説明

物体検査装置および不良品選別システム

【課題】 3次元物体の歪み、隔壁厚みのばらつき、内部の空胞の有無を解析する物体検査装置、不良品を選別除去する不良品選別システムを提供する。
【解決手段】 垂直型スキャナ10の画像読み取りガラス面11は垂直に設けられている。重量計20が垂直型スキャナ10の前方に設けられている。被検査対象の資材などの3次元物体が重量計20の計量皿21の上に載せ置かれ、3次元物体の垂直断面が画像読み取りガラス面11の前方の所定位置となる。3次元物体は所定位置において、3次元物体の少なくとも重心が重量計20の上に位置し、かつ、垂直型スキャナ10の焦点が、画像読み取りガラス面11ではなく3次元物体の垂直断面となるように調整されており、3次元物体の重量情報および垂直断面の画像情報を取得し、さらに3次元物体を90度回転させて長さを測定し、単位長さあたりの重量を算出する。基準の画像情報と基準の単位長さあたりの重量情報と比較することにより良品・不良品の判定をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は3次元物体の製造品質検査に用いる物体検査装置および不良品選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産現場において製作している加工品のサンプルを抜き取ってその製造品質を検査するというニーズが存在する。例えば、プラスチック、アルミニウム、ステンレス鋼などを材料として異形押し出し工法により加工され、押し出された連続体を切断して単品成型した設備資材、建築資材、土木資材などの製造品質検査など多様な場面で求められている。異形押し出し工法により押し出し加工、切断加工された設備資材の一例を図11に示す。図11に示した例の切断面を見れば内部に多数のしきり壁(隔壁)や構造物により多数の空隙が設けられた複雑な断面となっていることが分かる。異形押し出し加工されているので押し出し方向にはこの断面構造が連続したものとなっている。
【0003】
これら設備資材などは細部に至るまで寸法が設計により定められており、押し出し加工により製作された設備資材が設計どおりの仕様にて製作されているか確認する必要がある。そこで生産現場では適宜に加工品のサンプルを抜き取って加工の出来具合を検査するが、このサンプル抜き取り検査の検査項目には様々なものがある。そのうちの一つとして切断面における外形の歪み、隔壁の肉厚など特定箇所のサイズを測り、それらサイズが仕様範囲内にあるかを調べるという検査項目がある。例えば図12の切断面において、特定箇所の隔壁間のサイズB,特定箇所の隔壁の肉厚Cなどを実測し、それら実測値が要求仕様の範囲内にあるかをチェックする。
なお、押し出し加工された設備資材の肉厚の中に空胞、いわゆる「す」が入った状態も不良品である。
【0004】
従来技術では、抜き取りサンプルの切断面の特定箇所を人手によりスケールなどにより実測することが多いが、抜き取りサンプルの切断面の画像をスキャナで読み取り、読み取り画像において特定箇所を計測して解析するという処理が想定できる。抜き取りサンプルの切断面画像をスキャナで読み取る処理を検討してみると、例えば、水平型のフラットベッド型スキャナを用いる場合、サンプルを回転させ、読み取る切断面を下面とし、画像読み取りガラス面に切断面を密着させて読み取るという作業が想定できる。
【0005】
この水平型フラットベッド型スキャナを用いた切断面の読み取りにおいて、後工程となる画像処理を簡素化するために、読み取り対象となる特定箇所をスキャン方向に対して傾き(スキュー)なく画像読み取りガラス面上にセットすることが好ましい。つまり、読み取り対象となる特定箇所をスキャン方向(主方向、副方向)に対して正確に0度または90度となるようにセットすることが好ましい。
【0006】
この切断面検査では切断面の内部にある隔壁の幅を正確に読み取ることに加え、切断面全体の外形エッジそのものも正確に読み取る必要がある。つまり、特定箇所の内部の隔壁の肉厚を計測する検査に加え、外形エッジ間のサイズ(全体のサイズ)や、特定箇所の外形エッジからある特定箇所の隔壁までのサイズなど、計測すべきサイズは外形エッジを基準にするものもあるからである。また、異形押し出し加工により加工・成型した設備資材の検査項目として外形エッジの歪みやバリの存在を検査する項目もあり得る。この場合外形エッジ全体を正確に読み取る必要がある。
外形エッジ部分の読み取り・解析が難しいという点については、他の先行出願でも従来技術における課題として指摘されている。例えば、特開平10−224563号には外形エッジが正しく解析されるためには、理想的にはエッジ(画像中の白黒の境界線)がスキャン方向(主方向、副方向)に対して正確に0度または90度で真っ直ぐに連続していることが好ましいと指摘されている。
また、垂直型スキャナを用いて外形エッジ全体を正確に読み取る方式を開示した技術として、本出願人による特開2006−185285号が知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−224563号公報 特開2006−185285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の水平型スキャナを用いて3次元物体の垂直断面の画像を読み取る場合は、抜き取りサンプルの切断面を下に向け、画像読み取りガラス面の所定位置へセットする作業は手作業で行う必要がある。例えば、画像読み取りガラス面の右上のフレーム隅に読み取り対象物の右上角を合わせ、読み取り対象物の上辺エッジを上端フレームガイド、右辺エッジを右端フレームガイドに合わせてセットすることとなる。
【0009】
ここで、水平型スキャナを用いて設備資材などの抜き取りサンプルの垂直断面を読み取る場合、以下のような問題が生じる。
