説明

画像形成装置、及び画像形成プログラム

【課題】クリアトナーの付着厚によってトナー層全体の厚さを制御しようとした場合、十分なトナー層厚を形成することができないという課題を解決する
【解決手段】イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナーを含む色トナー、および黒色トナーを記録媒体に付着させてカラー画像を形成する画像形成装置において、画像情報に基づいて、前記黒色トナーによって形成される網点の位置である網点形成位置を決定する網点決定手段と、前記網点決定手段で決定された黒色トナーの前記網点形成位置に、前記色トナーのうちいずれか一以上の色トナーを付着させる追加トナー付着手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを記録媒体に付着させて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明無色であるクリアのトナーを載せることによって、色調を変えずに記録媒体に形成されるトナー層の厚さを制御することが知られている。特許文献1では、シアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、黒(K)のトナー層の上にクリア(T)トナーを付着させ、これによってトナー層全体の厚さを制御している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、クリアトナーを用いる多くの画像形成装置では、クリアトナーを用いる現像装置はCMYK各色トナーを用いる現像装置と同等の性能であるために、付着させることのできるクリアトナーの最大量はCMYK各色のトナーを付着させることのできる最大量と同等である。したがって、特許文献1に記載されているように、クリアトナーの付着量によって、色調を変えずにトナー層全体の厚さを制御しようとした場合、十分な厚さのトナー層を形成することができないという課題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナーを含む色トナー、および黒色トナーを記録媒体に付着させてカラー画像を形成する画像形成装置において、画像情報に基づいて、前記黒色トナーによって形成される網点の位置である網点形成位置を決定する網点決定手段と、前記網点決定手段で決定された黒色トナーの前記網点形成位置に、前記色トナーのうちいずれか一以上の色トナーを付着させる追加トナー付着手段と、を有することを特徴とする。
【0005】
また、請求項5にかかる発明は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナーを含む色トナー、および黒色トナーを記録媒体に付着させてカラー画像を形成する画像形成装置が実行する画像形成プログラムであって、前記画像形成装置が、画像情報に基づいて、前記黒色トナーによって形成される網点の位置である網点形成位置を決定する網点決定工程と、
前記網点決定工程で決定された黒色トナーの前記網点形成位置に、前記色トナーのうちいずれか一以上の色トナーを付着させる追加トナー付着工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、黒色トナーによって形成される網点の位置に色トナーを付着させるので、色調を変えずに十分な厚さのトナー層を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図2】制御部のハードウェア構成図である。
【図3】制御部の機能構成図である。
【図4】本実施形態の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図5】色調トナーの網点面積率を示す概念図である。
【図6】下色除去処理を示す処理フロー図である。
【図7】層厚度情報を入力するための画面の例である。
【図8】各トナーによって形成される網点の網点面積率および網点位置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<<実施形態の全体構成>>
以下、図1乃至図8を用いて、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
<<実施形態のハードウェア構成>>
まず、本実施形態のハードウェア構成を説明する。
【0010】
