球形農作物の包装装置
【課題】 コンベアを利用して能率的な供給作業を行うことができる球形農作物の包装装置包装の小型化を図る。
【解決手段】 上向きの投入口7に挿入供給された球形農作物wを包装シートsでくるんで封止するよう構成した包装装置本体1に、球形農作物wを載置保持する複数の受け部24が包装装置本体1の上方において平面的に循環回動されるコンベア2を装備してある。
【解決手段】 上向きの投入口7に挿入供給された球形農作物wを包装シートsでくるんで封止するよう構成した包装装置本体1に、球形農作物wを載置保持する複数の受け部24が包装装置本体1の上方において平面的に循環回動されるコンベア2を装備してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レタス、キャベツ、あるいは、球状の果物、などの球形農作物を上向きの投入口に挿入供給して包装シートでくるんで封止するよう構成した球形農作物の包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記包装装置の一例であるレタス包装装置としては、コンベアに載置されて所定位置まで搬送されてきた球形農作物を移載装置で掴み上げて投入口に挿入供給するよう構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−95218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記包装装置は、球形農作物をコンベアに載置して所定の取出し位置にまで供給することで、コンベアの取出し位置と包装装置本体の投入口との間の定められた径路での移載を行うことで能率的な供給作業を行うことができるものであるが、コンベアが包装装置本体の横側に並べて配置されるものであったために、コンベアを含めた装置全体の据付面積が大きいものとなっていた。
【0004】
また、コンベアが包装装置本体の横側に外れた位置に設置されるために、コンベアの取出し位置から投入口までの移載距離が大きいものとなり、移載装置が大型化するものであった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、コンベアを利用して能率的な供給作業を行うことができる包装装置全体の小型化を図ることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、球形農作物を載置保持する複数の受け部が包装装置本体の上方において平面的に循環回動されるコンベアを装備してあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、コンベアの一部が包装装置本体と重複して配備されるので、コンベアを装備することによる装置全体が大きくなる割合は小さいものとなる。また、コンベアにおける取出し位置と投入口との移載距離は短いものとなる。
【0008】
従って、第1の発明によると、コンベアを利用して能率的な供給作業を行うことができる包装装置全体の小型化を図ることが可能となった。また、コンベアから投入口までの移載距離が短くなるので、手作業で移載する場合には労力が軽減され、また、移載装置を利用する場合には移載装置自体の小型化を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記コンベアの搬送径路における所定位置に至った前記受け部から球形農作物を取り出して前記投入口に供給する移載装置を装備してあるものである。
【0010】
上記構成によると、コンベアから投入口への移載作業を自動化することができ、一層能率的な包装作業を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
前記コンベアの搬送径路を長円状に形成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、長円状の搬送径路の投入口から遠い側の直線径路部分を球形農作物の載置供給域とすることができ、制約を受けること少なく任意の位置からの載置供給を行うことができる。
【0013】
第4の発明は、上記第3の発明において、
前記包装装置本体の一端側に包装シートを巻回したシートロールの装填部を設けるとともに、包装装置本体の他端側の上部に前記コンベアを配備してあるものである。
【0014】
上記構成によると、コンベアへの球形農作物の載置供給を任意の位置から容易に行うことができるとともに、コンベアに邪魔されることなくシートロールの補充を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2に、本発明に係る球形農作物の包装装置の一例であるレタス包装装置の正面と平面がそれぞれ示されている。この包装装置は、基本的には包装装置本体1、レタス搬入用のコンベア2、および、移載装置3から構成されており、各部の構造および機能を以下に説明する。
