説明

現像装置、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】現像時の画像濃度を一定のまま長期間に亘って保つことができ、二成分現像剤の長寿命化を図ることが可能な現像装置等の提供。
【解決手段】磁界発生手段を内包し、二成分現像剤320を表面に担持して搬送する現像剤担持体302と、現像剤収納部とを有してなり、磁界発生手段が有する磁極が現像磁極と、現像前磁極と、現像後磁極との3つの磁極のみであり、現像前磁極が現像剤320の汲み上げを行い、現像前磁極及び現像磁極が現像剤320が供給される位置から現像領域までの現像剤担持体302上の現像剤320の保持を行い、現像磁極及び現像後磁極が現像領域から現像剤担持体302の表面の現像剤320を離脱させる位置までの現像剤担持体302上の現像剤の保持を行うように構成され、現像剤担持体302の十点表面粗さが10〜30μmであり、かつ磁性キャリアの十点表面粗さが0.5〜3.0μmである現像装置3とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置、並びに該現像装置を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真の分野において、一成分の現像剤を用いる一成分方式の現像装置に比べて、耐久性、画像特性に優れているなどの理由により、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いる二成分方式の現像装置を備える画像形成装置が広く用いられている。前記二成分方式の現像装置としては、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包して二成分現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブを有するものが知られている。
【0003】
このような現像装置として、例えば、特許文献1には、磁界発生手段の磁極のうち、現像スリーブの表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる磁極の数が5つである現像装置が提案されている。この現像装置では、前記5つの磁極として、汲み上げ磁極、現像前搬送磁極、現像磁極、剤離れ磁極、及び、現像後搬送磁極を有する。前記汲み上げ磁極は現像スリーブの表面上への二成分現像剤の汲み上げに寄与し、前記現像前搬送磁極は汲み上げた二成分現像剤を現像スリーブが静電潜像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤搬送に寄与する。また、前記現像磁極は現像領域での現像に寄与し、前記剤離れ磁極は現像領域を通過した二成分現像剤が現像スリーブ表面から離脱する剤離れに寄与する。前記特許文献1の現像装置では、前記現像磁極と前記剤離れ磁極との間に前記現像後搬送磁極を配置しており、前記現像後搬送磁極は現像領域を通過した後の二成分現像剤を剤離れの位置まで良好に搬送することに寄与する。
前記特許文献1の現像装置では、前記汲み上げ磁極と前記現像前搬送磁極との間の現像スリーブと対向する位置に剤規制部材を配置し、前記剤規制部材によって現像領域に搬送する二成分現像剤の量を規制している。このような磁極配置によって、前記現像スリーブ表面への汲み上げ、現像領域までの二成分現像剤の搬送、現像、剤離れの各工程を良好に実行することができる。なお、従来の二成分方式の現像装置としては、汲み上げ磁極と現像前搬送磁極との間の剤規制部材と対向する位置に剤規制磁極を設け、現像後搬送磁極を備えないものもある。
【0004】
近年、画像形成装置の小型化の要請に伴って、現像装置の小型化が求められており、前記現像装置の小型化を実現するためには小径の現像剤担持体を用いることが望ましい。しかし、従来の現像装置では、汲み上げ、現像領域までの二成分現像剤の搬送、現像、及び剤離れの各工程を良好に実行しつつ、現像剤担持体の小径化を測ることは困難であった。これは、前記各工程を良好に実行するには各磁極に対して前記各工程を良好に実行するために必要な強さの磁界を発生することができる磁石を配置する必要があるが、磁力が強いほど磁石は大きくなり、このような磁石を5つも内包する現像剤担持体の小径化には限界があるためである。
【0005】
そこで、前記課題を解決するため、本願出願人は、先に、磁界発生手段が有する磁極のうち現像剤担持体の表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極が、前記現像剤担持体と静電潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、前記現像剤収納部から供給された二成分現像剤を該現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、該現像領域を通過した後の二成分現像剤を該現像剤担持体表面から離脱させるために前記現像前磁極との間で二成分現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極との3つの磁極のみからなる現像装置を提案している(特許文献2参照)。
【0006】
前記特許文献2の現像装置では、現像剤担持体の表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極の数が3つのみであるため、従来の構成に比べて磁界発生手段の配置に要するスペースを小さくすることができるため、前記磁界発生手段を内包する現像剤担持体を小径化することができる。この構成によって、現像装置を小型化しながら、各工程に必要な強さの磁界を発生させることができ、前記二成分現像剤の搬送、現像、現像剤離れの各工程を良好に実施することができる。
しかし、前記特許文献2のように小型化した現像装置においては、省スペース化を図るため、現像剤担持体の上方から二成分現像剤を供給する構成となりやすい。前記現像剤担持体の上方から二成分現像剤を供給すると、前記現像剤担持体上の二成分現像剤の重量によって前記二成分現像剤が前記現像剤担持体に押し付けられる。このとき、供給スクリューの上流と下流では前記現像剤担持体上の前記二成分現像剤にかかる圧力が異なる。このため、前記供給スクリューの上流では二成分現像剤に圧力がかかるために二成分現像剤が押し付けられ、前記二成分現像剤の穂立ちが密となる。一方、前記供給スクリューの下流では現像剤に圧力がかからないために前記二成分現像剤の穂立ちが疎となる。このように前記供給スクリューの上流部と下流部において二成分現像剤の穂立ちの密度が異なると、このことがベタ画像及びハーフトーン画像のムラとして現れるという問題があった。
【0007】
したがって、小型化された現像装置においても、現像時の画像濃度を一定のまま長期間に亘って保つことができ、かつ二成分現像剤の長寿命化を図ることが可能な現像装置の提供が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、小型化された現像装置においても、現像時の画像濃度を一定のまま長期間に亘って保つことができ、かつ二成分現像剤の長寿命化を図ることが可能な現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として本発明の現像装置は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して、表面を回転駆動することによって表面上の二成分現像剤を搬送する円筒状の現像剤担持体と、
該現像剤担持体の表面に供給する二成分現像剤を収納する現像剤収納部と、を有してなり、
前記磁界発生手段が有する磁極のうち前記現像剤担持体の表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極が、
前記現像剤担持体と静電潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、
前記現像剤収納部から供給された二成分現像剤を前記現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、
前記現像領域を通過した後の二成分現像剤を前記現像剤担持体表面から離脱させるために前記現像前磁極との間で二成分現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極と、の3つの磁極のみであり、
前記現像前磁極が発生させる磁界によって前記現像剤担持体の表面上への二成分現像剤の汲み上げを行い、
前記現像前磁極及び前記現像磁極が発生させる磁界によって前記現像剤収納部から二成分現像剤が供給される位置から現像領域までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行い、
前記現像磁極及び前記現像後磁極が発生させる磁界によって前記現像領域から前記現像剤担持体の表面の二成分現像剤を離脱させる位置までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行うように構成した現像装置であって、
前記現像剤担持体の十点表面粗さRzが10μm〜30μmであり、かつ前記磁性キャリアの十点表面粗さRzが0.5μm〜3.0μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、小型化された現像装置においても、現像時の画像濃度を一定のまま長期間に亘って保つことができ、かつ、二成分現像剤の長寿命化を図ることが可能な現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、静電潜像担持体(感光体)周りの概略構成図である。
【図2】図2は、現像ローラに形成される磁束密度分布を示す概略図である。
【図3】図3は、現像ローラの断面図である。
【図4】図4は、現像装置の主要部斜視図(上部ケース、仕切り板不図示)である。
【図5】図5は、現像装置の主要部斜視図である。
【図6】図6は、現像装置の連通口を示す概略図、及び拡大図である。
【図7】図7は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図8】図8は、従来の現像装置を示す概略図である。
【図9】図9は、3極構成の法線磁束密度分布の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(現像装置)
本発明の現像装置は、現像剤担持体と、現像剤収納部とを有してなり、現像剤供給手段、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0013】
<現像剤担持体>
前記現像剤担持体は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」と称することもある。)を表面に担持して、表面を回転駆動することによって表面上の二成分現像剤を搬送する円筒状の部材であり、例えば、現像ローラ、などが挙げられる。
前記現像ローラの大きさ、形状、構造、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、通常の現像装置に用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、セラミックス等の非磁性材料、更にこれらにコーティングしたもの、などが挙げられる。
前記現像ローラの形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
【0014】
<現像剤収納部>
前記現像剤収納部としては、二成分現像剤を収納することができる部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0015】
<<現像剤供給手段>>
前記現像剤供給手段としては、二成分現像剤を前記現像剤担持体表面に供給する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、供給ローラ、などが挙げられる。
【0016】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、現像ローラ上に付着する二成分現像剤の量を規制する現像剤層厚規制部材、などが挙げられる。
【0017】
−現像剤層厚規制部材−
前記現像剤層厚規制部材は、ステンレス鋼(SUS)、リン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ表面に所定の押圧力で当接させたもので、その押圧下を通過した二成分現像剤を薄層化する。
前記現像剤層厚規制部材としては、通常、前記供給ローラと前記現像ローラの当接位置よりも低い位置に設けられる。
【0018】
本発明の前記現像装置は、前記磁界発生手段が有する磁極のうち前記現像剤担持体の表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極が、
前記現像剤担持体と静電潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、
