説明

現像装置、画像形成カートリッジおよび画像形成装置

【課題】現像剤の攪拌不足や混合不足を改善することにより、現像されるトナー像における濃度むらを低減する。
【解決手段】現像ユニット40は、現像剤Dを攪拌搬送し現像ロール43に供給する供給オーガ44と、供給オーガ44とは逆方向に現像剤を攪拌搬送する攪拌オーガ45と、供給オーガ44を収容する供給室46と攪拌オーガ45を収容する攪拌室47とを仕切る仕切り壁48とを備える。そして、仕切り壁48の軸方向両端部には、攪拌室47から供給室46に現像剤Dを受け渡すための第1連通口48aおよび供給室46から攪拌室47に現像剤Dを受け渡すための第2連通口48bが形成される。そして、第1連通口48a側の仕切り壁48には傾斜した第1側端482が設けられる。第1連通口48aでは、この第1側端482を乗り越えて攪拌室47から供給室46に現像剤Dが受け渡される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、現像装置を備えた画像形成カートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を用いた画像形成装置では、例えば感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像する現像装置が使用されている。この種の現像装置としては、感光体ドラムに対向した開口を備えたハウジング(現像容器)内に、磁性を有するキャリアおよび着色樹脂を主体とするトナーを含む現像剤(二成分現像剤)を収容し、現像用開口に面した箇所には現像ロールを、現像ロールの背面側には現像剤を攪拌しながら循環搬送する一対の攪拌部材(搬送スクリュー)を、それぞれ装着したものが知られている(特許文献1参照。)。この現像装置では、一対の攪拌部材にてトナーおよびキャリアを攪拌搬送することで、現像剤を混合するとともにトナーを帯電する。次に、現像ロールに設けられた磁極により現像剤を現像ロール上に吸着して搬送させる。そして、現像ロールと感光体ドラムとが対向する現像領域において、感光体ドラムの潜像形成部位へとトナーを選択的に転移付着させ、感光体ドラム上にトナー像を形成する。
【0003】
また、上記特許文献1記載の現像装置では、一対の攪拌部材による現像剤の攪拌搬送動作を円滑なものとするために、一対の攪拌部材の間を仕切る仕切り壁が設けられる。ただし、仕切り壁の長手方向両端には、各攪拌部材による搬送路を連通接続する連通口が設けられる。これにより、一対の攪拌部材により攪拌搬送される現像剤は、ハウジング内において循環搬送される。
【0004】
また、この種の現像装置では、トナーを用いて感光体ドラム上の静電潜像を現像すると、現像剤に占めるトナーの割合(トナー濃度)がその分だけ減少する。そして、トナー濃度が減少すると、現像により形成されるトナー像の濃度が低下していき、最終的には画像不良を招いてしまう。このため、上記特許文献1記載では、現像装置に新たなトナーを補給する補給口が設けられている。そして、補給口を介して現像装置に供給されたトナーは、既に現像装置内にある現像剤とともに一対の攪拌部材により攪拌搬送されることで混合、帯電された後、現像ロールに供給される。
【0005】
【特許文献1】特開平5−88543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の現像装置では、現像剤を十分に攪拌混合した状態で現像ロールに供給する目的で、上記連通口を画像形成領域(感光体ドラムの軸方向においてトナー像の形成が可能な領域)の外側に設けていた。すなわち、まず現像ロールから遠い側の攪拌部材で現像剤(および補給されたトナー)を攪拌搬送し、その後、連通口を介して現像ロールに近い側の攪拌部材にこの現像剤を受け渡し、こちらの攪拌部材でさらに現像剤を攪拌混合してから、現像ロールに供給を行っていた。
【0007】
しかしながら、画像形成領域よりも外側に連通口を配置すると、現像装置の小型化ひいては画像形成装置自体の小型化が困難になってしまうという問題が生じた。
一方、ただ単に画像形成領域の内側に連通口を配置すると、現像剤の攪拌混合が不十分になってしまうおそれがあった。このように現像剤の攪拌混合が不十分であると、トナーの帯電不良が発生して感光体ドラム上に現像されるトナー像の濃度が低下したり、あるいは縞状の濃度むらが生じるなどの不具合が生じてしまうことになる。
【0008】
本発明は、かかる技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、現像剤の攪拌不足や混合不足を改善することにより、現像されるトナー像における濃度むらを低減することのできる現像装置等を提供することにある。
また他の目的は、装置の小型化を図るとともに、現像剤の十分な攪拌混合性能を維持することのできる現像装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明が適用される現像装置は、静電潜像を保持する潜像保持体との対向部に開口を有し、内部には現像剤を収容するハウジングと、ハウジングの開口に面して回転可能に配設され、現像剤を保持するとともに潜像保持体上の静電潜像を現像する現像剤保持体と、ハウジングの内部に設けられ、現像剤を現像剤保持体の軸方向に沿って攪拌搬送するとともに現像剤を現像剤保持体に供給する第1攪拌搬送部材と、ハウジングの内部に設けられ、現像剤を第1攪拌搬送部材とは逆方向に攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、ハウジングの内部に設けられ、第1攪拌搬送部材を収容する第1搬送室と第2攪拌搬送部材を収容する第2搬送室とを仕切るとともに、ハウジングとの間に第2搬送室と第1搬送室とを連通接続する連通口を形成する隔壁とを備え、連通口では、第2搬送室内の現像剤が、第2攪拌搬送部材の軸方向に沿って隔壁を徐々に乗り越えながら第1搬送室に受け渡されることを特徴としている。
【0010】
このような現像装置では、連通口側の隔壁の高さが、第2攪拌搬送部材による現像剤の搬送方向に沿って低くなるように形成されることを特徴とすることができる。また、第1攪拌搬送部材および第2攪拌搬送部材が水平方向に並べて配列され、隔壁が垂直方向に配設されることを特徴とすることができる。さらに、現像剤はトナーおよびキャリアを含むことを特徴とすることができる。この場合に、第2搬送室にトナーを補給するトナー補給部をさらに備えることを特徴とすることができる。
【0011】
また他の観点から捉えると、本発明は、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられる画像形成カートリッジであって、静電潜像を保持する潜像保持体と、潜像保持体に保持された静電潜像を現像する現像装置を含み、現像装置は、潜像保持体との対向部に開口を有し、内部には現像剤を収容するハウジングと、ハウジングの開口に面して回転可能に配設され、現像剤を保持するとともに潜像保持体上の静電潜像を現像する現像剤保持体と、ハウジングの内部に設けられ、現像剤を現像剤保持体の軸方向に沿って攪拌搬送するとともに現像剤を現像剤保持体に供給する第1攪拌搬送部材と、ハウジングの内部に設けられ、現像剤を第1攪拌搬送部材とは逆方向に攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、ハウジングの内部に設けられ、第1攪拌搬送部材を収容する第1搬送室と第2攪拌搬送部材を収容する第2搬送室とを仕切るとともに、ハウジングとの間に第2搬送室と第1搬送室とを連通接続する連通口を形成する隔壁とを備え、連通口が、第2攪拌搬送部材による現像剤の搬送方向上流側から下流側に向けて大きくなるように形成されることを特徴としている。
