説明

物品管理システム、物品管理方法、車両管理システム、および車両管理方法

【課題】正規の持ち出し以外の者が不正に登録物品を持ち出すことができない物品管理システムを提供する。
【解決手段】電気錠付きの扉10を有する所定空間からの物品の持ち出しを管理する物品管理システムは、物品を特定する物品特定用情報が書き込まれたICタグから物品特定用情報を読み取るタグリーダ30Aと、生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証装置20Aと、生体認証装置20Aにより特定される生体特定用情報と、物品特定用情報とに基づいて、所定空間からの物品特定用情報で特定される物品の持ち出しを許可するか否かを判定し、判定が許可であるとき電気錠を開状態に制御する制御装置40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定空間の物品を管理する物品管理システム、物品管理方法、車両管理システム、および車両管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、会社などから、登録管理された物品を持ち出す際には、会社の出口で守衛などが、現品の持ち出しの点検をしている。この際、守衛所などでカバンから物品を出したりする作業が煩雑であり、急な外出のときには、点検作業に時間を要していた。
【0003】
このため、守衛所での点検を不要にするため、物品にICタグを設け、持ち出し者には、ICタグを設けた社員証を所持することにより、セキュリティゲートで、通過者および通過する物品を検出することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】“ICタグを利用した持出管理システム“、[online]、[平成19年7月11日]、インターネット<URL:http://www.e-spc.co.jp/sp-coms/kousei.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術にあっては、持ち出し者には、成りすましの問題がつきまとう。すなわち、成りすましには、持ち出し者が、社員証を借用して持ち出し者に成りすます場合や、リーダとICタグの間でやりとりされる電波を盗み見て,それを再現すれば,あたかもそのICタグを持っているかのように振る舞える問題がある。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、正規の持ち出し以外の者が不正に登録物品を持ち出すことができない物品管理システム、物品管理方法、車両管理システム、および車両管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、電磁ロック手段を備える出口(例えば、電気錠付きの扉10)を有する所定空間からの物品の持ち出しを管理する物品管理システムは、物品を特定する物品特定用情報が書き込まれたICタグから物品特定用情報を読み取るICタグ読取手段(例えば、タグリーダ30A)と、生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証手段(例えば、生体認証装置20A)と、生体認証手段による認証の結果として特定される生体特定用情報と、物品特定用情報とに基づいて、所定空間からの物品特定用情報で特定される物品の持ち出しを許可するか否かを判定し、判定が許可であるとき電磁ロック手段を開状態に制御する制御手段(例えば、制御装置40)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、正規の持ち出し以外の者が不正に登録物品を持ち出すことができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
《第1の実施形態》
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を用いて詳細に説明する。第1の実施形態は、物品管理システムを持ち出し管理システムに適用した実施形態である。第1の実施形態に係る持ち出し管理システムを図1から図5を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る持ち出し管理システムを示す概略図である。ここでは、部屋に置かれた複数の物品50の持ち出しを管理する管理システムである。持ち出し管理システムは、電気錠付きの扉10、生体認証装置20A,20B,タグリーダ30A,30B、トリガコイル31A,31B、および制御装置40を備えている。
