説明

画像処理装置

【課題】 暗所においても好適な画像を取得することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 カメラ11は、赤外線光により照明された撮像対象者の顔を撮像する。メモリ13aには、顔の各特徴部位に応じて設定された色データがそれぞれ記録されている。画像処理部13は、カメラ11によって撮像された画像データから撮像対象者の顔の各特徴部位を認識するとともに、該各特徴部位に対してそれぞれ対応する色データをメモリ13aから読み出し、該色データに基づいて各特徴部位を着色する画像加工処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象を撮像するとともに、その撮像した画像データの処理を行う画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばテレビ電話など、画像コミュニケーションを目的とした画像通信システムが提案されている。こうした画像通信システムでは、対象者(被写体)の顔画像を撮像するカメラと、該カメラによって取得した画像データを処理する画像処理部とを有する画像処理装置が用いられている。そして、該画像通信システムでは、画像処理装置によって処理された画像データを相手の通信者に対して送信するとともに、相手側通信装置から送信された画像データを受信してその画像データに基づく画像をディスプレイ表示することにより、互いに相手の顔を認識することが可能となっている。
【0003】
また、近年では、車両室内への不審者の侵入有無を監視し、該不審者の侵入を検知した際にその侵入者の顔画像を撮像して記録する車両監視システムも提案されている。こうした車両監視システムにおいても前記画像処理装置が用いられ、侵入者の画像を記録しておくことで該侵入者を特定可能としている。
【0004】
ところで、これらのようなシステムでは被写体の顔画像を確実に撮像可能である必要であることから、画像処理装置には、暗所において被写体の顔を照らす照明が必要となる。しかし、被写体を可視光で照明することは、画像通信システムを車内電話などに具体化した場合などには不都合な場合もある。また、車両監視システムにおいても、侵入者を可視光で照明すると、該侵入者によって装置自体を破壊されるおそれがあるため、あまり好適であるとはいえない。
【0005】
こうした問題を解消するために、例えば特許文献1に示されるように、赤外線照明によって被写体の顔を照らし、赤外線カメラを用いて該被写体の顔を撮像することも考えられる。このようにすれば、暗所においても被写体の顔画像を安定して撮像可能となり、上記問題を解決することが可能となる。
【特許文献1】特開2000−280780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、赤外線カメラで撮像した画像においては、偽色や過剰な陰影が発生することなどにより、被写体の人相が実際とはかなり異なってしまうおそれがある。このため、画像通信システムに上記画像処理装置を用いた場合、相手の通信者は、該画像に違和感をもち、場合によっては被写体本人であると認識できないおそれもある。よって、好適な画像コミュニケーションを図ることが困難な場合が生じるおそれがある。
【0007】
また、車両監視システムに上記画像処理装置を用いた場合、該画像に基づいて侵入者を特定することが困難な場合が生じるおそれがある。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、暗所においても好適な画像を取得することができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、赤外線照明された撮像対象者の顔を撮像可能な撮像手段と、顔の各特徴部位に応じてそれぞれ設定された色データを記録する記録手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データから前記撮像対象者の顔の各特徴部位を認識するとともに、該各特徴部位にそれぞれ対応する色データを前記記録手段から読み出し、該色データに基づいて各特徴部位を着色する画像加工処理を行う画像処理手段とを備えることを要旨とする。
【0009】