【0016】
包装装置本体1は箱型に構成されており、その上部には包装台5とこれを上方から覆う上部カバー6が配備され、包装台5の中央にはレタス(球形農作物)wより幾分大きい目の投入口7が形成されるとともに、この投入口7に臨む大きい開口8が上部カバー6に形成されている。包装装置本体1における一端部の上方にはシートロールSRの装填部9が配備されており、このシートロールSRから繰出された包装シートsが寸法切りされて包装台5の上に供給されるようになっている。そして、この包装シートsの上からレタスwを投入口7に押し込み供給することで、包装台5の下方おいてレタスwを包装シートsでをくるんで絞込むとともに、包装シートsの絞込み箇所を熱融着して封止し、包装したレタスwを排出口10から送出するよう構成されており、図12に、包装作動の概略手順が示されている。
【0017】
つまり、先ず、図13(イ)に示すように、包装台5の上面に包装シートsが供給装填された状態で、切り口を上向きにしたレタスwを投入口7に押し込んで、投入口7の下方に待機している保持台11の上に供給する。
【0018】
レタスwが押し込み供給されたことが光センサなどによって検知されると、図13(ロ)に示すように、保持台11が下降されるとともに、これに連動して一対の保持アーム12が接近作動し、投入口7の口縁によって絞り込まれる包装シートsをレタスwに密着させながら更に絞り込む。
【0019】
次に、図13(ハ)に示すように、一対の挟持板13が接近作動して、包装シートsの絞込み箇所を更に前後および左右から小さく絞り込む。
【0020】
次に、図13(ニ)に示すように、一対のヒータ14が接近作動して、挟持板32で絞り込まれた箇所を熱融着して封止するとともに、その封止箇所より上方の余剰シート部分s’を溶融切断する。
【0021】
封止が完了すると、図13(ホ)に示すように、保持アーム12が開放作動するとともに保持台11が側方に回倒作動して、包装されたレタスw’を排出シュート15に送り出す。
【0022】
以上のような包装作動を行う包装装置本体1へのレタス自動供給が前記コンベア2および移載装置3によって行われる。
【0023】
前記コンベア2は、包装装置本体1における前記シートロール装填部9と反対側の端部において包装装置本体1の上方に重複配備されており、モータ20によって縦軸心周りに駆動回動される大径の駆動スプロケット21と、これと同径の遊転スプロケット22とに亘って搬送チェーン23を横回し巻回するとともに、チェーン回動方向に所定ピッチをもって複数の受け部24を搬送チェーン23に取付け、かつ、搬送チェーン23を直線移動径路において図示されていないガイドレールで案内するよう構成されたものであり、受け部24が包装装置本体1の上方において長円状の搬送径路でもって平面的に循環回動するようになっている。なお、前記受け部24は、弾性変形可能な4個の受け片24aを放射状に配置して構成されており、レタスwを傷つけることなく安定載置することが可能となっている。
【0024】
移載装置3には、レタスwを掴み取る把持機構30と、把持機構30を一定姿勢のままで昇降させる昇降機構31と、この昇降機構31を横移動させる横移動機構32とが備えられており、各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0025】
図1〜図3に示すように、包装装置本体1の上部には、左右の支柱33を介して上下幅広の支持フレーム34が左右に亘って架設され、この支持フレーム34の前面に水平姿勢に固定されたガイドレール35に前記昇降機構31を装着した可動台36が水平横移動可能に支持されている。図10に示すように、可動台36の上下には、支持フレーム34の前面を転動するガイドローラ37が装備されて、可動台36の前後への倒れが阻止されている。
【0026】
前記昇降機構31は、基端を可動台36に枢支連結した上下の昇降リンク38とその遊端に亘って枢支連結された先端ブラケット39とからなる平行四連リンク機構として構成されており、先端ブラケット39に把持機構30が装備されている。
【0027】
また、支持フレーム34の前面には横移動機構32を構成する駆動アーム40が備えられ、この駆動アーム40の遊端が前記昇降リンク38の下部に枢支連結されている。この構成によると、駆動アーム40が左右に大きく反転回動されることによって昇降リンク38が上下揺動されるともに昇降機構31全体が可動台36と共に左右に押し動かされ、駆動アーム40の左右の回動エンドにおいて、把持機構30がコンベア2における取出し位置Aと包装装置本体1における投入口7の直上に位置するようになっている。なお、駆動アーム40は大径スプロケット41に固着されて一体に回動されるとともに、大径スプロケット41は、フレーム裏面からモータM1で正逆に駆動される小径スプロケット42にチェーン43を介して巻き掛け連動されている。
【0028】
