説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】液体キャリアおよびトナーを含む液体現像剤で潜像を現像して画像を形成する画像形成方法および画像形成装置において画像の濃度を正確に求める。
【解決手段】ベタパッチ画像PIを中間転写体31に形成した後、中間転写体31を空回ししてベタパッチ画像PIが光学センサーPSの検出範囲を2回目通過する際に光学センサーPSから出力される信号に基づきコントローラー10が画像PIの画像濃度を求めている。また、中間転写体31の空回し途中で現像器24を感光体ドラム21から退避位置に離間させて感光体ドラム21への液体現像剤の供給を停止し、この状態でベタパッチ画像PIが一次転写ニップ部NP1を通過するため、一次転写ニップ部NP1でのベタパッチ画像PIの通過時にベタパッチ画像PIの表層部に存在する液体キャリアCLが剥ぎ取られてパッチ画像PIを構成するトナーTが露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体キャリアおよびトナーを含む液体現像剤で潜像を現像して画像を形成するとともに当該画像を検出する画像形成方法および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電している感光体ドラム等の潜像担持体を露光手段により露光して潜像担持体に静電潜像を形成し、現像手段によりトナーを潜像担持体に付着させて静電潜像を顕像化してトナー像を形成し、このトナー像を転写紙に転写して所定の画像を得るようにした電子写真方式の画像形成装置が実用化されている。ここで、現像手段の現像方式として、液体キャリアにトナーを分散した現像液を用いる液体現像方式が知られている。この液体現像方式は、トナーの粒子径が0.1〜2μmと小さいので高解像度の画像が得られる、液体のため流動性が高いことから均一な画像が得られる、などの利点を有しているため、種々の液体現像方式の画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−15351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようにして形成されるトナー像の画像濃度は、現像位置において帯電トナーに印加される電界に依存するが、この電界は、現像バイアス、露光エネルギー、帯電バイアスなどの変化や現像ギャップの寸法変化などの影響を受けるため、これらの変化がトナー像の画像濃度に影響して画像品質の低下を招くことがあった。また、液体現像方式では、トナーと液体キャリアの混合比の変動や、現像手段を構成する現像ローラーに形成されるトナー膜厚の変動によって、画像濃度、特にベタ画像の濃度が変動することがある。そこで、例えば特許文献1に記載された発明では、コントラスト電位を変化させながら複数のベタパッチ画像を形成し、それぞれの画像濃度を反射式の光学センサー(パッチセンサー)により検出して、コントラスト電位の増加に対する潜像担持体へのトナー付着量がほぼ飽和する高濃度画像形成条件を求めている。また、ベタ画像の濃度が一定となるようにトナー混合比やアニロックスローラーの回転速度をフィードバック制御することも提案されている。
【0005】
しかしながら、液体現像方式ではベタパッチ画像を形成したとしても、後述するようにパッチ画像を構成するトナー層の上面が液体キャリアで覆われてパッチ画像の表面全体が鏡面状態となっていることがある。この場合、光学センサーから投光された光がパッチ画像の表面で反射されてしまい、パッチ画像の濃度を正確に検出できないことがある。その結果、適切な画像形成条件を求めることができず、画像品質の低下を招いてしまうことがあった。
【0006】
この発明にかかるいくつかの態様は、液体キャリアおよびトナーを含む液体現像剤で潜像を現像して画像を形成する画像形成方法および画像形成装置において、上記課題を解決して、画像の濃度を正確に求めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる画像形成方法の一態様は、第1の潜像担持体に潜像を形成し、第1の潜像担持体に形成された潜像を液体キャリア及びトナー粒子を含む液体現像剤を担持して第1の潜像担持体と当接する第1の現像剤担持体で現像し、第1の潜像担持体に現像された像を第1の潜像担持体と転写媒体とを当接させて形成された第1の転写ニップ部で転写媒体に転写し、第1の潜像担持体と第1の現像剤担持体とを離間させ、像が転写された転写媒体を周回移動させ、第1の転写ニップ部を通過させた像を検出部で検出することを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる画像形成装置の一態様は、潜像が形成される第1の潜像担持体と、第1の潜像担持体と当接し、液体キャリアおよびトナーを含む液体現像剤で潜像を現像する第1の現像剤担持体と、第1の潜像担持体と当接して第1の転写ニップ部を形成し、第1の転写ニップ部で第1の潜像担持体に現像された像が転写される転写媒体と、第1の現像剤担持体を第1の潜像担持体に対して当接もしくは離間させる現像剤担持体移動部と、像を転写媒体に転写した後に現像剤担持体移動部で第1の現像剤担持体を第1の潜像担持体から離間させるとともに、転写媒体を移動させて像が第1の転写ニップ部を通過するように制御する制御部と、第1の転写ニップ部を通過した像を検出する検出部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(画像形成方法および画像形成装置)では、転写媒体に形成された像をその像形成直後に検出部で検出するのではなく、当該像が第1の転写ニップ部を通過した後で当該像の検出を行っている。また、現像剤担持体を潜像担持体から離間させるとともに、転写媒体を移動させて像が第1の転写ニップ部を通過するように構成している。このため、第1の潜像担持体に対して第1の現像剤担持体から新たな液体現像剤が供給されることはなく、その結果、転写媒体に形成された像の表層部に存在する液体キャリアが第1の転写ニップ部で剥ぎ取られて像を構成するトナーが露出する。そして、トナーが露出した状態で検出部による像検出が実行される。したがって、検出部の検出結果に基づき転写媒体に形成された像の濃度を高精度に求めることが可能となる。
【0010】
ここで、潜像が形成されるとともに、転写媒体と当接して第2の転写ニップを形成する第2の潜像担持体と、第2の潜像担持体と当接して第2の潜像担持体に形成された潜像を液体キャリア及びトナー粒子と異なる第2のトナー粒子を含む液体現像剤で現像する第2の現像剤担持体と、を有し、第2の潜像担持体と第2の現像剤担持体とを離間させ、周回移動する像が転写された転写媒体が第2の転写ニップ部を通過し、第1の転写ニップ部及び第2の転写ニップ部を通過した像を検出部で検出するように構成してもよい。
【0011】
また、第1の転写ニップ部で像を転写媒体に転写するとき、第2の潜像担持体と第2の現像剤担持体とは離間させるように構成してもよい。
【0012】
また、第2の潜像担持体に潜像を形成し、第2の潜像担持体に形成された潜像を第2の現像剤担持体で現像し、第2の潜像担持体に現像された第2の像を第2の転写ニップ部で転写媒体に転写し、第2の潜像担持体と第2の現像剤担持体とを離間させ、周回移動する第2の像が転写された転写媒体が第1の転写ニップ部及び第2の転写ニップ部を通過し、第1の転写ニップ部及び第2の転写ニップ部を通過した第2の像を検出部で検出するように構成してもよい。
【0013】
また、周面に凹部を有し、転写媒体と記録材を介して周面が当接する転写ローラーを有し、像が転写された転写媒体が周回移動しているときには、凹部を記録媒体と対向させて、転写媒体と転写ローラーとを離間させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】図1に示す画像形成装置の動作を示すタイミングチャート。
【図4】図1に示す画像形成装置の動作を示す模式図。
【図5】本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図。
【図6】図5の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図7】図5に示す画像形成装置でのパッチ画像の形成および濃度検出の動作を示すタイミングチャート。
【図8】図5に示す画像形成装置の動作を示す模式図。
【図9】本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態を示す図。
【図10】図9の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図11】二次転写部の構成を示す図。
【図12】第2実施形態における度当て部材の作用を説明する図。
【図13】図9に示す画像形成装置でのパッチ画像の形成および濃度検出の動作を示すタイミングチャート。
