説明

画像形成装置、その制御方法、及び制御プログラム

【課題】画像形成材料が収容されるカートリッジが着脱自在に装着される画像形成装置であって、メーカーが品質保証の対象としていない非保証カートリッジが装着されている場合の、カートリッジの交換作業を容易にかつ正確に行なうことのできる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置が、装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出手段と、前記検出手段が、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることを検出すると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成材料が収容されるカートリッジが着脱自在に装着される画像形成装置等に関し、特に、メーカーが品質保証の対象としていないカートリッジが装着されている場合の、カートリッジの交換作業を容易にかつ正確に行なうことのできる画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置においては、画像データに応じた静電潜像を形成し、その静電潜像に現像剤(画像形成材料)であるトナーを供給してトナー像に現像し、そのトナー像を転写対象の媒体に転写させることによって画像形成を行う。このような装置では、上記トナーを収容するトナーカートリッジが着脱可能に保持されるようになっており、通常、モノクロで画像形成を行う装置では黒のトナーカートリッジが、また、カラーで画像形成を行う装置では、複数色のトナーカートリッジ、例えば4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)のトナーカートリッジが装着される。そして、装着されているトナーカートリッジのトナーがなくなるとトナーが充填された新たなトナーカートリッジと交換される。
【0003】
また、このトナーカートリッジには、画像形成装置のメーカーが品質保証の対象としているカートリッジ(以下、保証カートリッジと称する)と、品質保証の対象としていないカートリッジ(以下、非保証カートリッジと称する)とがあり、非保証カートリッジの方が装着されていると、画像形成装置の性能を十分に発揮できないことがある。そこで、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることを知らないユーザが、この非保証カートリッジを用いて印刷を行なってしまうことを避けるようにするなどの目的で、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであるか否かを検出する技術が提案されている(例えば、下記特許文献1など)。
【0004】
そして、非保証カートリッジが装着されていることが検出されると、保証カートリッジが装着されることが望ましいことから、従来装置では、エラーとして扱い、このエラーをユーザに対して表示していた。
【特許文献1】特開2004−199095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来装置において上記非保証カートリッジが装着されていることによるエラーが表示された際に、ユーザがカートリッジを交換する場合には、画像形成装置に備えられる操作ボタン等を用いて、一旦、表示されたエラーを解除し、その後、操作メニューの中からトナー交換指示を選択してカートリッジの交換作業を行なう必要があった。このような複数手順の作業はユーザにとって煩わしいものであり、また、複数の非保証カートリッジが装着されていた場合にも、それを知らせるエラーが表示されるだけなので、ユーザには交換すべきカートリッジを、順次、間違いなく交換していくことが求められ、さらに煩わしい作業であり、かつ、交換作業においてミスが起こる可能性もあった。
【0006】
また、上記非保証カートリッジによるエラーに対するエラー解除回数をカウントしている装置である場合には、保証カートリッジに交換する作業を行なう場合にも、上述のように、エラー解除を行なう必要があるため、このエラー解除回数を増やしてしまうことになる。このエラー解除回数は、装置内に記憶され、当該装置の性能が発揮できないなどの事態になった際に参照されるものであり、この値が大きいことはユーザにとって好ましくない。従って、非保証カートリッジによるエラーを解除して非保証カートリッジを使用し続ける場合にはこのエラー解除回数が増えてしまうのはいたしかたないが、上述のように、保証カートリッジに交換する際にも増えてしまうのは好ましくない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、画像形成材料が収容されるカートリッジが着脱自在に装着される画像形成装置であって、メーカーが品質保証の対象としていない非保証カートリッジが装着されている場合の、カートリッジの交換作業を容易にかつ正確に行なうことのできる画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置が、装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出手段と、前記検出手段が、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることを検出すると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動手段とを有することである。
