説明

現像装置およびカラーフィルタ製造装置

【課題】 二成分現像方式において、二成分現像剤の攪拌を良好に行うためには、二成分現像器の配置に限定があり、自由に配置するためには多くの検討を必要とした。さらに、大型の印刷物を作成するためには、二成分現像器のギャップ精度を保つために、新しいギャップ管理構成が必要ある。
【解決手段】 現像スリーブとその中にマグネットローラを有する二成分現像器と、そこに二成分現像剤を供給するための供給スリーブとその中にマグネットローラを有する二成分供給器があり、これら2つが対向することによって、二成分現像剤の供給と引き剥がしが行われる。その後、二成分現像器を離間、移動後、現像することによって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,プリンタ,複写機,ファクシミリ等,電子写真方式を利用して画像形成を行う際に使用する現像装置、およびフラットパネルディスプレイのカラーフィルタを製造するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置において、これまでに様々な現像方法が実用化されてきた。その中でも、トナーと磁性キャリアを混合させスリーブ上に磁気穂を形成して現像を行う二成分現像方式は数多く実用化されている。
【0003】
この二成分現像方式には、現像剤の供給構成として2つの方式のものが見られる。これらの方式を図17に示す。一つは、汲み上げ構成の二成分現像器(非特許文献1)、もう一つは、上部に現像剤保持し、現像スリーブの上側より剤を供給する二成分現像器(特許文献1、特許文献2)がある。主に前者の二成分現像方式が用いられることが多い。しかし、感光体ベルトなどの円筒型ではない感光体を用いるような水平タンデム型の構成をしたい場合は、後者の構成が用いられる。
【0004】
これらの二成分現像器は、感光体と現像スリーブ間のギャップを一定に保つことで現像スリーブ上に磁気ブラシを形成し、その磁気ブラシ上よりトナーを飛翔させることで現像を行う。そのために、適正なギャップを保つことが重要となる。現在、このギャップを保つために、コロ当て構成や調整組みによって対応している。
【0005】
このような二成分現像器を使った画像形成方法の一つとして、感光体上に複数の色を重ねて画像を形成する多重現像方式がある。この現像方式は、中間転写体が必要無い分、小型化が行える。また、同一の感光体上で色重ねを行うため、他の方式に比べ各色の位置合わせが容易である利点がある。
【0006】
二成分現像を用いた多重現像方式は一般に紙に印字を行うためのプリンタに用いられることが多い。一方で、我々はこのような現像方式の新しい応用分野の探索を行った。その結果、この現像方式を用いることによって、フラットパネルディスプレイ(以後、FPDと呼ぶ)のカラーフィルタの作成に応用できることを見出した。
【特許文献1】特開平06−222660号
【特許文献2】特開平08−022180号
【非特許文献1】坂巻資敏(1988).電子写真デバイス 電子写真学会(編)電子写真技術の基礎と応用 株式会社コロナ社 P270
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した二成分現像方式および多重現像方式には是正すべき点がある。
【0008】
まず、二成分現像器には、汲み上げ式と、上部供給型の二成分現像器があることを述べた。それぞれの技術は、課題を解決して実用化された。しかし、汲み上げ式の二成分現像から上部供給型の二成分現像器に変更するためには、多くの時間と、費用が必要となる。なぜなら、この構成の違いは現像剤の攪拌の違いに直結し、その違いは現像性能に敏感に影響するからである。(例えば、特開平06−222660では、現像剤の攪拌を十分に行うため、磁力で図17上方向に一度剤を持ち上げてから落としていく構成をとって攪拌を行っている。)そのため、プリンタの構成には現像器による制約があるため、自由に配置を決定することが出来なかった。
【0009】
次に、二成分現像器のギャップ構成の問題点を挙げる。確かに、コロ当て構成や調整組みにより、これまではギャップを管理することが出来た。しかしながら、大型の用紙(例えば、A1サイズなど)に対応したプリンタを作成する場合、そのギャップ管理は困難になる。つまり、スリーブの精度を挙げ、スリーブの剛性を挙げる必要がある。さらに、現像スリーブだけの精度を挙げてもギャップ管理は難しく、現像器ユニット全体の精度を挙げることが必要となる。これらのことからコストアップに繋がる。
【0010】
具体的に例を挙げて言うと、現像ギャップの調整範囲は、0.5mm±0.05mmと非常に高度な調整が必要になる。現像器全体の精度として±0.05mm以内に治めるためには、少なくとも現像スリーブ単体では600mm±0.01mm以上の精度にて作る必要がある。これを量産するためには非常にコストが掛かる。
【0011】