【0010】
扉10の出口側には、物品50に添付されているアクティブ型のタグTに対して、質問電波を発生するトリガコイル31Aが床面に、ループ型のアンテナとして設置されている。トリガコイル31Aが質問波を発生させると、タグTは回答電波を発信し、タグリーダ30AがタグTからの回答電波を受信し、物品を特定するための物品ID(物品特定用情報)を、制御装置40に送信する。制御装置40は、受信した物品IDが、登録されている物品であるか否かを判定する。なお、IDは、Identificationの略である。
【0011】
物品50を持ち出す人(認証対象者)60は、出口側の扉10の近辺に設置されている生体認証装置20Aにより、生体認証をする。生体認証装置20Aは、読み込んだ生体情報と登録されている生体情報とを比較して、認証されると認証結果である認証対象者を特定する対象者ID(生体特定用情報)を、制御装置40に送信する。
【0012】
制御装置40は、受信した物品が登録されているかを判定し、登録されている物品であると認証されたとき、物品IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、判定結果により扉10の開閉を制御する。
【0013】
トリガコイル31Aは、扉10の出口側の床面にループ状に埋設され、ループアンテナを形成している。トリガコイル31Aは、必要に応じて、図面の中央部に配置される中央トリガコイル31Aa、中央トリガコイル31Aaの両側に配置される端部トリガコイル31Abを有する。ここで、端部トリガコイル31Abは、中央トリガコイル31Aaが発信する質問電波と、位相が反転しているキャンセル電波を発信する。
【0014】
中央トリガコイル31Aaが発信する質問電波は、中央トリガコイル31Aaの位置を電波強度のピークとして、弱まりながらも周囲に伝播し、質問電波が、広範囲の領域にわたる場合もある。この場合、扉10の近辺にいる人がもっているアクティブ型のタグTが質問電波に反応することが想定される。そこで、第1の実施形態においては、端部トリガコイル31Abから、中央トリガコイル31Aaの質問電波と位相が反転しているキャンセル電波を発信する構成とすることにより、中央トリガコイル31Aaの質問電波の広がりを限定することができる。
【0015】
図10は、トリガコイルと生体認証装置との位置関係を示す説明図である。ここでは、スライド式の扉10に適用した持ち出し管理システムの例を用いて説明する。扉10の出口側には、トリガコイル31Aおよび生体認証装置20Aが備えられ、扉10の入口側には、同様に、トリガコイル31Bおよび生体認証装置20Bが備えられている。図10において、人60Aは、左手で物品を持ち、生体認証装置20Aのひとつである指静脈認証装置に右手の人差し指の認証をしている状態を示している。このとき、質問電波の広がり範囲は、エリアXであり、生体認証している人60Aの所持している物品のタグTAの存在推定位置はエリアYとなる。また、生体認証している人60Aの存在の推定範囲は、エリアZとなる。図10に示すように、エリアYにある物品と、エリアZにいる人60Aとの関連性が高いことが、本発明の特徴となっている。このため、人60Aの後方の人60Bが所持する物品のタグTBの誤認識を防止することができる。本実施形態では、生体認証は、認証要素(例えば、指)を、その人から物理的に切り離せないことと、所持品は人が運ばないと動かない(自走しない)ことを前提として成り立つ推定である。
なお、図10においては、扉10はスライド式の扉の例で説明したが、開き扉の場合にも、トリガコイルと生体認証装置との位置関係は容易に実現することができる。
【0016】
扉10の入口側には、物品50に添付されているアクティブ型のタグTに対して、質問電波を発生するトリガコイル31Bが床面に、ループ型のアンテナとして設置されている。トリガコイル31Bが質問波を発生させると、タグTは回答電波を発信し、タグリーダ30Bがタグからの回答電波を受信し、物品を特定するための物品IDを、制御装置40に送信する。なお、トリガコイル31Bは、中央トリガコイル31Baと、端部トリガコイル31Bbとを有する。トリガコイル31Bの機能は、トリガコイル31Aの機能と同様であるので、説明は省略する。
【0017】
