説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、トナー、インク等の色材を用いた画像形成における色材の消費量の削減を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【解決手段】画像形成装置1は、入力画像データをカラーマッチング、階調変換及び総量規制した後、階調処理部14が、量子化するのに用いるディザマトリックスであるハーフトーンパターン24として、複数種類の成長形態の多値ドットが配置されているとともに、該多値ドットの成長形態が、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる該多値ドットの成長形態であるハーフトーンパターンを用いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、トナー、インク等の色材を用いた画像形成における色材の消費量の削減を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式、インク噴射方式等の色材を用紙等の被画像形成媒体に付与して画像形成する画像形成装置においては、画像形成に用いるトナーやインク等の色材の消費量を低減して、コストの低減化と環境対策の向上を図ることが要求されており、このような要求に応じて、色材の消費量を一律に低減させる色材セーブモードを備えた画像形成装置がある。
【0003】
ところが、色材の消費量を一律に低減させると、形成される画像自体の濃度が薄くなり、視認性、コントラスト等が低下して、画像品質が悪化するという問題があった。
【0004】
そして、従来、多値画像データをディザマトリックスを用いて量子化する場合に、再現トーン領域に応じて該ディザマトリックスのドット成長形態を異ならせる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
すなわち、この従来技術は、再現トーン領域に応じてディザマトリックスのドット成長形態を異ならせることで、オリジナル画像に近い調子再現を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、再現トーン領域に応じてディザマトリックスのドット成長形態を異ならせるのみであるため、上記色材の消費量を削減することはできるが、色材の消費量の削減に伴って視認性等が低下して画質が悪化するという問題を解決することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、画像品質の劣化を防止しつつ、色材の消費量を削減することのできる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、入力多値画像データを量子化するのに用いるディザマトリックスが、複数種類の成長形態の多値ドットが配置されているとともに、該多値ドットの成長形態が、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる多値ドットの成長形態であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記ディザマトリックスの前記多値ドットの成長形態が、大ドット、中ドット、小ドットの3つの大きさのドット形態に分類されているとともに、前記入力多値画像データの色を、低濃度領域、中濃度領域、高濃度領域に分類したときに、該入力多値画像データの色が該低濃度領域であると、該成長形態として、該大ドット形態を優先させ、該入力多値画像データの色が該中濃度領域または高濃度領域であると、該成長形態として、該中間ドット形態を優先させることを特徴としていてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記ディザマトリックスは、前記低濃度領域において優先させる前記大ドット形態が、孤立1ドットまたは2ドット以上のドットで構成されていることを特徴としていてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記ディザマトリックスは、前記中間濃度領域または前記高濃度領域で優先させる前記中間ドット形態が、最少ドットで該ディザマトリックスの無ドット部分が埋められていて、全ての無ドット部分が埋められた後に、次の大きさのドットで同様にドット配置されていることを特徴としていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる多値ドットの成長形態でドット配置されているディザマトリックスを用いて入力多値画像データを量子化しているので、画像品質の劣化を防止しつつ、色材の消費量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の画像処理部の要部ブロック構成図。
【図2】2bitで面積変調方式によって48階調表現する場合のハーフトーンパターンの一例を示す図。
【図3】2bitで濃度変調方式によって48階調表現する場合のハーフトーンパターンの一例を示す図。
【図4】濃度変調方式と面積変調方式における理論上の色材濃度と付着量の関係を示す図。
【図5】実際の着色度と色材消費量の関係を示す図。
【図6】実施例で用いるハーフトーンパターンの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0015】