上記構成によると、赤外線光により照明された撮像対象者の顔が撮像手段によって撮像されると、まず、その画像データから顔の各特徴部位が認識される。そして、該画像データにおける各特徴部位は、それぞれ対応する色データに基づいて着色される。このため、赤外線撮像された顔画像が実際の人相とは異なる顔画像として撮像された場合であっても、特徴部位が着色加工されることにより、実際の人相に近づく。よって、暗所においても好適な顔画像を取得することができる。なお、各特徴部位とは、撮像対象者の顔の輪郭、額、頬、眉、目、鼻、口、顎、耳のうちの少なくとも2つを含むものであるとする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の画像処理装置において、前記画像処理手段は、前記撮像手段によって取得した画像データのうち、顔画像のみを着色することを要旨とする。
【0011】
上記構成によると、顔画像のみが着色され、背景画像については着色されない。このため、画像処理手段による画像データの加工負担を軽減することができるとともに、画像データのデータ量の増大を抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、前記記録手段は、可視光照明のもとで撮像された特定者のカラー顔画像を記録可能であり、前記画像処理手段は、前記記録手段に前記特定者のカラー顔画像が記録されている場合には、前記撮像手段によって取得した画像データの各特徴部位と前記カラー顔画像の各特徴部位との比較により該画像データが前記特定者であると認識した際に、前記カラー顔画像に基づいて該画像データの顔画像を着色することを要旨とする。
【0013】
上記構成によると、撮像手段によって撮像された顔画像が特定者であると認識された場合、画像データの顔画像は、記録手段に記録された該特定者のカラー顔画像に基づいて着色される。このため、着色された顔画像はより実際の人相に近づく。よって、暗所においてもより好適な顔画像を取得することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の画像処理装置において、前記記録手段は、赤外線光による照明のもとで撮像された特定者の顔画像を記録可能であり、前記画像処理手段は、前記撮像手段によって取得した画像データの顔画像が前記特定者ではない不特定者であると認識した場合には、前記記録手段に記録された前記特定者の画像データにおける顔画像の陰影の濃さに対するカラー顔画像の色を参照して該不特定者の顔画像の陰影の濃さに対する色を求め、その求めた色によって該不特定者の顔画像を着色することを要旨とする。
【0015】
上記構成によると、撮像手段によって撮像された顔画像が不特定者であると認識された場合にあっては、特定者の画像データにおける顔画像の陰影の濃さに対するカラー顔画像の色を参照して該不特定者の顔画像の陰影の濃さに対する色が求められ、その求められた色によって該不特定者の顔画像が着色される。このため、例えば取得した不特定者の顔画像の陰影が特定者の顔画像の陰影よりも濃い場合には、該特定者のカラー顔画像で示される色よりも濃い色で不特定者の顔画像が着色されることとなる。また、不特定者の顔画像の陰影が特定者の顔画像の陰影よりも薄い場合には、その逆となる。よって、不特定者の顔画像であっても、実際の人相に近い濃淡で顔画像を着色することができ、該顔画像をより実際の人相に近づけることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳述したように、本発明によれば、暗所においても好適な画像を取得することができる画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の画像処理装置を画像通信システムに適用した一実施形態を図1〜図3に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、画像通信システム1は、第1通信処理装置2と、その第1通信処理装置2と相互無線通信可能な相手側通信装置である第2通信処理装置3とを備えている。本実施形態において第1通信処理装置2は車両室内に設けられ、該車両に搭乗している乗員を通信対象者とするものである。一方、第2通信処理装置3は車両から離間する箇所(例えば住宅内など)に設けられている。
【0018】
<第1通信処理装置2の構成>
第1通信処理装置2は、インナミラー内等に配設されて乗員(例えば運転者)を撮像する撮像手段としてのカメラ11と、該カメラ11に付属的に設けられ該乗員を照明する光源12と、該カメラ11及び光源12に電気的に接続された画像処理手段としての画像処理部13とからなる画像処理装置10を備えている。
【0019】
光源12は赤外線LEDなどによって構成され、画像処理部13から作動信号が入力されると、撮像対象者(被写体)を照明する。
カメラ11は、光源12によって赤外線照明された撮像対象物を撮像可能な近赤外線カメラであり、画像処理部13から作動信号が入力されると作動し、撮像した画像データを画像処理部13に出力する。
【0020】
