説明

現像装置

【課題】ハイブリッド現像において、現像ゴーストの発生を抑制し、長期間安定した高品質の画像が得られる現像装置を提供することにある。
【解決手段】静電潜像が形成された静電潜像担持体3と、これに対面配置し、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスによって前記静電潜像担持体3上に形成された潜像にトナー5を飛翔させて現像するトナー担持体2と、トナー5と磁性キャリア4からなる2成分現像剤で磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを前記トナー担持体2に接触させるとともに、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスによって前記トナー担持体2にトナー薄層6を形成する現像剤担持体1とを備えたハイブリッド現像装置であって、前記磁性キャリア4は、体積平均粒径が40μm以下、飽和磁化が30emu/g以上、体積抵抗率が1×109Ω・cm以下であり、前記現像剤担持体1の主極磁力は80mT以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリそれらの複合機などの画像形成装置に使用する現像装置に関し、特に磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、帯電されたトナーのみを現像ロール上に均一に薄層形成し、現像ロールの交流重畳直流電圧により現像ロール上のトナーを静電潜像に飛翔させることで該潜像を現像するようにした現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トナーおよびキャリアを含有する二成分現像剤を磁気ローラの表面に担持させて磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシからトナーのみを現像ローラの表面に移送させてトナー層を形成し、該トナー層からトナーを、静電潜像が形成された感光体の表面に飛翔させて静電潜像をトナー像として現像するハイブリッド現像方式が注目されている。この現像方式では、長寿命化を考慮して帯電領域は二成分現像方式を採用し、高画質化を狙って現像領域は一成分現像方式を採用している。特に、高画質化および長寿命化が重視されるフルカラー画像形成装置においては、この現像方式の特徴が充分に発揮される。
【0003】
このハイブリッド現像装置においては、均一で充分な画像濃度を(感光体上でトナー量 0.6mg/cm2 以上)を確保するためには、現像ロール上で1.0mg/cm2以上の均一なトナー薄層の形成が不可欠である。しかし薄いハーフ画像の一部にベタパッチがあるような画像を印刷した時は、現像ロール上のトナー薄層においてベタパッチ部のトナーは、最大の消費により薄層は薄くなる。これに対し、ベタパッチ部以外の薄いハーフ画像部はトナーの消費が少なく、もとの薄層厚から大きな変化をしていない。印刷後の上記トナー薄層厚の不均一を次の印刷動作に備え、マグロールと現像ロールのニップ部においてAC交流電圧を印加することにより、トナー薄層を剥ぎ取りかつ新たなトナー薄層の形成を行っているが、ベタパッチ部の現像履歴を完全には消すことができず、次の印刷時に残像(現像ゴースト)として現れる画像不具合、所謂現像ゴーストがある。
【0004】
この現像ゴーストを防止する方策として、例えば特許文献1では、現像ロール上の現像残トナーを掻き取るための部材と、掻き取られたトナーの回収装置に関しての提案がなされている。また、現像ロール上のトナーを確実に回収する方法として、例えば特許文献2に、専用の回収ローラを用いる提案がなされている。さらに、特許文献3、4には、コピーとコピーの間や紙間を利用して電位差で現像ロール上のトナーをマグロールに回収し、トナーの帯電を安定させる方法が提案されており、さらに磁気ブラシを用いた履歴現象の対応策として、特許文献5に、マグロールの磁束密度の半地幅領域を広く設定することにより、現像ロール上のトナーの回収と供給を図る提案がなされている。また、特許文献6では、磁気キャリアに40μm以下の小径のキャリアを用いて、現像ロール上にトナー薄層を形成するに際し、現像ロール1周目のトナー薄層形成時における現像ロールとマグロールの直流バイアス間の電位差を、現像ロール2周目以降のトナー薄層形成時における電位差における電位差より大きく設定するとともに、前記現像ロール2周目以降のトナー薄層形成時における電位差を100Vから250Vに設定することが提案されている。
