説明

物品搬送装置

【課題】壊れやすい物品4でも損傷することなく起立させて集積することを可能にする。
【解決手段】物品供給コンベヤ2によって一定の間隔で搬送されてきた板状物品4を、その下方に配置された整列コンベヤ6上に落下させて前方の物品4の後端部上に後方の物品4の前端部を重ねた状態にして供給する。複数の物品4を供給した後、整列コンベヤ6を短時間加速して、複数の物品のグループGと後方の物品のグループGとを切り離す。整列コンベヤ6の下方に、先頭の物品4の下面に係合可能な起立フィンガ50を備えた起立手段18が設けられており、グループ4の先頭の物品4を立ち上げることにより複数の物品4を起立させる。後方の当接部材16と前方の起立フィンガ50によって保持した物品4を、整列コンベヤ6上を横断するプッシャ56によって押し出してトレイ搬送コンベヤ52上のトレイ54内に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送装置に係り、特に、複数の板状物品をまとめて起立させ、集積した状態で容器内に収容する物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベヤによって、水平な状態で連続的に搬送されてきた複数の板状物品を起立させる装置は従来から知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、ピロー袋入製品を水平姿勢で不定間隔に配置して移送する定速コンベヤと、この定速コンベヤの製品送り端側に、製品の厚さより僅かに大きい間隙を持って平行に配設されて製品案内部を構成している上下2枚の案内板と、この案内部の製品流出側に配置されて旋回するスターホイールとを備えている。
【0004】
定速コンベヤよって水平姿勢で搬送されてきた製品は製品案内部に到達する。製品案内部の製品流出端部はスターホイールの平坦部が上向きに水平となる位置に近接して設けられており、この位置まで移動してきた製品は、押圧兼送給部材によって前記スターホイールの平坦部上に載せられる。スターホイールの平坦部に乗った製品は、その旋回によって約90度向きが変換され、起立した状態になって受板上に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−16329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載された発明のように、定速コンベヤによって水平な状態で搬送されてきた製品を、スターホイールによって起立させる構成では、例えば、ビスケットのような壊れやすい製品の場合には起立させる際に割れてしまうおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で、壊れやすい板状物品でも複数枚グループ化して起立させることが可能な物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した第1の発明は、板状物品の前端部が搬送方向前方の板状物品の後端部に上方から重なって複数枚集合された板状物品のグループを、前後に所定の間隔をあけて搬送する物品搬送手段と、この物品搬送手段に設けられ、前記板状物品のグループの最後尾の物品に当接する当接部材と、前記物品搬送手段によって搬送される板状物品のグループの先頭に位置する物品の下面に係合し、この物品の前端部側を上昇させる方向に移動させて物品グループを起立させる起立手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1の発明において、前記物品搬送手段よりも高い位置に設けられ、複数の板状物品を所定間隔で前記搬送手段に供給する供給手段を備え、この供給手段から物品搬送手段へ所定数の板状物品を供給した後、所定時間だけ前記物品搬送手段の搬送速度を供給手段の搬送速度よりも相対的に速くして、物品搬送手段により搬送される板状物品のグループ間に間隔をあけることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記