説明

画像形成装置、オゾンガスの排出方法、帯電装置

【課題】本発明は、装置の小型化を図りつつ帯電ユニットの筐体内に滞留しているオゾンガスを効率良く排除することができる画像形成装置、オゾンガスの排出方法、帯電装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、帯電器24、電源ユニット80、制御部50を備える。帯電器24は、ケーシング52、グリッド電極部材51、コロナ電極部材54を有し、コロナ放電により感光体ドラム22を所定の電位に帯電させる。電源ユニット80は、コロナ放電させるための第1設定値または極性の異なる第2設定値の電圧のいずれかをコロナ電極部材54に印加する。制御部50は帯電器24と対向する感光体ドラム22の表面を所定の電位に帯電させるタイミングではないときに予め設定された時間だけ電源ユニット80が印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コロナ放電によって像担持体を帯電させる帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、像担持体を露光処理して静電潜像を形成する画像形成装置では、像担持体の表面をコロナ放電方式の帯電ユニットを用いて帯電させている。コロナ放電では、放電に伴ってオゾンガスが生成される。また、帯電ユニット周辺にオゾンガスが滞留すると帯電ユニットに近接配置されている像担持体の表面にオゾンガスが作用し、均一に像担持体周面を帯電させることができなくなり画像ムラの要因となる。
【0003】
このような画像形成装置の中には、換気ファンと換気ダクトを設けて帯電ユニット周辺に空気を吹き付けて帯電ユニット周辺に滞留するオゾンガスを拡散させることで画像ムラの発生を抑制するものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−315917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に示す画像形成装置では、帯電ユニット周辺に換気ファン等の換気機構を設ける必要があり、装置の小型化を図る上で問題があった。
【0006】
また、換気ファンを用いて帯電ユニットに空気を吹き付ける場合には、吹き付けた空気が帯電ユニットの筐体に遮られるため、筐体内に滞留するオゾンガスを効率良く排除することが難しいという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、装置の小型化を図りつつ帯電ユニットの筐体内に滞留しているオゾンガスを効率良く排除することができる画像形成装置、オゾンガスの排出方法、帯電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の画像形成装置は、所定の方向に移動する像担持体の表面に形成された静電潜像を用いて用紙に対する画像形成処理を行う画像形成装置であり、帯電ユニット、電源手段、制御部を備えている。帯電ユニットは、筐体、グリッド電極、コロナ電極を有し、静電潜像を形成するためにコロナ放電により像担持体の表面を所定の電位に帯電させる。筐体は、像担持体に近接配置され像担持体との対向面が開放している。グリッド電極は、筐体の対向面に配置されている。コロナ電極は、筐体内に配置されている。電源手段は、コロナ放電させるための第1設定値の電圧または第1設定値と極性の異なる第2設定値の電圧のいずれかを選択的にコロナ電極に印加する。制御部は、帯電ユニットと対向する像担持体の表面を所定の電位に帯電させるタイミングではないときに予め設定された時間だけ第1設定値から第2設定値に電源手段が印加する電圧を切り替えさせる。
【0009】
この構成では、コロナ電極に印加する電圧を予め設定された時間だけ第1設定値と極性の異なる第2設定値に切り替える。これにより、コロナ電極に第1設定値の電圧を印加したときに生成されたオゾンガスがコロナ電極周辺に引き寄せられる。コロナ電極周辺に引き寄せられたオゾンガスは、コロナ電極に第1設定値の電圧が印加されるのに伴って生成されるコロナ風によってグリッド電極側へ運ばれ筐体内から排除される。
【0010】
この発明のオゾンガスの排出方法は、像担持体の表面をコロナ放電により所定の電位に帯電させるための帯電ユニットと、コロナ放電を生じさせるために第1設定値の電圧をコロナ電極に印加する電源手段と、を備えた画像形成装置の帯電ユニット内に滞留するオゾンガスの排出方法である。帯電ユニットは、筐体、グリッド電極、コロナ電極、を有している。筐体は、所定の方向に移動する像担持体に近接配置され像担持体との対向面が開放している。グリッド電極は、筐体の対向面に配置されている。コロナ電極は、筐体内に配置されている。電源手段がコロナ電極に印加する電圧を像担持体の表面を所定の電位に帯電させるタイミングではないときに予め設定された時間だけ第1設定値と極性の異なる第2設定値の電圧に切り替える。
【0011】