【0009】
更に、上記の発明において、その好ましい態様は、更に、前記移動手段が非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させた後に、当該非保証カートリッジについてエラーが発生していることをユーザに報知する表示を行なう表示手段を有し、当該表示に応答して、前記ユーザにより前記交換が可能な位置へ移動されたカートリッジの交換がなされると、前記ユーザによるエラー解除操作なしに前記エラーが解除されることを特徴とする。
【0010】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記検出手段が、装着されている複数のカートリッジが非保証カートリッジであることを検出した場合に、当該複数の非保証カートリッジについて、所定の順番に従って、1カートリッジ毎に、前記移動手段による移動と前記表示手段による表示が行なわれることを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置の制御方法が、装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出工程と、前記検出工程で、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることが検出されると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動工程とを有することである。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置の制御プログラムが、装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出工程と、前記検出工程で、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることが検出されると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動工程とを前記画像形成装置に実行させることである。
【0013】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの実施の形態例にかかる構成図である。図1に示すプリンタ2が本発明を適用した画像形成装置であり、ホストコンピュータ1からの印刷要求等に基づいて、所定の印刷媒体(用紙)に対して画像の形成を行なう装置である。かかるプリンタ2は、トナーカートリッジ611として非保証カートリッジが装着されていることを検出した場合に、当該トナーカートリッジ611を交換位置まで自動的に移動させ、非保証カートリッジの交換作業を容易にかつ正確に行なえるようにしようとするものである。
【0016】
図1に示すホストコンピュータ1は、プリンタ2に対して印刷要求を行なうホスト装置であり、ユーザ操作等に基づいて画像データと制御コマンドを含む印刷データをプリンタ2に送信する。なお、ホストコンピュータ1は、所謂パーソナルコンピュータなどで構成することができる。ホストコンピュータ1内のプリンタドライバ3は、ホストコンピュータ1内のアプリケーション(図示せず)などからのデータを受け取って、プリンタ2に送信する上記印刷データを生成する部分である。なお、プリンタドライバ3は、上記機能に関する処理をホストコンピュータ1に実行させるプログラムであり、上記機能は、当該プログラムに従ってホストコンピュータ1の制御装置(図示せず)が処理を実行することによって達成される。
【0017】
図1に示すように、プリンタ2は、コントローラ部4、エンジン制御部5、エンジン6、及び操作部7などで構成される、例えば、いわゆる4サイクルレーザプリンタである。
【0018】
コントローラ部4は、前記ホストコンピュータ1から送信される印刷データを受信し、当該データに含まれる制御コマンドを解釈すると共に、当該データに含まれる画像データに対して所定の処理を施してエンジン6側へ提供するデータを生成する。コントローラ部4には、図1に示すように、I/F41、CPU42、ROM43、RAM44、及びエンジンI/F45が備えられる。
【0019】
I/F41は、ホストコンピュータ1から送信される前記印刷データを受信する部分であり、ROM43は、プリンタ2を制御するための各種プログラムを記憶する部分である。RAM44は、前記受信した印刷データ等を格納するメモリであり、エンジン6で印刷処理が行われる各ページの画像データは、ここからエンジンI/F45に引き渡される。
【0020】
CPU42は、本プリンタ2において行われる各種処理を制御する部分であるが、特に、前記受信した印刷データに含まれる画像データをRAM44に格納する処理、前記印刷データに含まれる制御コマンドを解釈してエンジン制御部5に対して適切な印刷処理を指示する処理、及び、ユーザとのインターフェースを形成する操作部7を制御する処理等を司る。本プリンタ2では、装着されているトナーカートリッジ611が非保証カートリッジであった場合の当該CPU42によるエラー処理等に特徴があり、その具体的な内容については後述する。なお、CPU42が実行する処理は、主に前記ROM43に記憶されたプログラムに従って行われるものである。
