説明

現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】乾式2成分現像において上記のトレードオフの関係にある現象の現像能力と清掃性を両立させることで、整ったドット現像を行う。
【解決手段】回転する非磁性スリーブの内側にマグネットを固定配置して構成した第1現像ローラ51及び第2現像ローラ52を像担持体12の上流側から下流側に備え、乾式2成分現像剤現像剤を第1現像ローラ51から順次第2現像ローラ52に搬送して、予め潜像を形成した像担持体12にトナー像を形成する現像装置14において、第2現像ローラ52のローラ磁極P1の主極角度を像担持体12の中心と第1現像ローラ51の中心とを結ぶ線に対して、上流側に15度以上の角度をなすよう配置した。また、第2現像ローラ52は、その現像領域での磁力線を前記像担持体に対してほぼ平行とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に係り、特に2成分現像剤を使用する現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の画像形成装置として、トナー(着色微粒子)とキャリア(磁性粒子)とからなる乾式2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含む)を使用して像担持体(感光体)を現像するものがある。このような画像形成装置としては、現像量を確保するため、現像装置として現像ローラを2段以上備えるものが提案されている。さらに、画質向上の目的で上下段の現像条件を異ならせる現像装置も提案されている。
【0003】
特許文献1には、現像に際してハーフトーン中のベタ画像の周辺に白抜けが生じる、いわゆる「ハロー画像」を改善するため、下段の主極の法線方向磁束密度を上段より強くし、下段の主極角度(感光体中心と現像ローラ中心を結ぶ直線と、主極半値幅の中心に直交する線とのなす角)を下流側に向けている現像装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、キャリア付着と地肌汚れトナーを下段ローラで回収するため、上下段の電界強度を異ならせ、下段の現像ギャップを上段より広げ、下段の現像バイアスの絶対値を上段より広げ、下段の線速比(現像ローラ線速/感光体線速)を上段より遅くする、現像装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述した2成分現像剤を使用する画像形成装置の現像領域では、磁極を対向させるよう配置している。従って、磁極の部分では垂直方向に磁力線が立つため、磁気ブラシが穂立ちし、法線方向の磁束密度は最大、接線方向の磁束密度は最小となる。さらに、この部分では、磁気ブラシが高くなるため、磁気ブラシ密度としては疎となる。そのため、感光体近傍のキャリアが動きやすくなるのでトナーを潜像に十分送れるようになり、現像量が上がることとなる。
【0006】
しかし、現像領域内の感光体近傍では、キャリアが一方向にしか束縛されていないため、磁気ブラシが折れ、キャリア付着しやすい(図9参照)。また、感光体近傍のキャリアが比較的動きやすいため、逆にキャリアの現像した面が感光体面でない面を向きやすく、地肌に付着したトナーや潜像のエッジ部などを現像した不要なトナー、ドットの中央での盛り上がったトナーを清掃しにくい。
【0007】
一方、磁極と磁極の間(以降、「腹」)では磁気ブラシは寝るため、法線方向の磁束密度は最小、接線方向の磁束密度は最大となる(図9参照)。また、この部分では磁気ブラシは現像ローラに対してほぼ水平になるため、磁気ブラシは低くなり、磁気ブラシ密度としては密となる。そのため感光体近傍の一度現像したキャリアが動きにくくなるので、潜像にトナーを十分に送りにくくなり、現像量が下がることとなる。
【0008】
しかし、キャリアが二方向に束縛されていて現像剤層も低くなっているため磁気ブラシが折れにくく、キャリア付着しにくい。また、感光体近傍のキャリアが比較的動き難いため、一度現像したキャリアはそのまま感光体を向いている場合が多くなり、地肌に付着したトナーや潜像のエッジ部などを現像した不要なトナー、ドットの中央での盛り上がったトナーを清掃しやすい。
【0009】
