球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板
【課題】複雑な構成の回路基板に対する球状体の搭載を実現し得る球状体搭載装置を提供する。
【解決手段】球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて開口部の縁部に球状体を保持する複数の保持ヘッド11a,11bと、保持ヘッド11a,11bを基板400に向けて移動させる移動処理を実行して保持ヘッド11a,11bによって保持されている球状体を基板400に搭載する搭載機構2とを備え、各保持ヘッド11a,11bは、開口部の口径が各保持ヘッド11a,11b毎に互いに異なるように構成され、搭載機構2は、各保持ヘッド11a,11b毎に移動処理を実行して各保持ヘッド11a,11bにおける各開口部の口径に対応して直径が互いに異なる複数種類の球状体を1つの基板400に対して搭載する。
【解決手段】球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて開口部の縁部に球状体を保持する複数の保持ヘッド11a,11bと、保持ヘッド11a,11bを基板400に向けて移動させる移動処理を実行して保持ヘッド11a,11bによって保持されている球状体を基板400に搭載する搭載機構2とを備え、各保持ヘッド11a,11bは、開口部の口径が各保持ヘッド11a,11b毎に互いに異なるように構成され、搭載機構2は、各保持ヘッド11a,11b毎に移動処理を実行して各保持ヘッド11a,11bにおける各開口部の口径に対応して直径が互いに異なる複数種類の球状体を1つの基板400に対して搭載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状体を保持している保持ヘッドを移動させて搭載対象体に球状体を搭載する球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2003−100789号公報に開示された半田(はんだ)ボール搭載装置が知られている。この半田ボール搭載装置は、球状体としての半田ボールを吸着して保持する保持ヘッドとしての整列マスク、半田ボールを供給する半田ボール供給部、フラックスを供給するフラックス供給部、搭載対象体としての回路基板(パッケージ)を搬送する搬送部、および整列マスクを移動させる移動部等を備えて構成されている。この半田ボール搭載装置では、搬送部が、搭載位置に回路基板を搬送する。また、移動部が、半田ボール供給部の配置位置に整列マスクを移動させて、整列マスクに半田ボールを吸着させる。次いで、移動部は、フラックス供給部の配置位置にその整列マスクを移動させて、半田ボールにフラックスを付着させる。続いて、移動部は、搭載位置にその整列マスクを移動させて、搭載対象体に半田ボールを搭載させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−100789号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の半田ボール搭載装置を含む従来の球状体搭載装置には、以下の問題点がある。すなわち、従来のこの種の球状体搭載装置は、単一の整列マスクによって同じ大きさ(直径)の半田ボールを保持して搭載対象体に搭載している。つまり、従来の球状体搭載装置では、搭載可能な球状体の大きさが1種類に限られている。一方、1つの基板上において配線パターンの密度が大きく異なる領域が存在したり、太さの異なる複数種類のリード線が半田接続される回路基板では、基板上の領域に応じて大きさの異なる半田ボールを搭載する必要がある。具体的には、配線パターンの密度が大きい領域では、隣接する配線パターン同士の間隔が短く、これらの配線パターン同士の短絡を防止するために、小さな半田ボールを搭載する必要がある。また、電源回路等が構成される基板上の領域では、太いリード線を接続するのが好ましく、このような太いリード線を確実に接続するには、大きな半田ボールを搭載する必要がある。しかしながら、従来の球状体搭載装置では、上記したように搭載可能な球状体の大きさが1種類に限られているため、このような複雑な構成の回路基板に対する球状体の搭載が困難となっている。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な構成の搭載対象体に対する球状体の搭載を実現し得る球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体搭載装置は、球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドと、当該保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている前記球状体を当該搭載対象体に搭載する搭載部とを備えた球状体搭載装置であって、前記保持ヘッドを複数備え、前記各保持ヘッドは、前記開口部の口径が当該各保持ヘッド毎に互いに異なるように構成され、前記搭載部は、前記各保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各保持ヘッドにおける前記各開口部の前記口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する。
【0007】
また、請求項2記載の球状体搭載装置は、請求項1記載の球状体搭載装置において、前記保持ヘッドには、前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成されている。
【0008】
また、請求項3記載の球状体搭載装置は、請求項1または2記載の球状体搭載装置において、前記搭載部は、前記保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として実行する移動機構を当該保持ヘッドの数と同数備え、前記各移動機構は、前記各保持ヘッドを個別に移動させる。
【0009】
また、請求項4記載の球状体搭載装置は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置において、前記搭載部は、前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う。
【0010】
また、請求項5記載の球状体搭載方法は、球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている当該球状体を当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、前記開口部の口径が前記保持ヘッド毎に互いに異なるように構成された複数の当該保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各開口部の当該口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する。
【0011】
また、請求項6記載の球状体搭載方法は、請求項5記載の球状体搭載方法において、前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成された前記保持ヘッドを用いる。
【0012】
また、請求項7記載の球状体搭載方法は、請求項5または6記載の球状体搭載方法において、前記保持ヘッドの数と同数の移動機構を用いて、当該保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として当該各保持ヘッド毎に個別に実行する。
【0013】
また、請求項8記載の球状体搭載方法は、請求項5から7のいずれかに記載の球状体搭載方法において、前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う。
【0014】
また、請求項9記載の球状体搭載済基板は、請求項1から4のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該基板に固着されている。
【0015】
また、請求項10記載の球状体搭載済基板は、請求項5または8のいずれかに記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該基板に固着されている。
【0016】
また、請求項11記載の電子部品搭載済基板は、請求項9または10記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の球状体搭載装置、および請求項5記載の球状体搭載方法では、球状体を保持する開口部の口径が互いに異なるように構成された複数の保持ヘッド毎に移動処理を実行して各保持ヘッドにおける各開口部の口径に対応して直径が互いに異なる複数種類の球状体を1つの搭載対象体に対して搭載する。このため、この球状体搭載装置によれば、例えば、隣接する端子同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成の搭載対象体に対して、直径(大きさ)が互いに異なる複数種類の球状体を確実に搭載することができる。
【0018】
また、請求項2記載の球状体搭載装置、および請求項6記載の球状体搭載方法では、凹部または切り欠きが形成された保持ヘッドを用いる。このため、この球状体搭載装置によれば、例えば、搭載部が、開口部の口径の大きい保持ヘッドに対する移動処理を開口部の口径の小さい保持ヘッドに対する移動処理に先立って行う際に、搭載対象体に既に搭載されている球状体と保持ヘッドとの接触を確実に回避することができる結果、接触による搭載済みの球状体の脱落を確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項3記載の球状体搭載装置、および請求項7記載の球状体搭載方法によれば、保持ヘッドの数と同数の移動機構を用いて、保持ヘッドを搭載対象体に向けて移動させる処理を移動処理として各保持ヘッド毎に個別に実行することにより、例えば、複数の保持ヘッドを交換して1つの移動機構で移動させる構成と比較して、交換に要する時間分を短縮できるため、処理効率を十分に向上させることができる。
【0020】
また、請求項4記載の球状体搭載装置、および請求項8記載の球状体搭載方法によれば、搭載部が口径の小さい保持ヘッドに対する移動処理を口径の大きい保持ヘッドに対する移動処理に先立って行うことにより、例えば、先の移動処理によって搭載される球状体が後の移動処理によって搭載される球状体よりも十分に大きいときには、凹部や切り欠きを設けることなく、搭載済みの球状体と後の移動処理によって移動される保持ヘッドとの接触を確実に回避することができる。このため、この球状体搭載装置によれば、凹部や切り欠きを設けていない簡易な構成の保持ヘッドを用いて、保持ヘッドとの接触による搭載済みの球状体の脱落を確実に防止することができる。
【0021】
また、請求項9,10記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または球状体搭載方法によって搭載対象体としての基板に搭載された球状体が溶融されて基板に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、搭載対象体としての基板が、例えば、隣接する端子同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成であっても、直径が互いに異なる複数種類の球状体が各領域に確実に搭載されて、溶融された球状体(半田)が各領域(各領域に設けられた端子)に確実に固着されている。したがって、この球状体搭載済基板によれば、電子部品を実装する際に、溶融された球状体(半田)を介して電子部品の端子と基板の端子とを確実に接続させることができる。
【0022】
また、請求項11記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体を介して接続された電子部品が球状体搭載済基板に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板では、球状体搭載済基板における基板の各領域(各領域に設けられた端子)に溶融された球状体(半田)が確実に固着されている結果、電子部品を実装する際に、溶融された球状体(半田)を介して電子部品の端子と基板(基板に設けられた端子)とが確実に接続されている。したがって、この電子部品搭載済基板によれば、この電子部品搭載済基板を用いた製品における不良の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】半田ボール搭載装置1の平面図である。
【図3】基板400の平面図である。
【図4】搭載機構2における保持ヘッド11a,11b、供給部12a,12bおよび整列用プレート13a,13bの断面図である。
【図5】保持ヘッド11aの構成を示す断面図である。
【図6】保持ヘッド11aおよび整列用プレート13aにおける要部の構成を示す断面図である。
【図7】保持ヘッド11bの構成を示す断面図である。
【図8】保持ヘッド11bおよび整列用プレート13bにおける要部の構成を示す断面図である。
【図9】塗布部3および吸着台53の構成を示す構成図である。
【図10】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図13】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図14】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図15】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図16】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【図17】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第8の説明図である。
【図18】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第9の説明図である。