図1は画像形成装置の一例であるカラー印刷装置のハードウェア構成図である。本実施形態のカラー印刷装置は制御部(図示しない)、プリンタ部3、給紙部4、スキャナ部5、排紙部6を有している。
【0011】
図2は本実施形態のカラー印刷装置が有している制御部のハードウェア構成図である。図2を用いて制御部のハードウェア構成を説明する。
【0012】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、HD(Hard Disk)105、バスライン106を有している。
【0013】
CPU101はプログラムを実行する。ROM102にはシステム起動プログラムの情報などが格納されている。RAM103はCPU101がプログラムを実行するワーク用エリアとして使用される。HD105はデータを記憶する記憶装置であり、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶装置に代替可能である。バスライン106は、上記各部を接続するためのものである。
【0014】
ROM102に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0015】
ここで図1に戻って、プリンタ部3のハードウェア構成を説明する。
【0016】
プリンタ部3は、カートリッジ31、感光体ドラム32、帯電部33、現像部34、中間転写ベルト35、二次転写ローラ36、定着部37等を有している。
【0017】
カートリッジ31はシアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、黒(K)色、クリア(T)の各トナーを収容しているものであり、各トナーの種類に対応した5つのカートリッジ31C、31M、31Y、31K、31Tを有している。なお、クリアトナーとは透明のトナーを表している。
【0018】
感光体ドラム32は、後述する帯電部33により表面が一様に帯電され、制御部から受け取った画像情報に基づき、表面に静電潜像が形成されるものである。更に、感光体ドラム32は、静電潜像が形成された表面に、後述する現像部34がトナーを付着させることによって、画像が形成されるものである。感光体ドラム32は、C色、M色、Y色、K色、クリアの各トナーの種類に対応した5つの感光体ドラム32C、32M、32Y、32K、32Tを有している。
【0019】
帯電部33は、感光体ドラム32に接触して電圧を印加することにより、感光体ドラム32の表面を帯電させるものであり、C色、M色、Y色、K色、クリアの各トナーの種類に対応した5つの帯電部33C、33M、33Y、33K、33Tを有している。
【0020】
現像部34は、後述する制御部の網点決定部113および追加トナー決定部114によって決定された各色の網点面積率に基づいて、カートリッジ31内のトナーを感光体ドラム32に付着させることにより、各感光体ドラム32の表面に画像を形成するものである。C色、M色、Y色、K色、クリアの各トナーの種類に対応した5つの現像部34C、34M、34Y、34K、34Tを有している。また、現像部34のうち、追加トナー決定部114によって決定された網点面積率に基づいてトナーを付着させる処理を行うものは、追加トナー付着手段の一例である。
【0021】
なお、以下では、カートリッジ31C、31M、31Y、31K、31Tのうち任意のカートリッジは「カートリッジ31」と表されている。また、感光体ドラム32C、32M、32Y、32K、32Tのうち任意の感光体ドラムは「感光体ドラム32」と表されている。また、帯電部33C、33M、33Y、33K、33Tのうち任意の帯電部は「帯電部33」と表されている。また、以下では、C色、M色、Y色のトナーのうち、任意のトナーは色トナーと表される。
【0022】
中間転写ベルト35は、感光体ドラム32に当接しながら搬送されることにより、その表面に画像が形成されるものである。また、表面に画像が形成された後、記録媒体にその画像を転写するものである。
【0023】
二次転写ローラ36は、後述する給紙部4から搬送された記録媒体を、中間転写ベルト35との間に挟み込むことにより、中間転写ベルト35に形成された画像を記録媒体に転写し、画像が形成された記録媒体を定着部37に送るものである。
【0024】
定着部37は、二次転写ローラ36から送られた記録媒体に画像を定着させるものであり、加圧ローラ371、定着ベルト372等を有している。加圧ローラ371は、後述する定着ベルト372との間に記録媒体を押し当て、熱を付与することにより、記録媒体に画像を定着させるものである。定着ベルト372は、加圧ローラ371との間に記録媒体を押し当てることにより、記録媒体に画像を定着させるものである。