【特許文献1】特開平11−231652号公報
【特許文献2】特開2000−81788号公報
【特許文献3】特開平7−72733号公報
【特許文献4】特開平7−92804号公報
【特許文献5】特開平7−128983号公報
【特許文献6】特許第3677223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜6などに示された装置では、トナーの掻き取り装置や回収ロールの設計が必要であったり、特別な回収バイアスの印加などによってトナーのストレスを増す原因となっている。また、特許文献4では、現像ロール1周目のトナー薄層形成の電位差を大きく設定することにより、トナー薄層が従来技術のものに比べ早く(現像ロール2周目で)飽和層厚に達するが、薄いハーフ画像の一部にベタパッチがあるようなものに対しては、最大のトナー消費をしたベタパッチ部とそれ以外のあまりトナーを消費していない薄いハーフ画像部の現像ロール上のトナー薄層厚の不均一を次の印刷動作に備えて完全には解消することができず、現像ゴーストが発生している。
本発明の課題は、ハイブリッド現像において、現像ゴーストの発生を抑制し、長期間安定した高品質の画像が得られる現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、磁性キャリアを所定の範囲の平均粒子径、所定値以上の飽和磁化、および所定値以下の体積抵抗率とし、前記現像剤担持体の主極磁力を80mT以上とすることにより、現像ゴーストの発生を抑制できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の現像装置は、以下の構成を有する。
【0007】
(1)静電潜像が形成された静電潜像担持体と、これに対面配置し、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスによって前記静電潜像担持体上に形成された潜像にトナーを飛翔させて現像するトナー担持体と、トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤で磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを前記トナー担持体に接触させるとともに、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスによって前記トナー担持体にトナー薄層を形成する現像剤担持体とを備えたハイブリッド現像装置であって、前記磁性キャリアは、体積平均粒径が40μm以下、飽和磁化が30emu/g以上、体積抵抗率が1×109Ω・cm以下であり、前記現像剤担持体の主極磁力は80mT以上であることを特徴とする現像装置。
(2)前記現像剤担持体の主極上の磁気ブラシ量が0.11cm3/cm2以上であることを特徴とする(1)に記載の現像装置。
(3)前記現像剤担持体と前記トナー担持体間のギャップが0.4mm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の現像装置。
(4)前記トナー担持体上のトナー薄層の剥ぎ取り時、前記現像剤担持体と前記トナー担持体の回転はカウンタ方向であり、回転速度比(トナー担持体/現像剤担持体)が1.2以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の現像装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、磁性キャリアが所定の範囲の平均粒径、所定値以上の飽和磁化、および所定値以下の体積抵抗率を有し、現像剤担持体の主極磁力が80mT以上であるので、キャリアの表面積が大きくなり、磁気ブラシにおける現像ローラ表面への接触機会が増し、トナー薄層および剥ぎ取り性能が向上し、現像ゴーストの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。図1、2に本発明にかかる現像装置の一例を示す。本発明の現像装置は、上記したようなハイブリッド現像方式であり、磁性キャリア4および非磁性トナー5からなる2成分現像剤が収容される。この現像剤における磁性キャリア4は、体積平均粒径が40μm以下であり、好ましくは30〜40μmである。またその飽和磁化は30emu/g以上であり、40〜100emu/gが好ましい。そしてその体積抵抗率は1×109Ω・cm以下であり、好ましくは1×107〜1×109Ω・cmである。
