現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置
【課題】後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止された現像ローラ、そのような現像ローラを備えた現像装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置を提供する。
【解決手段】マグネットローラを円筒状の現像スリーブ内に設けた現像ローラにおいて、前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されている現像ローラ。
【解決手段】マグネットローラを円筒状の現像スリーブ内に設けた現像ローラにおいて、前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されている現像ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に装着される現像装置に用いられる現像ローラに係る。詳しくは、トナーおよび磁性粒子からなる二成分現像方式に関するものである。また、本発明はかかる現像装置を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
二成分現像方式の画像形成装置において、図13に示すように、現像ローラ115の現像スリーブ132外側面にはトナーと磁性キャリアからなる現像剤126が担持されており、現像剤126は、現像スリーブ表面の凹み部分139(その底部が符号139a)に一群となって立設されている。この立設された現像剤126の一群は、一般に「穂立ち」と呼ばれている。図中、符号133はマグネットローラ、134はマグネットローラ133の芯金である。
【0003】
現像ローラ115は、現像スリーブ132上に穂立ちとなった現像剤を感光体ドラムまで搬送し、現像剤中のトナーを感光体ドラムに付着させる役割を担うのであるが、現像スリーブの外表面上の穂立ちの密度および大きさ(高さ)は画像品質に大きな影響を及ぼしており、この穂立ちの密度および大きさ(高さ)を制御する技術は過去にいくつも提案されている。
【0004】
例えば、特開2008−052016公報(特許文献1)においては、穂立ちの高さが適切になるよう、現像領域におけるマグネットローラの磁力を規定している。
【0005】
また、特開平7−13432号公報(特許文献2)においては、穂立ちの高さおよび密度が均一になるように、現像スリーブ表面上の磁力に周期性を持たせるような構成になっている。
【0006】
しかしながら、上記の発明においては、感光体ドラム上の画像部と非画像部との境界において、穂立ちが非画像部に接触する時間が長いと、電荷の反発力によってトナーは感光体ドラム上から離れて現像ローラ側に移動して行くという、トナードリフト現象が発生する。このため、穂立ちは画像部に達する前に感光体ドラムに近い部分(穂立ち先端部)のキャリアが剥き出し、つまり、穂立ちにトナーが存在しない状態になってしまい、現像能力が低下してしまうので、画像部と非画像部との境界では現像が行われないことがある。このようなメカニズムで発生する異常画像を「後端白抜け画像」と呼ぶ。
【0007】
また、上記と同様のメカニズムで、ハーフトーンの中に濃い画像を現像した場合に、エッジ効果によって濃い画像の周囲のハーフトーンの潜像が強調されて、濃い画像の周辺が白く抜ける現象が発生してしまう場合がある。このような異常画像を「ハロー画像」と呼ぶ。
【0008】
また、トナーは、プロセスカートリッジの現像剤供給部にて、磁性キャリアと攪拌されることによって帯電されるが、攪拌の不均一によるトナーの帯電むらが発生する場合があり、この帯電むらによる画像の濃度むらが発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、本発明は、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止された現像ローラ、そのような現像ローラを備えた現像装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の現像ローラは、請求項1に記載の通り、マグネットローラを円筒状の現像スリーブ内に設けた現像ローラにおいて、前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されていることを特徴とする現像ローラである。
【0011】
また、本発明の現像ローラは、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記第2のスリーブの軸に直交する断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の現像装置は、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の現像ローラを備えた現像装置である。
【0013】
また、本発明の現像装置は、請求項4に記載の通り、前記第2のスリーブの回転数が、前記現像スリーブの回転数よりも大きいことを特徴とする。
【0014】
本発明のプロセスカートリッジは請求項5に記載の通り、請求項3または請求項4に記載の現像装置において、前記第2のスリーブの回転方向が、前記現像スリーブの回転方向と逆であることを特徴とする。
【0015】
本発明のプロセスカートリッジは請求項6に記載の通り、請求項5に記載の現像装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置は請求項6に記載の通り、請求項6に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の現像ローラによれば、前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されているために、穂立ちにおける現像剤の攪拌効果が得られ、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止され、さらに、プロセスカートリッジの現像剤供給部での攪拌むらによるトナーの帯電むらも解消される。
【0018】
また、請求項2に記載の現像ローラによれば、前記第2のスリーブの軸に直交する断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっているためにその狭い先端部分に磁力線が集中することとなり、その先端部の法線方向の磁束密度をより大きくすることができる。このとき、穂立ちの振動の振幅がより大きくなるので、穂立ち内のトナー攪拌効率が向上し、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの安定した摩擦帯電が可能になり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを抑制することができる。
【0019】
本発明の現像装置は前記現像ローラを備えているので、前記第2のスリーブを回転させることにより、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止された現像装置である。
【0020】
請求項6に記載の現像装置によれば、第2のスリーブの回転数が、現像スリーブの回転数よりも大きいために、現像スリーブ上の現像剤にかかる法線方向の磁力の増減の周期が短くなり、その結果、現像スリーブ上の穂立ちの振動の周期も短くなる。したがって、穂立ち内部の磁性キャリアとトナーがより効果的に攪拌されることとなって、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、結果的に、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、より確実なトナーへの摩擦帯電が可能になり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の現像装置によれば、第2のスリーブの回転方向が、前記現像スリーブの回転方向と逆であるために、両者の相対速度の差を大きくしやすくなり、このとき、現像スリーブ上の穂立ちの振動の周期も短くなり、穂立ち内部の磁性キャリアとトナーがより効果的に攪拌されることとなり、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、より確実なトナーへの摩擦帯電が可能になり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを抑制することができる。
【0022】
本発明のプロセスカートリッジによれば上記現像装置を備えているために、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止される。
【0023】
本発明の画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを備えているために、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る現像ローラ(磁性粒子担持体)のモデル断面図である。
【図2】図2の現像ローラを構成する現像スリーブ(中空体)の斜視図である。
【図3】強磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に部が設けられている例を示すモデル図である。
【図4】強磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に空孔部が設けられている他の例を示すモデル図である。
【図5】非磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に強磁性材料からなる強磁性部材が配設されている例を示すモデル図である。
【図6】非磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に強磁性材料からなる強磁性部材が配設されている他の例を示すモデル図である。
【図7】本発明に係る現像ローラの外表面における、現像剤の穂立ち状態を示すモデル断面図である。
【図8】断面形状の異なる2つの第2のスリーブ並びにその内部を突き抜ける磁力線の状態を示す磁性粒子担持体の拡大断面模式図である。
【図9】第2のスリーブを有する磁性粒子担持体の外表面における、現像剤の穂立ち状態を示す磁性粒子担持体の拡大断面図である。
【図10】現像剤を構成する磁性粒子の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態を示す現像装置、および、プロセスカートリッジの断面図である。
【図12】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の断面図である。