【0012】
このような画像形成カートリッジにおいて、第2攪拌搬送部材は、回転可能に配設される軸と、軸の外周面に螺旋状に形成される螺旋羽根と、第2搬送部材による現像剤の搬送方向から見て連通口の最上流位置と対向する領域において軸の外周面に突出形成される突起とを備えることを特徴とすることができる。
【0013】
さらに他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、潜像保持体と、潜像保持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成部にて潜像保持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像部と、現像部にて潜像保持体に形成されたトナー像を記録材に転写する転写部とを含み、現像部は、潜像保持体との対向部に開口を有し、内部にはトナーおよびキャリアを含む現像剤を収容するハウジングと、ハウジングの開口に面して回転可能に配設され、現像剤を保持するとともに潜像保持体上の静電潜像をトナーで現像する現像剤保持体と、ハウジングの内部に設けられ、現像剤を攪拌搬送するとともに現像剤を現像剤保持体に供給する供給部材と、ハウジングの内部に設けられ、現像剤を攪拌搬送することにより供給部材との間で現像剤を循環移動させる攪拌部材と、ハウジングの内部に設けられ、供給部材を収容する供給室と攪拌部材を収容する攪拌室とを仕切るとともに、ハウジングとの間に攪拌室から供給室へと現像剤を受け渡す第1連通口および供給室から攪拌室へと現像剤を受け渡す第2連通口を形成する仕切り壁とを備え、第1連通口側の仕切り壁には、第2連通口側の仕切り壁よりも高さが低い低位部を設けたことを特徴としている。
【0014】
このような画像形成装置では、仕切り壁の軸方向長さが、潜像保持体上に形成される静電潜像の軸方向長さよりも短く設定されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤の攪拌搬送を行う際に隔壁を利用して現像剤を混合させるようにしたので、現像剤の攪拌不足や混合不足を改善することが可能となり、その結果現像されるトナー像における濃度むらを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置10は、本体10a内に4つの色のプロセスカートリッジ(画像形成ユニット、ドラムカートリッジ)11a、11b、11c、11dを縦方向に順に配列した所謂タンデム型である。また、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の対応した箇所に、用紙Pが略垂直下方から上方に搬送される搬送路12が配置されている。そして、最下段(最上流)のプロセスカートリッジ11aの更に下方(上流側)には、搬送路12を搬送されてトナー像が順に転写される用紙Pを収容するための給紙カセット13が配設されている。なお、給紙カセット13に収容される用紙Pの大きさに起因して給紙カセット13の一部が本体10aの奥側(リヤ側、イン側)に突出するように構成され、用紙Pが小さいサイズであれば、本体10aから突出しない。
【0017】
画像形成カートリッジの一つとしてのプロセスカートリッジ11a〜11dは、搬送路12の上流側から順にイエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用のトナー像を形成するものである。このプロセスカートリッジ11a〜11dの各々は、感光体ドラム(像担持体)14と、感光体ドラム14の周囲に順次配設されている各種の電子写真用デバイスと、を一体的にカートリッジ化したものである。
【0018】
プロセスカートリッジ11a〜11dの搬送路12の反対側には、プロセスカートリッジ11a〜11dに共通の露光装置15が配設されている。この露光装置15は、各色に対応した画像データに基づいて図示しない4つの半導体レーザを点灯駆動する。そして、この4つの半導体レーザからの光を図示しないポリゴンミラーで偏向走査し、図示しないfθレンズ及び複数枚の反射ミラーを介して感光体ドラム14上の露光ポイントに導くことで、感光体ドラム14上に光像を描くように構成されている。
【0019】
プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の感光体ドラム14に対応した箇所には、搬送路12に沿って循環移動する搬送ベルト16が配設されている。この搬送ベルト16は、用紙Pを静電吸着し得るベルト素材にて構成され、一対からなる駆動ローラ17A及び従動ローラ17Bに掛け渡されている。また、搬送路12には、搬送ベルト16に用紙Pを静電吸着させるための吸着ローラ18が配設されている。
【0020】
プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の感光体ドラム14に対応した搬送ベルト16の裏面側には、転写部として機能する転写ローラ19が配設されている。この転写ローラ19は、感光体ドラム14と搬送ベルト16上の用紙Pとを密着させて感光体ドラム14に形成されたトナー像を用紙Pに転写するためのものである。
【0021】
最上段(最下流)プロセスカートリッジ11dの更に上方(下流側)の搬送路12には、定着装置20が設けられている。本体10aの上部には、定着装置20によりトナー像が定着されて排出された用紙Pを収容するための排紙部21が本体10aと一体に設けられている。また、本体10aには、定着装置20によって片面が定着された用紙Pを表裏反転させて搬送路12に再度送り込むための反転用搬送路22が配置されている。
【0022】
また、画像形成装置10の本体10aには、下端に設けた回動支点Jを中心に回動可能な手差しトレイ23が配設されている。すなわち、この手差しトレイ23は、手前側(フロント側、アウト側)に開閉可能に構成されている。この手差しトレイ23を開放する方向に回転させると、図示しない差し込み窓に所望の用紙Pをセットすることができる。このように、画像形成装置10は、給紙カセット13に収容されている用紙P以外の用紙Pを手差しトレイ23から給紙できるように構成されている。
【0023】
ここで、トナー像を転写する用紙Pがセットされた状態にて、図示しない制御装置に対してユーザが指示することにより、給紙カセット13の用紙P及び手差しトレイ23の用紙Pのいずれか一方が所定のタイミングで送出される。そして、送出された用紙Pは、複数の搬送ローラ24を介して搬送路12に搬送され、搬送ベルト16を介してプロセスカートリッジ11a〜11dの各々の転写位置へと送り込まれる。
【0024】
図2は、フロントカバー25を説明するための図である。
図1および図2に示すように、画像形成装置10の本体10aには、下端に設けた回動支点Jを中心に回動可能なフロントカバー25が配設されている。このフロントカバー25は、閉じた状態では本体10aと共に外部カバーとして機能する。すなわち、フロントカバー25は、給紙カセット13よりも上側でかつ画像形成装置10の手前側の側壁部を構成する。