【図14】本発明にかかる画像形成装置の第4実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、単色(ブラック)のトナーによりモノクロ画像を形成するものであり、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するコントローラー10に与えられると、このコントローラー10が装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0016】
この画像形成装置1には、トナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸21aが主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されている。また、感光体ドラム21の回転軸21aは感光体ドラム21の端部に配置されたメインモーターM1に接続され、感光体ドラム21は図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
【0017】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光器23、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24、第1スクイーズ部25、第2スクイーズ部26、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーナーブレード27が、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0018】
帯電器22は感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、この帯電器22には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。このように図示を省略する帯電バイアス発生部から帯電器22への帯電バイアスの印加によるコロナ放電で感光体ドラム21が帯電され、これによって感光体ドラム21の表面の電位が略均一の電位に設定される。
【0019】
露光器23は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム21表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。この露光器23としては、半導体レーザからの光ビームをポリコンミラーにより走査させるもの、あるいは発光素子を主走査方向に配列したラインヘッド等により構成することができる。
【0020】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241と、アニロックスローラー242と、液体キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散させた液体現像剤を貯蔵する現像剤容器243、現像剤に対し帯電、並びに、圧縮作用を施すトナー圧縮コロナ発生器244を主な構成としている。これらの主要構成のうち現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターM2に接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0021】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラー242が設けられており、アニロックスローラー242から現像ローラー241へ直接、液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラー242は現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラー242は、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラー242は現像用モーターM2に接続され、図2紙面において反時計方向に回転されて現像ローラー241に対してカウンター方向に回転する。このように、いわゆる2ローラー構成により液体現像剤を現像剤貯留部246から現像ローラー241に供給しているが、この形態に限らず、アニロックスローラー242から一旦、中間ローラーへ塗布し、中間ローラーから現像ローラー241へ液体現像剤を塗布する構成(3ローラー構成)としてもよい。このような3ローラー構成によれば、液体現像剤がニップ部を複数回通過することで、液体現像剤を十分に練ることができ、現像ローラー241にて均一な液体現像剤の膜を形成することが可能となる。
【0022】
アニロックスローラー242に対して規制部材245が当接されている。この規制部材245として、金属製あるいは表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材を用いることができるが、本実施形態にかかる規制部材245は、アニロックスローラー242の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、規制部材245は、アニロックスローラー242によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚や量などを規制調整し、現像ローラー241に供給する液体現像剤の量を調整する機能を有している。また、規制部材245により掻き取られた液体現像剤は現像剤貯留部246に戻される。
【0023】
現像剤貯留部246に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0024】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラー242の表面とは逆方向に移動するように回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラー242に対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0025】
また、現像ローラー241の回転方向に沿ってトナー圧縮コロナ発生器244と現像ローラークリーニング部247が配置されている。より詳しくは、現像ローラー241の表面が感光体ドラム21と当接して現像ニップ部を形成している現像位置に対し、現像ローラー回転方向の上流側にトナー圧縮コロナ発生器244が配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器244は、現像ローラー241の表面のバイアスを増加させる電界印加手段であり、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーは、このトナー圧縮コロナ発生器244と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0026】
一方、現像位置に対し、現像ローラー回転方向の下流側に現像ローラークリーニング部247が配置されており、その先端部が現像ローラー241の表面と当接している。この現像ローラークリーニング部247はゴム等の弾性体で構成されており、現像に寄与せずに現像ローラー241に残存する液体現像剤を掻き落として除去する。こうして掻き落とされた液体現像剤は現像剤回収部248に滴下されて回収される。
【0027】
また、このように構成された現像器24は現像器離当接機構240と接続されており、現像器離当接モーターM3からの回転駆動力が現像器離当接機構240に伝達されるのに応じて現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置(図1の実線位置)と感光体ドラム21から離れた退避位置(図1の破線位置)との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0028】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターM1からの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターM1からの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0029】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は一次転写部3の中間転写体31に1次転写される。この一次転写部3では、中間転写体31はドラム形状を有する中間転写ドラムで構成されており、中間転写体31の表面が感光体ドラム21の表面と当接して一次転写ニップ部NP1を形成しながらメインモーターM1からの回転駆動力を受けて図1紙面において反時計方向D31に回転される。また、中間転写体31には一次転写バイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで一次転写バイアスが印加されて感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31に効率的に一次転写される。
