説明

生産システム及び生産方法

【課題】仕様の異なる複数の製品を混合して生産する場合に、製品納入までの期間を需要の変化に応じて柔軟に変更することのできる生産システム及び生産方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数品種の製品の生産システムは、複数の製品間で共通して適用できる上流工程に対し、分流し得る複数の下流工程を有している。この上流工程及び下流工程は、一つ又は複数の工程を含んで編成される。上流工程及び下流工程は、機能が異なる複数の製造設備によって生産ラインが構築される。このような生産システムは、受注納品管理システム、設計管理システム、工程管理システムを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕様の異なる複数の製品を製造する生産システム及び生産方法に関する。特に、複数の工程を含み、上流工程に対して分流し得る複数の下流工程が存在する複数の製品を製造する生産システム及び生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市場の多様化に応じるために、多品種少量生産方式が多くの製造現場で適用されている。この方式では、製造ラインの損益分岐点を確保して利益を上げるために、量産品における生産システムの最適化をする必要がある。そのために、企業資源計画システムを活用して、在庫管理や部品調達を最適化するなどの措置がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−58225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生産者にとって、需要が着実に増大していく場合には、見込み生産の導入によって、顧客への納期の短縮化と製造コストの低減の両立を図ることが容易である。しかし、数ヶ月から半年程度で新製品に入れ替えて需要を喚起する電気器具のように、ライフサイクルが短い製品については、中長期的な生産計画を立てることが非常に困難である。さらに、技術革新の早い今日においては製品の陳腐化が急速に進行するリスクがあり、単なる見込み生産では、需要が急減したときに不良在庫を多量に抱え込む危険がある。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、仕様の異なる複数の製品を混合して生産する場合に、製品納入までの期間を需要の変化に応じて柔軟に変更することのできる生産システム及び生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数品種の製品の生産システムに係り、複数の製品間で共通して適用できる上流工程に対し、分流し得る複数の下流工程を有している。この上流工程及び下流工程は、一つ又は複数の工程を含んで編成される。上流工程及び下流工程は、機能が異なる複数の製造設備によって生産ラインが構築される。
【0006】
本発明に係る生産システムは、受注納品管理システム、設計管理システム、工程管理システムを有している。
【0007】
受注納品管理システムは、工程管理システムの受注管理手段に、受注製品の品種、数量、納期などの情報を通知する受注管理手段を有している。また、受注管理手段は、受注製品の品種、仕様等が新規である場合には、設計管理システムの受注管理手段に当該情報を通知する。受注納品管理システムには、工程管理システムから出荷品情報及び工場在庫情報が通知される納品管理手段が備えられている。
【0008】
設計管理システムは、新規品種のシステム設計、論理設計、レイアウト設計等を行うIP設計手段、そのIP情報に基づいて製造工程の設計を行う工程設計手段、IP設計及び工程設計の検証を行う設計検証手段を備えている。
【0009】
工程管理システムは、製品を生産するためにロットと呼ばれる一群の纏まりを編成する工程編成手段、当該ロットに対して適合する工程仕掛品の有無を工程管理テーブルから検索する適合ロット検索手段、製造管理手段に工程の指示を与える工程指示手段を備えている。また、生産ライン上における工程仕掛品の管理及び製造設備の管理を行う製造管理手段、製造工程を終えて出荷される製品又は半製品の製造番号、数量、日時などの出荷品情報を管理する出荷管理手段、工場在庫を管理する在庫管理手段を備えている。
【0010】
この生産システムによれば、工程編成手段、適合ロット検索手段、工程指示手段によって、生産ラインに流れる複数の製品に対し、その需要の変化に応じて、ある製品仕様から他の製品仕様に適合するように、工程変更の指示を出し、複数種の製品の生産量を調整することができる。
【0011】
本発明に係る複数品種の製品の生産方法は、一つ又は複数の工程を含んで構成される上流工程と、複数の工程を含んで構成される下流工程によって、複数品種の製品の生産を行う方法である。上流工程は、複数の製品間で共通して適用できる工程を行い、下流工程はそれぞれの製品に対応して分流し得る複数の工程を行う。下流工程において、その中から選択される一の工程は、複数品種の製品間において互換可能な共通工程であり、他工程は、複数品種の製品間において専用工程を行うものである。
【0012】
この生産方法によれば、下流工程において、生産ラインに流れる複数の製品に対し、その需要の変化に応じて、ある製品仕様から他の製品仕様に適合するように、工程仕掛品を途中から他の工程に振り替えることができ、複数種の製品の生産量を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の製品の製造に共通して適用できる工程を上流工程に設け、下流工程において当該複数の製品の製造において特有な工程と互換可能な工程を配置した生産ラインの設計をすることにより、生産性を高めることができる。すなわち、個々の製品の需要に応じて、生産量を柔軟に調整することができる。そのことにより、不良在庫や不良中間在庫を増やすことなく、顧客の要望に応じた生産をすることが可能となる。また、一方の品種に需要が偏った場合でも、製造装置の駆動率を一定量維持した状態で生産をすることができ、損益分岐点を下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
本発明に係る複数品種の製品の生産システムは、受注及び納品管理システム、設計システム、工程管理システムという異なる機能を持ったシステムがネットワーク接続して構成されている。これらのシステムは、有機的に結合して、相互に関連をもっている。図1は、本実施の形態で示す生産システムの一態様を示している。
【0016】
図1は、営業部門、設計部門、製造部門に属する各システムと、その関連を示している。図1に示す生産システムは、受注納品管理システム2001、設計管理システム2002、工程管理システム2003で構成されている。受注納品管理システム2001は営業部門に属している。設計管理システム2002は設計部門に属している。工程管理システム2003は製造部門に属している。これらの部門名は機能的にそれに類する組織体であれば、その称呼は図1の表記に限定されない。また、これらの部門は、複数品種の製品の製造を担う、一又は複数の法人若しくはそれに類する団体に所属する。
【0017】
工程管理システム2003は、製造管理手段210、受注管理手段206、工程編成手段207、適合ロット検索手段208、工程指示手段209、工程管理テーブル211、工程仕様適合テーブル217を含んで構成されている。製造管理手段210は、生産ライン212を構成する製造設備213の稼働管理を行い、設備の運転状況の監視を行う。製造設備213は、一又は複数の生産機械を含んで構成されている。また、製造管理手段210は、生産ライン212上にある工程仕掛品の進捗状況を管理する。そして、製造管理手段210は、工程仕掛品が製造設備213によって適切に処理されるように、処理条件の管理を行う。この場合において管理とは、製造装置を制御するプログラム若しくはそのプログラムと関連付けられる処理条件を記録したレシピなどが適切に選択され、又は動作しているかを監視する作業を含んでいる。
