説明

生物活性化合物を含む表面コーティング

医療装置上の、タンパク質抵抗性成分及び治療成分を含むコーティングを開示する。該コーティングは、補体の活性化をダウンレギュレートするようにはたらく。副作用の予防及び開通性(patency)を向上するために、これらのコーティングで医療装置をコーティングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補体の活性化をダウンレギュレートすることを目的とする、医療装置上へのコーティングの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
体内における医療装置及び/又は他の生体材料の埋入は、障害及び炎症反応の惹起をもたらす可能性がある。補体及び凝血システムは、医療装置の生体受け入れ又は拒絶における役割を果たし得る。
【0003】
補体及び凝血システムの両方ともが、活性化された際、タンパク質−タンパク質及びタンパク質−細胞相互作用のカスケードを通じてそれらの効果を発揮するタンパク質の複雑なセット(complex set of protein)を含む。補体システムは、免疫システムの一部であり、病原体の侵入から身体を保護するために役立つ。補体システムは、以下:古典経路、代替経路及びレクチン経路の3つの経路を有する[1]。これらの経路は、それらの開始ステップにおいては異なって進行するが、標的細胞の攻撃を生じる同じ最終構成要素を共有するために、C3レベルにおいて集束する。標的細胞を溶解することが可能な最終複合体の産生に加えて、補体カスケードの活性化は、炎症メディエーターの産生及び炎症細胞(inflammitory cells)の刺激を引き起こす。古典経路は、抗体認識によって引き起こされる一方、代替経路は抗体非依存的(antibody independent)であり、病原体細胞上の特定の表面マーカーによって開始され得る。代替経路は、血液材料相互作用(blood material interaction)と関連する炎症に対する主要な要因であると考えられている。しかしながら、古典経路もまた、寄与し得る証拠が存在する[2−4]。この理由のため、材料によって引き起こされた炎症の理想的なモジュレータは、両方の経路のダウンレギュレーションを提供するであろう。
【0004】
数多くのタイプの炎症性疾患、移植拒絶、敗血症及び全身性炎症反応症候群(SIRS)に寄与する潜在的な因子に関する知見の増加は、補体及び凝血システムの両方に対する治療標的の同定のための広範囲にわたる取り組みをトリガーした。これらのシステムの天然及び合成レギュレータの両方が、タンパク質、ペプチド、抗体、オリゴヌクレオチド及び合成分子を含む様々な形態において同定されてきている[5−19]。非常に興味深いペプチドは、コンプスタチン(compstatin)である[4]。補体活性化の天然レギュレータ(RCA)は、H因子、H様因子タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、崩壊促進因子(DAF)及びメンブランコファクタープロテイン(MCP)を含む。標準的な条件下において、これらのタンパク質は補体の活性化プロセスを抑制し、どのような形にせよ、これらのタンパク質の全てが、免疫システムの機能障害に対する可能性のある処置と考えられてきた。あるタイプのウイルスは、ヒトの免疫システムから逃れる方法として、補体調節タンパク質を産生する。その高い有効性のために重要な2つのレギュレータは、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害因子(SPICE)である[20]。
【0005】
医療装置に使用される生体材料は、天然組織の代わりとしてはたらく。適合性は、材料−組織相互作用の様々な局面に対処する一連の材料規格(specifications)を特徴付ける。より詳しくは、血液適合性は、血液の有形成分(formed element)及び血漿成分の変化を引き起こすことなく、あるいは材料それ自身の組成の実質的な変化を伴うことなく、臨床上、適切な時間にわたって、血液と接触を保つための、生体材料の能力を規定する。
【0006】
心臓血管系装置及び体外循環(ECC)装置は、大量の血液と接触する。この接触は、多くの不都合な副作用の原因である炎症反応を惹起する[21、22]。副作用のタイプ及び重症度は、装置の型及び手法、炎症に対する患者の感受性、ならびに該装置を構築する材料の生体適合性を含む数々の要因に依存する[23]。これらの因子の多くは、制御することができない。しかしながら、血液と接触するこれらの装置の表面を構築するために使用される材料の血液適合性を向上させることにより、実質的に副作用を軽減し、開放性(patency)を向上させることができる。
【0007】
心臓血管系装置の場合、血液−材料接触の最も重篤な副作用は、凝血カスケードの活性化及び血栓形成である。しかしながら、現在は、補体活性化及び炎症に関連する副作用は、これら装置の長期にわたる成功を決定付けることにおいて重要な役割を果たすことも明らかである。例えば、ステント設置後の再狭窄は、解剖学的及び臨床的危険因子の両方に依存して、6ヶ月内に、8%〜80%の患者に起こる[24]。ステントの埋め込みは、初期の脱内皮化(deendothelializtion)、平滑筋細胞損傷及び血栓の堆積を生じる。時間と共に、これは、平滑筋細胞増殖、移動及び細胞外マトリクスの堆積につながる。数人の患者において、このプロセスは、過剰に進行し、新生内膜増殖及び動脈内腔の狭窄の原因となる。炎症は、このプロセスにおいて極めて重要な役割を果たし、活性化された炎症細胞は、平滑筋細胞の成長及びマトリクスの堆積を促進する因子を分泌する。ステントの埋め込みに関連する炎症を軽減し得る方法は、再狭窄の発生を抑える可能性がある。
【0008】
心肺バイパスを含むECC法に関連する副作用は、プラスマフェレーシス、血小板フェレーシス、白血球フェレーシス、LDL除去、血液透析、限外濾過、及び血液潅流、血液が人工材料に接触する場合(血漿タンパク質の吸着、血小板接着及び活性化、補体及び凝血カスケードの活性化、ならびに白血球の活性化を含むが、これに限定されない)に起こる一連の事象から生じる。これらの事象は、全身性の炎症反応につながる可能性があり、重篤な合併症を引き起こす可能性がある。合併症の例としては、心筋機能障害、呼吸不全、腎及び神経機能障害、出血性疾患、肝機能障害(altered liver function)、及び多臓器不全を含むが、これに限定されない。全身性炎症は、一般に血液透析患者に観察される進行性動脈硬化症(accelerated arteriosclerosis)における役割を果たすと考えられている[25−28]。さらに、血液透析又は血液濾過を必要としている多くの患者は、既に免疫不全をおこしている。例えば、敗血症患者のおよそ20%は、血液透析を必要とする。残念ながら、透析は、患者の血液からの毒物の除去に効を奏し得るが、同時に、さらに患者の炎症状態を悪化させる可能性がある。
【0009】
免疫疾患の治療薬(therapeutics)の大部分は、全身投与のために開発されている。ECCが同様の全身の機能障害を引き起こすことから、これらの治療薬の多くは、ECC、とりわけ心肺バイパスを受ける患者の処置としても考慮されてきた[18、23、29]。しかしながら、これらの治療薬の全身輸送に関連する限界及び副作用があり;患者の免疫システムを不全にし、感染に対してより大きなリスクを与える可能性があり、あるいは、彼らを重篤な出血の危険に曝す可能性がある。
【0010】
このため、医療装置用の材料の血液適合性を向上させるため、多くの研究がなされ、これらのアプローチは、多かれ少なかれ2つの主要なカテゴリーに分類される。第1のカテゴリーにおいて、材料は、それらを不活性にするように修飾されている。これは、主としてPEO等の親水性ポリマーで材料を修飾することによって達成された[18、23、29−38]。ここでの意図は、装置へのタンパク質の吸着及び血小板の接着を抑制することであり、それによって、補体及び凝血カスケードの活性化を最小限に抑えることである。このタイプのアプローチの限界は、材料のバルク特性を変化させずに、又は透析の場合、血液から毒性化合物を除去する装置の能力を変化させずに、装置表面に充分な量の親水性ポリマーを付着することができないことである。必要な官能基を与えることができないことにより、いくつかのタイプの材料の表面を修飾することが困難であることもわかっている。2つ目のカテゴリーにおいて、タンパク質、ペプチド又は炭水化物が、補体又は凝血カスケードをダウンレギュレートする能力を有する装置表面に適用されてきている[39、40]。このカテゴリー内において、最も広く使用されているアプローチは、ヘパリンで材料を修飾することである。ここで、該装置は、治療的構成成分を表示するが、コーティングに使用されたタンパク質又はペプチドによって、主な問題、すなわち非特異的な血液−材料相互作用は、依然として続く可能性があり、それらの相互作用に起因する副作用は、治療的因子によっては完全には補えない(offset)可能性がある。さらに、治療的タンパク質又はペプチドに連結することを可能にする材料を活性化するために使用され得るいくつかの方法は、それ自身が、補体の活性化を促進し得る[39]。両方のタイプのアプローチは、実験的システムにおいて、その修飾されていない対応物(counterpart)に対するいくつかの改善を示した;しかしながら、臨床的な成果における確かな改善は、疑わしいままであり、医療装置用の材料に対するさらなる改善が極めて必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
1つの実施態様は、患者への導入のために適合された構造(ここで、該構造は表面を含む);該医療装置の表面上の界面活性剤が、コーティングされていない医療装置の表面に比べて補体カスケードに対して実質的に活性化しないか又は脱活性化する、該医療装置の表面上に吸着された界面活性剤の層を含む、医療装置である。
【0012】
関連する局面は、医療装置を表面コーティングでコーティングする方法であって、以下:医療装置に表面を設けること;界面活性剤を供給すること;該医療装置の表面上に界面活性剤を吸着させること;(ここで、該医療装置の表面上の界面活性剤は、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化しない又は脱活性化する)を含む方法である。
【0013】
1つの実施態様は、式:
【0014】
【数1】