【0021】
次に、エンジンI/F45は、エンジン6で印刷を実行する際に、所定のタイミングで前述したRAM44に格納されている画素データを読み出し、それらに所定の処理を施した後にエンジン6側に引き渡す、コントローラ5とエンジン6側とのインターフェースを司る部分である。なお、このエンジンI/F45には、図示していないが、データを一時的に格納するメモリ、解凍部、スクリーン処理部等が備えられ、RAM44から読み出した画素データに対して、圧縮されたデータの解凍、ドットのデータへ変換するスクリーン処理などがなされる。また、エンジンI/F45は、具体的には、ASICで構成されている。
【0022】
次に、エンジン制御部5は、図示されていないが、CPU、ROM、RAM等で構成され、後述するエンジン6各部の動作を制御する。なお、トナーカートリッジ611の交換の際には、前記コントローラ部4の指示に従って、交換するトナーカートリッジ611を所定の交換位置へ移動させるべく制御を行なう。
【0023】
次に、エンジン6は、帯電ユニット、露光ユニット、現像装置、転写ユニット等で構成されるが、図1においては、現像装置61とその他ユニット62という区分で表現している。図2は、本プリンタ2のエンジン6部分の機構を中心に示した構成図である。感光体ドラム621は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸に対して回転可能であり、矢印で示されるように時計方向に回転する。帯電ユニット622は、感光体ドラム621を帯電し、露光ユニット623は内蔵するレーザやLEDアレイなどの光源からのビームを帯電された感光体ドラム621に照射して静電気による潜像を形成する。露光ユニット623のビーム照射は、ホストコンピュータ1から入力される画像情報に基づいて変調された駆動信号により制御される。
【0024】
現像装置61は、現像材であるトナーを収容するトナーカートリッジ611A〜611Dが着脱可能に装着される装着部614A〜614Dを有し、中心軸613に対して回転可能な現像ロータリーである。現像装置61を回転させて必要なトナーカートリッジ611A〜611Dを感光体ドラム621に近接させ、現像材を潜像が形成された感光体ドラム621に供給することで、潜像が現像材による像に現像される。
【0025】
なお、現像装置61の装着部614A〜614Dには、例えば、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYの現像材をそれぞれ収容するトナーカートリッジ611A〜611Dが装着される。なお、トナーカートリッジ611A〜611Dなどに付されているA〜Dは、現像装置61におけるトナーカートリッジ611の装着位置を識別する記号である。
【0026】
また、現像装置61は、前述した印刷時やトナーカートリッジ611の交換時に回転して所定のトナーカートリッジ611を所定の位置に移動させるが、各トナーカートリッジ611A〜611Dにはディフォルトの位置(ホームポジション)が決まっており、所定の処理が終了した際にはこのホームポジションに戻されて次の処理まで待機することになる。また、トナーカートリッジ611を交換するための交換位置に対応して、プリンタ2の筐体には開口部(図示せず)が設けられ、さらに、その開口部を開閉するためのカバー(図示せず)が設けられる。このカバーの開閉状態は、カバー近傍に設けられたリミットスイッチ等で検知することができ、CPU42は、当該カバーの開閉が行なわれたこと等により、トナーカートリッジ611の交換がなされたと判断することができる。
【0027】
また、各トナーカートリッジ611A〜Dには、メモリ612A〜Dが設けられ、各トナーカートリッジ611の製造ロットや使用履歴、トナーの残量等のカートリッジ情報が記憶されている。これらメモリ612に記憶された情報は、エンジン制御部5、コントローラ部4から必要に応じて読み出され、各トナーカートリッジ611に関する消耗品管理及び品質保証品管理等に用いられる。装着されているトナーカートリッジ611が非保証カートリッジであるか否かの判定処理においても、このメモリ612に記憶されたカートリッジ情報が利用される。
【0028】
一次転写ユニット626は、感光体621に形成されたトナー像を中間転写体627に転写する。中間転写体627は、例えばPETフィルムの表面にアルミ蒸着層を形成しその表面に半導電塗料を形成したエンドレスのベルトであり、感光体ドラム621と同じ周速度で回転駆動される。そして、二次転写ユニット628が、中間転写体627に形成されたトナー像を紙などの印刷媒体に転写し、定着ユニット629が、印刷媒体上に転写されたトナー像を媒体に溶着させて永久像とし、その印刷媒体はプリンタ2外に排出される。
【0029】
クリーニングユニット624は、一次転写ユニット626と帯電ユニット622との間に設けられ、感光体ドラム621の表面に当接されるクリーニングブレード625を有し、一次転写された後に感光体ドラム621上に残存する現像材(トナー)がクリーニングブレード625により除去される。
【0030】
図1に示す操作部7は、ユーザがプリンタ2を操作するための部分であり、表示パネル71(図2参照)や操作ボタン(エラー解除ボタン等)等で構成される。当該操作部7では、プリンタ2における印刷条件の設定など各種の設定行為が可能である。本プリンタ2の特徴である非保証品エラーに係る処理においては、当該非保証品エラーの表示、当該エラー解除の操作がこの操作部7においてなされる。