磁性キャリア4の体積平均粒径が40μm以下であれば、従来用いられている50〜60μmの大粒径のものに比べて小粒径であり、従来のものと同じ重量に対して表面積を大きくすることができる。これにより、磁気ブラシのトナー担持体2(以下、現像ローラ2という。)への接触ニップの先端はキャリアの比表面積が大きくなって、磁気ブラシにおける現像ローラ2の表面への接触機会が増え、現像ローラ2上の現像残トナーを剥ぎ取る効果が大きくなり、現像ゴーストの発生を抑制することができる。
また、飽和磁化が30emu/g以上であれば、磁気ブラシを強固に形成することができ、現像に使用されなかった現像ローラ2上の残トナーを現像剤担持体1(以下、磁気ローラ1という。)上に形成された現像剤の磁気ブラシで摺擦しながら掻き取る際に、十分な摺擦力を得ることができ、現像ゴーストの発生を抑制できる。しかし、30emu/g未満では、キャリア飛びが発生しやすくなり、十分な摺擦力を得ることができない。
また、体積抵抗率を1×109Ω・cm以下とすることにより、磁気ローラ1と現像ローラ間の電界によるトナー5の移動を高めることができ、均一なトナー薄層6を形成することができる。
【0010】
磁性キャリア4の体積平均粒径は、図8に示すようなレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製LA−500)により求めることができる。測定方法としては、試料10gを測り取り、溶媒としてメタノールを100mL使用し、メタノールが入っているサンプルホルダーに試料を少しずつ入れ、撹拌する。サンプル溶液を超音波分散バス31で分散、撹拌しながら循環ポンプ32で循環し、レーザ照射部33にサンプル溶液を流し込む。次いで、光源としてHe−Neレーザ34を使用し、照射されたレーザのビーム径をビーム拡大器35で拡大してレーザ照射部33に照射し、回折光Mを集光レンズ36を通して検出器37で検出し、AD変換器39にて電気信号に変換して装置制御・演算部38で粒度分布を計算してデータを測定する。
【0011】
また、磁性キャリア4の飽和磁化は、振動試料型磁力計(VSM−P7−15型:東英工業製)を用いて、専用容器に試料を充填し秤量した後、サンプルホルダーにセットし3.98×105A/mの印加磁場の飽和磁化を測定する。
【0012】
本発明における磁性キャリア4は、例えば鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属及びそれらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物およびこれらの混合物等の磁性体材料を焼結、アトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子を使用することができる。また、該磁性体粒子の表面をスチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂で被覆してもよい。また、上記キャリア4として磁性体分散型樹脂を使用することもできる。この場合、用いる磁性体としては上記磁性体材料が使用でき、結着樹脂としては、例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0013】
本発明における非磁性トナー5は、平均粒径が6〜10μmであり、結着樹脂、着色剤などで構成されている。結着樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用するのがよい。
【0014】
着色剤としては、特に限定されるものではないが、例えばブラック、マゼンタ、シアンおよびイエローの顔料などが挙げられ、公知の材料を用いることができる。これらの着色剤は結着樹脂100質量部に対して、通常2〜20質量部、好ましくは5〜15質量部の割合で配合される。
【0015】
2成分現像剤中のトナー濃度は1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%であるのがよい。トナー濃度が1質量%未満の場合、画像濃度が薄くなりすぎるおそれがある。一方、トナー濃度が20質量%を超える場合、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや記録紙などの背景部分にトナーが付着する不具合が生じるおそれがある。
【0016】