【0025】
続いて、給紙部4のハードウェア構成を説明する。給紙部4は、用紙等の記録媒体をプリンタ部3に供給するものであり、給紙トレイ41、給紙ローラ42、レジストローラ43を有している。
【0026】
給紙トレイ41は、用紙等の記録媒体を収容するものである。給紙ローラ42は、給紙トレイ41に収容されている記録媒体を取り出し、レジストローラ43に差し入れるものである。レジストローラ43は、給紙ローラ42によって差し入れられた記録媒体を中間転写ベルト35と二次転写ローラ36との間に送り入れるものである。
【0027】
スキャナ部5は、用紙等に記載された画像情報を読み取るものであり、コンタクトガラス51、読取センサ52を有している。コンタクトガラス51は、画像が記載された用紙が載置されるものである。読取センサ52はコンタクトガラス51に載置されている用紙に記されている画像情報を読み取るものである。
【0028】
排紙部6は、プリンタ部3で画像が形成された記録媒体を排紙し、格納するものである。
【0029】
<<実施形態の機能構成>>
図3は制御部の機能構成を説明するための図である。図3を用いて、制御部の機能構成を説明する。図3に示されるように、制御部は、画像情報受付部111、層厚度情報受付部112、網点決定部113、および追加トナー決定部114を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、ROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0030】
画像情報受付部111は、情報処理装置等から送信された画像情報を受け付ける。ここで、画像情報とは、用紙等の記録媒体に形成する画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)を示す電気的な色分解画像信号を用いて表されたものである。以降では、この画像情報をRGB画像情報という。
【0031】
層厚度情報受付部112は、層厚度情報受付手段の一例であり、画像内の領域に対応する層厚度Tsを、情報処理装置等から受け付ける。層厚度Tsとは、後述する追加トナーによって形成される層の厚さを表す0以上1以下の実数値である。層厚度Tsが大きいほどトナー層が厚いことが示しており。層厚度Ts=1のとき、記録用紙上に形成されるトナー層が最も厚く、層厚度Ts=0のとき記録用紙上に形成されるトナー層が最も薄い。
【0032】
網点決定部113は、網点決定手段の一例であり、網点面積率決定部1131、網点位置決定部1132を有している。網点面積率決定部1131は、単位面積内で各トナーによって形成される網点の面積の割合である網点面積率を決定する。
【0033】
網点面積率決定部1131は、RIP(Raster Image Processing)部1131a、下色除去部1131bを有している。RIP部1131aは、電気的な色分解信号で表された画像情報に基づいて、網点面積率を決定する。下色除去部1131bは、RIP部1131aで決定したC、M、Y各色の網点面積率Rc、Rm、Ryを、下色除去(UCR:Under Color Removal)処理により、色調を変えないようにC、M、Y、K各色の網点面積率R’c、R’m、R’y、R’kに変換する。網点位置決定部1132は、網点面積率決定部1131で決定された網点面積率の網点を形成する位置をギャザ法等の手法により決定する。
【0034】
本実施形態の説明では、この網点決定部113によって決定された網点面積率R’c、R’m、R’y、およびR’kで網点を形成するために用いるトナーを、後述する追加トナーと区別するために、色調トナーという。
【0035】
追加トナー決定部114は、追加トナー決定手段の一例であり、網点決定部113で決定したK色の網点面積率R’k、および、層厚度情報受付部112で受け付けた層厚度Tsに基づいて、領域情報が示す画像内の領域に追加して付着させるC、M、Y各色、およびクリアのトナーの網点面積率R”c、R”m、R”y、R”tを決定する。本実施形態では、この網点面積率R”c、R”m、R”y、R”tで付着させるトナーを色調トナーと区別するために追加トナーという。
