説明

物品搬送方法及び物品搬送装置

【課題】物品や容器のサイズ或いは容器内への物品の詰め合わせ状態などに応じた複数の物品の供給形態に対応可能な物品搬送方法及び物品搬送装置を提供する。
【解決手段】所定間隔毎に搬送される物品搬送コンベヤ2上の複数の物品1を吸着手段で吸着し、所定間隔毎に搬送される容器搬送コンベヤ4の第一コンベヤ5上の容器3に各物品1を載置して該容器3と共に搬送する際に、指定手段により第一の制御プログラムに切り替えられた状態では複数の物品1の夫々に対応した位置に配備された吸着具が各物品1を夫々吸着してまとめて容器3の一つに載置し、また、指定手段により第二の制御プログラムに切り替えられた状態では物品1を夫々吸着している吸着具の間隔を容器搬送コンベヤ4の第一コンベヤ5上の複数の容器3の間隔に合わせて該複数の容器3に夫々の物品を載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に物品を供給する物品搬送方法及び物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤ上の物品をロボットハンドによって箱やトレイ等の容器に移載する技術が知られている。例えば、下記の特許文献1には、コンベヤから物品を容器に順次落下させて波形マルチトレイの各トレイ部分に載置した後、各トレイ部分上の物品を吸着具によりまとめて吸着して刺身重ね状に並べた状態で箱詰めすることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−61421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの装置では、物品や容器のサイズ或いは容器内への物品の詰め合わせ状態などのニーズに応じて吸着具を交換するといったような部品交換が必要とされており、複数のニーズに兼用し得る物品搬送形態の検討が十分ではなかった。
【0005】
この発明は、物品や容器のサイズ或いは容器内への物品の詰め合わせ状態などに応じた複数の物品の供給形態に対応可能な物品搬送方法及び物品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る物品搬送方法においては、所定間隔毎に搬送される物品搬送コンベヤ(2)上の複数の物品(1)を吸着手段(9A)で吸着し、所定間隔毎に搬送される容器搬送コンベヤ(4)上の容器(3)に各物品(1)を載置して該容器(3)と共に搬送する。指定手段により制御プログラムが第一の制御プログラムに切り替えられた際には、前記複数の物品(1)の夫々に対応した位置に配備された前記吸着手段(9A)の吸着具(29)が各物品(1)を夫々吸着してまとめて前記容器(3)の一つに載置する。指定手段により制御プログラムが第二の制御プログラムに切り替えられた際には、前記物品(1)を夫々吸着している吸着具(29)の間隔を前記容器搬送コンベヤ(4)上の複数の容器(3)の間隔に合わせて、該複数の容器(3)に夫々の物品(1)を載置する。
【0007】
請求項1の発明では、吸着手段(9A)の吸着具(29)を交換することなく、指定手段により制御プログラムを切り替えることにより、物品(1)や容器(3)のサイズ或いは容器内への物品(1)の詰め合わせ状態などに応じて各種の供給状態で物品(1)を容器(3)に供給することができる。
【0008】