この構成では、コロナ電極に印加する電圧を予め設定された時間だけ第1設定値と極性の異なる第2設定値に切り替える。これにより、コロナ電極に第1設定値の電圧を印加したときに生成されたオゾンガスがコロナ電極周辺に引き寄せられる。コロナ電極周辺に引き寄せられたオゾンガスは、コロナ電極に第1設定値の電圧が印加されるのに伴って生成されるコロナ風によってグリッド電極側へ運ばれ筐体内から排除される。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、装置の小型化を図りつつ、筐体内に滞留するオゾンガスを筐体内から効率良く排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の正面断面の概略図である。
【図2】感光体ドラムおよび帯電器の構成を示す概略断面図である。
【図3】帯電器の構成を示す斜視図である。
【図4】(A)は、第1設定値の電圧がコロナ電極に印加されているときのオゾンガスの流れを模式的に示す図である。(B)は、コロナ電極に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替えたときのオゾンガスの流れを模式的に示す図である。(C)は、コロナ電極に印加する電圧を第2設定値から第1設定値に切り替えたときのオゾンガスの流れを示す図である。
【図5】ケーシング内の底面周辺における空気中のオゾンの濃度変化を示す図である。
【図6】(A)は、コロナ電極に第1設定値の電圧が印加されているときに所定の回転方向に回転する感光体ドラムを示す図である。(B)は、コロナ電極に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替えたときに所定の回転方向と反対方向に回転する感光体ドラムを示す図である。(C)は、コロナ電極に第2設定値から第1設定値に切り替えて電圧を印加しているときに所定の回転方向に回転する感光体ドラムを示す図である。
【図7】制御部がコロナ電極に印加する電圧の切り替え制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の一実施形態に係る画像形成装置10について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、画像形成装置10の全体構成を模式的に示す図である。
【0016】
画像形成装置10は、画像形成部11、自動原稿搬送装置12、読取部90、制御部50、を備え、画像データに応じて用紙に多色及び単色の画像形成処理を行なう複合機である。
【0017】
自動原稿搬送装置12は、画像形成部11の上部に配置された読取部90に原稿を逐次搬送する。
【0018】
読取部90は、透明ガラスからなる原稿台93を端部に有し、逐次搬送される原稿が原稿台93を通過するときに原稿を読み取る。なお、読取部90は、原稿台93に隣接して設けられた原稿載置台92に載置された原稿の読み取りも行う。
【0019】
画像形成部11は、露光ユニット14、中間転写ベルトユニット60、定着ユニット70、4つの画像形成ステーション20、給紙カセット15、手差しトレイ16、排紙トレイ17、2次転写ユニット30を有している。画像形成部11は、用紙に画像形成処理を行なう。
【0020】
画像形成ステーション20は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のカラー画像に応じてそれぞれ配置され、同一の構成を備えている。各画像形成ステーション20では、各色に応じた4種類の静電潜像を形成する。なお、本実施形態では、4つの画像形成ステーション20を備える例を挙げて説明しているが、画像形成装置10の仕様に応じたカラーの潜像を形成するものとすれば良い。なお、図1では、ブラック(K)のカラー画像を形成する画像形成ステーション20のみ図示している。
【0021】
ここで、ブラック(K)のカラー画像を形成する画像形成ステーション20についてのみ説明する。
【0022】
画像形成ステーション20は、現像器21、感光体ドラム(像担持体)22、クリーナユニット23、帯電器(帯電ユニット、帯電装置)24を有し、ブラック(K)のカラー画像に応じた潜像を形成する。感光体ドラム22は、クリーナユニット23、帯電器24、現像器21を、この順に経由する方向(所定の方向)に回転する。
【0023】
画像形成ステーション20は、現像器21、感光体ドラム22、クリーナユニット23、帯電器24を有し、各カラー画像に応じた潜像を形成する。
【0024】
現像器21は、感光体ドラム22にブラック(K)のトナーを供給し、感光体ドラム22上に形成された静電潜像にトナーを吸着されて顕像化する。
【0025】
クリーナユニット23は、感光体ドラム22周面に当接して残留トナーを取り除くクリーニングブレード23Aを有し、感光体ドラム22周面に残留したトナーを回収する。
【0026】
帯電器24は、感光体ドラム22の表面を所定の電位に均一に帯電させるチャージャ型の帯電器である。
【0027】
露光ユニット14は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット14は、帯電された感光体ドラム22を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0028】