次に、本発明にかかる現像装置について説明する。
図1において、静電潜像担持体3(以下、感光体3という。)と現像ローラ2を配設し、該現像ローラ2から所定間隔をおいて非磁性金属材料で円筒状に形成され、円筒内には複数の固定磁石が配設されて、該固定磁石の周囲を回転可能に構成されたスリーブを有した磁気ローラ1が配設されている。
本発明では、磁気ローラ1の主極の磁力は80mT以上である。好ましくは80〜160mT、より好ましくは84〜120mTである。磁気ローラ1の主極の磁力を80mT以上とすることにより、キャリアを磁気ローラ1により強く引き付けることができ、強固な磁気ブラシを形成できるのでトナー薄層6の形成および剥ぎ取り性能が高まる。また、紙間およびイメージ間でのキャリア飛びを防止できる。
【0017】
10a、10bはパドルミキサーで、トナー5がこれによって攪拌帯電させられる。感光体3と現像ローラ2との間には現像バイアス電圧DC7aとAC7bが印加され、磁気ローラ1には現像バイアス電圧DC8が印加される(図2参照)。9は磁気ブラシ量を制御する規制ブレードである。
本発明では、磁気ブラシ量は0.11cm3/cm2(略0.2mg/cm2)以上、好ましくは0.11〜0.3cm3/cm2であるのがよい。磁気ブラシ量を0.11cm3/cm2以上とすることにより、磁気ブラシによる現像ローラ2表面への摺擦力が増し、現像ゴーストの発生を抑制できる。前記磁気ブラシ量とするために、規制ブレード9と磁気ローラ1表面との間のギャップは0.4〜0.7mmの範囲であることが好ましい。
【0018】
次に、感光体3と、現像装置内の磁気ローラ1と、現像ローラ2との作用を説明する。
図2に示すように、この磁気ローラ1は、トナー5を帯電させて保持するキャリア4による磁気ブラシを発生させる。また、現像ローラ2の表面には、磁気ブラシから供給されたトナー5によりトナー薄層6が形成される。そして、感光体3は、トナー薄層6のトナーを静電潜像に応じて選択的に飛翔させて画像形成を行なう。この画像が、1次転写ローラ13との間を通過する印刷体14に転写される。
本発明では、磁気ローラ1と現像ローラ2間のギャップを0.4mm以下、好ましくは0.2〜0.4mmとするのがよい。この範囲であれば、磁気ブラシによる現像ロール2表面への摺擦力が増し、現像ゴーストの発生を抑制できる。
【0019】
感光体3としては、正帯電有機感光体(正OPC)がオゾンなどの発生が少なく帯電が安定しており、特に単層構造の正OPCは長期にわたって使用し膜厚が変化した場合においても、感光特性に変化が少なく画質も安定するため、長寿命のシステムにおいて最適である。これに加えて、a−Si感光体も用いることもできる。
長寿命のシステムとする場合、正OPCの膜厚を20μmから40μm程度に設定するのが有利である。正OPCは、画像形成に使用するときに膜厚が減少して10μmに達すると絶縁破壊によって黒点の発生が目だってくることからこれを防ぐ意味で20μm以上に設定することが好ましいが、40μmを超えると感度が低下し画質低下の要因と成り易くなる。
【0020】
露光装置11は、半導体レーザーもしくはLEDを用いたシステムが適当である。この場合、正OPCでは770nm付近の波長が有効であり、a−Si感光体では685nm付近の波長が有効である。以下、正OPC用いた場合を例に挙げて説明する。
帯電装置12によって静電潜像担持体である正OPC3を400Vに帯電する。その後、770nmの波長のLEDによって露光を行うと露光後電位は70Vに設定される。正OPC3は現像ローラ2に対し、約250μmの空間をもって配置される。この空間にはワイヤー電極等は用いない。
【0021】
現像ローラ2の表面は導電性のアルミニュウムからなる回転体である。現像ローラ2と磁気ローラ1の電位差にて現像ローラ2にトナー薄層6を形成する。電位差は、現像ローラ2の電位を70V、磁気ローラ1の電位を400Vにすることで、現像ローラ2に約1〜1.5mg/cm2のトナー層6が形成される。この時のトナー5の帯電量は、約10〜20μC/gが適正であり、10μC/gに達しないときはトナー5飛散が目立ち、20μC/gを超えると薄層形成されたトナー5が感光体3へ飛翔し難くなる。
【0022】