請求項2の発明に係る物品搬送装置は、物品(1)を物品搬送方向(X)に傾けて所定間隔毎に搬送する物品搬送コンベヤ(2)と、容器(3)を所定間隔毎に搬送する容器搬送コンベヤ(4)のほかに、下記の吸着手段(9A)と移載手段(9A)と制御プログラムと指定手段を備えている。吸着手段(9A)は、前記物品(1)の傾きに対応するよう物品搬送方向(X)に傾けた複数の吸着具(29)を物品搬送方向(X)に並んだ物品(1)の間隔に合わせて配備し、該吸着具(29)により前記物品搬送コンベヤ(2)上の物品(1)を夫々吸着する。移載手段(9A)は、前記物品(1)を夫々吸着している前記吸着具(29)を容器搬送方向(X)に並べるとともにそれらの吸着具(29)の間隔を変更して、該各吸着具(29)により吸着された夫々の物品(1)を前記容器(3)に載置する。制御プログラムは、指定手段の切り替えにより選択され、前記吸着具(29)が保持している夫々の物品(1)をまとめて一つの容器(3)に載置するよう前記移載手段(9A)を駆動し、または、前記容器搬送コンベヤ(4)上の複数の容器(3)の間隔に前記吸着具(29)の間隔を合わせて複数の容器(3)に物品(1)を夫々載置するよう前記移載手段(9A)を駆動する。
【0009】
請求項2の発明では、吸着手段(9A)の吸着具(29)を交換することなく、指定手段により制御プログラムを切り替えることにより、物品(1)や容器(3)のサイズ或いは容器内への物品(1)の詰め合わせ状態などに応じて各種の供給状態で物品(1)を容器(3)に供給することができる。また、物品(1)の傾きに対応するよう傾けた吸着具(29)が夫々吸着した物品(1)の間隔を調節することから、移載手段(9A)を簡素に構成して、一つの容器(3)にまとめて物品(1)を載置する際に、例えば物品(1)同士を部分的に重ねた状態にするなどの供給形態で物品(1)を容器(3)に供給することができる。
【0010】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記容器搬送コンベヤ(4)は前記物品搬送コンベヤ(2)に隣接して前記物品搬送方向(X)と平行に容器(3)を搬送する搬送部(15)を備え、前記移載手段(9A)は該搬送部(15)の容器(3)に対して前記吸着した物品(1)を載置する。
【0011】
請求項3の発明では、容器搬送コンベヤ(4)の搬送部(15)は、物品搬送コンベヤ(2)に隣接し、物品(1)と容器(3)を物品搬送方向(X)と平行に搬送するよう配設されていることから、移載手段(9A)が物品搬送コンベヤ(2)と搬送部(15)の間を直線的に移動する距離が短くなり、このため移載手段(9A)の処理能力を高くすることができる。
【0012】
請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記物品搬送コンベヤ(2)は、無端索体(10)の外周に所定間隔で配設されて、物品搬送方向(X)の下流側が該無端索体(10)に接近する傾斜姿勢で物品(1)を支持する支持体(11)を有している。
【0013】
請求項4の発明では、支持体(11)により該傾斜姿勢で支持された物品(1)に吸着具(29)を確実に当接させて物品(1)を円滑に吸着することができる。
請求項2〜4のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明において、前記容器搬送コンベヤ(4)は、容器搬送方向(X)に交差する方向(Y)に傾斜した載置面(16a)を有し、該載置面(16a)で該容器(3)を傾けた状態で搬送する搬送部(15)を備え、前記移載手段(9A)は該搬送部(15)にて前記容器(3)に前記物品(1)を前記載置面(16a)の傾斜方向に沿って順次積み重ねて載置する。
【0014】
請求項5の発明では、容器搬送コンベヤ(4)の搬送部(15)は、容器搬送方向(X)に交差する方向(Y)に傾斜した載置面(16a)で容器(3)を傾けた状態で搬送し、その搬送部(15)における各容器(3)に対し、移載手段(9A)は載置面(16a)の傾斜方向に沿って、物品(1)が部分的に重なるよう順次積み重ねて載置する等、物品(1)を重ねて載置することで、移載手段(9A)を簡素にして、物品(1)を刺身重ね状に載置するなど所要の詰め合わせを行うことができる。
【0015】
請求項5の発明を前提とする請求項6の発明において、前記容器搬送コンベヤ(4)は、物品(1)が載置された容器(3)を傾けた状態から略水平状態に変換する姿勢変換部(17)を前記搬送部(15)より下流に有している。