前記現像剤収納部から供給された二成分現像剤を前記現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、
前記現像領域を通過した後の二成分現像剤を前記現像剤担持体表面から離脱させるために前記現像前磁極との間で二成分現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極との3つの磁極のみであり、前記現像前磁極が発生させる磁界によって前記現像剤担持体の表面上への二成分現像剤の汲み上げを行い、
前記現像前磁極及び前記現像磁極が発生させる磁界によって前記現像剤収納部から二成分現像剤が供給される位置から現像領域までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行い、
前記現像磁極及び前記現像後磁極が発生させる磁界によって前記現像領域から前記現像剤担持体の表面の二成分現像剤を離脱させる位置までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行うように構成されている。
【0019】
本発明においては、前記現像剤担持体の十点表面粗さRzは、10μm〜30μmであり、15μm〜20μmが好ましい。前記現像剤担持体の十点表面粗さRzが、10μm未満であると、現像剤担持体の手前側の現像剤の穂立ちが密になり、均一な画像が得られないことがあり、30μmを超えると、現像剤担持体の奥側の現像剤の穂立ちが密になり、均一な画像が得られないことがある。
ここで、前記現像剤担持体の十点表面粗さRzは、例えば、サーフコーダーSE−30H(小坂研究所製)を用いて、以下の条件で測定することができる。
[測定条件]
・縦倍率:2,000倍
・横倍率:2.5倍
・測定長さ:25mm
・測定速度:2.0mm/秒間
・カットオフ:fh 0.8mm、fl 2.5mm
【0020】
前記現像剤担持体の十点表面粗さRzを前記数値範囲に調整する方法としては、例えば、サンドブラスト加工、溝加工、研削加工、サンドペーパー法、インデックスセーバー加工、などが挙げられる。これらの中でも、操作が簡易で加工の効率もよく、更にランダムに表面加工(粗化)が行われるため、全ての方向に対するトナーと現像剤担持体の摩擦抵抗が等しく改善される点から、サンドブラスト加工が特に好ましい。
【0021】
また、本発明においては、前記現像装置に用いられるトナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤における前記磁性キャリアの十点表面粗さRzは、0.5μm〜3.0μmであり、0.8μm〜2.6μmが好ましい。前記磁性キャリアの十点表面粗さRzが、0.5μm未満であると、現像剤担持体の手前側の現像剤の穂立ちが疎になりすぎてしまい、均一な画像が得られないことがあり、3.0μmを超えると、現像剤担持体と磁性キャリアの衝突によるキャリアの被覆層の磨耗が大きくなり、キャリアの抵抗低下によるキャリア飛散による異常画像が発生してしまうことがある。
【0022】
ここで、前記磁性キャリアの十点表面粗さRzは、例えば、共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、OPTELICS C130)を用いて、前記キャリア表面の三次元構造を解析し、下記の指定範囲において高さ測定を行って平均線を求め、この範囲での平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合成し、平均化することで算出することができる。
[測定条件]
・対物レンズ倍率:50倍
・解像度:0.20
・解析:1サンプルにつき10μm四方の指定範囲を20個選び、十点表面粗さRzの平均値をデータとした
【0023】
前記磁性キャリアの十点表面粗さRzを前記数値範囲に調整する方法としては、例えば、(1)キャリアの被覆層の樹脂の混合比率を変える方法、(2)キャリアの被覆層の導電性微粒子の量や種類を変える方法、(3)キャリアの被覆層の平均厚みを変える方法、(4)キャリアの被覆層溶液の粘度を変える方法、などが挙げられる。
【0024】
<二成分現像剤>
前記二成分現像剤は、トナー及び磁性キャリアからなる。
前記二成分現像剤におけるトナーとキャリアの混合割合は、キャリア100質量部に対しトナー1質量部〜10.0質量部が好ましい。
【0025】
<<磁性キャリア>>
前記磁性キャリアは、芯材と、該芯材を被覆する被覆層とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0026】
−芯材−
前記磁性キャリアの芯材としては、特に制限はなく、電子写真用二成分キャリアの芯材として公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、Cu−Znフェライト、Mnフェライト、Mn−Mgフェライト、Mn−Mg−Srフェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、などが挙げられる。
【0027】
前記芯材は、以下のようにして製造することができる。まず、フェライトを構成する各原材料(MnO、MgO、Fe、SrCO等)を適量計量し、これに水を適量加え、ボールミル又は振動ミルなどの分散機にて0.5時間〜24時間程度の分散をしてスラリーを得る。次に、前記スラリーを乾燥、粉砕し、500℃〜1,500℃にてプレ焼成を行う。得られたプレ焼成物をボールミルにて粉砕を行い、目的とする芯材粒径に適した粒径に粉砕する。次に、この粉砕物に水、結着樹脂、及び必要に応じてその他の添加物を加え、スプレードライにより造粒を行う。次に、この造粒物を焼成炉により800℃〜1,600℃にて本焼成をし、粉砕、分級し、目的とする粒度分布を得る。必要に応じて表面を再酸化させてもよい。なお、飽和磁化を調整するには原材料の選択、焼成温度の調整、酸化処理の有無等が有効である。
【0028】
−被覆層−
前記被覆層は、結着樹脂及び導電性微粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0029】
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂、アクリル樹脂が特に好ましい。前記シリコーン樹脂と前記アクリル樹脂を併用することによって、磁性キャリアの表層が海島構造となり、これによって適度な凹凸が構成される。これによってキャリア同士の間隔を適度に保つことができるため、ムラ画像や穂跡のような異常画像が発生しなくなる。
前記アクリル樹脂と前記シリコーン樹脂との質量比(アクリル樹脂:シリコーン樹脂)は、1:9〜5:5が好ましい。前記質量比が1:9よりもアクリル樹脂が少ないと、海島構造がほとんど構成されなくなるために凹凸が失われることがある。一方、前記質量比が5:5よりもアクリル樹脂が多いと、キャリアを製造する際に凝集しやすくなり、十分な品質が得られなくなることがある。
【0030】
前記シリコーン樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン、アルキド、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、該市販品としてストレートシリコーン樹脂としては、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410、などが挙げられる。この場合、前記シリコーン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。更に、変性シリコーン樹脂としては、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
【0031】
前記アクリル樹脂とは、アクリル成分を有する樹脂全てを指し、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記アクリル樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分を1つ以上同時に用いることも可能である。前記架橋反応する他成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ樹脂、酸性触媒、などが挙げられる。前記アミノ樹脂としては、例えば、グアナミン、メラミン樹脂、などが挙げられる。前記酸性触媒とは、触媒作用を持つものを用いることができ、例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するもの、などが挙げられる。
【0032】
−−導電性微粒子−−
前記導電性微粒子としては、例えば、金属粉、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、アルミナ、酸化インジウムスズ(ITO)、カーボンブラック又はこれらに表面処理を施したアンチモンがドープされた酸化インジウムで表面処理された酸化チタン微粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性微粒子をキャリアの被覆層中に分散させる理由として、キャリア表面へ加わる外力から被覆層を保護する効果が挙げられる。そして、この外力により粒子が容易に砕けたり摩耗したりすると、被覆層の保護効果は初期的には得られるが、長期間に亘って維持することができず、安定した品質を得ることができず好ましくない。前記導電性微粒子は、強靭な性質を有しているためこの外力に対し強く、割れ摩耗が生じず、長期にわたり被覆層の保護効果を維持することができる。
前記被覆層中における導電性微粒子の存在場所はアクリル樹脂に存在させることが好ましい。その理由は、アクリル樹脂の強い接着性により、前記導電性微粒子を長期にわたり保持することが可能であるためであるが、必ずしもアクリル樹脂中に存在させる必要はない。
前記導電性微粒子の含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜1,000質量部が好ましく、70質量部〜700質量部がより好ましい。
【0033】
−シランカップリング剤−
前記被覆層は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、導電性微粒子を前記被覆層中に安定に分散させることができる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記シランカップリング剤としては市販品を用いることができ、該市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、AY43−059、SR6020、SZ6023、SH6026、SZ6032、SZ6050、AY43−310M、SZ6030、SH6040、AY43−026、AY43−031、sh6062、Z−6911、sz6300、sz6075、sz6079、sz6083、sz6070、sz6072、Z−6721、AY43−004、Z−6187、AY43−021、AY43−043、AY43−040、AY43−047、Z−6265、AY43−204M、AY43−048、Z−6403、AY43−206M、AY43−206E、Z6341、AY43−210MC、AY43−083、AY43−101、AY43−013、AY43−158E、Z−6920、Z−6940(東レ・シリコーン社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記シランカップリング剤の添加量は、前記結着樹脂に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましい。前記シランカップリング剤の添加量が、0.1質量%未満であると、芯材及び導電性微粒子と結着樹脂の接着性が低下して、長期間の使用中に被覆層が脱落してしまうことがあり、10質量%を超えると、長期間の使用中にトナーのフィルミングが発生することがある。
また、前記結着樹脂としてのシリコーン樹脂の縮合反応を促進するために、触媒を用いることができる。前記触媒としては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、などが挙げられる。これらの中でも、優れた結果をもたらす点からチタン系触媒が好ましく、チタンアルコキシド系触媒、チタンキレート系触媒が特に好ましい。その理由は、架橋成分に由来するシラノール基の縮合反応を促進する効果が大きく、かつ触媒が失活しにくいためであると考えられる。
前記チタンアルコキシド系触媒としては、下記構造式1で表されるチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。また、前記チタンキレート系触媒としては、下記構造式2で表されるチタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)が挙げられる。
【化1】

【化2】

【0036】
前記被覆層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0037】
