説明

現像方法、現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤担持体上の2成分現像剤に過度のストレスを与えることなく現像剤を規制して薄層を形成するとともに、地汚れやトナー飛散の原因となる低帯電や逆帯電した不良トナーの発生を未然に防ぐことにより、長期に渡って安定した高品質画像を得ることができる現像方法、現像装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、内部に磁石ローラ57を固定保持して回転駆動する現像スリーブ54によって感光体4上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像方法であって、現像スリーブ54に対向して、内部に磁石ローラ71を固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラ72を配置して現像スリーブ54上の現像剤量を規制することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、さらに詳しくは、磁性キャリアと非磁性トナーからなる2成分現像剤を用いる現像方法、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、像担持体表面に静電的に形成した静電潜像に、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を付与してトナー像を形成した後、紙などの転写材に該トナー像を転写する工程を繰り返す画像形成装置において、長期にわたって安定した高品位な画像を得るためには、トナーが常時安定した帯電量を保持していることが重要である。
しかし、特に2成分現像剤を用いた場合には、現像剤担持体上の現像剤の量を適正化するために設けられた、一般的には板状のブレードである現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスによって、トナー表面の外添剤がトナー内部に埋没あるいは表面から離脱したり、キャリア表面にトナー成分が固着(スペント)するなどの不具合を生じてしまう。
上記不具合のうち、トナーの外添剤が埋没もしくは離脱してしまい、トナー表面に外添剤が存在しなくなった場合には、トナーとキャリアとの間の非静電的付着力が増大し、キャリアに強固に付着してしまうために現像剤としての現像能力に安定性を欠いてしまうという問題がある。
【0003】
また、トナーのキャリアとの間の付着力が増加するために、新規に補給されたトナーとの入れ替わりが起こりにくく、補給されたトナーがキャリアに接触できず、もしくはトナー同士の接触による弱帯電、逆帯電を保持した状態のまま現像領域に搬送されてしまうこととなる。この様にして発生した弱帯電、逆帯電トナーは、現像剤から離脱し易いため、画像地肌汚れといった異常画像、またトナー飛散による機内汚染を引き起こすため好ましくない。また、感光体あるいは中間転写材から紙への転写の際に、転写率の低下を招くため、画像粒状性の低下、ベタ画像の不均一化を起こすため、同様に好ましくない。特に、画像面積率の低い画像を繰り返し作像した場合には、現像剤は繰り返し現像剤規制部材を通過しなければならないため、トナー表面の添加剤がトナー内部への埋没が起こり易く、上記不具合が発生しやすいという問題がある。
また、上記した繰り返しストレスを受けている間に、キャリア表面にトナー成分が固着してしまった場合には、キャリアのトナーへの帯電付与能力が低下してしまうために、トナーが所定の帯電量を得ることが困難になり、結果として地汚れ、トナー飛散を引き起こしてしまう原因となってしまうため好ましくない。
上記不具合を解消するために、例えば、特許文献1では、現像剤担持体内部に配置された磁極を挟むように二つの層厚規制部材を設けることによって、規制部材と現像剤担持体間の間隙を広くして現像剤へのストレスを低減することが提案されている。
しかし、この方法で規制部材と担持体間の間隙を広くすることはできても、現像剤は担持体に汲み上げられた後、現像領域に搬送されるまでに規制部材から2度のストレスを受けることになり、結果的にストレスを低減するには至っていない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−333431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、現像剤担持体上の2成分現像剤に過度のストレスを与えることなく現像剤を規制して薄層を形成するとともに、地汚れやトナー飛散の原因となる低帯電や逆帯電した不良トナーの発生を未然に防ぐことにより、長期に渡って安定した高品質画像を得ることができる現像方法、現像装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像方法であって、現像剤担持体に対向して、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラを配置して現像剤担持体上の現像剤量を規制することを特徴とする現像方法である。
