説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】層厚規制部材周辺でのトナーの循環性が良好な現像装置及びこれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ72とトナー薄層を形成するための層厚規制部材76と、現像ローラ72にトナーを供給するトナー供給ローラ73と、トナー収容部71のトナーを循環させるためのトナー攪拌部材74と、を有する現像装置7において、トナー攪拌部材74を、層厚規制部材76の折曲部76aよりも先端側の先端部76bの延長線によりも下方に設け、トナー攪拌部材74の先端の周回線と前記延長線との最短距離を5mm以下とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどに用いられる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像装置の1つとして一成分現像装置が広く用いられている。これに用いられる現像装置は、像担持体に対し水平に設置して、現像装置内のホッパー室から攪拌羽根で現像剤を水平方向に搬送して現像剤担持体に供給する水平型構造をとるものが多い。一般に、この水平型構造の現像装置は現像剤移動方向が重力方向と異なるため分散性がよく画像均一性がよい。
3〜4色の画像を合成してカラー画像を形成する画像形成装置の場合には、潜像担持体を含む現像ユニットを3〜4台配置する必要があり、装置全体をコンパクトにし、かつ現像剤の容量を確保するためには、現像ユニットを垂直に重ねるのではなく水平に配置することが好ましい。また、このように現像ユニットを水平に配置し、画像形成装置全体をコンパクトにするには、ホッパーを現像部の上方に配置する、いわゆる縦型構造をとる必要がある。
【0003】
しかしながら、一成分現像装置としてこのような縦型構造の現像装置を用いて現像すると、現像剤の残量や、放置による現像剤の締り、攪拌部材の回転により、現像剤担持体上に供給された現像剤を所定量に規制する規制部材に加わる圧力が変動し、現像画像に濃度変化や画像ムラが発生する。
このため、縦型構造をとる現像装置では、規制部材に加わる現像剤の圧力が変化しないように、ホッパー部と現像部を分割し、ホッパー部から現像部に現像剤を補給する装置を設け、現像部に現像剤センサを設け、現像部の現像剤が減った場合、ホッパー部から現像剤を補給する手段が必要となり、高コスト化を招く原因となっていた。
【0004】
上記問題点に鑑み、現像装置の改良が進められている従来技術としては、例えば、現像剤の層厚規制部材との圧接部上流側に対しトナーコアが滞留するのを阻止する滞留阻止材を備え、層厚規制部材を現像ローラとのニップ幅が現像ローラの回転方向に対して点接触となる剛体部材とした一成分現像装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。一成分現像装置では、トナー薄層形成を実施している層厚規制部材周辺のトナーの循環が非常に重要である。トナーの循環が必要な理由はトナーの循環性が悪くトナーが規制部材の先端に滞留すると、滞留したトナーは規制部材の圧力によりトナー表面にある添加剤が埋没/脱落し、トナーの荷電性が低下する。また、ブレードでの発熱の影響により規制部材への固着の原因となる。若しくは、現像剤担持体上に付着し、トナーの搬送量低下・荷電性低下の現象が発生する。そして、トナーの規制部材への固着は白スジを発生させ、トナーの搬送量低下は画像濃度低下を発生させ、また、荷電性低下は地肌汚れ(かぶり)等の異常画像を発生させる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−79322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、層厚規制部材周辺でのトナーの循環性が良好な現像装置及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の現像装置は、現像剤担持体とトナー薄層を形成するための層厚規制部材と、現像剤担持体にトナーを供給するトナー補給部材と、トナー収容部のトナーを循環させるためのトナー攪拌部材と、を有する現像装置において、前記トナー攪拌部材は、前記層厚規制部材の折曲部よりも先端側の先端部の延長線によりも下方に設けられ、トナー攪拌部材の先端の周回線と前記延長線との最短距離が5mm以下であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、上記に記載の現像装置において、前記トナー攪拌部材の線速とトナー補給部材の線速比(攪拌線速/補給線速)が1.5以上であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、上記に記載の現像装置において、前記層厚規制部材の先端部の曲げ角度は90°以下であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、上記のいずれかに記載の現像装置において、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーが用いられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の現像装置は、さらに、上記のいずれかに記載の現像装置において、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーが用いられていることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、上記のいずれかに記載の現像装置において、少なくとも窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤及び離型剤を有機溶剤中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させて得られる現像剤であることを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジは、上記のいずれかに記載の現像装置を備えていることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、上記のいずれかに記載の現像装置を備えていることを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジは、上記に記載のプロセスカートリッジを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決する手段としての現像装置及びこれを備える画像形成装置では、層厚規制部材周辺でのトナーの循環性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示している。画像形成装置本体の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の像担持体(感光体ともいう)1Y,M,C,Kが並行して配設されている。すなわち、この画像形成装置は、タンデム型のカラーレーザー複写機である。画像形成装置本体は、プリンタ部100と、プリンタ部100を載せる給紙装置200とを備えている。圧板開閉式スキャナは、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ部本体300と、スキャナ部本体300に回動自在に設けられた自動原稿送り装置400とを備えている。