更に、フラットパネルディスプレイ製造装置に使うとすれば、大型のディスプレイを製造することが求められ、もし100型のものであれば2000mm近い長さの現像スリーブを用いた現像器で現像する必要がある。つまり、2000mm±0.05mmの現像スリーブを量産しなければならない。
【0012】
一方で、上記課題を解決するために現像スリーブの長さを短くした現像器を用いたとしても、画像形成全領域を現像するためには、短くした代わりに現像器を動かし、複数回現像する必要がある。しかしながら、従来からの二成分現像器は、トナーボトルからのトナー補給部材と、攪拌を含む現像剤供給部があるために自由に移動させることが困難であった。
【0013】
具体的には図18を用いて説明する。図18は、二成分現像器の現像剤補給の様子を示す1例である(特開平11−065280)。補給筒61aに接続される現像剤貯蔵容器から二成分現像剤補給筒58内の搬送オーガ59によって、現像剤が搬送され現像剤補給口48より現像剤が補給される。このとき、二成分現像器を図示X方向に移動させようとすると、現像剤貯蔵容器ごと移動しなければならない。そのため移動範囲が限られる。また、現像剤貯蔵容器および二成分現像剤補給筒58を固定して、二成分現像容器のみを移動することも考えられる。この場合、現像剤補給口48が移動するため特別な機構が必要になる。このように二成分現像器を動かすことは多くの課題を有する。
【0014】
最後に多重現像の課題を挙げる。上述したように二成分現像器を用いた多重現像方式は、感光体上に多色を重ね合わせる。そのために、現像の際に前のトナーと混ざる混色が問題となる。詳しく説明すると、多重現像では1色目のトナー(シアン)を感光体上に現像した後、このシアントナーが載った状態で2色目のトナー(マゼンダ)を感光体に載せる必要がある。しかし、すでに1色目のトナーが感光体上に存在するために2色目の現像を行った際に電界や機械的接触のために混色が生じるのである。これまでに、特開昭60−129764や、特開昭60−159765のように、現像条件を限定することによって混色を低減させようとしているが、混色を無くすことは磁気穂が直接接触する部分がある以上、困難である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、
二成分現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像する現像ローラであって、第一マグネットを有する現像ローラを有する現像器と、
前記二成分現像剤を前記現像ローラへ供給する供給ローラであって、第二マグネットを有する供給ローラを有する供給器と、
を有し、
前記現像器が、前記供給ローラから前記現像ローラへ前記二成分現像剤を供給するための供給位置と、前記供給位置から離間して前記潜像を現像するための現像位置と、の間で移動可能であることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための本発明における他の代表的な手段は、
複数の発光素子と、
感光層と、
前記像担持体を帯電するための帯電器と、
二成分現像剤を用いて、前記複数の発光素子が露光することによって前記感光層に形成された潜像を現像する現像ローラであって、第一マグネットを有する現像ローラを有する現像器と、
前記二成分現像剤を前記現像ローラへ供給する供給ローラであって、第二マグネットを有する供給ローラを有する供給器と、
を有し、
前記現像器が、前記現像ローラに前記二成分現像剤を供給する供給位置と、前記供給位置から離間して、カラーフィルタを形成するために前記潜像を現像する現像位置と、の間で移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二成分現像剤の劣化を抑制できる現像装置を提供することができる。また、他の本発明によれば、フラットパネルディスプレイに用いるカラーフィルタを作成することができるカラーフィルタ製造装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施例1)
図1は、本実施例の二成分現像器を用いたカラー画像形成装置の断面図である。図1に基づいて、本実施例の二成分現像器を用いたカラー画像形成装置について説明する。
【0019】
本実施例の画像形成装置は、像担持体300、帯電器800、レーザースキャナ(非図示)、二成分現像器700、1次転写部410、2次転写部420、定着ユニット(非図示)、クリーナーユニット900、給紙ユニット(非図示)からなる。
【0020】
以後各要素について説明する。
【0021】
像担持体300は、下引き層(UCL)、キャリア発生層(CGL)、キャリア移送層(CTL)および保護層を積層した有機感光体(OPC)である。
【0022】
帯電器800は、コロナ帯電器である。この帯電器800を用いることでコロナ放電により、非接触帯電を行う。コロナ帯電器は、ワイヤー部とグリッド部と枠体から構成される。
【0023】