本発明においては、キャリアの被覆層に含まれる導電性微粒子の体積平均粒子径Dと、前記被覆層の平均厚みhとが、次式、0.5≦(D/h)≦1.1、を満たすことが好ましく、0.7≦(D/h)≦0.9がより好ましい。前記(D/h)が、0.5未満であると、該導電性微粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、キャリア表面に、凸となる粒子が減少するため、キャリアの流動性が非常に良くなってしまう。結果として、キャリアの間隔が密になりすぎてしまい、現像剤の穂が硬くなる。穂が硬くなると、現像領域においてトナーを現像した後の現像剤の穂が像担持体上の潜像を強くこすってしまい、これによって画像上に穂跡のような異常画像が発生してしまう。一方、前記(D/h)が1.1を超えると、表面の凹凸が大きいためにキャリアの間隔が疎になってしまい、現像剤担持体の手前側と奥側とでの現像剤の圧力の違いによって現像剤の穂立ちの密度が変わってしまい、ムラ画像が出やすくなってしまう。
【0038】
前記キャリアの被覆層の平均厚みhは、0.05μm〜4μmが好ましく、0.08μm〜3μmがより好ましい。前記平均厚みhが、0.05μm未満であると、被覆層が破壊されやすくなり、被覆層が削れてしまうことがあり、4μmを超えると、被覆層は磁性体でないため、画像にキャリア付着し易くなることがある。
ここで、前記キャリアの被覆層の平均厚みhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う被覆層の樹脂部の厚みを測定して、その平均値から求めることができる。具体的には、芯材表面と導電性微粒子との間に存在する樹脂部の厚みのみを測定する。導電性微粒子間に存在する樹脂部の厚みや、導電性微粒子上の樹脂部の厚みは測定には含めない。前記キャリア断面の任意の50点測定の平均を求め厚みh(μm)とすることができる
【0039】
前記導電性微粒子の体積平均粒子径Dは、0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.3μm〜1μmがより好ましい。
ここで、前記導電性微粒子の体積平均粒子径(D)は、例えば、自動粒度分布測定装置(CAPA−700、堀場製作所製)にて測定することができる。
【0040】
前記磁性キャリアの重量平均粒径は、25μm〜45μmが好ましい。前記重量平均粒径が、25μm未満であると、キャリア付着が発生することがあり、45μmを超えると、画像細部の再現性が低下し、精細な画像を形成できなくなることがある。
ここで、前記磁性キャリアの重量平均粒径は、例えば、マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320−X100(日機装社製)を用いて測定することができる。
【0041】
<<トナー>>
前記トナーは、少なくとも結着樹脂、及び着色剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて離型剤、帯電制御剤、外添剤などのその他の成分を含有することがより好ましい。
前記トナーは、モノクロトナー及びカラートナーのいずれであってもよい。また、定着ローラにトナー固着防止用オイルを塗布しないオイルレスシステムに適用するために、トナーは、離型剤を含有してもよい。このようなトナーは、一般に、フィルミングが発生しやすいが、前記キャリアは、フィルミングを抑制することができるため、本発明で用いる現像剤は、長期間に亘って、良好な品質を維持することができる。更に、カラートナー、特に、イエロートナーは、一般に、キャリアの被覆層の削れによる色汚れが発生するという問題があるが、本発明で用いる現像剤は、色汚れの発生を抑制することができる。
【0042】
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素、芳香族系石油樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂と比較して、トナーの保存時の安定性を確保しながら、溶融粘度を低下させることができる点でポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0043】
前記ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
【0044】
前記アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーA等のエーテル化ビスフェノール類;これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体;その他の2価のアルコール単位体;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の多価アルコール単量体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルと、リノレイン酸からの二量体酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、3,3−ジカルボキシメチルブタン酸、テトラカルボキシメチルメタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
【0048】
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、などが挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが特に好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、などが挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、などが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート、などが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド、などが挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド、などが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン、などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、などが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス、などが挙げられる。
前記離型剤の含有量は、前記トナー全成分に対して5質量%〜15質量%が好ましい。
【0050】
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン;炭素数が2〜16のアルキル基を有するアジン系染料(特公昭42−1627号公報参照);C.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)等の塩基性染料;これらの塩基性染料のレーキ顔料;C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩;ジブチル、ジオクチル等のジアルキルスズ化合物;ジアルキルスズボレート化合物;グアニジン誘導体;アミノ基を有するビニル系ポリマー、アミノ基を有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂;特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩;特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸;ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体;スルホン化した銅フタロシアニン顔料;有機ホウ素塩類;含フッ素4級アンモニウム塩;カリックスアレン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好ましい。
【0051】
−外添剤−
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機粒子;ソープフリー乳化重合法により得られる平均粒径が0.05μm〜1μmのポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の樹脂粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、表面が疎水化処理されているシリカ、酸化チタン等の金属酸化物粒子が好ましい。更に、疎水化処理されているシリカ及び疎水化処理されている酸化チタンを併用し、疎水化処理されているシリカよりも疎水化処理されている酸化チタンの添加量を多くすることにより、湿度に対する帯電安定性に優れるトナーが得られる。
【0052】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、などが挙げられる。
【0053】
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものである。前記流動性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体、中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される。前記クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0054】
−トナーの製造方法−
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知のトナーの製造方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、混練・粉砕法、重合法、溶解懸濁法、噴霧造粒法、などが挙げられる。
【0055】
−−混練・粉砕法−−
前記混練・粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー材料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。前記溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機、などが挙げられる。前記溶融混練機としては、市販の装置を用いることができ、前記市販の装置としては、例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー、などが挙げられる。前記溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、前記溶融混練温度が前記軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
【0056】
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。前記粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
【0057】
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
【0058】
次いで、外添剤のトナー母体粒子への外添が行われる。トナー母体粒子と外添剤とをミキサーを用い、混合及び攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー母体粒子表面に被覆される。この時、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤を均一かつ強固にトナー母体粒子に付着させることが耐久性の点で重要である。
【0059】
−−重合法−−
前記重合法によるトナーの製造方法としては、例えば、有機溶媒中に少なくともウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル系樹脂と着色剤を含むトナー材料を溶解乃至分散させる。そして、この溶解乃至分散物を水系媒体中に分散し、重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去し、洗浄して得られる。
【0060】
前記ウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させた、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、などが挙げられる。そして、このポリエステルプレポリマーとアミン類等との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られる変性ポリエステル樹脂は、低温定着性を維持しながらホットオフセット性を向上させることができる。
【0061】
前記多価イソシアネート化合物(PIC)としては、例えば、脂肪族多価イソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。
