説明

画像処理装置、その制御方法、及びコンピュータプログラム

【課題】システムが提供する機能の利用をユーザごとに制限するとともに、原稿から読み取った画像データを外部装置に送信する場合には、複数の機能を組み合わせた利用についても好適に制限を設ける画像形成システム、画像形成装置及びそれらの制御方法を提供する。
【解決手段】本画像形成装置は、ネットワーク内で提供される機能の利用を制限するための機能制限情報に関連した関連制限情報を保持している。この関連制限情報を用いて、画像形成装置は、読取機能及び送信機能を実行するジョブを受け付けると、送信元ユーザに対して、機能制限情報及び関連制限情報による制限を反映したジョブの動作設定を行う設定画面を表示する。さらに、画像形成装置は、設定画面を介して設定されたジョブの動作設定と、機能制限情報及び関連制限情報とを用いて、送信先ユーザの制限を反映した送信ファイルを生成し、送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器に送信するデータに対して、適切な機能制限を付与する画像処理装置、その制御方法、及びコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータを相互に接続したコンピュータネットワーク(以下、単にネットワーク)が普及してきている。このようなネットワークには、コンピュータのみならず、プリンタ、ファクシミリ、複写機、スキャナといった画像処理装置も接続されるようになった。
【0003】
これらの画像処理装置の利用に際して、印刷物や電子情報による情報漏洩の危険性といった観点等から、利用制限を設定する機能が求められている。当該機能については、例えば、以下のような提案がなされている。特許文献1では、ユーザ毎にMFPの利用に際しての機能制限を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−323324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する問題がある。例えば、コピー機能の利用を制限されているユーザが、スキャン機能と外部送信機能を許可されている場合がある。この場合、ユーザがコピー機能を利用しようとした場合には制限がかかるが、スキャンして読み取った画像データを外部送信機能を用いて外部装置に送信することは可能であり、送信先で印刷を行うことにより、コピー機能と同等の機能を実現できてしまう。また、送信ユーザと送信先の受け取りユーザが異なる場合、受け取ったユーザの権限による制限が行われず、システムがユーザに付与する権限と異なってしまう。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、画像データを送信する場合に、複数の機能を組み合わせた利用について送信先のユーザに対する機能制限を行うことが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、画像データを指定した送信先に送信可能な画像処理装置であって、画像データを入力する入力手段と、前記送信先に対応するユーザによる画像処理機能の利用を制限するための制限情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した制限情報並びに前記画像処理装置及び他の画像処理装置の組み合せにより実現可能な画像処理機能に基づき前記入力手段で入力した画像データの制限機能を判断する判断手段と、前記判断手段により判断した制限機能に関する属性情報を、前記入力手段で入力した画像データに付加する付加手段と、前記付加手段により制限機能に関する属性情報が付加された画像データを送信する送信手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、画像データを送信する場合に、複数の機能を組み合わせた利用について送信先のユーザに対する機能制限を行うことが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るユーザ制限情報管理装置101の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るユーザ制限情報管理装置101が保持する機能制限情報の内容を示す図である。
【図5】本実施形態に係る機能制限情報と関連させて使用される関連制限情報の内容を示す図である。
【図6】本実施形態に係る送信情報を示す図である。
【図7】本実施形態に係る画像形成システムにおける全体処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図8】本実施形態に係るSEND設定画面801の構成例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る詳細設定画面901を示す図である。
【図10】本実施形態に係る宛先設定画面1001を示す図である。
【図11】本実施形態に係るSEND設定画面を表示する処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る選択された宛先のチェック処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態に係るSNEDファイルの作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態に係るSEND送信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
<画像形成システムの構成>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成システム100について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成システム100は、ユーザ制限情報管理装置101、画像形成装置102、105、及びクライアント装置103を含んで構成される。各装置は、ネットワーク104を介して相互通信可能に接続されている。
【0013】
ユーザ制限情報管理装置101は、画像形成装置102、105が所有する各種機能の利用制限情報をユーザごとに管理し、画像形成装置102、105から任意のタイミングで問い合わせを受けると、当該ユーザに対応する利用制限情報を提供する。つまり、画像形成装置102、105は、ユーザ情報、例えば、ユーザごとに固有に割り当てられたユーザIDをユーザ制限情報管理装置101に通知することにより、当該ユーザの利用制限情報を取得することができる。また、個々のユーザではなく、複数人で利用するグループIDを用いて利用制限するようにしてもよい。
【0014】
画像形成装置102、105は、デジタル複合機(MFP)であり、紙原稿を複写する機能に加えて、紙原稿を読み込んで外部装置に送信する機能(以下、SEND機能と称する。)やファクシミリ送信機能を有する。なお、ここでは、2台のMFPが画像形成システム100に設けられる例について説明する。しかしながら、さらに多くのMFPや単一機能の画像形成装置であるSFP(Single Function Peripheral)、スキャナ装置、FAX装置等が含まれてもよい。また、画像を用紙上に形成する画像形成機能を有さない画像処理装置としてもよい。また、クライアント装置103は、画像形成装置102、105から送信される画像データを受信するものであり、PC、又はサーバを表している。ネットワーク104は、各装置間での双方向通信を提供するイントラネットやインターネットの形態で実現される。
【0015】
<画像形成装置の構成>
次に、図2を参照して、画像形成装置102の制御構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成例を示すブロック図である。なお、画像形成装置105の制御構成も画像形成装置102と同様の構成である。