現像器700は、ここでは6色の二成分現像ステーション(701〜706)を持っている。各現像ステーションは、現像スリーブ(701A〜706A)、第一マグネットとしての第一マグネットローラ(701B〜706B)、現像ブレード(701C〜706C))構成されている。ここで、現像スリーブ(701A〜706A)と第一マグネットローラ(701B〜706B)を合わせて、現像ローラとする。ここで、第一マグネットローラは、現像スリーブの内部に固定されている。ここでは、このうち4つの現像ステーションだけ使用する。特色トナーなどを使用する場合は、空いている2つの現像ステーションを使用しても良い。
【0024】
最初の状態において、この現像器700は、二成分現像剤(以下、「現像剤」と称す)を有していない。この現像器700が現像剤を受け取るためには、二成分供給器500より現像剤を受け取る必要がある。この供給器500は、図1の奥行き方向に位置している。図3に像担持体300と現像器700と供給器500の位置関係と、現像器700の動きの様子を示す。この現像器700は、図3矢印方向(図1奥行き方向)に移動することで現像剤の供給を受ける。ここで供給器500は、4色の色を保持しており、現像器700の移動距離を変化させることによって、色の違う現像剤の供給を受ける。
【0025】
図4に供給器500を示す。一つのスリーブ上にシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の剤が載せられている。ここでは、それぞれの剤が混ざらないように、磁性シールにて境界を仕切っている。供給器500の容器内には攪拌スクリューがあり、現像剤はこれによって十分に攪拌される。図3に示したように現像器700が供給器500の任意の位置に移動することによって、現像器700は、各色の現像剤の供給と剥ぎ取り(即ち、供給器500が現像剤を回収可能である)が行われる。
【0026】
供給器500の他の方式として、ロータリー方式がある(図5)。上述した現像器700と同様に、図3矢印方向(図1奥行き方向)に移動することで現像剤の供給を受ける。ここでこのロータリー方式の供給器550は、4色の供給器(551〜554)を保持している。各供給器550は供給スリーブ(551A〜554A)、第二マグネットとしての第二マグネットローラ(551B〜554B)、ブレード(551C〜554C)、スクリュー(551D〜554D)を有する。ここで、供給スリーブ(551A〜554A)、第二マグネットローラ(551B〜554B)を合わせたものを、供給ローラと称す。ここで、第二マグネットローラは、供給スリーブの内部に固定されている。供給器550を回転させることによって、各色をインデックスして、現像器700に対して現像剤の供給、剥ぎ取り(回収)を行う。
【0027】
図6に、現像器700と供給器500の磁極配置を示す。供給器500による現像器700への現像剤の供給量と、剥ぎ取り量は、磁極の位置、スリーブ間のギャップ、各スリーブの回転速度によって決まる。図6の時計回り方向に現像器700の第一マグネットローラの外周に配置されている現像スリーブを回転させる。一方、供給器500の第二マグネットローラの外周に配置されている供給スリーブも回転させる。二つのスリーブ間のギャップは500μm、各スリーブの回転速度は等速で100mm/sとした。磁極の配置は現像器700、供給器500ともに同じで、S1−N1間は76度、N1−S2間は53度、S2−N2間は54度、N2−N3間は107度、N3−S1間は70度とした。そして、N1が水平より時計回り方向に30度だけ回転した位置に固定した。この場合、現像器700が供給位置において、供給スリーブから現像スリーブへ現像剤を供給する。この際、現像剤の供給または剥ぎ取りを容易にするために、第一マグネットローラ700Bの磁極と、第二マグネットローラ551Bの磁極とが反対極性で対向させている。その供給動作を終了した後に、図3に示すように、現像器700が、前記供給位置から離間して現像位置へ移動する(ここで、供給位置の現像器700の姿勢と現像位置の現像器700の姿勢とは異なっている)。その後、図6破線矢印の方向へ移動して、前記現像位置において、現像装置700が像担持体300に形成された潜像を現像する。このとき、第一マグネットローラ700Bは固定している。このように、現像剤供給位置と、現像位置で第一マグネットローラ700Bの極配置を変える必要がないため、シンプルな構造にすることができる。
【0028】
転写部410は、本実施例1では中間転写方式を用いた転写とした。転写部410は、1次転写ローラ412、2次転写ローラ420、中間転写ベルト411、バックアップローラ413、テンションローラ415、巻きつけローラ414から構成されている。
【0029】
転写部材である、1次転写ローラ412、2次転写ローラ417はともに、芯金と、その外周面に形成された円筒状の導電性発泡ゴムを有する。1次転写ローラ412の直径は14mm,2次転写ローラの直径は16mmである。体積抵抗は、1次転写ローラ412、2次転写ローラ417ともに、10〜10Ωcmとした。バックアップローラ413は、金属ローラ表面に体積抵抗10〜10Ωcmの導電性ゴムをコートしたものを用いた。
【0030】