板状物品を収容する容器を搬送する容器搬送手段と、前記物品搬送手段上の物品を前記容器搬送手段上に押し出す押出手段とを備え、前記物品搬送手段上で起立手段によって起立された板状物品のグループを、押出手段によって押し出して前記容器搬送手段上の容器内に収容することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の物品搬送装置によれば、板状物品の前端部が搬送方向前方の板状物品の後端部に上方から重なって複数枚集合された板状物品のグループを物品搬送手段によって搬送しつつ、起立手段を先頭の物品の下面に係合させ、物品の前端部側を上方へ向けて移動させる構成にしたことにより、簡単な構成で、複数の板状物品を起立させ、集積することができる。また、壊れやすい物品でも損傷することなく起立させることができるという利点がある。
【0012】
また、請求項2に記載の物品搬送装置では、簡易な構成で、板状物品のグループを形成することが可能である。
【0013】
さらに請求項3に記載の物品搬送装置では、板状物品のグループを起立状態にしたまま箱内に一度に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は物品搬送装置の全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】図2は物品搬送装置の側面図である。
【図3】図3は物品搬送装置の起立手段を示す説明図である。
【図4】図4(a)〜(e)は物品搬送装置の作動を順次説明する説明図である。
【図5】図5(a)〜(c)はプッシャによる物品の押し出し過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
板状物品の前端部を前方の板状物品の後端部上に順次重ねて複数枚集合させたグループとし、この板状物品のグループを物品搬送手段によって前後に所定の間隔をあけて搬送する。この物品搬送手段には、各物品のグループの後端部の物品に当接する当接部材が設けられて、物品のグループの後端部に当接するとともに、物品搬送手段によって搬送されている物品グループの先頭の物品の下面側に係合する起立手段を設け、この起立手段によって先頭の物品の前端部側を上昇させる方向に移動させることにより、グループ全体の物品を起立させるという構成にしたことにより、壊れやすい物品であっても傷付けることなく起立させ、集積させるという目的を達成することができる。
【実施例1】
【0016】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1および図2中の符号2は、板状の物品4を水平に寝かした状態で搬送する物品供給コンベヤである。この物品供給コンベヤ2は、中央に間隔(以下スリット2Cと呼ぶ)をあけて配置された2本のベルトコンベヤ2A、2Bからなっており、この実施例では、板状の物品4が2本のベルトコンベヤ2A、2B上に跨って、等間隔で一定の速度で搬送される。なお、この実施例で扱う板状の物品4は、例えば、ビスケット、ノート、本、板チョコ等の各種物品や、ピロー成形した偏平状の袋や、CDケース等の各種容器、その他平たい物品であれば何でもよい。
【0017】
この物品供給コンベヤ2の下流端2aには、物品供給コンベヤ2によって搬送されてきた板状物品4を受け取って搬送する物品搬送コンベヤ(整列コンベヤ)6が、物品供給コンベヤ2と同一の搬送方向(矢印A参照)を向けて配置されている。この搬送コンベヤ6も、中央に間隔(以下スリット6Cと呼ぶ)をあけて配置された2本のベルトコンベヤ6A、6Bからなっている。この整列コンベヤ6は、図2に示すように、前記物品供給コンベヤ2よりも低い位置に配置されており、その上流端6aが供給コンベヤの下流端2aの下方に位置している。物品供給コンベヤの搬送経路の両側にはガイド部材8A、8Bが配置されている。また、整列コンベヤ6の両側にもガイド部材10A、10Bが配置されている。整列コンベヤ6の両ガイド部材10A、10Bは、上流端10Aa、10Baが、物品供給コンベヤ2から落下してくる板状物品4が引っ掛かることがないようにやや拡開されている。
