説明

生理活性な脂肪酸とオリゴマープロアントシアニジンを含有する経口投与のための調製物

本発明は、(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに、(b)オリゴマープロアントシアニジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、を含有する経口投与のための調製物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは食品添加物またはサプルメントに、より具体的には、特別の不飽和脂肪酸を特別のポリフェノールと共に含有する経口適用のための新規調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって、食品添加物の市場が極めて顕著に増大している。消費者の間で、例えば典型的にはビタミンのように、やや無差別な方法で身体の健康を利用し、身体防御を高める製品、ならびに、例えば脂肪分解または筋肉増強を促進する健康食品または食品サプルメントとして知られる製品の両方が求められている。例えば、国際特許出願公開WO97/46230(WARF)によれば、共役リノール酸をこの目的に使用することができる。食品サプルメントの市場増大の別の例は、「化粧的内面」または「美容的内面」の見出しのもとに置くことができる。ここでの目的は、皮膚、毛髪および指爪の生理的機能を助けること、ならびに、例えば皮膚老化などの現象を遅延させることである。例えばカロチノイドがこのような適用に長く知られており、日光に対する保護を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、例えば共役リノール酸またはその誘導体などの物質の既知のリポゲナーゼ阻害特性を高めること、ならびに、性能プロフィールに新規特性を加えること、即ち、皮膚の水分含量を調節することの両方であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに
(b)オリゴマープロアントシアノリジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、
を含有する経口適用のための調製物に関する。
【発明の効果】
【0005】
驚くべきことに、経口摂取したときに、長鎖の不飽和脂肪酸と特別のポリフェノールの組合せが、相乗的に改善されたリポゲナーゼ阻害を導き、液体排出を増大させることがわかった。これらの効果を利用して、例えば食餌療法において体脂肪の分解を助け、皮膚の水分含量を調節し、こうして、乾燥皮膚の症状に効果的に対抗することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
生理活性な脂肪酸
成分(a)として使用する生理活性な脂肪酸の共通の基準は、それらが十分に長い脂質成分および十分な数の二重結合を有することである。即ち、18〜24個の炭素原子および2〜5個の二重結合を含む脂肪酸がこの目的に適している。
【0007】
本発明の第1の態様において、共役リノール酸(CLA)、そのエステル(より具体的には、1〜4個の炭素原子を含む低級脂肪族アルコールとのエステル)、またはそのグリセリド(より具体的には、合成トリグリセリド)を、この目的に使用する。これらは全て既知物質であり、通常は、アザミ油または対応するアルキルエステルの塩基触媒異性化およびその後の酵素加水分解によって製造される。CLAまたはCLA誘導体がある種の仕様を満たすのが有利であることがわかった。この仕様によれば、そのアシル成分は、少なくとも30重量%のt10,c12異性体、少なくとも30重量%のc9,t11異性体、および合計して1重量%未満の8,10-、11,13-およびt,t-異性体を含有する。対応する製品は、例えば、Tonalin CLA-80 (Cognis)の名称で市販されている(本明細書において、は登録商標を表す)。
【0008】
第2の別態様において、成分(a)は、いわゆるω-3脂肪酸からなっていてもよく、この脂肪酸は、通常は18〜26個、より具体的には20〜22個の炭素原子、および少なくとも4〜6個の二重結合を含んでいる。これらの物質も、有機化学の通常の方法によって、例えば、独国特許DE3926658C2(Norsk Hydro)に記載のように、魚油のエステル交換反応、得られたアルキルエステルの尿素沈殿、およびその後の非極性溶媒による抽出によって得ることができる。ω-3の(全-Z)-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)C20:5および(全-Z)-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6に富む脂肪酸混合物が、このようにして得られる。このような製品は、例えば、Omacor (Pronova)の名称で市販されている。