【0031】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例に係るプリンタ2では、印刷時に、ホストコンピュータ1から所定の言語で記述された前記印刷データを供給され、感光体ドラム621への静電潜像の形成、対応するトナーカートリッジ611による現像、一次転写ユニット626による中間転写体627へのトナー像の転写が行なわれる。そして、さらに、二次転写ユニット628により紙などの印刷媒体に転写され、定着ユニット629により定着されて、プリンタ2外に排出される。
【0032】
主にこのような内容でプリンタ2は動作するが、本プリンタ2では、前述したとおり、非保証カートリッジが装着されていることが検出された際の処理、言い換えれば、非保証品エラーに関する処理に特徴があり、以下、これらの点について具体的に説明する。
【0033】
図3は、CPU42が行う非保証品エラー処理を例示したフローチャートである。この非保証品エラー処理は、本プリンタ2の電源が投入された際、又は、トナー交換が実施された際(図3のステップS10)等に行なわれる。まず、非保証品エラーが発生しているか否かが判断される(図3のステップS20)。かかる判断は、非保証カートリッジが装着されているか否かを判定することによって行なわれ、一つでも非保証カートリッジが装着されていれば非保証品エラーが発生しているとされる。また、この非保証カートリッジが装着されているか否かの判定は、CPU42が前述した各トナーカートリッジ611のメモリ612に格納されたカートリッジ情報を読み出して、当該カートリッジ情報に基づいて行なう。
【0034】
具体的には、例えば、カートリッジ情報を構成する製造ロットや使用履歴等の情報に基づいて、又は、カートリッジ情報に含まれるトナー残量等の情報からリフィル品(トナーだけを補充したカートリッジ)であるか否かを検証することによって、非保証カートリッジであるか否かの判定を行なう。なお、かかる判定は他の方法を用いて行なっても構わない。
【0035】
この判断において、装着されているトナーカートリッジ611に非保証カートリッジがなく、非保証品エラーが発生していない場合には(図3のステップS20のNo)、当該非保証品エラー処理は終了し、印刷可能状態へ遷移される(図3のステップS120)。
【0036】
一方、装着されているトナーカートリッジ611に非保証カートリッジが存在すると判定され、非保証品エラーが発生していると判断された場合には(図3のステップS20のYes)、CPU42は、エンジン制御部5に対して、非保証カートリッジをカートリッジの交換位置へ移動させるよう指示する(図3のステップS30)。ここで、非保証カートリッジが複数装着されている場合には、予め定められた所定の方法に基づいて決定された順番に従って、それらカートリッジのうちの一つが選択され、当該選択された非保証カートリッジについて移動の指示がなされる。前記所定の方法に基づく順番は、例えば、前記複数の非保証カートリッジを全て交換位置へ移動させるのに最も効率的な順番とすることができる。
【0037】
その後、前記移動指示に従って選択されたトナーカートリッジ611が交換位置に移動されるのを待ち(図3のステップS40のNo)、当該移動が完了すると(図3のステップS40のYes)、CPU42は、操作部7の表示パネル71に非保証品エラーを表示させる(図3のステップS50)。
【0038】
図4は、表示パネル71に表示される非保証品エラーに係るメッセージを例示した図である。図4に示す例では、メッセージの上段で、非保証品エラーが発生していることがユーザに報知され、また、下段では、「X」で示されるトナーカートリッジ611を交換すべきことがユーザに伝えられる。ここで、「X」は前記選択されて交換位置へ移動されたトナーカートリッジ611を識別する情報であり、例えば、YMCK各色のトナーカートリッジ611が1本ずつ装着されている場合には、例えば、「M」と表示され、ユーザはM色のトナーカートリッジ611を交換することが促される。すなわち、当該メッセージにより、ユーザは、M色のトナーカートリッジ611が非保証カートリッジであることを知らされ、保証カートリッジに交換することが促される。
【0039】
このように、本プリンタ2では、非保証品エラーの表示の際に、複数の非保証カートリッジが装着されている場合にも、交換位置に移動された1つのトナーカートリッジ611についてのみ(交換すべきことの)表示を行なう。そして、かかるエラー表示の前に、既に交換すべきカートリッジが交換位置に移動されている。これら、本プリンタ2における特徴により、ユーザは、非保証カートリッジを複数交換しなくてはならない場合にも、間違えることなく、容易にカートリッジの交換作業を行なうことができる。また、エラーが表示された時点で、対象のカートリッジが交換位置に移動されているので、従来のようにエラーを解除してカートリッジを移動させることなく、そのまま交換作業を行なうことができる。
【0040】
