説明

現像装置、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ

【課題】現像時の画像濃度を長期にわたり保つことができ、かつ、現像剤の長寿命化を図ることが可能な現像装置、画像形成方法、画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、二成分現像剤を搬送する現像剤担持体302と、供給搬送部材304と、回収現像剤を搬送する回収搬送部材305とを有し、現像剤担持極は、現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、現像剤を該現像領域へ搬送する現像前磁極と、現像剤を該現像剤担持体表面から離脱させるための現像後磁極との3つの磁極のみであり、該現像前磁極及び該現像磁極が発生させる磁界によって現像剤の保持を行い、該現像磁極及び該現像後磁極が発生させる磁界によって該現像剤担持体上の現像剤の保持を行うように構成した現像装置であって、前記磁性キャリアの1Koeにおける飽和磁化が58emu/g〜70emu/gであることを特徴とする現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置、並びにこの現像装置を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真の分野において、一成分の現像剤を用いる一成分方式の現像装置に比べて、耐久性、画像特性に優れているなどの理由により、トナーと磁性キャリアからなる現像剤を用いる二成分方式の現像装置を備える画像形成装置が広く用いられている。二成分方式の現像装置としては、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包して現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブを有するものが知られている。このような現像装置として、特許文献1には、磁界発生手段の磁極のうち、現像スリーブの表面上の現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる磁極の数が5つである現像装置が記載されている。この現像装置では、5つの磁極として、汲み上げ磁極、現像前搬送磁極、現像磁極、剤離れ磁極、及び、現像後搬送磁極を有する。
汲み上げ磁極は現像スリーブの表面上への現像剤の汲み上げに寄与し、現像前搬送磁極は汲み上げた現像剤を現像スリーブが潜像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤搬送に寄与する。また、現像磁極は現像領域での現像に寄与し、剤離れ磁極は現像領域を通過した現像剤が現像スリーブ表面から離脱する剤離れに寄与する。特許文献1の現像装置では現像磁極と剤離れ磁極との間に現像後搬送磁極を配置しており、現像後搬送磁極は現像領域を通過した後の現像剤を剤離れの位置まで良好に搬送することに寄与する。
なお、特許文献1の現像装置では、汲み上げ磁極と現像前搬送磁極との間の現像スリーブと対向する位置に剤規制部材を配置し、剤規制部材によって現像領域に搬送する現像剤の量を規制している。このような磁極配置によって、現像スリーブ表面への汲み上げ、現像領域までの現像剤の搬送、現像、剤離れという各工程を良好に実行することができる。なお、従来の二成分方式の現像装置としては、汲み上げ磁極と現像前搬送磁極との間の剤規制部材と対向する位置に剤規制磁極を設け、現像後搬送磁極を備えないものもある。
【0003】
近年、画像形成装置の小型化の要請に伴い、現像装置の小型化が求められており、現像装置の小型化を実現するためには小径の現像スリーブを用いることが望ましい。しかしながら、従来の現像装置では、汲み上げ、現像領域までの現像剤の搬送、現像、および、剤離れの各工程を良好に実行しつつ、現像スリーブの小径化は困難であった。これは、各工程を良好に実行するには各磁極に対して各工程を良好に実行するために必要な強さの磁界を発生することができる磁石を配置する必要があるが、磁力が強いほど磁石は大きくなり、このような磁石を5つも内包する現像スリーブの小径化には限界があるためである。
【0004】
特許文献2の現像装置では、現像剤担持体の表面上の現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極の数が3つであるため、従来の構成に比べて磁界発生手段の配置に要するスペースを小さくすることができるため、磁界発生手段を内包する現像剤担持体を小径化することができている。この構成によって、現像装置を小型化しながら、各工程に必要な強さの磁界を発生させることができ、現像剤の搬送、現像、剤離れという各工程を良好に実施することができる。
【0005】
特許文献2のように小型化した現像装置においては、省スペースが必要なために現像剤担持体の上方から現像剤を供給する構成となりやすい。現像剤担持体の上方から現像剤を供給すると、スリーブ上の現像剤の重量によって現像剤がスリーブに押し付けられることとなる。このとき、供給スクリュの上流と下流ではスリーブ上の現像剤にかかる圧力が異なる。このため、供給スクリュの上流では現像剤に圧がかかるために現像剤が押し付けられ、剤の穂立ちが蜜である。一方、供給スクリュの下流では現像剤に圧がかからないために剤の穂立ちが疎である。これによって、供給スクリュの上流部と下流部で現像剤の穂立ちの密度が異なり、これがベタやHT(ハーフトーン)のムラ画像として現れるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、小型化された現像装置においても、現像時の画像濃度を一定のまま長期にわたり保つことができ、かつ、現像剤の長寿命化を図ることが可能な現像装置、画像形成方法、画像形成装置及びこれを用いたプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第一に、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して、表面を回転駆動することによって表面上の二成分現像剤を搬送する円筒状の現像剤担持体と、該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する供給搬送部材を備えた供給搬送路と、該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された回収現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って搬送する回収搬送部材を備えた回収搬送路とを有し、該現像剤担持体の軸線方向と直交する断面での端部が該現像剤担持体表面と対向する仕切り部材によって該回収搬送路と該供給搬送路とが仕切られ、該供給搬送路が該仕切り部材を挟んで該回収搬送路の上方に位置するように設けられ、該現像剤担持体の上方から現像剤が供給される構造を有し、上記磁界発生手段が有する磁極のうち上記現像剤担持体の表面上の現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極は、該現像剤担持体と潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、上記現像剤収納部から供給された現像剤を該現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、該現像領域を通過した後の現像剤を該現像剤担持体表面から離脱させるために該現像前磁極との間で現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極との3つの磁極のみであり、該現像前磁極が発生させる磁界によって該現像剤担持体の表面上への現像剤の汲み上げを行い、該現像前磁極及び該現像磁極が発生させる磁界によって該現像剤収納部から現像剤が供給される位置から現像領域までの該現像剤担持体上の現像剤の保持を行い、該現像磁極及び該現像後磁極が発生させる磁界によって該現像領域から該現像剤担持体の表面の現像剤を離脱させる位置までの該現像剤担持体上の現像剤の保持を行うように構成した現像装置であって、前記磁性キャリアの1Koeにおける飽和磁化が58emu/g〜70emu/gであることを特徴とする現像装置を提供する。
第二に、前記二成分現像剤の嵩密度が1.69g/cm〜1.85g/cmであることを特徴とする上記第一に記載の現像装置を提供する。
第三に、前記磁性キャリアの表面粗さRaが0.38μm〜0.90μmであることを特徴とする上記第一又は二に記載の現像装置を提供する。
第四に、前記磁性キャリアの樹脂がアクリル樹脂とシリコン樹脂を含有することを特徴とする上記第一乃至三のいずれかに記載の現像装置を提供する。
第五に、上記キャリア被覆層中に含まれる微粒子の平均粒子径をDとし、キャリア被覆層の厚みをhとしたとき、前記Dとhとの比、D/hが、0.5≦D/h≦1.1となるような微粒子を含有する前記磁性キャリアを有することを特徴とする上記第一乃至四のいずれかに記載の現像装置を提供する。
第六に、前記磁性キャリアの重量平均粒子径が25〜45μmであることを特徴とする上記第一乃至五のいずれかに記載の現像装置を提供する。
第七に、前記被覆層は、平均膜厚が0.05μm以上4μm以下であることを特徴とする上記第一乃至六のいずれかに記載の現像装置を提供する。
第八に、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、上記第一乃至七のいずれかに記載の現像装置を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法を提供する。
第九に、上記第八に記載の画像形成方法を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
第十に、静電潜像担持体、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、上記第一乃至七のいずれかに記載の現像装置を用いて現像する手段が少なくとも一体に支持されていることを特徴とするプロセスカートリッジを提供する。
【発明の効果】
【0008】
前記第一乃至第十項記載の発明によれば、小型化された現像装置においても、現像時の画像濃度を一定のまま長期にわたり保つことができ、HT(ハーフトーン)やベタの画像ムラが現れないという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】感光体周りの概略構成図。
【図2】現像ローラに形成される磁力密度分布。
【図3】現像ローラの断面図。
【図4】現像装置の主要部斜視図(上部ケース、仕切り板不図示)。
【図5】現像装置の主要部斜視図。
【図6】連通口。
【図7】画像形成装置。
【図8】従来の現像装置。
【図9】磁束密度分布図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1]画像形成の概要
図1は、感光体(1)を用いた画像形成装置に、本発明の現像装置(3)を用いたときの感光体(1)まわりの概略を示した各部材配置構成図である。感光体(1)は矢印で示すように時計まわりの向きに回転される。この感光体(1)の上部、時計の文字盤で表現すれば略11時の位置には帯電装置(2)が配置されている。帯電装置(2)は本例では感光体と同速度で回転される回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