【0062】
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、1個以上が好ましく、平均1.5個〜3個がより好ましく、平均1.8個〜2.5個が更に好ましい。
【0063】
前記ポリエステルプレポリマーと反応させるアミン類(B)としては、例えば、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)、などが挙げられる。
前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン(例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、などが挙げられる。
前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、などが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、などが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、などが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物、などが挙げられる。これらアミン類(B)の中でも、B1及びB1と少量のB2の混合物が特に好ましい。
【0064】
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。
【0065】
前記のような重合法によるトナーの製造方法によれば、小粒径かつ球形状トナーを環境負荷少なく、低コストで作製することができる。
【0066】
本発明の現像装置は、小型化されても、現像時の画像濃度を一定のまま長期間に亘って保つことができ、かつ現像剤の長寿命化を図ることが可能であるため、以下に説明する本発明の画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに好適に用いられる。
【0067】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
前記現像工程は、本発明の前記現像装置を用いて行われる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記現像装置を用いる。
【0068】
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」、「潜像担持体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0069】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0070】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記電子写真感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0071】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0072】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程であり、現像手段により行うことができる。
前記現像手段としては、本発明の前記現像装置を用いることができる。
【0073】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0074】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0075】
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0076】
<その他の工程及びその他の手段>
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ、などが挙げられる。
【0077】
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、などが挙げられる。
【0078】
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段、などが挙げられる。
【0079】
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0080】
ここで、図1は、静電潜像担持体(感光体)1を用いた本発明の画像形成装置に、本発明の現像装置3を用いたときの感光体1周囲の概略構成図である。
感光体1は、矢印で示すように時計まわりの向きに回転される。この感光体1の上部、時計の文字盤で表現すれば略11時の位置には帯電手段2が配置されている。帯電手段2は本実施形態では感光体と同速度で回転される回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
この帯電手段2により感光体1の表面は暗中で一様に帯電された後、図示を省略している露光手段からの露光用の光Lの照射を受けて静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体1の回転と共に下流側に移動し現像装置3に至る。現像装置3は感光体1の右横に配置されている。
【0081】
本発明の現像装置3は、現像剤収納部としてのケーシング301内に、現像剤320を撹拌搬送する供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305、現像ローラ302などの回転部材及びその他の部材を具備している。
現像ローラ302は2時と3時の間の位置(2時半の位置)で感光体1に近接して対向させることで現像ニップ領域Aを構成するようにして近接配置されている。この感光体1との対向部位に相当するケーシング301の部位は現像ローラ302を露出させるため開口している。
【0082】
現像ローラ302によりケーシング301内の現像剤320は現像ニップ領域Aへ搬送されるようになっている。現像ニップ領域Aで感光体1の表面に形成されている静電潜像に現像剤320中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
このトナー像は感光体1の回転と共に下流側に移動し転写手段5に至る。転写手段5は感光体1の下部、6時の位置に配置されている。本実施形態では転写手段5は回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。感光体1と転写手段5とが対向する領域を転写領域Eと称する。
感光体1上のトナー像は転写領域Eにおいて記録媒体8に転写され記録媒体8上の画像となる。なお、感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト等)に一端転写し、その後多色トナーを一括して記録媒体に転写する中間転写ベルト方式にも適用は可能であり、その場合は転写領域Eで感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト等)に転写することになる。
【0083】
転写後の感光体1は、該感光体1の回転と共に下流側へ移動してクリーニング手段6に至る。クリーニング手段6は10時の位置に配置されている。クリーニング手段6は、記録媒体に転写し切れずに感光体1の表面に残ったトナーを、クリーニングブレード601により除去する。クリーニング手段6を通過した感光体1の表面は、その後、帯電手段2により表面を一様に帯電され、次の画像形成工程を繰返す。
【0084】
本発明の現像装置3は、ケーシング301の内部に現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305、現像剤層厚規制部材303を有し、現像剤320を撹拌搬送して循環させている。
なお、本実施形態では攪拌部材は螺旋形状のスクリューを用いており、スクリュー羽根の外径を直径16mm以下のものを用いている。
【0085】
図2に示すように、現像ローラ302は、円周方向に複数の磁石MG(図2の煩雑化防止のため1個についてのみ符号で示す)を配置したマグネットローラ302dを内部に有し、その周囲を円筒状のスリーブ302cが回転軸302eと一体的に回転する構成となっている。
スリーブ302cはアルミニウム等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラ302dは、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング301に固定されており、その周囲をスリーブ302cが回転して、磁石MGによって引き付けた現像剤320を搬送していくように構成されている。
【0086】
現像ローラ302の構造を示した図3において、現像ローラ302は主として不動部材ケーシング301に固定されている固定軸302a及びこの固定軸302aと一体の円柱状をしたマグネットローラ302dと、マグネットローラ302dの周囲をギャップを介して覆っているスリーブ302c及びこのスリーブ302cと一体的な回転軸302e等からなる。固定軸302aに対して回転軸302eは軸受302fを介して回転自在であり、回転軸302eは図示省略の回転駆動手段から動力を伝達されて回転駆動される。
マグネットローラ302dの外周部には、図3に示すように所定の間隔をおいて複数の磁石MGが固定されている。これらの磁石MGの周囲をスリーブ302cが回転されるわけである。
これらの磁石MGは、スリーブ302cの周表面に現像剤を穂立ちさせ、また穂切りなどさせるように磁界を形成するためのものである。これらの磁石MGから発せられる法線方向磁力線に沿うように、磁性のキャリアが集合して磁気ブラシが形成される。
【0087】
マグネットローラの構成は多々あるが、まず、図2に示すように、スリーブ302cの内部に3つの磁石MGを有し、3つの磁極(磁力分布)が生じるマグネットローラの構成を説明する。現像ローラ302の中心O−1と感光体の中心O−2を結ぶ線上で対向する部分(現像ニップ領域Aに相当する領域)の磁極をP1極(現像極)と称し、以下反時計まわりの向きで示す現像ローラ302の回転方向順に、各磁極をP2(ケーシングの対向極)、P3極(現像剤層厚規制部材の対向極)と称する。
極性はP1極から、N、S、S極としているが、これらは各極が反対の極性であっても構わない。P1極は現像極であり、感光体1に対向している。P2はケーシングに対向しており、P3は現像剤層厚規制部材に対向している。
【0088】
ここで、図9は、3極構成の法線磁束密度分布の一例を示すグラフである。
この図9に示すように3つの磁極によって発生されるそれぞれの磁界での現像ローラ302の表面上の法線方向の磁束密度が最大となる法線方向磁束密度ピーク位置を、現像前磁極中心M1、現像磁極中心M2、及び現像後磁極中心M3とし、これら3つの法線方向磁束密度ピーク位置と現像スリーブ(不図示)の回転中心34pとを結んだ3つの直線を、現像前磁極中心線L1、現像磁極中心線L2、及び現像後磁極中心線L3とする。
図9では、現像磁極と現像前磁極との2つの法線磁束密度ピーク位置と回転中心34pとを直線(図9中の破線L1及びL2)で結んで形成される中心角の開き角度をθ1、現像磁極と現像後磁極との2つの法線磁束密度ピーク位置と回転中心34pとを直線(図9中の破線L2及びL3)で結んで形成される中心角の開き角度をθ2、現像後磁極と現像前磁極との2つの法線磁束密度ピーク位置と回転中心34pとを直線(図9中の破線L3及びL1)で結んで形成される中心角の開き角度をθ3とする。なお、図9中34hは、水平軸を表す。
このとき、現像後磁極中心線L3と現像前磁極中心線L1とが成す中心角の角度θ3が180°以上となるように剤離れ磁極として機能する現像後磁極(N1極)と汲み上げ磁極として機能する現像前磁極(N2極)とを配置することにより、剤離れ磁極として機能する磁極の磁束が現像磁極に流れやすくなるため、剤離れ磁極として機能する磁極と汲み上げ磁極として機能する磁極との極間に発生する磁場を小さくすることができ、剤離れを更に良好に行うことができる。
【0089】
図2に示すように、現像ローラ302と感光体1は現像ニップ領域A(図1参照)で直接には接触せずに、現像に適する一定の間隔、現像ギャップGPを保持して対向している。
現像ローラ302上において、現像剤320を穂立ちさせ、現像剤320を感光体1に接触させることで、感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
この現像装置3では、図3に示すように、固定軸302aには接地されたバイアス用の電源が接続されている(不図示)。固定軸302aに接続された電源VPの電圧は、図3に不図示の導電性の軸受、導電性の回転軸302eを経てスリーブ302cに印加される。一方、感光体1を構成する最下層の導電性支持体は接地されている。