その後、当該エラー表示に対して、ユーザが操作部7に備えられるエラー解除ボタンを押下した場合には(図3のステップS60のYes)、CPU42は、非保証品エラー解除回数を更新する(図3のステップS70)。具体的には、これまでに非保証品エラーに対して解除操作を行なった累計回数を一つ増やす。なお、この非保証品エラー解除回数は、プリンタ2内の所定箇所に記憶される。そして、このエラー解除ボタンの押下により、当該トナーカートリッジ611についての非保証品エラーは解除され、その表示も消える。これにより、当該非保証品であるトナーカートリッジ611についての処理が終了し、ステップS100へと移行する。従って、このエラー解除ボタンが押下された場合には、対象としているトナーカートリッジ611については、非保証カートリッジの交換は行なわれず、そのまま非保証カートリッジが装着されて使用されることになる。よって、この場合に、前述したように非保証品エラー解除回数が更新されるのは合理的である。
【0041】
一方、前記エラー表示に対して、ユーザがエラー解除ボタンを押下しない場合には(図3のステップS60のNo)、CPU42は、前述したトナーカートリッジ交換カバーが開閉されるのを待つ(図3のステップS80のNo)。そして、トナーカートリッジ交換カバーが開閉されると(図3のステップS80のYes)、ユーザによるカートリッジの交換作業が完了したと判断し、交換後のトナーカートリッジ611が保証カートリッジであるか否かを判定する(図3のステップS90)。なお、ここでは、トナーカートリッジ交換カバーの開閉により、カートリッジの交換作業が完了したと判断したが、他の方法を用いてもよい。また、カートリッジの交換作業が完了したと判断された時点で、当該トナーカートリッジ611についての非保証品エラーは解除され、エラー表示は消される。
【0042】
なお、上記保証カートリッジであるか否かの判定は、前述したステップS20における非保証カートリッジであるか否かの判定と同様の方法で行なわれる。かかる判定の結果、保証カートリッジでないと判定された場合には(図3のステップS90のNo)、当該トナーカートリッジ611についての非保証品エラー処理を、再度、前述したステップS30から行なう。すなわち、カートリッジの交換作業が完了した後、このトナーカートリッジ611はホームポジションに戻っているので、再度、交換位置への移動、非保証品エラーの表示がなされることになる。
【0043】
一方、保証カートリッジであると判定された場合には(図3のステップS90のYes)、当該トナーカートリッジ611についての処理が終了し、ステップS100へと移行する。このように、本プリンタ2では、非保証カートリッジが装着されている場合には、非保証品エラーの解除ボタンを押下するか、または、保証カートリッジに交換するまで、印刷を行なうことができない。従って、ユーザが非保証カートリッジが装着されていることを知らずに印刷を行なってしまうことがない。また、非保証カートリッジを保証カートリッジに交換する場合には、ユーザがエラー解除ボタンを押下してエラーを解除する必要がないので、不合理に非保証品エラー解除回数が更新されてしまうことがない。
【0044】
このようにして対象としていたトナーカートリッジ611についての処理が終了すると、ステップS20において非保証カートリッジであると判定された全てのトナーカートリッジ611について処理が完了しているかが判断され(図3のステップS100)、まだ、処理されていないものが残っている場合には(図3のステップS100のNo)、前述した順番に従って、次のトナーカートリッジ611が選択される(図3のステップS110)。そして、当該選択されたトナーカートリッジ611について、ステップS30からの処理を同様に行なう。
【0045】
このように各非保証カートリッジについて処理がなされ、非保証カートリッジであると判定された全てのトナーカートリッジ611について処理が完了すると(図3のステップS100のYes)、一連の非保証品エラー処理が終了し、プリンタ2は、印刷可能状態へ遷移する(図3のステップS120)。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態例に係るプリンタ2では、電源投入時やトナー交換実施時に、非保証カートリッジが装着されているか否かをチェックし、装着されている場合には、その非保証カートリッジを自動的にカートリッジの交換位置へ移動させ、その後に、非保証品エラーを表示する。また、複数の非保証カートリッジが装着されている場合には、前記カートリッジの移動及びエラー表示等の一連の処理を1カートリッジ毎に、すなわち、YMCK各1本のカートリッジが装着されている場合には1色毎に、行なわれ、各エラー表示には、交換対象の1カートリッジ(1色)を示す情報が表示される。
【0047】
従って、ユーザは、非保証品エラーが表示された際に、表示されているカートリッジについて交換作業を行なうだけでよく、従来のように交換するカートリッジの判断、そのカートリッジの移動指示を行なう必要がなくなり、非保証品エラー時の交換作業を容易に行なうことができるようになる。さらに、複数の非保証カートリッジが装着されている場合にも、各カートリッジのエラー表示に導かれて同様の作業を繰り返すだけでよく、異なる色のカートリッジを装着してしまうなどのミスを防止でき交換作業を正確に行なうことが可能となる。
【0048】
また、非保証品エラーが表示された時点では、既に交換すべきカートリッジが交換位置に移動されているので、カートリッジの交換作業を行なう場合に、ユーザは、エラー解除ボタンによりエラーを解除してカートリッジの移動指示操作を行なう必要がなく、従来のように保証カートリッジに交換する場合にも非保証品エラー解除回数が更新されてしまうという不合理なことはなくなる。