【0016】
画像形成装置102は、当該画像形成装置を統括的に制御するためのCPU回路部200を備える。また、CPU回路部200には、図2の矢印で示される信号線を介して、原稿給送装置制御部201、イメージリーダ制御部202、画像信号制御部203、プリンタ制御部204、外部I/F205、操作部210、表示部211、ソータ制御部212、フィニッシャ制御部213及びファイル生成部214が接続されている。画像形成装置102は画像データの送信を行うものであり、プリンタ制御部204、ソータ制御部212、フィニッシャ制御部213を有さないものであってもよい。また、原稿給送装置制御部を持たず、原稿台に置かれた原稿を読み取るものであってもよい。また、画像データの入力を、原稿の読み取り以外によって行うものであってもよい。また、不図示の電話回線に接続し、ファクシミリ通信機能を設けてもよい。
【0017】
CPU回路部200は、CPU206、ROM207、RAM208、及びHDD209を備える。CPU206は、ROM207に格納されている制御プログラムに基づき、CPU回路部200に接続されている各制御ブロックを統括的に制御する。RAM208には、制御データが一時的に保持される。また、RAM208は、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。HDD209には、制御プログラムに必要な情報や、各部から受信した情報が記憶される。
【0018】
原稿給送装置制御部201は、原稿積載部にセットされた原稿を原稿読取位置へ自動的に給送する原稿給送装置をCPU206からの指示に基づき駆動制御する。イメージリーダ制御部202は、原稿を走査するスキャナユニット、原稿の光学像を電気信号に光電変換するイメージセンサなどに対する駆動制御を行い、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部203に転送する。画像信号制御部203は、アナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、当該デジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部204に出力する。プリンタ制御部204は、入力されたビデオ信号に基づき、感光体に対する露光を制御する露光制御部を駆動する。
【0019】
外部I/F205は、ネットワーク104を介して外部装置から入力されたデジタル画像信号に対して各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部204に出力する。また、外部I/F205は、ネットワーク104を介してユーザ制限情報管理装置101、クライアント装置103、画像形成装置105との通信を制御する。
【0020】
操作部210は、各種機能を設定する複数のキー、及び設定状態を示す情報を表示するための表示部を備え、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部200に出力する。表示部211は、操作部210の入力内容や、各制御部の状態などを、CPU回路部200からの信号に基づき表示する。
【0021】
ソータ制御部212は、画像形成が完了した用紙を仕分けるソータ機構を駆動制御する。フィニッシャ制御部213は、画像形成が完了した用紙の後処理(用紙に穴を開けるパンチ処理、用紙を綴じるステイプル処理など)を行うフィニッシャ機構を駆動制御する。ソータ制御部212、及び、フィニッシャ制御部213は、外部I/F205を経由したユーザからの入力又は操作部210からの設定により、CPU回路部200からの信号に基づき動作する。
【0022】
ファイル生成部214は、画像信号制御部203において処理された画像情報を指示された形式でファイルとして生成し、RAM208やHDD209に保存する。このファイル生成部214において生成されたファイルは、外部I/F205を通じてクライアント装置103へ送信される。
【0023】
<ユーザ制限情報管理装置、及びクライアント装置構成>
次に、図3を参照して、本実施形態におけるユーザ制限情報管理装置及びクライアント装置の制御構成について説明する。図3は、本実施形態に係るユーザ制限情報管理装置101の制御構成を示すブロック図である。ここでは、ユーザ制限情報管理装置101の制御構成として説明を行うが、クライアント装置103も同様の構成である。
【0024】
図3に示すように、ユーザ制限情報管理装置101は、CPU301、RAM302、ROM303、NIC304、VRAM305、KBC307、HDD310、及びIOC311を備える。また、これらのユニットを接続し、各種データや制御情報などを伝送するシステムバス300を備える。
【0025】
CPU301は、ユーザ制限情報管理装置101の各種制御、及び演算を行う中央演算処理装置である。RAM302は、ランダムアクセスメモリであり、CPU301の主メモリとして実行プログラムの格納領域や、当該実行プログラムの実行領域や、データの格納領域を提供する。ROM303は、CPU301の動作処理手順を記憶している読み取り専用メモリであり、ユーザ制限情報管理装置101の各ユニットの制御を行う基本プログラム(一般的にBIOSと呼ばれる)や、システムを稼動させるために必要な情報等を記憶する。HDD310は、ハードディスクドライブであり、ユーザ制限情報管理装置101内で使用するアプリケーションプログラムや、文書データ、各種管理データなどを格納するために使用される。
【0026】
NIC304は、外部ネットワークとの間の入出力信号を制御するためのコントローラである。このNIC304は、ネットワーク104に接続するために使用される通信用のコントローラである。
【0027】
VRAM305は、ビデオRAMであり、CRT306に表示する画像データを展開し、表示の制御を行う。CRT306は、VRAM305と接続されユーザ制限情報管理装置101の各種情報を表示する表示装置である。CRT306は、ユーザ制限情報管理装置101内に内包されるか、又はユーザ制限情報管理装置101とは異なる筐体として分離した状態で使用される。当該表示装置は、液晶表示装置又はタッチパネル式液晶表示装置などを使用してもよい。
【0028】
KBC307は、ユーザ制限情報管理装置101に接続されたKB308やMOUSE309等の入力装置からの入力信号を受信し、制御するコントローラである。KB308、及びMOUSE309は、ユーザからの入力情報を受け付ける入力装置である。これら入力装置の代わりに上述のタッチパネル式液晶表示装置の入力部を利用してもよい。
【0029】
IOC311は、情報入力装置であるスキャナ313や、出力装置であるPRT312などユーザ制限情報管理装置101への入出力信号を制御するためのコントローラである。IOC311には、スキャナ313、PRT312以外の外部入出力装置、例えば外部接続用HDDや、MOドライブなどの情報機器が接続されてもよい。PRT312は、ユーザ制限情報管理装置101内で保持している電子画像データを印刷するためのプリンタである。スキャナ313は、紙原稿の紙面に記述されている内容を電子画像データとして読み取るための読取装置である。
【0030】
<機能制限情報>
次に、図4乃至図6を参照して、本実施形態における画像形成システム100のネットワーク内で提供される画像処理機能の利用を制限するための機能制限情報について説明する。図4は、本実施形態に係るユーザ制限情報管理装置101が保持する機能制限情報の内容を示す図である。
【0031】
