料625が、所定の垂直距離「落下距離(d)」において動的ダイ606の下を通過する下部モールド626に重力降下するか又は下部モールド626の上に堆積するように、動的ダイ606の下を移動させることができる。下部モールド626は、構造体部品を形成するのに用いられるキャビティ630を定める。押出複合材料625は、下部モールド626及び上部モールド632におけるキャビティ630によって定められる容積を充填するように下部モールド626の上に堆積し628、構造体部品を形成する。二軸制御プロセスにおいては、複合材料625aは、不連続な移動及び可変速度に基づき、動的ダイ606から垂直面(P)を横切って実質的に一定の体積流量で下部モールド626の上に堆積し、垂直面(P)に沿って実質的に同じ厚さ又は体積を有する複合材料層628を形成して、下部モールド626及び上部モールド632のキャビティ630を充填する。三軸制御プロセスにおいては、複合材料は、動的ダイ606から垂直面(P)を横切って異なる体積流量で下部モールド626の上に堆積し、垂直面(P)に沿って異なる厚さ又は体積を有する複合材料層628を形成して、下部モールド626及び上部モールド632のキャビティ630を充填する。二軸制御プロセスは、垂直面における深さが実質的に一定のキャビティ630を有するモールドに複合材料を堆積させるのに利用でき、三軸制御プロセスは、深さが異なるキャビティ630を有するモールドに複合材料を堆積させるのに利用できることを理解されたい。
【0050】
台車608は、レール636に沿って並進運動を行う車輪634をさらに含む。レール636は、台車608が動的ダイ606の下で移動し、プレス610内に入ることを可能にする。プレス610は、上部モールド632を下部モールド626に押し付けるように作動する。本発明の原理は、複合材料層628を動的ダイ606から下部モールド626に直接堆積させるため、従来の熱可塑性材料成形プロセスと比べて成形プロセスに必要な力を低減させるにもかかわらず、プレス610によって加えられる力は、依然として、車輪634がレール636に接触したままの場合には、車輪634に損傷を与えるのに十分なものである。したがって、車輪634は、プレス610の基部640の上面638との間で、選択的に係合又は解放させることができる。1つの実施形態においては、台車608は、膨張チューブが膨らんだときに車輪634がレール636と係合して台車608がダイ606の下からプレス610まで移動可能となるように、台車608に結合された膨張チューブ(図示せず)によって上昇する。チューブが収縮したときには、台車608の本体がプレス610の基部640の上面638上に乗るように、車輪634が解放される。他の作動構造要素を用いて台車608の支持から車輪634を係合又は解放することができるが、車輪634を係合又は解放する機能は、実質的に同じものとすべきであることを理解されたい。例えば、台車608の基板と接触するように、プレス610の基部640の上面638を上昇させることができる。
【0051】
制御装置612は、押出成形プロセス600を構成する様々な構成要素に電気的に結合される。制御装置612は、構造体部品の形成を取りまとめるように作動するプロセッサベースのユニットである。1つには、制御装置612は、複合材料の温度、押出複合材料625の体積流量、並びに、押出複合材料625を受け取る下部モールド626の、台車608を介した移動の位置及び速度を制御することによって、複合材料が下部モールド626上に堆積するのを制御するように作動する。制御装置612はさらに、熱可塑性材料を加熱するヒータ618を制御するように作動する。制御装置612は、押出機604を通って動的ダイ606に入る複合材料の実質的に一定の流量を維持するように、オーガ620の速度を制御することができる。代替的に、制御装置612は、押出機604からの複合材料の体積流量を変化させるために、オーガ620の速度を変化させることができる。制御装置612はさらに、押出機604及び動的ダイ606の中のヒータ(図示せず)を制御することができる。形成される構造体部品に基づき、押出複合材料625を下部モールド626に供給する動的ダイ606について、所定のパラメータの組を定めることができる。パラメータは、流量制御要素624を選択的に位置決めして、台車608の移動が、生産される構造体部品を定めるキャビティ630に応じた複合材料の体積流量と位置的に同期するように、定めることができる。
【0052】
台車608はさらに、制御装置612によって制御され、押出複合材料625を加熱又は溶融状態に維持するように作動可能なヒータ(図示せず)を含むことができる。制御装置は、必要な台車の速度を変えることによって、押出複合材料625が下部モールド626に供給されている間に、台車608を制御することができる。下部モールド626への押出複合材料625の供給が完了すると、制御装置612は、台車608をプレス610に動かす。次いで、制御装置612は、プレス610が、車輪634を損傷することなく上部モールド632を下部モールド626に押し付けることができるように、上述のように軌道636から車輪634を解放する機構(図示せず)に信号を送る。
【0053】
図6Bは、図6Aの押出成形システム600aの別の例示的なブロック図である。押出成形システム600bは、構造体部品を形成する下部モールド626を支持する台車608を受け入れるように作動可能な2つのプレス610a及び610bに対応するように構成される。2つの台車608は、単一の押出機604及び動的ダイ606によって複数の構造体部品を形成するために、軌道又はレール636によって支持できることを理解されたい。1つの実施形態においては、車輪634及びレール636を使用して台車608を移動させることができるが、他の移動機構を使用して台車608の移動を制御できることを理解されたい。例えば、コンベア、懸架装置、又は軌道駆動システムを使用して、台車608の移動を制御することができる。
【0054】
制御装置612を複数の構造体部品に対応するように構成して、押出成形システム600bが、異なるプレス610a及び610bによって異なる構造体部品を同時に形成できるようにすることができる。制御装置612は、複数の構造体部品を形成するように作動可能なパラメータを記憶することができるため、制御装置612は、汎用ソフトウェア・プログラムのパラメータを使用することによって動的ダイ606並びに台車608a及び608bの制御を簡単に変化させ、それにより、単一の押出機604及び動的ダイ606を用いて2つの異なる構造体部品を形成することができる。付加的なプレス610及び台車608を使用して、単一の押出機604及び動的ダイ606によってより多くの構造体部品を実質的に同時に生産できることを理解されたい。
【0055】
図7は、台車608によって支持される下部モールド626の上に押出複合材料625を堆積させている動的ダイ606の例示的な分解図である。示されるように、動的ダイ606は、複数の流量制御要素624a〜624iを含む。流量制御要素624の数は、形成される構造体部品の解像度すなわち詳細さに応じて、増加又は減少することができることを理解されたい。示されるように、流量制御要素624は、各々の流量制御要素624に関連して、より多くの又はより少ない押出複合材料625の体積流量をもたらすために、異なる高さに位置決めされる。例えば、流量制御要素624aは、複合材料が動的ダイ606のその区域を通過しないように、完全に閉鎖される。したがって、閉鎖された流量制御要素624aに関する体積流量faは、ゼロである。流量制御要素624bは、高さh1を有する開口部を形成するように開かれ、それにより、押出複合材料625bの体積流量fbを与える。同様に、流量制御要素624cは、より高い体積流量fcで下部モールド626上に出力される押出複合材料625cのためのより大きな開口部を形成するように開かれる。
【0056】
流量制御要素624の各々に関連する押出複合材料625の濃淡の変化によって示されるように、流量制御要素624は、下部モールド626及び上部モールド632によって形成される構造体部品に基づいて、動的に調節することができる。したがって、形成される構造体部品(例えば、ある領域全体にわたる深絞り)に基づき、流量制御要素624を調節して、下部モールド626及び上部モールド632の限られた領域にわたって押出複合材料625の体積流量を変化させることができる。言い換えると、下部モールド626及び上部モールド632によって定められるキャビティ630に基づいて、複合材料層628の厚さを変えることができる。例えば、複合材料層領域628aは、複合材料層領域628bより薄く、下部モールド626におけるキャビティ630の他の場所より深いドラフトを有するキャビティ630aを充填するのに十分な厚さである。言い換えると、押出複合材料層628は、モールド626及び632によって定められるキャビティ630の深さに基づいて、動的に変化する。押出成形システム600aで実施することが可能な二軸制御プロセス及び三軸制御プロセスのいずれにおいても、押出複合材料625の体積流量と台車608の移動速度とに基づいて、押出複合材料層628を、厚さに関して動的に変化させることができる。
【0057】
下部モールド上への押出複合材料の堆積は、生産される構造体部品に応じて、二軸又は三軸において堆積させる押出複合材料の量を制御することによって、行うことができる。二軸制御の場合には、台車の移動は、堆積の軸線に沿って様々な量で押出複合材料を堆積させるように、移動の軸線に沿って制御することができる。三軸制御の場合には、押出機の出力は、流量制御要素を含む動的ダイを使用することができ、それにより、移動の軸線に直角な軸線に沿って下部モールドの上に同時に堆積する異なる体積流量をもたらす。下部モールドの特定の場所に押出複合材料を堆積させるために、軸外制御又は非軸制御に関する他の実施形態を提供できることを理解されたい。
【0058】
台車と、下部モールドに供給される複合材料とを制御することによって、厚い連続層から円又は楕円の細い輪郭に至るまで、あらゆるパターンを下部モールドに形成することができ、離散数学によって記述することができるあらゆる二次元形状を、材料を用いて描くことができる。さらに、所与の範囲に堆積させられる複合材料の体積が制御されるため、三次元パターンを生成して、例えば深いドラフト及び/又は隠しリブを伴う構造体部品を提供することができる。構造体部品が冷却されると、エジェクタを用いて固まった材料をモールドから押し出すことができる。本発明の原理は、2つ又はそれ以上の固有の部品を同時に生産できるように設計し、それにより、実質的に連続的な複合材料の流れを用いることにより生産効率を最大にすることができる。