【図13】従来の現像ローラのモデル断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態である現像ローラの構成を、図1〜10を参照して説明する。
【0026】
本発明に係る磁性粒子担持体である現像ローラ115は、図1に示すように、芯金134を備えた磁界発生手段(以下、マグネットローラ(磁石体ともいう))133と、中空体(以下、現像スリーブ)132と、の間に第2の中空体(以下、第2のスリーブ)140が回転可能に備えられている。マグネットローラ133は、その芯金134によって長手方向が図11に示す感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、現像装置113のケース125に回転することなく固定されている。
【0027】
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が一体に取り付けられている。
【0028】
固定磁極は、マグネットローラ133の軸方向にその長手方向が一致するようにマグネットローラ133に一体に取り付けられているマグネットローラの側面とほぼ等しい長さの棒状の磁石である。
【0029】
マグネットローラ133に取り付けられた固定磁極の1つ(図示しない)は、現像剤を汲み上げる汲み上げ磁極として図11に示す攪拌スクリュー118と相対しており、汲み上げ磁極とはことなる固定磁極の1つ(図示しない)は、現像磁極として図11に示す感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は、トナーとともに現像剤126を構成する磁性粒子(以下、磁性キャリア)135(図10参照)を現像スリーブ132の外表面に吸着させ、そして、磁性キャリア135を固定磁極の生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリア135が磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリア135が現像スリーブ132の外表面上に穂立ち(図7参照)するという。すると、この穂立ちした磁性キャリア135に、この磁性キャリア135とともに現像剤126を構成するトナーが吸着する。このようにして現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力によりその外表面に現像剤126を吸着する。
【0030】
ここで、現像スリーブ132は図2に示すように、円筒状に形成されている。本発明において現像スリーブ132内部には、第2のスリーブ140とマグネットローラ133とをこの順に収容されており、その軸芯回りに回転自在に現像装置に取り付けられる。
【0031】
ここで、現像スリーブ132のスリーブ基材132aは、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの非磁性材料で構成されている。
【0032】
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を基材として用いる場合は、A6063、A5056およびA3003を用いるのが好ましい。一方、ステンレス鋼は、耐摩耗性、強度の面で優れている。ステンレス鋼をスリーブ基材132aとして用いる場合は、SUS303、SUS304およびSUS316を用いるのが好ましい。
【0033】
現像スリーブ132の外径は、10mm〜30mm程度であるのが好ましく、また、現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、一般的に240mm〜360mm程度である。現像スリーブ132の外表面は現像剤を効果的に搬送できるように一般的に粗面に形成されており、その粗面化の表面処理としては、特開2007‐086091に示す表面処理装置によって行うことが望ましい。この表面処理装置によって、現像スリーブ132の外表面には、平面形状が楕円形状の凹み(以下、単に楕円形状の凹みと記載する場合は平面視楕円形状を表す)がランダムに多数(複数)配置されることとなる。凹みの長手方向の長さ(長径)は、0.05mm以上でかつ2mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.02mm以上でかつ1mm以下となっている。以上の表面処理により、現像スリーブ132は、外表面に形成された楕円形状の凹みがランダムに配置されているので、現像剤が凹み内に溜まるので、現像剤の溜まる箇所が外表面にランダムに配置されることとなり、よって、画像のむらが生じることを防止できる。また、外表面に従来のサンドブラスト加工により形成される凹みより大きな楕円形状の凹みが形成されているので、経年変化によっても、凹みが摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できる。
【0034】
第2のスリーブ140は、その例を図3〜図6に示すように、円筒状に形成されている。第2のスリーブ140は、現像スリーブ132とマグネットローラ133の間に収容されており、軸芯回りに回転自在に設けられている。
【0035】
第2のスリーブ140周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、この透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されている。このような円周全体に不均一な透磁率は、図3、および、図4に示すように、強磁性材料で構成された中空体に、その側面に、円周方向にエッチング、プレス加工もしくはドリル加工等によって、部分的に空孔部(図3では円状の空孔部140aを等間隔に(千鳥配置で、かつ、周方向に重なる部分が生じるように)設けた例を、図4では軸に平行なスリット状の空孔部140bを等間隔に設けた例を示す)を設けることによって達成することができる。
【0036】
あるいは、図5及び図6に示すように、第2のスリーブは、非磁性材料からなる円筒体の側面(内側面、外側面)に、強磁性材料で構成された強磁性部材を配置することによっても達成可能である。このような場合において、強磁性部材を現像スリーブに固定するには接着、溶接等によることが可能である。溶接法として、電気溶接、ガス溶接、ロウ付け等が採用可能である。また、非磁性材料の中空体に、強磁性材料(例えば、ニッケル系、コバルト系)のめっきを図5、あるいは、図6のように施すことによっても達成可能である。図5は円盤状の強磁性部材140cを等間隔に(千鳥配置で、かつ、周方向に重なる部分が生じるように)第2のスリーブの外側面に配置した例、図6は長尺の短冊型の強磁性部材140dを第2のスリーブの軸に平行となるようにかつ等間隔に第2のスリーブの外側面に配置した例をモデル的に示した図である。
【0037】
第2のスリーブに用いられる強磁性材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、ならびにそれらの合金のいずれかから選ばれることが望ましい、また、第2のスリーブに用いられる非磁性材料は、アルミニウム、ステンレス、銅、ならびにそれらの合金であることが望ましい。
【0038】
また、第2のスリーブの肉厚は、0.5mm以上2mm以下が好ましい。0.5mm未満であると第2のスリーブが剛性の不足によりマグネットローラの磁力によってたわんでしまう場合があり、2mm以上であると、マグネットローラの外径が小さくなることにより、充分な磁力が得られなくなるおそれがある。これら第2のスリーブ、現像スリーブ、および、マグネットローラとのそれぞれの間隙は、0.3〜1mm程度とすることが好ましい。0.3mm未満であると、第2のスリーブがたわんだ際に現像スリーブあるいはマグネットローラに接触してしまう可能性がある。また、1mm以上であると、マグネットローラと現像スリーブとの間隔が大きくなるので、現像スリーブ上の現像剤に対する磁力が充分に得られなくなる恐れがある。
【0039】
次に、磁性粒子担持体115がその外表面に現像剤126を吸着させる動作について説明する。
【0040】
図11に示す現像装置113内において、現像剤担持体である現像ローラ115と、磁性粒子である磁性キャリア135およびトナーで構成される現像剤126と、は間隙を持って対向している。現像ローラ115に内包されるマグネットローラ133に取り付けられている前記汲み上げ磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤126を現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、前記現像磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この現像磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126を感光体ドラム108に受け渡すようになっている。前記汲み上げ磁極と前記現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤126を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤126を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
【0041】
第2のスリーブ140はその円周方向に対して透磁率が等間隔に変化するようになっている。図9に示すように、第2のスリーブの透磁率が大きい部分では、マグネットローラの法線方向の磁束密度が透過しやすくなるので、現像スリーブ上の法線方向磁束密度が大きくなり、すなわち穂立ちの高さが高くなる。一方、第2のスリーブの透磁率が小さい部分では、マグネットローラの法線方向の磁束密度が透過しにくくなるので、現像スリーブ上の法線方向磁束密度が小さくなり、すなわち穂立ちの高さが低くなる。したがって、現像スリーブ132上の穂立ちは、第2のスリーブ140と現像スリーブ132とが独立に回転されることによって、図9のように高くなる、低くなる、のサイクルを繰り返すことになる(上下の振動を繰り返している)。この振動により、穂立ち内でトナーと磁性キャリアとが攪拌されることになり、穂立ちの先端部だけでなく、根元部のトナーも画像の現像に寄与できるようになる。結果として、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができるとともに、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0042】
