説明

画像処理方法および画像処理装置

【課題】迅速かつ有効的に画像ピクセルの顕著性値を分析して、画像における重要物体領域を均一的に表現する。
【解決手段】本発明は、領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する画像処理方法と画像処理装置に関するものである。当該方法は、自動分割アルゴリズムを用いて入力画像を複数の領域に分割する分割ステップと、前記複数の領域のうちの一つの領域とその他の領域との色、の差分の重み付き和を利用して、当該領域の顕著性値を算出する算出ステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理技術の分野に属し、画像の視覚的顕著性を検出する画像処理方法と画像処理装置に関し、より具体的には、領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する画像処理方法および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚的注意は、人間の視覚システムがシーンを正確かつ有効的に識別するのを助ける一つの重要なメカニズムである。演算という手法によって画像における顕著性領域を取得することは、コンピュータビジョン分野の一つの重要な研究課題であり、画像処理システムが後続処理ステップにおいて演算リソースを合理的に割り当てるのを助ける。顕著性マップ(Saliency map)は多くのコンピュータビジョンアプリケーションに幅広く適用され、例えば、注目物体の分割(中国特許200910046276(CN101520894)、中国特許200910081069(CN101526955)を参照)、物体識別、適応的画像圧縮、内容に応じた画像のリサイジング(中国特許200910092756(CN101650824)を参照)、および、画像検索などに適用されている。
【0003】
画像の視覚的顕著性の検出は従来から、研究者に多く注目されている課題の一つである。視覚的注意に関する理論研究では、視覚的注意を二種類に分類する。即ち、処理が迅速でタスクに依存しない、データ駆動に関する顕著性検出と、処理が遅くてタスクに依存する、目標駆動に関する顕著性検出とに分類する。本発明に関する方法はその前者に属する。生理学の研究からわかるように、人間の視覚細胞はセンシングフィールド内の高いコントラストの刺激に優先的に応答する。従来、データ駆動に関する視覚的顕著性の検出研究のほとんどは、諸形式の画像内容とシーンとのコントラストを算出することにより視覚的顕著性を算出するものである。ここで、説明を簡素化するため、さらにこのような研究を二つの下位の種類に分類する。即ち、局部コントラストに基づく方法と、全域コントラストに基づく方法とに分類する。
【0004】
局部コントラストに基づく方法は、画像領域と、その相対的な小さい隣接領域との差分によって顕著性を算出するものである。Ittiらは1998年に「A model of saliency-based visual attention for rapid scene analysis」(IEEE TPAMI, 20(11):1254-1259,1998)を提案した。該方法は、マルチスケール画像間において、中心の特徴と隣接領域の特徴との差分で画像顕著性を定義する。また、MaとZhangは2003年に「Contrast-based image attention analysis by using fuzzy growing」(In ACM Multimedia,pages 374-381, 2003)を提案した。該方法は、局部コントラストの分析により顕著性マップを得る。更に、Liuらは2007年に「Learning to detect a salient object」(IEEE TPAMI, 33(2):353-367, 2011)を提案した。該方法は、学習方式を用いて色空間分布や、マルチスケールコントラストや、中心隣接領域のヒストグラム差分など、顕著性検出方法の結果として重み付き値の最適な組み合わせを探す。また、Gofermanらは2010年のワークである「Context-aware saliency detection」( In CVPR, 2010)において、ローレベルの手がかり(clue)、全体の考慮、組織ルール、および、ハイレベルの特徴についてモデルを構築する。これらの局部的方法の結果、視覚的顕著性として物体全体を均一的に突出させるのではなく、通常は物体のエッジ付近でより高い顕著性値を生成した。
【0005】