通常のフレームガイドを用いて、設備資材などの抜き取りサンプルをセットした場合、フレームガイドと抜き取りサンプルの外形エッジが接する状態となっており、外形エッジそのものを正確に読み取るには不適切な状態にある。抜き取りサンプルの外形エッジを正確に読み取るためには、抜き取りサンプルの外形エッジをフレームガイドには直接沿わせず、多少のオフセットを設けて画像読み取りガラス面の少し中央側に載せ置けば外形エッジの読み取り条件は改善する。しかし、目測で正確な位置、正確な角度で抜き取りサンプルをスキューなく載せ置くことは難しい。
【0010】
なお、読み取り対象物の画像読み取りガラス面への載せ置き方については自由とし、後工程の画像処理において、スキュー角を検出し、画像上での回転補正を行うという考え方がある。つまり、3次元物体の断面形状全体をパターンマッチングすることにより画像の読み取り姿勢と位置を特定し、画像の移動補正、回転補正を行う手法によれば、パターンマッチングの計算コストが高くなったり、処理に時間がかかったり、性能の高いコンピュータの導入が必要になったりする場合がある。
【0011】
次に、特開2006−185285号公報に開示した垂直型スキャナを用いた技術は、物体の垂直断面を読み取る技術として優れた技術であり、今後も有望な技術として発展して行くことが期待されている。
ここで、押し出し加工された設備資材等の不具合は、外形の歪み、隔壁の肉厚のばらつきだけではなく、設備資材の肉厚の中の空胞の存在、いわゆる「す」が入った状態も不良品である。
垂直型スキャナを用いた垂直断面形状の検査では、この空胞がちょうど垂直断面にあれば確認することが可能な場合もあり得るが、空胞が設備資材の内部に入り込んでいる場合、垂直型スキャナによる垂直断面形状の画像の解析のみでは分からない。
【0012】
上記問題点に鑑み、本発明は、生産現場において、押し出し加工された設備資材等の歪み、さらには、内部に空胞があるか否かを簡単に解析することができる物体検査装置、不良品と判別された場合に当該不良品を選別除去する不良品選別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明にかかる物体検査装置は、
画像読み取りガラス面が垂直に設けられ、3次元物体の垂直断面の画像を読み取る垂直型スキャナと、
前記垂直型スキャナの前方に設けられ、被測定物を載せ置く計量皿を備え、前記計量皿に載せ置かれた前記3次元物体の重量を計測するための重量計と、
前記垂直型スキャナの画像読み取りガラス面の前方に設けられ、前記3次元物体の垂直断面が前記画像読み取りガラス面の前方の所定位置P1となるように前記3次元物体を制止するストッパーを備え、
前記3次元物体が前記ストッパーにより制止される所定位置P1において、前記3次元物体の少なくとも重心が前記重量計の上に位置し、かつ、前記垂直型スキャナの焦点が、前記画像読み取りガラス面ではなく前記3次元物体の垂直断面となるように調整されており、前記3次元物体の重量情報および前記垂直断面の画像情報を同時に取得することを特徴とする。
【0014】
なお、上記構成において、前記所定位置P1が、前記垂直型スキャナの前記画像読み取りガラス面から離れた位置であり、
前記重量計の計量皿の周縁のうち前記画像読み取りガラス面にもっとも近い縁が前記所定位置P1よりさらに前記垂直型スキャナの前記画像読み取りガラス面から離れた所定位置P2となっていることが好ましい。
【0015】
上記構成により、垂直型スキャナの焦点が3次元物体の垂直断面のみに垂直型スキャナの焦点が合わされ、重量計の計量皿の周縁には合わされていないので、重量計の計量皿の存在にかかわらず3次元物体の垂直断面全体の画像情報を他の構造物の写り込みを排除しつつ取得することができ、かつ、3次元物体の重量情報をも同時に正確に取得することができる。
【0016】
また、焦点深度の位置が撮像装置の画像読み取りガラス面上となっていないので、3次元物体の垂直断面を画像読み取りガラス面まで移動せず、撮像装置の焦点深度の位置まで移動させれば正確にその垂直断面を読み取ることが可能となり、3次元物体の垂直断面を画像読み取りガラス面まで移動して密着させる必要がなくなる。例えば、押し出し加工されて切断加工された3次元物体の切断面には切りくずなどの小片やゴミが付着しているケースも多いが、この切断面が撮像装置の画像読み取りガラス面に接することは、撮像装置の画像読み取りガラス面に汚れが付着するリスクが大きくなる。しかし、本発明の垂直断面形状読み取り装置では、3次元物体の垂直切断面を直接、撮像装置の画像読み取りガラス面に密着させることはなく、当該リスクを小さくすることができる。
また、押し出し加工の生産現場は空中にゴミや塵などが多い場合もあり、撮像装置の画像読み取りガラス面に汚れが付着することが多いが、撮像装置の焦点深度の位置が画像読み取りガラス面には合わされていないので、撮像装置の画像読み取りガラス面に付着した汚れの影響が少なくなるという有利な効果も得られることとなる。
【0017】
なお、上記構成において、前記ストッパーの構造物を移動させる駆動機構を備え、前記駆動機構により、前記3次元物体の移動を制止する時点において前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接する状態とし、前記垂直型スキャナによる前記3次元物体の垂直断面の画像読み取り処理を実行する前に前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接しない状態とすることが好ましい。
【0018】
上記構成により、前記3次元物体を制止させる時点では前記3次元物体に当接させて3次元物体を制止し、その後、画像読み取りを開始する前には前記ストッパーの構造物を当該空間から一時的に除去することができる。3次元物体にストッパー構造物が当接していない状態では3次元物体の垂直断面形状全体のみを正しく読み取ることができる。
【0019】
さらに、上記構成において、前記駆動機構と前記重量計とを連動させることも好ましい。