図4〜図9に示すように、昇降機構31における先端ブラケット39に装備された前記把持機構30には開閉自在な4本のフィンガー45が備えられている。このフィンガー45は、前記先端ブラケット39の前面に水平姿勢で固着された基板46の上部にそれぞれ支点a周りに内外に揺動可能に枢支されたフィンガーアーム47と、このフィンガーアーム47の下部に取付けられたゴム材などの弾性樹脂材からなる短冊状のフィンガー本体48とから構成されている。
【0029】
各フィンガーアーム47と基板46とに亘ってバネ49が張設され、各フィンガーアーム47が内向き、つまり、レタス把持方向に揺動付勢されている。また、図7に示すように、基板46にはフィンガー群の中心に位置させてボス部材50が鉛直に設けられるとともに、このボス部材50の下部外周にカム板51が水平回転可能に外嵌装着されている。カム板51は、各フィンガーアーム47の内側に備えられたローラ52に対向されており、内向きに揺動付勢された各フィンガーアーム47がローラ52を介してカム板51の外周で受け止め支持されるようになっている。
【0030】
図11に示すように、前記カム板51には、モータM2によって操作される2本の操作ワイヤ53,54に連結されており、モータM2の正逆回転によって両操作ワイヤ53,54が背反して引き操作および弛緩操作されることでカム板51が正逆に回転駆動され、カム板外周のカム形状に応じて全フィンガーアーム47が同時に外側に強制開放揺動および、内側に付勢閉じ揺動するようになっている。
【0031】
前記フィンガー本体48はその上端部のみがフィンガーアーム47にネジ連結されており、フィンガー本体48をフィンガーアーム47に沿わせた開き姿勢と、内方に向けて屈曲変形された掴み姿勢とに切換えることが可能となっている。また、フィンガー本体48の内向き面には、レタスwを傷つけることなく把持できるよう適度の弾性を有するスポンジ材55が貼付けられている。
【0032】
また、フィンガーアーム47の外側にはフィンガー本体48を内外に屈曲させるフィンガー駆動リンク56が配備されている。このフィンガー駆動リンク56の上端は、フィンガーアーム47の上部支点aに枢支された操作アーム57の遊端に枢支連結されるとともに、フィンガー駆動リンク56の下端が、フィンガー本体48の下端部外面から突設した連結片58に枢支連結され、更に、フィンガー駆動リンク56の長手方向中間に備えたピン59がフィンガーアーム47に形成した傾斜長孔60に係入されており、操作アーム57が揺動操作されてフィンガー駆動リンク56が上下に移動されると、ピン59と傾斜長孔60との案内作用でフィンガー駆動リンク56の下端部が内外方向に変位してフィンガー本体48が内外に屈曲されるようになっている。
【0033】
前記基板46に設けられた前記ボス部材50には上下動自在にスライドボス61が外嵌装着されており、このスライドボス61から放射状に突設した操作突起62と前記操作アーム57の延長端とが長孔63とピン64を介して係合連動されている。また、前記基板46の上方には立設された一対のステー65を介してブラケット66が横架固定され、このブラケット66に支点b周りに回動可能に枢支された一対の駆動アーム67が前記スライドボス61の外周対角位置に軸支装着されたローラ68にそれぞれ係合されている。なお、スライドボス61から突設した一対のガイド片61aに前記ステー65が貫通されて、スライドボス61の縦軸心周りでの回転が阻止されている。
【0034】
前記駆動アーム67はモータM3によって操作される2本の操作ワイヤ69,70に連結されており、モータM3が正逆回転されて両操作ワイヤ69,70が背反して引き操作および弛緩操作されることで駆動アーム67が正逆に回動されて全操作アーム57が揺動操作され、もって上記のように全フィンガー45のフィンガー本体48が同時に内外に屈曲されるようになっている。
【0035】
基板46に立設されたボス部材50には操作ロッド71が挿通支持され、この操作ロッド71の下端に押し出し具72が装備されている。また、操作ロッド71の上部は、ブラケット66から立設した支持枠73に上下動可能に案内支持されるとともに、外嵌装着した圧縮コイルバネ74によって操作ロッド71が上方にスライド付勢され、常態では押し出し具72がフィンガー間の上方待機位置に保持されている。また、操作ロッド71の上端からは受動アーム75が片持ち状に突設されている。
【0036】
前記支持フレーム34にはモータM4によって回動される駆動アーム76が装備されており、この駆動アーム76の先端に備えたピン77の移動軌跡内に前記受動アーム75が位置しており、駆動アーム76が回動して受動アーム75を下方に接当押圧することで操作ロッド71が圧縮コイルバネ74に抗して下方に押し下げられるようになっている。
【0037】
本発明は以上のように構成されており、次にレタスwの自動供給作動について説明する。
【0038】