図1〜図6は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を適用した画像形成装置1の画像処理部10の要部ブロック構成図である。
【0016】
図1において、画像形成装置1は、プリンタ装置、複写装置、ファクシミリ装置、複合装置等のトナー、インク等の色材を用いて用紙、フィルム等の被画像形成媒体(以下、単に、用紙という。)に画像形成を行い、入力画像データに対して画像形成用の画像処理を施す画像処理部10及び、図示しないが、該画像処理部10で画像処理に必要な各種データを記憶する不揮発性メモリ(ハードディスク、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等)、揮発性メモリ(RAM(Random Access Memory)等及びCPU(Central Processing Unit )を備えているとともに、画像処理部10で画像処理された出力用画像データ(CMYK画像データ)に基づいて、色材を用いて用紙に画像形成する画像形成部、画像形成部に用紙を供給する給紙部、画像形成に必要な各種設定操作を行う操作表示部、外部のコンピュータのホスト装置と通信を行う通信部等を備えている。
【0017】
画像形成装置1は、不揮発性メモリに、ソフトウェアとしてOS(Operating System)、該OS上に、画像形成装置1としての基本処理を行うアプリケーションASを搭載しているとともに、本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラム等のプログラムを格納しており、また、画像処理を行うのに必要な各種データを格納している。
【0018】
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROMやハードディスク当の不揮発性メモリに導入することで、後述する画像品質の劣化を防止しつつ、色材の消費量を削減する画像処理方法を実行する画像処理部10を搭載する画像形成装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0019】
そして、画像処理部10は、図1に示すように、カラーマッチング部11、階調変換部12、総量規制部13及び階調処理部14等を備えているとともに、上記不揮発性メモリに、カラーマッチング部11の用いるカラープロファイル21、階調変換部12の用いるガンマテーブル22、総量規制部13の用いる総量規制値23及び階調処理14の用いるハーフトーンパターン24等を備えている。
【0020】
カラーマッチング部11には、アプリケーションASから処理対象のRGB画像データ(入力画像データ)が入力され、RGB画像データは、外部ホスト装置またはスキャナ部から送られてくる画像データである。カラーマッチング部11は、不揮発性メモリのカラープロファイル21を用いてRGB画像データをCMYK画像データに変換して階調変換部12に出力する。
【0021】
階調変換部12は、カラーマッチングされたCMYK画像データを、不揮発性メモリのガンマテーブル22を用いて、画像形成装置1の画像形成部における階調特性に応じたCMYK画像データに変換して、総量規制部13に出力する。
【0022】
総量規制部13は、階調変換されたCMYK画像データの総量を、不揮発性メモリに格納されている総量規制値23を用いて、決定してCMYK画像データのデータ値を総量規制し、階調処理部14に出力する。
【0023】
階調処理部14は、総量規制されたCMYK画像データに対して、不揮発性メモリのハーフトーンパターン(ディザマトリックス)24を用いて、少値で階調を表現させる階調処理(量子化)を行って、アプリケーションASに渡す。
【0024】
アプリケーションASは、階調処理部14から受け取ったCMYK画像データを、画像形成部に転送して、画像形成部で、該CMYK画像データに基づいて該色材を用いて用紙に画像形成する。
【0025】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の画像形成装置1は、その画像処理部10の階調処理部14において、同じ色を再現するための色材(トナー、インク等)の消費量が、ディザマトリックスのドット成長形態により変化することを利用して、再現トーンの濃度領域に応じてディザマトリックスのドット成長形態を異ならせることにより、色材消費量の軽減と視認性の向上を図っている。
【0026】
すなわち、画像形成装置1は、プリンタモードやコピーモード等の画像形成を行うモード処理が要求されると、外部ホスト装置から送られてきた画像データやスキャナで読み取られたRGB画像データがアプリケーションASから画像処理部10のカラーマッチング部11に入力され、カラーマッチング部11は、カラープロファイル21を用いて、RGB画像データをCMYK画像データに変換して階調変換部12に出力する。階調変換部12は、カラーマッチングされたCMYK画像データに対して、ガンマテーブル22を用いて、画像形成装置1の画像形成部における階調特性に応じたCMYK画像データに変換して、総量規制部13に出力し、総量規制部13は、階調変換されたCMYK画像データの総量を、不揮発性メモリに格納されている総量規制値23を用いて、決定してCMYK画像データのデータ値を総量規制して、階調処理部14に出力する。階調処理部14は、総量規制されたCMYK画像データに対して、不揮発性メモリのディザマトリックスであるハーフトーンパターン24を用いて、少値で階調を表現させる階調処理を行って、アプリケーションASに渡し、アプリケーションASは、階調処理部14から受け取ったCMYK画像データを、画像形成部に転送して、画像形成部で、該CMYK画像データに基づいて該色材を用いて用紙に画像形成する。