【0036】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図4乃至図8を用いて、本実施形態に係る画像形成装置における処理を説明する。図4は、本実施形態の処理の概要を示す処理フロー図である。図5は、色調トナーの網点面積率を示す概念図である。図6は、下色除去処理を示す処理フロー図である。図7は、層厚度情報を入力するための画面の例である。図8は、各トナーによって形成される網点の網点面積率および網点位置を示す概念図である。
【0037】
図4に示されるように、まず、画像情報受付部111が、情報処理装置等からネットワーク経由で送信されたR、G、Bで示される色分解画像データを用いて表されたRGB画像情報を受け付ける(ステップS1)。
【0038】
次に、網点決定部113が、画像情報受付部111で受け付けた画像情報に基づいて、色調トナーとしてのC、M、Y、K各色のトナーが形成する網点の網点面積率および網点位置を決定する。ここで、網点決定部113が実施する処理を説明する。
【0039】
まず、網点面積率決定部1131が有するRIP部1131aが、画像情報受付部111で受け付けたRGB画像情報からCMY画像情報であるC、M、Y各色の網点面積率Rc、Rm、Ryを算出する(ステップS2)。具体的には、R、G、Bで示される色分解画像で表されているRGB画像情報に対して、RIP部1131aが、シェーディング補正、位置ズレ補正、色空間の変換、ガンマ補正等の処理をすることによって、C、M、Yの各色の網点面積率Rc、Rm、Ryを算出する。
【0040】
このRIP部1131aによって算出されたC、M、Y各色の網点面積率Rc、Rm、Ryが、図5(1)に表されている。図5(1)では、C、M、Y各色のトナーによって形成される網点面積率Rを横軸に表している。縦軸に示されるC、M、Yに対応して、それぞれC、M、Y各色のトナーそれぞれが形成するの網点面積率Rc、Rm、Ryが横軸に示されている。この例では、C、M、Y各色の網点面積率は、それぞれRc=40%、Rm=65%、Ry=30%とされている。
【0041】
続いて、下色除去部1131bが、RIP部1131aによって算出されたC、M、Y各色の網点面積率Rc、Rm、Ryを下色除去法等の公知の手法で変換したK色、C色、M色、Y色の網点面積率R’k、R’c、R’m、R’yを算出する(ステップS3)。ここで、下色除去処理によって網点面積率R’c、R’m、R’y、R’kを算出する処理を、図6を用いて具体的に説明する。下色除去部1131bは、まず、K色の網点面積率R’kをRc、Rm、Ryのうち最も小さい値と同じ値する。すなわち、下色除去処理によるK色の網点面積率R’k=min(Rc、Rm、Ry)とする(ステップS31)。
【0042】
さらに、下色除去部1131bは、C、M、Y各色の網点面積率R’c、R’m、R’yを次のように決定する(ステップS32)。まず、下色除去部1131bは、RIP部112によって決定されたC色の網点面積率Rcから、先に決定されたK色の網点面積率R’kを減じた値をR’cとする。すなわち、C色の網点面積率は、R’c=Rc−R’kとされる(ステップS32c)。同様に、下色除去部1131bは、RIP部112によって決定されたM色の網点面積率Rmから先に決定されたK色の網点面積率R’kを減じた値をR’mとする。すなわち、M色の網点面積率は、R’m=Rm−R’kとされる(ステップS32m)。また、下色除去部1131bは、RIP部112によって決定されたY色の網点面積率Ryから先に決定されたK色の網点面積率R’kを減じた値をR’yとする。すなわち、Y色の網点面積率は、R’y=Ry−R’k (ステップS32y)とされる。
【0043】
この下色除去部1131bによって変換されたK、C、M、Yの各色の網点面積率R’k、R’c、R’m、R’yが、図5(2)に表されている。図5(2)では、縦軸に示されるK、C、M、Yに対応して、それぞれの色のトナーが形成する網点の網点面積率R’k、R’c、R’m、R’yが横軸に示されている。
【0044】
図5(1)に示される例では、Rc=40%、Rm=65%、Ry=30%のうち最も小さい値は30%であるので、この処理によって算出されるK色の網点面積率R’kは、図5(2)に示されるように30%となる。また、この下色除去処理によるC色の網点面積率はR’c=Rc−R’k=10%となり、M色の網点面積率はR’m=Rm−R’k=35%となり、Y色の網点面積率はR’y=Ry−R’k=0%となる。
【0045】
