説明

特別形態のパワープロファイルでレーザパルスを用いるリンク処理の方法及びレーザシステム。

特別形態の時間的パワープロファイルのレーザパルスは、従来の時間的波形又はほぼ正方形の波形の変わりに、ICリンクを切断する。特別形態のレーザパルスは、好適に、レーザパルスの開始でのオーバーシュート又はレーザパルスの持続時間内のスパイクパルスのいずれかを有する。スパイクピークのタイミングは、リンク部がほぼ完全に除去されるときの時間の前に、好適に設定される。特別形態のレーザパルス・パワープロファイルは、例えば、緑色、UV域などの、レーザパルスの広いパワー範囲と、短いレーザ波長の使用を可能とし、基板及びリンクの側部及び下部のいずれかに配置する不動態化構造部に、ほぼダメージを与えることなく、リンクを切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリチップ又は他の集積回路(IC)チップの導電リンクのレーザ処理、特に、より良い処理品質及び歩留のための特別形態のパワープロファイルを有する、レーザパルスを用いる方法及びシステムに関する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2003年8月19日に出願された米国特許仮出願第60/496,631の利点を要求する。
【0003】
(著作権勧告)
本特許出願の開示部分は、著作権者(c2004)Electro Scientific Industries, Inc.による著作権保護の対象となる部分を含んでいる。著作権者は、米国特許商標庁のファイル又は記録に現れるときには、特許書面又は特許の開示のいずれによっても複製権の対象とならないが、その他の全てについての著作権の権利を保有する。37 CFR § 1.71(d)。
【背景技術】
【0004】
IC素子製造プロセスにおける歩留りの低下は、しばしば下層又はパターンの調整不良、或いは異物によって生じる欠陥から生じる。図1、2A、及び2Bには、メモリセル20の予備の行16及び列18などの複数反復の冗長型回路素子部14を備えた、行又は列において一般的に構成されるワークピース12又はIC素子の冗長型電子回路10を示す。図1、2A、及び2Bを参照して、冗長型電子回路10は、電気接点24の間にレーザ切断導電リンク22を有するように構成されており、欠陥メモリセル20を置換するために、切断リンク22を除去することができる。例えば、DRAM、SRAM、又は埋め込み型メモリのような、メモリ素子の置換用の冗長セル26を交換するために除去することができる。又、CCDイメージング素子を修理するために、或いは、ゲートアレイ又はAISCなどのロジック素子をプログラムするために、同様な技術が、リンク22を切断するのに用いられる。
【0005】
リンク構造部36のリンク22は、約0.3ミクロン(μm)〜2μmの厚さであり、約0.4μm〜2.5μmの一般的リンク幅28と、隣接する電気接点24の間のリンク長30と、隣接する回路構造部、即ち素子部34から、約2μm〜8μmの素子部間ピッチ(素子部中心間のスペース)32とで構成されている。最も一般的に用いられるリンク部材は、ポリシリコン、ポリサイド、及びその合成物であるが、最近では、メモリ製造者は、より導電性のある様々な金属リンク部材を採用している。その金属リンク部材としては、限定するわけではないが、アルミニウム、クロム化物、銅、金、ニッケル、ニッケルクロム、チタン、タングステン、プラチナ、また、他の金属としては、金属合金、チタン及び窒化タンタルなどの窒化金属、ケイ化物などの金属ケイ化物、ケイ化タングステン、或いは他の金属性部材を含んでいる。
【0006】
電子回路10、回路素子部14、又はメモリセル20は、欠陥について検査され、それらの配置は、データベース又はプログラムにマップすることができる。伝統的な1.047μm或いは1.064μmの赤外域(IR)レーザ波長は、電導リンク22を効果的に除去するために、20年間以上用いられている。従来のメモリリンク処理システムは、選択したリンク22で、約4ナノ秒(ns)〜30nsのパルス幅を有する単一のレーザ出力パルス37を集束させる。図2Aと2Bには、ポリシリコンで構成されるリンク構造部36又はシリコン基板42上に配置される金属リンク22を射出するスポットサイズ(領域或いは直径)40のレーザスポット38を示しており、不動態化積層部の素子層間には、通常500Å〜10,000Å(D)の厚さの上部不動態化層44(図2Aに示す)と下部不動態化層46とを有することを示している。図2Cは、2つの隣接するリンク22が中間不動態化層48によって分離されている。リンク22の各々は、対抗面52が通常のリンク幅22で規定される距離だけ離れており、レーザスポット38は、リンク22を切断するように取り囲む。シリコン基板42は、IRレーザ放射量のうち比較的少ない比例量を吸収する。そして、酸化ケイ素又は窒化ケイ素などの従来の不動態化層44、46、及び48は、IRレーザ放射に対し比較的透過性がある。選択したリンク22でレーザパルスを照射するときには、各選択リンク22で単一のレーザパルスを照射しながらでもビーム位置決めシステムの移動を止める必要がないように、通常、リンク22は、”オン・ザ・フライ”で処理される。”オン・ザ・フライ”処理は、1秒あたり何万個ものリンク22を処理するなどの極めて高いリンク処理スループットを容易にする。
【0007】
図2Dは、従来技術のレーザパルスによるリンク22の除去後について、図2Bのリンク構造部の断片的な断面図である。金属又は非金属リンク22を処理するのに十分なレーザエネルギーを維持している間、基板42へのダメージを避けるために、Sun他による米国特許第5,265,114号明細書及び米国特許第5,473,624号明細書には、シリコンウェハ上のメモリリンク22を処理するため、1.3μmのような、より長いレーザ波長で、9ns〜25nsの単一なレーザパルスを用いることが記載されている。1.3μm波長で、リンク部22とシリコン基板42との間のレーザエネルギー吸収の差異は、伝統的な1μm波長のレーザパルス吸収の差異より大きいものとなる。この技法で提供された、より広範囲のレーザ処理ウィンドウと、より良い処理品質は、約5年間、大成功をもたらして産業に用いられている。
【0008】
しかしながら、絶えずシュリンクされていくリンク寸法とリンク間ピッチサイズは、より小さいレーザビーム・スポットサイズを要求する。従って、より小さいレーザビーム・スポットサイズにとって、より短いレーザ波長を与えることが望まれる。1μm及び1.3μmより短いレーザ波長は、処理を容易にするために、リンク用部材へのレーザエネルギーにおいても、より良い組み合わせを与えることになる。
【0009】
Sun他による米国特許第6,057,180号明細書には、より小さいビーム・スポットサイズの利点を生かしてリンクを切断するために、紫外域(UV)レーザ出力を用いる方法が記載されている。しかしながら、そのようなUVレーザパルスによるリンク自体の除去は、UVレーザパルスによるダメージから下層不動態化部及びシリコンウェハを保護するために、下層不動態化構造部及び材質に注意深い考慮を要する。