【図19】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第10の説明図である。
【図20】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第11の説明図である。
【図21】半田ボール搭載装置1の他の構成を示す構成図である。
【図22】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図23】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図および図2に示すように、搭載機構2、塗布部3、搬送部4、検出部5および制御部6(図1参照)を備えて、球状体の一例としての微小な球状粒体である2種類の半田ボール(マイクロボール)300a,300b(図6,8参照:以下、区別しないときには「半田ボール300」ともいう)を、搭載対象体としての基板400の端子401(図16参照)に搭載(載置)可能に構成されている。
【0026】
この場合、半田ボール300aは、直径L1a(図6参照)が70μm程度の球状に構成され、半田ボール300bは、直径L1b(図8参照:以下、直径L1a,L1bを区別しないときには「直径L1」ともいう)が50μm程度の球状に構成されている。また、基板400は、一例として、中央部の第1領域400a(図3参照)内において、太いリード線が接続されて直径が大きな複数の端子401が形成され、外周側の第2領域400b(同図参照)内において、第1領域400a内の端子401よりも直径が短い複数の端子401が短い間隔で形成されて構成されている。このため、この基板400では、太いリード線を確実に接続するために、第1領域400a内に形成されている端子401に大きな(直径の長い)半田ボール300aが搭載され、端子401同士の短絡を防止するために、第2領域400b内に形成されている端子401に小さな(直径の短い)半田ボール300bが搭載される。なお、半田ボール300a,300bは、図22に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400の端子401に搭載された後に加熱溶融(リフロー処理)されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で基板400(端子401)に固着されて基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図23に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0027】
搭載機構2は、基板400の端子401に半田ボール300a,300bを搭載する搭載処理(後述する第1搭載処理および第2搭載処理)を実行可能に構成されている。具体的には、搭載機構2は、図1,2に示すように、保持ヘッド11a,11b(以下、区別しないときには「保持ヘッド11」ともいう)、供給部12a,12b(以下、区別しないときには「供給部12」ともいう)、整列用プレート13a,13b(以下、区別しないときには「整列用プレート13」ともいう)および移動機構14a,14b(以下、区別しないときには「移動機構14」ともいう)を備えて構成されている。この場合、供給部12a,12b、整列用プレート13a,13bおよび移動機構14a,14bによって搭載部が構成される。
【0028】
保持ヘッド11a,11bは、保持処理を実行して複数の半田ボール300を吸着して保持する。具体的には、保持ヘッド11a,11bは、図5,7にそれぞれ示すように、一例として、内部に空隙81が形成された箱状に構成されている。また、図6,8にそれぞれ示すように、保持ヘッド11a,11bにおける底壁82には、底壁82の外面(保持面として機能する面であって、以下「吸着面83」ともいう)に開口すると共に空隙81と連通する吸気孔84が、底壁82の厚み方向に沿って複数(両図では、そのうちの1個のみを図示している)形成されている。なお、吸着面83における吸気孔84の開口部を、以下「吸気口85」ともいう。また、図7に示すように、保持ヘッド11bには、第2搭載処理の実行時において基板400に既に搭載されている半田ボール300aとの接触を回避するための凹部87が形成されている。
【0029】
この場合、図6に示すように、保持ヘッド11aにおける吸気孔84の直径(つまり、吸気口85の口径)L2aは、半田ボール300aの直径L1aに対応させて規定されている。具体的には、直径L2aは、直径L1a(この例では、70μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図8に示すように、保持ヘッド11bにおける吸気孔84の直径L2bは、半田ボール300bの直径L1bに対応させて規定されている。具体的には、直径L2bは、直径L1b(この例では、50μm)よりも短い30μm程度に規定されている。また、図5,7にそれぞれ示すように、保持ヘッド11a,11bには、空隙81内の空気を排気するための排気孔86が形成されている。この保持ヘッド11a,11bでは、空隙81内の空気の排気によって空隙81内が負圧状態となり、それに伴って吸気口85からの吸気が行われることにより、吸着面83における吸気口85の縁部に半田ボール300を吸着して保持することが可能となっている(図5参照)。
【0030】
供給部12a,12bは、制御部6の制御に従い、保持ヘッド11a,11bに対して半田ボール300a,300bをそれぞれ供給する供給処理を実行すると共に、余剰な半田ボール300a,300bを吸引して除去する除去処理を実行する。具体的には、供給部12a,12bは、図4に示すように、収容容器21、吸着保持部22、吸引部23、および図外の駆動機構を備えて構成されている。収容容器21は、同図に示すように、その内面が断面半円状に湾曲した容器本体21cと、容器本体21cの両側部に配設された2枚の側壁(図示せず)とを備えて、容器本体21cおよび側壁によって形成される収容部21a(同図参照)内に半田ボール300aを収容可能に構成されている。また、収容容器21の開口部21b(同図参照)側には、側壁に両端部が支持されたワイパー21dが配設されている。また、側壁には、吸着保持部22を回動可能に支持するためのベアリング(図示せず)が配設されている。この場合、収容容器21は、供給処理の実行時において開口部21bが保持ヘッド11の吸着面83に対向するように配置される。
【0031】
吸着保持部22は、全体として直方体状に形成されると共に、図4に示すように、基端部22b側から先端部22aに至る吸気経路22cが内部に形成されて、収容容器21の収容部21a内に収容されている半田ボール300aをその先端部22aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部22の先端部22aには、通気性シート22eが取り付けられている。また、吸着保持部22は、基端部22b側に配設された図外の軸および吸気管22dが収容容器21の側壁に配設されたベアリングによって回転可能に支持されることで、収容容器21の開口部21b側において基端部22bを中心として回動可能に配設されている。
【0032】
この場合、吸着保持部22は、図4に示すように、先端部22aが収容容器21の容器本体21cの底部側に対向しているときに、収容容器21の収容部21aに収容されている半田ボール300を先端部22aで吸着して保持する。また、吸着保持部22は、供給処理の実行時において、図13に示すように、半田ボール300を保持している先端部22aが保持ヘッド11の吸着面83に対向するように駆動機構によって回動させられる。
【0033】
吸引部23は、図4に示すように、2枚の区画壁23b,23cを備えて構成されて、収容容器21における2枚の側壁と区画壁23b,23cとによって形成される吸引経路23a(同図参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。この場合、この半田ボール搭載装置1では、収容容器21、吸着保持部22および吸引部23が上記のように構成されることで、これらが一体に構成されている(以下、一体化された収容容器21、吸着保持部22および吸引部23を全体として「本体部100」ともいう)。
【0034】
整列用プレート13a,13bは、保持ヘッド11に対して着脱可能に構成されると共に、図6,8にそれぞれ示すように、保持ヘッド11の吸着面83に上面91が接触するように装着された状態において保持ヘッド11の吸気口85に連通する挿通孔93が形成されている。この場合、図6に示すように、整列用プレート13aの厚みL3aは、吸気口85の縁部に吸着された半田ボール300aが下面92から突出しない80μm程度に規定されている。また、整列用プレート13aにおける挿通孔93の直径L4aは、半田ボール300が通過可能な90μm程度に規定されている。また、図8に示すように、整列用プレート13bの厚みL3bは、吸気口85の縁部に吸着された半田ボール300bが下面92から突出しない60μm程度に規定されている。また、整列用プレート13bにおける挿通孔93の直径L4bは、半田ボール300bが通過可能な70μm程度に規定されている。また、整列用プレート13は、本体部100の配置位置の上方の位置に配置されている。
【0035】
移動機構14a,14bは、制御部6の制御に従って保持ヘッド11a,11bを基板400に向けてそれぞれ移動させる移動処理を実行する。この場合、移動機構14aは、図2に示すように、半田ボール300aを保持する保持処理が実行される吸着位置P1a(整列用プレート13aの配置位置)と基板400に半田ボール300aを搭載する第1搭載処理が実行される第1搭載位置P2aとの間で保持ヘッド11aを移動させる。また、移動機構14bは、同図に示すように、半田ボール300bを保持する保持処理が実行される吸着位置P1b(整列用プレート13bの配置位置)と基板400に半田ボール300bを搭載する第2搭載処理が実行される第2搭載位置P2bとの間で保持ヘッド11bを移動させる。このように、この半田ボール搭載装置1では、保持ヘッド11の数と同数(この例では、2つ)の移動機構14を備えて搭載機構2が構成されており、1つの移動機構14が1つの保持ヘッド11を基板400に向けて個別に移動させる処理を移動処理として実行する(つまり、搭載機構2は、保持ヘッド11毎に移動処理を実行する)。
【0036】
塗布部3は、図2に示すように、基板400が供給される供給位置P3と第2搭載位置P2bとの間に配設されて基板400の表面にフラックスを塗布する塗布処理を実行する。この場合、塗布部3は、図9に示すように、マスク31、供給機構32およびスキージ33を備えて構成されている。マスク31は、塗布処理が実行される塗布位置P4に基板400が搬送されたときに、図外の駆動機構によって基板400の表面側に移動させられて、基板400におけるフラックスの塗布対象部分(具体的には、図外の端子が形成されている部分)を除く部分を覆う。供給機構32は、塗布位置P4に基板400が搬送されたときに、基板400の表面におけるマスク31によって覆われていない部分(露出部分)にフラックスを供給する。スキージ33は、駆動機構によってマスク31の表面に沿って移動させられることにより、基板400の表面に供給されたフラックスを引き伸ばす。
【0037】
搬送部4は、図2に示すように、供給位置P3と第2搭載位置P2bとを結ぶ搬送経路Rに沿って基板400を搬送する。この場合、搬送部4は、図1,2に示すように、第1搬送機構41、第2搬送機構42および第3搬送機構43を備えて構成され、搬送経路Rを複数(例えば、3つ)に分割した各分割経路(例えば、後述する第1経路R1、第2経路R2および第3経路R3)に沿って、各搬送機構41〜43が基板400をそれぞれ搬送する。
【0038】
第1搬送機構41は、図2に示すように、供給位置P3と引き渡し位置P5とを結ぶ第1経路R1(搬送経路Rの一部)に沿って基板400を搬送する第1搬送処理を実行する。具体的には、第1搬送機構41は、ステージ51、レール52、吸着台53および移動機構54を備えて構成されている。ステージ51は、第1経路R1に沿って配設されたレール52上を移動機構54によって移動させられる。 吸着台53は、ステージ51の上に固定されて、載置(供給)された吸着対象体としての基板400を吸着して保持する。
【0039】
第2搬送機構42は、図2に示すように、引き渡し位置P5と受け渡し位置P6とを結ぶ第2経路R2(搬送経路Rの一部)に沿って基板400を搬送する第2搬送処理を実行する。具体的には、第2搬送機構42は、同図に示すように、吸着部61および移動機構62を備えて構成されている。吸着部61は、基板400を保持する。移動機構62は、吸着部61を上下動させると共に、第2経路R2に沿って吸着部61を移動させる。
【0040】
第3搬送機構43は、図2に示すように、受け渡し位置P6と第2搭載位置P2bとを結ぶ第3経路R3(搬送経路Rの一部)に沿って基板400を搬送する第2搬送処理を実行する。具体的には、第3搬送機構43は、ステージ71、レール72、吸着台73、移動機構74および補正機構75を備えて構成されている。ステージ71は、第3経路R3に沿って配設されたレール72上を移動機構74によって移動させられる。吸着台73は、上記した第1搬送機構41の吸着台53と同様に構成されて、上面に載置された基板400を吸着して保持する。補正機構75は、吸着台73の下部に配設されて、吸着台73を上下方向に貫通する中心軸を中心として吸着台73を回動させることにより、検出部5による後述する検出処理の結果に基づいて、吸着台73によって保持されている基板400の位置ずれを補正する補正処理を実行する。
【0041】
検出部5は、第3搬送機構43の吸着台73に保持されている基板400の表面を撮像する図外のカメラを備えて構成されて、図2に示すように、受け渡し位置P6と第1搭載位置P2aとの間の所定位置(同図に示す検出位置P7)に配設されている。この場合、検出部5は、基板400の撮像画像を画像解析することにより、基板400を上下方向に貫通する中心軸を中心とする基板400の回転方向の位置ずれを検出する検出処理を実行する。
【0042】