機能制限情報には、コピー402、スキャン403、SEND404、ファックス405及び送信先情報406が、ユーザ名称401ごとに定義されている。ユーザ名称401は、ユーザ制限情報管理装置101が管理するユーザを識別するための情報である。コピー402は、原稿をコピーするコピー機能の利用許可情報を示す。スキャン403は、原稿を読み取る読取機能の利用許可情報を示す。SEND404は、原稿から読み取った画像データや予め保持している画像データを、ネットワーク104を介して他の装置に送信する送信機能の利用許可情報を示す。ファックス405は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像データを不図示の電話回線に接続されたファクシミリ装置に送信する機能の利用許可情報を示す。
【0032】
本実施形態に係る画像形成システム100では、ユーザ名称401ごとに、コピー402、スキャン403、SEND404、ファックス405の各機能の機能制限が提供される。図4において、「○」は機能を提供する場合を表し、「×」は機能の利用を制限する場合を表す。ここで、機能の利用を制限する場合とは、当該機能の実行を禁止することを意味する。
【0033】
送信先情報406は、ユーザが保持するメールアドレスなどの送信先を表す情報であり、SENDの際の送信先として使用される。ここでは、送信先情報406を機能制限情報とともに設けているが、機能制限情報とは異なるユーザ情報の中に設けられてもよい。
【0034】
図4に示すレコード411は、ユーザAに対して「コピー」、「スキャン」、「SEND」、「ファックス」の全ての機能の利用を許可していることを示す。また、レコード412は、ユーザDに対して「スキャン」、「SEND」、「ファックス」のみの利用を許可し、「コピー」の利用を禁止していることを示す。また、レコード413は、ユーザEに対してユーザDと同様の機能の利用を許可しているが、メールアドレスが設定されていないことを示す。
【0035】
図5は、本実施形態に係る機能制限情報と関連させて使用される関連制限情報の内容を示す図である。当該関連制限情報は、画像形成装置102、105に保持される。また、関連制限情報は、機能制限情報で制限されている機能に関連して他の機能の利用を制限するための情報を示す。
【0036】
関連制限情報には、制限機能名501、制限処理名502、可/不可503、対象形式504、及び制限内容505の情報が定義されている。制限機能名501、及び制限処理名502は、ユーザ制限情報管理装置101で管理されている機能制限情報のコピー402、スキャン403、SEND404、及びファックス405のいずれか1つを表す項目である。具体的には、制限機能名501は、機能制限情報において制限されている機能(画像処理機能)を示す。また、制限処理名502は、制限機能名501に設定されている機能が機能制限情報で制限されている場合に、関連させて制限させる対象となる機能を示す。
【0037】
可/不可503は、制限処理名502に設定されている機能が利用できるか否かを表している。対象形式504は、可/不可503の対象となる情報形式を表している。情報形式が指定されていない場合には、全ての情報形式を含んでいるものとする。制限内容505は、可/不可503で利用可能な場合における制限内容を表している。
【0038】
例えば、レコード511は、機能制限情報で「コピー」の利用が禁止されているユーザに対して、「SEND」利用時には「印刷不可」「編集不可」「パスワード固定」という制限を付加した「PDF」は送信可能であることを表している。つまり、上述のような印刷禁止やコピー禁止を示すセキュリティ情報(属性情報)を付加することが可能なファイル形式のみが定義されている。また、レコード512では、機能制限情報で「コピー」の利用が禁止されているユーザに対して、「SEND」利用時には「TIFF」や「JPEG」形式での送信は行えないことを表している。また、レコード513では、機能制限情報で「コピー」の利用が禁止されているユーザに対して、「ファックス」機能の利用を禁止することを表している。
【0039】
図6は、本実施形態に係る送信情報を示す図である。当該送信情報は、画像形成装置102、105に保持され、SEND機能が実行された場合にファイルを送信するための情報が定義されている。
【0040】
送信情報には、送信ジョブID、制限有無602、ファイル種別603、送信先ユーザ情報604、及び保管先605の情報が定義されている。送信ジョブID601は、画像形成装置102、105で実行中の送信ジョブを一意に表すIDである。このIDを使用することで、処理中のジョブの送信情報を特定することができる。制限有無602は、送信時の制限があるか否かを表している。同一のジョブにおいても、制限の有無により分かれた送信情報を有することができる。ファイル種別603は、送信するファイルの種別を表すファイル識別子を表している。送信先ユーザ情報604は、送信ジョブで送信されるファイルの宛先情報を表している。保管先605は、送信するファイルの保管先605を表している。
【0041】
レコード611は送信制限のないファイルをPDF形式でユーザAに送信することを示す。また、レコード612は送信制限を有するファイルをPDF形式でユーザDに送信することを表している。また、レコード611、612は、送信ジョブ1で送信される内容を表している。レコード613は、送信ジョブ2において、送信制限のないファイルをPDF形式でユーザEに送信することを示す。
【0042】
<処理シーケンス>
次に、図7を参照して、本実施形態における全体処理のシーケンスについて説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成システムにおける全体処理の処理手順を示すシーケンス図である。ユーザ701は、画像形成システム100を利用するユーザを表している。ユーザ701は、本処理シーケンスを利用するために、予め画像形成装置102を介してユーザ制限情報管理装置101でユーザ認証を受けており、画像形成装置102が利用可能な状態になっているものとする。
【0043】
まず、ステップS101において、ユーザ701がSEND処理の起動を画像形成装置102に対して要求する。SEND処理の要求を受け付けると、ステップS102において、画像形成装置102は、SEND設定画面を起動する。具体的には、設定画面のリソースを読み込んで画面情報を生成する。さらに、画像形成装置102は、SEND処理を要求したユーザ701に対応する機能制限情報をユーザ制限情報管理装置101に対して要求する。
【0044】
ステップS103において、ユーザ制限情報管理装置101は、指定されたユーザに対応する機能制限情報を検索し、画像形成装置102に対して送信する。続いて、ステップS104において、画像形成装置102は、ユーザ制限情報管理装置101から取得した機能制限情報リストに基づいて、上記SEND設定画面にその制限情報を反映する。ステップS104の詳細については、図11を用いて後述する。ステップS104までの処理を終えた画像形成装置102は、後述の図8で表されるSEND設定画面801を表示部211に表示し、ユーザ701に対して操作可能な状態を提供する。
【0045】
ステップS105において、ユーザ701は、表示されたSEND設定画面801を利用してSEND処理の設定を行う。SEND処理の設定については、ユーザ701が画像形成装置102の操作部210を用いて入力した内容を画像形成装置がステップS106において処理し、表示部211を使用してSEND設定画面801に反映する手順で行われる。ユーザ701は、目的の設定になるまで、ステップS105を繰り返し行う。ユーザ701が行うことのできる設定内容、及びその設定画面についての詳細は、図8乃至図10用いて後述する。
【0046】