そこで、本発明は、乾式2成分現像において上記のトレードオフの関係にある現象の現像能力と清掃性を両立させることで、整ったドット現像を行うことができる現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、回転する非磁性スリーブの内側にマグネットを固定配置して構成した現像ローラを像担持体の上流側から下流側に複数段備え、トナーと磁性粒子とからなる乾式2成分現像剤現像剤を上流側の現像ローラから順次下流側の現像ローラに搬送して、予め潜像を形成した像担持体へ現像剤を摺擦させることでトナーを像担持体へ付着させてトナー像を形成する現像装置において、最下段の現像ローラの主極角度を像担持体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線に対して、上流側に15度以上の角度をなすよう配置したことを特徴とする現像装置である。
【0011】
請求項2の発明は、回転する非磁性スリーブの内側にマグネットを固定配置して構成した現像ローラを像担持体の上流側から下流側に複数段備え、トナーと磁性粒子とからなる乾式2成分現像剤現像剤を上流側の現像ローラから順次下流側の現像ローラに搬送して、予め潜像を形成した像担持体へ現像剤を摺擦させることでトナーを像担持体へ付着させてトナー像を形成する現像装置において、最下段の現像ローラは、その現像領域での磁力線を前記像担持体に対してほぼ平行とするよう構成したことを特徴とする現像装置である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、最下段より上流側に配置された現像ローラと像担持体との距離を最下段現像ローラの像担持体との距離より小さくしたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の現像装置において、最下段より上流側に配置された現像ローラの主極角度を像担持体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線上又は下流側に配置したことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の現像装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の現像装置又は請求項5に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、乾式2成分現像において上記のトレードオフの関係にある現象の現像能力と清掃性を両立させることができ、整ったドット現像を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係る画像形成装置の全体概略構成を示す断面図である。
【図2】画像形成装置の現像部を拡大して示す断面図である。
【図3】第1の実施例に係る現像装置を示す断面図である。
【図4】現像ローラの主極角度と現像量との関係を示すグラフである。
【図5】主極角度と地肌汚れとの関係を示すグラフである。
【図6】主極角度とキャリア付着量との関係を示すグラフである。
【図7】主極角度と粒状性の関係を示すグラフである。
【図8】第2の実施例に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】トナーの状態を示す模式図である。
【図10】第3の実施例に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】第4の実施例に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る現像装置は、回転する非磁性スリーブの内側にマグネットを固定配置して構成した現像ローラを像担持体の上流側から下流側に複数段備え、乾式2成分現像剤現像剤を上流側の現像ローラから順次下流側の現像ローラに搬送して、予め潜像を形成した像担持体へ現像剤を摺擦させることでトナーを像担持体へ付着させてトナー像を形成する現像装置において、最下段の現像ローラの主極角度を像担持体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線に対して、上流側に15度以上の角度をなすよう配置したものである。
【0019】
また、本発明に係る現像装置は、上述した現像装置において、最下段の現像ローラは、その現像領域での磁力線を前記像担持体に対してほぼ平行としたものである。
【実施例】
【0020】
<実施例1>
以下、本発明の一実施形態に係る実施例(以下では単に実施例と記載する)に係る画像形成装置について説明する。以下、画像形成装置として、レーザ複写機を例として説明するが、本発明はこれに限定されず、ファクシミリ装置、複写機、これらの機能を複合して備えた複合機にも適用できる。以下に、本発明の実施例をいくつか図示し、説明するが、本発明はこれらに限定されないことは明らかである。また本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、数多くの改良、変更、変形、置換をなすこと及び等価物を想到することは当業者には可能であろう。