この帯電装置(2)により感光体(1)の表面は暗中で一様に帯電された後、図示省略の書き込み手段からの露光用の光(L)の照射を受けて静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体(1)の回転と共に下流側に移動し現像装置(3)に至る。現像装置(3)は感光体(1)の右横に配置されている。
【0011】
現像装置(3)はケーシング(301)内に、現像剤(320)を撹拌搬送する供給室搬送部材(304)及び回収室搬送部材(305)、現像ローラ(302)などの回転部材及びその他の部材を具備している。
現像ローラ(302)は2時と3時の間の位置(2時半の位置)で感光体(1)に近接して対向させることで現像ニップ領域(A)を構成するようにして近接配置されている。
この感光体(1)との対向部位に相当するケーシング(301)の部位は現像ローラ(302)を露出させるため開口している。
【0012】
現像ローラ(302)によりケーシング(301)内の現像剤(320)は現像ニップ領域(A)へ搬送されるようになっている。現像ニップ領域(A)で感光体(1)の表面に形成されている静電潜像に現像剤(320)中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
このトナー像は感光体(1)の回転と共に下流側に移動し転写装置(5)に至る。転写装置(5)は感光体(1)の下部、6時の位置に配置されている。本例では転写装置(5)は回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。感光体(1)と転写装置(5)とが対向する領域を転写領域(B)と称する。
【0013】
感光体(1)上のトナー像は転写領域(B)において転写紙(8)に転写され転写紙(8)上の画像となる。なお感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルトなど)にいったん転写し、その後多色トナーを一括して転写紙に転写する中間転写ベルト方式にも適用は可能であり、その場合は転写領域(B)で感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト)に転写することになる。
【0014】
転写後の感光体(1)は感光体(1)の回転と共に下流側へ移動してクリーニング装置(6)に至る。クリーニング装置(6)は10時の位置に配置されている。クリーニング装置(6)は、転写紙に転写し切れずに感光体(1)の表面に残ったトナーを、クリーニングブレード(601)により除去する。クリーニング装置(6)を通過した感光体(1)の表面は、その後、帯電装置(2)により表面を一様に帯電され、次の画像形成工程を繰返す。
【0015】
[2]現像装置
現像装置(3)は、ケーシング(301)の内部に現像ローラ(302)、供給室搬送部材(304)、回収室搬送部材(305)、現像剤規制部材(303)を有し、現像剤(320)を撹拌搬送して循環させている。
なお本実施例では攪拌部材は螺旋形状のスクリュを用いており、スクリュ羽根の外径を直径16mm以下のものを用いている。
【0016】
図2に示すように、現像ローラ(302)は、円周方向に複数の磁石MG(図の煩雑化防止のため1個についてのみ符号で示す。)を配置したマグネットローラ(302d)を内部に有し、その周囲を円筒状のスリーブ(302c)が回転軸(302e)と一体的に回転する構成となっている。
【0017】
スリーブ(302c)はアルミ等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラ(302d)は、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング(301)に固定されており、その周囲をスリーブ(302c)が回転して、磁石MGによって引き付けた現像剤(320)を搬送していく。
【0018】
現像ローラ(302)の構造を示した図3において、現像ローラ(302)は主として不動部材ケーシング(301)に固定されている固定軸(302a)及びこの固定軸(302a)と一体の円柱状をしたマグネットローラ(302d)と、マグネットローラ(302d)のまわりをギャップを介して覆っているスリーブ(302c)及びこのスリーブ(302c)と一体的な回転軸(302e)等からなる。固定軸(302a)に対して回転軸(302e)は軸受(302f)を介して回転自在であり、回転軸(302e)は図示省略の回転駆動手段から動力を伝達されて回転駆動される。
【0019】
マグネットローラ(302d)の外周部には、図3に示すように所定の間隔をおいて複数の磁石MGが固定されている。これらの磁石MGの周囲をスリーブ(302c)が回転されるわけである。
これらの磁石MGは、スリーブ(302c)の周表面に現像剤を穂立ちさせ、また穂切りなどさせるように磁界を形成するためのものである。これらの磁石MGから発せられる法線方向磁力線に沿うように、磁性のキャリアが集合して磁気ブラシが形成される。
【0020】
マグネットローラの構成は多々あるが、まず図2に示すように、スリーブ(302c)の内部に3つの磁石MGを有し、3つの磁極(磁力分布)が生じるマグネットローラの構成を説明する。現像ローラ(302)の中心O−1と感光体の中心O−2を結ぶ線上で対向する部分(現像ニップ領域(A)に相当する領域)の磁極をP1極(現像極)と称し、以下反時計まわりの向きで示す現像ローラ(302)の回転方向順に、各磁極をP2(ケーシング対向極)、P3極(現像剤規制部材対向極)と称する。
極性はP1極から、N、S、S極としているが、これらは各極が反対の極性であっても構わない。P1極は現像極であり、感光体(1)に対向している。P2はケーシングに対向しており、P3は現像剤規制部材に対向している。なお、本発明で使用するマグネットローラの一例を図9に示す。
【0021】
現像ローラ(302)と感光体(1)は現像ニップ領域(A)(図1参照)で直接には接触せずに、現像に適する一定の間隔、現像ギャップGPを保持して対向している。
現像ローラ(302)上において、現像剤(320)を穂立ちさせ、現像剤(320)を感光体(1)に接触させることで、感光体(1)表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
【0022】
この現像装置(3)では、図2に示すように、固定軸(302a)には接地されたバイアス用の電源が接続されている(不図示)。固定軸(302a)に接続された電源VPの電圧は、図3に不図示の導電性の軸受、導電性の回転軸(302e)を経てスリーブ(302c)に印加される。一方感光体(1)を構成する最下層の導電性支持体は接地されている。
【0023】
こうして、現像ニップ領域(A)には、キャリアから離脱したトナーを感光体(1)側へ移動させる電界を形成しておき、スリーブ(302c)と感光体(1)の表面に形成された静電潜像との電位差によりトナーを感光体(1)側に向けて移動させることに供している。
なお、本例の現像装置は露光用の光(L)(図1参照)で書き込む方式の画像形成装置と組み合わせた例としている。帯電装置(2)により感光体(1)上に一様に負極性の電荷を乗せ、書込量を少なくするために画像部を露光用の光(L)で露光することで、低下した電位の画像部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、本発明の現像方式の中で、感光体(1)に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
【0024】
現像後、P2極は現像ローラ(302)上に担持された現像後の現像剤(320)を現像ローラ(302)の回転と共に下流側に搬送し、ケーシング(301)内に引き入れる。
P2とP3極は同極性としてあり、P2〜P3極間では穂立ちさせる磁力がなく穂が寝た状態となり、それまで現像ローラ(302)周囲に引き寄せていた現像剤(320)を現像ローラ(302)から引き離す“剤離し”の作用が働く。この穂が寝た状態となる現像ローラ上のP2〜P3極対応部(磁力分布曲線の山形のピークが他と比べて極めて低い領域)は現像ローラ(302)から現像剤(320)を離す、剤離し領域(図1に符号9で示す。)を形成している。
【0025】
現感光体(1)にトナーを付着させた現像剤(320)は、現像剤中のトナー濃度が下がっているため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤が現像ローラ(302)から離れずに再度現像ニップ領域(A)に搬送され現像に供されると狙いの画像濃度を得ることができないという不具合が生じてしまう。
【0026】
これを防止するため、本例では、現像後の剤離し領域(9)で、現像ローラ(302)から現像剤を離す。現像ローラ(302)から離した現像剤はその後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング(301)内で十分に撹拌混合する。
こうして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤は、供給室撹拌搬送部材(304)により現像剤貯留スペース(C)に供給される。
【0027】
貯留スペース(C)に供給された現像剤はP3極のピーク位置の直近下流部に位置する現像剤規制部材(303)を通過することにより、所定の厚さに整えられて、磁気ブラシを形成しながら現像ニップ領域(A)に搬送される。また、P3極は、現像剤を搬送する搬送極の機能を担っている。
【0028】
以下、必要に応じて、現像装置の内部の構成を組み立て状態で示した図4及び分解状態で示した図5等をも参照しつつ、各部材の配置構成などを説明する。
図1、図2に示したように、供給室搬送部材(304)は現像ローラ(302)のまわりの位置であってこの装置例では現像ローラ(302)の2時の方向に配置されている。
この位置は現像剤規制部材(303)の上流側でもある。
図4、5に示すように、供給室搬送部材(304)は回転軸の回りにスパイラルを設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ(302)の中心線O−302aと平行な中心線O−304を中心に矢印で示す時計まわりの向きに回転し、該中心線O−304の長手方向奥側から手前側に向けて矢印(11)で示すように現像剤を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材(304)は回転軸の回転により現像剤をその軸方向、手前から奥側に向けて搬送する。
【0029】
回収室搬送部材(305)は現像ローラ(302)のまわりの位置であってこの装置例では現像ローラ(302)の4時の方向上で、剤離し領域(9)の近傍に配置されている。
図4に示すように、回収室搬送部材(305)は回転軸の回りにスパイラルを設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ(302)の中心線O−302aと平行な中心線O−305を中心に矢印で示す反時計まわりの向きに回転し、中心線O−305の長手方向奥側から手前側に向けて矢印(12)で示すように現像剤を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材(305)は回転軸の回転により現像剤を供給室搬送部材(304)による搬送方向と逆向きの奥側から手前側に向けて搬送する。
【0030】
回収室搬送部材(305)に対して供給室搬送部材(304)は上方に位置する関係となっており、ケーシング(301)内で供給室搬送部材(304)周囲の空間と回収室搬送部材(305)周囲の空間とは隣接している。
