説明

燃料電池自動車構造

【課題】 燃料電池周辺を自然換気とした上で水素センサのタフネス対策を軽減することができる燃料電池自動車構造を提供する。
【解決手段】 車両のセンターコンソール39を支持する左右のセンターフレーム43と燃料電池2を搭載したサブフレーム50とを固定することで、車両の車幅方向中央部に前後端を開放した車両のセンタートンネル60を形成し、前記燃料電池2と該燃料電池2へ水素を供給する水素供給補機Dとを、前記センタートンネル60内に前後に並ぶように設けると共に、該センタートンネル60内の水素を検知する水素センサ62を前記センターコンソール39の上部内側に配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池自動車構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロアパネル下に燃料電池を配置した燃料電池自動車において、フロアパネルの下側に形成したセンタートンネルの上部内側に水素センサを配置すると共に、該水素センサの下方には燃料電池への空気供給配管のサイレンサ等を配置したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−252252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の技術は、フロアパネル下の燃料電池等の自然換気を可能とした上で、水素センサへ水や泥等がかかることを抑えるべく、該水素センサを水素透過性のケース内に収容する等のタフネス対策を施しているが、コストダウンを図るためにもこのような点の改善が要望されている。
そこでこの発明は、燃料電池周辺を自然換気とした上で水素センサのタフネス対策を軽減することができる燃料電池自動車構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、燃料電池(例えば実施例の燃料電池2)をサブフレーム(例えば実施例のサブフレーム50)に搭載し、該サブフレームを車両のフロアパネル(例えば実施例のフロアパネル35)下に取り付けた燃料電池自動車構造において、車両のセンターコンソール(例えば実施例のセンターコンソール39)を支持する左右のセンターフレーム(例えば実施例のセンターフレーム43)を、車両の前後方向に延びるように設け、前記センターフレームとサブフレームとを固定することで、車両の車幅方向中央部に前後端を開放した車両のセンタートンネル(例えば実施例のセンタートンネル60)を形成し、前記燃料電池と該燃料電池へ水素を供給する水素供給補機(例えば実施例の水素供給補機D)とを、前記センタートンネル内に前後に並ぶように設けると共に、該センタートンネル内の水素を検知する水素センサ(例えば実施例の水素センサ62)を前記センターコンソールの上部内側に配置したことを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、センターコンソールをセンタートンネルの上壁及び両側壁上部、センターフレームを両側壁下部、サブフレームを下壁として前後端を開放したセンタートンネルを形成し、該センタートンネル内に燃料電池及び水素供給補機を配置することで、燃料電池及び水素供給補機の周囲に外気を流通させることが可能となる。
また、燃料電池及び水素供給補機を収容するセンターコンソールの上部内側に水素センサを配置したことで、燃料電池や水素供給補機の周辺雰囲気中に水素が生じてもこれを良好に検知することができる。
しかも、水素センサの下方に燃料電池及び水素系補機、並びにサブフレームが位置することで、路面から跳ね上げられた水や泥等による影響を抑えることができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記燃料電池よりも後方に前記水素供給補機を配置し、前記水素供給補機の上方に前記水素センサを配置したことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、水素センサが水素供給補機と共に燃料電池の後方に位置することととなり、路面から跳ね上げられた水や泥等による影響をさらに抑えることができると共に、燃料電池及び水素供給補機の何れかから周辺雰囲気中に水素が生じても、これを一つの水素センサで検知することができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記センターコンソールは、前記水素センサを配置