説明

物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器

【課題】優れた検出感度を有する物理量センサー素子および物理量センサー、および、この物理量センサーを備える電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の物理量センサー素子1は、基部31と、基部31からY軸方向に延出し、Z軸方向を法線とする板面を有する梁部34と、梁部34の先端部に設けられた質量部35と、梁部34の板面上に第1電極層421、圧電体層422および第2電極層423がこの順で積層され、梁部34のZ軸方向での曲げ変形を検出する検出素子42とを有し、梁部34は、Z軸方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物理量センサーとしては、片持ち支持された梁部と、その梁部の先端に設けられた質量部とを有し、圧電方式により加速度、角速度等の物理量を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の物理量センサーでは、片持ち支持された梁部と、その梁部の先端に設けられた質量部(重錘部)とがそれぞれ圧電体材料で構成され、梁部を挟むように1対の電極が設けられている。そして、質量部の変位に伴う梁部の曲げ変形により、梁部に歪みを生じさせ、その梁部を構成する圧電体材料の圧電効果により1対の電極間に生じた電位差に基づいて、加速度、角速度等の物理量を検出する。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の物理量センサーでは、梁部を構成する圧電体材料の圧電効果により生じた電荷に基づいて、物理量を検出するため、梁部の厚さ方向での寸法誤差により、物理量を高精度に検出することができないという問題があった。
また、特許文献1に記載の物理量センサーでは、梁部の幅が一定であるため、物理量の方向によっては、他の方向の物理量の影響を受けやすく、この点でも、物理量を高精度に検出することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−14406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた検出精度を有する物理量センサー素子および物理量センサー、および、この物理量センサーを備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の物理量センサー素子は、基部と、
前記基部から第1方向に延出し、前記第1方向に直交する第2方向を法線とする板面を有する梁部と、
前記梁部の先端部に設けられた質量部と、
前記梁部の前記板面上に第1電極層、圧電体層および第2電極層がこの順で積層され、前記梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する検出素子とを有し、
前記梁部は、前記第2方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなすことを特徴とする。
【0007】
このような本発明の物理量センサー素子によれば、梁部とは別体として設けられた圧電体層の圧電効果により生じた電荷に基づいて、物理量を検出するため、梁部の厚さ方向での寸法誤差によらず、物理量を高精度に検出することができる。
また、質量部に対し第2方向に平行な方向の力が作用したときの梁部の第2方向に平行な方向での曲げ変形による圧電体層の歪み量の第1方向での位置による差を小さくすることができる。そのため、検出素子により、所望の方向の物理量を他の方向の物理量の影響を受けずに検出することができる。そのため、物理量センサー素子の検出精度を優れたものとすることができる。
【0008】
本発明の物理量センサー素子では、前記質量部は、前記第2方向の厚さが前記梁部の前記第2方向の厚さよりも大きく、
前記質量部の重心は、前記第2方向からみたときに、前記梁部の幅の中心線上に位置することが好ましい。
これにより、質量部に対し第1方向に平行な方向の力が作用したときに、梁部を第2方向に平行な方向に曲げ変形させることができる。そして、質量部に対し第1方向に平行な方向の力が作用したときの梁部の第2方向に平行な方向での曲げ変形による圧電体層の歪み量を、梁部の基端側から先端側に向けて大きくすることができる。そのため、梁部の板面に水平な方向の物理量を高精度に検出することができる。
【0009】
本発明の物理量センサー素子では、前記第2電極層は、前記第1方向に互いに離間した2つの部分を有することが好ましい。
これにより、第2電極層の当該2つの電極のうちの一方の電極と第1電極層との間の電位差と、第2電極層の当該2つの電極のうちの他方の電極と第1電極層との間の電位差との差分に基づいて、物理量(具体的には第1方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出することができる。
本発明の物理量センサー素子では、前記第2電極層は、前記梁部の前記基端付近に設けられた電極を有することが好ましい。
これにより、第2電極層の当該部分と第1電極層との間の電位差に基づいて、物理量(具体的には第2方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0010】
本発明の物理量センサー素子では、前記梁部は、前記第2方向からみたときに、台形の形状をなすことが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、質量部に対し第2方向に平行な方向の力が作用したときの梁部の第2方向に平行な方向での曲げ変形による圧電体層の歪み量の第1方向での位置による差を小さくすることができる。
【0011】
本発明の物理量センサー素子では、前記梁部は、前記第2方向からみたときに、幅方向での両端の1対の辺の延長線の交点が前記質量部の重心に一致することが好ましい。
これにより、質量部に対し第2方向に平行な方向の力が作用したときの梁部の第2方向に平行な方向での曲げ変形による圧電体層の歪み量を、第1方向での位置によらず一定にすることができる。
本発明の物理量センサー素子では、前記圧電体層は、前記第2方向に分極していることが好ましい。
これにより、検出素子が梁部の第2方向に平行な方向での曲げ変形を高精度に検出することができる。
【0012】
本発明の物理量センサー素子では、前記第2電極層は、前記第2方向からみたときに、前記梁部の幅の中心線に対して対称な形状をなすことが好ましい。
これにより、第1方向および第2方向の双方に直交する第3方向に梁部が曲げ変形したとき、検出素子の圧電体層の第3方向での一方側の部分と他方側の部分とで発生する電荷を相殺することができる。そのため、不要な方向での物理量が検出されるのを防止することができる。その結果、物理量センサー素子の検出感度を向上させることができる。
【0013】
本発明の物理量センサー素子は、第1基部と、
前記第1基部から第1方向に延出し、前記第1方向に直交する第2方向を法線とする板面を有する第1梁部と、
前記第1梁部の先端部に設けられた第1質量部と、
前記第1梁部の前記板面上に第1電極層、第1圧電体層および第2電極層がこの順で積層され、前記第1梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する第1検出素子と、
第2基部と、
前記第2基部から前記第1方向に延出し、前記第2方向に平行な方向を法線とする板面を有する第2梁部と、
前記第2梁部の先端部に設けられた第2質量部と、
前記第2梁部の前記板面上に第3電極層、第2圧電体層および第4電極層がこの順で積層され、前記第2梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する第2検出素子と、
第3基部と、