【0010】
Swenson他による米国特許第6,025,256号明細書には、レジスト、即ちフォトレジストのような、エッチング保護層を露光又は除去するために、紫外域(UV)レーザ出力を用いる方法が記載されている。エッチング保護層は、上層不動態化部材をも有しうるリンクの上にコーティングされる。この方法によれば、化学エッチングなど、種々の部材除去メカニズムにより、リンク除去(及び、上層不動態化部材の除去)を可能とする。この方法は、更に小さいビーム・スポットサイズの使用を可能とする。しかしながら、露光及びエッチング除去技法は、追加のコーティング、開発、及び/又は、エッチングステップを用いることになり、通常は、1つ以上の特殊なステップのために、製造プロセスのフロントエンドにウェハを送り返すことを要する。
【0011】
図3Aは、リンク処理に用いられる1μm及び1.3μmの波長での伝統的なレーザパルスの代表的な時間的波形である。より効果的にレーザエネルギーを使用するため、Smart他による米国特許第6,281,471号明細書及び米国特許第6,340,806号明細書には、ほぼ正方形となる時間的パワー密度分布でリンクを処理するために、図3Bに示すレーザパルスの時間的波形を用いることを提案している。Smart他によれば、レーザパルスの立ち上り時間は1nsより短くする必要があり、正方形の波形先端の平坦度は10%より良くする必要があり、及び、レーザパルスの立下がり時間は十分に短くする必要がある。図3Bに示す時間的波形でのレーザパルスを用いることの前記明細書に記載の利点は、レーザパルスの鋭い立ち上り時間は、上部酸化層に熱衝撃をもたらし、それにより、リンクブローイングプロセスを容易にするということであった。更に、より高いパワー密度でのリンクによるレーザエネルギーの反射成分は、速い立ち上りにより低減され、パルスの持続時間を短くできる。しかしながら、レーザパルスの鋭い立ち上り時間による上部酸化層にもたらされる熱衝撃波の助力によって、より早く上部不動態化層を切断することが、本当にリンクブローイングプロセスを容易にするのであれば、上部不動態化層のないリンク構造部を処理することは、技術的難関ではないであろう。 産業事実はそうでないことを証明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例えば、上部不動態化層の厚さの他、リンク自体の厚さ、幅、及び側壁形状、また、下部不動態化層の厚さなどの、リンク構造部の必然的な変化のために、リンクを処理するように用いられるレーザパルスエネルギーには、幾つかのヘッドルームを必要とする。通常、リンク部材は、レーザパルスの終了の前に、完全に、十分に取り除かれる。好ましくは、図3Aに示すように、リンク部材は、用いられる代表的なレーザパルスにおける時間t1によって完全に除去される。同様に、図3Bに示す時間t1は、代表的なリンク部材が完全に取り除かれる時の時間を示している。双方の場面を示す時間t1の後では、レーザエネルギーの露光からシリコン基板を保護するための残存リンク部材が全くなくなるので、時間t1の後のレーザパルスエネルギーがシリコン基板にダメージを与えるという高い危険性を課すことは、当業者に明らかである。残念なことに、伝統的なレーザパルスでは、時間t1の後のレーザパルスの時間的波形を全く制御しない。ほぼ正方形の時間的レーザパルスでは、悪いことに、レーザパルスが、時間t1直後にも暫くレーザパルスのピーク強度で残りうるため、シリコン基板又は隣接する構造部へのダメージの更に高い危険性を生じさせる。
【0013】
従って、必要なことは、より良いリンク処理品質及び歩留りを容易にさせるために、より良い、レーザパルスの時間的パワープロファイルを制御する方法である。
【0014】
本発明の目的は、基板上に設けられたICリンク及び上部不動態化構造部の除去について処理品質を改良する方法及び装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、処理品質の改善と、より広い処理ウィンドウとを達成するために、特別形態の時間的レーザパルス・パワープロファイルでリンク処理することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、除去するリンク周辺の基板及び下部不動態化構造部の部材に、ほぼダメージを与えることなく、リンク除去技法として、より短いレーザ波長で、より小さいレーザビーム・スポットサイズを用いる方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、従来の時間的波形、又は、ほぼ正方形の波形のレーザパルスを用いる代わりに、ICリンクを切断するために、特別形態の時間的パワープロファイルでのレーザパルスを用いる。好ましくは、特別形態のレーザパルスには、レーザパルスの開始でのオーバーシュート、或いは、レーザパルスの持続時間内の“スパイクピーク”のいずれかがある。オーバーシュート又はパルス中のスパイクピークのパワー増幅値は、レーザパルスの平均パワー増幅値に対し、約10%以上であり、好ましくは10%〜15%である。スパイクのタイミングは、リンク構造部の実変化及び製造中のレーザパラメータの全てを考慮して、リンクが完全に除去される時の時間の前に好適に設定される。時間的パワープロファイルでのレーザパルスを変調する他の方法として、種々のリンク構造部に基づいて、複数の立ち上りエッジ部オーバーシュート、複数のスパイクピーク、又は、発振型ピークパワー増幅などを用いることができる。レーザパルスの持続時間は、好適には、1nsと約40nsとの間である。時間的パワープロファイルでのレーザパルスの立下がりエッジは、通常、約10nsより短い。レーザパルスのエネルギーは、好適には、約0.001マイクロジュール(μJ)と約10μJとの間である。
【0018】
特別形態のレーザパルス・パワープロファイルは、上部不動態化層において開始パルスを発生させるために、及び、リンクを切断するために、緑色やUVなどの、より広いレーザパルスエネルギー範囲と、より短いレーザ波長を用いることができる。開始パルスは、リンク切断を達成するのに十分に広いが、如何なる隣接する構造部にもほぼダメージを与えないほどに十分に狭い。本発明による技法によれば、リンク側及びリンク下層に配置される、基板及び不動態化構造部の部材にもほぼダメージを与えない。
【0019】
一実施例では、2つのレーザから伝播する、2つの時間変位型レーザパルスを、2つのレーザパルス間のプログラマブル遅延時間によって組み合わせることができる。好適には、第1のレーザから伝播する第1のレーザパルスは、第2のレーザから伝播する第2のレーザパルスの幅よりも、狭いパルス幅を有する。種々の遅延時間は、各レーザパルスの組み合わせに対して、組み合わせによる時間的プロファイルの種々の部分で生じるオーバーシュート又はスパイクを構成させる。
【0020】
別の実施例では、電子光学ポッケルスセル(E-O)などの外部共振ゲート素子は、レーザ源から放射されるレーザパルスを形成するように用いられる。E-O素子は、E-O素子に供給される駆動電圧によって制御され、所望のレーザパルス幅、立ち上り及び立ち下がり時間、及び所望の波形形状で、レーザパルスの種々の部分から、レーザパルスの一部分を“ゲート”できる。
