説明

物体探索装置、物体探索システム及び無線通信端末

【課題】 予め探索対象物体(例えば、物品、生物、人間など)の位置情報を登録することなしに、その探索対象物体が現在何処にあるのかを明らかにする物体探索システムを提供する。
【解決手段】 本発明による物体探索システムは、探索対象物体を探索する物体探索装置と、探索対象物体に付けられている無線タグとを備える物体探索システムであって、物体探索装置は、無線タグと通信をする無線通信手段と、無線タグと電波を送受信する際の電波情報に基づいて無線タグとの間の距離を測定する手段と、距離を測定した測定位置の位置情報を取得する手段と、2以上の異なる測定位置において距離が測定されると、距離と測定位置の位置情報とに基づいて探索対象物体の位置を推定する手段と、推定された位置に関する情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体探索装置、物体探索システム及び無線通信端末に関し、例えば、日常生活や業務で使用するような物品の探索に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
人がどこにおいてしまったか分からないような物品、例えば、テレビのリモコン、ペン、電卓、ティッシュボックスなど、日常生活や業務で持ち歩いて使用するようなものが何処にいってしまったのかを探索するシステムとして、特許文献1に記載の情報処理装置がある。
【特許文献1】特開平10−198731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の情報処理装置では、予め、所定のID(識別情報)を有する無線タグを特定の場所にしまう際、当該IDとリンクした位置の情報を物体探索装置(端末側)若しくはネットワークでつながったサーバに記憶させておく必要があった。
【0004】
そこで、予め探索対象物体(例えば、物品、生物、人間など)の位置情報を登録することなしに、その探索対象物体が現在何処にあるのかを明らかにすることができる、物体探索装置、物体探索システム及び無線通信端末が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の本発明の物体探索装置は、(1)探索対象物体を探索する物体探索装置において、(2)上記探索対象物体に付けられている無線タグと通信をする無線通信手段と、(3)上記無線通信手段が、上記無線タグと電波を送受信する際の、電波情報に基づいて、当該物体探索装置と上記無線タグとの間の距離を測定する距離測定手段と、(4)上記距離測定手段が、上記距離を測定した、測定位置の位置情報を取得する測定位置情報取得手段と、(5)上記距離測定手段により、2以上の異なる上記測定位置において、上記距離が測定されると、上記距離と、上記測定位置の位置情報とに基づいて、上記探索対象物体の位置を推定する位置推定手段と、(6)上記位置関係推定手段が推定した、上記探索対象物体の位置に関する情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0006】
第2の本発明の物体探索装置は、(1)複数の異なる方向に指向を向けることができるアンテナと、(2)上記アンテナを介して、探索対象物体に付けられている無線タグと通信をする無線通信手段と、(3)上記無線通信手段が、上記無線タグと通信した際に、上記アンテナが電波を送信又は受信した方向を測定する方向測定手段と、(4)上記方向測定手段が測定した方向に、上記探索対象物体が存在すると推定する位置関係推定手段と、(5)上記位置関係推定手段が推定した方向に関する情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0007】
第3の本発明の無線通信端末は、第1又は第2の本発明の物体探索装置を搭載していることを特徴とする。
【0008】
第4の本発明の物体探索システムは、(1)第1又は第2の本発明の物体探索装置と、(2)探索対象物体に付けられている無線タグとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予め探索対象物体(例えば、物品、生物、人間など)の位置情報を登録することなしに、その探索対象物体が現在何処にあるのかを明らかにする物体探索システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による物体探索装置、物体探索システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0011】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の物体探索システムの全体構成を示すブロック図である。
【0012】
物体探索システム100は、物体探索装置110、無線タグ120を有している。
【0013】
無線タグ120は、物体探索装置110と無線通信により情報の授受が可能なタグであり、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)によるICタグなどが該当する。無線タグ120は、当該物体探索システムにおいて、探索対象の物品である探索対象物品130に付けられている。探索対象の物品としては、人がどこにおいてしまったか分からないような物品、例えば、テレビのリモコン、ペン、電卓、ティッシュボックスなど、日常生活や業務で持ち歩いて使用するようなものが挙げられる。又、探索対象は、物品に限らず、人間や、動物・植物などの生物であっても良く、何らかの物体であれば、その種類などは限定されないものである。
【0014】
又、無線タグ120は、例えば、探索対象が人間である場合には、探索対象の人間がポケットなどに入れて所持していても良いし、探索対象が犬などの動物である場合には、首輪に固定されていても良く、探索対象の位置と、無線タグの位置とが、一致していれば、探索対象に無線タグを付ける方法は限定されないものである。
【0015】