このようにして、網点面積率決定部1131によって各色の網点面積率が決定されると、網点位置決定部1132が、それらの網点面積率で形成される網点の網点位置を、ギャザ法等の公知の手法を用いて決定する(ステップS4)。
【0046】
ここまでに説明した処理によって、色調を再現するために用いられる色調トナーが形成する網点の網点面積率R’k、R’c、R’m、R’yと網点位置が決定されたことになる。
【0047】
上記のように、色調トナーが形成する網点の網点面積率と網点位置が決定されているとして、以降の追加トナーの網点面積率および網点位置を決定する処理を説明する。なお、本実施形態では、網点面積率が大きくなることによって、単位面積あたりに付着させるトナー量が多くなり、その結果としてトナー層が厚くなるものとする。
【0048】
層厚度情報受付部112は、用紙等に付着させるトナーの層の厚さを表す層厚度Tsを情報処理装置等から通信ネットワーク等を経由して受け付ける(ステップS5)。なお、情報処理装置等は、ユーザがPhotoshop(登録商標)等の画像作成ソフトウェアにて、所定の入力欄に入力した層厚度Tsを画像形成装置の層厚度情報受付部112に送信する。
図7は、ユーザが画像内の領域、および領域に対応する層厚度Tsを入力するためのインターフェースとなる画面7の例である。画面7は、領域選択部71、層厚度入力部72等から構成されている。領域選択部71にはRGB画像情報が表す画像が表示され、ユーザがマウス等を用いて画像内の領域を選択する。層厚度入力部72は、領域選択部71によって選択されたそれぞれの領域に対応した層厚度Tsをユーザがキーボード等を用いて入力するものである。
【0049】
このインターフェースを用いて、ユーザは図7に示す領域選択部71で領域を選択し、さらに選択した領域に対応する層厚度Tsを層厚度入力部72に入力する。そして、情報処理装置等が、入力された領域を表す情報と領域に対応する層厚度Tsを含む情報を層厚度情報として画像形成装置に対して送信する。そして、情報処理装置等から送信された層厚度情報を層厚度情報受付部112が受け付ける。
【0050】
続いて、層厚度情報受付部112が受け付けた各領域に対応する層厚度Tsを用いて、追加トナー決定部114が、前述の網点決定部113によって決定されたK色の網点形成位置である黒色部に追加して付着させる色トナー、クリアトナーの網点面積率R”c、R”m、R”y、R”tを決定する(ステップS6)。
【0051】
追加トナー決定部114が、黒色部に追加して付着させるC色、M色、Y色およびクリアのトナーによって形成される網点の網点面積率R”c、R”m、R”y、R”tを決定する処理について図8を用いて説明する。図8は、横軸を記録媒体上の単位面積内の位置としており、それぞれの位置に付着させるK、C、M、Yの各色のトナー、およびクリア(T)トナーの網点面積率を表している。また、前述の網点決定部113によって決定されたK色の網点位置は黒色部と示されている。同様に、前述の網点決定部113によって決定されたC、M、Y色のうちいずれか1色による網点形成位置は一次色部と示されている。また、前述の網点決定部113によって決定されたC、M、Y色のうちいずれか2色が付着される部分のトナーによる網点形成位置は二次色部と示されている。また、いずれの色の網点も形成されない位置は白色部と示されている。図8では概念を説明するために、一次元の横軸で位置を示しているが、実際には記録媒体上にトナーを付着できるように二次元で網点位置が決定される。
【0052】
層厚度情報受付部112によって受け付けられた層厚度がTs=0である場合には、追加トナー決定部114は、黒色部には他のトナーを追加させないと決定する。すなわち、追加するC色、M色、Y色およびクリアのトナーによる網点面積率は、それぞれR”c=0、R”m=0、R”y=0、R”t=0と決定される。この場合、図8(a)に示されるように、色調トナーとしてのK色、C色、M色、Y色の各トナーが網点決定部113によって決定されたそれぞれの網点面積率R’k=30%、R’c=10%、R’m=35%、R’y=0%で付着されることになる。
【0053】
層厚度がTs=1である場合には、追加トナー決定部114は、C色、M色、Y色およびクリアの全てのトナーをそれぞれK色の網点決定部113で決定された網点面積率R’kと同じ網点面積率R”c=R’k、R”m=R’k、R”y=R’k、R”t=R’kで黒色部に付着させると決定する。図8(b)に示される例では、色調トナーとしてのK色、C色、M色、Y色の各トナーが網点決定部113によって決定されたそれぞれの網点面積率R’k=30%、R’c=10%、R’m=35%、R’y=0%で付着され、さらに追加トナーとして、C、M、Y各色のトナーおよびクリアトナーがそれぞれ網点面積率R”c=30%、R”m=30%、R”y=30%、R”t=30%で付着されることになる。