供給室搬送部材(304)及び回収室搬送部材(305)の手前側端部は現像ローラ(302)の手前側端部よりも若干手前側に位置するように設定して、現像ローラ(302)の手前側端部の現像剤の供給を確保している。また、供給室搬送部材(304)及び回収室搬送部材(305)の奥側端部は現像ローラ(302)の奥側端部よりも奥側に位置するようにして後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材(303)は現像ローラ(302)の長さに合わせて設置されている。
【0031】
供給室搬送部材(304)と回収室搬送部材(305)の間であって、供給室搬送部材(304)周囲の空間と回収室搬送部材(305)周囲の空間とを遮蔽する仕切板(306)がケーシング(301)の内側に支持されている。
この仕切板(306)の両側端部には、連通口(307)および(308)が設けられている。
回収室搬送部材(305)で矢印(12)の向きに搬送された現像剤はその搬送方向端部でケーシング(301)の側壁で進路を絶たれるため該側壁に沿って盛り上がり、前述した連通口(307)を介して矢印(13)に沿って供給室搬送部材(304)により該供給室搬送部材(304)に沿う上搬送路を移動する。
【0032】
同様に、供給室搬送部材(304)で矢印(11)の向きに搬送された現像剤はその搬送方向端部でケーシング(301)の側壁で進路を絶たれるために連通口(308)を介して該側壁に沿って降下し、矢印(14)に沿って回収室搬送部材(305)により該回収室搬送部材(305)に沿う下搬送路に移動する。
こうして、本発明の現像装置(3)は、現像剤を担持して回転し現感光体(1)に形成された静電潜像を可視像化する現像ローラ(302)と、現現像ローラ(302)の中心線O−302aと平行な中心線O−304を中心に回転し、その中心線O−304の長手方向に現像剤を撹拌しつつ搬送する供給室搬送部材(304)と、現像ローラ(302)から現像剤を離す剤離し領域(9)の近傍に配置されていて、現像ローラ(302)の中心線(302a)と平行な中心線(305)を中心に回転し、供給室搬送部材(304)が現像剤を搬送する向きの反対の向きに現像剤を撹拌しつつ搬送する回収室搬送部材(305)と、供給室搬送部材(304)と回収室搬送部材(305)の間であって、供給室搬送部材(304)周囲の空間と回収室搬送部材(305)周囲の空間とを遮蔽する両端に開口を有する仕切板(306)とを有する構成により、矢印(11)、(14)、(12)、(13)に沿う循環搬送路を構成する(301)内の現像剤撹拌搬送部材(304)、(305)が現像ローラ(302)の横に上下に2本並べて配置されることから、現像ローラから離れる方向(水平方向に)に2つの撹拌搬送部材を配置する図8に示した従来技術に比べて、現像装置の横(水平方向)の大きさを小さくすることができる。
【0033】
さらに、こうして、水平方向のコンパクト化を図った現像装置(3)においても、仕切板(306)により供給室搬送部材(304)周囲と回収室搬送部材(305)周囲の空間が仕切られているので、現像ローラ(302)に対しては供給室搬送部材(304)により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤(320)のみが供給されるし、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤は専ら回収室搬送部材(305)により撹拌搬送されるだけで、直ぐに現像ローラ(320)に供給されることがないので、現像ローラ(320)へは狙いの帯電量を持ったトナーだけが現像に用いられることとなり、高画質を得ることができる。
【0034】
<トナー補給について>
現像装置3内の現像剤(320)は、現像動作を繰り返す内にトナーが消費されていくので、現像装置外部から装置内の現像剤に対してトナーを補給する必要がある。本例では、現像装置の奥側の端部近傍に設けた現像剤の補給部より外部からトナーの補給を行なう。
この部位での補給では、補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、開口部(308)を通過して回収室に供給されることとなる。回収室に供給されたトナーは回収室搬送部材(305)で撹拌され安定した所定のトナー濃度で現像に供される。
【0035】
回収室搬送部材(305)による下搬送路では、現像ローラ(302)から離れた現像剤(320)を回収するのみで、現像ローラ(302)へのトナー供給は行なわないので、補給用開口(309)から新しく補給されたトナーにより十分に撹拌されていないトナー濃度が不均一な状態の現像剤が現像に供されることがない。
【0036】
この補給トナーは現像ローラ(302)から離れたトナー濃度の低下した現像剤(320)中で撹拌混合されながら、現像装置(3)の手前側まで搬送されるまでにトナー濃度が正常化され、供給室搬送部材(304)による上搬送路まで持ち上げられ、供給室搬送部材(304)により奥側に搬送されながら現像ローラ(302)に供給され現像に使用される。
【0037】
<トナー濃度センサについて>
図4のユニット下部にトナー濃度センサがある(不図示)。このセンサは透磁率を測定するセンサであり、現像剤のキャリア濃度(=100−トナー濃度)を検知することができる。さらに検知したキャリア濃度からセンサ上にあるトナー濃度が適正化不足しているかを判断し、補給するトナーの量を決めている。
このトナー濃度センサは回収室搬送部材(305)の搬送方向下流側端部に配置している。
【0038】
図4、5にて矢印(11)、(14)、(12)、(13)で説明した通りであるが、供給室搬送部材(304)により奥側まで搬送される前に、現像に使用されることから、回収室搬送部材(305)により手前側へ戻される現像剤が多くなり、現像剤(320)が手前側に溜まる傾向にある。そのためトナー濃度センサを回収室搬送部材(305)の下流側に配置することで、センサ上方には現像剤が常に充填しており、安定したキャリア濃度検知が可能となる。
【0039】
[3]画像形成装置
図7により、均一に帯電された像担持体に光書き込み手段から光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を前記した本発明にかかる現像装置で可視像化しさらに記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置の一例としてカラー画像形成装置の例を説明する。
このカラー画像形成装置は、転写紙(8)を搬送する搬送ベルト(15)に沿って該搬送ベルトの移動方向(搬送方向)上流側から順に、複数の画像形成部(17K)、(17M)、(17Y)、(17C)が配列された、所謂タンデムタイプといわれるものである。なお色の順序はこの限りではない。たとえば黒を最下流に配置し、MCYKの順に作像することも可能である。
【0040】
これらの画像形成部はそれぞれが複数部材の組み合わせからなり画像形成を行なう。必ずしもユニットとして構成されている必要はない。画像形成部(17K)は黒、画像形成部(17M)はマゼンタ、画像形成部(17Y)はイエロー、画像形成部(17C)はシアン、の各画像を形成するもので、これら各画像形成部は形成する画像の色が異なるだけで、内部構成は各画像形成部とも共通である。よって、以下の説明では、画像形成部(17K)について概要を説明し、他の画像形成部については、画像形成部(17K)における各部材の符号末尾に付したKを、画像形成部(17M)についてはM、画像形成部(17Y)についてはY、画像形成部(17C)についてはCにそれぞれ置き換えて示すにとどめ、説明は省略する。
【0041】
搬送ベルト(15)は、その一方が駆動回転させられる駆動ローラと、他方が従動回転させられる従動ローラである搬送ローラ(18)、(19)によって回動可能に支持されたエンドレスベルトからなり、これら搬送ローラの回転と共に、矢印の向きに回転させられるようになっている。搬送ベルト(15)の下方には転写紙(8)が収納された給紙トレイ(20)、(21)、(22)が備えられている。
【0042】
例えば、給紙トレイ(20)に収納された転写紙(8)のうち、最上位置にある転写紙(8)は、画像形成時に送り出されてレジストローラ(23)で一旦待機させられ、画像形成部(17K)における画像形成とタイミングを合わせて送り出され、静電吸着により搬送ベルト(15)に吸着される。こうして搬送ベルト(15)に吸着された転写紙(8)は最初の画像形成部(17K)に搬送され、ここで黒の画像が転写される。
【0043】
画像形成部(17K)は、図1により説明した部材と構成機能が同等の部材を備えている。これら構成機能が同等の部材については、図1におけるものと同じ符号の末尾にKを付し現感光体(1K)、帯電装置(2K)、現像装置(3K)などで示している。なお、図1では搬送ベルト(15)を省略して示したが、実際は、図7に示すように、搬送ベルト(15)の上側張設部分の裏側には転写装置(5K)が配置されており、また、現感光体(1)に露光用の光(L)を照射して静電潜像を形成する手段として書込手段(16)が設けられている。
【0044】
カラー画像の画像形成に際し、画像形成部(17K)では、感光体(1K)の周面が暗中にて帯電装置(2K)により一様に帯電された後、光走査装置(16K)からの黒画像に対応した露光用の光(L)により露光され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置(3K)において黒トナーにより可視像化され、感光体(1K)上に黒のトナー像が形成される。
【0045】
このトナー像は感光体(1K)と搬送ベルト(15)上の転写紙(8)とが接する位置、所謂転写位置で転写紙(8)と合致して転写装置(5K)の働きにより転写紙(8)上に転写され、該転写紙(8)上に単色(黒)の画像が形成される。転写を終えた感光体(1K)は該感光体(1K)の周面に残留した不要なトナーがクリーニング装置(6K)により除去され、次の画像形成に備えられる。
【0046】
このようにして、画像形成部(17K)で単色(黒)を転写された転写紙(8)は、搬送ベルト(15)によって次の画像形成部(17M)に搬送される。画像形成部(17M)では、前記画像形成部(17K)におけると同様のプロセスにより感光体(1M)上に形成されたマゼンタのトナー像が前記転写紙(8)上の黒のトナー像に重ね転写される。
【0047】
転写紙(8)はさらに次の画像形成部(17Y)に搬送され、同様にして感光体(1Y)上に形成されたイエローのトナー像が転写紙(8)上に既に形成されている黒及びマゼンタのトナー像に重ね転写される。同様にしてさらに、次の画像形成部(17C)では、シアンのトナー像が重ね転写されて、フルカラーのカラー画像が得られる。
【0048】
こうしてフルカラーの重ね画像が形成された転写紙(8)は、画像形成部(17C)を通過した後、搬送ベルト(15)から剥離されてから定着部24で一対の定着ローラ間を通過する間に定着された後、排紙トレイ25へ排紙される。
【0049】
本例のように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に、感光体を横方向に並べて各感光体に帯電装置や現像装置等を設けて静電潜像を形成し、可視像化してから転写紙に順次転写してフルカラー画像を得るタンデム方式のカラー画像形成装置では、横方向に並べた感光体(1K)、(1M)、(1Y)、(1C)に対してそれぞれ現像装置(3K)、(3M)、(3Y)、(3C)が設けられているので、画像形成装置を小さくするためには、各感光体の間隔を狭める必要があるが、そのためには各現像装置も水平方向(横方向)の大きさを小さくする必要がある。
【0050】