現像ローラ2から感光体3へとトナーを飛翔させるために現像ローラ2へ交流電圧を印加することで現像性が高められる。電圧としては、VP-P=1.5kV、f=3.0kHzで画像濃度・ドット再現・カブリ除去のバランスをとることができる。また、デューティ(Duty)比(現像ローラ2に印加する交流電圧のデューティ比で、トナー5が感光体3側に移動するような電圧を現像ローラ2に印加する時間をa、トナー5が感光体3と反対方向(即ち現像ローラ方向)に移動するような電圧を現像ローラ2に印加する時間をbとして、デューティ比=a/(a+b)(×100)%)は30%にすることで現像ゴーストの発生を抑制することができる。
【0023】
現像ローラ2のトナー層表面越しの電位を測定すると約320Vとなっており、320V−70V(全露光後感光体電位)=250Vが実質の現像の実行電位であるといえる。
磁気ローラ1と現像ローラ2とのギャップは、通常400μm(0.4mm)に設定されているが、本発明では、前記したように400μm以下であるのが好ましく、この場合規制ブレード9と磁気ローラ1のギャップはキャリア4の粒径に応じて、前記したような範囲内で調整するのが好ましい。例えば、平均粒径35μmのキャリア4とトナー5が10%の現像剤においては350〜400μmに設定し、厚さ0.11cm3/cm2(0.2mg/cm2)の磁気ブラシが現像ローラ2に接触する設定とする。現像ローラ2と磁気ローラ1のギャップが狭すぎると現像剤がローラ間を通過できずに溢れてしまい、広すぎると現像ローラ2に接触できず現像ローラ2のトナー5を回収することが困難になり、現像動作を繰り返すと次第に現像ローラ2にトナー5が固着してしまい、感光体3にトナー5が飛翔できなくなってしまう。
【0024】
本発明では、紙間および最終印字後における現像ローラ2のトナー薄層6の剥ぎ取りの際、磁気ローラ1と現像ローラ2の回転をカウンタ方向(すなわち、互いに接触する位置での回転方向が逆方向)とし、回転速度比(現像ローラ/磁気ローラ)を1.2以上とするのが好ましい。より好ましくは1.2〜2.0である。回転をカウンタ方向とし、回転速度比が1.2以上であれば、磁気ローラ1上の磁気ブラシによる現像ローラ2表面への摺擦力が増加し、トナーの剥ぎ取り性能が高まる。
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
[実施例1、比較例1]
磁性キャリア4の平均粒子径が現像ゴーストに及ぼす影響について調べた。図1に示したシステム構成からなる評価機B27(京セラミタ社製、プリンタ)において、実施例1としての平均粒径35μmのキャリア4(VB−12;パウダーテック社製)および比較例1としての60μmのキャリア4(VB−12−2;パウダーテック社製)、および平均粒径9μmトナー5(KT−C18B;花王社製)を用いて、下記の電界条件の下で、次のようにして調べた。なお、キャリア(VB−12)は、コア;Cu−Zn、コート樹脂;PAI/F樹脂、飽和磁化;40Am2/kg(40emu/g)、残留磁化;1.34Am2/kg、抵抗;1.86×1014Ω/cm3であり、キャリア(VB−12−2)は、平均粒径60μmを除いてVB−12と同じである。
ゴーストパターン画像出力時での電界条件等の設定:
現像ローラ 磁気ローラ
直流電圧; 100V 250〜500V
交流電圧の周波数; 1.8〜3.6kHz −
デューティ比; 27% 73%
P-P; 1.6kV 300V
磁気ローラの主極磁力強度; − 84mT
まず、現像ローラ2にゴーストパターンの画像を次のように形成した。現像ローラ2の1周目の画像の先端位置から現像ローラ2のトナー薄層6を形成した。ゴーストパターンの画像長さは、現像ローラ2の1周長さに設定し、1周目画像は現像ローラ2の1回転でのトナー薄層6による形成画像(ゴーストパターン画像出力)である。2周目画像は現像ローラ2の2回転でのトナー薄層6による形成画像であり、以下同様にして3、4周目画像を形成した。このとき、磁気ローラ1の直流電圧を250〜500V、現像ローラ2の交流電圧の周波数を1.8〜3.6kHz変化させて、前記ゴーストパターン画像出力をし、1周目画像に対する2周目、3周目、4周目画像の色差ΔEを測定した。色差ΔEは、反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。結果を図3に示した。
図3中、「1−2」は現像ローラ21周目画像に対する2周目画像のΔE、「1−3」は1周目に対する3周目、「1−4」は1周目に対する4周目のΔEある。
【0027】