【0021】
更なる実施例では、ダイオードレーザから放射されるレーザ出力パルスは、パワー増幅器へと供給される。ダイオードレーザから放射されるレーザパルスの時間的パワープロファイルは、ダイオードレーザドライバを制御することによって、特別形態とする。パワー増幅器は、供給されるレーザパルスについての特別形態の時間的パワープロファイルに実質的に対応する、増幅したレーザ出力パルスを供給するように、及び、リンク処理に適用するため、パルス内で適切なレーザエネルギーをもたらすように、飽和しない状態で動作する。当業者であれば、ダイオードレーザドライバから、駆動パルスについての時間的電流プロファイルの特別形態化を容易に達成できることは明らかである。その時間的電流プロファイルの特別形態化は、リンク処理への適用のために、好適な特別形態のパワープロファイルによって特徴付けられる、ダイオードレーザから放射されるレーザパルスを発生させるためである。
【0022】
本発明について追加の目的及び利点は、添付図面を参照しながら、以下の好適実施例についての詳細な説明により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図3A及び図3Bは、それぞれ、従来技術で用いられる伝統的なレーザパルス・パワープロファイル及びほぼ正方形のレーザパルスファイルを示す。図3Cは、レーザパルスの開始時で現れる、有効なオーバーシュート又は“スパイク”62での特別形態の時間的パワープロファイルを用いた、本発明の一実施例を示す。オーバーシュートのピークパワーはPmaxであり、レーザパルスの平均パワーはPminである。オーバーシュートの増幅値は、Pmax−Pminで規定される。オーバーシュート又は“スパイク”の幅Δtsは、Pmax及びPminの間の中間パワー点Psでの完全な持続期間として規定される。オーバーシュート又は“スパイク”のピークパワーPmaxは、レーザパルスの平均パワーPminに対して約10%から約50%を超えることが好ましい。オーバーシュート又は“スパイク”の幅Δtsは、レーザパルスの持続時間の10%から50%が好ましい。スパイクの立ち上り時間は、通常、約5nsより短く、約2nsより短いことが好ましい。図3Dは、レーザパルス中ではあるが、レーザパルスの開始時ではないところに現れるオーバーシュート又は“スパイク”64について、パワープロファイル60dを用いた本発明の別の実施例を示す。オーバーシュート又は“スパイク”の終端時間teは、リンク部材がレーザエネルギーによって完全に除去される時の時間t1より前である。 “スパイク”という用語の従来の使用目的では、レーザパルス中に発生する時であるか否かに関わらず、レーザパワーの過渡現象としての増大効果などの重要性を示すために、レーザ処理への適用の残存成分として用いられる。
【0024】
図3Eは、レーザパルス・パワープロファイル60c及び60dでのレーザにより、リンク22が除去された後の不動態化層の状態を示す。リンク22の上面70の上部にある不動態化層44は、例えば上部不動態化層44の厚さ分において、リンク22の幅28を比較的少ない量だけ超える、広い開口部72を有する。リンク22の側面52に隣接して位置する中間不動態化層48の部材、リンク22の底面74の下部にある不動態化層46、基板42には、ほぼダメージはない。図3Eには、除去されたリンク22が以前存在していた開口部領域の周辺における不動態化層44、46、及び48の部分を通る不規則な曲線76を示している。曲線76は、ある量として不動態化構造部に与える通常のダメージを表しており、代表的なダメージとしては、例えば以前リンクが存在していた開口部領域から約0.5ミクロン、又は顕微鏡によって十分に視認できるようなものがある。また、通常のダメージには、不動態化構造部の添付図には示していない亀裂なども含む。
【0025】
図4〜6は、本発明によるリンク22を切断するように用いられる、レーザパルス・パワープロファイルの特別形態化及びその特別形態化に関連する特別形態のレーザパルス・パワープロファイルを実現する好適な実施例を示す。レーザ出力波長及びリンク部材の特性に依存して、レーザパルスのパワープロファイルの特別形態化は、リンクを切断するために十分なピークパワー及びレーザパルスのエネルギー及び適切な持続時間で、レーザパルスを供給させる。リンク部材除去の完遂後、パワープロファイル及びレーザパルスの残存持続時間は、例え、可視域又はUV域において1.3μmよりも短いレーザ波長が用いられる場合であっても、基板、及び、リンク処理を受けるリンクの隣接構造部にダメージを与える危険性が全く伴わないように特別形態化される。
【0026】
好適には、各レーザパルス37は、単一のリンク22を切断する。(他に何も示されない限りは、好適な実施例の説明に関連するレーザパルス37及び焦点スポットサイズ40(双方は図2Aに示される)の参考番号は、レーザパルスの放射に関するものであり、レーザパルスと関連する従来技術のパワープロファイルに関するものではない。)約250nmから約2000nmまでの好適な波長で、レーザパルス37の焦点スポットサイズ40の好適な除去パラメータは、約0.0005μmと約10μmとの間の各レーザパルスのレーザエネルギーを含み、各レーザパルス37の持続時間は、好適には、約40nsより短く、約1nsより短いものであり、レーザパルスの繰り返し率は、1Hzより高く、より好適には、10kHzと60kHzの範囲内、或いはそれ以上の高いものであり、位置決めシステム380(図7)の移動速度の関数とすることもできる。焦点レーザスポットの直径は、約0.5μmと約3μmとの間の範囲内にあり、好適には、リンク22の幅よりも約40%から約100%まで長いものであり、リンク幅28、リンクピッチサイズ32、リンク部材、及び、他のリンク構造部や処理上の問題に依存するものである。
【0027】
図3C及び3Dを参照して、レーザパルス・パワープロファイル60c及び60dは、それぞれ、リンク部材が完全に除去される前に、レーザパルスの開始時点で十分な立ち上りエッジのオーバーシュート62(図3C)を有するように、或いは、レーザパルスの持続期間内の時々に、1つ或いは2つの中間パルススパイク64(図3には、1つのスパイクを示す)を有するように、特別形態化することができる。パワースパイクの好適なタイミングは、レーザパルス・パワープロファイルの立ち上りエッジから、レーザパルス・パワープロファイルの持続時間の70%まで、計測された時間間隔内とすることである。図3Dは、パルススパイク64の前後で、パワーレベルが比較的平坦なレーザパルス・パワープロファイル60dを示す。レーザパルス・パワープロファイルは、パルススパイク64の前後で変化するパワーレベルとすることができる。本実施例におけるレーザパルス・パワープロファイルを特別形態化することは、立ち上りエッジのオーバーシュート、又は、中間パルススパイクによって、リンク部材の十分な除去を容易にするように、十分なレーザピークパワー及びエネルギーを供給する。そして、リンク部材をほぼ完全に除去するまで、残存するリンク部材を除去するために、十分に低いレーザパルスパワーを供給し、基板及びリンクに隣接する構造部にダメージを与えるリスクの低減を確実にしている。結果として、特別形態のレーザパルス・パワープロファイルは、より良い処理結果及びより広い処理ウィンドウもたらし、シリコン基板及びリンクに隣接する構造部にダメージを与えるリスクを低減させる。