1次転写ローラ412は両端部が軸受部材にて回転自在に軸支されると共に、像担持体300に対して、スプリング等による押圧手段により中間転写ベルト411を介して像担持体300に一定の力で押しあてられている。転写電圧印加は、端部軸受に導電性樹脂を使用することで行った。
【0031】
中間転写ベルト411の材質は、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレート、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等の熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトが考えられる。ここでは、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド系樹脂に導電性フィラーを分散させ、体積抵抗10〜1014Ωcmに調整した無端状のものを用いた。中間転写ベルト411の厚さは、100μm〜1mm程度のものを使用することができる。中間転写ベルト411は、駆動ローラ416によって、図1矢印方向に像担持体300と等速の120mm/sで回転、駆動される。
【0032】
定着部は、定着フィルム(非図示)、加圧ローラ5(非図示)、セラミックヒータ(非図示)からなる。セラミックヒータにより、定着フィルムと加圧ローラで形成されるニップ部のみを、集中過熱することで、記録材1100上のトナーを溶融して定着させる。
【0033】
クリーナーユニット900は、ウレタンゴム製のクリーニングブレード901と、廃トナー容器902から構成される。
【0034】
給紙ユニット(非図示)は、給紙カセット(非図示)と、給紙カセットに取り付けられた給紙ローラ(非図示)からなる。本体に取り付けられたピックアップローラ(非図示)と給紙ローラで給紙カセット上の用紙を挟み込む。
【0035】
これから上記各要素を用いた画像形成プロセスを示す。帯電器800に1.6kV印加することによって、像担持体300を−600V程度に帯電させる。帯電器800によって帯電された像担持体300は、像担持体300はレーザーユニットよって、本体コントローラより送られてくる画像信号に従って露光される(図矢印1000)。これによって、画像部電位を−100V程度にする(潜像の形成)。このとき、現像器700は、現像ステーション701にシアン、現像ステーション702にマゼンダ、現像ステーション703にイエロー、現像ステーション704にブラックの現像剤が供給されている。現像剤を供給された現像器700は、図3の現像位置に移動する。ここで、現像ステーション701が像担持体300と対向する位置に配置される。そして、現像バイアスとして、現像スリーブ701Aに−400Vを印加することによって、マイナス帯電した現像ステーション701内のトナーは、像担持体300に現像される。像担持体300と二成分現像ステーション701内の現像スリーブ701Aとのギャップは500μmとした。像担持体300上のトナーは、1次転写ローラ412に+300V〜+800Vの電圧を印加することによって、中間転写体ベルト411上に転写される。これを各色(701B〜701D)についてそれぞれ繰返し行うことによって、中間転写ベルト411上に画像を形成する。この画像は、給紙カセットより搬送された記録材1100に2次転写ローラ417に1kV〜3kV程度の電圧を印加することによって、一括転写される。
【0036】
この記録材1100上のトナーは、定着ユニットを通って記録材1100に定着する。また像担持体300上に残されたトナーは、クリーナーユニット900にて回収され、すべての工程が終了となる。
【0037】
次に図2に、縦搬送型の画像形成装置を示す。各要素は、図1と同じで像担持体300と、現像器700の位置関係が異なるだけである。像担持体300に形成されたトナー像は、中間転写体410を介して2次転写420で紙に転写され、紙は上方へと搬送され、定着される。
【0038】
図2の構成が実現できる理由は次のとおりである。この現像器700は、循環が別ユニットである供給器500で行われることによって、現像器700上において、攪拌条件は同一になる。また、現像器700は、少量もしくは適正な量の現像剤のみを保持しているため、トナー漏れの心配もない。このような特性のため、像担持体300と、二成分現像剤700の位置関係は自由になるため、図2の構成が実現できるのである。
【0039】
このように、像担持体300と、現像器700の位置関係に自由度があるため、現像を気にすることなく、同一の現像器を使って、様々な構成を実現することが可能となる。
【0040】
従って、本実施例によれば、現像剤の劣化を抑制することができる。また、本実施例によれば、現像する方向に制約の無い現像器を実現できる。さらに、本十知れによれば、大きい用紙サイズに対応したプリンタにおいて、自由な稼動(回転や水平移動)を実現しつつ、像担持体と現像器との高精度なギャップ管理を実現し、良好な画像を形成することができる現像器を実現できる。また、本実施例によれば、高精度な位置決めができることによって、フラットパネルディスプレイに用いるカラーフィルタを作成することができるカラーフィルタ製造装置を実現できる。