【0018】
整列コンベヤ6を構成する2本のベルトコンベヤ6A、6Bは、図2に示すように、上流端6aと下流端6bおよびこれらの下方にそれぞれ配置された4箇所のプーリ12A、12B、12C、12Dにかけ回されている。上流端6aの下方に配置されたプーリ12Cが駆動プーリであり、モータ14の駆動を伝達されて回転され、この駆動プーリ12Cとその他3箇所の従動プーリ12A、12B、12Dに掛け回されたベルトコンベヤ6A、6Bが、図1および図2の矢印A方向に回転走行する。2本のベルトコンベヤ6A、6Bには、一定の間隔で当接部材16が取り付けられている。これら当接部材16は、整列コンベヤ6の搬送面6c(図2参照)上に直角に突出するように取り付けられており、後に説明するように、物品供給コンベヤ2からこの整列コンベヤ6に供給された板状物品4のグループの最後尾の物品4に当接して後方から押圧するようになっている。
【0019】
整列コンベヤ6は、物品供給コンベヤ2よりも低速で走行するように搬送速度が設定されており、物品供給コンベヤ2から先に供給された板状物品4の後端部上に、次に供給される板状物品4の前端部が重なり合うようにして、複数の物品4が供給される。また、前記物品供給コンベヤ2は一定の速度で運転されるのに対し、整列コンベヤ6は、一定速度で走行している間に、物品供給コンベヤ2から所定個数(この実施例では5個)の板状物品4が供給された後、短時間だけ加速されるようになっている。このように加速することにより整列コンベヤ6上に供給された板状物品4を、5個ずつ切り離してグループ化する(板状物品4の一つのグループを符号Gで示す)。当接部材16は、両ベルトコンベヤ6A、6Bに所定間隔で取り付けられており、前後2箇所の当接部材16の中間に、一つのグループGの板状物品4が供給される。なお、この実施例では、物品供給コンベヤ2から整列コンベヤ6に供給する板状物品4を所定個数ずつ切り離してグループ化するために、整列コンベヤ6を短時間だけ加速するようにしたが、逆に整列コンベヤ6を一定の速度で走行させ、物品供給コンベヤ2が所定個数の板状物品4を供給した後、短時間だけ減速するようにしてもよい。つまり、物品供給コンベヤ2から整列コンベヤ6に所定個数の板状物品4を供給した後、短時間だけ、整列コンベヤ6を物品供給コンベヤ2に対して相対的に加速すれば、板状物品4を切り離してグループ化することができる。
【0020】
整列コンベヤ6の物品搬送面6c(上方に配置された2箇所のプーリ12A、12Bの間の部分)の下方に、整列コンベヤ6によって搬送されている板状物品4を起立させる起立手段18が設けられている。この起立手段18について、前記図2および起立手段18を拡大して示す図3により説明する。整列コンベヤ6の搬送面6cの下方に配置されたベース20上に、整列コンベヤ6の搬送方向Aと平行してガイドレール22が配置されている。このガイドレール22は、その一端部22a側(図2および図3の右側)が支持部材23(図3では図示を省略)によって回転自在に支持され、他端部22b側に連結されたサーボモータ24によって回転される。このガイドレール22に直立したブラケット26が進退動可能に嵌合しており、サーボモータ24の駆動によるガイドレール22の回転により、ブラケット26が直立した姿勢のままこのガイドレール22に沿って往復動する。つまり、ブラケット26は整列コンベヤ6の進行方向に沿って進退動する。このブラケット26の、整列コンベヤ6の搬送方向Aへの移動速度は、板状物品4の起立状態によって変化させるようになっており、後に説明するように、板状物品4を起立させている間は整列コンベヤ6よりも低速で前進し、完全に起立させた後は整列コンベヤ6とほぼ同じ速度で前進する。なお、ガイドレール22とブラケット26は、例えばボールねじとナット等の組み合わせでもよく、また、その他の構成でもよい。
【0021】