【0015】
(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)を有する、医療装置のコーティング用化合物のクラスである。
【0016】
好ましい実施態様の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図及び記載の検討によって、当業者にはっきりと理解されるようになる又は理解されるであろう。全てのその様な追加のシステム、方法、特徴及び利点は、この記載に含まれ、好ましい実施態様の範囲内に含まれることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
好ましい実施形態の詳細な説明
ECC装置、心臓血管装置及び他の医療装置に関する製造しやすさ及び期待される臨床的な成果の両方についての利点を提供する複合的なアプローチが、ここに記載される。このアプローチにおいて、コーティングは、タンパク質抵抗性成分及び治療的成分を含む装置に適用される。このコーティングは、材料を不活性化し、補体及び凝血システムの活性化を防止する。好ましい実施態様において、材料の1以上の領域が、治療物に連結するように末端基が活性化されたコポリマーでコーティングされる。該治療物は、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質断片、タンパク質アナログ、プロテオグリカン、抗体、炭水化物、薬物、若しくは補体又は凝血システムをダウンレギュレートし得る他の天然又は合成分子であり得る。従って、好ましい実施態様のコーティングは、以下に示される、材料を不活性化するための成分及び補体又は凝血システムの活性化を防止する構成要素を提供する:
【0018】
【数2】

【0019】
式中、コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む。好ましい実施態様は、下記式を有する医療装置をコーティングするための化合物のクラスを含む医療装置を包含する:
【0020】
【数3】