【0016】
請求項6の発明では、容器搬送方向(X)に交差する方向(Y)に傾斜した容器(3)を姿勢変換部(17)で略水平状態にすることから、物品(1)の自重によって容器(3)に対する夫々の物品(1)の位置を適切にすることができる。
【0017】
請求項6の発明を前提とする請求項7の発明において、前記容器搬送コンベヤ(4)は、前記搬送部(15)と前記姿勢変換部(17)を有する第一コンベヤ(5)と、該第一コンベヤ(5)に並設されて第一コンベヤ(5)とは逆向きに容器(3)を搬送する第二コンベヤ(6)と、該第一コンベヤ(5)の姿勢変換部(17)より下流で該第二コンベヤ(6)に容器(3)を受け渡す受渡手段(18,22)を備えている。
【0018】
請求項7の発明では、搬送部(15)と前記姿勢変換部(17)を有する第一コンベヤ(5)と、第二搬送部(21)を有する第二コンベヤ(6)とを受渡手段(18,22)を介して接続したことから、物品搬送装置をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、物品や容器のサイズ或いは容器内への物品の詰め合わせ状態などに応じた複数の物品の供給形態に対応可能な物品搬送方法及び物品搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る物品搬送装置を概略的に示す部分平面図。
【図2】上記物品搬送装置を概略的に示す部分正面図。
【図3】上記物品搬送装置を概略的に示す部分側面図。
【図4】(a)は容器搬送コンベヤにおいて容器の傾きの変化を概略的に示す部分側面図、(b)(c)は夫々容器への物品載置状態を示す部分断面図。
【図5】(a)は一つの容器への物品載置途中状態を示す斜視図、(b)は同じく物品載置完了状態を示す斜視図。
【図6】(a)は複数の容器への物品載置途中状態を示す斜視図、(b)は同じく物品載置完了状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、物品1を所定間隔毎に搬送する物品搬送コンベヤ2と、容器3を所定間隔毎に搬送する容器搬送コンベヤ4とが並設されている。容器搬送コンベヤ4は、物品搬送方向Xに直交する幅方向Yに、物品搬送コンベヤ2の隣に並設された第一コンベヤ5と、第一コンベヤ5の隣に並設された第二コンベヤ6と、第二コンベヤ6の隣に並設された第三コンベヤ7を備えている。これらのコンベヤ2,4の上方には、第三コンベヤ7上から第一コンベヤ5上へ容器3を供給する容器移載手段8(図3参照)の移載部8Aと、物品搬送コンベヤ2から第一コンベヤ5上の容器3へ物品1を移載するロボット9(図2参照)のハンド9Aとが配備されている。物品1が載置された容器3は第一コンベヤ5から第二コンベヤ6へ搬送される。なお、図1,2中の白抜き矢印は各コンベヤ2,5,6,7の搬送向きを示している。
【0022】
前記物品搬送コンベヤ2においては、図2の如く、無端索体10の外周に所定間隔で支持体11が配設され、各支持体11は物品搬送方向Xの下流側が該無端索体10に接近するよう傾斜する載置面11aを有している。物品搬送コンベヤ2の上流端の上方には物品供給ベルト12が配設されている。物品供給ベルト12は、無端索体10の回転に伴い順次接近する各支持体11の載置面11aの傾斜角度に合わせて傾斜する物品吸引面12aを有している。物品吸引面12aには順次供給される物品1が吸着されて待機する。不図示の物品検出手段等による物品供給ベルト12から物品搬送コンベヤ2への物品1の受渡しに関連する情報に基づき、支持体11が順次一つずつ回転して物品供給ベルト12の下流端側に位置すると、物品1が載置面11aに対し物品搬送方向Xに傾いた傾斜姿勢で搬入される。各支持体11に搬入された物品1は物品搬送コンベヤ2の下流端に向けて搬送される。
【0023】