前記第3基部から前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向に延出し、前記第2方向を法線とする板面を有する第3梁部と、
前記第3梁部の先端部に設けられた第3質量部と、
前記第3梁部の前記板面上に第5電極層、第3圧電体層および第6電極層がこの順で積層され、前記第3梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する第3検出素子とを有し、
前記第1梁部は、前記第2方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が一定となる帯状または矩形状をなし、
前記第2梁部および前記第3梁部は、それぞれ、前記第2方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなし、
前記第1検出素子の前記第2電極層および前記第2検出素子の前記第4電極層は、それぞれ、前記第1方向に互いに離間した2つの電極を有し、
前記第3検出素子の前記第6電極層は、前記第3方向に互いに離間した2つの電極を有することを特徴とする。
このような本発明の物理量センサー素子によれば、第1検出素子の検出結果に基づいて、物理量(具体的には第2方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出し、第2検出素子の検出結果に基づいて、物理量(具体的には第1方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出し、第3検出素子の検出結果に基づいて、物理量(具体的には第3方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出することができる。
本発明の物理量センサー素子では、前記第1基部、前記第2基部、および前記第3基部は一体に設けられたことが好ましい。
これにより、振動系の振動特性および耐久性を優れたものとすることができる。
【0014】
本発明の物理量センサーは、本発明の物理量センサー素子を備えることを特徴とする。
このような物理量センサーは、高感度な物理量センサー素子を備えるので、優れた信頼性を有する。
本発明の電子機器は、本発明の物理量センサーを備えることを特徴とする。
このような電子機器は、高感度な物理量センサーを備えるので、優れた信頼性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物理量センサー素子を示す平面図である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】図1中のB−B線断面図である。
【図4】図1中のC−C線断面図である。
【図5】(a)は、梁部が矩形状をなし、梁部の厚さ方向(Z軸方向)での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフ、(b)は、梁部が矩形状をなし、梁部の延出方向での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフである。
【図6】(a)は、梁部が台形状をなし、梁部の厚さ方向(Z軸方向)での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフ、(b)は、梁部が台形状をなし、梁部の延出方向での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と、梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフである。
【図7】図1に示す物理量センサー素子における物理量の検出を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る物理量センサー素子を示す平面図である。
【図9】図8に示す物理量センサー素子における物理量の検出を説明するための図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る物理量センサー素子を示す平面図である。
【図11】図10に示す物理量センサー素子における物理量の検出を説明するための図である。
【図12】本発明の物理量センサーの一例を示す模式図である。
【図13】本発明の電子機器(ノート型パーソナルコンピュータ)である。
【図14】本発明の電子機器(携帯電話機)である。
【図15】本発明の電子機器(ディジタルスチルカメラ)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサー素子を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1中のB−B線断面図、図4は、図1中のC−C線断面図、図5(a)は、梁部が矩形状をなし、梁部の厚さ方向(Z軸方向)での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフ、図5(b)は、梁部が矩形状をなし、梁部の延出方向での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフ、図6(a)は、梁部が台形状をなし、梁部の厚さ方向(Z軸方向)での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフ、図6(b)は、梁部が台形状をなし、梁部の延出方向での加速度が作用した場合における圧電体層の歪み量と、梁部の固定端からの距離との関係を示すグラフ、図7は、図1に示す物理量センサー素子における物理量の検出を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、図1〜4では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、以下では、X軸に平行な方向(左右方向)を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向(上下方向)を「Z軸方向」と言う。また、図1では、説明の便宜上、後述する蓋部材5の図示を省略している。
【0017】
(物理量センサー素子)
図1に示す物理量センサー素子1は、支持基板2と、この支持基板2に接合・支持された素子片(基体)3と、素子片3上に設けられた検出素子41、42、43と、素子片3を覆うように設けられた蓋部材5とを有する。
この物理量センサー素子1は、物理量として、検出素子41(第1検出素子)の検出結果に基づいてZ軸方向での加速度を検出し、検出素子42(第2検出素子)の検出結果に基づいてY軸方向での加速度を検出し、検出素子43(第3検出素子)の検出結果に基づいてX軸方向での加速度を検出する。
【0018】
以下、物理量センサー素子1を構成する各部を順次詳細に説明する。
(支持基板)
支持基板2は、素子片3を支持する機能を有する。
この支持基板2は、基板21と、この基板21の上面に接合された枠体(スペーサ)22とで構成されている。これにより、支持基板2の上面(一方の面)には、凹部23が設けられている。この凹部23は、支持基板2を平面視したときに、後述する素子片3の梁部32、34、36および質量部33、35、37を包含するように形成されている。このような凹部23は、素子片3の梁部32、34、36および質量部33、35、37が支持基板2に接触するのを防止する逃げ部を構成する。これにより、素子片3の質量部33、35、37の変位を許容することができる。
【0019】
なお、この逃げ部は、凹部23に代えて、支持基板2をその厚さ方向に貫通する開口部であってもよい。また、本実施形態では、凹部23の平面視形状は、四角形(具体的には長方形)をなしているが、これに限定されるものではない。また、基板21および枠体22は、同一材料で一体形成されていてもよい。また、後述する素子片3の基部31が堅牢である場合やセンサー部301〜303を気密空間内に配する必要なない場合等には、支持基板2を省略することもできる。