上記プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4個のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の部材であることを示している。プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、及びベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0012】
原稿をコピーする際には、ユーザーは、例えばシート原稿の束を自動原稿送り装置400の原稿台30にセットする。又は、1枚の原稿をコンタクトガラス32の上に載置する。1枚ずつコンタクトガラス32の上に載置する場合、先ず、スキャナ部本体300に対して自動原稿送り装置400を上方へ回動させ、コンタクトガラス32を露出させる。この後、コンタクトガラス32に原稿を載置し、次いで自動原稿送り装置400を下方へ回動させてコンタクトガラス32との間に原稿を挟み込む。
【0013】
このようにして原稿をセットした後、コピースタートスイッチを押下すると、スキャナ部本体300による原稿読取動作がスタートする。ただし、自動原稿送り装置400にシート原稿をセットした場合には、この原稿読取動作に先立って、自動原稿送り装置400が作動してシート原稿をコンタクトガラス32まで移動させる。原稿読取動作では、先ず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光は、第2走行体34内に設けられたミラーで反射し、次いで、結像レンズ35を通過し、最後に読取センサ36に入射する。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。シート原稿が自動原稿送り装置400によりコンタクトガラス32上に載置された場合には、シート原稿は原稿排紙部31に排紙される。
このような原稿読取動作と併行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器、中間転写ユニット17、二次転写装置22、及び定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各像担持体1Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらのトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせて転写され、4色トナー像となる。
【0014】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200は給紙動作を開始する。この給紙動作では、複数の給紙ローラ42のうちの1個が選択的に回転させられ、ペーパーバンク43内に多段に設けられた給紙カセット44のうちの1つから転写紙が送り出される。転写紙が送り出される際、分離ローラ45で1枚ずつ転写紙が分離されて1枚ずつ転写紙が給紙路46に進入する。その後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。一方、給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合がある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択的に回転させられ、手差し給紙ローラ50によって転写紙が画像形成装置内に送り出される。その際、複数枚の転写紙が相互の摩擦力により一体として搬送されようとするが、分離ローラ52があるので、転写紙は1枚ずつ搬送されることになる。このようにして1枚ずつ転写紙がプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙される。
【0015】
以下、画像形成装置の構成要素(光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22及び定着装置25)について説明する。なお、フルカラー画像を形成する場合を前提として説明する。
先ず、光書込ユニット21について説明する。光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて像担持体1の表面にレーザー光を照射する。すると、帯電装置によって一様帯電された像担持体1は、レーザー光が照射された部分について表面電位が減衰する。この減衰により、像担持体1の表面に静電潜像が形成される。このようにして形成された静電潜像は現像装置7Y,M,C,Kによって現像されてトナー像となる。
なお、像担持体1に形成されたトナー像は、中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の像担持体1の表面にはトナーが残っているため、クリーニング装置によって像担持体1の表面がクリーニングされる。そして、潤滑剤塗布装置を経た後、除電器によって除電され、帯電装置によって一様帯電され、初期状態に戻る。
【0016】
次いで、中間転写ユニット17について説明する。中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110とベルトクリーニング装置90を有している。また、中間転写ユニット17は、従動ローラ14、駆動ローラ15、二次転写ローラ16、及び4個の一次転写ローラ62Y,M,C,Kを有している。中間転写ベルト110は、従動ローラ14を含む複数のローラによって張架されている。そして、中間転写ベルト110は、モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって無端移動する。4個の一次転写ローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面に接触するようにして配設され、図示しない電源から一次転写バイアス電圧が印加される。また、一次転写ローラ62Y,M,C,Kは、中間転写ベルト110をその内周面側から像担持体1Y,M,C,Kに向けて押圧して一次転写ニップを形成する。そして、一次転写バイアス電圧の影響により、像担持体1Y,M,C,Kと一次転写ローラ62Y,M,C,Kとの間(一次転写ニップ)に一次転写電界が形成される。
【0017】