する部位を上方に膨出させたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、センターコンソールの上部におけるさらに上方に膨出させた部位、換言すればセンタートンネル内における最上部に水素センサが位置することとなり、該水素センサの検知精度をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、燃料電池及び水素供給補機の周囲の自然換気を行うことができ、水素センサの検知精度を高めることができ、水素センサに対する路面からの跳ね上げの影響を抑えた上でコストダウンを図ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、水素センサに対する路面からの跳ね上げの影響をさらに抑えることができ、共通の水素センサによって燃料電池及び水素供給補機の何れかから周辺雰囲気中に水素が生じてもこれを良好に検知することができる。
請求項3に記載した発明によれば、水素センサの検知精度をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【0012】
図1,2に示す燃料電池自動車1は、水素と酸素との電気化学反応によって発電を行う燃料電池スタック(以下、単に燃料電池ということがある)2を車体のフロア下に搭載するもので、該燃料電池スタック2により生じた電力で駆動モータ3を駆動して走行する。燃料電池スタック2は、単位燃料電池(単位セル)を多数積層してなる周知の固体高分子膜型燃料電池(PEMFC)であり、そのアノード側に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード側に酸化剤ガスとして酸素を含む空気を供給することで、電気化学反応により電力を生成すると共に水を生成する。
【0013】
ここで、図3を参照して燃料電池自動車1における燃料電池システムの概略を説明すると、まずコンプレッサ4により昇圧された酸素を含む空気は、加湿器5で加湿されて燃料電池2のカソードに供給され、発電に供された後には燃料電池スタック2(図では単位燃料電池のみを示す)から排出され、加湿源として加湿器5を通過した後に圧力制御弁6を介して排出される。一方、水素タンク7内の水素ガスは、レギュレータ8により減圧されてエゼクタ9を経由してアノードに供給され、余った水素ガスは燃料電池2から排出されてエゼクタ9に吸引され、この水素ガスが水素タンク7から送り出された新鮮な水素ガスと合流して再び燃料電池2に供給される。燃料電池2から排出される一部の水素ガスは希釈ボックス11(図4参照)に送られ、該希釈ボックス11内で圧力制御弁6を介して排出された反応後の空気と希釈処理された後に排出される。
【0014】
燃料電池スタック2は、単位燃料電池の積層方向を車両前後方向に沿わせるように配置されており、その縦方向(上下方向)の寸法が横方向(左右方向)の寸法よりも大きい縦置きレイアウトとされることで(図8参照)、その発電時における生成水の排出性を向上させている。
再び図1,2に示すように、例えばリヤシート34の下方には、上下高さを抑えた長方体状をなすバッテリ12が例えば左右に一対設けられる。このバッテリ12は、燃料電池自動車1の減速時等に駆動モータ3からの回生電力を蓄電する等の用途に用いられる。また、円筒状の外観をなすガスボンベとしての水素タンク7は、その軸線を車幅方向に沿わせるようにしてリヤシート34の斜め下後方に配置される。
以下、前記レギュレータ8及びエゼクタ9等を水素供給補機Dと総称し、加湿器5及び希釈ボックス11等を空気排出補機Eと総称することがある。
【0015】
駆動モータ3及びコンプレッサ4は、フロントサブフレーム50Fに搭載された状態で車体前部のモータルームMR内(エンジンルーム内、車両の前方領域A)における左右前輪31間に配置される。燃料電池2及び該燃料電池2のための補機(前記水素供給補機D及び空気排出補機E等)は、サブフレーム50に搭載された状態でフロアパネル35下(車両の床下領域B)における車幅方向中央部に配置される。水素タンク7は、前記各バッテリ12と共にリアサブフレーム50Rに搭載された状態で車体後部のリアフロア36下(車両の後方領域C)に配置される。なお、リアサブフレーム50Rにおける水素タンク7の両側には、懸架装置と共に左右後輪32がそれぞれ支持されている。
【0016】
駆動モータ3及びコンプレッサ4の前方には、燃料電池2等を循環する冷却水を冷却するためのラジエータ21が配置される。