制御部6は、搭載機構2、塗布部3、搬送部4および検出部5を制御して、基板400の端子401に半田ボール300を搭載させる。
【0043】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて、半田ボール300a,300bを基板400に搭載する方法(球状体搭載方法)、およびその際の半田ボール搭載装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、初期状態では、図2に示すように、搬送部4における第1搬送機構41のステージ51が供給位置P3に位置し、搬送部4における第3搬送機構43のステージ71が受け渡し位置P6に位置しているものとする。また、供給位置P3に位置している第1搬送機構41の吸着台53に図外の基板供給装置によって基板400が供給(載置)されるものとする。
【0044】
この半田ボール搭載装置1では、開始操作がされたときに、制御部6が搬送部4の第1搬送機構41に対して第1搬送処理を実行させる。この第1搬送処理では、第1搬送機構41の吸着台53が、供給(載置)された基板400を保持する。続いて、移動機構54が、図10に示すように、ステージ51を第1経路R1に沿って配設されたレール52上を移動させる。次いで、移動機構54は、ステージ51が塗布位置P4に位置した時点でその移動を停止させる。
【0045】
続いて、制御部6は、塗布部3に対して塗布処理を実行させる。この塗布処理では、塗布部3のマスク31が図外の駆動機構によって基板400の表面側に移動させられる(図9参照)。この際に、基板400における端子401の形成部分を除く部分が覆われる。次いで、塗布部3の供給機構32が基板400における端子401の形成部分(露出部分)にフラックスを供給する。続いて、スキージ33が図外の駆動機構によってマスク31(基板400の表面)に沿って移動させられる。これにより、基板400の表面における端子401の形成部分にフラックスが引き伸ばされて塗布される。
【0046】
次いで、第1搬送機構41の移動機構54が、ステージ51を引き渡し位置P5に向けて移動させ、ステージ51が引き渡し位置P5に位置した時点でその移動を停止させる。これにより、供給位置P3と引き渡し位置P5とを結ぶ第1経路R1に沿って基板400が第1搬送機構41によって搬送される。
【0047】
続いて、制御部6は、搬送部4の第2搬送機構42に対して第2搬送処理を実行させる。この第2搬送処理では、第2搬送機構42の移動機構62が、図11に示すように、引き渡し位置P5の上方に吸着部61を移動させる。次いで、移動機構62は、吸着部61を下降させることにより、第1搬送機構41の吸着台53によって保持されている基板400に対して吸着部61を近接させる。続いて、制御部6が、吸着台53による基板400の吸着を解除させる。これにより、吸着部61によって基板400が吸着されて、基板400が第1搬送機構41から第2搬送機構42に引き渡される。次いで、移動機構62は、吸着部61を上昇させた後に、第2経路R2に沿って吸着部61を移動させて受け渡し位置P6の上方に位置させる。続いて、移動機構62は、吸着部61を下降させることにより、搬送部4における第3搬送機構43の吸着台73の上面に基板400を載置する。これにより、引き渡し位置P5と受け渡し位置P6とを結ぶ第2経路R2に沿って基板400が第2搬送機構42によって搬送される。
【0048】
また、第1搬送機構41の移動機構54は、基板400が第1搬送機構41から第2搬送機構42に引き渡された時点で、図12に示すように、ステージ51を引き渡し位置P5から供給位置P3に移動(初期位置に復帰)させる。
【0049】
次いで、制御部6は、搬送部4の第3搬送機構43に対して第3搬送処理を実行させる。この第3搬送処理では、第3搬送機構43の吸着台73が、第2搬送機構42によって載置された基板400を吸着して保持し、移動機構74が、図12に示すように、ステージ71を第3経路R3に沿って配設されたレール72上を移動させる。続いて、移動機構74は、同図に示すように、ステージ71が検出位置P7に位置した時点でその移動を停止させる。
【0050】
次いで、制御部6は、検出部5に対して検出処理を実行させる。この検出処理では、検出部5は、第3搬送機構43の吸着台73によって保持されている基板400を吸着台73の上方から撮像して、その撮像画像を画像解析することにより、基板400を上下方向に貫通する中心軸を中心とする回転方向の基板400の位置ずれを検出する。
【0051】
続いて、制御部6は、第3搬送機構43の補正機構75に対して補正処理を実行させる。この補正処理では、補正機構75は、検出部5による検出処理の結果に基づき、吸着台73を上下方向に貫通する中心軸を中心として吸着台73を回動させることにより、吸着台73によって保持されている基板400の位置ずれを補正する。
【0052】
次いで、第3搬送機構43の移動機構74が、図13に示すように、ステージ71を第1搭載位置P2aに向けて移動させ、ステージ71が第1搭載位置P2aに位置した時点でその移動を停止させる。これにより、受け渡し位置P6と第1搭載位置P2aとを結ぶ第3経路R3に沿って基板400が第3搬送機構43によって搬送される。また、制御部6は、第3搬送処理の開始から所定時間が経過した時点で、同図に示すように、第2搬送機構42に対して吸着部61を引き渡し位置P5近傍の位置に移動(初期位置に復帰)させる。
【0053】
一方、制御部6は、例えば、上記の第1搬送処理の開始から所定時間が経過した時点で、搭載機構2に対して第1搭載処理を開始させる。この第1搭載処理では、移動機構14aが、図4に示すように、整列用プレート13aの配置位置に保持ヘッド11aを搬送させる。この際に、図6に示すように、保持ヘッド11aにおける底壁82の吸着面83と整列用プレート13aの上面91とが接触する。続いて、制御部6は、保持ヘッド11aに対して保持処理を実行させると共に、供給部12aに対して供給処理および除去処理を実行させる。具体的には、制御部6は、図外の吸気装置を作動させる。これにより、保持ヘッド11aの空隙81内が負圧状態となって吸気口85からの吸気が開始される。また、供給部12aの吸着保持部22における吸気経路22cからの吸気、および供給部12aの吸引部23における吸引経路23aからの吸気が開始される。
【0054】
次いで、吸着保持部22における吸気経路22cからの吸気に伴い、供給部12aの収容容器21に収容されている半田ボール300aが吸着保持部22の先端部22aに吸着されて保持される。続いて、制御部6は、図外の駆動機構を制御して、吸着保持部22の基端部22bに取り付けられている吸気管22dを回転させることにより、図14に示すように、基端部22bを中心として吸着保持部22を回動させる。この際に、先端部22aに保持されている半田ボール300aが吸着保持部22の回動に伴い、収容容器21の開口部21b側に移動させられる。また、開口部21b側に移動させられた半田ボール300aの一部が、開口部21b側に配設されているワイパー21dによって払い落とされる。このため、保持ヘッド11aに供給される半田ボール300aの量(数)が適正な量に制限される。
【0055】
次いで、制御部6は、吸着保持部22の先端部22aが保持ヘッド11aの吸着面83に対向した時点(吸着保持部22が180°回動した時点)で、駆動機構を制御して、吸気管22dの回転を停止させる。続いて、制御部6は、駆動機構を制御して、保持ヘッド11aの吸着面83(整列用プレート13a)に向けて本体部100を移動させて、先端部22aを整列用プレート13a(吸着面83)の一端側に近接させる。この際に、整列用プレート13aに近接させられた先端部22aに保持されている半田ボール300aのうちの整列用プレート13a側(上部)に位置している半田ボール300aが、保持ヘッド11aの吸気口85からの吸気に伴う吸引力によって吸着保持部22の吸引力に抗して保持ヘッド11aに引き寄せられて、保持ヘッド11aに供給される。また、供給された半田ボール300aの一部が、吸気口85に引き寄せられて、整列用プレート13aの各挿通孔93を通って保持ヘッド11aの吸着面83における吸気口85の縁部に吸着される。
【0056】
次いで、制御部6は、駆動機構を制御して、図14に示すように、先端部22aを整列用プレート13aに近接させた状態で、本体部100を整列用プレート13a(吸着面83)に沿って整列用プレート13aの他端側(同図における右側)に向けて(同図に矢印で示す方向に)移動させる。この際に、上記したように、先端部22aに保持されている半田ボール300aのうちの整列用プレート13a側に位置している半田ボール300aが、保持ヘッド11aの吸引力によって吸着保持部22の吸引力に抗して保持ヘッド11aに引き寄せられて、保持ヘッド11aに供給され、その一部が整列用プレート13aの各挿通孔93を通って保持ヘッド11aの吸着面83における吸気口85の縁部に吸着される。このようにして、吸着保持部22の先端部22aに保持されている半田ボール300aが、吸着保持部22の移動に伴って徐々に(分散されつつ)保持ヘッド11aに供給されると共に、供給された半田ボール300aの一部が保持ヘッド11aの吸着面83における各吸気口85の縁部に1つずつ吸着される。
【0057】
ここで、半田ボール300aは、上記したように微小なため、静電気や分子間力による半田ボール300a同士が互いに引き合う力が半田ボールの重量に対して相対的に大きくなっている。このため、吸気口85の縁部に吸着された搭載対象の半田ボール300aに、他の余剰な半田ボール300aが付着する。この場合、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、整列用プレート13aの厚みL3aが半田ボール300aの直径L1aよりもやや厚い80μm程度に規定され、挿通孔93の直径L4aが、半田ボール300aの直径L1aよりもやや大きい90μm程度に規定されている。このため、搭載対象の半田ボール300aだけが挿通孔93内に収容され、余剰な半田ボール300aは、その一部分(体積的な一部分)またはその全体が挿通孔93の下面92よりも外側(下側)に突出した状態で付着している。また、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、先端部22aに保持されている半田ボール300aが分散されつつ供給されるため、半田ボール300aの過剰な供給が防止されて、余剰な半田ボール300aの付着が少なく抑えられている。
【0058】
続いて、制御部6は、駆動機構を制御して、図15に示すように、本体部100を整列用プレート13aに沿って(同図に矢印で示す方向に)さらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部22に続いて吸引部23が移動させられて、吸引部23における吸引経路23aからの吸気によって余剰な半田ボール300aが吸引される。このため、搭載対象の半田ボール300aと余剰な半田ボール300aとが互いに強く引き合っていたとしても、余剰な半田ボール300aの全てが搭載対象の半田ボール300aから強制的に引き離されて保持ヘッド11aまたは整列用プレート13aから確実に除去される。
【0059】
続いて、制御部6は、移動機構14を制御して、保持ヘッド11aが整列用プレート13aから離反するように、保持ヘッド11aを移動させる。次いで、制御部6は、移動機構14を制御して、半田ボール300aを保持している保持ヘッド11aを第1搭載位置P2aに搬送させ、続いて、図16に示すように、保持ヘッド11aによって吸着されている半田ボール300aが基板400の端子401に塗布されているフラックスに接触するように保持ヘッド11aを基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。
【0060】
次いで、制御部6は、吸気装置を制御して、保持ヘッド11aにおける吸気口85からの吸気を停止させる。この際に、図17に示すように、保持ヘッド11aによる吸着が解除されて、半田ボール300aが基板400の端子401に塗布されたフラックスの上に載置される。続いて、制御部6は、移動機構14を制御して、同図に示すように、保持ヘッド11aを上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400の第1領域400aに形成されている端子401への半田ボール300aの搭載が終了する。
【0061】
次いで、搬送部4における第3搬送機構43の移動機構74が、図18に示すように、ステージ71を第2搭載位置P2bに向けて移動させ、ステージ71が第2搭載位置P2bに位置した時点でその移動を停止させる。
【0062】
一方、制御部6は、搭載機構2に対する第1搭載処理の開始時点または第1搭載処理の開始から所定時間が経過した時点で、搭載機構2に対して第2搭載処理を開始させる。この第2搭載処理では、制御部6は、上記した第1搭載処理と同様にして供給部12bおよび移動機構14bを制御して、保持ヘッド11bに半田ボール300bを保持させる。続いて、制御部6は、移動機構14bを制御して、半田ボール300bを保持している保持ヘッド11bを第2搭載位置P2bに搬送させ、続いて、図19に示すように、保持ヘッド11bによって吸着されている半田ボール300bが基板400の端子401に塗布されているフラックスに接触するように保持ヘッド11bを基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。ここで、この半田ボール搭載装置1では、搭載機構2が、第1搭載処理を実行した後に第2搭載処理を実行して大径の半田ボール300aを搭載した後に小径の半田ボール300bを搭載する。つまり、搭載機構2が、吸気口85の口径の大きい保持ヘッド11aに対する移動処理を吸気口85の口径の小さい保持ヘッド11bに対する移動処理に先立って行う。この場合、図19に示すように、保持ヘッド11bに凹部87が形成されているため、搭載機構2が上記の順番で移動処理を行う際に、搭載済みの半田ボール300a(大径の半田ボール300)と保持ヘッド11bの吸着面83とが接触する事態が確実に回避される。
【0063】