前記ブラケット26には、整列コンベヤ6の搬送方向Aと直交する方向を向いた水平な回転軸30が回転可能に支持されており、この回転軸30に大径のギヤ32が取り付けられて一体的に回転する。さらに、この回転軸30に、アーム31が結合されており、このアーム31が回動することにより、前記回転軸30および大径のギヤ32が回転する。ブラケット26の移動する経路の側方に、整列コンベヤ6の搬送方向Aに沿って延びるカム部材34が配置されている。このカム部材34にカム溝(カム溝全体を符号36で示す)が形成され、前記アーム31の揺動端に取り付けられたカムフォロア38が係合している。カム溝36は、上流端から下流端まで直線的に水平方向に延びる下部水平溝36aと、この下部水平溝36aの上流側端部付近の分岐部から上方へ向かって傾斜している上昇溝36bと、下部水平溝36aの下流側端部付近の合流部へ向かって下方へ傾斜している下降溝36cと、これら上昇部36bと下降溝36cの上端部を接続する上部水平溝36dとからなっている。
【0022】
前記カム溝36を構成する下部水平溝36aと上昇部36bとの分岐部付近に、上流側(図3の左側)から下流側へ向かってブラケット26が前進する際に、アーム31に取り付けられているカムフォロア38を上昇部36bへと誘導する上流側誘導部材40が設けられている。この上流側誘導部材40は、一端が下部水平溝36aと上部水平溝36dの間の位置に設けられた支点ピン40aに連結され、整列コンベヤ6の搬送方向上流側を向けた他端40bが揺動できるように支持されている。この上流側誘導部材40は、図示しないスプリングによって揺動端40bを下方へ向けて付勢されている。下部水平溝36aよりも下方にストッパ42が設けられており、上流側揺動部材40は、通常はこのストッパ42に当たって停止している。上流側誘導部材40がストッパ42に当たって停止しているときには、上流側から下流側に向けてカム溝36内を移動するカムフォロア38は、この上流側誘導部材40に誘導されて、上昇溝36bから上部水平溝36dへ導かれる。また、このカムフォロア38が下部水平溝36a内を下流側から上流側(図3の右側から左側)に戻る際には、この上流側誘導部材40をスプリングに抗して押し上げて通過できるようになっている。
【0023】
また、下降溝36cと下部水平溝36aとの合流部付近に、カムフォロア38が上部水平溝36dから下降溝36cを通って下部水平溝36aへ移動することを許容するとともに、上流側への戻り過程で、このカムフォロア38が下降溝36cに入り込むことを防止するための下流側誘導部材44が設けられている。この下流側誘導部材44は、一端部が上部水平溝36dと下部水平溝36aとの間に配置した支点ピン44aに連結され、この支点ピン44aを中心にして下流側を向いた他端部44bが揺動できるように支持されている。下流側誘導部材44は、図示しないスプリングによって揺動端44bを上方へ向けて付勢されており、通常はストッパ46によって水平状態で停止している。従って、カムフォロア38が上部水平溝36dから下降溝36cへ移動してくると、下流側誘導部材44を下方へ押し開いて下部水平溝36a内に入り、下部水平溝36aの下流端まで移動する(図3に符号38Dで示すカムフォロア参照)。その位置から上流側へ戻る際には、下流側誘導部材44がストッパ46によってほぼ水平状態で停止しているので、カムフォロア38が下降溝36c内に入り込むことはなく、下部水平溝36a内を上流側へ戻るように誘導する。
【0024】
前記ブラケット26の大径ギヤ32が取り付けられている位置よりも上方に、回転軸47を介して小径ギヤ48が回転自在に支持されている。小径ギヤ48は前記大径ギヤ32に噛み合っており、大径ギヤ32の回転に応じて回転する。小径ギヤ48の回転軸47には起立フィンガ50が取り付けられており、この起立フィンガ50は小径ギヤ48と一体的に回転する。
【0025】
前記大径ギヤ32の回転軸30は、カム溝36の上部水平溝36dとほぼ同じ高さに位置するようにブラケット26に支持されており、ブラケット26がその往復移動位置の上流端(図3中に符号26Aで示すブラケット参照)に位置しているときには、カムフォロア38が下部水平溝36a内に係合して、アーム31が上流側(図3の左側)の下方ほぼ45度を向いた状態になっている。大径ギヤ32およびアーム31がこの位置にあるときには、大径ギヤ32に噛み合う小径ギヤ48と一体に回転する起立フィンガ50は、水平な姿勢で上流側を向いている(図3に符号50Aで示す起立フィンガ参照)。