【0027】
上記階調処理部14が利用するハーフトーンパターン24は、後述するように、総量規制部13から入力されるCMYK画像データの濃度領域を、複数(高濃度領域、中濃度領域、低濃度領域)に分けて、核の黄土領域によってドット成長形態の異なるハーフトーンパターンとなっている。
【0028】
すなわち、画像形成装置1において取り扱う画像データは、アプリケーションAS上では8bit(256階調)またはそれ以上の階調を有しているが、電子写真方式やインク噴射方式の画像形成部は、より少値の階調しか再現することができない。具体的には、画像形成部は、ドットのオフとオンの2種類の濃淡しか表現できない1bitやオフとオン以外に中間の濃淡を表現できる2〜4bitの構成となっている。
【0029】
したがって、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置1は、階調処理部14において、ディザ法と呼ばれる、ある決められた階調でより豊富な階調を表現する技法を用いることにより、少値の階調で擬似的に多階調を表現させる階調処理を行う。
【0030】
この場合、例えば、画像形成装置1の画像形成部の階調能力が、ハーフトーンパターン24として、図2に示す一般的なハーフトーン成長方法による第1ハーフトーンパターンP1を用いると、2bitの階調である場合、階調処理部14で階調処理を行うことにより、合計48階調を再現させることができる。
【0031】
この場合、2bitの階調を表現できることから、画像形成装置1としては、下記4種類の濃淡を表現することができる。
【0032】
a)塗らない・・・ドットを打たない
b)小ドット・・・薄い
c)中ドット・・・濃い
d)大ドット・・・ベタ打ち
図2の第1ハーフトーンパターンP1は、4x4のマトリックスに、図2に示すように、閾値を設定することにより、48階調を表現させている。なお、図2においては、簡略化のために、48階調としているが、実際には、マトリックスのサイズを4x4以上に大きくするで、一般的な、256階調以上の階調を再現させることになる。
【0033】
ここで、第1ハーフトーンパターンP1は、図2に示すように、「小ドット⇒中ドット⇒大ドット」という順にドットを成長させ、成長過程においてドット形状やライン形状のパターンを形成しながら成長させていくという面積変調方式が採用されているのが、一般的である。面積変調方式が用いられているのは、特性上、不安定になりがちな小ドットや中ドットを孤立して使用することによって発生しがちな粒状性や濃度安定性等の画質への悪影響を回避して、安定性が得られる大ドットを早めに画像形成に使用することで、高画質化を図るためである。
【0034】
ところが、トナーやインク等の色材の消費量においては、図2に示した面積変調方式の成長パターンの第1ハーフトーンパターンP1を用いることが最良とは限らず、図3に示すように、「小ドットで全マトリックスを埋める⇒中ドットで全マトリックスを埋める⇒大ドットで全マトリックスを埋める」という成長過程でパラメータを成長させていく濃度変調方式の第2ハーフトーンパターンP2を用いて、紙白部分を早めに埋めて着色させてしまうことが、色材の消費量を削減する上で、有効である。
【0035】
すなわち、以下に示す3つの法則により算出される濃度変調方式と面積変調方式の濃度と付着量との関係から、濃度変調方式の方が色材の消費量を削減する上で有利であることが導き出される。
【0036】
法則H1:濃度変調方式においては、ランベルト・ベールの法則により濃度Dと付着量Tは、比例関係にある
法則H2:面積変調方式においては、併置混色は反射率平均になる
法則H3:反射率Pと濃度Dは、ログの関係にある
上記法則H1により、濃度変調方式の場合は、次式(1)によって、付着量T2と反射濃度D2が示される。
【0037】
T2=β*D2・・・(1)
また、面積変調方式の場合は、マクロな領域の特性値のインデックスを「2」、色材(トナーやインク等)が載っている部分の特性値のインデックスを「21」、色材が載ってない部分の特性値のインデックスを「22」とすると、上記法則H2と法則H3から、網点面積率をAとすると、反射率P(面積変調方式の反射率P1)を次式(2)のように示すことができる。
【0038】
P1=(1−A)*P22+A*P21・・・(2)
したがって、網纏綿積率Aは、次式(3)によって与えられる。
【0039】
【数1】

また、付着量T1は、次式(4)により与えられる。
【0040】
【数2】

上記式(1)と式(4)により算出される理論上の濃度Dと付着量Tの関係は、図4のように示すことができ、濃度Dに対して、比例特性を示す濃度変調方式の付着量T2に比較して、面積変調方式の付着量T1の方が、相対的に付着量が増大する。
【0041】
なお、図2に示した面積変調方式の第1ハーフトーンパターンP1と図3に示した濃度変調方式の第2ハーフトーンパターンP2において、同じ階調同士における色材(トナー、インク等)の付着量Tは等量である。