又、上述の図1においては、無線タグ120及び探索対象物品130は、1つしか記載されていないが、複数配置されていても良い。又、各無線タグ120は、ID情報などの識別情報を有し、物体探索装置110から、無線通信により要求があると上述のID情報を応答するようにしても良い。
【0016】
物体探索装置110は、探索対象物品130に付けられた無線タグ120と通信して、無線タグ120の位置を推定し、さらに、無線タグ120と同じ位置に、探索対象物品130も存在すると推定して、その位置に関する情報を出力するものである。
【0017】
物体探索装置110は、制御部111、位置測定部112、無線通信部113、アンテナ114、位置推定部115、入力部116、出力部117、物品情報記憶部118を有している。
【0018】
物体探索装置110は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成、及び、無線タグと通信をするためのインタフェースを有する装置(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)に、探索プログラム等をインストールすることにより構築されるものであるが、機能的には上述の図1のように示すことができる。
【0019】
制御部111は、物体探索装置110における各部の動作を制御するものである。
【0020】
位置測定部112は、当該物体探索装置110の位置を測定するものであり、例えば、加速度センサを備えて、当該物体探索装置110の位置に関して測定するものである。位置測定部112は、当該物体探索装置110の位置に関する情報を、制御部111を介して位置推定部14に与える。位置測定部112が備える加速度センサは、MEMS(Micro Electros Mechanical Systems)による加速度センサを用いても良い。又、三次元加速度センサであっても良いし、二次元加速度センサであっても良い。
【0021】
アンテナ114は、無線タグ120と通信するアンテナであり、例えば、全方位に電波を送受信する無指向性アンテナ(例えば、モノポールアンテナ)などにより構成しても良い。
【0022】
無線通信部113は、アンテナ114を介して、無線タグ120と通信するものである。又、無線通信部113は、無線タグ120との電波の送受信における、到来電波強度や到来電波時間などの電波情報に基づいて、当該物体探索装置110から、無線タグ120までの距離を測定し、測定結果の情報を、制御部111を介して位置推定部14に与える。
【0023】
以下、無線通信部113(アンテナ114)が、無線タグ120までの距離を測定する構成の例について説明する。
【0024】
無線通信部113が、無線タグ120に、応答を要求する信号(例えば、ID情報の返答を要求する信号)を含んだ電波を発信する。そして、電波が無線タグ120に到達すると、無線タグ120は、無線通信部113に応答の信号(例えば、当該無線タグ120のID情報を含んだ信号)を物体探索装置110に送信する。その際に、無線通信部113は、無線タグ120に対して電波を発信してから、応答の電波を受信するまでの間の応答時間を記録し、その間の時間に基づいて、当該物体探索装置110と、無線タグ120との距離を測定しても良い。例えば、応答時間が長いほど、当該物体探索装置110と、無線タグ120との距離が長いと判断しても良い。なお、無線通信部113において、無線タグ120までの距離を測定する際の空間分解能が30cm以下となる性能を具備することが好ましく、そのために、無線タグ120と、物体探索装置110との間の通信における無線通信帯域を1.5GHz以上の高周波帯で、500MHz以上の広帯域を用いることが好ましい。
【0025】
又、無線通信部113が、無線タグ120に電波を発信する際に、電波を発信している時刻に関する情報を含んだ信号を発信し、無線タグ120が、与えられた情報をそのまま応答するようにしても良い。これにより、無線通信部113では、無線タグ120からの応答の内容により、いつ発信した電波に基づいて応答しているのかを把握し、応答の電波を受信した時刻と比較することにより、無線タグ120との距離を測定する。又、無線通信部113が、無線タグ120に複数回電波を発信して、応答の電波を受信し、それぞれの測定結果の平均値を、無線タグ120との距離として用いても良い。
【0026】
又、無線通信部113では、無線タグ120からの応答の電波の強度に基づいて、無線タグ120との距離を測定しても良い。例えば、無線タグ120からの応答の電波が強いほど、無線タグ120との距離が短いと判断しても良い。
【0027】
又、探索対象となる探索対象物品130に付けられた無線タグ120のID情報などの識別情報を、無線通信部113に、予め設定し、設定したID情報の無線タグ120との距離のみを測定し、他のID情報の無線タグ120との距離は測定しないようにしても良い。この場合、無線タグ120が応答する際に、当該無線タグのID情報などの識別情報を含んだ信号を応答させ、無線通信部113では、設定したID情報の無線タグ120との距離のみを測定する。無線通信部113に設定する無線タグ120のID情報は、後述する入力部116に入力される情報に基づいて設定しても良い。
【0028】
以上のように、無線通信部113は、無線タグ120との距離を測定する。
【0029】
位置推定部115は、位置測定部112、無線通信部113から与えられた情報に基づいて、無線タグ120の存在する位置、すなわち、探索対象物品130の位置を推定するものである。
【0030】
図2は、位置推定部115において、無線タグ120の位置を推定する方法の例について説明した説明図である。
【0031】