また、図8に示されるように、第2のスリーブ140の強磁性部材からなる強磁性部分の断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっていることにより、磁力線がその幅の狭い部分に集中するので、この部分での法線方向の磁束密度がさらに大きくなる。したがって、穂立ちの振動の振幅が大きくなるので、穂立ち内でのトナーと磁性キャリアとの攪拌がより効果的になることになり、穂立ちの先端部だけでなく、根元部のトナーも現像に寄与でき、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、また、後端白抜け画像やハロー画像を防止することが可能となる。さらに同時に、トナーへの摩擦帯電が充分に行われることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。また、現像スリーブ132の外表面にランダムに配置された平面視楕円形状の凹みが設けられていると、現像剤126が現像スリーブ132の外表面にランダムに吸着され、即ち、前記現像スリーブ132の外表面全体で均一に現像剤126が吸着され、そのために感光ドラム108への現像剤126の搬送量が均一となり、濃度むらのない画像を得ることができる。
【0043】
次に、本発明にかかる現像装置113の構成を、図11を参照して説明する。
【0044】
現像装置113は、図11に示すように、磁性粒子(例えば現像剤)供給部114、ケース125、磁性粒子担持体として、本発明に係る現像ローラ115、及び、規制部材としての規制ブレード116を備えている。
【0045】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
【0046】
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粒子、または、磁性粉ともいい、図10に断面を示す)135とを含んでいる。トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、この例では3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
【0047】
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア135とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。また、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
【0048】
現像剤供給部114においては、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリア135と攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリア135とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
【0049】
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0050】
本発明にかかる現像ローラ115は、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に備えられて、現像ローラ115は、その軸が感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行に、そして、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0051】
規制ブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。規制ブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。規制ブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤126の量を調整する。
【0052】
次に、現像装置113が、現像剤126を現像領域131に搬送する動作について説明する。
【0053】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリア135とを充分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を、現像ローラ115に内包する固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、規制ブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115に担持させながら、現像領域131に搬送させ、感光体ドラム108上の静電潜像を現像させ、トナー像を形成させる。そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間121内で他の現像剤126と充分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
【0054】
以上の説明より、本発明によれば、現像装置113は、前述した磁性粒子担持体、即ち、本発明に係る現像ローラ115を有しているので、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0055】
次に、磁性粒子である磁性キャリアの構成を、図10を参照して説明する。
【0056】
磁性キャリア135は、図11に示す第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリア135の平均粒径は、この例では20μm以上でかつ50μm以下である。磁性キャリア135は、図10に示すように、芯材136と、該芯材136の外表面を被覆した樹脂コート膜137と、樹脂コート膜137に分散されたアルミナ粒子138と、を備えている。
【0057】
磁性キャリア135の平均粒径が20μm未満であると、磁性キャリア135一つ一つの磁化の大きさが小さくなるために、磁性キャリア135の現像ローラ115からの磁気的拘束力が弱くなり、該磁性キャリア135が感光体ドラム108に吸着しやすいため、望ましくない。磁性キャリア135の平均粒径が50μmを越えると、磁性キャリア135と感光体ドラム108上の静電潜像との間の電界が疎になるため、均一な画像を得ることができない(画質が劣化する)ため、望ましくない。
【0058】
芯材136は、磁性材料としてのフェライトで構成されているとともに、球形に形成されている。樹脂コート膜137は、芯材136の外表面全体を被覆している。樹脂コート膜137は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有している。この樹脂コート膜137は、弾力性と強い接着力を有している。アルミナ粒子138は、外径が樹脂コート膜137の厚みより大きな球形に形成されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137の強い接着力で保持されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137より磁性キャリア135の外周側に突出している。
【0059】
以上の説明より、本発明によれば、前述した現像装置113は、磁性粒子、即ち、磁性キャリア135の平均粒径が20μm以上でかつ50μm以下の現像剤126を用いているので、磁性キャリア135が粒状度に優れており、よって、むらの少ない優れた画像を得ることができる。
【0060】
次に、本発明に係るプロセスカートリッジの一例の構成を、図11を参照して説明する。
【0061】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、カートリッジケース111、帯電装置としての帯電ローラ109、感光体(像担持体ともいう)としての感光体ドラム108、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112、及び、現像装置113を備えている。ここでプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは用いるトナーの色が異なる以外は同じものである。
【0062】
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する磁性粒子担持体(例えば現像ローラ)115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。
【0063】
現像ローラ115、即ち、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔は、0.1mm以上でかつ0.4mm以下が望ましく、この範囲内であれば、現像スリーブ132に穂立ちした現像剤126からトナーを確実に感光体ドラム108に供給でき、高品質な画像を得ることができる。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.1mm未満であると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が強くなりすぎて、感光体ドラム108上に磁性キャリア135が移動してしまい、望ましくない。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.4mmを越えると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が弱くなりすぎて、感光体ドラム108に供給できるトナーの量が減少して、現像効率が低下するとともに、画像のエッジにおいて電界のエッジ効果が大きくなり均一な画像を得ることができないため、望ましくない。
【0064】
次に、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kが、記録紙107に画像を転写する動作について説明する。
【0065】
各プロセスカートリッジ106内にある感光体ドラム108は、図12に示す対応するレーザ書き込みユニット122により、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像に、現像装置113から供給されるトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0066】
以上の説明より、本発明によれば、プロセスカートリッジ106は、前述した現像装置113を有しているので、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0067】
次に、本発明にかかる画像形成装置の一例101の構成を、図12を参照して説明する。
【0068】
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像、即ち、カラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図12に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0069】
画像形成装置101は、図12に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