【0026】
ブラケット26が前記位置(符号26Aで示す位置)から下流側に移動してアーム31に取り付けられたカムフォロア38が上部の水平溝36d内に入ると、アーム31が水平状態になるとともに、大径ギヤ32が図3の時計回り方向にほぼ45度回転する。この大径ギヤ32の回転に伴って、噛み合っている小径ギヤ48が反時計回り方向に回転する。この実施例では、小径ギヤ48は図3の反時計回り方向にほぼ90度回転し、起立フィンガ50も反時計回り方向に90度回転(上流側から下流側方向への回転)して直立した状態になる(図3中に符号50Bで示す起立フィンガ参照)。起立フィンガ50が直立した状態になると、整列コンベヤ6の搬送面6cの上方に突出する(図2の中央部の起立フィンガ参照)。この起立動作を行う際に、前後を重ね合わせて搬送されている板状の物品4の一つのグループGの先頭の物品4を起立させることができる。一つのグループGの物品4は、前方の物品4の後部上に次の物品4の前部が重なり合っているので、先頭の物品4を起立させると、一つのグループGの物品4の全てを起立させることができる。
【0027】
さらにブラケット26が前進して下流端近くまで移動すると(符号26Cで示すブラケット参照)、カムフォロア38がカム溝26の下降溝36cに案内されて下降し、下部水平溝36aに到達した時点で(符号38Dで示すカムフォロア参照)、アーム31が図3の反時計回り方向にほほ45度回転する。アーム31の回転によって大径ギヤ32が同様に反時計回り方向に45度回転すると、この大径ギヤ32に噛み合っている小径ギヤ48が時計回り方向にほぼ90度回転する。この小径ギヤ48の回転によって起立フィンガ50は、小径ギヤ48と一体的に時計回り方向に90度回転し、整列コンベヤ6の下流側を向いた水平状態に戻る(図3に符号50Dで示す起立フィンガ参照)。なお、この起立手段18は、図2および図3に示した構成のものが、整列コンベヤ6の搬送方向の中心線を挟んで二組設けられており、一方の起立フィンガ50が板状物品4のグループGを起立させて前進しているとき(図1および図2に符号50Fで示す起立フィンガ参照)には、他方の起立フィンガ50は、カムフォロア38が下部水平溝36a内に係合して、水平な状態(図1および図2に符号50Rで示す起立フィンガ参照)で上流側へ後退していく。この水平状態で後退している起立フィンガ50(50R)が、次の板状物品4のグループGを起立させてともに前進する。但し、この起立手段18は必ずしも二組必要なものではなく、一本の起立フィンガ50によって板状物品4のグループGを起立させることも可能である。
【0028】
前記物品供給コンベヤ2および整列コンベヤ6と平行してトレイ供給コンベヤ52が配置されている。トレイ54は、前記1グループGの板状物品4を起立した状態で収容することができる空間54aを有するカップ状の容器であり、トレイ供給コンベヤ52は、このトレイ54を一定の間隔で連続的に搬送する。このトレイ搬送コンベヤ52の搬送速度は、後に説明するプッシャによって押し出されて落下する物品4のグループGをトレイ内に収容できるように整列コンベヤ6に同期させている。正確には、後方から支持部材16に押されるとともに、前面側を直立した状態の起立フィンガ50に支持されて搬送されている1グループGの板状物品4と、トレイ54の物品を収容する凹陥部(空間54a)との位置が一致した状態でトレイ54を搬送する。また、この実施例では、プッシャによって整列コンベヤ6上の板状物品4を押し出して、トレイ搬送コンベヤ52上のトレイ54内に落下させて収容するようになっているので、トレイ搬送コンベヤ52は、搬送しているトレイ54の上端が整列コンベヤ6の搬送面6cよりも低くなるような高さに設置されている(後に説明する図4および図5参照)。
【0029】