【0049】
さらに、1カートリッジ(1色)毎に独立して処理が行なわれ、ユーザは、1カートリッジ(1色)毎に、そのまま使用するか、あるいは、保証カートリッジに交換するかの選択を行なうことができる。これにより、検出された非保証カートリッジに対してその全てについては保証カートリッジが準備されていない場合などにも、一部のカートリッジについてのみ交換作業をして印刷可能状態にするといったことが可能となり、ユーザの環境適用性を高めることができる。
【0050】
なお、本実施の形態例においては、プリンタ2はいわゆる4サイクルレーザプリンタであったが、タンデム式のプリンタにおいても本発明を応用することができる。すなわち、カートリッジの交換時にカートリッジを所定の交換位置へ移動させる必要がない装置の場合には、本実施の形態例におけるカートリッジの交換位置への移動に換えて、対象としているカートリッジのユーザによる交換作業が可能となるような準備動作を行なわせるようにし、エラー表示後、ユーザが直ぐに交換作業を行えるようにすることができる。
【0051】
なお、前記実施の形態例では、画像形成装置がプリンタであったが、本発明を複写機やファクシミリなど他の画像形成装置に適用することもできる。
【0052】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の実施の形態例にかかる構成図である。
【図2】本プリンタ2のエンジン6部分の機構を中心に示した構成図である。
【図3】CPU42が行う非保証品エラー処理を例示したフローチャートである。
【図4】表示される非保証品エラーに係るメッセージを例示した図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ホストコンピュータ、 2 プリンタ、 3 プリンタドライバ、 4 コントローラ部(検出手段、移動手段、表示手段)、 5 エンジン制御部(検出手段、移動手段)、 6 エンジン、 7 操作部(表示手段)、 41 I/F、 42 CPU、 43 ROM、 44 RAM、 45 エンジンI/F、 61 現像装置(検出手段、移動手段)、 62 その他ユニット、 71 表示パネル、 611 トナーカートリッジ、 612 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置であって、
装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段が、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることを検出すると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動手段とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
更に、前記移動手段が非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させた後に、当該非保証カートリッジについてエラーが発生していることをユーザに報知する表示を行なう表示手段を有し、
当該表示に応答して、前記ユーザにより前記交換が可能な位置へ移動されたカートリッジの交換がなされると、前記ユーザによるエラー解除操作なしに前記エラーが解除される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記検出手段が、装着されている複数のカートリッジが非保証カートリッジであることを検出した場合に、
当該複数の非保証カートリッジについて、所定の順番に従って、1カートリッジ毎に、前記移動手段による移動と前記表示手段による表示が行なわれる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置の制御方法であって、
装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出工程と、
前記検出工程で、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることが検出されると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動工程とを有する
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
画像形成材料を収容するカートリッジが着脱自在に装着され、当該カートリッジに収容される画像形成材料を用いて画像形成を行う画像形成装置の制御プログラムであって、
装着されている前記カートリッジが、品質保証の対象とされていない非保証カートリッジであるか否かを検出する検出工程と、
前記検出工程で、装着されているカートリッジが非保証カートリッジであることが検出されると、当該非保証カートリッジをカートリッジの交換が可能な位置へ移動させる移動工程とを前記画像形成装置に実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−114535(P2007−114535A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306514(P2005−306514)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】