こうして、現像ニップ領域A(図1参照)には、キャリアから離脱したトナーを感光体1側へ移動させる電界を形成しておき、スリーブ302cと感光体1の表面に形成された静電潜像との電位差によりトナーを感光体1側に向けて移動させることに供している。
なお、本実施形態の現像装置は露光用の光L(図1参照)で書き込む方式の画像形成装置と組み合わせた例としている。帯電手段2により感光体1上に一様に負極性の電荷を乗せ、書込量を少なくするために画像部を露光用の光Lで露光することで、低下した電位の画像部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、前記現像方式の中で、感光体1に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
【0090】
現像後、図2に示すように、P2極は現像ローラ302上に担持された現像後の現像剤320を現像ローラ302の回転と共に下流側に搬送し、ケーシング301内に引き入れる。
P2とP3極は同極性としてあり、P2〜P3極間では穂立ちさせる磁力がなく穂が寝た状態となり、それまで現像ローラ302周囲に引き寄せていた現像剤320を現像ローラ302から引き離す“剤離し”の作用が働く。この穂が寝た状態となる現像ローラ上のP2〜P3極対応部(磁力分布曲線の山形のピークが他と比べて極めて低い領域)は現像ローラ302から現像剤320を離す、剤離し領域(図1に符号9で示す)を形成している。
【0091】
感光体1にトナーを付着させた現像剤320は、現像剤中のトナー濃度が下がっているため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤が現像ローラ302から離れずに再度現像ニップ領域Aに搬送され現像に供されると狙いの画像濃度を得ることができないという不具合が生じてしまう。
これを防止するため、本実施形態では、現像後の剤離し領域9で、現像ローラ302から現像剤を離す。現像ローラ302から離した現像剤はその後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング301内で十分に撹拌混合する。
【0092】
こうして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤は、供給室搬送部材304により現像剤貯留スペースCに供給される(図2参照)。
貯留スペースCに供給された現像剤は、P3極のピーク位置の直近下流部に位置する現像剤層厚規制部材303を通過することにより、所定の厚みに整えられて、磁気ブラシを形成しながら現像ニップ領域A(図1参照)に搬送される。また、P3極は、現像剤を搬送する搬送極の機能を担っている。
【0093】
以下、必要に応じて、現像装置の内部の構成を組み立て状態で示した図4及び分解状態で示した図5等をも参照しつつ、各部材の配置構成などを説明する。
図1及び図2に示したように、供給室搬送部材304は現像ローラ302の周囲の位置であって現像ローラ302の2時の方向に配置されている。この位置は現像剤層厚規制部材303の上流側でもある。図4及び図5に示すように、供給室搬送部材304は回転軸の回りにスパイラルを設けたスクリュー形状をしており、現像ローラ302の中心線O−302aと平行な中心線O−304を中心に矢印で示す時計まわりの向きに回転し、該中心線O−304の長手方向奥側から手前側に向けて矢印11で示すように現像剤を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材304は回転軸の回転により現像剤をその軸方向、手前から奥側に向けて搬送する。
【0094】
回収室搬送部材305は、現像ローラ302の周囲の位置であって現像ローラ302の4時の方向上で、剤離し領域9の近傍に配置されている。図4に示すように、回収室搬送部材305は回転軸の回りにスパイラルを設けたスクリュー形状をしており、現像ローラ302の中心線O−302aと平行な中心線O−305を中心に矢印で示す反時計まわりの向きに回転し、中心線O−305の長手方向奥側から手前側に向けて矢印12で示すように現像剤を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材305は回転軸の回転により現像剤を供給室搬送部材304による搬送方向と逆向きの奥側から手前側に向けて搬送する。
回収室搬送部材305に対して供給室搬送部材304は上方に位置する関係となっており、ケーシング301内で供給室搬送部材304周囲の空間と回収室搬送部材305周囲の空間とは隣接している。
供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の手前側端部は現像ローラ302の手前側端部よりも若干手前側に位置するように設定して、現像ローラ302の手前側端部の現像剤の供給を確保している。また、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の奥側端部は現像ローラ302の奥側端部よりも奥側に位置するようにして後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤層厚規制部材303は現像ローラ302の長さに合わせて設置されている。
【0095】
供給室搬送部材304と回収室搬送部材305の間であって、供給室搬送部材304周囲の空間と回収室搬送部材305周囲の空間とを遮蔽する仕切板306がケーシング301の内側に支持されている。この仕切板306の両側端部には、連通口307及び308が設けられている。
図4に示すように、回収室搬送部材305で矢印12の向きに搬送された現像剤はその搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれるため該側壁に沿って盛り上がり、前述した連通口307を介して矢印13に沿って供給室搬送部材304により該供給室搬送部材304に沿う上搬送路を移動する。
同様に、供給室搬送部材304で矢印11の向きに搬送された現像剤はその搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれるために連通口308を介して該側壁に沿って降下し、矢印14に沿って回収室搬送部材305により該回収室搬送部材305に沿う下搬送路に移動する。
【0096】
こうして、本発明の現像装置3は、図1に示すように、現像剤を担持して回転し感光体1に形成された静電潜像を可視像化する現像ローラ302と、現現像ローラ302の中心線O−302aと平行な中心線O−304を中心に回転し、その中心線O−304の長手方向に現像剤を撹拌しつつ搬送する供給室搬送部材304と、現像ローラ302から現像剤を離す剤離し領域9の近傍に配置されていて、現像ローラ302の中心線302aと平行な中心線305を中心に回転し、供給室搬送部材304が現像剤を搬送する向きの反対の向きに現像剤を撹拌しつつ搬送する回収室搬送部材305と、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305の間であって、供給室搬送部材304周囲の空間と回収室搬送部材305周囲の空間とを遮蔽する両端に開口を有する仕切板306とを有する構成により、矢印11,14,12,13に沿う循環搬送路を構成する301内の現像剤撹拌搬送部材304,305が現像ローラ302の横に上下に2本並べて配置されることから、現像ローラから離れる方向(水平方向に)に2つの撹拌搬送部材を配置する図8に示した従来の現像装置に比べて、現像装置の横(水平方向)の大きさを小さくすることができる。図8中、1は感光体、500は現像装置、501は現像ローラ、502は循環スクリュー、503は供給スクリュー、504は現像剤収納部、504oは仕切り板、320は現像剤を表す。
【0097】
更に、こうして、水平方向のコンパクト化を図った現像装置3においても、仕切板306により供給室搬送部材304周囲と回収室搬送部材305周囲の空間が仕切られているので、現像ローラ302に対しては供給室搬送部材304により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤320のみが供給されるし、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤は専ら回収室搬送部材305により撹拌搬送されるだけで、直ぐに現像ローラ320に供給されることがないので、現像ローラ320へは狙いの帯電量を持ったトナーだけが現像に用いられることとなり、高画質を得ることができる。
【0098】
−トナー補給−
現像装置3内の現像剤320は、現像動作を繰り返すうちにトナーが消費されていくので、現像装置外部から装置内の現像剤に対してトナーを補給する必要がある。本実施形態では、現像装置の奥側の端部近傍に設けた現像剤の補給部より外部からトナーの補給を行う。この部位での補給では、補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、開口部308を通過して回収室に供給されることとなる(図6参照)。回収室に供給されたトナーは回収室搬送部材305で撹拌され安定した所定のトナー濃度で現像に供される。
【0099】
回収室搬送部材305による下搬送路では、現像ローラ302から離れた現像剤320を回収するのみで、現像ローラ302へのトナー供給は行わないので、補給用開口309から新しく補給されたトナーにより十分に撹拌されていないトナー濃度が不均一な状態の現像剤が現像に供されることがない(図5参照)。
この補給トナーは現像ローラ302から離れたトナー濃度の低下した現像剤320中で撹拌混合されながら、現像装置3の手前側まで搬送されるまでにトナー濃度が正常化され、供給室搬送部材304による上搬送路まで持ち上げられ、供給室搬送部材304により奥側に搬送されながら現像ローラ302に供給され現像に使用される。
【0100】
−トナー濃度センサ−
図4のユニット下部にトナー濃度センサがある(不図示)。このセンサは透磁率を測定するセンサであり、現像剤のキャリア濃度(=100−トナー濃度)を検知することができる。更に検知したキャリア濃度からセンサ上にあるトナー濃度が適正化不足しているかを判断し、補給するトナーの量を決めている。
前記トナー濃度センサは、回収室搬送部材305の搬送方向下流側端部に配置している。
図4にて矢印11,14,12,13で説明した通りであるが、供給室搬送部材304により奥側まで搬送される前に、現像に使用されることから、回収室搬送部材305により手前側へ戻される現像剤が多くなり、現像剤320が手前側に溜まる傾向にある。そのためトナー濃度センサを回収室搬送部材305の下流側に配置することで、センサ上方には現像剤が常に充填しており、安定したキャリア濃度検知が可能となる。
【0101】
ここで、図1に示す本発明の現像装置3に使用する現像剤担持体は十点表面粗さRzが10μm〜30μmであり、かつ磁性キャリアの十点表面粗さRzが0.5μm〜3.0μmであることが重要である。図1に示す本発明の現像装置3においては現像剤担持体の上方から現像剤が供給される。このため、現像剤担持体上の現像剤には上方に滞留している現像剤の重量の分だけ圧力がかかり、現像剤は現像剤担持体に押し付けられる。このとき、図4において供給室搬送部材304は現像剤を手前から奥側に向けて搬送し、回収室搬送部材305は現像剤を奥から手前側に向けて搬送する。一度現像剤担持体に汲み上げられた現像剤は回収室搬送部材305に送られるため、現像剤担持体の上方の現像剤の量は手前から奥側になるにつれて減少していく。このため、現像剤担持体上の現像剤にかかる圧力は、手前側ほど強くなる。この圧力の差によって、現像剤担持体の手前側では現像剤が押し付けられて現像剤の穂立ちが密になり、現像剤担持体の奥側では現像剤が押し付けられないために現像剤の穂立ちが疎になる。これによって、現像剤担持体の手前側と奥側で現像剤の穂立ちの密度が異なり、これがベタやハーフトーンのムラ画像として現れてしまう。しかし、現像剤担持体の十点表面粗さRzを10μm〜30μmにすることで手前側での現像剤汲み上げ量が抑制され、奥側にも現像剤が十分に供給されるため、現像剤の穂立ちが均一になる。これにより、ムラ画像が現れなくなる。更に、磁性キャリアの十点表面粗さRzを0.5μm〜3.0μmとすることで汲み上げ量が安定化するのみならず、現像剤担持体との衝突による磨耗が低減され、現像剤の長寿命化につながる。
【0102】
また、図7により、均一に帯電された静電潜像担持体に露光手段から光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を前記した本発明の現像装置で可視像化し更に記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置の一例としてカラー画像形成装置の例を説明する。
この図7のカラー画像形成装置は、記録媒体8を搬送する搬送ベルト15に沿って該搬送ベルトの移動方向(搬送方向)上流側から順に、複数の画像形成部17K,17M,17Y,17Cが配列された、所謂タンデムタイプといわれるものである。なお、色の順序はこの限りではない。例えば、黒を最下流に配置し、マゼンタM、シアンC、イエローY、及びブラックKの順に作像することも可能である。