【0030】
また、本実施形態では中間転写体31に転写したトナー像を検出するために、中間転写体31の移動方向D31において一次転写ニップ部NP1の下流側に反射式の光学センサーPSが配設されている。この光学センサーPSは投光器と受光器を有しており、投光器から中間転写体31の表面に光を照射するとともに中間転写体31の表面で反射された光を受光器が受光し、当該受光光量に応じた信号がコントローラー10に出力される。したがって、コントローラー10は当該信号に基づき中間転写体31に形成されたトナー像、例えば後述するように形成されるパッチ画像の画像濃度を求めることが可能となっている。
【0031】
また、中間転写体31の移動方向D31において光学センサーPSよりも下流側に二次転写部4の二次転写ローラー42の外周面が中間転写体31の外周面に当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。また、二次転写ローラー42は図示を省略する二次転写バイアス発生部と電気的に接続されている。そして、この二次転写ニップ部NP2に向けて一対のゲートローラー51、51から記録媒体RMが搬送されて二次転写位置で中間転写体31上に形成された単色のトナー像を記録媒体RMに転写する際には、二次転写バイアス発生部から二次転写ローラー42に対して二次転写バイアスが印加される。一方、後述するように形成されたパッチ画像を中間転写体31上に残留させたまま二次転写ニップ部NP2を通過させる際には、二次転写バイアス発生部から二次転写ローラー42に対して二次転写バイアスと逆極性のバイアス、つまり逆バイアスが印加される。
【0032】
また、二次転写部4には、二次転写ローラー42上に残る現像剤を除去する二次転写ローラークリーニング部45が設けられており、二次転写ローラークリーニング部45の先端ブレードを二次転写ローラー42の表面に当接させて現像剤を掻き落とす。
【0033】
トナー像が二次転写された記録媒体RMは二次転写ローラー42から搬送機構6に送り込まれる。そして、この搬送機構6により記録媒体RMを定着ユニット7に搬送して記録媒体RMに転写された単色のトナー像に、熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。
【0034】
また、上記のようにして二次転写を行った後に中間転写体31の表面に残留するトナーや液体キャリアをクリーニング除去するために、本実施形態では中間転写体31の回転方向D31において二次転写ニップ部NP2から一次転写ニップ部NP1までの範囲の一部で中間転写体クリーニング部39が設けられている。この中間転写体クリーニング部39はクリーナー離当接機構320に接続されており、クリーナー離当接モーターM4からの回転駆動力がクリーナー離当接機構320に伝達されるのに応じて中間転写体クリーニング部39の先端ブレードが中間転写体31の表面に対して離当接可能となっている。したがって、先端ブレードが中間転写体31の表面に当接することで中間転写体31の表面に残留するトナーおよび液体キャリアを除去することができる一方、先端ブレードが中間転写体31の表面に離間することで後述するように中間転写体31の表面に形成されたパッチ画像をそのまま中間転写体クリーニング部39を通過させて一次転写ニップ部NP1に送り込むことが可能となっている。
【0035】
なお、本実施形態では直径78mmの感光体ドラム21を用いるのに対し、中間転写体31の直径を66mmに設定している。また、モーターM1〜M4をコントローラー10からの動作指令に応じてそれぞれ駆動制御するためにドライバー11〜14が設けられており、特にドライバー11によってメインモーターM1を駆動制御することでプロセス速度が250(mm/sec)となるように感光体ドラム21、中間転写体31およびスクイーズローラー251、261を回転駆動する。
【0036】
上記のように構成された画像形成装置1においても、特許文献1の画像形成装置と同様に、適切な画像形成条件で画像を形成することが望まれる。そこで、同装置と同様に、ベタパッチ画像を形成するとともに当該ベタパッチ画像の画像濃度を光学センサーPSで検出し、その検出結果に基づいてコントローラー10が良好な高濃度画像を形成するための画像形成条件を求める。ただし、本実施形態では、液体キャリアの影響を抑えてベタパッチ画像の画像濃度を正確に求めるためにパッチ画像の形成後に現像器24を感光体ドラム21から離間したまま中間転写体31を1周だけ空回ししている。以下、図3および図4を参照しつつ本実施形態におけるベタパッチ画像の形成および濃度検出動作について詳述する。
【0037】
図3は図1に示す画像形成装置の動作を示すタイミングチャートである。また、図4は図1に示す画像形成装置の動作を示す模式図である。この実施形態にかかる画像形成装置1では、コントローラー10のメモリー(図示省略)に記憶されたプログラムにしたがってコントローラー10が装置各部を制御してベタパッチ画像の形成および濃度検出を以下のようにして実行する。すなわち、メインモーターM1の作動が開始されると、感光体ドラム21、中間転写体31、スクイーズローラー251、261が回転し始める。このとき、現像用モーターM2は回転停止して現像ローラー241およびアニロックスローラー242は回転停止状態となっており、この状態で現像器24は感光体ドラム21から離間した退避位置(図1の破線位置)に位置している。また、中間転写体クリーニング部39の先端ブレードは中間転写体31の表面から離間した位置に位置決めされている(図4参照)。
【0038】
そして、感光体ドラム21の回転が定常状態となるタイミングT1で、帯電器22への帯電バイアスの印加、スクイーズローラー251、261へのスクイーズバイアスの印加、および中間転写体31への一次転写バイアスの印加が実行される。また、それらと同時あるいはそれに続いて二次転写ローラー42に対する逆バイアスの印加が開始される。このように二次転写ローラー42に対して逆バイアスを印加することで後述するように中間転写体31に形成されたパッチ画像が二次転写ニップ部NP2を通過したとしてもパッチ画像が二次転写ローラー42に転写されるのを防止して二次転写ローラー42の汚染を確実に防止しながら空回し動作を実行することが可能となっている。なお、逆バイアス印加は後で説明するようにパッチ画像が二次転写ニップ部NP2を2回通過した後で停止される。
【0039】
タイミングT1から所定時間だけ経過した後で、現像用モーターM2の回転が開始されて現像ローラー241およびアニロックスローラー242が回転するとともに現像バイアスの印加が開始される。それに続くタイミングT2から現像器離当接モーターM3が所定時間(この実施形態では2秒間)作動し、この回転駆動力を受けて現像器離当接機構240が現像器24を感光体ドラム21に向けて近接移動させて現像ローラー241を感光体ドラム21の表面に当接させる(当接状態)。これにより、現像準備が完了する。
【0040】
次のタイミングT3でベタパッチ画像に対応する画像信号が露光器23に与えられてベタパッチ画像に対応する潜像が感光体ドラム21の表面に形成される。なお、ベタパッチ画像に対応する画像信号を発生するために、本実施形態ではコントローラー10のメモリーに当該画像信号の発生部を設けているが、パッチ画像に対応する画像信号の供給態様はこれに限定されるものではない。この点については、後の実施形態についても同様である。
【0041】
感光体ドラム21の回転に伴い潜像が現像位置に移動してくると、液体現像剤(液体キャリアCL+トナーT)により潜像が現像されてベタパッチ画像PIが感光体ドラム21の表面に形成される。さらにパッチ画像PIは一次転写ニップ部NP1に搬送され、中間転写体31に一次転写される。この一次転写直後でのベタパッチ画像PIを詳しく観察すると、図4(a)に示すように、ベタパッチ画像PIを構成するトナー層の上面が液体キャリアCLで覆われてパッチ画像PIの表面全体が鏡面状態となっていることが多い。そして、中間転写体31の回転に伴いベタパッチ画像PIは光学センサーPSに対向する位置、つまり光学センサーPSの検出範囲に移動する(同図(b))が、この段階で光学センサーPSによりベタパッチ画像PIの画像濃度を検出したとしても、光学センサーPSの投光器から投光された光がベタパッチ画像PIの表面、つまり液体キャリア面Scで反射されてしまい、ベタパッチ画像PIの濃度を正確に検出できない。
【0042】