整列コンベヤ6の、前記トレイ供給コンベヤ52が配置されている側(図1の上側)と逆側の側部に、プッシャ56が配置されている。このプッシャ56は、整列コンベヤ6の搬送面6cの上方を、その搬送方向Aと直交する方向に往復動するようになっており、整列コンベヤ6上の板状物品4を押し出して、前記トレイ搬送コンベヤ52によって搬送されているトレイ54内に投入する。このプッシャ56は、整列コンベヤ6と直交する方向を向けて配置されたエアシリンダ58と、このエアシリンダ58のピストンロッド58aに固定された押圧部材60とを備えている。押圧部材60は、図5に示すように、1グループGの板状物品4の前面(先頭の板状物品4の前面)に係合して支持する前端支持部材60aと、板状物品4の側面に当接して押圧する押圧プレート60bとを有している。この実施例では、円形の板状物品4を押圧するので、この押圧プレート60bの板状物品4への当接面は円弧状になっている。
【0030】
前記エアシリンダ58は、その下方に配置された支持プレート62に形成されている、整列コンベヤ6の搬送方向Aと平行な長溝62aに係合しており、この長溝62aに沿って整列コンベヤ6の搬送方向に向かって進退動できるようになっている。一つのグループGの板状物品4が起立した状態で整列コンベヤ6によって搬送されてくると、このプッシャ56は、前記長溝62aに案内されて整列コンベヤ6と同期して前進しながら、エアシリンダ58を作動させる。エアシリンダ58が作動して押圧部材60が整列コンベヤ6の進行方向と直交する方向に移動し、押圧部材60の前端支持部材60aが先頭の物品4の前面に係合して支持した状態で、押圧プレート60bが物品4のグループGを押圧する。また、前述のように、整列コンベヤ6とトレイ搬送コンベヤ52も同期しており、直立した起立フィンガ50と当接部材16とによって前後から挟持されて搬送されている板状物品4のグループGと、トレイ供給コンベヤ52によって搬送されているトレイ54も、搬送方向の位置が一致している。このように整列コンベヤ6によって搬送されている板状物品4と、プッシャ56およびトレイ供給コンベヤ52によって搬送されているトレイ54とが搬送方向の位置を一致させた状態で前進しつつプッシャ56のエアシリンダ58を作動させることにより、整列コンベヤ6上の一つのグループの板状物品4をトレイ54内に投入することができる。
【0031】
以上の構成に係る物品搬送装置の作動について、前記図1ないし図3と、作動を説明する図4(a)〜(e)および図5(a)〜(c)によって説明する。物品供給コンベヤ2は、板状の物品4を等間隔で水平に寝かした状態にして連続的に搬送する。この実施例では、物品供給コンベヤ2は一定の速度で板状物品4を搬送している。物品供給コンベヤ2の下流端2aの下方に、この物品供給コンベヤ2と同一の搬送方向を向いた整列コンベヤ6の上流端6aが上下に重なり合うように配置されており、物品供給コンベヤ2によって搬送されてきた板状物品4が下方の整列コンベヤ6上に落下する。整列コンベヤ6は通常は物品供給コンベヤ2よりも遅い速度で走行しており、先に整列コンベヤ6上に投入された板状物品4の後端部上に、次に投入される板状物品4の先端部が重なり合うようにして供給される。
【0032】
この実施例では5個の板状物品4を一つのグループGとしてまとめて起立させ、トレイ54内に収容するようになっており、整列コンベヤ6の両ベルトコンベヤ6A、6Bに等間隔で設けられている2個一組の当接部材16の、前後2組の間に5個の板状物品4を投入した後(図4中に符号G1で示す板状物品4のグループ参照)、整列コンベヤ6を短時間だけ加速する。整列コンベヤ6を加速することにより、前記5個の板状物品4のグループG1の後方に位置している当接部材16が通過した後に、次の板状物品4を整列コンベヤ6上に投入する(図4(b)参照)。
【0033】
物品供給コンベヤ2から整列コンベヤ6に板状物品4が供給される位置からやや下流側の下方に、起立手段18が設けられており、前後に重ね合わせて搬送されている一つのグループG1の板状物品4がこの起立手段18によって起立される。一つのグループG1の板状物品4が起立手段18の上流部側に到達した時点では、ブラケット26に支持されているアーム31のカムフォロア38が、カム溝36の下部水平溝36a内に位置しており、起立フィンガ50は水平な状態になっている(図4(b)および図3に符号50Aで示す起立フィンガ参照)。