各現像装置として本発明の構成のものを使用することにより、各現像装置の横寸法が図7に示した従来のものよりも小さくできるので、画像形成装置の小型化を図ることができる。しかも、これらの現像装置(3K)、(3M)、(3Y)、(3C)は前記したように、剤離し領域、剤汲み上げ領域、供給室搬送部材、回収室搬送部材、仕切板などを具備した構成としているので、狙いの帯電量を持ったトナーが現像に用いられることとなり、高画質を得ることができる。また、トナーの劣化を抑制できるので、現像剤の性能を長期にわたり安定して維持することが可能で、高寿命、高耐久な現像装置を提供することができる。
このような利益はタンデム式のフルカラー画像形成装置に特有のもとではなく、単色の画像形成装置においても得ることができることはもちろんである。
【0051】
〔キャリア、現像剤〕
ここで、図1に記載した現像装置に使用する磁性キャリアは、1KOeの飽和磁化が58emu/g〜70emu/gであることが極く好ましい。図1に記載した現像装置(3)においては現像剤担持体の上方から現像剤が供給される。このため、現像剤担持体上の現像剤には上方に滞留している現像剤の重量の分だけ圧力がかかり、現像剤は現像剤担持体に押し付けられる。このとき、図4において供給室搬送部材は現像剤を手前から奥側に向けて搬送し、回収室搬送部材は現像剤を奥から手前側に向けて搬送する。一度現像剤担持体に汲み上げられた現像剤は回収室搬送部材に送られるため、現像剤担持体の上方の現像剤の量は手前から奥側になるにつれて減少していく。このため、現像剤担持体上の現像剤にかかる圧力は、手前側ほど強くなる。この圧力の差によって、現像剤担持体の手前側では現像剤が押し付けられて現像剤の穂立ちが密になり、現像剤担持体の奥側では現像剤が押し付けられないために現像剤の穂立ちが疎になる。これによって、現像剤担持体の手前側と奥側で現像剤の穂立ちの密度が異なり、これがベタやハーフトーンのムラ画像として現れてしまう。しかしながら、キャリアの飽和磁化を58emg/g以上とすることにより、キャリアの磁力によってスリーブ上に押し付けられ、現像剤にかかる圧力が異なっても穂立ち密度を一定とすることができる。これにより、ムラ画像が現れなくなる。
【0052】
一方で、キャリアの飽和磁化を上げていくと現像剤の穂立ちが密になりすぎてしまい、現像剤の穂が硬くなる。穂が硬くなると、現像領域においてトナーを現像した後の現像剤の穂が像担持体上の潜像を強くこすってしまい、これによって画像上に穂跡のような異常画像が発生する。このため、キャリアの飽和磁化を一定以上に上げることはできず、具体的には70emu/g以下とすることが好ましい。
【0053】
前記1KOeにおける飽和磁化は、以下のようにして測定することができる。東英工業(株)製VSM−P7−15を用い、下記の方法により測定したものである。試料約0.15gを秤量し、内径2.4mmφ、高さ8.5mmのセルに試料を充填し、1000エルステット(Oe)の磁場下で測定した値である。
【0054】
本発明でいうキャリアの芯材としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、例えば、フェライト、Cu−Znフェライト、Mnフェライト、Mn−Mgフェライト、Mn−Mg−Srフェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等キャリアの用途、使用目的に合わせ適宜選択して用いればよく、例に限るものではない。
【0055】
次に、芯材の製造方法について説明する。まず、フェライトを構成する各原材料(MnO、MgO、Fe、SrCO等)を適量計量し、これに水を適量加え、ボールミル又は振動ミルなどの分散機にて0.5〜24時間程度の分散をしスラリーを得る。
次に、このスラリーを乾燥、粉砕し、500〜1500℃にてプレ焼成を行う。こうして得たプレ焼成物をボールミルにて粉砕を行い、目的とする芯材粒径に適した粒径に粉砕する。
次に、この粉砕物に水、結着樹脂、及び必要であればその他の添加物を加え、スプレードライにより造粒を行う。次に、この造粒物を焼成炉により800〜1600℃にて本焼成をし、粉砕、分級し、目的とする粒度分布を得る。必要であれば表面を再酸化させてもよい。なお、飽和磁化を調整するには原材料の選択、焼成温度の調整、酸化処理の有無等が有効である。但し、ここに記載したものは一例であり、本発明においてはこれに限定するものではない。
【0056】
本発明においては、二成分現像剤の嵩密度を1.69〜1.85(g/cm)とすることが好ましい。剤嵩密度が1.69未満の場合、キャリアの間隔が疎になってしまい、現像剤担持体の手前側と奥側での現像剤の圧力の違いによって現像剤の穂立ちの密度が変わってしまい、ムラ画像が出やすくなってしまう。一方、剤嵩密度が1.85より大きいと、現像剤の嵩が減ってしまうため、現像剤担持体の手前側で現像剤が枯渇してしまい、画像手前側が極端に薄くなる現象が発生してしまう。この現象はベタ画像を連続で通紙するなど、トナー濃度が低下する条件において特に発生しやすい傾向にある。
【0057】
なお、二成分現像剤の嵩密度は以下の方法によって測定した。磁性キャリアとトナーを、現像剤重量が200g、トナー濃度が7wt%となるように計量する。これらを500mlの軟膏瓶に入れ、ターブラー・シェーカー・ミキサーを使用して71rpmの回転数で5分間攪拌する。このようにして作成された現像剤を、JIS Z2504に規定される『金属粉の見掛け密度試験法』に準拠して測定した(オリフィス径5.0mmを使用)。
なお、二成分現像剤の嵩密度を調整するには、トナーの表面WAX量を変える、トナーの円形度を変える、トナーの粒度分布を変える、キャリアの表面形状を変える、キャリアの磁化を変える等の方法がある。
【0058】
本発明においては、磁性キャリアの表面粗さRaを0.38μm〜0.90μmとすることが好ましい。Raが0.90μmよりも大きい場合、表面の凹凸が大きいためにキャリアの間隔が疎になってしまい、現像剤担持体の手前側と奥側での現像剤の圧力の違いによって現像剤の穂立ちの密度が変わってしまい、ムラ画像が出やすくなってしまうことがある。一方、Raが0.38μmよりも小さいと、表面の凹凸が少なすぎるためにキャリアの流動性が非常に良くなってしまう。結果として、キャリアの間隔が密になりすぎてしまい、現像剤の穂が硬くなる。穂が硬くなると、現像領域においてトナーを現像した後の現像剤の穂が像担持体上の潜像を強くこすってしまい、これによって画像上に穂跡のような異常画像が発生してしまうことがある。
【0059】
なお、磁性キャリアの表面粗さRaは以下の方法によって測定した。共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、OPTELICS C130)を用いて、キャリア表面の10μm四方の範囲を設定し、当該範囲において高さ測定を行って平均線を求め、この範囲での平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合成し、平均化することで算出した。なお、表面粗さRaを調整する方法としては、樹脂の混合比率を変える、導電性微粒子の量や種類を変える、膜厚を変える、キャリアコート溶液の粘度を変える等の方法がある。
【0060】
本発明においては、キャリア被覆層に含まれる導電性微粒子の平均粒子径(D)と、該被覆層膜厚(h)の関係が、0.5≦[D/h]≦1.1であることが好ましい。[D/h]が0.5未満の場合、該微粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、キャリア表面に、凸となる粒子が減少するため、キャリアの流動性が非常に良くなってしまうことがある。結果として、キャリアの間隔が密になりすぎてしまい、現像剤の穂が硬くなる。穂が硬くなると、現像領域においてトナーを現像した後の現像剤の穂が像担持体上の潜像を強くこすってしまい、これによって画像上に穂跡のような異常画像が発生してしまうことがある。[D/h]が1.1を超える場合、表面の凹凸が大きいためにキャリアの間隔が疎になってしまい、現像剤担持体の手前側と奥側での現像剤の圧力の違いによって現像剤の穂立ちの密度が変わってしまい、ムラ画像が出やすくなってしまう。
【0061】
キャリア被覆層の厚みhは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う被覆層の樹脂部の厚みを測定し、その平均値からを求めた。具体的には、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みのみを測定する。粒子間に存在する樹脂部の厚みや、無機微粒子上の樹脂部の厚みは測定には含めない。前記キャリア断面の任意の50点測定の平均を求め厚みh(μm)とした。導電性微粒子の平均粒子径(D)は自動粒度分布測定装置CAPA−700(堀場製作所製)にて体積平均粒径を測定する。
測定の前処理として、ジューサーミキサーにアミノシラン(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)30mlにトルエン溶液300mlを入れる。試料を6.0g加え、ミキサー回転速度をlowにセットし、3分間分散する。1000mlビーカーに予め用意されたトルエン溶液500mlの中に分散液を適量加えて希釈する。希釈液はホモジナイザーにて常に攪拌を続ける。この希釈溶液を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−700にて測定する。
【0062】
[測定条件]
回転速度:2000rpm
最大粒度:2.0μm
最小粒度:0.1μm
粒度間隔:0.1μm
分散媒粘度:0.59mPa・s
分散媒密度:0.87g/cm
粒子密度:無機微粒子の密度は乾式自動嵩密度計アキュピック1330(島津製作所社製)を用い測定した真比重値を入力する。
【0063】
さらに、少なくとも結着樹脂にシリコン樹脂とアクリル樹脂が含まれていることが好ましい。2つの樹脂を併用することによって磁性キャリアの表層が海島構造となり、これによって適度な凹凸が構成される。これによってキャリア同士の間隔を適度に保つことができるため、ムラ画像や穂跡のような異常画像が発生しなくなる。なお、アクリル樹脂とシリコン樹脂の比率は1:9〜5:5であることが好ましい。1:9よりもアクリル樹脂が少ないと、海島構造がほとんど構成されなくなるために凹凸が失われる。一方、5:5よりもアクリル樹脂が多いと、キャリアを製造する際に凝集しやすくなり、十分な品質が得られなくなる。
【0064】
本明細書でいうシリコン樹脂とは、一般的に知られているシリコン樹脂全てを指し、オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコンや、アルキド、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ウレタンなどで変性したシリコン樹脂などが挙げられるが、これに限るものではない。例えば、市販品としてストレートシリコン樹脂としては、信越化学製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング・シリコン社製のSR2400、SR2406、SR2410等が挙げられる。この場合、シリコン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。さらに、変性シリコン樹脂としては、信越化学製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング・シリコン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
【0065】