作業者はコンベア2の周囲の適所に立って循環ピッチ回動する受け部24に、切り口を上向きにしてレタスwを載置供給することで、レタスwは移載装置3による取出し位置Aに向けて搬送されてゆく。ここで、図12に示すように、取出し位置Aの手前近傍の上方には、レタスwの移動径路と干渉する高さに位置させてタオルローラ78が上方に退避可能に配備されており、レタスwがタオルローラ78を押し上げて通過する間に、切り口に滲み出ている汁がタオルローラ78に吸収除去されるようになっている。
【0039】
搬送されてきたレタスwが前記取出し位置Aに到着すると、これが光センサあるいは接触センサなどの存否検出手段によって検知され、この検知に基づいてコンベア2が停止されるとともに、移載装置3の把持機構30が、フィンガー45が開かれるとともに押出し具72が上方後退された状態で下降され、取出し位置Aで停止しているレタスwに被せられる。
【0040】
把持機構30が下限まで下降されると、カム板51が回動されてフィンガーアーム47が内向きに付勢揺動されるとともに、スライドボス61が下方作動してフィンガー本体48が内方に屈曲変形され、レタスwがフィンガー本体によって四方から弾性的に把持される。
【0041】
レタスwの把持が完了すると、駆動アーム40が反転回動することで、レタスwを把持した把持機構30は略直線的に上昇した後、包装装置本体1側に山形の湾曲軌跡をもって横移動し、投入口7の上方近傍からは略直線的に下降し、把持したレタスwを投入口7に持ち込む。
【0042】
把持機構30が下限まで下降されると、図6に示すように、フィンガー本体48が外側に少し伸展されてレタスwの下方からの抱込み支持が解除され、レタスwはフィンガー本体48の弾性によって軽く挟持された状態で保持され、この弱挟持状態において駆動アーム76によって操作ロッド71が強制的に下方移動され、ロッド下端に備えた押出し具72がレタスwを上方から押し下げて投入口に押し込む。この場合、レタスwはフィンガー本体48によって弱挟持された状態で押し下げられるので、葉が大きく拡がること少なくなく投入口7におだやかに押し込みまれて保持台11(図13参照)上に供給されることになり、レタスwは姿勢が大きく変化することなく、かつ、葉のまとまりの良い状態で包装シートでくるまれることになる。
【0043】
投入口7へのレタス押し込みを終えた把持機構30は次のレタス移載のために前記取出し位置Aに向けて復帰移動されるとともに、押出し具72は上方待機位置に復帰移動する。
【0044】
〔他の実施例〕
【0045】
(1)上記実施例では、移載装置3における昇降機構31と横移動機構32とを単一のモータM1で同調駆動するようにしているが、昇降機構31と横移動機構32とをそれぞれ別個のモータで同調駆動するようにすることもでき、この場合は、取り出し位置Aおよび投入口上での垂直昇降と水平横移動を順次行わせるタクト作動によって把持機構30を往復移動させることもできる。
【0046】
(2)包装シートsを絞り込んで封止する手段としては、上記のように熱融着する形態のほかに、絞込み切断箇所に粘着テープ片を貼付ける形態を利用することもできる。
【0047】
(3)前記把持機構30を、空気圧の変動によって内外に屈曲変形する細長いゴム風船状のフィンガー本体で各フィンガーを構成した形態で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】包装装置の全体正面図
【図2】包装装置の全体平面図
【図3】把持機構の昇降機構および横移動機構を示す正面図
【図4】開放作動状態の把持機構を示す正面図
【図5】把持作動状態の把持機構を示す正面図
【図6】排出作動状態の把持機構を示す正面図
【図7】把持機構の一部を示す縦断正面図
【図8】把持機構の一部を示す横断平面図
【図9】把持機構の要部を示す縦断側面図
【図10】把持機構の横移動機構の一部を示す縦断側面図
【図11】フィンガー開閉構造の要部を示す平面図
【図12】コンベアの一部を示す側面図
【図13】包装作動の概略手順を示す説明図
【符号の説明】
【0049】
1 包装装置本体
2 コンベア
3 移載装置
7 投入口
9 シートロール装填部
24 受け部
s 包装シート
w 球形農作物(レタス)
SR シートロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、レタス、キャベツ、あるいは、球状の果物、などの球形農作物を上向きの投入口に挿入供給して包装シートでくるんで封止するよう構成した球形農作物の包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記包装装置の一例であるレタス包装装置としては、コンベアに載置されて所定位置まで搬送されてきた球形農作物を移載装置で掴み上げて投入口に挿入供給するよう構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−95218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記包装装置は、球形農作物をコンベアに載置して所定の取出し位置にまで供給することで、コンベアの取出し位置と包装装置本体の投入口との間の定められた径路での移載を行うことで能率的な供給作業を行うことができるものであるが、コンベアが包装装置本体の横側に並べて配置されるものであったために、コンベアを含めた装置全体の据付面積が大きいものとなっていた。