【0070】
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0071】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0072】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0073】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ128、従動ローラ12、搬送ベルト129、及び、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kを備えている。駆動ローラ128は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ12は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ128が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との回りを図中反時計回りに循環(無端走行)する。
【0074】
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0075】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0076】
レーザ書き込みユニット122は、装置本体102に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0077】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122との間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0078】
搬送ベルトクリーニング装置15は、搬送ベルト129上の残留トナーを回収し、ここでは図示しない搬送経路を経て、トナー廃棄容器に貯留させる。
【0079】
2次転写ローラ16は、搬送ベルト129上に形成されたトナー像を記録紙107に転写するためのもので、トナーを引き付けるためにトナーとは逆符号のバイアスが印加されている。
【0080】
排紙ローラ対24は、トナー像が定着された記録紙107を排紙するためのローラである。
【0081】
トナーボトル31は、Y、M、C、Kそれぞれの補給トナーを貯留しており、ここから図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ各色のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kにトナーを補給する。
【0082】
次に、画像形成装置101が、記録紙107に画像を形成する動作について説明する。
【0083】
まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0084】
以上の説明より、本発明によれば、この画像形成装置101は、前述した現像装置113を有しているので、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0085】
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【実施例】
【0086】
以下、本発明をその実施例によってさらに具体的に説明する。
【0087】
以下の実施例ならびに比較例における現像スリーブの外表面には、前述した特開2007‐086091公報で示されている表面処理装置用い、粗面化処理を施した。そのときの表面処理装置の電磁コイルに印加する電力の電流値、周波数は、それぞれ電流23A、周波数150Hz、であり、加工時間30秒である。また、線条材の寸法ならびに材質は、外径0.8mm、長さ5mm、材質はSUS304であり、線条材量50gとした。またこのときの、現像スリーブの表面粗さは、Rz=20μmであった。また、このときの現像スリーブの寸法ならびに材質は、外径18mm、肉厚0.5mm、全長240mm、材質アルミニウム合金A6063である。
【0088】
また、以下の実施例および比較例におけるマグネットローラの寸法は、外径15mm、全長200mmであり、感光体ドラムに対向する磁極の法線方向の磁力を110mTとした。
【0089】
(実施例1)
外径16.5mm、全長220mm、肉厚0.5mm、材質Ni−Zn系ソフトフェライト鋼からなる第2のスリーブの側面に、その軸方向にそって、全長200mm、幅1mmの開口部(空孔部)を、円周方向にほぼ1mmの等間隔となるように設けた。
【0090】
このような第2のスリーブをマグネットローラと現像スリーブとの間に配した本発明に係る現像ローラを現像装置に取り付け、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍となるように、そして、回転方向は、現像スリーブと同じ方向となるように調整した。
【0091】
(実施例2)
実施例1と同様にし、ただし、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数と等しく、そして、回転方向は、現像スリーブと逆方向となるように調整した。
【0092】
(実施例3)
実施例1と同様にし、ただし、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の10倍とし、そして、回転方向は、現像スリーブと同じ方向となるように調整した。
【0093】
(実施例4)
実施例1と同様にして第2のスリーブを作成した後、強磁性材料からなる部分の断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなるように、面取りをC0.5となるように行った。そして、この第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍とし、回転方向は、同じ方向となるように調整した。
【0094】
(実施例5)
外径16mm、全長220mm、肉厚0.5mm、アルミニウム合金A6063からなる第2のスリーブの外側面に、この第2のスリーブの軸方向にそって、全長200mm、幅1mm、肉厚0.5mm、材質Ni−Zn系ソフトフェライト鋼からなる部材を複数、互いにほぼ1mm間隔となるように接着した。
【0095】
このように加工した第2のスリーブをマグネットローラと現像スリーブとの間に配した本発明に係る現像ローラを現像装置に取り付け、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍となるように、そして、回転方向は、現像スリーブと同じ方向となるように調整した。
【0096】
(実施例6)
実施例5と同様に、ただし、第2のスリーブの回転数を現像スリーブと同じ回転数とし、回転方向は、逆方向となるように調整した。
【0097】
(実施例7)
実施例1と同様にして第2のスリーブを作成した後、ソフトフェライト鋼からなる部材の断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなるように、面取りをC0.5となるように行った。そして、この第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍とし、回転方向は、同じ方向となるように調整した。
【0098】
(比較例1)
実施例1と同様に、ただし、第2のスリーブを用いずに現像装置を組み立てた。
【0099】
(比較例2)
実施例1と同様に、ただし、第2のスリーブの回転数が現像スリーブの回転数と同じに、かつ、第2のスリーブの回転が現像スリーブの回転方向と同じ方向になるように調整した。
【0100】
以上の実施例および比較例の現像装置を使用して、次の試験を実施し、評価を行った。
【0101】
一般的な画像形成装置であるプリンタ(商品名:IPSIO CX400(株式会社リコー製))に、試験対象である上記の現像装置を取付け、感光体ドラム上を620Vに帯電させ、現像バイアス電圧として620Vを印加し、現像剤として、シアン二成分現像剤(キャリア平均粒径35μm)を使用し、汲み上げ量を40mg/cm2に設定し、195mm×285mmのベタ画像を500000枚出力し、異常画像(ハロー画像並びに後端白抜け画像)について、画像出力開始直後(初期)、25000枚(25k枚)画像出力後、及び、500000枚(50k枚)の画像出力後に目視で加増レベルの評価を行った。
【0102】
評価の基準は、それぞれ、
◎:画像濃度が均一であり、異常画像が視認されない。
○:画像濃度がほぼ均一であり、異常画像が視認されない。
△:異常画像が若干視認されるものの、実使用上問題なし。
×:異常画像が視認され、実使用に耐えられないとし、評価結果を、表1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
表1によれば、比較例に係る従来の現像ローラを用いた場合に比べ、本発明に係る現像ローラを備えた現像装置を用いた場合に、長期にわたって異常画像(ハロー画像並びに後端白抜け画像)が視認されないことが理解される。
【0105】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0106】
115 現像ローラ
132 現像スリーブ
133 マグネットローラ
134 芯金
140 第2のスリーブ
140a 円状の空孔部
140b スリット状の空孔部
140c 円盤状の強磁性部材
140d 長尺の短冊型の強磁性部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2008−052016公報
【特許文献2】特開平7−13432号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に装着される現像装置に用いられる現像ローラに係る。詳しくは、トナーおよび磁性粒子からなる二成分現像方式に関するものである。また、本発明はかかる現像装置を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
二成分現像方式の画像形成装置において、図13に示すように、現像ローラ115の現像スリーブ132外側面にはトナーと磁性キャリアからなる現像剤126が担持されており、現像剤126は、現像スリーブ表面の凹み部分139(その底部が符号139a)に一群となって立設されている。この立設された現像剤126の一群は、一般に「穂立ち」と呼ばれている。図中、符号133はマグネットローラ、134はマグネットローラ133の芯金である。
【0003】
現像ローラ115は、現像スリーブ132上に穂立ちとなった現像剤を感光体ドラムまで搬送し、現像剤中のトナーを感光体ドラムに付着させる役割を担うのであるが、現像スリーブの外表面上の穂立ちの密度および大きさ(高さ)は画像品質に大きな影響を及ぼしており、この穂立ちの密度および大きさ(高さ)を制御する技術は過去にいくつも提案されている。