【0059】
押出成形プロセスの付加価値のある利点
押出成形システムを用いると、大型の長繊維強化プラスチック部品を、インライン式で、かつ、極めて低い処理コストで、生産することができる。押出システムの特徴によって、(1)材料融通性、(2)堆積プロセス、(3)低圧、及び(4)装置効率性を提供する強化プラスチック部品生産ラインが得られる。材料融通性は、インライン化合から材料コスト及び装置コストの両方を節減し、さらに材料特性の融通性をもたらす。堆積プロセスは、材料堆積プロセスに付加価値を付け、より複雑な形状(例えば、大きなドラフト及びリブ)、より良好な材料の流れ、モールドの中に大きなインサートを含ませる際の容易さを可能にする。低圧は、成形圧力の低減に向けられ、モールドと装置の両方の摩耗を減少させ、極めて小さな応力を構造体部品に閉じ込める。装置効率性は、同時に2つ又はそれ以上の全く異なるモールドを用いて押出システムの効率を向上させる能力をもたらし、それにより、生産作業を行うのに必要な装置の数を減少させる。さらに、本発明の原理による材料供給システムは、多くの既存の装置と統合することができる。
【0060】
材料融通性
押出成形プロセスによって、幾つかの異なる種類の樹脂及び繊維を用いて特殊用途向けの複合材料配合物を化合することが可能になる。押出システムは、上述のように、幾つかの樹脂を用いて部品を生産することができる。従来の圧縮成形を用いる場合は、樹脂を繊維及び所望の添加剤と混合したブランクとして一般に知られる、予め製造された熱可塑性シートを、熱可塑性シート生産者から購入する。しかしながら、これらのブランクは、複数の中間業者を経るため、及び、通常は所定の混合物の状態でのみ販売されるため、高価である。本発明の原理による押出成形プロセスを利用することにより、これらのコストは、原材料を使用し、予め製造されたシートを購入する必要なく構造体部品を生産するインライン式化合プロセスによって、低減することができる。押出成形システムは、材料を予熱するオーブンを必要とせず、加熱されたシートをモールドに移動させるように作動するため、人件費及び装置費も大幅に低減する。運転員が必要に応じて化合比を制御するため、例えば、成形の間に特性を変化させる能力、又は段階的な色の変化を生成する能力を含むほぼ無限の融通性が、プロセスに加えられる。また、シート成形とは異なり、押出成形システムは、溶融強度を有する材料を必要とせず、これがシステムに付加的な融通性を与える。1つの実施形態においては、押出成形システムは、熱硬化性樹脂を使用して構造体部品を生産することができる。押出成形システムはまた、50パーセントを超える達成可能な繊維の体積分率と、繊維長の85パーセント又はそれ以上が原材料から最終的な部品まで維持された1インチから4インチ又はそれ以上の繊維長とで強化するために、上述のように、炭素、ガラス、及び他の繊維を含む様々な繊維材料を用いることができる。
【0061】
堆積プロセス
本発明の原理による押出システムは、例えば深いドラフト又は隠しリブのためにより多くの材料が使用されることになるモールドの領域において、複合材料の可変配置(variable composite material lay−down)を可能にし、それにより、成形及び圧縮の際に使用される力を最小にする。複合材料の可変配置によって、当該技術分野において理解されるように、典型的な圧縮成形プロセスを用いる場合と比べて、より高い精度、より充填されたモールド、及び、より少数の「ショートショット」がもたらされる。可変配置によって、構造体部品の両側に成形される大きな構造部、並びに、構造体部品内へのインサート又は芯の配置を可能にする。最後に、材料は、(予めシートにされ、次いでモールドに圧入されるのとは対照的に)溶融状態でモールドの上に堆積されるときに相対的に極めて低い粘度を有するため、繊維は、捕捉されることも望ましくない方向になることもなく、容易にリブに入り、大きな寸法面積を覆うことができる。
【0062】
低圧
押出成形プロセスの間に堆積する熱可塑性複合材料は、予め化合された加熱されシートからの熱可塑性複合材料より流動性が高く、したがって、熱可塑性複合材料をより簡単にモールドの中に流すことができる。モールドの中に堆積する複合材料の流動性は、他のほとんどの成形プロセスに優る、極めて低減された成形圧力要件につながる。圧縮成形に用いられる圧力である1平方インチ当たり1000ポンドに対して、このプロセスのためのプレスは、一般に、1平方インチ当たり100ポンドの範囲で作動する。この低い圧力は、より少ない摩耗につながり、それにより、モールドとプレスの両方に関する維持費を低減する。低い圧力のため、200,000ドル以上の経費がかかる可能性のあるスチール金型を必要とせず、300,000サイクルが可能なアルミニウムモールドをわずか40,000ドルで製造することができる。より安価な金型もまた、将来の設計変更にとって融通性の高さにつながる。熱可塑性樹脂は、低圧下でモールドの面の上に移って成形されるため、材料内には低い応力しか閉じ込められず、それにより、より良好な寸法公差とより少ない反りにつながる。
【0063】
装置効率性
押出成形プロセスは、同時に稼働する2つ又はそれ以上のモールドを用いることができるため、第1のモールドを冷却し取り出すと同時に第2のモールドを充填し圧縮することができるので、部品当たりの平均サイクル時間が低減し、生産性が向上する。また、押出成形システムは、最小限の重複する構成要素を使用する。1つの実施形態においては、押出システムは、各々のモールドについて別個のプレスを使用するが、他の設備は、モールドの組の間で統合して共有し、ソフトウェアを容易に変更して、他のモールドを取り入れることができる。押出供給システム600aをさらに現在の製造設備に統合し、既存の圧縮モールド及びプレスを組み合わせることができる。
【0064】
図8Aは、複合材料を下部モールド626上に堆積させるための二軸制御又は三軸制御のいずれかを用いることによって物品又は構造体部品を形成するのに使用することができる押出成形プロセスを説明する例示的なフロー図である。押出成形プロセスは、ステップ802において開始する。ステップ804において、熱可塑性材料を加熱して溶融した熱可塑性材料を作り、ステップ806において、繊維と配合して複合材料を作る。ステップ808において、溶融した複合材料は、動的ダイを通して供給され、下部モールド626上に重力降下する。二軸押出制御プロセスの場合は、ダイからの一定の出力を使用することができる。二軸プロセスにおいては、台車の移動は、一定の速度で維持される。三軸押出制御プロセスにおいては、動的ダイ606は、可変速の台車又はモールドと共に使用することができる。二軸押出制御プロセス及び三軸押出制御プロセスのいずれの場合も、ステップ810において、下部モールド626は、下部モールド626及び上部モールド632によって定められるキャビティ630に必要な複合材料の量に合うように、複合材料を受け取りながら空間的及び時間的に移動することができる。ステップ812において、上部モールド632を下部モールド626に押し付けて、複合材料を下部モールド626及び上部モールド632内でプレスする。プロセスは、ステップ814で終了する。
【0065】
図8Bは、三軸制御押出成形プロセスによって、図6Aの押出成形システム600aを使用して構造体部品を生産するための例示的なフロー図である。構造体部品生産プロセスは、ステップ816において開始する。ステップ818において、熱可塑性材料を受け取る。ステップ822において、熱可塑性材料を加熱する。1つの実施形態においては、熱可塑性材料は、溶けた状態又は溶融した状態まで加熱される。ステップ820において、所定の繊維長を有する繊維を受け取る。ステップ822において、繊維を加熱された熱可塑性材料と配合して、複合材料を作る。繊維を、ガラス又は他の補強材料でできた繊維の長いストランドとして、大型の構造体部品を形成することができる。例えば、長さが2分の1インチから4インチ又はそれ以上の繊維長を使用して、構造体部品を形成することができる。
【0066】
ステップ826において、複合材料を押し出す。押出プロセスにおいては、複合材料を押し出すのに使用されるオーガ620又は他の機構は、繊維の損傷を実質的に回避すように構成して、元の繊維長が実質的に維持される(例えば、85%又はそれ以上)ようにする。例えば、スクリュータイプのオーガ620を用いる場合には、ネジ山の間隔は、繊維の長さより長くなるようにそれにより、繊維の損傷を実質的に回避する。
【0067】
ステップ828において、押出複合材料625は、下部モールド626上への押出複合材料625の堆積を制御する平面を横切って、異なる体積流量で動的に出力される。ステップ830において、下部モールド626は、平面Pを横切る異なる体積流量に関して、押出複合材料625を受け取るように位置的に同期させることができる。1つの実施形態においては、モールド626の位置的同期は、一定の速度又は調節可能な速度で並進させることができる台車608の上方の高さdに設置される流量制御要素624に従って行われる。例えば、一定の、すなわち、平らな押出複合材料層628を堆積させるために、台車608は、実質的に一定の速度で移動させることができるが、押出複合材料層628の体積を増加又は減少させるためには、台車608は、それぞれより遅い速度で、又はより早い速度で、移動させることができる。ステップ832において、押出複合材料層628となった押出複合材料625は、モールド626内でプレスされ、熱可塑性構造体部品を形成する。構造体部品形成プロセスは、ステップ834で終了する。
【0068】
図9は、図6Aにおける押出システム600aの構成要素内部で作動する制御装置と通信するように構成された制御装置612の例示的なブロック図900である。制御装置612は、当該技術分野において理解されるように、デジタル及び/又はアナログの通信チャネルを用いて、双方向通信のための種々の制御装置と通信する。構成要素内部で作動する制御装置は、当該技術分野において理解されるように、プロセッサベースで作動する開ループ又は閉ループ制御ソフトウェアとすることができ、制御装置612に対するスレーブコンピュータとして作動する。代替的に、制御装置は、制御装置612に対するスレーブユニットとして作動する、アナログ回路又はデジタル回路といった非プロセッサベースの制御装置とすることができる。
【0069】