画像処理部13は、具体的には図示しないCPU、ROM、RAM等からなるコンピュータユニットであり、カメラ11及び光源12の作動制御を行う。また、画像処理部13は記録手段としての不揮発性のメモリ13aを備え、そのメモリ13aには、ユーザ(運転者等)の顔画像を予め記録可能となっている。具体的には、メモリ13aには、自然光などの可視光照明のもとで撮像されたユーザのカラー顔画像と、光源12による赤外線照明のもとで撮像されたユーザの赤外線顔画像とを記録可能となっている。そして、画像処理部13は、メモリ13aに記録されたデータを登録データとして認識する。よって、画像処理部13は、カメラ11によって撮像された画像データに含まれる顔画像が登録データと一致する場合には撮像対象者の特定が可能となるため、該撮像対象者を特定者として認識する。
【0021】
こうした画像処理部13には、外部の対応する通信機と無線通信可能な通信部21と、車両室内に設けられたマイク22、ディスプレイ23及びスピーカ24と電気的に接続されている。通信部21は、画像処理部13から入力される通信データを無線信号に変換して外部に送信する。また、通信部21は、第2通信処理装置3から送信される通信データを受信すると、その通信データを画像処理部13に出力する。マイク22は、被写体から発せられる声などを集音し、その集音した音声データを画像処理部13に出力する。ディスプレイ23は、画像処理部13から入力される画像データに基づく画像を表示する。スピーカ24は、画像処理部13から入力される音声データに基づく音声を出力する。そして、画像処理部13は、通信部21から通信データが入力されると、その通信データに含まれる画像データをディスプレイ23に出力するとともに、該通信データに含まれる音声データをスピーカ24に出力する受信データ処理を行う。
【0022】
また、画像処理部13は、カメラ11から画像データが入力されると、その画像データの加工処理を行うとともに、その加工処理を行った画像データとマイク22によって取得した音声データとからなる通信データを、通信部21を介して外部に送信する送信処理を行う。
【0023】
そこで、画像処理部13によって行われる画像データの加工処理を、図2に示すフローチャートに従って詳細に説明する。
<画像データの加工処理>
まず、ステップS1において画像処理部13は、カメラ11及び光源12に対して作動信号を出力し、該光源12によって撮像対象者(被写体)である乗員を赤外線照明するとともに、その赤外線照明された被写体の顔画像を含む画像データを取得する。
【0024】
続くステップS2において画像処理部13は、取得した画像データから、顔の各特徴部位(顔の輪郭、眉、目、鼻、口など)を抽出できたか否かを判断する。具体的には、画像処理部13は、例えば図3に示すように顔画像FPを取得した場合、その顔画像FPから各特徴部位FP1〜FP5を抽出できたか否かを判断する。なお、図3においては、特徴部位FP1が眉、特徴部位FP2が目、特徴部位FP3が鼻、特徴部位FP4が輪郭、特徴部位FP5が口を示すものとする。その結果、画像処理部13は、該特徴部位を抽出できなかった場合には再びステップS1の処理を行い、該特徴部位を抽出できた場合にはステップS3の処理へ移行する。
【0025】
ステップS3において画像処理部13は、抽出した顔の特徴部位とメモリ13aに記録された登録データの顔の特徴部位との比較に基づき、取得した顔画像が登録データと一致するか否かを判断する。その結果、画像処理部13は、該顔画像が登録データと一致すると判断した場合、すなわち被写体が特定者であると認識した場合には、ステップS4の処理へ移行する。これに対し、画像処理部13は、該顔画像が登録データと一致しないと判断した場合、すなわち被写体が不特定者であると認識した場合にはステップS5の処理へ移行する。
【0026】
取得した顔画像が登録データと一致すると判断した場合、ステップS4において画像処理部13は、登録データとしてのカラー顔画像から、ステップS2において抽出した各特徴部位と対応する特徴部位における色データを読み出し、それら色データを選択する。具体的には、画像処理部13は、例えば図3に示した各特徴部位FP1〜FP5を取得した場合、カラー顔画像からそれぞれ眉、目、鼻、顔全体、口の色データを読み出す。そして、画像処理部13は、それらの色データを各特徴部位FP1〜FP5の色データとして選択する。このため、被写体が特定者である場合には、より本人の顔色に近い色データが選択されることとなる。
【0027】