【0018】
この製造管理手段210を制御する情報は、工程指示手段209により与えられる。工程指示手段209が製造管理手段210に送る情報は、営業部門から送られてくる製品の受注状況に基づいている。顧客からの注文情報が入力される受注納品管理システム2001における受注管理手段201は、製品の品番、数量、納期などの受注情報を受注管理手段206に送信する。受注管理手段206は、受注情報を製品毎に分類して、受注量、納期などを把握するためのデータベースとしての機能も備えている。受注管理手段201から送られてくる情報は、機能が異なる複数の製品、機能が同じ又は類似で仕様の異なる製品、機能が同じ又は類似で仕様の一部のみが異なる製品など様々な製品の注文に関する情報が含まれている。
【0019】
受注管理手段206は、受注情報に基づいて、製品毎の情報を工程編成手段207に送信する。工程編成手段207では、製品毎の情報を、さらに共通の仕様に分類し、生産ロットと呼ばれる一群のまとまりを編成する。生産ロットとは、生産における単位としての、同一製品の集まりをいう。工程編成手段207は、工程条件テーブルから、あらかじめ設定されている複数の工程の中から、各生産ロットに適合する工程を選び出し、それぞれの生産ロットに割り付ける作業を行う。こうして、各生産ロットの工程が決められる。
【0020】
適合ロット検索手段208は、工程仕様適合テーブル217を参照して、あらかじめ定められている仕様の適合範囲を逸脱していなかなどについて確認を行う。さらに、その時に生産ラインにある工程仕掛品の内、適合する生産ロットの有無を工程管理テーブル211から検索して情報を抽出する。そして、受注製品に対応して工程編成手段207で編成された生産ロットに適合するものが、現在生産ライン上に存在するか否かを調べる。適合する生産ロットがある場合には、その数と工程の進捗度合いに関する情報を、工程指示手段209に通知する。工程指示手段209は、編成された生産ロットの処置を決める。すなわち新規生産ロットを投入するか、工程仕掛中の生産ロットの中から適当なものを選択して、それをあてがうかの判断を行う。そして、その結果を製造管理手段210に通知して、生産ロットの編成に関する情報を提供する。
【0021】
この作業は、見込み生産で常に一定の割合で複数品種のロットが、生産ライン上に流れている場合、その効果を発揮する。すなわち受注製品に対応する生産ロットが工程仕掛品の中にあれば、その生産ロットを受注製品に適合させることにより、工程を最初から行う必要はないので工程期間が短縮され、受注製品の納期を早めることができる。また、受注生産のみを行う場合には、適合ロット検索手段208を省略することも可能である。しかし、受注品の納期を最優先にするような場合には、先行受注ロットを納期優先の後発受注ロットに振り替えるような場合に有効に活用することができる。
【0022】
製造工程を終了した物品の出荷管理は、出荷管理手段214により行う。また在庫を管理する在庫管理手段215を備えている。出荷管理手段214と在庫管理手段215は営業部門の納品管理手段216と相互に通信可能としてあり、このようにして物品の流通管理を行うことができる。
【0023】
受注した製品が特別仕様品や、新規仕様品である場合には、その製品仕様情報が設計部門の設計管理システム2002に属する受注管理手段202に送られる。受注管理手段202は、受注情報を製品毎及び仕様毎に分類して、新たな製品番号を発生させる。IP設計手段203は、受注管理手段202からの情報を得て、受注製品の仕様に対応したシステム設計、論理設計、レイアウト設計などを行う。IP設計手段203では、過去のIP設計情報を体系化したデータベースを作成しておくことにより、より効率的に設計を行うことができる。そのようなIP情報に基づいて、製造工程の設計を行う工程設計手段204が備えられている。工程設計手段204の工程編集データは、対応する製品コード番号と共に、製造部門にその情報が送信される。工程編成手段207は、その工程編集データを基に、新たな工程を組むことができる。新たな工程は、工程管理テーブルに登録する。
【0024】
設計検証手段205は、IP設計手段203、工程設計手段204においてなされた設計の検証を行い、誤りがないかを検査する。新規仕様製品の工程設計データは、製造部門に属する工程編成手段207に送信され、製造部門内で工程が処理されることとなる。このように、設計部門では新しい仕様の製品の設計を行う機能を備えている。受注管理手段202、IP設計手段203、工程設計手段204、工程編成手段207などはコンピュータによってその機能を発揮させることができる。それぞれのコンピュータは回線で接続されていて、相互にデータを送受信することができる。
【0025】
工程管理システム2003において、受注製品情報の受け入れから、工程編成、ロット編成、工程指示などの処理の流れについて、図2を参照して説明する。なお、以下の説明では、図1に示す生産システムも同時に参照するものとする。
【0026】
ステップ20は、受注管理手段206より受注仕様の情報が工程編成手段207に入力される段階である。ステップ21は受注仕様を編集して工程設計の前準備をする段階である。
【0027】
ステップ22では、受注製品の仕様の確認を行う。このステップは、工程仕様適合テーブル39(図1の工程仕様適合テーブル217と同じ。以下、図2において同じ。)を参照して、あらかじめ定められている仕様の適合範囲を逸脱していなかなどについて確認を行う作業である。この段階で仕様の不整合が確認されると、警告表示42を行い、受注仕様情報の確認、仕様の再確認を促すメッセージを表示する。
【0028】
ステップ23は、確定した製品仕様に基づいて工程設計を行う。工程設計は、工程条件テーブル40を参照して組み立てる。このとき、基本となる工程設計を行うと同時に、他の製品と互換性を持たせることが可能な工程を含ませ、互換可能工程情報を付加する。
【0029】
ステップ24は工程設計情報に基づいて、一定の規則に従って仕様コードを作成する。仕様コードは上流工程と下流工程に含まれる個々の工程の組み合せにより一つの仕様コードが決められる。このコードは、工程が始まると、工程管理テーブル211に登録され、生産ライン上にある工程仕掛品の検索などに利用する。
【0030】
ステップ20からステップ24までの作業は、工程編成手段207で行われる。そして、受注製品に対応した生産ロットが編成される。
【0031】
ステップ25は、生産ラインに流れている工程中のロットデータを、工程管理テーブル41(図1の工程管理テーブル211と同じ。以下、図2において同じ。)を参照して検索する作業である。工程管理テーブル41のロットデータには、ステップ24と同様のルールで仕様コードが割り当てられており、そのデータを取得する。ロットに付与された仕様コードは予定された仕様コードであり、実際に処理された工程によって付される仕様コードと異なっている場合がある。ここでは、その両者のコードを取得する。
【0032】
ステップ26では、ステップ24までに編成された生産ロットに適合するものが、現在生産ライン上に存在するか否かを調べ、適合する生産ロットがある場合には、その数と工程の進捗度合いに関する情報を取得する作業を行う。
【0033】
ステップ27は適合ロットを抽出する作業であり、工程設計から定めた仕様コードと、生産ライン上にある生産ロットの仕様コードを参照して適合するものの有無を検索する。このとき、工程仕様適合テーブル39を参照して、工程設計から定めた仕様コードと、生産ライン上にある生産ロットの仕様コードの適合性を判断する。その結果適合するものがなければ、新規投入指示43を行う。ここで抽出するロットは一つである必要はなく、適合するものがあれば複数のロットを候補として選択することができる。