【0041】
(実施例2)
図7に本実施例の二成分現像器で水平方向の移動のみを行う画像形成装置の図を示す。二成分現像器750は、現像器ガイド751に取り付けられたモータの駆動力によって図7矢印方向に移動可能になっている。現像器750は、最初現像剤を有していない。そこで、二成分供給器500へ移動して供給位置にて二成分現像剤(以下、「現像剤」と称す)を受け取る。このとき、受け取る量は、1回現像できる量とした。
【0042】
次に、現像器750と供給器500の断面を図8に示す。マグネットローラの磁極配置は、現像器750内の第一マグネットローラ750Bと供給器500内の第二マグネットローラ500Bともに、S1−N1間は76度、N1−S2間は53度、S2−N2間は54度、N2−N3間は107度、N3−S1間は70度とした。そして、第一マグネットローラ750Bは、N1が水平より時計回り方向に30度だけ回転した位置に固定し、第二マグネットローラ500Bは、N1が水平より反時計回り方向に30度だけ回転した位置に固定した。
【0043】
供給器500より現像剤を受け取った現像器750は、図7に示す像担持体300の現像位置にて現像が行われる。このとき、現像器750内の第一マグネットローラ750Bの磁極配置を変化させる必要はない。
【0044】
このような磁極配置にすることによって、第一マグネットローラ750B、第二マグネットローラ500Bともに、磁極配置を変化させることなく現像剤の供給と引き剥がしが行えるだけでなく、現像位置において現像を行うことができる。
【0045】
ここで、現像以外の画像形成プロセスは実施例1と同じである。現像終了後、現像器ガイド751内に残った現像剤を破棄する。この破棄された現像剤は、現像器ガイド751内のスクリューによって搬送され破棄ボックスにためられる。その後、次色の現像剤の供給を受けるために、現像器750は、次の供給位置に移動する。
【0046】
(実施例3)
図9に像担持体300と二成分現像器700の図を示す。ここでは、像担持体300の大きさが直径80mm、長さ800mmのものを使用した。現像器700は、直径40mm、長さ200mmとした。
【0047】
画像形成プロセスは現像以外は、実施例1と同様である。現像の様子を以下に示す。
【0048】
像担持体300上に形成された潜像を現像するために、図9に示すように、現像器700は1回の現像が終わるたびに矢印の方向に移動していく。ここでは3回現像することによって、長手全面の現像が終了する。即ち、現像器700が、現像スリーブの長手方向に沿って、像担持体300の表面を走査しながら現像する。これを各色についてそれぞれ行うことでカラー画像形成を行う。
【0049】
このように従来の二成分現像器に比べて、本実施例の現像器700は補給機構が接触式でなく非接触であり(独立していて)、さらに攪拌や余分な現像剤が無いことによって、現像器700自身がシンプルな構成にできる。そのため、自由な稼動(回転や水平移動)を実現しつつ、高精度なギャップ管理ができるため大面積の現像が可能となった。
【0050】
(実施例4)
図10は、本実施例の二成分現像器を用いたフラットパネルディスプレイ(FPD)装置の図である。図11は断面図である。図10、図11を用いて、本実施例の二成分現像器を用いたFPD製造装置について説明する。
【0051】
該FPD製造装置は、FPDスタンド200、帯電器800、二成分現像器700、定着ユニット(非図示)からなる。
【0052】
以後各要素について説明する。
【0053】
FPDスタンド200は、カラーフィルタ作成前の状態のFPDを載せる。ここでは、有機ELを用いたディスプレイを載せる。有機ELディスプレイ100の層構成を図12に示す。層構成は、基材101、TFT102、陽極103、有機EL104、透明陰極105、封止層106、透明導電層107、感光層108、カラーフィルタ及びブラックマトリクス109、保護層110となる。このうちカラーフィルタを作る前の層構成(感光体付きFPD基板120と以後呼ぶ)の状態で、FPDスタンド200に載せる。その後、この感光層の上に、RGBの各カラーフィルタを作成する。感光層108は、キャリア発生層(CGL)、キャリア移送層(CTL)を有する有機感光体(OPC)である。
【0054】
帯電器800は、コロナ帯電器である。この帯電器800を用いることでコロナ放電により、非接触帯電を行う。コロナ帯電器は、ワイヤー部とグリッド部と枠体から構成される。
【0055】
現像器700は、ここでは6色のステーション(701〜706)を持っている。ここでは、レッド、グリーン、ブルーにそれぞれ1ステーションを用い(701、702、703)、ブラックマトリクス作成のためのブラックトナーの消費が一番多いため、2ステーションを用いる(704、705)。そして、706は予備のステーションとして他のステーションに異常があるときに使用する。
【0056】