そこで、本実施形態では、ベタパッチ画像PIが光学センサーPSの検出範囲を通過する1周目において光学センサーPSによるパッチ画像PIの検出が行わず、2周目において光学センサーPSから出力される信号に基づき濃度検出を行っている。すなわち、ベタパッチ画像PIの先端部が二次転写ニップ部NP2に突入するタイミングT4で現像器離当接モーターM3が所定時間(この実施形態では2秒間)作動し、この回転駆動力を受けて現像器離当接機構240が現像器24を感光体ドラム21から退避位置に移動させて現像ローラー241を感光体ドラム21の表面から離間させる。そして、二次転写ニップ部NP2に逆バイアスを印加し、中間転写体クリーニング部39の先端ブレードを中間転写体31の表面から離間させ、しかも現像ローラー241を感光体ドラム21の表面から離間させた状態でベタパッチ画像PIを二次転写ニップ部NP2および一次転写ニップ部NP1を通過させる。これによって同図(c)に示すように、二次転写ニップ部NP2および一次転写ニップ部NP1で液体キャリアCLの表層部分が剥ぎ取られてベタパッチ画像PIを構成するトナーTがパッチ画像PIの表面に露出する。そして、同図(d)に示すように当該ベタパッチ画像PIが光学センサーPSの検出範囲を通過する間に光学センサーPSから出力される信号がコントローラー10に与えられてベタパッチ画像PIの画像濃度が正確に求められる。
【0043】
2周目のセンサー通過後にベタパッチ画像PIが二次転写ニップ部NP2を通過すると、タイミングT5で帯電バイアス、現像バイアス、スクイーズバイアス、一次転写バイアスおよび逆バイアスの印加を停止する。また、それに続いてメインモーターM1の回転を停止して感光体ドラム21、中間転写体31およびスクイーズローラー251、261の回転を一時的に停止する。
【0044】
そして、タイミングT6でクリーナー離当接モーターM4が所定時間だけ作動し、この回転駆動力を受けてクリーナー離当接機構320が中間転写体クリーニング部39を回動させて先端ブレードを中間転写体31の表面に当接させる。その後で所定時間(=T8−T7)だけスクイーズバイアス、一次転写バイアスおよび逆バイアスを再び印加しながらメインモーターM1を一時的に作動させて感光体ドラム21、中間転写体31およびスクイーズローラー251、261を回転させる。これによって二次転写ニップ部NP2を通過したベタパッチ画像PIが、中間転写体クリーニング部39の先端ブレードが中間転写体31の表面に当接するクリーニング位置まで移動し、中間転写体クリーニング部39によりクリーニング除去される。
【0045】
なお、ベタパッチ画像PIのクリーニング除去後にバイアス印加およびメインモーターM1の駆動が停止され、さらにタイミングT9でクリーナー離当接モーターM4が所定時間だけ作動し、この回転駆動力を受けてクリーナー離当接機構320が中間転写体クリーニング部39を回動させて先端ブレードを中間転写体31の表面から離間させる。こうして、ベタパッチ画像PIの形成および濃度検出が完了する。
【0046】
以上のように、第1実施形態では、ベタパッチ画像PIを中間転写体31に形成した直後に、当該ベタパッチ画像PIを光学センサーPSで検出するのではなく、中間転写体31を空回ししてベタパッチ画像PIが光学センサーPSの検出範囲を2回目通過する際に光学センサーPSから出力される信号に基づきコントローラー10が画像PIの画像濃度を求めている。また、中間転写体31の空回し途中で現像器24を感光体ドラム21から退避位置に離間させて感光体ドラム21への液体現像剤の供給を停止し、この状態でベタパッチ画像PIが一次転写ニップ部NP1を通過するため、一次転写ニップ部NP1でのベタパッチ画像PIの通過時にベタパッチ画像PIの表層部に存在する液体キャリアCLが剥ぎ取られてパッチ画像PIを構成するトナーTがパッチ画像PIの表面に露出する。こうしてパッチ画像PIの表面が鏡面となるのを防止した上で光学センサーPSによりベタパッチ画像PIの検出を行っている。したがって、光学センサーPSによりベタパッチ画像PIを正確に検出することができ、当該検出結果に基づきベタパッチ画像の濃度を高精度に求めることができる。
【0047】
このように第1実施形態では、感光体ドラム21が本発明の「第1の潜像担持体」に相当し、中間転写体31が本発明の「転写媒体」に相当している。また、感光体ドラム21が中間転写体31と当接して形成された一次転写ニップ部NP1が本発明の「第1の転写ニップ部」に相当している。また、現像ローラー241が本発明の「第1の現像剤担持体」に相当している。また、現像器離当接機構240と現像器離当接モーターM3とで本発明の「現像剤担持体移動部」が構成されている。さらに、光学センサーPSが本発明の「検出部」に相当している。
【0048】
図5は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。また、図6は図5の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するコントローラー10に与えられると、このコントローラー10が装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0049】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有しており、しかも感光体ドラム21周りの構成は第1実施形態と基本的に同一である。そこで、図5では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、第1実施形態と同一構成については同一または相当符号を付して構成説明を省略する。また、以下の説明では、図5に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0050】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向(図5の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図5中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
【0051】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光器23と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、該トナー像をベルト状の中間転写体31に一次転写する一次転写部3と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーナーブレード27とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図5では、時計回り)に沿って配設されている。
【0052】
このように感光体ドラム21周りの構成は第1実施形態と基本的に同一であるが、第2実施形態では4色のトナー像を形成するために4つの現像器24が設けられるとともに、中間転写体31に転写するために4つの一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kが設けられている。したがって、第2実施形態では4つの現像器24はそれぞれ現像器離当接機構2401〜2404と接続されるとともに、4つの現像器離当接モーターM31〜34が設けられており、これらにより各現像器24を個別に独立して感光体ドラム21に対して離当接させることが可能となっている。例えば現像器離当接モーターM33からの回転駆動力が現像器離当接機構2403に伝達されるのに応じてシアン色の画像形成ステーション2Cでは現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。この点に関しては、他色の画像形成ステーション2Y、2M、2Kも全く同様である。
【0053】
また、中間転写体31に転写するために4つの一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kが設けられており、次のように構成されているい。すなわち、中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。このうちローラー32はメインモーターM1に連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。
【0054】
詳しくは後述するが、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし35のうち、メインモーターM1により駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0055】
一次転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。また、後述するように各画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kで形成されるベタパッチ画像が一次転写ニップ部で中間転写体31に一次転写される。
【0056】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0057】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。
【0058】