【0054】
このようにすることによって、Ts=0の場合に比べて全体として付着されるトナー量が多くなり、そのため層を厚くすることができる。また、K色のトナーを付着させる黒色部にC、M、Y各色のトナーおよびクリアトナーを付着させるので、入射光は全てK色のトナー層で吸収され、その他のトナーの色が反映されないため色調は変わらないこととなる。
【0055】
次に、層厚度がTs=0.2である場合に黒色部に追加するトナーを決定する追加トナー決定部114の処理について説明する。この場合、追加トナー決定部114は、Ts=1のときの追加トナーの合計網点面積率R”total(1)の2割となる量の追加トナーを黒色部に付着させると決定する。つまり、Ts=1の場合、図8(b)を用いて前述したように、追加トナーとしてC、M、Y各色のトナー、クリアトナーをそれぞれR’kと同じ網点面積率で付着させるので、合計網点面積率はR”total(1)=R”c+R”m+R”y+R”t=R’k×4となる。したがって、Ts=0.2の場合、追加トナー決定部114は、追加トナーの合計網点面積率をR”total(0.2)=R”total(1)×0.2=R’k×4×0.2と決定する。
【0056】
この例では、追加トナーの合計網点面積率はR”total(0.2)=R”total(1)×0.2=R’k×4×0.2=30%×4×0.2=24%となる。したがって、追加トナー決定部114は、C、M、Y各色、およびクリアのトナーのうちいずれか一以上のトナーを合計網点面積率が24%となるように黒色部に付着させると決定する。図8(c)に示される例では、色調トナーとしてのK色、C色、M色、Y色の各トナーが網点決定部113によって決定されたそれぞれの網点面積率R’k=30%、R’c=10%、R’m=35%、R’y=0%で付着され、さらに追加トナーとして、C色トナーが網点面積率R”c=24%で黒色部に付着されるとしている。
【0057】
このようにすることによって、単位面積内に付着されるトナーの量は、Ts=0の場合に比べて多くなり、これによって平均のトナー層厚は厚くなる。また、黒色部にC色、M色、Y色およびクリアのトナーを付着させるので、入射光は全てK色のトナー層で吸収され、その他のトナーの色が反映されないため色調は変わらないこととなる。
【0058】
なお、図8(c)に示される例では網点面積率R”c=24%のC色トナーを追加トナーとしたが、合計網点面積率がR”total(0.2)=24%となるように、たとえば、追加トナーを網点面積率R”y=10%のY色トナーと網点面積率R”m=14%のM色トナーとしてもよい。
【0059】
続いて、層厚度情報受付部112によって受け付けられた層厚度がTs=0.4である場合に、黒色部に追加するトナーを決定する追加トナー決定部114の処理について説明する。この場合、追加トナー決定部114は、Ts=1の場合の追加トナーの合計網点面積率R”total(1)の4割となる量の追加トナーを黒色部に付着させると決定する。つまり、Ts=1の場合には、図8(b)を用いて前述したように、追加トナーとしてC、M、Y各色のトナーおよびクリアトナーをそれぞれR’kと同じ網点面積率で付着させるので、合計網点面積率はR”total(1)=R”c+R”m+R”y+R”t=R’k×4となる。したがって、Ts=0.4の場合、追加トナー決定部114は、追加トナーの合計網点面積率をR”total(0.4)=R”total(1)×0.4=R’k×4×0.4と決定する。
【0060】
この例では、追加トナーの合計網点面積率はR”total(0.4)=R”total(1)×0.4=R’k×4×0.4=30%×4×0.4=48%となる。したがって、追加トナー決定部114は、C色、M色、Y色およびクリアのトナーのうちいずれか一以上のトナーを、合計網点面積率が48%となるように黒色部に付着させると決定する。
図8(d)に示される例では、色調トナーとしてのK色、C色、M色、Y色の各トナーが網点決定部113によって決定されたそれぞれの網点面積率R’k=30%、R’c=10%、R’m=35%、R’y=0%で付着され、さらに追加トナーとして、黒色部にC色トナーを網点面積率R”c=30%で、Y色トナーを網点面積率R”y=18%で、付着させるとしている。