【0004】
例えば、特開2008−052016公報(特許文献1)においては、穂立ちの高さが適切になるよう、現像領域におけるマグネットローラの磁力を規定している。
【0005】
また、特開平7−13432号公報(特許文献2)においては、穂立ちの高さおよび密度が均一になるように、現像スリーブ表面上の磁力に周期性を持たせるような構成になっている。
【0006】
しかしながら、上記の発明においては、感光体ドラム上の画像部と非画像部との境界において、穂立ちが非画像部に接触する時間が長いと、電荷の反発力によってトナーは感光体ドラム上から離れて現像ローラ側に移動して行くという、トナードリフト現象が発生する。このため、穂立ちは画像部に達する前に感光体ドラムに近い部分(穂立ち先端部)のキャリアが剥き出し、つまり、穂立ちにトナーが存在しない状態になってしまい、現像能力が低下してしまうので、画像部と非画像部との境界では現像が行われないことがある。このようなメカニズムで発生する異常画像を「後端白抜け画像」と呼ぶ。
【0007】
また、上記と同様のメカニズムで、ハーフトーンの中に濃い画像を現像した場合に、エッジ効果によって濃い画像の周囲のハーフトーンの潜像が強調されて、濃い画像の周辺が白く抜ける現象が発生してしまう場合がある。このような異常画像を「ハロー画像」と呼ぶ。
【0008】
また、トナーは、プロセスカートリッジの現像剤供給部にて、磁性キャリアと攪拌されることによって帯電されるが、攪拌の不均一によるトナーの帯電むらが発生する場合があり、この帯電むらによる画像の濃度むらが発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、本発明は、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止された現像ローラ、そのような現像ローラを備えた現像装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の現像ローラは、請求項1に記載の通り、マグネットローラを円筒状の現像スリーブ内に設けた現像ローラにおいて、前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されていることを特徴とする現像ローラである。
【0011】
また、本発明の現像ローラは、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記第2のスリーブの軸に直交する断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の現像装置は、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の現像ローラを備えた現像装置である。
【0013】
また、本発明の現像装置は、請求項4に記載の通り、前記第2のスリーブの回転数が、前記現像スリーブの回転数よりも大きいことを特徴とする。
【0014】
本発明のプロセスカートリッジは請求項5に記載の通り、請求項3または請求項4に記載の現像装置において、前記第2のスリーブの回転方向が、前記現像スリーブの回転方向と逆であることを特徴とする。
【0015】
本発明のプロセスカートリッジは請求項6に記載の通り、請求項5に記載の現像装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置は請求項6に記載の通り、請求項6に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の現像ローラによれば、前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されているために、穂立ちにおける現像剤の攪拌効果が得られ、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止され、さらに、プロセスカートリッジの現像剤供給部での攪拌むらによるトナーの帯電むらも解消される。
【0018】
また、請求項2に記載の現像ローラによれば、前記第2のスリーブの軸に直交する断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっているためにその狭い先端部分に磁力線が集中することとなり、その先端部の法線方向の磁束密度をより大きくすることができる。このとき、穂立ちの振動の振幅がより大きくなるので、穂立ち内のトナー攪拌効率が向上し、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの安定した摩擦帯電が可能になり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを抑制することができる。
【0019】
本発明の現像装置は前記現像ローラを備えているので、前記第2のスリーブを回転させることにより、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止された現像装置である。
【0020】
請求項6に記載の現像装置によれば、第2のスリーブの回転数が、現像スリーブの回転数よりも大きいために、現像スリーブ上の現像剤にかかる法線方向の磁力の増減の周期が短くなり、その結果、現像スリーブ上の穂立ちの振動の周期も短くなる。したがって、穂立ち内部の磁性キャリアとトナーがより効果的に攪拌されることとなって、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、結果的に、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、より確実なトナーへの摩擦帯電が可能になり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の現像装置によれば、第2のスリーブの回転方向が、前記現像スリーブの回転方向と逆であるために、両者の相対速度の差を大きくしやすくなり、このとき、現像スリーブ上の穂立ちの振動の周期も短くなり、穂立ち内部の磁性キャリアとトナーがより効果的に攪拌されることとなり、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、より確実なトナーへの摩擦帯電が可能になり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを抑制することができる。
【0022】
本発明のプロセスカートリッジによれば上記現像装置を備えているために、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止される。
【0023】
本発明の画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを備えているために、後端白抜け画像や、ハロー画像の発生があらかじめ防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る現像ローラ(磁性粒子担持体)のモデル断面図である。
【図2】図2の現像ローラを構成する現像スリーブ(中空体)の斜視図である。
【図3】強磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に部が設けられている例を示すモデル図である。
【図4】強磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に空孔部が設けられている他の例を示すモデル図である。
【図5】非磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に強磁性材料からなる強磁性部材が配設されている例を示すモデル図である。
【図6】非磁性材料からなる第2のスリーブであって、その側面に、円周方向に等間隔に強磁性材料からなる強磁性部材が配設されている他の例を示すモデル図である。
【図7】本発明に係る現像ローラの外表面における、現像剤の穂立ち状態を示すモデル断面図である。
【図8】断面形状の異なる2つの第2のスリーブ並びにその内部を突き抜ける磁力線の状態を示す磁性粒子担持体の拡大断面模式図である。
【図9】第2のスリーブを有する磁性粒子担持体の外表面における、現像剤の穂立ち状態を示す磁性粒子担持体の拡大断面図である。
【図10】現像剤を構成する磁性粒子の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態を示す現像装置、および、プロセスカートリッジの断面図である。
【図12】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の断面図である。
【図13】従来の現像ローラのモデル断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態である現像ローラの構成を、図1〜10を参照して説明する。
【0026】
本発明に係る磁性粒子担持体である現像ローラ115は、図1に示すように、芯金134を備えた磁界発生手段(以下、マグネットローラ(磁石体ともいう))133と、中空体(以下、現像スリーブ)132と、の間に第2の中空体(以下、第2のスリーブ)140が回転可能に備えられている。マグネットローラ133は、その芯金134によって長手方向が図11に示す感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、現像装置113のケース125に回転することなく固定されている。
【0027】
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が一体に取り付けられている。
【0028】
固定磁極は、マグネットローラ133の軸方向にその長手方向が一致するようにマグネットローラ133に一体に取り付けられているマグネットローラの側面とほぼ等しい長さの棒状の磁石である。
【0029】
マグネットローラ133に取り付けられた固定磁極の1つ(図示しない)は、現像剤を汲み上げる汲み上げ磁極として図11に示す攪拌スクリュー118と相対しており、汲み上げ磁極とはことなる固定磁極の1つ(図示しない)は、現像磁極として図11に示す感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は、トナーとともに現像剤126を構成する磁性粒子(以下、磁性キャリア)135(図10参照)を現像スリーブ132の外表面に吸着させ、そして、磁性キャリア135を固定磁極の生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリア135が磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリア135が現像スリーブ132の外表面上に穂立ち(図7参照)するという。すると、この穂立ちした磁性キャリア135に、この磁性キャリア135とともに現像剤126を構成するトナーが吸着する。このようにして現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力によりその外表面に現像剤126を吸着する。