また、中間転写体31を掛け渡されたローラーのうち、ベルト駆動ローラー32と二次転写バックアップローラー34との間、つまりベルト移動方向D31においてベルト駆動ローラー32の巻き掛け位置よりも下流側で、かつ二次転写バックアップローラー34の巻き掛け位置よりも上流側に設けられた従動ローラー33は、その回転軸がバネ331によって弾性的に支持されて中間転写体31の張力を調整するテンションローラーである。より詳しくは、テンションローラー33の回転軸は、駆動ローラー32の外周面と二次転写バックアップローラー34の外周面との双方に接する仮想的な平面に略直交する方向に伸縮自在のバネ331によって弾性的に支持されており、これにより、テンションローラー33は、中間転写体31を巻き掛けられた状態で同方向に所定量移動自在となっている。そして、定常状態では、ベルト駆動ローラー32と二次転写バックアップローラー34との間に張架された中間転写体31を外側に向けて押し広げるように、テンションローラー33はバネ331によって付勢されている。
【0059】
テンションローラー33は、中間転写体31の内側、つまり中間転写体31の像担持面である表面とは反対側の裏面側から中間転写体31に当接している。その理由は以下の通りである。まず、像担持面の反対側に当接することにより、テンションローラー33が中間転写体31に担持されるトナー像を乱したり、逆に中間転写体31に残留付着するトナー等によって汚されることがない。また、テンションローラーによる張力の調整効果を大きくするためには中間転写体31の巻き掛け角を大きく取ることが有効であるが、テンションローラーを像担持面に当接させ、しかも巻き掛け角を大きくしようとすると、中間転写体31の表面に負の大きな曲率を持たせる必要があり、トナー像への影響が懸念され、構造的にも問題がある。これらの理由から、テンションローラー33は中間転写体31の裏面に当接するようにしている。
【0060】
また、中間転写体31の搬送方向D31における二次転写位置TR2の下流側に設けられたローラー35、36のうち一方のローラー36に対向して、中間転写体クリーニング部39が設けられている。より詳しくは、中間転写体クリーニング部39は、ローラー36に巻き掛けられた中間転写体31の表面に当接して残留液体キャリアやトナーなどの付着物を除去するためのクリーニングローラー391と、該クリーニングローラー391の付着物を掻き取るブレード392とを備えている。さらに、クリーニングローラー391よりも下流位置には、中間転写体31に離当接自在に構成され、クリーニングローラー391が除去しきれなかった残留物を最終的に除去するベルトクリーニングブレード393が設けられている。なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、中間転写体クリーニング部39はクリーナー離当接機構320に接続されており、クリーナー離当接モーターM4からの回転駆動力がクリーナー離当接機構320に伝達されるのに応じて中間転写体クリーニング部39のクリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393が一体的に中間転写体31の表面に対して離当接可能となっている。したがって、クリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393が中間転写体31の表面に当接することで中間転写体31の表面に残留するトナーおよび液体キャリアを除去することができる一方、これらが中間転写体31の表面に離間することで後述するように中間転写体31の表面に形成されたパッチ画像をそのまま中間転写体クリーニング部39を通過させて各一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kに送り込むことが可能となっている。
【0061】
なお、本実施形態では直径78mmの感光体ドラム21を用いるのに対し、中間転写体31は周長1890mmの中間転写ベルトを用いている。また、モーターM1、M2、M31〜M34、M4をコントローラー10からの動作指令に応じてそれぞれ駆動制御するためにドライバー11、12、131〜134、14が設けられており、特にドライバー11によってメインモーターM1を駆動することでプロセス速度が250(mm/sec)となるように感光体ドラム21、中間転写体31およびスクイーズローラー251、261を回転駆動する。
【0062】
上記のように構成された画像形成装置1においても、特許文献1の画像形成装置や第1実施形態と同様に、適切な画像形成条件で画像を形成することが望まれる。そこで、同装置と同様に、ベタパッチ画像を形成するとともに当該ベタパッチ画像の画像濃度を光学センサーPSで検出し、その検出結果に基づいてコントローラー10が良好な高濃度画像を形成するための画像形成条件を求める。ただし、本実施形態では、液体キャリアの影響を抑えてベタパッチ画像の画像濃度を正確に求めるためにパッチ画像の形成後に現像器24を感光体ドラム21から離間したまま中間転写体31を1周だけ空回ししている。以下、図7および図8を参照しつつ1色目であるイエロー色のベタパッチ画像の形成および濃度検出動作について詳述する。
【0063】
図7は図5に示す画像形成装置でのイエローパッチ画像の形成および濃度検出の動作を示すタイミングチャートである。また、図8は図5に示す画像形成装置の動作を示す模式図である。この実施形態にかかる画像形成装置1では、コントローラー10のメモリー(図示省略)に記憶されたプログラムにしたがってコントローラー10が装置各部を制御してイエロー色(1色目)のベタパッチ画像の形成および濃度検出を以下のようにして実行する。すなわち、メインモーターM1の作動が開始されると、全色について感光体ドラム21、中間転写体31、スクイーズローラー251、261が回転し始めるとともに、駆動ローラー32が回転して中間転写体31が移動方向D31に周回移動し始める。このとき、現像用モーターM2は回転停止して、全色とも現像ローラー241およびアニロックスローラー242は回転停止状態となっており、この状態で現像器24は感光体ドラム21から離間した退避位置に位置している。また、中間転写体クリーニング部39のクリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393は中間転写体31の表面に離間した位置に位置決めされている。
【0064】
そして、感光体ドラム21の回転が定常状態となるタイミングT1で、帯電器22への帯電バイアスの印加、スクイーズローラー251、261へのスクイーズバイアスの印加、および中間転写体31への一次転写バイアスの印加が実行される。また、それらと同時あるいはそれに続いて二次転写ローラー42に対する逆バイアスの印加が開始される。このように二次転写ローラー42に対して逆バイアスを印加することで後述するように中間転写体31に形成されたパッチ画像が二次転写ニップ部NP2を通過したとしてもパッチ画像が二次転写ローラー42に転写されるのを防止して二次転写ローラー42の汚染を確実に防止しながら空回し動作を実行することが可能となっている。なお、逆バイアス印加は後で説明するようにパッチ画像が二次転写ニップ部NP2を2回通過した後で停止される。
【0065】
タイミングT1から所定時間だけ経過した後で現像用モーターM2の回転が開始されて現像ローラー241およびアニロックスローラー242が回転するとともに現像バイアスの印加が開始される。それに続くタイミングT2からイエロー(1色目)用の現像器離当接モーターM31が所定時間(この実施形態では2秒間)作動し、この回転駆動力を受けて現像器離当接機構2401がイエロー用の現像器24を感光体ドラム21に向けて近接移動させて現像ローラー241を感光体ドラム21の表面に当接させる(当接状態)。これにより、イエロー色について現像準備が完了する。なお、後述するイエローのベタパッチ画像の形成および濃度検出中も2色目(マゼンタ)の現像器離当接モーターM32は停止したままであり、中間転写体31の移動方向D31において画像形成ステーション2Yの下流側に配置された現像器24は感光体ドラム21から離間した退避位置に位置決めされている。この点については、図7への図示は省略されているが、3色目(シアン)および4色目(ブラック)も2色目と同様である。
【0066】
次のタイミングT3でベタパッチ画像に対応する画像信号が露光器23に与えられてベタパッチ画像に対応する潜像が感光体ドラム21の表面に形成される。なお、ベタパッチ画像に対応する画像信号を発生するために、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、コントローラー10のメモリーに当該画像信号の発生部を設けている。
【0067】