中間転写ベルトユニット60は、感光体ドラム22の上方に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、複数の中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を有している。
【0029】
中間転写ベルト61は、YMCK用の各色に対応して4つ並設されており、中間転写ベルト従動ローラ63、各画像ステーション20、中間転写ベルト駆動ローラ62をこの順に経由する方向へそれぞれ回転するように張架されている。
【0030】
中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。各中間転写ローラ64には、それぞれ約数百ボルト程度のプラス極性の転写バイアスが印加されている。一方、感光体ドラム22に担持されるトナー像は、マイナス極性に帯電している。これにより、中間転写ベルト61にトナー像を担持させている。なお、図中では、簡単の為、ブラック(K)の潜像を形成する画像形成ステーション20に対応して配置された中間転写ローラ64にのみ符号を付している。
【0031】
中間転写ベルトクリーニングユニット65は、残留トナーを拭き取るクリーニングブレード65Aを有し、各中間転写ベルト61に付着している残留トナーを回収する。これにより、中間転写ベルト61に付着している残留トナーを回収することができる。
【0032】
給紙カセット15は、画像形成処理に使用する用紙が積層されており、露光ユニット14の下側に設けられている。
【0033】
手差しトレイ16にも画像形成に使用する用紙を置くことができる。画像形成部11の上方に設けられている排紙トレイ17は、画像形成部11で画像形成処理を行なった用紙を集積するためのトレイである。
【0034】
画像形成部11には、給紙カセット15または手差しトレイ16の用紙を2次転写ユニット30や定着ユニット70を経由して排紙トレイ17に送る用紙搬送路が設けられている。
【0035】
レジストローラ対33は、用紙搬送路に沿って搬送されている用紙を一旦保持する。そして、各中間転写ベルト61に担持されているトナー像の先端部に用紙の先端部が一致するタイミングで用紙を下流側の中間転写ベルト61および2次転写ユニット30の間に搬送する。
【0036】
2次転写ユニット30は、複数のローラによって張架された2次転写ベルト32と、中間転写ベルト駆動ローラ62との間に2次転写ベルト32及び中間転写ベルト61を挟持する圧接ローラ31を有している。これにより、トナー像を用紙に転写することができる。
【0037】
制御部50は、読取部90における原稿読取動作を制御する。制御部50は、図示しない操作パネルを介して受け付けた入力操作に基づいて原稿の読み取りを実行する。制御部50は、読み取った原稿の画像データに基づいて画像形成部11に画像形成処理を実行させる。
【0038】
図2は、感光体ドラム22および帯電器24の構成を示す概略断面図である。図3は、帯電器24の斜視図である。
【0039】
帯電器24は、グリッド電極部材51、ケーシング52、コロナ電極部材54を有し、感光体ドラム22の軸方向に沿って平行に配置されている。
【0040】
グリッド電極部材51は、コロナ電極部材54に面する中央部に沿って開口が設けられた枠状の部材である。これにより、ケーシング52内の空間を感光体ドラム22側の空間に連通させ、コロナ放電によって生成されるコロナ風がスムーズに感光体ドラム22へ供給される。なお、グリッド電極部材51をメッシュ状に形成するものとしても良い。
【0041】
ケーシング52は、感光体ドラム22に対向する面が開放端となるように設けられた略U字状を呈する筐体である。なお、ケーシング52の断面形状は、略U字状に限定されるものではない。感光体ドラム22に面する部分に開口が設けられているのであれば良い。例えば、ケーシング52の断面を略V字状とすることも考えられる。
【0042】
グリッド電極部材51は、ケーシング52の開放端に取り付けられた長方形の枠状を呈する部材である。
【0043】
コロナ電極部材54は、ケーシング52内に配置されている。コロナ電極部材54は、鋸歯状を呈する多数の針電極54Aが長手方向に沿って所定のピッチ間隔で設けられている。コロナ電極部材54は、針電極54Aとグリッド電極部材51との間の間隔が等間隔となるように配置されている。これにより、針電極54Aからグリッド電極部材51に向かって長手方向に沿って均等にコロナ放電を発生させることができる。なお、コロナ電極部材54は、グリッド電極部材51との間に所定の間隔を設けて平行に張架されたワイヤによって構成するものとしても良い。
【0044】