【0020】
このような支持基板2(基板21、枠体22)の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シリコン材料、ガラス材料、金属材料、樹脂材料等を用いることができるが、絶縁性を有するとともに比較的硬質な材料を用いるのが好ましく、具体的には、シリコン材料、ガラス材料を用いるのが好ましく、特に、素子片3がシリコン材料を主材料として構成されている場合、アルカリ金属イオン(可動イオン)を含むガラス材料(例えば、パイレックスガラス(登録商標)のような硼珪酸ガラス)を用いるのが好ましい。これにより、素子片3がシリコンを主材料として構成されている場合、支持基板2と素子片3とを陽極接合することができる。
また、基板21と枠体22との接合方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接合方法、陽極接合法、直接接合法等を用いることができる。
【0021】
このような支持基板2は、1つまたは2つの基板をエッチングすることより形成することができる。
かかるエッチング方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上述したようなエッチングに際しては、例えば、フォトリソグラフィー法により形成されたマスクを好適に用いることができる。
【0022】
(素子片)
素子片3は、基部31と、梁部32、34、36と、質量部33、35、37とで構成されている。
このような素子片3は、Z軸方向での加速度に応じて質量部33(第1質量部)の変位に伴って梁部32(第1梁部)がZ軸方向に曲げ変形する。また、Y軸方向での加速度に応じて質量部35(第2質量部)の変位に伴って梁部34(第2梁部)がZ軸方向に曲げ変形する。また、X軸方向での加速度に応じて質量部37(第2質量部)の変位に伴って梁部36(第2梁部)がZ軸方向に曲げ変形する。
【0023】
以下、素子片3を構成する各部を詳細に説明する。
基部31は、前述した支持基板2の上面に接合されている。具体的には、基部31は、支持基板2の上面の凹部23の外側の部分に接合されている。
本実施形態では、基部31は、枠状(より具体的には四角環状)をなしている。
なお、基部31の位置および形状等は、梁部32、34、36および質量部33、35、37等の位置および形状等に応じて決められるものであり、上述したものに限定されない。例えば、基部31は、各梁部32、34、36に対応した部分(第1基部、第2基部および第3基部)ごとに分割されていてもよい。また、基部31は、梁部32、34、36および質量部33、35、37の外周縁に沿った内周縁を有していてもよい。
このような基部31の内周部には、3つの梁部32、34、36が突出している。これにより、3つの梁部32、34、36が1つの基部31に支持され、素子片3が有する振動系の振動特性および耐久性を優れたものとすることができる。
【0024】
梁部32、34は、それぞれ、基部31から+Y方向(第1方向)に延出するとともに、X軸方向に並んで設けられている。また、梁部36は、基部31から+X方向(第3方向)に延出している。
この梁部32、34、36は、それぞれ、長手形状をなし、その基部31側の端(基端)が固定端となり、基部31と反対側の端(先端)が自由端となる。
【0025】
また、図2に示すように、梁部32は、その上側に、Z軸方向(第2方向)を法線とする板面321を有する。また、図3に示すように、梁部34は、その上側に、Z軸方向(第2方向)を法線とする板面341を有する。また、図4に示すように、梁部36は、その上側に、Z軸方向(第2方向)を法線とする板面361を有する。
そして、梁部32は、Z軸方向(板面321に垂直な方向)からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が一定となる帯状または矩形状をなす。これにより、後に詳述するように、質量部33に対しY軸方向の力が作用したときの梁部32のZ軸方向での曲げ変形による検出素子41の圧電体層412の歪み量を、Y軸方向での位置によらず一定にすることができる。また、質量部33に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部32のZ軸方向での曲げ変形による圧電体層412の歪み量を、梁部32の先端側から基端側に向けて大きくすることができる。
【0026】
一方、梁部34は、Z軸方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなす。これにより、後に詳述するように、質量部35に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部34のZ軸方向での曲げ変形による検出素子42の圧電体層422の歪み量のY軸方向での位置による差を小さくすることができる。そのため、検出素子42により、所望の方向の物理量を他の方向の物理量の影響を受けずに検出することができる。そのため、物理量センサー素子1の検出精度を優れたものとすることができる。
【0027】
同様に、梁部36は、Z軸方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなす。これにより、後に詳述するように、質量部37に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部36のZ軸方向での曲げ変形による検出素子43の圧電体層432の歪み量を、Y軸方向での位置によらず一定にすることができる。そのため、検出素子43により、所望の方向の物理量を他の方向の物理量の影響を受けずに検出することができる。そのため、物理量センサー素子1の検出精度を優れたものとすることができる。
【0028】
特に、梁部34は、Z軸方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する台形状をなす。これにより、比較的簡単な構成で、質量部35に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部34のZ軸方向での曲げ変形による圧電体層422の歪み量のY軸方向での位置による差を小さくすることができる。同様に、梁部36は、それぞれ、Z軸方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する台形状をなす。これにより、比較的簡単な構成で、質量部37に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部36のZ軸方向での曲げ変形による圧電体層432の歪み量のX軸方向での位置による差を小さくすることができる。
【0029】
また、梁部34は、Z軸方向からみたときに、幅方向での両端の1対の辺の延長線l21、l22の交点Pが質量部35の重心G2に一致している。これにより、質量部35に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部34のZ軸方向での曲げ変形による圧電体層422の歪み量を、Y軸方向での位置によらず一定にすることができる。同様に、梁部36は、Z軸方向からみたときに、幅方向での両端の1対の辺の延長線の交点が質量部37の重心G3に一致している。これにより、質量部37に対しZ軸方向の力が作用したときの梁部36のZ軸方向での曲げ変形による圧電体層432の歪み量を、X軸方向での位置によらず一定にすることができる。
【0030】
このような梁部32の先端部には、質量部33が設けられ、梁部34の先端部には、質量部35が設けられ、梁部36の先端部には、質量部37が設けられている。
この質量部33は、梁部32(弾性部)よりも横断面積が大きい。同様に、質量部35は、梁部34(弾性部)よりも横断面積が大きく、また、質量部37は、梁部36よりも横断面積が大きい。これにより、加速度に応じて梁部32、34、36を効率的に曲げ変形させることができる。