つまり、前記ストッパーの構造物を移動させる駆動機構を備え、前記駆動機構により、前記3次元物体の移動を制止する時点において前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接する状態とし、前記重量計による前記3次元物体の重量計測処理を実行する前に前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接しない状態とすることが好ましい。
上記構成により、ストッパーの構造物が与える重量計への影響を除去し、正確に3次元物体の重量情報を得ることができる。
【0020】
なお、上記構成において、前記ストッパーの構造物が前記3次元物体に当接している状態が、前記3次元物体の垂直断面に前記ストッパーの構造物表面が沿うように当接した状態であり、前記ストッパーの構造物が前記3次元物体に当接しない状態となるように移動する軌跡が、垂直方向の移動軌跡ではなく、前記3次元物体の垂直断面に触れないように斜め下方向の移動する移動軌跡とすることが好ましい。
上記のようにストッパー構造物の移動軌跡を工夫することにより、3次元物体の載せ置いた位置を動かしてしまったり、生じる摩擦力によりストッパー構造物や重量計に影響を与えることを回避することができる。
【0021】
次に、上記目的を達成するため、本発明にかかる不良品選別システムは、
XY平面の垂直断面とZ軸方向の長さを持つ外形概略が直方体の資材を検査する物体検査装置であり、
上記した物体検査装置と、
前記物体検査装置を用いて、前記3次元物体のXY平面を前記画像読み取りガラス面に対向させる姿勢で得た前記3次元物体の垂直断面の画像情報と設計上の垂直断面の基準画像情報とを比較し、前記3次元物体が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する画像処理解析装置と、
前記物体検査装置により得た前記3次元物体の重量情報と、前記物体検査装置を用いて、前記3次元物体のZ軸を前記画像読み取りガラス面に対向させる姿勢で得た前記3次元物体の長さ方向の画像情報より計測した前記3次元物体の長さ情報より得た前記3次元物体の単位長さあたりの重量情報と、前記3次元物体の重量情報と設計上の3次元物体の重量情報とを比較し、前記3次元物体の肉厚幅のばらつきおよび空胞の存在が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する肉厚・空胞解析装置と、
前記画像処理解析装置および前記肉厚・空胞解析装置による前記3次元物体の良品か不良品かの判別に従い、不良品と判別されたもののはじき出しを行なう選別装置を備えたものである。
【0022】
上記構成により、画像処理解析装置による3次元物体の外形の歪みの有無の判別、さらに、肉厚・空胞解析装置による肉厚のばらつきの有無、空胞の有無の判別を基に良品・不良品の別を自動的に評価し、選別することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の物体検査装置は、重量計の計量皿の存在にかかわらず3次元物体の垂直断面全体の画像情報を他の構造物の写り込みを排除しつつ取得することができ、かつ、3次元物体の重量情報をも同時に正確に取得することができる。
また、本発明の不良品選別システムは、画像処理解析装置による3次元物体の外形の歪みの有無の判別、さらに、肉厚・空胞解析装置による空胞の有無の判別を基に良品・不良品の別を自動的に評価し、選別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の物体検査装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0025】
実施例1にかかる本発明の物体検査装置の例を示す。
ここでは、一例として、読み取り対象物として、プラスチックを材料として異形押し出し工法により加工され、押し出された連続体を切断して単品成型した設備資材などを挙げ、本発明の物体検査装置は抜き取りサンプル品の垂直断面の画像を読み取り、さらに、重量も計測するものとする。
【0026】
図1は切断面の検査対象となるプラスチック材料の資材1の一例を示す図である。垂直切断面を正面から見た斜視図となっている。全体がブロック状であり、例えば、高さ(H)50mm、正面の幅(W)400mm、側面の長さ(L)500mmとする。ここで、以降の説明を分かりやすくするため、資材1の垂直切断面をXY平面、長さ方向をZ軸方向として当てはめておく。
資材1は、上流工程において異形押し出し装置(図示せず)により押し出し加工され、切断装置(図示せず)により切断されて単品成型されたものである。押し出し工法により押し出されて当初連続体となっている状態から切断装置により垂直に切断して形成された切断面が図1では正面方向に示されている。
【0027】
なお、この例の資材1は、正面から背面にかけて貫通している多数の貫通孔2が内部に設けられている。つまり、押し出し加工の過程でこのような貫通孔2が多数形成されたものである。貫通孔2の用途は特に限定されないが、資材1の用途に応じて、例えば、ケーブルを挿入したり、パイプを挿入したり、粉体を収納したりすることも可能である。また、貫通孔2の形状も四角形に限定されず、多角形、円形、楕円形など多様な形状があり得る。また、貫通孔2は資材1の重量を小さくしつつ構造的強度を高める目的で設けられる場合もある。例えば、資材1の中にいわゆるハニカム構造を設け、全体の重量を軽くしつつ、外界からの圧力に抗する構造的強度を与えることがある。
【0028】
図1に示した資材1が上流工程において押し出し加工、切断加工されて単品成型され、検査工程に受け入れられる。その過程で資材1の切断面を検査する。なお、検査は全品を対象に切断面形状を検査する全品検査、適宜サンプルを抜き取って切断面形状を検査するサンプル検査であっても良い。