【0028】
図4Aを参照して、第1の実施例では、特別形態のレーザパルス・パワープロファイルは、2つの個別レーザ光線110及び112から、2つのレーザパルスを組み合わせることにより構成される。レーザ光線110は、図4Bに示すように、より短いレーザパルス114を発生させ、レーザ光線112は、図4Cに示すように、より長いレーザパルス118を発生させる。レーザパルス114及び118との間の同期、或いは、レーザパルス114及び118との間の遅延時間(td)は、同期電子部120によって制御される。レーザパルス118が、ミラー131により折り返して反射し、偏光制御目的の波長板132を介して伝播した後に、レーザパルス114及び118は、ビームコンバイナ130によって組み合わせられる。図4Dは、リンク処理に好適となる十分なパワースパイク136での最終的なパワープロファイルを有する、組み合わされたレーザパルス134を示す。組み合わされたレーザパルス134の全レーザパルス幅は、レーザパルス114及び118の幅の合計、又は、レーザパルス118の幅とすることができ、レーザパルス114と118との間の遅延時間に依存する。レーザパルス114及び118の幅は、リンク構造部に基づいて、リンク処理を最適化することができる。組み合わされたレーザパルス134は、例えばスパイク136の後のtaで、追加のレーザパルスを発生させるように構成できる。追加のパワースパイクは、好適に、組み合わされたレーザパルス134の平均パワーの5%より大きいパワー値とすることができる。
【0029】
時間tpでスパイク136のタイミングは、最良のリンク処理品質及び収量のために同期電子部120によって制御することもできる。レーザパルスは、ビームコンバイナ130によって組み合わせられる前では、異なるレーザ光線から伝播し、異なるビーム光路に沿って進むため、レーザパルス114及び118を更にリンク処理を容易とさせるように、異なるビーム・スポットサイズを扱うことができることは、当業者に明らかである。
【0030】
通常、ビームコンバイナ130がレーザパルス114及び118を組み合わせた後、レーザパルス114及び118の偏光状態は、元の偏光状態とは異なる。例えば、レーザパルス114のエネルギーは、レーザパルス118が水平に偏光される間に、垂直に偏光することができる。組み合わされたレーザエネルギーの偏光状態で、システム作業台に置かれた目標リンク又はウェハの方向付けは、最良となる処理品質及び歩留まりによって変更することができる。光学的波長板140は、組み合わされたレーザパルス134の伝播光路に沿って、全てのレーザエネルギーが循環的に偏光するように挿入することができる。例えば、そのような構成が、特有のリンク構造部のために、より良い処理品質及び歩留まりをもたらす場合である。
【0031】
図5Aを参照して、第2の実施例では、E-Oゲート素子150は、ダイオードポンプしたQスイッチ固体レーザ152から伝播するレーザパルスのパワープロファイルを形成させる。レーザ152は、複数のレーザパルス160(図5Bでは、1つレーザパルスを示す)をもたらし、半値全幅(FWHM)としては、各々のレーザパルスは比較的長いレーザパルス幅である。例えば、FWHMパルス幅は、約30nsから50nsとすることができる。レーザパルス160は、E−Oゲート素子150を介して伝播する。出力レーザパルス・パワープロファイルは、駆動電子部164から生成された駆動電圧パルス162の幅及び形状と、レーザパルス160とE−O素子150に供給される駆動電圧パルス162との間の遅延時間とに依存する。出力レーザパルスは、図5Cのレーザパルス166cとして示すように、上昇傾向で、ほぼ線形の傾き(増大方向)のパワープロファイルとすることができ、又は、図5Dのレーザパルス166dとして示すように、下降傾向で、ほぼ線形の傾き(減少方向)のパワープロファイルとすることができる。出力レーザパルスのピークが、レーザ出力パルスの平均パワーの約10%より大きくなった後に、出力レーザパルスの全パワーを減衰させている。E−O素子150に供給される駆動電圧パルス自体の幅及び形状を、レーザパルス166の幅及びパワープロファイルを特別形態化して、より柔軟に供給するように特別形態化することができることは、当業者に明らかである。
【0032】
図6Aを参照して、第3の実施例では、レーザ200は、増幅器204とともに注入レーザ202で構成される。注入レーザ202は、速い応答時間を有し、増幅器204の利得スペクトルに適合するレーザ波長でのレーザ出力をもたらすダイオードレーザとすることができる。図6Bには、駆動電子部208から生成される特別形態の駆動電流パルス206を示し、図6Cには、注入レーザ202から伝播する注入レーザ出力パルス210が、注入レーザ202の速い応答能力の結果として、駆動電流パルス206のプロファイルに応答している様子を示している。注入レーザ出力パルス210は、レーザパワー増幅器204に供給され、レーザパワー増幅器204は、図6Dに示すように、特別形態のレーザパルス・パワープロファイルの十分な分布を取り入れることなく、注入レーザ出力パルス210を増幅し、出力パルス212をもたらすように飽和しない状態で動作する。出力パルス212は、パワースパイクの発生後、及び、レーザパルスの時間的パワープロファイルの立下がりエッジ前では、比較的平坦である。駆動電流パルス206のプロファイルは、本発明に従って如何なる好適なプロファイルも容易にプログラムできることは、当業者に明らかである。また、増幅器204に要求される利得は、注入レーザ202からの可変可能なレーザパルスパワーと、本発明に要求されるレーザ出力パルス212とに依存することは、当業者に明らかである。
【0033】
図6E及び図6Fは、それぞれ、図6Aの第3の実施例の種々の実現に従って生成される、駆動電流プロファイル214、及び、それに応答するレーザパルスのパワープロファイル216を示す。駆動電流プロファイル214は、時間t1、t2、及びt3でそれぞれ値が減少していく、3つの時間−変位型電流スパイク218、220、及び222でのパルスで構成される。電流スパイク218、220、及び222は、パワースパイク224、226、及び228に対応するレーザパルス・パワープロファイル216のために生成する。パワースパイク224は、レーザパルス・パワープロファイル216の立ち上りエッジで発生するオーバーシュートを表し、パワースパイク226及び228は、パルス中ではあるが目標リンク部材が完全に除去される前に発生する、連続するパワースパイクを表す。パワースパイク224、226、及び228は、レーザ出力パルスの平均パワーの約10%を超えるパワー変化量で、発振波形の形状内に複合パワースパイクを共に構成している。発振波形は、レーザパルス・パワープロファイルの持続時間内に、持続時間の約2分の1サイクルから3倍サイクルまで持続できる。発振サイクルの期間は、好適には、約1nsと約15nsとの間にある。