【0025】
フロントカバー25には、搬送ベルト16、駆動ローラ17A、従動ローラ17B、吸着ローラ18、転写ローラ19及び反転用搬送路22が取り付けられている。したがって、フロントカバー25を開けると、これらの部品が随伴して本体10a側から離間する。このため、フロントカバー25を開けることでプロセスカートリッジ11a〜11dが露出し、また、搬送路12へのユーザによるアクセスが容易になる。
【0026】
ここで、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々は、本体10aに対し略水平方向に着脱自在に装着されている。このため、本体10aのフロントカバー25を開けることにより、プロセスカートリッジ11a〜11dの着脱操作を行うことが可能になる。なお、図示しないセット検出センサがプロセスカートリッジ11a〜11dの各々のセット状態を検出し、その検出結果を図示しない制御装置に出力する。
【0027】
このように、フロントカバー25を開けることで、プロセスカートリッジ11a〜11dを露出させて交換することができる。また、感光体ドラム14を露出した状態にして紙詰まりに対処(ジャムクリア)することができる。こうして画像形成装置10のメンテナンス性を向上させている。
【0028】
また、給紙カセット13は、本体10aに設けられるカセット収容部26に収容されており、本体10aの手前側から引き出し可能となるように構成されている。より詳しくは、手差しトレイ23及びフロントカバー25を閉じた状態でカセット収容部26に対して給紙カセット13の引き出しや挿入が可能である。
【0029】
図3は、プロセスカートリッジ11dの構成の一例を示す図である。なお、他のプロセスカートリッジ11a、11b、11cも、内蔵するトナーの色を除いて、プロセスカートリッジ11dと同じ構成を有している。
本実施の形態におけるプロセスカートリッジ11dは、感光体ドラム14と、感光体ドラム14の周囲に配設される帯電装置31、現像装置32、除電装置33、およびクリーニング装置34を備える。また、プロセスカートリッジ11dは、サブトナー補給ユニット35および把手36をさらに備える。
【0030】
これらのうち、潜像保持体として機能する感光体ドラム14は回転可能に配設されており、図示しない駆動モータによって駆動される。また、感光体ドラム14の外周面には図示しない感光層が形成されている。
帯電装置31は、感光体ドラム14に接触配置される帯電ロール31aと、帯電ロール31aに接触配置される帯電クリーナ31bとを備える。帯電ロール31aは回転可能に取り付けられており、感光体ドラム14の回転に伴って従動回転する。そして、帯電ロール31aには、図示しない電源により感光体ドラム14を所定の電位(本実施の形態では負極性)に帯電させるための帯電バイアスが印加される。また、帯電クリーナ31bは、回転可能なロール部材あるいはブラシ部材等によって構成され、帯電ロール31aの回転に伴って従動回転する。そして、帯電クリーナ31bは、感光体ドラム14から帯電ロール31aに転移付着したトナー等の異物を除去する。なお、本実施の形態では、これら帯電装置31および露光装置15によって、潜像形成部が構成されている。
【0031】
除電装置33は、感光体ドラム14の軸方向に向かって伸びる透明のロッド部材33aと、ロッド部材33aを保持するフレーム33bと、ロッド部材33aの軸方向端面に対向配置されるLED(図示せず)とを備える。ロッド部材33aは例えばプラスチック等にて構成され、外周面の軸方向に直交する方向に複数の溝が形成されている。
【0032】
クリーニング装置34は、クリーニングブレード34aと、ブラケット34bと、トナー回収機構34cとを備える。クリーニングブレード34aは感光体ドラム14の軸方向に沿って取り付けられる短冊状の部材であり、例えばウレタンゴム等にて構成される。また、クリーニングブレード34aは、感光体ドラム14の回転方向と対向する方向に圧接配置される。そして、クリーニングブレード34aは、ブラケット34bを介してクリーニング装置34のハウジングに固定されている。トナー回収機構34cは、軸34dを中心に回転可能に配設されるアーム34eと、このアーム34eの自由端側に装着される掻き取り部材34fとを備える。
【0033】
サブトナー補給ユニット35はトナーを収容するサブトナー収容室35aと、サブトナー収容室35a内に配設される第1サブアジテータ35bおよび第2サブアジテータ35cとを備える。このサブトナー収容室35a内には、所定量のトナーが収容される。
【0034】
なお、プロセスカートリッジ11dにおいて、現像装置32とクリーニング装置34およびサブトナー補給ユニット35との間には、露光装置15から出射される露光ビームを感光体ドラム14上に導くための開口が形成されている。このため、サブトナー補給ユニット35とメイントナー補給ユニット60とを接続する接続パイプ66は、プロセスカートリッジ11dの図中奥側であって露光装置15による露光ビームを邪魔しない位置に取り付けられている。
また、把手36はプロセスカートリッジ11dの装着時あるいは交換時に、ユーザによる操作性を向上させるために取り付けられている。
【0035】
次に、図3〜図6を参照しつつ、現像装置32の構成について詳細に説明する。ここで、図4は現像装置32を図3の上部側から見た上面図、図5はその現像装置32の斜視図、図6は現像装置32内に設けられた仕切り壁48、第1連通口48aおよび第2連通口48b(詳細は後述)を示す図である。但し、図4及び図5では、現像装置32から後述する上部ハウジング41bおよび現像ロール43を取り外した状態を示している。
現像部として機能する現像装置32は、感光体ドラム14上の静電潜像をトナーTで現像する現像ユニット40と、この現像ユニット40にトナーTを補給するメイントナー補給ユニット60とを備える。なお、この現像ユニット40では、トナーTおよび磁性を有するキャリア(図示せず)を含む現像剤Dを用いている。そして、上記サブトナー補給ユニット35も現像装置32の構成部材として機能しており、後述するようにメイントナー補給ユニット60にトナーTを補給している。
【0036】
また、現像装置32は現像ユニット40とメイントナー補給ユニット60とを水平方向に一体化した構成を有している。現像装置32は、感光体ドラム14との対向部に開口部42が設けられたハウジング41を備えている。本実施の形態では、現像ユニット40が感光体ドラム14の下方に配置されており、開口部42は上向きに形成される。ハウジング41は、下部ハウジング41aと、下部ハウジング41aに嵌め合わせられる上部ハウジング41bと、下部ハウジング41aおよび上部ハウジング41bの内側で両者に取り付けられるサブハウジング41cとを有する。これら下部ハウジング41a、上部ハウジング41b、およびサブハウジング41cにより、現像ユニット40とメイントナー補給ユニット60とが仕切られている。
【0037】
現像ユニット40は、現像ロール43、一対のオーガ(供給オーガ44、攪拌オーガ45)、仕切り壁48、仕切り板49、および層厚規制部材50を備える。