上記に示したような資材1が仕様どおりに製作されているか否かを確認する事項として、資材1の外形の歪みがあるか否かという事項と、資材1の内部に空胞、いわゆる「す」が入った状態か否かという事項が挙げられる。なお、どの程度空胞が入っていても許容されるのかは仕様による。
【0029】
まず、資材1の外形の歪みがあるか否かの確認と、資材1の隔壁の肉厚が薄くなったり厚くなったりしてばらつきがあるか否かの確認は、本実施例1の物体検査装置では、資材1の切断面の画像を読み取り、当該切断面のパターンが仕様どおりの正解パターンと比較する手法、つまりパターンマッチング手法を用いて確認する。切断面の画像読み取りには、資材1の外形に基づく外形エッジの形状と、資材1の内部構造としての貫通孔2を形成する隔壁の両者を正確に読み取る必要がある。
【0030】
さらに、資材1の内部に空胞、いわゆる「す」が入った状態か否かの確認は、本実施例1の物体検査装置では、資材1の重量と資材1の長さ(押し出し方向の長さ)を計測し、当該資材1の単位長さあたりの重量が仕様どおりの単位長さあたりの重量と比較する手法、つまり重量比を用いて確認する。空胞体積がどの程度許容されるかは仕様により定められるが、その許容範囲は重量で表現され得る。なぜならば、空胞に相当する体積分は重量がゼロでありその分全体の重量が軽くなるので、単位長さあたりの空胞体積の許容範囲は重量で表現され得る。つまり、資材1の重量と資材1の長さを計測し、その単位長さあたりの重量が一定以下であれば許容範囲を超える空胞が存在することが分かる。
なお、本発明では、この切断面形状の画像読み取り処理と重量計測処理とを同時に実行することを特徴とする。
【0031】
図2は、実施例1にかかる本発明の物体検査装置100の構成例を示したブロック図である。
【0032】
10は垂直型スキャナ装置である。ここでは画像読み取りガラス面11が垂直に設けられた垂直型スキャナ装置とする。後述するように画像読み取りガラス面11に対向する3次元物体である資材1の切断面を光学的にスキャンして受光素子で受け取ることにより切断面の画像を読み取るものである。
【0033】
20は重量計である。重量計20は被測定物を載せ置く計量皿21を備えており、計量皿21に載せ置かれた資材1の重量を計測する。重量計20は垂直型スキャナ10の前方に設けられている。つまり、重量計20の計量皿21の上に載せ置かれた資材1は垂直型スキャナ10の画像読み取りガラス面11に対向する位置関係にある。
【0034】
30はガイドである。資材1を画像読み取りガラス面11に対向する位置に載せ置くためのガイドである。資材1の側面をこのガイド30に沿わせつつ画像読み取りガラス面11に近づけることにより資材1の垂直切断面を画像読み取りガラス面11に対向する位置にセッティングする。
【0035】
40はストッパーである。ストッパー40は資材1の垂直断面が画像読み取りガラス面11の前方の所定位置(位置P1とする)に到達したときに資材1を制止するものである。資材1の切断面が制止する所定位置P1は垂直型スキャナ10の画像読み取りガラス面11の前方のやや離れた位置である。
【0036】
以上の構成要素を備えた本発明の物体検査装置において、資材1の切断面の画像読み取り処理と重量計量処理を同時に行うことができるように配置が工夫されている。
資材1がストッパー40により制止された位置において、資材1の少なくとも重心が重量計20の計量皿21上に位置し、かつ、垂直型スキャナ10の焦点が、画像読み取りガラス面11ではなく3次元物体の垂直断面となるように調整されている。このように資材1がストッパー40で制止された状態における、資材1の切断面の位置と垂直型スキャナの焦点の関係、資材1の重心位置と重量計20の計量皿21の位置の関係という2つの関係が同時に満たされるように調整しておくことにより、資材1の重量情報および垂直断面の画像情報を同時に取得できるよう工夫されている。
また、資材1を90度回して載せ置いて画像読み取りを行うことにより、資材1の長さL(奥行き方向の長さ)を計測することができる。
【0037】
図3は、画像読み取りガラス面11の位置、資材1の切断面の位置、垂直型スキャナの焦点位置、資材1の重心位置、重量計20の計量皿21の位置を分かりやすく示した図である。
図3(a)に見るように、資材1が制止された状態における垂直切断面の位置は所定位置P1である。例えば、ストッパー40の表面が所定位置Pに来るように駆動し、押し出されて来る資材1の垂直切断面に当接して資材1の移動を制止する。資材1はその垂直切断面が位置Pにおいて制止する。
なお、所定位置P1は画像読み取りガラス面11から離れた位置にある。ここでは例えば20mm離れているとする。所定位置P1が画像読み取りガラス面11から20mm離れた位置とする場合、垂直型スキャナ10の焦点距離を画像読み取りガラス面11上ではなくさらに20mm長く設定し、ちょうど資材1の切断面の位置(所定位置P1)に合うように設定しておく。このように、資材1の切断面の所定位置P1と垂直型スキャナの焦点を合わせておくことで資材1が制止された状態において垂直切断面の画像読み取りが可能となり垂直切断面の画像情報を得ることができる。
【0038】
ここで、ストッパー40が資材1を制止する所定位置P1が画像読み取りガラス面11の前方のやや離れた位置とする理由は、切りくずなどの小片やゴミの影響を低減するためである。例えば、押し出し加工されて切断加工された3次元物体の切断面には切りくずなどの小片やゴミが付着しているケースが多いが、この切断面が直接に画像読み取りガラス面11に接すると、画像読み取りガラス面11に汚れが付着するリスクが大きくなる。しかし、本発明の物体検査装置では、垂直切断面を前方として資材1を画像読み取りガラス面11に近づいてゆき、ストッパー40により資材1の垂直切断面が所定位置P1に来た時点で制止されるので、資材1の切断面が画像読み取りガラス面11の前方やや離れた位置にあり画像読み取りガラス面11に密着することはない。