前記第一コンベヤ5においては、図3の如く、無端索体13の外周に所定間隔で送り爪14が配設され、無端索体13の上方に無端索体13の上流端から下流端にわたり載置板16を有する第一搬送部15が設けられている。第一搬送部15上の上流端と下流端は夫々物品搬送コンベヤ2上の下流端と上流端に隣接し、物品搬送コンベヤ2上の各支持体11と第一コンベヤ5上の各送り爪14は互いに逆向きに移動する。載置板16は、図3における容器搬送方向Xに交差する幅方向Yで水平面Hに対し物品搬送コンベヤ2側へ傾斜した載置面16aと、載置面16aを幅方向Yで二分割する通路16bと、載置面16aの下端縁で立ち上がる側面16cを有している。各送り爪14は載置板16から上方に突出した状態で通路16bを移動する。載置板16の載置面16a及び側面16cによって容器3が支持される。容器3は、図4〜6に示すように底部3aと底部3aの外周に設けられた側部3bと底部3aの上方に設けられた開口3cを有し、載置面16a及び側面16cによって、図4(a)に示す開口3cが物品搬送コンベヤ2側に向く傾斜姿勢を維持しつつ、送り爪14によって搬送される。
【0024】
また、前記第一コンベヤ5においては、第一搬送部15より下流に隣接して第一姿勢変換部17が設けられ、第一姿勢変換部17より下流に隣接して第一コンベヤ5上の下流端には平坦な載置面18aを有する受渡部18(第二搬送部の受渡手段)が設けられている。第一姿勢変換部17は、多数の棒状のローラ19からなるコンベヤであり、容器3が載置板16の載置面16aから受渡部18の載置面18aへ搬送されるに従い容器3の姿勢が傾斜状態から略水平状態に変換されるよう、多数の棒状のローラ19がその傾斜角度を次第に小さくするよう並設されている。受渡部18には第一姿勢変換部17より下流に搬送された容器3を停止させるストッパ20が設けられている。
【0025】
前記第二コンベヤ6においては、その上流端から下流端にわたり平坦な載置面21aを有する搬送ベルト21が第二搬送部として掛け渡され、第一コンベヤ5の下流端に隣接する搬送ベルト21の上流端で受渡部22(第二搬送部の受渡手段)が設けられている。第二コンベヤ6は第一コンベヤ5が容器3を搬送する向きとは逆の向きに容器3を搬送する。図4(a)に示すように、その受渡部22の載置面21aは第一コンベヤ5の受渡部18の載置面18aより少し低くなっており、それらの載置面18a,21a間には段差状をなす第二姿勢変換部23が設けられている。それらの受渡部18,22間には容器3を載置面18aから載置面21aに送り出すプッシャ24が幅方向Yへ往復動可能に設けられている。受渡部22にはプッシャ24により送り出された容器3を停止させるストッパ25が設けられている。容器3は、それらの受渡部18,22間の受渡経路で載置面18aから載置面21aに搬送される際に、第二姿勢変換部23で水平面Hに対し載置面21a側に少し傾斜する。
【0026】
前記第三コンベヤ7は、無端状の搬送ベルト26が掛け渡され、その搬送ベルト26と、搬送ベルト26の下流端に直列状に配列された二つのベルトコンベヤ27を備えており、容器3を同じ向きに搬送する各ベルトコンベヤ27では、不図示の容器検出手段による検知情報に基づき、搬送ベルト26が搬送する際の容器3の間隔より広がるように各ベルトコンベヤ27の速度制御が行なわれると共に、各ストッパ27aが搬送路に進退可能とされて、その各ストッパ27aの出現により後続の容器3と非接触状態とされる。
【0027】
前記容器移載手段8の移載部8Aは、第三コンベヤ7の各ベルトコンベヤ27上で待機する容器3の側部3bの各四箇所を把持する把持腕28を有しており、各把持腕28で把持した各容器3を同時に上昇させて、第一コンベヤ5の載置板16上に移動させた後に、その位置で各容器3を載置面16aの近くまで降下させてから、把持腕28による把持状態を解除することで、夫々の送り爪14の間に各容器3を同時に落下させて載置する。
【0028】