【0034】
ステップ28では、顧客からの受注状況において、優先項目があるかを確認する。優先項目がある場合には、ステップ31に進む。ない場合には、ステップ29に進む。
【0035】
ステップ29では、工程管理テーブル41を参照して、仕様コードが一致する、又は仕様コードの一致度が高いロットを選択する。そして工程指示30を工程管理システムに対して行う。
【0036】
ステップ28において、優先項目有りと判断される場合は、ステップ31に進む。ステップ31では、抽出された生産ロットの中から最も適したものを、工程管理テーブル41から選択する作業を行う。このとき、数量、納期など顧客の要望により優先すべき項目と、受注仕様工程とロットとの適合性を総合的に判断する。適合ロットがある場合にはステップ32に進み工程の指示を出す。
【0037】
ステップ31で適合ロットがない場合には、ステップ33に進む。ここで、納品数優先である場合には、工程管理テーブル41を参照して、適合ロットを再編する作業を行う。そして、新しい一つのロットを編成する。再編ロットが編成された場合には、ステップ37に進み再編ロット情報を作成する。そして、ステップ38に進み工程の指示を出す。
【0038】
また、ステップ33で再編ロットを編成できない場合には、ステップ34に進み、新規投入ロットが必要かを判断する。新規投入をしない場合には、ステップ36に進み、優先項目の緩和を行い、ステップ31に戻る。新規投入が必要な場合には、ステップ35に進み、新規ロット投入の指示を出す。
【0039】
以上の処置において、適合生産ロットを抽出する作業は、適合ロット検索手段208によって行われ、工程の指示は工程指示手段209によって行われる。
【0040】
このような、図2に示す処理に従えば、製造ラインに流れるロットの処理条件を柔軟に変更して、顧客の要望に応じた製品又は中間製品を都合良く提供することができる。例えば、流し生産方式では、ロットをある特定工程まで進め、そこで一定期間ストックしておくことにより、顧客の要望に応じたロットを適当に編成することができ、受注から納品までの期間を短縮することができる。また、製造装置の駆動率を高めることができる。
【0041】
図1及び図2を参照して説明される生産システムに係る製造工程は、複数の製品間で共通して適用できる上流工程と、分流し得る複数の下流工程を有している。図3は、複数の製品(A1、A2、B1、B2)の間で共通して適用できる上流工程101と、各製品の構造を特徴付ける複数の下流工程102を模式的に示している。ここでは、製品Aと製品Bは、機能が同じ又は類似で仕様の異なる製品を示している。また、製品A1と製品A2は、仕様の一部が異なる同一の製品であることを示している。仕様の一部が異なるとは、当該製品の一部の外観的構造又は内部構造が異なる態様、若しくは同一構造であって構成部材が異なることをいう。
【0042】
上流工程101は、一又は複数の工程を含んでいる。工程X1と工程X2は、この生産システムで流れる複数の製品(A1、A2、B1、B2)において、共通して適用される工程である。すなわち、この段階において、複数の製品(A1、A2、B1、B2)は、工程X1、工程X2により、同じ条件で処理を行う。下流工程102は、一又は複数の工程を含んでいる。下流工程102は、工程Y1、工程Y2、工程Y3、工程Y4、工程Y5、工程Y6、工程Y7を含んでいる。これらの工程は、製品A及び製品Bの構成を特徴付ける工程であり、一部の工程は、製品A又は製品Bの一方のみに適用可能な工程である。すなわち、製品Aに対して、工程Y1、工程Y3、工程Y4、工程Y5、工程Y6は適用可能であるが、それ以外の工程は適用不可である。また、製品Bに対して、工程Y1、工程Y2、工程Y4、工程Y5、工程Y7は適用可能であるが、それ以外の工程は適用不可である。下流工程102には、製品Aと製品Bとで互換性のある工程Y1、工程Y4、工程Y5を含んでいる。特に工程Y5は、製品Aと製品Bとで共通して適用可能である。また、工程Y3と工程Y6は製品Aのみに適用できる工程であり、工程Y2と工程Y7は製品Bのみに適用できる工程である。
【0043】
工程X1、工程X2、工程Y1〜工程Y7は、その工程に応じた生産に供する機器で構成されている。図4は、各工程における生産機器の配置を示している。工程Xn(n=1、2)には生産機器kxn(n=1、2)が備えられ、工程Yn(n=1〜7)には生産機器kyn(n=1〜7)が備えられている。各生産機器の配置は、各工程の負荷と生産機器の生産能力に応じて配置すれば良い。すなわち、製品Aと製品Bとで共通する工程(例えば、工程X1、工程X2、工程Y1、工程Y5など)は、その生産負荷と生産能力に応じて生産機器を配置する。
【0044】
図4は、4つの生産ラインを含む生産システムを示しているが、複数の異なる製品の生産工程の中に共通工程を設けることにより、一の生産ラインと他の生産ラインとの境界は必ずしも明確でない。このような生産ラインの配置は、製品Aと製品Bの製造に共通して適用できる工程を上流工程に設け、下流工程において複数種の製品の製造において、特有の工程と、互換可能な工程を配置した工程設計とすることにより、製品Aと製品Bの需要に応じて、柔軟に生産量を調節することを可能としている。
【0045】
このように、複数の製品(A1、A2、B1、B2)の製造に共通して適用できる工程を上流工程に設け、下流工程において当該複数の製品(A1、A2、B1、B2)の製造において特有な工程と、互換可能な工程を配置した生産ラインの設計をすることにより、生産性を高めることができる。例えば、製品Aと製品Bとの需要に応じて、生産機械の駆動率を一定の水準に維持したまま、生産量を調節することができる。すなわち、製品A又は製品Bの需要や納期に応じて、柔軟にロットを振り替えることができる。そのことにより、不良在庫や不良中間在庫を増やすことなく、顧客の要望に応じた生産をすることが可能となる。また、一方の品種に需要が偏った場合でも、製造装置の駆動率を一定量維持した状態で生産をすることができ、損益分岐点を下げることができる。
【0046】
図5、図6、図7は、図3に基づく工程編成がされた表示パネルの製造工程を例示している。ここで例示する製品は、薄膜トランジスタを用いて構成する表示パネルである。薄膜トランジスタで構成される画素回路に、液晶素子又は発光素子と組み合わせることにより、仕様の異なる表示パネルを提供することが可能となる。
【0047】
ここで、図3で示す製品A1とA2はTFTパネルと発光素子を組み合わせた発光表示装置、製品B1とB2はTFTパネルと液晶素子を組み合わせた液晶表示装置である場合について示している。
【0048】
図5は、製品A2と製品B1を製造する工程を例示している。上流工程101には、製品A2と製品B1に共通して適用される工程X1と工程X2が含まれている。下流工程102には、製品A2と製品B1に共通して適用される工程Y1、工程Y4及び工程Y5が含まれている。その他に、製品A2に適用される工程Y6と、製品B1に適用される工程Y7が含まれている。図5に示す工程は、製品A2と製品B1について、上流工程101と下流工程102の途中までを共通工程として製造する場合である。製品A2と製品B1の特徴的な部分は最終工程である工程Y6と工程Y7で作り込まれることとなる。すなわち、TFTパネルの製造工程は共通として、それに電気的及び光学的特性を利用する表示媒体を形成する工程をそれぞれ別個に設けている。下流工程102における工程Y1及び工程Y4は、製品A2と製品B1とで共通の工程となっている。この場合、製品A2と製品B1の需要に応じて、工程Y5以降の振り分け先を柔軟に変更することができる。
【0049】