【0021】
式中、コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含有する。
【0022】
ある実施態様において、コーティングされる表面は疎水性である。好ましい表面の例は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエーテルスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン、及びシリコンを含むが、これに限定されない。より疎水性が低い材料及び生分解性材料も、好ましい実施態様に含まれる。これらの材料は、ポリビニルアセテート(PVAC)、セルロースアセテート、(PGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)(PDO)、トリメチレンカーボネート、(TMC)ポリアミノ酸、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリオルトエステル等の生分解性ポリマー及びこれら材料のコポリマーを含むが、これに限定されない。
【0023】
コーティング組成物は、ステンレス鋼、ニチノール、タンタル及びコバルトクロミウム合金を含むが、これに限定されない金属を被覆するためにも使用され得る。いくつかの金属は、コーティング組成物の基体への安定な結合を達成させるために前処理を必要とし得ることが認識される。その様な前処理は、当業者に周知であり、シラン化又はプラズマ修飾等の工程を含み得る。コーティングは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含むマルチブロックコポリマー(multiblock copoymer)の形態で、材料に適用される。疎水性ドメインは、疎水性結合によって疎水性表面に吸着され得る一方、親水性ドメインは、液相の存在下で流動性を保持し得る。
【0024】
好ましい実施態様のコポリマーコーティングを形成するために好ましいコポリマーユニットは、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドを含むが、これに限定されない。前記1対のコポリマーユニットのうち、好ましくは、親水性ドメインはPEOを含有する。このタイプのコポリマーユニットを使用するコポリマー及びタンパク質の吸着を防止するためのコーティング材料へのそれらの適用は、これまでに記載されている[39、41−48]。
【0025】
ある実施態様において、コポリマーは、ポリ(エチレンオキサイド)(PEO)鎖等のペンダント又はぶら下がっている(dangling)親水性ドメインを含有する。コポリマーの他のドメインは、ポリ(プロピレンオキサイド)(PPO)鎖等の疎水性ドメインを含有する。加えて、結合基(R)は、末端基活性化ポリマーを形成するために、親水性ドメイン近くの1つの末端上でコポリマーに付着される。例えば、末端基活性化ポリマーが、下記一般式を有するPEO及びPPOブロックのあらゆる並び方の形態であり得る:
(R-PEO)a(PPO)b (1)
式中、a及びbは整数であり、同一又は異なって及び少なくとも1であり、好ましくは、aは1〜6及びbは1〜3、より好ましくは、aは1〜2及びbは1である。重合体のブロックコポリマーは、PEO(−C−O−)の含有量10wt%〜80wt%、好ましくは50wt%〜80wt%、より好ましくは70wt%〜80wt%を有する。
【0026】
PEO鎖又はブロックは、下記一般式のものである:
-(-C2H4-O-)u (2)
式中、uは、分子中の異なるPEOブロックについて同一又は異なる。一般的には、uは、50より大きく、好ましくは50〜150、より好ましくは80〜130である。PPOブロックは、下記一般式のものである:
-(-C3H6-O-)v (3)
式中、vは、分子中の異なるPPOブロックについて同一又は異なり得る。一般的には、vは、25より大きく、好ましくは25〜75、より好ましくは30〜60である。
【0027】
コポリマーは、分岐構造であり得、他の構造(例、架橋構造、又は分岐構造)を含み得、疎水性表面上に吸着し、被覆するコポリマーの能力に大きく影響しない置換基である。例えば、下記の段落に記載される以下のコポリマーを含む。
【0028】
他の実施態様において、好ましい実施態様の末端基活性化ポリマーは、以下の式(4)に表される、ペンダントR基を有する重合トリブロックコポリマーの誘導体である。例えば、これらのトリブロックコポリマーは、ポリプロピレンオキサイドの疎水性中心ブロック及び末端R基を有するポリエチレンオキサイドの親水性末端ブロックを有し、下記式によって表され得る:
R-(-C2H4-O-)x -(-C3H6-O-)y-(-C2H4-O-)z-H (4)
式中、yは、25〜75、好ましくは30〜60であり、ならびにx及びzは好ましくは同一であるが、異なっていてもよく、50〜150、好ましくは80〜130である。これらの重合体界面活性剤のあるタイプは、商業的に“PLURONICTM”又は“POLOXAMERSTM”と呼ばれ、例えばBASFから入手できる。ここで使用されるように、“PLUONICS”は末端基活性化ポリマーを指す。
【0029】
他の好適なクラスの重合ブロックコポリマーは、a=1及びb=1のジ−ブロックコポリマーであり、下記式で表され得る;
R-PEO-PPO-H (5)
式中、PEO及びPPOは、上記に定義される。
【0030】
他の好適なクラスの重合ブロックコポリマーは、商業的に入手できるTETRONICTM界面活性剤(BSAFより)によって表され、下記式で表される:
(R-(O-C2H4)u-(O-C3H6) v)2N-CH2-CH2-N((-C3H6-O-)v-(-C2H4-O-)u-H)2 (6)
ここで使用される、用語“PLURONIC”又は“PLURONICS”は、定義される他のブロックコポリマー界面活性剤だけでなく、PLURONICSTMトリブロックコポリマー界面活性剤、ジブロック界面活性剤、TETRONICTM界面活性剤を含む式(1)において定義されるブロックコポリマーを指す。
【0031】
前記の通り、特定の官能基が、末端基活性化ポリマーを形成する親水性ドメインの遊離末端に結合される。この特定の官能基(R)は、ヒドラジン基、マレイミド基、チオピリジル基、チロシル残基、ビニルスルフォン基、ヨードアセトイミド基、ジスルフィド基等の反応性基の1つ又は水性環境において安定で、表面上のコポリマーの吸着を著しく損なわない、他のあらゆる反応性基を含み得る。Rは、タンパク質とイオン的相互作用を形成することができる官能基、例えば、金属イオンに結合した場合、ヒスチジンタグ化タンパク質と強力な結合を形成する、ニトリロ三酢酸(NTA)基も含む。NTA修飾PLURONICSは、本明細書中に参考として援用されるスチュワートらに対する米国特許番号6,987,452において記載される。Rは、オリゴヌクレオチドタグ化タンパク質に結合し得るオリゴヌクレオチドも含み得る。オリゴヌクレオチド修飾PLURONICSは、本明細書中に参考として援用されるネフらに対するPCT出願番号PCT/US02/03341において記載される。
【0032】
好ましい実施態様において、R基は、R’−S−S基(R’は、治療物の固定化用に置換される)を含む。1つの実施態様において、置換基R’は、(1)2−ベンゾチアゾリル、(2)5−ニトロ−2−ピリジル、(3)2−ピリジル、(4)4−ピリジル、(5)5−カルボキシ−2−ピリジル、及び(6)(2)〜(5)のいずれかのN−オキサイドからなる群より選択され得る。好ましい末端基は、2−ピリジルジスルフィド(PDS)を含む。これらの基のタンパク質及びポリペプチドとの反応性は、本明細書中に参考として援用される、カールソンらに対する米国特許番号4,149,003及びアクセンらに対する米国特許番号4,711,951において議論されている。前述のように、末端基活性化ポリマー(EGAP)は、一般的に、ブロックコポリマー骨格及び活性化又は反応性基を含む組成物のクラスである。
【0033】
好ましい実施態様は、生物学的シグナル経路阻害用のEGAPコーティングの使用を含む。その点に関し、好ましい実施態様のコーティングの第2の成分は、EGAPの活性化された末端基を通して材料に付着される治療物であってもよい。治療物は、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン又は補体又は凝血システムのダウンレギュレーションが可能な他の天然又は合成分子であってもよい。上述のように、補体及び/又は凝血カスケードに影響する多くの治療的因子は、近年、記載されており、これらの多くは、ここに記載されるように固相からの補体又は凝血をダウンレギュレートするための実用的な選択肢と考えられ得る。補体活性化のレギュレータは、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、崩壊促進因子(DAF)、及びメンブランコファクタープロテイン(MCP)、VCP,SPICEを含むが、これらに限定されず、コンプスタチン(compstatin)は、この目的のために使用され得る。RCAタンパク質は、天然供給源から得られるか又は組み換え技術によって産生され得る。さらに、これらのタンパク質の活性ドメインは、同定され、これらのドメイン又はこれらのドメインの変異体を含む、組み換え技術によって産生された断片を使用することができる。ある実施態様において、1以上の治療物が、EGAP材料の使用によって1つの表面上に固定化され得る。タンパク質固定化のためのEGAPの使用は、カルドウェルとその他によって、すでに記載されている。しかしながら、カルドウェルとその他は、特定のタンパク質−タンパク質相互作用、ならびに表面への細胞の接着を評価又は促進する目的のために、生物学的に活性な表面を調製するためEGAPを使用した[49−53]。
【0034】
もう一方の方法として、好ましい実施態様のコーティングの第2の成分は、流体から特定の成分を除去することが可能な治療物であってもよい。例えば、血液から特定の成分を除去するため、第2の成分は、抗体であってもよい。
【0035】
ある実施態様において、材料は、ブロックコポリマーへのリンカーとしてジスルフィド基で固定されたH因子を提示するブロックコポリマーによってコーティングされる。H因子は、多面的な(multifaceted)補体レギュレータとしてはたらく血漿タンパク質である[54]。それは、I因子に対する補因子としてはたらくことによってC3bの分解を促進する;代替経路C3転化酵素(C3bBb)のための崩壊促進活性を有する;そして、それは、C3bへの結合についてB因子と競合する。また、それは、C1複合体と干渉すると報告されており、それによって、古典経路を阻害する可能性がある[55]。補体の古典経路及び代替経路の両方を潜在的にダウンレギュレートし得ることから、H因子は、ECC装置及び他の医療装置用材料を開発するための好ましい候補である。H因子が血液の天然成分であり、従って、材料表面上に組み込まれるであろう量によって与えられる副作用を引き起こす可能性が低いという観点から、H因子を使用することが有利である。さらに、アンダーソンらは、固相からの補体レギュレータとしてH因子を使用することの可能性をすでに研究しており、実際に、このタンパク質が、材料表面に付着した際に補体をダウンレギュレートするように機能し得ることを見出した[39]。しかしながら、アンダーソンらが遭遇した限界は、表面にタンパク質を結合するための改良技術が必要であることを示す。ここで記載されるアプローチは、これらの限界に取り組み、生体適合性を向上させると同時に、医療装置用に使用される材料中に治療成分を組み込むための価値のある方法を提供する。
【0036】
修飾された重合界面活性剤はコポリマーの疎水性ドメインによって疎水性表面上に吸着し、コポリマーのペンダント疎水性ドメイン及び付着した治療物が表面から遠ざかって水性環境中にぶら下がる。例としてトリブロックコポリマーを用い、吸着された表面が、下記式によって図示される:
【0037】
【数4】

【0038】
ここで使用される、用語“界面活性剤”は、表面−活性物質(surface−active substance)を指す。界面活性剤は、表面に接着することができ、影響を与える。好ましい実施態様において、界面活性剤は、表面を不活性にし、補体及び凝血システムの活性化を防止し得る。
【0039】
好ましい実施態様は、医療装置を表面コーティングでコーティングする方法であって、以下:
医療装置に表面を設けること;界面活性剤を供給すること;該医療装置の表面上に界面活性剤を吸着させること;(ここで、該医療装置の表面上の界面活性剤が、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化しないか又は脱活性化する)を含む方法を提供する。ある実施態様において、医療装置は、ブロックコポリマーを含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、疎水性領域及び親水性領域を含むブロックコポリマーを含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、PLURONICSブロックコポリマーを含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、それに付着された治療物を含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、式:
【0040】
【数5】