【0034】
増幅器204の好適な一実施例は、ファイバレーザ増幅器である。ファイバの長さ、レーザドーパントの種類、ドーピングレベル、及び、ポンピングレベルは、要求される増幅利得を実現するように、特別形態化することができる。レーザ例200は、アイエムアールエーアメリカ社、フレモント、CA(IMRA, America, Inc., Fremont, CA )、及び、アイピージーフォトニクス社、オクスフォード、MA( IPG Photonics Corp., Oxford, MA)によって製造されたファイバレーザの変形とすることができる。IMRA社及びIPG社の双方が、ファイバパワー増幅器に供給する注入レーザとして、高速動作するレーザダイオードを備えるレーザ装置を製造している。 そのレーザ波長は、約1.06μmから約1.1μmの範囲で調整可能である。そのレーザパルス波形形状は、5nsから20nsまでプログラマブルなパルス幅、0.1μJから10μJまでのレーザエネルギー、及び、約20kHzのレーザパルス繰り返し率で形成され、ほぼ正方形状である。その高速ダイオードレーザに供給する駆動電流の特別形態化については、本発明で説明したように、レーザパルス・パワープロファイルを特別形態化することができる。アイエヌオー、ケベック、カナダ(INO, Quebec, Canada)によって製造される、別のファイバレーザ例は、ファイバ自体から注射レーザパルスを得て、次に、注射パルスを増幅するようにファイバを用いる特殊技術を実現している。その現在利用可能なバージョンは、1.57μmのレーザ波長で働き、そのパルスプロファイルは、図6Fに示すものと極めて似ている。INOによれば、種々の特別形態のレーザパルス・プロファイルによる1.06μmから1.1μmの波長で働く、同様のレーザを製造することは困難なことではない。
【0035】
図4、5、及び6を参照して、好適なレーザ波長は、約150nmから約2000nmまでスペクトル域にあり、Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YV4、Yb: YAG、Ti:サファイア、及び、種々のベース部材とドーピングによるファイバレーザなどから、1.54、1.3、1.1〜1.06、1.05、1.047、1.03〜0.75μm、或いは、それら波長の2次、3次、4次、又は5次の高長波を含むが、これらに限定されない。他の好適な波長でのレーザ放射出力パルスを、商業的に利用可能であり、用いることができることは当業者に明らかである。 また、Nd:YAG(532nm、355nm、266nm)、Nd:YLF(524nm、349nm、262nm) の2次、3次、4次の高調波、又は、Ti:サファイア(375nm〜425nm)の2次の高調波のいずれかは、好適に、周知の高調波変換技法を適切に用いて、ある種類のリンク22及び/又は不動態化層44を処理するように用いることができる。高調波変換処理は、V.G.Dmitriev他による表題「Handbook of Nonlinear Optical Cristals」138〜141ページ、Springer-Verlag, New York, 1991 ISBN 3□540-53547-0に記載されている。
【0036】
図7を参照して、レーザシステム300は、1.064μmのNd:YAGレーザ302についての方法例のみ以下にモデルされる。Nd:YAG又は他の固体レーザは、好適にレーザダイオード304によってポンプされ、ポンプされたレーザの放射306は、レンズ部308により、レーザ共振器304へとフォーカスされる。レーザ共振器310は、好適に、レーザ312と、Qスイッチ314と、光軸320に沿って共鳴ミラー316と318との間に配置する光学的偏光器315とを備える。アパーチャ330は、レーザ312とミラー318との間に配置することもできる。レーザ出力パルス334は、ミラー318を介して光軸320に沿って伝播し、ミラー318は、部分的に反射出力結合器として機能する。一実施例において、レーザ302から伝播するレーザパルス334は、光学的光学部品、又は、は波長板、偏光器、アイソレータなどの素子336に入射され、次に、E−Oゲート素子340での特有の強度プロファイルの特別形態化を受けながら、サブコントローラ342により制御される。
【0037】
波長又はレーザの種類に関わらず、ゲート素子340のレーザ出力350は、ビーム光路356に沿って配置する、様々な従来の光学素子352及び354によって、操作することができる。光学素子352及び354は、役立つ伝播特性でビームを生成するようにレーザ出力350を平行線とするため、ビーム・エキスパンダ、又は、他のレーザ光学素子を備えることができる。1つ以上のビーム反射ミラー358、360、362、及び、364は、所望のレーザ波長での高い反射特性を有するが、不使用波長での高い伝送特性をも有するため、所望のレーザ波長のみがリンク構造部36に到達するように、任意に用いられる。焦点レンズ366は、好適に、単一のレンズ又は複合レンズシステムを用いることができ、複合レンズシステムは、焦点スポットサイズ40を生成するように平行パルス・レーザシステム出力368を集光し、焦点スポットサイズ40は、リンク幅28及びレーザ波長に依存し、リンク幅より大きく、即ちリンク幅を包含し、好適には直径2μmより小さい、即ち小径である。
【0038】
好適なビーム位置決めシステム380は、光学素子358、360、362、及び364で構成され、Overbeckによる米国特許第4,532,402号の表題「Method and Apparatus for Positioning a Focused Beam on an Integrated Circuit」の明細書に詳細に説明されている。ビーム位置決めシステム380は、好適に、レーザコントローラ382を用い、レーザコントローラ382は、目標に対し、ビーム反射ミラー358、360、362、及び364で、少なくとも2つのプラットフォーム又はステージ(積み上げ又は光軸分割)、及び座標を制御し、IC素子又はワークピース12にある選択した導電リンク22に、レーザシステム出力368をフォーカスする。ビーム位置決めシステム380は、ワークピース12のリンク22間を迅速な移動を可能とし、供給されたテスト結果又は設計データに基づいて、特有のリンク切断動作であるオン・ザ・フライに効果を有する。
【0039】
位置決めデータは、好適には、レーザシステム出力368のレーザパルスで、ワークピース12上の焦点レーザスポット38を、目標とするリンク構造部36に方向を定め、リンク22を除去する。レーザシステム300は、好適には、単一のレーザパルス37で、切断すべき各リンク22をオン・ザ・フライ切断する。レーザシステム300は、如何なるリンク22上にあるビーム位置決めシステム380を止めることなく、高生産性を実現するようにオン・ザ・フライ処理を達成する。そのようなレーザシステム300が、従来のダイオードポンプを備え、Qスイッチ固体レーザが商業的に利用されていることは、当業者に明らかである。