図2に示すように、位置推定部115において、無線タグ120の存在する位置の推定は、異なる3つ以上の測定位置から、無線タグ120までの距離を測定した結果に基づいて推定する3点測量により行っても良い。位置推定部115において、測定位置1、2、3の位置関係については、位置測定部112から与えられた情報を用いて把握する。例えば、測定位置1において位置測定部112を起動し、測定位置2、3と、当該物体探索システム100を移動させていけば、測定位置1を基準点として、測定位置2、3、及び現在位置との位置関係が把握される。又、それぞれの測定位置から、無線タグ120への距離は、それぞれの測定位置に物体探索装置110を移動させたときに、上述の無線通信部113(アンテナ114)により、測定した情報を用いる。なお、位置推定部115において、無線タグ120の位置を推定する際に、各測定位置の間の距離は、上述の無線通信部113において、無線タグ120までの距離を測定する際の空間分解能の距離以上離れていることが好ましい。
【0032】
物品情報記憶部118は、探索対象となる探索対象物品130及び、当該探索対象物品130に付けられた無線タグ120に関する情報を記憶する記憶手段である。物品情報記憶部118には、例えば、探索対象物品130の名称や全体の形態を示す画像データ、付けられた無線タグ120のID情報等の情報を記憶する。探索対象物品130の形態を示す画像データは、例えば、物体探索装置110が、デジタルカメラなどの画像を撮影する手段を有して、当該デジタルカメラにより撮影した画像データを用いても良い。
【0033】
図3は、入力部116は、物体探索装置110における、ユーザとのインタフェース、すなわち、入力部116、出力部117の例について示した説明図である。
【0034】
入力部116は、制御部111の制御に基づき物体探索装置110において、ユーザからの情報を読み込むためのインタフェースであり、上述の図3のようにボタンを有するものであっても良いし、マウスやタッチパネルなどであっても良く、その入力する手段は限定されないものであるが、ここでは、上述の図3に示すものとして説明する。なお、ここでは、入力部116は、例えば、上述の図3に示すように、サーチボタン、テンキー、登録ボタンなどのボタンを有するものとする。
【0035】
出力部117は、制御部111の制御に基づき、物体探索装置110において、ユーザへ情報を出力する手段であり、例えば、上述の図3のようにディスプレイ等の表示装置に表示出力させても良いし、ディスク装置等の記憶装置に記憶させたり、音声出力させたり、プリンタ等の印刷装置に印刷出力させたりする構成としてもよく、その出力方法は問われないものである。ここでは、出力部117は、例えば、上述の図3に示すようにディスプレイ表示するものとする。
【0036】
以下、入力部116、出力部117における、入出力の例について説明する。
【0037】
例えば、ユーザが、当該物体探索装置110を持って移動し、それぞれの測定位置(上述の図3参照)において、入力部116のサーチボタンを押下すると、当該位置における、位置に関する情報が位置測定部112から位置推定部115へ与えられる。又、無線通信部113において、当該物体探索装置110から無線タグ120までの距離が測定され、その情報が、位置推定部115に与えられる。又、3回以上、入力部116のサーチボタンを押下したときには、位置推定部115においては、探索対象となる無線タグ120の位置を推定し、出力部117が情報を出力する。
【0038】
ユーザにより、入力部116のサーチボタンが押下される度に、当該物体探索装置110の現在位置と、過去に測定を行った測定位置、探索対象となる無線タグ120の位置に関する情報を上述の図3に示すように、出力部117のディスプレイに出力させるようにしても良い。例えば、上述の図3に示すように、それぞれの測定位置を星印により表示しても良い。又、例えば、上述の図3に示すように、それぞれの測定位置における高さの情報を、エラーバーなどのグラフにより表示しても良い。又、出力部117では、物品情報記憶部118に記憶された探索対象物品130の全体の画像を併せて表示させても良い。
【0039】
なお、ここでは、出力部117により、ユーザへ無線タグ120の位置に関する情報を出力する方法の例として、上述の星印やエラーバーを用いた方法を説明したが、方向や位置を数値のみによって表示する方法などでもよく、ユーザが無線タグ120(探索対象物品130)の位置を認識することができる方法であれば、その出力方法は限定されないものである。
【0040】
又、入力部116では、探索対象となる探索対象物品130に関する情報をユーザに入力させて読み込み、制御部111において、読み込んだ情報に基づいて、探索対象となる無線タグ120のID情報を特定し、特定したID情報を、無線通信部113に与えて設定しても良い。例えば、物品情報記憶部118に記憶された、探索対象物品130の画像を、出力部117にディスプレイ表示させ、さらに入力部116のテンキーの押下に応じて、表示する探索対象物品130の画像を切替え、探索対象となる探索対象物品130を特定しても良い。そして、制御部111において、物品情報記憶部118に記憶された情報に基づいて、探索対象として特定された探索対象物品130に、付けられた無線タグ120のID情報を取得しても良い。又、探索対象物品130に関する情報として、無線タグ120のID情報を直接ユーザにより入力部116のテンキーに入力させて読み込んでも良い。
【0041】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する物体探索システムにおける、探索対象物品130(無線タグ120)の探索の動作を説明する。
【0042】
図4は、第1の実施形態の物体探索装置における、探索の動作を示したシーケンス図である。
【0043】
まず、ユーザから入力部116のテンキーなどにより、探索対象となる探索対象物品130に関する情報が入力されると、読み込んだ情報に基づいて、制御部111では、探索対象となる探索対象物品130に付けられた無線タグ120のID情報が取得される。そして、制御部111から、無線通信部113へ、取得したID情報が与えられる(S101、S102)。
【0044】