全域コントラストに基づく方法は画像領域と画像全体との差分を測定することでその顕著性を評価する。ZhaiとShahは2006年に「Visual attention detection in video sequences using spatiotemporal cues」(In ACM Multimedia, pages 815-824, 2006)を提案した。該方法は、一つのピクセルとそれ以外のすべての画像ピクセルとの輝度の差分により、当該ピクセルの顕著性値を算出する。該方法は、効率面が考慮され、画像の輝度情報のみを利用し、それ以外の色チャネルにおける区別性を無視した。Achantaなどは2009年に「Frequency-tuned salient region detection」(In CVPR, pages 1597-1604, 2009)を提案した。該方法はピクセルごとに、平均色との差分を算出することで顕著性値を取得する。しかし、このような簡単な方法では、複雑かつ変化が多い自然画像を有効的に分析するには不十分である。
【0006】
当分野において、今までの関連中国特許として、学習に基づく映像における顕著物体シーケンスの自動検出方法(中国特許第200810150324号(CN101329767))がある。該方法では、一つのフレームを処理するのに通常数秒間の時間がかかるので、多数のリアルタイム処理への応用ニーズを満すことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許第200910046276号(CN101520894)公報
【特許文献2】中国特許第200910081069号(CN101526955)公報
【特許文献3】中国特許第200910092756号(CN101650824)公報
【特許文献4】中国特許第200810150324号(CN101329767)公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「A model of saliency-based visual attention for rapid scene analysis」(IEEE TPAMI, 20(11):1254-1259,1998)
【非特許文献2】「Contrast-based image attention analysis by using fuzzy growing」(In ACM Multimedia,pages 374-381, 2003)
【非特許文献3】「Learning to detect a salient object」(IEEE TPAMI, 33(2):353-367, 2011)
【非特許文献4】「Context-aware saliency detection」( In CVPR, 2010)
【非特許文献5】「Visual attention detection in video sequences using spatiotemporal cues」(In ACM Multimedia, pages 815-824, 2006)
【非特許文献6】「Frequency-tuned salient region detection」(In CVPR, pages 1597-1604, 2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は本分野の従来技術の不足に鑑みてされたものであり、その解決しようとする技術課題は、どのようにして迅速かつ有効的に画像ピクセルの顕著性値を分析して、画像における重要物体領域を均一的に表現するかにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術課題を解決するため、本発明は、領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出(算出)する画像処理方法と画像処理装置を提供する。得られた顕著性マップは一連のコンピュータビジョンへの応用に適用可能である。
【0011】
本発明に係る技術的方案1の画像処理方法は、領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する画像処理方法であって、自動分割アルゴリズムを用いて入力画像を複数の領域に分割する分割ステップと、前記複数の領域のうちの一つの領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を利用して、当該領域の顕著性値を算出する算出ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
技術的方案2.
技術的方案1の画像処理方法において、前記算出ステップは、前記複数の領域における領域rの顕著性S(r)は以下の式に定義され、
【0013】
【数1】