請求項2に記載の本発明は、現像剤担持体と、現像剤規制ローラ内部の磁極とが、互いに異なる極性を持って対向するように設置することを特徴とする請求項1に記載の現像方法である。
請求項3に記載の本発明は、現像剤担持体と現像剤規制ローラとが電位差を有することを特徴とする請求項1または2に記載の現像方法である。
【0007】
請求項4に記載の本発明は、現像剤担持体にかかる現像バイアスの直流成分の電圧をVbとするとき、現像剤規制ローラに印加する電圧Vsの値を、Vb>Vsとし、感光体上地肌汚れ量に応じて印加電圧を可変にすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の現像方法である。
請求項5に記載の本発明は、現像剤規制ローラが保持する現像剤の一部を廃棄する経路を有し、現像装置に設けられた現像剤あるいはキャリア補給装置から、廃棄された現像剤量に見合った量の現像剤もしくはキャリアを随時補給することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像方法である。
請求項6に記載の本発明は、現像剤規制ローラに対向して導電性部材を設け、導電性部材に電圧を印加することによって、現像剤規制ローラと導電性部材の間を通過する現像剤中のトナーを導電性部材に移動させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像方法である。
【0008】
請求項7に記載の本発明は、現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像装置であって、現像剤担持体に対向して、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラを配置して現像剤担持体上の現像剤量を規制することを特徴とする現像装置である。
請求項8に記載の本発明は、現像剤担持体と、現像剤規制ローラ内部の磁極とが、互いに異なる極性を持って対向するように設置することを特徴とする請求項7に記載の現像装置である。
請求項9に記載の本発明は、現像剤担持体と現像剤規制ローラとが電位差を有することを特徴とする請求項7または8に記載の現像装置である。
請求項10に記載の本発明は、現像剤担持体にかかる現像バイアスの直流成分の電圧をVbとするとき、現像剤規制ローラに印加する電圧Vsの値を、Vb>Vsとし、感光体上地肌汚れ量に応じて印加電圧を可変にすることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の現像装置である。
請求項11に記載の本発明は、現像剤規制ローラが保持する現像剤の一部を廃棄する経路を有し、現像装置に設けられた現像剤あるいはキャリア補給装置から、廃棄された現像剤量に見合った量の現像剤もしくはキャリアを随時補給することを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の現像装置である。
請求項12に記載の本発明は、現像剤規制ローラに対向して導電性部材を設け、導電性部材に電圧を印加することによって、現像剤規制ローラと導電性部材の間を通過する現像剤中のトナーを導電性部材に移動させることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の現像装置である。
【0009】
請求項13に記載の本発明は、回転駆動する像担持体と、担持体表面を所望の電位に帯電させる帯電手段と、像担持体上に画像に対応した静電潜像を形成する露光手段と、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を内蔵し、現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像手段であって、現像剤担持体に対向して、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラを配置して現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項14に記載の本発明は、請求項13に記載の画像形成装置において、前記現像手段は、請求項8ないし12のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、現像剤規制部材を設けないことにより、現像剤(トナーおよびキャリア)へのストレスを低減し、画像形成において不具合を発生する帯電不良トナーの発生を防止し、また、現像に使用するトナーの帯電量を長期に渡って安定、均一に保つことによって、異常画像が発生するのを防止し、繰り返しの画像形成においてもトナーの帯電量安定化、適正化を行い、長期に渡って粒状性が良く、地汚れ、トナー飛散のない画像を得る現像方法、現像装置、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明はこの発明の最良の形態の例であって、いわゆる当業者は特許請求の範囲内で、変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、以下の説明が特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明にかかる画像形成装置としての電子写真方式のフルカラープリンタを示す。図1において、箱状の装置本体1内には複数個の像担持体ユニットとしての感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kがそれぞれ装置本体1に着脱可能に装着されている。装置本体1内の略中央部には記録材担持体としての転写ベルト3が、装置本体1の対角線方向に斜めに配置されている。転写ベルト3は、その一つに回転駆動力が伝達される複数のローラに架け渡されて矢印Aで示す方向に回転駆動可能に設けられている。
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kは、像担持体としてのドラム状の感光体4Y、4M、4C、4Kを有し、各感光体の表面が転写ベルト3と接触するように、同ベルトの上方に配設されている。感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの配列は、感光体ユニット2Yを給紙側とし、感光体ユニット2Kが定着装置9側に位置するように4Y、4M、4C、4Kの順となっている。感光体4Y、4M、4C、4Kとしては、ベルト状の感光体等を用いてもよい。
【0013】
現像剤供給手段となる現像装置5Y、5M、5C、5Kは、感光体4Y、4M、4C、4Kとそれぞれ対向配置されている。現像装置5Y、5M、5C、5Kは、複数色、たとえばイエロー(以下Yという)とキャリアを有する2成分現像剤、マゼンタ(以下Mという)とキャリアを有する2成分現像剤、シアン(以下Cという)とキャリアを有する2成分現像剤、ブラック(以下Kという)とキャリアを有する2成分現像剤をそれぞれ感光体4Y、4M、4C、4K上の静電潜像に供給して各静電潜像を現像するものである。
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの上方には露光手段としての書き込み装置6が配置され、感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの下方には両面ユニット7が配置されている。両面ユニット7の下方には、サイズの異なる転写材Pが収納可能な給紙カセット13、14が配設されている。装置本体1の左方には反転ユニット8が配置され、装置本体1の右側には手差しトレイ15が矢印B方向に開閉可能に設けられている。転写ベルト3と反転ユニット8との間には定着装置9が配置されている。定着装置9の転写材搬送方向下流側には反転搬送路10が分岐して形成され、シート状の転写材Pを反転搬送路10に配置された排紙ローラ11によって装置上部に設けられた排紙トレイ12に案内している。
【0014】
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kは、感光体4Y、4M、4C、4K上にY、M、C、K各色のトナー像を形成するためのユニットであり、装置本体1に配置される場所を除いては同一構成となっている。たとえば、感光体ユニット2Yは、感光体4Yと、感光体4Yに当接する帯電手段としての帯電ローラ16Yと、感光体4Yの表面をブラシローラ17Y及びクリーニングブレード18Yでクリーニングするクリーニング装置19Yとを一体のユニット構成としたもので、装置本体1に着脱可能に取り付けられる。感光体ユニット2M、2C、2Kの構成の説明は省略する。
【0015】
書き込み装置6では、同軸上に配置された2つの図示しない回転多面鏡がポリゴンモータにより回転される。回転多面鏡は、図示しない2つのレーザ光源としてのレーザダイオードからのY画像データで変調されたY用レーザ光、M画像データにより変調されたM用レーザ光と、他の2つのレーザ光源としてのレーザダイオードからのC画像データにより変調されたC用レーザ光、K画像データにより変調されたK用レーザ光とを左右に振り分けて反射する。
