説明

熱定着装置

【課題】トナー画像を熱により記録紙に定着させる定着器の温度をサーミスタの温度信号に基づいて制御する熱定着装置において、装置コストを上昇させることなく、サーミスタのコネクタの制御基板への挿し忘れ等を原因とする定着器の過昇温を防止することができる熱定着装置を提供すること。
【解決手段】本発明の熱定着装置は、記録紙に転写されたトナー画像を加熱圧接して記録紙に定着させる定着器1と、定着器1の温度を検出するサーミスタ2と、定着器1に電源を供給すると共にサーミスタ2の温度信号に基づいて定着器1の温度を制御する制御基板3と、基板3から定着器1への電源供給に使用される電源供給ラインをカバーの開動作により遮断するインターロックスイッチ4を備え、サーミスタ2のハーネスH1及びH2とスイッチ4の両側の電源供給ラインL1及びL2が集合コネクタ11により基板3に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱定着装置に関し、詳しくは、コピー機やファクシミリ装置等に使用される熱定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データの画像を記録紙に記録する画像形成装置では、記録紙に転写した画像データのトナー画像を記録紙に定着させるために定着器が使用される。この定着器は、記録紙が搬送される搬送路に対して対向する位置に、内部にヒータを内蔵した加熱ローラと、加熱ローラ方向に付勢された加圧ローラと、が配設されてなるものであり、トナー画像が転写された記録紙が搬送路に沿ってこれらのローラ間を搬送される際に、記録紙上のトナー画像を加熱圧接して記録紙に定着させる。
【0003】
このように、トナー画像を熱により記録紙に定着させる定着器を備えた装置としては、特許文献1に開示されている熱定着装置がある。特許文献1の熱定着装置50は、図6に示すように、ヒータ51を内蔵する加熱ローラ52と該加熱ローラ52方向に付勢された加圧ローラ53とを具備する定着器54、ヒータ51を駆動させるヒータドライバ部55、ヒータドライバ部55を介して定着器54に電源を供給するAC電源56、加熱ローラ52の表面温度を抵抗値として検出するサーミスタ57、該サーミスタ57によって検出された抵抗値に基づいてヒータドライバ部55等を制御する制御基板58等から構成されている。また、制御基板58は、サーミスタ57によって検出された抵抗値を電圧信号に変換する抵抗−電圧変換部60、該変換部60が変換した電圧信号とROM(Read Only Memory)61に格納されている電圧値−温度テーブルに基づいてヒータドライバ部55を制御するCPU(Central Processing Unit)62等を備えている。
【0004】
この熱定着装置50では、CPU62からの制御信号に基づいてヒータドライバ部55が定着器54のヒータ51を発熱させることにより、加熱ローラ52が加熱される。その際、サーミスタ57は、加熱ローラ52の表面温度に対応する信号(抵抗値)を抵抗−電圧変換部60へと出力し、抵抗−電圧変換部60は、前記信号を電圧信号に変換する。そして、CPU62が抵抗−電圧変換部60によって変換された電圧信号とROM61に格納されている電圧値−温度テーブルに基づいてヒータドライバ部55を制御することにより、加熱ローラ52の温度が目標温度に維持される。
【0005】
また、この熱定着装置50には、上記の構成に加えて、電源供給ラインと直列にヒータ51への電源供給を遮断するリレー64が介挿されるとともに、制御基板58上には、抵抗−電圧変換部60の出力を監視して加熱ローラ52の温度が目標温度を超えた場合にリレー64に給電停止信号を出力する過昇温検知部65、サーミスタ57を制御基板58に接続するためのコネクタ66の抜けを検知するコネクタ抜け検知部67等が設けられている。
【0006】
したがって、CPU62が正常に動作している場合のみならず、CPU62が暴走した場合であっても過昇温検知部65によりリレー64をオフさせて定着器54の過昇温を防止することができる。また、コネクタ66が挿し込まれていない場合にも、コネクタ抜け検知部67によりリレー64をオフさせて定着器54の過昇温を防止することができる。