【0014】
そのうち、D(r,r)およびD(r,r)はそれぞれ、領域rと領域rとの空間距離、および、領域rと領域rとの色の差分であり、i、kは自然数であり、w(r)は領域rの重み付き値であり、σは距離要素影響制御パラメーターである。
【0015】
技術的方案3.
技術的方案2の画像処理方法において、画像ピクセルの空間座標を0〜1に正規化した場合、前記σは0.1以上1.0以下である。
【0016】
技術的方案4.
技術的方案2の画像処理方法において、前記領域rに含まれるピクセルの数を前記領域rの重み付き値w(r)とする。
【0017】
技術的方案5.
技術的方案2の画像処理方法において、前記領域rと領域rとの色の差分D(r,r)は以下の式に定義され、
【0018】
【数2】

【0019】
そのうち、f(C,i)は領域rに含まれるn種類の色のi番目のCの出現頻度であり、D(C1,i,C2,j)は二つの色C1,i,C2,jの色空間におけるユークリッド距離であり、k={1,2}である。
【0020】
技術的方案6.
技術的方案5の画像処理方法において、色チャネルごとに、8級以上128級以下のカラーで近似する。
【0021】
技術的方案7.
技術的方案1乃至6のいずれかの画像処理方法において、算出された顕著性値を出力する出力ステップと、算出された顕著性値を表示する表示ステップと、算出された顕著性値を格納する格納ステップと、の少なくとも一つのステップをさらに含む。
【0022】
技術的方案8.
領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する画像処理装置であって、自動分割アルゴリズムを用いて入力画像を複数の領域に分割する分割ユニットと、前記複数の領域のうちの一つの領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を利用して、当該領域の顕著性値を算出する算出ユニットとを含むことを特徴とする。
【0023】
技術的方案9.
技術的方案8の画像処理装置において、前記複数の領域における領域rの顕著性S(r)は以下の式に定義され、
【0024】
【数1】