次に、ユーザにより入力部116のサーチボタンが押下されると、無線通信部113から周辺の無線タグ120に電波が発信される。そして、無線タグ120からの応答時間などに基づいて、当該物体探索装置110と、無線タグ120との距離が測定され、測定された距離の情報が、制御部111、位置推定部115に与えられる。なお、無線通信部113において、距離測定の対象となる無線タグ120は、上述のステップS102において取得されたID情報を有する無線タグ120のみである。又、位置測定部112が起動され、加速度センサにより、当該物体探索装置110の位置の測定が開始される。又、制御部111により、出力部117が制御され、ディスプレイに1回目の測定位置を示す星印が表示される(S103)。
【0045】
次に、当該物体探索装置110を所持したユーザが移動し、入力部116のサーチボタンが押下されると、上述のステップS103と同様に、無線通信部113により、無線タグ120との距離が測定され、距離の情報が、制御部111、位置推定部115に与えられる。又、1回目の測定位置(上述のステップS103における位置)と、現在の当該物体探索装置110の位置との相対的な位置に関する情報が取得され、制御部111、位置推定部115に与えられる。そして、制御部111により、出力部117が制御され、ディスプレイに、2回目の測定位置との位置関係を示す星印、及び、高さを示すエラーバーが、さらに表示される(S104)。
【0046】
次に、当該物体探索装置110を所持したユーザがさらに移動し、入力部116のサーチボタンが押下されると、上述のステップS104と同様に、無線通信部113において、無線タグ120との距離が測定され、距離の情報が、制御部111、位置推定部115に与えられる。そして、位置測定部112では、1回目の測定位置(上述のステップS103における位置)と、現在の当該物体探索装置110の位置との相対的な位置に関する情報が取得され、制御部111、位置推定部115に与えられる。そして、制御部111により、出力部117が制御され、ディスプレイに3回目の測定位置との位置関係を示す星印、及び、高さを示すエラーバーが、さらに表示される(S105)。
【0047】
そして、位置推定部115では、上述のステップS103〜S105において、位置測定部112から与えられた位置に関する情報及び、無線通信部113から与えられた無線タグ120との距離に関する情報とに基づいて、当該物体探索装置110と探索対象物品130(無線タグ120)との相対的な位置が推定され、推定された位置に関する情報が、制御部111に与えられる(S106)。
【0048】
そして、制御部111により、出力部117が制御され、上述の図3に示すように、ディスプレイに、当該物体探索装置110の現在位置(ここでは、3回目の測定位置が現在位置となる)と、探索対象物品130(無線タグ120)の推定位置との位置関係を示す四角印及び高さを示すエラーバーが、さらに表示される(S107)。
【0049】
以上のように、物体探索装置110では、探索対象となる探索対象物品130(無線タグ120)の位置が推定され、出力部117に推定された位置に関する情報が出力される。
【0050】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0051】
物体探索システム100を用いることで、ユーザは、無線タグ120を探索対象物品130に付けるだけで、何時でも何処でも手軽に、探索対象物品130を探すことができる。
【0052】
特許文献1に記載の情報処理装置や、導線検知や物探し、人探しなどでは、固定局(1つの位置に固定された無線局)を作る必要があるため、大掛かりな設備や工事が必要であったり、固定局が設置された周辺の特定の領域だけでしか、物品探索することができないが、本発明の物体探索システム100では、物体探索装置110はユーザが所持して移動することができるので、何時でも何処でも物品探索することができる。
【0053】
又、出力部117において、探索対象物品130の全体の画像を併せて表示させることにより、ユーザ自身も探索対象物品130がどのような形態なのか知らない場合であっても、探索することができる。これにより、予めID番号が特定されていれば、例えば、本人でなくても誰でも物探しの協力をできる。
【0054】
又、固定局と探索対象の無線タグ120との間に遮蔽物があるような場合は、固定局からではシャドーゾーン(電波が届かず探索できない領域)が生じてしまうが、本発明では、物体探索装置110の移動によって得られた受信が可能な位置のデータのみを用いればよいので、シャドーゾーンを取り除くことができる。
【0055】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による物体探索装置、物体探索システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0056】
(B−1)第2の実施形態の構成
図5は、この実施形態の物体探索システム200の全体構成を示すブロック図である。
【0057】
物体探索システム200は、物体探索装置210、無線タグ220を有している。第2の実施形態の物体探索システム200は、第1の実施形態の物体探索システム100とほぼ同様の構成を有しているので詳しい説明を省略し、以下、第1の実施形態との差異について説明する。
【0058】
無線タグ220については第1の実施形態とほぼ同様のものであるので、その説明を省略する。
【0059】
物体探索装置210は、制御部211、位置測定部212、無線通信部213、アンテナ214、位置推定部215、入力部216、出力部217、物品情報記憶部218を有している。
【0060】
第1の実施形態の物体探索装置110との主な差異は、アンテナにより無線タグへ電波を発信して、無線タグとの位置関係を測定する構成と、無線タグの位置推定の方法である。
【0061】