回転多面鏡からのY用レーザ光及びM用レーザ光は2層の図示しないfθレンズを通る。このfθレンズからのY用レーザ光は、ミラーで反射されて図示しない長尺WTLを通過した後にミラーを介して感光体ユニット2Yの感光体4Yに照射される。fθレンズからのM用レーザ光は、ミラーで反射されて長尺WTLを通過した後にミラーを介して感光体ユニット2Mの感光体4Mに照射される。
回転多面鏡からのC用レーザ光及びK用レーザ光は2層のfθレンズを通る。このfθレンズからのC用レーザ光は、ミラーで反射されて長尺WTLを通過した後にミラーを介して感光体ユニット2Cの感光体4Cに照射される。fθレンズからのK用レーザ光は、ミラーで反射されて長尺WTLを通過した後にミラーを介して感光体ユニット2Kの感光体4Kに照射される。
【0016】
図1に示すように、両面ユニット7は、対をなす搬送ガイド41、42と、複数の搬送ローラ対43を備えている。両面ユニット7は、転写材Pの両面に画像を形成する両面画像形成モード時に、片面に画像が形成されてから反転ユニット8の反転搬送路44に搬送されてスイッチバック搬送されることで表裏が反転される転写材Pを受け入れ、これを感光体4Y、4M、4C、4Kと転写ベルト3との間に形成される転写部へと再搬送する。
反転ユニット8は、複数の搬送ローラと、複数の搬送ガイド板とからなり、両面画像形成モード時に片面画像形成後の転写材を、その表裏を反転させて両面ユニット7へ送り出す機能や、画像形成後の転写材をそのままの向きで機外へ排出する機能、画像形成後の転写材を、その表裏を反転させて機外へ排出する機能を備えている。給紙カセット13、14が配置されている給紙部には、給紙カセット13、14上の転写材Pを1枚ずつに分離して給紙する分離給紙部45、46が設けられている。転写ベルト3の内側には、転写手段としての転写ブラシ47、48、49、50が感光体4Y、4M、4C、4Kに対向するように設けられている。
【0017】
本形態では、図示しない操作部により画像形成が指示されると、感光体4Y、4M、4C、4Kが図示しない駆動源により回転駆動されて時計回り方向に回転する。感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの各帯電ローラ16Y、16M、16C、16Kは、図示しない電源から帯電バイアスが印加されて感光体4Y、4M、4C、4Kをそれぞれ一様に帯電させる。感光体4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ帯電ローラ16Y、16M、16C、16Kにより一様に帯電された後に書き込み装置6にて、Y、M、C、K各色の画像データで変調されたレーザ光により露光されて、各表面に静電潜像が形成される。これら感光体4Y、4M、4C、4K上の静電潜像は、現像装置5Y、5M、5C、5Kにより現像されてY、M、C、K各色のトナー像となる。
給紙カセット13、14のうち選択された方の給紙カセットからは、1枚の転写材Pが分離されて、感光体ユニット2Yよりも給紙部側に配設されたレジストローラ51へ給紙される。本形態では、装置本体1の右方側部に手差しトレイ15が配置され、この手差しトレイ15からも転写材がレジストローラ51へ給紙可能とされている。レジストローラ51は、各転写材を感光体4Y、4M、4C、4K上のトナー像と先端が一致するタイミングで転写ベルト3上へ送り出す。送り出された転写材は、紙吸着ローラ52によって帯電される転写ベルト3に静電的に吸着されて各転写部へと搬送される。
【0018】
搬送された転写材には、各転写部を順に通過する際に、転写ブラシ47〜50により感光体4Y、4M、4C、4K上のY、M、C、K各色のトナー像が順次に重ね合わせて転写されることで、4色重ね合わせのフルカラートナー像が形成される。フルカラートナー像が形成された転写材は、定着装置9によりフルカラートナー像が定着され、その後は指定されたモードに応じた排紙路を通って排紙トレイ12に反転排出される場合や、定着装置9から直進して反転ユニット8内を通ってストレートに排紙される。
画像形成装置において、両面画像形成モードが選択されているときには、転写材Pは、片面にトナー像が形成されて定着装置9でトナー像が定着された後に、反転ユニット8内の反転搬送路44内に送り込まれ、ここでスイッチバックされてから両面ユニット7に搬送され、そこから再給紙されて表面画像形成時と同様に裏面に画像が形成されて排出される。
以上の作像動作は、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択されたときの動作であるが、3色重ね合わせのフルカラーモードが操作部で選択されたときにはKトナー像の形成が省略されてY、M、C3色のトナー像の重ね合わせによるフルカラー画像が転写材上に形成される。また、白黒画像形成モードが操作部で選択されたときには、Kトナー像の形成のみが行われて白黒画像が転写材上に形成される。