【0042】
具体的には、下記4種類の濃淡の付着量Tは、大ドットを1とすると、各ドットの付着量Tは、それぞれ以下のような量となる。
【0043】
a)塗らない・・・0
b)小ドット・・・1/3
c)中ドット・・・2/3
d)大ドット・・・3/3=1
例えば、図2と図3の10階調目に着目した場合、面積変調方式の第1ハーフトーンパターンP1による付着量T1は、大ドットx3+小ドットx1=10/3であり、濃度変調方式の第2ハーフトーンパターンP2による付着量T2は、小ドットx10=10/3であって、等量である。
【0044】
また、同じ階調であって、付着量自体は等量であったとしても、濃度としては、濃度変調方式の第2ハーフトーンパターンP2の方が高濃度な特性となるため、結果として同じ濃度を出すための付着量としては、第2ハーフトーンパターンP2の方が低減されることになる。
【0045】
そして、図5は、ハーフトーンパターン毎の実際の着色度Tと色材消費量との関係を示した図であり、同じ着色度Tを実現するのにどの程度の色材が消費されるかが示されている。特に、中間濃度領域から高濃度領域にかけて、同じ着色度を実現するのに、第2ハーフトーンパターンP2の方が、第1ハーフトーンパターンP1よりも色材消費量が少ないことが示されている。
【0046】
ところが、上述のように、第2ハーフトーンパターンP2においては、不安定になりがちな小ドットや中ドットを孤立して使用することとなるため、画質が劣化するおそれがある。特に、低濃度領域においては、孤立小ドットが多用されるため、最も不安定になり、環境の変動によって画質も大きく変動して、画像に不具合が発生することもあり得る。
【0047】
そこで、本実施例の画像形成装置1は、階調処理部14が階調処理に用いるハーフトーンパターン24として、図6に示す第3ハーフトーンパターンP3を用いる。この第3ハーフトーンパターンP3は、低濃度領域においては、「小ドット⇒中ドット⇒大ドット」という面積変調方式のドット成長形態でドット成長させ、中間濃度領域移行においては、「小ドットで全マトリックスを埋める⇒中ドットで全マトリックスを埋める⇒大ドットで全マトリックスを埋める」という濃度変調方式のドット成長形態でドット成長させるハーフトーンパターンとなっている。
【0048】
具体的には、第3ハーフトーンパターンP3は、図6の階調0から12までの低濃度領域においては、「小ドット⇒中ドット⇒大ドット」というドット成長形態でドット成長させ、早めに大ドットを形成させることにより、粒状性や濃度安定性等の画質への悪影響を回避する。また、第3ハーフトーンパターンP3は、階調13から階調36までの中間濃度領域においては、「小ドットで全マトリックスを埋める⇒中ドットで全マトリックスを埋める」というドット成長形態でドットを成長させ、着色を優先させることにより、色材消費量を削減させる。さらに、第3ハーフトーンパターンP3は、中間濃度領域においては、「小ドットで全マトリックスを埋める⇒中ドットで全マトリックスを埋める」というドット成長形態でドットを成長させて、紙白部分を早めに埋めることで、面積変調方式の場合に発生しがちなエッジ部のジャギーを低減させる。
【0049】
なお、低濃度領域においては、早めに大ドットを形成させることにより、粒状性や濃度安定性等の画質への悪影響を回避することができるが、画像形成装置1の状態によっては、孤立1ドットの大ドットのみでは安定しない場合がある。その場合は、2ドット以上の大ドットを形成させることにより、粒状性や濃度安定性等の画質への悪影響を回避する。
【0050】
そして、階調処理部14は、処理対象のCMYK画像データを、該CMYK画像データの濃度が、上記低濃度領域、中間濃度領域、高濃度領域のいずれの領域に属するかによってドット成長形態の異なる第3ハーフトーンパターンP3を用いて階調処理を行う。
【0051】
このように、本実施例の画像形成装置1は、階調処理部14が、入力多値画像データを量子化するのに用いるディザマトリックスであるハーフトーンパターン24として、複数種類の成長形態の多値ドットが配置されているとともに、該多値ドットの成長形態が、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる該多値ドットの成長形態であるハーフトーンパターンH3を用いている。
【0052】
したがって、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる多値ドットの成長形態でドット配置されているディザマトリックスを用いて入力多値画像データを量子化することができ、画像品質の劣化を防止しつつ、色材の消費量を削減することができる。
【0053】
すなわち、同じ色を再現させるため色材(トナー、インク等)の消費量は、ディザマトリックスのドット成長形態により変化し、再現トーン域に応じてディザマトリックスのドット成長形態を異ならせることで、色材の消費量を削減することができるとともに、視認性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施例の画像形成装置1は、ディザマトリックスであるハーフトーンパターン24の多値ドットの成長形態が、大ドット、中ドット、小ドットの3つの大きさのドット形態に分類されているとともに、入力多値画像データの色を、低濃度領域、中濃度領域、高濃度領域に分類したときに、該入力多値画像データの色が該低濃度領域であると、該成長形態として、該大ドット形態を優先させ、該入力多値画像データの色が該中濃度領域または高濃度領域であると、該成長形態として、該中間ドット形態を優先させるハーフトーンパターンとなっている。