【0025】
そのうち、D(r,r)およびD(r,r)はそれぞれ、領域rと領域rとの空間距離、および、領域rと領域rとの色の差分であり、i、kは自然数であり、w(r)は領域rの重み付き値であり、σは距離要素影響制御パラメーターである。
【0026】
技術的方案10.
技術的方案9の画像処理装置において、画像ピクセルの空間座標を0〜1に正規化した場合、前記σは0.1以上1.0以下である。
【0027】
技術的方案11.
技術的方案9の画像処理装置において、前記領域rに含まれるピクセルの数を前記領域rの重み付き値w(r)とする。
【0028】
技術的方案12.
技術的方案9の画像処理装置において、前記領域rと領域rとの色の差分D(r,r)は以下の式に定義され、
【0029】
【数2】

【0030】
そのうち、f(C,i)は領域rに含まれるn種類の色のi番目のCの出現頻度であり、D(C1,i,C2,j)は二つの色C1,i,C2,jの色空間におけるユークリッド距離であり、k={1,2}である。
【0031】
技術的方案13.
技術的方案12の画像処理装置において、色チャネルごとに、8級以上128級以下のカラーで近似する。
【0032】
技術的方案14.
技術的方案8乃至13のいずれかの画像処理装置において、算出された顕著性値を出力する出力ユニットと、算出された顕著性値を表示する表示ユニットと、算出された顕著性値を格納する格納ユニットと、の少なくとも一つのユニットをさらに含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明の上記技術的方案によれば、本発明の、領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出(算出)する画像処理方法と画像処理装置は、自動分割アルゴリズムにより分割された領域ごとに、当該領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を利用して当該領域の顕著性値を算出することで、画像ピクセルの顕著性値を迅速かつ有効的に分析でき、画像における重要物体領域を均一的に表現することができる。国際的に最大規模である画像の視覚的顕著性の測定データセットでテストした結果、本方法は従来の方法より明らかに優れている。本方法によれば、複雑かつ変化が多い自然画像を有効的に分析することができると共に、多数のリアルタイム処理への応用ニーズを満すことができる。本発明は画像における視覚的顕著性領域を自動的に分析でき、その分析結果は、重要な目標物体の分割、物体識別、適応的画像圧縮、内容に応じた画像のリサイジング、および、画像検索などの応用分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置を説明するブロック図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る画像処理装置を説明するブロック図である。
【図5】本発明に係る入力画像を処理する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面と実施例を組み合わせて、本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
本発明はある画像領域とその他の画像領域との色の差分の重み付き和を算出して当該画像領域の顕著性値を算出する画像処理方法と画像処理装置を公開した。当該方法と装置により検出された顕著性値は一連の画像処理への応用に対するサポートを提供可能である。それらの応用は重要な目標物体の分割、内容に応じた画像のリサイジング、および、画像検索などを含む。
【0037】
図1は本発明の実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。
【0038】
図1に示すように、分割ステップS1で、ユーザなどに入力された任意の一つの画像(例えば、図5の(a)に示す入力画像)に対して、任意の画像自動分割アルゴリズムによって入力画像を複数の領域ブロックに分割する。前記入力画像は有線あるいは無線手段で装置の外部から入力されてもよいし、撮像装置に撮像された画像がリアルタイムにあるいは後から入力されてもよいし、装置の内蔵あるいは外付けの格納ユニットから画像を読み取って入力画像としてもよい。入力画像を自動的に分割するための自動分割アルゴリズムとして、例えば、FelzenszwalbとHuttenlocherが2004年に提案された「Efficient graph-based image segmentation」(IJCV, 59(2):167-181)の方法を利用する。もちろん、その他の既存の画像自動分割アルゴリズムを利用してもよい。
【0039】
算出ステップS2で、分割ステップS1で自動分割アルゴリズムによって複数の領域ブロックに分割された入力画像(例えば、図5の(b)に示すもの)に関して、分割された領域ごとに、当該領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を算出することで当該領域の顕著性値を算出(検出)する。すべての領域についてそれぞれの顕著性値を算出すると、図5の(c)に示す画像の顕著性を得ることができる。
【0040】
上記画像処理方法によれば、画像ピクセルの顕著性値を迅速かつ有効的に分析できる。複雑かつ変化が多い自然画像を有効的に分析することを可能とするとともに、多数のリアルタイム処理への応用ニーズを満足させることができる。
【0041】
また、該画像処理方法において、分割された複数の領域(1,2,…k…m)における領域rの顕著性S(r)は以下の式に定義され、
【0042】
【数1】