【0040】
レーザコントローラ382は、選択リンクの適切な処理に関して、指示を与える。レーザシステム300のレーザ照射をプラットフォームの動作に同期させるタイミングデータは、レーザコントローラ382に対して、影響を与えることができる。そのことは、例えば、Konecnyによる米国特許第5,453,594号の表題「Radiation Beam Position and Emission Coordination System」の明細書に説明されている。それとは別に、本発明の一実施例において、レーザコントローラ382が、E−O素子340によってレーザエネルギーの外部共振型変調として用いられ、Qスイッチ314、E−O素子340、及び、ポンピングダイオード304を制御するサブコントローラ342及び386に指示を与えることは、当業者に明らかである。
【0041】
図2A〜2Cを参照して、前述の観点から、特別形態のパワープロファイルのレーザパルス37でのレーザ処理は、従来のパワープロファイルでレーザ処理を行うことよりも、広い処理ウィンドウとリンク切断の優れた品質を提供する。レーザパルスの開始でのオーバーシュート及び/又はレーザパルスの持続時間内に適切に調整されたスパイクは、選択リンクの全てのリンク部材が除去される前に、レーザエネルギーの適当量を適切な期間内にリンク構造部へと結合することを確実にする。このことは、リンク構造部及びレーザパラメータ自体の必然的な態様に対して、適切な処理マージンとすることによって達成する。リンク部材がほぼ完全にレーザエネルギーによって除去された後に、レーザパルスのピークパワー、或いはオーバーシュート及びスパイクのパワーに比較して、より低い値を有するように、レーザパルスパワーを特別形態化することができる。従って、特別形態のレーザパルス・パワープロファイルは、隣接する構造部及びシリコン基板42へダメージを与えるリスクの低減を確実にする。従来のリンクブローイング用IRレーザ波長の他にも、IR波長より短いレーザ波長を、そのより短いレーザ波長でのシリコンの吸収が従来のIR波長でのシリコンの吸収よりも高くはなるが、より小さいレーザビーム・スポットサイズという付加的利点を有するプロセスに用いることもできる。これにより、より狭く、より密度の高いリンク処理を容易にする。このより良いリンク除去の解像力は、リンク22を互いに、より近くに配置することができるようになり、従って、回路密度を増大させる。リンク構造部36は、従来のサイズを有するものとできるが、例えば、リンク幅28は、約0.5μm以下とすることができる。
【0042】
同様に、レーザパルス・パワープロファイルのより良い特別形態化とする多用途性は、種々の不動態化特性に従って、より良い柔軟性を提供する。リンク22の上の不動態化層44又はリンク22の下の不動態化層46について、代表的な高さ以外のものを所望するのであれば、伝統的な部材以外の部材で製造することができ、或いは、その変形とできる。このことは、レーザパルスを特別形態化することができるからであり、従って、下層の、或いは隣接する不動態化構造部にダメージを与えるリスクを低減する。更に、約1.06μmより十分に短い波長は、リンク22間である、約2μmの中心間ピッチ32より小さい、臨界的なスポットサイズ直径40を生成するように用いることができる。従って、より短い波長レーザからのレーザパルスで処理されたリンクは、従来のIRレーザビーム・切断パルスによってブローを可能とするリンクの中心間ピッチよりも、実質的に小さい中心間ピッチ32とすることができる。例えば、リンク22を、他のリンク22或いは隣接する回路構造部34からの距離を2.0μ以下の範囲内とすることができる。
【0043】
上部不動態化層44は、例えば、二酸化ケイ素(Si02)及び窒化ケイ素(Si3N4)など、従来の如何なる不動態化部材を含むことができる。下部不動態化層46は、上部不動態化層44と同一の不動態化部材(1つ以上)、或いは、種々の不動態化部材を含むことができる。特に、目標構造部36の下部不動態化層46は、軟鋼部材を含むことができ、低誘電率材料(low K material)、低K誘電部材、低K酸化物ベースの誘電部材、オーソシリケート・ガラス(orthosilicate glass(OSG))、フルオロシリケート・ガラス(fluorosilicate glass)、有機シリケート・ガラス(organosilicate glass)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)ベースの酸化物、メチルトリエトキオルトケイ酸(methyltriethoxyorthosilicate(MTEOS))、プロピレン・グリコール・モノメチルエーテル酢酸塩(propylene glycol monomethyl ether acetate (PGMEA))、ケイ酸エステル、ハイドロゲン・シルセスキオクサン(hydrogen silsesquioxane (HSQ))、メチル・シルセスキオクサン(methyl silsesquioxane(MSQ))、ポリアリーレンエーテル、ベンゾシクロブテン(BCB)、SiCOH、又は、SiCOH膜(アプライドマテリアル社(Applied Materials, Inc.)によって販売された“ブラック・ダイアモンド(Black DiamondTM)”など)、又は、スピンオン材ベースの低K誘電重合体(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)によって販売された“SiLK”など)から形成される部材を含むが、それらに限定されない。従来の単一レーザパルス・リンク除去動作によって、リンク除去の目標とされるリンク22がブロー又は除去されるときには、これら幾つかの部材から製造される下部不動態化層46に、より亀裂が生じる傾向にある。SiO2、SiON、Si3N4、低誘電率材料、低K誘電部材、低K酸化物ベースの誘電部材、OSGs、フルオロシリケート・ガラス、有機シリケート・ガラス、HSQ、MSQ、BCB、SiLKTM、及びブラック・ダイアモンド(Black DiamondTM)が実際の層部材であり、TEOS、MTEOS、及び、ポリアリーレンエーテルが先進の半導体濃縮部材であることは、当業者に明らかである。
【0044】
本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施例に対し、多くの変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ決定される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一般的な回路セルの予備列におけるプログラマブル・リンク、及びその冗長的なレイアウトを示す従来技術のDRAMの一部の模式図である。
【図2A】従来技術パルスパラメータによって特徴付けられるレーザパルスを照射する、従来の半導体リンク構造部を拡大した断面的な側面図である。