電源ユニット(電源手段)80は、帯電器24近傍に設けられており、コロナ電極部材54に第1設定値の直流電圧を印加するとともに、グリッド電極部材51にプラス極性の直流電圧を印加する。第1設定値は、マイナス極性の直流電圧に設定されている。これにより、コロナ電極部材54およびグリッド電極部材51の間に予め設定した電圧差を生じさせている。なお、上記予め設定された電圧差は、例えば、−4KVに設定される。これにより、コロナ電極部材54とグリッド電極部材51との間においてコロナ放電が発生し、コロナ電極部材54からグリッド電極部材51へ向かうコロナ風が生成される。これにより、感光体ドラム22を帯電させることができる。
【0045】
制御部50は、電源ユニット80がコロナ電極部材54およびグリッド電極部材51に印加する電圧を制御する。制御部50は、露光ユニット14が感光体ドラム22の表面に静電潜像を形成するために帯電器24によって感光体ドラム22を所定の電位に帯電させる必要がないタイミングでコロナ電極部材54に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替えて印加させる。ここで、第2設定値は、プラス極性の直流電圧に設定されている。これにより、ケーシング52の底面付近に滞留しているオゾンガスをコロナ電極部材54のグリッド電極部材51側へ引き寄せることができる。
【0046】
また、制御部50は、コロナ電極部材54に印加する電圧を第2設定値に切り替えている間だけ、感光体ドラム22を所定の回転方向と反対方向に回転させる。このため、感光体ドラム22表面の上記所定の電位に帯電されていない部分は、現像器21側には回転しない。
【0047】
ここで、上記所定の電位に帯電されていない部分は、転写バイアスが印加されているタイミングで中間転写ローラ64と対向する位置を通過しているとプラス電位に帯電している場合もある。
【0048】
このように感光体ドラム22のプラス電位に帯電した部分が現像器21と対向する位置を通過すると、現像器21内に貯留されているトナーを感光体ドラム22に供給するために用いられるキャリアが感光体ドラム22に吸着するおそれがある。感光体ドラム22に吸着したキャリアは、転写処理を行う際に斑点状に用紙に転写され転写処理の品質を低下させることもある。
【0049】
そこで、本実施形態では、コロナ電極部材54に第2設定値を印加している間だけ、感光体ドラム22を上記反対方向に回転させることで、感光体ドラム22にキャリアが吸着することを防止している。
【0050】
また、本実施形態では、クリーニングブレード23Aが感光体ドラム22周面に当接する位置に固定支持されている例を挙げて説明している。しかし、上記反対方向に回転するときにクリーニングブレード23Aが感光体ドラム22を当接する当接力が大きくなる場合には、上記反対方向に感光体ドラム22を回転させる間だけクリーニングブレード23Aを感光体ドラム22と当接しない位置に退避させる退避機構を設けるものとしても良い。この場合には、制御部50が感光体ドラム22を上記反対方向に回転駆動する間だけ、退避機構を駆動してクリーニングブレード23Aを当接しない位置まで退避させる。これにより、上記当接力が感光体ドラム22に作用することを防止することができる。
【0051】
また、中間転写ローラ64についても感光体ドラム22が上記反対方向に回転するときに感光体ドラム22を圧接しない位置へ退避させる離接機構を設けるものとしても良い。この場合には、制御部50が感光体ドラム22を上記反対方向に回転駆動する間だけ、離接機構を駆動して中間転写ローラ64を圧接しない位置まで中間転写ローラ64を移動させることで感光体ドラム22に圧接力が作用することを防止することができる。
【0052】
ここで、帯電器24内に滞留するオゾンガスの排出方法について図4〜6を用いて説明する。なお、図4(A)〜(C)の破線で示す矢印は、オゾンガスの流れを示す。
【0053】
図4(A)は、第1設定値の電圧がコロナ電極部材54に印加されているときのコロナ電極部材54周辺に形成される空気の流れを示す図である。
【0054】
コロナ放電に伴ってコロナ電極部材54からグリッド電極部材51側に向かうオゾンガスの流れ、すなわちコロナ風が形成されている。
【0055】
一方、コロナ電極部材54からケーシング52の底面付近に回り込む空気流れも形成されている。これにより、オゾンガスがケーシング52の底面付近に滞留する。
【0056】
図4(B)は、コロナ電極部材54に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替えて印加したときのオゾンガスの流れを模式的に示す図である。なお、第2設定値は、コロナ電極部材54でコロナ放電が生じない程度の大きさに設定されている。
【0057】
コロナ電極部材54に第2設定値の電圧が印加されると、ケーシング52の底面付近に滞留していたオゾンガスは針電極54A周辺に引き寄せられる。
【0058】
図4(C)は、コロナ電極部材54に印加する電圧を第2設定値から第1設定値に切り替えて印加したときのオゾンガスの流れを模式的に示す図である。
【0059】
コロナ電極部材54周辺に引き寄せられたオゾンガスは、コロナ放電に伴うコロナ風によってケーシング52内から排出される。
【0060】
図5は、ケーシング52の底面におけるオゾンガスの濃度変化を示すグラフである。
【0061】