図3に示すように、比較例1である60μmの大粒径のキャリア4では、各電界条件において現像ローラ2の1周目画像に対する2周目、3周目、4周目のΔEが増加し、4.0〜8.0となっている。それに対して、実施例1である35μmの小粒径のキャリア4ではΔEの変化幅は小さく4周目のΔEは2.0以下となった。ΔEの変化は、現像ローラ2の1〜4周目画像の各現像ローラ2のトナー薄層厚の変化を反映しているものと考えられる。したがって、60μmのキャリア4では、35μmのキャリア4に比べ、ΔEの増加幅が大きく、これは現像ローラ2の1周目からのトナー薄層厚の増加を示している。これに対して、35μmのキャリア4では、現像ローラ2の1周目からのトナー薄層厚の変化は小さく、小粒径のキャリア4を用いることにより、キャリアの比表面積が増加し、ハイブリッド現像の2成分現像ニップ部でのトナー薄層6の形成および剥ぎ取り性能が向上し、現像ゴーストの発生が少なくなっていることを示している。
【0028】
[実施例2、3、比較例2]
磁気ブラシ量の現像ゴーストに及ぼす影響について調べた。50μmのキャリア4(FSL−22;パウダーテック社製)について、磁気ブラシ量を、0.12mg/cm2(比較例2)、0.19mg/cm2(≒0.11cm3/cm2、実施例3)、および0.35mg/cm2(実施例2)に代えて、磁気ローラ1の直流電圧を300〜500Vに、現像ローラ2の交流電圧の周波数を3kHzに、平均粒径9μmのトナー5に代えた以外は、実施例1と同様にして、現像ゴーストの発生を調べた。
測定の結果、磁気ブラシ量の増加に対し、各電界条件における現像ローラ2の1周目画像に対する2周目、3周目、4周目の色差ΔEの変化が小さくなっている。これは磁気ブラシの現像ローラ2表面への摺擦力が増し、トナー薄層の形成及び剥ぎ取り力が増加し、現像ゴーストが抑制されるためである。
【0029】
[実施例4〜6]
磁性キャリアの飽和磁化および抵抗の現像ゴーストに及ぼす影響について調べた。50μmのキャリア4(FSL−22;パウダーテック社製)について、磁性キャリアの飽和磁化43emu/gかつ体積抵抗率1×109Ω・cm(実施例4)、飽和磁化43emu/gかつ体積抵抗率5×108Ω・cm(実施例5)、飽和磁化69emu/gかつ体積抵抗率1×109Ω・cm(実施例6)に代え、磁気ローラ1の直流電圧を300〜500Vに、現像ローラ2の交流電圧の周波数を3kHzに、平均粒径9μmのトナー5に代えた以外は、実施例1と同様にして、現像ゴーストの発生を調べた。なお、前記実施例6では粒子径35μmキャリアを使用した。
測定結果を図5に示した。
図5に示すように、体積抵抗率を1×109Ω・cm(実施例4;VB−15)から5×108Ω・cm(実施例5;VB−16)に小さくした場合、各電界条件において現像ローラ2の1周目画像に対する2周目、3周目、4周目のΔEの変化幅は小さく4周目のΔEは3.5以下となった。このことから、体積抵抗率を1×109Ω・cm以下に小さくすることにより磁気ローラ1と現像ローラ2間の電界によるトナーの移動が高まり、現像ゴーストの発生が抑制されることがわかった。
また、飽和磁化を43emu/g(実施例4;VB−15)から69emu/g(実施例6;VB−14)に大きくした場合、各電界条件において現像ローラ2の1周目画像に対する2周目、3周目、4周目のΔEの変化幅は小さく4周目のΔEは2.0以下となった。このことから飽和磁化を30emu/g以上に大きくすることにより、磁気ブラシの穂立ちを強固なものにできるので、トナーの剥ぎ取り性能が向上するのがわかった。
【0030】
[実施例7〜9]
磁気ローラ1の主極磁力強度の現像ゴーストに及ぼす影響について調べた。50μmのキャリア4(FSL−22;パウダーテック社製)について、磁気ローラ1の主極磁力強度を84mT(実施例7)、120mT(実施例8)および150mT(実施例9)に代え、磁気ローラ1の直流電圧を300〜500Vに、現像ローラ2の交流電圧の周波数を3kHzに、平均粒径9μmのトナー5に代えた以外は、実施例1と同様にして、現像ゴーストの発生を調べた。
測定結果を図6に示した。
図6に示すように、磁気ローラ1の主極磁力強度が上がるに従い、ΔEの変化幅は小さくなった。このことから、主極磁力強度を高めることにより、磁気ブラシの穂立ちを強固なものになり、磁気ブラシの現像ローラ2への接蝕が増し、トナー薄層の形成及び剥ぎ取り性能が向上し、現像ゴーストが抑制されたのがわかった。
【0031】
[実施例10、比較例3]