【0009】
オリゴマープロシアノリジン
成分(b)として使用される最初のオリゴマープロシアノリジンは、Masquellierによってブドウ種子から単離された。これは、モノマー単位として、植物中に広く含まれるタンニンを含有する。化学的には、2種類のタンニン、即ち縮合した形態(プロシアニジンA2を含む)、および加水分解されたタンニンが存在する。縮合したタンニン(フラボランとしても知られる)は、モノマー[例えば、カテキン、ガロカテキン、アフゼレキン(2-R、3-S型モノマー)ならびにエピカテキン、エピガロカテキン、エピアフゼレキン(2-R、3-R型モノマー)など]の縮合による生合成において得られる。初めにダイマーそして次に高級オリゴマーが、モノマーの縮合によって得られる(この縮合は、4-8または6-8位におけるC-C結合の形成によって起こる)。プロアントシアニジンA2型の好ましいA2ダイマーの場合には、1つの二重結合が存在する(即ち、C2>0>C7およびC4>C8)。この構造を以下に示す:
【化1】

【0010】
A2型のプロアントシアニジンは、B型よりも加水分解を受けにくい。また、この用語は、縮合タンニンの群に対して同義に使用される(これらタンニンが熱い無機酸の作用下にモノマーを脱離するため)。基本的に、プロアントシアニジンは合成によることができるが、有効量のOPCまたはA2ダイマーを含有する豊富化生成物(これらは、ある種の果実、種子、植物または植物部分の抽出によって得ることができる)が、実際的な観点から好ましい。その供給源には、特に、緑茶(Camellia sinensis)、マツ樹皮(Pinia silvestris)、ブドウ種子(Vitis vinifera)、レイシ果皮(Litchi sinensis)、キンロバイ(Potentille erecta)、およびこれらの混合物が含まれる。
【0011】
他の適する添加物は、ガラナ(Guarana)およびジャバ茶(Java tea)のカフェイン含有の収斂性または利尿性の抽出物である。
【0012】
抽出
プロアントシアニリドン含有抽出物は、自体既知の方法によって、即ち、例えば植物またはその部分または葉または果実の、水抽出、アルコール抽出または水/アルコール抽出によって製造することができる。適する抽出法は、通常の抽出法のいずれか、例えば、冷浸、再冷浸、温浸、撹拌冷浸、うず抽出、超音波抽出、向流抽出、パーコレーション、再パーコレーション、エバコレーション(減圧下での抽出)、ディアコレーション、および連続還流下での固/液抽出などである。パーコレーションが、工業的使用のために有利である。新鮮な植物またはその部分が出発物質として適しているが、乾燥植物および/または植物部分(これは、抽出前に機械的にそのサイズを小さくしてよい)を使用するのが普通である。当業者には既知である任意のサイズ減少法(例えば凍結粉砕)を使用することができる。抽出法のための好ましい溶媒は、有機溶媒、水(好ましくは80℃以上、より具体的には95℃以上の温度を有する熱水)、または有機溶媒と水の混合物、より具体的には、多かれ少なかれ高い含水量を有する低分子量アルコールである。メタノール、エタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、酢酸エチル、ならびに、これらの混合物およびこれらの含水混合物による抽出が特に好ましい。抽出過程を、通常は20〜100℃、好ましくは30〜90℃、より具体的には60〜80℃で行う。1つの好ましい態様において、抽出過程を、不活性ガス雰囲気中で行って、抽出物成分の酸化を回避する。これは、抽出を40℃以上の温度で行うときに、特に重要である。抽出時間は、出発物質、抽出法、抽出温度および溶媒と原料の比率などに依存して、当業者により選択される。抽出過程の後に、得られた粗抽出物を、所望により、他の通常の工程(例えば、精製、濃縮および/または脱色など)にかけることができる。必要であれば、このように調製した抽出物を、例えば、個々の望ましくない成分の選択的除去にかけることができる。抽出過程は、任意の程度まで行うことができるが、通常は枯渇するまで続ける。乾燥した葉の抽出における通常の収率(=原料の使用量に基づく抽出物乾燥分)は、3〜15重量%、より具体的には6〜10重量%の範囲内である。本発明は、抽出条件および最終抽出物の収率を所望の適用に応じて選択しうるという観察を包含する。通常は0.5〜10重量%の活性物質含量(=固体含量)を有するこれらの抽出物を、そのまま使用することができるが、溶媒を、乾燥によって、より具体的には噴霧または凍結乾燥によって完全に除去することもできる。また、抽出物を、上記した純粋な活性物質を製造するための出発物質として使用することもできる(それらを、より簡単かつ安価な方法で合成することができないとき)。従って、抽出物中の活性物質含量は、5〜100重量%、好ましくは50〜95重量%であろう。抽出物それ自体は、含水調製物としておよび/または有機溶媒中に溶解した調製物として、ならびに、噴霧乾燥または凍結乾燥した水不含の固体として存在することができる。この場合に適する有機溶媒は、例えば、1〜6個の炭素原子を含む脂肪族アルコール(例えばエタノール)、ケトン(例えばアセトン)、ハロゲン化炭化水素(例えばクロロホルムまたは塩化メチレン)、低級エステルまたはポリオール(例えばグリセロールまたはグリコール)である。