図5では、コロナ電極部材54に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に一時的に切り替えた場合のオゾンガスの濃度変化を実線で示している。なお、コロナ電極部材54に印加する電圧を第2設定値に切り替えない場合のオゾンガスの濃度変化を破線で示している。タイミングT1、T2の間の時間間隔は、予め設定された時間長さとなるように設定されている。ここで、予め設定された時間長さは、ケーシング52内の容積や第2設定値の電圧値を勘案してケーシング52底面付近に滞留するオゾンガスを針電極54A周辺に引き寄せるのに必要な時間長さに設定されている。
【0062】
タイミングT1は、コロナ電極部材54に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替えるタイミングを示している。タイミングT1で、第1設定値から第2設定値に電圧が切り替えられるのに伴って、ケーシング52の底面付近のオゾンガスの濃度は低下する。
【0063】
タイミングT2は、コロナ電極部材54に印加する電圧を第2設定値から第1設定値に切り替えるタイミングを示している。タイミングT2で、第2設定値から第1設定値に電圧が切り替えられると、コロナ電極部材54でコロナ放電が再び生じる。このため、タイミングT2を少し経過してからケーシング52の底面付近のオゾンガスの濃度は増加傾向に転じる。
【0064】
なお、図5では、コロナ電極部材54に印加する電圧を1回だけ第2設定値に切り替える例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部50が第2設定値への切り替え処理を繰り返し実行処理することによってケーシング52内のオゾンガスの濃度をさらに低くすることができる。
【0065】
図6(A)〜(C)は、感光体ドラム22周辺の概略構成を示す図である。
【0066】
図6(A)は、コロナ電極部材54に第1設定値の電圧が印加されているときに所定の回転方向に回転する感光体ドラム22を示す図である。
【0067】
図6(B)は、コロナ電極部材54に第1設定値から切り替えて第2設定値の電圧が印加されているときに所定の回転方向と反対方向に回転する感光体ドラム22を示す図である。
【0068】
図6(C)は、コロナ電極部材54に第2設定値から第1設定値に切り替えて電圧を印加されているときに所定の回転方向に回転する感光体ドラム22を示す図である。
【0069】
制御部50は、露光ユニット14によって感光体ドラム22表面の露光処理を行っていないときに、コロナ電極部材54に印加する電圧を第1設定値から第2設定値に切り替えて印加する。これにより、帯電器24内に滞留するオゾンガスを排出することができる。
【0070】
制御部50は、予め設定された時間が経過すると第2設定値から第1設定値に電圧を切り替えてコロナ電極部材54に印加させる。さらに、制御部50は、第2設定値の電圧を印加している間だけ、感光体ドラム22を反対方向に回転させる。これにより、コロナ電極部材54に第2設定値の電圧が印加されている間に帯電器24に対向する位置を通過した感光体ドラム22の表面についても所定の電位に帯電させることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、第2設定値の電圧を印加する間だけ感光体ドラム22を反対方向に回転させて帯電器24内に滞留するオゾンガスを排出する方法を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2設定値の電圧を印加する間だけ感光体ドラム22の回転を停止させるものとしても良い。この場合には、感光体ドラム22を反対方向に回転させることなく本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
図7は、制御部50がコロナ電極部材54に印加する電圧制御の流れを示すフローチャートである。
【0073】
制御部50は、感光体ドラム22の表面に露光ユニット14が静電潜像を形成するために感光体ドラム22を所定の電位に帯電させる必要があるか否かを判断する(S1)。制御部50は、所定の電位に帯電させる必要がないタイミングであれば、予め設定された時間だけ、感光体ドラム22を所定の回転方向と反対方向に回転させるとともにコロナ電極部材54にプラス極性の第2設定値の電圧を印加させる(S2〜4)。
【0074】
制御部50は、予め設定された時間が経過するとコロナ電極部材54に第1設定値の電圧を印加する(S5)。
【0075】
本実施形態では、制御部50は、感光体ドラム22を所定の電位に帯電させる必要がない時間の長さに応じてステップS1〜S5に示す処理を繰り返し実行する。これにより、ケーシング52内に滞留しているオゾンガスを効率良くケーシング52内から排除することができる。このため、ケーシング52内のオゾンガスの濃度を継続的に低く保つことができるので、オゾンガスによる周辺部材の劣化を抑制することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、感光体ドラム22を所定の電位に帯電する帯電器24を例に挙げているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、転写ベルトを所定の電位に帯電させるために設けられた帯電器に適用することも考えられる。