また、押し出し加工の生産現場は空中にゴミや塵などが多い場合もあり、撮像装置の画像読み取りガラス面に汚れが付着することが多いが、撮像装置の焦点深度の位置が画像読み取りガラス面11には合わされていないので、撮像装置の画像読み取りガラス面11に付着した汚れの影響が少なくなるという有利な効果も得られることとなる。
【0039】
次に、ストッパー40の構造物を移動させる工夫について述べる。
例えば、ストッパー40の構造物を移動させる駆動機構41を備える。
資材1の移動を制止する時点において、図3(a)に示すように、駆動機構41によりストッパー40の構造物を資材1に当接する状態とする。
【0040】
資材1の切断面の画像を読み取る際、ストッパー40の構造物の有無についても検討しておく必要がある。ストッパー40の構造には多様なものが想定されるが、資材1に当接することにより資材1の移動を制止するものが想定される。この場合、資材1の外形のいずれかの部分にストッパー40の構造物が当接する。このようにストッパー40の構造物が資材1に当接している場合、そのまま垂直型スキャナ10による画像読み取り処理を実行すると資材1の切断面の画像とともにストッパー40の構造物も写り込んだ状態で画像読み取りが行われてしまう。ストッパー40の構造物が写りこんでいる状態では正しいパターンマッチングが実行できない。
【0041】
そこで本発明は、図3(b)に示すように、垂直型スキャナ10により資材1の垂直断面の画像読み取り処理実行前に、駆動機構41により、資材1に当接しているストッパー40の構造物を除去するようにストッパー40の構造物を駆動し、資材1に当接しているストッパー40の構造物を除去する。この駆動機構41によるストッパー40の構造物の駆動により資材1の制止位置の制御と垂直型スキャナ10の画像読み取り処理を適切に行うことができる。
なお、駆動機構41は自動制御するものでも良く手動制御するものでも良い。
【0042】
さらに本発明では、図3(a)に見るように、重量計20の計量皿21の周縁のうち画像読み取りガラス面11にもっとも近い縁が所定位置P1よりさらに画像読み取りガラス面11から離れた位置(位置P2)となっている。
このように重量計20の計量皿21の周縁のうち画像読み取りガラス面11にもっとも近い縁が所定位置P1よりさらに画像読み取りガラス面11から離れた位置とする理由は以下のとおりである。
【0043】
本実施例の物体検査装置は、資材1の垂直切断面の全面をその外形エッジを含めて垂直の姿勢のまま正確に読み取るものであり、資材1が重量計の計量皿と触れているとその境界面での画像がうまく読み取れないおそれがある。
そこで、重量計20の計量皿21の周縁のうち画像読み取りガラス面11にもっとも近い縁が所定位置P1よりさらに画像読み取りガラス面11から離れた位置(位置P2)とすれば、所定位置P1における資材1の切断面は外形エッジも含めて重量計の計量皿と触れている部分がなく、垂直型スキャナの切断面に焦点が合っている以上、資材1の切断面の画像を何にも遮られずにそのまま読み取ることができる。
【0044】
次に、資材1の重心位置と重量計20の計量皿21との関係について述べる。資材1は押し出し成型であるので、資材1の重心位置は資材1の幅により決まり、資材1の切断面から資材1の幅の1/2の位置となる。重量計20により資材1の全重量を正確に測るには、図3(a)に示すように、資材1の重心が重量計20の計量皿21の上に位置し、計量皿21の上に全重量がかかる関係にある必要がある。
【0045】
さらに、ストッパー40の駆動機構41により、重量計20を用いた重量の計測時におけるストッパー40の構造物の影響を除去する工夫について述べる。
上記したように、資材1の移動を制止する時点において、図3(a)に示すように、駆動機構41によりストッパー40の構造物が資材1に当接する状態となっている。ここで、ストッパー40の構造物が資材1の垂直切断面に当接している状態では、両者間に摩擦力が働き、そのままで重量計20により資材1の重量を計測すると資材1の重量が多少軽く計測されてしまう。本発明の物体検査装置は資材1内に生じる空胞の存在も検査するので重量情報が正しく得られないことは問題である。そこで、図3(b)に示すように、ストッパー40の構造物が確実に除去された後に重量計20の計測処理を行えば資材1には重力と重量計からの抗力以外には何の外力も働いていないので正しい重量情報を得ることができる。
上記のように、本発明の物体検査装置では、ストッパー40の構造物が移動することにより、資材1の垂直切断面の画像読み取り処理と重量計量処理を同時にかつ正確に行うことができるように配置が工夫されている。
【0046】
上記は資材1のXY平面の垂直断面の画像を読み取る場合を例に説明したが、資材1を90度回して載せ置いて資材1のZ軸方向の長さLを計測するときも同様である。
【0047】
次に、本発明の物体検査装置の外観の例と検査処理の流れの例を説明する。
図4は本発明の物体検査装置の外観の例を示す図である。
図4は本発明の物体検査装置の外観の平面図、正面図、右側面図の3方向の図を示している。垂直型スキャナ10、画像読み取りガラス面11、重量計20、計量皿21、ストッパー40、駆動機構41は、上記に説明してきたそれぞれの構成要素である。42は、駆動機構を制御するための操作レバーである。この例では操作レバーとしたが、操作ボタンなど入力手段は特に限定されずその形や数なども一例に過ぎない。この例では操作レバー押し下げでストッパー40が下降、操作レバー引き上げでストッパー40が上昇する仕組みとなっている。
【0048】
図5に示すように、資材1の移動を制止する時点においてはストッパー40の構造物を資材1に当接する状態とし、資材1の垂直切断面の画像を読み取る時点においては操作レバー42を押し下げ、駆動機構41によりストッパー40の構造物を下降させて垂直切断面の前から除去する。
【0049】