【特許文献1】特開平11−344898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような熱定着装置50を備えた画像形成装置では、装置の組立てやサーミスタ57の交換を容易にするために、上記のようにサーミスタ57がコネクタ66によって制御基板58に接続される構成が一般的であるため、このコネクタ66の挿し忘れ等を防止するためにコネクタ抜け検知部67等を設ける必要があり、装置の構成が複雑化して装置コストが上昇するという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、トナー画像を熱により記録紙に定着させる定着器の温度をサーミスタの温度信号に基づいて制御する熱定着装置において、装置コストを上昇させることなく、サーミスタのコネクタの制御基板への挿し忘れ等を原因とする定着器の過昇温を防止することができる熱定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の熱定着装置は、記録紙に転写されたトナー画像を加熱圧接して前記記録紙に定着させる定着器と、該定着器の温度を検出するサーミスタと、前記定着器に電源を供給するとともに前記サーミスタの温度信号に基づいて前記定着器の温度を制御する制御基板と、前記制御基板から前記定着器への電源供給に使用される電源供給ラインをカバーの開動作により遮断するインターロックスイッチと、を備え、前記サーミスタのハーネスと前記インターロックスイッチの両側の前記電源供給ラインとが集合コネクタにより前記制御基板に接続されることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の熱定着装置は、請求項1に記載の熱定着装置において、前記インターロックスイッチの両側の電源供給ラインが前記集合コネクタの両端のピンに結線されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の熱定着装置によれば、集合コネクタが制御基板に挿し込まれていない場合には、電源供給ラインが遮断されるため、制御基板から定着器に電源が供給されない。したがって、集合コネクタ(サーミスタのコネクタ)の挿し忘れ等があったとしても、定着器の過昇温を防止することができる。なお、従来の装置のように、コネクタ抜け検知部等を設ける必要がないため、装置コストを上昇させることなく上記の機能を実現することができる。
【0012】
請求項2に記載の熱定着装置によれば、請求項1に記載の熱定着装置の効果に加えて、電源供給ラインが集合コネクタの両端のピンに結線されているため、集合コネクタが半挿しの状態で制御基板に挿し込まれ、サーミスタの温度信号が制御基板に転送されない場合には、電源供給ラインが確実に遮断(切断)される。したがって、請求項1に記載の熱定着装置に比べて、より確実に定着器の過昇温を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る熱定着装置を画像形成装置(コピー機)に具体化した場合について、図面に基づき説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱定着装置を具体化した画像形成装置の主にプリンタ部の概略構成を示した断面図である。
【0014】
この画像形成装置は、図示するように、記録紙に転写されたトナー画像を加熱圧接して記録紙に定着させる定着器1と、該定着器1の温度を検出するサーミスタ2と、定着器1に電源を供給するとともにサーミスタ2の温度信号に基づいて定着器1の温度を制御する制御基板3と、制御基板3から定着器1への電源供給に使用される電源供給ラインL1及びL2をカバー(不図示)の開動作により遮断するインターロックスイッチ4と、を備えている。
【0015】
定着器1は、加熱ローラ6と、該加熱ローラ6に圧接する加圧ローラ7と、加熱ローラ6を加熱するためのヒータ駆動回路8と、を備えている。加熱ローラ6は、薄肉化された金属(鉄、アルミニウム、ステンレス等)で中空構造に形成されており、その内部には定着器1を所定の温度に維持するためのヒータ(例えばハロゲンランプ)9が内蔵されており、ヒータ駆動回路8がヒータ9を駆動することによって該ヒータ9が発熱し、定着器1(加熱ローラ6)が加熱される。加圧ローラ7は、バネにより常に加熱ローラ6の方向に付勢されている。
【0016】
このように構成された定着器1は、記録紙が加熱ローラ6と加圧ローラ7との間を搬送される際に、加熱ローラ6の熱により記録紙上のトナー画像を加熱定着させると同時に加熱ローラ6と該加熱ローラ6方向に付勢された加圧ローラ7により加圧定着させる。なお、定着器1の温度、正確には、加熱ローラ6の温度を検出するサーミスタ2は、加熱ローラ6の周面に接触する位置に配設されている。
【0017】