【0043】
そのうち、D(r,r)およびD(r,r)はそれぞれ、領域rと領域rとの空間距離、および、領域rと領域rとの色の差分であり、i、k、mは自然数であり、w(r)は領域rの重み付き値であり、σは距離要素影響制御パラメーターである。
【0044】
また、該画像処理方法において、距離要素影響制御パラメーターσは大きいほど、距離要素の影響は小さくなる。一方、距離要素影響制御パラメーターσは小さいほど、距離要素の影響は大きくなる。画像ピクセルの空間座標を0〜1に正規化(線形ズーミング)した場合、前記距離要素影響制御パラメーターσは0.01以上10以下の値を取りうる。好ましくは、距離要素影響制御パラメーターσは0.1以上1.0以下である。σ=0.4のとき、優れた画像顕著性検出(計算)効果を得ることができる。
【0045】
また、該画像処理方法において、前記領域rに含まれるピクセルの数を前記領域rの重み付き値w(r)としてもよい。
【0046】
また、該画像処理方法において、前記領域rと領域rとの色の差分D(r,r)は以下の式に定義され、
【0047】
【数2】

【0048】
そのうち、f(C,i)は領域rに含まれるn種類の色のi番目のCの出現頻度であり、D(C1,i,C2,j)は二つの色C1,i,C2,jの色空間におけるユークリッド距離(Euclidean distance)であり、k={1,2}である。
【0049】
また、該画像処理方法において、色チャネルごとに2級以上256級以下のカラーで計算する。採用されたカラーの級(レベル)が低いほど、計算の量が少なくなるが、精度が悪くなる。採用されたカラーの級(レベル)が高いほど、計算の量が多くなるが、精度がよくなる。計算を加速するため、色チャネルごとに256級のフルカラーとすることが必要なく、例えば、好ましくは色チャネルごとに8級以上128級以下のカラーで近似する。
【0050】
本発明の顕著性検出方法によれば、色チャネルごとに12級カラーで近似すると、優れた効果が得られることができる。したがって、検出された画像顕著性の精度を確保しながら、計算の量を大幅に低減することができる。
【0051】
図2は本発明の他の実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。
【0052】
図2に示すように、該画像処理方法において、分割ステップS1と算出ステップS2のほかに、算出された顕著性値を出力する出力ステップS3と、算出された顕著性値を表示する表示ステップS4と、算出された顕著性値を格納する格納ステップS5と、の少なくとも一つのステップをさらに含んでもよい。即ち、出力ステップと、表示ステップと、格納ステップとを任意的に組み合わせることで、得られた顕著性検出結果を希望のシーンに応用できる。出力ステップと、表示ステップと、格納ステップの順番について限定されるものではない。
【0053】
図3は本発明の実施の形態に係る画像処理装置を説明するブロック図である。
【0054】
図3に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する。上記画像処理装置1は、自動分割アルゴリズムを用いて入力画像を複数の領域に分割する分割ユニット10と、前記複数の領域のうちの一つの領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を当該一つの領域の顕著性値として算出する算出ユニット20とを含む。
【0055】
分割ユニット10は、ユーザなどに入力された任意の一つの画像(例えば、図5の(a)に示す入力画像)に対して、任意の画像自動分割アルゴリズムによって入力画像を複数の領域ブロックに分割する。前記入力画像は有線あるいは無線手段で装置の外部から入力されてもよいし、撮像装置に撮像された画像がリアルタイムにあるいは後から入力されてもよいし、装置の内蔵あるいは外付けの格納ユニットから画像を読み取って入力画像としてもよい。入力画像を自動的に分割するための自動分割アルゴリズムとして、例えば、FelzenszwalbとHuttenlocherが2004年に提案された「Efficient graph-based image segmentation」(IJCV, 59(2):167-181)の方法を利用する。もちろん、その他の既存の画像自動分割アルゴリズムを利用してもよい。
【0056】
算出ユニット20は、分割ユニット10で自動分割アルゴリズムによって複数の領域ブロックに分割された入力画像(例えば、図5の(b)に示すもの)に関して、分割された領域ごとに、当該領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を算出することで当該領域の顕著性値を算出(検出)する。すべての領域についてそれぞれの顕著性値を算出すると、図5の(c)に示す画像の顕著性を得ることができる。
【0057】
上記画像処理装置によれば、画像ピクセルの顕著性値を迅速かつ有効的に分析できる。本発明によれば、複雑かつ変化が多い自然画像を有効的に分析することを可能とするとともに、多数のリアルタイム処理への応用ニーズを満足させることができる。
【0058】
また、該画像処理装置1において、分割された複数の領域(1,2,…k…m)における領域rの顕著性S(r)は以下の式に定義され、
【0059】
【数1】