【0004】
また、コンベアが包装装置本体の横側に外れた位置に設置されるために、コンベアの取出し位置から投入口までの移載距離が大きいものとなり、移載装置が大型化するものであった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、コンベアを利用して能率的な供給作業を行うことができる包装装置全体の小型化を図ることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、球形農作物を載置保持する複数の受け部が包装装置本体の上方において平面的に循環回動されるコンベアを装備してあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、コンベアの一部が包装装置本体と重複して配備されるので、コンベアを装備することによる装置全体が大きくなる割合は小さいものとなる。また、コンベアにおける取出し位置と投入口との移載距離は短いものとなる。
【0008】
従って、第1の発明によると、コンベアを利用して能率的な供給作業を行うことができる包装装置全体の小型化を図ることが可能となった。また、コンベアから投入口までの移載距離が短くなるので、手作業で移載する場合には労力が軽減され、また、移載装置を利用する場合には移載装置自体の小型化を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記コンベアの搬送径路における所定位置に至った前記受け部から球形農作物を取り出して前記投入口に供給する移載装置を装備してあるものである。
【0010】
上記構成によると、コンベアから投入口への移載作業を自動化することができ、一層能率的な包装作業を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
前記コンベアの搬送径路を長円状に形成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、長円状の搬送径路の投入口から遠い側の直線径路部分を球形農作物の載置供給域とすることができ、制約を受けること少なく任意の位置からの載置供給を行うことができる。
【0013】
第4の発明は、上記第3の発明において、
前記包装装置本体の一端側に包装シートを巻回したシートロールの装填部を設けるとともに、包装装置本体の他端側の上部に前記コンベアを配備してあるものである。
【0014】
上記構成によると、コンベアへの球形農作物の載置供給を任意の位置から容易に行うことができるとともに、コンベアに邪魔されることなくシートロールの補充を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2に、本発明に係る球形農作物の包装装置の一例であるレタス包装装置の正面と平面がそれぞれ示されている。この包装装置は、基本的には包装装置本体1、レタス搬入用のコンベア2、および、移載装置3から構成されており、各部の構造および機能を以下に説明する。
【0016】
包装装置本体1は箱型に構成されており、その上部には包装台5とこれを上方から覆う上部カバー6が配備され、包装台5の中央にはレタス(球形農作物)wより幾分大きい目の投入口7が形成されるとともに、この投入口7に臨む大きい開口8が上部カバー6に形成されている。包装装置本体1における一端部の上方にはシートロールSRの装填部9が配備されており、このシートロールSRから繰出された包装シートsが寸法切りされて包装台5の上に供給されるようになっている。そして、この包装シートsの上からレタスwを投入口7に押し込み供給することで、包装台5の下方おいてレタスwを包装シートsでをくるんで絞込むとともに、包装シートsの絞込み箇所を熱融着して封止し、包装したレタスwを排出口10から送出するよう構成されており、図12に、包装作動の概略手順が示されている。
【0017】
つまり、先ず、図13(イ)に示すように、包装台5の上面に包装シートsが供給装填された状態で、切り口を上向きにしたレタスwを投入口7に押し込んで、投入口7の下方に待機している保持台11の上に供給する。
【0018】
レタスwが押し込み供給されたことが光センサなどによって検知されると、図13(ロ)に示すように、保持台11が下降されるとともに、これに連動して一対の保持アーム12が接近作動し、投入口7の口縁によって絞り込まれる包装シートsをレタスwに密着させながら更に絞り込む。
【0019】