物品50を持ち込む人(認証対象者)60は、入口側の扉10の近辺に設置されている生体認証装置20Bにより、生体認証をする。生体認証装置20Bは、読み込んだ生体情報と登録されている生体情報とを比較して、認証されると認証結果である認証対象者を特定する対象者ID(認証の結果として特定される対象者ID)を、制御装置40に送信する。制御装置40は、物品IDが登録されている物品であるか否かを判定し、登録されている物品であるとき、物品IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、判定結果により扉10の開閉を制御する。
【0018】
本実施形態によれば、物品50を持ち出す人60(主たる認証対象者)と、持ち出される物品50(従属する認証対象物、複数であってもよい。)を夫々、ことなる特性の認証方式で認証し、その結果を総合して物品50を持ち出す人60が通過して良いか否かの認証結果を判断している。主たる認証対象者には、存在エリアを限定可能で成りすましできない認証方式である生体認証方式を適用し、従属する認証対象物に関しては、簡易な無線方式を適用した複合した認証方式である。これによれば、正規の持ち出し以外の人が不正に登録物品を持ち出すことができない。
【0019】
生体認証方式には、静脈認証、指紋認証、アイリス(虹彩)認証、声紋認証、顔認証などがある。無線方式には、RFID(Radio Frequency Identification)を利用した無線方式であり、アクティブタグ(アクティブ型タグ)、赤外線の質問波に対して応答する赤外線トリガ付アクティブタグ、パッシブタグ(パッシブ型タグ)などを利用することができる。
【0020】
アクティブタグには、タンパ機能が付加されていることが好ましい。タンパ機能の目的は、物品にタグを付けている時に、(1)タグ自体を外して持ち出してしまう。(2)タグを付け替えて(成りすまし)持ち出してしまう。ことを防ぐことを目的としている。これを実現するため、アクティブタグのタンパ機能として、(1)物品から外した時に異常メッセージを発信する、(2)物品から外す、または、破壊された場合に、警報音を発生する、などの機能を有する。物品に付いたアクティブタグをいきなり破壊される場合も想定されるが、それを防ぐためにはアクティブタグを物品内に内蔵する(見た目にはアクティブタグが付いていることが判らないようにする)ことが好ましい。
【0021】
図2は、持ち出し管理システムの構成を示すブロック図である。適宜図1を参照して説明する。制御装置40は、物品関係情報記憶部41、物品管理履歴記憶部42、処理部43を備えている。処理部43は、タグリーダ30A,30Bから送信された物品IDを受信すると、受信した物品IDが物品関係情報記憶部41に登録された物品であるか否かを判定する。また、処理部43は、生体認証装置20A,20Bから送信された対象者IDを受信すると、受信した対象者IDが、物品関係情報記憶部41に登録された物品と関係付けられているか否かを判定する。登録されている物品であり、かつ、物品IDと対象者IDとが関係を満たすときに、扉10に開錠信号を送信する。制御装置40は、物品ID、持ち出し時刻、持ち込み時刻、対象者ID、および認証結果を、物品管理履歴記憶部42に記憶する。
【0022】
タグリーダ30Aは、受信アンテナ32A、受信部33A、発信部34Aを備えている。発信部34Aは、トリガコイル31Aと接続され、トリガコイル31Aから質問電波を発信する。質問電波に応答して、タグTが回答電波を発信する。受信部33Aが、受信アンテナ32Aを介して回答電波を受信すると、物品IDを、制御装置40に送信する。同様に、タグリーダ30Bは、受信アンテナ32B、受信部33B、トリガコイル31Bと接続される発信部34Bを備えている。タグリーダ30Bの機能は、タグリーダ30Aの機能と同様であるので、説明は省略する。
【0023】
生体認証装置20Aは、物品50を持ち出す人(認証対象者)60の生体を読み込み認証する。本実施形態においては、認証されると、対象者IDを制御装置40に送信している。生体認証装置20Aの代わりに、読み込んだ生体情報を制御装置40に送信し、生体認証を制御装置40内で認証してもよい。生体認証装置20Bの機能は、生体認証装置20Aと同様であるので説明は省略する。
【0024】
図3は、物品と関係する情報である物品関係情報を示す説明図である。図3(a)は、物品ID、物品名称、対象者IDとの関係を示す。行411〜行415には、登録された内容が記載されている。具体的には、行411から、G001の物品は、パーソナルコンピュータであるPC001であり、持ち出し対象者IDはAであることをわかる。行G412から、G002の物品は、パーソナルコンピュータであるPC002であり、持ち出し対象者IDはBであることをわかる。行413から、G003の物品は、パーソナルコンピュータであるPC003であり、持ち出し対象者IDはAおよびBであることをわかる。行414から、G004の物品は、パーソナルコンピュータであるPC004であるが、持ち出し対象者が登録されていない(無)ことをわかる。