【0041】
(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)を有する化合物を含有する界面活性剤を含む。
【0042】
好ましい実施態様は、EGAPを含有する水溶液中に基体をディップコーティングすることによって形成され得る。EGAP材料は、水、緩衝液、又は水及びアルコール等の有機溶媒の組み合わせの溶液中において、基体に塗布される。それらの両親媒性(ampiphilic)特性により、これらのコポリマーは、水溶液から疎水性材料上に自己集合(self assemble)する。疎水性ブロックは、材料と疎水性結合を形成する一方、親水性ブロックは液相において流動性を保持する。この様にして、親水性鎖は、表面にて、タンパク質及び細胞の吸着を防ぐブラシ様の層を形成する。
【0043】
EGAP材料が基体に結合された場合、この材料は、アリールジスルフィドを表示する。少なくとも1つのシステインを含有する治療物は、EGAP材料を含有する基体と共にインキュベートされる。求核反応を通じて、治療物は、ジスルフィド結合によってEGAP材料に結合される。
【0044】
もう1つの方法として、好ましい実施態様は、EGAP材料で基体をディップコーティングした後、ヘテロ二官能性架橋剤で治療物を連結することによって形成され得る。上記の手法と同様に、EGAP材料は、水、緩衝液又は水及びアルコール等の有機溶媒の組み合わせの溶液中において、材料に塗布される。EGAP材料が基体に結合された場合、この材料は、活性化された末端基を表示する。治療物は、ヘテロ二官能性架橋剤と共にインキュベートされ;従って、治療物は、架橋可能な(crosslinkable)官能基を表示する。この架橋剤に連結された治療物は、その後、活性化された末端基と反応させるためにEGAP材料と共にインキュベートされる。従って、ヘテロ二官能性架橋剤上の好ましい活性な官能基は、それぞれ、EGAP材料上の末端ジスルフィド又は還元されたEGAP材料上のスルフヒドリル基と反応するための、スルフヒドリル基又はスルフヒドリル反応性基、及び治療物上の利用可能な官能基に対して反応性のあらゆる官能基である。理想としては、架橋剤は、タンパク質の活性を変化することなく、穏やかな条件下でタンパク質と反応することができる。その様な架橋剤は、数々の製造業者から商業的に入手できる。好ましい架橋剤の例は、N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、及びN−スクシンイミジル S−アセチルチオアセテート(SATA)を含む。
【0045】
好ましい実施態様の利点は、有害なコーティング方法の使用がないこと、厳しい環境条件ではないこと、有毒化学物質がないこと及び有毒廃棄物がないことを含む。好ましい実施態様は、生産工程に容易に組み込まれる簡易なコーティング方法を組み込み、高度な技術を有する人材を必要としない。
【0046】
もう1つの方法として、好ましい実施態様は、医療装置の材料に付着された治療物を含む。治療物は、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、若しくは補体又は凝血システムをダウンレギュレートすることができる他の天然又は合成分子であり得る。上述の様に、近年、補体及び/又は凝血カスケードに影響を与える多くの治療因子が記載され、これらの多くは、本明細書中に記載される固相からの補体又は凝血をダウンレギュレートするための実用的な選択肢であると考えることができる。補体活性化のレギュレータは、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、VCP及びSPICEを含むがこれに限定されず、この目的のためにも使用され得る。H因子は、EGAPの使用なしに、ステンレス鋼及びニチノール等の特定の材料に固定化され得る。H因子は、直接的な吸着によって両方の金属基体上に、有効に固定化され得る。
【0047】
好ましい実施態様の組成物は、血液と接触するあらゆる医療装置に使用され得る。ここに現れる用語“医療装置”は、それらの操作の過程において、ヒト又は動物の体組織(bodily tissue)及び/又は体液と接触する表面を有する装置である。この定義は、バルーンカテーテル、A/Vシャント、代用血管、ステント、ペースメーカーリード、ペースメーカー、心臓弁等のヒト又は動物の体内で血液に接触するように埋め込まれる人工器官を含み、それらは、血管内又は心臓内に埋め込まれる。また、この定義は、カテーテル、ガイドワイヤ等のモニター又は修復の目的のために血管又は心臓内に設置される、一時的な血管内における使用のための装置をもその範囲に含む。医療装置は、永続的又は一時的な埋め込みを意図し得る。その様な装置は、血管内カテーテル又は他の医療用カテーテルによって送達されるか、血管内カテーテル又は他の医療用カテーテル内に組み込まれる。
【0048】
好ましい実施態様の組成物は、ECCに使用されるあらゆる装置に使用することができる。上記のように、ECCは、心肺バイパス、プラスマフェレーシス、血小板フェレーシス、白血球フェレーシス、LDL除去、血液透析、血液濾過フィルター、限外濾過及び血液潅流を含むが、これに限定されない多くの医療用手法において使用される。外科手術における使用のための体外装置は、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサー、後に患者に戻される血液に接触する、血液を輸送するチューブ等を含む。
【0049】
好ましい実施態様において、医療装置は、以下:患者への導入のために適合された構造(ここで、該構造は表面を含む);該医療装置の表面上の界面活性剤が、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化されないか又は脱活性化される、該医療装置の表面上に吸着された界面活性剤の層を含む。ある実施態様において、医療装置は、ブロックコポリマーを含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、疎水性領域及び親水性領域を有するブロックコポリマーを含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、PLURONICSブロックコポリマーを含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、そこに付着された治療物を含有する界面活性剤を含む。他の実施態様において、医療装置は、式:
【0050】
【数6】