【0031】
特に、質量部33の重心G1は、梁部32のY軸方向(第1方向)に沿った中心線l1に対してZ軸方向(第2方向)にずれている。これにより、質量部33に対しY軸方向の力が作用したときに、梁部32をZ軸方向に曲げ変形させることができる。そのため、後に詳述するように、Y軸方向の物理量を他の方向の物理量の影響を受けずに検出することができる。
【0032】
同様に、質量部35の重心G2は、梁部34のY軸方向(第1方向)に沿った中心線l2に対してZ軸方向(第2方向)にずれている。これにより、質量部35に対しY軸方向の力が作用したときに、梁部34をZ軸方向に曲げ変形させることができる。そのため、後に詳述するように、梁部34の板面341に水平な方向(具体的にはY軸方向)の物理量を高精度に検出することができる。
【0033】
また、質量部37の重心G3は、梁部36のX軸方向に沿った中心線l3に対してZ軸方向にずれている。これにより、質量部37に対しX軸方向の力が作用したときに、梁部36をZ軸方向に曲げ変形させることができる。そのため、後に詳述するように、梁部36の板面361に水平な方向(具体的にはX軸方向)の物理量を高精度に検出することができる。
【0034】
このような各質量部33、35、37のZ軸方向での厚さは、梁部32、34、36のZ軸方向での厚さよりも大きい。これにより、簡単かつ効率的に質量部33、35、37の重心G1、G2、G3を梁部32、34、36の中心線l1、l2、l3からZ軸方向にずらすことができる。
本実施形態では、各質量部33、35、37は、Z軸方向からみたときに、四角状をなしている。なお、各質量部33、35、37の形状は、これに限定されず、例えば、三角形、五角形等の他の多角形状をなしていてもよい。
また、質量部33の重心G1は、Z軸方向からみたときに、梁部32の中心線l1上に位置する。これにより、質量部33の不本意な変位およびそれに伴う梁部32の変形を抑えることができる。その結果、物理量センサー素子1の検出感度を向上させることができる。
【0035】
同様に、質量部35の重心G2は、Z軸方向からみたときに、梁部34の中心線l2上に位置する。これにより、質量部35の不本意な変位およびそれに伴う梁部34の変形を抑えることができる。その結果、物理量センサー素子1の検出感度を向上させることができる。また、質量部37の重心G3は、Z軸方向からみたときに、梁部36の中心線l3上に位置する。これにより、質量部37の不本意な変位およびそれに伴う梁部36の変形を抑えることができる。その結果、物理量センサー素子1の検出感度を向上させることができる。
【0036】
このような基部31、梁部32、34、36および質量部33、35、37で構成された素子片3は、SOI基板の一方の面を熱酸化するとともに各層を適宜エッチングすることにより形成されている。これにより、簡単かつ高精度に素子片3を形成することができる。また、基部31、梁部32、34、36および質量部33、35、37が一体的に形成されるので、素子片3が有する振動系の振動特性および耐久性を優れたものとすることができる。
【0037】
かかるエッチング方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上述したようなエッチングに際しては、例えば、フォトリソグラフィー法により形成されたマスクを好適に用いることができる。
【0038】
このような素子片3は、図2〜4に示すように、4つの層101〜104が積層された積層構造を有する。そして、この層101、103は、それぞれシリコンで構成され、層102、104(絶縁層)は、それぞれ二酸化珪素で構成されている。
なお、素子片3は、前述したような積層構造を有していなくてもよく、1枚の基板を適宜エッチングすることにより形成されていてもよい。1枚の基板により素子片3を形成する場合、その構成材料としては、特に限定されないが、シリコン材料、水晶等が挙げられるが、例えば、単結晶シリコン、ポリシリコン等のシリコン材料を用いるのが好ましい。
【0039】
また、素子片3は、前述したように、支持基板2の上面に基部31が接合されることにより、支持基板2に支持されている。
このような素子片3(具体的には、前述した基部31)と支持基板2との接合方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接合方法、陽極接合法、直接接合法等の各種接合方法を用いることができる。
【0040】
(検出素子)
検出素子41は、前述した梁部32上に設けられ、検出素子42は、梁部34上に設けられ、検出素子43は、梁部36上に設けられている。
検出素子41は、梁部32のZ軸方向での曲げ変形を検出する機能を有する。また、検出素子42は、梁部34のZ軸方向での曲げ変形を検出する機能を有する。また、検出素子43は、梁部36のZ軸方向での曲げ変形を検出する機能を有する。
特に、本実施形態では、検出素子41は、Z軸方向の力の作用による質量部33の変位に伴う梁部32のZ軸方向での曲げ変形を検出する。また、検出素子42は、Y軸方向の力の作用による梁部34のZ軸方向での曲げ変形を検出する。検出素子43は、X軸方向の力の作用による梁部36のZ軸方向での曲げ変形を検出する。
このような検出素子(第1検出素子)41は、図2に示すように、梁部32の板面321上に、第1電極層411、第1圧電体層である圧電体層(圧電薄膜)412、第2電極層413がこの順で積層されて構成されている。
【0041】
第1電極層411および圧電体層412は、それぞれ、梁部32の板面321の全面に亘って設けられている。
第2電極層413は、Y軸方向に互いに離間した2つの電極413a、413bを有する。電極413aは、梁部32の先端部に対応して設けられ、電極413bは、梁部32の基端部に対応して設けられている。このようなY軸方向に互いに離間した2つの電極413a、413bを圧電体層412上に設けることにより、電極413aと第1電極層411との間の電位差と、電極413bと第1電極層411との間の電位差との差分に基づいて、すなわち、当該2つの電極413a、413b間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはZ軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
また、検出素子(第2検出素子)42は、図3に示すように、梁部34上に、第1電極層(第3電極層)421、第2圧電体層である圧電体層(圧電薄膜)422、第2電極層(第4電極層)423がこの順で積層されて構成されている。
【0042】
第1電極層421および圧電体層422は、それぞれ、梁部34の板面341の全面に亘って設けられている。
第2電極層423は、Y軸方向に互いに離間した2つの電極423a、423bを有する。電極423aは、梁部34の先端部に対応して設けられ、電極423bは、梁部34の基端部に対応して設けられている。このようなY軸方向に互いに離間した2つの電極423a、423bを圧電体層422上に設けることにより、電極423aと第1電極層421との間の電位差と、電極423bと第1電極層421との間の電位差との差分に基づいて、すなわち、当該2つの電極423a、423b間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはY軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
同様に、検出素子(第3検出素子)43は、梁部36上に、第1電極層(第5電極層)431、第3圧電体層である圧電体層(圧電薄膜)432、第2電極層(第6電極層)433がこの順で積層されて構成されている。
【0043】
第1電極層431および圧電体層432は、それぞれ、梁部36の板面361の全面に亘って設けられている。