【0013】
成分(a)および(b)は、90:10〜10:90の重量比で使用するのが好ましく、特別の相乗効果が、75:25〜25:75の範囲内、特に60:40〜40:60の範囲内で観察される。
【0014】
カプセル封入
本発明のある特定の態様において、経口調製物を、カプセル封入された形態で、例えば通常のゼラチンマクロカプセルの形態で、しかし好ましくはミクロカプセル封入された形態で使用する。典型的なゼラチンカプセルは、例えば、毎日の経口適用のために3gのCLAおよび150mgのOPCを含有することができる。
【0015】
「ミクロカプセル」とは、少なくとも1つの連続した膜によって囲まれた少なくとも1つの固体または液体のコアを含有する、直径が約0.0001〜5mmの球状集合体であると当業者には理解されている。より正確には、これらは、皮膜形成ポリマーで被覆された微細分散した液相または固相であり、その製造において、ポリマーは、乳化およびコアセルベーションまたは界面重合の後に、カプセル封入される物質上に堆積する。別の方法においては、溶融したワックスを母材(「ミクロスポンジ」)中に吸収させ、これを、ミクロ粒子として、皮膜形成ポリマーでさらに被覆することができる。顕微鏡的に小さいカプセル(ナノカプセルとしても知られる)は、粉末と同じように乾燥することができる。単一コアのミクロカプセルの他に、複数コアの集合体(ミクロスフェアとしても知られる)も存在し、これは、連続した膜材料中に分布した2つまたはそれ以上のコアを含有する。さらに、単一コアまたは複数コアのミクロカプセルを、追加の第2、第3などの膜で囲むことができる。膜は、天然、半合成または合成材料からなっていてよい。天然の膜材料は、例えば、アラビアゴム、寒天、アガロース、マルトデキストリン、アルギン酸およびその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムまたはカルシウム)、脂肪および脂肪酸、セチルアルコール、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゼラチン、アルブミン、セラック、多糖(例えば、デンプンまたはデキストラン)、ポリペプチド、タンパク質加水分解物、スクロースおよびワックスである。半合成の膜材料は、特に、化学的に修飾したセルロース、より具体的にはセルロースエステルおよびエーテル、例えば酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、およびデンプン誘導体、より具体的にはデンプンエーテルおよびエステルである。合成の膜材料は、例えばポリマー、例えばポリアクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンである。
【0016】
既知のミクロカプセルの例は、下記の市販製品である(膜材料を括弧内に示す):Hallcrest Microcapsules (ゼラチン、アラビアゴム)、Coletica Thalaspheres (海洋コラーゲン)、Lipotec Millicapseln (アルギン酸、寒天)、Induchem Unispheres (ラクトース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、Unicerin C30 (ラクトース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、Kobo Glycospheres (修飾デンプン、脂肪酸エステル、リン脂質)、Softspheres (修飾寒天)、Kuhs Probiol Nanospheres (リン脂質)、PrimaspheresおよびPrimasponges (キトサン、アルギネート)およびPrimasys (リン脂質)。
【0017】
キトサンミクロカプセルおよびその製造方法は、出願人による先行特許出願の対象である(国際特許出願公開WO01/01926、WO01/01927、WO01/01928、WO01/01929)。活性成分を含む母材と膜からなる平均直径が0.0001〜5mm、好ましくは0.001〜0.5mm、より具体的には0.005〜0.1mmであるミクロカプセルは、例えば、下記のようにして得ることができる:
(a1)ゲル形成剤、キトサンおよび活性成分から母材を調製し;
(a2)所望により、該母材を油相中に分散させ;そして
(a3)該分散させた母材を陰イオン性ポリマーの水溶液で処理し、所望により、過程において油相を除去する;
または
(b1)ゲル形成剤、陰イオン性ポリマーおよび活性成分から母材を調製し;
(b2)所望により、該母材を油相中に分散させ;そして
(b3)該分散させた母材をキトサン水溶液で処理し、所望により、過程において油相を除去する;
または
(c1)水性の活性成分調製物を乳化剤の存在下に油成分で処理して、o/wエマルジョンを形成させ;
(c2)このようにして得たエマルジョンを陰イオン性ポリマーの水溶液で処理し;
(c3)このようにして得た母材をキトサン水溶液と接触させ;そして
(c4)このようにして得たカプセル封入された生成物を水相から取り出す。
【0018】
ゲル形成剤
本発明の目的に好ましいゲル形成剤は、40℃以上の温度で水溶液においてゲルを形成することができる物質である。このようなゲル形成剤の代表例は、ヘテロ多糖およびタンパク質である。好ましい熱ゲル化ヘテロ多糖は、紅藻から得られる寒天の形態で存在しうるアガロースである(30重量%までの非ゲル形成性アガロペクチンをも含む)。アガロースの主要成分は、交互のβ-1,3-およびβ-1,4-グリコシド結合を有するD-ガラクトースおよび3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースの直鎖多糖である。このヘテロ多糖は、好ましくは、分子量が110,000〜160,000であり、無味無臭である。適する代替物は、ペクチン、キサンタン(キサンタンゴムを含む)およびこれらの混合物である。他の好ましい種類は、1重量%水溶液において、80℃以下で溶融せず40℃以上で再び固化するゲルをなお形成するものである。熱ゲル化タンパク質の群からの例は、種々のゼラチンである。
【0019】
キトサン
キトサンは、ヒドロコロイドの群に属するバイオポリマーである。化学的には、これらは、分子量が異なる部分的に脱アセチル化されたキチンであり、下記の理想化したモノマー単位を含有する:
【化2】

【0020】
生物学的pH値において負に荷電している多くのヒドロコロイドとは対照的に、キトサンは、この条件下で陽イオン性のバイオポリマーである。正に荷電しているキトサンは、反対に荷電した表面と相互作用することができ、従って、毛髪ケアおよび身体ケア用の化粧製品および医薬調製物において使用される。キトサンは、キチンから、好ましくは安価な原料として大量に入手可能な甲殻類の殻残留物から製造される。Hackmannらによって初めて記載された方法においては、キチンを、通常はまず塩基の添加によって脱タンパク質化し、無機酸の添加によって脱塩し、最後に、強塩基の添加によって脱アセチル化する。その分子量は、広い範囲に分布する。好ましい種類は、平均分子量が10,000〜500,000ダルトンまたは800,000〜1,200,000ダルトンであり、そして/またはブルックフィールド粘度(グリコール酸中で1重量%)が5,000mPas以下であり、脱アセチル化度が80〜88%であり、灰分含量が0.3重量%未満であるものである。水への良好な溶解性の観点から、キトサンは、その塩の形態で使用されるのが普通であり、好ましくはグリコール酸塩として使用される。
【0021】
油相
膜の形成前に、所望により、母材を油相中に分散させることができる。この目的に適する油は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベ(Guerbet)アルコール、直鎖C6-22脂肪酸と直鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C6-13カルボン酸と直鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシルなどである。また適するのは、直鎖C6-22脂肪酸と分岐鎖アルコール(より具体的には2-エチルヘキサノール)とのエステル、ヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル(より具体的にはマレイン酸ジオクチル)、直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-18脂肪酸に基づく液体のモノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(より具体的には安息香酸)とのエステル、C2-12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルコールあるいは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖の第一アルコール、置換されたシクロヘキサン、直鎖および分岐鎖C6-22脂肪アルコールカーボネート、ゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐鎖C6-22アルコールとのエステル(例えばFinsolv TN)、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンなど)である。