【0060】
そのうち、D(r,r)およびD(r,r)はそれぞれ、領域rと領域rとの空間距離、および、領域rと領域rとの色の差分であり、i、k、mは自然数であり、w(r)は領域rの重み付き値であり、σは距離要素影響制御パラメーターである。
【0061】
また、該画像処理装置1において、距離要素影響制御パラメーターσは大きいほど、距離要素の影響は小さくなる。一方、距離要素影響制御パラメーターσは小さいほど、距離要素の影響は大きくなる。画像ピクセルの空間座標を0〜1に正規化(線形ズーミング)した場合、前記距離要素影響制御パラメーターσは0.01以上10以下の値を取りうる。好ましくは、距離要素影響制御パラメーターσは0.1以上1.0以下である。σ=0.4のとき、優れた画像顕著性検出(計算)効果を得ることができる。
【0062】
また、該画像処理装置1において、前記領域rに含まれるピクセルの数を前記領域rの重み付き値w(r)としてもよい。
【0063】
また、該画像処理装置1において、前記領域rと領域rとの色の差分D(r,r)は以下の式に定義され、
【0064】
【数2】

【0065】
そのうち、f(C,i)は領域rに含まれるn種類の色のi番目のCの出現頻度であり、D(C1,i,C2,j)は二つの色C1,i,C2,jの色空間におけるユークリッド距離(Euclidean distance)であり、k={1,2}である。
【0066】
また、該画像処理装置1において、色チャネルごとに2級以上256級以下のカラーで計算する。採用されたカラーの級(レベル)が低いほど、計算の量が少なくなるが、精度が悪くなる。採用されたカラーの級(レベル)が高いほど、計算の量が多くなるが、精度がよくなる。計算を加速するため、色チャネルごとに256級のフルカラーとすることが必要なく、例えば、好ましくは色チャネルごとに8級以上128級以下のカラーで近似する。
【0067】
本発明の顕著性検出方法によれば、色チャネルごとに12級カラーで近似すると、優れた効果が得られることができる。したがって、検出された画像顕著性の精度を確保しながら、計算の量を大幅に低減することができる。複雑かつ変化が多い自然画像を有効的に分析することができながら多数のリアルタイム処理への応用ニーズに満足することができる。
【0068】
図4は本発明の他の実施の形態に係る画像処理装置を説明するブロック図である。
【0069】
図4に示すように、画像処理装置1において、分割ユニット10と算出ユニット20のほかに、算出された顕著性値を出力する出力ユニット30と、算出された顕著性値を表示する表示ユニット40と、算出された顕著性値を格納する格納ユニット50と、の少なくとも一つのユニットをさらに含んでもよい。即ち、出力ユニット30と、表示ユニット40と、格納ユニット50とを任意的に組み合わせることで、得られた顕著性検出結果を希望のシーンに応用できる。本発明によれば、検出された画像顕著性の精度を確保しながら、計算の量を大幅に低減することができる。複雑かつ変化が多い自然画像を有効的に分析することを可能とするとともに、多数のリアルタイム処理への応用ニーズを満足させることができる。
【0070】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例などを理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず、適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的でなく、2以上の実施例又は項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例などが本発明に包含される。
【符号の説明】
【0071】
10 分割ユニット
20 算出ユニット
30 出力ユニット
40 表示ユニット
50 格納ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する画像処理方法であって、
自動分割アルゴリズムを用いて入力画像を複数の領域に分割する分割ステップと、
前記複数の領域のうちの一つの領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を利用して、当該領域の顕著性値を算出する算出ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記算出ステップにおいて、前記複数の領域における領域rの顕著性S(r)は以下の式に定義され、
【数1】

そのうち、D(r,r)およびD(r,r)はそれぞれ、領域rと領域rとの空間距離、および、領域rと領域rとの色の差分であり、i、kは自然数であり、w(r)は領域rの重み付き値であり、σは距離要素影響制御パラメーターであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
画像ピクセルの空間座標を0〜1に正規化した場合、前記σは0.1以上1.0以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記領域rに含まれるピクセルの数を前記領域rの重み付き値w(r)とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記領域rと領域rとの色の差分D(r,r)は以下の式に定義され、
【数2】

そのうち、f(C,i)は領域rに含まれるn種類の色のi番目のCの出現頻度であり、D(C1,i,C2,j)は二つの色C1,i,C2,jの色空間におけるユークリッド距離であり、k={1,2}であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項6】
色チャネルごとに8級以上128級以下のカラーで近似することを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
算出された顕著性値を出力する出力ステップと、
算出された顕著性値を表示する表示ステップと、
算出された顕著性値を格納する格納ステップと、
の少なくとも一つのステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかの一項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
領域のコントラストに基づいて画像の視覚的顕著性を検出する画像処理装置であって、
自動分割アルゴリズムを用いて入力画像を複数の領域に分割する分割ユニットと、
前記複数の領域のうちの一つの領域とその他の領域との色の差分の重み付き和を利用して、当該領域の顕著性値を算出する算出ユニットと
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の領域における領域rの顕著性S(r)は以下の式に定義され、
【数1】

そのうち、D(r,r)およびD(r,r)はそれぞれ、領域rと領域rとの空間距離、および、領域rと領域rとの色の差分であり、i、kは自然数であり、w(r)は領域rの重み付き値であり、σは距離要素影響制御パラメーターであることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像ピクセルの空間座標を0〜1に正規化した場合、前記σは0.1以上1.0以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記領域rに含まれるピクセルの数を前記領域rの重み付き値w(r)とすることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記領域rと領域rとの色の差分D(r,r)は以下の式に定義され、
【数2】

そのうち、f(C,i)は領域rに含まれるn種類の色のi番目のCの出現頻度であり、D(C1,i,C2,j)は二つの色C1,i,C2,jの色空間におけるユークリッド距離であり、k={1,2}であることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項13】
色チャネルごとに8級以上128級以下のカラーで近似することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
算出された顕著性値を出力する出力ユニットと、
算出された顕著性値を表示する表示ユニットと、
算出された顕著性値を格納する格納ユニットと、
の少なくとも一つのユニットをさらに含むことを特徴とする請求項8乃至13のいずれかの一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243313(P2012−243313A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108031(P2012−108031)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【Fターム(参考)】