【0021】
本実施例の一実施形態に係る画像形成装置は、2成分現像方法を採用する。2成分現像方式の現像装置として様々なものが公知であるが、本実施例ではアルミスリーブを用いた接触現像法を採用する。図1は実施例に係る画像形成装置の全体概略構成を示す断面図、図2は図1に示した画像形成装置の現像部を拡大して示す断面図である。
【0022】
画像形装置100は、画像形成装置本体10内にドラム状の像担持体12を備える。像担持体12の周囲には、帯電装置13、現像装置14、転写・搬送装置15、クリーニング装置16、除電装置17がそれぞれ配置されている。
【0023】
上記各装置の上部には、レーザ書込み装置18を備える。このレーザ書込み装置18には、レーザダイオード等の光源20、走査用の回転多面鏡21、ポリゴンモータ22、f−θレンズ等の走査光学系23などが配置されている。
【0024】
また、クリーニング装置16の図中左側には、定着装置25を備える。この定着装置25には、ヒータを内蔵する定着ローラ26と、その定着ローラ26に下方から押し当てる加圧ローラ27が配置されている。
【0025】
画像形成装置本体10内の上部には、原稿読取装置30を備える。この原稿読取装置0には、光源31、複数のミラー32、結像レンズ33、CCDセンサ等のイメージセンサ34などが備えられている。
【0026】
また、画像形成装置本体10内の下部には、両面ユニット35を備えており、この両面ユニット35からは、像担持体12の下方へと延長された給紙路36に連通する再給紙路37が設けられている。両面ユニット35へは、定着装置25出口から延長された排紙路38途中から分岐して反転路39が形成されている。
【0027】
画像形成装置本体10の上面には、コンタクトガラス40が設置されている。このコンタクトガラス40を被うように、画像形成装置本体10上には、自動原稿給紙装置41が開閉自在に取り付けられている。
【0028】
画像形成装置本体10は、給紙テーブル43上に載置されるようになっている。給紙テーブル43内には、給紙カセット44が多段に装備されている。各給紙カセット44には、それぞれ対応して給紙ローラ45が設けられている。給紙ローラ45は、繰り出したシートを、給紙路36に接続された搬送路46に導入するようになっている。搬送路46には、複数対の搬送ローラ47が設けられている。
【0029】
上記構成を備えたレーザ複写機を用いてコピーを行うには、自動原稿給紙装置41に原稿をセットし、又は自動原稿給紙装置41を開いてコンタクトガラス40上に直接原稿をセットする。そして、不図示のスタートスイッチを押し、自動原稿給紙装置41を駆動してコンタクトガラス40上に搬送した原稿を、又は予めコンタクトガラス40上にセットしてある原稿を、原稿読取装置30において画素単位で読み取る。
【0030】
原稿読み取り動作に合わせて適宜の給紙ローラ45が回転され、給紙テーブル43内に配置される複数の給紙カセット中の対応する給紙カセット44内からシートを繰り出し、搬送路46に入れて搬送ローラ47で搬送し、給紙路36に入れてレジストローラ48に突き当てて止める。その後、像担持体12の回転にタイミングを合わせて該レジストローラ48を回転し、像担持体12の下方へとシートが送り込まれる。
【0031】
不図示のスタートスイッチを押したとき、同時に像担持体12を図中時計方向に回転する。そして、その像担持体12の回転とともに、まず帯電装置13で表面を一様に帯電し、次いで上述した原稿読取装置30で読み取った読み取り内容に応じてレーザ光Lを照射してレーザ書込み装置18で書込みを行い、像担持体12の表面に静電潜像を形成し、そののち現像装置14でトナーを付着してその静電潜像を可視像化する。
【0032】
像担持体12の下方へと送り込まれたシートに対して、転写・搬送装置15でその可視像を転写する。画像転写後の像担持体12表面は、残留トナーをクリーニング装置16で除去して清掃し、除電装置17で除電して、その後の再度の画像形成に備える。
【0033】
一方、画像転写後のシートは、転写・搬送装置15で搬送して定着装置25に入れ、定着ローラ26と加圧ローラ27とで熱と圧力とを加えて転写画像を定着する。その後、排紙路38を通して、例えば画像形成装置本体10に取り付けた不図示のトレイ上に排出する。なお、この複写機を用いてシートの裏面にも記録を行うときには、片面に記録後、反転路39を通して両面ユニット35へと入れ、そこで反転して再び像担持体12の下方へと送り込み、別途像担持体12上に形成した画像を同様に裏面にも転写してから、例えば不図示のトレイ上に排出する。