【0022】
陰イオン性ポリマー
陰イオン性ポリマーの機能は、キトサンとの膜を形成させることである。好ましい陰イオン性ポリマーはアルギン酸の塩である。アルギン酸は、下記の理想化したモノマー単位を有するカルボキシル含有多糖の混合物である:
【化3】

【0023】
アルギン酸またはアルギン酸塩の平均分子量は、150,000〜250,000の範囲内である。アルギン酸の塩ならびにその完全および部分中和生成物とは、特に、アルカリ金属塩、好ましくはアルギン酸ナトリウム(「アルギン」)、ならびに、アンモニウム塩およびアルカリ土類金属塩であると理解される。混合アルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム/マグネシウムまたはアルギン酸ナトリウム/カルシウムが特に好ましい。しかし、本発明の別の態様においては、陰イオン性キトサン誘導体(例えばカルボキシル化生成物、特にスクシニル化生成物)も、この目的に適している。また、ポリ(メタ)アクリレート(5,000〜50,000ダルトンの平均分子量を有する)および種々のカルボキシメチルセルロースを使用することもできる。陰イオン性ポリマーの代わりに、陰イオン性界面活性剤または低分子量無機塩(例えばピロリン酸塩など)を、膜形成のために使用することもできる。
【0024】
ミクロカプセルの製造方法
ミクロカプセルを製造するために、通常は、ゲル形成剤(好ましくは寒天)の1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%水溶液を調製し、還流下に加熱する。0.1〜2重量%、好ましくは0.25〜0.5重量%の量のキトサンおよび0.1〜25重量%、好ましくは0.25〜10重量%の量の活性物質を含有する第2の水溶液を、還流加熱下に、好ましくは80〜100℃において添加する(この混合物を母材と称する)。従って、ミクロカプセルへの活性物質の充填は、カプセルの重量を基準に、0.1〜25重量%を構成することができる。必要であれば、水不溶性の成分(例えば無機顔料)を、この段階で粘度調整のために、通常は水性分散液または水性/アルコール性分散液の形態で添加することができる。さらに、活性物質を乳化または分散させるため、乳化剤および/または可溶化剤を母材に添加するのが有用でありうる。ゲル形成剤、キトサンおよび活性物質からの調製の後に、所望により、この母材を、激しく剪断しながら油相中に極めて微細に分散させて、次のカプセル封入過程において小さい粒子を製造することができる。これに関して、母材を40〜60℃の範囲内の温度に加熱し、一方、油相を10〜20℃まで冷却するのが特に有利であることがわかった。実際のカプセル封入、即ち、母材中のキトサンを陰イオン性ポリマーと接触させることによる膜の形成は、最後の必須工程において行う。この目的のために、所望により油相中に分散している母材を、陰イオン性ポリマーの約1〜50重量%、好ましくは10〜15重量%水溶液により、40〜100℃の温度、好ましくは50〜60℃の温度で洗浄し、そして必要なら、油相を同時にまたは後に除去するのが望ましい。得られる水性調製物は、通常は1〜10重量%のミクロカプセル含量を有する。ある場合には、ポリマー溶液が他の成分(例えば、乳化剤または防腐剤)を含有するのが有利であることもある。濾過の後に、好ましくは約1mmの平均直径を有するミクロカプセルが得られる。カプセルをふるいにかけて、均一なサイズ分布を確実にするのが望ましい。このようにして得たミクロカプセルは、製造に関係した制限内で任意の形状を有することができるが、好ましくは実質的に球形である。別法によれば、陰イオン性ポリマーを母材の調製に使用し、カプセル封入をキトサンによって行うこともできる
【0025】