また、取得した顔画像が登録データと一致しないと判断した場合、ステップS5において画像処理部13は、登録データとしての赤外線顔画像における各特徴部位の陰影の濃さとカラー顔画像の各特徴部位の色データとの関係から、取得した顔画像における各特徴部位の陰影の濃さに対する最適な色データを選択する。具体的には、画像処理部13は、例えば顔全体の色データを選択する際に、赤外線顔画像における顔全体の陰影よりも取得した顔画像における顔全体の陰影の方が濃い場合には、カラー顔画像における顔全体の色データよりも濃い色となる色データを選択する。これに対し、画像処理部13は、赤外線顔画像における顔全体の陰影よりも取得した顔画像における顔全体の陰影の方が薄い場合には、カラー顔画像における顔全体の色データよりも薄い色となる色データを選択する。すなわち、画像処理部13は、赤外線顔画像の陰影の濃さに対するカラー顔画像の色データを基準として、取得した顔画像の色データを選択する。このため、被写体が不特定者である場合においても、ある程度本人の顔色に近い色データが選択されることとなる。
【0028】
そして、続くステップS6において画像処理部13は、ステップS4またはステップS5の処理において選択した各特徴部位の各色データに基づき、対応する特徴部位を着色する。詳しくは、画像処理部13は、各特徴部位(例えば特徴部位FP1〜FP5)に対し、それぞれ選択した色データをオーバーレイする。このため、画像データにおける顔画像はカラー画像となる。
【0029】
画像処理部13は、こうしたステップS6の処理が終了すると、ステップS7において画像データを通信部21に出力する。このため、該画像データは通信部21から通信信号として外部に送信される。
【0030】
<第2通信処理装置3>
一方、第2通信処理装置3は、通信部31と、その通信部31に電気的に接続された制御部32と、その制御部32に電気的にそれぞれ接続された撮像装置33、マイク34、ディスプレイ35及びスピーカ36とを備えている。
【0031】
通信部31は、制御部32から入力される通信データを無線信号に変換して外部に送信する。また、通信部31は、第1通信処理装置2から送信される通信データを受信すると、その通信データを制御部32に出力する。撮像装置33は、相手側通信対象者を撮像するカメラや該通信対象者を照明する光源などからなり、撮像した画像データを制御部32に出力する。なお、本実施形態において撮像装置33は、相手側通信対象者を可視光照明する光源と、該可視光照明のもとで撮像を行うカメラとから構成されている。マイク34は、被写体から発せられる声などを集音し、その集音した音声データを制御部32に出力する。ディスプレイ35は、制御部32から入力される画像データに基づく画像を表示する。スピーカ36は、制御部32から入力される音声データに基づく音声を出力する。すなわち、この第2通信処理装置3は、撮像装置33の構成が異なるものの、第1通信処理装置2と同等の構成をなしている。
【0032】
こうした第2通信処理装置3における制御部32は、通信部31から通信データが入力されると、その通信データに含まれる画像データをディスプレイ35に出力するとともに、該通信データに含まれる音声データをスピーカ36に出力する受信データ処理を行う。また、制御部32は、撮像装置33から画像データが入力され、マイク22から音声データが入力されると、それらデータを含む通信データを、通信部31を介して外部に送信する送信処理を行う。
【0033】
したがって、第1通信処理装置2のカメラ11によって撮像された画像データは、画像処理部13で加工処理された後に第2通信処理装置3に無線送信され、該第2通信処理装置3のディスプレイ35に表示されることとなる。同様に、第1通信処理装置2のマイク22に入力された音声は、画像データとともに第2通信処理装置3に無線送信され、該第2通信処理装置3のスピーカ36から出力されることとなる。
【0034】
しかも、このときディスプレイ35に表示される顔画像は着色加工されているため、相手側通信対象者は、カラー表示された顔画像により画像コミュニケーションを図ることができる。また、この着色は赤外線照明のもとで撮像された原画像データにオーバーレイされたものであるため、たとえ原画像データにおける被写体の人相が実際の人相と異なっていても、加工後の画像データは被写体の実際の人相に近づいたものとなる。よって、相手側通信対象者は、違和感なく画像コミュニケーションを行うことができる。
【0035】
また、第2通信処理装置3の撮像装置33によって撮像された画像データは第1通信処理装置2に無線送信され、該第1通信処理装置2のディスプレイ23に表示されることとなる。同様に、第2通信処理装置3のマイク34に入力された音声は、画像データとともに第1通信処理装置2に無線送信され、該第1通信処理装置2のスピーカ24から出力されることとなる。