像担持体1Y上に形成されたYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110に一次転写される。このYトナー像には、像担持体1M,C,Kに形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わされる。この重ね合わせにより、中間転写ベルト110には多重トナー像である4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト110に転写された4色トナー像は、二次転写ニップで転写紙に転写される。二次転写ニップ通過後にトナーが表面に残留した中間転写ベルト110は、従動ローラ14とベルトクリーニング装置90との間に挟み込まれ、ここでベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0018】
次いで、二次転写装置22について説明する。二次転写装置22は、中間転写ユニット17の下方に設けられている。また、二次転写装置22は、2個の張架ローラ23によって張架された紙搬送ベルト24を備えている。紙搬送ベルト24は、少なくともいずれか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、無端移動する。2個の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された張架ローラ23は、二次転写ローラ16と対になって、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟込みにより、中間転写ベルト110と紙搬送ベルト24とが接触して二次転写ニップが形成される。そして、この右側の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアス電圧が印加される。この二次転写バイアス電圧の印加により、二次転写ニップにおいて中間転写ベルト110から張架ローラ23側に向けてトナーが静電移動する二次転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト110に転写された4色トナー像に同期するようにレジストローラ対49によって二次転写ニップに送り込まれた転写紙に、二次転写電界及びニップ圧の影響により4色トナー像が転写される。なお、張架ローラ23に二次転写バイアス電圧を印加する方式に代えて、帯電チャージャで転写紙を非接触状態で帯電させる方式を採用してもよい。
【0019】
画像形成装置本体の下部に設けられた給紙装置200には、複数の転写紙を束の状態にして収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に間隔を置いて複数配設されている。給紙カセット44の一番上の転写紙には、給紙ローラ42が押し当てられている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙は給紙路46に向けて送り出される。
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46には、複数の搬送ローラ対47と、給紙路46の末端付近に設けられたレジストローラ対49とが設けられている。転写紙は、搬送ローラ対47を介してレジストローラ対49に向けて搬送される。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、二次転写ニップにおいて4色トナー像を転写させることができるタイミングでローラ間に挟み込んだ転写紙を送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に転写される。このようにしてフルカラー画像が印刷された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って移動し、次いで紙搬送ベルト24から定着装置25に送られる。
【0020】
最後に、定着装置25について説明する。定着装置25は、定着ベルト26を2個のローラによって張架させながら無端移動させる装置であるベルトユニットと、定着ベルト26を押圧する加圧ローラ27とを備えている。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2個のローラのうち、加圧ローラ27に押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を備えており、このローラの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着する。
定着装置25で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板から突設したスタック部57に排紙されるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために二次転写ニップに戻されるかする。
【0021】
なお、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面を像担持体1Y,M,Cから離間させる。そして、4個の像担持体1Y,M,C,Kのうち、像担持体1Kだけを回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、像担持体1だけでなく、現像装置7の駆動をも停止させる。
【0022】
図2は、現像装置7の詳細を示している。この現像装置7には、縦長のトナー収容部71の内側に、像担持体1に接触し像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付与する現像ローラ72が設けられている。また、現像装置7には現像剤担持体である現像ローラ72に接触し現像ローラ72にトナーを供給するトナー補給部材であるトナー供給ローラ73が設けられている。このトナー供給ローラ73の上側近傍にはトナーを攪拌するトナー攪拌部材74が設けられている。このトナー攪拌部材74はトナー収容部71内のトナーを攪拌して循環させ、トナーの滞留を防ぐ機能を有している。トナー攪拌部材74の上方には、トナー収容部71の中央付近に配置されたトナー攪拌部材75が設けられており、トナー収容部71内のトナーを全体的に攪拌している。
【0023】
現像ローラ72の周面には、トナー薄層を形成するための層厚規制部材76が設けられている。この層厚規制部材76の折曲部76aよりも先端側は、斜め上方に向けて直線状に折り曲げられており、層厚規制部材76は断面L字状にされている。そして、層厚規制部材76の折曲部76aは現像ローラ72の周面に当接している。層厚規制部材76の先端部76bの延長線(図中、二点鎖線)よりも下方に前記トナー攪拌部材74は設けられている。より具体的には、トナー攪拌部材74の先端の周回線は、前記延長線より下方に位置している。このようにトナー攪拌部材74を配置することにより、層厚規制部材76を通過することができない現像ローラ72上のトナーをトナー供給ローラ73上に搬送することが可能となるからである。仮に、図3に示すように、層厚規制部材76の延長線上にトナー攪拌部材74が存在すると、層厚規制部材76で掻き取られたトナーの流れが阻害されることになり、トナーの滞留を十分に防止することができなくなる可能性がある。
そして、トナー攪拌部材74の先端の周回線と前記延長線との最短距離が5mm以下にされている。最短距離を5mm以下とするのは、5mmを超えるとトナー攪拌部材74による搬送力が伝わり難くなるからである。