第2電極層433は、X軸方向に互いに離間した2つの電極433a、433bを有する。電極433aは、梁部36の先端部に対応して設けられ、電極433bは、梁部36の基端部に対応して設けられている。このようなX軸方向に互いに離間した2つの電極433a、433bを圧電体層432上に設けることにより、当該2つの電極433a、433b間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはX軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0044】
以下、検出素子41、42による物理量の検出について詳述する。なお、検出素子43による検出は、方向が異なる以外は、検出素子42と同様であるので、その説明を省略する。
(検出素子41による物理量の検出)
質量部33の質量をmとし、梁部32の固定端から質量部33との境界部までの距離をL1とし、梁部32の固定端と質量部33の重心G1とのY軸方向での距離をL2とし、梁部32の板面321と質量部33の重心G1とのZ軸方向での距離をL3としたとき(なお、説明の便宜上、梁部32の質量は無視する)、質量部33にZ軸方向の加速度aが作用した場合、梁部32の固定端からの距離yの部位に生じる曲げモーメントMは、下記式(1)で表わされる。
【0045】
【数1】

【0046】
また、質量部33にY軸方向の加速度aが作用した場合、梁部32には、梁部32の固定端からの距離によらず、下記式(2)で表わされる曲げモーメントMが一様に生じる。
【0047】
【数2】

【0048】
さらに、梁部32の撓み量(Z軸方向での曲げ変形量)をwとしたとき、下記式(3)で表わされる曲線の微分方程式が成り立つことが知られている。
【0049】
【数3】

【0050】
なお、上記式(3)において、YIは梁部32の曲げ剛性である。
ここで、梁部32の中立面は(Z軸方向での曲げ変形が生じたときにY軸方向での長さが変化しない面)が梁部32中に存在するように、梁部32および検出素子41の構成材料および厚さが設定されている。
このような梁部32の中立面からのZ軸方向での距離をzとしたとき、検出素子41の圧電体層412に生じる歪み量εは、下記式(4)で表わされる。
【0051】
【数4】

【0052】
梁部32は、前述したように幅および厚さがY軸方向での全域に亘って一定であるため、曲げ剛性YIもY軸方向での全域に亘って一定(均一)である。
そのため、質量部33にZ軸方向での加速度が作用したとき、検出素子41の圧電体層412に生じる歪み量は、図5(a)に示すように、梁部32の固定端に対応する位置で最大になり、梁部32の先端(梁部32と質量部33との境界部)に対応する位置で最小となる。そのため、梁部32の固定端側に配置された電極413bと第1電極層411との電位差は大きく、梁部32の先端側に配置された電極413aと第1電極層411との間の電位差は小さくなる。
【0053】
一方、質量部33にY軸方向での加速度が作用したとき、検出素子41の圧電体層412に生じる歪み量は、図5(b)に示すように、Y軸方向での位置によらず一定となる。そのため、梁部32の固定端側に配置された電極413bと第1電極層411との電位差は、梁部32の先端側に配置された電極413aと第1電極層411との間の電位差と同じになる。
このようなことから、図7(a)に示すように、電極413a、413bに電気的に接続された差動増幅回路600を用いることにより、当該2つの電極413a、413b間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはZ軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0054】
(検出素子42による物理量の検出)
梁部34の固定端と質量部35の重心G2とのY軸方向での距離(すなわち、梁部34の長さ)をL2としたとき、梁部34の固定端からの距離yにおける曲げ剛性YIは、下記式(5)で表わされる。
【0055】
【数5】

【0056】
なお、上記式(5)において、YImaxは、梁部34の固定端での曲げ剛性である。
上記式(5)からわかるように、梁部34の曲げ剛性は、質量部35に近いほど小さくなる。
本実施形態では、質量部35にZ軸方向での加速度が作用したとき、検出素子42の圧電体層422に生じる歪み量は、図6(a)に示すように、Y軸方向での位置によらず一定となる。そのため、梁部34の固定端側に配置された電極423bと第1電極層421との電位差は、梁部34の先端側に配置された電極423aと第1電極層421との間の電位差と同じになる。
【0057】
一方、質量部35にY軸方向での加速度が作用したとき、検出素子42の圧電体層422に生じる歪み量は、図6(b)に示すように、梁部34の固定端に対応する位置で最小になり、梁部34の先端(梁部34と質量部35との境界部)に対応する位置で最大となる。そのため、梁部34の固定端側に配置された電極423bと第1電極層421との電位差は小さく、梁部34の先端側に配置された電極423aと第1電極層421との間の電位差は大きくなる。
このようなことから、図7(b)に示すように、電極423a、423bに電気的に接続された差動増幅回路601を用いることにより、当該2つの電極423a、423b間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはY軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0058】
このように、第2電極層413、423、433を有する検出素子41、42、43と梁部32、34、36との組み合わせることにより、検出素子41の検出結果に基づいて、物理量(具体的には第2方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出し、検出素子42の検出結果に基づいて、物理量(具体的には第1方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出し、検出素子43の検出結果に基づいて、物理量(具体的には第3方向に平行な方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0059】
このような第1電極層411、421、431、第2電極層413、423、433は、それぞれ、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、クロム、クロム合金等の導電性に優れた金属材料により形成することができる。
また、これらの電極等の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理成膜法、CVD等の化学蒸着法、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられる。また、これらの電極等の形成に際しては、フォトリソグラフィ法を用いるのが好ましい。
また、圧電体層412、422、432は、それぞれ、Z軸方向に分極している。これにより、検出素子41、42、43が梁部32、34、36のZ軸方向での曲げ変形を高精度に検出することができる。
【0060】
また、第2電極層413は、Z軸方向からみたときに、梁部32の中心線l1に対して対称な形状をなす。これにより、X軸方向に梁部32が曲げ変形したとき、検出素子41の圧電体層412のX軸方向での一方側の部分と他方側の部分とで発生する電荷を相殺することができる。そのため、不要な方向での物理量が検出されるのを防止することができる。その結果、物理量センサー素子1の検出感度を向上させることができる。このようなことから、同様に、第2電極層423は、Z軸方向からみたときに、梁部34の中心線l2に対して対称な形状をなす。また、第2電極層433は、Z軸方向からみたときに、梁部36の中心線l3に対して対称な形状をなす。
【0061】