【0025】
また、通常、物品の持ち出しをしないで、部屋の入退室をする対象者を登録しておいてもよい。行415には、対象者IDがA、B、およびCが登録されているが、物品IDとの関係付けをしていない。
【0026】
図3(b)は、図3(a)に示す物品関係情報を、対象者ID毎に並べ換えした場合である。行416から、対象者IDがAの場合、G001、G002の持ち出しができる。行417から、対象者IDがBの場合、G002、G003の持ち出しができる。行418から、対象者IDがCの場合、持ち出しができないが入退室ができることがわかる。
【0027】
図3においては、持ち出し管理品である物品IDと関係する情報として説明したが、これに限る必要はない。持ち込み管理品である物品IDと関係する情報としても利用することができる。管理者が、持ち出し管理品と、持ち込み管理品を、別々に管理する必要がある場合には、夫々の物品関係情報を記憶すればよい。
【0028】
次に、認証手順について説明する。
図4は、持ち出し管理システムの認証手順を示すフローチャートである。適宜図1および図2を参照して説明する。人60が扉10付近に近づくと、トリガ信号(質問電波)にアクティブタグであるタグTが反応し、タグTは物品IDを発信する(ステップS1)。タグリーダ30A,30Bが物品IDを受信し、制御装置40に送信する(ステップS2)。生体認証装置20A、20Bは、人60の認証結果である対象者IDを、制御装置40へ送信する(ステップS3)。
【0029】
制御装置40は、物品IDの認証情報と対象者IDの生体認証情報とを総合し、認証結果を判断する(ステップS4)。具体的には、制御装置40は、受信した物品IDが物品登録されているかを判定し、登録されている物品であると判定(認証)されたとき、物品IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、関係付けの条件を満たすか否かを判断する。制御装置40は、認証結果(判断結果)により、扉10の開閉を実施する(ステップS5)。
【0030】
なお、ステップS4において、受信した物品IDが単一の場合に限らない。受信した物品IDが複数のときも同様に、制御装置40は、夫々の受信した物品IDが物品登録されているかを判定し、登録されている物品であると判定(認証)されたとき、夫々の物品IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、関係付けの条件を満たすか否かを判断する。具体的には、図3において、対象者IDがAの人が、物品IDがG001およびG003を持ち出そうとした場合、制御装置40が、G001およびG003が夫々、登録されている物品であるか否かを判定し、G001およびG003の物品が、対象者IDがAの人が持ち出すことを許可されているか否かを判定する。
【0031】
図5は、物品管理履歴記憶部に記憶される履歴情報を示す説明図である。物品管理履歴記憶部42に記憶される履歴情報には、入退室の履歴情報が記憶され、物品ID、持ち出しの時刻(持出時刻または退室時刻)、持ち込みの時刻(持込時刻または入室時刻)、対象者ID、認証の結果、および備考が含まれる。具体的には、対象者IDがAの人は、200X年7月13日8時10分(200X/7/13 8:10)に入室し、対象者IDがBの人は、200X年7月13日8時30分に入室している。その後、Aの人は、G001の物品を200X年7月13日9時10分に持ち出している。また、Bの人は、G002の物品を200X年7月13日13時00分に持ち出している。そして、Aの人は、G001の物品を持って、200X年7月13日13時30分に入室している。対象者IDがCの人は、200X年7月13日17時20分に入室し、G003の物品の持ち出しをしようとしたが、許可が得られず(認証がNG)、200X年7月13日18時21分に、何も持たないで退室していることがわかる。
【0032】