【0030】
ここで、現像スリーブ132は図2に示すように、円筒状に形成されている。本発明において現像スリーブ132内部には、第2のスリーブ140とマグネットローラ133とをこの順に収容されており、その軸芯回りに回転自在に現像装置に取り付けられる。
【0031】
ここで、現像スリーブ132のスリーブ基材132aは、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの非磁性材料で構成されている。
【0032】
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を基材として用いる場合は、A6063、A5056およびA3003を用いるのが好ましい。一方、ステンレス鋼は、耐摩耗性、強度の面で優れている。ステンレス鋼をスリーブ基材132aとして用いる場合は、SUS303、SUS304およびSUS316を用いるのが好ましい。
【0033】
現像スリーブ132の外径は、10mm〜30mm程度であるのが好ましく、また、現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、一般的に240mm〜360mm程度である。現像スリーブ132の外表面は現像剤を効果的に搬送できるように一般的に粗面に形成されており、その粗面化の表面処理としては、特開2007‐086091に示す表面処理装置によって行うことが望ましい。この表面処理装置によって、現像スリーブ132の外表面には、平面形状が楕円形状の凹み(以下、単に楕円形状の凹みと記載する場合は平面視楕円形状を表す)がランダムに多数(複数)配置されることとなる。凹みの長手方向の長さ(長径)は、0.05mm以上でかつ2mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.02mm以上でかつ1mm以下となっている。以上の表面処理により、現像スリーブ132は、外表面に形成された楕円形状の凹みがランダムに配置されているので、現像剤が凹み内に溜まるので、現像剤の溜まる箇所が外表面にランダムに配置されることとなり、よって、画像のむらが生じることを防止できる。また、外表面に従来のサンドブラスト加工により形成される凹みより大きな楕円形状の凹みが形成されているので、経年変化によっても、凹みが摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できる。
【0034】
第2のスリーブ140は、その例を図3〜図6に示すように、円筒状に形成されている。第2のスリーブ140は、現像スリーブ132とマグネットローラ133の間に収容されており、軸芯回りに回転自在に設けられている。
【0035】
第2のスリーブ140周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、この透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されている。このような円周全体に不均一な透磁率は、図3、および、図4に示すように、強磁性材料で構成された中空体に、その側面に、円周方向にエッチング、プレス加工もしくはドリル加工等によって、部分的に空孔部(図3では円状の空孔部140aを等間隔に(千鳥配置で、かつ、周方向に重なる部分が生じるように)設けた例を、図4では軸に平行なスリット状の空孔部140bを等間隔に設けた例を示す)を設けることによって達成することができる。
【0036】
あるいは、図5及び図6に示すように、第2のスリーブは、非磁性材料からなる円筒体の側面(内側面、外側面)に、強磁性材料で構成された強磁性部材を配置することによっても達成可能である。このような場合において、強磁性部材を現像スリーブに固定するには接着、溶接等によることが可能である。溶接法として、電気溶接、ガス溶接、ロウ付け等が採用可能である。また、非磁性材料の中空体に、強磁性材料(例えば、ニッケル系、コバルト系)のめっきを図5、あるいは、図6のように施すことによっても達成可能である。図5は円盤状の強磁性部材140cを等間隔に(千鳥配置で、かつ、周方向に重なる部分が生じるように)第2のスリーブの外側面に配置した例、図6は長尺の短冊型の強磁性部材140dを第2のスリーブの軸に平行となるようにかつ等間隔に第2のスリーブの外側面に配置した例をモデル的に示した図である。
【0037】
第2のスリーブに用いられる強磁性材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、ならびにそれらの合金のいずれかから選ばれることが望ましい、また、第2のスリーブに用いられる非磁性材料は、アルミニウム、ステンレス、銅、ならびにそれらの合金であることが望ましい。
【0038】
また、第2のスリーブの肉厚は、0.5mm以上2mm以下が好ましい。0.5mm未満であると第2のスリーブが剛性の不足によりマグネットローラの磁力によってたわんでしまう場合があり、2mm以上であると、マグネットローラの外径が小さくなることにより、充分な磁力が得られなくなるおそれがある。これら第2のスリーブ、現像スリーブ、および、マグネットローラとのそれぞれの間隙は、0.3〜1mm程度とすることが好ましい。0.3mm未満であると、第2のスリーブがたわんだ際に現像スリーブあるいはマグネットローラに接触してしまう可能性がある。また、1mm以上であると、マグネットローラと現像スリーブとの間隔が大きくなるので、現像スリーブ上の現像剤に対する磁力が充分に得られなくなる恐れがある。
【0039】
次に、磁性粒子担持体115がその外表面に現像剤126を吸着させる動作について説明する。
【0040】
図11に示す現像装置113内において、現像剤担持体である現像ローラ115と、磁性粒子である磁性キャリア135およびトナーで構成される現像剤126と、は間隙を持って対向している。現像ローラ115に内包されるマグネットローラ133に取り付けられている前記汲み上げ磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤126を現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、前記現像磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この現像磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126を感光体ドラム108に受け渡すようになっている。前記汲み上げ磁極と前記現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤126を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤126を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
【0041】
第2のスリーブ140はその円周方向に対して透磁率が等間隔に変化するようになっている。図9に示すように、第2のスリーブの透磁率が大きい部分では、マグネットローラの法線方向の磁束密度が透過しやすくなるので、現像スリーブ上の法線方向磁束密度が大きくなり、すなわち穂立ちの高さが高くなる。一方、第2のスリーブの透磁率が小さい部分では、マグネットローラの法線方向の磁束密度が透過しにくくなるので、現像スリーブ上の法線方向磁束密度が小さくなり、すなわち穂立ちの高さが低くなる。したがって、現像スリーブ132上の穂立ちは、第2のスリーブ140と現像スリーブ132とが独立に回転されることによって、図9のように高くなる、低くなる、のサイクルを繰り返すことになる(上下の振動を繰り返している)。この振動により、穂立ち内でトナーと磁性キャリアとが攪拌されることになり、穂立ちの先端部だけでなく、根元部のトナーも画像の現像に寄与できるようになる。結果として、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができるとともに、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0042】
また、図8に示されるように、第2のスリーブ140の強磁性部材からなる強磁性部分の断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっていることにより、磁力線がその幅の狭い部分に集中するので、この部分での法線方向の磁束密度がさらに大きくなる。したがって、穂立ちの振動の振幅が大きくなるので、穂立ち内でのトナーと磁性キャリアとの攪拌がより効果的になることになり、穂立ちの先端部だけでなく、根元部のトナーも現像に寄与でき、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、また、後端白抜け画像やハロー画像を防止することが可能となる。さらに同時に、トナーへの摩擦帯電が充分に行われることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。また、現像スリーブ132の外表面にランダムに配置された平面視楕円形状の凹みが設けられていると、現像剤126が現像スリーブ132の外表面にランダムに吸着され、即ち、前記現像スリーブ132の外表面全体で均一に現像剤126が吸着され、そのために感光ドラム108への現像剤126の搬送量が均一となり、濃度むらのない画像を得ることができる。
【0043】
次に、本発明にかかる現像装置113の構成を、図11を参照して説明する。
【0044】
現像装置113は、図11に示すように、磁性粒子(例えば現像剤)供給部114、ケース125、磁性粒子担持体として、本発明に係る現像ローラ115、及び、規制部材としての規制ブレード116を備えている。
【0045】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
【0046】
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粒子、または、磁性粉ともいい、図10に断面を示す)135とを含んでいる。トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、この例では3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
【0047】
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア135とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。また、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