前記ロボット9は、三次元の自由度を有するパラレルリンクロボットであって、不図示のサーボモータを駆動することによって、例えば雌雄ねじ機構やラック及びピニオンなどにより、互いに間隔を変更することができる複数の吸着具29を有するハンド9Aを備えている。各吸着具29は、物品搬送コンベヤ2の所定の各支持体11の斜面に対応して傾けられて取着されており、各支持体11に支持された物品1を同時に吸着して第一コンベヤ5上の容器3に搬送する。
【0029】
物品搬送装置の駆動系を制御するコントローラ(不図示)には、物品1の種類や容器3の種類等の仕様変更に応じて物品1を容器3に各種の供給形態で供給する制御プログラムと、各種制御プログラムへの切り替えを選択可能とした指定手段としてのプログラムが記憶されており、指定手段の一部を構成するタッチ画面(不図示)などを介して、物品1や容器3等の仕様変更情報若しくは切り替え指令情報を受けることで、制御プログラムの切り替えを実行するよう設定されている。特定の一つの第一の制御プログラムが選択されると、第一の制御プログラムに応じた動作パターンで前記物品搬送コンベヤ2や容器搬送コンベヤ4(第一コンベヤ5と第二コンベヤ6と第三コンベヤ7)や容器移載手段8やロボット9などが駆動される。
【0030】
例えば、図5に示すように容器3への物品1の供給形態に応じた第一の制御プログラムでは、下記のようにして、容器3に対する物品1の供給が行なわれる。
先ず、第一コンベヤ5上の第一搬送部15に容器3が複数個載置され、第一コンベヤ5が待機している状態で、ロボット9は、物品搬送コンベヤ2への物品1の受け入れ情報とエンコーダ等のパルス等による物品搬送コンべヤ2の駆動情報によって、物品1が物品搬送コンベヤ2上に所定個数載置されている際に、物品搬送コンベヤ2の下流側の物品1とその物品1の隣りの物品1の位置に各吸着具29が位置し得るよう、吸着手段としてのハンド9Aを移動させると共に吸着具29の間隔を物品1の間隔に合わせてそれらの物品1を同時に吸着する。
【0031】
物品吸着後、移載手段としてのハンド9Aを上昇させ、第一搬送部15のエンコーダ等のパルス等による駆動情報に基づき、第一搬送部15上の最下流側に載置された先頭の容器3に物品1を載置し得るよう、ハンド9Aを上下軸周りに回転させることなくその容器3に向けて直線的に平行移動させると共に吸着具29の間隔調整を行って容器3内に物品1を載置する。
【0032】
なお、各容器3は、図4(a)に示すように、第一搬送部15の載置板16の載置面16a及び側面16cに支持されて、開口3cが物品搬送コンべヤ2側に向く傾斜姿勢になっており、ハンド9Aは、降下して、載置板16の側面16cに当接した容器3の側部3bの上端と底部3aの二箇所で物品1が支持されるよう、図4(b)のIの物品1の如く、吸着した物品1を上方から二個同時に一つ容器3内に載置する。
【0033】
容器3へIの物品1が切り離されると、ハンド9Aは、物品搬送コンベヤ2の下流側の物品1とその物品1に隣接する次の物品1の位置に向けて直線的に平行移動して同様に各吸着具29の間隔を調整し、各物品1を同時に吸着した後、第一搬送部15上のIの物品1が載置された容器3の上方に向けて直線的に平行移動して、図4(b)のIIの物品1の如く、物品1を上方から二個同時にIの物品1に部分的に重なるように刺身重ね状に載置する。
【0034】
図4(b)のIIIの物品1についても、ロボット9は、IIの物品1を載置するときと同様の処理を行い、先頭の容器3内に計6個の物品1を載置する。
そして、先頭の容器3への物品1の載置が完了すると、その容器3の隣りの容器3に計6個の物品1が同様に載置される。
【0035】
二つの容器3への物品1の載置が完了すると、これらの容器3は第一姿勢変換部17に押送されるよう第一搬送部15が駆動される。