フィーダ614は、複合材料M1と繊維材料M2とを混合するためのフィーダ614の速度及び温度を制御するように作動する速度及び温度制御装置902を含むことができる。フィーダ速度及び温度制御装置902は、モータ及びヒータを制御する単一又は複数の制御装置で構成することができる。制御装置612は、フィーダ614の速度及び温度を指定又は命令するように作動し、一方、フィーダ614の速度及び温度制御装置902は、制御装置612から受けた命令を実行するように作動する。例えば、動的ダイ606を介して押し出されている複合材料の量に基づいて、制御装置612は、押出機604に送られる材料M1及びM2の速度を大きくすることができる。
【0070】
制御装置612はさらに、ヒータ制御装置904と通信する。制御装置612は、ヒータ制御装置904から受信したフィードバックデータに基づいて、制御データをヒータ制御装置904に送信することができる。例えば、送り動作の間にヒータ制御装置904の温度が下がった場合には、制御装置612は、ヒータ618の温度を上げるように、制御データ1018によってヒータ制御装置904に命令を出すことができる。代替的に、ヒータ制御装置904は、当該技術分野において理解されるようなフィードバック調整回路を使用して、温度を、制御装置612によって命令された温度に調整し、監視目的で単に温度を制御装置612に報告することができる。
【0071】
制御装置612はさらに、押出機速度及び温度制御装置906と通信し、オーガ620の速度及び押出機604の温度の制御を行う。押出機速度及び温度制御装置906は、押出機604の領域内部の複数のヒータを制御し、各々のヒータの温度を制御装置612に送信するように作動可能とすることができる。押出機速度及び温度制御装置906は、複数の制御装置で構成できることを理解されたい。
【0072】
制御装置612さらに、動的ダイ606の流量制御要素624を制御する動的ダイ制御装置908と通信する。動的ダイ制御装置908は、流量制御要素624の各々を、まとめて又は個々に制御するように作動することができる。代替的に、流量制御要素624の各々は、別個の制御装置によって個々に制御することができる。したがって、制御装置612は、開ループ方式で、流量制御要素624の各々についての位置を設定するために、動的ダイ制御装置908に命令を出すように作動することができる。例えば、ステッピングモータを開ループ方式で使用することができる。各流量制御要素624の実際の位置は、制御装置612が流量制御要素624の位置を制御するのに利用するために、フィードバックデータ1022によって制御装置612に返信することができる。
【0073】
制御装置612はさらに、台車608と結合され、台車608の位置と下部モールド626の温度とを制御するように作動可能な台車制御装置910と通信する。制御装置612は、台車608を制御装置612によって命令された位置まで駆動するサーボとして作動する台車制御装置910に制御信号1018を与えることができ、押出複合材料625を下部モールド626上に堆積させる場合には、それに応じて下部モールド626を位置決めする。下部モールド626上に堆積する押出複合材料層628は、堆積時には溶融しているが、最初に堆積した押出複合材料層628は、後の押出複合材料625が堆積するにつれて冷却されるようになる。したがって、制御装置612は、押出複合材料625の堆積の時間及び/又は熱可塑性材料M1の溶融状態温度要件などの他の因子に基づいて、押出複合材料層628の温度を実質的に一定の温度に維持するように、制御データ1018を台車制御装置910に送信することができる。フィードバックデータ1022は、制御装置612が管理及び監視機能を実行することができるように、台車608の現在の温度並びに位置及び速度の状態と、下部モールド626の温度とを与えることができる。
【0074】
制御装置612はさらに、押出成形システム600aのヒータ及び/又はクーラの温度を制御するように作動可能な加熱/冷却制御装置912と通信することができる。加熱/冷却制御装置912は、熱可塑性材料M1、周囲温度、生産されている構造体部品の性質、生産速度などといった多数の因子に基づいて、該加熱/冷却制御装置912に特定の温度又は可変温度で作動するように命令する制御データ1018を、制御装置612から受信することができる。加熱/冷却制御装置912は、システムレベルのヒータ及びクーラ、又は、構成要素レベルのヒータ及びクーラを制御することができる。フィードバックデータ1022は、制御装置612が管理及び監視機能を実行することができるように、現在の温度と、ヒータ及びクーラの状態とを与えることができる。
【0075】
制御装置612はさらに、上部モールド632のプレス動作及び温度を制御するように作動可能なプレス制御装置914と通信することができる。プレス制御装置914は、プレス610の製造者がプレス610と共に提供する標準的な制御装置とすることができる。同様に、プレス制御装置914は、上部モールド632の温度を制御する温度制御装置を含むものとすることができる。代替的に、温度制御装置は、プレス610の製造者によって提供されるプレス制御装置914とは無関係なものとすることができる。フィードバックデータ1022は、制御装置612が管理及び監視機能を実行することができるように、プレスの現在の位置及び力と、上部モールド632の温度とを与えることができる。
【0076】
制御装置612はさらに、成形された構造体部品の取り出し動作を制御するように作動可能な取出ツール制御装置916と通信することができる。プレス610がプレス動作を完了したというプレス制御装置914からの通知を制御装置612が受信したことに応答して、制御装置612は、成形された構造体部品の取り出しを開始するように、制御信号1018を取出ツール制御装置916に送ることができる。したがって、フィードバックデータ1022を使用して、取出ツールの現在の動作を示すことができる。フィードバックデータ1022が、取出ツールが成形された構造体部品を取り出すのが困難であることを示す場合には、押出成形システム600aのオペレータは、取出ツール、下部モールド626若しくは上部モールド632、プレス610、下部モールド626若しくは上部モールド632のヒータ若しくはクーラ、又は、押出成形システム600aの他の構成要素若しくは機能に関して、問題が存在することを通知することができる。
【0077】
制御装置612は、押出成形システム600aの構成要素の各々についての主制御装置となるように構成することができるが、制御装置612は、より分散型の制御装置として構成要素を管理するように構成できることを理解されたい。言い換えると、構成要素の制御装置は、機能を実行するように制御装置612によって命令されるサーボとしてではなく、生産されている構造体部品のパラメータを用いて動作パラメータ及び制御パラメータを計算する、より知的な制御装置として作動することができる。例えば、押出成形システム600aが、台車608に結合するようにもしないようにもできる静止した下部モールド626に対して押出機604の出力を変えるか又は動かすように構成された場合には、制御装置612は、台車608の移動ではなく押出機604の出力の動きを制御するようにプログラムすることができる。
【0078】
図10は、図6Aの制御装置612の例示的なブロック図である。制御装置612は、メモリ1004及びユーザインターフェース1006に結合されたプロセッサ1002を含む。ユーザインターフェース1006は、タッチスクリーン、電子ディスプレイ及びキーボード、ペンベースのインターフェース、又は、当該技術分野において理解される他のいずれかのユーザインターフェースとすることができる。プロセッサ1002はさらに、入力/出力(I/O)ユニットと、情報をデータベース又はファイル1012a〜1012n(まとめて1012)に記憶する記憶ユニット1010とに結合される。データベース1012は、下部モールド626若しくは上部モールド632に関連するデータなどの、押出成形システム600aを制御するための制御パラメータを記憶するのに使用することができる。データベース1012はさらに、押出システム600aの作動の間に押出システム600aからフィードバックされるデータを記憶するのに使用することができる。
【0079】
プロセッサ1002は、押出成形システム600aの種々の構成要素を制御し、データベース1012を管理するのに使用されるソフトウェア1014を実行するように作動可能である。押出成形システム600aを制御する場合には、ソフトウェア1014は、I/Oユニット1008及び制御バス1016を介して押出成形システム600aと通信する。制御データ1018は、制御バス1016を通るデータパケット及び/又はアナログ制御信号によって、押出成形システム600aに送信される。制御バス1016は、各々が押出成形システム600aの異なる構成要素と関連する複数の制御バスで構成できることを理解されたい。制御バス1016は、シリアルプロトコル又はパラレルプロトコルを使用して作動できることをさらに理解されたい。
【0080】
単一バス構造又は複数バス構造とすることができるフィードバックバス1020は、作動の間に押出成形システム600aからデータ1022をフィードバックするように作動可能である。フィードバックデータ1022は、温度、位置、速度、レベル、圧力、又は押出成形システム600aから測定される他のセンサ情報といったセンサデータとすることができる。したがって、I/Oユニット1008は、押出成形システム600aからフィードバックデータ1022を受信し、ソフトウェア1014によって利用するためにフィードバックデータ1022をプロセッサ1002に送信するように作動可能である。ソフトウェア1014は、フィードバックデータをデータベース1012に記憶し、フィードバックデータ1022を使用して押出成形システム600aの構成要素を制御することができる。例えば、ヒータ制御装置904によって制御装置612にフィードバックされるヒータの温度について、ヒータ618の温度があまりに低くなった場合には、制御装置612は、ヒータの温度を上げるように、制御データ1018によってヒータ618に命令を出すことができる。制御装置612又は構成要素(例えば、ヒータ)は、構成要素の制御又は調整を行うために、当該技術分野において理解される自動制御システムを含むものとすることができる。
【0081】