サーミスタ2は、サーミスタ素子が耐熱シートで覆われたものであり、図2に示すように、2つのハーネスH1及びH2によって集合コネクタ11に接続されている。なお、ハーネスH1及びH2は、集合コネクタ11のピンにそれぞれ結線されている。この2つのハーネスH1及びH2のうち、ハーネスH1は、制御基板3から出力された駆動用電源(例えば3.3V)をサーミスタ2へ供給するためのものであり、ハーネスH2は、その電源によってサーミスタ2が検出した加熱ローラ6の温度信号(検出信号)を制御基板3に転送するためのものである。
【0018】
制御基板3は、画像形成装置の各部の動作を制御する制御部(CPU:Central Processing Unit)12、該制御部12によりこの画像形成装置の各部の動作が制御されるための各種プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)13、プリンタ部の各部へ例えば24Vの電源を供給するDC電源14等を備えている。制御部12は、サーミスタ2の温度信号に基づいて定着器1の温度を制御するものである。具体的には、定着器1の加熱ローラ6を駆動させるヒータ駆動回路8の動作を制御することにより、定着器1の温度を制御する。なお、ヒータ駆動回路8を含むプリンタ部の各部は、制御基板3上のDC電源14から供給される電源により動作する。
【0019】
インターロックスイッチ4は、制御基板3(制御部3上のDC電源14)から定着器1への電源供給に使用される電源供給ラインL1及びL2を、画像形成装置のメンテナンス時などに開かれるカバーの開動作により遮断するものである。このインターロックスイッチ4の両側の電源供給ラインL1及びL2は、サーミスタ2のハーネスH1及びH2と同様に集合コネクタ11のピンにそれぞれ結線されている。すなわち、集合コネクタ11には、サーミスタ2のハーネスH1及びH2とインターロックスイッチ4の両側の電源供給ラインL1及びL2の4本の電線が接続されている。
【0020】
なお、集合コネクタ11は、ここでは挿入側(雄型)のコネクタであり、前記制御基板3には、雄型の集合コネクタを挿し込むための受容側(雌型)のヘッダ(コネクタ)15が設けられている。したがって、集合コネクタ11がヘッダ15に挿し込まれることにより、ハーネスH1及びH2と電源供給ラインL1及びL2が制御基板3に接続される。すなわち、サーミスタ2とインターロックスイッチ4とが制御基板3と電気的に接続された状態となる。
【0021】
図3は、制御基板3のヘッダ15に挿し込まれた集合コネクタ11周辺の拡大図である。図示するように、制御基板3には、DC電源14から供給される電源をヘッダ15及び集合コネクタ11を介して電源供給ラインL1へと送る電源供給ラインL0と、集合コネクタ11及びヘッダ15を介して電源供給ラインL2と接続される電源供給ラインL3が設けられている。この説明から明らかなように、集合コネクタ11が制御基板3のヘッダ15に正しく挿し込まれ、且つインターロックスイッチ4がON状態では、DC電源14から電源供給ラインL0、電源供給ラインL1、インターロックスイッチ4、電源供給ラインL2、及び電源供給ラインL3を介してプリンタ部の各部へ24Vの電源が供給される。ここで、インターロックスイッチ4のON状態は、電源供給ラインL1と電源供給ラインL2が電気的に接続されている状態である。
【0022】
なお、このようにDC電源14からプリンタ部の各部へ電源が供給されている状態でプリンタ部へアクセスするためのカバーが開かれた場合、インターロックスイッチ4がOFF状態になり電源供給ラインが遮断される。これにより、ユーザやサービスマンは、紙ジャムの解除やメンテナンス等の作業を安全に行うことができる。ここで、インターロックスイッチ4のOFF状態は、電源供給ラインL1と電源供給ラインL2の電気的な接続が遮断されている状態である。
【0023】
また、図3に示すように、集合コネクタ11が制御基板3のヘッダ15に挿し込まれた状態では、サーミスタ2のハーネスH1及びH2が制御基板3上の制御部12と接続される。具体的には、サーミスタ2に駆動用電源(例えば3.3V)を供給するDC電源(DC電源14であってもよい)とハーネスH1が、そして、制御部12とハーネスH2がそれぞれ電気的に接続される。
【0024】
以下、画像形成装置のプリンタ部の構成について図1に基づいて説明する。プリンタ部は、上述した定着器1やサーミスタ2の他に、帯電器17、感光体ドラム18、露光器19、現像器20、転写器21、メモリ除去装置22等を備えている。
【0025】
帯電器17は、静電潜像が形成される前の感光体ドラム18の表面に電子やイオン等を作用させて一定の電位に均一に帯電させるためのものであり、ブラシローラ式の帯電器としての帯電ブラシ24と該帯電ブラシ24に所定のバイアス電圧を印加する帯電バイアス印加回路25から構成されている。なお、帯電器17は、ここではブラシローラ式のものであるが、コロナ放電式のものであってもよい。