二つの容器3が押送されると、その押送に関する第一搬送部15の駆動情報に基づき、第一搬送部15の上方位置で二つの容器3を把持して待機していた容器移載手段8が、第一搬送部15の上流の夫々の送り爪14の間に新たな容器3を二つ同時に載置した後、ベルトコンべヤ27側に移動し、ベルトコンべヤ27上の容器3を把持して、再度、第一搬送部15の上方位置で待機する。即ち、以上のようなロボット9及び容器移載手段8の動作は、第一搬送部15上の二つの容器3に物品1が載置される毎に繰り返される。
【0036】
物品1の載置が完了した容器3は、第一姿勢変換部17にて傾斜姿勢から序々に水平状態となり、受渡部18の載置面18aに到達すると、水平状態(図4(c)の状態)とされる。
【0037】
受渡部18のストッパ20に当接した容器3を検知する不図示の検知手段が配設されており、その検知情報に基づきプッシャ24が作動して容器3がストッパ25に向けて送り出される。
【0038】
ストッパ25に当接した容器3は受渡部18より低い位置に配設された受渡部22に載置され、搬送ベルト21によって図5(b)の状態で搬送される。
図5(b)の状態では、I乃至IIIの物品1は、一部重なるように吸着具29の間隔を狭めて、容器3内に載置されることにより、I乃至IIIの夫々の物品1同士で刺身重ね状に載置され、また、IからIIIの物品1の列並びにおいても、刺身重ね状に載置されている。
【0039】
なお、図4及び図5(a)には、容器3の底部3aに形成された突起3dが説明の便宜を図るために示されている。この突起3dは、容器3が水平状態になり水平面Hに対し物品1のなす角度がαからβ(α<β)に変化する際等に、物品1の端部に当接して物品1の位置ずれを規制するものであり、容器3または物品1の性状等によって物品1が滑り易く、刺身重ね状態を維持し難い場合に採用することが好ましい。
【0040】
一方、図6の如く、図5の物品1より長いサイズの物品1を、その物品1に対応したサイズの容器3に供給する際には、その供給形態に対応した第二の制御プログラムに指定手段により切り替えられる。
【0041】
第二の制御プログラムでは、物品搬送方向Xにおける吸着具29の間隔を調節し、物品搬送コンベヤ2上の前後二つの物品1を第一の制御プログラムと同様に同時に吸着して、ハンド9Aを上下軸周りに回転させることなく上昇し、第一搬送部15の下流側に向けて直線的に平行移動するが、ハンド9Aは吸着した二つの物品1の間隔を第一コンベヤ5上に載置された隣り合う前後の容器3の間隔に対応するよう拡げて降下し、第一コンベヤ5上の下流で隣り合う二つの容器3にIの物品1として物品1を一個ずつ上方から同時に載置する点で、第一の制御プログラムとは相違している。
【0042】
また、Iの物品1と同様にII乃至IVの物品1を吸着移送して載置する点においても相違しているが、各容器3に載置された物品1に部分的に重なるように、II乃至IVの物品1を順次載置する点では第一の制御プログラムと類似し、二つの容器3にIVの物品1が同時に載置された後、それらの容器3は第一姿勢変換部17と第二姿勢変換部23を経て搬送ベルト21上にて水平状態で搬送される。この時、容器3内の物品は刺身重ね状に載置されている。
【0043】
IVの物品1が載置された二つの容器3が第一姿勢変換部17に向けて移動するに伴い、次の容器3が第一搬送部15の下流側に向けて送られ、IからIVの物品1が同様に順次載置される。
【0044】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 物品1の傾きに対応するよう物品搬送方向Xに傾けた複数の吸着具29により、物品搬送方向Xに傾いた状態で所定間隔毎に並んだ物品搬送コンベヤ2上の複数の物品1を吸着保持する吸着手段(ロボット9のハンド9A)と、物品1を吸着保持している吸着具29を容器搬送方向Xに並べると共にそれらの吸着具29の間隔を変更して各吸着具29により吸着された夫々の物品1を容器3に載置する移載手段(ロボット9のハンド9A)を備え、指定手段により切り替えられた制御プログラムに基づき、吸着具29が保持している各物品1をまとめて一つの容器3に載置するか、或いは容器搬送コンベヤ4上で隣り合う容器3の間隔に吸着具29の間隔を合わせて、それらの容器3に物品1を夫々一つずつ載置することができる。従って、吸着具29を交換することなく、制御プログラムを切り替えるだけで、物品1や容器3のサイズ或いは容器3内への物品1の詰め合わせ状態などに応じて、各種の供給形態で物品1を容器3に供給することができる。