SENDの設定が終了すると、ステップS107において、ユーザ701は、SEND処理の開始を画像形成装置102に対して要求する。SEND処理開始の通知を受け取ると、ステップS108において、画像形成装置102は、原稿給送装置制御部201及びイメージリーダ制御部202によって原稿上のイメージ情報を読み取る。読み取ったイメージ情報は、RAM208又はHDD209に格納される。
【0047】
次に、ステップS109において、画像形成装置102は、読み取ったイメージ情報からSEND設定画面801で設定した設定内容でファイルを生成する。生成されたファイルは、イメージ情報と同様にRAM208又はHDD209に格納される。ステップS109のファイル生成及び格納の処理手順については、図13を用いて後述する。
【0048】
次に、ステップS110において、画像形成装置102は、SEND設定画面801で設定された宛先に対して指示されたプロトコルにより、RAM208又はHDD209に格納したファイルの送信処理を行う。ここでは、クライアント装置103に当該ファイルが送信される。ステップS110のファイルの送信処理手順については、図14を用いて後述する。
【0049】
ファイルが送信されると、ステップS111において、クライアント装置103は、指定されたプロトコルでファイルの受信を行う。ここで、クライアント装置103は、ファイルの受信が完了すると、画像形成装置102に対してファイル受信の完了通知を送信する。ファイル受信の完了通知を受け取ると、ステップS112において、画像形成装置102は、RAM208又はHDD209に格納された送信ファイルやイメージ情報、及び図6に示す送信情報に該当するレコード情報を削除する。
【0050】
<SEND設定画面構成>
次に、図8乃至図10を参照して、ユーザに対して表示される各種設定画面について説明する。図8は、本実施形態に係るSEND設定画面801の構成例を示す図である。SEND設定画面801は、送信先を表す宛先情報表示欄802、その宛先入力を起動する宛先表ボタン803、送信プロトコルの選択欄804、送信ファイル形式の選択欄805、キャンセルボタン806、及びOKボタン807を含んで構成される。SEND設定画面801は、ジョブを要求した送信元ユーザに対して、当該ジョブの動作設定を行わせるための設定画面である。
【0051】
宛先情報表示欄802には、送信プロトコルの選択欄804で選択した送信形式によりファイルの送信宛先が表示される。これは、送信形式がメール送信であれば宛先のメールアドレス、FTPであれば宛先サーバ情報となる。宛先情報表示欄802に宛先を設定するためには、宛先表ボタン803を使用する。宛先表ボタン803を押下すると、後述する宛先設定画面1001が表示され、宛先表に登録されている宛先の選択、及び新規宛先の入力が可能となる。宛先設定画面1001で指定された宛先情報は、確定後に宛先情報表示欄802に反映される。図8に示す宛先情報表示欄802では、宛先設定画面1001を使用してユーザAとユーザDとが宛先として選択されていることを表している。
【0052】
送信プロトコルの選択欄804は、SENDによりファイルを送信する際の通信プロトコルを選択する欄であり、「メール」「FTP」「WebDAV」などのファイル転送プロトコルが表示され、その中から任意の形式を選択できる。
【0053】
送信ファイル形式の選択欄805は、前述のプロトコルにより送信されるファイルの形式を選択する欄であり、図8に示すように「PDF」「TIFF」「JPEG」といった画像形成装置102が生成することのできるファイル形式が列挙される。この送信ファイル形式の選択欄805については、図5に示す対象形式504により、選択可能な形式が制限される。つまり、選択可能な形式のみが押下可能なボタンとして表示される。選択可能なボタンが選択されると、選択されたファイル形式に基づいて、後述する詳細設定画面901が表示され、ファイルの詳細な設定を行うことができる。
【0054】
キャンセルボタン806が押下されると、ユーザ701が要求したSEND処理がキャンセルされる。したがって、ユーザがそれまでに設定した内容はクリアされる。OKボタン807が押下されると、SEND処理が開始され、具体的には、ステップS108乃至S112の処理が行われる。
【0055】
図9は、本実施形態に係る詳細設定画面901を示す図である。詳細設定画面901は、選択欄805が選択されることにより表示され、ファイルの詳細な設定を行うための画面である。詳細設定画面901は、読み取りパスワードの設定指示ボタン902、読み取りパスワードの入力欄903、編集パスワードの設定指示ボタン904、印刷指定の選択欄905、編集指定の選択欄906、編集パスワードの入力欄907、キャンセルボタン908、及びOKボタン909を含んで構成される。
【0056】
読み取りパスワードの設定指示ボタン902は、読み取りパスワードの制限を付与するか否かを選択するボタンを表す。本ボタンを押下すると、受信側でファイルを読み取る(開く)際にパスワードの入力が必要となる。読み取りパスワードの入力欄903は、設定指示ボタン902でパスワード制限が有効になった場合にのみ、入力が可能となる。パスワードは、画面上に別途表示される、例えばソフトウェアキーボードなどによって入力することができる。
【0057】
編集パスワードの設定指示ボタン904は、編集パスワードの制限を付与するか否かを選択するボタンを表す。本ボタンを押下すると、送信ファイルを編集する際にパスワードの入力が必要となる。印刷指定の選択欄905は、設定指示ボタン904でパスワード制限が有効になった場合にのみ選択することができるものであり、ファイルの印刷機能の利用を「許可」又は「許可しない」から任意の設定を選択できる。「許可しない」が選択された場合には、送信先においてファイルの印刷を制限することができる。
【0058】
編集指定の選択欄906は、編集パスワードの設定指示ボタン904でパスワード制限が有効になった場合にのみ選択することができるものであり、「ページ挿入、削除、回転を許可」「ページの抽出以外を許可」「許可しない」から任意の設定を選択できる。編集パスワードの入力欄907は、編集パスワードの設定指示ボタン904でパスワード制限が有効になった場合にのみ、入力が可能となる。入力欄907は、読み取りパスワードの入力欄903と同様に、別途用意されるソフトウェアキーボードによって入力することができる。
【0059】
キャンセルボタン908が押下されると、ファイルの設定処理がキャンセルされ、図8に示す送信ファイル形式の選択欄805の選択が無効となる。その後、送信ファイルの詳細設定画面901が閉じられて、SEND設定画面801が表示される。OKボタン909が押下されると、ファイルの設定処理が確定される。その後、詳細設定画面901が閉じられて、SEND設定画面801が表示される。
【0060】
図9に示す詳細設定画面901は、図7に示す送信ファイル形式の選択欄805において、「PDF」が選択された際の画面の一例を示す。また、画面構成内容についても、本実施形態に必要な設定のみに限定しているが、PDFに対して設定できる他の機能の設定を行ってもよい。また、その他のファイル形式、例えば、「TIFF」や「JPEG」を選択した際には、設定できる内容の異なる画面が表示される。
【0061】
図10は、本実施形態に係る宛先設定画面1001を示す図である。宛先設定画面1001は、宛先表ボタン803は押下されることにより表示され、ファイルの送信先を示す宛先の設定を行うための画面である。宛先設定画面1001は、選択した宛先の一覧表示欄1002、選択ボタン1003、新規宛先入力ボタン1004、キャンセルボタン1005、及びOKボタン1006を含んで構成される。
【0062】