また、圧電体層412、422、432の構成材料(圧電体材料)としては、それぞれ、例えば、ZnO(酸化亜鉛)、AIN(窒化アルミニウム)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの他に、場合によっては水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。
また、これらの圧電体層の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理成膜法、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の化学蒸着法、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられる。
以上説明したような検出素子41、42、43は、梁部32、34、36とは別体として設けられた圧電体層412、422、423の圧電効果により生じた電荷に基づいて、物理量を検出するため、梁部32、34、36の厚さ方向での寸法誤差によらず、物理量を高精度に検出することができる。
【0062】
(蓋部材)
蓋部材5は、前述した素子片3を保護する機能を有する。
この蓋部材5は、基板51と、この基板51の下面に接合された枠体(スペーサ)52とで構成されている。これにより、蓋部材5の下面には、凹部53が設けられている。この凹部53は、素子片3の梁部32、34、36および質量部33、35、37の変位を許容するように形成されている。
そして、蓋部材5の下面の凹部53よりも外側の部分は、前述した素子片3の基部31の上面に接合されている。
【0063】
蓋部材5と素子片3との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤を用いた接合方法、陽極接合法、直接接合法等を用いることができる。
また、蓋部材5(基板51、枠体52)の構成材料としては、前述したような機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、シリコン材料、ガラス材料等を好適に用いることができる。
なお、基板51および枠体52は、同一材料で一体形成されていてもよい。また、センサー部301〜303を気密空間内に配する必要がない場合等には、蓋部材5を省略することもできる。
【0064】
このような蓋部材5は、1つまたは2つの基板をエッチングすることより形成することができる。
かかるエッチング方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上述したようなエッチングに際しては、例えば、フォトリソグラフィー法により形成されたマスクを好適に用いることができる。
【0065】
以上説明した第1実施形態に係る物理量センサー素子1によれば、梁部32、34、36とは別体として設けられた圧電体層412、422、432の圧電効果により生じた電荷に基づいて、物理量を検出するため、梁部32、34、36の厚さ方向での寸法誤差によらず、物理量を高精度に検出することができる。
また、質量部33、35、37の重心G1、G2、G3が梁部32、34、36の中心線l1、l2、l3に対してZ軸方向にずれているので、質量部33、35、37に対しY軸方向の力が作用したときに、梁部32、34、36をZ軸方向に曲げ変形させることができる。そのため、検出素子42、43により梁部34、36の板面に水平な方向の物理量を高精度に検出することができる。また、検出素子41によりZ軸方向の物理量を他の方向の物理量の影響を受けずに検出することができる。
また、梁部34、36がそれぞれZ軸方向からみたときに基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなしているので、所望の方向の物理量を他の方向の物理量の影響を受けずに検出することができる。
【0066】
<第2実施形態>
次に、本発明の物理量センサー素子の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサー素子を示す平面図、図9は、図8に示す物理量センサー素子における物理量の検出を説明するための図である。
本実施形態にかかる物理量センサー素子は、梁部の形状および検出素子の第2電極の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる物理量センサー素子と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の物理量センサー素子に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0067】
本実施形態の物理量センサー素子1Aは、支持基板2の上面に接合された素子片3Aと、素子片3A上に設けられた検出素子41A、42A、43Aとを有している。
素子片3Aは、基部31と、梁部32、34、36Aと、質量部33、35、37とで構成されている。
梁部36Aは、基部31から+X方向(第3方向)に延出している。
また、梁部36Aは、長手形状をなし、その基部31側の端(基端)が固定端となり、基部31と反対側の端(先端)が自由端となる。
また、梁部36Aは、その上側に、Z軸方向(第2方向)を法線とする板面(上面)を有する。
そして、梁部36Aは、Z軸方向(板面に垂直な方向)からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が一定となる帯状または矩形状をなす。
このような梁部36Aの先端部には、質量部37が設けられている。
【0068】
検出素子41Aは、梁部32上に設けられ、検出素子42Aは、梁部34上に設けられ、検出素子43Aは、梁部36A上に設けられている。
本実施形態では、検出素子41Aは、Y軸方向の力の作用による質量部33の変位に伴う梁部32のZ軸方向での曲げ変形を検出する。また、検出素子42Aは、Z軸方向の力の作用による質量部35の変位に伴う梁部34のZ軸方向での曲げ変形を検出する。また、検出素子43Aは、X軸方向の力の作用による質量部37の変位に伴う梁部36AのZ軸方向での曲げ変形を検出する。
このような検出素子41Aは、梁部32の板面(上面)上に、第1電極層411、圧電体層(圧電薄膜)412、第2電極層413Aがこの順で積層されて構成されている。
【0069】
第2電極層413Aは、梁部32の先端部に対応して設けられた電極413cで構成されている。前述した第1実施形態において説明したように、質量部33にZ軸方向での加速度が作用したとき、帯状または矩形状をなす梁部32の先端部に対応する位置では、圧電体層412の歪み量が極めて小さい(図5(a)参照)。また、質量部33にY軸方向での加速度が作用したとき、圧電体層412の歪み量は、Y軸方向での位置によらず一定である(図5(b)参照)。
このようなことから、例えば、図9(a)に示すように、電極413cに電気的に接続された反転増幅回路602を用いることにより、第2電極層413Aと第1電極層411との間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはY軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0070】
また、検出素子42Aは、梁部34の板面(上面)上に、第1電極層421、圧電体層(圧電薄膜)422、第2電極層423Aがこの順で積層されて構成されている。
第2電極層423Aは、梁部34の基端部に対応して設けられた電極423cで構成されている。前述した第1実施形態において説明したように、質量部35にZ軸方向での加速度が作用したとき、圧電体層422の歪み量は、Y軸方向での位置によらず一定である(図6(a)参照)。また、質量部35にY軸方向での加速度が作用したとき、台形状をなす梁部34の基端部に対応する位置では、圧電体層422の歪み量が極めて小さい(図6(b)参照)。