【0045】
また、物品搬送方向Xの下流側が無端索体10に接近する傾斜姿勢で搬送される物品1を物品搬送方向Xに傾けて配備された各吸着具29が複数同時に吸着し、それらの物品間隔を調整することから、ロボット9のハンド9Aに大掛かりな装置を装着することなく、ロボット9のハンド9Aを簡素にして、一つの容器3にまとめて物品1を載置する際に、物品1同士を部分的に重ねた状態にする詰め合わせニーズにも対応させることができる。
【0046】
(2) 容器搬送コンベヤ4の搬送部15は、物品搬送コンベヤ2に隣接し、物品1と容器3を物品搬送方向Xと平行に搬送するよう配設されていることから、ロボット9のハンド9Aが物品搬送コンベヤ2と搬送部15の間を直線的に移動する距離が短くなり、このためロボット9のハンド9Aの処理能力を高くすることができる。
【0047】
(3) 物品搬送コンベヤ2の支持体11によって物品1が傾斜姿勢で支持されて搬送されることから、物品1に吸着具29を確実に当接させて物品1を円滑に吸着することができる。
【0048】
(4) 容器搬送コンベヤ4の搬送部15は、幅方向Yに傾斜した載置面16aで容器3を傾けた状態で搬送し、その搬送部15における各容器3に対し、ロボット9のハンド9Aは載置面16aの傾斜方向に沿って、物品1が部分的に重なるよう順次積み重ねて載置する等、物品1を重ねて載置することで、ロボット9のハンド9Aを簡素にして、物品1を刺身重ね状に載置するなど所要の詰め合わせを行うことができる。また、幅方向Yに傾斜した容器3を第一姿勢変換部17で略水平状態にすることから、物品1の自重によって容器3に対する夫々の物品1の位置を適切にすることができる。
【0049】
(5) 第一搬送部15及び第一姿勢変換部17を有する第一コンベヤ5と、第一コンベヤ5とは逆向きに容器3を搬送するよう第二搬送部としての搬送ベルト21を有する第二コンベヤ6とを受渡部18,22を介して接続したことから、物品搬送装置をコンパクトに構成することができる。
【0050】
本発明の趣旨に反しない範囲で前記実施形態以外にも適宜変更可能であり、例えば下記のような構成を採用することができる。
・ 移載手段としては、三次元の自由度を有するパラレルリンクロボットに代えて、物品を各方向に直線的に移動させて容器に搬送して載置する装置を採用してもよい。
【0051】
・ 物品搬送コンベヤ2において、無端索体10の外周に所定間隔で配設された支持体11に物品1を略水平状態で支持するようにしてもよい。
・ 第一搬送部15において、容器3を略水平状態で支持するようにしてもよい。
【0052】
・ 物品搬送コンベヤ2または容器搬送コンベヤ4としては、搬送される物品1または容器3の間隔が一定であることが好ましいが、物品1または容器3が搬送されるタイミング等が判れば、物品1または容器3がランダムに搬送されるコンベヤであってもよい。
【0053】
・ 容器搬送コンベヤ4の第一搬送部15は、容器3の開口3cが物品搬送コンベヤ2に対する反対側に向く傾斜姿勢で容器3を搬送することも可能である。
・ 容器3への物品1の供給形態の一つとして、一つの容器3内で物品1同士が重ならないように物品1を詰め合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…物品、2…物品搬送コンベヤ、3…容器、4…容器搬送コンベヤ、5…第一コンベヤ、6…第二コンベヤ、9…ロボット、9A…ロボットのハンド(吸着手段、移載手段)、10…無端索体、11…支持体、15…第一搬送部、16a…載置面、17…第一姿勢変換部、18,22…受渡部(受渡手段)、29…吸着具、X…物品搬送方向及び容器搬送方向、Y…幅方向、H…水平面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔毎に搬送される物品搬送コンベヤ上の複数の物品を吸着手段で吸着し、所定間隔毎に搬送される容器搬送コンベヤ上の容器に各物品を載置して該容器と共に搬送する物品搬送方法であって、