また、本明細書でいうアクリル樹脂とは、アクリル成分を有する樹脂全てを指し、特に限定するものではない。また、アクリル樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分を少なくとも1つ以上同時に用いることも可能である。ここでいう架橋反応する他成分とは、例えばアミノ樹脂、酸性触媒などが挙げられるが、これに限るものではない。ここでいうアミノ樹脂とはグアナミン、メラミン樹脂等を指すが、これらに限るものではない。また、ここでいう酸性触媒とは、触媒作用を持つもの全てを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
【0066】
本発明において、被覆層用組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、導電性粒子を安定に分散させることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0067】
シランカップリング剤の市販品としては、AY43−059、SR6020、SZ6023、SH6026、SZ6032、SZ6050、AY43−310M、SZ6030、SH6040、AY43−026、AY43−031、sh6062、Z−6911、sz6300、sz6075、sz6079、sz6083、sz6070、sz6072、Z−6721、AY43−004、Z−6187、AY43−021、AY43−043、AY43−040、AY43−047、Z−6265、AY43−204M、AY43−048、Z−6403、AY43−206M、AY43−206E、Z6341、AY43−210MC、AY43−083、AY43−101、AY43−013、AY43−158E、Z−6920、Z−6940(東レ・シリコーン社製)等が挙げられる。
【0068】
シランカップリング剤の添加量は、シリコーン樹脂に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。シランカップリング剤の添加量が0.1質量%未満であると、芯材粒子や導電性粒子とシリコーン樹脂の接着性が低下して、長期間の使用中に被覆層が脱落することがあり、10質量%を超えると、長期間の使用中にトナーのフィルミングが発生することがある。
【0069】
また、シリコーン樹脂の縮合反応を促進するために、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒を使用できる。これら各種触媒のうち、優れた結果をもたらすチタン系触媒の中でも、特にチタンアルコキシドとチタンキレートが好ましい。
これは、架橋成分Bに由来するシラノール基の縮合反応を促進する効果が大きく、且つ触媒が失活しにくいためであると考えられる。チタンアルコキシド系触媒の例としては、下記構造式(1)で表されるチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が挙げられ、また、チタンキレート系触媒の例としては、下記構造式(2)で表されるチタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)が挙げられる。
【0070】
【化1】

【0071】
【化2】

【0072】
本発明において、磁性キャリアの重量平均粒径は25〜45μmであることが好ましい。
重量平均粒径が25μm未満であると、キャリア付着が発生することがあり、45μmを超えると、画像細部の再現性が低下し、精細な画像を形成できなくなることがある。
なお、重量平均粒径は、マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320−X100(日機装社製)を用いて測定することができる。
【0073】
本発明において、被覆層は、平均膜厚が0.05〜4μmであることが好ましい。平均膜厚が0.05μm未満であると、被覆層が破壊されやすくなり、膜が削れてしまうことがあり、4μmを超えると、被服層は磁性体でないため、画像にキャリア付着し易くなる。
【0074】
本発明の現像剤は、本発明のキャリア及びトナーを有する。
トナーは、結着樹脂と着色剤を含有するが、モノクロトナー及びカラートナーのいずれであってもよい。また、定着ローラにトナー固着防止用オイルを塗布しないオイルレスシステムに適用するために、トナーは、離型剤を含有してもよい。このようなトナーは、一般に、フィルミングが発生しやすいが、本発明のキャリアは、フィルミングを抑制することができるため、本発明の現像剤は、長期に亘り、良好な品質を維持することができる。
さらに、カラートナー、特に、イエロートナーは、一般に、キャリアの被覆層の削れによる色汚れが発生するという問題があるが、本発明の現像剤は、色汚れの発生を抑制することができる。
【0075】
トナーは、粉砕法、重合法等の公知の方法を用いて製造することができる。例えば、粉砕法を用いてトナーを製造する場合、まず、トナー材料を混練することにより得られる溶融混練物を冷却した後、粉砕し、分級して、母体粒子を作製する。次に、転写性、耐久性をさらに向上させるために、母体粒子に外添剤を添加し、トナーを作製する。
このとき、トナー材料を混練する装置としては、特に限定されないが、バッチ式の2本ロール;バンバリーミキサー;KTK型2軸押出し機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出し機(東芝機械社製)、2軸押出し機(KCK社製)、PCM型2軸押出し機(池貝鉄工社製)、KEX型2軸押出し機(栗本鉄工所社製)等の連続式の2軸押出し機;コ・ニーダ(ブッス社製)等の連続式の1軸混練機等が挙げられる。
【0076】
また、冷却した溶融混練物を粉砕する際には、ハンマーミル、ロートプレックス等を用いて粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機、機械式の微粉砕機等を用いて微粉砕することができる。なお、平均粒径が3〜15μmとなるように粉砕することが好ましい。
さらに、粉砕された溶融混練物を分級する際には、風力式分級機等を用いることができる。なお、母体粒子の平均粒径が5〜20μmとなるように分級することが好ましい。
また、母体粒子に外添剤を添加する際には、ミキサー類を用いて混合攪拌することにより、外添剤が解砕されながら母体粒子の表面に付着する。
【0077】
結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0078】
圧力定着用の結着樹脂としては、特に限定されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体;エポキシ樹脂、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0079】
着色剤(顔料又は染料)としては、特に限定されないが、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等の緑色顔料;カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等の黒色顔料等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0080】
離型剤としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールワックス、シリコーンワニス、カルナウバワックス、エステルワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0081】
また、トナーは、帯電制御剤をさらに含有してもよい。帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン;炭素数が2〜16のアルキル基を有するアジン系染料(特公昭42−1627号公報参照);C.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)等の塩基性染料;これらの塩基性染料のレーキ顔料;C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩;ジブチル、ジオクチル等のジアルキルスズ化合物;ジアルキルスズボレート化合物;グアニジン誘導体;アミノ基を有するビニル系ポリマー、アミノ基を有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂;特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩;特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸;ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体;スルホン化した銅フタロシアニン顔料;有機ホウ素塩類;含フッ素4級アンモニウム塩;カリックスアレン系化合物等が挙げられるが、二種以上併用してもよい。なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好ましい。
【0082】
外添剤としては、特に限定されないが、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機粒子;ソープフリー乳化重合法により得られる平均粒径が0.05〜1μmのポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の樹脂粒子が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、表面が疎水化処理されているシリカ、酸化チタン等の金属酸化物粒子が好ましい。さらに、疎水化処理されているシリカ及び疎水化処理されている酸化チタンを併用し、疎水化処理されているシリカよりも疎水化処理されている酸化チタンの添加量を多くすることにより、湿度に対する帯電安定性に優れるトナーが得られる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、「部」は、重量部を表わす。
【0084】
[実施例1]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 51.3重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 14.6重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.29重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 648重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 3.2重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−500 165重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.43μm、真比重:4.6]
・トルエン 1800重量部
をホモミキサーで10分間分散し、アクリル樹脂とシリコン樹脂の混合被覆膜形成溶液を得た。芯材として平均粒径;35μmのMnフェライト粒子:5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.55μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度55℃で塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、D/h:0.8、表面粗さRa:0.51[μm]、磁化:64emu/gの[キャリア1]を得た。
