説明

熱可塑性樹脂積層体

【課題】 耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性に優れた熱可塑性樹脂積層体、および該熱可塑性樹脂積層体を用いた透明性基板材料および透明性保護材料を提供する。
【解決手段】 特定の(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)の少なくとも1種と、特定の脂肪族ビニル構成単位(b)の少なくとも1種を含み、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル構成比が15:85〜85:15であるビニル共重合樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(B)の片面または両面に積層された熱可塑性樹脂積層体、ならびに該積層体からなる透明性基板材料および透明性保護材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性に優れた熱可塑性樹脂積層体、および該熱可塑性樹脂積層体を用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製透明板は防音隔壁、カーポート、看板や、OA機器・携帯電子機器の表示部前面板など多岐に応用される。特に、携帯電話端末、携帯電子遊具、PDAといった携帯型のディスプレイデバイスでは、使用者が持ち歩くという機能性からその前面パネルには耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性の向上がますます求められるようになった。これらを改善する方法として、例えば、耐衝撃性の優れたポリカーボネート樹脂層に耐候性の優れたメタクリル樹脂層を積層した積層シートが開示されている(特許文献1、2)。しかしながら、メタクリル樹脂層の耐熱性が乏しくて高温環境下で変形を起こしたり、吸水性が高くて湿度変化による反りを起こしたりする問題があった。
【特許文献1】特許第3489972号公報
【特許文献2】特開2006−205478公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性に優れた熱可塑性樹脂積層体、および該熱可塑性樹脂積層体を用いた透明性基板材料および透明性保護材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のビニル共重合樹脂を表層に用いることにより耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性に優れた熱可塑性樹脂積層体を形成しうることを見いだし本発明に到達した。すなわち、本発明は、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)を含み、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル構成比が15:85〜85:15であるビニル共重合樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(B)の片面または両面に積層された熱可塑性樹脂積層体に関する。
【化1】