感光体ドラム21の回転に伴い潜像が現像位置に移動してくると、液体現像剤(液体キャリアCL+トナーT)により潜像が現像されてイエロー色のベタパッチ画像PIが感光体ドラム21の表面に形成される。さらにパッチ画像PIは一次転写ニップ部NP1yに搬送され、中間転写体31に一次転写される。この一次転写直後でのイエローのベタパッチ画像PIを詳しく観察すると、図8(a)に示すように、ベタパッチ画像PIを構成するトナー層の上面が液体キャリアCLで覆われてパッチ画像PIの表面全体が鏡面状態となっていることが多い。そして、中間転写体31の回転に伴いベタパッチ画像PIは2色目(マゼンタ)の一次転写ニップ部NP1m、3色目(シアン)の一次転写ニップ部NP1c、4色目(ブラック)の一次転写ニップ部NP1kを通過して光学センサーPSに対向する位置、つまり光学センサーPSの検出範囲に移動する(同図(b))が、この段階で光学センサーPSによりベタパッチ画像PIの画像濃度を検出したとしても、光学センサーPSの投光器から投光された光がベタパッチ画像PIの表面、つまり液体キャリア面Scで反射されてしまい、ベタパッチ画像PIの濃度を正確に検出できない。
【0068】
そこで、本実施形態では、ベタパッチ画像PIが光学センサーPSの検出範囲を通過する1周目において光学センサーPSによるパッチ画像PIの検出が行わず、2周目において光学センサーPSから出力される信号に基づき濃度検出を行っている。すなわち、図7に示すようにベタパッチ画像PIの後端部が2色目(マゼンタ)の一次転写ニップ部NP1mを通過したタイミングT4で現像器離当接モーターM31が所定時間(この実施形態では2秒間)作動し、この回転駆動力を受けてイエロー用の現像器離当接機構2401がイエローの現像器24を感光体ドラム21から退避位置に移動させて現像ローラー241を感光体ドラム21の表面から離間させる。そして、二次転写ニップ部NP2に逆バイアスを印加したまま、中間転写体クリーニング部39のクリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393を中間転写体31の表面から離間させ、しかも全色について現像ローラー241を感光体ドラム21の表面から離間させた状態でイエローのベタパッチ画像PIを二次転写ニップ部NP2および一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kを通過させる。これによって同図(c)に示すように、二次転写ニップ部NP2および一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kで液体キャリアCLの表層部分が剥ぎ取られてベタパッチ画像PIを構成するトナーTがパッチ画像PIの表面に露出する。そして、同図(d)に示すようにベタパッチ画像PIが光学センサーPSの検出範囲を通過する間に光学センサーPSから出力される信号がコントローラー10に与えられてイエローのベタパッチ画像PIの画像濃度が正確に求められる。
【0069】
2周目のセンサー通過後にベタパッチ画像PIが二次転写ニップ部NP2を通過すると、タイミングT5で帯電バイアス、現像バイアス、スクイーズバイアス、一次転写バイアスおよび逆バイアスの印加を停止する。また、それに続いてメインモーターM1の回転を停止して感光体ドラム21、中間転写体31、スクイーズローラー251、261および中間転写体31の回転を一時的に停止する。
【0070】
そして、タイミングT6でクリーナー離当接モーターM4が所定時間だけ作動し、この回転駆動力を受けてクリーナー離当接機構320が中間転写体クリーニング部39を回動させてクリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393を中間転写体31の表面に当接させる。その後のタイミングT7から所定時間だけメインモーターM1を一時的に作動させるとともに、スクイーズバイアス、一次転写バイアスおよび逆バイアスを再び印加して感光体ドラム21、中間転写体31およびスクイーズローラー251、261を回転させる。これによって二次転写ニップ部NP2を通過したベタパッチ画像PIが、中間転写体クリーニング部39のクリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393が中間転写体31の表面に当接するクリーニング位置まで移動し、中間転写体クリーニング部39によりクリーニング除去される。
【0071】
なお、ベタパッチ画像PIのクリーニング除去後にバイアス印加およびメインモーターM1の駆動が停止され、さらにクリーナー離当接モーターM4が所定時間だけ作動し、この回転駆動力を受けてクリーナー離当接機構320が中間転写体クリーニング部39を回動させてクリーニングローラー391およびベルトクリーニングブレード393を中間転写体31の表面から離間させる。こうして、ベタパッチ画像PIの形成および濃度検出が完了する。
【0072】
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ベタパッチ画像PIを中間転写体31に形成した後、全色について現像器24を感光体ドラム21から離間させたまま中間転写体31を空回ししてベタパッチ画像PIを二次転写ニップ部NP2、一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kを通過させる。したがって、ベタパッチ画像PIの表層部に存在する液体キャリアCLが剥ぎ取られてパッチ画像PIを構成するトナーTがパッチ画像PIから露出する、つまりパッチ画像PIの表面が鏡面となるのを防止した上で光学センサーPSによりベタパッチ画像PIの検出を行っている。したがって、光学センサーPSによりベタパッチ画像PIを正確に検出することができ、当該検出結果に基づきベタパッチ画像の濃度を高精度に求めることができる。
【0073】
このように第2実施形態では、イエローのベタパッチ画像PIの形成および濃度検出を行っており、画像形成ステーション2Yの感光体ドラム21が本発明の「第1の潜像担持体」に相当し、一次転写ニップ部NP1yが本発明の「第1の転写ニップ部」に相当している。また、現像器離当接機構2401〜2404と現像器離当接モーターM31〜M34とで本発明の「現像剤担持体移動部」が構成されている。なお、他のトナー色についてベタパッチ画像PIの形成および濃度検出を行う場合も、イエローの場合と同様に実行することでパッチ画像PIの表面が鏡面となるのを防止してベタパッチ画像の濃度を高精度に求めることができる。
【0074】
ところで、液体現像剤(液体キャリアCL+トナーT)を用いてトナー像を形成する湿式現像方式でトナー像を形成する場合、良好な転写特性を得るために、二次転写ニップ部NP2においては中間転写体31に対し記録媒体RMが高い押圧力で押圧されることが望まれる。また、液体現像剤を介在させるため、記録媒体RMが中間転写体31に貼り付きジャムとなる可能性が高い。そこで、この画像形成装置1では、次に説明するように把持部を有する二次転写ローラー42を用いても良い。
【0075】
図9は本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態を示す図である。また、図10は図9の装置の電気的構成を示すブロック図である。この第3実施形態が第2実施形態と大きく相違する点は、二次転写部4の構成と、ベタパッチ画像PIの形成および濃度検出時の動作であり、その他の構成は同一である。そこで、以下においては相違点を中心に説明する。
【0076】
図11は二次転写部の構成を示す図である。より詳しくは、図11(a)は二次転写部4の全体構成を示す斜視図であり、図11(b)は度当て部材47の形状を説明するための図である。図9および図11(a)に示すように、二次転写部4は、円筒の外周面の一部を切り欠いてなる凹部41が設けられた二次転写ローラー42を有している。この二次転写ローラー42では、回転軸4210中心に方向D4に回転自在の回転シャフト421が二次転写バックアップローラー34の回転軸と平行または略平行に配置されている。
【0077】
また、当該回転シャフト421の両端部に側板422、422がそれぞれ取り付けられている。より詳しくは、これらの側板422、422はいずれも円盤形状の金属プレートに対して切り欠き部422aを設けた形状を有している。そして、図11に示すように切欠部422a、422aが互いに対向しながら中間転写体31の幅よりも少し長い距離だけ離間して回転シャフト421に取り付けられている。こうして、全体的にはドラム形状を有するものの、その外周面の一部に回転シャフト421と平行または略平行に延びる凹部41を有する、二次転写ローラー42が形成されている。
【0078】
また、二次転写ローラー42の外周面、つまり金属プレート表面のうち凹部41の内部に相当する領域を除く表面領域にゴムや樹脂などの弾性層43が形成されている。この弾性層43はバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写体31と対向して二次転写ニップ部NP2を形成する。二次転写ニップ部NP2では、バックアップローラー34が押圧部345により二次転写部4側に付勢されて、二次転写部4とバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写体31との間に所定の荷重(この実施形態では60kgf)が付加されている。
【0079】