【0085】
芯材の平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。
【0086】
結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
【0087】
磁化測定は、東英工業(株)製VSM−P7−15を用い、下記の方法により測定したものである。試料約0.15gを秤量し、内径2.4mmφ、高さ8.5mmのセルに試料を充填し、1000エルステット(Oe)の磁場下で測定した値である。
【0088】
[トナー1]
−ポリエステル樹脂Aの合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物65部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物86部、テレフタル酸274部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で15時間反応させた。次に、5〜10mmHgの減圧下、6時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られたポリエステル樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が2,300、重量平均分子量(Mw)が8,000、ガラス転移温度(Tg)が58℃、酸価が25mgKOH/g、水酸基価が35mgKOH/gであった。
【0089】
−スチレンアクリル樹脂Aの合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、酢酸エチル300部、スチレン185部、アクリルモノマー115部及びアゾビスイソブチルニトリル5部を投入して、窒素雰囲気下、65℃(常圧)で8時間反応させた。次に、メタノール200部を加え、1時間攪拌した後、上澄みを除去し、減圧乾燥させて、スチレン−アクリル樹脂Aを合成した。得られたスチレンアクリル樹脂Aは、Mwが20,000、Tgが58℃であった。
【0090】
−プレポリマー(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)の合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が49であった。
【0091】
次に、冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
【0092】
−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン30質量部及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。得られたケチミン化合物(前記活性水素機含有化合物)のアミン価は423であった。
【0093】
−マスターバッチの作製−
水1,000部、DBP吸油量が42mL/100g、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デグサ社製)540部、及び1,200部のポリエステル樹脂Aを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。次に、二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
【0094】
−水系媒体の調製−
イオン交換水306部、リン酸三カルシウムの10質量%懸濁液265部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を混合攪拌し、均一に溶解させて、水系媒体を調製した。
【0095】
−臨界ミセル濃度の測定−
界面活性剤の臨界ミセル濃度は以下の方法で測定した。表面張力計Sigma(KSV Instruments社製)を用いて、Sigmaシステム中の解析プログラムを用いて解析を行なった。界面活性剤を水系媒体に対して0.01wt%ずつ滴下し、攪拌、静置後の界面張力を測定した。得られた表面張力カーブから、界面活性剤の滴下によっても界面張力が低下しなくなる界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度として算出した。水系媒体に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの臨界ミセル濃度を表面張力計Sigmaで測定を行ったところ、水系媒体の重量に対して0.05wt%であった。
【0096】
−トナー材料液の調整−
ビーカー内に、ポリエステル樹脂Aを70部、プレポリマーを10質量部及び酢酸エチル100部を入れ、攪拌して溶解させた。離型剤としてパラフィンワックス5部(日本精鑞社製 HNP−9 融点75℃)、MEK−ST(日産化学工業社製)2部、及びマスターバッチ10部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした後、前記ケチミン2.7質量部を加えて溶解させ、トナー材料液を調製した。
【0097】
−乳化乃至分散液の調製−
前記水系媒体相150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料の溶解乃至分散液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
【0098】
−有機溶剤の除去−
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間脱溶剤した。
【0099】
−洗浄−
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後減圧濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。更に得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
【0100】
−界面活性剤量調整−
上記洗浄により得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した際のトナー分散液の電気伝導度を測定し、事前に作成した界面活性剤濃度の検量線より、トナー分散液の界面活性剤濃度を算出した。その値から、界面活性剤濃度が狙いの界面活性剤濃度0.05wt%になるように、イオン交換水を追加し、トナー分散液を得た。
【0101】
−表面処理工程−
前記所定の界面活性剤濃度に調整されたトナー分散液を、TK式ホモミキサーで5000rpmで混合しながら、ウォーターバスで加熱温度T1=55℃で10時間加熱を行なった。その後トナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行なった。更に得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
【0102】
−乾燥−
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子1を得た。
【0103】
−外添処理−
さらに、トナー母体粒子1を100重量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6重量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0重量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、[トナー1]を得た。
【0104】
こうして得た[トナー1]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た[現像剤1]を評価した。[現像剤1]の嵩密度を測定したところ、1.73[g/cm]であった。これらのキャリア、トナー及び現像剤の性質及び結果を表1に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
以下に実施例における評価の方法及び条件を示す。
図7に記載した画像形成装置を使って、図1の現像装置の中に現像剤をセットし、単色モードで20%画像面積の画像チャートにて200,000枚のランニング評価を行った。
そして、このランニングを終えた後に画像を出力し、ベタムラ、ハーフトーンムラ、穂跡、剤枯渇、地肌かぶりを評価した。
【0107】
また、単色モードにて100%画像面積の画像チャートで10,000枚のランニング評価を行った。そして、このランニングを終えた後に画像を出力し、ベタムラ、ハーフトーンムラ、穂跡、剤枯渇、地肌かぶりを評価した。
【0108】
ベタムラ(濃度ムラ)、ハーフトーンムラ(濃度ムラ)は、出力後にベタ画像及びハーフトーン画像を出力、観察して、ムラ画像を目視にて評価した。◎は画像上に濃度ムラが全くない状態、○はわずかに観察されるが問題とはしないレベルである状態、△は濃度ムラが目立つがぎりぎり問題とならないレベルである状態、×は濃度ムラが目立ち問題となるレベルである状態、××は一目で濃度ムラが明らかである状態となる。◎、○、△を合格とし、×、××を不合格とした。
【0109】
穂跡は、出力後にベタ画像を出力、観察して、磁気ブラシの穂跡が画像上に出ているかを目視にて評価した。◎は穂跡が全くない状態、○はわずかに観察されるが問題とはしないレベルである状態、△は穂跡が目立ち問題となるレベルである状態、×は一目で穂跡が明らかである状態となる。◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0110】
剤枯渇は、ランニング中の出力画像を100枚毎に観察して、現像手前側の濃度が薄くなっていないかを目視にて評価した。◎は薄くなっている画像が全くない状態、○はわずかに薄くなっている画像が2枚以内で存在する状態、△は明らかに薄くなっている画像が2枚以内で存在する状態、×は明らかに薄くなっている画像が2枚以上存在する状態となる。◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0111】
地肌かぶりは、出力後に白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上のトナーをテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定を行なった。画像濃度の差が少ない方が地肌汚れが良い。◎は△IDが0.005未満、○なら△IDが0.005〜0.01、△なら△IDが0.01〜0.02、×なら△IDが0.02以上である。◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
これら評価結果を表2に示す。
【0112】
[実施例2]
35μmのMnフェライト粒子を35μmのMn−Mgフェライト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.8、表面粗さRa:0.55[μm]、磁化:58emu/gの[キャリア2]を得た。こうして得た[キャリア2]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤2]を評価した。[現像剤2]の嵩密度を測定したところ、1.70[g/cm]であった。
【0113】
[実施例3]