次いで、制御部6は、吸気装置を制御して、保持ヘッド11bにおける吸気口85からの吸気を停止させる。この際に、図20に示すように、保持ヘッド11bによる吸着が解除されて、半田ボール300bが基板400の端子401に塗布されたフラックスの上に載置される。続いて、制御部6は、移動機構14を制御して、同図に示すように、保持ヘッド11bを上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400の第2領域400bに形成されている端子401への半田ボール300bの搭載が終了して、全ての端子401への半田ボール300の搭載が完了する。
【0064】
次いで、半田ボール300a,300bの搭載が完了した基板400が、図外の取り出し装置によって第3搬送機構43の吸着台73からストック場所に移動される。続いて、第3搬送機構43の移動機構74が、ステージ71を第2搭載位置P2bから受け渡し位置P6に移動(初期位置に復帰)させる。
【0065】
一方、制御部6は、上記した搭載処理が実行されている間に、次の基板400に対する第1搬送処理を第1搬送機構41に開始させ、次いで、その基板400に対する塗布処理を塗布部3に実行させる。つまり、この半田ボール搭載装置1では、塗布処理を搭載処理と並行して行うことが可能となっている。このため、第3搬送機構43の吸着台73(ステージ71)が受け渡し位置P6において長時間待機させられることなく、次の基板400が吸着台73に載置される。また、制御部6は、次の基板400に対する第1搬送処理の開始から所定時間が経過した時点で、次の基板400に対する第1搭載処理および第2搭載処理(保持処理、供給処理および除去処理)を搭載機構2に開始させる。このため、この半田ボール搭載装置1では、次の基板400が第1搭載位置P2aおよび第2搭載位置P2bに搬送されるまでの間に保持処理、供給処理および除去処理を完了(またはほぼ完了)させることができるため、第3搬送機構43の吸着台73が第1搭載位置P2aや第2搭載位置P2bにおいて待機する時間を短縮することが可能となっている。したがって、この半田ボール搭載装置1では、1つの基板400当たりの処理時間を十分に短縮することができる結果、生産性を十分に向上させることが可能となっている。以下、制御部6は、搭載機構2、塗布部3、搬送部4および検出部5に対して上記の各処理を実行させることにより、基板400に対する半田ボール300a,300bの搭載を連続して行う。
【0066】
なお、半田ボール300a,300bの搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送され、そのリフロー処理装置によってリフロー処理(溶融処理)が実行されることにより、図22に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で、端子401に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。次いで、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、続いて、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。次いで、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図23に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。
【0067】
このように、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法では、半田ボール300を保持する吸気口85の口径が互いに異なるように構成された複数の保持ヘッド11毎に移動処理を実行して各保持ヘッド11における各吸気口85の口径に対応して直径L1が互いに異なる複数種類の半田ボール300を1つの基板400に対して搭載する。このため、この半田ボール搭載装置1によれば、隣接する端子401同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成の基板400に対して、直径L1(大きさ)が互いに異なる複数種類の半田ボール300を確実に搭載することができる。
【0068】
また、この半田ボール搭載装置1では、保持ヘッド11bに凹部87が形成され、搭載機構2が、吸気口85の口径の大きい保持ヘッド11aに対する移動処理を吸気口85の口径の小さい保持ヘッド11bに対する移動処理に先立って行う。このため、この半田ボール搭載装置1によれば、基板400に既に搭載されている半田ボール300aと保持ヘッド11bとの接触を確実に回避することができる結果、接触による搭載済みの半田ボール300aの脱落を確実に防止することができる。
【0069】
また、この半田ボール搭載装置1によれば、移動機構14を保持ヘッド11の数と同数備え、各移動機構14が各保持ヘッド11を個別に移動させることにより、例えば、複数の保持ヘッド11を交換して1つの移動機構14で移動させる構成と比較して、交換に要する時間分を短縮できるため、処理効率を十分に向上させることができる。
【0070】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1(球状体搭載方法)によって基板400に搭載された半田ボール300が溶融されて基板400に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、基板400が、例えば、隣接する401同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成であっても、直径が互いに異なる複数種類の半田ボール300が各領域に確実に搭載されて、溶融された半田ボール300(半田301)が各領域に設けられた端子401に確実に固着されている。したがって、この半田搭載済基板600によれば、電子部品を実装する際に、溶融された半田ボール300(半田301)を介して電子部品の端子と基板400の端子401とを確実に接続させることができる。
【0071】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600の基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して接続された電子部品701が半田搭載済基板600に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板700では、半田搭載済基板600における基板400の各領域に設けられた端子401に溶融された半田ボール300(半田301)が確実に固着されている結果、電子部品701を実装する際に、半田ボール300(半田301)を介して電子部品701の端子と基板400の端子401とが確実に接続されている。したがって、この電子部品搭載済基板700によれば、この電子部品搭載済基板700を用いた製品における不良の発生を確実に防止することができる。
【0072】
なお、第1搭載処理を実行した後に第2搭載処理を実行して大径の半田ボール300aを搭載した後に小径の半田ボール300bを搭載する構成例、つまり、吸気口85の口径が大きい保持ヘッド11aに対する移動処理を吸気口85の口径が小さい保持ヘッド11bに対する移動処理に先立って行う構成例について上記したが、第2搭載処理を実行した後に第1搭載処理を実行して小径の半田ボール300bを搭載した後に大径の半田ボール300aを搭載する構成、つまり吸気口85の口径が小さい保持ヘッド11bに対する移動処理を吸気口85の口径が大きい保持ヘッド11aに対する移動処理に先立って行う構成を採用することもできる。この構成によれば、例えば、半田ボール300aが半田ボール300bよりも十分に大きいときには、図21に示すように、保持ヘッド11aに凹部や切り欠きを設けることなく、第1搭載処理の実行時における搭載済みの半田ボール300bと保持ヘッド11aとの接触を確実に回避することができる。このため、この構成によれば、凹部や切り欠きを設けていない簡易な構成の保持ヘッド11aを用いて、保持ヘッド11aとの接触による搭載済みの半田ボール300bの脱落を確実に防止することができる。
【0073】
また、2つの移動機構14a,14bを備えて、各移動機構14a,14bが各保持ヘッド11a,11bをそれぞれ個別に移動させる構成例について上記したが、保持ヘッド11a,11bを手動または自動で交換することによって1つの移動機構14で各保持ヘッド11a,11bを移動させる構成を採用することもできる。
【0074】
また、1つの基板400に直径L1が互いに異なる2種類の半田ボール300a,300bを搭載する例について上記したが、吸気口85の口径(保持対象の半田ボール300の直径L1)が互いに異なる3つ以上の保持ヘッド11を備えて、直径L1が互いに異なる3種類以上の半田ボール300を1つの基板400に搭載する構成を採用することもできる。
【0075】
また、複数の半田ボール搭載装置を用いて直径L1が互いに異なる複数種類の半田ボール300を基板400に搭載する搭載方法(球状体搭載方法)を採用することもできる。この球状体搭載方法では、例えば、2台の半田ボール搭載装置を用いて上記した半田ボール300a,300bを1つの基板400に搭載するときには、1台の半田ボール搭載装置に対して保持ヘッド11aを用いた移動処理を実行させて半田ボール300aを基板400に搭載させ、他の1台の半田ボール搭載装置に対して保持ヘッド11bを用いた移動処理を実行させて半田ボール300bを基板400に搭載させる(つまり、2つの半田ボール搭載装置を用いて保持ヘッド11毎に移動処理を実行させる)。この球状体搭載方法においても、上記の半田ボール搭載装置1による搭載処理と同様の効果を実現することができる。
【0076】
さらに、保持ヘッド11を搭載対象体としての基板400に向けて移動させる処理を移動処理として実行する例について上記したが、半田ボール300を保持している保持ヘッド11に向けて基板400を移動させる処理を移動処理として実行する構成を採用することもできる。また、搭載済みの半田ボール300との接触を回避するための凹部87を保持ヘッド11に形成した例について上記したが、凹部87に代えて、切り欠きを保持ヘッド11に形成し、この切り欠きによって搭載済みの半田ボール300との接触を回避する構成を採用することもできる。この場合、切り欠きには、保持ヘッド11の外周部の一部を切り欠いたものや、厚み方向に貫通する孔が含まれ、基板400の端子401の形成位置等に応じて、これらを任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 半田ボール搭載装置
2 搭載機構
11a,11b 保持ヘッド
14a,14b 移動機構
87 凹部
300a,300b 半田ボール
301 半田
400 基板
401 端子
600 半田搭載済基板
700 電子部品搭載済基板
701 電子部品
L1a,L1b 直径
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状体を保持している保持ヘッドを移動させて搭載対象体に球状体を搭載する球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2003−100789号公報に開示された半田(はんだ)ボール搭載装置が知られている。この半田ボール搭載装置は、球状体としての半田ボールを吸着して保持する保持ヘッドとしての整列マスク、半田ボールを供給する半田ボール供給部、フラックスを供給するフラックス供給部、搭載対象体としての回路基板(パッケージ)を搬送する搬送部、および整列マスクを移動させる移動部等を備えて構成されている。この半田ボール搭載装置では、搬送部が、搭載位置に回路基板を搬送する。また、移動部が、半田ボール供給部の配置位置に整列マスクを移動させて、整列マスクに半田ボールを吸着させる。次いで、移動部は、フラックス供給部の配置位置にその整列マスクを移動させて、半田ボールにフラックスを付着させる。続いて、移動部は、搭載位置にその整列マスクを移動させて、搭載対象体に半田ボールを搭載させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−100789号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の半田ボール搭載装置を含む従来の球状体搭載装置には、以下の問題点がある。すなわち、従来のこの種の球状体搭載装置は、単一の整列マスクによって同じ大きさ(直径)の半田ボールを保持して搭載対象体に搭載している。つまり、従来の球状体搭載装置では、搭載可能な球状体の大きさが1種類に限られている。一方、1つの基板上において配線パターンの密度が大きく異なる領域が存在したり、太さの異なる複数種類のリード線が半田接続される回路基板では、基板上の領域に応じて大きさの異なる半田ボールを搭載する必要がある。具体的には、配線パターンの密度が大きい領域では、隣接する配線パターン同士の間隔が短く、これらの配線パターン同士の短絡を防止するために、小さな半田ボールを搭載する必要がある。また、電源回路等が構成される基板上の領域では、太いリード線を接続するのが好ましく、このような太いリード線を確実に接続するには、大きな半田ボールを搭載する必要がある。しかしながら、従来の球状体搭載装置では、上記したように搭載可能な球状体の大きさが1種類に限られているため、このような複雑な構成の回路基板に対する球状体の搭載が困難となっている。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な構成の搭載対象体に対する球状体の搭載を実現し得る球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体搭載装置は、球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドと、当該保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている前記球状体を当該搭載対象体に搭載する搭載部とを備えた球状体搭載装置であって、前記保持ヘッドを複数備え、前記各保持ヘッドは、前記開口部の口径が当該各保持ヘッド毎に互いに異なるように構成され、前記搭載部は、前記各保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各保持ヘッドにおける前記各開口部の前記口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する。