図4を併せて参照して説明すると、燃料電池2の前端部には、ラジエータ21との間に渡る冷却水流出管22及び冷却水流入管23がそれぞれ接続される。冷却水流出管22には冷却水循環用のウォータポンプ24が配置され、冷却水流入管23には燃料電池2の冷間始動時にヒータ循環経路25を開閉する切り替え弁26が配置される。ヒータ循環経路25には例えば水素タンク7からの水素を燃焼させて発熱するヒータ27が配置され、燃料電池2の冷間始動時にはヒータ循環経路25を通過する冷却水が加温される。
【0017】
燃料電池2は、その後端部から水素ガス及び空気が供給されると共に、該後端部から前記希釈ボックス11に向けて反応済みガスが排出される。このように燃料電池2の後端部にガス供給口及び排出口を集約して配置すると共に、燃料電池2の前端部には冷却水の導出入口を集約して配置することで、燃料電池2に接続される各種配管設計の合理化を図っていると共に、燃料電池車両1としての冷却水の保有量を減少させて軽量化を図っている。
【0018】
図5に示すように、駆動モータ3の駆動又は回生は、車両の走行状況及び燃料電池2やバッテリ12からの電力量に応じてPDU13(Power Drive Unit)により制御される。PDU13は、FET等のスイッチング素子からなるインバータを備えてなるもので、前記バッテリ12や燃料電池2からの直流電力を所望の交流電力に変換したり電圧を調整したりする。燃料電池2とバッテリ12との間、及びバッテリ12と駆動モータ3との間においては、DC/DCコンバータ14により電圧調整がなされる。
【0019】
燃料電池2からの直流電力は、インバータ15を介して交流電力に変換されて所定の電力駆動部品へ供給されると共に、ダウンバータ16を介して降圧されて12Vバッテリ17へ供給される。ここで、前記所定の電力駆動部品とは、例えば前記コンプレッサ4、ウォータポンプ24、及び車室内エアコンのコンプレッサ28等である。また、12Vバッテリ17から電力を供給される12V負荷部品17aとしては、例えば前記各弁6,26、並びに各種灯火器等がある。ここで、図中符号18は、必要に応じて燃料電池2からの電力供給を制限するコンタクタボックスを示す。
【0020】
前記PDU13、DC/DCコンバータ14、インバータ15、ダウンバータ16、及びコンタクタボックス18等は、この燃料電池システム全体の運転制御を行うECU19(Electrical Control Unit、図7,8参照)に接続され、該ECU19がスロットル開度信号、ブレーキ信号、及び車速信号等に基づき前記各部品を駆動制御することで、燃料電池2における発電制御や駆動モータ3における回生電力制御等がなされる。
【0021】
図7に示すように、ダッシュロア37の下端部からリヤシート34の直前まで至るフロアパネル35の車幅方向中央部には、これを上方に膨出させて前後方向に延びるセンターコンソール39が形成される。センターコンソール39は、下方に開放する断面コの字状とされており、その下側の空間にセンタートンネル60を形成する。センタートンネル60は、センターコンソール39の前端部がダッシュロア37の下端部に突き当たることで、前記モータルームMR内に開放する。また、センタートンネル60の後端部は、リヤシート34下から車体後部へ至るリアフロア36下に開放されている。
そして、フロアパネル35を上方に膨出させたセンターコンソール39の下側の空間内(センタートンネル60内)に、前記サブフレーム50上に搭載された燃料電池スタック2及びその補機類が配置される。
【0022】
このように、燃料電池スタック2やその補機類が車幅方向中央部のセンタートンネル60内に配置されることで、燃料電池スタック2及びその補機類を車体側面から十分なクリアランスをもって配置することができ、特に側突対応を考慮した車体レイアウトを容易に実現することができる。また、燃料電池スタック2が、ポジション的にはフロアレベルよりも上側であって車室空間内のフロントシート33間に配置される一方、乗員の居住空間とはセンターコンソール39によって隔絶されているため、燃料電池スタック2を保護することができると共に、これに乗員が容易にアクセスできないようになっている。
【0023】