これらの画像形成部は、それぞれが複数部材の組み合わせからなり画像形成を行う。必ずしもユニットとして構成されている必要はない。画像形成部17Kは黒、画像形成部17Mはマゼンタ、画像形成部17Yはイエロー、画像形成部17Cはシアン、の各画像を形成するもので、これら各画像形成部は形成する画像の色が異なるだけで、内部構成は各画像形成部とも共通である。よって、以下の説明では、画像形成部17Kについて概要を説明し、他の画像形成部については、画像形成部17Kにおける各部材の符号末尾に付したKを、画像形成部17MについてはM、画像形成部17YについてはY、画像形成部17CについてはCにそれぞれ置き換えて示すにとどめ、説明は省略する。
【0103】
搬送ベルト15は、その一方が駆動回転させられる駆動ローラと、他方が従動回転させられる従動ローラである搬送ローラ18,19によって回動可能に支持されたエンドレスベルトからなり、これら搬送ローラの回転と共に、矢印の向きに回転させられるようになっている。搬送ベルト15の下方には記録媒体8が収納された給紙トレイ20,21,22が備えられている。
例えば、給紙トレイ20に収納された記録媒体8のうち、最上位置にある記録媒体8は、画像形成時に送り出されてレジストローラ23で一旦待機させられ、画像形成部17Kにおける画像形成とタイミングを合わせて送り出され、静電吸着により搬送ベルト15に吸着される。こうして搬送ベルト15に吸着された記録媒体8は最初の画像形成部17Kに搬送され、ここで黒の画像が転写される。
【0104】
画像形成部17Kは、図1により説明した部材と構成機能が同等の部材を備えている。これら構成機能が同等の部材については、図1におけるものと同じ符号の末尾にKを付し感光体1K、帯電手段2K、現像装置3Kなどで示している。なお、図1では搬送ベルト15を省略して示したが、実際は、図7に示すように、搬送ベルト15の上側張設部分の裏側には転写手段5Kが配置されており、また、感光体1に露光用の光Lを照射して静電潜像を形成する手段として光走査手段16が設けられている。
カラー画像の画像形成に際し、画像形成部17Kでは、感光体1Kの周面が暗中にて帯電手段2Kにより一様に帯電された後、光走査手段16Kからの黒画像に対応した露光用の光Lにより露光され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置3Kにおいて黒トナーにより可視像化され、感光体1K上に黒のトナー像が形成される。
【0105】
このトナー像は感光体1Kと搬送ベルト15上の記録媒体8とが接する位置、所謂転写位置で記録媒体8と合致して転写手段5Kの働きにより記録媒体8上に転写され、該記録媒体8上に単色(黒)の画像が形成される。転写を終えた感光体1Kは該感光体1Kの周面に残留した不要なトナーがクリーニング手段6Kにより除去され、次の画像形成に備えられる。
このようにして、画像形成部17Kで単色(黒)を転写された記録媒体8は、搬送ベルト15によって次の画像形成部17Mに搬送される。画像形成部17Mでは、前記画像形成部17Kにおけると同様のプロセスにより感光体1M上に形成されたマゼンタのトナー像が前記記録媒体8上の黒のトナー像に重ね転写される。
【0106】
記録媒体8は更に次の画像形成部17Yに搬送され、同様にして感光体1Y上に形成されたイエローのトナー像が記録媒体8上に既に形成されている黒及びマゼンタのトナー像に重ね転写される。同様にして更に、次の画像形成部17Cでは、シアンのトナー像が重ね転写されて、フルカラーのカラー画像が得られる。
こうしてフルカラーの重ね画像が形成された記録媒体8は、画像形成部17Cを通過した後、搬送ベルト15から剥離されてから定着手段24で一対の定着ローラ間を通過する間に定着された後、排紙トレイ25へ排紙される。
【0107】
本実施形態のように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に、感光体を横方向に並べて各感光体に帯電手段や現像装置等を設けて静電潜像を形成し、可視像化してから記録媒体に順次転写してフルカラー画像を得るタンデム方式のカラー画像形成装置では、横方向に並べた感光体1K,1M,1Y,1Cに対してそれぞれ現像装置3K,3M,3Y,3Cが設けられているので、画像形成装置を小さくするためには、各感光体の間隔を狭める必要があるがそのためには、各現像装置も水平方向(横方向)の大きさを小さくする必要がある。
【0108】
各現像装置として本発明の構成のものを使用することにより、各現像装置の横寸法が図8に示した従来の現像装置よりも小さくできるので、画像形成装置の小型化を図ることができる。しかも、これらの現像装置3K,3M,3Y,3Cは前記したように、剤離し領域、剤汲み上げ領域、供給室搬送部材、回収室搬送部材、仕切板などを具備した構成としているので、狙いの帯電量を持ったトナーが現像に用いられることとなり、高画質を得ることができる。また、トナーの劣化を抑制できるので、現像剤の性能を長期間に亘って安定に維持することが可能で、高寿命、高耐久な現像装置を提供することができる。このような利益はタンデム式のフルカラー画像形成装置に特有のものではなく、単色の画像形成装置においても得ることができる。
【0109】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を二成分現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記現像装置を用いる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置に着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えることが好ましい。
【実施例】
【0110】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、以下のようにして、現像剤担持体の十点表面粗さRz、キャリアの十点表面粗さRz、キャリアの被覆層の平均厚みh、及びキャリアの被覆層中の導電性微粒子の体積平均粒子径Dを測定した。
【0111】
<現像剤担持体の十点表面粗さRz>
前記現像剤担持体の十点表面粗さRzは、小坂研究所製サーフコーダーSE−30Hを用いて、以下の条件で測定した。
[測定条件]
・縦倍率:2,000倍
・横倍率:2.5倍
・測定長さ:25mm
・測定速度:2.0mm/秒間
・カットオフ:fh 0.8mm、fl 2.5mm
【0112】
<キャリアの十点表面粗さRzの測定>
前記キャリアの十点表面粗さRzは、共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、OPTELICS C130)を用いて、前記キャリア表面の三次元構造を解析し、下記の指定範囲において高さ測定を行って平均線を求め、この範囲での平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合成し、平均化することで算出した。
[測定条件]
・対物レンズ倍率:50倍
・解像度:0.20
・解析:1サンプルにつき10μm四方の指定範囲を20個選び、十点表面粗さRzの平均値をデータとした
【0113】
<キャリアの被覆層の平均厚みhの測定>
前記キャリアの被覆層の平均厚みhは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う被覆層の樹脂部の厚みを測定し、その平均値から求めた。具体的には、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みのみを測定した。導電性微粒子間に存在する樹脂部の厚みや、導電性微粒子上の樹脂部の厚みは測定には含めない。前記キャリア断面の任意の50点測定の平均を求め厚みh(μm)とした。
【0114】
<キャリアの被覆層中の導電性微粒子の体積平均粒子径Dの測定)
前記導電性微粒子の体積平均粒子径Dは、自動粒度分布測定装置(CAPA−700、堀場製作所製)にて測定した。測定の前処理として、ジューサーミキサーにアミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)30mLにトルエン溶液300mLを入れた。試料を6.0g加え、ミキサー回転速度をlowにセットし、3分間分散した。1,000mLビーカーに予め用意されたトルエン溶液500mLの中に分散液を適量加えて希釈した。希釈液はホモジナイザーにて常に攪拌を続けた。この希釈溶液を前記自動粒度分布測定装置CAPA−700にて測定した。
[測定条件]
回転速度:2,000rpm
最大粒度:2.0μm
最小粒度:0.1μm
粒度間隔:0.1μm
分散媒粘度:0.59mPa・s
分散媒密度:0.87g/cm
粒子密度:導電性微粒子の密度は、乾式自動嵩密度計(アキュピック1330、島津製作所製)を用いて測定した真比重値を入力した。
【0115】
(キャリアの製造例1)
<キャリア1の作製>
−被覆層形成溶液の組成−
・アクリル樹脂溶液(固形分50質量%、ヒタロイド3001、日立化成工業株式会社製)・・・51.3質量部
・グアナミン溶液(固形分70質量%、マイコート106、三井サイテック株式会社製)・・・14.6質量部
・酸性触媒(固形分40質量%、TC−750、マツモトファインケミカル株式会社製)・・・0.29質量部
・シリコーン樹脂溶液(固形分20質量%、SR2410、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)・・・648質量部
・アミノシラン(固形分100質量%、SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)・・・3.2質量部
・導電性微粒子(EC−500、チタン工業株式会社製、体積平均粒子径0.43μm、真比重4.6;アンチモンがドープされた酸化インジウムで表面処理された酸化チタン微粒子)・・・165質量部
・トルエン・・・1,800質量部
前記組成をホモミキサーで10分間分散し、アクリル樹脂とシリコーン樹脂の混合被覆層形成溶液を得た。芯材として平均粒径35μmのMnフェライト粒子5,000質量部を用い、前記被覆層形成溶液を芯材表面に被覆層の平均厚みが0.55μmになるように、スピラコーター(岡田精工株式会社製)によりコーター内温度55℃で塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア1]を作製した。
得られた[キャリア1]のD/hは0.8、十点表面粗さRzは2.0μmであった。
【0116】
(キャリアの製造例2)
−キャリア2の作製−
前記キャリアの製造例1において、前記導電性微粒子(EC−500)の配合量を170質量部とした被覆層形成溶液を用い、平均厚みが0.48μmとなるように被覆層を形成した以外は、キャリアの製造例1と同様にして、[キャリア2]を作製した。
得られた[キャリア2]のD/hは0.9、十点表面粗さRzは2.3μmであった。
【0117】
(キャリアの製造例3)
−キャリア3の作製−
前記キャリアの製造例1において、前記導電性微粒子(EC−500)の配合量を160質量部とした被覆層形成溶液を用い、平均厚みが0.61μmとなるように被覆層を形成した以外は、キャリアの製造例1と同様にして、[キャリア3]を作製した。
得られた[キャリア3]のD/hは0.7、十点表面粗さRzは1.7μmであった。
【0118】
(キャリアの製造例4)
−キャリア4の作製−
前記キャリアの製造例1において、前記導電性微粒子(EC−500)の配合量を150質量部とした被覆層形成溶液を用い、平均厚みが0.86μmとなるように被覆層を形成した以外は、キャリアの製造例1と同様にして、[キャリア4]を作製した。
得られた[キャリア4]のD/hは0.5、十点表面粗さRzは0.5μmであった。
【0119】
(キャリアの製造例5)
−キャリア5の作製−
前記キャリアの製造例1において、前記導電性微粒子(EC−500)の配合量を180質量部とした被覆層形成溶液を用い、平均厚みが0.39μmとなるように被覆層を形成した以外は、キャリアの製造例1と同様にして、[キャリア5]を作製した。
得られた[キャリア5]のD/hは1.1、十点表面粗さRzは3.0μmであった。
【0120】
(キャリアの製造例6)
−キャリア6の作製−
前記キャリアの製造例1において、前記導電性微粒子(EC−500)の配合量を145質量部とした被覆層形成溶液を用い、平均厚みが1.1μmとなるように被覆層を形成した以外は、キャリアの製造例1と同様にして、[キャリア6]を作製した。
得られた[キャリア6]のD/hは0.4、十点表面粗さRzは0.35μmであった。
【0121】
(キャリアの製造例7)
−キャリア7の作製−
前記キャリアの製造例1において、前記導電性微粒子(EC−500)の配合量を185質量部とした被覆層形成溶液を用い、平均厚みが0.36μmとなるように被覆層を形成した以外は、キャリアの製造例1と同様にして、[キャリア7]を作製した。
得られた[キャリア7]のD/hは1.2、十点表面粗さRzは3.1μmであった。
【0122】
【表1】

【0123】