本実施形態は、電磁ロック手段を備える出口(例えば、電気錠付きの扉10)を有する所定空間からの物品の持ち出しを管理する物品管理システムであって、物品を特定する物品特定用情報が書き込まれたICタグ(例えば、タグT)から物品特定用情報を読み取るタグリーダ30Aと、生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証装置20Aと、生体認証手段により特定された生体特定用情報と、物品特定用情報とに基づいて、所定空間からの物品特定用情報で特定される物品の持ち出しを許可するか否かを判定し、判定が許可であるとき電磁ロック手段を開状態に制御する制御装置40と、を有しているので、正規の持ち出し以外の者が不正に登録物品を持ち出すことができない。
【0033】
また、本実施形態は、電磁ロック手段を備える入口(例えば、電気錠付きの扉10)を有する所定空間への物品の持ち込みを管理する物品管理システムであって、物品を特定する物品特定用情報が書き込まれたICタグ(例えば、タグT)から物品特定用情報を読み取るタグリーダ30Bと、生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証装置20Bと、生体認証手段により特定された生体特定用情報と、物品特定用情報とに基づいて、所定空間への物品特定用情報で特定される物品の持ち込みを許可するか否かを判定し、判定が許可であるとき電磁ロック手段を開状態に制御する制御装置40と、を有しているので、正規の持ち込み以外の者が不正に登録物品を持ち込むことができない。
【0034】
持ち出しを管理する物品管理システムの適用例としては、物品として貴重品(例えば、パーソナルコンピュータ)、危険物などがある。パーソナルコンピュータには、守秘義務のある情報を有していることがあるので、使用者および員数管理が重要となる。また、放射性の危険物、あるいは、有毒な薬品などは、持ち出し物品の管理が必要となる。
【0035】
持ち込みを管理する物品管理システムの適用例としては、物品として工具などがある。具体的には、持ち込む作業者(例えば、溶接工、電気工)は、作業の権限があり、作業権限のスキル以外の工具を作業区域へ持ち込むことは何らかの不正や事故につながる。このため、持ち込み物品の管理が必要となる。
【0036】
《第2の実施形態》
第2の実施形態は、物品管理システムを、車両管理システムに適用した実施形態である。第2の実施形態に係る車両管理システムである車両入退場管理システムを図6から図9を参照しながら説明する。
【0037】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る車両入退場管理システムを示す概略図である。ここでは、管理される複数の車両51の車両入退場管理システムである。車両入退場管理システムは、開閉機能付きのゲート11、車番認識装置21A,21B,タグリーダ30A,30B、トリガコイル31A,31B、および制御装置40を備えている。
【0038】
ゲート11の出口側には、車両51に乗車している人(例えば、運転手、搭乗者)が装着しているアクティブ型のタグT(搭乗者全員が装着しているため、タグT1,T2)に対して、質問電波を発生するトリガコイル31Aが地面に、ループ型のアンテナとして設置されている。トリガコイル31Aが質問波を発生させると、タグTは回答電波を発信し、タグリーダ30AがタグTからの回答電波を受信し、対象者を特定するための対象者ID(搭乗者特定用情報)を、制御装置40に送信する。制御装置40は、受信した対象者IDが、登録されている物品であるか否かを判定する。
【0039】
車両51は、出口側のゲート11の近辺に設置されている車番認識装置21Aにより、ナンバープレートの車番を読み取り、画像処理により認識する。車番認識装置21Aは、認識した車番情報を、制御装置40に送信する。
【0040】
制御装置40は、受信した対象者IDが登録されているかを判定し、登録されている対象者であるか否かを認証する。制御装置40は、受信した車番情報から車両を特定する車両ID(車番特定用情報)を求め、車両IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、判定結果によりゲート11の開閉を制御する。
【0041】
ゲート11の入口側にも、同様に、タグTに対して、質問電波を発生するトリガコイル31Bが地面に、ループ型のアンテナとして設置されている。トリガコイル31Bが質問波を発生させると、タグTは回答電波を発信し、タグリーダ30BがタグTからの回答電波を受信し、人を特定するための対象者IDを、制御装置40に送信する。
【0042】
車両51は、入口側のゲート11の近辺に設置されている車番認識装置21Bにより、ナンバープレートの車番を読み取り、画像処理により認識する。車番認識装置21Bは、認識した車番情報を、制御装置40に送信する。
【0043】