【0051】
(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)を有する化合物を含有する界面活性剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下の開示は、好ましい方法を説明する具体例である。この例は、範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ好ましい実施態様を例示するものである。
【実施例1】
【0053】
EGAPによる基体上へのH因子の固定化
H因子を、EGAP−SDSでコーティングされた基体又は装置に結合する。H因子は、数多くのシステイン残基を含み、そのうちのいくつかは、PDS基を介した結合部位としてはたらき得る[56]。基体又は装置の表面上のH因子及びEGAPの組み合わせは、補体活性化をダウンレギュレートするように作用する。
【0054】
装置又は基体は、水又は緩衝塩を含む水中に0.1〜4%のEGAPを含む溶液を用いて装置表面を被覆することによって、H因子でコーティングされる。これは、例えば、ディップコーティング法を用いることによって達成され得る。30分〜24時間のコーティング期間の後、基体を水又は緩衝液で洗浄する。H因子は、リン酸緩衝液、pH7.5中に希釈され、その後、コーティングされた基体に添加される。2〜24時間のインキュベーションの後、基体を緩衝液で洗浄する。以下のコントロールを、比較のために調製する:(1)基体を修飾されていないF108でコーティングし、その後、H因子とインキュベートし、そして上述の様に洗浄する、(2)基体をいかなる初期コーティングでも処理せずにH因子とインキュベートし、そして上述の様に洗浄する、(3)基体を修飾されていないF108のみでコーティングする、ならびに(4)基体を処理しないままおく。各表面に結合するH因子の量を、商業的に入手できる、検出のためにHRP修飾ストレプトアビジンが結合されたビオチン化抗−H因子を用いて、酵素免疫アッセイによって、測定する。
【0055】
各基体を、全血、血漿又は血清と接触した際の、補体活性化を阻害する表面結合H因子の能力を測定するために評価する。これを達成するために、2つのタイプのアッセイを行う;1つは、何がそれに付着したのかを決定するための表面分析であり、もう1つは補体カスケードに関与する特定のタンパク質が活性化されたかどうかを測定するための血液分析である。基体に結合するC−3断片(C−3 fragment)の量を、酵素免疫測定法(EIA)によって測定する。血液及び基体間の表面接触の結果生じる、液相C3a、C1s−C1NA及びsC5b−9複合体の量を、EIAを用いてモニターする。
【0056】
以前の研究により、補体活性化をダウンレギュレートするために材料にH因子を適用し得ることが見出された。しかしながら、材料にH因子を結合するために用いられる方法は、それ自身が、補体を活性化するものである。EGAP材料で材料をコーティングすることは、H因子を複合体化するために必要なサイトを生み出すが、補体活性化を促進しない。これに対して、それは、ポリスチレン(PS)及び血液と接触する装置に適用されるであろう、ほとんどの他の材料よりも、より生物学的活性が低い表面を生み出す。
【0057】
以前に別の方法を用いて達成されていたものよりも、多くの生物学的に活性なH因子を材料表面に結合することを可能になるであろうと期待される。従来の研究は、ピリジルジスルフィド基又はスルフヒドリル基のいずれかを表示する、表面に結合したH因子の量を比較した。両方の表面は、ポリアミン修飾PSをN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)と反応させることによって調製され、後者は、その後ジチオスレイトール(DTT)で表面を処理することによって得られた。SPDPのみで修飾された材料に、より多くの量のH因子が結合したことが見出された。これにもかかわらず、全体的な生物学的活性は低かった。これらの結果は、2つの表面上のH因子のコンフォーメーションが異なり、SPDP修飾表面が結合したH因子の生物学的活性の減少を引き起こしたことを示唆する。PDS基は、H因子中の遊離システインに対してより反応性であり、より高い結合効率を生じる可能性がある。しかしながら、SPDP修飾表面は、より疎水性になる傾向にもあり、このため、タンパク質と材料の間での強い界面力によって、H因子活性が減少するだけでなく、より多量の非特異的に結合したタンパク質を生みだすことができた。本明細書中に記載されるEGAPアプローチの使用は、PDS基を材料表面に組み込むことが可能であり、それによって、疎水性表面を生じることなく、又は表面を実質的に変性することなく、高い結合効率を達成することができる。
【0058】
H因子をEGAPを用いて材料に固定することは、タンパク質と材料の間にフレキシブルなスペーサーを組み込むことで立体障害を軽減する。これは、血液又は血漿中において、標的タンパク質に結合するために、より接近しやすくする。
【0059】
EGAPコーティングは、材料からのH因子を効率的に緩衝する(buffer)材料表面に、高度に水和されたブラシ様の層を生じる。これは、変性を防止し、天然タンパク質のコンフォーメーション及び活性を保存する。
【0060】
EGAPコーティングは、非特異的なタンパク質の吸着を阻止する。血液及び血漿中には、人工材料上に吸着された場合、補体活性化を促進し得る多くのタンパク質が存在する。例えば、フィブリノゲンが材料表面に吸着された場合、EGAPの活性化のためのシグナルがこのタイプの相互作用を妨げるようにコンフォーメーションを変化させ、それによって、免疫システムの活性化の危険性を最小限に抑える。H因子と混合された場合、このシステムは、初期の活性化を阻止し、その後、ECC手法の間に起こるかもしれない、あらゆる活性化をダウンレギュレートし得るH因子である、バックアップ(backup)を取り込む。
【実施例2】
【0061】
スルフヒドリル反応基を組み込むためのH因子の誘導体化
H因子を、7〜67%の様々な濃度のN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)と、室温にて1時間インキュベートした。結合していないSPDPを、透析によって除去した。SPDP修飾H因子試料の活性を測定し、I因子に対する補因子として作用するH因子の能力を計測することによって非修飾H因子の活性と比較した。I因子は、C3bを不活性C3b(iC3b)、その後C3c及びC3dgに開裂することによって不活性化する、補体活性化の他のレギュレータである。このI因子の機能は、活性H因子の存在に依存する。従って、様々な修飾H因子溶液の活性が、C3b及びI因子と混合し、その後、以下の様に、C3bの分解レベルを計測することによって測定された:10μgのC3b及び0.6μgのI因子のアリコートを、0.5、1及び2μgの濃度のH因子試料と、37℃で60分間、共にインキュベートした。この反応を、還元電気泳動試料緩衝溶液中で、試料を煮沸することによって終結させた。その後、試料を、SDS−PAGE上で泳動した。未消化のC3bを10μg含むアリコートを、各ゲルにコントロールとして加えた。ゲルをクマシー染色及びスキャンし、各試料中のC3bの未消化アルファプライム鎖の量を、NIH−image quantを用いて評価した。
【0062】
結果を図1に示す。SPDPのH因子に対する比及び各データポイントについての試験試料の数を、説明文に示す。結果は、H因子は、7%SPDPで処理した後は影響を受けないが、より高い濃度では活性を徐々に失うことを示唆する。28%またはそれより高いSPDPでは、完全に不活性のH因子が得られたが、25%〜7%の濃度では、部分的に不活性のものが得られた。
【実施例3】
【0063】
EGAP及びヘテロ二官能性架橋剤によるH因子の基体上への固定化
H因子を、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて活性化し、その後、EGAPでコーティングされた基体又は装置に結合する。基体又は装置の表面上におけるH因子及びEGAPの組み合わせは、補体活性化をダウンレギュレートするように作用する。
【0064】
装置又は基体を、水又は緩衝液中に0.1〜4%のEGAPを含む溶液で装置表面を被覆することによって、H因子でコーティングする。これは、例えば、ディップコーティング法を用いて達成され得る。30分〜24時間のコーティング期間の後、基体を水又は緩衝塩を含む水を用いて洗浄する。H因子を、例えば、アミン基に対して反応性であり、EGAP上に存在するピリジルジスルフィド基(PDS)に直接に連結するために使用され得る官能基を組み込む、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて活性化する。商業的に入手できるその様な架橋剤の1つは、N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)である。架橋剤は、EGAPと直接反応するスルフヒドリル基を得るために還元され得るタンパク質上にピリジルジスルフィド基を組み込む。H因子を、リン酸緩衝溶液中で、pH7.5にて30〜60分間SDPDと反応させ、その後、PD−10カラムを用いて精製する。活性化タンパク質を、pH4.5の酢酸緩衝溶液中の25mMDTTで処理する。それは、同様にpH7.5のリン酸緩衝液で交換されるPD−10カラムを用いて精製される。この産物を、EGAPコーティングされた基体と、2〜24時間インキュベートした後、緩衝液で洗浄する。コントロールを、実施例1に記載の通りに調製する。表面に結合したH因子の量を、商業的に入手可能な、検出のためにHRP修飾ストレプトアビジンと結合されたビオチン化抗H因子を用いた酵素免疫測定法によって測定する。
【0065】
修飾された基体を、実施例1に記載される全血、血漿又は血清に接触した場合に補体活性化を阻害する、表面に結合したH因子の能力を測定するために評価する。
【実施例4】
【0066】
EGAP及びヘテロ二官能性架橋剤による基体上へのH因子の固定化
H因子を、ヘテロ二官能性架橋剤、SPDPを用いて活性化し、その後、EGAPコーティングされた基体に結合した。EGAPを用いることで、H因子を用量依存的に固定化することができた。
【0067】
基体を、1%のEGAPを含む水溶液で被覆することによって、H因子でコーティングした。24時間のコーティング期間の後、基体を水で洗浄した。EGAPをPLURONICS F108に代えて、同様の手法を用いてコントロール試料を調製した。H因子を、アミン基に対して反応性であり、EGAP上に存在するピリジルジスルフィド基(PDS)に直接に連結するために使用され得る官能基を組み込む、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて活性化した。本実施例において、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を用いた。H因子を、pH7.5のPBS中にて30〜60分間SDPDと反応させ、その後、PD−10カラムを用いて精製した。架橋剤は、タンパク質上に、効率的にピリジルジスルフィド基を取り込んだ。EGAPでコーティングされた表面を、25mM DTTで30分間インキュベートすることによって還元し、その後、表面を空気に曝さないように注意しながら、洗浄した。洗浄後すぐに、基体を異なる濃度のSPDP修飾H因子と、2〜24時間反応させ、最後に、緩衝液で洗浄した。表面に結合したH因子の量を、検出のためにHRP修飾ストレプトアビジンと結合されたビオチン化抗H因子を用いた酵素免疫測定法によって測定した。
【0068】
結果は図2に示され、H因子は、用量依存的に効率的に表面に結合することを示す。F108でコーティングされたコントロール試料に結合した低レベルのH因子に基づけば(図3(E)参照)、EGAPコーティング表面への結合は、EGAP上の官能基によって、特異的に介在されることが明らかである。
【0069】
以前の研究によれば、H因子が、補体活性化をダウンレギュレートするために、材料に塗布され得ることが見出された。しかしながら、材料にH因子を結合するために用いられる方法は、それ自身が、補体を活性化するものである。EGAPを用いた材料のコーティングは、H因子を結合するために必要なサイトを生じるが、補体活性化を促進しない。これに対して、それは、ポリスチレン(PS)及び血液と接触する装置に適用される、ほとんどの他の材料よりも、より生物学的活性が低い表面を生み出す。
【0070】
以前に別の方法を用いて達成されていたものに比べ、より多量の生物学的に活性なH因子をEGAPを用いて材料表面に結合することを可能にするであろうと期待される。以前の研究は、ピリジルジスルフィド基又はスルフヒドリル基のいずれかを表示する、表面に結合したH因子の量を比較した。両方の表面は、ポリアミン修飾PSをN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)と反応させることによって調製され、後者は、その後ジチオスレイトール(DTT)で表面を処理することによって得られた。SPDPのみで修飾された材料に、より多くの量のH因子が結合したことが見出された。これにもかかわらず、全体的な生物学的活性はより低かった。これらの結果は、2つの表面上のH因子のコンフォーメーションが異なり、SPDP修飾表面が結合したH因子の生物学的活性の減少を引き起こしたことを示唆する。PDS基は、H因子中の遊離チオールに対してより反応性であり、より高い結合効率を生み出すことができた。しかしながら、SPDP修飾表面は、より疎水性になる傾向にもあり、このため、タンパク質と材料の間での強い界面力によってH因子活性が減少するのと同様に、より多量の非特異的に結合したタンパク質を生じることができた。本明細書中に記載されるEGAPアプローチを使用することで、官能基を非常に優れた反応性を伴って材料表面に組み込むことが可能であり、それによって、疎水性表面又は実質的に変性させる表面を生じることなく、高い結合効率を達成することができる。
【0071】