【0048】
現像剤供給部114においては、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリア135と攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリア135とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
【0049】
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0050】
本発明にかかる現像ローラ115は、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に備えられて、現像ローラ115は、その軸が感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行に、そして、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0051】
規制ブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。規制ブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。規制ブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤126の量を調整する。
【0052】
次に、現像装置113が、現像剤126を現像領域131に搬送する動作について説明する。
【0053】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリア135とを充分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を、現像ローラ115に内包する固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、規制ブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115に担持させながら、現像領域131に搬送させ、感光体ドラム108上の静電潜像を現像させ、トナー像を形成させる。そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間121内で他の現像剤126と充分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
【0054】
以上の説明より、本発明によれば、現像装置113は、前述した磁性粒子担持体、即ち、本発明に係る現像ローラ115を有しているので、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0055】
次に、磁性粒子である磁性キャリアの構成を、図10を参照して説明する。
【0056】
磁性キャリア135は、図11に示す第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリア135の平均粒径は、この例では20μm以上でかつ50μm以下である。磁性キャリア135は、図10に示すように、芯材136と、該芯材136の外表面を被覆した樹脂コート膜137と、樹脂コート膜137に分散されたアルミナ粒子138と、を備えている。
【0057】
磁性キャリア135の平均粒径が20μm未満であると、磁性キャリア135一つ一つの磁化の大きさが小さくなるために、磁性キャリア135の現像ローラ115からの磁気的拘束力が弱くなり、該磁性キャリア135が感光体ドラム108に吸着しやすいため、望ましくない。磁性キャリア135の平均粒径が50μmを越えると、磁性キャリア135と感光体ドラム108上の静電潜像との間の電界が疎になるため、均一な画像を得ることができない(画質が劣化する)ため、望ましくない。
【0058】
芯材136は、磁性材料としてのフェライトで構成されているとともに、球形に形成されている。樹脂コート膜137は、芯材136の外表面全体を被覆している。樹脂コート膜137は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有している。この樹脂コート膜137は、弾力性と強い接着力を有している。アルミナ粒子138は、外径が樹脂コート膜137の厚みより大きな球形に形成されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137の強い接着力で保持されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137より磁性キャリア135の外周側に突出している。
【0059】
以上の説明より、本発明によれば、前述した現像装置113は、磁性粒子、即ち、磁性キャリア135の平均粒径が20μm以上でかつ50μm以下の現像剤126を用いているので、磁性キャリア135が粒状度に優れており、よって、むらの少ない優れた画像を得ることができる。
【0060】
次に、本発明に係るプロセスカートリッジの一例の構成を、図11を参照して説明する。
【0061】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、カートリッジケース111、帯電装置としての帯電ローラ109、感光体(像担持体ともいう)としての感光体ドラム108、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112、及び、現像装置113を備えている。ここでプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは用いるトナーの色が異なる以外は同じものである。
【0062】
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する磁性粒子担持体(例えば現像ローラ)115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。
【0063】
現像ローラ115、即ち、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔は、0.1mm以上でかつ0.4mm以下が望ましく、この範囲内であれば、現像スリーブ132に穂立ちした現像剤126からトナーを確実に感光体ドラム108に供給でき、高品質な画像を得ることができる。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.1mm未満であると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が強くなりすぎて、感光体ドラム108上に磁性キャリア135が移動してしまい、望ましくない。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.4mmを越えると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が弱くなりすぎて、感光体ドラム108に供給できるトナーの量が減少して、現像効率が低下するとともに、画像のエッジにおいて電界のエッジ効果が大きくなり均一な画像を得ることができないため、望ましくない。
【0064】
次に、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kが、記録紙107に画像を転写する動作について説明する。
【0065】
各プロセスカートリッジ106内にある感光体ドラム108は、図12に示す対応するレーザ書き込みユニット122により、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像に、現像装置113から供給されるトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0066】
以上の説明より、本発明によれば、プロセスカートリッジ106は、前述した現像装置113を有しているので、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0067】
次に、本発明にかかる画像形成装置の一例101の構成を、図12を参照して説明する。
【0068】
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像、即ち、カラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図12に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0069】
画像形成装置101は、図12に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
【0070】
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0071】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0072】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0073】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ128、従動ローラ12、搬送ベルト129、及び、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kを備えている。駆動ローラ128は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ12は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ128が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との回りを図中反時計回りに循環(無端走行)する。
【0074】
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0075】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0076】
レーザ書き込みユニット122は、装置本体102に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0077】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122との間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0078】
搬送ベルトクリーニング装置15は、搬送ベルト129上の残留トナーを回収し、ここでは図示しない搬送経路を経て、トナー廃棄容器に貯留させる。