現像剤保持体として機能する現像ロール43は、ハウジング41の開口部42に面した部位に取り付けられている。現像ロール43は、例えば内部に固定配設されるマグネットロール43aと、このマグネットロール43aの外周面に回転可能に配設される現像スリーブ43bとを備える。ここで、マグネットロール43aの外周面には、軸方向に沿って配設される磁極が、周方向に複数配列されている。そして、現像スリーブ43bの軸方向端部には図示しないギヤ等が設けられ、モータからの駆動を受けて回転する。また、現像スリーブ43bには図示しない電源により所定の現像バイアスが印加される。
【0038】
さらに、供給オーガ44および攪拌オーガ45は、ハウジング41内の現像ロール43の背面側下部に配設される。これら供給オーガ44および攪拌オーガ45は、現像ロール43の軸方向に沿って設けられる。ここで、供給オーガ44は現像ロール43に近い側に、攪拌オーガ45は現像ロール43から遠い側に、それぞれ配設される。そして、これら供給オーガ44および攪拌オーガ45は、水平方向に並べて配設される。また、下部ハウジング41aには、その内壁から上方に向かって伸び、供給オーガ44による現像剤Dの搬送経路を含む供給室46と攪拌オーガ45による現像剤Dの搬送経路を含む攪拌室47とを仕切る仕切り壁48が設けられている。なお、本実施の形態では、供給オーガ44が第1攪拌搬送部材あるいは供給部材として機能し、攪拌オーガ45が第2攪拌搬送部材あるいは攪拌部材として機能する。また、本実施の形態では、供給室46が第1搬送室として機能し、攪拌室47が第2搬送室として機能する。
【0039】
ここで、隔壁として機能する仕切り壁48は、図6に示すように、上端481と、第1側端482と、第2側端483とを備えている。
これらのうち、上端481は供給オーガ44および攪拌オーガ45の軸方向に沿って一定の高さを有している。
また、第1側端482は、下部ハウジング41aの側壁とともに供給室46と攪拌室47とを連通接続する第1連通口48a(連通口)を形成する。すなわち、本実施の形態では、第1側端482が低位部として機能する。なお、第1連通口48aでは、図4に示したように、攪拌室47から供給室46に向けた現像剤Dの受け渡しが行われる。ここで第1側端482は上端481の一端部から下部ハウジング41aの側壁に向けて徐々にその高さが低くなるように形成されている。従って第1連通口48aは、攪拌室47における現像剤Dの搬送方向から見て、徐々にその開口面積が大きくなるように形成されている。
一方、第2側端483は、下部ハウジング41aの他の側壁とともに供給室46と攪拌室47とを連通接続する第2連通口48bを形成する。この第2側端483はほぼ垂直方向に形成されている。なお、第2連通口48bでは、図4に示したように、供給室46から攪拌室47に向けた現像剤Dの受け渡しが行われる。
そして、仕切り壁48の軸方向両端位置は、現像ロール43による画像形成領域(感光体ドラム14上において画像形成可能な主走査方向領域)よりも内側に配置される。したがって、仕切り壁48の軸方向長さは、画像形成領域の軸方向長さよりも短く設定される。
また、上部ハウジング41bには、図3に示すようにその内壁から下方に向かって伸び、仕切り壁48とともに供給室46と攪拌室47とを仕切る仕切り板49が設けられている。そして、仕切り板49の下端側には、軸方向に沿ってシールフィルム(図示せず)が装着されている。このシールフィルムの自由端側は仕切り壁48の上端481側に接触している。なお、このシールフィルムの軸方向端部側は、仕切り壁48の第1側端482や第2側端483に接触していない。
【0040】
また、供給オーガ44は、現像ロール43の軸方向に沿って伸びる軸44aとこの軸44aの外周面に螺旋状に取り付けられた羽根44bとを有している。一方、攪拌オーガ45も、現像ロール43の軸方向に沿って伸びる軸45aとこの軸45aの外周面に螺旋状に取り付けられた羽根(螺旋羽根)45bとを有している。また、攪拌オーガ45は、軸45aの外周面に取り付けられた板状の第1突起45cおよび第2突起45dをさらに有している。第1突起45cは第2連通口48bと後述するトナー補給口68との間に配置される。また、第2突起45dは第1連通口48a側であって仕切り壁48における第1側端482の開始端側に配置される。
【0041】
そして、供給室46および攪拌室47には、トナーTおよびキャリアを含む現像剤Dが収容される。なお、収容される現像剤Dの量は、供給オーガ44および攪拌オーガ45が現像剤D中に埋まり、且つ、仕切り壁48の上端481を超えない程度である。
【0042】
層厚規制部材50は、ハウジング41内であって図3に示す現像ロール43の左斜め上方に設けられている。この層厚規制部材50は、現像ロール43の軸方向に沿って現像ロール43に対し一定のギャップを形成する。この層厚規制部材50は円柱状のシャフトにて構成されており、現像ロール43上に保持された現像剤Dを所定厚さに規制する。
【0043】
なお、上部ハウジング41bの開口部42側の端部には、シール部材51が装着されている。このシール部材51は、現像ロール43の軸方向に沿って伸び、その自由端側が現像ロール43と軽く接触するように取り付けられる。このシール部材51は、現像ユニット40からのトナーTの噴き出しを抑制するために設けられる。したがって、現像ロール43に対するシール部材51の圧接力は、開口部42からのトナーTの噴き出しを抑制でき、且つ、現像ロール43上に保持された現像剤Dを掻き落とさない程度に設定される。
【0044】
一方、トナー補給部として機能するメイントナー補給ユニット60は、トナー収容室61、第1アジテータ62、第2アジテータ63、トナー補給室64、補給オーガ65、および接続パイプ66を備える。
トナー収容室61は、下部ハウジング41aと、サブハウジング41cの内壁から上方に向かって伸びる下部仕切り壁61aと、上部ハウジング41bおよび上部ハウジング41bの内壁から下方に向かって伸びる上部仕切り壁61bとによって形成される。なお、これら下部仕切り壁61aおよび上部仕切り壁61bは現像ロール43の軸方向に沿って配設され、互いに密着している。なお、トナー収容室61はトナーTを収容している。
【0045】
第1アジテータ62および第2アジテータ63は、トナー収容室61内に水平方向に並べて配設される。ここで、第1アジテータ62は現像ユニット40から遠い側に配設され、第2アジテータ63は現像ユニット40に近い側に配設される。第1アジテータ62は、現像ロール43の軸方向に沿って回転可能に配設される軸62aと、この軸62aの外周面に取り付けられたフィルム部材62bとを備える。他方、第2アジテータ63も、現像ロール43の軸方向に沿って回転可能に配設される軸63aと、この軸63aの外周面に取り付けられたフィルム部材63bとを備える。
【0046】
トナー補給室64は、下部ハウジング41aと下部ハウジング41aから上方に湾曲して形成されるサブハウジング41cとの間に形成される。トナー補給室64は、円筒状の形状を有しており、その内部には補給オーガ65が取り付けられる。搬送部材として機能する補給オーガ65は、攪拌オーガ45の軸方向と平行に伸びる軸65aと、この軸65aの外周面に螺旋状に取り付けられた羽根65bとを有している。また、補給オーガ65は、軸65aの外周面に取り付けられた突起65cをさらに有している。この突起65cは後述するトナー補給口68と対向する位置に配置される。
【0047】