35μmのMnフェライト粒子を35μmのマグネタイト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.8、表面粗さRa:0.46[μm]、磁化:70emu/gの[キャリア3]を得た。こうして得た[キャリア3]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤3]を評価した。[現像剤3]の嵩密度を測定したところ、1.76[g/cm]であった。
【0114】
[実施例4]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 38.4重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 10.9重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.21重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 486重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 2.4重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−500 124重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.43μm、真比重:4.6]
・トルエン 650重量部
【0115】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのMn−Mgフェライト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:1.1、表面粗さRa:0.89[μm]、磁化:59emu/gの[キャリア4]を得た。こうして得た[キャリア4]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤4]を評価した。[現像剤4]の嵩密度を測定したところ、1.71[g/cm]であった。
【0116】
[実施例5]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 73.5重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 20.9重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.41重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 929重量部
[固形分20重量% SR2410(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 4.5重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−500 237重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.43μm、真比重:4.6]
・トルエン 2600重量部
【0117】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのマグネタイト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.5、表面粗さRa:0.38[μm]、磁化:68emu/gの[キャリア5]を得た。こうして得た[キャリア5]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤5]を評価した。
[現像剤5]の嵩密度を測定したところ、1.75[g/cm]であった。
【0118】
[実施例6]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 38.4重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 10.9重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.21重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 486重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 2.4重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−500 124重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.43μm、真比重:4.6]
・トルエン 100重量部
【0119】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのMn−Mgフェライト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:1.1、表面粗さRa:0.92[μm]、磁化:58emu/gの[キャリア6]を得た。こうして得た[キャリア6]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤6]を評価した。[現像剤6]の嵩密度を測定したところ、1.69[g/cm]であった。
【0120】
[実施例7]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 82.9重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 23.5重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.46重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 1048重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 5.1重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−500 268重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.43μm、真比重:4.6]
・トルエン 2910重量部
【0121】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのマグネタイト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.4、表面粗さRa:0.36[μm]、磁化:67emu/gの[キャリア7]を得た。こうして得た[キャリア7]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤7]を評価した。[現像剤7]の嵩密度を測定したところ、1.75[g/cm]であった。
【0122】
[実施例8]
パラフィンワックス5部をパラフィンワックス2部に変更した以外は[トナー1]と同様にして、[トナー2]を得た。こうして得た[トナー2]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た[現像剤8]を評価した。[現像剤8]の嵩密度を測定したところ、1.85[g/cm]であった。
【0123】
[実施例9]
パラフィンワックス5部をパラフィンワックス7部に変更した以外は[トナー1]と同様にして、[トナー3]を得た。こうして得た[トナー3]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た[現像剤9]を評価した。[現像剤9]の嵩密度を測定したところ、1.70[g/cm]であった。
【0124】
[実施例10]
パラフィンワックス5部をパラフィンワックス1.5部に変更した以外は[トナー1]と同様にして、[トナー4]を得た。こうして得た[トナー4]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た[現像剤10]を評価した。[現像剤10]の嵩密度を測定したところ、1.87[g/cm]であった。
【0125】
[実施例11]
パラフィンワックス5部をパラフィンワックス8部に変更した以外は[トナー1]と同様にして、[トナー5]を得た。こうして得た[トナー5]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た[現像剤11]を評価した。[現像剤11]の嵩密度を測定したところ、1.68[g/cm]であった。
【0126】
[実施例12]
[キャリア被覆層]
・シリコン樹脂溶液 799重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 3.2重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−500 65重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.43μm、真比重:4.6]
・トルエン 1800重量部
【0127】
キャリア被覆層を上記の内容に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.8、表面粗さRa:0.39[μm]、磁化:65emu/gの[キャリア8]を得た。
こうして得た[キャリア8]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤12]を評価した。[現像剤12]の嵩密度を測定したところ、1.75[g/cm]であった。
【0128】
[実施例13]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 45.3重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 12.9重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.25重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 572重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 2.8重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−210 156重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.51μm、真比重:4.6]
・トルエン 1590重量部
【0129】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのMn−Mgフェライト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:1.1、表面粗さRa:0.90[μm]、磁化:60emu/gの[キャリア9]を得た。こうして得た[キャリア9]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤13]を評価した。[現像剤13]の嵩密度を測定したところ、1.74[g/cm]であった。
【0130】