(式中、R1は水素、あるいはメチル基であり、R2は炭素数1〜16の炭化水素基である。)
【化2】

(式中、R3およびR4は独立して水素または炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。)
【発明の効果】
【0005】
本発明の熱可塑性樹脂積層体によれば、前記したような課題を解決し、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性に優れた熱可塑性樹脂積層体を提供することができる。また、それを用いることにより透明性基板材料、透明性保護材料などに好適な光学物品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で用いるビニル共重合樹脂(A)は、主として式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とからなる。
本発明における式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル構成比は、(a)が15:85〜85:15の範囲である。(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と脂肪族ビニル構成単位(b)との合計に対する(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)のモル構成比が15%未満の範囲であると機械強度が低くなりすぎたり、熱可塑性樹脂(B)との密着性が悪くなりすぎたりして実用的ではない。また85%を超える範囲であると耐熱性が不十分となる場合がある。好ましくは25〜75%の範囲であり、さらに好ましくは40〜70%の範囲である。
【0007】
本発明に用いられる式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位としては、例えば、R2がメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基などのアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基などのヒドロキシアルキル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基、ベンジル基、フェニル基などのアリール基であるものを挙げることができる。これらは1種類単独かあるいは2種類以上を併せて使用することができる。これらのうち好ましいのはR2がメチル基および/またはエチル基の(メタ)アクリル酸エステル構成単位であり、さらに好ましいのはR1がメチル基、R2がメチル基および/またはエチル基のメタクリル酸エステル構成単位である。
【0008】
本発明に用いられる式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位としては、例えば、R3およびR4が独立して水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基、シクロヘキシル基、アルキルシクロヘキシル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、アルコキシシクロヘキシル基などのシクロアルキル基であるものを挙げることができる。これらは1種類単独かあるいは2種類以上を併せて使用することができる。これらのうち好ましいのはR3が水素、R4がシクロヘキシル基の脂肪族ビニル構成単位である。
【0009】
本発明では、ビニル共重合樹脂(A)の透明性を損なわない範囲で他の芳香族ビニル構成単位を併せて使用することができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン、クロロスチレンなど、およびそれらの誘導体を挙げることができる。これらのうち好ましいのはスチレンである。
【0010】
本発明における芳香族ビニル構成単位の割合はビニル共重合樹脂(A)中30%以下であることが好ましい。30%を越える範囲であるとビニル共重合樹脂(A)の透明性が低下する場合がある。好ましくは20%以下の範囲であり、さらに好ましくは10%以下の範囲である。
【0011】
本発明で用いるビニル共重合樹脂(A)には、ビニル共重合樹脂(A)の透明性を損なわない範囲で他の樹脂をブレンドすることができる。例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネートなどを挙げることができる。
【0012】
本発明におけるビニル共重合樹脂(A)のガラス転移温度は110〜140℃の範囲である。110℃未満の範囲であると積層体の耐熱性が不足する場合がある。また140℃を超える範囲であると熱賦形などの加工性が劣る場合がある。本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量測定装置を用い、試料10mg、昇温速度10℃/分で測定し中点法で算出したときの温度である。
【0013】
本発明におけるビニル共重合樹脂(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、塊状重合法、溶液重合法を挙げることができる。溶液重合法では、モノマー、連鎖移動剤、および重合開始剤を含むモノマー組成物を完全混合槽に連続的に供給し、100〜180℃で連続重合する方法などによりおこなわれる。用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることができる。
【0014】
また、不飽和結合を有するビニル共重合樹脂(A’)を予め重合し、その不飽和炭化水素基を後から水素化する方法によってビニル共重合樹脂(A)を製造することもできる。この水素化反応は適当な溶媒中でおこなわれる。水素化反応に用いられる溶媒は不飽和結合を有するビニル共重合樹脂(A’)の重合溶媒と同じであっても異なっていても良い。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることができる。
【0015】
不飽和結合を有するビニル共重合樹脂(A’)の水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、水素圧力3〜30MPa、反応温度60〜250℃でバッチ式あるいは連続流通式でおこなうことができる。温度が60℃未満の範囲であると反応時間がかかりすぎて実用的ではない。また250℃を超える範囲であると分子鎖の切断やエステル部位の水素化を起こしてしまう。
【0016】
水素化反応に用いられる触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウムなどの金属またはそれら金属の酸化物あるいは塩あるいは錯体化合物を、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、珪藻土などの多孔性担体に担持した固体触媒が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)としては、前記ビニル共重合樹脂(A)以外の樹脂であり、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを挙げることができる。これらは1種類単独かあるいは2種類以上を併せて用いることができる。好ましいのはポリカーボネート樹脂、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合樹脂を挙げることができる。
【0018】
本発明におけるビニル共重合樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)には各種添加剤を混合して使用することができる。添加剤としては、例えば、抗酸化剤、紫外線吸収剤、抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料などを挙げることができる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
【0019】
本発明における積層体の製造方法としては共押出による方法、接着剤を介して貼り合わせる方法などを用いることができる。共押出の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フィードブロック方式では、フィードブロックで(B)樹脂層の片方あるいは両方に(A)樹脂層を積層し、Tダイでシート状に押し出した後、成形ロールを通過させながら冷却し所望の積層体を形成する。またマルチマニホールド方式では、マルチマニホールドダイ内で(B)樹脂層の片方あるいは両方に(A)樹脂層を積層し、シート状に押し出した後、成形ロールを通過させながら冷却し所望の積層体を形成する。また、接着剤を介して貼り合わせる方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、一方の板状成形体にスプレー、刷毛、グラビアロールなどを用いて接着層を塗布し、そこへもう一方の板状成形体を重ねて接着層が硬化するまで圧着し、所望の積層体を形成する。
【0020】
また、共押出の際に(A)層と(B)層の間に接着樹脂(C)層を挟むこともできる。(A)層と(B)層の密着性を向上させるのに効果的である。
【0021】