最初の状態において、この現像器700は、二成分現像剤を有していない。この現像器700が二成分現像剤を受け取るためには、二成分供給器500より現像剤を受け取る必要がある。この供給器500は、図10に図示する位置に配置されている。図10矢印方向に、現像器700が移動することによって、供給器500からレッド、グリーン、ブルー、ブラックの現像剤を受け取る。ここで供給器500は、4色の色を保持しており、二成分現像器700の矢印方向への移動距離を変化させることによって、色の違う現像剤の供給を受ける。供給器500は図4に示したシアン、マゼンダ、イエローの部分がレッド、グリーン、ブルーに変更した構成となっている。
【0057】
現像器700と供給器500の磁極配置は、実施例1で図6を用いて示したものと同じである。
【0058】
定着部は、定着フィルム(非図示)、加圧ローラ5(非図示)、セラミックヒータ(非図示)からなる。セラミックヒータにより、定着フィルムと加圧ローラで形成されるニップ部のみを、集中過熱することで、FPD上感光層の上に載せられたトナーを溶融して定着させる。
【0059】
これから上記各要素を用いた画像形成プロセスを示す。FPDスタンド200に載せられた感光体付きFPD基板120は、120mm/sで移動する。帯電器800に到達すると、帯電器800に1.6kV印加することによって、感光体付きFPD基板120上を−600V程度に帯電させる。帯電器800によって帯電された感光体付きFPD基板120は、感光体付きFPD基板120内の発光素子によって、レッドのパターンが露光される。これによって、レッド形成部電位を−100V程度にする(潜像の形成)。このとき、レッドの現像剤を供給された現像ステーション701は、現像位置に移動する。そして、現像バイアスとして、現像スリーブ701Aに−400Vを印加することによって、マイナス帯電した現像ステーション701内のトナーは、感光体付きFPD基板120上に現像される。感光体付きFPD基板120と現像ステーション701内の現像スリーブとのギャップは500μmとした。現像スリーブの回転速度は100mm/sで図11時計回りとした。
【0060】
上記プロセスをレッド、グリーン、ブルー各色について行う。その後、帯電工程のあと、全面露光を感光層の上面より行うことで、レッド、グリーン、ブルー、ブラック以外の部分が露光されて、電位が−100V程度になるようにして、ブラックトナーを現像する。これによって、ブラックマトリクスを含めたカラーフィルタを作成が完了する。感光体付きFPD基板120上のトナーは、定着ユニットを通って定着される。
【0061】
このように、現像器700を用いることによって、電子写真技術を用いてカラーフィルタを作成することができ、高生産性を達成できる。さらに、潜像形成にレッド、グリーン、ブルー,それぞれに対応した発光素子を用いるために、ずれが無い高品質なカラーフィルタを製造することが出来る。
【0062】
(実施例5)複数の現像器を有するFPD製造装置
図13に、2個の二成分現像器710、二成分現像器720、を有するFPD製造装置の全体図を示す。図14に断面図を示す。
【0063】
現像器710、現像器720は、それぞれ6色の二成分現像ステーション(711〜716、721〜726)を持っている。ここでは、レッド(711、721)、グリーン(712、722)、ブルー(713、723)にそれぞれ1ステーションを用いた。そして、ブラックマトリクス作成のためのブラックトナーの消費が一番多いので、2ステーションを用いた(714、715、724、725)。そして、716、726は予備の現像ステーションとして他の現像ステーションに異常があるときに使用する。現像ステーションの各現像スリーブの長さは、200mmとした。
【0064】
FPDスタンド200に、感光体付きFPD基板120を積載する。ここで感光体付きFPD基板120は、600×450mmの大きさとし、29型のディスプレイを想定している。感光体付きFPD基板120の層構成は、実施例3で図12に示したものと同じである。
【0065】
帯電器800によって、−600Vに帯電された感光体付きFPD基板120は、帯電器800と現像器710の間にて、現像器710の現像幅分だけ、感光体付きFPD基板120内のレッドフィルターに対応した画素が発光することによって露光される。そして、現像バイアスとして、現像スリーブ711に−400Vを印加することによって、マイナス帯電した現像器710内のレッドの現像ステーション711を用いて、FPD上に現像される。上記工程と同時に、帯電器800と現像器720の間にて、現像器720の現像幅分だけ、感光体付きFPD基板120内のレッドフィルターに対応した画素が発光することによって露光される。そして、現像バイアスとして、現像ステーション721内の現像スリーブに−400Vを印加することによって、マイナス帯電した現像器720内のレッドの二成分現像ステーション721を用いて、感光体付きFPD基板120上に現像される。この工程を繰り返し行いながら、RGBのフィルターを作成する。
【0066】