【0007】
また、請求項2記載の球状体搭載装置は、請求項1記載の球状体搭載装置において、前記保持ヘッドには、前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成されている。
【0008】
また、請求項3記載の球状体搭載装置は、請求項1または2記載の球状体搭載装置において、前記搭載部は、前記保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として実行する移動機構を当該保持ヘッドの数と同数備え、前記各移動機構は、前記各保持ヘッドを個別に移動させる。
【0009】
また、請求項4記載の球状体搭載装置は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置において、前記搭載部は、前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う。
【0010】
また、請求項5記載の球状体搭載方法は、球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている当該球状体を当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、前記開口部の口径が前記保持ヘッド毎に互いに異なるように構成された複数の当該保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各開口部の当該口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する。
【0011】
また、請求項6記載の球状体搭載方法は、請求項5記載の球状体搭載方法において、前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成された前記保持ヘッドを用いる。
【0012】
また、請求項7記載の球状体搭載方法は、請求項5または6記載の球状体搭載方法において、前記保持ヘッドの数と同数の移動機構を用いて、当該保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として当該各保持ヘッド毎に個別に実行する。
【0013】
また、請求項8記載の球状体搭載方法は、請求項5から7のいずれかに記載の球状体搭載方法において、前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う。
【0014】
また、請求項9記載の球状体搭載済基板は、請求項1から4のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該基板に固着されている。
【0015】
また、請求項10記載の球状体搭載済基板は、請求項5または8のいずれかに記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該基板に固着されている。
【0016】
また、請求項11記載の電子部品搭載済基板は、請求項9または10記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の球状体搭載装置、および請求項5記載の球状体搭載方法では、球状体を保持する開口部の口径が互いに異なるように構成された複数の保持ヘッド毎に移動処理を実行して各保持ヘッドにおける各開口部の口径に対応して直径が互いに異なる複数種類の球状体を1つの搭載対象体に対して搭載する。このため、この球状体搭載装置によれば、例えば、隣接する端子同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成の搭載対象体に対して、直径(大きさ)が互いに異なる複数種類の球状体を確実に搭載することができる。
【0018】
また、請求項2記載の球状体搭載装置、および請求項6記載の球状体搭載方法では、凹部または切り欠きが形成された保持ヘッドを用いる。このため、この球状体搭載装置によれば、例えば、搭載部が、開口部の口径の大きい保持ヘッドに対する移動処理を開口部の口径の小さい保持ヘッドに対する移動処理に先立って行う際に、搭載対象体に既に搭載されている球状体と保持ヘッドとの接触を確実に回避することができる結果、接触による搭載済みの球状体の脱落を確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項3記載の球状体搭載装置、および請求項7記載の球状体搭載方法によれば、保持ヘッドの数と同数の移動機構を用いて、保持ヘッドを搭載対象体に向けて移動させる処理を移動処理として各保持ヘッド毎に個別に実行することにより、例えば、複数の保持ヘッドを交換して1つの移動機構で移動させる構成と比較して、交換に要する時間分を短縮できるため、処理効率を十分に向上させることができる。
【0020】
また、請求項4記載の球状体搭載装置、および請求項8記載の球状体搭載方法によれば、搭載部が口径の小さい保持ヘッドに対する移動処理を口径の大きい保持ヘッドに対する移動処理に先立って行うことにより、例えば、先の移動処理によって搭載される球状体が後の移動処理によって搭載される球状体よりも十分に大きいときには、凹部や切り欠きを設けることなく、搭載済みの球状体と後の移動処理によって移動される保持ヘッドとの接触を確実に回避することができる。このため、この球状体搭載装置によれば、凹部や切り欠きを設けていない簡易な構成の保持ヘッドを用いて、保持ヘッドとの接触による搭載済みの球状体の脱落を確実に防止することができる。
【0021】
また、請求項9,10記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または球状体搭載方法によって搭載対象体としての基板に搭載された球状体が溶融されて基板に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、搭載対象体としての基板が、例えば、隣接する端子同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成であっても、直径が互いに異なる複数種類の球状体が各領域に確実に搭載されて、溶融された球状体(半田)が各領域(各領域に設けられた端子)に確実に固着されている。したがって、この球状体搭載済基板によれば、電子部品を実装する際に、溶融された球状体(半田)を介して電子部品の端子と基板の端子とを確実に接続させることができる。
【0022】
また、請求項11記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体を介して接続された電子部品が球状体搭載済基板に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板では、球状体搭載済基板における基板の各領域(各領域に設けられた端子)に溶融された球状体(半田)が確実に固着されている結果、電子部品を実装する際に、溶融された球状体(半田)を介して電子部品の端子と基板(基板に設けられた端子)とが確実に接続されている。したがって、この電子部品搭載済基板によれば、この電子部品搭載済基板を用いた製品における不良の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】半田ボール搭載装置1の平面図である。
【図3】基板400の平面図である。
【図4】搭載機構2における保持ヘッド11a,11b、供給部12a,12bおよび整列用プレート13a,13bの断面図である。
【図5】保持ヘッド11aの構成を示す断面図である。
【図6】保持ヘッド11aおよび整列用プレート13aにおける要部の構成を示す断面図である。
【図7】保持ヘッド11bの構成を示す断面図である。
【図8】保持ヘッド11bおよび整列用プレート13bにおける要部の構成を示す断面図である。
【図9】塗布部3および吸着台53の構成を示す構成図である。
【図10】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図13】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図14】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図15】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図16】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【図17】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第8の説明図である。
【図18】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第9の説明図である。
【図19】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第10の説明図である。
【図20】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第11の説明図である。
【図21】半田ボール搭載装置1の他の構成を示す構成図である。
【図22】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図23】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図および図2に示すように、搭載機構2、塗布部3、搬送部4、検出部5および制御部6(図1参照)を備えて、球状体の一例としての微小な球状粒体である2種類の半田ボール(マイクロボール)300a,300b(図6,8参照:以下、区別しないときには「半田ボール300」ともいう)を、搭載対象体としての基板400の端子401(図16参照)に搭載(載置)可能に構成されている。
【0026】
この場合、半田ボール300aは、直径L1a(図6参照)が70μm程度の球状に構成され、半田ボール300bは、直径L1b(図8参照:以下、直径L1a,L1bを区別しないときには「直径L1」ともいう)が50μm程度の球状に構成されている。また、基板400は、一例として、中央部の第1領域400a(図3参照)内において、太いリード線が接続されて直径が大きな複数の端子401が形成され、外周側の第2領域400b(同図参照)内において、第1領域400a内の端子401よりも直径が短い複数の端子401が短い間隔で形成されて構成されている。このため、この基板400では、太いリード線を確実に接続するために、第1領域400a内に形成されている端子401に大きな(直径の長い)半田ボール300aが搭載され、端子401同士の短絡を防止するために、第2領域400b内に形成されている端子401に小さな(直径の短い)半田ボール300bが搭載される。なお、半田ボール300a,300bは、図22に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400の端子401に搭載された後に加熱溶融(リフロー処理)されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で基板400(端子401)に固着されて基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図23に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0027】
搭載機構2は、基板400の端子401に半田ボール300a,300bを搭載する搭載処理(後述する第1搭載処理および第2搭載処理)を実行可能に構成されている。具体的には、搭載機構2は、図1,2に示すように、保持ヘッド11a,11b(以下、区別しないときには「保持ヘッド11」ともいう)、供給部12a,12b(以下、区別しないときには「供給部12」ともいう)、整列用プレート13a,13b(以下、区別しないときには「整列用プレート13」ともいう)および移動機構14a,14b(以下、区別しないときには「移動機構14」ともいう)を備えて構成されている。この場合、供給部12a,12b、整列用プレート13a,13bおよび移動機構14a,14bによって搭載部が構成される。
【0028】
保持ヘッド11a,11bは、保持処理を実行して複数の半田ボール300を吸着して保持する。具体的には、保持ヘッド11a,11bは、図5,7にそれぞれ示すように、一例として、内部に空隙81が形成された箱状に構成されている。また、図6,8にそれぞれ示すように、保持ヘッド11a,11bにおける底壁82には、底壁82の外面(保持面として機能する面であって、以下「吸着面83」ともいう)に開口すると共に空隙81と連通する吸気孔84が、底壁82の厚み方向に沿って複数(両図では、そのうちの1個のみを図示している)形成されている。なお、吸着面83における吸気孔84の開口部を、以下「吸気口85」ともいう。また、図7に示すように、保持ヘッド11bには、第2搭載処理の実行時において基板400に既に搭載されている半田ボール300aとの接触を回避するための凹部87が形成されている。
【0029】
この場合、図6に示すように、保持ヘッド11aにおける吸気孔84の直径(つまり、吸気口85の口径)L2aは、半田ボール300aの直径L1aに対応させて規定されている。具体的には、直径L2aは、直径L1a(この例では、70μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図8に示すように、保持ヘッド11bにおける吸気孔84の直径L2bは、半田ボール300bの直径L1bに対応させて規定されている。具体的には、直径L2bは、直径L1b(この例では、50μm)よりも短い30μm程度に規定されている。また、図5,7にそれぞれ示すように、保持ヘッド11a,11bには、空隙81内の空気を排気するための排気孔86が形成されている。この保持ヘッド11a,11bでは、空隙81内の空気の排気によって空隙81内が負圧状態となり、それに伴って吸気口85からの吸気が行われることにより、吸着面83における吸気口85の縁部に半田ボール300を吸着して保持することが可能となっている(図5参照)。