図6(a),(b)は図4に示した構成例において資材1を載せ置いた状態を示す図である。なお、資材1を計量皿上に載せ置く方式は特に限定されず、例えばベルトコンベアーなどの搬送系を用いた自動式であっても良く、人手で資材1を押し入れる手動式であっても良い。図6(c)は駆動機構41によりストッパー40の構造物を下降させて垂直切断面の前から除去し、垂直切断面の画像読み取り処理を実行する様子を示す図である。
重量は、画像読み取り処理を実行中、計量皿に載せ置かれている資材1の重量を測ることにより同時に得ることができる。
【0050】
資材1のXY平面である垂直切断面の画像読み取り処理が終われば、資材1の長さLを計測するため一度資材1を計量皿上から一旦取り上げ、再び資材1を90度回して資材1のZ軸を画像読み取りガラス面に対向させて計量皿に載せ置く。その際、ストッパー40を再び上昇させて画像読み取りガラス面の前を塞いでおき、再びストッパー40に沿わせるように90度回した資材1を計量皿に載せ置けば良い。図7(a),(b)は90度回した資材1を計量皿に載せ置いた様子を示す図である。図7(c)は図7(a)の状態から駆動機構41によりストッパー40の構造物を下降させて垂直切断面の前から除去し、垂直切断面の画像読み取り処理を実行する様子を示す図である。
現在の資材1の計測が終われば、次の資材1の処理に向けて操作レバー42を引き上げて駆動機構41によりストッパー40を上昇させる。
このように資材1のXY平面の垂直断面形状、Z軸方向の長さ、重量を計測して行く。
【実施例2】
【0051】
実施例2は、実施例1に示した構成例においてストッパー40の駆動軌跡について工夫を施したものである。
実施例1では、駆動機構41によるストッパー40の移動軌跡が垂直方向(上下方向)であった。ストッパー40が垂直方向(上下方向)に移動した場合、資材1の垂直断面とストッパー40が沿い合った状態でストッパー40が下降するため、資材1の垂直断面の外形に歪みがあるとストッパー40により擦られて資材1の載せ位置が微妙にずれたりする恐れがある。また、資材1の垂直断面とストッパー40が擦れ合うことにより摩擦力が生じ、資材1の検査を繰り返すうちに、ストッパー40に傷をつけたり重量計20に影響を与えたりするなどの機械的な劣化が蓄積してゆく恐れがある。
そこで、実施例2では、ストッパー40の駆動軌跡について工夫を施している。
【0052】
ストッパー40の構造物が資材1に当接している状態は、実施例1と同様、資材1の垂直断面にストッパー40の表面が沿うように当接した状態であるが、ストッパー40の移動する軌跡が実施例1のような垂直方向の移動軌跡ではなく、資材1の垂直断面に触れないように斜め下方向に移動する移動軌跡とする工夫を施す。
【0053】
図8は、ストッパー40の移動軌跡と資材1の垂直断面の関係を判りやすく示した図である。
図8(a)は実施例1において説明したストッパー40の移動軌跡を表わす図である。図8(a)に示した移動軌跡は垂直下方となっており、駆動機構41によりストッパー40が上下垂直方向に昇降する仕組みとなっている。
【0054】
図8(b)は実施例2におけるストッパー40の移動軌跡を表わす図である。図8(b)に示した移動軌跡は資材1の垂直断面に触れないように斜め下方向に移動する移動軌跡となっており、駆動機構41によりストッパー40が図示したような斜め方向に昇降する仕組みとなっている。このように移動軌跡を工夫しておくことにより、ストッパー40が移動を開始した直後に資材1の垂直断面から離れるため、ストッパー40の移動の最中において資材1の垂直断面の外形歪みによる影響や摩擦力による影響などが介在する余地はなくなる。
【0055】
上記のようにストッパー構造物の移動軌跡を工夫することにより、3次元物体の載せ置いた位置を動かしてしまったり、生じる摩擦力によりストッパー構造物や重量計に影響を与えることを回避することができる。
【実施例3】
【0056】
本発明にかかる不良品選別システムの構成例を示す。
本発明にかかる不良品選別システムは、上記した本発明の物体検査装置を含み、少なくとも画像解析と重量解析を行い、いずれかの解析結果において不良品と判断されたものを除去する機能を備えている。
【0057】
図9は本発明にかかる不良品選別システム200のブロック図である。
100は本発明の物体検査装置であり、例えば実施例1に示した物体検査装置や実施例2に示した物体検査装置である。
【0058】
110は画像処理解析装置であり、設計上の垂直断面の基準画像情報を記憶した画像情報データベース111を備えている。画像処理解析装置110は、物体検査装置100を用いて得た資材1の垂直断面の画像情報と画像情報データベース111に記憶されている設計上の垂直断面の基準画像情報とを比較し、資材1が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する。画像処理解析装置110は、例えば、コンピュータハードウェアとソフトウェアを備え、判別処理はソフトウェアとして記述されており、コンピュータハードウェアに読み込まれて実行される。許容誤差範囲をいくらとするかは資材1に対する要求仕様により決められるものであり、ソフトウェアにより参照される。
【0059】
120は肉厚・空胞解析装置であり、設計上の3次元物体の単位長さあたりの重量情報を記憶した重量情報データベース121を備えている。
肉厚・空胞解析装置120は、物体検査装置100により得た資材1の重量情報と、資材1を90度回転させてZ軸を画像読み取りガラス面11に対向させる姿勢で得た資材1の長さ方向の画像情報より計測した資材1の長さ情報から、資材1の単位長さあたりの重量を計算する機能を備えている。
さらに、肉厚・空胞解析装置120は、計算した資材1の単位長さあたりの重量情報と、重量情報データベース121に記憶されている設計上の3次元物体の重量情報とを比較し、3次元物体の肉厚幅のばらつきおよび空胞の存在が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する機能を備えている。