【0034】
現像装置14は、図2に示すように、現像タンク50と現像ホッパ60とを備えてなる。現像タンク50は現像ケース59を備え、この現像ケース59内には、第1現像ローラ51、第2現像ローラ52、パドルホイール53、攪拌ローラ54、搬送スクリュ55、セパレータ56、ドクターブレード57、トナー濃度センサ58などが配置されている。また、現像ケース59内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収納されている。前記現像ホッパ60内には、歯車状のトナー補給部材61、補給規制板62、アジテータ63などを備える。この現像ホッパ60内には、トナーを収納している。
【0035】
図2において、現像装置14は、現像ケース59内の2成分現像剤を攪拌ローラ54の回転により攪拌して摩擦帯電し、パドルホイール53の回転によって跳ね上げ、第1現像ローラ51の磁石によって第1現像ローラ51に吸着する。
【0036】
第1現像ローラ51、及び第2現像ローラ52は、回転稼動する現像スリーブと現像ローラに内包され固定されたマグローラとからなる。現像スリーブはアルミ製であり、マグローラは永久磁石が使用されている。本実施例の現像ローラは径がφ20である。現像スリーブ表層はサンドブラストで粗くしたもの、又は軸方向にV字状の溝を切ったものが用いられる。サンドブラスト処理したスリーブの表面粗さRz(十点平均粗さ)は10〜30[μm]程度の範囲が良好であり、これより粗くなると保持量が極端に増加しトナーの電荷量が低減する。また10[μm]を下回ると十分な現像剤量が保持できなくなり、結果的に現像能力低下をきたす。
【0037】
ポリエステル樹脂を主成分とするトナー(平均粒径6[μm])と平均粒径が35[μm]の磁性粒子であるキャリアを7wt%に均一混合した現像剤が500g充填され、攪拌ローラ54によって、トナーとキャリアの均一混合と帯電付与を行っている。磁気ブラシ中のトナーは、キャリアと混合されることで規定の帯電量を得る。トナーとキャリアの摩擦帯電は、パドルホイール53、攪拌ローラ54、搬送スクリュ55の回転・搬送によるトナーの均一化や、現像ローラ51とドクターブレード57とのギャップを磁界に保持されつつ搬送されることによる摺擦力によって行われ、トナーの帯電が付与される。トナーの帯電量としては、−10〜−50[μC/g]の範囲が好適であり、本実施例のトナーの帯電量をブローオフ法で測定したところ、実験室で数10枚の画像を印刷した後では−35μC/gであった。
【0038】
ここで、第2現像ローラ52のパドルホイール53側は、スリーブ上表面磁束密度を12mTとしてあるため、パドルホイール53の回転によって跳ね上げられた現像剤は吸着することはない。
【0039】
第1現像ローラ51に吸着した現像剤は、第1現像ローラ51外周のスリーブにより搬送してドクターブレード57により余剰分を掻き落として後、現像バイアスにより像担持体12に付着してその像担持体12上の静電潜像を現像する。
【0040】
第1現像ローラ51のスリーブ上の現像剤は、第2現像ローラとの近接部において、第2現像ローラ52のスリーブ上に移動し、現像磁極部分にて再び静電潜像を現像する。このように本発明の現像装置14は、現像ローラ1本の現像装置と比較すると、2本の現像ローラによって現像を行うため実質的に現像領域が広く、高い現像能力が得られている。
【0041】
現像装置14においては、像担持体12に付着してトナーを消費すると、その割合(トナー濃度)が減少する。そこで、現像剤中のトナー濃度がトナー濃度の目標値に対して所定値以下になると、アジテータ63を回転してトナーを攪拌するとともにトナー補給部材61へと搬送し、そのトナー補給部材61を回転して補給規制板62を揺動し、現像ホッパ60から現像タンク50内へとトナーを補給して現像剤中のトナー濃度を維持する。
【0042】
現像剤中のトナー濃度は、現像ケース59に取り付けるトナー濃度センサ58により測定する。トナー濃度の目標値は、像担持体12上に作成した測定用トナー像(パターン)をフォトセンサで測定した値により設定する。
【0043】
ところで、上述した通、像担持体12に付着したトナーは、転写・搬送装置15によってシートに静電転写する。ところが、約10%のトナーは、未転写となって像担持体12上に残る。未転写となって像担持体12上に残った残留トナーは、クリーニング装置16に設けるクリーニングブレード65及びブラシローラ66によって像担持体12上から掻き落とす。
【0044】