【図2B】隣接する回路構造部と共に、リンク構造部と図2Aのレーザパルスの断面的な平面図である。
【図2C】2つの隣接するリンクの幅寸法を示す図2Bのリンク構造部と2つの隣接するリンクに関連している不動態積層部の断面的な端面図である。
【図2D】従来技術のレーザパルスの適用によるリンク除去後の図2Bのリンク構造部の断面的な側面図である。
【図3A】従来のレーザパルス時間的パワープロファイルを示す図である。
【図3B】ほぼ正方形のレーザパルス時間的パワープロファイルを示す図である。
【図3C】特別形態の立ち上りエッジ部オーバーシュートのレーザパルス時間的パワープロファイルを示す図である。
【図3D】特別形態のスパイクピークのレーザパルス時間的パワープロファイルを示す図である。
【図3E】本発明による特別形態のパルスパワープロファイルを有するレーザパルスの適用によるリンク除去後の図2Cにおけるリンク構造部の断面図である。
【図4A】特別形態の時間的パワープロファイルでのレーザパルスを発生する第1及び第2の異なるレーザから組み合わされたレーザパルスの本発明による第1の好適な実施例を示す図である。
【図4B】リンク処理のために構成される、第1のレーザについて図4Aのレーザパルス時間的パワープロファイルの実施例を示す図である。
【図4C】リンク処理のために構成される、第2のレーザについて図4Aのレーザパルス時間的パワープロファイルの実施例を示す図である。
【図4D】リンク処理のために構成される、第1及び第2のレーザの組み合わせについて図4Aのレーザパルス時間的パワープロファイルの実施例を示す図である。
【図5A】E−Oゲート素子によって従うパルス状レーザの本発明による第2の好適な実施例を示す図である。
【図5B】レーザ光線から放射されたレーザパルスのレーザ時間的パワープロファイルを示す図である。
【図5C】種々のゲート遅延時間のためのE−Oゲート素子で生成される種々レーザパルス時間的パワープロファイルを示す図である。
【図5D】種々のゲート遅延時間のためのE−Oゲート素子で生成される種々レーザパルス時間的パワープロファイルを示す図である。
【図6A】増幅器が、注入レーザパルスを、リンク処理に要求されるエネルギーレベルまで、歪みなく増幅するように、飽和しない状態で開始する増幅器によって従う注入レーザを用いる本発明の第3の好適な実施例を示す図である。
【図6B】図6Aの一実施例として、注入レーザ駆動電流波形を示す図である。
【図6C】図6Aの一実施例として、結果的な注射レーザパルス・パワープロファイルを示す図である。
【図6D】図6Aの一実施例として、注入レーザパルスの電流波形に応答させる、増幅したレーザパルス・パワープロファイルを示す図である。
【図6E】図6Aの実施例における別の実現例として、注入レーザ駆動電流波形を示す図である。
【図6F】図6Aの実施例における別の実現例として、結果的な注射レーザパルス・パワープロファイルを示す図である。
【図7】ダイオードポンプ、E−Oゲート素子によって従うQスイッチNd:YAGレーザ、及び、本発明の方法を実行するレーザ処理制御システムに協働するワークピース位置決め装置で実現される模範的なシステムの実施例の部分的な模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各選択したリンク構造部は、対抗する側面と、上面と、底面とを有するリンクを有し、前記対抗する側面は、リンク幅を規定する距離だけ離されており、少なくとも前記側面と前記底面は、基板上に構成される回路に、隣接する不動態化構造部を配置しており、冗長メモリ又は集積回路の選択した導電リンク構造部から、目標部材を除去するレーザ処理方法であって、
レーザスポット及びレーザパルス時間的パワープロファイルによって特徴付けられるレーザ出力パルスを、選択したリンク構造部の照射点に方向付けし、
前記レーザスポットが、前記選択したリンク構造部のレーザスポット位置でのスポットサイズを有し、前記スポットサイズが、前記リンク幅より大きく、
前記レーザパルス時間的パワープロファイルが、立ち上りエッジ部と、立ち下りエッジ部と、平均パワーと、パルス持続時間とを有し、パワースパイクによって特徴付けられており、前記パワースパイクが、前記パルス持続時間より実質的に短いスパイク持続時間と、前記レーザ出力パルスの平均電力より大きいピークパワーと、前記立ち上りエッジ部から前記立ち下りエッジ部までの発生の時間とを有し、前記ピークパワーと、前記スパイク持続時間と、前記パワースパイクの発生の時間とが、前記レーザ出力パルスのために、前記基板又は隣接する前記側面及び前記底面に配置する前記不動態化構造部にほぼダメージを生じることなく、前記選択したリンク構造部の切断をもたらす特別形態のレーザパルス・パワープロファイルを確立するように協働させる方法。
【請求項2】
前記パルス持続時間が、約40nsより短い、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項3】
前記パワースパイクが、前記レーザパルスパワープルファイルの前記立ち上りエッジ部と時間一致であり、前記レーザ出力パルスの前記平均パワーに対し約10%より大きいピークパワー値を有する、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項4】
前記パワースパイクが、立ち上り時間を有し、前記立ち上り時間が、約5nsより短い、請求項3に記載のレーザ処理方法。
【請求項5】
前記立ち上り時間が、約2nsより短い、請求項4に記載のレーザ処理方法。
【請求項6】
前記スパイク持続時間が、約1nsと、前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記パルス持続時間の約50%との間にある、請求項3に記載のレーザ処理方法。
【請求項7】
前記パワースパイクの前記発生後の前記レーザパルス時間的パワープロファイルが、前記立ち下りエッジ部の前の時間でほぼ線形に降下するように特別形態化される、請求項3に記載のレーザ処理方法。
【請求項8】
前記パワースパイクの前記発生後の全パワーが、前記レーザ出力パルスの前記平均電力の約10%よりも大きい、請求項7に記載のレーザ処理方法。
【請求項9】
前記パワースパイクの前記発生後の前記レーザパルス時間的パワープロファイルが、前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記立ち下りエッジ部の前で、比較的平坦である、請求項3に記載のレーザ処理方法。
【請求項10】
前記レーザパルス時間的パワープロファイルが、追加のパワースパイクを含み、前記追加のパワースパイクが、前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記立ち上りエッジ部と時間一致である前記パワースパイク後に生じる、請求項3に記載のレーザ処理方法。
【請求項11】