制御装置40は、受信した対象者IDが登録されているかを判定し、登録されている対象者であるか否かを認証する。制御装置40は、受信した車番情報から車両を特定する車両IDを求め、車両IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、判定結果によりゲート11の開閉を制御する。
【0044】
本実施形態によれば、入退場する車両51(主たる認証対象物)と、持ち出す人(従属する認証対象者、複数であってもよい。)を夫々、ことなる特性の認証方式で認証し、その結果を総合して車両51が通過して良いか否かの認証結果を判断している。主たる認証対象物には、存在エリアを限定可能で成りすましを防止するため、光学式の車番認識装置を適用し、従属する認証対象者に関しては、簡易な無線方式を適用した複合した認証方式である。これによれば、登録された車両を管理することができる。
【0045】
車番認識装置21A,21Bは、暗い場所でも確実な撮影ができるように、赤外照明により、ナンバープレートを読み取りできる。無線方式には、RFIDを利用した無線方式であり、アクティブタグ、赤外線の質問波に対して応答する赤外線トリガ付アクティブタグ、パッシブタグなどが利用することができる。
【0046】
図7は、車両入退場管理システムの構成を示すブロック図である。適宜図6を参照して説明する。図2と同一構成品には、同一番号を付してある。制御装置40は、車両関係情報記憶部41a、車両管理履歴記憶部42a、処理部43を備えている。処理部43は、タグリーダ30A,30Bから送信された対象者IDを受信すると、受信した対象者IDが車両関係情報記憶部41aに登録された対象者であるか否かを判定する。また、処理部43は、車番認識装置21A,21Bから送信された車番情報を受信すると、受信した車番情報から、車両IDを特定する。車両IDが特定されたとき、車両IDが、車両関係情報記憶部41aに登録された対象者IDと関係付けられているか否かを判定する。登録されている対象者であり、かつ、物品IDと対象者IDとが関係を満たすときに、ゲート11に開ゲート信号を送信する。制御装置40は、車両ID、退場時刻、入場時刻、対象者ID、認証結果を車両管理履歴記憶部42aに記憶する。
【0047】
本実施形態においては、車番認識装置21A,21Bは、ナンバープレートの車番を読み取り、画像処理により車番を認識し、制御装置40へ車番情報を送信している。そして、制御装置40は、受信した受信した車番情報から、車両IDを特定しているが、これに限るものではない。車番認識装置21A,21B内に、認識した車番情報と車両IDとの関係情報の記憶部があってもよい。車番認識装置21A,21Bは、認識した車番情報から車両IDを特定し、特定した車両IDを、制御装置40に送信し、制御装置40の処理部43は、受信した車両IDが、車両関係情報記憶部41aに登録された対象者IDと関係付けられているか否かを判定してもよい。
【0048】
図8は、車両と関係する情報である車両関係情報を示す説明図である。図8(a)は、車両ID、車番、対象者IDとの関係を示す。車両関係情報記憶部41aに登録された内容が記載されている。具体的には、C001の車両は、車番「東京11 や10−11」であり、対象者IDはAであることをわかる。C002の車両は、車番「東京 や10−12」であり、対象者IDはBであることをわかる。C003の車両は、車番「東京 や10−13」であり、対象者IDはAおよびBであることをわかる。C004の車両は、車番「東京11 や10−14」であるが、対象者IDが登録されていない(無)ことをわかる。また、対象者IDがCの人には、車両IDが関係付けられていないことがわかる。
【0049】
図8(b)は、図8(a)に示す車両関係情報を、対象者ID毎に並べ換えした場合である。対象者IDがAの場合、C001およびC003の車両の入退場ができる。対象者IDがBの場合、C002およびC003の車両の入退場ができる。対象者IDがCの場合、車両の入退場ができないことがわかる。
【0050】
次に、認証手順について説明する。
図9は、車両入退場管理システムの認証手順を示すフローチャートである。適宜図6および図7を参照して説明する。車両がゲート11付近に近づくと、トリガ信号(質問電波)にアクティブタグであるタグTが反応し、タグTは対象者IDを発信する(ステップS11)。タグリーダ30A,30Bが対象者IDを受信し、制御装置40に送信する(ステップS12)。車番認識装置21A、21Bは、ナンバープレートの認証結果である車番情報を、制御装置40へ送信する(ステップS13)。