さらに、サブハウジング41cの一端部側(図3における奥側)には、トナー収容室61とトナー補給室64とを連通接続するトナー搬入口67が形成される。一方、サブハウジング41cの他の一端部側(図3における手前側)には、トナー補給室64と攪拌室47とを連通接続するトナー補給口68が形成される。
【0048】
次に、図1及び図2を参照しつつ、この画像形成装置10の基本的な作像プロセスについて説明する。まず、図示しない画像読取装置(スキャナ)や図示しないコンピュータ装置等から出力される画像データが画像形成装置10に入力されると、図示しない画像処理装置により所定の画像処理が施される。画像処理装置は、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、ガンマ補正、枠消し編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理を施す。画像処理が施された各色(YMCK)の画像データは、露光装置15に出力される。
【0049】
露光装置15では、入力された各色の画像データに応じて各半導体レーザから出射された露光ビームを、感光体ドラム14に照射している。感光体ドラム14では、帯電装置31(帯電ロール31a)によってその表面が所定の帯電電位に帯電された後、露光装置15によって走査露光され、静電潜像が形成される。次に、感光体ドラム14に形成された静電潜像は、現像装置32によって現像されトナー像となる。なお、現像装置32における現像動作の詳細については後述する。
【0050】
次に、各感光体ドラム14上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム14と各転写ローラ19とが当接する転写部に搬送される。一方、用紙搬送系は、最上流のイエローのトナー像がイエローの転写部に到達するタイミングに合わせて、手差しトレイ23あるいはカセット収容部26から用紙Pを供給する。供給された用紙Pは吸着ローラ18により搬送ベルト16に吸着された状態で、各転写部に順次突入していく。
【0051】
各色の転写部では、搬送されてきた用紙Pが、順次搬送ベルト16を介して感光体ドラム14と転写ローラ19との間に挟み込まれる。その際、転写ローラ19には、トナーの帯電極性(ここでは負極性とする)と逆極性の転写バイアス(正極性)が印加される。すると、転写ローラ19から搬送ベルト16上の用紙Pに感光体ドラム14上のトナーとは逆対極性の電荷が付与される。これにより、感光体ドラム14上に保持されたトナーは用紙P上に静電的に転移付着し、その結果用紙Pにトナー像が静電転写される。なお、転写部を通過した感光体ドラム14は除電装置33によって除電され、また、感光体ドラム14上に残留したトナー等の異物はクリーニング装置34によって除去され、次の画像形成に備える。なお、クリーニング装置34において、クリーニングブレード34aにて除去されたトナー等の異物は、アーム34eの回動に伴って水平方向に往復運動する掻き取り部材34fによって掻き取られ、廃トナー収容室に運ばれる。
【0052】
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送ベルト16に静電吸着された状態でさらに搬送され、用紙Pの搬送方向下流側に設けられた定着装置20まで送られる。定着装置20に搬送された用紙P上のトナー像は、定着装置20において熱および圧力による定着処理を受けることによって用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置10の上部に設けられた排紙部21に排出され、一連の画像形成動作が完了する。
【0053】
では次に、図3〜図6を参照しつつ、画像形成動作における現像装置32の動作を説明する。
現像ユニット40では、供給オーガ44および攪拌オーガ45が回転を行っている。これにより、供給室46では供給オーガ44が一方向(図3および図6では図中奥側から手前側、図4では図中上方から下方)に現像剤Dを搬送し、攪拌室47では攪拌オーガ45が供給オーガ44とは逆方向(図3および図6では図中手前側から奥側、図4では図中下方から上方)に現像剤Dを搬送する。供給室46および攪拌室47は長手方向両端側において第1連通口48aおよび第2連通口48bで連通接続されているため、現像剤Dはハウジング41内で攪拌されながら循環搬送されることになる。このとき、現像剤Dを構成するキャリア(図示せず)は正の帯電極性を有し、トナーTは負の帯電極性を有している。このため、攪拌搬送にともなって現像剤D中のトナーT及びキャリアが互いに摩擦され、キャリアは正極性に帯電し、トナーTは負極性に帯電する。
【0054】
そして、攪拌搬送される現像剤Dが現像ロール43と対向する供給室46に搬送されると、マグネットロール43aに設けられた磁極の磁力により、現像剤D中のキャリアが磁気的に吸引され、現像スリーブ43b上にキャリアが転移付着する。このとき、正極性に帯電したキャリアには負極性に帯電したトナーTが静電吸着しているため、キャリアに付随してトナーTも現像スリーブ43b上に転移付着する。したがって、現像スリーブ43b上には、トナーT及びキャリアを含む現像剤Dが付着することになる。そして、現像スリーブ43b上の現像剤Dは、現像スリーブ43bの回転およびマグネットロール43aの磁力によって現像スリーブ43b上に保持された状態で搬送されていく。次に、現像スリーブ43b上に保持された現像剤Dは、層厚規制部材50との対向部に到達する。すると、現像スリーブ43b上の現像剤Dの層厚さは現像スリーブ43bと層厚規制部材50とのギャップに応じた所定の厚さに規制され、所定の層厚さとなった状態で感光体ドラム14と対向する開口部42まで運ばれる。なお、層厚規制部材50との対向部を通過できなかった現像剤Dは、重力によって供給室46に落下する。
【0055】
このとき、現像スリーブ43bには図示しない電源により所定の現像バイアス(例えば負極性の直流電圧に交流電圧を重畳したもの)が印加されている。これにより、感光体ドラム14と近接する現像領域において、現像スリーブ43b上の現像剤Dより感光体ドラム14上の潜像形成領域(露光装置15による露光が行われた領域)にトナーTが転移し、静電潜像を現像して可視像化する。なお、現像スリーブ43b上のキャリアは、マグネットロール43aの磁極によって磁気的に吸引されているため、感光体ドラム14側には転移しない。
【0056】
その後、ハウジング41の開口部42を通過し現像を終了した現像剤Dは現像スリーブ43b上に保持された状態でさらに搬送される。そして、現像スリーブ43b上の現像剤Dは、周方向に隣接して配置された同極性の磁極間に形成される反発磁界によって現像スリーブ43bから離脱し、供給室46に落下する。供給室46に落下した現像剤Dは、再び供給オーガ44および攪拌オーガ45によって攪拌搬送され、次の現像を待つこととなる。
【0057】
なお、現像ユニット40では、感光体ドラム14上の静電潜像を現像して可視像化することにより、現像剤Dに占めるトナーTの割合(トナー濃度)が徐々に低下していく。このため、この現像装置では、メイントナー補給ユニット60を用いて、トナー濃度が低下した現像ユニット40内の現像剤Dに新たなトナーTを補給している。
【0058】
では次に、現像ユニット40に対するトナーTの補給動作について説明する。