工程X1には、TFTパネルを製造するための基板前処理工程、半導体膜形成工程、結晶化工程が含まれている。工程X2には、酸化膜形成工程が含まれている。工程Y1には、半導体膜整形工程、ゲート工程、ドーピング工程が含まれている。工程Y4には、層間絶縁膜形成工程、配線形成工程、画素形成工程が含まれている。工程Y5には、スペーサ形成工程が含まれている。製品A2に適用される工程Y6には、開口パターン形成工程、熱処理工程、EL素子形成工程、封止工程が含まれ、Y8にはモジュール組み立て工程が含まれている。製品B1に適用される工程Y7には、スペーサ加工工程、対向基板装着工程、液晶注入工程が含まれ、Y9にはモジュール組み立て工程が含まれている。
【0050】
図6は、製品A1と製品B2を製造する工程を例示している。上流工程101には、製品A1と製品B2に共通して適用される工程X1と工程X2が含まれている。下流工程102には、製品A1に適用される工程Y1、工程Y3、工程Y6と、製品B2に適用される工程Y2、工程Y4、工程Y7が含まれている。その他に、製品A1に適用される工程Y8と、製品B2に適用される工程Y9が含まれている。
【0051】
工程Y2は、工程Y1と同じ内容であるが、半導体膜整形工程やゲート工程などの詳細が異なっている。例えば、半導体膜整形工程では、製品の仕様に応じて、一つの画素に形成するトランジスタの数や、駆動回路の回路構成などが異なっている。工程Y3も工程Y4と同じ内容であるが、層間絶縁膜形成工程における層構造や、配線形成工程における配線パターンや配線の多層化構造などを異ならせている。図6で示す工程の中で、工程Y5は、製品A1と製品B2に共通の工程となっている。この場合、製品A1と製品B2の設計仕様に応じて、製品A1の工程である、工程Y1、工程Y3、工程Y5と流れて来た仕掛品を、工程Y7に振り分けて製品B2’を完成させることもできる。
【0052】
図7は、製品A1と製品B1を製造する工程を例示している。上流工程101には、製品A1と製品B1に共通して適用される工程X1と工程X2が含まれている。下流工程102には、製品A1と製品B1に共通して適用される工程Y1と、製品A1に適用される工程Y3、工程Y6と、製品B1に適用される工程Y4、工程Y7が含まれている。その他に、製品A1に適用される工程Y8と、製品B1に適用される工程Y9が含まれている。
【0053】
図7の場合、下流工程102における工程Y1は、製品A1と製品B1とで共通の工程となっている。この場合、製品A1と製品B1の需要に応じて、工程Y1以降の振り分け先を柔軟に変更することができる。
【0054】
以下の説明において、液晶表示パネルとEL表示パネルを形成する工程について、実施例によって説明する。
【実施例1】
【0055】
本発明の実施例として、品種の異なる表示装置を同じ製造ラインにより生産する一例について説明する。ここで製造する表示装置は、画素を縦横に配置して表示画面を構成するものである。その具体的な一例として、液晶表示装置と、EL表示装置を生産する場合について示す。
【0056】
液晶表示装置は画素に印加する電気信号に応じて、液晶の電気光学特性の変化を利用して画像を表示する。EL表示装置は、画素を構成する発光素子の発光及び非発光による輝度の変化を利用して画像を表示する。
【0057】
本実施例において、上記表示装置は、半導体膜を用いてチャネル形成領域が形成された薄膜トランジスタを用いて構成されている。薄膜トランジスタは、画素に設けられ、画素に入力される信号の制御を行う。また、画素に配設された薄膜トランジスタの制御を行う駆動回路の形成にも用いることも可能である。すなわち、本実施例は、薄膜トランジスタで画素が形成された素子基板又は薄膜トランジスタで画素と駆動回路が形成された素子基板と、液晶素子又は発光素子とを組み合わせた表示装置である。
【0058】
これらの表示装置の製造工程は、半導体層を形成する工程、薄膜トランジスタを形成する工程、薄膜トランジスタ上に層間絶縁層を形成する工程、液晶素子又は発光素子を形成する工程を有している。
【0059】
これらの工程を図3に対応させると、半導体層を形成する工程は共通工程となるので、上流工程101に含まれる。薄膜トランジスタを形成する工程は、液晶表示装置とEL表示装置との間で、同じ構造の薄膜トランジスタを使うことができる点では共通する。しかし、薄膜トランジスタの配置、すなわち回路構成については異なる場合があるので、下流工程102に含まれる。同様に、薄膜トランジスタ上に層間絶縁層を形成する工程及び液晶素子又は発光素子を形成する工程も下流工程102に含まれる。
【0060】
この液晶表示装置とEL表示装置に係る工程を図5に適用して説明することができる。この場合、液晶表示装置とEL表示装置に共通して適用される工程X1はTFTパネルを製造するための基板前処理工程、半導体膜形成工程及び結晶化工程であり、工程X2は酸化膜形成工程である。下流工程102には、液晶表示装置とEL表示装置に共通して適用される工程Y1、工程Y4及び工程Y5が含まれている。工程Y1は半導体膜整形工程、ゲート工程及びドーピング工程であり、工程Y4は層間絶縁膜形成工程、配線形成工程及び画素形成工程であり、工程Y5はスペーサ絶縁膜形成工程である。さらに液晶表示装置に適用される工程Y7はスペーサ加工工程、対向基板装着工程及び液晶注入工程、工程Y9はモジュール組み立て工程である。また、EL表示装置に適用される工程Y6は開口パターン形成工程、熱処理工程、EL素子形成工程及び封止工程、工程Y8はモジュール組み立て工程である。
【0061】
図6の場合では、液晶表示装置とEL表示装置の製造工程において、共通して適用される工程X1と工程X2については図5の場合と同様である。下流工程において、工程Y1は半導体膜整形工程、ゲート工程及びドーピング工程である。EL表示装置に適用される工程Y3は、層間絶縁膜形成工程、配線形成工程及び画素形成工程であり、工程Y2は、工程Y1と同じ内容であるが、半導体膜整形工程やゲート工程などの詳細が異なっている。具体的には、一つの画素に設けるトランジスタの数が異なっている。工程Y3は、層間絶縁膜形成工程、配線形成工程及び画素形成工程であり、工程Y4も同じ内容であるが、層間絶縁膜形成工程における層構造や、配線形成工程における配線パターンや配線の多層化構造などが異なっている。スペーサ絶縁膜を形成する工程Y5は、液晶表示装置とEL表示装置に共通の工程である。この場合、液晶表示装置とEL表示装置の設計仕様に応じて、工程Y5以降の工程を選択することができる。すなわち、下流工程102において、工程Y1、工程Y3と流れてきたEL表示装置用の仕掛品を、工程Y5以降において、工程Y7、工程Y9に流して最終的に液晶表示装置を製造するという処置をとることができる。
【0062】
図7の場合では、液晶表示装置とEL表示装置の製造工程において、共通して適用される工程X1と工程X2と、下流工程における工程Y1については図5と同様である。図6との差異では、工程Y1が液晶表示装置とEL表示装置について共通工程となっている。具体的には、一つの画素に設けるトランジスタの数を共通としている。工程Y1以降は、製品毎に工程が分かれ、図6と同様な内容となっている。すなわち、工程Y5以降で、仕掛品をEL表示装置の組み立て工程である工程Y6及び工程Y8へ流す場合と、液晶表示装置の組み立て工程である工程Y7及び工程Y9に流す場合とを自由に選択することができる。
【実施例2】
【0063】
実施例1に基づいて、表示装置を製造する工程の詳細について示す。本実施例では、液晶表示装置の製造工程を例示する。この製造工程は、薄膜トランジスタの製造工程と液晶素子を製造する工程とを含んでいる。
【0064】