また、凹部41の内部には、記録媒体RMを把持するための把持部44が配設されている。この把持部44は、凹部41の内底部から二次転写ローラー42の外周面に立設されたグリッパ支持部材441と、グリッパ支持部材441の先端部に対して接離自在に支持されたグリッパ部材442とを有している。また、グリッパ部材442はグリッパ駆動部(図示省略)と接続されている。そして、コントローラー10からのアングリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部から離間して記録媒体RMの把持準備や把持開放を行う。一方、コントローラー10からのグリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部に移動して記録媒体RMを把持する。なお、把持部44の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、従来より公知の他の把持機構を採用してもよい。
【0080】
二次転写ローラー42の両端部では、各側板422の外側面に支持部材46が取り付けられており、二次転写ローラー42と一体的に回転可能となっている。また、支持部材46には凹部41に対応して平面領域461が形成されている。そして、平面領域461に転写ローラー側度当て部材470がそれぞれ取り付けられている。度当て部材470では、基台部位471が支持部材46に取り付けられるとともに、基台部位471から度当て部位472が平面領域461の法線方向に延設されており、度当て部位472の先端部は凹部41の開口側端部の近傍まで延びている。つまり、回転シャフト421の端部から二次転写ローラー42を見ると、度当て部材470が凹部41を塞ぐように配置されている。したがって、二次転写ローラー42の回転によって凹部41が中間転写体31と対向する位置に到達した場合には、度当て部材470が二次転写バックアップローラー34の端部表面に当接する。
【0081】
また、度当て部位472の先端周面は、図11(b)に示すように、先端側の周面中央部の曲率Rctが両端部の曲率Rrs、Rlsよりも大きくなるように形成されている。例えば本実施形態では、弾性層43を含めた二次転写ローラー42のローラー外径は約191mmに設定されるのに対し、曲率Rctは88.2mmに設定され、両端部の曲率Rrs、Rlsはともに22.4mmに設定されている。度当て部材47の中央部の曲率中心CCは二次転写ローラー42の回転軸、つまり回転シャフト421の中心軸4210に配置されており、また中央部の角度範囲αは凹部41の開口範囲(60゜)よりも若干広い63゜に設定されている。このため、二次転写ローラー42が回転した際に当該角度範囲αにわたって凹部41が駆動ローラー32に巻き掛けられた中間転写体31に対向する。
【0082】
また、二次転写ローラー42の回転方向D4に沿った凹部41の開口部長さ(開口幅)W41は、
191×π×(60/360)≒100mm
である。一方、角度範囲β(=360゜−60゜)で次に説明するようにして弾性層43が上記中間転写体31に対向してニップNPを形成し、二次転写ローラー42の回転方向D4に沿った弾性層43の長さは、
191×π×{(300/360}≒500mm
に設定されている。これは、この装置1において使用可能な記録媒体RMのうち最も大きなサイズのものを巻き付けることができるようにしたものである。すなわち、弾性層43の長さは、使用可能な記録材のうち二次転写ローラー42の回転方向D4に沿った長さが最大であるものの長さよりも長くなるように定められている。
【0083】
なお、この実施形態では、二次転写ローラー42の回転方向D4に沿ったニップNPの長さ(ニップ幅)Wnpは11mm程度であり、
(凹部41の開口幅W41)>(ニップNPでのニップ幅Wnp)
の関係を有している。したがって、二次転写ローラー42の凹部41が中間転写体31と対向した状態では、一時的に転写ニップが消失することになる。
【0084】
このこと、および、二次転写バックアップローラー34が二次転写ローラー42に対して近接および離間移動可能に構成されていることから、二次転写ローラー42の凹部41が中間転写体31と対向した状態では二次転写バックアップローラー34が二次転写ローラー42側に変位してしまう可能性がある。度当て部材47はこのような二次転写バックアップローラー34の変位を規制する作用を有している。
【0085】
図12はこの実施形態における度当て部材の作用を説明する図である。より詳しくは、図12(a)は、凹部41が二次転写位置TR2に臨んでいるときの度当て部材47を軸方向から見た図であり、図12(b)はこれを軸方向に直交する方向から見た図である。図12(a)に示すように、度当て部材47の外周面の形状は、二次転写ローラー42の凹部41に臨む領域において二次転写ローラー42の回転中心4210を中心とする略円弧形状となっている。一方、二次転写バックアップローラー34の端部には、該二次転写バックアップローラー34の直径よりも大きな外径を有し、二次転写バックアップローラー34と同軸でかつこれとは独立して回転自在のベアリング342が設けられている。そして、二次転写バックアップローラー34の度当て部材47が二次転写ローラー42側に向いているときには、度当て部材47の外周面とベアリング342の外周面とが互いに当接することにより、押圧部345の付勢力に抗して二次転写ローラー42の回転中心4210と中間転写体31表面との間隔を規定している。
【0086】
凹部41が二次転写位置TR2に位置し度当て部材47がベアリング342と当接しているときの二次転写ローラー42の回転中心4210から中間転写体31までの間隔R0は、弾性層43が形成された二次転写ローラー42の半径Rrよりも若干小さくなるように設定されている。より厳密には、二次転写位置TR2に二次転写ニップ部NP2が形成された状態における二次転写ローラー42の回転中心4210と中間転写体31との間隔と同じになるように、間隔R0が設定される。二次転写ニップ部NP2が形成されているとき、弾性層43が押圧部345の押圧力により弾性変形するため、二次転写ローラー42の回転中心4210と中間転写体31との間隔は、押圧力が加わっていない状態における二次転写ローラー42の半径Rrよりも若干小さくなっている。この状態、つまり二次転写ニップ部NP2が形成された状態における二次転写ローラー42の回転中心4210と中間転写体31との間隔がR0である。したがって、この実施形態では、二次転写ローラー42の回転位相に関わりなく、二次転写ローラー42の回転中心4210と中間転写体31との間隔はほぼ一定値R0に保持される。
【0087】
二次転写ローラー42の回転シャフト421に対して、二次転写ローラー駆動モーターM5が機械的に接続されている。また、本実施形態では、二次転写ローラー駆動モーターM5を駆動させるためにドライバー12が設けられている。ドライバー12は、コントローラー10から与えられる指令に応じてモーターM4を駆動して二次転写ローラー42を図9紙面において時計回りの方向D4、つまりベルト移動方向D31に対しウィズ方向に回転駆動する。二次転写バックアップローラー34は、それ自身は駆動源を有しない従動ローラーである。モーター駆動される二次転写ローラー42に対向する二次転写バックアップローラー34を従動ローラーとすることで、二次転写ニップ部NP2における二次転写ローラー42と中間転写体31との間、あるいは中間転写体31と二次転写バックアップローラー34との間での滑りを防止することができる。
【0088】
本実施形態では、図10に示すように、二次転写ローラー駆動モーターM5が設けられており、二次転写ローラー42と機械的に接続されている。そして、コントローラー10からの指令がドライバー15に与えられると、当該ドライバー15により二次転写ローラー駆動モーターM5が制御されて二次転写ローラー42を回転させたり、後で説明するように凹部41を二次転写バックアップローラー34に向けた姿勢で位置決め停止させることが可能となっている。
【0089】
この第3実施形態にかかる画像形成装置1においても、特許文献1の画像形成装置、第1実施形態や第2実施形態と同様に、適切な画像形成条件で画像を形成することが望まれる。そこで、第2実施形態と同様に、ベタパッチ画像PIの形成後に1周空回しを行った上で当該ベタパッチ画像の画像濃度を光学センサーPSで検出し、その検出結果に基づくコントローラー10が良好な高濃度画像を形成するための画像形成条件を求める。ただし、本実施形態では、上記のように構成された二次転写ローラー42を用いているため、ベタパッチ画像PIの形成前に二次転写ローラー42を所定位置に位置決めして二次転写ローラー42の周面を中間転写体31から離間し、その離間状態のままベタパッチ画像の形成および濃度検出を行っている。以下、図13を参照しつつ2色目であるマゼンタ色についてベタパッチ画像の形成および濃度検出動作について詳述する。
【0090】