作動中に、制御装置612は、押出成形システム600aによって1つ又はそれ以上の構造体部品を生産するための制御パラメータを記憶することができる。例えば、キャビティ630の寸法などの、モールド626及び632のパラメータに関連するデータを、データベース1012に記憶することができる。様々な構造体部品について複数のパラメータの組を記憶することによって、押出成形システム600aを使用して、実質的に同時に構造体部品を形成することができる。プロセッサ1002は、実質的に同時に構造体部品を形成するように、異なるパラメータの組を平行して用いてソフトウェア1014を実行することができる。すなわち、1つの構造体部品がプレスされているときに、押出複合材料625を下部モールド626上に与えることによって動的ダイ606を介して別の構造体部品を形成することができる。
【0082】
図11は、プロセッサ1002によって実行されるソフトウェア1014の例示的なブロック図である。システムマネージャ1100が、制御装置612の様々な状況を管理するように作動可能である。システムマネージャ1100は、オペレータインターフェース1102、システムドライバ1104、及びデータベースマネージャ1106とインターフェース接続される。
【0083】
オペレータインターフェース1102は、押出成形システム600aを手動で制御するか、又は、構造体部品を生産するためのプログラム及び/又はプロファイルを構築するために、押出成形システム600aのオペレータにインターフェースを提供するのに使用される。オペレータインターフェース1102は、予めプログラムされているときには構造体部品を生産するためのプログラムをオペレータが選択できるようにするプログラムセレクタ1108と通信する。例えば、押出成形システム600aを制御して、下部モールド626及び上部モールド632に従ってパレットの設計者によって定められたパレットを生産するために、パレットを生産するように構築されたプログラムをオペレータインターフェース1102を介してオペレータによって選択することができる。1つの実施形態においては、プログラムセレクタ1108は、構成部品を制御するための特定のパラメータの組を使用して押出成形システム600aを制御することによって特定の構造体部品を生産する汎用プログラムを単に選択するだけである。プログラムセレクタ1108は、オペレータが、特殊な構造体部品を形成するために特殊なパラメータの組を選択する、及び/又は、構造体部品を形成するためのプロセスを変更するようにパラメータを編集することを可能にする、パラメータセレクタ/エディタ1110と通信することができる。パラメータセレクタ/エディタ1110は、様々な異なるパラメータデータファイルから、異なる構造体部品を形成するために押出成形システム600aの構成要素を駆動する制御装置612が利用可能な特殊なパラメータの組を選択するために、データベースマネージャ1106とインターフェース接続することができる。例えば、データベースマネージャ1106は、パレット、I−ビーム、バックボードなどを生産するためのパラメータの組にアクセスすることができる。押出成形システム600aの構成要素の各々は、汎用ドライバによって制御することができ、それに応じて、構造体部品を生産するために選択されたパラメータは、押出成形システム600aの構成要素の各々の動作を変えられることを理解されたい。
【0084】
システムドライバ1104は、当該技術分野において理解されるように、押出成形システム600aの構成要素を統合するのに使用することができる。例えば、個々のシステムドライバ1104を使用して、フィーダ614、ヒータ618、押出機604、動的ダイ606、台車608、及びプレス610を制御することができる。システムドライバ1104は、押出成形システム600aのオペレータによってカスタマイズできるものとするか、又は、プレス610のように特定の構成要素の製造者によって提供される汎用ドライバとすることができる。構造体部品を生産する押出成形システム600aの作動の際に、システムドライバ1104は、構造体部品を生産するように選択されたパラメータを使用して、押出成形システム600aの構成要素を駆動することができる。
【0085】
押出成形システム600aの構成要素を制御する際には、データベース1012と状態警報フィードバックマネージャ1114とを使用して、押出成形システム600aの構成要素の各々についてフィードバック制御を行う。例えば、ヒータ618は、温度センサ(図示せず)によって実際の温度をフィードバックすることができる。ヒータ618の測定温度に基づいて、ヒータ618を制御するのに使用されるシステムドライバ1104は、実際の温度測定値に従ってヒータ618の温度を上昇又は下降させることができる。したがって、他のセンサは、押出成形システム600a内の構成要素の各々及び/又は複合材料の、温度、圧力、速度、重量、位置などをフィードバックするのに使用することができる。構成要素の致命的な故障の場合には、警報が制御装置612にフィードバックされ、状態警報フィードバックマネージャ1114によって検出される。警報が重大な故障であると判断された場合には、システムドライバ1104は、ハードウェアの損傷とオペレータの負傷とを防止するために、押出成形システム600aの1つ又はそれ以上の構成要素を停止することができる。こうした警報に応答して、システムマネージャ1100は、オペレータインターフェース1102を起動して故障を表示し、修正措置に関する注意などを提供することができる。
【0086】
図12は、流量制御要素624a〜624f及びグリッド1202に区切られた下部モールド626の例示的な概略図である。グリッド間隔は、y軸に沿って(間隔1〜5として示される)流量制御要素624により定められ、x軸に沿って間隔a〜eにより定められる。y軸に沿ってより多くの流量制御要素624を使用し、x軸に沿ってより小さな間隔を定めることによって、より解像度の高いグリッドが得られることを理解されたい。形成される具体的な構造体部品に応じて、より高い解像度か又はより低い解像度が望ましく、より高い解像度又はより低い解像度を定めるようにオペレータによって設定されるパラメータは、構造体部品を生産するのに用いるために、データベースマネージャ1106を介して制御装置612に記憶することができる。
【0087】
表2〜表10は、押出成形システム600aの構成要素を制御するのに使用される例示的なデータ表である。具体的には、表は、構成要素を制御するための制御データ1018と、構成要素から制御装置612が受信したフィードバックデータ1022とを提供する。表2は、熱可塑性複合材料M1と、繊維材料M2と、構造体部品を形成する他のいずれかの材料(例えば、色)とを送るのに用いられるフィーダ614の制御のために提供される。示されるように、制御データ1018は、各々のフィーダ614が材料を押出成形システム600aに供給している速度を含み、フィードバックデータ1022は、現在各々のフィーダ614内にある材料のレベルを含む。押出成形システム600aの作動の間に、フィーダ614から供給される材料の速度が制御され、フィーダ614内の材料のレベルが測定され、オペレータは、追加の材料をフィーダ614に加えることができるように、フィーダ614内で最低量に達したことに応答して、材料のレベルの通知を受けることができる。
【0088】
【表2】

【0089】
表3は、押出機604におけるヒータの温度制御を示す例示的な表である。押出機604が、7つの温度領域1〜nを有するものとして定められる場合には、各々の領域の温度は、加熱若しくは冷却、オン若しくはオフ、及び/又は、特定の温度(図示せず)に設定されるように定められる押出機温度制御によって設定することができる。フィードバックデータ1022は、押出機604の各領域の実際の温度を含むことができる。したがって、温度センサは、押出機604の各々の領域に組み込まれ、検出された温度は、フィードバック制御のためにフィードバックバス1020を介して制御装置612にフィードバックされる。
【0090】
【表3】

【0091】
表4は、押出機604内で作動するオーガ620を駆動するモータ(図示せず)の速度制御を示す例示的な表である。制御データ1018は、モータを駆動するために設定する速度データを含む。モータの実際の速度及び負荷は、フィードバックデータ1022によって、制御データ1018を介して押出機604のオーガ620の速度を制御するのに使用されるシステムドライバ1104にフィードバックされる。
【0092】
【表4】

【0093】
表5は、動的ダイ606のヒータの温度制御を定める。制御データ1018は、動的ダイ606内部の領域1〜nによって定めることができる。押出機604の温度制御と同様に、ヒータ618は、動的ダイ606内部の異なる領域の温度を制御及び/又は調整するために、加熱及び冷却制御、及び/又は、オン及びオフ設定を含むことができる。したがって、フィードバックデータ1022は、動的ダイ606の制御のために、動的ダイ606内部の領域の各々についての実際の温度を含むことができる。
【0094】
【表5】

【0095】
表6は、動的ダイ606の流量制御要素624の制御のための例示的なデータである。示されるように、制御データは、流量制御要素1〜nと、各々の流量制御要素624について1〜mの範囲の位置とを含む。流量制御要素624は、ほぼ無限の数の位置を有するものすることができることを理解されたい。しかしながら、実際上、流量制御要素の位置は、典型的には、例えば0〜6インチまでの範囲の4分の1インチごとなどのように、ある所定の位置を持つように設定される。流量制御要素624の位置を制御する場合には、ステッピングモータ又は他の種類のモータを使用することができる。制御装置612によって動的ダイ606に送信される制御データ1018間の位置の偏差を、当該技術分野において理解されるようにフィードバックデータ1022を介してフィードバックループによって修正することができるように、流量制御要素624についてのフィードバックデータ1022は、流量制御要素624の現在の位置を含む。
【0096】
【表6】

【0097】
表7は、下部モールド626の温度制御を示す例示的な表である。同様の表を、上部モールド632の温度を制御するのに使用できることを理解されたい。示されるように、下部モールド626は、多数の領域1〜nに分割することができ、ヒータ及び/又はクーラを各々の領域に適用して、制御データ1018によって命令されるように下部モールド626を加熱及び冷却することができる。したがって、制御装置612によってフィードバック制御を実行して、下部モールド626の温度を調整することができるように、フィードバックデータ1022は、下部モールド626の実際の温度を提供することができる。例えば、押出複合材料625が下部モールド626に加えられるときに、領域全体にわたって下部モールド626の温度を調整して、複合材料が下部モールド626上に堆積し、モールド626及び632から構造体部品が取り出されるまで、時間及び他の要因に基づいて押出複合材料層628の温度を調整することができる。