現像装置5Y、5M、5C、5Kは、トナー色だけが異なる以外は、同一構成となっているので、現像装置5Yを代表として、その構成を説明する。
【0019】
図2は、現像装置5Yの現像剤の搬送方向側から見た図である。
図2において、現像装置5Yは、Yトナーとキャリアを有する2成分現像剤が収容された現像ケース53と、この現像ケース53内に配置され現像ケース53の開口部を介して感光体4Yと対向するように配置された現像剤担持体としての現像スリーブ54と、現像ケース53内に配置され、現像剤を攪拌しながら搬送する撹拌部材としての多条のスクリュー部材55、56とを備えている。
現像ケース53は、感光体4Yへの現像剤の供給側に位置する第1の空間部65と、供給口62から補給トナーの供給を受ける第2の空間部64側とに仕切り壁53Sによって分割されている。スクリュー部材56は空間部65に、スクリュー部材55は空間部64にそれぞれ配置され、現像ケース53に設けた図示しない軸受部材によって回転自在に支持されている。無論、現像スリーブ54も図示しない軸受部材を介して現像ケース53に回転自在に支持されている。現像スリーブ54は、図示しない駆動手段から回転駆動力が伝達されることで回転する。
【0020】
図2に示すように、スクリュー部材55、56は、転写材Pの幅方向に延設されていて、互いに平行配置されている。スクリュー部材55、56の一端には、歯数の同じ歯車66、68が互いに噛合するように装着されている。本形態では、歯車66に対して駆動モータ69からの回転駆動力が伝達されることで、スクリュー部材55、56が互いに相反する方向に回転駆動される。スクリュー部材55は現像剤を左方から右方に向かって搬送する向きに回転し、スクリュー部材56は現像剤を右方から左方に向かって搬送する向きに回転する。
仕切り壁53Sの一端と現像ケース53の内側面53aの間には、空間部65から空間部64へ現像剤を送る受け渡し部59が形成され、仕切り壁53Sの他端と現像ケース53の内側面53bの間には、空間部64から空間部65へ現像剤を送る受け渡し部58がそれぞれ形成されている。現像ケース53には、現像剤中のトナー濃度を検知して出力するトナー濃度検知手段として図示しないがTセンサが装着されている。
【0021】
このような構成の現像装置5Yの動作を現像剤の搬送について説明する。現像ケース53内の2成分現像剤は、スクリュー部材55、56が等速回転すると、攪拌されつつ図2において右方から左方へと搬送され、受け渡し部59から搬送スクリュー56が配置された空間部65へと送られる。受け渡し部59から空間部65に送られた2成分現像剤は、搬送スクリュー56により撹拌されると同時に図2において右方向に搬送された後、受け渡し部58から空間部64側に送られ、再び搬送スクリュー55により撹拌されると同時に図2において左方向に搬送される。このように現像剤を攪拌しながら搬送することで、現像剤は現像装置5Y内を循環しながらYトナーとキャリアとが撹拌により摩擦帯電する。
搬送スクリュー56は現像剤の一部を現像スリーブ54に供給し、現像スリーブ54はその現像剤を磁気的に担持して搬送する。感光体4Y上の静電潜像は、現像スリーブ54上のYトナーで現像されてYトナー像となる。
現像ケース53内の現像剤のトナー濃度(トナーとキャリアの割合)が所定の値となると、Yトナーがトナー補給口62から現像ケース53内の空間部64側に補給される。このYトナーはスクリュー部材55による撹拌で現像剤と混合される。
【0022】
図3は、現像剤規制ローラを有する現像装置を示す図である。
現像剤担持体は、非磁性の回転可能な現像スリーブ54と、その内部に固定設置されている磁石ローラ57とを備え、現像スリーブ54と潜像担持体4表面との間に所定の現像間隔を保ちながら、図示しない駆動源によって現像スリーブ54が図中矢印方向に回転駆動するようになっている。
磁石ローラ57は磁極が複数、必要に応じて適宜配列されている。本実施の形態では、潜像担持体に対向する部分に現像極S1が配置され、この現像極S1の回転方向上流側には現像剤搬送極N1、S2、及び現像剤汲み上げ極N3が配置されている。現像剤は、汲み上げ極N3によって現像スリーブ上に磁力によって汲み上げられた後、現像スリーブの回転とともに搬送極S2、N1の磁力を受けながら搬送され、現像極S1において磁気ブラシを形成し、潜像にトナーを付与した後に、さらにN2極とN3極の間に形成された磁力を有さない部分によって現像スリーブから離脱し、現像剤層へと戻って行く。ここで、現像剤担持体内の磁極数はいくつであっても良く、さらに多くの磁極を有する態様もあり得る。