【0026】
感光体ドラム18は、ドラム状に形成されたアルミニウム等の導電性支持体の表面に、例えばOPC(Organic Photo Conductor)、アモルファスシリコン、セレン等の感光層を形成して構成したものであり、この感光体ドラム18の表面に静電潜像が形成される。露光器19は、帯電器17によって一定の電位に均一に帯電された感光体ドラム18の表面に光を照射して帯電電荷を除去することにより、感光体ドラム18の表面に静電潜像を形成するための装置である。このための露光光学系としては、例えばLED(Light Emitting Diode)光学系や半導体レーザ光学系等を用いることができる。
【0027】
現像器20は、感光体ドラム18の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視のトナー画像とするための装置であって、帯電されたトナーを供給する供給ローラ26、供給ローラ26から供給されたトナーを感光体ドラム18の表面に付着させる現像ローラ27、現像ローラ27の外周面に付着したトナーの層厚を均一に規制するブレード28、これら各部に所定のバイアス電圧を印加する現像バイアス印加回路29等によって構成されている。この現像器20は、トナーを帯電させ、帯電したトナーを感光体ドラム18側へ搬送し、感光体ドラム18の表面の静電潜像にトナーを付着させるという3つの工程を行う。
【0028】
転写器21は、感光体ドラム18の表面に形成されたトナー画像を記録紙に転写させるものであって、具体的には、感光体ドラム18表面のトナー画像を記録紙に転写させる転写ローラ31と、転写ローラ31に所定のバイアス電圧を印加する転写バイアス印加回路32から構成されている。メモリ除去装置22は、記録紙に転写されることなく感光体ドラム18の表面に残った残留トナーを除去するためのものであり、メモリ除去ブラシ33と、該メモリ除去ブラシ33に所定のバイアス電圧を印加するメモリ除去ブラシ電圧印加回路34とから構成されている。
【0029】
また、画像形成装置は、制御部12、ROM13、プリンタ部の他に、図示しないが、設定情報や動作情報等の各種データを格納するRAM(Random Access Memory)、原稿の画像データを読取る原稿読取部、画像データを符号化(エンコード)・復号(デコード)するコーデック、画像データを蓄積する画像メモリ、ユーザが各種の操作を行うための入力キーなどを具備する操作部、及び各種の画面情報を表示するLCD等からなる表示部を備えている。
【0030】
上記のように構成された画像形成装置において、画像メモリから読み出された画像データの画像を記録紙(用紙)に記録する場合のプリンタ部におけるプリント動作は周知ではあるが、以下に説明する。なお、プリンタ部の各部の処理動作は、いずれも制御基板3上の制御部12の制御命令に従って行われるものである。また、プリンタ部の各部、ここでは、帯電バイアス印加回路25、露光器19、現像バイアス印加回路29、転写バイアス印加回路32、メモリ除去ブラシ電圧印加回路34、モータ(不図示)等は、制御基板3上のDC電源14から供給される電源(24V)によって動作するものである。
【0031】
モータは、感光体ドラム18、現像ローラ27、転写ローラ31、加熱ローラ6、加圧ローラ7等をそれぞれ所定の方向(図2中の矢印で示す方向)に回転させ、これに伴い帯電器17によって感光体ドラム18の表面が帯電される。そして、図示しない用紙カセットから用紙(記録紙)が搬入され、搬送路Pに沿って搬送される。
【0032】
続いて、露光器19は、回転する感光体ドラム18の表面に画像データに対応する光を照射して帯電電荷を除去することにより静電潜像を形成し、現像器20は、供給ローラ26によりトナーを帯電し、現像ローラ27により感光体ドラム18の表面の画像部(静電潜像)に帯電したトナーを付着させてトナー画像を形成する。そして、転写器21は、トナー画像が形成された面とは反対側の面からトナー画像と逆極性の電圧を印加して感光体ドラム18表面のトナー画像を吸着して記録紙に転写させる。トナー画像が転写された記録紙が搬送路Pに沿って更に搬送されると、定着器1は、記録紙上のトナー画像を加熱圧接し、トナー画像を記録紙に定着させる。そして、トナー画像が定着した記録紙は、更に搬送されて搬送路Pから排紙トレイ(不図示)へと排出される。
【0033】