図8は、半導体層を形成する工程(X1)である。この工程は、図6における上流工程101に分類される。この半導体層の形成工程は、図8(A)、(B)、(C)によって説明される。図8(A)では、ガラス基板301にブロッキング層302、半導体層303を形成する。ブロッキング層302は、ガラス基板301と半導体層303との間に設け、半導体層303の汚染を防止するために設ける。半導体層303は、減圧気相成長(CVD)法やプラズマCVD法、スパッタリング法などの薄膜形成法によって形成する。半導体層303は、非晶質半導体若しくは多結晶半導体である。製造する表示装置において、薄膜トランジスタを画素のスイッチング素子として使う場合には、非晶質半導体であれば良い。駆動回路を一体形成する場合には、多結晶半導体を使うのが好ましい。
【0065】
半導体層を形成する工程は以上である。非晶質半導体を形成し、それを結晶化させて多結晶化する場合には、図8の(B)の工程を行う。これは、レーザビーム304を照射して、非晶質半導体を結晶化する工程である。レーザビーム304はパルス又は連続光するものであり、エキシマレーザに代表される気体レーザ、YAGレーザに代表される固体レーザを光源としている。この処理により多結晶半導体層303は多結晶となる。また、結晶化の方法はこれに限定されず、金属を微量に添加して450〜750℃の熱処理により結晶化させる方法や、600℃〜1000℃の熱処理により結晶化させる方法を適用しても良い。
【0066】
図8(C)は熱処理を行う工程であり、主に多結晶半導体層303の応力緩和を目的としている。また、表面の保護を目的として、酸化膜306を形成している。熱処理温度は500℃〜950℃であり、この処理は熱処理手段305により加熱する。熱処理手段としては、ファーネスアニール炉、ランプアニール炉、瞬間熱アニール(RTA)炉などで行う。この目的は、半導体層を形成した後、基板を在庫品として保管しておき、必要に応じてこの在庫から下流工程に基板を供給するためである。複数品種の製品を製造するに際して、上流工程を共通工程としておくことで、定常的に基板を製造ラインに流すことができる。それにより、品質の安定化と共に需要に応じて仕掛品の基板を下流工程に振り分けることができるので、生産量に融通をつけることができる。
【0067】
図9から図12は、液晶表示装置の製造工程であり、図6の下流工程102における、工程Y2及び工程Y4の一実施例を示す図である。これらの工程では、上流工程で形成した半導体層303の付いた基板を用いている。工程Y2はTFTを形成する工程であり、半導体層の整形工程、ゲート工程及びドーピング工程を含んでいる。半導体層の整形工程は、半導体層をエッチング加工して画素に設ける薄膜トランジスタの半導層307を形成する工程であり、図9(A)、(B)に示されている。半導体層307は、ソース及びドレインを形成する不純物領域及びチャネル形成領域が形成されるように、所定の形状をもって形成される。また、トランジスタ以外にも容量部など他の素子を形成するパターンが含まれていても良い。図9では、一つの画素に一つの薄膜トランジスタを配置する構成を示しているが、液晶素子を駆動する目的において一画素当たりの薄膜トランジスタの数は制限されない。また、半導体層307の形状も任意である。なお、図9(A)は画素の上面図であり、(B)はA−B線に対応する断面構造を示す図であり符号を共通して使っている。以下、図10から図12まで同様である。
【0068】
ゲート工程は図10(A)、(B)に示されている。この工程は、半導体層307上にゲート絶縁層308とゲート電極309を形成する。ゲート絶縁層308は酸化珪素、窒化珪素、酸化珪素と窒化珪素の積層体、酸化窒化珪素膜などで形成する。ゲート電極309は、タングステン、モリブデン、チタン、クロム、アルミニウムなどの金属材料を用いて形成する。ゲート電極309の形状は任意であるが、半導体層307と交差するように形成する。その重なった部位がゲート電極として機能する。また、この工程と同時に画素の容量部を形成する容量配線310も同じ層で形成する。容量配線310も半導体層307とゲート絶縁層308を介して重なる部位が容量部となる。ゲート電極309の側面はテーパ状にエッチング加工して、その上層に形成する被膜の段差被覆性を向上させても良い。
【0069】
ドーピング工程は、半導体層307に一導電型の不純物元素を添加して、ソース及びドレイン領域を形成する。この工程で、一導電型不純物領域311、312が半導体層307に形成される。この一導電型不純物領域311が、薄膜トランジスタのソース領域若しくはドレイン領域を形成する。この場合、ゲート端近傍に一導電型低濃度の不純物領域を設けて、所謂LDD領域を形成しても良い。薄膜トランジスタをnチャネル型で動作させるには、この一導電型不純物領域311にリンに代表される周期律第15族の元素を添加すれば良い。また、pチャネル型で動作させるには、ホウ素に代表される周期律第13族の元素を添加すれば良い。なお、容量配線310と重なる半導体層307は容量部の一方の電極となるので、その領域には一導電型不純物が添加されていることが好ましい。
【0070】
図10には、工程Y4(図6参照)に属する層間絶縁層形成工程も示されている。層間絶縁層は窒化珪素及び酸化珪素などの無機絶縁材料や、アクリル樹脂若しくはポリイミド樹脂その他の有機樹脂材料を用いて形成する。層間絶縁層は、半導体層やゲート電極などを保護すること、配線を多層化するためにゲート配線層とその上層に形成する配線層間の絶縁分離をすることを目的としている。それらに加え、上層配線の形成表面を平坦化する目的も含まれている。そのような目的を達成する好適な組み合わせの一例として、図10では、第1層間絶縁層313と第2層間絶縁層314の積層構造を示している。第1層間絶縁層313は、窒化珪素若しくは窒化酸化珪素などの無機絶縁材料を用いる。窒化珪素などは、金属イオンなどの不純物が半導体層に拡散するのを防ぐことができる。また、加熱処理により、窒化珪素膜に含まれる水素を半導体層307に供給して、水素化を図ることもできる。第2層間絶縁層314は、アクリル樹脂若しくはポリイミド樹脂その他の有機樹脂材料を用いてスピン塗布法で形成する。それにより、第2層間絶縁層314の表面は下層の凹凸を緩和して、平坦な表面を形成することができる。有機樹脂材料の他に、Si−O−Si主鎖を持つ有機シロキサン系ポリマーや、SOG(Spin On Glass)のネットワークの一部をメチル基で終端した有機シリコン酸化物で形成しても良い。第1層間絶縁層313は50nm〜200nmの厚さで形成し、第2層間絶縁層314は500nm〜2000nmの厚さで形成すれば良い。その後、ゲート絶縁層308、第1層間絶縁層313、第2層間絶縁層314を貫通するコンタクトホール315、316を、エッチング加工により形成する。
【0071】
図11は、工程Y4(図6参照)における配線形成工程を示している。配線317、318は、アルミニウム若しくはアルミニウムを主成分とする導電材料を用いて形成することが好ましい。その他に、半導体層307とのコンタクトを安定化するためにチタン、モリブデン、クロム、タングステンなどの金属を含む層を組み合わせても良い。図11において示す配線317は、液晶表示装置の画素部において、信号線を形成する配線を示し、配線318は、画素電極と薄膜トランジスタを接続する配線を示している。
【0072】
図12は、工程Y4(図6参照)における画素形成工程を示している。画素電極319は、配線318と接続し、第2層間絶縁層314の上に形成する。画素電極319は、その端部を配線318に重畳させることで電気的な接続をしている。図12では、配線318を先に形成し、画素電極319を後に形成して電気的接続を図っているが、これらを形成する順序は逆にしても良い。透過型の液晶表示装置においては、この画素電極319を酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化亜鉛、又はITOと酸化亜鉛の化合物、その他の透明導電材料で形成する。また、反射型の液晶表示装置に対しては、アルミニウムなどの金属材料で形成する。
【0073】