また、本実施例においては、現像剤担持体の磁石ローラにおける現像剤搬送極S2に対向して、現像剤規制ローラ72が設けられている。現像剤規制ローラ72は、現像剤担持体同様、内部に固定された複数の磁極を有し、その周囲を非磁性のスリーブが図示しない駆動源によって回転駆動するよう設置されている。
【0023】
図4は、現像剤担持体に汲み上げられた現像剤のうち、現像に際して余剰となる分は、現像剤規制ローラに移動し、必要量のみが現像剤担持体によって現像領域へと搬送される状態を示す図である。
現像剤担持体が保持して現像領域に搬送する量は、現像剤担持体内のS2極および、現像剤規制ローラ内のN11極の磁力、また、現像剤担持体と現像剤規制ローラ72との間隔によって変更可能である。現像剤規制ローラ72によって保持される余剰分の現像剤は、磁極S11、N12によって搬送され、N11極とN12極の間に形成された磁力を持たない部分から落ちて現像剤層へと戻る。現像剤規制ローラ72内の磁石ローラ71は、異なる磁極数でも可能であり、回転方向も現像剤担持体と同一回転方向に構成しても構わない。
【0024】
図5は、現像剤規制ローラによって現像剤を汲み上げる構成の現像装置である。本発明に係る現像装置は、図5に示したように、現像剤規制ローラによって現像剤を汲み上げ、必要量を現像剤担持体に受け渡す構成であっても問題なく、現像剤担持体の潜像担持体に対向する部分よりも回転方向上流側であれば、現像剤規制ローラをどこに配置しても良い。
一般的な現像剤規制部材(ブレード等)を使用した場合には、現像剤担持体との間に現像剤を通過させて余剰現像剤を削り落とすことによって現像剤層を形成する際に受ける現像剤ストレスは多大なものであるが、上記構成を用いれば、現像剤はストレスを受けることなく、現像剤担持体上に必要な量の現像剤層を形成することが可能となる。
さらに、逆帯電トナーによって起こる地肌汚れを防止するために、現像剤規制ローラに現像剤担持体にかかっている現像バイアスVbよりも大きい電圧Vsを印加することによって、この間に電界を形成することが好ましい。本実施例では負帯電性トナーを用いたが、この場合には逆帯電したトナーは電界中をマイナス方向に移動するので、Vbを−500Vに設定した場合には、Vsを−500V以上、−600Vもしくは−700Vに設定する。このように設定することによって、潜像担持体上の非画像部に付着してしまう逆帯電トナーを、現像剤が現像領域に搬送されてしまうのを未然に防止することが可能となる。
【0025】
図6は、現像剤規制ローラに対向して、導電性部材を配置した現像装置を示す図である。図6に示すように、現像剤規制ローラに保持された逆帯電トナーを、現像剤規制ローラに対向して、導電性部材81を配置し、そこに電圧を印加することによってトナーのみを分離、廃棄した上で、現像剤規制ローラ上の現像剤を現像装置内の現像剤に戻すことも可能である。この場合には現像剤中の不良トナーが常に現像装置外に排出されるため、また、トナーの入れ換えを積極的に促進させるということからも、さらに好ましい。
図7は、現像剤規制ローラ上の現像剤の一部を分離、廃棄する構成の現像装置を示す図である。図7に示すように、現像剤規制ローラ上の現像剤の一部を分離、廃棄し、廃棄された量と同量の現像剤あるいはキャリアを図示しない補給装置から随時補給することにより、現像剤を入れ換えていくことも可能である。この場合には、帯電不良トナーのみならず、長期間使用されて劣化したキャリアも交換されていくため、逆帯電あるいは弱帯電トナーが発生しにくくなるため、さらに好ましい。
【0026】
(実施例1)
本実施例では、図3に示した構成の現像装置を用い、以下に示す画像形成条件に設定した。
感光体径:90mm
感光体線速:125mm/sec
現像ローラ径:30mm
現像ローラ線速:180mm/sec
現像ギャップ:0.3mm
現像剤規制ローラ径:12mm
現像剤規制ローラ線速:240mm/sec
現像ローラ、現像剤規制ローラ間ギャップ:10mm
現像剤汲み上げ量:40mg/cm
キャリア平均粒径:35μm
トナー平均粒径:6μm
トナー外添剤:シリカ、チタン添加剤をトナーに対して1.5重量%添加
上記した条件において、画像面積率5%のチャートを120000枚連続出力し、40000枚出力毎に地肌汚れIDを測定した。また、初期と連続出力後の、トナー飛散による機内の汚染具合を評価した。なお、地肌汚れIDは0.03以上でNGであり、トナー飛散に関しては、機内の汚れ具合を目視にて、◎:初期と変わらず、○:若干の汚れ、△:許容レベル、×:不可、として評価を行った。また、画像の粒状性についても連続画像出力前後で目視にて、◎:非常に良い、○:良い、△:可、×:不可として評価した。その結果を表1に示す。
【0027】
(実施例2)