【0077】
上記実施形態では、電源ユニット80、制御部50、帯電器24を備えた画像形成装置10を例に挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、帯電器24が電源ユニットおよび制御部を内蔵するものとしても良い。この場合には、電源ユニット80の代わりに、内蔵された電源ユニットがコロナ電極およびグリッド電極に電圧をそれぞれ印加する。制御部50の代わりに、帯電器24に内蔵された制御部がコロナ電極およびグリッド電極に印加する電圧を制御する。これにより、上記実施形態に係る帯電器24と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、図1〜6において断面表記は適宜省略して示している。
【0079】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0080】
10 画像形成装置
22 感光体ドラム(像担持体)
50 制御部
51 グリッド電極
52 ケーシング(筐体)
54 コロナ電極
80 電源ユニット(電源手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に移動する像担持体の表面に形成された静電潜像を用いて用紙に対する画像形成処理を行う画像形成装置であって、
前記像担持体に近接配置され前記像担持体との対向面が開放した筐体と、前記筐体の前記対向面に配置されたグリッド電極と、前記筐体内に配置されたコロナ電極と、を有し、前記静電潜像を形成するためにコロナ放電により前記像担持体の表面を所定の電位に帯電させる帯電ユニットと、
前記コロナ放電させるための第1設定値の電圧または前記第1設定値と極性の異なる第2設定値の電圧のいずれかを選択的に前記コロナ電極に印加する電源手段と、
前記帯電ユニットと対向する前記像担持体の表面を前記所定の電位に帯電させるタイミングではないときに予め設定された時間だけ前記第1設定値から前記第2設定値に前記電源手段が印加する前記電圧を切り替えさせる制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記像担持体の移動をさらに制御し、前記電源手段に前記第2設定値を印加させる間だけ前記像担持体を停止させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電源手段に前記第2設定値を印加させる間だけ前記像担持体を前記所定の方向と反対方向に移動させる、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
所定の方向に移動する像担持体に近接配置され前記像担持体との対向面が開放した筐体と前記筐体の前記対向面に配置されたグリッド電極と前記筐体内に配置されたコロナ電極とを有し前記像担持体の表面をコロナ放電により所定の電位に帯電させるための帯電ユニットと、前記コロナ放電を生じさせるために第1設定値の電圧を前記コロナ電極に印加する電源手段と、を備えた画像形成装置の前記帯電ユニット内に滞留するオゾンガスの排出方法であって、
前記電源手段が前記コロナ電極に印加する電圧を前記像担持体の表面を前記所定の電位に帯電させるタイミングではないときに予め設定された時間だけ前記第1設定値と極性の異なる第2設定値の電圧に切り替える、
オゾンガスの排出方法。
【請求項5】
前記電源手段に前記第2設定値を印加させる間だけ前記像担持体を停止させる、
請求項4に記載のオゾンガスの排出方法。
【請求項6】
前記電源手段に前記第2設定値を印加させる間だけ前記像担持体を前記所定の方向と反対方向に移動させる、
請求項5に記載のオゾンガスの排出方法。
【請求項7】
像担持体を所定の電位に帯電させるための帯電装置であって、
前記像担持体に近接配置され前記像担持体との対向面が開放した筐体と、
前記筐体の前記対向面に配置されたグリッド電極と、
前記筐体内に配置されコロナ放電により前記像担持体を帯電させるためのコロナ電極と、
前記コロナ放電させるための第1設定値または前記第1設定値と極性の異なる第2設定値の電圧のいずれかを選択的に前記コロナ電極に印加する電源手段と、
前記電源手段が前記コロナ電極に印加する前記電圧を予め設定された時間だけ前記第1設定値から前記第2設定値に切り替えさせる制御部と、
を備えた帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−185951(P2010−185951A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28608(P2009−28608)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】