クリーニング装置16によって像担持体12上から掻き落とされたトナーは、クリーニング装置16の回収タンク67内に入る。そして、回収スクリュ68によってクリーニング装置16の片側に搬送し、不図示の排出口から排出して図示しない廃トナータンクへと導く。これらの構成を備える現像装置14は、像担持体12等と一体として構成され、全体として画像形成装置に着脱できるプロセスカートリッジとして構成することができる。
【0045】
次に現像装置14の詳細な構成について説明する。図3は第1実施例に係る現像装置を示す断面図である。本実施例に係る現像装置14は、第1現像ローラ51及び第2現像ローラ52を備えている。第1現像ローラ51は、スリーブ内に5つのローラ磁極P1〜P5を備え、第2現像ローラ52には3つのローラ磁極P12、P22、P32を備えている。第1現像ローラ51のスリーブ表面に吸着した現像剤は、第1ローラ現像磁極であるP1極で穂立ちし、像担持体12上の静電潜像を現像する。現像剤は第1現像ローラ51のスリーブの回転により第2現像ローラ52との近接部で、第2現像ローラ52のスリーブ表面に移動する。
【0046】
そして第2現像ローラ52表面上の現像剤は、第2現像ローラ52の現像磁極であるP12極で穂立ちし、再度像担持体12の現像を行う。現像の終了した現像剤は、そのまま搬送され現像ケース59内に戻る。
【0047】
ここで、本実施例に係る現像装置14では、第2現像ローラ52は、現像磁極であるP12極(主極)の主極角度を15度以上(本例では15度)となるよう構成している。ここで、前記主極角度は、像担持体12の中心点と第2現像ローラ52の中心点とを結んだ線分(図中A)と、主極における磁束密度の半値幅の中心を通る線とのなす角をいう。図では、P12で示す一点鎖線が前記主極における磁束密度の半値幅の中心を通る線を示している。
【0048】
以下、現像装置における主極角度と現像結果について説明する。まず主極角度と現像料との関係について説明する。図4は現像ローラの主極角度と現像量との関係を示すグラフである。この実験は、2段現像の上段(第1現像ローラ)のみで行ったものであり、下段の主極角度は上流に7°とし、上流側への角度を「+」にとっている。図4から主極角度を上流側に大きくしていくと示すように現像能力は徐々に小さくなっていくことがわかる。
【0049】
次に主極角度と地肌汚れとの関係について説明する。図5は主極角度と地肌汚れとの関係を示すグラフである。この実験は、2段現像の下段(第2現像ローラ)のみで行ったものであり、上段の主極角度は上流に7°としている。図5から、主極角度を上流側に大きくするほど地肌汚れは改善することがわかる。
【0050】
さらに、同様に主極角度とキャリア付着との関係について説明する。図6は主極角度とキャリア付着量との関係を示すグラフである。この実験は、2段現像の下段(第2現像ローラ)のみで行ったものあり、地肌ポテンシャルを通常より高めの150V、Q/M上限の45μC/gにして、2*2のドット画像をとり、画像上の白抜けを目立たせる方法で画像をとった。図6から主極角度を上流側に大きくするほど改善することがわかる。
【0051】
以上のように、地肌汚れやキャリア付着に関しては主極角度を大きくしたほうが良いが、多段現像は、本来現像能力向上を目的とするものなので、現像能力が大きく低減する条件はとらず、上下段とも主極角度は上流側6〜7度とするのが通常の条件となっている。
【0052】
しかし地肌汚れやキャリア付着は、感光体にいったん付着した弱帯電トナーや付着キャリアを磁気ブラシが電気的・磁気的に再付着するため、最終段の寄与が大きい。
【0053】
また、現像能力に関しては、2段現像の場合、現像剤などの条件にもよるが、通常範囲での使用の場合、1段目は8〜9割、2段目で1〜2割の現像能力があり、上段の寄与が大きい。
【0054】
以上の結果から、本実施例に係る現像装置では、上段では最大限現像能力を高める条件に設定し、下段で、その上段の条件のために悪化した地肌汚れ、キャリア付着を磁気ブラシに再付着させ画像を整えるように設定する。
【0055】
また下段を、良好な清掃性を得ることができる条件にすることで、ドットトナー像のエッジ部や中央に多く付着した余分なトナーをかきとり、トナー像を整えることができる。
【0056】
2段現像装置の下段ローラの主極角度を振った場合の、ドットの再現性について説明する。図7は主極角度と粒状性の関係を示すグラフである。この実験は、下段ローラ(第2現像ローラ)の主極角度とドットの再現性を目視のランクで示したものである。図7により、主極角度を上流15°以上にすることで粒状性がランク5となることがわかる。以上のこれらの実験は2段現像装置についての行ったものであるが、3段以上に配置された現像ローラのうち最終段のみ主極角度を15°以上にすれば同様の効果が得られることは明らかである。
【0057】