【0061】
このようにすることで、単位面積内に付着されるトナーの量は、前述のTs=0.2の場合に比べてさらに多くなり、平均のトナー層厚は厚くなる。また、黒色部にC、M、Y各色のトナーおよびクリアトナーを付着させるので、入射光は全てK色のトナー層で吸収され、その他のトナーの色が反映されないため色調は変わらないこととなる。
【0062】
なお、図8(d)に示す例では網点面積率R”c=30%のC色トナー、網点面積率R”y=18%のY色トナーを追加トナーとしたが、合計網点面積率が48%となるように、たとえば、網点面積率R”y=10%のY色トナーと網点面積率R”m=20%のM色トナー、網点面積率R”t=18%のクリアトナーとしてもよい。
【0063】
このようにして、網点決定部113で色調トナーによって形成される網点の網点面積率R’c、R’m、R’y、R’kが決定され、追加トナー決定部114で追加トナーによって形成される網点の網点面積率R”c、R”m、R”y、R”tが決定されると、これらの網点面積率に基づいてプリンタ部3が画像を形成する。
【0064】
プリンタ部3が画像を形成する処理を詳細に説明する。まず、帯電部33が、感光体ドラム32に接触して電圧を印加し、感光体ドラム32の表面を帯電させる。そして、不図示の露光装置から発せられたレーザ光が、画像情報に基づいて感光体ドラム32の表面に静電潜像を形成する。そして、現像部34が、静電潜像が形成された感光体ドラム32表面の網点決定部113で決定された網点位置に、網点決定部113で決定された網点面積率に基づいて、カートリッジ31のトナーを付着させることによって、感光体ドラム32表面に画像を形成する。また、現像部34は、追加トナー決定部114によって決定された網点面積率で、追加トナーを黒色部に付着させる。
【0065】
続いて、中間転写ベルト35が、感光体ドラム32に当接しながら搬送される。すると感光体ドラム32の表面に形成された画像が中間転写ベルト35に転写される。
【0066】
一方、給紙ローラ42は、給紙トレイ41に収容されている用紙を取り出し、レジストローラ43に差し入れる。そして、レジストローラ43は、差し入れられた用紙を中間転写ベルト35と二次転写ローラ36の間に送り入れる。中間転写ベルト35と二次転写ローラ36の間に送り入れられた用紙は、中間転写ベルト35と二次転写ローラ36に挟まれ、搬送されることによって、中間転写ベルト35上の画像を転写される。次に、加圧ローラ371が、定着ベルト372との間に用紙を押し当て、熱を付与することにより、用紙に画像を定着させる。最後に、排出部6が、画像が定着された用紙を排紙トレイに排出する。
【0067】
<<実施形態の主な効果>>
以上説明したように本実施形態によれば、K色トナーの網点位置である黒色部に、色トナー、クリアトナーのうち、いずれか一以上を付着させるので、色調を変えずに十分な厚さの画像を形成することが可能となる。
【0068】
さらに、層厚度情報に基づいて決定した網点面積率の色トナー、クリアトナーを追加するので、所望の厚さのトナー層を形成することができ、凹凸によって質感のある画像を形成することができる。
【0069】
さらに、画像内の領域ごとに対応した層厚度に基づいて、追加する色トナー、クリアトナーを決定するので、所望の領域に所望の厚さのトナー層を形成することができる。
【0070】
<<実施形態の補足>>
なお、本実施形態では、ステップS1で画像情報受付部111が、情報処理装置等からネットワーク経由で送信されたR、G、Bで示される色分解画像データを用いて表されたRGB画像情報を受け付けるとしているが、スキャナ部5の読み取りセンサ52がコンタクトガラス51に載置された原稿用紙等から取得したRGB画像情報を受け付けるとしてもよい。また、上述の実施形態では、層厚度情報受付部112は情報処理装置から送信された領域を示す情報および領域に対応する層厚度Tsを含む層厚度情報を受け付けるとしているが、画像処理装置におけるタッチパネル等の入力装置からユーザによって入力された層厚度情報を受け付けるとしてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、下色除去率を100%とすることによって、下色除去処理によって算出されるK色の網点面積率をR’K=min(R’c、R’m、R’y)と算出される例を記載したが、下色除去率が100%より小さく、0%より大きいいずれの値で下色除去処理が実施されるとしてもよい。その場合には、K色の網点面積率R’kを、Rc、Rm、Ryのいずれよりも小さい所定の値とする。このようにすることで、Rc’、Rm’、Ry’はいずれも0より大きい値となるため、色調を再現するための色調トナーとしてC色、M色、Y色、K色のK色トナーを用いることとなる。