宛先の一覧表示欄1002は、宛先設定画面1001上で選択又は入力された宛先情報が表示される欄であり、複数の宛先が指定可能である。選択ボタン1003は、既に登録されている宛先情報から宛先を選択するためのボタンであり、宛先の先頭文字を示す複数のボタンにより構成される。選択ボタン1003を選択することで、その文字を先頭に持つ宛先がポップアップウィンドウ等に一覧表示され、そこから所望の宛先を選択することができる。選択された宛先は、一覧表示欄1002に追加表示される。図10に示す一覧表示欄1002では、選択ボタン1003などを使用して選択されたユーザA、ユーザD、及びユーザEが宛先候補として選択されていることを表している。
【0063】
新規宛先入力ボタン1004は、宛先表に所望の宛先が存在しない場合に押下されるボタンであり、押下すると、ソフトウェアキーボードが表示され、宛先を入力することができる。ソフトウェアキーボードで入力文字列の内容が確定されると、宛先として一覧表示欄1002に追加表示される。
【0064】
キャンセルボタン1005が押下されると、一覧表示欄1002の設定内容が破棄され、既存の宛先情報を更新せずに宛先設定画面1001が閉じられてSEND設定画面801が表示される。OKボタン1006が押下されると、一覧表示欄1002の選択内容が確定され、宛先設定画面1001が閉じられてSEND設定画面801が表示される。このOKボタン1006が押下されることにより実行される選択内容のチェック手順については、図12を用いて後述する。
【0065】
<SEND設定画面の表示処理>
次に、図11を参照して、図7のステップS104における制限機能を反映させたSEND設定画面801の表示制御について説明する。図11は、本実施形態に係るSEND設定画面を表示する処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、画像形成装置102のCPU206によって統括的に制御される。また、ここでは、認証処理されたユーザ(送信元ユーザ)のユーザ情報、及び機能制限情報を、予め画像形成装置102に取得できているものとする。また、ここでは、送信元ユーザとして「ユーザD」を想定し、具体的な説明を行う。
【0066】
ステップS201において、CPU206は、「ユーザD」のSEND404の情報を参照し、SEND処理が許可されているか否かを判定する。SEND処理の利用が制限されている場合は、ステップS208に進み、CPU206は、エラー処理を実行し、処理を終了する。エラー処理では、例えば、SEND処理が許可されていないことをユーザに通知するエラー表示が表示部211に表示される。一方、SEND処理の利用が許可されている場合は、ステップS202に進む。
【0067】
ステップS202において、CPU206は、画像形成装置102内に保持されている関連制限情報を取得する。具体的には、レコード412における「ユーザD」の機能制限情報として「コピー」機能が利用不可と設定されているため、CPU206は、制限機能名501に「コピー」と記載のある関連制限情報を取得する。つまり、図5に示す関連制限情報の中では、レコード511、512、513の情報が取得される。その後、CPU206は、取得した関連制限情報のレコードの数だけ後述するステップS203乃至S206の処理を繰り返す。
【0068】
ステップS203において、CPU206は、取得した関連制限情報の中から1件を取得する。次に、ステップS204において、CPU206は、対象機能(ここではSENDとなる)に関連する制限処理か否かを判定する。具体的には、関連制限情報における制限処理名502にSENDが定義されているか否かを判定する。SENDである場合(ここでは、レコード511、512の場合となる)には、次のS205へ遷移する。一方、SENDに関するものでない場合には、ステップS206(ここでは、レコード513の場合となる)へ遷移する。
【0069】
ステップS205において、CPU206は、表示する設定画面における入力欄/設定欄の制限状態を反映する。具体的には、以下のような制限が付与される。レコード511は、「PDF」形式に対して、「印刷不可」「編集不可」「パスワード固定」による制限を行ったもののみ送信可能ということを意味している。したがって、以下に示すように、詳細設定画面901を制御する。
【0070】
編集パスワードの設定指示ボタン904 → 押下された状態
印刷指定の選択欄905 → 「許可しない」を選択
編集指定の選択欄906 → 「許可しない」を選択
編集パスワードの入力欄907 → 入力不可能なボタンとして表示
また、レコード512は、「TIFF」「JPEG」形式での送信を制限することを意味している。したがって、以下に示すように、SEND設定画面801を制御する。
【0071】
送信ファイル形式の選択欄805 → 「TIFF」、「JPEG」を入力不可能なボタンとして表示
以上のように対象レコードの制限を各画面に反映させると、ステップS206へ遷移する。ステップS206において、CPU206は、ステップS202で取得したレコードでまだ処理していないものが残っているか否かを判定する。未処理のレコードが残っている場合にはステップS203へ遷移し、全てのレコードを処理した場合にはステップS207へ遷移する。
【0072】
ステップS207において、CPU206は、制限情報の反映が完了した画面を画像形成装置102の表示部211に表示する。これにより、送信元ユーザである「ユーザD」に対する機能制限に対して、独立した機能間で連携して実現できる処理に対しても利用制限することができる。
【0073】
<選択された宛先のチェック処理>
次に、図12を参照して、宛先設定画面1001におけるOKボタン1006が押下されたときの選択された宛先の妥当性をチェックする処理について説明する。図12は、本実施形態に係る選択された宛先のチェック処理の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、画像形成装置102のCPU206によって統括的に制御される。
【0074】
ステップS301において、CPU206は、ユーザによってSEND設定画面801を介して選択された送信プロトコルの選択欄804の値、及び送信ファイル形式の選択欄805の値を取得する。続いて、ステップS302において、CPU206は、宛先設定画面1001の一覧表示欄1002に表示されている宛先情報を全て取得する。ここでは、例えば、「ユーザA」「ユーザD」「ユーザE」という情報が取得される。
【0075】
次に、ステップS303において、CPU206は、ステップS302で取得した宛先情報から1件を選択する。なお、ステップS303からS314までの処理は、ステップS302で取得した宛先情報の件数分繰り返し実行される。つまり、ここでは、まず「ユーザA」の情報が選択され、続いて「ユーザD」、「ユーザE」の順番で選択される。
【0076】
宛先が選択されると、ステップS304において、CPU206は、ステップS303で宛先情報が選択できたか否かを判定する。宛先情報が選択された場合はステップS305に進み、宛先情報が選択されない場合はステップS302で取得したデータの処理が全て完了したと判断し処理を終了する。
【0077】
ステップS305において、CPU206は、選択された宛先情報が、ユーザの直接入力値である場合には図4に示す送信先情報406に該当する情報を検索し、存在する場合にはそのユーザ名称401に宛先情報を変換する。ユーザが既に存在する宛先情報から選択している場合には、この処理はスキップされる。
【0078】
次に、ステップS306において、CPU206は、ステップS305の変換処理が成功したか否かを判定する。ここで、変換を行わなかった場合には、変換処理が成功したものと判定する。変換処理が成功した場合はステップS307に進み、変換処理が失敗した場合はステップS315に進む。
【0079】
ステップS307において、CPU206は、選択された宛先情報から送信先ユーザの機能制限情報を取得する。具体的には、ステップS302で取得した「ユーザA」「ユーザD」「ユーザE」に対応して、それぞれレコード411、412、413のデータが取得される。つまり、複数の送信先毎に機能制限情報が取得される。