【0098】
【表7】

【0099】
表8は、台車608を制御するための例示的な制御パラメータを示す例示的な表である。示されるように、制御データ1018は、台車608の位置制御、速度制御、及びリフト制御を含む。台車608の動きを制御するために付加的な制御データ1018を含むことができることを理解されたい。例えば、加速度、回転位置若しくは角度位置、又は他の動的制御データを使用して、下部モールド626上に堆積又は重力降下している押出複合材料625の投入に対して下部モールド626を適切に位置合わせするように、台車608を移動又は同期させることができる。台車608についてのフィードバックデータ1022は、台車608の実際の位置及び現在の速度を含むことができる。リフト制御データは、下部モールド626への押出複合材料625の堆積の際に、及び押出複合材料層628をプレス610によってモールド626及び634内でプレスする際に、それぞれ台車608の車輪634を係合及び解放するのに使用することができる。車輪634がリフト機構(例えば、空気チューブ)によって解放されるまでプレス610が始動しないことを確実にするために、リフトの実際の位置をフィードバックすることができる。
【0100】
【表8】

【0101】
表9は、プレス610の制御を示す例示的な表である。制御データ1018は、ロック制御データ及びサイクルプレス時間を含むことができる。フィードバックデータ1022は、プレス610内の台車608の位置と、プレス盤の位置とを含むことができる。プレスを制御するために、他の制御パラメータ及びフィードバックパラメータをさらに含むことができる。例えば、上部モールド632の温度制御、プレス610の力などを含むこともできる。
【0102】
【表9】

【0103】
表10は、プレスの完了後に、及び必要に応じて、構造体部品を形成する際の冷却プロセスの完了後に、モールド626及び632から形成された構造体部品を取り出す取出ツール(図示せず)の制御のための例示的な表を示す。制御データ1018は、取り出し開始サイクルを含むことができ、フィードバックデータ1022は、単一の取出ツール位置を含むことができる。複数の取出ツール、又は、1つの取出ツールの要素を使用することができ、他のセンサによるフィードバックデータを検出して制御装置612にフィードバックできることを理解されたい。
【0104】
【表10】

【0105】
図13は、複合材料を図6Aの下部モールド626の上に堆積させるように位置合わせされた流量制御要素624a〜624iの上面図である。示されるように、流量制御要素624は、y軸に沿って位置決めされ、押出複合材料625を下部モールド626の上に堆積させるための三軸制御を行う。したがって、押出複合材料625を堆積させるためのx軸制御は、流量制御要素624の下において異なる速度で台車608の移動を制御することによって行うことができ、押出複合材料625を堆積させるためのy軸制御は、流量制御要素624の調節によって行うことができ、押出複合材料625を堆積させるためのz軸制御は、x軸及びy軸に沿って押出複合材料625の堆積を制御することによって行うことができる。
【0106】
押出複合材料625を堆積させるための、x軸、y軸、及びz軸に沿った制御は、(1)押出機604からの複合材料の体積流量を、オーガ620の回転速度によって制御すること、(2)台車608の移動の速度を単一の軸で制御すること、(3)単一の流量制御要素624又は一様に作動する複数の流量制御要素624を有する押出機604の出力の開口部を制御すること、(4)複数の流量制御要素624を個々に制御すること、及び(5)台車608の動きを複数の軸で制御すること、を含む様々な技術を用いて行うことができる。これらの技術の各々は、他の変数が一定に維持されるものと仮定している。例えば、技術(1)は、押出機604の出力開口部が固定されており、台車608が出力開口部の下を一定の速度で移動するものと仮定している。技術(2)は、押出機604からの複合材料の体積流量が一定であり、押出機604の出力開口部が固定されているものと仮定している。しかしながら、技術(1)、(2)、及び(4)を組み合わせた図6Aに関して説明したように、これらの技術を組み合わせて、下部モールド626上への押出複合材料625の配置をさらに制御できることを理解されたい。技術(5)は、下部モールド626に関するx軸及びy軸を制御するだけでなく、z軸及びいずれかの数の軸周りの回転を制御することも含む。技術(5)を用いて下部モールド626に関するこうした制御を行うことによって、他の方法では不可能な場合もある様々な構造体部品を形成することができる。要するに、本発明のプロセスの様々な要素の全体的なコンピュータ制御は、押出プロセスと所望の部品の生産との調整、及び、プロセス全体の作動性に関して、重要な役割を果たす。
【0107】
最後に、下部モールド626の移動を制御するのではなく、押出機604からの出力開口部を移動させることによって、静止した又は移動する下部モールド626の上に押出複合材料625を堆積させることができる。例えば、レール又は他の機械的構造に沿って移動する出力開口部を制御して、下部モールド626上の特定の場所に複合材料を堆積させることができる。こうした機構の例として、レーザジェットプリンタがある。
【0108】
再び図13を参照すると、流量制御要素624と、動的ダイ606の下を通過する下部モールド626との関係が示されており、右側のインチ表示の数字は、動的ダイ606の下を通過する台車608の位置と対応する。下部モールド626は台車608より小さいため、下部モールド626は、台車608内の10インチの位置から始まる。表11及び表12は、流量制御要素624についての速度制御及びゲート制御のためのパラメータを示す例示的な表である。このパラメータは、押出成形システム600aを用いてパレットを生産するのに使用する用いることができる。
【0109】
【表11】

【0110】
【表12】

【0111】
表11及び表12は、流量制御要素624と台車608の移動との間の位置同期を示す。2つの構成要素(すなわち、動的ダイ606及び台車608)の間の動きを調整することによって、下部モールド626及び上部モールド632のキャビティ630の容積によって規定されるとおりに、下部モールド626に沿った位置に押出複合材料625を堆積させることができる。言い換えると、押出複合材料625を下部モールド626の上に堆積させて、下部モールド626及び上部モールド632のキャビティ630を満たすのに十分な厚さの押出複合材料層628を形成し、それにより、構造体部品の特定の場所に深いドラフトと隠しリブを形成する能力を提供する。
【0112】
図14は、図6Aの押出成形システム600aによって生産されるパレット1400の隅部の例示的な上面斜視図である。示されるように、パレット1400の基部1402のドラフトすなわち深さd1は、パレット1400の足1404の深さd2より浅い。本発明の原理を用いて下部モールド626上への押出複合材料625の堆積を制御することによって、補強材料M2(例えば、長ストランド繊維)を用いて、特定の領域により深いドラフトd2を有する、足1040のような構造を持つ大型の構造体部品を形成することができる。
【0113】
図15A及び図15Bは、それぞれ、隠しリブ1502a〜1502e(まとめて1502)を有するプラットフォーム1500の例示的な底面斜視図及び上面斜視図である。示されるように、隠しリブ1502は、高さは様々であるが、1つ又はそれ以上の領域上に一定の体積を有する。したがって、隠しリブ1502を有する領域上にはより多くの押出複合材料625を堆積させ、隠しリブ1502のない領域上にはより少ない押出複合材料625を堆積させる。プラットフォーム1500は、押出成形システム600aを用いて単一成形の複合材料構造体として形成されるため、複数の部品で構成されるプラットフォームと比べて構造的な脆弱性が低い。
【0114】
挿入技術
形成する大型部品に強度を与えるために繊維を配合した複合材料を用いて構造体部品を形成することに加えて、さらに、特定の領域に挿入又は埋め込まれた、付加物、ファスナ、及び/又は、補強材といった他の成分を有することによって構造的に改良される構造体部品がある。例えば、相互接続性を備えるべき構造体部品は、強力で信頼性の高い相互接続をもたらすように、複合材料から延びる金属部品を使用することがある。1つのこうした構造体部品は、図16Aに示されるような、スケートリンク用の床仕上げ材1600の一部である。床仕上げ材1600は、熱可塑性材料M1及び繊維M2で作ることができる熱可塑性材料1602と、金属で作られるファスナ1604とを含む。
【0115】
床仕上げ材1600を形成する場合には、押出複合材料層628がファスナ1604との結合層1606を形成してファスナの位置を保持するように、ファスナ1604を下部モールド626の中に位置決めするか又は配置する。ファスナ1604を床仕上げ材1600にさらに固定するために、ファスナ1604に穴(図示せず)を設けて、押出複合材料層628がその穴を埋めることができるようにする。形成プロセスの際には、押出成形プロセスの間にファスナ1604の位置を保持するように、下部モールド626の中にアクチュエータを配置し、押出複合材料層628がまだ溶融状態の間に、制御装置612によってアクチュエータをはずすことができる。代替的に、ファスナ1604は、上部モールド632の中に配置できることを理解されたい。
【0116】
図16Bは、救急医療師によって用いられることが多い脊柱矯正板1610の例示的な一部である。脊柱矯正板1610は、複合材料1612で作られ、複合材料1612の中に封入された挿入物1614を含む。挿入物1614は、脊柱矯正板1610が強化され、軽量化され、x線を通すように、カーボンファイバチューブとすることができる。挿入物を封入する場合には、下部モールド626は、押出複合材料層628が挿入物1614との結合層1616を形成する間に、挿入物1614を所定の位置に保持するアクチュエータ又は簡単なピンを有することができる。この場合も同様に、押出複合材料層628がアクチュエータ又はピンによって残されるあらゆるボイドを埋めるように、押出複合材料層628が溶融状態にある間に、アクチュエータ及び/又はピンをはずすことができる。挿入物1614は、特定の用途又は形成される構造体部品に基づいて、実質的にいずれかの材料とすることができることを理解されたい。