【0030】
供給部12a,12bは、制御部6の制御に従い、保持ヘッド11a,11bに対して半田ボール300a,300bをそれぞれ供給する供給処理を実行すると共に、余剰な半田ボール300a,300bを吸引して除去する除去処理を実行する。具体的には、供給部12a,12bは、図4に示すように、収容容器21、吸着保持部22、吸引部23、および図外の駆動機構を備えて構成されている。収容容器21は、同図に示すように、その内面が断面半円状に湾曲した容器本体21cと、容器本体21cの両側部に配設された2枚の側壁(図示せず)とを備えて、容器本体21cおよび側壁によって形成される収容部21a(同図参照)内に半田ボール300aを収容可能に構成されている。また、収容容器21の開口部21b(同図参照)側には、側壁に両端部が支持されたワイパー21dが配設されている。また、側壁には、吸着保持部22を回動可能に支持するためのベアリング(図示せず)が配設されている。この場合、収容容器21は、供給処理の実行時において開口部21bが保持ヘッド11の吸着面83に対向するように配置される。
【0031】
吸着保持部22は、全体として直方体状に形成されると共に、図4に示すように、基端部22b側から先端部22aに至る吸気経路22cが内部に形成されて、収容容器21の収容部21a内に収容されている半田ボール300aをその先端部22aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部22の先端部22aには、通気性シート22eが取り付けられている。また、吸着保持部22は、基端部22b側に配設された図外の軸および吸気管22dが収容容器21の側壁に配設されたベアリングによって回転可能に支持されることで、収容容器21の開口部21b側において基端部22bを中心として回動可能に配設されている。
【0032】
この場合、吸着保持部22は、図4に示すように、先端部22aが収容容器21の容器本体21cの底部側に対向しているときに、収容容器21の収容部21aに収容されている半田ボール300を先端部22aで吸着して保持する。また、吸着保持部22は、供給処理の実行時において、図13に示すように、半田ボール300を保持している先端部22aが保持ヘッド11の吸着面83に対向するように駆動機構によって回動させられる。
【0033】
吸引部23は、図4に示すように、2枚の区画壁23b,23cを備えて構成されて、収容容器21における2枚の側壁と区画壁23b,23cとによって形成される吸引経路23a(同図参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。この場合、この半田ボール搭載装置1では、収容容器21、吸着保持部22および吸引部23が上記のように構成されることで、これらが一体に構成されている(以下、一体化された収容容器21、吸着保持部22および吸引部23を全体として「本体部100」ともいう)。
【0034】
整列用プレート13a,13bは、保持ヘッド11に対して着脱可能に構成されると共に、図6,8にそれぞれ示すように、保持ヘッド11の吸着面83に上面91が接触するように装着された状態において保持ヘッド11の吸気口85に連通する挿通孔93が形成されている。この場合、図6に示すように、整列用プレート13aの厚みL3aは、吸気口85の縁部に吸着された半田ボール300aが下面92から突出しない80μm程度に規定されている。また、整列用プレート13aにおける挿通孔93の直径L4aは、半田ボール300が通過可能な90μm程度に規定されている。また、図8に示すように、整列用プレート13bの厚みL3bは、吸気口85の縁部に吸着された半田ボール300bが下面92から突出しない60μm程度に規定されている。また、整列用プレート13bにおける挿通孔93の直径L4bは、半田ボール300bが通過可能な70μm程度に規定されている。また、整列用プレート13は、本体部100の配置位置の上方の位置に配置されている。
【0035】
移動機構14a,14bは、制御部6の制御に従って保持ヘッド11a,11bを基板400に向けてそれぞれ移動させる移動処理を実行する。この場合、移動機構14aは、図2に示すように、半田ボール300aを保持する保持処理が実行される吸着位置P1a(整列用プレート13aの配置位置)と基板400に半田ボール300aを搭載する第1搭載処理が実行される第1搭載位置P2aとの間で保持ヘッド11aを移動させる。また、移動機構14bは、同図に示すように、半田ボール300bを保持する保持処理が実行される吸着位置P1b(整列用プレート13bの配置位置)と基板400に半田ボール300bを搭載する第2搭載処理が実行される第2搭載位置P2bとの間で保持ヘッド11bを移動させる。このように、この半田ボール搭載装置1では、保持ヘッド11の数と同数(この例では、2つ)の移動機構14を備えて搭載機構2が構成されており、1つの移動機構14が1つの保持ヘッド11を基板400に向けて個別に移動させる処理を移動処理として実行する(つまり、搭載機構2は、保持ヘッド11毎に移動処理を実行する)。
【0036】
塗布部3は、図2に示すように、基板400が供給される供給位置P3と第2搭載位置P2bとの間に配設されて基板400の表面にフラックスを塗布する塗布処理を実行する。この場合、塗布部3は、図9に示すように、マスク31、供給機構32およびスキージ33を備えて構成されている。マスク31は、塗布処理が実行される塗布位置P4に基板400が搬送されたときに、図外の駆動機構によって基板400の表面側に移動させられて、基板400におけるフラックスの塗布対象部分(具体的には、図外の端子が形成されている部分)を除く部分を覆う。供給機構32は、塗布位置P4に基板400が搬送されたときに、基板400の表面におけるマスク31によって覆われていない部分(露出部分)にフラックスを供給する。スキージ33は、駆動機構によってマスク31の表面に沿って移動させられることにより、基板400の表面に供給されたフラックスを引き伸ばす。
【0037】
搬送部4は、図2に示すように、供給位置P3と第2搭載位置P2bとを結ぶ搬送経路Rに沿って基板400を搬送する。この場合、搬送部4は、図1,2に示すように、第1搬送機構41、第2搬送機構42および第3搬送機構43を備えて構成され、搬送経路Rを複数(例えば、3つ)に分割した各分割経路(例えば、後述する第1経路R1、第2経路R2および第3経路R3)に沿って、各搬送機構41〜43が基板400をそれぞれ搬送する。
【0038】
第1搬送機構41は、図2に示すように、供給位置P3と引き渡し位置P5とを結ぶ第1経路R1(搬送経路Rの一部)に沿って基板400を搬送する第1搬送処理を実行する。具体的には、第1搬送機構41は、ステージ51、レール52、吸着台53および移動機構54を備えて構成されている。ステージ51は、第1経路R1に沿って配設されたレール52上を移動機構54によって移動させられる。 吸着台53は、ステージ51の上に固定されて、載置(供給)された吸着対象体としての基板400を吸着して保持する。
【0039】
第2搬送機構42は、図2に示すように、引き渡し位置P5と受け渡し位置P6とを結ぶ第2経路R2(搬送経路Rの一部)に沿って基板400を搬送する第2搬送処理を実行する。具体的には、第2搬送機構42は、同図に示すように、吸着部61および移動機構62を備えて構成されている。吸着部61は、基板400を保持する。移動機構62は、吸着部61を上下動させると共に、第2経路R2に沿って吸着部61を移動させる。
【0040】
第3搬送機構43は、図2に示すように、受け渡し位置P6と第2搭載位置P2bとを結ぶ第3経路R3(搬送経路Rの一部)に沿って基板400を搬送する第2搬送処理を実行する。具体的には、第3搬送機構43は、ステージ71、レール72、吸着台73、移動機構74および補正機構75を備えて構成されている。ステージ71は、第3経路R3に沿って配設されたレール72上を移動機構74によって移動させられる。吸着台73は、上記した第1搬送機構41の吸着台53と同様に構成されて、上面に載置された基板400を吸着して保持する。補正機構75は、吸着台73の下部に配設されて、吸着台73を上下方向に貫通する中心軸を中心として吸着台73を回動させることにより、検出部5による後述する検出処理の結果に基づいて、吸着台73によって保持されている基板400の位置ずれを補正する補正処理を実行する。
【0041】
検出部5は、第3搬送機構43の吸着台73に保持されている基板400の表面を撮像する図外のカメラを備えて構成されて、図2に示すように、受け渡し位置P6と第1搭載位置P2aとの間の所定位置(同図に示す検出位置P7)に配設されている。この場合、検出部5は、基板400の撮像画像を画像解析することにより、基板400を上下方向に貫通する中心軸を中心とする基板400の回転方向の位置ずれを検出する検出処理を実行する。
【0042】
制御部6は、搭載機構2、塗布部3、搬送部4および検出部5を制御して、基板400の端子401に半田ボール300を搭載させる。
【0043】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて、半田ボール300a,300bを基板400に搭載する方法(球状体搭載方法)、およびその際の半田ボール搭載装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、初期状態では、図2に示すように、搬送部4における第1搬送機構41のステージ51が供給位置P3に位置し、搬送部4における第3搬送機構43のステージ71が受け渡し位置P6に位置しているものとする。また、供給位置P3に位置している第1搬送機構41の吸着台53に図外の基板供給装置によって基板400が供給(載置)されるものとする。
【0044】
この半田ボール搭載装置1では、開始操作がされたときに、制御部6が搬送部4の第1搬送機構41に対して第1搬送処理を実行させる。この第1搬送処理では、第1搬送機構41の吸着台53が、供給(載置)された基板400を保持する。続いて、移動機構54が、図10に示すように、ステージ51を第1経路R1に沿って配設されたレール52上を移動させる。次いで、移動機構54は、ステージ51が塗布位置P4に位置した時点でその移動を停止させる。
【0045】
続いて、制御部6は、塗布部3に対して塗布処理を実行させる。この塗布処理では、塗布部3のマスク31が図外の駆動機構によって基板400の表面側に移動させられる(図9参照)。この際に、基板400における端子401の形成部分を除く部分が覆われる。次いで、塗布部3の供給機構32が基板400における端子401の形成部分(露出部分)にフラックスを供給する。続いて、スキージ33が図外の駆動機構によってマスク31(基板400の表面)に沿って移動させられる。これにより、基板400の表面における端子401の形成部分にフラックスが引き伸ばされて塗布される。
【0046】
次いで、第1搬送機構41の移動機構54が、ステージ51を引き渡し位置P5に向けて移動させ、ステージ51が引き渡し位置P5に位置した時点でその移動を停止させる。これにより、供給位置P3と引き渡し位置P5とを結ぶ第1経路R1に沿って基板400が第1搬送機構41によって搬送される。
【0047】
続いて、制御部6は、搬送部4の第2搬送機構42に対して第2搬送処理を実行させる。この第2搬送処理では、第2搬送機構42の移動機構62が、図11に示すように、引き渡し位置P5の上方に吸着部61を移動させる。次いで、移動機構62は、吸着部61を下降させることにより、第1搬送機構41の吸着台53によって保持されている基板400に対して吸着部61を近接させる。続いて、制御部6が、吸着台53による基板400の吸着を解除させる。これにより、吸着部61によって基板400が吸着されて、基板400が第1搬送機構41から第2搬送機構42に引き渡される。次いで、移動機構62は、吸着部61を上昇させた後に、第2経路R2に沿って吸着部61を移動させて受け渡し位置P6の上方に位置させる。続いて、移動機構62は、吸着部61を下降させることにより、搬送部4における第3搬送機構43の吸着台73の上面に基板400を載置する。これにより、引き渡し位置P5と受け渡し位置P6とを結ぶ第2経路R2に沿って基板400が第2搬送機構42によって搬送される。
【0048】
また、第1搬送機構41の移動機構54は、基板400が第1搬送機構41から第2搬送機構42に引き渡された時点で、図12に示すように、ステージ51を引き渡し位置P5から供給位置P3に移動(初期位置に復帰)させる。
【0049】
次いで、制御部6は、搬送部4の第3搬送機構43に対して第3搬送処理を実行させる。この第3搬送処理では、第3搬送機構43の吸着台73が、第2搬送機構42によって載置された基板400を吸着して保持し、移動機構74が、図12に示すように、ステージ71を第3経路R3に沿って配設されたレール72上を移動させる。続いて、移動機構74は、同図に示すように、ステージ71が検出位置P7に位置した時点でその移動を停止させる。
【0050】
次いで、制御部6は、検出部5に対して検出処理を実行させる。この検出処理では、検出部5は、第3搬送機構43の吸着台73によって保持されている基板400を吸着台73の上方から撮像して、その撮像画像を画像解析することにより、基板400を上下方向に貫通する中心軸を中心とする回転方向の基板400の位置ずれを検出する。
【0051】
続いて、制御部6は、第3搬送機構43の補正機構75に対して補正処理を実行させる。この補正処理では、補正機構75は、検出部5による検出処理の結果に基づき、吸着台73を上下方向に貫通する中心軸を中心として吸着台73を回動させることにより、吸着台73によって保持されている基板400の位置ずれを補正する。
【0052】