【0080】
ステップS308において、CPU206は、取得した機能制限情報の中に機能制限が存在するか否かを判定する。機能制限がある場合はステップS309へ進み、機能制限がない場合はステップS310へ進む。例えば、レコード411の「ユーザA」では機能制限が存在しないためステップS310へ進む。レコード412の「ユーザD」及びレコード413の「ユーザE」では、コピー機能が制限されているため、ステップS309へ進む。
【0081】
ステップS310において、CPU206は、制限のない送信先ユーザという分類になるため、図6に示す送信情報に以下のレコードを追加する。以下の送信情報における送信ジョブIDは「1」であるものとする。具体的には、以下のレコード(図6に示すレコード611)を追加する。
【0082】
送信ジョブID601 → 「1」
制限有無602 → 「無」
ファイル種別603 → 「PDF」
送信先ユーザ情報604 → 「ユーザA」
ここで、ファイル種別603は、ユーザがSEND設定画面801を介して選択しているファイル形式を適用する。この処理では図11のフローチャートと同様に「ユーザD」が操作している処理となり、ファイル種別603は「PDF」となる。また、既にレコード自体が存在する場合には、送信先ユーザ情報604の欄に「ユーザA」の記述を追記するのみとなる。この送信情報のレコード登録が終了することにより、宛先1件の処理が終了するため、ステップS303に戻る。
【0083】
一方、ステップS309において、CPU206は、機能制限を有するユーザの制限に対する関連制限情報を取得する。具体的には、レコード412「ユーザD」、及びレコード413「ユーザE」において「コピー」機能が利用不可であるため、関連制限情報の制限機能名501に「コピー」と記載のある情報、即ち、レコード511、512、513を取得する。関連制限情報を取得すると、ステップS311へ進む。
【0084】
ステップS311においては、CPU206は、取得したレコード511、512、513から送信種別を判定する。具体的には、「SEND」機能が利用できるか否かの判定と、「SEND」機能が利用可能な場合には対象ファイル形式に合致しているか否かの判定とが行われる。ここで、「SEND」機能が利用可能で制限内容505に制限が記載されていない場合には、ステップS310に進み、制限内容505に制限が記載されている場合には、ステップS312に進む。また、関連制限情報の可/不可503が「不可」である場合には、送信不可のユーザと判断し、ステップS315のエラー処理に進む。
【0085】
例えば、レコード511において「SEND」は対象形式「PDF」のみ送信可能という設定になっており、制限内容505にも制限が記載されているため、「ユーザD」、「ユーザE」の場合は、ステップS312に進む。ステップS312において、CPU206は、SEND設定画面801を介して選択された送信プロトコルの選択欄804の送信プロトコル情報、及び送信先情報406を取得する。具体的には、送信プロトコルとして「メール」、「ユーザD」「ユーザE」の送信先情報406として、それぞれ「User_D@mail.canon.jp」、「−」を取得する。
【0086】
続いて、ステップS313において、CPU206は、ステップS312で取得した情報から設定しているジョブに適した送信先情報が存在するか否かを判定する。つまり、ユーザによって設定された設定内容に適切な送信先に関する情報が登録されているか否かを判定する。適切な送信先に関する情報が存在している場合にはステップS314に進み、存在しない場合にはステップS315へ進む。具体的には、プロトコルとして「メール」が選択されており、レコード412「ユーザD」は、送信先情報406として「User_D@mail.canon.jp」というメールアドレスが登録されているため、送信可能と判断し、ステップS314に進む。一方、レコード413「ユーザE」については、送信先情報406に「−」(設定無し)が登録されているため、送信不可と判断しステップS315に進む。
【0087】
ステップS314において、CPU206は、制限のある送信先ユーザという分類になるため、送信情報にレコードを追加する。具体的には、以下のレコード(図6のレコード612)を追加する。
【0088】
送信ジョブID601 → 「1」
制限有無602 → 「有」
ファイル種別603 → 「PDF」
送信先ユーザ情報604 → 「ユーザD」
送信ジョブID601、ファイル種別603については、ステップS310と同じ内容のため、説明を省略する。また、既にレコード自体が存在する場合には、送信先ユーザ情報604の欄に「ユーザD」の記述を追記する。この送信情報のレコード登録が終了することにより、宛先1件の処理が終了するため、ステップS303に戻る。
【0089】
一方、ステップS315において、CPU206は、送信不可のユーザという分類になるため、送信情報のレコード追加は行わず、設定エラーとして処理する。例えば、CPU206は、エラー画面などに指定した宛先が不正である旨の表示を行わせる。表示が終了すると、処理を終了する。
【0090】
<SENDファイルの作成処理>
次に、図13を参照して、ステップS109で行われるSENDファイルの作成処理について説明する。図13は、本実施形態に係るSNEDファイルの作成処理の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、画像形成装置102のCPU206によって統括的に制御される。また、ここでは、認証処理されたユーザのユーザ情報、及び機能制限情報を、予め画像形成装置102に取得できているものとする。また、ここでは、画像データを送信する送信先ユーザとして「ユーザA」、「ユーザD」を想定し、具体的な説明を行う。
【0091】
まず、ステップS401において、CPU206は、図7のステップS106においてユーザがSEND設定画面801を介して設定した設定内容(動作設定)を取得する。例えば、設定内容として、以下のように設定されていることを想定する。
【0092】
宛先情報表示欄802 → ユーザA、ユーザDのメールアドレス(任意入力)
送信プロトコルの選択欄804 → メール(任意入力)
送信ファイル形式の選択欄805 → 「PDF」(システム固定)
読み取りパスワードの設定指示ボタン902 → 未指定(任意入力)
読み取りパスワードの入力欄903 → 未指定(任意入力)
上記設定の中で、括弧内に「システム固定」と記載している項目は、ユーザが入力/選択の余地がない項目(図11の説明で制限を反映させた項目)であり、「任意入力」と記載している項目はユーザが入力/選択した項目を意味する。
【0093】
また、この時点で、図6に示す送信情報から対象の送信ジョブID601(ここでは「1」)に合致したレコードを取得する。具体的には、レコード611、612が取得される。SEND設定画面801を介した設定内容を取得すると、ステップS402へ進む。
【0094】
ステップS402において、CPU206は、制限のない送信情報が存在するか否かを判定する。つまり、図12のステップS310において登録しているレコードが存在するか否かを判定する。存在する場合には、ステップS403に進み、存在しない場合には、ステップS406に進む。
【0095】
ステップS403において、CPU206は、ステップS108でRAM208又はHDD209に格納された紙原稿のイメージ情報により、送信データを生成する。続いて、ステップS404において、CPU206は、SEND設定画面801を介して取得した設定内容と、ステップS401で取得したジョブのレコード611とを用いて、関連制限情報に従った内容に送信データを編集する。具体的には、以下のような設定が行われる。