少なくとも、このようなプリント動作が行われる間、DC電源14からヒータ駆動回路8へと電源が供給され、制御部12の制御命令に基づいて、供給された電源によってヒータ駆動回路8がヒータ9を駆動させて加熱ローラ6が加熱される。その際、サーミスタ2は、ハーネスH1を介して制御基板3側から供給される電源により加熱ローラ6の温度を検出し、その検出結果である温度信号をハーネスH2を介して制御基板3の制御部12へ転送する。
【0034】
これに対し、制御部12は、温度信号やROM13の制御プログラムに基づいて加熱ローラ6の温度が目標温度に達しているか否かを判断し、その判断結果に基づいてヒータ駆動回路8を制御する。このように、ヒータ駆動回路8に電源が供給されている間、制御部12がヒータ駆動回路8を制御することにより、加熱ローラ6の温度が目標温度に維持されるようになっている。
【0035】
この画像形成装置において、サーミスタ2の交換等のために集合コネクタ(サーミスタのコネクタ)11が制御基板3(制御基板3のヘッダ15)から外された場合、サーミスタ2から制御基板3へ温度信号が正常に転送されず、制御部12は加熱ローラ6の温度を実際よりも低く判断する。このように、制御部12が加熱ローラ6の温度を実際よりも低く判断した場合、ヒータ駆動回路8を正常に制御することができないために定着器1の過昇温が発生することが考えられるが、集合コネクタ11が制御基板3から外された場合には、インターロックスイッチ4の両側の電源供給ラインL1及びL2の接続が遮断される。具体的には、電源供給ラインL0と電源供給ラインL1との接続及び電源供給ラインL2と電源供給ラインL3との接続が遮断される。したがって、制御基板3上のDC電源14からヒータ駆動回路8へ電源が供給されず、定着器1の過昇温が発生するのを防止することができる。
【0036】
また、上記の説明から明らかなように、従来の装置にあるようなサーミスタのコネクタの抜けを検知するコネクタ抜け検知部や該検知部の検知結果に基づいて電源供給ラインを遮断するためのリレー等を設ける必要がない。よって、装置コストを上昇させることなく簡単な構成で定着器1の過昇温を防止することができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、この画像形成装置と第1の実施形態に係る画像形成装置は、集合コネクタ周辺の構成のみが異なるので、同一の構成のものには同一番号を付けてその説明を省略し、主に異なる点について以下で説明する。
【0038】
図4は、本発明の第2の実施形態における集合コネクタ36を示した図である。図1に示す第1の実施形態における集合コネクタ11と比較すると、集合コネクタ11では、端から順に電源供給ラインL1、電源供給ラインL2、ハーネスH1、ハーネスH2の4つの電線が接続されていたのに対して、集合コネクタ36では、端から順に電源供給ラインL1、ハーネスH1、ハーネスH2、電源供給ラインL2の4つの電線が接続されている点で異なっている。すなわち、集合コネクタ36には、インターロックスイッチ4の両側の電源供給ラインL1及びL2が両端のピンに結線されている。
【0039】
なお、集合コネクタ36に上記の順で4つの電線が接続されているため、集合コネクタ36が挿し込まれる制御基板3のヘッダ15には、それに対応して電源供給ラインL0、ハーネスH1と接続されるハーネス、ハーネスH2と接続されるハーネス、電源供給ラインL3の順で電線が結線されている。この集合コネクタ36は、集合コネクタ11と同様に、制御基板3のヘッダ15から外されると、ヒータ駆動回路8に電源が供給されず、定着器1の過昇温が発生するのを防止することができる。
【0040】
図5の(a)及び(b)は、制御基板3のヘッダ15に対して半挿しの状態で接続された集合コネクタ36を示した図である。(a)に示す状態では、電源供給ラインL1とハーネスH1が制御基板3と電気的に接続されておらず、ハーネスH2と電源供給ラインL2のみが制御基板3と電気的に接続されている。この状態では、ハーネスH1を介してサーミスタ2に電源を供給することができないため、ハーネスH2から制御基板3へサーミスタ2の温度信号は転送されない。したがって、制御部12は、加熱ローラ6の温度を判断することができないが、ここでは、電源供給ラインL1が電源供給ラインL0(不図示)と接続されていないため、制御基板3上のDC電源14とプリンタ部の各部への電源供給ラインは遮断されている。そのため、ヒータ駆動回路8には電源が供給されず、定着器1の過昇温が発生するのを防止することができる。
【0041】