本発明のミクロカプセルを製造するための別の方法は、最初にo/wエマルジョンを調製することを含んでなる。このエマルジョンは、油成分、水および活性成分に加えて、有効量の乳化剤を含有する。母材を形成させるために、この調製物に、適切量の陰イオン性ポリマー水溶液を、激しく撹拌しながら添加する。キトサン溶液の添加によって膜が形成される。好ましくは、全過程を、穏やかな酸性pH3〜4で行う。必要であれば、このpHを、無機酸の添加によって調整する。膜の形成後に、pHを、例えばトリエタノールアミンまたは別の塩基の添加によって、5〜6の数値まで上昇させる。これにより粘度の増大が得られ、これを、他の増粘剤(例えば多糖、より具体的にはキサンタンゴム、グアーゴム、寒天、アルギン酸塩およびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、比較的高分子量のポリエチレングリコールと脂肪酸とのモノおよびジエステル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミドなど)の添加によって維持することができる。最後に、ミクロカプセルを、例えばデカンテーション、濾過または遠心によって、水相から分離する。
【0026】
産業上の利用
経口摂取した本発明の調製物は、皮膚における排水機能およびリポゲナーゼ活性の相乗的に改善された抑制を示す。従って、本発明は、
(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに
(b)オリゴマープロアントシアノリジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、
を含有する混合物の使用であって、
食品添加物、より具体的には、ヒトまたは動物生体内の体脂肪を減少させるためおよび皮膚の水分含量を調節するための食品添加物を製造するための使用にも関する。
【実施例】
【0027】
実施例1
撹拌機および還流コンデンサーを装着した500mlの三口フラスコにおいて、寒天(3g)を水(200ml)に還流加熱下に溶解した。初めに、水(90ml)中のグリセロール(10g)の溶液、次いで、水(64g)中の10重量%水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、共役リノール酸(Tonalin CLA-80)(1g)、乾燥 Vitis vinifera 抽出物(1g)、Phenonip(0.5g)およびPolysorbate-20(Tween 20、ICI)(0.5g)の調製物を、激しく撹拌しながら約30分間かけて混合物に添加した。得られた母材を濾過し、60℃まで加熱し、水中のキトサングリコレートの1重量%溶液に滴下した。次いで、同じ直径のミクロカプセルを得るために、調製物をふるいにかけた。
【0028】
実施例2
撹拌機および還流コンデンサーを装着した500mlの三口フラスコにおいて、寒天(3g)を水(200ml)に還流加熱下に溶解した。初めに、水(90ml)中のグリセロール(10g)の溶液、次いで、水(64g)中の10重量%水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、工業用ω-3魚脂肪酸混合物(Omacor)(1g)、乾燥 Vitis vinifera 抽出物 K(1g)、Phenonip(0.5g)およびPolysorbate-20(Tween 20、ICI)(0.5g)の調製物を、激しく撹拌しながら約30分間かけて混合物に添加した。得られた母材を濾過し、60℃まで加熱し、水中のキトサングリコレートの1重量%溶液に滴下した。次いで、同じ直径のミクロカプセルを得るために、調製物をふるいにかけた。
【0029】
実施例3
撹拌機および還流コンデンサーを装着した500mlの三口フラスコにおいて、寒天(3g)を水(200ml)に還流加熱下に溶解した。初めに、水(90ml)中のグリセロール(10g)の溶液、次いで、水(64g)中の10重量%水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、CLAトリグリセリド(Tonalin CLA-TG)(1g)、乾燥マツ樹皮抽出物(1g)、Phenonip(0.5g)およびPolysorbate-20(Tween 20、ICI)(0.5g)の調製物を、激しく撹拌しながら約30分間かけて混合物に添加した。得られた母材を濾過し、60℃まで加熱し、水中のキトサングリコレートの1重量%溶液に滴下した。次いで、同じ直径のミクロカプセルを得るために、調製物をふるいにかけた。
【0030】
実施例4
撹拌機および還流コンデンサーを装着した500mlの三口フラスコにおいて、寒天(3g)を水(200ml)に還流加熱下に溶解した。初めに、水(90ml)中のグリセロール(10g)の溶液、次いで、水(64g)中の10重量%水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、共役リノール酸(Tonalin CLA-80)(1g)、乾燥 Lichi chinensis 抽出物(1g)、Phenonip(0.5g)およびPolysorbate-20(Tween 20、ICI)(0.5g)の調製物を、激しく撹拌しながら約30分間かけて混合物に添加した。得られた母材を濾過し、60℃まで加熱し、水中のキトサングリコレートの1重量%溶液に滴下した。次いで、同じ直径のミクロカプセルを得るために、調製物をふるいにかけた。