【0096】
送信先を表す宛先情報表示欄802 → ユーザAのメールアドレス(任意入力)
送信プロトコルの選択欄804 → メール(任意入力)
送信ファイル形式の選択欄805 → 「PDF」(システム固定)
読み取りパスワードの設定指示ボタン902 → 未指定(任意入力)
読み取りパスワードの入力欄903 → 未設定(902に連携)
編集パスワードの設定指示ボタン904 → 未指定(システム固定)
印刷指定の選択欄905 → 「許可する」(システム固定)
編集指定の選択欄906 → 「許可する」(システム固定)
編集パスワードの入力欄907 → 未指定(システム固定)
上述のように、ユーザAに送信する送信ファイルに関しては、ユーザの設定内容、レコード611、及び関連制限情報に基づき、印刷指定及び編集指定が「許可する」と編集される。
【0097】
次に、ステップS405において、CPU206は、ステップS403、及びS404で生成/編集された送信データを、ファイル生成部214によって生成し、RAM208又はHDD209に格納する。そして、その格納先情報を、ステップS402で取得したレコード611の保管先605に追記する。
【0098】
次に、ステップS406において、CPU206は、制限のある送信情報が存在するか否かを判定する。つまり、図12のステップS314で登録しているレコードが存在するか否かを判定する。存在する場合にはステップS407に進み、存在しない場合には、処理を終了する。
【0099】
ステップS407において、CPU206は、RAM208又はHDD209に格納されている図7のステップS108によって読み込まれた紙原稿のイメージ情報により、送信データを生成する。続いて、ステップS408においては、CPU206は、SEND設定画面801を介して取得した設定内容と、ステップS401で取得したジョブのレコード612とを用いて、関連制限情報に合致する内容に送信ファイルを編集する。具体的には、以下のように設定変更を行う。
【0100】
送信先を表す宛先情報表示欄802 → ユーザDのメールアドレス(任意入力)
送信プロトコルの選択欄804 → メール(任意入力)
送信ファイル形式の選択欄805 → 「PDF」(システム固定)
読み取りパスワードの設定指示ボタン902 → 未指定(任意入力)
読み取りパスワードの入力欄903 → 未指定(任意入力)
編集パスワードの設定指示ボタン904 → 指定(システム固定)
印刷指定の選択欄905 → 「許可しない」(システム固定)
編集指定の選択欄906 → 「許可しない」(システム固定)
編集パスワードの入力欄907 → 未指定(システム固定)
上述のように、ユーザDに送信する送信ファイル関しては、ユーザの設定内容、レコード612、及び関連制限情報に基づき、印刷指定及び編集指定が「許可しない」と編集される。
【0101】
次に、ステップS409において、CPU206は、ステップS407、S408において生成/編集された送信データを、図2のファイル生成部214によって生成し、RAM208又はHDD209に格納する。そして、その格納先情報を、ステップS406で取得したレコード612の保管先605に追記する。
【0102】
なお、ステップS404及びS408において、編集パスワードは、任意パスワードを発行して編集パスワードの入力欄907に設定される。パスワードの発行に関しては、関連制限情報の中にある「パスワード固定」という部分に関するものであり、外部送信した後に印刷編集設定を変更されないために画像形成装置102側で内部的に発行し、外部には公開されない。そのため、このパスワード生成ロジックについては、画像形成装置102内の任意情報から作成してもよいし、処理年月日などを用いて動的に作成してもよい。
【0103】
<SEND送信処理フロー>
次に、図14を参照して、ステップS110で行われる機能制限を反映したSEND送信処理について説明する。図14は、本実施形態に係るSEND送信処理の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、画像形成装置102のCPU206によって統括的に制御される。また、ここでは、図13のフローチャートで生成された送信情報に基づいて具体的な説明を行う。
【0104】
ステップS501において、CPU206は、図6に示す送信情報のレコードから送信ジョブID601(ここでは「1」)に合致したレコードを取得する。具体的には、レコード611、612が取得される。続いて、ステップS502において、CPU206は、対象ジョブにおける制限無しのレコードが存在するか否かを判定する。具体的には、上述した図12のS310において登録しているレコードが存在している場合には、ステップS503に進む。一方、レコードが存在しない場合には、ステップS505に進む。
【0105】
ステップS503において、CPU206は、レコード611の送信先ユーザ情報604に記載されている宛先情報から、図4に示す送信先情報406を取得する。続いて、ステップS504において、CPU206は、レコード611の保管先605に記載されている情報に従って制限無しの送信ファイルを取得する。さらに、CPU206は、ステップS503で取得された送信先情報406を宛先とし、ステップS404で設定されている送信プロトコルに従って送信ファイルを送信し、ステップS505に進む。なお、複数の送信先ユーザがレコード611に設定されている場合、メールなど一度に指定できる場合には各宛先ごとに送信処理は行わず、まとめて1回の送信処理を行うことも可能である。
【0106】
ステップS505において、CPU206は、対象ジョブにおける制限有りのレコードが存在するか否かを判定する。図12に示すステップS314において登録しているレコードが存在している場合には、ステップS506に進む。一方、レコードが存在しない場合には、本送信処理を終了する。
【0107】
ステップS506において、CPU206は、レコード612の送信先ユーザ情報604に記載されている宛先情報から、図4に示す送信先情報406を取得する。続いて、ステップS507において、CPU206は、レコード612の保管先605に記載されている情報に従って制限有りの送信ファイルを取得する。さらに、CPU206は、ステップS506で取得した送信先情報406を宛先とし、ステップS408で設定されている送信プロトコルに従って送信ファイルを送信し、処理を終了する。なお、複数の送信先ユーザがレコード612に設定されている場合、メールなど一度に指定できる場合には各宛先ごとに送信処理は行わず、共通の制限情報を含むファイルをまとめて1回の送信処理を行うことも可能である。
【0108】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、ネットワークを介して接続された管理装置で管理されているネットワーク内で提供される画像処理機能の利用を制限するための機能制限情報に関連した関連制限情報を保持している。この関連制限情報は、機能制限情報で制限されている画像処理機能に関連して他の画像処理機能の利用を制限するための情報である。具体的には、関連制限情報は、複数の他の機能を組み合わせて、機能制限情報で制限されている機能を実現することを制限するための情報を含む。例えば、関連制限情報には、所定のユーザに対応する機能制限情報の中で、コピー機能の利用が禁止されている場合に、読取機能、送信機能及び印刷機能を組み合わせてコピー機能と同等の機能を実現するのを制限するための情報が含まれる。この関連制限情報を用いて、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、読取機能及び送信機能を実行するジョブを受け付けると、送信元ユーザに対して、機能制限情報及び関連制限情報による制限を反映したジョブの動作設定を行う設定画面を表示する。さらに、画像形成装置は、設定画面を介して設定されたジョブの動作設定と、機能制限情報及び関連制限情報とを用いて、送信先ユーザの制限を反映した送信ファイルを生成し、送信する。これにより、本画像形成装置は、機能制限情報で制限されている画像処理機能を、複数の他の画像処理機能を組み合わせて実現することを制限するとともに、原稿から読み取った画像データを他のユーザに送信する場合には、ユーザごとに制限を加えることができる。なお、制限情報は、送信先のユーザに対応するもののみ反映させるようにしてもよいし、送信者であるユーザと送信先のユーザの両方を反映させるようにしてもよい。両方のユーザの制限情報を反映させる場合は、より厳しい制限情報とするのが好ましいが、他の条件によって制限内容を決定してもよい。また、制限する内容もコピー以外、他の機能としてもよい。