次いで、第3搬送機構43の移動機構74が、図13に示すように、ステージ71を第1搭載位置P2aに向けて移動させ、ステージ71が第1搭載位置P2aに位置した時点でその移動を停止させる。これにより、受け渡し位置P6と第1搭載位置P2aとを結ぶ第3経路R3に沿って基板400が第3搬送機構43によって搬送される。また、制御部6は、第3搬送処理の開始から所定時間が経過した時点で、同図に示すように、第2搬送機構42に対して吸着部61を引き渡し位置P5近傍の位置に移動(初期位置に復帰)させる。
【0053】
一方、制御部6は、例えば、上記の第1搬送処理の開始から所定時間が経過した時点で、搭載機構2に対して第1搭載処理を開始させる。この第1搭載処理では、移動機構14aが、図4に示すように、整列用プレート13aの配置位置に保持ヘッド11aを搬送させる。この際に、図6に示すように、保持ヘッド11aにおける底壁82の吸着面83と整列用プレート13aの上面91とが接触する。続いて、制御部6は、保持ヘッド11aに対して保持処理を実行させると共に、供給部12aに対して供給処理および除去処理を実行させる。具体的には、制御部6は、図外の吸気装置を作動させる。これにより、保持ヘッド11aの空隙81内が負圧状態となって吸気口85からの吸気が開始される。また、供給部12aの吸着保持部22における吸気経路22cからの吸気、および供給部12aの吸引部23における吸引経路23aからの吸気が開始される。
【0054】
次いで、吸着保持部22における吸気経路22cからの吸気に伴い、供給部12aの収容容器21に収容されている半田ボール300aが吸着保持部22の先端部22aに吸着されて保持される。続いて、制御部6は、図外の駆動機構を制御して、吸着保持部22の基端部22bに取り付けられている吸気管22dを回転させることにより、図14に示すように、基端部22bを中心として吸着保持部22を回動させる。この際に、先端部22aに保持されている半田ボール300aが吸着保持部22の回動に伴い、収容容器21の開口部21b側に移動させられる。また、開口部21b側に移動させられた半田ボール300aの一部が、開口部21b側に配設されているワイパー21dによって払い落とされる。このため、保持ヘッド11aに供給される半田ボール300aの量(数)が適正な量に制限される。
【0055】
次いで、制御部6は、吸着保持部22の先端部22aが保持ヘッド11aの吸着面83に対向した時点(吸着保持部22が180°回動した時点)で、駆動機構を制御して、吸気管22dの回転を停止させる。続いて、制御部6は、駆動機構を制御して、保持ヘッド11aの吸着面83(整列用プレート13a)に向けて本体部100を移動させて、先端部22aを整列用プレート13a(吸着面83)の一端側に近接させる。この際に、整列用プレート13aに近接させられた先端部22aに保持されている半田ボール300aのうちの整列用プレート13a側(上部)に位置している半田ボール300aが、保持ヘッド11aの吸気口85からの吸気に伴う吸引力によって吸着保持部22の吸引力に抗して保持ヘッド11aに引き寄せられて、保持ヘッド11aに供給される。また、供給された半田ボール300aの一部が、吸気口85に引き寄せられて、整列用プレート13aの各挿通孔93を通って保持ヘッド11aの吸着面83における吸気口85の縁部に吸着される。
【0056】
次いで、制御部6は、駆動機構を制御して、図14に示すように、先端部22aを整列用プレート13aに近接させた状態で、本体部100を整列用プレート13a(吸着面83)に沿って整列用プレート13aの他端側(同図における右側)に向けて(同図に矢印で示す方向に)移動させる。この際に、上記したように、先端部22aに保持されている半田ボール300aのうちの整列用プレート13a側に位置している半田ボール300aが、保持ヘッド11aの吸引力によって吸着保持部22の吸引力に抗して保持ヘッド11aに引き寄せられて、保持ヘッド11aに供給され、その一部が整列用プレート13aの各挿通孔93を通って保持ヘッド11aの吸着面83における吸気口85の縁部に吸着される。このようにして、吸着保持部22の先端部22aに保持されている半田ボール300aが、吸着保持部22の移動に伴って徐々に(分散されつつ)保持ヘッド11aに供給されると共に、供給された半田ボール300aの一部が保持ヘッド11aの吸着面83における各吸気口85の縁部に1つずつ吸着される。
【0057】
ここで、半田ボール300aは、上記したように微小なため、静電気や分子間力による半田ボール300a同士が互いに引き合う力が半田ボールの重量に対して相対的に大きくなっている。このため、吸気口85の縁部に吸着された搭載対象の半田ボール300aに、他の余剰な半田ボール300aが付着する。この場合、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、整列用プレート13aの厚みL3aが半田ボール300aの直径L1aよりもやや厚い80μm程度に規定され、挿通孔93の直径L4aが、半田ボール300aの直径L1aよりもやや大きい90μm程度に規定されている。このため、搭載対象の半田ボール300aだけが挿通孔93内に収容され、余剰な半田ボール300aは、その一部分(体積的な一部分)またはその全体が挿通孔93の下面92よりも外側(下側)に突出した状態で付着している。また、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、先端部22aに保持されている半田ボール300aが分散されつつ供給されるため、半田ボール300aの過剰な供給が防止されて、余剰な半田ボール300aの付着が少なく抑えられている。
【0058】
続いて、制御部6は、駆動機構を制御して、図15に示すように、本体部100を整列用プレート13aに沿って(同図に矢印で示す方向に)さらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部22に続いて吸引部23が移動させられて、吸引部23における吸引経路23aからの吸気によって余剰な半田ボール300aが吸引される。このため、搭載対象の半田ボール300aと余剰な半田ボール300aとが互いに強く引き合っていたとしても、余剰な半田ボール300aの全てが搭載対象の半田ボール300aから強制的に引き離されて保持ヘッド11aまたは整列用プレート13aから確実に除去される。
【0059】
続いて、制御部6は、移動機構14を制御して、保持ヘッド11aが整列用プレート13aから離反するように、保持ヘッド11aを移動させる。次いで、制御部6は、移動機構14を制御して、半田ボール300aを保持している保持ヘッド11aを第1搭載位置P2aに搬送させ、続いて、図16に示すように、保持ヘッド11aによって吸着されている半田ボール300aが基板400の端子401に塗布されているフラックスに接触するように保持ヘッド11aを基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。
【0060】
次いで、制御部6は、吸気装置を制御して、保持ヘッド11aにおける吸気口85からの吸気を停止させる。この際に、図17に示すように、保持ヘッド11aによる吸着が解除されて、半田ボール300aが基板400の端子401に塗布されたフラックスの上に載置される。続いて、制御部6は、移動機構14を制御して、同図に示すように、保持ヘッド11aを上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400の第1領域400aに形成されている端子401への半田ボール300aの搭載が終了する。
【0061】
次いで、搬送部4における第3搬送機構43の移動機構74が、図18に示すように、ステージ71を第2搭載位置P2bに向けて移動させ、ステージ71が第2搭載位置P2bに位置した時点でその移動を停止させる。
【0062】
一方、制御部6は、搭載機構2に対する第1搭載処理の開始時点または第1搭載処理の開始から所定時間が経過した時点で、搭載機構2に対して第2搭載処理を開始させる。この第2搭載処理では、制御部6は、上記した第1搭載処理と同様にして供給部12bおよび移動機構14bを制御して、保持ヘッド11bに半田ボール300bを保持させる。続いて、制御部6は、移動機構14bを制御して、半田ボール300bを保持している保持ヘッド11bを第2搭載位置P2bに搬送させ、続いて、図19に示すように、保持ヘッド11bによって吸着されている半田ボール300bが基板400の端子401に塗布されているフラックスに接触するように保持ヘッド11bを基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。ここで、この半田ボール搭載装置1では、搭載機構2が、第1搭載処理を実行した後に第2搭載処理を実行して大径の半田ボール300aを搭載した後に小径の半田ボール300bを搭載する。つまり、搭載機構2が、吸気口85の口径の大きい保持ヘッド11aに対する移動処理を吸気口85の口径の小さい保持ヘッド11bに対する移動処理に先立って行う。この場合、図19に示すように、保持ヘッド11bに凹部87が形成されているため、搭載機構2が上記の順番で移動処理を行う際に、搭載済みの半田ボール300a(大径の半田ボール300)と保持ヘッド11bの吸着面83とが接触する事態が確実に回避される。
【0063】
次いで、制御部6は、吸気装置を制御して、保持ヘッド11bにおける吸気口85からの吸気を停止させる。この際に、図20に示すように、保持ヘッド11bによる吸着が解除されて、半田ボール300bが基板400の端子401に塗布されたフラックスの上に載置される。続いて、制御部6は、移動機構14を制御して、同図に示すように、保持ヘッド11bを上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400の第2領域400bに形成されている端子401への半田ボール300bの搭載が終了して、全ての端子401への半田ボール300の搭載が完了する。
【0064】
次いで、半田ボール300a,300bの搭載が完了した基板400が、図外の取り出し装置によって第3搬送機構43の吸着台73からストック場所に移動される。続いて、第3搬送機構43の移動機構74が、ステージ71を第2搭載位置P2bから受け渡し位置P6に移動(初期位置に復帰)させる。
【0065】
一方、制御部6は、上記した搭載処理が実行されている間に、次の基板400に対する第1搬送処理を第1搬送機構41に開始させ、次いで、その基板400に対する塗布処理を塗布部3に実行させる。つまり、この半田ボール搭載装置1では、塗布処理を搭載処理と並行して行うことが可能となっている。このため、第3搬送機構43の吸着台73(ステージ71)が受け渡し位置P6において長時間待機させられることなく、次の基板400が吸着台73に載置される。また、制御部6は、次の基板400に対する第1搬送処理の開始から所定時間が経過した時点で、次の基板400に対する第1搭載処理および第2搭載処理(保持処理、供給処理および除去処理)を搭載機構2に開始させる。このため、この半田ボール搭載装置1では、次の基板400が第1搭載位置P2aおよび第2搭載位置P2bに搬送されるまでの間に保持処理、供給処理および除去処理を完了(またはほぼ完了)させることができるため、第3搬送機構43の吸着台73が第1搭載位置P2aや第2搭載位置P2bにおいて待機する時間を短縮することが可能となっている。したがって、この半田ボール搭載装置1では、1つの基板400当たりの処理時間を十分に短縮することができる結果、生産性を十分に向上させることが可能となっている。以下、制御部6は、搭載機構2、塗布部3、搬送部4および検出部5に対して上記の各処理を実行させることにより、基板400に対する半田ボール300a,300bの搭載を連続して行う。
【0066】
なお、半田ボール300a,300bの搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送され、そのリフロー処理装置によってリフロー処理(溶融処理)が実行されることにより、図22に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で、端子401に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。次いで、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、続いて、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。次いで、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図23に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。
【0067】
このように、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法では、半田ボール300を保持する吸気口85の口径が互いに異なるように構成された複数の保持ヘッド11毎に移動処理を実行して各保持ヘッド11における各吸気口85の口径に対応して直径L1が互いに異なる複数種類の半田ボール300を1つの基板400に対して搭載する。このため、この半田ボール搭載装置1によれば、隣接する端子401同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成の基板400に対して、直径L1(大きさ)が互いに異なる複数種類の半田ボール300を確実に搭載することができる。
【0068】
また、この半田ボール搭載装置1では、保持ヘッド11bに凹部87が形成され、搭載機構2が、吸気口85の口径の大きい保持ヘッド11aに対する移動処理を吸気口85の口径の小さい保持ヘッド11bに対する移動処理に先立って行う。このため、この半田ボール搭載装置1によれば、基板400に既に搭載されている半田ボール300aと保持ヘッド11bとの接触を確実に回避することができる結果、接触による搭載済みの半田ボール300aの脱落を確実に防止することができる。
【0069】