このようなことから、例えば、図9(b)に示すように、電極423cに電気的に接続された反転増幅回路603を用いることにより、第2電極層423Aと第1電極層421との間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはY軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0071】
また、検出素子43Aは、梁部36Aの板面(上面)上に、第1電極層431A、圧電体層(圧電薄膜)432A、第2電極層433Aがこの順で積層されて構成されている。
第2電極層433Aは、梁部36Aの先端部に対応して設けられた電極433cで構成されている。これにより、検出素子41Aでの検出と同様、第2電極層433Aと第1電極層431Aとの間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはX軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
以上説明したような第2実施形態に係る物理量センサー素子1Aによっても、前述した第1実施形態に係る物理量センサー素子1と同様、優れた検出精度を有する。
【0072】
<第3実施形態>
次に、本発明の物理量センサー素子の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る物理量センサー素子を示す平面図、図11は、図10に示す物理量センサー素子における物理量の検出を説明するための図である。
本実施形態にかかる物理量センサー素子は、梁部および質量部の数、および、検出素子の第2電極層の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる物理量センサー素子と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の物理量センサー素子に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0073】
本実施形態の物理量センサー素子1Bは、支持基板2の上面に接合された素子片3Bと、素子片3B上に設けられた検出素子42B、43Bとを有している。
素子片3Bは、基部31と、幅が基端側から先端側に向けて漸減する形状をなす梁部34、36と、質量部35、37とで構成されている。
検出素子42Bは、梁部34上に設けられ、検出素子43Bは、梁部36上に設けられている。
【0074】
本実施形態では、検出素子42Bは、Z軸方向およびY軸方向の力の作用による質量部35の変位に伴う梁部34のZ軸方向での曲げ変形をそれぞれ検出する。また、検出素子43Bは、Z軸方向およびX軸方向の力の作用による質量部37の変位に伴う梁部36のZ軸方向での曲げ変形をそれぞれ検出する。
このような検出素子42Bは、梁部34の板面(上面)上に、第1電極層421、圧電体層(圧電薄膜)422、第2電極層423Bがこの順で積層されて構成されている。
【0075】
第2電極層423Bは、梁部34のY軸方向での異なる位置に設けられた3つの電極423a、423b、423cで構成されている。これにより、例えば、図11(a)に示すように、電極423cに電気的に接続された反転増幅回路603を用いることにより、第2電極層423Bと第1電極層421との間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはZ軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。また、電極423a、423bに電気的に接続された差動増幅回路601を用いることにより、第2電極層423Bと第1電極層421との間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはY軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0076】
また、検出素子43Bは、梁部36の板面(上面)上に、第1電極層431、圧電体層(圧電薄膜)432、第2電極層433Bがこの順で積層されて構成されている。
第2電極層433Bは、梁部36のX軸方向での異なる位置に設けられた3つの電極433a、433b、433cで構成されている。これにより、前述した検出素子42Bと同様の回路を用いて、第2電極層433Bと第1電極層431との間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはZ軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。また、第2電極層433Bと第1電極層431との間の電位差に基づいて、物理量(具体的にはZ軸方向での加速度)を高精度に検出することができる。
【0077】
なお、検出素子42Bにおいて、電極423bを省略してもよい。図11(b)に示すように、このような場合における検出素子42B’では、電極423cに反転増幅回路603を電気的に接続するとともに、電極423a、423cに差動増幅回路601を電気的に接続すればよい。同様に、検出素子43Bにおいて、電極433bを省略してもよい。
以上説明したような第3実施形態に係る物理量センサー素子1Bによっても、前述した第1実施形態に係る物理量センサー素子1と同様、優れた検出感度を有する。
【0078】
(物理量センサー)
次に、図12に基づいて、本発明の物理量センサーを説明する。
図12は、本発明の物理量センサーの一例を示す模式図である。
図12に示す物理量センサー200は、前述した物理量センサー素子1と、物理量センサー素子1に電気的に接続された電子部品201とを有する。
電子部品201は、例えば集積回路素子(IC)であり、物理量センサー素子1を駆動する機能を有する。この電子部品201に角速度検出回路や速度検出回路を形成することにより物理量センサー200を圧電ジャイロとして構成することができる。
【0079】
なお、図14では、物理量センサー200が1つの物理量センサー素子1を有する場合を図示しているが、物理量センサー200が複数の物理量センサー素子1を有していてもよい。また、物理量センサー200は、物理量センサー素子1と、物理量センサー素子1とは異なる構成の物理量センサー素子とを有していてもよい。
このような物理量センサー200は、感度および耐衝撃性の優れた物理量センサー素子1を備えるので、優れた信頼性を有する。
【0080】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器を説明する。
図13は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、物理量センサー200が内蔵されている。
【0081】
図14は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。
このような携帯電話機1200には、物理量センサー200が内蔵されている。
【0082】
図15は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0083】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
【0084】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、物理量センサー200が内蔵されている。
このような電子機器は、高感および耐衝撃性に優れた物理量センサー素子1を備えるので、優れた信頼性を有する。
【0085】
なお、本発明の電子機器は、図13のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図14の携帯電話機、図15のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
【0086】
以上、本発明の物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