【0034】
起立フィンガ50が設けられているブラケット26は、サーボモータ24の駆動により移動速度を制御されており、板状物品4のグループGを起立させるまでは整列コンベヤ6の搬送速度よりも遅い速度で移動し(図4(a)〜(e)のグループG1の前方に位置する起立フィンガ参照)、起立終了後は、当接部材16と起立フィンガ50との間隔が起立している板状物品4のグループG2の搬送方向の幅とほぼ同じになるように、整列コンベヤ6と同期して前進する。ブラケット26の前進に伴って、起立手段18のアーム31に設けられているカムフォロア38が下部水平溝36aから分岐部を経て上昇溝36b内に入る。カムフォロア38が上昇するにつれて、大径ギヤ32が回転し、この大径ギヤ32に噛み合う小径ギヤ48が逆方向に回転して、起立フィンガ50が進行方向後方側に向けて回転を開始する(図4(c)のグループG1の下方の起立フィンガ参照)。起立フィンガ50が次第に起立して整列コンベヤ6の搬送面6c上に突出すると(図4(d)参照)、グループG1の先頭の板状物品4の下面に係合してこの板状物品4を起立させる。一つのグループG1の板状物品4は、前方の物品4の後端部上に後方の物品4の前端部が重なり合っており、先頭の物品4が起立されると、その後方の物品4が順次起立され(図4(e)参照)、最終的に起立フィンガ50が完全に直立した状態になると、一つのグループGの板状物品4が、前面側の起立フィンガ50と後方側の当接部材16によって前後を挟まれた状態で保持されて、完全に起立した状態になる(図4(a)に符号G2で示す板状物品のグループ参照)。
【0035】
整列コンベヤ6によって搬送されている起立した一グループG2の板状物品4が、前記プッシャ56の前面に到達すると(図4(b)の板状物品のグループG2参照)、プッシャ56はこの一グループG2の物品4とともに前進を開始する。また、トレイ搬送コンベヤ52によって搬送されているトレイ54も、これら物品4およびプッシャ56と同期して前進する(図4(c)および図5(a)参照)。さらに前進すると、起立手段18のカムフォロア38が上部水平溝36dから下降溝36c内に入り、アーム31の回転に伴って大径ギヤ32が回転を開始して、小径ギヤ48および起立フィンガ50を回転させる。起立フィンガ50が整列コンベヤ6の進行方向前方側に向けて回転を開始して板状物品4から離れると(図4(d)参照)、プッシャ56のエアシリンダ58が作動して、先頭の物品4の前面を前端支持部材60aによって支持した状態で押圧部材60が整列コンベヤ6上を横断する方向に移動する(図5(b)参照)。この押圧部材60の移動によって押圧プレート60bが板状物品4を押し出して、トレイ搬送コンベヤ52上のトレイ54内に投入する(図4(e)および図5(c)参照)。一つのグループGの物品4の前面を前面支持部材60aによって支持しつつ物品4を押し出すので、安定して物品4を押し出してトレイ56内に収容することができる。また、押圧プレート60bの前面が物品4の形状に合わせた円弧状になっているので、押し出しの際に物品4を回転させてスムーズに押し出すことができる。
【0036】
起立手段18の起立フィンガ50は、プッシャ56による物品4の押し出し位置に到達すると、カムフォロア38が、下流側誘導部材44を押し下げて、カム溝36の下降溝36cから下部水平溝36a内に入り、大径ギヤ32を回転させることにより、小径ギヤ48および起立フィンガ50を回転させて、起立フィンガ50を搬送方向前方側を向いた水平状態にする(図4(e)および図3に50Dで示す起立フィンガ参照)。起立手段18のブラケット26および起立フィンガ50がその移動範囲の下流端に到達した後は、サーボモータ24の駆動により上流側へ向けて後退する。カム溝36の合流部付近には下流側誘導部材44が配置されており、この下流側誘導部材44に誘導されてカムフォロア38は下部水平溝36a内を上流側へ戻るので、起立フィンガ50は水平状態のまま元の位置に復帰する。