また、この半田ボール搭載装置1によれば、移動機構14を保持ヘッド11の数と同数備え、各移動機構14が各保持ヘッド11を個別に移動させることにより、例えば、複数の保持ヘッド11を交換して1つの移動機構14で移動させる構成と比較して、交換に要する時間分を短縮できるため、処理効率を十分に向上させることができる。
【0070】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1(球状体搭載方法)によって基板400に搭載された半田ボール300が溶融されて基板400に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、基板400が、例えば、隣接する401同士の間隔が領域によって異なったり、接続されるリード線の太さが領域によって異なったりする複雑な構成であっても、直径が互いに異なる複数種類の半田ボール300が各領域に確実に搭載されて、溶融された半田ボール300(半田301)が各領域に設けられた端子401に確実に固着されている。したがって、この半田搭載済基板600によれば、電子部品を実装する際に、溶融された半田ボール300(半田301)を介して電子部品の端子と基板400の端子401とを確実に接続させることができる。
【0071】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600の基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して接続された電子部品701が半田搭載済基板600に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板700では、半田搭載済基板600における基板400の各領域に設けられた端子401に溶融された半田ボール300(半田301)が確実に固着されている結果、電子部品701を実装する際に、半田ボール300(半田301)を介して電子部品701の端子と基板400の端子401とが確実に接続されている。したがって、この電子部品搭載済基板700によれば、この電子部品搭載済基板700を用いた製品における不良の発生を確実に防止することができる。
【0072】
なお、第1搭載処理を実行した後に第2搭載処理を実行して大径の半田ボール300aを搭載した後に小径の半田ボール300bを搭載する構成例、つまり、吸気口85の口径が大きい保持ヘッド11aに対する移動処理を吸気口85の口径が小さい保持ヘッド11bに対する移動処理に先立って行う構成例について上記したが、第2搭載処理を実行した後に第1搭載処理を実行して小径の半田ボール300bを搭載した後に大径の半田ボール300aを搭載する構成、つまり吸気口85の口径が小さい保持ヘッド11bに対する移動処理を吸気口85の口径が大きい保持ヘッド11aに対する移動処理に先立って行う構成を採用することもできる。この構成によれば、例えば、半田ボール300aが半田ボール300bよりも十分に大きいときには、図21に示すように、保持ヘッド11aに凹部や切り欠きを設けることなく、第1搭載処理の実行時における搭載済みの半田ボール300bと保持ヘッド11aとの接触を確実に回避することができる。このため、この構成によれば、凹部や切り欠きを設けていない簡易な構成の保持ヘッド11aを用いて、保持ヘッド11aとの接触による搭載済みの半田ボール300bの脱落を確実に防止することができる。
【0073】
また、2つの移動機構14a,14bを備えて、各移動機構14a,14bが各保持ヘッド11a,11bをそれぞれ個別に移動させる構成例について上記したが、保持ヘッド11a,11bを手動または自動で交換することによって1つの移動機構14で各保持ヘッド11a,11bを移動させる構成を採用することもできる。
【0074】
また、1つの基板400に直径L1が互いに異なる2種類の半田ボール300a,300bを搭載する例について上記したが、吸気口85の口径(保持対象の半田ボール300の直径L1)が互いに異なる3つ以上の保持ヘッド11を備えて、直径L1が互いに異なる3種類以上の半田ボール300を1つの基板400に搭載する構成を採用することもできる。
【0075】
また、複数の半田ボール搭載装置を用いて直径L1が互いに異なる複数種類の半田ボール300を基板400に搭載する搭載方法(球状体搭載方法)を採用することもできる。この球状体搭載方法では、例えば、2台の半田ボール搭載装置を用いて上記した半田ボール300a,300bを1つの基板400に搭載するときには、1台の半田ボール搭載装置に対して保持ヘッド11aを用いた移動処理を実行させて半田ボール300aを基板400に搭載させ、他の1台の半田ボール搭載装置に対して保持ヘッド11bを用いた移動処理を実行させて半田ボール300bを基板400に搭載させる(つまり、2つの半田ボール搭載装置を用いて保持ヘッド11毎に移動処理を実行させる)。この球状体搭載方法においても、上記の半田ボール搭載装置1による搭載処理と同様の効果を実現することができる。
【0076】
さらに、保持ヘッド11を搭載対象体としての基板400に向けて移動させる処理を移動処理として実行する例について上記したが、半田ボール300を保持している保持ヘッド11に向けて基板400を移動させる処理を移動処理として実行する構成を採用することもできる。また、搭載済みの半田ボール300との接触を回避するための凹部87を保持ヘッド11に形成した例について上記したが、凹部87に代えて、切り欠きを保持ヘッド11に形成し、この切り欠きによって搭載済みの半田ボール300との接触を回避する構成を採用することもできる。この場合、切り欠きには、保持ヘッド11の外周部の一部を切り欠いたものや、厚み方向に貫通する孔が含まれ、基板400の端子401の形成位置等に応じて、これらを任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 半田ボール搭載装置
2 搭載機構
11a,11b 保持ヘッド
14a,14b 移動機構
87 凹部
300a,300b 半田ボール
301 半田
400 基板
401 端子
600 半田搭載済基板
700 電子部品搭載済基板
701 電子部品
L1a,L1b 直径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドと、当該保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている前記球状体を当該搭載対象体に搭載する搭載部とを備えた球状体搭載装置であって、
前記保持ヘッドを複数備え、
前記各保持ヘッドは、前記開口部の口径が当該各保持ヘッド毎に互いに異なるように構成され、
前記搭載部は、前記各保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各保持ヘッドにおける前記各開口部の前記口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する球状体搭載装置。
【請求項2】
前記保持ヘッドには、前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成されている請求項1記載の球状体搭載装置。
【請求項3】
前記搭載部は、前記保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として実行する移動機構を当該保持ヘッドの数と同数備え、
前記各移動機構は、前記各保持ヘッドを個別に移動させる請求項1または2記載の球状体搭載装置。
【請求項4】
前記搭載部は、前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置。
【請求項5】
球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている当該球状体を当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、
前記開口部の口径が前記保持ヘッド毎に互いに異なるように構成された複数の当該保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各開口部の当該口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する球状体搭載方法。
【請求項6】
前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成された前記保持ヘッドを用いる請求項5記載の球状体搭載方法。
【請求項7】
前記保持ヘッドの数と同数の移動機構を用いて、当該保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として当該各保持ヘッド毎に個別に実行する請求項5または6記載の球状体搭載方法。
【請求項8】
前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う請求項5から7のいずれかに記載の球状体搭載方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体を溶融して当該基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項10】
請求項5または8のいずれかに記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体を溶融して当該基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項11】
請求項9または10記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。
【請求項1】
球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドと、当該保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている前記球状体を当該搭載対象体に搭載する搭載部とを備えた球状体搭載装置であって、
前記保持ヘッドを複数備え、
前記各保持ヘッドは、前記開口部の口径が当該各保持ヘッド毎に互いに異なるように構成され、
前記搭載部は、前記各保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各保持ヘッドにおける前記各開口部の前記口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する球状体搭載装置。
【請求項2】
前記保持ヘッドには、前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成されている請求項1記載の球状体搭載装置。
【請求項3】
前記搭載部は、前記保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として実行する移動機構を当該保持ヘッドの数と同数備え、
前記各移動機構は、前記各保持ヘッドを個別に移動させる請求項1または2記載の球状体搭載装置。
【請求項4】
前記搭載部は、前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置。
【請求項5】
球状体の直径に対応させて口径が規定された開口部が保持面に形成されて当該開口部の縁部に球状体を保持する保持ヘッドおよび搭載対象体のいずれか一方をいずれか他方に向けて移動させる移動処理を実行して当該保持ヘッドによって保持されている当該球状体を当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、
前記開口部の口径が前記保持ヘッド毎に互いに異なるように構成された複数の当該保持ヘッド毎に前記移動処理を実行して当該各開口部の当該口径に対応して前記直径が互いに異なる複数種類の前記球状体を1つの前記搭載対象体に対して搭載する球状体搭載方法。
【請求項6】
前記搭載対象体に既に搭載されている前記球状体との接触を回避するための凹部または切り欠きが形成された前記保持ヘッドを用いる請求項5記載の球状体搭載方法。
【請求項7】
前記保持ヘッドの数と同数の移動機構を用いて、当該保持ヘッドを前記搭載対象体に向けて移動させる処理を前記移動処理として当該各保持ヘッド毎に個別に実行する請求項5または6記載の球状体搭載方法。
【請求項8】
前記口径の小さい前記保持ヘッドに対する前記移動処理を前記口径の大きい前記保持ヘッドに対する前記移動処理に先立って行う請求項5から7のいずれかに記載の球状体搭載方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体を溶融して当該基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項10】
請求項5または8のいずれかに記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体を溶融して当該基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項11】
請求項9または10記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
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【図8】
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【図11】
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【図20】
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【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−77489(P2011−77489A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293903(P2009−293903)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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