<実施例2>
次に本発明の第2の実施例に係る現像装置について説明する。前記第1の実施例に係る現像装置の清掃性をより良好にするため、第2の実施例に係る現像装置では、下段ローラの現像領域での磁力線が感光体に対して、略平行とする。
【0058】
図8は第2の実施例に係る現像装置の概略構成を示す断面図、図9はトナーの状態を示す模式図である。実施例2では、感光体の中心点と現像ローラの中心点とを結ぶ線に対して、上流・下流それぞれ同じ角度(40°)をもって、磁束密度110mTの磁極を配置した。
【0059】
本実施例に係る現像装置14では、現像領域での磁力線が略平行となる。通常の現像では、図9に示すように、穂の部分が現像領域のやや入り口側にあり、磁力線が磁石から垂直にでているため磁気ブラシが高くなる。現像ギャップ(感光体と現像ローラの最近接距離)は磁気ブラシの穂より狭いため、感光体近傍で磁気ブラシが折れ、一点でしか磁気ブラシが束縛されていないために折れたキャリアが動きやすいが、腹の部分では、磁力線が水平方向になっているため磁気ブラシが低くなり、磁気ブラシは密になるのでキャリアは動きにくい。
【0060】
腹の中央部分ではキャリアがもっとも密で動きにくいため、清掃性も最悪となる。ただしこの方法では清掃性が悪すぎるため、1段目の現像量をより大きくする必要がある。
【0061】
本実施例に係る現像装置14では、図8に示すように、下段の、現像領域をはさんで上流・下流の磁極の磁束密度と、感光体中心・現像ローラ中心を結んだ線Aとのなす角度を同じ(40°)にしたので、現像領域での磁力線が感光体とほぼ平行になり、磁気ブラシの清掃能力が上がり、不用に現像されたトナーをかきとることができた。本実施例に係る現像装置では、下段が通常の主極角度上流7°の場合が粒状性ランク4出あったのに対して、ランク5となった。
【0062】
<実施例3>
次に本発明の第3の実施例に係る現像装置について説明する。図10は第3の実施例に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。本実施例に係る現像装置14は、前記第1乃至第3の実施例に係る現像装置において、上段での現像能力を高めるために上段での現像ギャップ(感光体と現像ローラとの最近接距離)を下段より狭くした。この実施例では図10に示すように、上段即ち第1現像ローラ51の現像ギャップを0.2mm、下段即ち第2現像ローラ52の現像ギャップを0.3mmとした。
【0063】
現像ギャップは、狭ければ狭いほうが、現像能力は向上する(現像の理論式から、m/A∝現像ポテンシャル*線速比/現像ギャップ*Q/M)。しかし、ギャップの公差は変わらないため狭いほど現像能力のばらつきが大きくなることとなる。しかしながら、本実施例のように下段において現像を整える目的で使用すれば、上段における現像ギャップの公差を狭めずにギャップを狭くすることができる。
【0064】
<実施例4>
次に本発明の第4の実施例に係る現像装置について説明する。図11は第4の実施例に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。本実施例に係る現像装置14は、前記第1乃至第3の実施例に係る現像装置14において、上段即ち第1現像ローラ51の現像能力を上げるために上段現像ローラの主極角度を下流側に向けた。本実施例では、図11に示すように、第1現像ローラ51のローラ磁極P1の主極角度を−5度とした。ここで、前記主極角度は、像担持体12の中心点と第1現像ローラ51の中心点とを結んだ線分(図中B)と、主極における磁束密度の半値幅の中心を通る線とのなす角をいう。図では、P1で示す一点鎖線が前記主極における磁束密度の半値幅の中心を通る線を示している。
【0065】
図4でわかるように、この主極角度は0度からやや下流側のほうが、現像能力が高くなることから、第1現像ローラ51における現像能力を向上させることができる。
【0066】
以上説明してきた実施例によれば、最終段の現像ローラの主極角度が、感光体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線に対して、上流側に15度以上の角度をなすようにしたので、上段で現像量を大きくとり、下段で無駄に現像されたトナーを清掃することで作成された潜像に近い現像を行うことができる。
【0067】
また、最終段の現像ローラの、現像領域での磁力線が感光体に対してほぼ平行にしたので、上段で現像量を大きくとり、下段で無駄に現像されたトナーを清掃することで作成された潜像に近い現像を行うことができる。
【0068】