図13は図9に示す画像形成装置でのマゼンタパッチ画像の形成および濃度検出の動作を示すタイミングチャートである。この実施形態にかかる画像形成装置1では、コントローラー10のメモリー(図示省略)に記憶されたプログラムにしたがってコントローラー10が装置各部を制御してマゼンタ色(2色目)のベタパッチ画像の形成および濃度検出を以下のようにして実行する。すなわち、第2実施形態と同様にメインモーターM1の作動を開始させて感光体ドラム21、中間転写体31、スクイーズローラー251、261を回転させると同時に、コントローラー10がドライバー15に制御指令を与えて二次転写ローラー駆動モーターM5を駆動制御して二次転写ローラー42を回転させる。そして、図12に示すように、二次転写ローラー42の凹部41が二次転写バックアップローラー34を向いて二次転写ローラー42の外周面が中間転写体31から離間すると、その位置で二次転写ローラー42の回転を停止して位置決めする。
【0091】
このように位置決めしたままベタパッチ画像PIの形成や濃度検出を行う場合、それらを実行している間、逆バイアスを二次転写ローラー42に印加することなく現像剤により二次転写ローラー42が汚されるのを確実に防止することができる。したがって、第3実施形態では、逆バイアス印加を行うことなく、ベタパッチ画像PIの形成や濃度検出を行っている。すなわち、二次転写ローラー42の位置決め完了後のタイミングT1で、帯電器22への帯電バイアスの印加、スクイーズローラー251、261へのスクイーズバイアスの印加、および中間転写体31への一次転写バイアスの印加が実行される。その後、第2実施形態と同様にして、ベタパッチ画像PIの形成および濃度検出が実行される。
【0092】
以上のように、第3実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の作用効果が得られるのみならず、さらに次の作用効果が得られる。すなわち、二次転写ローラー42の凹部41が中間転写体31に対向するように二次転写ローラー42を位置決めして二次転写ローラー42の外周面を中間転写体31から離間させた状態で中間転写体31を空回ししているため、当該空回し中に、中間転写体31に形成されたベタパッチ画像PIが二次転写ローラー42に付着して汚れるのを確実に防止することができる。
【0093】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば第2実施形態および第3実施形態では、各色単位でベタパッチ画像の形成および濃度検出を行っているが、上記実施形態と同様に空回しを含めて複数色についてベタパッチ画像の形成と濃度検出を行ってもよい。例えば図14に示す第4実施形態では、同図(a)に示すように全色についてベタパッチ画像PIy、PIm、PIc、PIkを形成した後、各現像器24を感光体ドラム21から離間移動させる(同図(b))。そして、その離間状態のまま中間転写体31を空回しして全ベタパッチ画像PIを一次転写ニップ部NP1y、NP1m、NP1c、NP1kを通過させる(同図(c))。そして、同図(d)に示すようにベタパッチ画像PIy、PIm、PIc、PIkが光学センサーPSの検出範囲を通過する間に光学センサーPSから出力される信号に基づきコントローラー10が各色のベタパッチ画像PIy、PIm、PIc、PIkの画像濃度を求めるように構成してもよい。これにより上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0094】
また、上記第2ないし第4実施形態では、画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kを一列に配置しているが、配置関係はこれに限定されるものはない。ベルト状の中間転写体31の張架方向に沿って4個の画像形成ステーションを一列に並べているが、画像形成ステーションの数や配置はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0095】
1…画像形成装置、 21…感光体ドラム(潜像担持体)、 24…現像器、 31…中間転写体(転写媒体)、 240、2401〜2404…現像器離当接機構(現像器移動部)、 CL…液体キャリア、 D31…(転写媒体の)移動方向、 M3、M31〜34…現像器離当接モーター(現像器移動部)、 NP1、NP1y、NP1m、NP1c、NP1k…一次転写ニップ部、 PI、PIy、PIm、PIc、PIk…ベタパッチ画像、 PS…光学センサー(検出部)、 T…トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の潜像担持体に潜像を形成し、
前記第1の潜像担持体に形成された前記潜像を液体キャリア及びトナー粒子を含む液体現像剤を担持して前記第1の潜像担持体と当接する第1の現像剤担持体で現像し、
前記第1の潜像担持体に現像された像を前記第1の潜像担持体と転写媒体とを当接させて形成された第1の転写ニップ部で前記転写媒体に転写し、
前記第1の潜像担持体と前記第1の現像剤担持体とを離間させ、
前記像が転写された前記転写媒体を周回移動させ、
前記第1の転写ニップ部を通過させた前記像を検出部で検出することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
潜像が形成されるとともに、前記転写媒体と当接して第2の転写ニップを形成する第2の潜像担持体と、
前記第2の潜像担持体と当接して前記第2の潜像担持体に形成された潜像を液体キャリア及び前記トナー粒子と異なる第2のトナー粒子を含む液体現像剤で現像する第2の現像剤担持体と、を有し、
前記第2の潜像担持体と前記第2の現像剤担持体とを離間させ、
周回移動する前記像が転写された前記転写媒体が前記第2の転写ニップ部を通過し、
前記第1の転写ニップ部及び前記第2の転写ニップ部を通過した前記像を前記検出部で検出する請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記第1の転写ニップ部で前記像を前記転写媒体に転写するとき、前記第2の潜像担持体と前記第2の現像剤担持体とは離間させる請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記第2の潜像担持体に潜像を形成し、
前記第2の潜像担持体に形成された前記潜像を前記第2の現像剤担持体で現像し、
前記第2の潜像担持体に現像された第2の像を前記第2の転写ニップ部で前記転写媒体に転写し、
前記第2の潜像担持体と前記第2の現像剤担持体とを離間させ、
周回移動する前記第2の像が転写された前記転写媒体が前記第1の転写ニップ部及び前記第2の転写ニップ部を通過し、
前記第1の転写ニップ部及び前記第2の転写ニップ部を通過した前記第2の像を前記検出部で検出する請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項5】
周面に凹部を有し、前記転写媒体と記録材を介して前記周面が当接する転写ローラーを有し、
前記像が転写された前記転写媒体が周回移動しているときには、前記凹部を前記記録媒体と対向させて、前記転写媒体と前記転写ローラーとを離間させる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
潜像が形成される第1の潜像担持体と、
前記第1の潜像担持体と当接し、液体キャリアおよびトナーを含む液体現像剤で前記潜像を現像する第1の現像剤担持体と、
前記第1の潜像担持体と当接して第1の転写ニップ部を形成し、前記第1の転写ニップ部で前記第1の潜像担持体に現像された像が転写される転写媒体と、
前記第1の現像剤担持体を前記第1の潜像担持体に対して当接もしくは離間させる現像剤担持体移動部と、
前記像を前記転写媒体に転写した後に前記現像剤担持体移動部で前記第1の現像剤担持体を前記第1の潜像担持体から離間させるとともに、前記転写媒体を移動させて前記像が前記第1の転写ニップ部を通過するように制御する制御部と、
前記第1の転写ニップ部を通過した前記像を検出する検出部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
潜像が形成されるとともに、前記転写媒体と当接して第2の転写ニップを形成する第2の潜像担持体と、
前記第2の潜像担持体と当接して前記第2の潜像担持体に形成された潜像を液体キャリア及び前記トナー粒子と異なる第2のトナー粒子を含む液体現像剤で現像する第2の現像剤担持体と、を有し、
前記制御部は、前記転写媒体を移動させて前記像が前記第2の転写ニップ部を通過するように制御し、
前記検出部は、前記第1の転写ニップ部及び前記第2の転写ニップ部を通過した前記像を検出する請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−95557(P2011−95557A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250284(P2009−250284)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】