[実施例14]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 51.3重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 14.6重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.29重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 648重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 3.2重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−300E 148重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.27μm、真比重:5.0]
・トルエン 1800重量部
【0131】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのマグネタイト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.5、表面粗さRa:0.39[μm]、磁化:69emu/gの[キャリア10]を得た。こうして得た[キャリア10]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤14]を評価した。[現像剤14]の嵩密度を測定したところ、1.78[g/cm]であった。
【0132】
[実施例15]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 41.0重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 11.6重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.23重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 518重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 2.5重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子EC−210 139重量部
[(チタン工業社製)粒径:0.51μm、真比重:4.6]
・トルエン 1440重量部
【0133】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのMn−Mgフェライト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:1.2、表面粗さRa:0.94[μm]、磁化:60emu/gの[キャリア11]を得た。こうして得た[キャリア11]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤15]を評価した。[現像剤15]の嵩密度を測定したところ、1.75[g/cm]であった。
【0134】
[実施例16]
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液 51.3重量部
[固形分50重量%(ヒタロイド3001:日立化成社製)]
・グアナミン溶液 14.6重量部
[固形分70重量%(マイコート106:MTアクアポリマー社製)]
・酸性触媒 0.29重量部
[固形分40重量%(キャタリスト4040:MTアクアポリマー社製)]
・シリコン樹脂溶液 648重量部
[固形分20重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・アミノシラン 3.2重量部
[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
・導電性微粒子パストラン4310 136重量部
[(三井金属社製)粒径:0.20μm、真比重:5.6]
・トルエン 1800重量部
【0135】
キャリア被覆層を上記の内容に変更し、35μmのMnフェライト粒子を35μmのマグネタイト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.4、表面粗さRa:0.32[μm]、磁化:69emu/gの[キャリア12]を得た。こうして得た[キャリア12]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤16]を評価した。[現像剤16]の嵩密度を測定したところ、1.80[g/cm]であった。
【0136】
[実施例17]
実施例6の[キャリア6]93部と実施例11の[トナー5]7部を混合攪拌して得た[現像剤17]を評価した。[現像剤17]の嵩密度を測定したところ、1.65[g/cm3]であった。
【0137】
[実施例18]
実施例7の[キャリア7]93部と実施例10の[トナー4]7部を混合攪拌して得た[現像剤18]を評価した。[現像剤18]の嵩密度を測定したところ、1.89[g/cm3]であった。
【0138】
[実施例19]
実施例15の[キャリア11]93部と実施例10の[トナー4]7部を混合攪拌して得た[現像剤19]を評価した。[現像剤19]の嵩密度を測定したところ、1.88[g/cm3]であった。
【0139】
[実施例20]
実施例16の[キャリア12]93部と実施例11の[トナー5]7部を混合攪拌して得た[現像剤20]を評価した。[現像剤20]の嵩密度を測定したところ、1.68[g/cm3]であった。
【0140】
[比較例1]
35μmのMnフェライト粒子を35μmの酸化処理時間を2倍に増やしたMn−Mgフェライト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.8、表面粗さRa:0.53[μm]、磁化:56emu/gの[キャリア13]を得た。こうして得た[キャリア13]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤17]を評価した。[現像剤17]の嵩密度を測定したところ、1.69[g/cm]であった。
【0141】
[比較例2]
35μmのMnフェライト粒子を35μmの酸化処理を実施しないマグネタイト粒子に変更した以外は[キャリア1]と同様にして、D/h:0.8、表面粗さRa:0.44[μm]、磁化:71emu/gの[キャリア14]を得た。こうして得た[キャリア14]93部と[トナー1]7部を混合攪拌して得た[現像剤18]を評価した。[現像剤18]の嵩密度を測定したところ、1.78[g/cm]であった。
【0142】
[比較例3]
評価に使用する現像装置を図8記載の装置とした以外は同様にして、[現像剤1]を評価した。
【0143】
【表2】

【符号の説明】
【0144】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
8 転写紙
15 搬送ベルト
16 光走査装置
17 画像形成部
18 搬送ローラ
19 搬送ローラ
20 給紙トレイ
21 給紙トレイ
22 給紙トレイ
23 レジストローラ
24 定着装置
301 ケーシング
302 現像ローラ
302a 固定軸
302c スリーブ
302d マグネットローラ
302e 回転軸
302f 軸受
303 現像剤規制部材
304 供給室搬送部材
305 回収室搬送部材
306 仕切版
307 連通口
308 連通口
309 補給用開口
320 現像剤
601 クリーニングブレード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】
【特許文献1】特開平11−184249号公報
【特許文献2】特開2010−204639号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して、表面を回転駆動することによって表面上の二成分現像剤を搬送する円筒状の現像剤担持体と、該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する供給搬送部材を備えた供給搬送路と、該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された回収現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って搬送する回収搬送部材を備えた回収搬送路とを有し、該現像剤担持体の軸線方向と直交する断面での端部が該現像剤担持体表面と対向する仕切り部材によって該回収搬送路と該供給搬送路とが仕切られ、該供給搬送路が該仕切り部材を挟んで該回収搬送路の上方に位置するように設けられ、該現像剤担持体の上方から現像剤が供給される構造を有し、上記磁界発生手段が有する磁極のうち上記現像剤担持体の表面上の現像剤を保持し得る強さの磁界を発生させる現像剤担持極は、該現像剤担持体と潜像担持体とが対向する現像領域に磁界を発生させるための現像磁極と、上記現像剤収納部から供給された現像剤を該現像領域へ搬送する磁界を発生させる現像前磁極と、該現像領域を通過した後の現像剤を該現像剤担持体表面から離脱させるために該現像前磁極との間で現像剤を離脱させる磁界を発生させる現像後磁極との3つの磁極のみであり、該現像前磁極が発生させる磁界によって該現像剤担持体の表面上への現像剤の汲み上げを行い、該現像前磁極及び該現像磁極が発生させる磁界によって該現像剤収納部から現像剤が供給される位置から現像領域までの該現像剤担持体上の現像剤の保持を行い、該現像磁極及び該現像後磁極が発生させる磁界によって該現像領域から該現像剤担持体の表面の現像剤を離脱させる位置までの該現像剤担持体上の現像剤の保持を行うように構成した現像装置であって、前記磁性キャリアの1Koeにおける飽和磁化が58emu/g〜70emu/gであることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記二成分現像剤の嵩密度が1.69g/cm〜1.85g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
、前記磁性キャリアの表面粗さRaが0.38μm〜0.90μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁性キャリアの樹脂がアクリル樹脂とシリコン樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
キャリア被覆層中に含まれる微粒子の平均粒子径をDとし、キャリア被覆層の厚みをhとしたとき、前記Dとhとの比、D/hが、0.5≦D/h≦1.1となるような微粒子を含有する前記磁性キャリアを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記磁性キャリアの重量平均粒子径が25〜45μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記被覆層は、平均膜厚が0.05μm以上4μm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成方法を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
静電潜像担持体、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置を用いて現像する手段が少なくとも一体に支持されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−208473(P2012−208473A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25119(P2012−25119)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】