工程Y5は配線まで形成した素子基板に対してスペーサを形成する工程である。図13は、配線317、318及び画素電極319が形成された素子基板上にスペーサ形成層320を形成した状態を示している。このように素子基板上にスペーサ形成層320を形成すると、素子基板に傷や埃が付くのを防ぐことができ、一時的な保護膜として利用することができる。すなわち、素子基板上にスペーサ形成層320を形成することで、工程を中断し、仕掛品を在庫しておくことができる。スペーサ形成層320は、有機樹脂材料を用いて形成することができるが、酸化珪素など他の絶縁材料を用いて形成しても良い。
【0074】
図14は、工程Y7(図6参照)におけるスペーサ形成工程を示している。この工程は、スペーサ形成層320を加工してスペーサ321a、321bを形成する工程である。液晶表示装置の場合、スペーサ321a、321bを形成する位置は、コンタクトホール315、316に対応する位置に形成することが好ましい。コンタクトホール315、316に対応して配線317、318が形成されているが、その部位は凹部となっている。スペーサ321a、321bは、その凹部を被覆するように形成し、かつ、素子基板に対向させる基板との間に一定の間隔が保てるように、一定の高さをもって形成する。スペーサ321a、321bの高さは、液晶層を形成するために必要な高さであり、画素電極319若しくは配線317、318の上面より1μm〜10μmとすれば良い。
【0075】
図15は、工程Y7(図6参照)における対向基板形成工程と、液晶注入工程を経た状態を示している。対向基板形成工程は、対向基板323に対向電極324と、配向膜325を形成し、さらにラビング処理などを行う。また、素子基板にも配向膜322を形成する。液晶注入工程は、素子基板と対向基板323はスペーサ321a、321bによって一定の間隔をもって固定し、スペーサ321a、321bによって形成される空隙に、液晶を注入し液晶層326を形成する。液晶材料には、代表的にはTN液晶を用いる。このようにして液晶パネルが完成する。この場合において、画素電極の構造を変更して、MVAモードやIPSモードで動作する液晶表示装置とする場合にも同様に適用することができる。
【0076】
また、図6における工程Y9は、モジュール組み立て工程であり、液晶パネルと電源回路、信号処理回路などを含む回路基板を組み合わせる。
【0077】
図16は液晶パネル401と、回路基板406を組み合わせた液晶モジュールを示している。液晶パネル401は、薄膜トランジスタで形成された画素部402と、走査線駆動回路403、信号線駆動回路404が同様に薄膜トランジスタで形成されたものを有している。回路基板406には、液晶パネルの動作を制御するコントロール回路407や信号分割回路408などが形成されている。回路基板406と液晶パネル401は接続配線405によって接続されている。
【0078】
この液晶モジュールは、液晶パネルにおける画面サイズを用途に応じて変更することにより、広く応用することができる。図17は、液晶テレビ装置の主要な構成を示すブロック図である。このブロック図は、液晶パネル401と回路基板406を含む液晶モジュールに、テレビ装置として必要な要素が付加されている態様を示している。チューナ409は映像信号と音声信号を受信する。映像信号は、映像波増幅回路410で増幅され、映像信号処理回路411で赤、緑、青の各色に対応した色信号に変化される。その信号がコントロール回路407に入力される。コントロール回路407は、映像信号をドライバICの入力仕様に変換する。さらにコントロール回路407は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路408を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。チューナ409で受信した信号のうち、音声信号は音声波増幅回路412に送られる。その出力は音声信号処理回路413を経てスピーカ414に供給される。制御回路415は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部416から受け、チューナ409や音声信号処理回路413に信号を送出する。
【0079】
図18は、このような液晶モジュールを筐体417に組みこんだ液晶テレビ装置を示している。液晶モジュールにより、表示画面418が形成される。また、スピーカ414、入力部416などが適宜備えられている。勿論、本実施例は液晶テレビ装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤などとして様々な用途に適用することができる。
【実施例3】
【0080】
実施例1に基づいて、表示装置を製造する工程の詳細について示す。本実施例では、EL表示装置の製造工程を例示する。この製造工程は、薄膜トランジスタの製造工程とEL素子を製造する工程とを含んでいる。なお、実施例2と共通する部分については、共通の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0081】
半導体層を形成する工程(X1)は、実施例2と同様であるので、具体的な説明は省略する。図8で説明したように、多結晶半導体層303に表面保護膜を形成することにより、半導体層を形成した基板を在庫しておくことができる。また、在庫している半導体層の付いた基板を用いて、以降に示す工程を実施することができる。
【0082】
図19から図22は、図6の下流工程102における、工程Y1及び工程Y2の一実施例を示す図である。これらの工程では、上流工程で半導体層303が形成された基板を用いている。工程Y1はTFTを形成する工程であり、半導体層の整形工程、ゲート工程及びドーピング工程を含んでいる。図19では、一画素に二つの薄膜トランジスタを設けるための半導体層整形工程を示している。半導体層330、331は所定の形状に形成される。以降の説明において、便宜上、半導体層330によって形成される薄膜トランジスタを第1薄膜トランジスタ、半導体層331によって形成される薄膜トランジスタを第2薄膜トランジスタとも呼ぶ。また、トランジスタ以外にも容量部など他の素子を形成するパターンが含まれていても良い。図19では、一つの画素に二つの薄膜トランジスタを配置する構成を示しているが、発光素子を駆動する目的において一画素当たりの薄膜トランジスタの数は制限されない。また、半導体層330、331の形状も任意である。なお、図19(A)は画素の上面図であり、同図(B)はA−B線に対応する断面構造を示す図、同図(C)はC−D線に対応する断面構造を示す図であり符号を共通して使っている。以下、図20から図22まで同様である。
【0083】
ゲート工程は図20に示されている。この工程は、半導体層330、331上にゲート絶縁層308を形成する。そして、第1薄膜トランジスタのゲート電極332、第2薄膜トランジスタのゲート電極333、容量電極334を形成する。これらの電極の構成は実施例2と同様である。容量電極334は一導電型不純物領域312とゲート絶縁層308を介して重なる位置に形成され容量部を形成する。半導体層330に形成する一導電型不純物領域311は、ゲート電極332の後に形成しても良い。この一導電型不純物領域311は、薄膜トランジスタのソース領域若しくはドレイン領域を形成する。この場合、ゲート端近傍に一導電型低濃度の不純物領域を設けて、所謂LDD領域を形成しても良い。半導体層331に形成する不純物領域335は、一導電型不純物領域311と逆の導電型で形成している。すなわち、第1薄膜トランジスタがnチャネル型である場合には、不純物領域335はp型となるように形成し、第2薄膜トランジスタをpチャネル型とする。なお、この第1薄膜トランジスタと第2薄膜トランジスタの組み合わせは、回路の動作を考慮して決められるものであり、両方の薄膜トランジスタを同じ導電型となるように形成しても良い。
【0084】