メイントナー補給ユニット60のトナー収容室61では、第1アジテータ62および第2アジテータ63が回転しており、トナー収容室61に収容されるトナーTを現像ユニット40側に向けて搬送している。ここで、第2アジテータ63に設けられたフィルム部材63bは、トナーTを図4において上方に搬送できるように設計されており、その結果トナーTはトナー搬入口67に向けて送られていく。すると、トナー収容室61に収容されるトナーTの一部が、トナー搬入口67を介してトナー補給室64に入り込む。
【0059】
現像ユニット40におけるトナー濃度が低下すると、トナー補給室64内で補給オーガ65が回転する。補給オーガ65が回転すると、トナー補給室64では補給オーガ65が一方向(図3および図6では図中奥側から手前側、図4では上方から下方)にトナーTを搬送する。このため、トナー搬入口67を介してトナー補給室64に搬入されたトナーは、補給オーガ65によって搬送され、トナー補給口68の近傍に到達する。ここで、トナー補給口68の近傍では、補給オーガ65に突起65cが設けられており、回転する羽根65bにより搬送されてきたトナーTは、突起65cの形成部位近傍で滞留する。なお、補給オーガ65の回転数や駆動のオンオフは適宜調整できるようになっており、例えば現像ユニット40内のトナー濃度の低下が著しい場合には、補給オーガ65を高速に回転させたり、あるいは補給オーガ65を連続して駆動したりすることで、トナーTの搬送量(供給レート)を高めることができる。
【0060】
一方、現像ユニット40では、供給オーガ44および攪拌オーガ45によって現像剤Dが循環搬送されている。ここで、第2連通口48bよりも現像剤Dの搬送方向下流側且つトナー補給口68よりも現像剤Dの搬送方向上流側には、攪拌オーガ45に突起45cが設けられており、回転する羽根45bにより搬送されてきた現像剤Dは、突起45cの形成部位近傍で滞留する。したがって、攪拌室47では、突起45c近傍での現像剤Dの滞留量が多くなる一方で、その下流側にあるトナー補給口68の近傍では現像剤Dの滞留量が少なくなる。すなわち、トナー補給口68近傍における現像剤の表面位置が低下する。
【0061】
すると、トナー補給口68の近傍では、トナー補給室64側のトナーTによる圧力が高くなり、攪拌室47側の現像剤Dによる圧力は低くなる。その結果、トナー補給室64内のトナーTがトナー補給口68を介して現像ユニット40の攪拌室47に入り込んでくる。これにより、攪拌室47に新たなトナーTが補給される。
【0062】
攪拌室47に新たに補給されたトナーTは、攪拌室47内に既に存在する現像剤Dとともに攪拌オーガ45によって攪拌搬送される。そして、攪拌室47内の現像剤Dは、第1連通口48a側に向けて移動していく。
【0063】
図7(a)、(b)は、第1連通口48aにおける攪拌室47から供給室46への現像剤Dの受け渡しを模式的に説明するための図である。ここで、図7(a)は現像剤Dの受け渡しの様子を現像装置32の上部から見た図であり、図7(b)は現像剤Dの受け渡しの様子を現像装置32の側部から見た図である。なお、これらの図においては、現像剤Dの移動方向を太線矢印で示している。
【0064】
第1連通口48a側の仕切り壁48には、第1側端482が傾斜して形成されている。攪拌オーガ45によって攪拌室47内を搬送されてきた現像剤Dは、攪拌オーガ45に設けられた第2突起45dによってその搬送が一時的に妨げられることにより、第2突起45d近傍すなわち第1側端482の近傍に滞留する。そして、第2突起45dによって仕切り壁48の第1側端482近傍に滞留する現像剤Dは、その後、さらに攪拌オーガ45によって攪拌搬送され、この第1側端482を徐々に乗り越えながら供給室46内に搬入される。このとき、攪拌室47内の現像剤Dは、攪拌オーガ45の軸方向に沿った各所で第1側端482を順次乗り越える。また、第1側端482を乗り越えることができなかった現像剤Dも、大きく回りながら最終的には供給室46内に搬入される。
【0065】
すると、供給室46の現像剤搬送方向最上流側にある搬入領域Mに対し、攪拌室47内の現像剤Dが水平方向および垂直方向に掻き乱されながら供給されることになる。その結果、搬入領域Mでは、例えば新たに補給されたトナーTおよび既にあった現像剤Dが混ぜ合わされたり、あるいは、トナー濃度の高い現像剤Dおよびトナー濃度の低い現像剤Dが混ぜ合わされたりするという事態が生じる。これにより、供給室46内では、攪拌室47内にあったときよりも現像剤Dが混合された状態を実現することができ、トナー濃度が均一に近い状態となった現像剤Dを攪拌搬送していくことができる。したがって、現像ロール43に供給される現像剤Dにおけるトナー濃度のばらつきが抑えられることになり、感光体ドラム14上の静電潜像を現像して得られるトナー像の濃度むらを抑制することが可能になる。
【0066】
特に、本実施の形態では、画像形成装置10自体の小型化を目的として現像装置32自体も小型化されている。このため、現像剤Dを攪拌搬送するための供給室46および攪拌室47の軸方向長さを十分に確保することができない。すなわち、従来の現像装置のように、画像形成領域の外側に第1連通口48aおよび第2連通口48bを形成することが困難になっている。これに対し、本実施の形態では、供給オーガ44および攪拌オーガ45を用いて現像剤Dを循環させながら攪拌搬送する際に、仕切り壁48(具体的には第1側端482)を利用して現像剤Dの掻き乱しを行わせるようにしている。その結果、画像形成領域の内側に仕切り壁48を設けた場合にも、現像剤Dの攪拌搬送性能およびトナーの帯電性能を確保することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態では、仕切り壁48の第1側端482近傍の攪拌オーガ45に第2突起45dを設け、この近傍で現像剤Dを滞留させるようにした。これにより、現像ユニット40内の現像剤Dの増減にかかわらず第1側端482付近における現像剤Dの総高さをほぼ一定とすることができる。従って、第1側端482を乗り越えて攪拌室47から供給室46に受け渡される現像剤Dの量を、現像ユニット40内のトナーTの増減に伴う現像剤量の変化にかかわらずほぼ一定とすることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、仕切り壁48の第1側端482を直線状に形成していたが、これに限られるものではなく、曲線状としてもよい。また、例えば波形にすることも可能である。
【0069】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、第1連通口48aを形成する仕切り壁48の形状を実施の形態1とは異ならせたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0070】
図8は、本実施の形態で用いられる仕切り壁48、第1連通口48aおよび第2連通口48bの構成および形状を説明するための図である。
この仕切り壁48は、上端481と、第1側端484と、第2側端483と、第1側端484側に設けられた切り欠き485(具体的には485a、485b、485c、および485d)とを備えている。
これらのうち、上端481は、実施の形態1と同様供給オーガ44および攪拌オーガ45の軸方向に沿って一定の高さを有している。ただし、上端481のうち第1連通口48a側の端部には、上記切り欠き485が形成される。