【0109】
なお、本発明は上記実施形態に限らず様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、画像形成装置102に関連制限情報を保持する構成としたが、ユーザ制限情報管理装置101で保持する構成としてもよい。この場合、画像形成装置102が取得するタイミングでユーザ制限情報管理装置101から関連制限情報を取得することになる。また、ネットワーク104を単一のネットワークとしたが、LANと呼ばれるローカルネットワークからインターネットを経由した先にファイル送信先であるクライアント装置が存在していてもよい。
【0110】
<他の実施形態>
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム又は装置に供給し、それらのコンピュータ(CPUやMPU等)が格納されたプログラムコードを読出し実行しても本発明の目的は達成される。
【0111】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0112】
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(オペレーティングシステム)に供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0113】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0114】
他に、プログラムの供給方法として、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、ホームページ本発明のコンピュータプログラムをHDD等の記録媒体にダウンロードすることもできる。もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数の操作者に対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
【0115】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行するだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働するOS等が実際の処理の一部又は全部を行うことでも実現される。
【0116】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【符号の説明】
【0117】
100:画像形成システム
101:ユーザ制限情報管理装置
102、105:画像形成装置
103:クライアント装置
104:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを指定した送信先に送信可能な画像処理装置において、
画像データを入力する入力手段と、
前記送信先に対応するユーザによる画像処理機能の利用を制限するための制限情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した制限情報並びに前記画像処理装置及び他の画像処理装置の組み合せにより実現可能な画像処理機能に基づき前記入力手段で入力した画像データの制限機能を判断する判断手段と、
前記判断手段により判断した制限機能に関する属性情報を、前記入力手段で入力した画像データに付加する付加手段と、
前記付加手段により制限機能に関する属性情報が付加された画像データを送信する送信手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
原稿上の画像を読み取り、該画像を表す画像データを生成する読取手段を有し、
前記付加手段は、前記入力手段が前記読取手段から入力した画像データに対し印刷禁止を示す属性情報を付加することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記付加手段は、
前記取得手段で取得した制限情報がコピー禁止することを示している場合、前記入力手段が前記読取手段から入力した画像データに対し印刷禁止を示す属性情報を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記送信手段で送信する画像データのファイル形式を選択する選択手段を有し、
前記選択手段は、前記付加手段による属性情報の付加が不可能なファイル形式の選択を制限することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、さらに、前記入力手段で画像データを入力するユーザの制限情報を取得し、
前記判断手段は、前記取得手段で取得した、前記入力手段で画像データを入力するユーザ及び前記送信先のユーザの制限情報に基づき制限機能を判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記送信手段は、画像データを複数の送信先に送信可能であり、
前記取得手段は、前記複数の送信先毎に制限情報を取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記送信手段は、複数の送信先に画像データを送信する場合、前記付加手段により制限機能に関する属性情報が付加された画像データと、該属性情報が付加されていない画像データとを送信することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データを指定した送信先に送信可能な画像処理装置の制御方法であって、
画像データを入力する入力ステップと、
前記送信先に対応するユーザによる画像処理機能の利用を制限するための制限情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した制限情報並びに前記画像処理装置及び他の画像処理装置の組み合せにより実現可能な画像処理機能に基づき前記入力ステップで入力した画像データの制限機能を判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて判断した制限機能に関する属性情報を、前記入力ステップで入力した画像データに付加する付加ステップと、
前記付加ステップにおいて制限機能に関する属性情報が付加された画像データを送信する送信ステップとを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置の制御方法における各ステップを、コンピュータにより実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−183528(P2010−183528A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27785(P2009−27785)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】