【0037】
前記実施例では、起立手段18の、前方を向いて水平状態の起立フィンガ50を、後方側の下端側(回転軸47)を支点として上方へ向けて回転させることにより、前方側の板状物品4の後端部上に後方側の板状物品4の前端部を順次重ね合わせた状態で搬送されている板状物品のグループGを、起立させるという構成にしたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、その他の構成で板状の物品4を起立させることもできる。例えば、上部を支点として下向きに支持されているフィンガの下部側を、搬送方向の後方へ向けて回動させることにより板状物品4の下面側に係合させて起立させるようにしてもよい。また、起立フィンガを、直立した状態のまま板状物品4を搬送する整列コンベヤ6の下方から上方へ向けて進退動できる構成とし、グループGの先頭の物品4の下面側にこの起立フィンガを当接させて押し上げることにより、一グループGの板状物品4をすべて起立させるようにすることもできる。この構成の場合には、起立フィンガが物品4のグループGを起立させるまでの間は、起立フィンガを整列コンベヤ6の搬送速度よりも遅い速度で前進させ、物品4を起立させた後は、整列コンベヤ6の速度に同期させて前進させる必要がある。さらに、下端部をL字状に折り曲げて物品4の先端に引っ掛けることができる係合部を形成した起立フィンガを上方に配置し、その下端部を整列コンベヤ6上の物品4まで下降可能に構成し、起立フィンガを下降させて先頭の物品4の先端を前記L字状の係合部に引っ掛けた後、上昇させることにより一つのグループGを起立させることもできる。なお、この構成の場合にも、前記実施例の起立フィンガ50と同様に、一つのグループGを起立させるまでは、物品4の搬送速度よりも遅い速度で移動させ、起立終了後は同じ速度で前進させる。
【符号の説明】
【0038】
G 板状物品のグループ
2 供給手段(物品供給コンベヤ)
4 板状物品
6 物品搬送手段(整列コンベヤ)
16 当接部材
18 起立手段
52 容器搬送手段(トレイ搬送コンベヤ)
54 容器(トレイ)
56 押出手段(プッシャ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物品の前端部が搬送方向前方の板状物品の後端部に上方から重なって複数枚集合された板状物品のグループを、前後に所定の間隔をあけて搬送する物品搬送手段と、この物品搬送手段に設けられ、前記板状物品のグループの最後尾の物品に当接する当接部材と、前記物品搬送手段によって搬送される板状物品のグループの先頭に位置する物品の下面に係合し、この物品の前端部側を上昇させる方向に移動させて物品グループを起立させる起立手段とを備えたことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品搬送手段よりも高い位置に設けられ、複数の板状物品を所定間隔で前記搬送手段に供給する供給手段を備え、この供給手段から物品搬送手段へ所定数の板状物品を供給した後、所定時間だけ前記物品搬送手段の搬送速度を供給手段の搬送速度よりも相対的に速くして、物品搬送手段により搬送される板状物品のグループ間に間隔をあけることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記板状物品を収容する容器を搬送する容器搬送手段と、前記物品搬送手段上の物品を前記容器搬送手段上に押し出す押出手段とを備え、前記物品搬送手段上で起立手段によって起立された板状物品のグループを、押出手段によって押し出して前記容器搬送手段上の容器内に収容することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−105396(P2011−105396A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258944(P2009−258944)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】