【0036】
よって、第1通信処理装置2と第2通信処理装置3との間においては、画像と音声とを用いた好適な画像コミュニケーションが可能となる。
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0037】
(1)赤外線光により照明された撮像対象者(被写体)の顔がカメラ11によって撮像されると、画像処理部13により、まずその画像データから顔の各特徴部位が認識される。そして、該画像データにおける各特徴部位は、それぞれ対応する色データに基づいて着色される。このため、赤外線撮像された顔画像が実際の人相とは異なる顔画像として撮像された場合であっても、特徴部位が着色加工されることにより、実際の人相に近づく。よって、暗所においても好適な顔画像を取得することができる。それゆえ、該着色加工された画像データが第2通信処理装置3のディスプレイ35に表示された際に、相手側通信対象者がその画像に違和感を抱くことを抑制することができ、第1通信処理装置2と第2通信処理装置3とを用いた好適な画像コミュニケーションを図ることができる。
【0038】
(2)画像データに着色されるのは顔画像のみであり、背景画像については着色されない。このため、画像処理部13による画像データの加工負担を軽減することができるとともに、画像データのデータ量の増大を抑制することができる。
【0039】
(3)カメラ11によって撮像された顔画像が特定者であると認識された場合、画像データの顔画像は、メモリ13aに記録された該特定者のカラー顔画像に基づいて着色されるため、着色された顔画像はより実際の人相に近づく。よって、特に特定者を撮像対象とする場合には、暗所においてもより好適な顔画像を取得することができる。
【0040】
(4)カメラ11によって撮像された顔画像が不特定者であると認識された場合にあっては、メモリ13aに記録された特定者の赤外線顔画像の陰影の濃さに対するカラー顔画像の色データを基準として、取得した顔画像の色データが選択される。このため、例えば取得した不特定者の顔画像の陰影が特定者の顔画像の陰影よりも濃い場合には、該特定者のカラー顔画像で示される色よりも濃い色で不特定者の顔画像が着色されることとなる。また、不特定者の顔画像の陰影が特定者の顔画像の陰影よりも薄い場合には、その逆となる。よって、被写体が不特定者である場合においても、ある程度本人の顔色に近い色データに基づいて不特定者の顔画像を着色することができるため、好適な顔画像を取得することができる。それゆえ、撮像対象者が不特定者であっても、第1通信処理装置2と第2通信処理装置3とを用いた好適な画像コミュニケーションを図ることができる。
【0041】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態において画像処理部13は、顔画像の特徴部位として図3に示した輪郭の特徴部位FP4を認識した際には、例えば図4に示すように、該特徴部位FP4をさらに細分化した各領域A1〜A6とし、これら領域A1〜A6に対してそれぞれ最適な色で着色するようになっていてもよい。すなわち、特徴部位FP4が単一色で着色されることに限らず、細分化された領域A1〜A6毎にそれぞれ異なる色で着色されてもよい。このようにすれば、顔の陰影に応じて顔色を細かく色分けすることができ、実際の顔色によりいっそう近づけることができる。
【0042】
・ 前記実施形態では、カメラ11によって取得した画像データのうち、顔画像のみが着色加工され、顔画像以外の画像(例えば背景)については着色加工されないようになっている。しかし、画像データ全体が着色加工されるようになっていてもよい。
【0043】
・ 画像処理部13のメモリ13aには、必ずしも特定者の登録データが記録されている必要はなく、一般的な顔の各特徴部位(顔の輪郭、眉、目、鼻、口など)に応じて予め設定された色データがそれぞれ記録されていてもよい。そしてこの場合には、カメラ11によって取得した画像データの顔画像の各特徴部位に対して、メモリ13aに記録された各特徴部位に対応する色をそれぞれ着色するようになっていてもよい。また、着色するべき色の選択に関しては、画像データにおける各特徴部位の濃さに応じて色の濃さが選択されるようになっていてもよい。
【0044】
・ 第2通信処理装置3として、第1通信処理装置2と全く同じ構成をなすものを用いてもよい。すなわち、第2通信処理装置3の撮像装置33においても、カメラ11及び光源12を用い、制御部32として画像処理部13を用いてもよい。このようにすれば、第2通信処理装置3は、着色加工を施した画像データを通信データとして送信することとなるため、第1通信処理装置2におけるディスプレイ23には、着色された顔画像が表示されることとなる。