【0072】
また、本実施形態では、C色、M色、Y色、クリア、K色の各トナーを用いる現像装置を有する画像形成装置の例を示したが、クリアトナーを用いずに、C色、M色、Y色、黒の各トナーを用いる現像装置で実施してもよい。その場合、C色、M色、Y色のトナーをそれぞれK色トナーと同じ網点面積率で付着させた場合が、最も層厚となり、このときの層厚度をTs=1とする。
【符号の説明】
【0073】
1 画像処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
107 バスライン
111 画像情報受付部
112 層厚度情報受付部
113 網点決定部
1131 網点面積率決定部
1131a RIP部
1131b 下色除去部
1132 網点位置決定部
114 追加トナー決定部
3 プリンタ部
31 カートリッジ
32 感光体ドラム
33 帯電部
34 現像部
35 中間転写ベルト
36 二次転写ローラ
37 定着部
371 加圧ローラ
372 定着ベルト
4 給紙部
41 給紙トレイ
42 給紙ローラ
43 レジストローラ
5 スキャナ部
51 コンタクトガラス
52 読み取りセンサ
6 排紙部
7 画面
71 領域選択部
72 層厚度入力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2006−220740号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナーを含む色トナー、および黒色トナーを記録媒体に付着させてカラー画像を形成する画像形成装置であって、
画像情報に基づいて、前記黒色トナーによって形成される網点の位置である網点形成位置を決定する網点決定手段と、
前記網点決定手段で決定された黒色トナーの前記網点形成位置に、前記色トナーのうちいずれか一以上の色トナーを付着させる追加トナー付着手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記記録媒体に形成させるトナー層の厚さを表す層厚度を含む層厚度情報を受け付ける層厚度情報受付手段と、
前記層厚度受付手段で受け付けた前記層厚度に基づいて、前記画像形成装置が有する色トナーのうち追加して記録媒体に付着させる追加トナーを決定する追加トナー決定手段と、を有し、
前記追加トナー付着手段は、前記追加トナー決定手段で決定された前記追加トナーを付着させることを特徴とする画像形成装置。

【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
前記網点決定手段は、前記黒色トナーの網点面積率を決定し、
前記追加トナー付着手段は、前記追加トナーを前記網点決定手段で決定された前記網点面積率以下の面積率で付着させることを特徴とする画像形成装置。

【請求項4】
請求項2または3に記載の画像形成装置であって、
前記層厚度情報は、さらに前記層厚度に対応する画像内の領域を表す領域情報を含み、
前記追加トナー付着手段は、前記追加トナー決定手段によって決定された前記追加トナーを前記領域情報にかかる前記領域に付着させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナーを含む色トナー、および黒色トナーを記録媒体に付着させてカラー画像を形成する画像形成装置が実行する画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置が、
画像情報に基づいて、前記黒色トナーによって形成される網点の位置である網点形成位置を決定する網点決定工程と、
前記網点決定工程で決定された黒色トナーの前記網点形成位置に、前記色トナーのうちいずれか一以上の色トナーを付着させる追加トナー付着工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7984(P2013−7984A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188953(P2011−188953)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】