また、最下段より上流側に配置された現像ローラの像担持体と現像ローラとの距離(現像ギャップ)を最下段現像ローラの現像ギャップより狭くしたので、上段で現像量を大きくとるにもかかわらず、現像ギャップの精度がある程度ばらついても下段でトナー像を整えることができ、作成された潜像に近い現像を行うことができる。
【0069】
そして、最下段より上段側に配置された現像ローラの主極角度を像担持体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線上又は下流側にしたので、上段で現像量を大きくとるにもかかわらず、主極角度が下流を向いていることで感光体についたキャリア付着も下段でとり、かつ、下段でトナー像を整え潜像に近い現像を行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置本体
12 像担持体
13 帯電装置
14 現像装置
15 搬送装置
16 クリーニング装置
17 除電装置
18 レーザ書込み装置
20 光源
21 回転多面鏡
22 ポリゴンモータ
23 走査光学系
25 定着装置
26 定着ローラ
27 加圧ローラ
30 原稿読取装置
31 光源
32 ミラー
33 結像レンズ
34 イメージセンサ
35 両面ユニット
36 給紙路
37 再給紙路
38 排紙路
39 反転路
40 コンタクトガラス
41 自動原稿給紙装置
43 給紙テーブル
44 給紙カセット
45 給紙ローラ
46 搬送路
47 搬送ローラ
48 レジストローラ
50 現像タンク
51 第1現像ローラ(上流側の現像ローラ)
52 第2現像ローラ(最下段の現像ローラ)
53 パドルホイール
54 攪拌ローラ
55 搬送スクリュ
56 セパレータ
57 ドクターブレード
58 トナー濃度センサ
59 現像ケース
60 現像ホッパ
61 トナー補給部材
62 補給規制板
63 アジテータ
65 クリーニングブレード
66 ブラシローラ
67 回収タンク
68 回収スクリュ
100 画像形装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2004−177949号公報
【特許文献2】特開2008−281867号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する非磁性スリーブの内側にマグネットを固定配置して構成した現像ローラを像担持体の上流側から下流側に複数段備え、トナーと磁性粒子とからなる乾式2成分現像剤現像剤を上流側の現像ローラから順次下流側の現像ローラに搬送して、予め潜像を形成した像担持体へ現像剤を摺擦させることでトナーを像担持体へ付着させてトナー像を形成する現像装置において、
最下段の現像ローラの主極角度を像担持体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線に対して、上流側に15度以上の角度をなすよう配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
回転する非磁性スリーブの内側にマグネットを固定配置して構成した現像ローラを像担持体の上流側から下流側に複数段備え、トナーと磁性粒子とからなる乾式2成分現像剤現像剤を上流側の現像ローラから順次下流側の現像ローラに搬送して、予め潜像を形成した像担持体へ現像剤を摺擦させることでトナーを像担持体へ付着させてトナー像を形成する現像装置において、
最下段の現像ローラは、その現像領域での磁力線を前記像担持体に対してほぼ平行とするよう構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
最下段より上流側に配置された現像ローラと像担持体との距離を最下段現像ローラの像担持体との距離より小さくしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
最下段より上流側に配置された現像ローラの主極角度を像担持体の中心と現像ローラの中心とを結ぶ線上又は下流側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の現像装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の現像装置又は請求項5に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−42854(P2012−42854A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186050(P2010−186050)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】