図6は、第1の実施形態と第2の実施形態における無線タグの位置推定の方法の差異について説明した説明図である。第1の実施形態の物体探索装置110において、無線通信部113(アンテナ114)は、当該物体探索装置110から全方位へ向けて電波を発信し、無線タグ120との距離を測定していた(図6(A)参照)が、第2の実施形態の無線通信部213(アンテナ214)では、電波を指向性ビームとして、複数の異なる方向に発信し、無線タグ220からの応答があった方向に無線タグ220が存在すると推定し、さらに、無線タグ220と電波を送受信する際の、電波情報に基づいて無線タグ220との距離を推定する(図6(B)参照)点で異なっている。
【0062】
図7は、アンテナ214の構成の例を示した説明図である。アンテナ214において、送信アンテナ(複数の方向に指向性ビームの電波を発信するアンテナ)としては、例えば、図7に示すように、1つの方向に指向性ビームの電波を発信できるアレイアンテナ(アダプティブ アレイ アンテナ)に、可動機構を備え、受信アンテナの周囲で回転運動を行いながら、電波を発信する構成としても良い。なお、上述の図7においては、アレイアンテナを2つ回転させる構成となっているが、回転させるアレイアンテナは1つでも良いし、3以上であってもよく、その数は限定されないものである。又、指向性ビームの電波を発信する構成は、例えば、複数の方向に指向性ビームとして電波を発信できるアレイアンテナであっても良い。又、アンテナ214において、受信アンテナ(無線タグ220からの応答の電波を受信するアンテナ)としては、例えば、図7に示すように、全方位から電波を受信する無指向性アンテナ(例えば、モノポールアンテナなど)を有しても良い。
【0063】
なお、アンテナ214が発信する指向性ビームは、15度以下のビーム幅(ビームの中心軸付近と、中心軸から15度程度はずれた付近との電波の強度の減衰が3db程度)であることが望ましい。又、アンテナ214は、指向性ビームのビーム幅を調節する手段を有しても良い。例えば、アンテナ214がアレイアンテナで構成されており、無線タグ220の存在する方向を更に絞ることが必要な場合には、アレイアンテナが展張(アンテナ長を伸ばす)する構造を有することにより、指向性ビームのビーム幅を、更に極限することができる。
【0064】
無線通信部213においては、例えば、無線通信部213(アンテナ214)では、電波を送信する方向によって切り分けられたデータ(例えば、電波の送信時刻)を含む電波を、複数の方向に発信することにより、どの方向から応答が帰ってきたかを判定しても良い。
【0065】
以下、無線通信部213(アンテナ214)が、無線タグ220の存在する方向及び距離を測定する方法の例について説明する。
【0066】
まず、無線通信部213(アンテナ214)から、無線タグ220に向けて電波を発信する際に、電波を発信した時刻に関する情報を含めて送信する。又、図示は省略しているが無線通信部213では、どの時刻にどの方向に電波を発信したのかの情報を記憶する手段を有し、電波を発信する都度記憶する。そして、物体探索装置210から電波を発信された無線タグ220は、物体探索装置210から与えられた上述の時刻に関するデータを含めて、物体探索装置210に応答する。そして、無線通信部213では、無線タグ220から応答された電波を受信すると、無線タグ220から与えられた上述の時刻に関する情報に基づいて、どの方向に発信した電波に対する応答なのかを判断し、応答のあった方向に無線タグ220が存在すると判断する。
【0067】
又、当該物体探索装置210と、無線タグ220との距離を測定する際には、無線タグ220から与えられた上述の時刻に関する情報と、現在時刻とに基づいて、測定しても良いし、無線タグ220からの応答の電波の強度に基づいて、測定しても良い。例えば、応答時間が長いほど、当該物体探索装置210と、無線タグ220との距離が長いと判断しても良い。又、例えば、無線タグ220からの応答の電波が強いほど、無線タグ220との距離が短いと判断しても良い。
【0068】
以上の例のように、第2の実施形の無線通信部213では、無線タグ220が存在する方向及び距離を測定する。
【0069】
位置推定部215は、位置測定部212、無線通信部213から与えられた情報に基づいて、当該物体探索装置210の存在する位置と、無線タグ220の存在する位置との、相対的な位置を推定するものである。又、位置推定部215は、無線通信部213及び位置測定部212から、測定結果の情報が複数与えられた場合には、与えられた複数の情報に基づいて、無線タグ220の存在する位置を推定しても良い。例えば、複数の測定結果から推定されるそれぞれの位置の重心を、無線タグ220の存在する位置と推定することなどが挙げられる。
【0070】
入力部216は、第1の実施形態の入力部116とほぼ同様のものであるので詳しい説明を省略するが、アンテナ214が、指向性ビームのビーム幅を調節する手段を有している場合には、ビーム幅の大小を調節するための入力手段として、例えば、大小を調節するボタンを有しても良い。
【0071】
出力部217は、第1の実施形態の出力部117とほぼ同様のものであるので詳しい説明を省略するが、第2の実施形態の物体探索装置210は、一箇所の測定位置のみでも無線タグ220の位置を推定することができるため、複数の測定結果に基づいて無線タグ220の位置を推定する場合にのみ、過去の測定位置ごとにその位置を表示する構成としても良い。
【0072】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する物体探索システムにおける、探索対象物品230(無線タグ220)の探索の動作を説明する。
【0073】
図8は、物体探索装置210が、無線タグ220の位置を推定する動作について説明したシーケンス図である。
【0074】
まず、物体探索装置210の制御部211において、探索対象の探索対象物品230に付けられた無線タグ220の有するID情報が取得されるが、その処理は、上述の図4における、ステップS101、S102と同様の処理であるので説明を省略する(S201、S202)。
【0075】
次に、ユーザから入力部216に、探索を開始する信号が入力(例えば、上述のサーチボタンが押下)されると、アンテナ214において、アレイアンテナの回転が開始され、無線通信部213(アンテナ214)と無線タグ220との間で通信が行われる。そして、無線通信部213(アンテナ214)において、当該物体探索装置210から、無線タグ220への方向及び距離が測定される(S203)。