前記層厚規制部材76の先端部76bの曲げ角度θ(図4記載)は90°以下にされている。先端部76b付近のトナーの流れを阻害しないようにするためである。
【0024】
図中、現像ローラ72及びトナー供給ローラ73は反時計回り方向に回転しており、トナー攪拌部材74は時計回り方向に回転している。トナー攪拌部材74の線速とトナー供給ローラ73の線速比(攪拌線速/補給線速)は1.5以上にされている。トナー供給ローラ73からトナーを剥ぎ取り易くなり、トナー供給ローラ73の周辺のトナーの流れがよくなり、かつ、トナー攪拌部材74で攪拌されるトナーの流れが大きくなり層厚規制部材76の先端部76bのトナーの滞留を防止することができる。仮に、線速比を1.0とするとトナー供給ローラ73とトナー攪拌部材74との最近接部で同速度で動いていることになり、トナー供給ローラ73からのトナーの回収性が良好でない。また、回収性を向上させるためにはトナー供給ローラ73とトナー攪拌部材74とを相互に反対方向に回転させる方法が挙げられるが、この場合、層厚規制部材76の先端部76b付近でトナーが滞留し、トナーの循環が不十分になる。
【0025】
次に本発明に係わるトナーについて説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーが用いられている。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。体積平均粒径(Dv)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生し易い。体積平均粒径(Dv)が8μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0026】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
【0027】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。

トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。このような範囲であるとトナーの流動性が良好だからである。図5及び図6は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0028】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0029】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと像担持体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋反応及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。このようなトナーは流動性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の現像装置の一実施形態を示す説明図である。
【図3】図3は、好ましくない層厚規制部材が用いられた現像装置の例を示す説明図である。
【図4】図4は、層厚規制部材の詳細を示す説明図である。
【図5】図5は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図6】図6は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【符号の説明】
【0031】
1 像担持体
7 現像装置
71 トナー収容部
72 現像ローラ
73 トナー供給ローラ
74 トナー攪拌部材
75 トナー攪拌部材
76 層厚規制部材
76a 折曲部
76b 先端部
14 従動ローラ
15 駆動ローラ
16 二次転写ローラ
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
30 原稿台
31 原稿排紙部
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
50 手差し給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
57 スタック部
62 一次転写ローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
110 中間転写ベルト
200 給紙装置
300 スキャナ部本体
400 自動原稿送り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体とトナー薄層を形成するための層厚規制部材と、
現像剤担持体にトナーを供給するトナー補給部材と、
トナー収容部のトナーを循環させるためのトナー攪拌部材と、
を有する現像装置において、
前記トナー攪拌部材は、前記層厚規制部材の折曲部よりも先端側の先端部の延長線によりも下方に設けられ、トナー攪拌部材の先端の周回線と前記延長線との最短距離が5mm以下である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記トナー攪拌部材の線速とトナー補給部材の線速比(攪拌線速/補給線速)が1.5以上である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
前記層厚規制部材の先端部の曲げ角度は90°以下である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の現像装置において、
体積平均粒径(Dv)が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーが用いられている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の現像装置において、
形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーが用いられている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の現像装置において、
少なくとも窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤及び離型剤を有機溶剤中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させて得られる現像剤である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の現像装置を備えている
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の現像装置を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−282193(P2009−282193A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132860(P2008−132860)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】