【0051】
制御装置40は、対象者IDの認証情報と車番の車番認証情報とを総合し、認証結果を判断する(ステップS14)。具体的には、制御装置40は、受信した対象者IDが登録されているかを判定し、登録されている対象者であると判定(認証)されたとき、車番情報から該当する車両IDを求め、車両IDと対象者IDとが関係付けられているかを判定し、関係付けの条件を満たすか否かを判断する。制御装置40は、認証結果(判断結果)により、ゲート11の開閉を実施する(ステップS15)。
【0052】
制御装置40は、ゲート11に開ゲート信号を送信後、所定時間後にゲート11に閉ゲート信号を送信してもよいし、車両がゲート11を通過したことを知らせる他の検知信号により、閉ゲート信号を送信してもよい。例えば、車両51が退場する際には、入口側のトリガコイル31B(図6参照)の質問電波に応答して、タグTが応答電波を送信することも利用することができる。
【0053】
本実施形態の車両管理システムである車両入退場システムは、ゲート11を備える所定空間からの車両の入退場を管理する車両管理システムであって、ゲート11の出口側に、搭乗者を特定する情報が書き込まれたICタグから搭乗者特定用情報を読み取るタグリーダ30Aと、車両の車番を認識する車番認識装置21Aと、ゲート11の入口側に、搭乗者を特定する情報が書き込まれたICタグから搭乗者特定用情報を読み取るタグリーダ30Bと、車両の車番を認識する車番認識装置21Bと、ゲート11の開閉を制御する制御装置40を備えている。
【0054】
制御装置40は、車番認識装置21Aにより認識された車番から特定された車番特定用情報と、タグリーダ30Aからの搭乗者特定用情報とに基づいて、所定空間からの持ち出しを許可するか否かを判定し、判定が許可であるとき開閉ゲートを開状態に制御し、車番認識装置21Bにより認識された車番から特定された車番特定用情報と、タグリーダ30Bからの搭乗者特定用情報とに基づいて、所定空間への持ち込みを許可するか否かを判定し、判定が許可であるとき開閉ゲートを開状態に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る持ち出し管理システムを示す概略図である。
【図2】持ち出し管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】物品と関係する情報である物品関係情報を示す説明図である。
【図4】持ち出し管理システムの認証手順を示すフローチャートである。
【図5】物品管理履歴記憶部に記憶される履歴情報を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る車両入退場管理システムを示す概略図である。
【図7】車両入退場管理システムの構成を示すブロック図である。
【図8】車両と関係する情報である車両関係情報を示す説明図である。
【図9】車両入退場管理システムの認証手順を示すフローチャートである。
【図10】トリガコイルと生体認証装置との位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
10 扉
11 ゲート
20A,20B 生体認証装置
21A,21B 車番認識装置
30A,30B タグリーダ
31A,31B トリガコイル
40 制御装置
41 物品関係情報記憶部
42 物品管理履歴記憶部
43 処理部
50 物品
51 車両
60 人
T タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁ロック手段を備える出口を有する所定空間からの物品の持ち出しを管理する物品管理システムであって、
物品を特定する物品特定用情報が書き込まれたICタグから前記物品特定用情報を読み取るICタグ読取手段と、
生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証手段と、
前記生体認証手段による認証の結果として特定される生体特定用情報と、前記物品特定用情報とに基づいて、前記所定空間からの前記物品特定用情報で特定される物品の持ち出しを許可するか否かを判定し、前記判定が許可であるとき前記電磁ロック手段を開状態に制御する制御手段と、を有する
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
電磁ロック手段を備える入口を有する所定空間への物品の持ち込みを管理する物品管理システムであって、
物品を特定する物品特定用情報が書き込まれたICタグから前記物品特定用情報を読み取るICタグ読取手段と、