本発明における熱可塑性樹脂積層体の厚みは0.1〜10.0mmの範囲である。0.1mm未満の範囲であるとバンク抜けによる転写不良や厚み精度不良が発生する場合がある。また10.0mmを超える範囲であると成形後の冷却ムラなどによる厚み精度不良や外観不良が発生する場合がある。好ましくは0.3〜5.0mmの範囲であり、さらに好ましくは0.5〜3.0mmの範囲である。
【0022】
本発明における熱可塑性樹脂積層体のビニル共重合樹脂(A)層の厚みは10〜500μmの範囲である。10μm未満の範囲であると耐擦傷性や耐候性が不足する場合がある。また500μmを超える範囲であると耐衝撃性が不足する場合がある。好ましくは30〜100μmの範囲である。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂積層体にはその片面または両面にハードコート処理、および/または反射防止処理、および/または防眩処理を施すことができる。ハードコート処理、反射防止処理、防眩処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱硬化性あるいは光硬化性皮膜を塗布する方法、誘電体薄膜を真空蒸着する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂積層体は耐衝撃性、耐熱性、耐候性、低吸水性、耐擦傷性に優れるという特徴を有している。これらは透明性基板材料、透明性保護材料などの光学物品として好ましく、特にOA機器・携帯電子機器の表示部前面板として好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂積層体の評価は以下のようにおこなった。
【0026】
<耐衝撃性試験>
JIS K 7211−1に準拠し、1±0.05kg(球形2号)の重錘を高さ1mから自由落下させ、試験片の裏面に達する割れの有無を評価する。試験片の裏面に達する割れが生じないものを良好とする。
【0027】
<高温高湿曝露試験>
試験片を10cm四方に切り出す。温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿槽の中に、試験片の角を支点として吊り下げ、その状態で72時間保持する。試験片を取り出し、外観変化の有無を評価する。外観変化のないものを良好とする。
【0028】
<耐候性試験>
試験片を15cm×7cmに切り出す。光源としてハリソン東芝ライティング社の褪色試験用水銀ランプH400−Fを用い、光源からの距離30cm、照射強度0.8mW/cm2、照射時間600時間で試験し、照射前後のYI値の差ΔYIを評価する。ΔYIが1未満の範囲を良好とする。
【0029】
<スチールウール試験>
(A)樹脂層の表面を、#0000のスチールウールに1kg重の荷重をかけて、幅5cm、速度5cm毎秒で20回往復摩擦したあとの傷の有無を評価する。傷が0〜10本の範囲を良好とする。
【0030】
合成例1
モノマー成分としてメタクリル酸メチル60.0188モル%とスチレン39.9791モル%、重合開始剤として0.0021モル%のt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートからなるモノマー組成物を、ヘリカルリボン翼付き10L完全混合槽に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合をおこなった。重合槽の液面が一定となるよう底部から連続的に抜き出し、脱溶剤装置に導入してペレット状のメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(樹脂A1)を得た。得られた樹脂A1をイソ酪酸メチルに溶解し、10wt%イソ酪酸メチル溶液を調整した。1000mLオートクレーブ装置に樹脂A1の10wt%イソ酪酸メチル溶液を500重量部、10wt%Pd/C触媒を1重量部仕込み、水素圧10MPa、200℃で15時間保持してスチレン部位を水素化した。スチレン部位の水素化反応率は96%であった。フィルターにより触媒を除去し、脱溶剤装置に導入してペレット状のメタクリル酸メチル−スチレン−ビニルシクロヘキサン共重合樹脂(樹脂A2)を得た。
【0031】
実施例1
軸径25mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、両押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて熱可塑性樹脂積層板を成形した。軸径25mmの単軸押出機に合成例1で得たビニル共重合樹脂(樹脂A2)を連続的に導入し、シリンダ温度250℃、吐出速度3kg/hの条件で押し出した。また軸径65mmの単軸押出機に三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のポリカーボネート樹脂ユーピロンE−2000(樹脂B1)を連続的に導入し、シリンダ温度270℃、吐出速度40kg/hで押し出した。両押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度260℃として樹脂A2と樹脂B1を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、樹脂A2と樹脂B1の積層体を得た。このときロールは上流側から温度120℃、140℃、180℃とした。得られた積層体の厚みは1.2mm、樹脂A2層の厚みは中央付近で80μmであった。耐衝撃性試験、高温高湿曝露試験、耐候性試験、スチールウール試験の結果は全て良好であった。
【0032】
実施例2
実施例1で使用したポリカーボネート樹脂ユーピロンE−2000(樹脂B1)の代わりに新日鐵化学(株)製のメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂エスチレンMS200(樹脂B2)を使用し、軸径65mmの単軸押出機のシリンダ温度250℃とし、フィードブロックの温度を250℃とし、Tダイの温度を260℃とした以外は実施例1と同様にして樹脂A2と樹脂B2の積層体を得た。得られた積層体の厚みは1.2mm、樹脂A2層の厚みは中央付近で80μmであった。耐衝撃性試験、高温高湿曝露試験、耐候性試験、スチールウール試験の結果は全て良好であった。
【0033】
比較例1
実施例1で使用したビニル共重合樹脂(樹脂A2)の代わりにクラレ(株)製のアクリル樹脂パラペットHR−1000L(樹脂A3)を使用し、シリンダ温度240℃とした以外は実施例1と同様にして樹脂A3と樹脂B1の積層体を得た。得られた積層体の厚みは1.2mm、樹脂A3層の厚みは中央付近で80μmであった。耐衝撃性試験、耐候性試験、スチールウール試験の結果は良好であったが、高温高湿曝露試験の結果は不良(反り、白化)であった。
【0034】
比較例2
比較例1で使用したポリカーボネート樹脂ユーピロンE−2000(樹脂B1)の代わりに新日鐵化学(株)製のメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂エスチレンMS200(樹脂B2)を使用し、シリンダ温度250℃とし、フィードブロックの温度を250℃とし、Tダイの温度を260℃とした以外は比較例1と同様にして樹脂A3と樹脂B2の積層体を得た。耐衝撃性試験、耐候性試験、スチールウール試験の結果は良好であったが、高温高湿曝露試験の結果は不良(歪み、白化)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)を含み、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル構成比が15:85〜85:15であるビニル共重合樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(B)の片面または両面に積層された熱可塑性樹脂積層体。
【化1】

(式中、R1は水素あるいはメチル基であり、R2は炭素数1〜16の炭化水素基である。)
【化2】

(式中、R3およびR4は独立して水素または炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。)
【請求項2】
式(2)中のR3が水素、R4がシクロヘキシル基であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂積層体。
【請求項3】
ビニル共重合樹脂(A)のガラス転移温度が110〜140℃の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂積層体。
【請求項4】
熱可塑性樹脂(B)がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
【請求項5】
熱可塑性樹脂(B)がメタクリル酸メチルとスチレンの共重合樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
【請求項6】
片面または両面にハードコート処理、反射防止処理、および防眩処理のいずれか一つ以上を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体からなる透明性基板材料。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体からなる透明性保護材料。

【公開番号】特開2009−196125(P2009−196125A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37851(P2008−37851)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】