H因子をEGAPを用いて材料に固定することは、タンパク質及び材料間にフレキシブルなスペーサーを組み込むことによって立体障害を減少する。これは、血液又は血漿中において、標的タンパク質に結合するために、より接近しやすくする。さらに、EGAPコーティングは、材料からH因子を効率的に緩衝する材料表面に、高度に水和されたブラシ様の層を生じる。これは、変性を防止し、天然タンパク質のコンフォーメーション及び活性を保存する。
【実施例5】
【0072】
EGAP及びSATA架橋剤を用いたH因子の固定化
H因子を、ヘテロ二官能性架橋剤、SATAを用いて活性化し、その後、EGAPでコーティングされた基体又は装置に結合した。EGAP−H因子コーティングを、ポリスチレン、ポリエーテルスルフォン(PES)、セルロースアセテート(CA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン、及びポリウレタン(PU)を含む様々なタイプの材料に、効果的に適用した。
【0073】
基体又は装置を、水中に1%のEGAPを含有する溶液で表面を被覆することによって、H因子でコーティングした。コントロール試料を、EGAPをPLURONIC F108に代えて、同様の手法を用いて調製した。比較のために、コーティングされていない(UN)試料も含まれた。24時間のコーティング期間の後、この基体を、緩衝液で洗浄した。H因子を、ヘテロ二官能性架橋剤、N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート(SATA)(Pierce Scientific)を用いて活性化した。この架橋剤のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル部分は、H因子上のアミン基と反応し、EGAP上に存在するピリジルジスルフィド基に直接連結するように使用され得る、保護スルフヒドリル基を組込む。SATAをDMSO中に溶解し、その後、pH7.5のPBS中のH因子と、30〜60分間反応させた。活性化されたH因子を、PD−10カラムを用いて精製した。H因子上の修飾された基を、その後、ヒドロキシルアミンを用いた処理によって保護基を除去するために脱アセチル化した。PD−10上で最後の精製を行った。EGAPコーティングされた基体を、修飾されたH因子と一晩インキュベートし、その後、緩衝溶液で洗浄した。表面に結合したH因子の量を、検出のためにHRP修飾ストレプトアビジンと結合されたビオチン化抗H因子を用いた酵素免疫測定法によって測定した。結果が下記図3に示され、EGAP−H因子コーティングが、ポリエーテルエーテルスルフォン(PES)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、セルロースアセテート(CA)、及びポリスチレン(PS)を含む様々なタイプの材料に、効果的に適用されたことを表す。
【実施例6】
【0074】
EGAP及びH因子でコーティングされた基体上における低減された補体活性化
C3Aの産生によって測定される補体活性化
H因子は、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて活性化され、その後、EGAPでコーティングされた基体上に結合された。コーティングされた基体及びコントロールを、ヒト血清とインキュベートし、産生されたC3aの量を測定することによって補体活性化のレベルを評価(accessed)した。EGAP−H因子でコーティングされた基体は、コントロールに比べて補体活性化がより小さかった。さらに、EGAP及びF108でコーティングされた基体は両方とも、処理されていない基体よりも、補体活性化が小さかった。
【0075】
96ウェルポリスチレンプレートを、各ウェルに対してPBS中1%EGAPを300μl加え、そしてこのプレートを室温のシェーカーに一晩置くことでH因子でコーティングした。コーティング後、この基体をPBSで洗浄した。H因子を、pH7.5のPBS中に3.5%w/wSPDPと1時間反応させ、その後、透析によって精製した。EGAPでコーティングされた基体を、25mMDTTで1時間処理した。DTTを除去し、基体を空気に曝さないように注意しながら、このプレートをPBS/EDTA pH6.0で洗浄した。洗浄後すぐに、この基体を、4℃で一晩、SPDPで活性化されたH因子(100μg/mL)と反応させた。H因子溶液を除去し、基体をPBSで洗浄した。以下の基体をコントロールとして用いた:未処理PS、F108でコーティングされたポリスチレン(結果は示していない)、EGAPでコーティングされたPS、及びEGAPのコーティングの後、天然H因子とインキュベートされたPS。全ての基体を、最長1時間までの異なる時間間隔で、ヒト血清とインキュベートした。各インキュベーションの期間後、どのようなさらなる補体活性化も停止するため、血清にEDTAを加えた。各血清試料中のC3aの量を、酵素免疫測定法によって測定した。
【0076】
結果は、下記図4に示され、EGAP−H因子コーティングは、コントロールに比べて効果的にC3aの産生を阻害することを表す。さらに、EGAPコーティング単独でも、コーティングのない基体に比べてC3aの産生を低減した。
【実施例7】
【0077】
EGAPを有するステンレス鋼及びニチノール上へのH因子の固定化
H因子をヘテロ二官能性架橋剤、SATAを用いて活性化し、その後、前処理の後にEGAPでコーティングされたステンレス鋼装置に結合した。H因子を、EGAPを介してステンレス鋼に効果的に結合した。
【0078】
ステンレス鋼及びニチノールステント装置を清浄化及び/又は前処理した後、実施例4に記載されるようにEGAP及びH因子でコーティングした。コントロール試料を、同様の手法でEGAPに代えてPLURONICS F108を用いて調製した。実施例4に記載されるように、H因子をSATAで活性化した。EGAPでコーティングされた基体を、修飾されたH因子と一晩インキュベートし、その後、緩衝溶液で洗浄した。表面に結合したH因子の量を、実施例4に記載される酵素免疫測定法によって測定した。ステンレス鋼の結果は、下記図5に示され、EGAP−H因子コーティングは、効果的に金属基体に適用されたことを表す。さらに、F108でコーティングされたステンレス上において測定された少ないH因子の量に基づけば、EGAPでコーティングされた基体への結合は、特に、EGAP上のPDS官能基によって介在されることが明らかである。
【実施例8】
【0079】
EGAP及び非修飾F108を有する基体上へのH因子の固定化
H因子を、EGAP及び非修飾F108の組み合わせによってコーティングされた基体又は装置に結合する。非修飾F108に対するEGAPの比は、連結するH因子に対する反応性部位の数を変動させるため、言い換えれば、基体又は装置上のH因子の表面密度を変動させるために変化される。H因子の最適密度を、補体活性化をダウンレギュレートするための基体の能力を計測することによって測定した。可能な限り高い密度のH因子がこのシステムに最適でありそうであるが、多くの可能性のある興味深いペプチド及び補体の合成レギュレータが、いくつかの有益な効果を有する可能性のみならず、血小板及び白血球を含む関連する血液成分に対して悪影響又は未知の効果を有する可能性がある。このEGAPアプローチは、その様な相互作用及びその様な相互作用に対して濃度がどのように影響するのかを測定するための最適なシステムを提供できる可能性がある。さらに、組み換え技術によって産生されようと、又は天然供給源から精製されることによって産生されようと、タンパク質は、最も高価なコーティングの成分である。この理由から、所望の性能(performance)レベルを達成するために使用され得るタンパク質の最小量を決定することは有益である。このシステムは、効果的にこのレベルを決定し、その後、高い信頼性をもってこのレベルを再現するための方法を提供する。
【0080】
界面活性剤の合計濃度が1%(0:100、5:95、10:90、25:75、50:50、75:25,100:0)である、以下のEGAPに対するF108の比を含む一連の溶液を、PBS中に調製した。基体を、これらの溶液で24時間コーティングし、その後、PBSで洗浄した。H因子をpH7.5のリン酸緩衝液中に希釈し、その後、コーティングされた基体に添加した。その後及び2〜24時間のインキュベーションの後、基体を緩衝液で洗浄した。各基体に結合したH因子の量を、商業的に入手可能な、検出のためにHRP修飾ストレプトアビジンと結合されたビオチン化抗H因子を用いた酵素免疫測定法によって測定した。
【0081】
各基体は、実施例5に記載されるように、全血、血漿又は血清と接触した場合に、補体活性化を阻害する表面結合H因子の能力を測定するため、評価した。
【実施例9】
【0082】
EGAPを有する基体上への2以上の治療物の固定化
本実施例において、各物体が免疫又は止血(haemostatic)システムの異なる成分に影響を与える、EGAPを用いた基体又は装置上に、2以上の治療物を、固定化した。例えば、補体のレギュレータを、凝血のレギュレータと組み合わせてもよい。EGAPは、その様な2つの因子を共固定(coimmobilizing)するための簡易な方法を提供し、場合によっては、固相からの2以上の治療剤の輸送において極めて重要な可能性がある、因子の比及び密度を制御することを可能にする。
【0083】
末端基の活性化プロセスが異なるタイプの末端官能基を生じる、2以上のタイプのEGAPを調製する。これらは、EGAP−A及びEGAP−Bと呼ばれる。TA及びTBと称される2以上の治療物は、それぞれEGAP−A及びEGAP−Bと選択的に反応するように修飾される。EGAP−A及びEGAP−Bは、EGAPの合計濃度が1%であるPBS中における前もって定められた比で混合される。基体をこれらの溶液で24時間コーティングし、その後、PBSで洗浄する。EGAP−AにTAを結合するために必要とされる緩衝液条件は、EGAP−BにTBを結合するために必要とされるものと同じ場合であれば、TA及びTBは、緩衝液中に希釈され、そして同時にコーティングされた基体に添加される。異なる緩衝液条件が必要とされるのであれば、TA及びTBは、基体に順に添加される。コントロールを、実施例2に記載するように調製する。各表面に結合したTA及びTBの量を、酵素免疫測定法によって測定した。
【0084】
各基体を、実施例2に記載するように基体が全血と接触した場合に補体活性化を阻害するために、TA及びTBが結合した組み合わせ表面の能力を測定するために、評価した。
【実施例10】
【0085】
EGAPを有する基体上への補体活性化レギュレータ及び免疫捕捉剤(immunocapture agent)の固定化
本実施例において、基体又は装置を、補体活性化のレギュレータ及びEGAPを用いた免疫捕捉剤でコーティングする。免疫捕捉剤の目的は、自己免疫抗体、免疫グロブリン、免疫複合体、腫瘍抗原又は低密度リポタンパク質等の血液から不要な成分を除去することである。
【0086】
1つのバリエーションにおいて、免疫捕捉剤は、実施例5に記載されるような補体活性化のレギュレータによって固定化される。他のバリエーションにおいて、装置の一部は、EGAP/免疫捕捉剤でコーティングされ、装置の他の部分は、EGAP/補体活性化のレギュレータでコーティングされる。後者のバリエーションにおいて、該装置は、実施例2に記載されるEGAPでコーティングされる。装置の最初に選択される領域を、その後、ディップコーティング又は装置の包含された領域へのタンパク質溶液の制御された添加のいずれかによって免疫捕捉剤を含む溶液とインキュベートする。2番目に選択された領域を、その後、補体活性化のレギュレータを含む溶液で、同様に処理する。
【実施例11】
【0087】
基体上の治療物及び非修飾F108のコーティング
本実施例において、装置を、前記いずれかの実施例に記載されるような1以上の治療物で1領域をコーティングする。該装置の残りの部分を、非修飾F108でコーティングする。
【実施例12】
【0088】
ステンレス鋼及びニチノール上へのH因子の直接固定
ステンレス鋼及びニチノールステントを清浄化及び/又は前処理の後にH因子でコーティングした。コーティングの前にH因子を、SATAで活性化し、実施例4に記載されるように精製した。ステントを、100μg/mLの修飾H因子を含む溶液と2時間インキュベートし、その後、緩衝液で完全に洗浄した。表面に結合したH因子の量を、実施例4に記載されるように酵素免疫測定法によって測定した。ステンレス鋼及びニチノールの結果を、それぞれ図6(A)及び6(B)に示す。この結果は、H因子が、両方の金属基体上に直接的な吸着によって効果的に固定化されることを表す。
【産業上の利用可能性】
【0089】
上記の様々な方法及び技術は、本発明を行うための数々の方法を提供する。もちろん、記載された全ての目的又は利点は、ここに記載される任意の特定の実施態様に従って必ずしも達成されなくてもよいことが理解される。従って、例えば、当業者は、ここに教示又は示唆され得る他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、ここに教示される1つの利点又は一群の利点を達成又は最適化する方法において、この方法を実施し得ることを認識するであろう。
【0090】
さらに、当業者は、異なる実施態様からの様々な特徴の互換性を認識するであろう。同様に、上述の様々な特徴及び工程は、その様な各特徴又は工程に対する他の公知の同等物と同様に、ここに記載される原理に従って、方法を行うために当業者によって混合及びマッチされ得る。
【0091】
本発明は、特定の実施態様及び実施例の関係において開示されてきたが、本発明は、具体的に開示される実施態様を超えて、他の代替の実施態様及び/又は使用、ならびにその明らかな改良及びその同等物にまで拡大されることが、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明は、ここでの好ましい特定の実施態様の開示によって限定されることを意図するものではないが、ここに添付される請求項によって限定される。
【0092】
以下に挙げられる参考文献並びに本書で参照されるあらゆる他の特許又は出版物は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0093】
参考文献
【0094】
【表1】