生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証手段と、
前記生体認証手段による認証結果として特定される生体特定用情報と、前記物品特定用情報とに基づいて、前記所定空間への前記物品特定用情報で特定される物品の持ち込みを許可するか否かを判定し、前記判定が許可であるとき前記電磁ロック手段を開状態に制御する制御手段と、を有する
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記物品特定用情報と、前記生体特定用情報との関係付けをする物品関係情報を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品管理システム。
【請求項4】
物品を特定する物品特定情報が書き込まれたICタグを有する物品が、電磁ロック手段を有する出口から持ち出しを管理される物品管理方法であって、
前記ICタグから前記物品特定用情報を読み取るICタグ読取手段を介して得られる前記物品特定情報が、前記電磁ロック手段を制御する制御手段に入力されるステップと、
生体からの情報を読み取り生体を認証する生体認証手段を介して得られる前記物品を持ち出す生体を特定する生体特定用情報が、前記制御手段に入力されるステップと、
前記制御手段が、前記生体特定用情報と前記物品特定用情報とに基づいて、前記出口からの前記物品特定用情報で特定される物品の持ち出しを許可するか否かを判定するステップと、
前記制御手段が、前記判定が許可であるとき前記電磁ロック手段を開状態に制御するステップと、を含む
ことを特徴とする物品管理方法。
【請求項5】
開閉ゲート手段を備える所定空間に対して車両の入退場を管理する車両管理システムであって、
前記開閉ゲート手段の入口側に、搭乗者を特定する搭乗者特定用情報が書き込まれたICタグから前記搭乗者特定用情報を読み取る第1のICタグ読取手段と、
前記開閉ゲート手段の入口側に、前記車両の車番を認識する第1の車番認識手段と、
前記開閉ゲート手段の出口側に、搭乗者を特定する搭乗者特定用情報が書き込まれたICタグから前記搭乗者特定用情報を読み取る第2のICタグ読取手段と、
前記開閉ゲート手段の出口側に、前記車両の車番を認識する第2の車番認識手段と、
前記開閉ゲート手段の開閉を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1の車番認識手段により認識される車番から特定される車番特定用情報と、前記第1のICタグ読取手段からの搭乗者特定用情報とに基づいて、前記所定空間へ入場を許可するか否かを判定し、前記判定が入場許可であるとき前記開閉ゲート手段を開状態に制御し、
前記第2の車番認識手段により認識される車番から特定される車番特定用情報と、前記第2のICタグ読取手段からの搭乗者特定用情報とに基づいて、前記所定空間から退場を許可するか否かを判定し、前記判定が退場許可であるとき前記開閉ゲート手段を開状態に制御する
ことを特徴とする車両管理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記車両特定用情報と、前記搭乗者特定用情報との関係付けをする車両関係情報を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の車両管理システム。
【請求項7】
車番で特定される車両が、開閉ゲート手段を有する出口から退場を管理される車両管理方法であって、
ICタグ読取手段を介して得られる搭乗者を特定する搭乗者特定用情報が、前記開閉ゲート手段を制御する制御手段に入力されるステップと、
前記車番を認識する車番認識手段を介して得られる前記車番を特定する車番特定用情報が、前記制御手段に入力されるステップと、
前記制御手段が、前記車番特定用情報と前記搭乗者特定用情報とに基づいて、前記開閉ゲート手段から退場を許可するか否かを判定するステップと、
前記制御手段が、前記判定が退場許可であるとき前記開閉ゲート手段を開状態に制御するステップと、を含む
ことを特徴とする車両管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−35994(P2009−35994A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203794(P2007−203794)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】