(トナーの製造例1)
−ポリエステル樹脂Aの合成−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽内に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物65質量部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物86質量部、テレフタル酸274質量部、及びジブチルスズオキシド2質量部を投入し、常圧下、230℃で15時間反応させた。次に、5mmHg〜10mmHgの減圧下、6時間反応させて、ポリエステル樹脂Aを合成した。
得られたポリエステル樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が2,300、重量平均分子量(Mw)が8,000、ガラス転移温度(Tg)が58℃、酸価が25mgKOH/g、水酸基価が35mgKOH/gであった。
【0124】
−プレポリマーの合成−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が49mgKOH/gであった。
次に、冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、前記合成した中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマーを合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
【0125】
−ケチミン化合物の合成−
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器内に、イソホロンジアミン30質量部、及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物を合成した。得られたケチミン化合物のアミン価は423であった。
【0126】
−マスターバッチの作製−
水1,000質量部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量が42mL/100g、pH9.5)540質量部、及び1,200質量部の前記合成したポリエステル樹脂Aを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。次に、二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
【0127】
−水系媒体相の調製−
イオン交換水306質量部、リン酸三カルシウムの10質量%懸濁液265質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0質量部を混合攪拌し、均一に溶解させて、水系媒体相を調製した。
【0128】
−トナー材料液の調製−
ビーカー内に、前記合成したポリエステル樹脂Aを70質量部、前記合成したプレポリマーを10質量部、及び酢酸エチル100質量部を入れ、攪拌して溶解させた。離型剤としてパラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、HNP−9、融点75℃)5質量部、コロイダルシリカのメチルエチルケトン分散液(MEK−ST、日産化学工業株式会社製、固形分30質量%)2質量部、及び前記作製したマスターバッチ10質量部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスクの周速度6m/秒間で、直径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした後、前記合成したケチミン化合物2.7質量部を加えて溶解させ、トナー材料液を調製した。
【0129】
−乳化乃至分散液の調製−
前記水系媒体相150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
【0130】
−有機溶剤の除去−
攪拌機、及び温度計をセットしたコルベンに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分間で攪拌しながら30℃にて12時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。
【0131】
−洗浄−
得られた前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。更に得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
【0132】
−界面活性剤量の調整−
前記洗浄により得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した際のトナー分散液の電気伝導度を測定し、事前に作成した界面活性剤濃度の検量線より、トナー分散液の界面活性剤濃度を算出した。その値から、界面活性剤濃度が狙いの界面活性剤濃度0.05質量%になるように、イオン交換水を追加し、トナー分散液を得た。
【0133】
−表面処理工程−
前記所定の界面活性剤濃度に調整したトナー分散液を、TK式ホモミキサーで5,000rpmで混合しながら、ウォーターバスで加熱温度T1=55℃で10時間加熱を行った。その後トナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行った。更に得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
【0134】
−乾燥−
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー母体粒子1を得た。
【0135】
−外添処理−
前記トナー母体粒子1を100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8質量部とをヘンシェルミキサーにて混合して、[トナー1]を得た。
【0136】
−現像剤の作製−
得られた前記[トナー1]7質量部と前記[キャリア1]93質量部とを混合攪拌して、[現像剤1]を作製した。得られた前記[現像剤1]の嵩密度を測定したところ、1.73g/cmであった。
【0137】
(実施例1)
図1に示す現像装置を備えた図7に示す画像形成装置を用い、図1に示す現像装置の中に、作製した前記[現像剤1]を装填した画像形成装置とした。
前記現像装置における現像剤担持体としては、画像形成装置(株式会社リコー製、イマジオカラー4000)に搭載の直径12mmのステンレススチール製の現像剤担持体を用い、サンドブラスト加工により現像剤担持体の十点表面粗さRzを20μmに調整したものを使用した。
次に、前記実施例1の画像形成装置を用い、単色モードで20%画像面積の画像チャートを200,000枚出力するランニングを行った。その後、以下のようにして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0138】
<ベタ画像ムラ>
前記ベタ画像ムラは、200,000枚出力後にA3サイズのベタ画像を出力し、ベタ画像の濃度ムラの状態を目視観察して、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:画像上に濃度ムラが全くない状態
○:わずかに濃度ムラが観察されるが問題とはならないレベルである状態
△:濃度ムラが目立つがぎりぎり問題とならないレベルである状態
×:濃度ムラが目立ち問題となるレベルである状態
××:一目で濃度ムラが明らかである状態
なお、本発明においては、◎、○、△を合格とし、×、××を不合格とした。
【0139】
<ハーフトーン画像ムラ>
前記ハーフトーン画像ムラは、200,000枚出力後に、A3サイズのハーフトーン画像を出力し、ハーフトーン画像の濃度ムラの状態を目視観察して、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:画像上に濃度ムラが全くない状態
○:わずかに濃度ムラが観察されるが問題とはならないレベルである状態
△:濃度ムラが目立つがぎりぎり問題とならないレベルである状態
×:濃度ムラが目立ち問題となるレベルである状態
××:一目で濃度ムラが明らかである状態
なお、本発明においては、◎、○、△を合格とし、×、××を不合格とした。
【0140】
<穂跡>
前記穂跡は、200,000枚出力後にA3サイズのベタ画像を出力して、磁気ブラシの穂跡がベタ画像上に出ているか否かを目視にて観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:穂跡が全くない状態
○:わずかに穂跡が観察されるが問題とはならないレベルである状態
△:穂跡が目立ち問題となるレベルである状態
×:一目で穂跡が明らかである状態
なお、本発明においては、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0141】
<現像剤枯渇>
前記現像剤枯渇は、200,000枚出力中の画像を100枚毎に、印刷画像の現像手前に相当する側の端から5cmまでの領域を目視観察し、濃度が薄くなっている画像の有無について、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:薄くなっている画像が全くない状態
○:わずかに薄くなっている画像が100枚中2枚以内で存在する状態
△:明らかに薄くなっている画像が100枚中2枚以内で存在する状態
×:明らかに薄くなっている画像が100枚中2枚を超えて存在する状態
なお、本発明においては、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0142】
<地肌かぶり>
前記地肌かぶりは、200,000枚出力後、白紙画像を現像中に停止させ、感光体上に残存するトナーをテープ(プリンタック、日東電工株式会社製)に転写し、未転写のテープの画像濃度との差(ΔID)を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定し、下記基準により評価した。なお、前記画像濃度の差(ΔID)が小さい方が、地肌かぶりが少ないことを示す。
〔評価基準〕
◎:ΔIDが0.005未満
○:ΔIDが0.005以上0.01未満
△:ΔIDが0.01以上0.02未満
×:ΔIDが0.02以上
なお、本発明においては、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0143】
<キャリア飛散>
前記キャリア飛散は、200,000枚出力後に搬送ベルトにかける電流を切った状態でA3サイズのベタ画像を出力し、ベタ画像中のキャリア飛散に伴う白斑ぬけの個数を測定し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:白斑ぬけの個数が50個未満
○:白斑ぬけの個数が50個以上200個未満
△:白斑ぬけの個数が200個以上400個未満
×:白斑ぬけの個数が400個以上
なお、本発明においては、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0144】
(実施例2)
実施例1において、前記[キャリア2]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤2]を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0145】
(実施例3)
実施例1において、前記[キャリア3]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤3]を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0146】
(実施例4)
実施例1において、前記[キャリア4]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤4]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが10μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0147】
(実施例5)
実施例1において、前記[キャリア4]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤4]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが30μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0148】
(実施例6)
実施例1において、前記[キャリア5]93質量部と前記[トナー1]7質量部を混合攪拌して得た[現像剤5]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが10μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0149】
(実施例7)