図6,8を併せて参照して説明すると、サブフレーム50は、例えば略水平に配された複数のビーム部材を一体に結合してなる。ここで、フロアパネル35下であって車幅方向両側のサイドシル41よりも車幅方向内側には左右サイドフレーム42が前後に延び、該両サイドフレーム42よりも車幅方向内側でかつセンターコンソール39の両下縁部にはこれを支持する左右センターフレーム43が前後に延びる。これら各サイドフレーム42及びセンターフレーム43に、サブフレーム50が例えばボルトナットを用いて締結される。このとき、センターコンソール39を上壁及び両側壁上部、センターフレーム43を両側壁下部、サブフレーム50を下壁部として、前後端を開放したセンタートンネル60を形成している。
【0024】
詳細には、サブフレーム50は、左右サイドフレーム42下においてこれらに沿って(前後方向に沿って)概ね燃料電池2の全長に渡るように延びる左右サブサイドフレーム51と、左右センターフレーム43下においてこれらに沿って(前後方向に沿って)サブサイドフレーム51よりも後方に長く延びる左右サブセンターフレーム52と、左右サブサイドフレーム51の前端部間又は後端部間に渡って車幅方向に沿って配されて左右サブサイドフレーム51及び左右サブセンターフレーム52を結合する前後サブクロスフレーム53,54と、左右サブサイドフレーム51後端部と左右サブセンターフレーム52後端部との間に渡って斜めに配される左右ガセットパイプ55と、左右サブセンターフレーム52後端部間に渡って車幅方向に沿って配されるエンドパイプ56と、左又は右のサブサイドフレーム51及びサブセンターフレーム52の各前後方向中間部間に渡って車幅方向に沿って配される前後中間パイプ57とを有してなる。
【0025】
左右サブサイドフレーム51における前後端部(前後サブクロスフレーム53,54との結合部)は、サイドフレーム42にボルトナット等を用いて結合される。一方、左右サブセンターフレーム52における前後端部(前サブクロスフレーム53及びエンドパイプ56との結合部)及び後サブクロスフレーム54との結合部は、センターフレーム43にボルトナット等を用いて結合される。前後サブクロスフレーム53,54の左右両側方には、サイドフレーム42とその車幅方向外側のサイドシル41との間に渡って設けられてこれらを一体に連結するアウトリガー44,45が配されており、サブフレーム50を取り付けた状態においては、車体における左右のサイドシル41、サイドフレーム42、及びセンターフレーム43が、各アウトリガー44,45及び前後サブクロスフレーム53,54を介して一体的に連結される。
【0026】
図7,8に示すように、サブフレーム50の下面側には、少なくともセンターコンソール39の下方を覆うアンダーカバー59が取り付けられる。そして、フロアパネル35下には、センターコンソール39、両センターフレーム43、両サブセンターフレーム52、及びアンダーカバー59により、車両前後方向に延びてその前端部がモータルームMR内に開放すると共に後端部がリアフロア36下に開放するセンタートンネル60が形成される。このようにセンタートンネル60の前後端が開放することで、その内部の燃料電池2及びその補機類の周辺が自然換気される。
【0027】
ところで、燃料電池自動車1においては、フロアパネル35(センターコンソール39を含む)がダッシュロア37に突き当たって前記センタートンネル60がモータルームMR内に開放しているが、このセンタートンネル60の前端部には、センタートンネル60内の燃料電池2等から生じた水素がモータルームMR内に流入することを抑制するべく、センタートンネル60内(床下領域B)の水素ガスのモータルームMR内(前方領域A)への移動を遮断する隔壁61が設けられている。
【0028】
ここで、センターコンソール39の上壁部分は、フロントシート33に着座する乗員の足元付近に位置する第一水平部38aから斜め上後方に向けて立ち上がる第一傾斜部(車両前方に向けて前下がりに傾斜する傾斜部)38bを連続形成し、かつその後方にフロントシート33のシートクッション33aの上面近くに位置する略水平な第一上壁部38cを連続形成する。また、センターコンソール39の上壁部分は、第一上壁部38cの後方に、フロントシート33のシートバック33bの前面手前で斜め上後方に向けて立ち上がる第二傾斜部38dを連続形成し、かつその後方にシートクッション33a上面よりも高い位置にてシートバック33bを前後に横断する略水平な第二上壁部38eを連続形成した後、下方に垂下する垂下壁部38fを介してリアシート34下のリアフロア36に連なる。前記隔壁61は、第一傾斜部33bの下側に設けられ、センタートンネル60内に生じた水素ガスのモータルームMR内への移動を遮断する。
【0029】