次に、図13(ハ)に示すように、一対の挟持板13が接近作動して、包装シートsの絞込み箇所を更に前後および左右から小さく絞り込む。
【0020】
次に、図13(ニ)に示すように、一対のヒータ14が接近作動して、挟持板32で絞り込まれた箇所を熱融着して封止するとともに、その封止箇所より上方の余剰シート部分s’を溶融切断する。
【0021】
封止が完了すると、図13(ホ)に示すように、保持アーム12が開放作動するとともに保持台11が側方に回倒作動して、包装されたレタスw’を排出シュート15に送り出す。
【0022】
以上のような包装作動を行う包装装置本体1へのレタス自動供給が前記コンベア2および移載装置3によって行われる。
【0023】
前記コンベア2は、包装装置本体1における前記シートロール装填部9と反対側の端部において包装装置本体1の上方に重複配備されており、モータ20によって縦軸心周りに駆動回動される大径の駆動スプロケット21と、これと同径の遊転スプロケット22とに亘って搬送チェーン23を横回し巻回するとともに、チェーン回動方向に所定ピッチをもって複数の受け部24を搬送チェーン23に取付け、かつ、搬送チェーン23を直線移動径路において図示されていないガイドレールで案内するよう構成されたものであり、受け部24が包装装置本体1の上方において長円状の搬送径路でもって平面的に循環回動するようになっている。なお、前記受け部24は、弾性変形可能な4個の受け片24aを放射状に配置して構成されており、レタスwを傷つけることなく安定載置することが可能となっている。
【0024】
移載装置3には、レタスwを掴み取る把持機構30と、把持機構30を一定姿勢のままで昇降させる昇降機構31と、この昇降機構31を横移動させる横移動機構32とが備えられており、各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0025】
図1〜図3に示すように、包装装置本体1の上部には、左右の支柱33を介して上下幅広の支持フレーム34が左右に亘って架設され、この支持フレーム34の前面に水平姿勢に固定されたガイドレール35に前記昇降機構31を装着した可動台36が水平横移動可能に支持されている。図10に示すように、可動台36の上下には、支持フレーム34の前面を転動するガイドローラ37が装備されて、可動台36の前後への倒れが阻止されている。
【0026】
前記昇降機構31は、基端を可動台36に枢支連結した上下の昇降リンク38とその遊端に亘って枢支連結された先端ブラケット39とからなる平行四連リンク機構として構成されており、先端ブラケット39に把持機構30が装備されている。
【0027】
また、支持フレーム34の前面には横移動機構32を構成する駆動アーム40が備えられ、この駆動アーム40の遊端が前記昇降リンク38の下部に枢支連結されている。この構成によると、駆動アーム40が左右に大きく反転回動されることによって昇降リンク38が上下揺動されるともに昇降機構31全体が可動台36と共に左右に押し動かされ、駆動アーム40の左右の回動エンドにおいて、把持機構30がコンベア2における取出し位置Aと包装装置本体1における投入口7の直上に位置するようになっている。なお、駆動アーム40は大径スプロケット41に固着されて一体に回動されるとともに、大径スプロケット41は、フレーム裏面からモータM1で正逆に駆動される小径スプロケット42にチェーン43を介して巻き掛け連動されている。
【0028】
図4〜図9に示すように、昇降機構31における先端ブラケット39に装備された前記把持機構30には開閉自在な4本のフィンガー45が備えられている。このフィンガー45は、前記先端ブラケット39の前面に水平姿勢で固着された基板46の上部にそれぞれ支点a周りに内外に揺動可能に枢支されたフィンガーアーム47と、このフィンガーアーム47の下部に取付けられたゴム材などの弾性樹脂材からなる短冊状のフィンガー本体48とから構成されている。
【0029】
各フィンガーアーム47と基板46とに亘ってバネ49が張設され、各フィンガーアーム47が内向き、つまり、レタス把持方向に揺動付勢されている。また、図7に示すように、基板46にはフィンガー群の中心に位置させてボス部材50が鉛直に設けられるとともに、このボス部材50の下部外周にカム板51が水平回転可能に外嵌装着されている。カム板51は、各フィンガーアーム47の内側に備えられたローラ52に対向されており、内向きに揺動付勢された各フィンガーアーム47がローラ52を介してカム板51の外周で受け止め支持されるようになっている。
【0030】
図11に示すように、前記カム板51には、モータM2によって操作される2本の操作ワイヤ53,54に連結されており、モータM2の正逆回転によって両操作ワイヤ53,54が背反して引き操作および弛緩操作されることでカム板51が正逆に回転駆動され、カム板外周のカム形状に応じて全フィンガーアーム47が同時に外側に強制開放揺動および、内側に付勢閉じ揺動するようになっている。