【0045】
・ 画像処理部13は、カメラ11によって撮像した画像データ(原画像データ)と、その原画像データに着色加工を施した加工データとを時間などとともにメモリ13aに記録するように変更されてもよい。そして、この場合、画像処理装置10は、第1通信処理装置2に用いられることに限らず、例えば車両室内への人の侵入を検知・記録する車両監視装置として利用されてもよい。このようにすれば、たとえ原画像データの顔画像が実際とは異なる人相となった場合であっても、メモリ13aに記録された原画像データと加工データとを参照して侵入者を特定することができる。なお、こうした画像処理装置10は、車両に設けられることに限らず、例えば住宅の玄関等に配設されるモニタリング装置などとして具体化されてもよい。
【0046】
・ 第1通信処理装置2は、車両に設けられることに限らず、例えば住宅などに配設され、テレビ電話などに用いられてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0047】
(1) 請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記画像処理手段によって加工された画像データを外部に送信するとともに、対応する別の画像処理装置から送信された画像データを受信する通信手段と、受信した画像データに基づく画像を表示する画像表示手段とを備えていること。こうした構成によれば、複数の画像処理装置間における画像コミュニケーションが可能となる。
【0048】
(2) 赤外線照明された撮像対象者の顔を撮像し、その撮像した顔画像の各特徴部位を、それぞれ対応する色データに基づいて着色する画像加工処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の画像加工処理を示すフローチャート。
【図3】顔画像の特徴部位の認識例を模式的に示す図。
【図4】他の実施形態の顔画像の特徴部位の認識例を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0050】
2…第1通信処理装置、10…画像処理装置、11…撮像手段としてのカメラ、13…画像処理手段としての画像処理部、13a…記録手段としてのメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線照明された撮像対象者の顔を撮像可能な撮像手段と、
顔の各特徴部位に応じてそれぞれ設定された色データを記録する記録手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像データから前記撮像対象者の顔の各特徴部位を認識するとともに、該各特徴部位にそれぞれ対応する色データを前記記録手段から読み出し、該色データに基づいて各特徴部位を着色する画像加工処理を行う画像処理手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記撮像手段によって取得した画像データのうち、顔画像のみを着色することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記録手段は、可視光照明のもとで撮像された特定者のカラー顔画像を記録可能であり、
前記画像処理手段は、前記記録手段に前記特定者のカラー顔画像が記録されている場合には、前記撮像手段によって取得した画像データの各特徴部位と前記カラー顔画像の各特徴部位との比較により該画像データが前記特定者であると認識した際に、前記カラー顔画像に基づいて該画像データの顔画像を着色することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記録手段は、赤外線光による照明のもとで撮像された特定者の顔画像を記録可能であり、
前記画像処理手段は、前記撮像手段によって取得した画像データの顔画像が前記特定者ではない不特定者であると認識した場合には、前記記録手段に記録された前記特定者の画像データにおける顔画像の陰影の濃さに対するカラー顔画像の色を参照して該不特定者の顔画像の陰影の濃さに対する色を求め、その求めた色によって該不特定者の顔画像を着色する ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−65880(P2007−65880A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249787(P2005−249787)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】