実施例1において、前記[キャリア5]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤5]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが30μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0150】
(実施例8)
実施例1において、前記[キャリア4]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤4]を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0151】
(実施例9)
実施例1において、前記[キャリア5]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤5]を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0152】
(比較例1)
実施例1において、前記[キャリア4]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤4]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが9μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0153】
(比較例2)
実施例1において、前記[キャリア5]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤5]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが9μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0154】
(比較例3)
実施例1において、前記[キャリア4]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤4]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが31μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0155】
(比較例4)
実施例1において、前記[キャリア5]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤5]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが31μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0156】
(比較例5)
実施例1において、前記[キャリア6]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤6]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが10μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0157】
(比較例6)
実施例1において、前記[キャリア6]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤6]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが30μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0158】
(比較例7)
実施例1において、前記[キャリア7]93質量部と前記[トナー1]7質量部とを混合攪拌して得た[現像剤7]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが10μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0159】
(比較例8)
実施例1において、前記[キャリア7]93質量部と前記[トナー1]7質量部を混合攪拌して得た[現像剤7]と、サンドブラスト加工の条件(研削時間)を変えて十点表面粗さRzが30μmとなるように調整した現像剤担持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像ムラ、ハーフトーン画像ムラ、穂跡、現像剤枯渇、地肌かぶり、及びキャリア飛散を評価した。結果を表2−2に示した。
【0160】
【表2−1】

【表2−2】

【0161】
本発明の現像装置は、小型化が可能であり、現像時の画像濃度を一定のまま長期間に亘って保つことができ、かつ二成分現像剤の長寿命化を図ることができるので、電子写真方式のレーザープリンタ、デジタル複写機、フルカラー複写機、フルカラーレーザープリンタなどに好適である。
【0162】
本発明の態様としては、以下のとおりである。
<1> 複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して、表面を回転駆動することによって表面上の二成分現像剤を搬送する円筒状の現像剤担持体と、
該現像剤担持体の表面に供給する二成分現像剤を収納する現像剤収納部と、を有してなり、
前記磁界発生手段が有する磁極のうち前記現像剤担持体の表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極が、
前記現像剤担持体と静電潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、
前記現像剤収納部から供給された二成分現像剤を前記現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、
前記現像領域を通過した後の二成分現像剤を前記現像剤担持体表面から離脱させるために前記現像前磁極との間で二成分現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極と、の3つの磁極のみであり、
前記現像前磁極が発生させる磁界によって前記現像剤担持体の表面上への二成分現像剤の汲み上げを行い、
前記現像前磁極及び前記現像磁極が発生させる磁界によって前記現像剤収納部から二成分現像剤が供給される位置から現像領域までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行い、
前記現像磁極及び前記現像後磁極が発生させる磁界によって前記現像領域から前記現像剤担持体の表面の二成分現像剤を離脱させる位置までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行うように構成した現像装置であって、
前記現像剤担持体の十点表面粗さRzが10μm〜30μmであり、かつ前記磁性キャリアの十点表面粗さRzが0.5μm〜3.0μmであることを特徴とする現像装置である。
<2> 磁性キャリアが芯材と該芯材を被覆する被覆層とを有し、前記被覆層中に含まれる導電性微粒子の体積平均粒子径をDとし、前記被覆層の平均厚みをhとすると、次式、0.5≦(D/h)≦1.1、を満たす前記<1>に記載の現像装置である。
<3> 被覆層の平均厚みが、0.05μm〜4μmである前記<2>に記載の現像装置である。
<4> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを含む画像形成方法であって、
前記現像工程が、前記<1>から<3>のいずれかに記載の現像装置を用いて行われることを特徴とする画像形成方法である。
<5> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置であって、
前記現像手段が、前記<1>から<3>のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置である。
<6> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を二成分現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを有するプロセスカートリッジであって、
前記現像手段が、前記<1>から<3>のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【符号の説明】
【0163】
1 静電潜像担持体(感光体)
2 帯電手段
3 現像装置
5 転写手段
6 クリーニング手段
8 記録媒体
15 搬送ベルト
16 光走査手段
17 画像形成部
18 搬送ローラ
19 搬送ローラ
20 給紙トレイ
21 給紙トレイ
22 給紙トレイ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙トレイ
301 ケーシング
302 現像ローラ
302a 固定軸
302c スリーブ
302d マグネットローラ
302e 回転軸
302f 軸受
303 現像剤層厚規制部材
304 供給室搬送部材
305 回収室搬送部材
306 仕切版
307 連通口
308 連通口
309 補給用開口
320 二成分現像剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0164】
【特許文献1】特開平11−184249号公報
【特許文献2】特開2010−204639号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して、表面を回転駆動することによって表面上の二成分現像剤を搬送する円筒状の現像剤担持体と、
該現像剤担持体の表面に供給する二成分現像剤を収納する現像剤収納部と、を有してなり、
前記磁界発生手段が有する磁極のうち前記現像剤担持体の表面上の二成分現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極が、
前記現像剤担持体と静電潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、
前記現像剤収納部から供給された二成分現像剤を前記現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、
前記現像領域を通過した後の二成分現像剤を前記現像剤担持体表面から離脱させるために前記現像前磁極との間で二成分現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極と、の3つの磁極のみであり、
前記現像前磁極が発生させる磁界によって前記現像剤担持体の表面上への二成分現像剤の汲み上げを行い、
前記現像前磁極及び前記現像磁極が発生させる磁界によって前記現像剤収納部から二成分現像剤が供給される位置から現像領域までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行い、
前記現像磁極及び前記現像後磁極が発生させる磁界によって前記現像領域から前記現像剤担持体の表面の二成分現像剤を離脱させる位置までの前記現像剤担持体上の二成分現像剤の保持を行うように構成した現像装置であって、
前記現像剤担持体の十点表面粗さRzが10μm〜30μmであり、かつ前記磁性キャリアの十点表面粗さRzが0.5μm〜3.0μmであることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
磁性キャリアが芯材と該芯材を被覆する被覆層とを有し、前記被覆層中に含まれる導電性微粒子の体積平均粒子径をDとし、前記被覆層の平均厚みをhとすると、次式、0.5≦(D/h)≦1.1、を満たす請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
被覆層の平均厚みが、0.05μm〜4μmである請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを含む画像形成方法であって、
前記現像工程が、請求項1から3のいずれかに記載の現像装置を用いて行われることを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置であって、
前記現像手段が、請求項1から3のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を二成分現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを有するプロセスカートリッジであって、
前記現像手段が、請求項1から3のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−33223(P2013−33223A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119919(P2012−119919)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】