磁気ローラ1と現像ローラ2の回転方向の現像ゴーストに及ぼす影響について調べた。35μmのキャリア4(VB−12;パウダーテック社製)について、磁気ローラ1と現像ローラ2の回転方向をカウンタ方向(実施例10)、磁気ローラ1と現像ローラ2の回転方向を順方向(比較例3)に代え、磁気ローラ1の直流電圧を300〜500Vに、現像ローラ2の交流電圧の周波数を3kHzに、平均粒径9μmのトナー5に代えた以外は、実施例1と同様にして、現像ゴーストの発生を調べた。なお、前記カウンタ方向時の回転数比は1.2とした。
測定結果を図7に示した。
図7に示すように、磁気ローラ1と現像ローラ2の回転方向を順(トレール)方向(比較例3)にした場合(比較例3)と、カウンタ方向にした場合(実施例10)を比較すると、カウンタ方向の方がΔEの変化幅は小さくなった。これは回転方向をカウンタ方向とすることにより、現像ローラ2表面を新たな磁気ブラシで順次掃いていくことでき、トナー薄層6の形成及び剥ぎ取り性能が向上し、現像ゴーストの発生が抑制されることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかる現像装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】画像形成と非画像形成時のトナーの流れを説明する図である。
【図3】平均粒径35および60μmのキャリアについてのゴーストパターン画像出力回数とゴースト強度(ΔE)の関係を示すグラフである。
【図4】磁気ブラシ量とゴースト強度(ΔE)の関係を示すグラフである。
【図5】磁性キャリアの飽和磁化および抵抗とゴースト強度(ΔE)の関係を示すグラフである。
【図6】磁気ローラの主極磁力強度とゴースト強度(ΔE)の関係を示すグラフである。
【図7】磁気ローラと現像ローラの回転方向とゴースト強度(ΔE)の関係を示すグラフである。
【図8】レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置の測定原理を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0033】
1 現像剤担持体(磁気ローラ)
2 トナー担持体(現像ローラ)
3 静電潜像担持体(感光体ドラム)
4 キャリア
5 トナー
6 トナー薄層
9 規制ブレード
10a,10b ミキサー
11 露光装置
12 帯電装置
13 1次転写ローラ
14 印刷体
15 トナーコンテナー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成された静電潜像担持体と、これに対面配置し、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスによって前記静電潜像担持体上に形成された潜像にトナーを飛翔させて現像するトナー担持体と、トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤で磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを前記トナー担持体に接触させるとともに、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスによって前記トナー担持体にトナー薄層を形成する現像剤担持体とを備えたハイブリッド現像装置であって、
前記磁性キャリアは、体積平均粒径が40μm以下、飽和磁化が30emu/g以上、体積抵抗率が1×109Ω・cm以下であり、前記現像剤担持体の主極磁力は80mT以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体の主極上の磁気ブラシ量が0.11cm3/cm2以上であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体と前記トナー担持体間のギャップが0.4mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナー担持体上のトナー薄層の剥ぎ取り時、前記現像剤担持体と前記トナー担持体の回転はカウンタ方向であり、回転速度比(トナー担持体/現像剤担持体)が1.2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−33178(P2008−33178A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209003(P2006−209003)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】