本実施例においては、実施例1の構成において、現像ローラと現像剤規制ローラとの間に電位差を設けた。現像バイアスの直流ー500Vに対して、現像剤規制ローラには直流ー700Vの電圧を印加して、上記実施例1と同様、連続出力試験、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
(実施例3)
本実施例の構成を図7に示す。実施例2の構成において、現像剤規制ローラに対向して導電性部材81を設置し、直流―400Vの電圧を印加し、現像剤規制ローラ上の現像剤中トナーを導電性部材に移動させ、トナーの入れ換えを促進する構成とした。この構成において、実施例1と同様、連続出力試験、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
(実施例4)
本実施例の構成を図6に示す。本実施例では、現像剤規制ローラ上の現像剤を一部廃棄し、廃棄された量と同量の現像剤あるいはキャリアを図示しない補給装置から随時補給する構成とした。また、実施例2と同様に、現像ローラと現像剤規制ローラとの間に電位差を設けている。この構成において、実施例1と同様、連続出力試験、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例1)
本実施例の構成を図8に示す。図8は、板状の現像剤規制部材によって現像剤層を規定する構成の現像装置を示す図である。現像剤規制部材91と現像スリーブ54間のギャップを0.65mmに設定した。この構成において、実施例1と同様、連続出力試験、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
以下、表1に示した結果について説明する。
実施例1では、経時において地肌汚れが悪化しているが、許容レベルである0.03以下をクリアしており、問題無い範囲であった。また、粒状性も試験後でも維持されていると共に、トナー飛散も問題無いレベルであった。
実施例2でも、経時において、地肌汚れが悪化する傾向は同じだが、実施例1に較べて改善されているといえる。また、粒状性、トナー飛散に関しても問題ないといえる。
実施例3、4では、地肌汚れ無く、粒状性、トナー飛散に関しても初期の状態を維持しているといえ、全く問題ないレベルであった。
比較例1では、画像出力枚数の増加に伴って地肌汚れが大きく低下している。また、試験後の粒状性、トナー飛散状態も悪化し、許容レベルを下回る結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る電子写真方式のフルカラープリンタを示すである。
【図2】本発明に係る現像装置を現像剤の搬送方向側から見た図である。
【図3】現像剤規制ローラを有する現像装置を示す図である。
【図4】必要量の現像剤が現像剤担持体によって現像領域へと搬送される状態を示す図である。
【図5】現像剤規制ローラによって現像剤を汲み上げる構成の現像装置を示す図である。
【図6】現像剤規制ローラに対向して、導電性部材を配置した現像装置を示す図である。
【図7】現像剤規制ローラ上の現像剤の一部を分離、廃棄する構成の現像装置を示す図である。
【図8】板状の現像剤規制部材によって現像剤層を規定する構成の現像装置を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 画像形成装置本体
2Y、2M、2C、2K 感光体ユニット
3 転写ベルト
4Y、4M、4C、4K 像担持体(感光体ドラム)
5Y、5M、5C、5K 現像装置
53 現像ケース
53S 仕切り壁
54 現像スリーブ
55、56スクリュー部材
57 磁石ローラ
58、59 受け渡し部
62 トナー補給口
64、65 空間部
66、68 歯車
69 駆動モータ
71 磁石ローラ
72 現像剤規制ローラ
81 導電性部材
91 現像剤規制部材
6 書き込み装置
7 両面ユニット
8 反転ユニット
9 定着装置
10 反転搬送路
11 排紙ローラ
12 排紙トレイ
13、14 給紙カセット
15 手差しトレイ
16Y、16M、16C、16K 帯電ローラ
19Y、19M、19C、19K クリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、
内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像方法であって、
現像剤担持体に対向して、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラを配置して現像剤担持体上の現像剤量を規制する
ことを特徴とする現像方法。
【請求項2】
現像剤担持体と、現像剤規制ローラ内部の磁極とが、互いに異なる極性を持って対向するように設置する