【0031】
実施例5
撹拌機および還流コンデンサーを装着した500mlの三口フラスコにおいて、寒天(3g)を水(200ml)に還流加熱下に溶解した。初めに、水(90ml)中のグリセロール(10g)の溶液、次いで、水(64g)中の10重量%水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、共役リノール酸(Tonalin CLA-80)(1g)、乾燥 Camellia sinensis 抽出物(1g)、Phenonip(0.5g)およびPolysorbate-20(Tween 20、ICI)(0.5g)の調製物を、激しく撹拌しながら約30分間かけて混合物に添加した。得られた母材を濾過し、60℃まで加熱し、水中のキトサングリコレートの1重量%溶液に滴下した。次いで、同じ直径のミクロカプセルを得るために、調製物をふるいにかけた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに
(b)オリゴマープロアントシアノリジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、
を含有する経口適用のための調製物。
【請求項2】
成分(a)として共役リノール酸、そのエステルまたはグリセリドを含有することを特徴とする請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
成分(a)として、共役リノール酸(CLA)、そのエステルまたはグリセリドを含有し、そのアシル成分が、少なくとも30重量%のt10,c12異性体、少なくとも30重量%のc9,t11異性体、および合計して、1重量%未満の8,10-、11,13-およびt,t-異性体を含有することを特徴とする請求項2に記載の調製物。
【請求項4】
成分(a)としてω-3脂肪酸を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調製物。
【請求項5】
成分(b)としてプロアントシアニジンA2型のOPCを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調製物。
【請求項6】
成分(b)として、Camellia sinensis、Pinia silvestris、Vitis vinifera、Litchi chinensis、Potentille erectaおよびこれらの混合物からなる群から選択される植物の抽出物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調製物。
【請求項7】
成分(a)および(b)を90:10〜10:90の重量比で含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調製物。
【請求項8】
カプセル封入された形態で存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の調製物。
【請求項9】
食品添加物の製造のための、
(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに
(b)オリゴマープロアントシアノリジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、
を含有する混合物の使用。
【請求項10】
ヒトまたは動物器官の体脂肪を減少させるための、
(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに
(b)オリゴマープロアントシアノリジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、
を含有する混合物の使用。
【請求項11】
皮膚の水分含量を調節するための、
(a)16〜26個の炭素原子および2〜6個の二重結合を含む生理活性な脂肪酸、そのエステルまたはグリセリド、ならびに
(b)オリゴマープロアントシアノリジン(OPC)またはそれを含む植物抽出物、
を含有する混合物の使用。

【公表番号】特表2006−525002(P2006−525002A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504984(P2006−504984)
【出願日】平成16年4月3日(2004.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003558
【国際公開番号】WO2004/089114
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】