また、第1側端484は、下部ハウジング41aの側壁とともに供給室46と攪拌室47とを連通接続する第1連通口48aを形成する。なお、本実施の形態における第1側端484は、実施の形態1とは異なり、ほぼ垂直方向に形成されている。また、本実施の形態では、切り欠き485を構成する第1切り欠き485a、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、および第4切り欠き485dも第1連通口48aの一部として機能する。そして、第1連通口48aでは、実施の形態1と同様、攪拌室47から供給室46に向けた現像剤Dの受け渡しが行われる。
一方、第2側端483は、実施の形態1と同様、下部ハウジング41aの他の側壁とともに供給室46と攪拌室47とを連通接続する第2連通口48bを形成する。この第2側端483はほぼ垂直方向に形成されている。なお、第2連通口48bでは、実施の形態1と同様、供給室46から攪拌室47に向けた現像剤Dの受け渡しが行われる。
そして、仕切り壁48の軸方向両端位置は、現像ロール43(図4参照)による画像形成可能領域(感光体ドラム14上において画像形成可能な主走査方向領域)よりも内側に配置される。
【0071】
次に、切り欠き485について詳細に説明する。切り欠き485は、上述したように第1切り欠き485a、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、および第4切り欠き485dを有する。なお、本実施の形態では、第1側端484側に近い側から、第4切り欠き485d、第3切り欠き485c、第2切り欠き485b、そして第1切り欠き485aの順に形成されている。そして、その深さは、第1切り欠き485a、次いで、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、そして第4切り欠き485dの順に大きくなっている。
【0072】
図9(a)、(b)は、第1連通口48aにおける攪拌室47から供給室46への現像剤Dの受け渡しを模式的に説明するための図である。ここで、図9(a)は現像剤Dの受け渡しの様子を現像装置32の上部から見た図であり、図9(b)は現像剤Dの受け渡しの様子を現像装置32の側部から見た図である。なお、これらの図においては、現像剤Dの移動方向を太線矢印で示している。
【0073】
第1連通口48a側の隔壁48には、切り欠き485(第1切り欠き485a、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、および第4切り欠き485d)が形成されている。攪拌オーガ45によって攪拌室47内を搬送されてきた現像剤Dは、攪拌オーガ45に設けられた第2突起45dによってその搬送が一時的に妨げられることにより、第2突起45d近傍すなわち切り欠き485の近傍に滞留する。そして、第2突起45dによって仕切り壁48の切り欠き485近傍に滞留する現像剤Dは、その後、さらに攪拌オーガ45によって攪拌搬送され、第1切り欠き485a、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、および第4切り欠き485dを徐々に乗り越えながら供給室46内に搬入される。このとき、攪拌室47内の現像剤Dは、攪拌オーガ45の軸方向に沿った各所で第1切り欠き485a、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、および第4切り欠き485dを順次乗り越える。また、切り欠き485を乗り越えることができなかった現像剤Dも、第1側端484を介して最終的には供給室46内に搬入される。
【0074】
すると、実施の形態1と同様、供給室46の現像剤搬送方向最上流側にある搬入領域Mに対し、攪拌室47内の現像剤Dが水平方向および垂直方向に掻き乱されながら供給されることになる。すると、搬入領域Mでは、例えば新たに補給されたトナーTおよび既にあった現像剤Dが混ぜ合わされたり、あるいは、トナー濃度の高い現像剤Dおよびトナー濃度の低い現像剤Dが混ぜ合わされたりするという事態が生じる。これにより、供給室46内では、攪拌室47内にあったときよりも現像剤Dが混合された状態を実現することができ、トナー濃度が均一に近い状態となった現像剤Dを攪拌搬送していくことができる。したがって、実施の形態1と同様、現像ロール43に供給される現像剤Dにおけるトナー濃度のばらつきが抑えられることになり、感光体ドラム14上の静電潜像を現像して得られるトナー像の濃度むらを抑制することが可能になる。
【0075】
なお、本実施の形態では、仕切り壁48の四ヶ所に切り欠き485(第1切り欠き485a、第2切り欠き485b、第3切り欠き485c、および第4切り欠き485d)を設けていたが、これに限られるものではなく、その数は適宜設定して差し支えない。
また、本実施の形態では、仕切り壁48に対し垂直方向に切り欠き485を形成するようにしていたが、これに限られるものではなく、例えば水平方向に形成するようにしてもよい。
さらに、本実施の形態では、仕切り壁48に切り欠き485を設けることにより現像剤Dの受け渡しを行っていたが、これに限られるものではない。すなわち、仕切り壁48を乗り越えた現像剤Dの受け渡しが行えればよく、例えば仕切り壁48に形成した穿孔を介して現像剤Dの受け渡しを行うようにしてもよい。
【0076】
また、実施の形態1、2では、トナーTおよびキャリアを含む現像剤(所謂二成分現像剤)を用いた現像装置32を例に説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、トナーTを含みキャリアを含まない現像剤(所謂一成分現像剤)を用いた場合にも、上述した構成を採用することにより、現像剤を十分に混合した状態で現像ロール43に供給することが可能になる。
さらに、実施の形態1、2では供給オーガ44および攪拌オーガ45を用いて現像剤Dを循環搬送する場合を例に説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、これら供給オーガ44および攪拌オーガ45の他に一又は複数のオーガを設け、全体として現像剤Dを攪拌搬送する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態が適用された画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】画像形成装置のフロントカバーを開いた状態を示す図である。
【図3】プロセスカートリッジの構成の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1が適用された現像装置の上面図である。
【図5】実施の形態1が適用された現像装置の斜視図である。
【図6】実施の形態1が適用された現像装置における仕切り壁、第1連通口、および第2連通口を示す図である。
【図7】(a)、(b)は第1連通口近傍における現像剤の流れを示す図である。
【図8】実施の形態2が適用された現像装置における仕切り壁、第1連通口、および第2連通口を示す図である。