【0095】

【0096】

【0097】

【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、非修飾H因子及び異なる濃度のN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)で誘導体化したH因子の活性を示すグラフである。
【図2】図2は、末端基活性化ポリマー(EGAP)を用いて用量依存的にポリスチレン(PS)に連結されたH因子の結果としての、相対的吸光度を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、ポリエーテルスルフォン(PES)上に固定化されたH因子の結果としての相対的吸光度を示すグラフである。
【図3B】図3Bは、ポリウレタン(PU)上に固定化されたH因子の結果としての相対的吸光度を示すグラフである。
【図3C】図3Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)上に固定されたH因子の結果としての相対的吸光度を示すグラフである。
【図3D】図3Dは、セルロースアセテート(CA)上に固定化されたH因子の結果としての相対的吸光度を示すグラフである。
【図3E】図3Eは、ポリスチレン(PS)上に固定化されたH因子の結果としての相対的吸光度を示すグラフである。
【図4】図4は、未処理のPS、EGAPでコーティングされたポリスチレン、EGAPでコーティングされたPSとインキュベートされた血清試料、そして天然H因子又はEGAPでコーティングされたPSとインキュベートされた血清試料、そしてSPDP修飾H因子とインキュベートされた血清試料中のC3aレベルを示すグラフである。
【図5】図5は、様々な基体上に結合されたH因子に対するEIAの結果を示すグラフである:(A)未処理ステンレス鋼;(B)前処理ステンレス鋼;(C)H因子でコーティングされたステンレス鋼;(D)H因子でコーティングされた前処理ステンレス鋼;(E)F108の後、H因子でコーティングされた前処理ステンレス鋼;(F)EGAPの後、H因子でコーティングされた前処理ステンレス鋼。
【図6A】図6(A)は、ステンレス鋼上に固定化されたH因子の結果として、相対的な吸光度を示すグラフである。
【図6B】図6(B)は、ニチノール上に固定されたH因子の結果としての、相対的吸光度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、以下:
患者への導入のために適合された構造(ここで、該構造は表面を含む);
該医療装置の表面上の界面活性剤が、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化しないか又は脱活性化する、該医療装置の表面上に吸着された界面活性剤の層
を含む、医療装置。
【請求項2】
医療装置が、バルーンカテーテル、A/Vシャント、代用血管(vascular graft)、ステント、ペースメーカーリード、ペースメーカー、心臓弁、カテーテル及びガイドワイヤーからなる群より選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
医療装置が、心肺バイパス装置、プラスマフェレーシス装置、血小板フェレーシス装置、白血球フェレーシス装置、LDL除去装置、血液透析装置、血液濾過フィルター、限外濾過装置、血液潅流装置、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサー、及び後に患者に戻される血液を輸送するために使用されるチューブからなる群より選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
界面活性剤が、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)からなる群より選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
界面活性剤が、ブロックコポリマーを含有する請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
界面活性剤が、疎水性領域及び親水性領域を含むブロックコポリマーを含有する請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
界面活性剤が、PLURONICSブロックコポリマーを含有する請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
界面活性剤が、それに付着した治療物(therapeutic entity)を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
界面活性剤が、式:
【数1】