RGBのフィルターを作成後、帯電工程のあと、全面露光を感光層の上面より行うことで、レッド、グリーン、ブルー以外の部分が露光されて、電位が−100V程度になるようにして、ブラックトナーを現像する。これによって、ブラックマトリクスを含めたカラーフィルタを作成が完了する。感光体付きFPD基板120上のトナーは、定着ユニットを通って定着される。
【0067】
このように、複数の現像器にて現像を行うことにより、現像のスピードを上げ、生産性を向上することができる。
【0068】
(実施例6)破棄ステーションを持つFPD製造装置
図15に二成分現像器700と、二成分供給器500、二成分回収器としての受容器600の断面図を示す。これによって、受容器600を用いた場合の現像の様子を示す。
【0069】
現像器700は、ここでは6色の現像ステーション(701〜706)を持っている。ここでは、レッド、グリーン、ブルーにそれぞれ1つの二成分現像ステーションを用い(701、702、703)、ブラックマトリクス作成のためのブラックトナーの消費が一番多いため、2つの二成分現像ステーションを用いる(704、705)。そして、706は予備の二成分現像ステーションとして他のステーションに異常があるときに使用する。
【0070】
現像器700は、供給器500からレッド、グリーン、ブルー、ブラックの二成分現像剤を受け取る。ここで供給器500は、4色の色を保持しており、現像器700の移動距離を変化させることによって、色の違う現像剤の供給を受ける。(図9参照)
この後は、実施例3と同じように帯電器800で帯電された感光体付きFPD基板120が、感光体付きFPD基板120内の発光素子によってレッドフィルターが載る部分が露光され、レッドトナーを有する現像ステーション701によって現像される。次に、グリーンフィルターの作成に入る。先ほどと同様に、帯電器800を使用してレッドトナーが載った感光体付きFPD基板120を帯電する。その後、感光体付きFPD基板120内の発光素子によってグリーンフィルターが載る部分が露光され、グリーントナーを有する現像ステーション702によって現像される。この際、前の部分で現像されていたトナーが定着されていないため、現像ステーション702内にレッドトナーが入り込み、混色が生じる。この後、ブルー部分のカラーフィルタの作成も同様に行い、RGBのカラーフィルタが出来上がる。その後、ブラックマトリクスを作成することでカラーフィルタが完成する。ここまでは、実施例3とほぼ同じである。
【0071】
次に、現像ステーション701を受容器600に対向させて、現像剤を現像ステーション701より受容器600に移す。
【0072】
そのための磁極配置の一例を図16に示す。磁極の配置は現像器700、供給器500、受容器600ともに同じで、S1−N1間は76度、N1−S2間は53度、S2−N2間は54度、N2−N3間は107度、N3−S1間は70度とした。これらのマグネットローラを各位置において適性な関係で配置する。まず現像剤供給位置において、供給器500内のマグネットローラは、N1極が水平より時計回りに30度回転した位置になるように配置した。次に現像器700と供給器500の関係は、中心を直線で結び、その位置から15度時計回りに回転した位置に現像器700内の現像スリーブのN1極が来るようにした。次に、現像位置において、N1極が垂直位置より時計回りに30度回転した位置に来るように配置した。最後に現像剤受容位置において、現像器700内の第一マグネットローラは水平から時計回りに20度回転した位置にN1極を配置した。受容器600内の第三マグネットローラは、垂直方向から時計回りに20度回転した位置とN1極を一致させた。このようにすることによって、現像ステーション701から受容器600へ供給が行われるのみになり、現像ステーション701内の現像剤は無くなる。ここで現像ステーション701内の現像スリーブの回転は、図16の時計回りである。現像ステーション700内の現像スリーブ、供給器500内の供給スリーブ、受容器600内の受容スリーブともに回転速度は、100mm/sとした。いずれのギャップも500μmで設定した。
【0073】
これを全てのステーションについて行うことによって、現像器700内の各ステーションは全ての現像剤が無くなり初期の状態に戻る。
【0074】
そして、次のFPDを作成する際は、また現像剤を各現像ステーションに供給することから始める。
【0075】
このようにすることによって、現像器700内の混色した剤を全て受容器600に破棄することが出来るため、供給器500内に混色が生じることがない。また、このように1回FPDのカラーフィルタを作成する毎に剤を破棄するため、剤の劣化による現像不良が生じることがなく、安定した現像を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る二成分現像器を使用した実施例1の電子写真画像形成装置の断面図。
【図2】本発明に係る二成分現像器を使用した実施例1記載の縦紙搬送型電子写真画像形成装置の断面図。