【0060】
肉厚・空胞解析装置120は、例えば、コンピュータハードウェアとソフトウェアを備え、判別処理はソフトウェアとして記述されており、コンピュータハードウェアに読み込まれて実行される。許容誤差範囲をいくらとするかは資材1に対する要求仕様により決められるものであり、ソフトウェアにより参照される。
【0061】
例えば、資材1の隔壁の肉厚が設計よりも薄くなっている場合には計測した単位長さあたりの重量は設計上の単位長さあたりの重量よりも軽くなる。また、同様に空胞が存在すれば計測した単位長さあたりの重量は設計上の単位長さあたりの重量よりも軽くなる。例えば、計測重量が基準重量の99%であった場合に不良品と判別する。もっとも、計測重量が同じ99%であったとしても空胞が資材1の内部の一箇所である場合と複数箇所に分散している場合では一つあたりの空胞の大きさは異なるため、空胞一つ一つの大きさを判別する場合は、他の非破壊検査手段による必要があるが、ここでは空胞の有無による不良品の判別は重量比較で行うものとする。
【0062】
130は選別装置である。選別装置130は画像処理解析装置110および肉厚・空胞解析装置120による資材1の良品か不良品かの判別に従い、不良品と判別されたもののはじき出しを行なう。
【0063】
次に、本発明の不良品選別システム200による良品・不良品の判別を行う手順について説明する。
図10は、抜き取りサンプル品の良品・不良品の判別処理の基本的流れを示したフローチャートである。
上記したように、あらかじめ、基準画像情報が画像情報データベース111に記憶され、基準重量情報が重量情報データベース121に記憶され、画像解析装置110および重量解析装置120には判別処理ソフトウェアがインストールされているものとする。
【0064】
まず、使用者が読み取り対象である資材1をガイド30に沿わせつつ、そのXY平面の垂直切断面を垂直型スキャナ装置10の画像読み取りガラス面11上に対向させてスライドさせていく。資材1の切断面をストッパー40に押し当てて資材1を載せ置く(ステップS1001)。例えば、実施例1で示した図6の状態となる。垂直切断面の位置は所定位置P1となっている。
なお、この例では、操作レバー42を押し下げて駆動機構41によりストッパー40を移動させる(ステップS1002)。例えば、実施例2の図8に示したようにストッパー40を斜め下方に移動させる。
【0065】
次に、垂直型スキャナ10により資材1の垂直切断面をスキャンし、画像情報を得るとともに、重量計20により資材1の重量を計測し、重量情報を得る(ステップS1003)。
次に、資材1を取り上げ、操作レバー42を引き上げてストッパー40を再び画像読み取りガラス面11の前面に位置するように移動し(ステップS1004)、資材1を90度回転させてZ軸を画像読み取りガラス面11に対向するように計量皿21の上に載せ置いて資材1の側面をストッパー40に押し当てて資材1を載せ置く(ステップS1005)。例えば、実施例1で示した図7の状態となる。
操作レバー42を押し下げて駆動機構41によりストッパー40を移動させ(ステップS1006)、垂直型スキャナ10により資材1のZ軸方向の画像情報を得る(ステップS1007)。
物体検査装置100から画像解析装置110にXY平面の画像情報およびZ軸方向の画像情報が渡され、肉厚・重量解析装置120から重量情報が渡される。
【0066】
肉厚・重量解析装置120において、物体検査装置100から得た長さ情報と重量情報より単位長さあたりの重量情報を計算する(ステップS1008)。
画像解析装置110において、物体検査装置100から得た画像情報と画像情報データベース111の基準画像情報と比較し、良品・不良品の判定を行うとともに、肉厚・重量解析装置120において計算した単位長さあたりの重量情報と重量情報データベース121の基準の単位長さあたりの重量情報と比較し、良品・不良品の判定を行う(ステップS1009)。画像解析装置110の良品・不良品判定結果と肉厚・重量解析装置120の良品・不良品判定結果は選別装置130に渡される。
【0067】
選別装置130は画像解析装置110、肉厚・重量解析装置120の判定結果のいずれもが良品判定であるか否かをチェックし(ステップS1010)、いずれもが良品判定結果であれば(ステップS1010:Y)、当該検査にかかる資材1を良品と選別する(ステップS1011)。例えば、良品を示す表示ランプを点灯させたり、モニタなどの表示部において良品である旨を表示させたりしても良い。一方、いずれかが不良品判定結果であれば(ステップS1010:N)、当該検査にかかる資材1を不良品と選別する(ステップS1012)。例えば、不良品を示す表示ランプを点灯させたり、モニタなどの表示部において不良品である旨を表示させたりしても良い。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明は、押し出し加工された資材などの垂直断面形状の歪みの検査および空胞有無の検査に限られず、3次元物体の垂直断面形状の歪みの検査および空胞有無の検査に広く適用することができる。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】切断面の検査対象となるプラスチック材料の資材1の一例を示す図
【図2】実施例1にかかる本発明の物体検査装置100の構成例を示したブロック図
【図3】画像読み取りガラス面11の位置、資材1の切断面の位置、垂直型スキャナの焦点位置、資材1の重心位置、重量計20の計量皿21の位置を分かりやすく示した図
【図4】本発明の物体検査装置の外観の例を示す図
【図5】ストッパー40の構造物の駆動の様子を示す図
【図6】資材1を載せ置いた状態および駆動機構41によりストッパー40の構造物を下降させて垂直切断面の前から除去した様子を示す図