【0055】
したがって、入力多値画像データの濃度領域に応じて、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる多値ドットの成長形態でドット配置されているディザマトリックス(ハーフトーンパターンH3)を用いて入力多値画像データを量子化することができ、画像品質の劣化を適切に防止しつつ、色材の消費量を簡単に削減することができる。
【0056】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、ディザマトリックスであるハーフトーンパターン24が、低濃度領域において優先させる大ドット形態が、孤立1ドットまたは2ドット以上のドットで構成されている。
【0057】
したがって、低濃度領域においては、早めに大ドットを形成させることで、粒状性や濃度安定性等の画質への悪影響を回避するとともに、孤立1ドットの大ドットのみでは安定しない場合に、2ドット以上の大ドットを形成させることで、粒状性や濃度安定性等の画質を向上させることができる。
【0058】
また、本実施例の画像形成装置1は、ディザマトリックスであるハーフトーンパターン24が、中間濃度領域または高濃度領域で優先させる中間ドット形態が、最少ドットで該ディザマトリックスの無ドット部分が埋められていて、全ての無ドット部分が埋められた後に、次の大きさのドットで同様にドット配置されている。
【0059】
したがって、中間濃度領域または高濃度領域においては、面積変調方式の場合に発生しがちなエッジ部のジャギーを低減させることができ、画像品質をより一層向上させることができる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、トナー、インク等の色材を用いて画像処理するための画像データを生成する画像処理装置、該画像処理装置を搭載する画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
10 ハンドスキャナハウジング
11 カラーマッチング部
12 階調変換部
13 総量規制部
14 階調処理部
21 カラープロファイル
22 ガンマテーブル
23 総量規制値
24 ハーフトーンパターン
P1 第1ハーフトーンパターン
P2 第2ハーフトーンパターン
P3 第3ハーフトーンパターン
D、D1、D2 濃度
T、T1、T2 付着量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2001−257879号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力多値画像データを複数種類の成長形態の多値ドットが配置されているディザマトリックスを用いて量子化する画像処理装置であって、
前記ディザマトリックスは、前記多値ドットの成長形態が、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる該多値ドットの成長形態であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ディザマトリックスは、
前記多値ドットの成長形態が、大ドット、中ドット、小ドットの3つの大きさのドット形態に分類されているとともに、前記入力多値画像データの色を、低濃度領域、中濃度領域、高濃度領域に分類したときに、該入力多値画像データの色が該低濃度領域であると、該成長形態として、該大ドット形態を優先させ、該入力多値画像データの色が該中濃度領域または高濃度領域であると、該成長形態として、該中間ドット形態を優先させることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ディザマトリックスは、
前記低濃度領域において優先させる前記大ドット形態が、孤立1ドットまたは2ドット以上のドットで構成されていることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ディザマトリックスは、
前記中間濃度領域または前記高濃度領域で優先させる前記中間ドット形態が、最少ドットで該ディザマトリックスの無ドット部分が埋められていて、全ての無ドット部分が埋められた後に、次の大きさのドットで同様にドット配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
入力多値画像データを複数種類の成長形態の多値ドットが配置されているディザマトリックスを用いて量子化する画像処理方法であって、
前記ディザマトリックスは、前記多値ドットの成長形態が、同じ色を再現するのに使用する色材の消費量が最少となる該多値ドットの成長形態であることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20435(P2012−20435A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158610(P2010−158610)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】