指定手段により制御プログラムが第一の制御プログラムに切り替えられた際には、前記複数の物品の夫々に対応した位置に配備された前記吸着手段の吸着具が各物品を夫々吸着してまとめて前記容器の一つに載置し、
指定手段により制御プログラムが第二の制御プログラムに切り替えられた際には、前記物品を夫々吸着している吸着具の間隔を前記容器搬送コンベヤ上の複数の容器の間隔に合わせて、該複数の容器に夫々の物品を載置する
ことを特徴とする物品搬送方法。
【請求項2】
物品を物品搬送方向に傾けて所定間隔毎に搬送する物品搬送コンベヤと、
容器を所定間隔毎に搬送する容器搬送コンベヤと、
前記物品の傾きに対応するよう物品搬送方向に傾けた複数の吸着具を物品搬送方向に並んだ物品の間隔に合わせて配備し、該吸着具により前記物品搬送コンベヤ上の物品を夫々吸着する吸着手段と、
前記物品を夫々吸着している前記吸着具を容器搬送方向に並べるとともにそれらの吸着具の間隔を変更して、該各吸着具により吸着された夫々の物品を前記容器に載置する移載手段と、
前記吸着具が保持している夫々の物品をまとめて一つの容器に載置するよう前記移載手段を駆動する制御プログラムと、前記容器搬送コンベヤ上の複数の容器の間隔に前記吸着具の間隔を合わせて複数の容器に物品を夫々載置するよう前記移載手段を駆動する制御プログラムと、これらの制御プログラムへの切り替えを選択し得る指定手段を備える
ことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項3】
前記容器搬送コンベヤは前記物品搬送コンベヤに隣接して前記物品搬送方向と平行に容器を搬送する搬送部を備え、前記移載手段は該搬送部の容器に対して前記吸着した物品を載置することを特徴とする請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記物品搬送コンベヤは、無端索体の外周に所定間隔で配設されて、物品搬送方向の下流側が該無端索体に接近する傾斜姿勢で物品を支持する支持体を有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記容器搬送コンベヤは、容器搬送方向に交差する方向に傾斜した載置面を有し、該載置面で該容器を傾けた状態で搬送する搬送部を備え、前記移載手段は該搬送部にて前記容器に前記物品を前記載置面の傾斜方向に沿って順次積み重ねて載置することを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記容器搬送コンベヤは、物品が載置された容器を傾けた状態から略水平状態に変換する姿勢変換部を前記搬送部より下流に有していることを特徴とする請求項5に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記容器搬送コンベヤは、前記搬送部と前記姿勢変換部を有する第一コンベヤと、該第一コンベヤに並設されて第一コンベヤとは逆向きに容器を搬送する第二コンベヤと、該第一コンベヤの姿勢変換部より下流で該第二コンベヤに容器を受け渡す受渡手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−103779(P2013−103779A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246799(P2011−246799)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】