【図9】(a)、(b)は第1連通口近傍における現像剤の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10…画像形成装置、10a…本体、11a〜11d…プロセスカートリッジ、14…感光体ドラム、31…帯電装置、32…現像装置、33…除電装置、34…クリーニング装置、35…サブトナー補給ユニット、36…把手、40…現像ユニット、41…ハウジング、41a…下部ハウジング、41b…上部ハウジング、41c…サブハウジング、43…現像ロール、44…供給オーガ、45…攪拌オーガ、46…供給室、47…攪拌室、48…仕切り壁、48a…第1連通口、48b…第2連通口、50…層厚規制部材、60…メイントナー補給ユニット、61…トナー収容室、64…トナー補給室、65…補給オーガ、67…トナー搬入口、68…トナー補給口、D…現像剤、T…トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を保持する潜像保持体との対向部に開口を有し、内部には現像剤を収容するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口に面して回転可能に配設され、前記現像剤を保持するとともに前記潜像保持体上の前記静電潜像を現像する現像剤保持体と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記現像剤を前記現像剤保持体の軸方向に沿って攪拌搬送するとともに当該現像剤を当該現像剤保持体に供給する第1攪拌搬送部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記現像剤を前記第1攪拌搬送部材とは逆方向に攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記第1攪拌搬送部材を収容する第1搬送室と前記第2攪拌搬送部材を収容する第2搬送室とを仕切るとともに、前記ハウジングとの間に当該第2搬送室と当該第1搬送室とを連通接続する連通口を形成する隔壁とを備え、
前記連通口では、前記第2搬送室内の前記現像剤が、前記第2攪拌搬送部材の軸方向に沿って前記隔壁を徐々に乗り越えながら前記第1搬送室に受け渡されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記連通口側の前記隔壁の高さが、前記第2攪拌搬送部材による前記現像剤の搬送方向に沿って低くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1攪拌搬送部材および前記第2攪拌搬送部材が水平方向に並べて配列され、
前記隔壁が垂直方向に配設されることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤はトナーおよびキャリアを含むことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2搬送室にトナーを補給するトナー補給部をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の現像装置。
【請求項6】
画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられる画像形成カートリッジであって、
静電潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に保持された前記静電潜像を現像する現像装置を含み、
前記現像装置は、
前記潜像保持体との対向部に開口を有し、内部には現像剤を収容するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口に面して回転可能に配設され、前記現像剤を保持するとともに前記潜像保持体上の前記静電潜像を現像する現像剤保持体と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記現像剤を前記現像剤保持体の軸方向に沿って攪拌搬送するとともに当該現像剤を前記現像剤保持体に供給する第1攪拌搬送部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記現像剤を前記第1攪拌搬送部材とは逆方向に攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記第1攪拌搬送部材を収容する第1搬送室と前記第2攪拌搬送部材を収容する第2搬送室とを仕切るとともに、当該ハウジングとの間に当該第2搬送室と当該第1搬送室とを連通接続する連通口を形成する隔壁とを備え、
前記連通口が、前記第2攪拌搬送部材による前記現像剤の搬送方向上流側から下流側に向けて大きくなるように形成されることを特徴とする画像形成カートリッジ。
【請求項7】
前記第2攪拌搬送部材は
回転可能に配設される軸と、
前記軸の外周面に螺旋状に形成される螺旋羽根と、
前記第2搬送部材による前記現像剤の搬送方向から見て前記連通口の最上流位置と対向する領域において前記軸の外周面に突出形成される突起と
を備えることを特徴とする請求項6記載の画像形成カートリッジ。
【請求項8】
潜像保持体と、
前記潜像保持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、
前記潜像形成部にて前記潜像保持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像部と、
前記現像部にて前記潜像保持体に形成されたトナー像を記録材に転写する転写部とを含み、
前記現像部は、
前記潜像保持体との対向部に開口を有し、内部にはトナーおよびキャリアを含む現像剤を収容するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口に面して回転可能に配設され、前記現像剤を保持するとともに前記潜像保持体上の前記静電潜像を前記トナーで現像する現像剤保持体と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記現像剤を攪拌搬送するとともに当該現像剤を前記現像剤保持体に供給する供給部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記現像剤を攪拌搬送することにより前記供給部材との間で当該現像剤を循環移動させる攪拌部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記供給部材を収容する供給室と前記攪拌部材を収容する攪拌室とを仕切るとともに、前記ハウジングとの間に当該攪拌室から当該供給室へと前記現像剤を受け渡す第1連通口および当該供給室から当該攪拌室へと当該現像剤を受け渡す第2連通口を形成する仕切り壁とを備え、
前記第1連通口側の前記仕切り壁には、前記第2連通口側の当該仕切り壁よりも高さが低い低位部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記仕切り壁の軸方向長さが、前記潜像保持体上に形成される前記静電潜像の軸方向長さよりも短く設定されることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−322696(P2007−322696A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152283(P2006−152283)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】