【0031】
前記フィンガー本体48はその上端部のみがフィンガーアーム47にネジ連結されており、フィンガー本体48をフィンガーアーム47に沿わせた開き姿勢と、内方に向けて屈曲変形された掴み姿勢とに切換えることが可能となっている。また、フィンガー本体48の内向き面には、レタスwを傷つけることなく把持できるよう適度の弾性を有するスポンジ材55が貼付けられている。
【0032】
また、フィンガーアーム47の外側にはフィンガー本体48を内外に屈曲させるフィンガー駆動リンク56が配備されている。このフィンガー駆動リンク56の上端は、フィンガーアーム47の上部支点aに枢支された操作アーム57の遊端に枢支連結されるとともに、フィンガー駆動リンク56の下端が、フィンガー本体48の下端部外面から突設した連結片58に枢支連結され、更に、フィンガー駆動リンク56の長手方向中間に備えたピン59がフィンガーアーム47に形成した傾斜長孔60に係入されており、操作アーム57が揺動操作されてフィンガー駆動リンク56が上下に移動されると、ピン59と傾斜長孔60との案内作用でフィンガー駆動リンク56の下端部が内外方向に変位してフィンガー本体48が内外に屈曲されるようになっている。
【0033】
前記基板46に設けられた前記ボス部材50には上下動自在にスライドボス61が外嵌装着されており、このスライドボス61から放射状に突設した操作突起62と前記操作アーム57の延長端とが長孔63とピン64を介して係合連動されている。また、前記基板46の上方には立設された一対のステー65を介してブラケット66が横架固定され、このブラケット66に支点b周りに回動可能に枢支された一対の駆動アーム67が前記スライドボス61の外周対角位置に軸支装着されたローラ68にそれぞれ係合されている。なお、スライドボス61から突設した一対のガイド片61aに前記ステー65が貫通されて、スライドボス61の縦軸心周りでの回転が阻止されている。
【0034】
前記駆動アーム67はモータM3によって操作される2本の操作ワイヤ69,70に連結されており、モータM3が正逆回転されて両操作ワイヤ69,70が背反して引き操作および弛緩操作されることで駆動アーム67が正逆に回動されて全操作アーム57が揺動操作され、もって上記のように全フィンガー45のフィンガー本体48が同時に内外に屈曲されるようになっている。
【0035】
基板46に立設されたボス部材50には操作ロッド71が挿通支持され、この操作ロッド71の下端に押し出し具72が装備されている。また、操作ロッド71の上部は、ブラケット66から立設した支持枠73に上下動可能に案内支持されるとともに、外嵌装着した圧縮コイルバネ74によって操作ロッド71が上方にスライド付勢され、常態では押し出し具72がフィンガー間の上方待機位置に保持されている。また、操作ロッド71の上端からは受動アーム75が片持ち状に突設されている。
【0036】
前記支持フレーム34にはモータM4によって回動される駆動アーム76が装備されており、この駆動アーム76の先端に備えたピン77の移動軌跡内に前記受動アーム75が位置しており、駆動アーム76が回動して受動アーム75を下方に接当押圧することで操作ロッド71が圧縮コイルバネ74に抗して下方に押し下げられるようになっている。
【0037】
本発明は以上のように構成されており、次にレタスwの自動供給作動について説明する。
【0038】
作業者はコンベア2の周囲の適所に立って循環ピッチ回動する受け部24に、切り口を上向きにしてレタスwを載置供給することで、レタスwは移載装置3による取出し位置Aに向けて搬送されてゆく。ここで、図12に示すように、取出し位置Aの手前近傍の上方には、レタスwの移動径路と干渉する高さに位置させてタオルローラ78が上方に退避可能に配備されており、レタスwがタオルローラ78を押し上げて通過する間に、切り口に滲み出ている汁がタオルローラ78に吸収除去されるようになっている。
【0039】
搬送されてきたレタスwが前記取出し位置Aに到着すると、これが光センサあるいは接触センサなどの存否検出手段によって検知され、この検知に基づいてコンベア2が停止されるとともに、移載装置3の把持機構30が、フィンガー45が開かれるとともに押出し具72が上方後退された状態で下降され、取出し位置Aで停止しているレタスwに被せられる。
【0040】
把持機構30が下限まで下降されると、カム板51が回動されてフィンガーアーム47が内向きに付勢揺動されるとともに、スライドボス61が下方作動してフィンガー本体48が内方に屈曲変形され、レタスwがフィンガー本体によって四方から弾性的に把持される。
【0041】
レタスwの把持が完了すると、駆動アーム40が反転回動することで、レタスwを把持した把持機構30は略直線的に上昇した後、包装装置本体1側に山形の湾曲軌跡をもって横移動し、投入口7の上方近傍からは略直線的に下降し、把持したレタスwを投入口7に持ち込む。
【0042】