【図3】本発明に係る二成分現像器を使用した二成分現像剤供給の様子を示す図。
【図4】本発明に係る二成分供給器の図。
【図5】本発明に係るロータリー式の二成分供給器と二成分現像器の断面図。
【図6】本発明に係る二成分現像器と二成分供給器の磁極配置。
【図7】本発明に係る二成分現像器を使用した二成分現像剤供給の様子を示す図。
【図8】本発明に係る二成分現像器による現像の様子を示す図。
【図9】本発明に係る二成分現像器による現像の様子を示す図。
【図10】本発明に係る二成分現像器を用いたFPD製造装置の図。
【図11】本発明に係る二成分現像器を用いたFPD製造装置の断面図。
【図12】本発明に係るFPDの層構成を示した断面図。
【図13】本発明に係る二成分現像器を複数用いたFPD製造装置の図。
【図14】本発明に係る二成分現像器を複数用いたFPD製造装置の断面図。
【図15】本発明に係る二成分現像器と二成分供給器と二成分受容器を示す断面図。
【図16】本発明に係る二成分現像器と二成分供給器と二成分受容器の磁極配置を示した断面図。
【符号の説明】
【0077】
700 二成分現像器
701〜706 現像ステーション
701A〜706A 現像スリーブ
701B〜706B マグネットローラ
500 二成分供給器
600 二成分受給器
101 基材
102 TFT
103 陽極
104 有機EL
105 透明陰極
106 封止層
107 透明導電層
108 感光層
120 感光体付きFPD基板
800 帯電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像する現像ローラであって、第一マグネットを備える現像ローラを有する現像器と、
前記二成分現像剤を前記現像ローラへ供給する供給ローラであって、第二マグネットを備える供給ローラを有する供給器と、
を有し、
前記現像器が、前記供給ローラから前記現像ローラへ前記二成分現像剤を供給するための供給位置と、前記供給位置から離間して前記潜像を現像するための現像位置と、の間で移動可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記供給位置において、前記現像ローラ及び前記供給ローラを共に回転することによって、前記二成分現像剤が前記供給器から前記現像器へ供給されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記供給ローラは、前記現像ローラから前記二成分現像剤を回収可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第一マグネットは、前記現像ローラの内部に固定され、前記第二マグネットは、前記供給ローラの内部に固定され、前記現像器が前記供給位置に位置した際に、前記第一マグネットの磁極と前記第二マグネットの磁極とが反対極性で対向していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記供給位置と前記現像位置において、前記現像器に対する前記第一マグネットの磁極配置が同じであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記供給位置における前記現像器の姿勢と、前記現像位置における前記現像器の姿勢と、が異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像器が、前記現像ローラの長手方向に沿って、前記像担持体の表面を走査しながら現像することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像器が複数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像器から前記二成分現像剤を回収する回収器を有することを特徴とした請求項1乃至8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
複数の発光素子と、
感光層と、
前記像担持体を帯電するための帯電器と、
二成分現像剤を用いて、前記複数の発光素子が露光することによって前記感光層に形成された潜像を現像する現像ローラであって、第一マグネットを備える現像ローラを有する現像器と、
前記二成分現像剤を前記現像ローラへ供給する供給ローラであって、第二マグネットを備える供給ローラを有する供給器と、
を有し、
前記現像器が、前記現像ローラに前記二成分現像剤を供給する供給位置と、前記供給位置から離間して、カラーフィルタを形成するために前記潜像を現像する現像位置と、の間で移動可能であることを特徴とするカラーフィルタ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−150995(P2009−150995A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327401(P2007−327401)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】