【0076】
次に、位置推定部215において、探索対象物品230(無線タグ220)の存在する位置が推定され、存在すると推定される位置に関する情報が、制御部211に与えられる(S204)。
【0077】
そして、制御部211により、出力部217が制御され、ディスプレイに、当該物体探索装置210の現在位置と、探索対象の無線タグ220の推定位置との位置関係を示す情報が表示される(S205)。
【0078】
図9は、物体探索システムに200おいて、無線タグ(探索対象物品)の位置を絞り込む方法を説明した説明図である。
【0079】
上述のステップS203〜S205により、無線タグ220の大凡の位置が判断できたところで、当該物体探索装置210を所持したユーザが、その方向に移動し、さらに、上述のステップS203〜S205の処理を行って、探索対象物品230(無線タグ220)の存在する方向及び距離を更に絞りこみ、ユーザが探索対象物品230を見つけるまで繰り返しても良い(図9(A)参照)。又、アンテナ214が、指向性ビームのビーム幅を調節する手段を有している場合には、ビーム幅を更に極限する調整を行い(例えば、入力部216のボタン操作などにより調節を行う)、同様に、上述のステップS203〜S205の処理を行い、探索対象物品230(無線タグ220)の存在する方向及び距離を更に絞りこんでも良い(図9(B)参照)。
【0080】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0081】
アンテナ214では、送信アンテナ(1つの方向に指向性ビームの電波を発信できるアレイアンテナ)について、受信アンテナの周囲を回転させ、複数の方向に指向性ビームの電波を発信することで、探索対象物品230に付けられた無線タグ220のある程度の方向を定めることができる。このとき、アンテナ214が、アレイアンテナである場合、小さなアレイ素子を緻密に並べ、整相などをして、全方位について方向を求めるものである必要はなく、安価(低コスト)に全方位に電波を発信するアンテナを構築することができる。又、送信アンテナについて、受信アンテナの周囲を回転させることで、電波の送受信をより近い位置で行うことができ、無線タグとの通信において応答時間の正確な測定や、アンテナを小型化することができる。
【0082】
又、第1の実施形態では、無線タグ120の位置推定にあたって3点以上の測定位置に物体探索装置110を移動させて無線タグ120と通信する必要があったが、第2の実施形態においては、1箇所での測定のみで、無線タグ220の位置を推定することができる。例えば、ある程度広い領域において大体どのあたりに何があるとか、どういう人たちがいるとかいったことを一点から把握したい場合、席に座ったまま大凡の方向を特定することができる。
【0083】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0084】
(C−1)上述の各実施形態において、位置測定部は、加速度センサを有しているが、加速度センサに接続するアンプの熱雑音などのために位置情報精度が劣化する場合がある。
【0085】
これを回避するために、位置測定部において、加速度センサ自体に所定以上の回転運動をさせて、データを周期的にサンプリングし、その周期で検波しても良い。これにより、図10に示すように、ベースバンド(基本波)の加速度信号を、雑音が存在する帯域よりも高域に持ち上げて解析できるので、加速度信号以外の雑音成分を除去することができる。なお、加速度センサを回転させる速度は100Hz以上とすることが好ましい。
【0086】
又、例えば、入力部において、加速度センサに上述の回転をさせるボタンを設け、ユーザが当該ボタンを押下した場合に、加速度センサを回転させ、高精度の位置検出を行うようにしても良い。
【0087】
又、第2の実施形態では、上述の図7に示すように1つの方向に指向性ビームとして電波を発信できるアレイアンテナに、可動機構を備え、回転運動を行いながら、無線タグ220に電波を発信する構成を例として挙げているが、図11に示すように、アレイアンテナ(送信用アンテナ)と、位置測定部の加速度センサを1つのユニットとして回転させる構成としても良い。これにより、上述と同様に加速度センサ自体に所定以上の回転運動をさせて上述と同様に加速度信号以外の雑音成分を除去することができる。
【0088】
(C−2)上述の各実施形態における、物体探索装置を、携帯電話端末やトランシーバー、コードレス電話端末などの無線通信端末に適用しても良い。これにより、ユーザは他の機器を携帯することなく、何時でも自分の探したい物を探索することができる。例えば、第1の実施形態の物体探索装置110を携帯電話端末に適用した場合について以下説明する。
【0089】
ユーザが、自分が持ち歩いて使用するようなものに無線タグを貼り付けて、物品情報記憶部118には、その無線タグのID情報と、携帯電話端末の有するデジタルカメラ等で撮影された、探索対象物品130の画像をリンクさせた情報を記憶させておく。そして、ユーザが、探索対象物品130を紛失した際に、物体探索装置110を有する携帯電話端末を手に持って、入力部116における探索を開始するボタン(例えば、上述の入力部116のサーチボタンに相当するボタン)を押下する。さらに、場所を移動してもう探索を開始するボタンを押下することを2回以上繰り返し、位置推定部115により推定された無線タグ120の位置を、携帯電話端末のディスプレイに表示させることにより、ユーザに紛失した探索対象物品130の位置を認識させる。又、ユーザが更に詳細な無線タグ120の位置を知りたい場合には、場所を移動して探索を開始するボタンを押下する際に、しゃがんだり、どこかに上ったりして空間的に(三次元で)移動することにより、より詳細な無線タグ120の位置を推定することができる。
【0090】