前記追加のパワースパイクが、前記平均パワーの5%より大きいパワー値と、約1nsと前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記パルス持続時間の約30%との間のスパイク持続時間とを有する、請求項10に記載のレーザ処理方法。
【請求項12】
前記パワースパイクが、前記レーザ出力パルスの前記平均パワーの約10%を超える電力変化量で発振波形の形状内にある、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項13】
前記発振波形が、前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記パルス持続時間内で2分の1サイクルから3倍サイクルの発振サイクルで生じており、前記発振サイクルの期間が約1nsと約15nsとの間にある、請求項12に記載のレーザ処理方法。
【請求項14】
前記パワースパイクが、前記立ち上りエッジ部から前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記パルス持続時間の70%まで調整された間隔内の時間で生じる、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項15】
前記パワースパイク前後の前記レーザパルス時間的パワープロファイルが、比較的平坦である、請求項14に記載のレーザ処理方法。
【請求項16】
前記パワースパイク前後の前記レーザパルス時間的パワープロファイルが、平坦でない、請求項14に記載のレーザ処理方法。
【請求項17】
前記パワースパイクが、前記レーザ出力パルスの前記平均パワーの10%を超えるピークパワーを有し、1nsと前記レーザパルス時間的パワープロファイルの50%との間となるスパイク持続時間を有する、請求項14に記載のレーザ処理方法。
【請求項18】
前記隣接する不動態化構造部が、上部不動態化層を形成するために前記導電リンクの上部に配置している、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項19】
前記隣接する不動態化構造部が、前記導電リンクの上部に配置しないように構成されている、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項20】
前記レーザパルス時間的パワープロファイルの前記立ち下りエッジ部が、約10nsより短い持続時間を有するように特別形態化される、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項21】
前記選択した導電リンクの構造部が、アルミニウムと、クロム化物と、銅と、ポリシリコンと、二ケイ化物と、金と、ニッケルと、ニッケルクロムと、プラチナと、ポリサイドと、窒化タンタルと、チタンと、窒化チタンと、タングステンと、又は、ケイ化タングステンとを含む、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項22】
各レーザ出力パルスが、約0.001マイクロジュールと10マイクロジュールとの間のレーザエネルギーを有する、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項23】
前記隣接する不動態化構造部、又は、下部不動態化層、或いは、前記隣接する不動態化構造部と前記下部不動態化層の双方が、SiO2、Si3N4、SiON、低K誘電率材料、低K誘電部材、低K酸化物ベースの誘電部材、オーソシリケート・ガラス、フルオロシリケート・ガラス、有機シリケート・ガラス、オルトケイ酸テトラエチルベースの酸化物、メチルトリエトキオルトケイ酸、プロピレン・グリコール・モノメチルエーテル酢酸塩、ケイ酸エステル、ハイドロゲン・シルセスキオクサン、メチル・シルセスキオクサン、ポリアリーレンエーテル、ベンゾシクロブテン、SiCOH又はSiCOH膜、又は、スピンオン材ベースの低K誘電重合体のうち、1つ以上を含む、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項24】
少なくとも2つのレーザパルス出力が、約10kHzより大きい繰り返し率で、それぞれの導電リンク構造部の配置で構成される目標部材を除去するように発生させる、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項25】
前記レーザ出力パルスが、約150nmから約2000nmまでのスペクトラム範囲の波長である、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項26】
前記レーザ出力パルスの前記波長が、YAG、YLF、YVO4、サファイア、又は、ファイバレーザから放射される、基本波、第2高調波、第3高調波のうちのいずれか1つである、請求項25に記載のレーザ処理方法。
【請求項27】
前記レーザ出力パルスが、約1.06μmの波長又は前記約1.06μmの波長の第2高調波又は前記約1.06μmの波長の第3高調波、或いは、約1.3μmの波長又は前記約1.3μmの第2高調波又は前記約1.3μmの波長の第3高調波、或いは、約1.5μmの波長又は前記約1.5μmの第2高調波又は前記約1.5μmの波長の第3高調波、でのファイバレーザによって放射される、請求項25に記載のレーザ処理方法。
【請求項28】
前記レーザ出力パルスの前記波長が、1.54μm、1.3μm、1.1〜1.06μm、1.05μm、1.047m、1.03〜0.75μm、0.65μm、0.53μm、0.5μm、0.43μm、0.35μm、又は0.27μmの波長のうち、いずれか1つであるか、又は、いずれか1つ以内である、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項29】
前記リンクが、1μmより大きい厚さを有する、請求項27に記載のレーザ処理方法。
【請求項30】
前記リンクが、1μmより大きい厚さを有する、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項31】
前記レーザ出力パルスが、波長によって特徴付けられており、前記隣接する不動態化構造部、又は、前記基板、又は、前記隣接する不動態化構造部と前記基板の双方が、前記波長に対し、高い吸収性を有する、請求項1に記載のレーザ処理方法。
【請求項32】
前記波長が、UV域の波長を含む、請求項31に記載のレーザ処理方法。
【請求項33】
前記リンクが、1μmより大きい厚さを有する、請求項32に記載のレーザ処理方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−503125(P2007−503125A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524052(P2006−524052)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026977
【国際公開番号】WO2005/016586
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】