(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)
を有する化合物を含む、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
治療物が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、抗体又は薬物である、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
治療物が、補体活性化のレギュレータ又はその活性ドメインである請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
補体活性化のレギュレータが、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、コンプスタチン(compstatin)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害剤(SPICE)からなる群より選択される、請求項9に記載の医療装置。
【請求項13】
コポリマーが、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項14】
親水性ドメインがポリエチレンオキサイドを含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項15】
疎水性ドメインが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブタジエン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、フェニルボロン酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項16】
医療装置を表面コーティングでコーティングする方法であって、以下:
医療装置に表面を設けること;
界面活性剤を供給すること;
該医療装置の表面上に界面活性剤を吸着させること;(ここで、該医療装置の表面上の界面活性剤は、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化しないか又は脱活性化する)
を含む方法。
【請求項17】
医療装置が、バルーンカテーテル、A/Vシャント、代用血管、ステント、ペースメーカーリード、ペースメーカー、心臓弁、カテーテル、及びガイドワイヤーからなる群より選択される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医療装置が、心肺バイパス装置、プラスマフェレーシス装置、血小板フェレーシス装置、白血球フェレーシス装置、LDL除去装置、血液透析装置、血液濾過フィルター、限外濾過装置、血液潅流装置、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサー、及び後に患者に戻される血液を輸送するために使用されるチューブからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)からなる群より選択される請求項16に記載の方法。
【請求項20】
界面活性剤が、ブロックコポリマーとともに、医療装置の表面上に吸着される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
界面活性剤が、疎水性領域及び親水性領域を含むブロックコポリマーとともに医療装置の表面上に吸着される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
界面活性剤が、PLURONICSブロックコポリマーとともに医療装置の表面上に吸着される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
界面活性剤が、それに付着した治療物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
界面活性剤が、式:
【数2】

(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)
を有する化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
治療物が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、抗体又は薬物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療物が、補体活性化のレギュレータ又はその活性ドメインである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
補体活性化のレギュレータが、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、コンプスタチン(compstatin)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害剤(SPICE)からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
コポリマーが、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
親水性ドメインがポリエチレンオキサイドを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
疎水性ドメインが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブタジエン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、フェニルボロン酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
式:
【数3】

(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)
を有する、医療装置のコーティング用化合物。
【請求項32】
治療物が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、抗体又は薬物である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
治療物が、凝血レギュレータ又はその活性ドメインである、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
治療物が抗体である請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
治療物が補体活性化のレギュレータ又はその活性ドメインである、請求項31に記載の化合物。
【請求項36】
補体活性化のレギュレータが、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、コンプスタチン(compstatin)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害剤(SPICE)からなる群より選択される、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
コポリマーが、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項31に記載の化合物。
【請求項38】
親水性ドメインがポリエチレンオキサイドを含む、請求項31に記載の化合物。
【請求項39】
疎水性ドメインが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブタジエン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、フェニルボロン酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項31に記載の化合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、以下:
患者への導入のため、あるいは患者の血液又は組織との接触のために適合された構造(ここで、該構造は表面を含む);
該医療装置の表面上の界面活性剤が、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化しないか又は脱活性化する、該医療装置の表面上に吸着された界面活性剤の層
を含む、医療装置。
【請求項2】
医療装置が、バルーンカテーテル、A/Vシャント、代用血管(vascular graft)、ステント、ペースメーカーリード、ペースメーカー、心臓弁、カテーテル及びガイドワイヤーからなる群より選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
医療装置が、心肺バイパス装置、プラスマフェレーシス装置、血小板フェレーシス装置、白血球フェレーシス装置、LDL除去装置、血液透析装置、血液濾過フィルター、限外濾過装置、血液潅流装置、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサー、及び後に患者に戻される血液を輸送するために使用されるチューブからなる群より選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
界面活性剤が、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)からなる群より選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
界面活性剤が、ブロックコポリマーを含有する請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
界面活性剤が、疎水性領域及び親水性領域を含むブロックコポリマーを含有する請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
界面活性剤が、PLURONICSブロックコポリマーを含有する請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
界面活性剤が、それに付着した治療物(therapeutic entity)を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
界面活性剤が、式:
【数1】

(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)
を有する化合物を含む、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
治療物が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、抗体又は薬物である、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
治療物が、補体活性化のレギュレータ又はその活性ドメインである請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
補体活性化のレギュレータが、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、コンプスタチン(compstatin)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害剤(SPICE)からなる群より選択される、請求項9に記載の医療装置。
【請求項13】
コポリマーが、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項14】
親水性ドメインがポリエチレンオキサイドを含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項15】
疎水性ドメインが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブタジエン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、フェニルボロン酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項16】
医療装置を表面コーティングでコーティングする方法であって、以下:
医療装置に表面を設けること;
界面活性剤を供給すること;
該医療装置の表面上に界面活性剤を吸着させること;(ここで、該医療装置の表面上の界面活性剤は、コーティングされていない医療装置の表面に比べて、補体カスケードに対して実質的に活性化しないか又は脱活性化する)
を含む方法。
【請求項17】
医療装置が、バルーンカテーテル、A/Vシャント、代用血管、ステント、ペースメーカーリード、ペースメーカー、心臓弁、カテーテル、及びガイドワイヤーからなる群より選択される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医療装置が、心肺バイパス装置、プラスマフェレーシス装置、血小板フェレーシス装置、白血球フェレーシス装置、LDL除去装置、血液透析装置、血液濾過フィルター、限外濾過装置、血液潅流装置、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサー、及び後に患者に戻される血液を輸送するために使用されるチューブからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)からなる群より選択される請求項16に記載の方法。
【請求項20】
界面活性剤が、ブロックコポリマーとともに、医療装置の表面上に吸着される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
界面活性剤が、疎水性領域及び親水性領域を含むブロックコポリマーとともに医療装置の表面上に吸着される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
界面活性剤が、PLURONICSブロックコポリマーとともに医療装置の表面上に吸着される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
界面活性剤が、それに付着した治療物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
界面活性剤が、式:
【数2】

(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)
を有する化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
治療物が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、抗体又は薬物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療物が、補体活性化のレギュレータ又はその活性ドメインである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
補体活性化のレギュレータが、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、コンプスタチン(compstatin)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害剤(SPICE)からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
コポリマーが、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
親水性ドメインがポリエチレンオキサイドを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
疎水性ドメインが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブタジエン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、フェニルボロン酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
式:
【数3】

(式中、該コポリマーは、1以上の親水性ドメイン及び少なくとも1つの疎水性ドメインを含む)
を有する、医療装置のコーティング用化合物。
【請求項32】
治療物が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、抗体又は薬物である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
治療物が、凝血レギュレータ又はその活性ドメインである、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
治療物が抗体である請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
治療物が補体活性化のレギュレータ又はその活性ドメインである、請求項31に記載の化合物。
【請求項36】
補体活性化のレギュレータが、H因子、H因子様タンパク質1(FHL−1)、H因子関連タンパク質(FHR−3、FHR−4)、C4結合タンパク質(C4bp)、補体受容体1(CR1)、コンプスタチン(compstatin)、崩壊促進因子(DAF)、メンブランコファクタープロテイン(MCP)、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)及び補体酵素の天然痘阻害剤(SPICE)からなる群より選択される、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
コポリマーが、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO及びポリブタジエン、PEO及びポリ(N−アセチルエチレンイミン)、PEO及びフェニルボロン酸、PEO及びポリウレタン、PEO及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、ならびにPEO及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項31に記載の化合物。
【請求項38】
親水性ドメインがポリエチレンオキサイドを含む、請求項31に記載の化合物。
【請求項39】
疎水性ドメインが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブタジエン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、フェニルボロン酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリジメチルスルフォキサイドからなる群より選択されるポリマーユニットを含む、請求項31に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2006−510396(P2006−510396A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546970(P2004−546970)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033348
【国際公開番号】WO2004/037310
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505148265)アルヴィヴォ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】