前述した実施形態では、1つの物理量センサー素子が2つまたは3つのセンサー部(2組または3組の梁部、質量部および検出素子)を備える場合を例に説明したが、1つの物理量センサー素子が1つまたは4つ以上のセンサー部を有していてもよい。
また、1つの物理量センサー素子が備えるセンサー部の組み合わせは、前述した実施形態のものに限定されず、各実施形態のセンサー部を必要に応じて適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0087】
1‥‥物理量センサー素子 1A‥‥物理量センサー素子 1B‥‥物理量センサー素子 2‥‥支持基板 3‥‥素子片 3A‥‥素子片 3B‥‥素子片 5‥‥蓋部材 21‥‥基板 22‥‥枠体 23‥‥凹部 31‥‥基部 32‥‥梁部 33‥‥質量部 34‥‥梁部 35‥‥質量部 36‥‥梁部 36A‥‥梁部 37‥‥質量部 41‥‥検出素子 41A‥‥検出素子 42‥‥検出素子 42A‥‥検出素子 42B‥‥検出素子 42B’‥‥検出素子 43‥‥検出素子 43A‥‥検出素子 43B‥‥検出素子 51‥‥基板 52‥‥枠体 53‥‥凹部 100‥‥表示部 101‥‥層 102‥‥層 103‥‥層 104‥‥層 200‥‥物理量センサー 201‥‥電子部品 301‥‥センサー部 301A‥‥センサー部 302‥‥センサー部 302A‥‥センサー部 302B‥‥センサー部 302B’‥‥センサー部 303‥‥センサー部 303A‥‥センサー部 303B‥‥センサー部 321‥‥板面 341‥‥板面 361‥‥板面 411‥‥第1電極層 412‥‥圧電体層 413‥‥第2電極層 413A‥‥第2電極層 413a‥‥電極 413b‥‥電極 413c‥‥電極 421‥‥第1電極層 422‥‥圧電体層 423‥‥第2電極層 423A‥‥第2電極層 423B‥‥第2電極層 423a‥‥電極 423b‥‥電極 423c‥‥電極 431‥‥第1電極層 431A‥‥第1電極層 432‥‥圧電体層 432A‥‥圧電体層 433‥‥第2電極層 433A‥‥第2電極層 433B‥‥第2電極層 433a‥‥電極 433b‥‥電極 433c‥‥電極 600‥‥差動増幅回路 601‥‥差動増幅回路 602‥‥反転増幅回路 603‥‥反転増幅回路 1100‥‥パーソナルコンピュータ 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 1106‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1202‥‥操作ボタン 1204‥‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッタボタン 1308‥‥メモリ 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥入出力端子 1430‥‥テレビモニタ 1440‥‥パーソナルコンピュータ G1‥‥重心 G2‥‥重心 G3‥‥重心 l1‥‥中心線 l2‥‥中心線 l3‥‥中心線 l21、l22‥‥延長線 L1‥‥距離 L2‥‥距離 L3‥‥距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から第1方向に延出し、前記第1方向に直交する第2方向を法線とする板面を有する梁部と、
前記梁部の先端部に設けられた質量部と、
前記梁部の前記板面上に第1電極層、圧電体層および第2電極層がこの順で積層され、前記梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する検出素子とを有し、
前記梁部は、前記第2方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなすことを特徴とする物理量センサー素子。
【請求項2】
前記質量部は、前記第2方向の厚さが前記梁部の前記第2方向の厚さよりも大きく、
前記質量部の重心は、前記第2方向からみたときに、前記梁部の幅の中心線上に位置することを特徴とする請求項1に記載の物理量センサー素子。
【請求項3】
前記第2電極層は、前記第1方向に互いに離間した2つの部分を有する請求項1または2に記載の物理量センサー素子。
【請求項4】
前記第2電極層は、前記梁部の前記基端付近に設けられた電極を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の物理量センサー素子。
【請求項5】
前記梁部は、前記第2方向からみたときに、台形の形状をなす請求項1ないし4のいずれかに記載の物理量センサー素子。
【請求項6】
前記梁部は、前記第2方向からみたときに、幅方向での両端の1対の辺の延長線の交点が前記質量部の重心に一致する請求項5に記載の物理量センサー素子。
【請求項7】
前記圧電体層は、前記第2方向に分極している請求項1ないし6のいずれかに記載の物理量センサー素子。
【請求項8】
前記第2電極層は、前記第2方向からみたときに、前記梁部の幅の中心線に対して対称な形状をなす請求項1ないし7のいずれかに記載の物理量センサー素子。
【請求項9】
第1基部と、
前記第1基部から第1方向に延出し、前記第1方向に直交する第2方向を法線とする板面を有する第1梁部と、
前記第1梁部の先端部に設けられた第1質量部と、
前記第1梁部の前記板面上に第1電極層、第1圧電体層および第2電極層がこの順で積層され、前記第1梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する第1検出素子と、
第2基部と、
前記第2基部から前記第1方向に延出し、前記第2方向に平行な方向を法線とする板面を有する第2梁部と、
前記第2梁部の先端部に設けられた第2質量部と、
前記第2梁部の前記板面上に第3電極層、第2圧電体層および第4電極層がこの順で積層され、前記第2梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する第2検出素子と、
第3基部と、
前記第3基部から前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向に延出し、前記第2方向を法線とする板面を有する第3梁部と、
前記第3梁部の先端部に設けられた第3質量部と、
前記第3梁部の前記板面上に第5電極層、第3圧電体層および第6電極層がこの順で積層され、前記第3梁部の前記第2方向の曲げ変形を検出する第3検出素子とを有し、
前記第1梁部は、前記第2方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が一定となる帯状または矩形状をなし、
前記第2梁部および前記第3梁部は、それぞれ、前記第2方向からみたときに、基端側から先端側に向けて幅が漸減する形状をなし、
前記第1検出素子の前記第2電極層および前記第2検出素子の前記第4電極層は、それぞれ、前記第1方向に互いに離間した2つの電極を有し、
前記第3検出素子の前記第6電極層は、前記第3方向に互いに離間した2つの電極を有することを特徴とする物理量センサー素子。
【請求項10】
前記第1基部、前記第2基部、および前記第3基部は一体に設けられたことを特徴とする請求項9に記載の物理量センサー素子。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の物理量センサー素子を備えることを特徴とする物理量センサー。
【請求項12】
請求項11に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−83316(P2012−83316A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231915(P2010−231915)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】