ここで、センタートンネル60内の前端側(燃料電池2の前方かつ第一傾斜部33bの下方)には、前記コンタクタボックス18が配置されている。このコンタクタボックス18は、例えばサブフレーム50上には搭載されず、サブフレーム50の直ぐ前方において車体フレーム側に直接搭載されている。
図9を併せて参照して説明すると、センターコンソール39内の前端部内には、コンタクタボックス18の上部を覆うように例えば発泡材Pが充填されており、該コンタクタボックス18及び発泡材Pをもって前記隔壁61が構成されている。
【0030】
図6に示すように、前記ヒータ27は、センタートンネル60内(車幅方向中央部)に位置する燃料電池2の右側におけるフロアパネル35下に配置される。一方、燃料電池2の左側におけるフロアパネル35下には前記DC−DCコンバータ14が配置される。
燃料電池2は、サブフレーム50上における左右サブセンターフレーム52間であって前後サブクロスフレーム53,54間に配置され、燃料電池2用の補機類は、左右サブセンターフレーム52間であって後サブクロスフレーム54とエンドパイプ56との間に配置される。また、ヒータ27及びDC−DCコンバータ14は、左又は右のサブサイドフレーム51及びサブセンターフレーム52間であって前後サブクロスフレーム53,54間に配置されて前後中間パイプ57に支持される。
【0031】
図7を併せて参照して説明すると、燃料電池2は、サブフレーム50上に直接搭載された状態で、その前後端部がブラケット等を介してサブフレーム50に固定される。また、燃料電池2の後方に位置する燃料電池2用の補機類の内、前記空気排出補機Eはサブフレーム50上に直接搭載され、前記水素供給補機Dは空気排出補機E上に配置される。
【0032】
センターコンソール39の上部後側は、その上壁部分が前記第二傾斜部38dを介してさらに上方に膨出することで、乗員用の肘掛等を支持する上部膨出部39aを形成しており、この上部膨出部39a内には、燃料電池2の制御装置である前記ECU19が配置される。このECU19は、燃料電池2の後端部上から水素供給補機D上に跨るように設けられており、該ECU19上であってセンターコンソール39の上部膨出部39aの上壁内面近傍(換言すればセンタートンネル60内の最上部)には、センタートンネル60内の水素を検知するための水素センサ62が配置される。水素センサ62は、車両前後方向では燃料電池2後端とその補機類前端との間の間隙の上方に位置している。このように燃料電池スタック2及びその補機の何れかから水素が生じた場合にも、これを共通の水素センサ62によって良好に検知することができる。また、路面から跳ね上げられた水や泥等に対して、比較的耐久性の高い補機から順に下側から配置しているので、より保護性を高めたい補機類の路面からの影響を抑えることができる。
【0033】
ここで、図5,8に示すように、燃料電池2の右側に配置されるDC−DCコンバータ14等の高電圧部品に接続される高圧配線63は、センターコンソール39内であって燃料電池2の下部右側と右センターフレーム43との間の間隙内にて前後に延びるように配策される。一方、ダウンバータ16を介して灯火器等の低電圧部品に接続される低圧配線64は、同じくセンターコンソール39内であって燃料電池2の下部左側と左センターフレーム43との間の間隙内にて前後に延びるように配線される。
【0034】
燃料電池2は、その外周が金属パネルで覆わることで電磁シールド性を有しており、このような燃料電池2を挟んで一側に高圧配線63が、他側に低圧配線64がそれぞれ配置されることで、高圧配線63から発生したノイズが低圧配線64に与える影響が抑制される。とりわけ、モータに対する高圧の電力を供給するDC−DCコンバータ14と低圧配線64とが燃料電池2を挟んで両側に配置されることで、低圧配線64に対するノイズの影響がより一層抑制される。
【0035】
以上説明したように、上記実施例における燃料電池自動車構造は、燃料電池2をサブフレーム50に搭載し、該サブフレーム50を車両のフロアパネル35下に取り付けた燃料電池自動車構造において、車両のセンターコンソール39を支持する左右のセンターフレーム43を、車両の前後方向に延びるように設け、前記センターフレーム43とサブフレーム50とを固定することで、車両の車幅方向中央部に前後端を開放した車両のセンタートンネル60を形成し、前記燃料電池2と該燃料電池2へ水素を供給する水素供給補機Dとを、前記センタートンネル60内に前後に並ぶように設けると共に、該センタートンネル60内の水素を検知する水素センサ62を前記センターコンソール39の上部内側に配置したことを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、センターコンソール39をセンタートンネル60の上壁及び両側壁上部、センターフレーム43を両側壁下部、サブフレーム50を下壁として前後端を開放したセンタートンネル60を形成し、該センタートンネル60内に燃料電池2及び水素供給補機Dを配置することで、燃料電池2及び水素供給補機Dの周囲に外気を流通させることが可能となり、該周囲の自然換気を行うことができる。