把持機構30が下限まで下降されると、図6に示すように、フィンガー本体48が外側に少し伸展されてレタスwの下方からの抱込み支持が解除され、レタスwはフィンガー本体48の弾性によって軽く挟持された状態で保持され、この弱挟持状態において駆動アーム76によって操作ロッド71が強制的に下方移動され、ロッド下端に備えた押出し具72がレタスwを上方から押し下げて投入口に押し込む。この場合、レタスwはフィンガー本体48によって弱挟持された状態で押し下げられるので、葉が大きく拡がること少なくなく投入口7におだやかに押し込みまれて保持台11(図13参照)上に供給されることになり、レタスwは姿勢が大きく変化することなく、かつ、葉のまとまりの良い状態で包装シートでくるまれることになる。
【0043】
投入口7へのレタス押し込みを終えた把持機構30は次のレタス移載のために前記取出し位置Aに向けて復帰移動されるとともに、押出し具72は上方待機位置に復帰移動する。
【0044】
〔他の実施例〕
【0045】
(1)上記実施例では、移載装置3における昇降機構31と横移動機構32とを単一のモータM1で同調駆動するようにしているが、昇降機構31と横移動機構32とをそれぞれ別個のモータで同調駆動するようにすることもでき、この場合は、取り出し位置Aおよび投入口上での垂直昇降と水平横移動を順次行わせるタクト作動によって把持機構30を往復移動させることもできる。
【0046】
(2)包装シートsを絞り込んで封止する手段としては、上記のように熱融着する形態のほかに、絞込み切断箇所に粘着テープ片を貼付ける形態を利用することもできる。
【0047】
(3)前記把持機構30を、空気圧の変動によって内外に屈曲変形する細長いゴム風船状のフィンガー本体で各フィンガーを構成した形態で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】包装装置の全体正面図
【図2】包装装置の全体平面図
【図3】把持機構の昇降機構および横移動機構を示す正面図
【図4】開放作動状態の把持機構を示す正面図
【図5】把持作動状態の把持機構を示す正面図
【図6】排出作動状態の把持機構を示す正面図
【図7】把持機構の一部を示す縦断正面図
【図8】把持機構の一部を示す横断平面図
【図9】把持機構の要部を示す縦断側面図
【図10】把持機構の横移動機構の一部を示す縦断側面図
【図11】フィンガー開閉構造の要部を示す平面図
【図12】コンベアの一部を示す側面図
【図13】包装作動の概略手順を示す説明図
【符号の説明】
【0049】
1 包装装置本体
2 コンベア
3 移載装置
7 投入口
9 シートロール装填部
24 受け部
s 包装シート
w 球形農作物(レタス)
SR シートロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、球形農作物を載置保持する複数の受け部が包装装置本体の上方において平面的に循環回動されるコンベアを装備してあることを特徴とする球形農作物の包装装置。
【請求項2】
前記コンベアの搬送径路における所定位置に至った前記受け部から球形農作物を取り出して前記投入口に供給する移載装置を装備してある請求項1記載の球形農作物の包装装置。
【請求項3】
前記コンベアの搬送径路を長円状に形成してある請求項1または2記載の球形農作物の包装装置。
【請求項4】
前記包装装置本体の一端側に包装シートを巻回したシートロールの装填部を設けるとともに、包装装置本体の他端側の上部に前記コンベアを配備してある請求項3記載の球形農作物の包装装置。
【請求項1】
上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、球形農作物を載置保持する複数の受け部が包装装置本体の上方において平面的に循環回動されるコンベアを装備してあることを特徴とする球形農作物の包装装置。
【請求項2】
前記コンベアの搬送径路における所定位置に至った前記受け部から球形農作物を取り出して前記投入口に供給する移載装置を装備してある請求項1記載の球形農作物の包装装置。
【請求項3】
前記コンベアの搬送径路を長円状に形成してある請求項1または2記載の球形農作物の包装装置。
【請求項4】
前記包装装置本体の一端側に包装シートを巻回したシートロールの装填部を設けるとともに、包装装置本体の他端側の上部に前記コンベアを配備してある請求項3記載の球形農作物の包装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−168783(P2006−168783A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363289(P2004−363289)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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