図5の(b)に示す状態では、ハーネスH2と電源供給ラインL2が制御基板3と電気的に接続されておらず、電源供給ラインL1とハーネスH1のみが制御基板3と電気的に接続されている。この状態では、ハーネスH1を介してサーミスタ2に電源が供給されるが、ハーネスH2が制御基板3に接続されていないために、制御基板3へサーミスタ2の温度信号は転送されない。したがって、制御部12は、加熱ローラ6の温度を判断することができないが、ここでは、電源供給ラインL2が電源供給ラインL3(不図示)と接続されていないため、制御基板3上のDC電源14とプリンタ部の各部への電源供給ラインは遮断されている。そのため、ヒータ駆動回路8には電源が供給されず、定着器1の過昇温が発生するのを防止することができる。
【0042】
なお、第1の実施形態における集合コネクタ11についても、集合コネクタ36と同様に半挿しの状態となることが考えられるが、電源供給ラインL1又は電源供給ラインL2のいずれか一方でも制御基板3と電気的に接続されていない状態であれば、定着器1の過昇温の発生を防止することができる。但し、万一、ハーネスH2又はハーネスH2とH1の両方が制御基板3と電気的に接続されておらず、且つ、電源供給ラインL1とL2の両方が制御基板3と電気的に接続された状態となった場合には、ヒータ駆動回路8に電源が供給される可能性がある。これに対し、集合コネクタ36は、インターロックスイッチ4の両側の電源供給ラインL1及びL2が両端に接続されているので、サーミスタ2のハーネスH1又はH2のいずれか一方でも制御基板3と接続されない半挿し状態となった場合には、少なくとも、電源供給ラインL1又はL2のいずれかが制御基板3と電気的に接続されていない状態となる。したがって、集合コネクタ36によれば、集合コネクタ36が外されているときは勿論、半挿し状態で制御基板3に接続された場合にも定着器1の過昇温を防止することができる。
【0043】
なお、本発明の実施形態では、本発明に係る熱定着装置をコピー機能を備えた画像形成装置に適用した場合について説明したが、定着器(熱定着器)及びサーミスタを具備した装置であれば、適用できる装置はこれに限定されるものではなく、例えば、ファクシミリ機、コピー機能やファクシミリ機能を併せ持つ複合機等に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、トナー画像を熱により記録紙に定着させる定着器の温度をサーミスタの温度信号に基づいて制御する熱定着装置を備えたファクシミリ装置、コピー機、これらの複合機等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る熱定着装置を具体化した画像形成装置の主にプリンタ部の概略構成を示した断面図である。
【図2】サーミスタのハーネスとインターロックスイッチの両側の電源供給ラインとが接続された集合コネクタを示した図である。
【図3】制御基板のヘッダに挿し込まれた集合コネクタ周辺の拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の集合コネクタを示した図である。
【図5】制御基板のヘッダに対して半挿しの状態で接続された集合コネクタを示した図である。
【図6】従来の熱定着装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
1 定着器
2 サーミスタ
3 制御基板
4 インターロックスイッチ
11、36 集合コネクタ
H1、H2 ハーネス
L1、L2 電源供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に転写されたトナー画像を加熱圧接して前記記録紙に定着させる定着器と、該定着器の温度を検出するサーミスタと、前記定着器に電源を供給するとともに前記サーミスタの温度信号に基づいて前記定着器の温度を制御する制御基板と、該制御基板から前記定着器への電源供給に使用される電源供給ラインをカバーの開動作により遮断するインターロックスイッチと、を備え、
前記サーミスタのハーネスと前記インターロックスイッチの両側の前記電源供給ラインとが集合コネクタにより前記制御基板に接続されることを特徴とする熱定着装置。
【請求項2】
前記インターロックスイッチの両側の電源供給ラインが前記集合コネクタの両端のピンに結線されていることを特徴とする請求項1記載の熱定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−58440(P2006−58440A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238296(P2004−238296)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】