【0117】
図17は、図6Aの押出成形システム600aを使用して、ファスナ、支持体、又は他の要素などの挿入物を構造体部品に埋め込む又は挿入するための工程を説明する例示的なフロー図1700である。挿入プロセスは、ステップ1702において開始する。ステップ1704において、下部モールド626又は上部モールド632のいずれかの中に挿入物を配置する。ステップ1706において、下部モールド626の上に、溶融した押出複合材料625を堆積させる。形成される構造体部品に挿入物を固定するために、ステップ1708において、挿入物の少なくとも一部の周囲に押出複合材料を形成する。1つの実施形態においては、挿入物は、押出複合材料625の中に封入されるか、又は完全に埋め込まれる(例えば、図16Bを参照されたい)。代替的に、挿入物の一部が構造体部品から延びるように、挿入物の一部のみが押出複合材料625の中に埋め込まれる。
【0118】
ステップ1710において、いずれかの支持体を用いて下部モールド626又は上部モールド623の中に挿入物を配置する場合には、支持体を除去する。アクチュエータ制御のもの、簡単な機械ピン、又は、下部モールド626の上に押出複合材料625を堆積させる間に挿入物を支持できる他の機構とすることができる支持体は、ステップ1712において押出複合材料層628が固まる前に、除去される。押出複合材料層628は、プレス、真空引き、又は構造体部品を形成する他の工程の間に、自然冷却又は強制冷却することによって固めることができる。押出複合材料層628が固まる前に支持体を除去することによって、支持体によって生じる隙間を埋めることができ、それにより、構造体部品に支持体の跡も弱い所も残さない。ステップ1714において、少なくとも一部が埋め込まれた挿入物を有する構造体部品を、モールド626及び632から取り出す。ステップ1716において、挿入プロセスは終了する。
【0119】
本発明の別の実施形態においては、挿入物が、請求の範囲に記載されている発明のプロセスによって封入される。図17において説明されるプロセスと類似する方法で、請求の範囲に記載されている押出成形システムを使用して、ファスナ、支持体、又は他の要素などの挿入物を押出熱可塑性材料に封入することができる。本発明の他の実施形態においては、請求の範囲に記載されている押出成形システムを使用して、様々な厚さの複数の材料層を順に重ねて堆積させることができる。具体的には、熱可塑性材料の第1の層を下部モールドの中に押し出し、その後、同じ熱可塑性材料又は異なる熱可塑性材料の第2の層を、第1の層の上に層状に重ねる。本発明の特定の実施形態においては、第1の押出層に第2の押出層を層状に重ねる前に、又はその代わりに、第1の押出層の上に挿入物を置くことができる。この「積層」形態は、熱可塑性材料と、同一の又は異なる成分と、異なる挿入材料との複数の層を有する構造体の形成を容易にすることができる。
【0120】
有利なことに、本発明は、隆起した三次元中実構造部を有する物品の成形を可能にする。こうした隆起構造部の限定されない例として、隠しリブ、柱、取り付け柱、及びタブが挙げられる。
【0121】
物品は、必要に応じて、付加的な安定性及び強度をもたらす内部強化挿入物を有するものとすることができる。強化挿入物の例は、管、棒、及び網であるが、あらゆる種類の内部支持構造体を用いて強化することができる。強化挿入物は、あらゆる種類の形状又は構造を持つものとすることができる。例えば、強化挿入物の断面形状は、円形、半球形、星形、又は四角形とすることができるが、これらに限定されるものではない。強化挿入物はまた、炭素、金属、合成物質、プラスチック、又は、木材などの有機物質といったあらゆる種類の材料で作ることができる。
【0122】
本発明を用いて、x面、y面、及びz面の少なくとも1つが0.5フィートより長い物品などの大型物品を得ることができる。特定の実施形態においては、1フィート、2フィート、及び3フィートより長い寸法を有する大型物品を得ることができる。大型物品は、重量があるものとすることもでき、10ポンドより重いものとすることができる。特定の実施形態においては、20ポンド又は25ポンドより重い物品を作成することができる。
本発明のさらなる実施形態は、以下に示される例から明らかとなるであろう。
【実施例】
【0123】
例1
本発明の実施形態においては、(6つの加熱領域と標準的なPETスクリュを備えた)直径4 1/2インチの単軸押出機を用いて、General Polymers社のポリプロピレン樹脂(COP3541)を、Johns−Manville社の長さ1/2インチのグラスファイバと化合した。樹脂/ガラス混合物は、70%のポリプロピレンと30%のガラスで構成された。押出機の領域は、電気によって加熱され、以下の温度、すなわち、領域1@350F、領域2@375F、領域3@400F、領域4@450F、領域5@475F、領域6@505Fに制御された。樹脂基体へのグラスファイバの結合を強化するために、結合剤(Polybond)をガラス樹脂混合物に2%程度添加した。
【0124】
遮るもののない搬送パイプによって、各ゲートを通して押し出されるポリマーメルトの厚さを変えることが可能な個別制御ゲートを有する、水平に取り付けられ加熱された多ゲート型シート押出ダイに、加熱された混合物を進めた。押出プロセスを通して、ゲートダイ内部において、溶融した混合物を505°Fに保持した。溶融した樹脂/ガラス押出体を、水平に移動可能な加熱されたマッチドモールドの半モールドの上に重力によって堆積させた。溶融した混合物の堆積は、水平に取り付けられたシートダイのゲートの開閉と、水平に取り付けられたマッチドモールドの半モールドの制御された移動との組み合わせによって制御した。移動可能なモールドの表面の各点に堆積する溶融した材料の正確な幅、長さ、及び深さを調整するために、コンピュータプログラム及び電気制御を用いて、押出プロセスの間におけるダイのゲートの開閉及びマッチドモールドの半モールドの移動を行った。その際、結果として得られる、モールドの中に堆積した溶融材料は、所望の最終的な成形製品の溶融した「ニアネットシェイプ」配置になっている。
【0125】
樹脂/ガラス混合物の「ニアネットシェイプ」溶融堆積が完了すると、マッチドモールドの充填された半モールドは、台車システムを用いて、成形部品の最終的な圧密のための圧縮プレスまで機械的に搬送される。充填された半モールドは、最終的な成形部品の「ニアネットシェイプ」になっているため、マッチドモールドの他の半モールドを用いる最終的な圧縮成形ステップは、極めて低圧で、かつ、溶融した樹脂/ガラス混合物の動きが最小限の状態で、行うことができる。したがって、幅12インチ、長さ24インチ、深さ1/4インチの大きさの内部キャビティを有する長方形のマッチドモールドの雌部分を、上述した「ニアネットシェイプ」配置の溶融ポリプロピレン/ガラス混合物で充填した。充填されたモールドの雌部分を、8フィート×9フィートのプラテンとエアバッグブラダーを備えた、300トンの空気圧縮プレスに機械的に搬送した。最終的な成形ステップにおいて、マッチドモールドの雄半モールドを、充填されたマッチドモールドの雌半モールドに押し付けた。モールドは、200F以下に冷却されるまでそのまま維持した。最終的に得られる成形パネルは、およそ12インチ×24インチ×1/4インチの大きさであった。成形部品は以下の特性を示した。
【0126】
【表13】

注:それぞれ、別個の3つのパネルついての5つの測定値の平均
【0127】
このように、成形パネルは、機械方向及び横断方向に互いに20%以内の機械的特性を示し、したがってほぼ非等方的である。
成形パネルから樹脂を燃焼させ、残留したグラスファイバを解析することによって、成形パネル内の平均繊維長は、投入時の長さ0.5インチに対して0.43インチであることが分かった。このことは、最終的な成形製品における当初繊維長の保存率が85%であることを表す。
【0128】
例2
LNP社の1/2インチ長グラスファイバを30重量%含む、予め化合されたABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)樹脂を、以下の押出機領域温度及びダイ温度、すなわち、領域1@375F、領域2@400F、領域3@425F、領域4@475F、領域5@515F、領域6@515F、ダイ温度@515Fを用いて、例1のとおりに押し出した。例1と同じモールドを用いて、およそ12インチ×24インチ×1/4インチのサンプルパネルを準備し、以下の特性を示した。
【0129】
【表14】

注:それぞれ、3つの測定値の平均
【0130】
成形パネルは、機械方向及び横断方向に互いに他の20%以内の機械的特性を示し、したがって、機械的特性はほぼ非等方的である。
成形パネルから樹脂を燃焼させ、残留したグラスファイバを解析することによって、成形パネル内の平均繊維長は、0.30インチ、すなわち、元の繊維長の60%あることが分かった。
【0131】
例3
ポリプロピレンと1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂88重量%/グラスファイバ12重量%)を、木製のマッチドモールドを用いて例1のとおりに処理し、寸法が長さ12フィート×幅8フィート×厚さ1インチ、重量が120ポンドの、固い中実のリブ付きレードームカバーを作成した。
【0132】
例4
ポリプロピレンと1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂70重量%/グラスファイバ30重量%)を、固体アルミニウム製マッチドモールドを用いて例1のとおりに処理し、高さ7インチ×幅4インチ×長さ8フィート、重量22ポンドの、中実の斜め強化リブを有するビームを作成した。
【0133】
例5
General Polymers社のナイロン6と1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂70重量%/グラスファイバ30重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0134】
例6
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と1インチ長炭素繊維との混合物(樹脂70重量%/炭素繊維30重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12フィート×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0135】