ドーピング工程は、半導体層330、331に一導電型の不純物元素を添加して、ソース及びドレイン領域を形成する。具体的な態様は実施例2と同様である。
【0085】
図20には、工程Y3における層間絶縁膜形成工程も示されている。図20では、第1層間絶縁層313と第2層間絶縁層336の積層構造を示している。第2層間絶縁層336は、酸化珪素など無機絶縁材料で形成する。そして、ゲート絶縁層308、第1層間絶縁層313、第2層間絶縁層336を貫通するコンタクトホール337、338、339、340、341を形成する。
【0086】
図21は、工程Y3(図6参照)における配線形成工程を示している。配線342、343、344、345は、アルミニウム若しくはアルミニウムを主成分とする導電材料を用いて形成することが好ましい。その他に、半導体層330、331とのコンタクトを安定化するためにチタン、モリブデン、クロム、タングステンなどの金属を含む層を組み合わせても良い。図20において示す配線342は、EL表示装置において信号線を形成する配線であり、配線344は発光素子に電力を供給する配線である。また、配線343は第1薄膜トランジスタのドレイン側と第2薄膜トランジスタのゲートを接続する配線である。また、配線345は画素電極と第2薄膜トランジスタを接続する配線である。
【0087】
図22は、工程Y3(図6参照)における画素形成工程を示している。画素電極346は、配線345と接続し、第2層間絶縁層336の上に形成する。画素電極346は、その端部を配線345に重畳させることで電気的な接続をしている。図22では、配線345を先に形成し、画素電極346を後に形成して電気的接続を図っているが、これらを形成する順序は逆にしても良い。画素電極346は、EL表示装置において、ボトムエミッションにする場合には、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化亜鉛、又はITOと酸化亜鉛の化合物、その他の透明導電材料で形成する。また、トップエミッションとするには、金属を用いて形成する。
【0088】
工程Y5は配線まで形成した素子基板に対してスペーサを形成する工程である。この工程は液晶表示装置と共通であり、図13と同様にしてスペーサ形成層347を形成する。
【0089】
発光素子形成工程(Y6)は、このスペーサ形成層347の加工を行う。図23は、スペーサ形成層347を加工して、スペーサ350を形成した状態を示している。このスペーサ350は、配線342〜345と画素電極346の周辺端部を覆うように形成する。このスペーサ350を形成することによって、画素電極346が周辺端部を除いて露出した状態となる。
【0090】
図24では、エレクトロルミネセンスを発現するためのEL層348を形成し、さらに共通電極349を形成する。EL層348は、蒸着法又は塗布法を用いて形成する。この場合、EL層348を形成する前に素子基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。なお、スペーサ350を酸化珪素膜で形成した場合には、さらに高い加熱処理(410℃)を加えることもできる。EL層348は複数の層で構成される。EL層348は、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などとも呼ばれる機能の異なる層を組み合わせて構成する場合がある。
【0091】
EL層348を構成する一の層として、正孔発生層がある。正孔発生層として、正孔輸送性物質と、その物質に対して電子受容性を示す物質と含む層がある。この場合、正孔輸送性物質に対して電子受容性を示す物質は、正孔輸送性物質に対してモル比が0.5から2(=正孔輸送性物質に対して電子受容性を示す物質/正孔輸送性物質)と成るように含まれていることが好ましい。
【0092】
正孔輸送性物質とは電子よりも正孔の輸送性が高い物質であり、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物や、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等の有機化合物を用いることができる。なお、正孔輸送性物質は、これらに限定されるものではない。
【0093】
また、正孔輸送性物質に対して電子受容性を示す物質は、例えばバナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、及びタンタル酸化物等のいずれかの金属酸化物を用いることができる。なお正孔輸送性物質に対して電子受容性を示す物質は、これらに限定されるものではない。
【0094】
正孔輸送性物質となる有機化合物と、その物質に対して電子受容性を示す金属酸化物とが複合化した正孔発生層は、共蒸着法により作製することができる。具体的に第1の層は、抵抗加熱蒸着同士による共蒸着法、電子ビーム蒸着同士による共蒸着法、抵抗加熱蒸着と電子ビーム蒸着による共蒸着法、抵抗加熱蒸着とスパッタリング法による成膜、電子ビーム蒸着とスパッタリングによる成膜など、同種、異種方法を組み合わせて形成することができる。また、上記例は2種の材料を含む層を想定しているが、3種以上の材料を含む場合も同様に、同種、異種方法を組み合わせて形成することができる。
【0095】
このような正孔発生層には、その他の有機化合物を含んでいてもよい。その他の有機化合物は、ルブレン等である。ルブレンを加えることにより、信頼性を向上させることができる。
【0096】
この他、正孔発生層は、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、コバルト酸化物、銅酸化物のような金属酸化物からなる層としてもよい。
【0097】
正孔発生層は、上記のように有機化合物と金属酸化物とを複合化させて抵抗率を5×10Ωcm〜1×10Ωcmにすることで、その層の膜厚を50nmから500nmまで厚くしても駆動電圧(若しくは発光開始電圧)が上がらないという利点がある。それにより、EL層を厚くすることができ、発光素子の短絡不良を低減することができる。また、発光波長の異なる発光素子を組み合わせたEL表示装置において、発光波長に応じて正孔発生層の厚さを異ならせることができる。
【0098】
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物からなる層である。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものであってもよい。
【0099】
発光層は発光性の高い物質を含む層である。例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、3−(2−ベンソチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン(略称:クマリン6)等の発光性の高い物質と、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等のキャリア輸送性が高く膜質がよい(つまり結晶化しにくい)物質とを自由に組み合わせて構成される。但し、AlqやDNAは発光性も高い物質であるため、これらの物質を単独で用いた構成とし、発光層としても構わない。
【0100】
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層しても良い。
【0101】
さらに、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)とリチウム(Li)とを共蒸着し、電子注入層を設ける構成としても良い。また、BzOs:Li以外に、CaF、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物等、電子注入性の高い材料を用いることができる。また、この他、Alqとマグネシウム(Mg)とを混合したものも用いることができる。