また、燃料電池2及び水素供給補機Dを収容するセンターコンソール39の上部内側に水素センサ62を配置したことで、燃料電池2や水素供給補機Dの周辺雰囲気中に水素が生じてもこれを良好に検知することができる。
しかも、水素センサ62の下方に燃料電池2及び水素系補機D、並びにサブフレーム50が位置することで、路面から跳ね上げられた水や泥等による影響を抑えることができる。
【0037】
また、上記燃料電池自動車構造においては、前記燃料電池2よりも後方に前記水素供給補機Dを配置し、前記水素供給補機Dの上方に前記水素センサ62を配置したことで、水素センサ62が水素供給補機Dと共に燃料電池2の後方に位置することととなり、路面から跳ね上げられた水や泥等による影響をさらに抑えることができると共に、燃料電池2及び水素供給補機Dの何れかから周辺雰囲気中に水素が生じても、これを一つの水素センサ62で検知することができる。
【0038】
しかも、上記燃料電池自動車構造においては、前記センターコンソール39は、前記水素センサ62を配置する部位を上方に膨出させたことで、センターコンソール39の上部におけるさらに上方に膨出させた部位、換言すればセンタートンネル60内における最上部に水素センサ62が位置することとなり、該水素センサ62の検知精度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施例における燃料電池自動車の側面説明図である。
【図2】上記燃料電池自動車の上面説明図である。
【図3】上記燃料電池自動車における燃料電池システムの概略構成図である。
【図4】上記燃料電池システムに係る部品の配置を示す下面説明図である。
【図5】上記燃料電池システムに接続される部品を含む構成説明図である。
【図6】上記燃料電池自動車の車体下面図である。
【図7】図6のS1−S1断面図である。
【図8】図6のS2−S2断面図である。
【図9】図7のS3−S3断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 燃料電池自動車
2 燃料電池
35 フロアパネル
39 センターコンソール
43 センターフレーム
50 サブフレーム
60 センタートンネル
62 水素センサ
D 水素供給補機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池をサブフレームに搭載し、該サブフレームを車両のフロアパネル下に取り付けた燃料電池自動車構造において、
車両のセンターコンソールを支持する左右のセンターフレームを、車両の前後方向に延びるように設け、前記センターフレームとサブフレームとを固定することで、車両の車幅方向中央部に前後端を開放した車両のセンタートンネルを形成し、前記燃料電池と該燃料電池へ水素を供給する水素供給補機とを、前記センタートンネル内に前後に並ぶように設けると共に、該センタートンネル内の水素を検知する水素センサを前記センターコンソールの上部内側に配置したことを特徴とする燃料電池自動車構造。
【請求項2】
前記燃料電池よりも後方に前記水素供給補機を配置し、前記水素供給補機の上方に前記水素センサを配置したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池自動車構造。
【請求項3】
前記センターコンソールは、前記水素センサを配置する部位を上方に膨出させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池自動車構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−15613(P2007−15613A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200633(P2005−200633)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】