例7
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と1/2インチ長Kevlar繊維との混合物(樹脂70重量%/Kevlar繊維30重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0136】
例8
ポリプロピレンと3インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂80重量%/グラスファイバ20重量%)を例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0137】
例9
ポリプロピレンと1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂45重量%/グラスファイバ55重量%)を例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0138】
例10
ポリプロピレンと1/2フィート長グラスファイバとの混合物(樹脂80重量%/グラスファイバ20重量%)を例1のとおりに処理して、材料運搬パレットの2つの部分を作成し、次にこれらを接合して、寸法が長さ48インチ×幅40インチ×高さ6インチ、重量が63ポンドの材料運搬パレットを作成した。
【0139】
例11
ポリプロピレンと1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂70重量%/グラスファイバ30重量%)を例1のとおりに処理して、長さに沿って挿入された1インチ角のID鋼管を含む支持ビームを作成し、該支持ビームの寸法は、長さ20フィート×高さ12インチ×幅6インチ、重量は180ポンドであった。鋼管は、ビームの最終的な圧縮成形前の、溶融した樹脂/ガラスモールド充填ステップの間に、モールドの中に挿入された。
【0140】
例12
ポリエチレンと1インチ長の木材/セルロール乾燥繊維との混合物(樹脂80重量%/木材繊維20重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0141】
例13
SMA(スチレン/無水マレイン酸)樹脂と1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂82重量%/グラスファイバ18重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0142】
例14
PPS(ポリフェニレンサルファイド)と1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂70重量%/グラスファイバ30重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0143】
例15
PC(ポリカーボネート)と1/2インチ長グラスファイバとの混合物(樹脂80重量%/グラスファイバ20重量%)を、樹脂のガラス転移温度を上回る少なくとも100℃の押出機領域温度及びダイ温度を用いて例1のとおりに処理し、12インチ×24インチ×1/4インチのパネルを作成した。
【0144】
本発明に従って行われる成形プロセスは、業界で典型的に用いられる圧力よりはるかに低い圧縮圧力で行われる。有利なことに、こうした低い圧力によって、一般的には業界で用いられる高い圧力に耐えることができない可能性がある、木製のモールドなどの非金属のモールドの使用が可能になる。
【0145】
本発明においては、あらゆる種類の繊維性材料を用いることができる。例えば、繊維性材料は、グラスファイバ、ガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、金属繊維、天然繊維、セルロース、又は木材とすることができる。
【0146】
本発明に従って、あらゆる種類の熱可塑性樹脂を用いて物品を作成することができる。適切な熱可塑性樹脂の例は、ポリオレフィン、ポリハロオレフィン、多環芳香族、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、ポリアミド、ナイロン、ポリ(カルボン酸)、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリ(有機硫化物)、ポリ(有機酸化物)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、及び、これらの混合物である。
【0147】
熱可塑性樹脂は、単一重合体とするか、2つ又はそれ以上の重合体の混合物とすることができる。特定の実施形態においては、熱可塑性樹脂は、ホモ重合体、共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、液晶高分子、又は、これらの重合体の混合物を含むことができる。
【0148】
熱可塑性樹脂は、未使用樹脂、再生樹脂、又は、未使用樹脂と再生樹脂とのいずれかの比率の混合物とすることができる。熱可塑性樹脂は、必要に応じて、樹脂への繊維性材料の結合を強化する結合剤を含むことができる。
【0149】
特許請求の範囲に記載の発明に従って、パレット、ビーム、ドア、レードーム、壁パネル及びモジュール部品などの建造物、パイプ、支柱、及び杭といった物品を作成することができる。
【0150】
前述の説明は、本発明を実施するための好ましい実施形態に関するものであり、本発明の範囲は、この説明によって限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明に係る成形システムの平面図である。
【図2】図1の成形装置の側面図である。
【図3A】本発明のプロセスの様々なステップにおける、図1及び図2のモールドの平面図である。
【図3B】本発明のプロセスの様々なステップにおける、図1及び図2のモールドの平面図である。
【図3C】本発明のプロセスの様々なステップにおける、図1及び図2のモールドの平面図である。
【図3D】本発明のプロセスの様々なステップにおける、図1及び図2のモールドの平面図である。
【図3E】本発明のプロセスの様々なステップにおける、図1及び図2のモールドの平面図である。
【図4】図1及び図2の押出機の側面図である。
【図5】図4の押出機の背面図である。
【図6A】構造体部品を形成するように作動可能な、図1の押出成形システムの例示的な概念図である。
【図6B】図6Aの押出成形システム600aの別の例示的なブロック図である。
【図7】台車によって支持された下部モールドの上に押出複合材料を堆積させている図6Aの動的ダイの例示的な分解図である。
【図8A】複合材料を図6Aの下部モールドの上に堆積させるための二軸制御又は三軸制御のいずれかを用いることによって物品又は構造体部品を形成するのに使用することができる押出成形プロセスを説明する例示的なフロー図である。
【図8B】三軸制御押出成形プロセスによって、図6Aの押出成形システムを使用して構造体部品を生産するための別の例示的なフロー図である。
【図9】図6Aの押出システムの構成要素内部で作動する制御装置とインターフェース接続される図6Aの制御装置の例示的なブロック図である。
【図10】図6Aの制御装置のより詳細な例示的ブロック図である。
【図11】図10の制御装置を作動させるプロセッサによって実行されるソフトウェアの例示的なブロック図である。
【図12】図6Aの押出成形システムによって押出複合材料を押し出すための、流量制御要素及びグリッドに区切られた下部モールドの例示的な概略図である。
【図13】複合材料を図6Aの下部モールドの上に堆積させるように位置合わせされた流量制御要素の上面図である。
【図14】図6Aの押出成形システムによって生産されるパレットの隅部の例示的な上面斜視図である。
【図15A】図6Aの押出成形システムによって形成される隠しリブを有するプラットフォームの例示的な底面斜視図である。
【図15B】図6Aの押出成形システムによって形成される隠しリブを有するプラットフォームの例示的な上面斜視図である。
【図16A】図6Aの押出成形システムによって形成される挿入物を有する例示的な構造体部品である。
【図16B】図6Aの押出成形システムによって形成される挿入物を有する例示的な構造体部品である。
【図17】図6Aの押出成形システムを使用して、ファスナ、支持体、又は他の要素などの挿入物を、図16A及び図16Bに示されるような構造体部品に埋め込むための工程を説明する例示的なフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂基体に埋め込まれた繊維性材料を含む成形熱可塑性物品であって、
a)熱可塑性樹脂と、成形前の繊維の長さが約0.5〜3インチであり、化合された混合物の全重量の5〜55%を構成する繊維性材料と、いずれかの任意の添加剤との混合物を、低剪断単軸スクリュを用いて溶融化合し、
b)低剪断押出を用いて、前記混合物をシート押出ダイを通して押し出し、
c)前記押し出された混合物を、概ね物品全体の形状を有する水平に移動可能なマッチドモールドの第1の半モールドの中に堆積させ、
d)熱可塑性物品の圧密及び成形を完了するために100〜1,000psiの範囲の圧力と溶融した混合物の実質的にわずかな移動とを必要とするように、前記堆積させた混合物を前記マッチドモールドの第2の半モールドを用いて圧縮成形する、
ステップを含む低剪断プロセスによって作られ、
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約60%より長く、
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の約20%未満は、同じ向きに配向され、
前記成形熱可塑性物品の機械的特性は、x平面、y平面、及びz平面において互いに20%以内である、
ことを特徴とする物品。
【請求項2】