【0079】
2次転写ローラ16は、搬送ベルト129上に形成されたトナー像を記録紙107に転写するためのもので、トナーを引き付けるためにトナーとは逆符号のバイアスが印加されている。
【0080】
排紙ローラ対24は、トナー像が定着された記録紙107を排紙するためのローラである。
【0081】
トナーボトル31は、Y、M、C、Kそれぞれの補給トナーを貯留しており、ここから図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ各色のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kにトナーを補給する。
【0082】
次に、画像形成装置101が、記録紙107に画像を形成する動作について説明する。
【0083】
まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0084】
以上の説明より、本発明によれば、この画像形成装置101は、前述した現像装置113を有しているので、トナードリフトによる穂立ち内のトナー濃度分布の偏りを防止することができ、後端白抜け画像やハロー画像を防止することができる。また、トナーへの摩擦帯電が充分になされることになり、トナーの帯電むらによる画像の濃度むらを防止できる。
【0085】
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【実施例】
【0086】
以下、本発明をその実施例によってさらに具体的に説明する。
【0087】
以下の実施例ならびに比較例における現像スリーブの外表面には、前述した特開2007‐086091公報で示されている表面処理装置用い、粗面化処理を施した。そのときの表面処理装置の電磁コイルに印加する電力の電流値、周波数は、それぞれ電流23A、周波数150Hz、であり、加工時間30秒である。また、線条材の寸法ならびに材質は、外径0.8mm、長さ5mm、材質はSUS304であり、線条材量50gとした。またこのときの、現像スリーブの表面粗さは、Rz=20μmであった。また、このときの現像スリーブの寸法ならびに材質は、外径18mm、肉厚0.5mm、全長240mm、材質アルミニウム合金A6063である。
【0088】
また、以下の実施例および比較例におけるマグネットローラの寸法は、外径15mm、全長200mmであり、感光体ドラムに対向する磁極の法線方向の磁力を110mTとした。
【0089】
(実施例1)
外径16.5mm、全長220mm、肉厚0.5mm、材質Ni−Zn系ソフトフェライト鋼からなる第2のスリーブの側面に、その軸方向にそって、全長200mm、幅1mmの開口部(空孔部)を、円周方向にほぼ1mmの等間隔となるように設けた。
【0090】
このような第2のスリーブをマグネットローラと現像スリーブとの間に配した本発明に係る現像ローラを現像装置に取り付け、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍となるように、そして、回転方向は、現像スリーブと同じ方向となるように調整した。
【0091】
(実施例2)
実施例1と同様にし、ただし、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数と等しく、そして、回転方向は、現像スリーブと逆方向となるように調整した。
【0092】
(実施例3)
実施例1と同様にし、ただし、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の10倍とし、そして、回転方向は、現像スリーブと同じ方向となるように調整した。
【0093】
(実施例4)
実施例1と同様にして第2のスリーブを作成した後、強磁性材料からなる部分の断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなるように、面取りをC0.5となるように行った。そして、この第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍とし、回転方向は、同じ方向となるように調整した。
【0094】
(実施例5)
外径16mm、全長220mm、肉厚0.5mm、アルミニウム合金A6063からなる第2のスリーブの外側面に、この第2のスリーブの軸方向にそって、全長200mm、幅1mm、肉厚0.5mm、材質Ni−Zn系ソフトフェライト鋼からなる部材を複数、互いにほぼ1mm間隔となるように接着した。
【0095】
このように加工した第2のスリーブをマグネットローラと現像スリーブとの間に配した本発明に係る現像ローラを現像装置に取り付け、画像形成時の第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍となるように、そして、回転方向は、現像スリーブと同じ方向となるように調整した。
【0096】
(実施例6)
実施例5と同様に、ただし、第2のスリーブの回転数を現像スリーブと同じ回転数とし、回転方向は、逆方向となるように調整した。
【0097】
(実施例7)
実施例1と同様にして第2のスリーブを作成した後、ソフトフェライト鋼からなる部材の断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなるように、面取りをC0.5となるように行った。そして、この第2のスリーブの回転数を現像スリーブの回転数の2倍とし、回転方向は、同じ方向となるように調整した。
【0098】
(比較例1)
実施例1と同様に、ただし、第2のスリーブを用いずに現像装置を組み立てた。
【0099】
(比較例2)
実施例1と同様に、ただし、第2のスリーブの回転数が現像スリーブの回転数と同じに、かつ、第2のスリーブの回転が現像スリーブの回転方向と同じ方向になるように調整した。
【0100】
以上の実施例および比較例の現像装置を使用して、次の試験を実施し、評価を行った。
【0101】
一般的な画像形成装置であるプリンタ(商品名:IPSIO CX400(株式会社リコー製))に、試験対象である上記の現像装置を取付け、感光体ドラム上を620Vに帯電させ、現像バイアス電圧として620Vを印加し、現像剤として、シアン二成分現像剤(キャリア平均粒径35μm)を使用し、汲み上げ量を40mg/cm2に設定し、195mm×285mmのベタ画像を500000枚出力し、異常画像(ハロー画像並びに後端白抜け画像)について、画像出力開始直後(初期)、25000枚(25k枚)画像出力後、及び、500000枚(50k枚)の画像出力後に目視で加増レベルの評価を行った。
【0102】
評価の基準は、それぞれ、
◎:画像濃度が均一であり、異常画像が視認されない。
○:画像濃度がほぼ均一であり、異常画像が視認されない。
△:異常画像が若干視認されるものの、実使用上問題なし。
×:異常画像が視認され、実使用に耐えられないとし、評価結果を、表1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
表1によれば、比較例に係る従来の現像ローラを用いた場合に比べ、本発明に係る現像ローラを備えた現像装置を用いた場合に、長期にわたって異常画像(ハロー画像並びに後端白抜け画像)が視認されないことが理解される。
【0105】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0106】
115 現像ローラ
132 現像スリーブ
133 マグネットローラ
134 芯金
140 第2のスリーブ
140a 円状の空孔部
140b スリット状の空孔部
140c 円盤状の強磁性部材
140d 長尺の短冊型の強磁性部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2008−052016公報
【特許文献2】特開平7−13432号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットローラを円筒状の現像スリーブ内に設けた現像ローラにおいて、
前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、
前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、
前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されている
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記第2のスリーブの軸に直交する断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっていることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現像ローラを備えた現像装置。
【請求項4】
前記第2のスリーブの回転数が、前記現像スリーブの回転数よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2のスリーブの回転方向が、前記現像スリーブの回転方向と逆であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
マグネットローラを円筒状の現像スリーブ内に設けた現像ローラにおいて、
前記マグネットローラと前記現像スリーブとの間に円筒状の第2のスリーブが回転自在に設けられ、
前記第2のスリーブの周方向に、透磁率が異なる部分が設けられ、かつ、
前記透磁率が異なる部分が、前記第2のスリーブの側面部分に設けられた空孔、及び/または、前記第2のスリーブの側面部分に取り付けられかつ前記側面部分を構成する材料とは透磁率が異なる材料からなる部材により構成されている
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記第2のスリーブの軸に直交する断面が、前記現像スリーブに近いほど幅が狭くなっていることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現像ローラを備えた現像装置。
【請求項4】
前記第2のスリーブの回転数が、前記現像スリーブの回転数よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2のスリーブの回転方向が、前記現像スリーブの回転方向と逆であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−128447(P2011−128447A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288046(P2009−288046)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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