ことを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
現像剤担持体と現像剤規制ローラとが電位差を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の現像方法。
【請求項4】
現像剤担持体にかかる現像バイアスの直流成分の電圧をVbとするとき、現像剤規制ローラに印加する電圧Vsの値を、Vb>Vsとし、感光体上地肌汚れ量に応じて印加電圧を可変にする
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の現像方法。
【請求項5】
現像剤規制ローラが保持する現像剤の一部を廃棄する経路を有し、現像装置に設けられた現像剤あるいはキャリア補給装置から、廃棄された現像剤量に見合った量の現像剤もしくはキャリアを随時補給する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像方法。
【請求項6】
現像剤規制ローラに対向して導電性部材を設け、導電性部材に電圧を印加することによって、現像剤規制ローラと導電性部材の間を通過する現像剤中のトナーを導電性部材に移動させる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像方法。
【請求項7】
現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、
内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像装置であって、
現像剤担持体に対向して、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラを配置して現像剤担持体上の現像剤量を規制する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
現像剤担持体と、現像剤規制ローラ内部の磁極とが、互いに異なる極性を持って対向するように設置する
ことを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
現像剤担持体と現像剤規制ローラとが電位差を有する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の現像装置。
【請求項10】
現像剤担持体にかかる現像バイアスの直流成分の電圧をVbとするとき、現像剤規制ローラに印加する電圧Vsの値を、Vb>Vsとし、感光体上地肌汚れ量に応じて印加電圧を可変にする
ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
現像剤規制ローラが保持する現像剤の一部を廃棄する経路を有し、現像装置に設けられた現像剤あるいはキャリア補給装置から、廃棄された現像剤量に見合った量の現像剤もしくはキャリアを随時補給する
ことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の現像装置。
【請求項12】
現像剤規制ローラに対向して導電性部材を設け、導電性部材に電圧を印加することによって、現像剤規制ローラと導電性部材の間を通過する現像剤中のトナーを導電性部材に移動させる
ことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の現像装置。
【請求項13】
回転駆動する像担持体と、
担持体表面を所望の電位に帯電させる帯電手段と、
像担持体上に画像に対応した静電潜像を形成する露光手段と、
非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を内蔵し、
現像剤を混合撹拌しながら搬送する現像剤搬送経路を有し、
内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像手段であって、
現像剤担持体に対向して、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤規制ローラを配置して現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成装置において、
前記現像手段は、請求項8ないし12のいずれかに記載の現像装置である
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−3602(P2006−3602A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179556(P2004−179556)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】