【図7】資材1を90度回転させて載せ置いた状態および駆動機構41によりストッパー40の構造物を下降させて垂直切断面の前から除去した様子を示す図
【図8】ストッパー40の移動軌跡と資材1の垂直断面の関係を判りやすく示した図
【図9】本発明にかかる不良品選別システムの構成例を示したブロック図
【図10】抜き取りサンプル品の良品・不良品の判別処理の基本的流れを示したフローチャート
【図11】異形押し出し工法により押し出し加工、切断加工された設備資材の一例を示す図
【図12】資材の切断面の例を示す図
【符号の説明】
【0070】
1 資材
2 貫通孔
10 垂直型スキャナ装置
11 画像読み取りガラス面
20 重量計
21 計量皿
30 ガイド
40 ストッパー
41 駆動機構
42 操作レバー
100 物体検査装置
110 画像処理解析装置
111 画像情報データベース
120 重量解析装置
121 重量情報データベース
130 選別装置
200 不良品選別システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取りガラス面が垂直に設けられ、前記画像読み取りガラス面に対向する3次元物体の垂直面の画像を読み取る垂直型スキャナと、
前記垂直型スキャナの前方に設けられ、被測定物を載せ置く計量皿を備え、前記計量皿に載せ置かれた前記3次元物体の重量を計測するための重量計と、
前記垂直型スキャナの画像読み取りガラス面の前方に設けられ、前記3次元物体の垂直断面が前記画像読み取りガラス面の前方の所定位置P1となるように前記3次元物体を制止するストッパーを備え、
前記3次元物体が前記ストッパーにより制止される所定位置P1において、前記3次元物体の少なくとも重心が前記重量計の上に位置し、かつ、前記垂直型スキャナの焦点が、前記画像読み取りガラス面ではなく前記3次元物体の垂直面となるように調整されており、前記3次元物体が前記計量皿に載せ置かれた状態において前記3次元物体の重量情報および前記画像読み取りガラス面に対向している垂直面の画像情報を同時に取得することを特徴とする物体検査装置。
【請求項2】
前記所定位置P1が、前記垂直型スキャナの前記画像読み取りガラス面から離れた位置であり、
前記重量計の計量皿の周縁のうち前記画像読み取りガラス面にもっとも近い縁が前記所定位置P1よりさらに前記垂直型スキャナの前記画像読み取りガラス面から離れた所定位置P2となっていることを特徴とした請求項1に記載の物体検査装置。
【請求項3】
前記ストッパーの構造物を移動させる駆動機構を備え、前記駆動機構により、前記3次元物体の移動を制止する時点において前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接する状態とし、前記垂直型スキャナによる前記3次元物体の垂直断面の画像読み取り処理を実行する前に前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接しない状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の物体検査装置。
【請求項4】
前記ストッパーの構造物を移動させる駆動機構を備え、前記駆動機構により、前記3次元物体の移動を制止する時点において前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接する状態とし、前記重量計による前記3次元物体の重量計測処理を実行する前に前記ストッパーの構造物を前記3次元物体に当接しない状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の物体検査装置。
【請求項5】
前記ストッパーの構造物が前記3次元物体に当接している状態が、前記3次元物体の垂直断面に前記ストッパーの構造物表面が沿うように当接した状態であり、
前記ストッパーの構造物が前記3次元物体に当接しない状態となるように移動する軌跡が、垂直方向の移動軌跡ではなく、前記3次元物体の垂直断面に触れないように斜め下方向の移動する移動軌跡とした請求項3または4に記載の物体検査装置。
【請求項6】
XY平面の垂直断面とZ軸方向の長さを持つ外形概略が直方体の資材を検査する物体検査装置であり、
請求項1から5のいずれかに記載の物体検査装置と、
前記物体検査装置を用いて、前記3次元物体のXY平面を前記画像読み取りガラス面に対向させる姿勢で得た前記3次元物体の垂直断面の画像情報と設計上の垂直断面の基準画像情報とを比較し、前記3次元物体が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する画像処理解析装置と、
前記物体検査装置により得た前記3次元物体の重量情報と、前記物体検査装置を用いて、前記3次元物体のZ軸を前記画像読み取りガラス面に対向させる姿勢で得た前記3次元物体の長さ方向の画像情報より計測した前記3次元物体の長さ情報より得た前記3次元物体の単位長さあたりの重量情報と、前記3次元物体の重量情報と設計上の3次元物体の重量情報とを比較し、前記3次元物体の肉厚幅のばらつきおよび空胞の存在が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する肉厚・空胞解析装置と、
前記画像処理解析装置および前記肉厚・空胞解析装置による前記3次元物体の良品か不良品かの判別に従い、不良品と判別されたもののはじき出しを行なう選別装置を備えた不良品選別システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−232872(P2008−232872A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73889(P2007−73889)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(501170080)株式会社創発システム研究所 (10)
【Fターム(参考)】