(C−3)上述の各実施形態における、物体探索装置を、例えば、携帯電話端末などの小型の無線通信端末に適用した場合には、搭載するアンテナのアンテナ長が短いほど小型化には好ましいが、アンテナ長は、物体探索装置と無線タグとの間で通信する電波の周波数と関連している。そこで、物体探索装置におけるアンテナ長及び、無線タグとの間で通信する電波の周波数は、以下のような計算値に基づいて決定し、構築しても良い。
【0091】
図13は、無線タグとの通信に用いる電波の周波数帯と、物体探索装置側で必要なアンテナ長との関係を、計算値により示したグラフである。なお、第1の実施形態のアンテナ114がモノポールアンテナであった場合のアンテナ長L(図12(A)参照)は、以下の(1)式により算出されたものである。
【0092】
又、第2の実施形態のアンテナ214において、アンテナ214が、上述の図7のようなアンテナであった場合で、かつ、指向性ビームの角度を15度とした場合(図12(B)参照)、その半値半幅(7.5度)(以下、「角度θ」と表す)の正弦値は以下の(2)式により算出される。上述の図13において、第2の実施形態のアレイアンテナのアンテナ長Lは以下の(2)式に基づいて算出されたものである。なお、以下の(1)式及び(2)式においてλは、無線タグとの通信に用いる電波の波長を表すものである。
【0093】
L=λ/4 …(1)
sin(θ)=1.4λ/(πL) …(2)
図13の通り、例えば、第1の実施形態におけるアンテナ114が、モノポールアンテナで、無線タグ120との通信を2GHz程度の周波数帯により行った場合の必要なアンテナ長(以下、「アンテナ長L」と表す)は、4cm程度ということがわかる。そして、第2の実施形態のアンテナ214において、アレイアンテナのアンテナ長Lを、第1の実施形態のモノポールアンテナと同程度(4cm以下)に抑えるためには、26GHz程度の周波数帯で、無線タグ220と通信する必要があることが分かる。よって、第2の実施形態のアンテナ214について、準ミリ波帯域(30GHz帯域)のRFIDシステムを用いると、物体探索装置の小型化には望ましい。なお、図13のグラフにおいては、上記の(2)式における角度θは7.5度として計算しているが、別の角度により算出した値を用いても良い。
【0094】
(C−4)上述の各実施形態においては、物体探索装置自身が物品情報記憶部を有して、探索対象物品の画像データなどを記憶していたが、物品情報記憶部を外部装置(外部のサーバなど)に配置して、物体探索装置において読み込ませても良い。
【0095】
又、探索対象物品の画像データを、予め無線タグ自体に記憶させておき、探索の過程で物体探索装置が無線タグと通信した際に、物体探索装置に読み込ませても良い。
【0096】
(C−5)上述の各実施形態においては、当該物体探索装置を所持したユーザが移動して、位置を変えて、無線タグとの通信の状況について測定する例について示したが、ユーザが最初に入力部における探索を開始するボタン(例えば、上述の入力部のサーチボタンに相当するもの)を、一回押すだけで、所定の時間間隔で無線タグと通信して、距離の測定をするようにしても良い。又、測定した距離を逐次マージして、多くのサンプルに基づいて無線タグの位置を推定しても良い。これにより、無線タグの推定位置を高精度化することができる。
【0097】
(C−6)第2の実施形態の物体探索システム200では、送信アンテナ(1つの方向に指向性ビームの電波を発信できるアレイアンテナ)について、受信アンテナの周囲を回転させながら複数の方向に指向性ビームの電波を発信し、無線タグ120の応答の状況に基づいて、大凡の無線タグ120の位置する方向を推定することができる。よって、物体探索システム200は、広い範囲において、おおまかに無線タグがどの方向にあるのかをあたりをつけるような場合、例えば、混雑した状況で人を探したり、倉庫の中の在庫確認作業などに用いる場合などに適用して好的なものである。
【0098】
(C−7)上述の各実施形態においては、物体探索装置から電波を発信された無線タグは全て、物体探索装置に応答するものであるが、物体探索装置から無線タグに電波を発信する際に探索の対象となっている無線タグのID情報などを含め、当該ID情報を有する無線タグのみが応答するようにしても良い。その場合、無線タグ側において、特定の情報にのみ応答するような手段(プログラムなど)を有する必要がある。これにより、世の中に無線タグが氾濫しても必要な無線タグからのみ応答させ、必要なものだけを探すシステムの構築ができる。
【0099】
(C−8)第2の実施形態においては、物体探索装置210は、位置測定部212を有して、当該物体探索装置210の位置を測定し、出力部217にディスプレイ出力する際に、当該物体探索装置210と探索対象物品230(無線タグ220)との位置関係について表示するなどしているが、位置測定部212を有さなくても良い。その場合、出力部217では、当該物体探索装置210は、無線タグ220の方向及び距離を測定した時点と同じ位置に存在するものとしてディスプレイ表示しても良い。又、第2の実施形態においては、物体探索装置210は、方向のみを測定し出力するようにしても良い。
【0100】
(C−9)第2の実施形態において、物体探索装置210の無線通信部213(アンテナ214)では、電波を指向性ビームとして、複数の異なる方向に発信し、無線タグ220からの応答があった方向に無線タグ220が存在すると推定しているが、送信用アンテナは全方位に電波を発信し、受信用アンテナが特定の方向からのみ電波を受信するものとしても良い。例えば、上述の図7において、送信側と受信側のアンテナの指向性を入れ替えて、送信用アンテナは全方位に電波を発信し、受信用アンテナは、1つの方向からのみ電波を受信できるアレイアンテナ(アダプティブ アレイ アンテナ)を回転させながら電波を受信する構成としても良い。この場合、無線通信部213(アンテナ214)では、無線タグ220から応答の電波を受信した際に、受信用のアレイアンテナが向いている方向に、無線タグ220が存在すると判断する。
【0101】