【0102】
発光素子の共通電極349は、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族又は2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)が挙げられる。このようにして、薄膜トランジスタに接続する発光素子で画素を形成したELパネルが得られる。
【0103】
図6のモジュール組み立て工程(Y8)は、ELパネルと電源回路、信号処理回路などを含む回路基板を組み合わせてELモジュールを作製する工程である。この工程は、実施例2において、図16で説明した液晶パネル401をELパネルに置き換えることで同様に行うことができる。また、図17、図18と同様にしてELテレビ装置を完成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る生産システムの一態様を示す図。
【図2】受注製品情報の受け入れから、工程編成、ロット編成、工程指示などの処理の流れについて示す図。
【図3】複数の製品の間で共通して適用できる上流工程と、各製品の構造を特徴付ける複数の下流工程を模式的に示す図。
【図4】各工程における生産機器の配置を示す図。
【図5】図3に基づく工程編成がされた表示パネルの製造工程を例示する図。
【図6】図3に基づく工程編成がされた表示パネルの製造工程を例示する図。
【図7】図3に基づく工程編成がされた表示パネルの製造工程を例示する図。
【図8】半導体層を形成する工程(X1)を示す図。
【図9】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図10】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図11】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図12】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図13】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図14】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図15】実施例2において液晶表示装置の製造工程を示す図。
【図16】液晶パネルと回路基板を組み合わせた液晶モジュールを示す図。
【図17】液晶テレビ装置の主要な構成を示すブロック図。
【図18】液晶モジュールを筐体に組みこんだテレビ装置を示す図。
【図19】実施例3においてEL表示装置の製造工程を示す図。
【図20】実施例3においてEL表示装置の製造工程を示す図。
【図21】実施例3においてEL表示装置の製造工程を示す図。
【図22】実施例3においてEL表示装置の製造工程を示す図。
【図23】実施例3においてEL表示装置の製造工程を示す図。
【図24】実施例3においてEL表示装置の製造工程を示す図。
【符号の説明】
【0105】
39 工程仕様適合テーブル
41 工程管理テーブル
101 上流工程
102 下流工程
201 受注管理手段
202 受注管理手段
203 IP設計手段
204 工程設計手段
205 設計検証手段
206 受注管理手段
207 工程編成手段
208 適合ロット検索手段
209 工程指示手段
210 製造管理手段
211 工程管理テーブル
212 生産ライン
213 製造設備
214 出荷管理手段
215 在庫管理手段
216 納品管理手段
217 工程仕様適合テーブル
301 ガラス基板
302 ブロッキング層
303 半導体層
304 レーザビーム
305 熱処理手段
306 酸化膜
307 半導体層
308 ゲート絶縁層
309 ゲート電極
310 容量配線
311 一導電型不純物領域
312 一導電型不純物領域
313 第1層間絶縁層
314 第2層間絶縁層
315 コンタクトホール
316 コンタクトホール
317 配線
318 配線
319 画素電極
320 スペーサ形成層
321a スペーサ
321b スペーサ
322 配向膜
323 対向基板
324 対向電極
325 配向膜
326 液晶層
330 半導体層
331 半導体層
332 ゲート電極
333 ゲート電極
334 容量電極
335 不純物領域
336 第2層間絶縁層
337 コンタクトホール
338 コンタクトホール
339 コンタクトホール
340 コンタクトホール
341 コンタクトホール
342 配線
343 配線
344 配線
345 配線
346 画素電極
347 スペーサ形成層
348 EL層
349 共通電極
350 スペーサ
401 液晶パネル
402 画素部
403 走査線駆動回路
404 信号線駆動回路
405 接続配線
406 回路基板
407 コントロール回路
408 信号分割回路
409 チューナ
410 映像波増幅回路
411 映像信号処理回路
412 音声波増幅回路
413 音声信号処理回路
414 スピーカ
415 制御回路
416 入力部
2001 受注納品管理システム
2002 設計管理システム
2003 工程管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数の工程を含んで編成された複数品種の製品の生産システムであって、
機能が異なる製造設備を有し、複数の製品間で共通して適用できる上流工程を構築する第1の生産ラインと、
機能が異なる製造設備を有し、複数の製品間ごとに分流し得る複数の下流工程を構築する第2の生産ラインと、
を有することを特徴とする生産システム。
【請求項2】
受注納品管理システム、設計管理システム、工程管理システムが相互に連結した生産システムであって、
前記受注納品管理システムは、前記工程管理システムに、受注製品の品種、数量、納期などの受注情報を通知する受注管理手段を有し、
前記設計管理システムは、新規品種のシステム設計、論理設計、レイアウト設計等を行うIP設計手段、そのIP情報に基づいて製造工程の設計を行う工程設計手段、IP設計及び工程設計の検証を行う設計検証手段を有し、
前記工程管理システムは、
前記受注納品管理システムに属する受注管理手段から前記受注情報の通知を受ける受注管理手段と、
製品を生産するためにロットと呼ばれる一群の纏まりを編成する工程編成手段と、
当該ロットに対して適合する工程仕掛品の有無を工程管理テーブルから検索する適合ロット検索手段と、
製造管理手段に工程の指示を与える工程指示手段と、
生産ライン上における工程仕掛品の管理及び製造設備の管理を行う製造管理手段と、
製造工程を終えて出荷される製品又は半製品の製造番号、数量、日時などの出荷品情報を管理する出荷管理手段と工場在庫を管理する在庫管理手段と
を有することを特徴とする生産システム。
【請求項3】
一つ又は複数の工程を含んで構成される上流工程と、複数の工程を含んで構成される下流工程によって、複数品種の製品の製造を行う生産方法であって、
前記上流工程は、複数の製品間で共通して適用できる工程を行い、
前記下流工程は、複数の工程の中から選択される一の工程は複数品種の製品間において互換可能な共通工程であり、他の工程は、複数品種の製品間において専用工程であり、前記複数品種の製品とそれぞれ、対応して分流し得る工程を行うこと
を特徴とする複数品種の製品の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−309747(P2006−309747A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93427(P2006−93427)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】