前記プロセスは、実質的に低剪断状態の下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記押し出しは、各々のゲートを通して押し出される前記混合物の厚さを変えることが可能な個別制御ゲートを有する、水平に取り付けられた多ゲート型シート押出ダイを通して行われることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記樹脂/繊維性材料混合物は、前記成形熱可塑性物品の溶融したニアネットシェイプ配置の状態で、前記ステップc)において前記モールドの中に重力によって堆積することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記樹脂/繊維性材料混合物を、押し出し前に搬送パイプを通して搬送するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記繊維性材料は、グラスファイバ、ガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、金属繊維、天然繊維、セルロース、及び木材からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、ポリハロオレフィン、多環芳香族、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、ポリアミド、ナイロン、ポリ(カルボン酸)、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリ(有機硫化物)、ポリ(有機酸化物)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂は、ホモ重合体、共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、液晶高分子、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂は、未使用樹脂、再生樹脂、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記押し出しは、300〜700°Fの範囲の温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記任意の添加剤は、前記熱可塑性樹脂への前記繊維性材料の結合を強化する結合剤であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記モールドは、金属製のモールド、非金属製のモールド、セラミックス製のモールド、又は木製のモールドであることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
引張強度、引張係数、及び曲げ強度が、軸線方向及び横断方向において互いに20%以内であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約70%より長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約80%より長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約90%より長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記機械的特性は実質的に非等方的であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約0.5フィートより長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約1.0フィートより長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約2.0フィートより長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約3.0フィートより長いことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
重量が約10ポンドより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項23】
重量が約20ポンドより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項24】
重量が約25ポンドより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項25】
前記プロセスは、挿入成形プロセスであることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
熱可塑性樹脂基体に埋め込まれた繊維性材料を含む成形熱可塑性物品であって、
成形前の前記繊維性材料の繊維の長さが、約0.5〜3インチであり、前記繊維性材料は、化合された混合物の全重量の5〜55%を構成し、
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約60%より長く、
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の約20%未満は、同じ向きに配向され、
前記成形熱可塑性物品の機械的特性は、x平面、y平面、及びz平面において互いに20%以内である、
ことを特徴とする物品。
【請求項27】
前記繊維性材料は、グラスファイバ、ガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、金属繊維、天然繊維、セルロース、及び木材からなる群から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、ポリハロオレフィン、多環芳香族、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、ポリアミド、ナイロン、ポリ(カルボン酸)、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリ(有機硫化物)、ポリ(有機酸化物)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項29】
前記熱可塑性樹脂は、ホモ重合体、共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、液晶高分子、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項30】
前記熱可塑性樹脂は、未使用樹脂、再生樹脂、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項31】
前記熱可塑性樹脂は、該熱可塑性樹脂への前記繊維性材料の結合を強化する結合剤を含むことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項32】
引張強度、引張係数、及び曲げ強度が、軸線方向及び横断方向において互いに20%以内であることを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項33】
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約70%より長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項34】
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約80%より長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項35】
前記成形熱可塑性物品の中の前記繊維性材料の繊維の長さは、成形前の繊維の長さの約90%より長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項36】
前記機械的特性は実質的に非等方的であることを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項37】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約0.5フィートより長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項38】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約1.0フィートより長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項39】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約2.0フィートより長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項40】
長さが、x平面、y平面、及びz平面の少なくとも1つにおいて約3.0フィートより長いことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項41】
重量が約10ポンドより大きいことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項42】
重量が約20ポンドより大きいことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項43】
重量が約25ポンドより大きいことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項44】
1つ又はそれ以上の任意の強化挿入物をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項45】
前記強化挿入物は、管、棒、網、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
1つ又はそれ以上の隆起した三次元中実構造部を有することを特徴とする、請求項26に記載の物品。
【請求項47】
前記1つ又はそれ以上の隆起した三次元中実構造部は、隠しリブ、柱、取り付け柱、又はタブであることを特徴とする、請求項46に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−530326(P2007−530326A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506194(P2007−506194)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/007505
【国際公開番号】WO2005/102663
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506333200)エルアールエム インダストリーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】