(C−10)第1の実施形態において、物体探索装置110では、上述図2に示すように、3つの異なる測定位置から、無線タグ120までの距離を測定し、無線タグ120の位置を推定しているが、2つの測定位置から無線タグ120までの距離を測定し、無線タグ120の位置を推定しても良い。例えば、上述の図2の通り、測定位置1から無線タグ120までの距離を半径とする円と、測定位置2から無線タグ120までの距離を半径とする円との交点は、2点に絞られるため、位置測定部112では、上記2点のいずれかに探索対象物品130(無線タグ120)が存在すると推定しても良い。又、その際に、出力部117には、2点の推定位置の両方を、探索対象物品130の推定位置として出力するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1の実施形態の物体探索システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の物体探索システムにおいて、無線タグの位置を推定する方法を説明した説明図である。
【図3】第1の実施形態の物体探索装置における、入出力の例について説明した説明図である。
【図4】第1の実施形態の物体探索装置における、探索の動作を示したシーケンス図である。
【図5】第2の実施形態の物体探索システムの全体構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態と第2の実施形態の物体探索システムとの、無線タグ(探索対象物品)の位置を推定する方法の差異を説明した説明図である。
【図7】第2の実施形態の物体探索システムにおける、アンテナの構成の例を説明した説明図である。
【図8】第2の実施形態の物体探索装置における、探索の動作を示したシーケンス図である。
【図9】第2の実施形態の物体探索システムにおいて、無線タグ(探索対象物品)の位置を絞り込む方法を説明した説明図である。
【図10】実施形態の位置測定部における、雑音除去について説明した説明図である。
【図11】第2の実施形態の加速度センサと送信アンテナを一つとユニットとして構成した場合の例について示した説明図である。
【図12】第1の実施形態のモノポールアンテナと、第2の実施形態のアレイアンテナのアンテナ長について説明した説明図である。
【図13】物体探索装置におけるアンテナ長と、無線タグとの通信に用いる周波数との関係について示した説明図である。
【符号の説明】
【0103】
100…物体探索システム、110…物体探索装置、111…制御部、112…位置測定部、113…無線通信部、114…アンテナ、115…位置推定部、116…入力部、117…出力部、118…物品情報記憶部、120…無線タグ、130…探索対象物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探索対象物体を探索する物体探索装置において、
上記探索対象物体に付けられている無線タグと通信をする無線通信手段と、
上記無線通信手段が、上記無線タグと電波を送受信する際の電波情報に基づいて、当該物体探索装置と上記無線タグとの間の距離を測定する距離測定手段と、
上記距離測定手段が、上記距離を測定した、測定位置の位置情報を取得する測定位置情報取得手段と、
上記距離測定手段により、2以上の異なる上記測定位置において、上記距離が測定されると、上記距離と、上記測定位置の位置情報とに基づいて、上記探索対象物体の位置を推定する位置推定手段と、
上記位置関係推定手段が推定した、上記探索対象物体の位置に関する情報を出力する出力手段と
を有することを特徴とする物体探索装置。
【請求項2】
複数の異なる方向に指向を向けることができるアンテナと、
上記アンテナを介して、探索対象物体に付けられている無線タグと通信をする無線通信手段と、
上記無線通信手段が、上記無線タグと通信した際に、上記アンテナが電波を送信又は受信した方向を測定する方向測定手段と、
上記方向測定手段が測定した方向に、上記探索対象物体が存在すると推定する位置関係推定手段と、
上記位置関係推定手段が推定した、上記探索対象物体の方向に関する情報を出力する出力手段と
を有することを特徴とする物体探索装置。
【請求項3】
上記無線通信手段が、上記無線タグと電波を送受信する際の、電波情報に基づいて、当該物体探索装置と上記無線タグとの間の距離を測定する距離測定手段をさらに有し、
上記位置関係推定手段は、上記方向測定手段が測定した方向、及び、上記距離測定手段が測定した距離の位置に、上記探索対象物体が存在すると推定し、
上記出力手段は、上記位置関係推定手段が推定した、上記探索対象物体の位置に関する情報を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の物体探索装置。
【請求項4】
上記アンテナは、第1のアンテナ部と、第2のアンテナ部とを備え、上記第1のアンテナ部は、送信又は受信のいずれか一方に用いられる無指向性のアンテナであり、上記第2のアンテナ部は、送信又は受信の他方に用いられ、1方向に対してのみ指向を向けることができるアンテナであって、上記第1のアンテナ部を回転の中心として、上記第1のアンテナ部の周囲を回転しながら電波を放射又は受信することを特徴とする請求項2又は3に記載の物体探索装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の物体探索装置を搭載していることを特徴とする無線通信端末。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の物体探索装置と、探索対象物体に付けられている無線タグとを有することを特徴とする物体探索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−47583(P2009−47583A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214724(P2007−214724)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】